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特表2024-531684グラフェン層を含む光変調器および電磁放射の変調方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】グラフェン層を含む光変調器および電磁放射の変調方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
G02F1/01 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515835
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2022074709
(87)【国際公開番号】W WO2023036765
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】102021000023423
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524092534
【氏名又は名称】キャムグラフィック エスアールエル
【氏名又は名称原語表記】CAMGRAPHIC SRL
【住所又は居所原語表記】Via Suor Maria Pelletier, 4, Monza, 20090 Monza Brianza, ITALY
(71)【出願人】
【識別番号】524092545
【氏名又は名称】コンソルツィオ ナチオナーレ インターユニヴァーシタリオ ペル レ テレコムニカツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】CONSORZIO NAZIONALE INTERUNIVERSITARIO PER LE TELECOMUNICAZIONI
【住所又は居所原語表記】Viale G. P. Usberti, 181/A, 43124 Parma, ITALY
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロマニョーリ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ソリアネッロ,ヴィト
(72)【発明者】
【氏名】ピラストゥ,アレッシオ
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA02
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102CA18
2K102CA30
2K102DA04
2K102DB04
2K102DC08
2K102DD01
2K102DD03
2K102EA02
2K102EA17
2K102EA21
(57)【要約】
セグメント化された光変調器は、
・ 変調される電磁放射が進行方向に沿って進行するように適合された導波管と、
・ 2~30個の変調セグメント(100)と、
を備える。セグメントの各々は、
・ 第1のグラフェン層(2)および第2のグラフェン層(3)であって、第1のグラフェン層の一部と第2のグラフェン層の一部とが重なり合っており、第1のグラフェン層および第2のグラフェン層と導波管とが重なり合っている、第1のグラフェン層および第2のグラフェン層と、
・ 第1のグラフェン層(2)と第2のグラフェン層(3)との間に介在する誘電体層(6)であって、6nmEOT~15nmEOTの範囲の厚さを有する、誘電体層と、
・ 第1のグラフェン層(2)と接触する第1の金属電極(4)と、
・ 第2のグラフェン層(3)と接触する第2の金属電極(5)と、
を備える。ここで、第1の金属電極(4)と第2の金属電極(5)との間の距離は、650nm~1500nmの範囲であり、進行方向におけるセグメント(100)のそれぞれの長さは、10μm~60μmの範囲である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セグメント化された光変調器であって、
・ 変調される電磁放射が進行方向に沿って進行するように適合された導波管と、
・ 2~30個の変調セグメント(100)と、
を備え、前記セグメントの各々は、
・ 第1のグラフェン層(2)および第2のグラフェン層(3)であって、前記第1のグラフェン層の一部と前記第2のグラフェン層の一部とが重なり合っており、前記第1のグラフェン層および前記第2のグラフェン層と前記導波管の一部とが重なり合っている、第1のグラフェン層および第2のグラフェン層と、
・ 前記第1のグラフェン層(2)と前記第2のグラフェン層(3)との間に介在する誘電体層(6)であって、6nmEOT~15nmEOTの範囲の厚さを有する誘電体層(6)と、
・ 前記第1のグラフェン層(2)と接触する第1の金属電極(4)と、
・ 前記第2のグラフェン層(3)と接触する第2の金属電極(5)と、
を備え、
前記第1の金属電極(4)と前記第2の金属電極(5)との間の距離は、650nm~1500nmの範囲であり、
前記進行方向における前記セグメント(100)のそれぞれの長さは、10μm~60μmの範囲である、
光変調器。
【請求項2】
前記導波管は、導波管コア(10)と被覆材(11)とを備え、前記導波管コア(10)は、200nm~250nmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の光変調器。
【請求項3】
前記導波管は、シリコン、または窒化シリコン(SiN)で実現される、請求項1または2に記載の光変調器。
【請求項4】
前記誘電体層(6)を実現する材料は、Al、HF、SiN、SiO、h-BN、BNのうちの1つまたは複数を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の光変調器。
【請求項5】
前記セグメント(100)の幅は、1550nmの動作波長において650nm~1500nmの範囲である、請求項1~4のいずれか1項に記載の光変調器。
【請求項6】
前記第1の金属電極(4)および/または前記第2の金属電極(5)は、金、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、銅、タングステン、またはそれらの合金を含む金属のうちの1つまたは複数から形成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の光変調器。
【請求項7】
前記第1の金属電極(4)と前記第2の金属電極(5)との間の距離は、前記セグメント(100)のそれぞれの幅に等しいか、それよりも長い、請求項1~6のいずれか1項に記載の光変調器。
【請求項8】
電磁放射を変調する方法であって、
請求項1~7のいずれか1項に記載の光変調器を提供するステップと、
1260nm~1625nmの範囲の波長を有する電磁放射を導波管に入力するステップと、
セグメント化された前記光変調器を分散型のセグメント化された電気ドライバで駆動するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
各セグメント(100)の第1の金属電極(4)および第2の金属電極(5)は、1V~2.5Vの範囲の電圧で駆動される、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフェン層を含む光変調器に関する。この光変調器は、セグメント化されている。さらに、本発明は、グラフェン層を有する変調された光変調器を用いて電磁放射を変調する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光変調器は、電磁放射の特性を変化させることによって情報を伝送するための装置である。変化される特性として、例えば、電磁放射の強度または電磁放射の位相が挙げられる。光変調器は、光が通過する光導波管、例えば半導体材料の光導波管に印加される電流または電圧によって引き起こされる電気屈折または電気吸収の変化に従って動作することができる。
