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▶ イーライ リリー アンド カンパニーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】AHRアゴニスト
(51)【国際特許分類】
   C07D 215/54 20060101AFI20240822BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/4704 20060101ALI20240822BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALI20240822BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20240822BHJP
   C07D 471/06 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20240822BHJP
   C07D 417/12 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
C07D215/54 CSP
A61P17/06
A61P1/04
A61P37/06
A61P25/00
A61K31/4704
C07D401/12
A61K31/4709
A61K31/506
A61K31/497
A61K31/4375
C07D471/04 113
C07D471/06
C07D471/04 102
A61K31/444
C07D417/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515893
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 US2022043299
(87)【国際公開番号】W WO2023039275
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/261,118
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/261,794
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】ショヴィニエ-ハインズ,ラシー マリエ
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,クリスチャン アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ガーナート,ダグラス リン
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,スティーブン ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ワトソン,ブライアン モーガン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC29
4C086BC42
4C086BC48
4C086BC82
4C086CB09
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA10
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA68
4C086ZB08
4C086ZC41
(57)【要約】
本開示は、ある特定の置換されたAHRアゴニスト化合物、化合物を含む医薬組成物、及び免疫介在性疾患を治療するために化合物を使用する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物であって、
【化1】
が、1~2個のRで任意に置換されたフェニル、Rで任意に置換された5~6員ヘテロアリール、及びRで任意に置換されたC~Cシクロアルキルから選択され、
が、独立して、ハロゲン、C~Cアルキル、CF、OH、O(C~Cアルキル)、O(C~C)OCH、及びNH(C~Cアルキル)N(CHから選択され、
が、ハロゲン、C~Cアルキル、ニトリル、CF、及びO(C~Cアルキル)から選択され、
が、O(C~Cアルキル)であり、
Xが、N及び-C(R)-から選択され、
が、C~Cアルキルであるか、又はRと一緒になって5~6員複素環縮合環を形成し、
が、水素、ハロゲン、NH(C~Cアルキル)N(CHであるか、又はRと一緒になって5~6員複素環縮合環を形成し、
が、水素、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、NH(C~Cアルキル)、N(C~Cアルキル)、NH(C~Cアルキル)OH、NH(C~Cアルキル)N(C~Cアルキル)、及びO(C~Cアルキル)OHから選択される、化合物、
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
が、Rで任意に置換された5~6員ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
が、5~6員ヘテロアリールである、請求項1又は2に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
Xが、CHである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
が、C~Cアルキルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
が、CHである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
が、水素、CH、NH(CH)、N(CH、N(CHCH)OH、N(CHCH)N(CH、及びO(CHCH)OHから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
が、水素及びN(CHCH)N(CHから選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物:
【化2】
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物:
【化3】
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とともに含む、医薬組成物。
【請求項12】
患者における免疫介在性疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項11に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項13】
患者における乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病、移植片対宿主病、及び多発性硬化症から選択される疾患又は障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項11に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項14】
療法における使用のための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病、移植片対宿主病、及び多発性硬化症から選択される疾患又は障害の治療に使用するための、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規AHRアゴニスト化合物、化合物を含む医薬組成物、及びある特定の生理学的障害を治療するために化合物を使用する方法に関する。
【0002】
本発明は、アリール炭化水素受容体(aryl hydrocarbon receptor、AHR)の活性化を介したある特定の免疫介在性疾患(immune-mediated diseases、IMD)、特に乾癬の治療の分野にある。
【背景技術】
【0003】
IMDは、世界中の人口の約4%に影響を及ぼす広範囲の慢性及び消耗性炎症状態を包含する。現在利用可能な治療の限られた有効性を考慮すると、IMDの治療のための強力で選択的かつ安全な薬物に対する重要な満たされていない必要性が存在する。
【0004】
AHRは、免疫学的機能の多くの局面、最も顕著には適応免疫応答の抑制を調節する転写因子である(Ehrlich et al.,Curr.Opin.Toxicol.,2,72-78(2017))。プロトタイプAHRアゴニストとしては、ハロゲン化ジベンゾジオキシン、例えば2,3,7,8-テトラクロロジベンゾジオキシン(tetrachlorodibenzodioxin、TCDD)、トリプトファン代謝産物、例えばL-キヌレニン、ビリルビン及びPGE2が挙げられる。AHRアゴニスト、特にTCDDに関する研究からの結果は、制御性T細胞(Treg)、TH17細胞及び樹状細胞(dendritic cell、DC)のAHR誘導性発現の結果として免疫抑制が起こることを示唆している(Rothhammer et al.,Nat.Rev,Immunol.,19,184-197(2019))。TCDDは、1型糖尿病(Kerkvliet et al.,Immunotherapy,1,539-547(2009))、自己免疫性脳脊髄炎(Quintana et al.,Nature,453,65-71,(2008))、自己免疫性ブドウ膜網膜炎(Zhang et al.,Invest.Opthalmol.Vis.Sci.,51,2109-2117(2010))、炎症性腸疾患(Takamura et al.,Immunol.Cell.Biol.,88,685-689(2010)、Benson et al.,Toxicol.Sci.,120,68-78(2011)、Singh et al.,PLoS One,6(8),e23522(2011))、並びに移植耐性(Pauly at al.,Toxicol.Environ.Chem.,94,1175-1187(2012))及びアレルギー性疾患(Schulz et al.,Toxicol.Sci.,123,491-500(2011)、Li et al,PLoS One,11,e0150551(2016)、Luebke et al.,Toxicol.Sci.,62,71-79(2001))のいくつかのモデルを含む、IMDのいくつかのマウスモデルの予防において有効であると示されている。
