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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】神経障害の処置
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/473 20060101AFI20240822BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 15/10 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61K31/473
A61P25/00
A61P25/16
A61P25/28
A61K31/7088
A61K48/00
A61P15/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515840
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 US2022075763
(87)【国際公開番号】W WO2023039345
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/243,175
(32)【優先日】2021-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/243,177
(32)【優先日】2021-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524092730
【氏名又は名称】ジーエムピー・バイオテクノロジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GMP Biotechnology Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】チュー,ヴオン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084NA05
4C084ZA021
4C084ZA161
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC30
4C086EA16
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA24
4C086MA27
4C086MA43
4C086MA44
4C086MA56
4C086MA59
4C086MA66
4C086NA02
4C086NA03
4C086NA06
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZA81
(57)【要約】
本発明は、パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経障害の症状を処置または軽減するための組成物および医薬の使用に関する。これらの目的は、TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物の製剤単独で、またはアポモルヒネに基づく薬物の製剤との組み合わせで達成することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のアポモルヒネ、アポモルヒネのプロドラッグ、またはその医薬上許容される塩またはエステルを含む、神経疾患または障害を処置するための治療用組成物。
【請求項2】
神経疾患または障害がパーキンソン病、アルツハイマー病、男性または女性性機能障害、または日中の過度の眠気である、請求項1に記載の治療用組成物。
【請求項3】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病である、請求項1に記載の治療用組成物。
【請求項4】
アポモルヒネがアポモルヒネ塩酸塩である、請求項1に記載の治療用組成物。
【請求項5】
髄腔内注射、点滴、または経鼻使用に適する、請求項1に記載の治療用組成物。
【請求項6】
経鼻粉末製剤である、請求項1に記載の治療用組成物。
【請求項7】
pHバッファ、増粘剤、保湿剤、保存剤、および1つ以上の医薬賦形剤のいずれか1つ以上を含む、水性また非水性製剤である、請求項1に記載の治療用組成物。
【請求項8】
ゲル水溶液、水性懸濁液、水性リポソーム分散液、水性エマルション、水性マイクロエマルション、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の治療用組成物。
【請求項9】
5 mg/mLまたは10 mg/mLの薬物濃度を有する水溶液である、請求項1に記載の治療用組成物。
【請求項10】
酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、リン酸塩、およびそれらの組み合わせから選択されるバッファを含む、請求項1から9のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項11】
メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アカシア、キトサン、およびそれらの組み合わせから選択される増粘剤を含む、請求項1から9のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項12】
ソルビトール、グリセロール、鉱物油、植物油、およびそれらの組み合わせから選択される保湿剤を含む、請求項1から9のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項13】
生体接着性の賦形剤を含む、請求項1から9のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項14】
グリセリン、グリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール400、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、およびピロ亜硫酸ナトリウムのいずれか1つ以上を含む、請求項1から9のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項15】
溶解性の改善のためアポモルヒネが分散されている、請求項1から9のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項16】
15分から60分の間、活性である、請求項1から9のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項17】
1回の作動につき0.1 mLで、0.5 mgまたは1 mgの経鼻剤形を含む、請求項1から9のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項18】
抗酸化剤、抗菌剤、キレート剤、保存剤、およびそれらの組み合わせの1つ以上を含む経鼻製剤を含む、請求項1から9のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項19】
酸素および窒素で出される経鼻製剤を含む、請求項1から9のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項20】
pH 3.4の経鼻製剤を含む、請求項1から9のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項21】
40℃/60%RHで3ヵ月後または25℃/60%RHで24ヵ月後に安定な経鼻製剤を含む、請求項1から9のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項22】
有害作用または副作用が軽減され、医薬上忍容性がある、請求項1から9のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項23】
ヒト対象における神経疾患または障害の症状を処置または軽減するための、請求項1から22のいずれかに記載の治療用組成物の使用。
【請求項24】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病、アルツハイマー病、または男性または女性性機能障害である、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
ヒト対象における神経疾患または障害の症状を処置または軽減するための医薬の製造における、請求項1から22のいずれかに記載の治療用組成物の使用。
【請求項26】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病、アルツハイマー病、または男性または女性性機能障害である、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
ヒト対象における神経疾患または障害の症状を処置または軽減するための請求項1から22のいずれかに記載の治療用組成物の使用であって、その疾患または障害のための標準治療処置と組み合わされる、使用。
【請求項28】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病、アルツハイマー病、または男性または女性性機能障害である、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
ヒトまたは動物の身体における神経疾患の症状を処置または軽減するための、請求項1から22のいずれかに記載の治療用組成物の使用。
【請求項30】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病、アルツハイマー病、または男性または女性性機能障害である、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
神経疾患または障害の症状を処置または軽減するための方法であって、請求項1から22のいずれかに記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項32】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
投与が経鼻投与である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
治療有効量のTGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物を含む、神経疾患または障害の症状を処置するための治療用組成物。
【請求項35】
神経疾患または障害がパーキンソン病、アルツハイマー病、または男性または女性性機能障害、または日中の過度の眠気である、請求項34に記載の治療用組成物。
【請求項36】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病である、請求項34に記載の治療用組成物。
【請求項37】
希釈剤、安定剤、崩壊剤、および固化防止剤から選択されるいずれか1つ以上の医薬上許容される賦形剤を含む、請求項34に記載の治療用組成物。
【請求項38】
微結晶セルロース、ポリソルベート80、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムから選択されるいずれか1つ以上の賦形剤を含む、請求項34に記載の治療用組成物。
【請求項39】
髄腔内注射または点滴による使用に適する、請求項34に記載の治療用組成物。
【請求項40】
有害作用または副作用が軽減され、医薬上忍容性がある、請求項34から39のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項41】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、TGF-β1、TGF-β2、またはTGF-β3に対して特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは阻害薬である、請求項34から39のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項42】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、配列番号1~9のTGF-β2特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド
配列番号1、gtaggtaaaa acctaatat
配列番号2、gttcgtttag agaacagatc
配列番号3、taaagttcgt ttagagaaca g
配列番号4、agccctgtat acgac
配列番号5、gtaggtaaaa acctaatat
配列番号6、cgtttagaga acagatctac
配列番号7、cattgtagat gtcaaaagcc
配列番号8、ctccctcatg gtggcagttg a
配列番号9、cggcatgtct attttgta、
その化学修飾変異体、アルテミシニン抽出物、およびその医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体、およびそれらのいずれかの組み合わせ
から選択される、請求項34から39のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項43】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、90~95%の純度のアルテミシニン抽出物、またはその医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体、および1つ以上の医薬上許容される賦形剤を含む、請求項34から42のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項44】
注射用滅菌水、生理食塩水、等張生理食塩水、またはそれらの組み合わせを含む担体を含む、請求項34から42のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項45】
実質的に賦形剤を含まない、請求項34から42のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項46】
組成物が37℃で担体中で少なくとも14日間安定である、請求項34から42のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項47】
組成物が組成物の凍結乾燥粉末から再構成される、請求項34から42のいずれかに記載の治療用組成物。
【請求項48】
ヒト対象における神経疾患または障害の症状を処置または軽減するための医薬の製造における、請求項34から42のいずれかに記載の治療用組成物の使用。
【請求項49】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病、アルツハイマー病、または男性または女性性機能障害である、請求項48に記載の使用。
【請求項50】
ヒト対象における神経疾患または障害の症状を処置または軽減するための請求項34から42のいずれかに記載の治療用組成物の使用であって、疾患または障害に対する標準治療処置と組み合わされる、使用。
【請求項51】
標準治療が、抗炎症剤、抗炎症ステロイド、ピペリキン、ピロナリジン、クルクミン、乳香、レムデシビル、ソンプラズD、Zifi CV/Zac D、CCM、ブロクリア、ブダメート、ラピタス、モンテックLC、低分子量ヘパリン、プレドニゾロン、パラセタモール、ビタミンB群複合体、ビタミンC、パントプロゾール、ドキシサイクリン、イベルメクチン、亜鉛、フォラコートロタキャップ吸入、セフトリアキソン注、パラセタモール錠、フラグミン注、コビフォー錠、アジスロマイシン、デキサメタゾン注、オドンダンセトロン注、マルチビタミン錠、アスコルビン酸錠、炭酸カルシウム錠、および硫酸亜鉛錠を含む1つ以上の追加の医薬を含む、請求項50に記載の使用。
【請求項52】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病、アルツハイマー病、または男性または女性性機能障害である、請求項50に記載の使用。
【請求項53】
ヒトまたは動物の身体における神経疾患の症状を処置または軽減するための、請求項34から42のいずれかに記載の治療用組成物の使用。
【請求項54】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病、アルツハイマー病、または男性または女性性機能障害である、請求項53に記載の使用。
【請求項55】
神経疾患または障害の症状を処置または軽減するための方法であって、請求項34から42のいずれかに記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項56】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