【0003】
電気吸収変調器は、光の吸収を制御する電界を変調することで光強度を変調する光電子デバイスである。電気吸収変調器は、様々な種類の光信号処理に使用される。特に、半導体レーザダイオードの出力は、レーザダイオード自体の駆動電力を変調するよりも、電気吸収変調器によってより迅速に変調され得る。電気吸収変調器は、半導体材料から作製できるので、変調器とレーザを同じ半導体チップに集積することができる。
【0004】
従来型の光変調器の多くは、特定の波長の光に対して光の特性を変化させるので、光変調器の動作帯域幅は約20nm以下と狭い。また、抵抗/キャパシタ(RC)遅延のため、比較的高速な光変調器を作製することが困難な場合がある。さらに、光導波管の単位長さ当たりの変調深さが比較的小さいので、光を十分に変調するために光変調器のサイズが大きくなる場合がある。
【0005】
グラフェンは、2次元の六方晶炭素構造をもつ材料である。グラフェンは、半導体の代わりに使用されてもよく、室温でのキャリア移動が約200,000cm-1-1とシリコンの100倍であるので、光変調器などの高速動作デバイスに使用することができる。
【0006】
しかしながら、グラフェンを使用しても、帯域幅の狭さや速度の遅さは依然として存在する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、帯域幅が比較的広く、速度が適度であるグラフェンを含む光変調器、および光信号を変調する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、本発明は、セグメント化された光変調器に関する。光変調器は、
・ 変調される電磁放射が進行方向に沿って進行するように適合された導波管と、
・ 2~30個の変調セグメントと、
を備える。該セグメントの各々は、
・ 第1のグラフェン層および第2のグラフェン層であって、第1のグラフェン層の一部と第2のグラフェン層の一部とが重なり合っており、第1のグラフェン層および第2のグラフェン層と導波管の一部とが重なり合っている、第1のグラフェン層および第2のグラフェン層と、
・ 第1のグラフェン層と第2のグラフェン層との間に介在する誘電体層であって、6nmEOT~15nmEOTの範囲の厚さを有する、誘電体層と、
・ 第1のグラフェン層と接触する第1の金属電極と、
・ 第2のグラフェン層と接触する第2の金属電極と、
を備える。ここで、
・ 第1の電極と第2の電極との間の距離は、650nm~1500nmの範囲であり、
・ 進行方向における各セグメントの長さは、10μm~60μmの範囲である。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、本発明は、電磁放射を変調する方法に関する。該方法は、
・ 第1の態様による光変調器を提供するステップと、
・ 1260nm~1625nmの範囲の波長を有する電磁放射を導波管に入力するステップと、
・ セグメント化された変調器を分散型のセグメント化された電気ドライバで駆動するステップと、
を含む。
【0010】
以下において、「上、「下」、「右」、「左」、およびその他の空間的用語は、変調器の製造中の位置を示している。その後、変調器は、任意の異なる位置に移動および回転され得るが、わかりやすくするために元の座標フレームを使用している。
【0011】
本発明のグラフェン変調器は、電気吸収変調器(EAM)として使用され得る。また、グラフェン変調器は、電気屈折(位相)変調器として使用され得る。したがって、以下において、「グラフェン変調器」という用語は、両方のタイプの変調器を包含するものとする。
【0012】
光変調器は、導波管を進行する電磁放射(または信号)を変調するために使用される。好ましくは、電磁放射は、1260nm~1625nmの範囲の波長を有する。これは、電気通信に好ましい波長である。したがって、変調器がこの波長に適合していることが好ましい。導波管内を進行する電磁信号は、導波管内の進行方向または伝播方向を画定する。
【0013】
好ましくは、導波管は、導波管コアと被覆材(cladding)とを備える。好ましくは、導波管コアは、200nm~250nmの範囲の厚さを有する。
【0014】
好ましくは、導波管は、シリコン、好ましくは非ドープシリコン、または窒化シリコン(SiN)で実現される。好ましくは、導波管の製造技術は、標準的なシリコンフォトニック技術である。ここで、シリコンは、通常、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)として知られているシリカ層の上にある。
【0015】
本発明の光変調器は、「セグメント化」されている。グラフェン変調器のセグメント化は、後述するように、変調器の速度と帯域幅を向上させるために好ましい。
【0016】
光変調器の各セグメントは、後述するグラフェンキャパシタを備える。光変調器のセグメントの数は2~30個の範囲、より好ましくは、3~12個の範囲である。セグメントは、互いに直列であり、同じ導波管に作用する。換言すると、光変調器は、導波管内の電磁放射の進行方向に沿って次々に配置された複数の「ピース」(セグメント)を備える。
【0017】
好ましくは、2つのセグメント間の最小距離は、1μmである。
【0018】
本発明の光変調器の各セグメントは、「グラフェンキャパシタ」に基づいている。グラフェンキャパシタは、互いの上に配置された第1のグラフェン層と第2のグラフェン層から形成される。したがって、第1のグラフェン層の一部と第2のグラフェン層の一部とが重なり合っている。これは、セグメントの上面図において、第1のグラフェン層および第2のグラフェン層の両方に共通する重ね合わせ部分を画定する。2つの層の間には、誘電体または絶縁体層が存在する。この構成により、誘電体層の厚さと実質的に等しい特定の厚さを有する「キャパシタ」が形成される。さらに、キャパシタは、幅と長さとを有する。キャパシタの厚さは、厚さに垂直な方向および導波管内での電磁放射の進行方向に対して測定される、第1のグラフェン層と第2のグラフェン層との間の重ね合わせ部分の幅として定義される。さらに、キャパシタの長さは、導波管内での進行方向と平行な方向における、第1のグラフェン層および第2のグラフェン層の重ね合わせ部分の長さとして定義される。
【0019】
好ましくは、第1のグラフェン層と第2のグラフェン層は、互いに平行である。そのため、重ね合わせ部分における第1のグラフェン層と第2のグラフェン層との間の距離は、好ましくは一定である。
【0020】
グラフェンキャパシタの幅および長さは、セグメントの幅および長さを画定する。したがって、「セグメントの長さ」とは、キャパシタの長さを意味する。これは、導波管内での電磁放射の進行方向と平行な方向に沿ったグラフェン層の長さである。
【0021】
グラフェンキャパシタの長さ、すなわちセグメントの長さは、10μm~60μmの範囲である。
【0022】
セグメントの長さは互いに等しくてもよく、異なっていてもよい。しかしながら、セグメントの長さはすべて10μm~60μmの範囲である。
【0023】
グラフェンキャパシタは、導波管の上方に形成される。好ましくは、第1のグラフェン層は、導波管により近い層であり、第2のグラフェン層は、第1のグラフェン層に対して導波管からより離れた位置にある。好ましくは、導波管は、コアと被覆材とを備える。好ましくは、第1のグラフェン層は、導波管コアと接触していない。好ましくは、第1のグラフェン層は、導波管の被覆材上に形成される。
【0024】
好ましくは、グラフェンキャパシタと導波管コアは重なり合っている。
【0025】