【0005】
AHRはまた、多環芳香族炭化水素(polycyclic aromatic hydrocarbon、PAH)及び他の芳香族化合物(例えば、エストロゲン)の代謝を触媒する、CYP1A1、CYP1A2及びCYP1B1の発現を調節する。場合によっては(例えばベノ[a]ピレンの場合)、この代謝は反応種の形成をもたらすが、CYP誘導はまた、PAHの解毒及び代謝クリアランスにも重要であると考えられ、これは生物活性化及びDNA付加物形成の確率を低下させる。いくつかの市販薬は、FDA承認後にAHRを活性化することが見出されたが(したがって、CYP1A1、CYP1A2及びCYP1B1を上方制御する)、それらの長期使用は、ジオキシン様毒性に関連していない(Ehrlich et al.,Curr.Opin.Toxicol.,2,72-78(2017))。このように、CYP誘導はもはや、治療におけるAHRアゴニストの採用に対する障壁とはみなされていない(Ehrlich et al.,Curr.Opin.Toxicol.,2,72-78(2017))。
【0006】
1%局所クリームとして製剤化された細菌性スチルベノイドDMVT-505(タピナロフ)は、現在、成人における尋常性乾癬の治療のための第3相臨床試験を受けている(NCT04053387)。これにもかかわらず、IMDの治療のための新規の経口、選択的かつ強力なAHRアゴニストが依然として必要とされている。
【0007】
国際公開第2008/014307号は、ウンデカプレニルピロリン酸シンターゼの阻害剤としてある特定の二環式ヘテロアリールアミドを開示している。欧州特許第0059698号は、ある特定の複素環式カルボキサミド、これらの化合物を含有する組成物、及びこれらの組成物による治療方法を開示している。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、AHRのアゴニストである、ある特定の化合物を提供する。
【0009】
したがって、本発明は、式Iの化合物であって、
【化1】
式中、
が、1~2個のRで任意に置換されたフェニル、Rで任意に置換された5~6員ヘテロアリール及びRで任意に置換されたC~Cシクロアルキルから選択され、
が、独立して、ハロゲン、C~Cアルキル、CF、OH、O(C~Cアルキル)、O(C~C)OCH及びNH(C~Cアルキル)N(CHから選択され、
が、ハロゲン、C~Cアルキル、ニトリル、CF及びO(C~Cアルキル)から選択され、
が、O(C~Cアルキル)であり、
Xが、N及び-C(R)-から選択され、
が、C~Cアルキルであるか、又はRと一緒になって5~6員複素環縮合環を形成し、
が、水素、ハロゲン、NH(C~Cアルキル)N(CHであるか、又はRと一緒になって5~6員複素環縮合環を形成し、
が、水素、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、NH(C~Cアルキル)、N(C~Cアルキル)、NH(C~Cアルキル)OH、NH(C~Cアルキル)N(C~Cアルキル)及びO(C~Cアルキル)OHから選択される、化合物、
又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0010】
本発明はまた、Rが、Rで任意に置換された5~6員ヘテロアリールである、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0011】
本発明は、Rが、5~6員ヘテロアリールである、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を更に提供する。
【0012】
本発明はまた、Xが、CHである、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0013】
本発明は、Rが、C~Cアルキルである、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0014】
本発明は、Rが、CHである、式Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を更に提供する。
【0015】
本発明は、Rが、水素、CH、NH(CH)、N(CH、N(CHCH)OH、N(CHCH)N(CH及びO(CHCH)OHから選択される、式Iの化合物を提供する。
【0016】
本発明は、Rが、水素及びN(CHCH)N(CHから選択される、式Iの化合物を提供する。
【0017】
本発明は、以下から選択される式Iの化合物:
【化2】
又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0018】
本発明はまた、以下から選択される式Iの化合物を更に提供する:
【化3】
【0019】
本発明は更に、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とともに、上記実施形態のうちのいずれかによる化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物を更に提供する。
【0020】
本発明は、患者における免疫介在性疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の上記実施形態のうちのいずれかによる化合物又は医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0021】
本発明はまた、患者における乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病、移植片対宿主病、及び多発性硬化症から選択される疾患又は障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の上記の実施形態のうちのいずれかによる化合物又は医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0022】
本発明は、療法における使用のための、上記実施形態のうちのいずれかによる化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0023】
本発明はまた、乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病、移植片対宿主病、及び多発性硬化症から選択される疾患又は障害の治療における使用のための、上記実施形態のうちのいずれかによる化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0024】
更に、本発明は、免疫介在性疾患の治療のための医薬品を製造するための、上記の実施形態のうちのいずれかによる化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。加えて、本発明は、乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病、移植片対宿主病、及び多発性硬化症から選択される疾患又は障害の治療のための医薬品を製造するための、上記実施形態のうちのいずれかによる化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書で使用される場合、単独で又はより大きな部分の一部として使用される「アルキル」という用語は、1個以上の炭素原子を含む飽和、直鎖又は分岐鎖炭化水素基を指す。
【0026】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、少なくとも3個の炭素原子を含む飽和環系を指す。例示的な単環式シクロアルキル環としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが挙げられる。
【0027】
本明細書で使用される場合、「複素環式」という用語は、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子を含む任意に置換された飽和環系を指す。例示的なヘテロ原子は、酸素、窒素及び硫黄である。例示的な複素環式環としては、オキシラン、アジリジン、オキセタン、オキソラン、ピロリジン、ピペリジン及びモルホリンが挙げられる。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、5~10個の環原子、好ましくは5、6、9、又は10個の環原子を有し、環状配列で共有される6、10、又は14個のπ電子を有し、炭素原子に加えて、1~5個のヘテロ原子を有する基を指す。「ヘテロ原子」という用語は、窒素、酸素、又は硫黄を指し、窒素又は硫黄の酸化型、及び塩基性窒素の四級化型を含む。ヘテロアリール基としては、例えば、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル及びピラジニルが挙げられる。「二環式ヘテロアリール」という用語は、ヘテロアリール環がもう1つのアリール環又はヘテロアリール環に縮合している基を含む。非限定的な例としては、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル及びキノキサリニルが挙げられる。