投与が髄腔内注射、点滴、または直接頭蓋内投与である、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
治療有効量のTGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物、および
治療有効量のアポモルヒネ、アポモルヒネのプロドラッグ、またはその医薬上許容される塩またはエステル
の組み合わせを含む、処置を必要とする患者における神経疾患または障害の症状を処置するための治療。
【請求項59】
神経疾患または障害がパーキンソン病、アルツハイマー病、男性または女性性機能障害、または日中の過度の眠気である、請求項58に記載の治療。
【請求項60】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病である、請求項58に記載の治療。
【請求項61】
アポモルヒネがアポモルヒネ塩酸塩である、請求項58に記載の治療。
【請求項62】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、希釈剤、安定剤、崩壊剤および固化防止剤から選択されるいずれか1つ以上の医薬上許容される賦形剤を含む、請求項58に記載の治療。
【請求項63】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、微結晶セルロース、ポリソルベート80、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムから選択されるいずれか1つ以上の賦形剤を含む、請求項58に記載の治療。
【請求項64】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、髄腔内注射、点滴、または直接頭蓋内投与により投与される、請求項58に記載の治療。
【請求項65】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、TGF-β1、TGF-β2、またはTGF-β3に対して特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは阻害薬である、請求項58に記載の治療。
【請求項66】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、配列番号1~9のTGF-β2特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド
配列番号1、gtaggtaaaa acctaatat
配列番号2、gttcgtttag agaacagatc
配列番号3、taaagttcgt ttagagaaca g
配列番号4、agccctgtat acgac
配列番号5、gtaggtaaaa acctaatat
配列番号6、cgtttagaga acagatctac
配列番号7、cattgtagat gtcaaaagcc
配列番号8、ctccctcatg gtggcagttg a
配列番号9、cggcatgtct attttgta、
その化学修飾変異体、アルテミシニン抽出物、およびその医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体、およびそれらのいずれかの組み合わせ
から選択される、請求項58に記載の治療。
【請求項67】
アルテミシニンが、90~95%の純度のアルテミシニン抽出物、またはその医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体、および1つ以上の医薬上許容される賦形剤を含む、請求項66に記載の治療。
【請求項68】
アポモルヒネが請求項1から22のいずれかに記載の治療用組成物である、請求項58に記載の治療。
【請求項69】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、請求項34から39のいずれかに記載の治療用組成物である、請求項58に記載の治療。
【請求項70】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、注射用滅菌水、生理食塩水、等張生理食塩水、またはそれらの組み合わせを含む担体を含む、請求項58から67のいずれかに記載の治療。
【請求項71】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、実質的に賦形剤を含まない、請求項58から67のいずれかに記載の治療。
【請求項72】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、髄腔内注射、点滴、または直接頭蓋内投与により投与される、請求項58から67のいずれかに記載の治療。
【請求項73】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、有害作用または副作用が軽減されており、医薬上忍容性がある、請求項58から67のいずれかに記載の治療。
【請求項74】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、37℃で担体中で少なくとも14日間安定である、請求項58から67のいずれかに記載の治療。
【請求項75】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、前記組成物の凍結乾燥粉末から再構成される、請求項58から67のいずれかに記載の治療。
【請求項76】
疾患または障害に対する標準治療処置とともに前記薬物を使用することを含む、請求項58から67のいずれかに記載の治療。
【請求項77】
標準治療が、抗炎症剤、抗炎症ステロイド、ピペリキン、ピロナリジン、クルクミン、乳香、レムデシビル、ソンプラズD、Zifi CV/Zac D、CCM、ブロクリア、ブダメート、ラピタス、モンテックLC、低分子量ヘパリン、プレドニゾロン、パラセタモール、ビタミンB群複合体、ビタミンC、パントプロゾール、ドキシサイクリン、イベルメクチン、亜鉛、フォラコートロタキャップ吸入、セフトリアキソン注、パラセタモール錠、フラグミン注、コビフォー錠、アジスロマイシン、デキサメタゾン注、オドンダンセトロン注、マルチビタミン錠、アスコルビン酸錠、炭酸カルシウム錠、および硫酸亜鉛錠を含む1つ以上の追加の医薬を含む、請求項76に記載の治療。
【請求項78】
前記薬物が、ともに、同時に、連続して、または別々に投与される、請求項58から67のいずれかに記載の治療。
【請求項79】
神経疾患または障害の初期段階にはアポモルヒネ成分を単独で投与し、神経疾患または障害の後期段階にはアポモルヒネ成分およびTGF-βの発現を阻害または抑制する薬物の両方を投与する、請求項58から67のいずれかに記載の治療。
【請求項80】
対象がTGF-βの上昇を有さない神経疾患または障害の初期段階においてアポモルヒネ成分が単独で投与され、対象がTGF-βの上昇を有する神経疾患または障害の後期段階においてアポモルヒネ成分およびTGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物の両方が投与される、請求項58から67のいずれかに記載の治療。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、2022年8月30日に作成されASCIIファイルとして電子的に提出された配列表を含み、018988-004WO1_SL.TXTのファイル名で、1864バイトのサイズである。
【0002】
本発明は、パーキンソン病を含む神経障害の症状を処置または軽減するための治療薬に関する。より具体的には、本発明は、アポモルヒネに基づく組成物および薬物、およびTGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物を開示し、このような疾患に対して改善された臨床成績を提供する。本発明は、パーキンソン病、アルツハイマー病、男性または女性性機能障害、および日中の過度の眠気を含む神経障害のための、アポモルヒネに基づく薬物およびアンチセンスオリゴヌクレオチド組成物を含む抗TGF-β薬の安定な製剤、および使用方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
パーキンソン病(PD)は、2番目に多い神経障害である。近年、日中の過度の眠気(EDS)や性機能障害など、PDの非運動症状が注目されている。EDSとは、日中の覚醒や注意力を維持することができず、抑えきれない眠気や睡眠の状態をもたらす。EDSは、PDにおける主要な健康障害であり、PD患者全体の4分の3までが発症している。したがって、EDSおよび性機能障害を含むPD症状などの神経障害を処置するための従来の方法および組成物は、有効性および副作用において重大な欠点を有する。
【0004】
アポモルヒネはドパミン受容体アゴニストであり、パーキンソン病の補助薬として経鼻的に使用されてきた。T. van Laarら、Arch. Neurol, 49: 482-484 (1992)を参照のこと。パーキンソン病に対するアポモルヒネの経鼻送達は、米国特許第5,756,483号に開示されている。しかし、アポモルヒネはパーキンソン病の「オフピリオド」症状に対してのみ使用されていた。したがって、PDを処置するための従来の方法および組成物は、重大な欠点を有する。
【0005】
EDSおよび性機能障害を含むPD症状を処置するための組成物および方法に対する緊急の必要性が存在する。PDの初期段階をアポモルヒネなどの薬物で処置できれば有益である。さらに、PDの後期段階には過剰なTGF-βが構築されることが予想されるため、PDの後期段階では、アポモルヒネなどの薬物とTGF-β阻害薬との組み合わせで処置することが望ましい。
【0006】
アポモルヒネに基づく神経障害治療薬として、副作用が少なく即効性があり、安全で信頼性の高い経鼻製剤の開発が長い間望まれている。
【0007】
パーキンソン病、アルツハイマー病、男性または女性性機能障害、および日中の過度の眠気などの神経障害および関連病態の治療に良好な臨床結果をもたらす、TGF-βを阻害および/または抑制するための方法および組成物に対する緊急の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、神経障害の症状を処置または軽減するための治療、組成物、および方法を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態では、本発明は、神経障害の改善された臨床成績を提供するためにTGF-βを阻害または抑制するための薬物および組成物を含む。
【0010】
さらなる実施形態では、本発明は、神経障害のための様々な治療のための抗TGF-β薬の安定な製剤を提供する。抗TGF-β薬の例には、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのTGF-β阻害薬、アルテミシニン、その医薬上許容される塩の形態、エステル、多形または立体異性体、およびそれらの組み合わせを含む。
【0011】
一般に、神経障害の病態は予測不可能であるため、新しい治療は、異なる患者集団に対する臨床研究に依存するであろう。
【0012】
さらなる態様では、本開示は、神経障害の治療のための抗TGF-β薬の高度に安定な製剤を提供する。本発明の安定な製剤は、驚くほど改善された臨床結果を提供する。TGF-βを抑制するための薬物の安定な製剤は、神経障害の症状を軽減するために、疾患作用を緩和するために使用されうる。
【0013】
本発明の方法および組成物は、神経障害の予測不可能な病態における因子を阻害または抑制するために使用することができる。ある実施形態では、本開示は、TGF-βの活性を阻害するため、および/またはTGF-β関連病態を抑制するための方法および組成物を提供し、これにより、神経障害の症状を処置または軽減するための有効性を改善しうる。
【0014】
本開示の組成物および製剤は、TGF-βを阻害および/または抑制するために使用することができ、神経障害を処置するための良好な臨床結果を提供することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、処置のための強化された処置および製剤が発見されている。例えば、本開示の改善された組成物は、パーキンソン病およびアルツハイマー病などの神経障害の症状を処置または軽減するために使用することができる。
【0016】
ある実施形態では、本発明のアポモルヒネに基づく組成物は、性機能障害、勃起不全および/または日中の過度の眠気などの、パーキンソン病およびアルツハイマー病を含む神経障害の症状を処置または軽減するために使用することができる。本発明の改善されたアポモルヒネに基づく製剤は、酸化を制御して純度および効力を改善し、副作用を軽減することができる。パーキンソン病およびアルツハイマー病を含む神経障害の症状の処置において、アポモルヒネに基づく薬物の投与量を低減することができる。
【0017】
さらなる実施形態では、TGF-βの活性を阻害し、および/またはTGF-β関連病態を抑制するための本発明の薬物は、パーキンソン病などの神経障害における性機能障害および日中の過度の眠気(EDS)を含む神経障害の症状を処置または軽減するために使用することができる。本発明の改善されたTGF-β抑制製剤は、パーキンソン病病態におけるTGF-βの増加に対抗して、性機能障害およびEDS症状を軽減し、処置の有効性を改善することができる。
【0018】
さらなる実施形態では、本発明は、TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物の使用と、アポモルヒネ、アポモルヒネのプロドラッグ、またはその医薬上許容される塩またはエステルの使用とを組み合わせることによって、神経疾患または障害を処置するための治療を提供する。この併用治療は、男性または女性性機能障害および/または日中の過度の眠気などのパーキンソン病およびアルツハイマー病を含む神経疾患または障害の症状に対して使用することができる。
【0019】
本発明の実施形態には、以下を含む。
【0020】
治療有効量のアポモルヒネ、アポモルヒネのプロドラッグ、またはその医薬上許容される塩またはエステルを含む、神経疾患または障害を処置するための治療用組成物。
【0021】
神経疾患または障害がパーキンソン病、アルツハイマー病、男性または女性性機能障害、または日中の過度の眠気である、上記治療用組成物。
【0022】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病である、上記治療用組成物。
【0023】
アポモルヒネがアポモルヒネ塩酸塩である、上記治療用組成物。
【0024】
髄腔内注射、点滴、または経鼻使用に適する、上記治療用組成物。
【0025】
経鼻粉末製剤である、上記治療用組成物。
【0026】
pHバッファ、増粘剤、保湿剤、保存剤、および1つ以上の医薬賦形剤のいずれか1つ以上を含む、水性また非水性製剤である、上記治療用組成物。
【0027】
ゲル水溶液、水性懸濁液、水性リポソーム分散液、水性エマルション、水性マイクロエマルション、またはそれらの組み合わせである、上記治療用組成物。
【0028】
5 mg/mLまたは10 mg/mLの薬物濃度を有する水溶液である、上記治療用組成物。
【0029】
酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、リン酸塩、およびそれらの組み合わせから選択されるバッファを含む、上記治療用組成物。
【0030】
メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アカシア、キトサン、およびそれらの組み合わせから選択される増粘剤を含む、上記治療用組成物。
【0031】
ソルビトール、グリセロール、鉱物油、植物油、およびそれらの組み合わせから選択される保湿剤を含む、上記治療用組成物。
【0032】
生体接着性の賦形剤を含む、上記治療用組成物。
【0033】
グリセリン、グリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール400、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、およびピロ亜硫酸ナトリウムのいずれか1つ以上を含む、上記治療用組成物。
【0034】
溶解性改善のためアポモルヒネが分散されている、上記治療用組成物。
【0035】
15分から60分の間、活性である、上記治療用組成物。
【0036】
1回の作動につき0.1 mLで、0.5 mgまたは1 mgの経鼻剤形を含む、上記治療用組成物。
【0037】
抗酸化剤、抗菌剤、キレート剤、保存剤、およびそれらの組み合わせの1つ以上を含む経鼻製剤を含む、上記治療用組成物。
【0038】
酸素および窒素で出される経鼻製剤を含む、上記治療用組成物。
【0039】
pH 3.4の経鼻製剤を含む、上記治療用組成物。
【0040】
40℃/60%RHで3ヵ月後または25℃/60%RHで24ヵ月後に安定な経鼻製剤を含む、上記治療用組成物。
【0041】
有害作用または副作用が軽減され、医薬上忍容性がある、上記治療用組成物。
【0042】
ヒト対象における神経疾患または障害の症状を処置または軽減するための、上記治療用組成物の使用。