好ましくは、導波管は、グラフェンキャパシタの幅と同じ方向に定義される幅を画定する。好ましくは、導波管コアは、幅を画定する。好ましくは、導波管コアの幅は、グラフェンキャパシタの幅に等しいか、それよりも小さい。
【0026】
好ましくは、キャパシタの幅は、300nm~1500nmの範囲である。
【0027】
好ましくは、導波管コアの幅は、1300nm~2000nmの範囲の動作波長に対して300nm~700nmの範囲であり、より好ましくは1260nm~1625nmの範囲である。
【0028】
後述するように、好ましくは、セグメントの幅は、1550nmの動作波長において650nm~1500nmの範囲である。
【0029】
「グラフェン層」という用語は、グラフェンの単原子層または多原子層を意味する。各グラフェン層は、炭素原子からなる原子スケールの六角形格子である。本発明において、グラフェン層に含まれる原子層の数は、第1のグラフェン層および第2のグラフェン層の両方において1つ~3つの範囲である。
【0030】
したがって、第1のグラフェン層は第1の蓄電板として機能し、第2のグラフェン層は第2の蓄電板として機能する。
【0031】
上述したように、第1のグラフェン層および第2のグラフェン層は、誘電体層によって分離されている。誘電体層は、単層であってもよく、積層された複数の誘電体層を備えてもよい。複数の層が存在する場合(すなわち誘電体層が多層である場合)、これらの層は互いとは異なる材料から形成されてもよい。さらに、誘電体層が多層である場合、これらの層は互いとは異なる厚さを有してもよい。
【0032】
好ましくは、誘電体層は、六方晶窒化ホウ素(h-BN)層を含む。好ましくは、h-BN層は、実質的に2次元である。好ましくは、h-BN層は、第1のグラフェン層または第2のグラフェン層と接触している。好ましくは、誘電体層は、第1のh-BN層および第2のh-BN層を含む。好ましくは、第1のh-BN層は第1のグラフェン層と接触しており、第2のh-BN層は第2のグラフェン層と接触している。好ましくは、誘電体層は、第1のh-BN層と第2のh-BN層との間に第3の層を含む。好ましくは、h-BN層が好ましく使用される理由は、「薄い」h-BN層は非常に平坦であり、すなわちグラフェンを堆積させることができる極めて平坦な表面を形成することができ、また、非常に均一な層を形成することができるからである。h-BN層は、グラフェン層の品質と均一性を高めるために、「薄い」こと、すなわち単層であることが好ましい。「厚い」h-BN層は、望ましくない粗さを生じさせる。さらに、h-BN層は、グラフェン層を封入して、さらなる材料堆積からグラフェン層を保護することができる。
【0033】
誘電体層を実現することができる材料は、Al、HF、SiN、SiO、h-BN、BNのうちの1つまたは複数であり得る。好ましくは、誘電体層は、SiN層とh-BN層とを備える。好ましくは、h-BN層は、グラフェン層と誘電体層(Al、HF、SiN、SiO、h-BN、BN)との間に介在する。
【0034】
誘電体層の厚さ(誘電体層が1つの層を含む場合は単層の厚さ、あるいは誘電体層が誘電体層を形成するすべての厚さの合計)は、酸化膜換算膜厚(EOT)に関して定義される。酸化膜換算膜厚とは、誘電体層の厚さと等価な酸化シリコン膜の厚さを以下のように連結したものである:
EOT=tdiel*(kSiO2/kdiel
ここで、tdielは2つのグラフェン層の間に介在する誘電体層の「実際の」厚さ、kSiO2は酸化シリコンの誘電率、kdielは誘電体層を形成する材料の誘電率を表す。
【0035】
誘電体が多層である場合、誘電率kdielの平均値を定義する必要がある。
【0036】
酸化膜換算膜厚は、通常、ナノメートル(nm)単位で示されており、例えば高κの材料などの他の材料と同じ電気的性能を提供する酸化シリコン膜の厚さとみなすことができる。
【0037】
誘電体絶縁体の厚さは、光変調器の各セグメントの変調器速度および変調効率(すなわち印加された電圧に対して導波管内を進行する電磁放射の振幅/位相の変化量)の両方を決定する変調器静電容量を決定する。
【0038】
各グラフェン層は、金属から形成された電極と接触している。したがって、第1のグラフェン層は第1の電極と接触しており、第2のグラフェン層は第2の電極と接触している。第1の電極および第2の電極は、2つのグラフェン層の間に電位差(電位)を印加するために使用される。
【0039】
好ましくは、第1の電極および/または第2の電極は、金、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、銅、タングステン、またはそれらの合金を含む金属のうちの1つまたは複数から形成される。それらの電極は、単一の材料、すなわち単一の金属から形成されてもよく、例えばグラフェンと接触しているニッケルとその上の金のような異なる金属の層状構造から形成されてもよい。層状構造は、グラフェン層との接触抵抗を最小限に抑え、CMOS適合性を達成するように選択される。
【0040】
好ましくは、第1の金属電極と第2の金属電極との間の距離は、グラフェンキャパシタにおける2つのグラフェン層の重ね合わせ領域の幅に等しいか、それよりも長い。2つの金属接点の間の距離は、進行方向を含む平面上の2つの接点の突出で計算される最小のユークリッド距離として計算される。
【0041】
2つの電極の間には電圧が印加される。この電圧には、DCバイアス電圧と信号電圧とが含まれる。印加される信号電圧は、駆動電圧と呼ばれる。好ましくは、印加される駆動電圧は、1V~2.5Vの範囲である。
【0042】
このような電位を印加する目的が図1に示されている。図1は、グラフェン変調器の実効屈折率(上側の線)および1550nmの光波長における光吸収(下側の線)を、キャパシタの重ね合わせ領域におけるグラフェンの化学ポテンシャルの関数として示している。この図を作成するために考慮した変調器は、導波管幅450nm、グラフェンの重ね合わせ領域の幅650nm、金属接点間の距離1500nm、および0.4eVにおいて移動度が5000cm-1-1超の高品質グラフェンを有する厚さ220nmの空気被覆されたシリコンに基づいている。重ね合わせ領域においてグラフェンの化学ポテンシャルを変化させることで、すなわち金属電極に外部電圧を印加することで、実効屈折率と光吸収の両方が大きく変化する。EAM用途において興味深いのは、光吸収が急激に変化する領域、すなわち化学ポテンシャルが光子波長の半分よりも大きい場合(パウリの排他原理)であり、1550nmでは0.4eVに相当する。位相変調において興味深い領域は、光吸収が最小限に抑えられてほぼ一定になるところであり、例えば1550nmでは化学ポテンシャルが0.55eVを超える。
【0043】
好ましくは、光変調器は、電子ドライバに接続される。変調器の各セグメントには、電子ドライバに一括接続された電極が設けられる。電子ドライバは、セグメント化された電子ドライバであり、変調器の各セグメントは、電子回路として定義されたセグメント化された分散型電子ドライバに個別に接続される。これは、光変調器のセグメントの数と同じ数の信号に駆動電気信号を分割する。電子ドライバは、駆動電圧を電極に送信し、セグメントの位置に応じて電圧の送信を同期させる。例えば、同期は、無線周波数導波管を使用して実施されてもよい。無線周波数導波管は、変調器のセグメントの同期駆動を可能にする無線周波数波の速度と光波の速度を一致させるように意図された電気遅延部を含んでもよい。別の実施形態において、変調器のセグメントの同期駆動を可能にするために、分割された電気信号の各々が電気領域で適切に遅延される。
【0044】
理論に束縛されることなく、本発明で主張する寸法とセグメントの数により、広帯域で高効率の光変調器を作製することができる。
【0045】