【0029】
本明細書中で使用される場合、「免疫介在性疾患」という用語は、細胞恒常性の変化を特徴とする自己免疫炎症性障害の群を包含する。免疫介在性疾患は、環境因子、食習慣、感染因子、及び遺伝的素因によって引き起こされ得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、「治療すること(treating)」という用語は、既存の症状又は障害の進行又は重症度を制限、減速、停止、又は反転させることを含む。
【0031】
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、ヒトを指す。
【0032】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、患者に単回又は複数回投与すると、診断中又は治療中の患者に所望の効果を提供する、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩の量又は投与量を指す。
【0033】
有効量は、既知の技法を使用して当業者によって容易に決定され得る。患者の有効量を決定する際に、限定はしないが、患者の種、そのサイズ、年齢、及び全般的健康状態、関連する特定の疾患又は障害、疾患又は障害の程度又は関与又は重症度、個々の患者の応答、投与された特定の化合物、投与様式、投与された調製物の生物学的利用能特性、選択された投与レジメン、併用薬の使用;並びに他の関連する状況を含む、いくつかの要因が考慮される。
【0034】
本発明の化合物は、概して、幅広い投薬量範囲にわたって有効である。例えば、1日当たりの投薬量は、通常、約0.1~約15mg/kg体重の範囲内である。いくつかの事例では、前述の範囲の下限よりも低い投薬量レベルが十分以上であり得る一方で、他の事例では、許容される副作用を伴って、更に多い用量が用いられてもよく、したがって、上記の投薬量範囲は決して本発明の範囲を限定するようには意図されていない。
【0035】
本発明の化合物は、好ましくは、経口経路及び経皮経路を含む、化合物を生物学的に利用可能にする任意の経路によって投与される薬学的組成物として製剤化される。より好ましくは、そのような組成物は、経口投与用である。そのような医薬組成物及びそれらを調製するためのプロセスは、当該技術分野で周知である(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,A.Adejare,Editor,23rd Edition,Elsevier Academic Press,2020を参照されたい)。
【0036】
本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩は、当該技術分野において周知でありかつ理解される方法による以下の調製及び実施例に従って調製され得る。これらの調製及び実施例の工程に対する好適な反応条件は、当該技術分野において周知であり、溶媒及び共試薬の適切な置換は、当該技術分野の技術の範囲内である。同様に、当業者であれば、合成中間体が必要に応じて又は所望どおりに様々な周知の技法によって単離及び/又は精製され得ること、並びに多くの場合、様々な中間体をほとんど又は全く精製することなくその後の合成工程で直接使用することが可能であることを理解するであろう。例として、調製及び実施例の化合物は、例えば、シリカゲル精製によって単離することができ、濾過又は結晶化によって直接単離することができる。更に、当業者であれば、いくつかの状況下で、部分(moieties)が導入される順序が重要ではないことを理解するであろう。本発明の化合物を製造するのに必要な工程の特定の順序は、合成される特定の化合物、出発化合物、及び置換部分の相対的な不利益に依存し、熟練の化学者に十分に理解されている。全ての置換基は、別段示されない限り、以前に定義される通りであり、全ての試薬は、当該技術分野において周知であり、理解されている。
【0037】
ある特定の略語は、以下に定義される通りである。「BrettPhos Pd G3」は、[(2-ジ-シクロヘキシルホスフィノ-3,6-ジメトキシ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)-2-(2’-アミノ-1,1’-ビフェニル)]パラジウム(II)メタンスルホネートを指し、「BSA」は、ウシ血清アルブミンを指し、「DIEA」は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンを指し、「DMEM」は、ダルベッコ改変イーグル培地を指し、「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを指し、「DPBS」は、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水を指し、「EGFP」は、増強された緑色蛍光タンパク質を指し、「EtO」は、ジエチルエーテルを表し、「EtOH」は、エチルアルコールを表し、HATUは、(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェートを指す。「hr.」又は「hrs.」は、単数又は複数の時間を指し、「min」は、分を指し、「Pd(dba)」は、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)を指し、「SCX」は、強カチオン交換を指し、「TBAF」は、テトラ-n-ブチルアンモニウムフッ化物を指し、「tBuONa」は、ナトリウムtert-ブトキシドを指し、「THF」は、テトラヒドロフランを指し、「tBuXphos」は、2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニルを指す。
【0038】
任意の工程において、上記の実施形態のうちのいずれかによる化合物の薬学的に許容される塩は、標準条件下の適切な溶媒中での適切な遊離塩基と適切な薬学的に許容され得る酸との反応によって形成され得る。そのような塩の形成は、当該技術分野で周知であり、理解されている。例えば、Gould,P.L.,「Salt selection for basic drugs,」International Journal of Pharmaceutics,33:201-217(1986)、Bastin,R.J.,et al.「Salt Selection and Optimization Procedures for Pharmaceutical New Chemical Entities,」Organic Process Research and Development,4:427-435(2000)、及びBerge,S.M.,et al.,「Pharmaceutical Salts,」Journal of Pharmaceutical Sciences,66:1-19,(1977).「Salt selection for basic drugs,」International Journal of Pharmaceutics,33:201-217(1986)を参照されたい。当業者は、上記の実施形態のうちのいずれかによる化合物が、薬学的に許容される塩に容易に変換され、薬学的に許容される塩として単離され得ることを理解するであろう。
【0039】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、当該技術分野において既知の様々な手順によって調製されることができ、それらのうちのいくつかは、以下のスキーム、調製物、及び実施例において例証される。記載される経路の各々についての特定の合成工程は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を調製するために、異なる方法で、又は異なるスキームからの工程と併せて、組み合わせてもよい。以下のスキームにおける各工程の生成物は、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィ、濾過、粉砕、及び結晶化を含む、当該技術分野において周知の従来の方法によって回収され得る。以下のスキームにおいて、全ての置換基は、別途指示のない限り、以前に定義される通りである。試薬及び出発物質は、当業者であれば容易に入手可能なものである。
【0040】
スキーム1.式Iの化合物を調製するための一般的スキーム
【化4】
スキーム1は、式Iの化合物の合成のための一般的スキームを示す。
【0041】
縮合2-オキソ-1H-ピリジン-3-カルボン酸(1)をアミドカップリングに付して、式Iの化合物を得ることができる。
【0042】
あるいは、ブロモ置換縮合2-オキソ-1H-ピリジン-3-カルボン酸(2)を最初にアミドカップリングに付して(2)を得ることができ、次いでこれをパラジウム触媒カップリング反応に付して式Iの化合物を得ることができる。