【0043】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病、アルツハイマー病、または男性または女性性機能障害である、上記使用。
【0044】
ヒト対象における神経疾患または障害の症状を処置または軽減するための医薬の製造における、上記治療用組成物の使用。
【0045】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病、アルツハイマー病、または男性または女性性機能障害である、上記使用。
【0046】
ヒト対象における神経疾患または障害の症状を処置または軽減するための上記治療用組成物の使用であって、その疾患または障害のための標準治療処置と組み合わされる、使用。
【0047】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病、アルツハイマー病、または男性または女性性機能障害である、上記使用。
【0048】
ヒトまたは動物の身体における神経疾患の症状を処置または軽減するための、上記治療用組成物の使用。
【0049】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病、アルツハイマー病、または男性または女性性機能障害である、上記使用。
【0050】
神経疾患または障害の症状を処置または軽減するための方法であって、上記組成物を投与することを含む方法。
【0051】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病である、上記方法。
【0052】
投与が経鼻投与である、上記方法。
【0053】
治療有効量のTGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物を含む、神経疾患または障害の症状を処置するための治療用組成物。
【0054】
神経疾患または障害がパーキンソン病、アルツハイマー病、または男性または女性性機能障害、または日中の過度の眠気である、上記治療用組成物。
【0055】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病である、上記治療用組成物。
【0056】
希釈剤、安定剤、崩壊剤および固化防止剤から選択されるいずれか1つ以上の医薬上許容される賦形剤を含む、上記治療用組成物。
【0057】
微結晶セルロース、ポリソルベート80、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムから選択されるいずれか1つ以上の賦形剤を含む、上記治療用組成物。
【0058】
髄腔内注射または点滴による使用に適する、上記治療用組成物。
【0059】
有害作用または副作用が軽減され、医薬上忍容性がある、上記治療用組成物。
【0060】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、TGF-β1、TGF-β2、またはTGF-β3に対して特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは阻害薬である、上記治療用組成物。
【0061】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、配列番号1~9のTGF-β2特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド
配列番号1、 gtaggtaaaa acctaatat
配列番号2、 gttcgtttag agaacagatc
配列番号3、 taaagttcgt ttagagaaca g
配列番号4、 agccctgtat acgac
配列番号5、 gtaggtaaaa acctaatat
配列番号6、 cgtttagaga acagatctac
配列番号7、 cattgtagat gtcaaaagcc
配列番号8、 ctccctcatg gtggcagttg a
配列番号9、 cggcatgtct attttgta
その化学修飾変異体、アルテミシニン抽出物、およびその医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体、およびそれらのいずれかの組み合わせ
から選択される、上記治療用組成物。
【0062】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、90~95%の純度のアルテミシニン抽出物、またはその医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体、および1つ以上の医薬上許容される賦形剤を含む、上記治療用組成物。
【0063】
注射用滅菌水、生理食塩水、等張生理食塩水、またはそれらの組み合わせを含む担体を含む、上記治療用組成物。
【0064】
実質的に賦形剤を含まない、上記治療用組成物。
【0065】
組成物が37℃で担体中で少なくとも14日間安定である、上記治療用組成物。
【0066】
組成物が組成物の凍結乾燥粉末から再構成される、上記治療用組成物。
【0067】
ヒト対象における神経疾患または障害の症状を処置または軽減するための、上記治療用組成物の使用。
【0068】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病、アルツハイマー病、または男性または女性性機能障害である、請求項48に記載の使用。
【0069】
ヒト対象における神経疾患または障害の症状を処置または軽減するための上記治療用組成物の使用であって、疾患または障害に対する標準治療処置と組み合わされる使用。
【0070】
標準治療が、抗炎症剤、抗炎症ステロイド、ピペリキン、ピロナリジン、クルクミン、乳香、レムデシビル、ソンプラズD、Zifi CV/Zac D、CCM、ブロクリア、ブダメート、ラピタス、モンテックLC、低分子量ヘパリン、プレドニゾロン、パラセタモール、ビタミンB群複合体、ビタミンC、パントプロゾール、ドキシサイクリン、イベルメクチン、亜鉛、フォラコートロタキャップ吸入、セフトリアキソン注、パラセタモール錠、フラグミン注、コビフォー錠、アジスロマイシン、デキサメタゾン注、オドンダンセトロン注、マルチビタミン錠、アスコルビン酸錠、炭酸カルシウム錠、および硫酸亜鉛錠を含む1つ以上の追加の医薬を含む、請求項50に記載の使用。
【0071】
神経疾患または障害が、初期または後期パーキンソン病、アルツハイマー病、または男性または女性性機能障害である、請求項50に記載の使用。
【0072】
ヒトまたは動物の身体における神経疾患の症状を処置または軽減するための、上記治療用組成物の使用。
【0073】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病、アルツハイマー病、または男性または女性性機能障害である、請求項53に記載の使用。
【0074】
神経疾患または障害の症状を処置または軽減するための方法であって、上記組成物を投与することを含む方法。
【0075】
神経疾患または障害が初期または後期パーキンソン病である、上記方法。
【0076】
投与が髄腔内注射または点滴である、上記方法。
【0077】
治療有効量のTGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物、および
治療有効量のアポモルヒネ、アポモルヒネのプロドラッグ、またはその医薬上許容される塩またはエステル
の組み合わせを含む、処置を必要とする患者における神経疾患または障害の症状を処置するための治療。
【0078】
神経疾患または障害が、パーキンソン病、アルツハイマー病、男性または女性性機能障害、または日中の過度の眠気である、上記治療。
【0079】
神経疾患または障害が、初期または後期パーキンソン病である、上記治療。
【0080】
アポモルヒネがアポモルヒネ塩酸塩である、上記治療。
【0081】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、希釈剤、安定剤、崩壊剤および固化防止剤から選択されるいずれか1つ以上の医薬上許容される賦形剤を含む、上記治療。
【0082】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、微結晶セルロース、ポリソルベート80、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムから選択されるいずれか1つ以上の賦形剤を含む、上記治療。
【0083】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、髄腔内注射または点滴により投与される、上記治療。
【0084】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、TGF-β1、TGF-β2、またはTGF-β3に対して特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは阻害薬である、上記治療。
【0085】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、配列番号1~9のTGF-β2特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド
配列番号1、gtaggtaaaa acctaatat
配列番号2、gttcgtttag agaacagatc
配列番号3、taaagttcgt ttagagaaca g
配列番号4、agccctgtat acgac
配列番号5、gtaggtaaaa acctaatat
配列番号6、cgtttagaga acagatctac
配列番号7、cattgtagat gtcaaaagcc
配列番号8、ctccctcatg gtggcagttg a
配列番号9、cggcatgtct attttgta、
その化学修飾変異体、アルテミシニン抽出物、およびその医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体、およびそれらのいずれかの組み合わせ
から選択される、上記治療。
【0086】
アルテミシニンが、90~95%の純度のアルテミシニン抽出物、またはその医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体、および1つ以上の医薬上許容される賦形剤を含む、上記治療。
【0087】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、注射用滅菌水、生理食塩水、等張生理食塩水、またはそれらの組み合わせを含む担体を含む、上記治療。
【0088】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、実質的に賦形剤を含まない、上記治療。
【0089】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、髄腔内注射または点滴により投与される、上記治療。
【0090】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、有害作用または副作用が軽減されており、医薬上忍容性がある、上記治療。
【0091】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、37℃で担体中で少なくとも14日間安定である、上記治療。
【0092】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、前記組成物の凍結乾燥粉末から再構成される、上記治療。
【0093】
疾患または障害に対する標準治療処置とともに前記薬物を使用することを含む、上記治療。
【0094】
標準治療が、抗炎症剤、抗炎症ステロイド、ピペリキン、ピロナリジン、クルクミン、乳香、レムデシビル、ソンプラズD、Zifi CV/Zac D、CCM、ブロクリア、ブダメート、ラピタス、モンテックLC、低分子量ヘパリン、プレドニゾロン、パラセタモール、ビタミンB群複合体、ビタミンC、パントプロゾール、ドキシサイクリン、イベルメクチン、亜鉛、フォラコートロタキャップ吸入、セフトリアキソン注、パラセタモール錠、フラグミン注、コビフォー錠、アジスロマイシン、デキサメタゾン注、オドンダンセトロン注、マルチビタミン錠、アスコルビン酸錠、炭酸カルシウム錠、および硫酸亜鉛錠を含む1つ以上の追加の医薬を含む、上記治療。
【0095】
前記薬物がともに、同時に、連続して、または別々に投与される、上記治療。
【0096】
神経疾患または障害の初期段階にはアポモルヒネ成分を単独で投与し、神経疾患または障害の後期段階にはアポモルヒネ成分およびTGF-βの発現を阻害または抑制する薬物の両方を投与する、上記治療。
【0097】
対象がTGF-βの上昇を有さない神経疾患または障害の初期段階においてアポモルヒネ成分が単独で投与され、対象がTGF-βの上昇を有する神経疾患または障害の後期段階においてアポモルヒネ成分およびTGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物の両方が投与される、上記治療。
【図面の簡単な説明】
【0098】
図1】A 172ヒト神経膠腫細胞における遊離およびリポフェクチン(登録商標)-複合化FITC標識OT-101の取り込みを示す。
【0099】
図2】ヒトGBM細胞株A-172からのTGF-β2分泌に対するOT-101/AP 12009処理の効果を示す。
【0100】
図3】TGF-β1の一次および代替結合部位を同定および測定するために、バイオインフォマティクスの構造に基づくリガンド設計を用いて、TGF-βを阻害するために発見された新規組成物の分析を示す。その結果、2つの結合活性部位が決定された: サイト(Site)1には残基Phe24-Lys37が含まれ、サイト2には残基Cys7-Gln19が含まれていた。
【0101】
図4】健常対象における経鼻アポモルヒネ投与の臨床薬物動態の結果を示す。
【0102】
図5】鼻腔内および舌下投与後の脳脊髄液(CSF)のアポモルヒネレベルの評価結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0103】
本発明は、神経疾患または障害の症状を処置または軽減するための組成物、治療、および方法を提供する。
【0104】
ある点では、本発明は、性機能障害および/または勃起不全を含む神経障害の症状を処置または軽減するために使用することができるアポモルヒネに基づく薬物の新規製剤を包含する。本発明のアポモルヒネをに基づく製剤は、製剤の酸化を制御、低減および防止して純度および効力を維持し、副作用を軽減するように改善することができる。本発明の改善されたアポモルヒネをに基づく製剤では、神経障害の症状を処置するために必要なアポモルヒネに基づく薬物の用量範囲は、治療の有効性の増大および副作用の軽減という同時の利点を伴って低減されうる。
【0105】
いくつかの点では、本発明は、神経障害の症状を処置または軽減するために使用することができる、TGF-βの活性を阻害する、および/またはTGF-β関連病態を抑制するための改善された薬物を提供する。例えば、とりわけ、性機能障害および日中の過度の眠気(EDS)は、パーキンソン病およびアルツハイマー病を含む神経障害におけるTGF-β活性亢進の徴候でありうる。本発明の改善されたTGF-β抑制製剤は、神経病態におけるこのようなTGF-βの増加に対抗し、性機能障害やEDS症状を含む症状を軽減し、処置の有効性を改善することができる。
【0106】
さらなる点では、本発明は、TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物の使用とアポモルヒネに基づく薬物の使用とを組み合わせることによって、神経疾患または障害を処置するための併用治療に関与する。この併用治療は、男性または女性性機能障害、日中の過度の眠気などの症状に対して、パーキンソン病やアルツハイマー病を含む神経疾患または障害を処置するために使用することができる。
【0107】
抗TGF-β薬の製剤の使用
いくつかの実施形態では、本発明は、神経疾患または障害の改善された臨床成績を提供するためにTGF-βを阻害または抑制するための薬物およびその組成物を含む。抗TGF-β薬の例は、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのTGF-β阻害薬、アルテミシニン、その医薬上許容される塩形態、エステル、多形体または立体異性体、ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0108】
一般に、神経疾患または障害の病態は予測不可能であるため、新しい治療は、異なる患者集団に対する臨床研究を必要とする。
【0109】
さらなる態様では、本開示は、神経障害の治療のための抗TGF-β薬の高度に安定な製剤を提供する。本発明の安定な製剤は、驚くほど改善された臨床結果を提供しうる。TGF-βを抑制するための薬物の安定な製剤は、性機能障害およびEDSの症状を軽減し、治療の有効性を改善するために使用することができる。
【0110】