個別のセグメントの主な特徴は、単一で拡張された(セグメント化されていない)電極の場合と比較して、比較的大きな帯域幅を可能にするような十分に小さな静電容量を達成するのに寄与するように低減されたサイズである。各導波管について各変調器セクションを構成するセグメント数は、変調器で達成される吸収または位相の量によって決定される。
【0046】
グラフェンEAMは、変調効率(印加電圧単位当たりの光伝送の最大変化量をdBで表したものと定義される)および変調帯域幅(変調効率が3dB低下する高周波数として定義される)の点で、性能の本質的なトレードオフを特徴とする。同様のトレードオフは、位相変調器にも影響を与える。この場合、変調効率は、π位相シフトを得るための電圧×変調器の長さとして定義される(Vcmで表されるVπL)。
【0047】
これらの特徴はいずれも、各セグメントで定義される「グラフェンキャパシタ」の単位面積当たりの静電容量(Cox)に直接関係している。Coxは、2つのグラフェン層間に介在する誘電体層の材料の酸化膜換算膜厚(EOT)に依存する。
【0048】
光吸収の変化はグラフェン層、すなわち蓄電板に蓄積された電荷によって決まるため、変調効率はCoxの影響を受ける。平行な平板キャパシタの静電容量、電荷量、および電圧の関係を考慮すると、固定電圧では、静電容量が大きいほど電荷量、すなわちグラフェンEAMの変調効率が大きくなる。
【0049】
変調器の固有帯域幅は、変調器の等価回路によって決定される。これは、単純な抵抗/キャパシタ(RC)回路で簡素化することができる。ここでは、キャパシタがグラフェン/誘電体/グラフェンのスタックであり、抵抗が金属からグラフェンへの電気的接触の抵抗と、金属からキャパシタへのグラフェン領域の抵抗という2つの要因から生じる直列抵抗である。RC回路において、帯域幅(BW)は、抵抗とキャパシタの積に反比例する。すなわち、グラフェン変調器において、静電容量が大きいほど変調帯域幅が狭くなる。
【0050】
したがって、変調効率と大帯域幅とは実質的に「競合」するものであり、変調器には相反する特性が要求される。本発明の目的は、この2つの間の実質的に最適なトレードオフ(妥協点)を得ることである。
【0051】
さらに、電極とグラフェンキャパシタとの間の距離を縮め、金属/グラフェンの接触抵抗(金属は電極材料)を低減することで、変調器の固有帯域幅を改善することができる。接触抵抗は、変調器の他の機能に大きな影響を与えないため、可能な限り低い値、望ましくは200Ωμmを下回るまで下げる必要がある。その一方で、金属接点とグラフェンキャパシタとの間の距離を縮めると、光変調器の挿入損失が影響を受ける。変調器のセグメントを参照すると、金属とキャパシタとの間の距離は、キャパシタ幅を固定した状態で電極間の距離を縮める方法と、金属とキャパシタとの間の距離を固定した状態でキャパシタ幅を広げる方法の2つの方法で縮めることができる。
【0052】
導波管内を進行する電磁放射のガイドモードのエバネッセントテールが電極と大きく重ならなくなるまで電極間の距離を縮めることができる。電極が導波管に近すぎると、金属の光吸収が増加し、余分な挿入損失が発生する。ここでも、高い帯域幅と低い挿入損失を実現するために、トレードオフが生じる。金属とキャパシタとの間の距離を縮める2つ目のアプローチは、一定の金属間距離でキャパシタの幅を広げることで、変調帯域幅を犠牲にして挿入損失を改善する。
【0053】
一般に、導波管幅に対する位置決め公差が緩和されるため、幅が大きい方が望ましい。また、リード領域のグラフェンは、動作中にゲーティングされない。実際、表面キャリア濃度は、キャパシタが重なる領域でのみ変化し、隣接する領域(重ならない領域)では、ゲーティング効果が100nm以内に急激に減少する。そのため、グラフェンのリードは、挿入損失をもたらす光吸収の最大値(転写されるグラフェンのドーピングの典型的な値は0.2eV以下)にあると仮定すべきである。その結果、接触抵抗が低い場合(例えば約200Ωμm)、変調器の固有帯域幅を広げ、挿入損失を低減するために、キャパシタの幅を金属間距離に近づけることが望ましい。
【0054】
したがって、実質的に2つの電極間の距離は、グラフェンキャパシタの幅にほぼ等しい。
【0055】
しかしながら、変調効率と挿入損失は、トレードオフの関係にもある。
【0056】
上述した考察は、位相変調器にも適用される。
【0057】
したがって、本出願人は、少なくとも70GHzの帯域幅と少なくとも6dBの消光比を保証するために、光変調器の最適な構成を見出した。本願において、「帯域幅」とは、変調効率が3dB低下する最高周波数を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
以下、添付の図面を非限定的に参照して本発明を詳細に説明する。
図1図2に示す断面図に基づくグラフェン変調器の実効屈折率(上側の線)および伝播損失(下側の線)を示すグラフである。ここでは、導波管幅450nm、導波管高220nm、グラフェンの重ね合わせ領域の幅650nm、金属接点間の距離1500nmである。0.4eVにおいてグラフェンの移動度は5000cm-1-1超であり、グラフェンが重なり合っていない領域における化学ポテンシャルは0.2eVである。
図2】本発明に従って実現された光変調器の断面図である。
図3図2に示す光変調器の模式的な上面図である。
図4】本発明の変調を使用したマッハツェンダ変調器の断面図である。
図5図4に示すマッハツェンダ変調器の上面図である。
図6】単位長さ当たりの変調効率(実線)と変調器の固有帯域幅(破線)のEOTに対する関係を示すグラフである。すなわち、キャパシタがグラフェン-誘電体-グラフェンのスタックであり、抵抗が金属からグラフェンへの電気的接触の抵抗と、金属からキャパシタへのグラフェン領域の抵抗とから生じる直列抵抗である単純化RC回路から計算したものである。すべての曲線はキャパシタ幅0.65μmで計算され、固有帯域幅は金属間距離1.5μm(上側の破線)と0.85μm(下側の破線)で計算されている。
図7】単位長さ当たりの挿入損失対金属間距離と変調器の固有帯域幅(破線)のEOTに対する関係を示すグラフである。透明グラフェン(1550nmにおいて化学ポテンシャルが0.6eV超)であると想定し、1550nmにおいて450nm×220nmの空気被覆シリコン導波管を考慮し、固有帯域幅は接触抵抗100Ωμm(上側の実線)と500Ωμm(下側の実線)で計算されている。
図8】金属間距離を1.5μm(a)と0.85μm(b)に固定した場合の、単位長さ当たりの変調器の挿入損失対キャパシタ幅を示すグラフである
図9】単位長さ当たりの挿入損失(実線)を、単位長さ当たりの消光比(破線)、およびキャパシタ領域(a)におけるグラフェン層の化学ポテンシャルの関数として示すグラフである。単位電圧当たりの性能指数(消光比を挿入損失で割ったもの)を、キャパシタ領域におけるグラフェン層の化学ポテンシャルの関数として示している。金属間距離1.5μm、グラフェンキャパシタ幅650nmである。
図10】単位長さ当たりの挿入損失(実線)を、単位電圧当たりの消光比(破線)、およびキャパシタ領域(a)におけるグラフェン層の化学ポテンシャルの関数として示すグラフである。単位電圧当たりの性能指数(消光比を挿入損失で割ったもの)を、キャパシタ領域におけるグラフェン層の化学ポテンシャルの関数として示している。金属間距離1.5μm、グラフェンキャパシタ幅650nmである。
図11】キャパシタ領域におけるグラフェンの化学ポテンシャルの関数としてのVπLを示すグラフである。グラフェンキャパシタ幅650nmである。
図12】キャパシタ領域におけるグラフェンの化学ポテンシャルの関数としてのVπL*ILとして計算されるFOMを示すグラフである。グラフェンキャパシタ幅650nmである。破線は金属間距離850nm、実線は金属間距離1.5μmに関する。
【発明を実施するための形態】
【0059】
まず、図2および図3を参照すると、本発明に従って実現された光変調器が参照符号1によって全体として示されている。