【0043】
調製物及び実施例
以下の調製物及び実施例は、本発明を更に例証する。
【0044】
中間体1
1-メチル-2-オキソ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸
【化5】
【0045】
工程A:2-アミノ-3-ピリジンカルボキシアルデヒド(500mg、3.972mmol)、マロン酸ジエチル(6mL、39.48mmol)及びピペリジン(1.6mL、16mmol)の混合物を、EtOH(7mL、120mmol)中で周囲温度で1時間撹拌する。混合物を2時間還流し、沈殿物を濾過により収集する。固体を冷EtOHで洗浄し、真空下で乾燥させて、2-オキソ-1H-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸エチル(710mg、3.254mmol、81.93%)を得る。ES/MS(m/z):219.0(M+H)。H NMR(400MHz,d6-DMSO):12.40(s,1H),8.61(dd,J=1.8,4.7Hz,1H),8.50(s,1H),8.28(dd,J=1.8,7.8Hz,1H),7.30(dd,J=4.7,7.8Hz,1H),4.29(q,J=7.1Hz,2H),3.33(s,1H),1.31(t,J=7.1Hz,4H)。
【0046】
工程B:ヨードメタン(0.61mL、9.8mmol)及び炭酸カリウム(372mg、2.69167mmol)を、EtOH(8mL、198mmol)及びN,N-ジメチルホルムアミド(8mL、103mmol)中の2-オキソ-1H-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸エチル(710mg、3.254mmol)の懸濁液に添加する。混合物を、周囲温度で一晩撹拌し、次いで酢酸エチルで希釈する。クエンチした反応物を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液及びブラインで順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾別する。濾液を真空中で濃縮する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、1-メチル-2-オキソ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸エチル(648mg、2.7344mmol、84.039%収率)を得る。ES/MS(m/z):233.0(M+H)。H NMR(400MHz,d6-DMSO):8.75(dd,J=1.9,4.8Hz,1H),8.51(s,1H),8.35(dd,J=1.9,7.7Hz,1H),7.39(dd,J=4.7,7.8Hz,1H),4.31(q,J=7.1Hz,2H),3.70(s,3H),1.32(t,J=7.1Hz,3H)。
【0047】
工程C;中間体1:1-メチル-2-オキソ-1,8-ナフチリジン-3-カルボン酸エチル(648mg、2.734mmol)を、THF(0.2M、168mmol)及びメタノール(10.94mmol)の混合物に溶解する。1Mの水酸化リチウム水溶液(10.94mmol)を添加し、反応物を周囲温度で一晩撹拌する。反応物を、濃縮乾固し、次いで水に溶解し、1MのHCl水溶液でpHを1に調整する。白色の固体を、濾別し、社内真空下で一晩乾燥させて、表題生成物を得る(532mg、2.606mmol、95.287%)。H NMR(400MHz,d6-DMSO):8.94(s,1H),8.88(dd,J=1.9,4.7Hz,1H),8.54(dd,J=1.9,7.8Hz,1H),7.54(dd,J=4.7,7.8Hz,1H),3.83(s,3H)。
【0048】
中間体2
エチル7-ブロモ-1-ジメチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキシレート
【化6】
【0049】
工程A:2-アミノ-4-ブロモベンズアルデヒド(3.0g、15mmol)、マロン酸ジエチル(22mL、144.8mmol)及びピペリジン(5.8mL、59mmol)の混合物を、EtOH(40mL、687mmol)中で3時間還流する。反応物を、周囲温度に冷却し、濾過し、固体を冷EtOH、続いてEtOですすぎ、7-ブロモ-2-オキソ-1H-キノリン-3-カルボン酸エチルを得る(工程A;2.71g、9.14mmol、62%)。ES/MS(m/z)(79Br/81Br):297.0/298.0(M+H)。H NMR(400MHz,d6-DMSO):12.07(bs,1H),8.49(s,1H),7.78(d,J=8.5Hz,1H),7.50(d,J=1.9Hz,1H),7.40(dd,J=1.9,8.4Hz,1H),4.27(q,J=7.1Hz,2H),1.30(t,J=7.1Hz,3H)。
【0050】
工程B;中間体2:7-ブロモ-2-オキソ-1H-キノリン-3-カルボン酸エチル(2.707g、9.142mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(30mL、388mmol、28.4g)に溶解する。炭酸カリウム(2.78g、20.1mmol)、続いてヨードメタン(1.25mL、20.1mmol、2.85g)を添加し、周囲温度で一晩撹拌する。反応物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液に注ぎ、得られた混合物を酢酸エチル(3×)で抽出する。有機層を、合わせ、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮する。得られた物質を、0~100%の酢酸エチル/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、表題化合物(2.58g、8.32mmol、91.0%)を得る。ES/MS(m/z)(79Br/81Br):310.0/311.0(M+H)。H NMR(399.80MHz,DMSO):8.46(s,1H),7.83(d,J=8.4Hz,1H),7.79(d,J=1.7Hz,1H),7.51(dd,J=1.8,8.4Hz,1H),4.28(q,J=7.1Hz,2H),3.62(s,3H),1.30(t,J=7.1Hz,3H)。
【0051】
中間体3
5-ブロモ-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボン酸
【化7】
【0052】
工程A:マロン酸ジエチル(696mg、4.345mmol)及び炭酸カリウム(910mg、6.519mmol)を、無水酢酸(10mL)中の2-ブロモ-6-ニトロ-ベンズアルデヒド(1g、4.347mmol)の溶液に添加する。混合物を806185で1時間撹拌する。反応物を、周囲温度に冷却し、水(20mL)で希釈し、ジクロロメタン(20mL×3)で抽出する。有機層を、合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して2-[(2-ブロモ-6-ニトロ-フェニル)メチレン]プロパン二酸ジエチル(1.6g、4.3mmol、99%)を得る。ES/MS(m/z)(79Br/81Br):370.0/372.0(M+H)。
【0053】
工程B:鉄(2.4g、37mmol)を、氷酢酸(10mL)中の2-[(2-ブロモ-6-ニトロ-フェニル)メチレン]プロパン二酸ジエチル(1.6g、4.3mmol)の溶液に添加する。反応混合物を、80℃で12時間撹拌し、次いでセライトのパッドを通して濾過する。飽和重炭酸ナトリウム水溶液でpHをpH=8に調整する。反応物をジクロロメタン(50mL×3)で抽出する。合わせた有機層を、ブライン(30mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮する。粗生成物を、周囲温度で20分間メタノールで粉砕し、次いで濾過して、5-ブロモ-2-オキソ-1H-キノリン-3-カルボン酸エチル(200mg、0.540mmol、50.28%)を得る。ES/MS(m/z)(79Br/81Br):295.0/298.0(M+H)。
【0054】
工程C:炭酸セシウム(573mg、1.76mmol)及びヨードメタン(0.3mL、5mmol)を、ジメチルホルムアミド(10mL)中の5-ブロモ-2-オキソ-1H-キノリン-3-カルボン酸エチル(400mg、0.946mmol)の溶液に添加する。得られた混合物を50℃で12時間撹拌する。反応混合物を水(10mL)でクエンチし、ジクロロメタン(15mL×3)で抽出する。有機層を、合わせ、ブライン(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して残渣を得る。残渣を、0~40%の酢酸エチル/石油エーテル勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィで精製して、5-ブロモ-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチル(150mg、0.339mmol、100%)を得る。ES/MS(m/z)(79Br/81Br):310.0/312.0(M+H)。
【0055】