本発明の方法および組成物は、神経障害の予測できない病態における因子を阻害または抑制するために使用することができる。ある実施形態では、本開示は、TGF-βの活性を阻害するため、および/またはTGF-β関連病態を抑制するための方法および組成物を提供し、神経障害の症状を処置または軽減するための効力を改善しうる。
【0111】
アポモルヒネに基づく製剤の使用
いくつかの態様では、本発明は、神経障害の症状を処置または軽減するための経鼻アポモルヒネ製剤を提供する。本発明の経鼻アポモルヒネ製剤は、アポモルヒネ投与の副作用を軽減しうる。そのような経鼻アポモルヒネ製剤は、症状の処置または軽減を達成するのに必要な有効用量を低下させうる。
【0112】
さらなる態様では、本発明は、初期段階の神経障害においてTGF-β発現を誘導し、正常な神経細胞の健康を回復させるために使用することができる経鼻アポモルヒネ製剤を提供する。
【0113】
いくつかの実施形態では、ドパミン受容体アゴニストの経鼻投与は、性機能障害および/または勃起不全などの、パーキンソン病およびアルツハイマー病を含む神経障害の症状を処置または軽減するのに十分な量で使用することができる。
【0114】
本発明のさらなる実施形態では、男性または女性性機能障害、不安、うつ状態、および認知症を含む、パーキンソン病(PD)およびアルツハイマー病などの神経障害の標準治療とともに、神経障害における症状を処置または軽減するために使用することができる、経鼻アポモルヒネ製剤を使用する治療を提供する。これらの状態に対する標準治療の例は、メラトニン、血管拡張薬、シルデナフィル、エストロゲン、フリバンセリン、レボドパ、カルビドパ、サフィナミド、ドパミンアゴニスト、アマンタジン、抗コリン薬、ベンズトロピン、MAO-B阻害薬、COMT阻害薬、コリンエステラーゼ阻害薬、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、およびメマンチンを含む。
【0115】
本発明のさらなる実施形態では、男性または女性性機能障害、不安、うつ状態、および認知症を含むパーキンソン病(PD)およびアルツハイマー病などの神経障害の症状に対する標準治療処置で必要とされる用量を減少させることができ、神経障害における症状の処置または軽減に使用することができる、経鼻アポモルヒネ製剤を使用する治療を提供する。
【0116】
ある実施形態では、活性成分はアポモルヒネである。
【0117】
ドパミン受容体アゴニストの例には、アポモルヒネ、化学的に修飾された等価物、およびその医薬用の塩が含まれる。アポモルヒネの化学的に修飾された等価物は、プロドラッグを含み得る。アポモルヒネに基づく薬物は、水性または非水性製剤中に分散させることができる。
【0118】
治療用組成物の経鼻送達は、ドパミン受容体アゴニストのpHを維持するためのバッファ、医薬上許容される増粘剤、および保湿剤を含むことができる。治療用組成物は、1つ以上の医薬賦形剤、または保存剤をさらに含み得る。
【0119】
経鼻投与のためのバッファは、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩またはリン酸バッファでありうる。
【0120】
増粘剤の例には、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アカシア、キトサン、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0121】
保湿剤の例には、ソルビトール、グリセロール、鉱油、植物油、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0122】
いくつかの態様では、本開示の治療用組成物の経鼻投与用製剤は、pH制御バッファ中に分散された治療有効量のドパミン受容体アゴニスト、増粘剤、および保湿剤を含み得る。
【0123】
さらなる態様では、本開示の治療用組成物の経鼻投与のための製剤は、有害な副作用を伴わずに忍容性がありうる。
【0124】
本発明はまた、有害な副作用を伴わずに忍容性がある、男性または女性性機能障害などのPDを含む神経障害を処置するための経鼻投与単位を提供しうる。投与単位は、経鼻担体と組み合わせた有効量のドパミン受容体アゴニストを含み得る。経鼻担体の例は、バッファを含む。バッファのpHは、ドパミン受容体アゴニストの経鼻吸収を増強するように調整されうる。
【0125】
本発明はまた、投与の約60分以内、または約45分以内、または約30分以内、または約15分以内に速効性がある、男性または女性性機能障害を処置するための経鼻投与単位を提供することができる。
【0126】
経鼻投与単位の経鼻担体は、好ましくは水溶液である。さらに、水溶液は、水性ゲル、水性懸濁液、水性リポソーム分散液、水性エマルション、水性マイクロエマルション、およびそれらの組み合わせを含む群から選択されうる。
【0127】
いくつかの実施形態では、経鼻投与単位のための担体は、非水溶液でありうる。非水溶液の例には、非水性ゲル、非水性懸濁液、非水性リポソーム分散液、非水性エマルションおよび非水性マイクロエマルション、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0128】
さらなる実施形態では、経鼻投与単位の経鼻担体は、水溶液と非水溶液との組み合わせでありうる。
【0129】
ある実施形態では、経鼻投与単位の担体は、粉末製剤でありうる。粉末製剤の例には、粉末混合物、粉末マイクロスフェア、コーティングされた粉末マイクロスフェア、リポソーム分散物、およびそれらの組み合わせが含まれる。粉末マイクロスフェアは、デンプン、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー、アルギン酸ポリビニルアルコール、アカシア、キトサン、およびそれらの組み合わせなどの様々な多糖類およびセルロースから形成することができる。
【0130】
さらなる実施形態では、経鼻投与単位はまた、生体接着特性を有する賦形剤を含むことができる。
【0131】
ある実施形態では、経鼻投与単位のためのバッファは、約3~約10、または約3.5~7.0のpHを有しうる。
【0132】
いくつかの実施形態では、経鼻投与単位は、保湿剤を含むことができる。保湿剤の例には、鎮静薬、膜コンディショナー、甘味剤、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0133】
さらなる実施形態では、本発明は、溶解性を高めるために分散された治療有効量のドパミン受容体アゴニストを含む、男性または女性性機能障害を処置するための経鼻組成物を提供する。組成物は、グリコール誘導体、糖アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール400、アスコルビン酸、水、アスコルビン酸ナトリウム、およびピロ亜硫酸ナトリウムの1つ以上を含み得る。グリコール誘導体は、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールであってもよい。糖アルコールは、マンニトールまたはキシリトールであってもよい。
【0134】
本発明はさらに、性機能障害などのPDを含む神経障害の症状を処置するための様々な製剤および方法を対象にしている。本開示の方法は、性行為の前、間または後に治療有効量のドパミン受容体アゴニストの経鼻投与により、男性または女性性機能障害の症状を処置または軽減するために使用することができる。本発明の製剤は、副作用を軽減することができる。
【0135】
「ドパミン受容体アゴニスト」の例には、アポモルヒネ、および例えばアポモルヒネのプロドラッグ形態を含む、医薬用の塩および化学的に修飾されたその機能的等価物が含まれる。例えば、アポモルヒネは遊離塩基形態または酸付加塩として存在しうる。
【0136】
いくつかの実施形態では、ドパミン受容体アゴニストは、アポモルヒネ塩酸塩、または臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、または酸性リン酸塩などのアポモルヒネの他の薬理学上許容される酸付加塩でありうる。
【0137】
有害副作用の例には、使用者の健康に適合しない作用、または製剤の継続的使用を思いとどまらせるほど不快な作用が含まれる。有害副作用の例には、低血圧、悪心、嘔吐、視力障害、発汗、および灰白色化が含まれる。
【0138】
経鼻投与されるアポモルヒネは、約30~約45分、または約15~約20分、または15分未満で活性化しうる。
【0139】
本開示の組成物は、点鼻スプレー、滴下、懸濁液、ゲル、軟膏、クリーム、または粉末として投与することができ、または鼻腔スポンジの形態でありうる。
【0140】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、天然ガム、メチルセルロースおよび誘導体、カーボポール(Carbopol)などのアクリルポリマー、およびポリビニルピロリドンなどのビニルポリマーを含むことによって粘性にすることができる。
【0141】
ある実施形態では、本開示の組成物は、防腐剤、界面活性剤、共溶媒、接着剤、抗酸化剤、バッファ、粘度増強化合物、およびpHまたは浸透圧を調整する化合物などの当技術分野で公知の賦形剤を含み得る。
【0142】
さらなる実施形態では、本開示の組成物は、患者の年齢および体重に応じて調整された量のドパミン受容体アゴニストを含み得る。
【0143】
ある実施形態では、ドパミン受容体アゴニストの用量レベルは、患者において勃起を達成するのに有効であるように調整されうる。
【0144】
さらなる実施形態では、ドパミン受容体アゴニストの用量レベルは、患者に対する有害副作用を回避または軽減するために調整することができる。有害副作用の許容可能なレベルは、製剤の許容性によって決定することができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、例えば、吐き気および/または嘔吐の有害副作用のレベルは、制御された溶解速度でドパミン受容体アゴニストを経鼻送達することによって軽減または遅延させることができる。制御された溶解速度は、吐き気および/または嘔吐を誘発することなく、性機能障害を処置するのに十分なドパミン受容体アゴニストの循環血清レベルおよび中脳組織レベルを提供しうる。
【0146】
さらなる実施形態では、約2 mgを超える用量のアポモルヒネに対して、ニコチンまたは硫酸ロベリンなどの薬物とともに投与することにより、有害副作用を軽減することができる。
【0147】
さらなる実施形態では、本発明のアポモルヒネ製剤は、メトクロプラミドなどの制吐化合物、またはクロルプロマジン、プロクロルペラジン、ピパマジン、チエチルペラジンまたはオキシペンジル塩酸塩などのフェノチアジン、またはドンペリドンまたはオダンセトロンなどのセロトニン(5-ヒドロキシトリプタミンまたは5-IIT)アゴニスト、または塩酸ブクリジン、塩酸シクリジンまたはジメンヒドリナートなどのヒスタミンアンタゴニスト、またはスコポラミン、メトピマジン、トリメトベンズアミド、塩酸ベンズキナミンまたは塩酸ジフェニドールなどの副交感神経抑制薬(parasympathetic depressant)とともに投与することができる。
【0148】
ある実施形態では、本発明のアポモルヒネ製剤は、水溶液、非水溶液、またはそれらの組み合わせでありうる。水溶液は、水性ゲル、水性懸濁液、水性リポソーム分散液、水性エマルション、水性マイクロエマルション、およびそれらの組み合わせを含み得る。非水溶液は、非水性ゲル、非水性懸濁液、非水性リポソーム分散液、非水性エマルション、非水性マイクロエマルション、およびそれらの組み合わせが含み得る。
【0149】
さらなる実施形態では、本発明のアポモルヒネ製剤は、pHを維持するためのバッファ、医薬上許容される増粘剤、および/または保湿剤を含むことができる。pHバッファは、ドパミン受容体アゴニストを非イオン化形態に維持することができる。pHバッファは、鼻腔粘膜を横切るドパミン受容体アゴニストの吸収を高めることができる。バッファの例には、酢酸バッファ、クエン酸バッファ、プロラミンバッファ、炭酸バッファ、リン酸バッファが含まれる。
【0150】
非水性製剤は、鼻腔粘膜との接触時に有利なpH範囲が達成することができるように、バッファを含み得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、この発明のドパミン受容体アゴニスト製剤は、約3.0~約10.0、または約3.0~約7.0のpHを有しうる。
【0152】
この発明のドパミン受容体アゴニスト製剤は、医薬上許容される増粘剤を含み得る。増粘剤の例には、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アカシア、キトサン、およびそれらの組み合わせが含まれる。増粘剤を粉末製剤に使用することもできる。
【0153】
本発明のドパミン受容体アゴニスト製剤は、保湿剤を含むことができる。保湿剤は、粘膜の乾燥を軽減または防止するか、またはその刺激を防止するのに有効な量で使用することができる。保湿剤の例には、ソルビトール、鉱油、植物油、グリセロール、鎮静剤、膜コンディショナー、甘味料、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0154】
本発明のドパミン受容体アゴニスト製剤は、医薬上許容される賦形剤および/または防腐剤を含み得る。
【0155】
防腐剤の例には、ベンジルアルコール、パラベン、チメロサール、クロロブタノール、および塩化ベンザルコニウムが含まれる。防腐剤は、組成物中に約2重量%までの濃度で存在してもよい。
【0156】
本明細書で使用する場合、「経鼻的に投与(administered nasally)」または「経鼻投与(nasal administration)」は、ドパミン受容体アゴニストが、鼻粘膜を越えて吸収されるための適切な送達系と組み合わされることを含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、本発明のドパミン受容体アゴニスト製剤は、アゴニストのpHを維持するためバッファ中に分散された治療有効量のドパミン受容体アゴニスト、医薬上許容される増粘剤、および保湿剤を含み得る。
【0158】
いくつかの実施形態では、本発明のドパミン受容体アゴニスト製剤は、男性のインポテンスおよび/または勃起不全などの性機能障害の治療に有効でありうる。
【0159】
アポモルヒネ塩酸塩は、勃起の媒介に関与することが知られている選択的ドパミン受容体アゴニストである。アポモルヒネ塩酸塩点鼻スプレーは、男性の勃起不全、女性の性機能不全、およびその他の神経症状などのパーキンソン病(PD)およびアルツハイマー病を含む神経障害の症状の処置のために開発されうる。製剤は、溶液1 mL当たり5 mg、および10 mgの薬物濃度の水溶液とすることができる。製剤は、複数回投与用のガラス容器に包装することができ、1回の作動につき0.5 mgおよび1 mg(1回の作動につき0.1 mL)の投与強度で利用可能である。スクリューオンアクチュエータは鼻腔投与用に利用可能である。
【0160】
アポモルヒネ塩酸塩の液体剤形への製剤化は有効でありうる。抗酸化剤、キレート剤、防腐剤の添加、pHを3.4に下げること、および窒素フラッシングによる酸素の置換は、許容できる製剤において使用されうる。最小限のヘッドスペースを備える容器を使用した包装システムは、大気中の酸素と製品との相互作用を減少することができる。Trifoil(登録商標)ライナーを使用した密封システムは、酸素透過に対して十分な保護を提供することができる。製剤の安定性試験では、40℃/60%RHで3ヵ月間、許容できる安定性が示された。製剤は、25℃/60%RHで24ヶ月の実時間で許容できる安定性を有しうる。
【0161】
A. 原薬。アポモルヒネ塩酸塩はUSPモノグラフの化合物である。分子式C17H17NO2.1/2H2O、分子量312.8の半水和物である。白色から灰白色の結晶である。1 gは50 mLの水に溶解し、80℃では約20 mLの水に溶解する。1% w/v溶液のpHは4.5~5.5である。アポモルヒネ塩酸塩は水溶性である。
【0162】
水溶液中で、アポモルヒネは催吐性を欠くキノリンジオンの様々な誘導体に酸化される。酸化された溶液はエメラルドグリーン色であるが、色の濃さは酸化の程度を示す信頼できる指標ではない。酸化速度は、希塩酸を添加してpHを3~4の間に調整し、ピロ亜硫酸ナトリウムを添加し、本質的に溶存酸素を含まない溶液にすることによって遅らせることができる。
【0163】
B. 添加剤および非活性成分。アポモルヒネ塩酸塩の水性製剤化の課題は、原薬の酸化を制御することである。機能性賦形剤を製剤開発に利用することができる。抗酸化剤、抗菌防腐剤、キレート剤、共溶媒を加えることができ、製剤のpHを3.4に下げることができる。さらに、窒素置換による脱酸素を行いうる。
【0164】
以下に述べるように、さらなる賦形剤を使用することができる。
【0165】
1. クエン酸およびクエン酸ナトリウム: バッファ成分。クエン酸は25℃でpKa1が3.128、pKa2が4.761、pKa3が6.396である。アポモルヒネ塩酸塩は3.0~4.0の間の低いpHで安定であり、製剤はpH3.5を目標しうる。バッファとしてクエン酸ナトリウムを使用するクエン酸は、製剤の所望のpHに有効である。
【0166】