【0060】
光変調器は、2~30個のセグメント100を含み、より好ましくは、3~12個のセグメント100を含む。図2において、単一のセグメント100の断面が示されている。光変調器1は、第1のグラフェン層2と第2のグラフェン層3とを含む。第1のグラフェン層2および第2のグラフェン層3は、キャパシタを形成する。第1のグラフェン層および第2のグラフェン層のそれぞれの側面は、互いに分離している。
【0061】
さらに、光変調器1は、第1のグラフェン層2と接触する第1の電極4と、第2のグラフェン層3と接触する第2の電極5と、を備える。
【0062】
さらに、光変調器1は、第1のグラフェン層2と第2のグラフェン層3との間に位置する誘電体層6を含む。誘電体層の厚さは、6nmEOT~15nmEOTの範囲であってもよい。誘電体層6の厚さは、第1のグラフェン層と第2のグラフェン層との間の距離に等しい。
【0063】
第1のグラフェン層2および第2のグラフェン層3は、幅Wおよび長さLを有する重ね合わせ領域8を画定する。
【0064】
さらに、光変調器は、導波管を含む。導波管は、導波管コア10と導波管被覆材11とを含む。さらに、導波管被覆材は、第1の(上部)被覆材12と第2の(下部)被覆材13とを含んでもよい。好ましくは、被覆材は、基板上に実現されるか、同じ下部被覆材が基板となる。好ましくは、受動導波管プラットフォーム、すなわち注入またはエピタキシープロセスを伴わない純粋な誘電体導波管が使用される。好ましくは、導波管は、シリコンコアを有する。
【0065】
好ましくは、導波管において、電磁放射が進行するように適合されている。図3(および以降の図)において、電磁放射は矢印14で示されている。光変調器は、導波管内を進行する電磁信号を変更するように適合されている。
【0066】
好ましくは、第1のグラフェン層2および第2のグラフェン層3は、光導波管のコア10の中央部分上に形成されてもよい。好ましくは、重ね合わせ部分8は、導波管コア10の上方に位置する。好ましくは、第1のグラフェン層および第2のグラフェン層は、平面状であり、互いに平行である。好ましくは、これらは、基板の表面と平行な平面構造を画定する。
【0067】
本発明で使用する導波管は、例えば、標準的なSOIフォトニックのウェハに含まれる導波管であってもよい。
【0068】
各セグメントの電極4および5は、電子ドライバ16に接続される。電子ドライバは、各セグメントの電極に適切な電位を送り、さらにその電位を、導波管内を進行する電磁放射と同期させる役割を果たす。異なる駆動方式も可能である。例えば、米国特許第10120210号に記載されているような駆動方式を使用することができる。
【0069】
好ましくは、第1の上部被覆材12は、第1のグラフェン層が堆積される領域において可能な限り平面である。好ましくは、第1のグラフェン層は、任意の既知の技術に従って作製され、導波管のコア10の上方に位置する。好ましくは、第1のグラフェン層2は、その後の誘電体層6の堆積からグラフェンを保護するために、h-NB層によって封入される。一部の実施形態において、グラフェンは、CVDプロセスを用いて成長させた後、例えば湿式転写プロセスを用いて導波管の被覆材上に転写される。一部の実施形態において、第1のグラフェン層は、炭素原子の単層を備えるか、炭素原子の単層からなる。
【0070】
第1の電極4は、第1のグラフェン層2の一部の上に堆積される。一部の実施形態において、第1の電極4は、金属を含む。一部の実施形態において、第1の電極は、ALD、CVD、またはPVDを用いて堆積される。例えば、第1の電極は、電子ビーム(e-ビーム)蒸発法を用いて堆積されてもよい。
【0071】
好ましくは、誘電体層を形成する誘電体材料は、多数の異なる技術を用いて堆積されてもよい。一部の実施形態において、誘電体材料は、原子層堆積法(ALD)、化学気相成長法(CVD)、または物理気相成長法(PVD)を用いて堆積される。
【0072】
誘電体層6の誘電体材料は、第1のグラフェン層上に堆積される。
【0073】
第2のグラフェン層は、第1の電気絶縁性材料上に堆積される。第2のグラフェン層は、第1のグラフェン層に関して説明したのと同様または同じプロセスを用いて、第1の電気絶縁性材料上に堆積されてもよい。一部の実施形態において、第2のグラフェン層は、炭素原子の単層を備えるか、炭素原子の単層からなる。さらに、第2のグラフェン層を堆積する前に、誘電体層の表面を平坦化するために第2のh-BN層を堆積することができる。
【0074】
さらに、第2の電極5は、第2のグラフェン層3の一部の上に堆積される。第2の電極は、第1の電極に関して説明したのと同様または同じプロセスを用いて堆積されてもよい。
【0075】
光変調器1の単一のセグメント100の製造方法の詳細は、例えば、Marco A.Giambra、Vaidotas Miseikis、Sergio Pezzini、Simone Marconi、Alberto Montanaro、Filippo Fabbri、Vito Sorianello、Andrea C.Ferrari、Camilla Coletti、およびMarco Romagnoliらによる「Wafer-Scale Integration of Graphene-Based Photonic Devices」(https://pubs.acs.org/action/showCitFormats?doi=10.1021%2Facsnano.0c09758&ref=pdf&参照)に記載されている。
【0076】
上述した二重層のグラフェン変調器は、導波管内を進行する放射を変調することができる。本発明の変調器は、異なる波長の光を変調することができる。
【0077】
さらに、本発明の変調器1は、単独で、または他の変調器と組み合わせて使用され得る。例えば、図4および図5には、マッハツェンダ変調器200が示されている。マッハツェンダ200において、2つの導波管10および10’が存在する。これらの導波管の各々に対して、上述した変調器1のような変調器は、光を変調するために使用される。好ましくは、2つのグラフェン層のうちの一方の変調器は、他方の変調器と共通の電極を有する。
【0078】
[実施例]
光変調器の反応を、以下のような市販のソフトウェアを用いてシミュレーションした。
【0079】
https://www.lumerical.com/products/
また、以下の仮定の下で行われた。
【0080】
2次元材料であるグラフェンの光学特性は、光周波数における表面伝導率σ(ω、μ、Γ、T)によって適切にモデル化される。ここで、ωは角振動数、μは化学ポテンシャル、Γは電子無秩序散乱プロセスを考慮した現象論的散乱率、Tは温度を表す。以下において、エネルギーEに依存しない定数Γをもつ単純化された散乱率モデルが考慮される。この仮定の下で、表面伝導率は久保公式で表すことができる。
【数1】
ここで、eは電子電荷、
【数2】
は換算プランク定数、Eはエネルギー、f(E)はフェルミ・ディラック分布を表す。
【数3】
ここで、kはボルツマン定数を表す。式(1)の最初の項は帯域内電子-光子散乱プロセスから生じるものであり、2つ目の項は帯域間電子-光子散乱によるものである。化学ポテンシャルμを、グラフェン層上のキャリア密度nによって次のように決定することができる。
【数4】
ここで、
【数5】
はフェルミ速度を表す。グラフェンには顕著な電界効果があるため、ゲート電圧の印加および/または化学ドーピングによってキャリア密度を容易に制御することができる。その結果、表面伝導率の大幅な調整が可能になる。
【0081】
さらに、
・ 目標帯域幅BW(-3dB)70GHz以上
・ 目標ER6dB以上
に設定されている。
【0082】
電極間の距離キャパシタの幅、すなわち第1のグラフェン層と第2のグラフェン層との重ね合わせ部分の幅に等しいように設定されている。