工程D;中間体3:水(2mL)中の水酸化リチウム(40mg、0.934mmol)を、THF(2mL)中の5-ブロモ-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチル(100mg、0.323mmol)の溶液に添加する。得られた混合物を40℃で1時間撹拌する。混合物を周囲温度に冷却し、1NのHCl水溶液でpHをpH4に調整する。混合物を水(5mL)で希釈し、ジクロロメタン(10mL×3)で抽出する。合わせた有機層を、ブライン(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮して、表題生成物(70mg、0.248mmol、77%)を得る。H NMR(400.13MHz,d6-DMSO):14.91-14.86(m,1H),8.94(s,1H),7.84-7.76(m,3H),3.80(s,3H)。
【0056】
実施例1
N-(4-メトキシフェニル)-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド
【化8】
1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボン酸(418mg、2.057mmol)、4-メトキシアニリン(304mg、2.469mmol)、N,N-ジメチルホルムアミド(7mL、90.5mmol)、HATU(880mg、2.268mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.8mL、10mmol、100)を一緒に添加する。反応物を、周囲温度で一晩撹拌し、濃縮する。得られた物質を、0~5%のジクロロメタン/メタノール勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製する。得られた固体をEtOで粉砕して、表題生成物を得る(548mg、1.777mmol、86.40%)。ES/MS(m/z):309.0(M+H)。H NMR(400.13MHz,d6-DMSO):11.99(s,1H),8.98(s,1H),8.09(dd,J=1.3,7.9Hz,1H),7.86-7.81(m,1H),7.74-7.67(m,3H),7.46-7.42(m,1H),6.98-6.95(m,2H),3.81(s,3H),3.77(s,3H)。
【0057】
表1における以下の実施例を、適切な出発物質及び試薬を使用して、N-(4-メトキシフェニル)-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド(実施例1)について記載されるように本質的に合成する。
【0058】
【表1-1】
【0059】
【表1-2】
【0060】
【表1-3】
【0061】
【表1-4】
【0062】
【表1-5】
【0063】
【表1-6】
【0064】
【表1-7】
【0065】
中間体4
tert-ブチル4-[4-[(11-オキソ-1-アザトリシクロ[6.3.1.04,12]ドデカ-4(12),5,7,9-テトラエン-10-カルボニル)アミノ]フェニル]ピペリジン-1-カルボキシレート
【化9】
表題中間体を、適切な出発物質及び試薬を使用して、N-(4-メトキシフェニル)-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド(実施例1)について記載されるように本質的に合成した。ES/MS(m/z)(M+H)375.2。
【0066】
実施例40
7-ブロモ-1-メチル-2-オキソ-N-フェニル-キノリン-3-カルボキサミド
【化10】
ヘキサン(0.5ml、1.0mmol)中のトリメチルアルミニウム(2M)を、トルエン(2.1mL、20mmol)中のアニリン(0.10mL、1.1mmol)の0℃溶液にゆっくり添加する。反応物を周囲温度に温め、10分間撹拌する。7-ブロモ-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボン酸エチル(0.208g、0.671mmol)を固体として添加する。反応物を、密封し、マイクロ波照射により100℃に3時間加熱する。反応物をロッシェル塩を含有する分液漏斗に注ぎ、酢酸エチル(×3)で抽出する。合わせた有機物を、1NのHCl水溶液、続いてブラインで洗浄し、真空中で濃縮する。得られた物質を、0~100%の酢酸エチル/ヘキサンの勾配で溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、表題生成物(0.140g、58.4%)を得る。ES/MS(m/z)(79Br/81Br):(M+H)357.0/359.0。H NMR(399.80MHz,CDCl):11.96(s,1H),8.97(s,1H),7.80-7.77(m,2H),7.69-7.65(m,2H),7.50(dd,J=1.7,8.3Hz,1H),7.42-7.37(m,2H),7.18-7.14(m,1H),3.83(s,3H)。
【0067】
実施例41
N-(5-メチル-2-ピリジル)-11-オキソ-1-アザトリシクロ[6.3.1.04,12]ドデカ-4(12),5,7,9-テトラエン-10-カルボキサミド
【化11】
DIEA(0.12mL、0.66mmol)を、酢酸エチル(0.39mL、0.66mmol、1.67mol/L)及びジクロロメタン(2mL)中の4-オキソ-1,2-ジヒドロ-4h-ピロロ[3,2,1-IJ]キノリン-5-カルボン酸(0.075g、0.33mmol)、2-アミノ-5-メチルピリジン(0.041g、0.36mmol)及び1-プロパンホスホン酸無水物(50質量%)の溶液に添加する。得られた混合物を80℃で1時間撹拌する。反応物を、周囲温度に冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄する。有機物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮する。残渣を、ヘキサン中0~100%の酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、表題生成物(3.9mg、0.013mmol、3.9%)を得る。ES/MS(m/z):306.0(M+H)。H NMR(399.80MHz,d6-DMSO):12.54(s,1H),9.05(s,1H),8.24-8.22(m,2H),7.82(dd,J=0.7,8.0Hz,1H),7.72-7.68(m,1H),7.63-7.61(m,1H),7.33(dd,J=7.3,8.0Hz,1H),4.51-4.47(m,2H),3.49(t,J=7.9Hz,2H),2.29(s,3H)。
【0068】
表2における以下の実施例を、適切な出発物質及び試薬を使用して、N-(5-メチル-2-ピリジル)-11-オキソ-1-アザトリシクロ[6.3.1.04,12]ドデカ-4(12),5,7,9-テトラエン-10-カルボキサミド(実施例41)について記載されるように本質的に合成する。
【0069】
【表2】
【0070】
表3における以下の中間体を、適切な出発物質及び試薬を使用して、N-(5-メチル-2-ピリジル)-11-オキソ-1-アザトリシクロ[6.3.1.04,12]ドデカ-4(12),5,7,9-テトラエン-10-カルボキサミド(実施例41)について記載されるように本質的に合成する。
【0071】
【表3】
【0072】
中間体10
5-ブロモ-1-メチル-2-オキソ-N-(2-ピリジル)キノリン-3-カルボキサミド
【化12】
ジクロロメタン(5mL)中の5-ブロモ-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボン酸(500mg、1.7725mmol)及びピリジン-2-アミン(205mg、2.178mmol)の溶液に、ピリジン(255mg、3.224mmol)及びPOCl(200mg、1.3044mmol)を添加する。得られた混合物を20℃で2時間撹拌する。混合物を減圧下で濃縮する。得られた残渣を、周囲温度で10分間メタノールで粉砕し、次いで濾過して5-ブロモ-1-メチル-2-オキソ-N-(2-ピリジル)キノリン-3-カルボキサミド(600mg、1.675mmol、94.50%収率)を得る。ES/MS(m/z)(79Br/81Br):357.9/359.9(M+H)。
【0073】
表4における以下の中間体を、適切な出発物質及び試薬を使用して、5-ブロモ-1-メチル-2-オキソ-N-(2-ピリジル)キノリン-3-カルボキサミド(中間体10)について記載されるように本質的に合成する。
【0074】
【表4-1】
【0075】
【表4-2】
【0076】
実施例44
N-(4-メトキシフェニル)-1,7-ジメチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド
【化13】
7-ブロモ-N-(4-メトキシフェニル)-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド(0.100g、0.258mmol)を、1,4-ジオキサン(1.5mL、18mmol)に溶解する。メチルボロン酸(0.038g、0.62mmol)及び炭酸セシウム(0.165g、0.506mmol)を添加する。窒素を反応混合物に5分間吹き込む。1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(0.036g、0.043mmol)を添加し、次いで密封し、マイクロ波によって100℃に2時間加熱する。粗反応物を、0~50%の酢酸エチル/ヘキサンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、表題生成物(0.015g、0.047mmol、18%収率)を得る。ES/MS(m/z)(M+H):323.0。H NMR(399.80MHz,CDCl):12.02-11.96(m,1H),8.99(s,1H),7.74-7.71(m,3H),7.27(m,1H),7.21(d,J=7.7Hz,1H),6.94(d,J=8.8Hz,2H),2.59(s,3H),1.59(s,3H)。