2. プロピレングリコール: 共溶媒。プロピレングリコールは医薬調製の溶媒として使用できる。一般に非毒性物質とみなされており、他のグリコールよりもはるかに毒性が低い場合がある。また、防腐剤としても作用しうる。液滴サイズを安定化させるためにスプレー液に使用されることもある。プロピレングリコールは、エアゾール溶液では10~30%、外用剤では5~80%の濃度で使用できる。プロピレングリコールは保湿および殺菌特性を有する。アポモルヒネ塩酸塩は水性媒体中で容易に酸化される。水の7%を非水性溶媒で置換することにより、製剤の安定性を改善することができる。
【0167】
3. グリセリン: 共溶媒。グリセリンは、医薬製剤の溶媒として使用することができる。グリセリンには保湿性がある。水の5%を非水性溶媒に置換することにより、製剤の安定性を改善することができる。
【0168】
4. アスコルビン酸: 抗酸化剤。アポモルヒネ塩酸塩は水中で酸化する。水溶液の製剤は、薬物を安定化させるために抗酸化剤を使用することができる。アスコルビン酸は還元剤であり、薬よりも容易に酸化されるため、少量の添加で薬を保護することができる。アスコルビン酸はアポモルヒネより先に酸化されるため、アスコルビン酸を用いるとアポモルヒネの酸化速度を遅くさせることができる。
【0169】
5. ピロ亜硫酸ナトリウム: 抗酸化剤。ピロ亜硫酸ナトリウムは、0.1%、または0.01%~1%の濃度で、経口剤、非経口剤、および外用医薬製剤の抗酸化剤として使用できる。水溶液の製剤化では、薬を安定化させるために抗酸化剤を使用することができる。ピロ亜硫酸ナトリウムの酸化還元電位はアポモルヒネ塩酸塩よりわずかに低いため、少量の添加で薬物を保護できる。ピロ亜硫酸ナトリウムは酸性媒体で使用できる。
【0170】
6. エデト酸二ナトリウム: キレート剤。エデト酸塩は、微量の金属イオンを封鎖することにより、キレート剤として、および抗酸化共力剤として医薬製剤に使用することができる。エデト酸塩は、相乗効果を得るために抗菌防腐剤である塩化ベンザルコニウムと組み合わせて使用することができる。
【0171】
7. 塩化ベンザルコニウム: 抗菌防腐剤。塩化ベンザルコニウムは、抗菌防腐剤として使用できる4級アンモニウム化合物である。鼻用および耳用の製剤では、0.002~0.02%の濃度で使用できる。
【0172】
8. 水酸化ナトリウム/塩酸。最終調製物のpHを調整するために少量使用できる。
【0173】
9. 精製水: 溶媒。アポモルヒネ塩酸塩は、12%の非水性溶媒の組み合わせで水に溶解することができる。点鼻製剤は水性液体形態でありうる。
【0174】
アポモルヒネ製剤の安定性を高めるために抗酸化剤を使用することができる。アスコルビン酸またはピロ亜硫酸ナトリウム抗酸化剤は還元剤として使用することができ、アポモルヒネ塩酸塩よりも低い酸化還元電位を有する。0.1%および0.01%の濃度のアスコルビン酸ならびに0.1%のピロ亜硫酸ナトリウムを含む製剤を使用することができる。0.01%のアスコルビン酸を含むアポモルヒネ塩酸塩0.5 mg/0.1 mL製剤は不安定で、40℃で7週間後に黒く変色することがある。0.1%ピロ亜硫酸ナトリウムを配合したアポモルヒネ塩酸塩製剤は安定である。0.1%ピロ亜硫酸ナトリウムを含むアポモルヒネ塩酸塩製剤は、40℃で16週間後でも非常に薄い黄色を維持することができる。ピロ亜硫酸ナトリウムは製剤中で抗酸化剤として作用することができる。抗酸化剤を組み合わせて使用してもよい。
【0175】
抗TGF-βアンチセンス薬の製剤の使用
本発明の方法は、処置または軽減を必要とする患者における神経障害の症状を処置または軽減するためのプロセスを含む。このようなプロセスは、TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物を含む医薬組成物を調製し、治療上十分な量の組成物を対象に投与することによって達成することができる。
【0176】
いくつかの実施形態では、本開示は、ヒトまたは動物における神経障害の症状を処置または軽減するための、TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物の組成物の使用を提供する。
【0177】
さらなる実施形態では、本開示は、神経障害の症状を処置または軽減するための医薬の調製における、TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物の組成物の使用を提供する。
【0178】
本発明のプロセスまたは使用において、神経障害の例は、パーキンソン病、アルツハイマー病、線維性疾患、および癌を含む。
【0179】
本発明は、入院する可能性のある神経障害を有する対象のための方法および製剤を提供する。対象の入院は、以下のいずれか1つに起因しうる:
WHO COVID-19 臨床改善順序尺度基準(Clinical Improvement Ordinal Scale Criteria)3、対象が酸素治療を受けずに入院している;
WHO COVID-19 臨床改善順序基準4、対象がマスクまたは鼻カニューレによる酸素治療を受けて入院している;
WHO COVID-19 臨床改善順序基準5、対象が非侵襲な機械的人工呼吸または高流量酸素を受けて入院している; および
WHO COVID-19 臨床改善順序基準6、対象が挿管および機械的人工呼吸を受けて入院している。
【0180】
入院している本開示の対象は、60歳を超える年齢を有し、入院しており、以下から選択される少なくとも1つの医学的危険因子を提示しうる:
絶対リンパ球数≦1000 個/mm3;
年齢≧60歳;
高血圧;
糖尿病;
心不全; および
COPD。
【0181】
さらなる実施形態では、本発明のプロセスまたは使用は、対象の年齢が35歳以上であり、入院しており、76または77 mmHg未満の低PaO2を示す場合に適用されうる。
【0182】
さらなる実施形態では、疾患は、肺不全、心不全、腎不全、および脳認知機能障害のいずれかに起因する線維症または多臓器線維症の症状を含み得る。これらのいずれかは、パーキンソン病、線維性疾患、または癌に起因し得る神経障害に基づくものであってもよい。
【0183】
さらなる態様では、本発明の方法および/または使用は、パーキンソン病、線維化疾患、または癌のいずれかについて認識されている標準治療処置と組み合わせまたは適用することができる。
【0184】
さらなる実施態様では、本発明のプロセスまたは使用は、驚くほど改善された対象の症状を達成することができる。本開示の組成物の投与または使用を受けた対象は、炎症性バイオマーカーの改善されたレベルを有しうる。炎症性マーカーの例は、C反応性タンパク質、赤血球沈降速度、プロカルシトニンレベル、血漿粘度、およびフィブリノゲンレベルを含む。
【0185】
本開示のTGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物の例は、TGF-β1、TGF-β2、またはTGF-β3に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。
【0186】
本開示のTGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物の例は、本明細書の配列番号1~9に示されるTGF-β2特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。
【0187】
配列番号1、gtaggtaaaa acctaatat。
【0188】
配列番号2、gttcgtttag agaacagatc。
【0189】
配列番号3、taaagttcgt ttagagaaca g。
【0190】
配列番号4、agccctgtat acgac。
【0191】
配列番号5、gtaggtaaaa acctaatat。
【0192】
配列番号6、cgtttagaga acagatctac。
【0193】
配列番号7、cattgtagat gtcaaaagcc。
【0194】
配列番号8、ctccctcatg gtggcagttg a。
【0195】
配列番号9、cggcatgtct attttgta。
【0196】
本明細書において配列番号1~9に示されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、当該技術分野で公知のように、化学的に修飾されうる。
【0197】
本開示のTGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物の例は、アルテミシニン抽出物、その医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体、およびそれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、少なくとも60%、または70%、または80%、または90%、または95%の純度を有する実質的に純粋なアルテミシニンを含む。
【0198】
ある実施形態では、本開示のTGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物は、当該薬物の凍結乾燥粉末から調製されうる。
【0199】
より具体的には、薬物は、配列番号1~9から選択されるTGF-β2特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドであってよく、1~7日目に140 mg/m2の用量で、または1~7日目に1000 mg/m2の用量で、または1~7日目に180 mg/m2の用量で、または1~7日目に200 mg/m2の用量で、持続静脈内注入により投与または使用される。
【0200】
いくつかの実施形態では、薬物は、配列番号1~9、およびその化学修飾変異体から選択されるTGF-β2特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドであってよく、2~3 μg/mLのCmax値を有する持続静脈内注入により投与または使用される。
【0201】
さらなる実施形態では、薬物は、配列番号1~9およびその化学修飾変異体から選択されるTGF-β2特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドであってよく、1~7日目に140 mg/m2の用量で、単独で、または1~5日目に1日当たり500 mgの用量でいずれかの形態のアルテミシニンと組み合わせて、持続静脈内注入により投与または使用される。
【0202】
本開示のTGF-βを阻害するための薬物の例は、TGF-β1、TGF-β2、またはTGF-β3を特異的に阻害するための薬物を含む。
【0203】
薬物の組成物の投与または使用を含む本発明の実施形態は、TGF-β誘導タンパク質に起因する症状を軽減または抑制することができる。
【0204】
薬物の組成物の投与または使用を伴う本発明の実施形態は、パーキンソン病、線維性疾患、または癌のいずれかに起因する症状を軽減または抑制することができる。
【0205】
TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物は、90~95%の純粋なアルテミシニン抽出物、またはその医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体、および1つ以上の医薬上許容される賦形剤を含む、アルテミシニン製剤でありうる。賦形剤は、希釈剤、安定化剤、崩壊剤および固結防止剤から選択されるいずれかの1つまたは複数の医薬上許容される賦形剤を含み得る。いくつかの実施形態では、賦形剤は、微結晶セルロース、ポリソルベート80、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムのうちのいずれか1つ以上を含んでもよい。
【0206】
さらなる実施形態では、TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物は、アルテミシニン化合物またはその誘導体、またはその医薬上許容される塩、塩多形、エステルまたは異性体でありうる。
【0207】
本明細書で使用する場合、誘導体は、化合物の構造類似体を提供する化学的修飾を包含する。例えば、アルキル基の置換基または置換は、構造類似体を提供しうる。
【0208】
本発明の実施形態は、TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物が、Trp30を含むTGF-βのサイトIおよび/またはArg15、Gln19、およびPhe8を含むTGF-βのサイトIIと相互作用する化合物、または低分子またはポリペプチドを含むリガンド、またはその医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体である、プロセスまたは使用を含む。
【0209】
いくつかの実施形態では、TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物は、残基Phe24-Lys37を含むTGF-βのサイトIおよび/または残基Cys7-Gln19を含むTGF-βのサイトIIのポリペプチドまたはペプチド模倣物、またはその医薬上許容される塩、塩多形、エステルまたは異性体であってもよい。
【0210】
さらなる実施形態では、TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物は、残基Phe24-Lys37を含むTGF-βのサイトIおよび/または残基Cys7-Gln19を含むTGF-βのサイトIIに対して親和性を有する、ヒト化または非ヒト化抗体または抗体フラグメントであってもよい。
【0211】
さらなる実施形態では、TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物は、セスキテルプレンラクトンまたはその誘導体を含む化合物、またはその医薬上許容される塩、塩多形、エステルまたは異性体であってもよい。
【0212】
ある実施形態では、TGF-βの発現を阻害または抑制するための薬物は、3つのイソプレニル基および1つのラクトン環を含む化合物、またはその誘導体、またはその医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体であってもよい。
【0213】
様々な実施形態では、本発明のプロセスまたは使用は、驚くほど改善された結果を達成することができる。本開示の組成物の投与または使用に際して、対象は、パーキンソン病、線維性疾患、または癌のいずれかによる症状が軽減または抑制されうる。
【0214】
ある実施形態では、本発明のプロセスまたは使用は、驚くほど改善された結果を達成することができる。本開示の組成物の投与または使用を受けた対象は、集中治療室期間を短縮しうる。
【0215】
さらなる実施形態では、本発明のプロセスまたは使用は、驚くほど改善された成績を達成することができる。本開示の組成物の投与または使用を受けた対象は、入院期間を短縮しうる。
【0216】
本発明の実施形態はさらに、TGF-βの発現を阻害または抑制するため、または炎症反応を阻害または抑制するため、またはヒトまたは動物におけるパーキンソン病、線維性疾患、または癌のいずれかの症状を処置または軽減するための医薬組成物を含む。医薬組成物は、TGF-β阻害薬、アルテミシニン、その医薬上許容される塩の形態、エステル、多形体または立体異性体、およびそれらのいずれかの組み合わせ、ならびに担体を含み得る。TGF-β阻害薬は、TGF-β2特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド配列番号1~9およびその化学修飾変異体から選択することができる。担体は、注射用滅菌水、生理食塩水、等張生理食塩水、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0217】
重要なことに、本開示の組成物は、実質的に賦形剤を含まなくてもよい。賦形剤を実質的に含まない本発明の組成物は、担体中で驚くほど安定であることがわかっている。いくつかの実施形態では、組成物は、担体中、37℃で少なくとも14日間、または少なくとも21日間、または少なくとも28日間安定でありうる。さらなる実施形態では、輸液用医薬組成物は、1重量%未満の賦形剤、または0.5重量%未満の賦形剤、または0.1重量%未満の賦形剤を含み得る。
【0218】
この発明の実施形態はさらに、この発明の組成物が疾患の標準治療の療法と組み合わせて投与または利用する治療様式を企図する。
【0219】
この発明はさらに、配列番号1~9から選択される1つ以上のTGF-β2特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドを250 mgずつの量でバイアルに入れた凍結乾燥粉末を含むキットを提供する。
【0220】
本発明はまた、アルテミシニンまたはその誘導体、またはArg15、Gln19、およびPhe8を含むTGF-βのサイトIIと相互作用する低分子またはポリペプチドを含む化合物またはリガンド、セスキテルプレンラクトンまたはその誘導体、または3つのイソプレニル基と1つのラクトン環を含む化合物およびその誘導体、またはその医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体、または前述のいずれかの組み合わせを500 mgの量でバイアルに入れた凍結乾燥粉末を含むキットも提供する。