【0083】
各シミュレーションにおいて、電極を駆動する(すなわち電極に電位を印加する)電子ドライバのインピーダンスZの値が選択されている。シミュレーションにおいて、25Ω≦Zd≦50Ωとなるようにインピーダンスが選択されている。これらは標準的な電子ドライバの典型的な値であるため、電極に対する特別な制御は必要ない。
【0084】
さらに、グラフェン層と電極との間の接触抵抗が選択され、シミュレーションの入力として提供されている。
【0085】
さらに、印加電圧Vは、電子ドライバが印加できる電圧の範囲内である(シミュレーションでは、標準的な電圧である1Vpp~1.5Vppの範囲の値が使用されている)。
【0086】
変調器は、導波管幅450nmを有する220nm厚の空気被覆のシリコン導波管に基づいている。
【0087】
図6は、導波管幅450nmを有する220nm厚の空気被覆のシリコンに基づいて単位長さ当たりで抽出された変調効率(赤線)を、グラフェンEAMに対するキャパシタEOT、すなわち1Vで得られた最大消光比の関数として示している。ここでは、光波長1550nmで動作し、グラフェン層の化学ポテンシャルが0.4eVとなるようにバイアスがかけられている。以下のすべてのプロットにおいて、0.4eVにおける移動度が5000cm-1-1超の高品質グラフェンを想定している。また、図6において、電極間の距離を変えた場合の変調器の固有(すなわちドライバインピーダンスを含まない)帯域幅が示されている(破線)。
【0088】
変調器の固有帯域幅は、(2*π*(2*R/L+Rsh*Wlead/L)*Cox*Wol*L)-1で計算される。ここで、Rは(電極の)金属とグラフェンの接触抵抗(Ωμm)、Lは光変調器の長さ、Rshはキャパシタと電極との間の領域におけるグラフェンシート抵抗(Ωsq)、Wleadはキャパシタと電極との間の領域の幅、Wolはグラフェンの重ね合わせ領域の幅、すなわちキャパシタ幅を表す。上記式によれば、抵抗がデバイスの長さに反比例し、キャパシタは直線的に変化するので、変調器の固有帯域幅はデバイスの長さによって変化しない。
【0089】
図6に示す曲線は、キャパシタ幅(Wol)0.65μm、金属間距離(md=Wlead+Wol)1.5μm、キャパシタ幅0.55μm、接触抵抗500Ωμm(R)、シート抵抗1kΩsq(Rsh)をパラメータとして計算している(青線)。変調効率は金属間距離の影響を受けないが、固有帯域幅はグラフェンのリード線の抵抗によって変化する。
【0090】
図6は、EAMの2つの主要性能間のトレードオフを明確に示している。変調効率を向上させるためには、帯域幅を縮小する代償としてEOTを最小化する必要がある。また、その逆も同様である。
【0091】
上述したように、金属接点とグラフェンキャパシタとの間の距離を縮小し、金属/グラフェンの接触抵抗を低減することで、変調器の固有帯域幅を改善することができる。
【0092】
ガイドモードのエバネッセントテールが金属と大きく重ならなくなるまで、金属間距離を縮めることができる。最後の部分が導波管に近すぎると、金属の光吸収が増加し、余分な挿入損失が発生する。ここでも高い帯域幅と低い挿入損失を両立させるためにトレードオフが生じる。図7は、図6に示すグラフェンEAMの単位長さ当たりの光挿入損失(最上部の線)と、接触抵抗の2つの異なる値(100Ωμm(中央の線)と500Ωμm(最下部の線))に対する電極間距離の関数としての固有帯域幅とを示している。キャパシタ領域とリード領域の両方における完全な透明グラフェン(1550nmにおいて化学ポテンシャルが0.6eV超)を想定している。ここではグラフェンシート抵抗は1kΩsq、グラフェンの重なり合いは0.65μmである。
【0093】
本実施例において、挿入損失は、最小値1.5μmまでほぼ一定で、金属間距離を0.85μmに縮めると2倍になる。一般に、帯域幅は、金属間距離を縮めると改善され、その効果は接触抵抗が低いほど顕著である(接触抵抗100Ωμmでは1.5μm~0.85μmまで2倍以上の改善、同範囲の500Ωμmでは1.5倍の改善が見られる)。この一般的な挙動は導波管の形状と材料に依存し、最適な金属間距離の評価は都度決定される必要がある。一般的なルールは、挿入損失が急激に増加するしきい値まで金属間距離を縮めることである場合がある。本実施例において、0.85μm(破線)が良好なしきい値であり、しきい値を下回る値は、キャパシタから金属へのグラフェンのリード損失と消光比を含む変調器の挿入損失を評価して検証する必要がある。
【0094】
金属とキャパシタの距離を縮める2つ目のアプローチとして、一定の金属間距離におけるキャパシタ幅を広げることが挙げられる。これは、変調帯域幅を犠牲にして挿入損失を改善させる。図6は、シミュレーションによる、金属間距離1.5μmおよび0.85Ωμmに対する変調器の固有帯域幅を接触抵抗(50μm~500Ωμm)およびキャパシタ幅(導波管幅0.45μmと金属間距離との間)の関数として示している。
【0095】
シミュレーションの結果、接触抵抗が大きい場合、キャパシタ幅が大きくなるにつれて帯域幅が減少することがわかった。これは、全体の抵抗が接触領域によって支配されるためである。接触抵抗が低い場合、全体の抵抗はリード領域の抵抗により依存する。これにより、キャパシタ幅が金属間距離に近づくと帯域幅が改善する。接触抵抗の中間の値では、帯域幅は最小となり、キャパシタ幅が小さいほど、またキャパシタ幅が大きいほど改善することがわかる。本実施例において、リードのシート抵抗を典型的な値である1kΩsqと想定している。シート抵抗が大きい場合(3kΩsq超)、全体の抵抗がリード領域によって支配されるので、キャパシタ幅が金属間距離に近づくと帯域幅は常に改善される。
【0096】
一般に、導波管幅に対する位置決め公差が緩和されるので、より大きな幅が望ましい。また、リード領域のグラフェンは、動作中にゲーティングされない。実際、表面キャリア濃度は、キャパシタの重ね合わせ領域でのみ変化し、隣接する領域(重なり合っていない領域)においてゲーティング効果は100nm以内に急激に減少する。そのため、グラフェンのリードは、挿入損失をもたらす光吸収の最大値(転写されるグラフェンのドーピングの典型的な値は0.2eV以下)にあると想定すべきである。その結果、接触抵抗が低い場合(200Ωμm)、キャパシタ幅を金属間距離に近づけることが望ましい。図8は、金属間距離を1.5μmと0.85μmに固定した場合の単位長さ当たりの変調器の挿入損失を、キャパシタ幅の関数として示している。曲線は、グラフェンキャパシタが透明な領域(1550nmにおいて化学ポテンシャルが0.6eV超)にあり、グラフェンのリードが吸収領域(1550nmにおいて化学ポテンシャルが0.2eV未満)にあると想定した場合の評価を示している。
【0097】
これまで、変調器の固有帯域幅は、全体的な抵抗による寄与を合計する電気ドライバの出力抵抗を考慮することなく検討されてきた。ドライバの出力インピーダンスは、典型的には50Ωであり、変調器の長さに依存しない。デバイスの抵抗変調器の長さとは逆に減少するので、ドライバインピーダンスは長いデバイスの外部変調帯域幅に制限を設ける。
【0098】
このような理由から、外部変調帯域幅を最適化するためには、ドライバ電子機器と変調器の形状の協調設計が望ましい。実際、帯域幅は、ドライバと変調器との間のインピーダンス整合による影響も受ける。
【0099】