【0077】
実施例45
7-シクロプロピル-N-(4-メトキシフェニル)-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド
【化14】
表題化合物を、適切な出発物質及び試薬を使用して、N-(4-メトキシフェニル)-1,7-ジメチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド(実施例44)について記載されるように本質的に合成する。ES/MS(m/z)(79Br/81Br):(M+H)349.0。
【0078】
実施例46
N-(4-メトキシフェニル)-1-メチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド
【化15】
7-ブロモ-N-(4-メトキシフェニル)-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド(0.154g、0.398mmol)をトルエン(2mL)に溶解する。ナトリウムtert-ブトキシド(0.100g、1.01mmol)を添加する。窒素を反応物に10分間吹き込む。テトラヒドロフラン(0.600mL、1.2mmol)中のメチルアミン(2.0mol/L)を添加し、続いて(R)-(+)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(0.035g、0.055mmol)、次いでトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.040g、0.042mmol)を添加する。反応物を、密封し、マイクロ波により80℃に2時間加熱する。粗反応物を、0~10%(メタノール中7N NH)/ジクロロメタンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、粗生成物を得る。粗生成物を、SCXイオン交換カラムで精製し、1:1メタノール/ジクロロメタン、続いてメタノール、次いでメタノール中7Nアンモニア(×2)ですすぐ。アンモニアを含有するすすぎ液を真空中で濃縮して、表題生成物(33mg、0.0978mmol、24.6%)を得る。ES/MS(m/z)(M+H)338.0。H NMR(399.80MHz,CDCl):11.99(s,1H),8.82(s,1H),7.73-7.70(m,2H),7.54(d,J=8.7Hz,1H),6.93-6.91(m,2H),6.62(dd,J=2.0,8.6Hz,1H),6.34(d,J=1.9Hz,1H),3.83(s,3H),3.77(s,3H)。
【0079】
表5における以下の実施例を、適切な出発物質及び試薬を使用して、N-(4-メトキシフェニル)-1-メチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド(実施例46)について記載されるように本質的に合成する。
【0080】
【表5-1】
【0081】
【表5-2】
【0082】
表6における以下の中間体を、適切な出発物質及び試薬を使用して、N-(4-メトキシフェニル)-1-メチル-7-(メチルアミノ)-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド(実施例46)について記載されるように本質的に合成する。
【0083】
【表6-1】
【0084】
【表6-2】
【0085】
実施例57
5-[2-(ジメチルアミノ)エチルアミノ]-N-(5-フルオロピリミジン-2-イル)-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド
【化16】
N,N-ジメチルエチレンジアミン(185mg、1.994mmol)中の5-ブロモ-N-(5-フルオロピリミジン-2-イル)-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド(100mg、0.2651mmol)、2-(4,4-ジフルオロ-1-ピペリジル)エタンアミン(150mg、0.3977mmol)及びt-BuONa(117mg、1.1930mmol)の溶液に、BrettPhos Pd G3(75mg、0.0786mmol)、Pd(dba)(73mg、0.0797mmol)を添加する。反応混合物を、130℃で12時間撹拌し、次いで真空中で濃縮して残渣を得る。残渣を、0~5%のメタノール/ジクロロメタンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、粗生成物を得る。粗生成物を20℃で5分間MeOHで粉砕する。混合物を濾過して、表題生成物(17.74mg、0.0357mmol、8.973%)を得る。ES/MS(m/z)(M+H)385.2。H NMR(400.14MHz,d6-DMSO):12.93(s,1H),9.28(s,1H),8.82(s,2H),7.64-7.59(m,1H),7.20-7.13(m,1H),6.87(d,J=8.5Hz,1H),6.66-6.62(m,1H),3.73(s,3H),3.66-3.63(m,2H),3.47-3.45(m,-2H),2.84(s,6H)。
【0086】
実施例57の代替合成
5-[2-(ジメチルアミノ)エチルアミノ]-N-(5-フルオロピリミジン-2-イル)-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド
【化17】
DMF(4mL)中の5-ブロモ-N-(5-フルオロピリミジン-2-イル)-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド(100mg、0.2651mmol)、N,N-ジメチルエチレンジアミン(185mg、1.994mmol)及びt-BuONa(117mg、1.1930mmol)の溶液に、BrettPhos Pd G3(75mg、0.0786mmol)、Pd(dba)(73mg、0.0797mmol)を添加する。反応混合物を、130℃で12時間撹拌し、次いで真空中で濃縮して残渣を得る。残渣を、0~5%のメタノール/ジクロロメタンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、粗生成物を得る。粗生成物を20℃で5分間MeOHで粉砕する。混合物を濾過して、表題生成物(17.74mg、0.0357mmol、8.973%)を得る。ES/MS(m/z)(M+H)385.2。H NMR(400.14MHz,d6-DMSO):12.93(s,1H),9.28(s,1H),8.82(s,2H),7.64-7.59(m,1H),7.20-7.13(m,1H),6.87(d,J=8.5Hz,1H),6.66-6.62(m,1H),3.73(s,3H),3.66-3.63(m,2H),3.47-3.45(m,-2H),2.84(s,6H)。
【0087】
中間体26
6-[2-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシエチルアミノ]-N-(5-フルオロ-2-ピリジル)-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド
【化18】
THF(5mL)中の6-ブロモ-N-(5-フルオロ-2-ピリジル)-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド(250mg、0.6313mmol)、2-(4,4-ジフルオロ-1-ピペリジル)エタンアミン(150mg、0.3977mmol)及びt-BuONa(75mg、0.765mmol)の溶液に、BrettPhos Pd G3(32mg、0.033mmol)を添加する。反応混合物を、100℃で16時間撹拌し、次いで真空中で濃縮して残渣を得る。残渣を、0~70%石油エーテル/酢酸エチルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、表題生成物(200mg、0.2975mmol、47.12%)を得る。ES/MS(m/z)(M+H)471.2。H NMR(400.14MHz,d6-DMSO):12.83(s,1H),8.81(s,1H),8.36-8.31(m,3H),7.83-7.75(m,1H),7.46(d,J=9.3Hz,1H),7.21(dd,J=2.6,9.1Hz,1H),7.06(d,J=2.6Hz,1H),5.82(t,J=5.9Hz,1H),3.74-3.70(m,6H),3.20(q,J=5.9Hz,2H),0.83(s,10H),-0.00(s,6H)。
【0088】
中間体26の代替合成
6-[2-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシエチルアミノ]-N-(5-フルオロ-2-ピリジル)-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド
【化19】