【0221】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
本発明は、パーキンソン病、線維性疾患または癌のいずれかの処置のための有効な標的としてTGF-βを使用するための組成物および方法を記載する。
【0222】
アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、mRNA標的に相補的な一本鎖デオキシリボヌクレオチドでありうる。アンチセンス治療は、分子標的をダウンレギュレートすることができ、これは、標的遺伝子の翻訳の有意な減少を伴うRNA-DNAヘテロ二重鎖を切断するRNアーゼHエンドヌクレアーゼ活性の誘導によって達成しうる。他のASOメカニズムには、5'キャップ形成の阻害、スプライススイッチングなどのスプライシングプロセスの変化、およびリボソーム活性の立体障害が含まれ得る。
【0223】
アンチセンス治療戦略は、標的mRNAの触媒分解を媒介することによって、または翻訳に必要なmRNA上の部位に結合することによって、タンパク質産生を阻害する一本鎖DNAオリゴヌクレオチドを利用することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、潜在的な標的を同定するためのアプローチを提供することができ、それゆえ潜在的な治療薬となる。
【0224】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、15~30ヌクレオチドの長さの一本鎖DNAの合成小片でありうる。ASOは、ワトソン-クリックハイブリダイゼーションによって相補的DNA/RNA配列に特異的に結合し、標的RNAに結合すると、切断機構を誘導することによって、またはmRNAの成熟を阻害することによって、翻訳過程を阻害することができる。ASOは選択的に遺伝子発現を特異的に阻害することができる。DNAまたはRNAの化学修飾は、安定性を増加させるために用いることができる。
【0225】
例えば、ホスホジエステル結合、糖環、および骨格に修飾を導入することができる。ASO抗ウイルス薬は、(i)リボヌクレアーゼH(RNAse H)またはRNase Pを媒介するmRNAの切断、または(ii)標的遺伝子の翻訳に関与する酵素を立体的(非結合的)に遮断することにより、翻訳過程を遮断することができる。
【0226】
理論に拘束されることを望むものではないが、性機能障害はパーキンソン病、線維性疾患、または癌のいずれかにおいて有意に増加したTGF-βに関連しうる。TGF-βの遮断は線維化およびその拡大による合併症を抑制または軽減しうる。TGF-β遺伝子発現のノックダウンは免疫応答性を改善しうる。
【0227】
TGF-β抑制と組み合わせたアポモルヒネの使用
さらなる態様では、本発明は、後期段階または重度の神経障害における症状の処置または軽減に使用することができる、経鼻アポモルヒネ製剤を提供する。
【0228】
いくつかの実施形態では、本発明は、パーキンソン病およびアルツハイマー病を含む重篤な神経障害の処置のために、オンマヤリザーバーおよびカテーテルを用いて投与することができるアポモルヒネ製剤を提供する。
【0229】
理論に拘束されることを望むものではないが、性機能障害、不安、うつ状態、および認知症などのパーキンソン病(PD)およびアルツハイマー病を含む神経障害の症状は、TGF-βシグナル伝達の調節不全と関連する神経障害である。TGF-βファミリーのシグナル伝達経路は精神疾患を調節する。パーキンソン病は数百万人の患者で発症している。PDの臨床症状には、安静時振戦、固縮、動作緩慢、姿勢異常、凍りつき現象などがある。いくつかのPDの病理学的所見は、黒質線条体ドパミン作動性(DA)ニューロンの喪失と、それに伴う、運動制御に重要な脳の領域である線条体における神経伝達物質ドパミンの喪失を含む。TGF-βシグナル伝達経路は、DAニューロンの発達と生存を制御する。PDでは、DAニューロンの減少と線条体ドパミンの喪失がみられるため、TGF-βは成人の脳機能とホメオスタシスに影響を及ぼす。TGF-βの活性化は、PD患者の脳脊髄液中のTGF-β1とTGF-β2の量を増加させ、DAニューロンの変性を阻止する。アポモルヒネはTGFβの発現を増加させる可能性があり、後期段階患者への使用にはOT-101のようなTGF-β阻害薬を併用する必要がある。
【0230】
本発明の実施形態は、TGF-β阻害薬と併用して、後期段階または重度の神経障害における症状の処置または軽減に使用することができる経鼻アポモルヒネ製剤を提供する。この併用治療は、TGF-β関連作用のバランスを提供しうる。
【0231】
ある実施形態では、経鼻アポモルヒネ製剤は、TGF-β阻害薬と組み合わせて、男性または女性性機能障害および他の神経障害などのパーキンソン病およびアルツハイマー病を含む神経障害の症状を処置するために使用することができる。
【0232】
TGF-β阻害薬の例は、TGF-βに対するアンチセンス薬、アルテミシニンおよびその誘導体を含む。
【0233】
理論に拘束されることを望むものではないが、TGF-βは、神経細胞の健康を維持するのに必要な正常な生理的レベルを有する。しかし、TGF-βシグナル伝達の増加は、脳における損傷をもたらす可能性があり、TGF-βのレベルは調節されなければならず、時には抑制されなければならない。
【0234】
本発明の実施形態は、初期段階の神経障害における症状の処置または軽減に使用できる経鼻アポモルヒネ製剤を提供する。アポモルヒネはTGFβの発現を増加させることができ、神経障害の初期段階の間で有益である。神経障害の後期段階には、アポモルヒネを他の薬物、少なくともTGF-βを抑制する薬物と併用する必要がある。このアポモルヒネ治療は、TGF-βのレベルを調節または抑制するために、TGF-β阻害薬を用いる治療と組み合わせることができる。
【0235】
この発明のさらなる実施形態は、後期段階または重度の神経障害における症状の処置または軽減に使用することができるTGF-β阻害製剤を提供する。あるTGF-β阻害薬は、時には松果体などの部位に蓄積することにより、TGFβ発現を減少させることがある。このTGF-β阻害薬治療は、TGF-βのレベルを調節または増加させるために、経鼻アポモルヒネ製剤を用いた治療と組み合わせることができる。
【0236】
本発明の追加の実施形態は、経鼻アポモルヒネ製剤を使用する治療と組み合わせて、後期段階または重度の神経障害における症状の処置または軽減に使用することができ、パーキンソン病(PD)およびアルツハイマー病を含むいずれかの神経障害、例えば、男性または女性性機能障害、不安、うつ状態、および認知症に対する標準治療とともに使用することができるTGF-β阻害製剤を提供する。これらの状態に対する標準治療の例は、メラトニン、血管拡張薬、シルデナフィル、エストロゲン、フリバンセリン、レボドパ、カルビドパ、サフィナミド、ドパミンアゴニスト、アマンタジン、抗コリン薬、ベンズトロピン、MAO-B阻害薬、COMT阻害薬、コリンエステラーゼ阻害薬、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、およびメマンチンを含む。
【0237】
この発明のさらなる実施形態は、経鼻アポモルヒネ製剤を使用する治療と組み合わせた神経障害における症状の処置または軽減に使用することができるTGF-β阻害製剤を提供し、この製剤は、男性または女性性機能障害、不安、うつ状態、および認知症などの、パーキンソン病(PD)およびアルツハイマー病を含むいずれかの神経疾患の標準治療処置において必要とされる用量を低減することができる。
【0238】
本発明の追加の実施形態は、経鼻アポモルヒネ製剤を使用する治療と組み合わせて、パーキンソン病(PD)、男性または女性性機能障害、不安、うつ状態、および認知症のいずれかの標準治療とともに、神経疾患神経障害における症状を処置または軽減するために使用することができるTGF-β阻害製剤を提供する。
【0239】
PDでは、非運動症状は、典型的な運動特徴に数年先行することがあり、患者の生活の質の悪化に主要な役割を果たす。本発明の実施形態は、神経細胞の健康を維持するために、疾患の初期にアポモルヒネを単独で使用する方法、および進行した重篤な神経障害においてさらにTGF-β阻害薬と組み合わせて使用する方法を含む。脊髄におけるTGF-β2のバイオアッセイは、治療レジメンを決定するために用いることができる。TGF-βの病理学的レベルは、TGF-β阻害薬の添加によって調節することができる。
【0240】
この発明のさらなる実施形態は、男性または女性性機能障害、不安、うつ状態、および認知症などの症状を伴う、パーキンソン病およびアルツハイマー病を含む神経障害に対する、経鼻アポモルヒネ製剤を使用する治療を提供する。
【0241】
本発明のさらなる実施形態は、男性または女性性機能障害、不安、抑うつ、および認知症などの症状を伴う、パーキンソン病およびアルツハイマー病を含む神経障害に対して、経鼻アポモルヒネ製剤を使用し、TGF-β阻害薬と逐次的に組み合わせる治療を提供する。例えば、TGF-β阻害薬を投与することができる。OT-101(トラベデルセン(trabedersen))またはアルテミシニンなどのTGF-β阻害薬は、脳損傷の原因となりうるTGF-βサージを阻害することができる。神経障害が進行してTGF-βが生理的レベルを超えるようになると、アポモルヒネ製剤を抗TGF薬とともに使用することができる。
【0242】
本明細書中で言及される特許、特許出願刊行物、および非特許刊行物を含む全ての刊行物、ならびに配列表は、それぞれ、全ての目的のために、参照によりその全体が本明細書に明示的に援用される。
【0243】
前述の開示は、理解を明瞭にする目的で例示として詳細に記載されているが、特定の変更および修正が本開示によって理解され、限定ではなく例示として提示されている添付の特許請求の範囲の範囲内で過度の実験を行うことなく実施されうることは、当業者には明らかであろう。本発明は、さらなる実施形態、均等物、および改変などをすべて含む。本発明は、様々な例示的構成要素、実施例、および特許請求される実施形態の特徴、材料、要素、または制限のいずれかの組み合わせまたは混合を含む。
【0244】
「a」、「an」、「the」なる用語、および本発明を説明する、および特許請求の範囲における同様の用語は、単数および複数の両方を含むように解釈される。
【実施例
【0245】
実施例1.アポモルヒネ塩酸塩の製剤例。
用量再現性は、機械的作動ステーションを用いたポンプ重量により決定した。6つの異なるロットのアポモルヒネ点鼻スプレーおよび3つのロットのファイファー(Pfeiffer)鼻腔アクチュエータ(0.1 gを送達するため)で実験した。その結果、送達重量の一貫性が示され、最初のプライミング後に11回の良好な噴霧が得られた。個々のスプレーはターゲット重量の15%以内であり、平均重量はターゲット重量の10%以内であった。
【0246】
製剤の例を表1に示す。
【表1】
【0247】
実施例2.パーキンソン病およびアルツハイマー病などの神経障害における日中の過度の眠気の例。
【0248】
パーキンソン病(PD)およびアルツハイマー病は、日中の過度の眠気(EDS)を含む非運動症状を有する。EDSは、日中の主要な覚醒エピソードの間、覚醒および覚醒度を維持することができず、その結果、抑えきれない睡眠の必要な期間、または眠気または睡眠への意図しない陥りが生じるものとして定義される。EDSはPDにおける主要な健康障害であり、PD患者の21~76%で発症している。PDにおけるEDSは持続的なものではなく、その存在は時間とともに変動する。一般に、EDSを有するPD患者の割合は、追跡期間が長くなるにつれて増加する。EDSは、PDの他の運動症状や非運動症状と関連し、影響を及ぼす。
【0249】
P001は、完了した第I/II相用量漸増試験であった。主な目的は、以下に記載するように、コア処置として2サイクル、そしてオプションとして8サイクルまでのトラベデルセン(OT-101)を隔週で4日間または7日間経口投与した場合のMTDならびにDLTの決定であった。本試験は1コホートにつき3名の評価可能な患者で行う、古典的なコホートデザインに従ったものであった。最初のスケジュールで治療された患者は、OT-101を7日間連続投与され、その後、各処置サイクルで7日間の無処置間隔が設けられた(7日間オン、7日間オフ)。このスケジュールでMTDに達した後、OT-101を4日間投与し、各処置サイクルで10日間の無処置間隔をあける第2のスケジュールを開始した(4日間オン、10日間オフ)。この処置スケジュールでは、MTDに達していなかった。
【0250】
P001において不眠症が評価された。神経細胞の健康におけるTGF-βの役割と一致して、OT-101による処置が、これらの患者における頻繁な不眠症に影響を与えることがわかった。このように、OT-101は、疾患の後期段階に過度の眠気に悩まされているPDおよびアルツハイマーの患者にとって有益であろう。
【0251】
OT-101で処置された61名の患者のうち、精神医学的変化は、睡眠障害(13%)、不眠症(8%)、不安(2%)および気分変化(2%)を伴う患者の23%で観察された。
【0252】
実施例3.TGF-β2特異的ホスホロチオエートアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(OT-101; AP 12009; トラベデルセン)は、悪性神経膠腫におけるTGF-β2タンパク質のレベルを低下させることを意図する。
ヒトTGF-β2特異的ホスホロチオエートアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(OT-101; AP 12009; トラベデルセン)(以下、OT-101と呼ぶ)は、悪性神経膠腫におけるTGF-β2タンパク質のレベルを低下させ、それによって疾患の進行を遅延させることを意図する。
【0253】
アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドは、mRNAレベルで特定のコードされたタンパク質の翻訳を妨げることによって遺伝子発現をダウンレギュレートするように設計されたDNAの短い文字列である。OT-101は、すべての3'-5'結合がホスホロチオエートに修飾された合成18merホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチド(S-ODN)である。分子式はC177H208N60Na17O94P17S17で、分子量は6,143 g/molである。OT-101は、遺伝子の発現後、ヒトTGF-β2 mRNAの特定の配列に相補的であるように設計された。
【0254】
OT-101は現在、凍結乾燥粉末として50 mLのガラスバイアルに3つの異なる量で供給されている。各バイアルは、治験薬名、試験番号(trial number)、投与群、適用様式、OT-101の含有量(mg)、溶解後の総容量(mL)、および得られた濃度(μM)、治験依頼者名、製造者名、バッチ番号、バイアル番号、保存温度、および有効期限によって識別される。Oncotelic Inc.社は、試験薬を濃度ごとに別々に包装された密閉単位で提供する。パッケージには、適切なバイアルと、適用システムに必要なすべての構成要素(すなわち、シリンジ、チューブ、およびフィルター)が含まれる。OT-101凍結乾燥粉末は、使用前に等張(0.9%)塩化ナトリウム水に溶解される。所望の濃度で投与するための調製方法を記載したリーフレットが包装に同封されている。
【0255】
OT-101の非臨床インビトロ試験。
【0256】
機能的インビトロアッセイでは、以下が示された:
【0257】
OT-101は、リポソーム担体のリポフェクチン(登録商標)の存在下ならびに非存在下で、ヒト腫瘍細胞への効率的な時間依存性取り込みを示す。
【0258】
OT-101は、いずれの担体を使用することなく、ヒト腫瘍細胞によるTGF-β2分泌を減少させる。
【0259】
A 172ヒト高悪性度神経膠腫細胞において7日間にわたって臨床的に使用された80 μMまでのOT-101濃度では、10 μMがTGF-β2産生の阻害に最も効果的な濃度であった。
【0260】
OT-101は、ヒト腫瘍細胞の増殖を減少させ、同時にPBMCの増殖を刺激する。OT-101はヒトPBMCの生存率に影響を与えない。
【0261】
OT-101は、免疫細胞媒介性細胞毒性アッセイによって示される、高悪性度神経膠腫患者由来のヒトPBMCの免疫機能を回復させる。
【0262】
OT-101は、ヒト腫瘍細胞の遊走を阻害する。
【0263】
図1は、A 172ヒト神経膠腫細胞における遊離およびリポフェクチン(登録商標)複合化FITC標識のOT-101の取り込みを示す。異なる製剤でインキュベートした後のA-172ヒト神経膠腫細胞の代表的な蛍光顕微鏡写真を示す: (A)スタート、0時間インキュベーション; (B)担体なしの「裸の」FITC-OT-101(5 μM)、48時間インキュベーション; (C)リポフェクチン(登録商標)(3 μg/mL)と複合化したFITC-トラベデルセン(200 nM)、48時間インキュベーション。図1を参照すると、FITC-OT-101とリポフェクチン(登録商標)添加または無添加でインキュベートしたヒトA-172膠芽腫細胞のどちらもで、48時間まで蛍光シグナルが増加した。FITC-OT-101の取り込みは、リポフェクチン(登録商標)の有無にかかわらず、インキュベーション時間3時間後にすでに観察された。48時間後、蛍光シグナルはほぼ全ての細胞で検出可能であり、リポフェクチン(登録商標)を添加または無添加でインキュベートした細胞調製物でも同程度の強度であった。