これまで、変調帯域幅、変調効率、および挿入損失の間の本質的なトレードオフを示してきた。消光比は、変調効率が最大になる点に対応する1550nmにおいて0.4eVでゲーティングされる動作点にグラフェンキャパシタが設定されると想定して評価される。ゲーティング領域(1550nmにおいて化学ポテンシャルが0.6eV超)における透明グラフェンを想定し、金属とゲーティングされていないグラフェンによる挿入損失について説明した。ただし、変調効率と挿入損失はトレードオフの関係にある。図9および図10は、単位長さ当たりおよび単位電圧当たりの消光比に関する変調効率(破線)と、キャパシタ領域におけるグラフェン層の化学ポテンシャルの関数としての単位長さ当たりの挿入損失(実線)とを示している(図9)。動作点を横切って1Vスイングすると想定すると、挿入損失はVop+0.5Vに対応する化学ポテンシャルにおける吸収と定義される。電極間距離1.5μm、およびキャパシタ幅650nmを有する図6に示す曲線と同じ変調器と、3つの異なるゲート誘電体EOT5nm、10nm、および15nmが検討されている。この2つの特徴を組み合わせて、単位電圧当たりの性能指数(FOM)を変調効率と挿入損失の比として定義することができる(図10参照)。
【0100】
図10に示すように、変調効率の最大値は0.4eVであるが、FOMの最大値は化学ポテンシャルが高い方にシフトしている。1550nmの例では、最大値は0.44eVである。EOTが増加すると、FOMは図6に示す挙動に従って減少する。
【0101】
上述した一般的な考察を踏まえて、整合すべきいくつかの仕様が設定されている。最小ERminが6dB、最小帯域幅BWminが70GHzの光変調器が望ましいといえる。これらの仕様は、セグメント化された駆動方式を採用する本発明によって満たされる。ここでは、「短い」変調器セクションが固定インピーダンスを持つ専用ドライバによって駆動される。実際、図9によれば、ERminの整合には、電極間距離1.5μmおよびキャパシタ幅650nmを想定して、0.4eVにおいて駆動電圧1V、ゲート誘電体厚さ5nmEOTを有する少なくとも100μmのデバイスが必要である。しかしながら、接触抵抗200Ωμm、グラフェン層抵抗1kΩsq、およびドライバインピーダンス25Ωと想定すると、予想される変調器の帯域幅はわずか9.4GHzである。変調器を長さ10μmのセクションにセグメント化することで、帯域幅が23GHzに広がる。動作点をFOMの最大値(本実施例において0.44eV)に設定すると、15nmEOTにおける単位長さ当たりおよび単位電圧当たりのERは、0.14dB/(μm*V)に低減する。これは、FOM0.76でERminを達成するには、43×10μm長のセクションが必要であり、すなわち7.7dBの挿入損失(IL)が必要であることを意味する。この条件では、25Ωドライバで駆動される10μmの長さを有する各セグメントは、帯域幅70GHzに達する場合がある。FOMを改善してこれらのセクションの数を削減するために、駆動電圧を1.5Vに増大させることができる。この場合、ERminは30×10μm長のセクションで達成され、FOMは1.25に改善する。これは、合計挿入損失4.8dBに相当する。これにより、デバイスの全体的な性能が向上する。ただし、EOTが厚くなるので、必要なバイアス電圧も4.17Vから10.76Vに増加する。
【0102】
上述したように、デバイスの抵抗を低減することで、さらなる改善が得られる場合がある。例えば、金属間距離を850nmと650nmに縮め、接触抵抗200Ωμm、グラフェンシート抵抗1kΩsq、およびドライバインピーダンス25Ωと想定した場合、帯域幅が大幅に改善される。長さ30μmの変調器のセグメントでは、EOTが15nm、駆動電圧が1.5Vの場合、帯域幅が78GHz、ERが0.6dB、ILが0.5dBとなる。この場合、全体のILが5dBでERminを達成するには10個のセクションで十分である。
【0103】
結論として、高性能の光変調器はセグメント化され、要素数がデバイスの変調効率に依存する分散型のセグメント化されたドライバで駆動される。この要素の最適数は3~30個である。好ましくは、グラフェンの接触は、200Ωμm未満の低い接触抵抗を示す。光変調器の形状は、金属間の距離を好ましくは650nm~1500nmの範囲で短くすることで実現し、完全なグラフェンが重なり合っているキャパシタである。このようにして、少ないセグメント数でより高い帯域幅を得ることができる。
【0104】
同様の考察が位相変調器にも適用される。誘電体EOTを増加させる、すなわちCoxを低減させることで、変調効率(VπL)を犠牲にして変調器の帯域幅が増加する。図11は、図1の断面に基づくグラフェン変調器の波長1550nmにおけるVπLを示す。これは被覆材と220nm×450nmシリコン導波管とを有し、キャパシタ幅650nmと異なるEOT(5nm(下側の線)、10nm(中央の線)、15nm(上側の線))をもつ。
【0105】
この場合の目的は、VπLを最小限に抑えることである。すなわち、より効率的なデバイスは、より低いVπLを示す。図11は、位相変調器の効率がCoxに対してほぼ直線的に変化することを示している。すなわち、より大きなキャパシタによってより良い効率が提供される。しかしながら、伝播損失がデバイスの有効性の評価に大きく影響を与える可能性があるので、VπLだけでは位相変調器全体の性能を定義するのに役立たない。このため、VπLと伝播損失の積、すなわち単位長さ当たりの挿入損失として定義される性能指数(FOM)がしばしば参照される。位相変調器のFOMは、金属間距離とグラフェンの品質による影響を大きく受ける。前者は上述したように、金属間距離を縮めると、金属の光吸収のために伝播損失が大きくなる可能性がある。グラフェンの品質については記載していない。後者は、多結晶膜の粒界、転写材料のしわ、化学汚染など、材料の不完全性に大きく影響されるグラフェンの帯域内散乱による光吸収を決定する。伝搬損失への寄与を無視できるようにするためには、グラフェンの移動度をできるだけ高くする必要があり、0.4eVでは5000cm-1-1超が望ましい。図12は、キャパシタ幅650nm、金属間距離1.5μm(実線)および850nm(破線)、EOT5nm(下側の線)、10nm(中央の線)、および15nm(上側の線)に対する位相変調器のFOMを、化学ポテンシャルの関数として示している。
【0106】
EAMとは対照的に、最良の位相変調器は、FOMが最小のものである。図9から、導波管を縮めると、導波管の範囲と金属との相互作用による伝播損失が増大するため、FOMが増大することがわかる。
【0107】
実際には同じデバイスで異なる点でバイアスがかけられているので、位相変調器の観点からは、位相変調器の性能は、EAMについて説明した挙動と同じである。
【0108】
EAMに設定された帯域幅の仕様を想定すると、最小EOTは15nmとなる。バイアス化学ポテンシャルを0.6eV、すなわち吸収が最小且つほぼ一定であると想定すると(図2参照)、必要なバイアス電圧は約19.6Vであり、VπLが0.5Vcmである(キャパシタ幅650nm)。駆動電圧が1.5V、最小位相シフトがπ/4と想定すると、予想される位相変調器の長さは約760μmとなる。金属間距離を縮めると伝播損失が増加するが、760μmの長さのデバイスの挿入損失は大きくは増加せず、金属間距離1.5μmでは約3dB、金属間距離850nmでは約3.7dBとなる。デバイスの長さが大きいので、EAMで推定されるように、デバイスの断面積に正確に依存するセグメントの長さを有するセグメント化された駆動方式を使用した場合のみ高帯域幅に到達することができる。これらの点を想定すると、金属間距離が1.5μmの場合、70GHzを達成するセグメントの長さは10μmであり、金属間距離が850nmの場合、セグメントの長さを30μmに増大させることができる。これにより、セグメント数がそれぞれ76個と25個となる。セグメント数が大きいので、代替的な実装方法として、デバイスのセグメントを搭載した進行波電極を使用することもできる。
【0109】
[実施例1]
入力パラメータが以下の場合:
電極間の距離=キャパシタの幅=0.65μm
ER=6dB
BW-3dB=70GHz
=50Ω
=1Vpp
バイアス 0.44eV(最大FOM)
=50Ωμm