THF(5mL)中の6-ブロモ-N-(5-フルオロ-2-ピリジル)-1-メチル-2-オキソ-キノリン-3-カルボキサミド(250mg、0.6313mmol)、2-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシエタンアミン(335mg、1.91mmol)及びt-BuONa(75mg、0.765mmol)の溶液に、BrettPhos Pd G3(32mg、0.033mmol)を添加する。反応混合物を、100℃で16時間撹拌し、次いで真空中で濃縮して残渣を得る。残渣を、0~300%の酢酸エチル/石油エーテルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、表題生成物(200mg、0.2975mmol、47.12%)を得る。ES/MS(m/z)(M+H)471.2。H NMR(400.14MHz,d6-DMSO):12.83(s,1H),8.81(s,1H),8.36-8.31(m,3H),7.83-7.75(m,1H),7.46(d,J=9.3Hz,1H),7.21(dd,J=2.6,9.1Hz,1H),7.06(d,J=2.6Hz,1H),5.82(t,J=5.9Hz,1H),3.74-3.70(m,6H),3.20(q,J=5.9Hz,2H),0.83(s,10H),-0.00(s,6H)。
【0089】
実施例58
6-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-2-オキソ-N-フェニル-キノリン-3-カルボキサミド
【化20】
【0090】
工程A:6-ブロモ-1-メチル-2-オキソ-N-フェニル-キノリン-3-カルボキサミド(2.005g、5.052mmol)及び1,4-ジオキサン(10mL)を一緒に添加する。次いで、水(10mL、555.1mmol)中のトリスジベンジリデンジパラジウム(0)(465mg、0.508mmol)、tBuXphos(443mg、1.012mmol)及び水酸化カリウム(876mg、15.15mmol)を添加する。混合物を、100℃で15時間撹拌し、次いで周囲温度に冷却する。水(100mL)を冷却した反応物に添加する。得られた混合物を酢酸エチル(50mL×3)で抽出する。有機層を、合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して残渣を得る。残渣を、0~50%の酢酸エチル/石油エーテルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、6-ヒドロキシ-1-メチル-2-オキソ-N-フェニル-キノリン-3-カルボキサミド(1g、3.058mmol、60.54%)を得る。ES/MS(m/z)(M+H)370.2。H NMR(400.15MHz,d6-DMSO):12.38(s,1H),8.79(s,1H),7.74(d,J=7.6Hz,2H),7.52(d,J=9.3Hz,1H),7.39(t,J=7.9Hz,2H),7.30-7.25(m,1H),7.23(d,J=2.6Hz,1H),7.15-7.11(m,1H),3.76(s,3H)。
【0091】
工程B:6-ヒドロキシ-1-メチル-2-オキソ-N-フェニル-キノリン-3-カルボキサミド(101mg、0.309mmol)をジメチルホルムアミド(2mL)に溶解する。2-(2-ブロモエトキシ)テトラヒドロピラン(101mg、0.483mmol)及び炭酸セシウム(403mg、1.237mmol)。混合物を、80℃で12時間撹拌し、次いで周囲温度に冷却する。水(50mL)を冷却した反応物に添加する。混合物を酢酸エチル(20mL×3)で抽出する。有機層を、合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して残渣を得る。残渣を、0~100%の酢酸エチル/石油エーテルで溶出するシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、1-メチル-2-オキソ-N-フェニル-6-(2-テトラヒドロピラン-2-イルオキシエトキシ)キノリン-3-カルボキサミド(60mg、0.128mmol、41.38%)を得る。ES/MS(m/z)(M+H)423.2。H NMR(400.14MHz,CDCl):12.24-12.20(m,1H),8.97(s,1H),7.82(d,J=7.8Hz,2H),7.42-7.38(m,3H),7.18-7.14(m,1H),4.75(dd,J=3.2,3.8Hz,1H),4.31-4.27(m,2H),4.17-4.12(m,2H),3.86(s,6H),3.62-3.57(m,1H),1.93-1.91(m,2H),1.73-1.71(m,4H),1.30-1.27(m,1H)。
【0092】
工程C;実施例58:1-メチル-2-オキソ-N-フェニル-6-(2-テトラヒドロピラン-2-イルオキシエトキシ)キノリン-3-カルボキサミド(60mg、0.1278mmol)を酢酸エチル(2mL)中の1M塩酸に溶解する。混合物を周囲温度で2時間撹拌する。反応混合物を真空中で濃縮して、残渣を得る。残渣を、周囲温度で10分間メタノール(10mL)で粉砕する。得られた混合物を濾過して、表題生成物(実施例81;14mg、0.0398mmol、31.14%)を得る。ES/MS(m/z)(M+H)339.3。H NMR(400.15MHz,d6-DMSO):12.27(s,1H),8.96(s,1H),7.75(d,J=7.6Hz,2H),7.69-7.65(m,2H),7.47(dd,J=2.9,9.3Hz,1H),7.40(t,J=7.9Hz,2H),7.14(t,J=7.4Hz,1H),4.10(t,J=4.9Hz,2H),3.80-3.76(m,5H)。
【0093】
表7における以下の実施例を、適切な出発物質及び試薬を使用して、6-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-2-オキソ-N-フェニル-キノリン-3-カルボキサミド(実施例58)について記載されるように本質的に合成する。
【0094】
【表7】
【0095】
実施例62
6-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メチル-2-オキソ-N-フェニル-キノリン-3-カルボキサミド
【化21】
6-[2-[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシエチルアミノ]-1-メチル-2-オキソ-N-フェニル-キノリン-3-カルボキサミド(140mg、0.275mmol)を、THF(1.5mL)に溶解する。0℃のTHF(0.38mL)中の1Mフッ化テトラブチルアンモニウムをゆっくり添加する。反応物を周囲温度に温め、2時間撹拌する。反応物を、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)に注ぎ、周囲温度で10分間撹拌する。得られた混合物を酢酸エチル(30mL×3)で抽出する。有機層を、合わせ、飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して残渣を得る。残渣を精製して、表題生成物(10mg、0.0288mmol、10.45%)を得る。ES/MS(m/z)(M+H)338.1。H NMR(400.14MHz,CDCl):12.33-12.29(m,1H),8.92(s,1H),7.84-7.81(m,2H),7.41-7.31(m,3H),7.18-7.12(m,2H),6.97-6.95(m,1H),4.28-4.26(m,1H),4.01-3.93(m,2H),3.84(s,3H),3.43-3.37(m,2H),1.76-1.74(m,1H)。
【0096】
表8における以下の実施例を、適切な出発物質及び試薬を使用して、6-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メチル-2-オキソ-N-フェニル-キノリン-3-カルボキサミド(実施例62)について記載されるように本質的に合成する。
【0097】
【表8-1】
【0098】
【表8-2】
【0099】
hAHR核移行アッセイ
安定な細胞株を、Jump-In(商標)T-REx(商標)HEK 293 Retargeting Kit(Life Technologies)を使用して樹立した。ヒトAhR cDNAをpJTI R4 CMV-TO EGFPベクターにクローニングした。EGFPをAHRのC末端にクローニングして、AhR-EGFPキメラを形成した。pJTI R4 CMV-TO AhR-EGFPベクターを、FuGENE(登録商標)HDを使用してJump-In(商標)T-REx(商標)HEK293細胞にトランスフェクトした。2.5mg/mlのG418を使用して10~14日間トランスフェクト細胞を選択し、次いで増殖させ、回収し、2×10細胞/mlの凍結培地(8%DMSOを含むFBS)に懸濁し、アリコートを液体窒素中で保存した。アッセイ日の1日前に、細胞を、解凍し、1μg/mlドキシサイクリンの存在下で5%FBSを含むDMEMに再懸濁し、ploy-L-リジンコーティングしたCELLCARRIER-384 ULTRAマイクロプレート(Perkin Elmer)に12,000~15,000細胞/ウェルで播種し、37℃及び5%COで一晩インキュベートした。アッセイ日に、化合物を、音響分注(ECHO)を使用してDMSOにより384ウェルnuncプレートに連続希釈(1:2)した。用量応答は20点曲線であった。化合物をDMEM+0.1%BSA 40μlに再懸濁した。培養培地を減衰させ、25μlのDMEM+0.1%BSAを添加し、次いでDMEM+0.1%BSA中の25μlの化合物を細胞プレートに添加した。細胞を、化合物を37℃及び5%COで45分間インキュベートした。最終DMSO濃度は0.2%であった。45分間のインキュベーション後に培地を減衰させた。細胞を40μlの冷メタノール(-20℃)で20分間固定した。メタノールを減衰させ、1μg/mlのHochstを含有する50μlのDPBSを細胞プレートに添加した。EGFPの強度を、20×Water Objective及びウェル当たり5視野を有するOPERA PHENIX(登録商標)又はOperetta(商標)ハイコンテントイメージシステム(Perkin Elmer)を使用することによって定量した。AhRアゴニストの効力を決定するために、4パラメータ非線形ロジスティック方程式を使用して、核の細胞質に対するEGFP蛍光強度の比を分析した。