【0264】
図2は、ヒトGBM細胞株A-172からのTGF-β2分泌に対するOT-101/AP 12009処理の効果を示す。細胞を、指定の異なる濃度のOT-101/AP 12009(1 μM~80 μM)とともに7日間インキュベートした。分泌されたTGF-β2は、ELISAによって細胞上清で測定した。結果は、3つの独立した実験からの中央値、最小値、および最大値を表す。
【0265】
初代ヒト高悪性度神経膠腫細胞からのTGF-β2分泌に対するOT-101の効果。初代ヒト神経膠腫細胞によるTGF-β2分泌を減少させるOT-101の能力は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて細胞培養上清中のTGF-β2濃度を測定することにより決定した。10名の高悪性度神経膠腫患者の神経膠腫細胞を、OT-101(5 μMまたは10 μM)の存在下および非存在下で、72時間(HTZ-209、-220、-243、-262、-349、-361、-378、-381)または96時間(A-172)培養した。10個の神経膠腫細胞培養物のうち8個において、TGF-β2分泌は最大87%減少した。
【0266】
OT-101を介したヒト高悪性度神経膠腫細胞増殖の阻害。2つのヒトHGG細胞培養物(HTZ-243およびHTZ-349、WHOグレードIIIおよびIVを表す)を、OT-101(1 μM~10 μM)とともにインキュベートした。表2の結果は、6日以内の細胞数の濃度および時間依存的な減少を示した。
【表2】
【0267】
実施例4. TGF-βを抑制するための賦形剤を含まない安定な薬溶液の調製。
この実施例は、実質的に賦形剤を含まない、TGF-βを抑制および阻害するためのアンチセンス薬の安定でかつ適合性のある溶液の調製を示す。
【0268】
以下に記載される実験は、5℃および37℃のNaCl中の10 μM(61.43 μg/mL)のOT-101溶液は、驚くべきことに、少なくとも2週間安定であったことを示した。さらに、5℃および37℃の等張生理食塩水中での7.35 mg/mLおよび25 mg/mLのOT-101溶液は、驚くべきことに、少なくとも2週間安定であった。
【0269】
臨床試験を模倣した使用時の条件および試験の結果を表3および表4に示す。表3は、TGF-βに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを静脈内注入により患者に投与した場合の結果を示す。
【表3】
【0270】
表3の実験は、5℃および37℃のNaCl中10 μMのアンチセンスオリゴヌクレオチドOT-101は、驚くべきことに、少なくとも2週間安定であったことを示す。表3の実験は、5℃のWFI中のアンチセンスオリゴヌクレオチドOT-101が少なくとも2週間安定であったことを示す。
【0271】
表4は、TGF-βに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを静脈内注入により患者に投与した結果を示す。
【表4】
【0272】
表4の実験は、5℃および37℃のNaCl中で、7.35 mg/mLおよび25 mg/mLのTGF-βアンチセンスオリゴヌクレオチドトラベデルセンは、驚くべきことに、少なくとも2週間安定であったことを示す。
【0273】
10 μM(61.43 μg/mL)のOT-101のさらなる使用時の安定性試験を行った。濃度1.0 mg/mLおよび10 μM(61.43 μg/mL)の分析原液を使用した。0.9%NaCl中の10 μM(61.43 μg/mL)のOT-101臨床的濃度を5℃および37℃で保存後の安定性を確認し、注射用水中の1 mg/mL OT-101分析原液を5℃で2週間保存後の安定性を確認した。実験に使用した材料を表5に示す。
【表5】
【0274】
サンプルの不純物プロファイルはRP-HPLCで測定し、濃度はUVスペクトロメトリーで測定した。RP-HPLCによるサンプルの不純物プロファイルを表6に示す。
【表6】
【0275】
サンプルの濃度を基準サンプルの濃度(t=0日)と比較した。データを表7にまとめる。濃度がそれぞれの参照サンプル濃度の95~105%の間であった場合、結果は適切であると考えられる。
【表7】
【0276】
すべてのUVスペクトルは、OT-101の特徴的なUVスペクトルに対応し、すべての溶液の濃度は、基準(t=0 日)の濃度の±0.8%の範囲内であった。この実験は、5℃および37℃で2週間保存した後の等張生理食塩水中の10 μM(61.43 μg/mL)OT-101溶液の濃度が実質的に変化しないことを示した。
【0277】
これらの実験は、上記のRP-HPLC不純物レベル、UVスペクトルおよび濃度プロファイルに基づいて、5℃および37℃のNaCl中の10 μMのOT-101アンチセンスオリゴヌクレオチド溶液が、少なくとも2週間、驚くべきことに、安定であることを示した。
【0278】
7.35 mg/mLおよび25 mg/mLのOT-101のさらなる使用時の安定性試験を行った。0.9%NaCl中の濃度7.35 mg/mLおよび25 mg/mLのOT-101溶液を、5℃および37℃で2週間保存した後の安定性をチェックした。実験に使用した材料を表8に示す。
【表8】
【0279】
サンプルの不純物プロファイルはRP-HPLCで測定し、濃度はUVスペクトロメトリーで測定した。RP-HPLCによるサンプルの不純物プロファイルを表9に示す。
【表9】
【0280】
不純物プロファイルは、意図された投与に対して適切であった。
【0281】
サンプルの濃度を、参照サンプル(t=0日)の濃度と比較した。データを表10および表11にまとめる。濃度が各参照サンプル濃度の95~105%である場合、結果は適切であった。
【表10】
【表11】
【0282】
すべてのUVスペクトルはOT-101の特徴的なUVスペクトルに対応し、すべての溶液の濃度は基準(t=0日)の濃度の±3.58%の範囲内であった。この実験により、5℃および37℃で2週間保存した後の等張生理食塩水中のOT-101溶液7.35 mg/mLおよび25 mg/mLの濃度は、驚くべきことに、安定で変化しないことが示された。上記のRP-HPLC不純物レベル、UVスペクトルおよび濃度プロファイルに基づき、等張生理食塩水中の7.35 mg/mLおよび25 mg/mLのOT-101溶液は、5℃および37℃で少なくとも2週間、驚くべきことに、安定であった。
【0283】
上記の実験はさらに、1 mL/hの流量で等張生理食塩水中の15 mg/mLのOT-101薬物溶液が、4日間にわたって、意図された静脈内注入のための薬物送達システムに対して驚くべきことに、安定であったことを示した。
【0284】
上記の実験はさらに、7日間にわたって0.24 mL/hの流量で等張生理食塩水中の10 μM(61.43 μg/mL)のOT-101薬物溶液が、意図された静脈内注入用の薬物送達システムに対して驚くべきことに、安定であることを示した。
【0285】
実施例5.一次および代替結合部位を用いてTGF-βを阻害するために発見された新しい医療用組成物、調製物、および方法。
この実施例は、TGF-βを阻害するために発見された新しい医療用組成物、調製物、および方法の同定と使用を示す。TGF-β1の一次および代替結合部位を同定および測定するために、バイオインフォマティクスの構造に基づくリガンド設計を用いて、新しい組成物、調製物、および方法を発見した。
【0286】
TGFβ1のタンパク質結晶構造は、protein data bank (https://www.rcsb.org/)からアクセッションコード3KFDで取得した。このタンパク質は、水素原子を添加し、塩とイオンを除去することで調製した。欠失した側鎖およびループを追加した。最後に、配位を緩和するためにエネルギー最小化を行った。その他すべてのパラメータはデフォルトのままとした。PocketFinderバイオインフォマティックプラットフォームを用いて、標的タンパク質の一次および代替結合部位を検出した。その結果を解析して、結合部位の構造と、結合したリガンドに隣接する残基の向きを同定した。
【0287】
アルテミシニンに基づくリガンド構造を、TGFβ1の構造とのドッキング計算に用いた。ドッキングの前に、テスト構造を最適化して配位を緩和した。ポケット残基はドッキング前にグリッドを生成するために選択され、グリッドは同定された部位ごとに生成された。アルテミシニンのリガンド構造のドッキングは、各ターゲットに対して個別に生成されたグリッド内で行われた。ドッキングの前に、すべてのパラメータはデフォルトのままとした。各部位でドッキングされたリガンドに対して10個のポーズが生成され、その結果1つの最終ポーズが得られた。各ドッキング出力はスコア化され、リガンドのコンフォメーションが決定された。リガンドに対する結合相互作用の性質と種類を決定した。
【0288】
タンパク質の三次元構造は、主にβシートと長い可動性ループで構成されていた。構造は密に充填されていなかったので、低分子でのターゲティングには広範な計算が必要であった。小さな疎水性サブポケットが形成され、そこにアルテミシニンなどの小分子が極性側を溶媒に露出させた状態で占めることができた。溶媒にさらされる部位またはポケットは、タンパク質の溶媒にアクセス可能な表面積が非常に大きい場合に検出された。
【0289】
その結果、結合活性のための2つの部位が決定された。図3に示すように、サイト1は残基Phe24-Lys37が含み、ドッキングスコアは-1.230であった。サイト2は残基Cys7-Gln19が含み、ドッキングスコアは-6.01であった。サイト1とサイト2は、これらのポケットに結合してTGF-β活性を阻害する分子のスクリーニングに使用できる。
【0290】
サイトIIは、結合改善のためにポケット内部でのリガンドサンプリングが改善されていることを示した。リガンドの結合相互作用は水素結合距離内にあり、酵素阻害活性が確認された。さらに、アルテミシニンの極性基は深いポケットの配向を占め、酵素阻害活性が確認された。特に、アルテミシニンのリガンドのケト基がARG15の側鎖と水素結合を形成していたという結果を示した。さらに、リガンドのエーテル基はGLN19の主鎖NHと水素結合を形成した。リガンドとPHE8の間には弱い疎水性相互作用が観察された。ポケットのコアは溶媒に露出していた。これらの構造的特徴から、酵素阻害性の結合と活性が確認された。
【0291】
サイト1またはサイト2に結合する新しい薬分子またはリガンドが同定された。いくつかの実施形態では、アルテミシニンおよびその誘導体は、サイト1またはサイト2に結合し、TGF-β標的を阻害する薬分子またはリガンドであり、その医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体を含み得る。
【0292】
さらなる実施形態では、Trp30を含むTGF-βのサイトIおよび/またはArg15、Gln19、およびPhe8を含むTGF-βのサイトIIと相互作用する低分子またはポリペプチド、またはその医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体を含む化合物またはリガンドは、サイト1またはサイト2に結合し、TGF-β標的を阻害する薬分子またはリガンドである。
【0293】
さらなる実施形態では、残基Phe24-Lys37を含むTGF-βのサイトIおよび/または残基Cys7-Gln19を含むTGF-βのサイトIIのポリペプチドまたはペプチド模倣体、またはその医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体は、サイト1またはサイト2に結合してTGF-β標的を阻害する薬分子またはリガンドである。
【0294】
ある実施形態では、残基Phe24-Lys37を含むTGF-βのサイトIおよび/または残基Cys7-Gln19を含むTGF-βのサイトIIに親和性を有する抗体または抗体フラグメントは、サイト1またはサイト2に結合し、TGF-β標的を阻害する薬分子またはリガンドである。
【0295】
代替的な実施形態では、セスキテルプレンラクトンまたはその誘導体、またはその医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体を含む化合物は、サイト1またはサイト2に結合し、TGF-β標的を阻害する薬分子またはリガンドである。
【0296】
さらなる実施形態では、3つのイソプレニル基と1つのラクトン環を含む化合物、またはその誘導体、またはその医薬上許容される塩、塩多形、エステル、または異性体は、サイト1またはサイト2に結合し、TGF-β標的を阻害する薬分子またはリガンドである。
【0297】
実施例6.アポモルヒネ塩酸塩の経鼻製剤のバイオアベイラビリティおよび許容性試験。
目的およびエンドポイント: 健常対象におけるアポモルヒネ塩酸塩の許容性、安全性、および薬物動態を決定すること。安全性と許容性は有害事象と鼻腔内許容性質問票により評価した。薬物動態パラメータ: Cmax、tmax、AUC0-180、t1/2、およびkelが導出された。
【0298】
方法論: 健康な男性対象における、0.1 mlあたり0.1 mg~2.0 mgの投与量で、健康な女性対象における、0.1 mg~0.75 mgの投与量で、アポモルヒネ塩酸塩経鼻投与の安全性、許容性、および薬物動態を評価する単施設、単回投与、非盲検試験。
【0299】
各用量レベルの調査は、1回の訪問を含む。適格とされた対象は、身体検査、鼻検査を受け、投与前に血圧、脈拍数、および呼吸数を記録した。投与後5分、10分、15分、20分、30分、45分、60分、90分、120分、180分に血液サンプルを採取し、対象は投与から退院(投与後約3時間)までにかけて有害事象について評価された。血圧、脈拍、および呼吸数は投与30分後と退院時に記録された。退院前には鼻の検査も行われた。対象は、120分後の採血が終了するまで、試験中の食事は禁止された。投与90分前と投与後240分間は、熱い飲み物は禁止された。投与と投与の間には、最低3日間のウォッシュアウト期間があった。
【0300】
診断および主な組み入れ基準: 当初のプロトコルに採用された対象は、18~45歳の健康な非喫煙男性であった。プロトコル修正5では、18~45歳の健康な非喫煙女性対象の参加も認めるように試験を拡張した。鼻の吸収に影響を及ぼす可能性の高い鼻の状況(慢性鼻血、アレルギー性鼻炎、重度の鼻中隔彎曲症など)を有する対象は試験から除外した。
【0301】
薬物、用量、およびレジメン: 各処置訪問で、男性対象は以下の1用量を受けた:
【0302】
アポモルヒネ塩酸塩点鼻スプレー、0.1 mlあたり0.1 mg; ロット#L/N 00015A
アポモルヒネ塩酸塩点鼻スプレー、0.1 mlあたり0.25 mg; ロット#L/N 00013A
アポモルヒネ塩酸塩点鼻スプレー、0.1 mlあたり0.50 mg; ロット#L/N 00014A
アポモルヒネ塩酸塩点鼻スプレー、0.1 mlあたり1.0 mg; ロット#L/N 99049A
アポモルヒネ塩酸塩点鼻スプレー、0.1 mlあたり2.0 mg; ロット#L/N 99049A
各処置訪問時に、女性対象に以下を1回投与した。
アポモルヒネ塩酸塩点鼻スプレー、0.1 mlあたり0.1 mg; ロット#L/N 00018A
アポモルヒネ塩酸塩点鼻スプレー、0.1 mlあたり0.25 mg; ロット#L/N 00019A
アポモルヒネ塩酸塩点鼻スプレー、0.1 mlあたり0.50 mg; ロット#L/N 00020A
アポモルヒネ塩酸塩点鼻スプレー、0.1 mlあたり0.75 mg; ロット#L/N 99023A。
【0303】
統計的方法: 薬物動態パラメータは、PKAnalystソフトウェアを用いて導出した。線形フィッティング操作および最小二乗法最小化アルゴリズムを用いて、1コンパートメント、1次入力、および1次出力モデルにデータを適合させた。
【0304】
結果: 合計32名の健康な男性ボランティアが、75用量の試験処置を受けた。対象は複数の用量レベルを受けることが許可され、16名の対象は1用量レベルのみを受け、5名の対象は2用量レベルを受け、2名の対象は3用量レベルと2名の対象は4用量レベルを受け、7名の対象は5用量レベルすべてを受けた。
【0305】
しかし、1 mgと2 mgの用量レベルでは、一部のサンプルの薬物動態学的分析に問題があったため、47用量のみが薬物動態学的に分析された(0.1 mgと0.25 mgレベルで12名、0.50 mgレベルで11名、1.0 mgと2.0 mgレベルで各6名)。
【0306】
さらに、14名の健康な女性対象が48用量の試験処置を受けた: 10名が4用量レベルすべてを受け、2名が3用量レベルのみを受け、2名が1用量レベルのみを受け、1用量レベルにつき12名の対象を得た。
【0307】
薬物動態学的結果: 男性では、血漿中Cmaxは用量依存的に増加し、tmaxは約20分以内に得られた; 血漿中濃度の50%減少は、投与後40~60分で認められた。Cmax(変動係数[CV]24-63%)およびAUC(CV 26-60%)の対象間変動は比較的小さかった。表12に男性の薬物動態データをまとめる。