上記は、以下によって求められる:
・ 誘電体層の厚さがtox=6nmEOT.FOM=2.089(挿入損失IL ~3dB)である場合、長さ10μmの17個のセグメント
・ 誘電体層の厚さがtox=15nmEOT.FOM=0.6723(IL ~9dB)である場合、長さ28μmの14個のセグメント
【0110】
[実施例2]
入力パラメータが以下の場合:
電極間の距離=キャパシタの幅=0.65μm
ER=6dB
BW-3dB=70GHz
=50Ω
=1Vpp
バイアス 0.44eV(最大FOM)
=200Ωμm
・ tox=9nmEOT.FOM=1.242(IL ~4.8dB)である場合、長さ10μmの24個のセグメント
・ 誘電体層の厚さがtox=15nmEOT.FOM=0.6723(IL ~9dB)である場合、長さ22μmの18個のセグメント
【0111】
[実施例3]
入力パラメータが以下の場合:
電極間の距離=キャパシタの幅=0.65μm
ER=6dB
BW-3dB=70GHz
=50Ω
=1Vpp
バイアス 0.4eV(最大ER)
=50Ωμm
上記は、以下によって求められる:
・ 誘電体層の厚さがtox=6nmEOT.FOM=1.432(IL ~4.2dB)長さ10μmの10個のセグメント
である場合、
・ 誘電体層の厚さがtox=15nmEOT.FOM=0.5021(IL ~12dB)である場合、長さ28μmの8つのセグメント
【0112】
[実施例4]
入力パラメータが以下の場合:
電極間の距離=キャパシタの幅=0.65μm
ER=6dB
BW-3dB=70GHz
=50Ω
=1Vpp
バイアス 0.4eV(最大ER)
=200Ωμm
・ 誘電体層の厚さがtox=9nmEOT.FOM=0.8574(IL ~7dB)である場合、長さ10μmの14個のセグメント
・ 誘電体層の厚さがtox=15nmEOT.FOM=0.5021(IL ~12dB)である場合、長さ22μmの10個のセグメント
【0113】
[実施例5]
入力パラメータが以下の場合:
電極間の距離=キャパシタの幅=0.65μm
ER=6dB
BW-3dB=70GHz
=50Ω
=1.5Vpp
バイアス 0.44eV(最大FOM)
=50Ωμm
上記は、以下によって求められる:
・ 誘電体層の厚さがtox=6nmEOT.FOM=3.97(IL ~1.5dB)である場合、長さ10μmの12個のセグメント
・ 誘電体層の厚さがtox=15nmEOT.FOM=1.098(IL ~6dB)である場合、長さ28μmの10個のセグメント
【0114】
[実施例6]
入力パラメータが以下の場合:
電極間の距離=キャパシタの幅=0.65μm
ER=6dB
BW-3dB=70GHz
=50Ω
=1.5Vpp
バイアス 0.44eV(最大FOM)
=200Ωμm
上記は、以下によって求められる:
・ 誘電体層の厚さがtox=9nmEOT.FOM=2.218(IL ~2.7dB)である場合、長さ10μmの16個のセグメント
・ 誘電体層の厚さがtox=15nmEOT.FOM=1.098(IL ~6dB)である場合、長さ22μmの12個のセグメント
【0115】
[実施例7]
入力パラメータが以下の場合:
電極間の距離=キャパシタの幅=0.65μm
ER=6dB
BW-3dB=70GHz
=50Ω
=1.5Vpp
バイアス 0.4eV(最大ER)
=50Ωμm
上記は、以下によって求められる:
・ 誘電体層の厚さがtox=6nmEOT.FOM=2.675(IL ~2.2dB)である場合、長さ10μmの8つのセグメント
・ 誘電体層の厚さがtox=15nmEOT.FOM=0.7972(IL ~7.5dB)である場合、長さ28μmの6つのセグメント
【0116】
[実施例8]
入力パラメータが以下の場合:
電極間の距離=キャパシタの幅=0.65μm
ER=6dB
BW-3dB=70GHz
=50Ω
=1.5Vpp
バイアス 0.4eV(最大ER)
=200Ωμm
上記は、以下によって求められる:
・ 誘電体層の厚さがtox=9nmEOT.FOM=1.51(IL ~4dB)である場合、長さ10μmの10個のセグメント
・ 誘電体層の厚さがtox=15nmEOT.FOM=0.7972(IL ~7.5dB)である場合、長さ22μmの7つのセグメント
【0117】
[実施例9]
入力パラメータが以下の場合:
電極間の距離=キャパシタの幅=0.65μm
ER=6dB
BW-3dB=70GHz
=25Ω
=1Vpp
バイアス 0.44eV(最大FOM)
=50Ωμm
上記は、以下によって求められる:
・ 誘電体層の厚さがtox=6nmEOT.FOM=2.089(IL ~3dB)である場合、長さ20μmの9つのセグメント
・ 誘電体層の厚さがtox=15nmEOT.FOM=0.6723(IL ~9dB)である場合、長さ56μmの7つのセグメント
【0118】
[実施例10]
入力パラメータが以下の場合:
電極間の距離=キャパシタの幅=0.65μm
ER=6dB
BW-3dB=70GHz
=25Ω
=1Vpp
バイアス 0.44eV(最大FOM)
=200Ωμm
上記は、以下によって求められる:
・ 誘電体層の厚さがtox=9nmEOT.FOM=1.242(IL ~4.8dB)である場合、長さ20μmの12個のセグメント
・ 誘電体層の厚さがtox=15nmEOT.FOM=0.6723(IL ~9dB)である場合、長さ44μmの9つのセグメント
入力パラメータが以下の場合:
バイアス 0.4eV(最大ER)
=50Ωμm
・ 誘電体層の厚さがtox=6nmEOT.FOM=1.432(IL ~4.2dB)である場合、長さ10μmの10個のセグメント
・ 誘電体層の厚さがtox=15nmEOT.FOM=0.5021(IL ~12dB)である場合、長さ28μmの8つのセグメント
入力パラメータが以下の場合:
=200Ωμm
・ 誘電体層の厚さがtox=9nmEOT.FOM=0.8574(IL ~7dB)である場合、長さ10μmの14個のセグメント
・ 誘電体層の厚さがtox=15nmEOT.FOM=0.5021(IL ~12dB)である場合、長さ22μmの10個のセグメント
入力パラメータが以下の場合:
ER=6dB、BW-3dB=70GHz、Z=25Ω、V=1.5Vpp
バイアス 0.44eV(最大FOM)
=50Ωμm
・ 誘電体層の厚さがtox=6nmEOT.FOM=3.97(IL ~1.5dB)である場合、長さ20μmの6つのセグメント
・ 誘電体層の厚さがtox=15nmEOT.FOM=1.098(IL ~6dB)である場合、長さ56μmの5つのセグメント
=200Ωμm
・ 誘電体層の厚さがtox=9nmEOT.FOM=2.218(IL ~2.7dB)である場合、長さ20μmの8つのセグメント
・ 誘電体層の厚さがtox=15nmEOT.FOM=1.098(IL ~6dB)である場合、長さ44μmの6つのセグメント
バイアス 0.4eV(最大ER)
driver=1.5V、R=50Ωμm
・ 誘電体層の厚さがtox=6nmEOT.FOM=2.675(IL ~2.2dB)である場合、長さ20μmの4つのセグメント
・ 誘電体層の厚さがtox=15nmEOT.FOM=0.7972(IL ~7.5dB)である場合、長さ56μmの3つのセグメント
driver=1.5V、R=200Ωμm
・ 誘電体層の厚さがtox=9nmEOT.FOM=1.51(IL ~4dB)である場合、長さ20μmの5つのセグメント
・ 誘電体層の厚さがtox=15nmEOT.FOM=0.7972(IL ~7.5dB)である場合、長さ44μmの4つのセグメント
【0119】
以上のことから、本発明のパラメータをもつ光変調器を実現することで、帯域幅と変調効率において所望の目標を達成できることは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】