【0100】
表9は、例示化合物のhAHR核移行アッセイEC50値を示す。
【0101】
【表9】
【0102】
このアッセイの結果は、例示化合物がAhRアゴニストであることを実証する。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物であって、
【化1】
が、1~2個のRで任意に置換されたフェニル、Rで任意に置換された5~6員ヘテロアリール、及びRで任意に置換されたC~Cシクロアルキルから選択され、
が、独立して、ハロゲン、C~Cアルキル、CF、OH、O(C~Cアルキル)、O(C~C)OCH、及びNH(C~Cアルキル)N(CHから選択され、
が、ハロゲン、C~Cアルキル、ニトリル、CF、及びO(C~Cアルキル)から選択され、
が、O(C~Cアルキル)であり、
Xが、N及び-C(R)-から選択され、
が、C~Cアルキルであるか、又はRと一緒になって5~6員複素環縮合環を形成し、
が、水素、ハロゲン、NH(C~Cアルキル)N(CHであるか、又はRと一緒になって5~6員複素環縮合環を形成し、
が、水素、ハロゲン、C~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、NH(C~Cアルキル)、N(C~Cアルキル)、NH(C~Cアルキル)OH、NH(C~Cアルキル)N(C~Cアルキル)、及びO(C~Cアルキル)OHから選択される、化合物、
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
が、Rで任意に置換された5~6員ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
が、5~6員ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
Xが、CHである、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
が、C~Cアルキルである、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
が、CHである、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
が、水素、CH、NH(CH)、N(CH、N(CHCH)OH、N(CHCH)N(CH、及びO(CHCH)OHから選択される、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
が、水素及びN(CHCH)N(CHから選択される、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
以下である、請求項1に記載の化合物:
【化2】
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
以下である、請求項1に記載の化合物:
【化3】
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とともに含む、医薬組成物。
【請求項12】
免疫介在性疾患の治療剤であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、治療剤。
【請求項13】
乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病、移植片対宿主病、及び多発性硬化症から選択される疾患又は障害の治療剤であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、治療剤。
【請求項14】
免疫介在性疾患を治療するための医薬の製造における、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項15】
乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病、移植片対宿主病、及び多発性硬化症から選択される疾患又は障害を治療するための医薬の製造における、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0102】
このアッセイの結果は、例示化合物がAhRアゴニストであることを実証する。

本願発明には以下の態様が含まれる。
[項目1]
以下の式の化合物であって、
【化22】
が、1~2個のR で任意に置換されたフェニル、R で任意に置換された5~6員ヘテロアリール、及びR で任意に置換されたC ~C シクロアルキルから選択され、
が、独立して、ハロゲン、C ~C アルキル、CF 、OH、O(C ~C アルキル)、O(C ~C )OCH 、及びNH(C ~C アルキル)N(CH から選択され、
が、ハロゲン、C ~C アルキル、ニトリル、CF 、及びO(C ~C アルキル)から選択され、
が、O(C ~C アルキル)であり、
Xが、N及び-C(R )-から選択され、
が、C ~C アルキルであるか、又はR と一緒になって5~6員複素環縮合環を形成し、
が、水素、ハロゲン、NH(C ~C アルキル)N(CH であるか、又はR と一緒になって5~6員複素環縮合環を形成し、
が、水素、ハロゲン、C ~C アルキル、C ~C シクロアルキル、NH(C ~C アルキル)、N(C ~C アルキル) 、NH(C ~C アルキル)OH、NH(C ~C アルキル)N(C ~C アルキル) 、及びO(C ~C アルキル)OHから選択される、化合物、
又はその薬学的に許容される塩。
[項目2]
が、R で任意に置換された5~6員ヘテロアリールである、項目1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
[項目3]
が、5~6員ヘテロアリールである、項目1又は2に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
[項目4]
Xが、CHである、項目1~3のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
[項目5]
が、C ~C アルキルである、項目1~4のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
[項目6]
が、CH である、項目1~5のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
[項目7]
が、水素、CH 、NH(CH )、N(CH 、N(CH CH )OH、N(CH CH )N(CH 、及びO(CH CH )OHから選択される、項目1~6のいずれか一項に記載の化合物。
[項目8]
が、水素及びN(CH CH )N(CH から選択される、項目1~7のいずれか一項に記載の化合物。
[項目9]
以下である、項目1~8のいずれか一項に記載の化合物:
【化23】
又はその薬学的に許容される塩。
[項目10]
以下である、項目1~9のいずれか一項に記載の化合物:
【化24】
[項目11]
項目1~10のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とともに含む、医薬組成物。
[項目12]
患者における免疫介在性疾患を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の項目1~10のいずれか一項に記載の化合物、又は項目11に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
[項目13]
患者における乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病、移植片対宿主病、及び多発性硬化症から選択される疾患又は障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の項目1~10のいずれか一項に記載の化合物、又は項目11に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
[項目14]
療法における使用のための、項目1~10のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
[項目15]
乾癬、潰瘍性大腸炎、クローン病、移植片対宿主病、及び多発性硬化症から選択される疾患又は障害の治療に使用するための、項目1~10のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。

【国際調査報告】