【表12】
【0308】
女性では、アポモルヒネは5分以内に血中で検出可能であり、対象では投与後22~28分以内に最大値に達した。tmaxは用量に依存しなかった。Cmax値は0.031~0.479 ng/mlの間であった。表13に女性の薬物動態データをまとめる。
【表13】
【0309】
アポモルヒネの経鼻製剤を用いた薬物動態学的試験により、以下が示された:
【0310】
アポモルヒネの最大血漿中濃度は、舌下製剤の公表値と比較して、経鼻製剤ではより迅速に得られた(tmax値はそれぞれ15~20分および45分)。Cmaxは、舌下投与と比較して経鼻投与で約4倍高かった(2 mg投与でそれぞれ2.7 ng/mlおよび0.7 ng/ml)。
【0311】
男性における2 mgの経鼻投与での曝露量は、同じ用量を舌下投与した場合の報告値の約2倍であった(AUC0-180は、舌下製剤のAUC0-∞が1.23ng.h/mlであるのに対し、経鼻製剤のAUC0-180は2.1ng.h/ml)。
【0312】
経鼻投与されたアポモルヒネもまた、舌下製剤について報告されたよりもはるかに迅速に体内から消失した。報告されたt1/2値は、舌下製剤で2~4時間に対し、経鼻製剤で11~15分である。
【0313】
それゆえ、経鼻投与経路は舌下投与経路よりも最大血漿濃度のより迅速な送達に効率的な薬物送達経路のようである。SLアポモルヒネ(Uprima)のアポモルヒネは舌下腔から迅速に吸収され、錠剤を舌下に置いてから10分以内に血漿中に検出される。血漿中濃度のピークに約40~60分で到達する。Uprima舌下錠の投与強度を増加させると、CmaxおよびAUCが用量に比例して増加する。皮下投与に対する舌下錠からのアポモルヒネのバイオアベイラビリティは約17~18%であった。アポモルヒネの舌下投与との比較では、以下の所見が得られた:
【0314】
AL-101(IN)はより速かった: 舌下(SL)錠剤の溶解自体に限度がありうる。
AL-101(IN)はより効率的であった: INのより高いCmaxは、迅速な取り込みと良好な吸収に関連していた; INのより低いAUCは、全吸収に関連していた。
AL-101(IN)は変動が少なかった: Cmaxにばらつきがあるため、投与量に基づいて(SL製剤の)安全性を予測するのは困難でありうる。
【0315】
これらのデータは、図4にグラフで示す。
【0316】
実施例7.アポモルヒネ塩酸塩の経鼻製剤の安全性および有効性。
表題: 主に心因性の勃起不全を有する対象におけるアポモルヒネ塩酸塩の経鼻製剤のプラセボおよびバイアグラに対する許容性、安全性、および潜在的有効性を評価するためのパイロット、二重盲検、二重ダミー、対照、クロスオーバー試験。
【0317】
目的およびエンドポイント: 主に心因性の勃起不全を有する男性対象において、プラセボおよびバイアグラと比較して、0.1 mlあたり0.25 mg~1.0 mgの用量のアポモルヒネ塩酸塩の鼻腔内許容性、有害薬物反応プロファイル、および有効性を評価すること。有効性の主要な有効性パラメータは、各対象による勃起の質の評価(4段階評価)であった。副次的エンドポイントは、勃起の頻度、投与から勃起までの時間、勃起の持続時間、勃起を達成した対象の有効性指数(EI)を含んだ。安全性は主に有害事象によって評価されたが、心血管への影響も投与前と投与後に血圧、心拍数、酸素飽和度をモニタリングすることによっても調査された。両鼻孔の鼻粘膜の完全性もまた、投与前、鼻症状の発生時、および各処置訪問の終了時に評価した。
【0318】
方法論: 主に心因性の勃起不全を有する男性対象において、0.1 mlあたり0.25 mg~1.0 mgの投与量の経鼻アポモルヒネ塩酸塩投与の安全性、許容性、有効性をプラセボおよびバイアグラと比較評価するための、単一施設、単回投与、二重盲検、二重ダミー、対照クロスオーバー試験。対象は、初回スクリーニングと適格性確認の訪問、第1部の3回の処置訪問、第2部の2回の処置訪問の合計6回の施設訪問を行った。適格とされた対象は、初回スクリーニング訪問の後、第1部の処置順序に無作為化した。約2ヵ月後、対象は第2部の処置順序に無作為化した。
【0319】
各処置訪問で、試験処置が単回投与した。有効性は、各対象が記入したED質問票によって測定した。投与後、すべての対象が約60分間、性的に露骨なビデオテープや雑誌を閲覧した。この時間の終わりに、アンケートを記入し、患者は勃起の質を4点満点で評価するよう求められた。主な有効性の変数は、対象の勃起の全体的な評価であり、1~4の尺度で測定された: 1=サイズが大きくなったが硬くない; 2=硬いが膣挿入に対し十分に硬くない; 3=膣挿入に対し十分に硬い(しかし、完全に硬いわけではない); 4=完全に硬い。
【0320】
安全性は、投与前および投与後(投与開始から約90分後)に対象の血圧、心拍数および酸素飽和度パーセント(パルスオキシメトリーによる)をモニタリングすることにより測定した。さらに、投与前と投与終了時に対象の鼻粘膜の完全性を評価した。有害事象に関する情報は、試験期間を通じて収集した。
【0321】
全試験の期間は、対象1名につき3~4ヵ月であった。2回の処置間の最短時間は24時間であった。試験の第1部は1ヵ月間にわたって実施され、第2部はその約2ヵ月後に実施された。
【0322】
診断および主な組み入れ基準: 対象は、18~65歳の異性愛者の男性で、非器質的病因による6ヵ月超の勃起不全の既往歴があると自己申告した者(医療記録または海綿体内注射による診断で確認)であった。対象は、全体的に健康で、臨床的に重要な臨床検査プロファイルがなく、試験製品の投与に使用される鼻孔の鼻粘膜が正常であった。
【0323】
鼻の吸収に影響を及ぼす可能性の高い鼻の状態(慢性鼻血、アレルギー性鼻炎、重度の鼻中隔彎曲症など)を有する対象は、試験から除外した。臨床的に重大な心血管疾患または呼吸器疾患を有する対象、特に併用薬として有機硝酸塩または一酸化窒素供与体を投与されている対象も除外した。
【0324】
薬物、用量、およびレジメン: 各処置訪問時に、対象は1回分の試験処置を受けた。対象は、無作為化された順序で以下を受けた。
【0325】
アポモルヒネ塩酸塩点鼻スプレー、0.1 ml中1.0 mg
バイアグラ50 mg錠剤
アポモルヒネ塩酸塩試験製剤と整合するプラセボ点鼻薬製剤。
【0326】
結果: スクリーニングされた24名の対象のうち、21名を登録し、試験の第1段階を完了した。これらの21名の対象のうち、18名が試験の第2段階を完了した。
【0327】
有効性の結果: グローバル自己評価スコア(グレード3または4)を用いると、プラセボ群では39%の有効性が観察された。バイアグラ群では67%の有効性が観察された。経鼻アポモルヒネ投与群の有効性は72~82%の範囲であった。アポモルヒネ0.5 mgとプラセボの差は統計学的に有意であった。その結果、アポモルヒネ経鼻処置対象の60~70%が満足のいく勃起(対象による報告)を達成したのに対し、プラセボ群およびバイアグラ(登録商標)群では約30%であった; アポモルヒネ0.5 mg投与群とプラセボ群との差は統計学的に有意であった(p=0.03)。アポモルヒネ0.5 mg群とプラセボ群の差は統計学的に有意であった(p=0.03)。
【0328】
結論: この試験では、アポモルヒネ塩酸塩0.25、0.50、1.0 mg、バイアグラ50 mg、およびプラセボの勃起開始における有効性に統計学的に有意な差は認められなかった。各処置の有害事象プロファイルは類似しており、試験中に重篤な有害事象は認められなかった。アポモルヒネの各投与後およびプラセボ投与後に心拍数のわずかな減少が検出されたが、心血管パラメータに臨床的に有意な変化は検出されなかった。
【0329】
試験2
【0330】
表題: 心因性または器質性の勃起不全の処置のために点鼻スプレー製剤として投与されるアポモルヒネ塩酸塩の安全性および有効性を評価するための二重盲検、固定用量、自宅での概念実証試験。
【0331】
目的およびエンドポイント: 心因性または器質性の勃起不全患者において、アポモルヒネ塩酸塩の安全性および有効性を自宅での設定で評価すること。主要な有効性は、SEPの質問2(「少なくともある程度勃起することができましたか」)および質問3(「陰茎をパートナーの膣に挿入することができましたか」)の回答に基づく。安全性は、主に有害事象により評価した; 鼻粘膜検査は、診療所訪問時に実施し、バイタルサインを記録した。
【0332】
方法論: これは、あらゆる病因および重症度のEDを有する男性を対象とした、無作為化、多施設、二重盲検、固定用量試験であった。ベースライン時の人口統計学的分析によると、この試験に参加した人の50%が心因性、26%が混合器質性、24%が糖尿病性のEDであった。
【0333】
スクリーニングに従い、患者をプラセボ、0.25 mg、0.5 mg、1.0 mgのアポモルヒネの4群に無作為に割り当てた。処置は最大18回の投与からなり、試験処置は性交の15~20分前に行ったが、1日1回までであった。患者は、試験処置を行い、性交を試みるたびに、自宅で日誌にSEP(sexual encounter profile)を記入した。患者は6回の服用ごとに診療所に戻り、診療所の受診時に有効なED質問票(国際勃起機能指数[IIEF]スコア)に記入した。さらに、試験終了時にグローバルな有効性に関する質問に回答した。
【0334】
診断と主な組み入れ基準: 対象は、18~75歳の異性愛者の男性で、3ヵ月超の期間、心因性または器質性由来の勃起不全を有する者であった。
【0335】
薬物、用量、およびレジメン: 対象は、以下の処置のいずれかに無作為化された:
【0336】
プラセボ点鼻スプレー
アポモルヒネ塩酸塩点鼻スプレー、0.1 ml中0.25 mg
アポモルヒネ塩酸塩点鼻スプレー、0.1 ml中0.50 mg
アポモルヒネ塩酸塩点鼻スプレー、0.1 ml中1.0 mg。
【0337】
統計的方法: 共分散分析(ANCOVA)、および95%信頼区間を適宜用いたロジスティック回帰を、処置群の比較に用いた。統計的検定は両側、5%の有意水準で行った。
【0338】
結果: スクリーニングされた246名の患者のうち、184名が登録され、125名が試験を完了した。
【0339】
有効性の結果: プラセボと比較して、アポモルヒネ塩酸塩を投与されたより多くの患者が、ある程度の勃起を達成し、陰茎をパートナーの膣に挿入することができた。例えば、膣挿入の成功率は、表14に示すように、プラセボを投与された患者が36%であったのに対し、アポモルヒネ塩酸塩の0.5 mgおよび1.0 mgを投与された患者は73%および82%であった。
【表14】
【0340】
結論: その結果、経鼻アポモルヒネ投与は、心因性または器質性の勃起不全に対して、安全で許容性が高く、有効な処置であることが示された(特に、0.5 mgおよび1.0 mgの用量レベルにおいて)。
【0341】
約30名の患者を対象とした6ヵ月の非盲検延長試験が、この試験に追加された。プラセボの対象は0.5 mgの活性薬に用量設定され、0.25 mgの対象は1.0 mgの活性薬に用量設定され、0.5 mgの対象は1.0 mgに用量設定されるか、または0.5 mgのアポモルヒネのままであり、1.0 mgの対象はその用量のままであった。
【0342】
試験3
【0343】
表題: 後天性女性性機能障害を有する閉経前患者における経鼻アポモルヒネ塩酸塩の自宅でのオンデマンド投与の有効性と安全性に関するパイロット第II相無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行デザイン試験。
【0344】
目的およびエンドポイント: 本試験の目的は、経口避妊薬を服用している閉経前女性で女性性興奮障害を有する患者を対象として、経鼻アポモルヒネ0.5 mgの在宅投与の安全性と有効性をプラセボと比較して評価することであった。
【0345】
方法論: 本試験は、パイロット、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験として計画した。対象を4週間の前処置期間と12週間の在宅処置期間に登録した。対象は、性機能に関する処置前および処置後のアンケートに回答し、また、試験薬の各在宅投与後に性的事象ログに回答する。
【0346】
診断および主な組み入れ基準: 経口避妊薬を服用している閉経前の女性で、後天性女性性興奮障害の診断を受けている。
【0347】
薬物、用量、およびレジメン:
アポモルヒネ0.5 mg点鼻スプレー
プラセボ点鼻スプレー。
【0348】
対象は、活性とプラセボを2:1の比で無作為に割り当てられる。対象には、24時間に1回を超えて服用しないように指示する。最初の4週間の処置期間には11回分、その後の4週間の処置期間には12回分が調剤される。
【0349】
結果: アポモルヒネは女性性興奮障害に有効であった。
【0350】
有効性および安全性のまとめを表15に示す。
経鼻アポモルヒネ投与は有害事象プロファイルが低い
200名以上の患者(2,200回投与)が経鼻アポモルヒネ投与の臨床試験に参加した(最高78歳老人患者を含む)
吐き気の発生率は非常に低い
現在までのところ、患者における嘔吐、失神、または低血圧の発生はない
以下にデータを示す
CNSへの優先的輸送はアポモルヒネに関連する副作用が軽減した
経鼻アポモルヒネ投与の副作用はバイアグラやシアリスより優れていた。
【表15】
【0351】
実施例8. 鼻腔内および舌下投与後の脳脊髄液(CSF)アポモルヒネ濃度の評価。
目的およびエンドポイント: 経鼻投与および舌下投与後の健常男性におけるアポモルヒネのCSFレベルを比較すること、およびCSFアポモルヒネレベルを血漿レベルと比較すること。
【0352】
方法論: 本試験は、6つの試験群のそれぞれに2回単回用量のアポモルヒネを投与するオープンなクロスオーバー比較であった。投与間には少なくとも3日間のウォッシュアウトが必要であった。
【0353】
投与後、対象は腰椎穿刺を受けた。腰椎穿刺は、投与後15分、20分、および30分に実施された(各群の対象の3分の1が、これらの各時間でサンプリングされる予定であった)。血液サンプルは投与後0、5、10、20、30、60、および120分に採取された。対象は投与から退院(投与後約4時間)まで有害事象について評価された。鼻の検査とバイタルサインも試験期間中に間隔をおいて記録された。対象は、退院後24~48時間に電話で追跡調査された。
【0354】
診断および主な組み入れ基準: 非喫煙者である18~40歳の健康な男性。
【0355】
薬物、用量、およびレジメン: 対象に、以下のようにアポモルヒネを経鼻および舌下投与した:
【0356】
結果: (a)皮下製剤は、血漿と比較してCSF中に2.5~4.3%のレベルを生じた。(b)経鼻製剤は、血漿に対してCSF中に26.7~44.1%のレベルを生じる。(c)経鼻製剤は、皮下製剤よりも4標準偏差高い髄液中濃度をもたらす。(d)経鼻投与による髄液への直接投与は、髄液への優先的蓄積をもたらし、髄液から全身循環への漏出がほとんどないことを示唆し、腰椎穿刺またはオンマヤリザーバーからの直接投与はアポモルヒネを中枢神経系に局在させることを示唆した。(e)全身へのアポモルヒネ投与に伴う副作用を避けるため、全身への曝露を最小限に抑えながら髄液にアポモルヒネを投与するには、経鼻投与が望ましい。さらにこの点について、特に重篤な神経障害に対しては、腰椎穿刺またはオンマヤリザーバーによる髄腔内投与が望ましい。
【0357】
この実施例の結果を図5に示す。
【0358】
実施例9.再発高悪性度神経膠腫の成人患者におけるOT-101 の2用量の有効性と安全性の評価。
G004試験は、再発高悪性度神経膠腫の成人患者を対象として、OT-101の2用量を7日間隔週で連続的に高流量マイクロ灌流として腫瘍内に投与し、その有効性と安全性を評価する多国籍、多施設、非盲検、陽性対照、無作為化並行群間用量設定試験である(NCT00431561)。さらに、2用量のOT-101の有効性と安全性を標準化学療法(TMZまたはPCV)と比較した。98名の患者(AA: 30名; GBM: 68名)が、2つの異なる用量コホート、すなわちそれぞれ2.5 mg/サイクル(N=48名)および19.8 mg/サイクル(N=50名)を表すOT-101の2つの処置群(intent-to-treat population [ITT])のいずれかに無作為に割り当てられた。
【0359】
我々の第2相臨床試験(NCT00431561)において、OT-101は、R/R高悪性度神経膠腫を有する成人89名(GBM患者62名、AA患者27名)に対して、CEDシステムを用いた腫瘍内カテーテルによる頭蓋内投与により、7日間にわたって持続的に頭蓋内に注入された。7日間のOT-101サイクルの予定最小回数は4回であり、7日間のOT-101サイクルの最大許容回数は11回であった。
【0360】
対照群(TMZ)と比較して、OT-101を投与された患者は、攻撃性(5%)、激越(5%)、不安(5%)、錯乱(12%)、不眠症(5%)、気分変化(2%)を32%の患者に認め、精神医学的変化のレベルが3倍であった。
図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
2024531685000001.xml
【国際調査報告】