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特表2024-531714一体化されたアンテナキャリヤを備えたモバイルデバイスハウジング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】一体化されたアンテナキャリヤを備えたモバイルデバイスハウジング
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20240822BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20240822BHJP
   H01Q 21/28 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H01Q1/12 Z
H01Q1/24 Z
H01Q21/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516386
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 US2022038172
(87)【国際公開番号】W WO2023043537
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】17/478,617
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519047200
【氏名又は名称】ゼブラ テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Zebra Technologies Corporation
【住所又は居所原語表記】3 Overlook Point, Lincolnshire, Illinois 60069, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】テレマン カール エイ
【テーマコード(参考)】
5J021
5J047
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA13
5J021HA05
5J021JA08
5J047AA04
5J047AB01
5J047BG04
5J047FD01
(57)【要約】
モバイルコンピューティングデバイス用のハウジングであって、ハウジング内部を取り囲む周壁を含む第1フレームであって、前記周壁は前記ハウジング内部から外向きに面するキャリヤ面を有する、第1フレームと、前記キャリヤ面に取り付けられ前記周壁によって前記ハウジング内部から分離された放射要素を有するアンテナと、(i)前記ハウジング内部向きに面する内面、及び、(ii)前記モバイルコンピューティングデバイスの外側面を画定する外面、を有する第2フレームと、を備える。前記第2フレームは、前記第1フレームに取り付けられており、前記キャリヤ面と前記第2フレームの前記内面との間に前記放射要素の少なくとも一部を収容している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルコンピューティングデバイス用のハウジングであって、
ハウジング内部を取り囲む周壁を含む第1フレームであって、前記周壁は前記ハウジング内部から外向きに面するキャリヤ面を有する、第1フレームと、
前記キャリヤ面に取り付けられ前記周壁によって前記ハウジング内部から分離された放射要素を有するアンテナと、
(i)前記ハウジング内部向きに面する内面と、(ii)前記モバイルコンピューティングデバイスの外側面を画定する外面と、を有する第2フレームと、
を備え、
前記第2フレームは、前記第1フレームに取り付けられており、前記キャリヤ面と前記第2フレームの前記内面との間に前記放射要素の少なくとも一部を収容している
ことを特徴とするハウジング。
【請求項2】
前記第2フレームは、オーバーモールディングによって前記第1フレームに取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
前記第2フレームは、前記周壁の後部に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のハウジング。
【請求項4】
前記周壁の前部に取り付けられたカバー
を更に備え、
前記第2フレーム及び前記カバー内に前記第1フレームを囲んでいる
ことを特徴とする請求項3に記載のハウジング。
【請求項5】
前記第1フレームは、前記ハウジング内部に前記モバイルコンピューティングデバイスの内部コンポーネントを支持するように構成されたアンカーを含む
ことを特徴とする請求項1に記載のハウジング。
【請求項6】
前記アンテナは、前記キャリヤ面の活性化領域の金属化によって前記キャリヤ面に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のハウジング。
【請求項7】
前記アンテナは、前記放射要素から前記ハウジング内部に延びる給電線を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のハウジング。
【請求項8】
前記第1フレームは、前記キャリヤ面から前記ハウジング内部への開口を含み、
前記給電線は、前記開口を通って延在し、前記放射要素を前記ハウジング内部に取り付けられたコントローラに接続している
ことを特徴とする請求項7に記載のハウジング。
【請求項9】
前記ハウジングは、複数のアンテナを有し、
当該複数のアンテナは、前記キャリヤ面のそれぞれの離間した領域に取り付けられたそれぞれの放射要素を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のハウジング。
【請求項10】
前記複数のアンテナの第1サブセットが、第1通信規格を実装し、
前記複数のアンテナの第2サブセットが、第2通信規格を実装する
ことを特徴とする請求項9に記載のハウジング。
【請求項11】
モバイルコンピューティングデバイスのハウジング内部を取り囲むための周壁を含む第1フレームであって、前記周壁は前記ハウジング内部から外向きに面するキャリヤ面を有する第1フレーム、を提供する工程と、
前記キャリヤ面にアンテナの放射要素を取り付ける工程と、
前記ハウジング内部向きに面する内面を有する第2フレームであって、前記キャリヤ面と当該第2フレームの前記内面との間に前記放射要素の少なくとも一部を収容する第2フレーム、を前記第1フレームに取り付ける工程と、
を備え、
前記放射要素は、前記周壁によって前記ハウジング内部から分離されており、
前記第2フレームは、更に、前記モバイルコンピューティングデバイスの外側面を画定する外面を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記第2フレームを取り付ける工程は、当該第2フレームを前記第1フレームにオーバーモールディングする工程を含む
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1フレームを提供する工程は、当該第1フレームをモールディングする工程を含む
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記放射要素を取り付ける工程は、前記第2フレームを取り付ける工程の前に、
(i)前記キャリヤ面の領域を活性化する工程と、
(ii)前記活性化された領域に前記放射要素を堆積させる工程と、
を含む
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記モバイルコンピューティングデバイスの内部コンポーネントを前記ハウジング内部に設置する工程と、
前記内部コンポーネントを前記第1フレームのアンカーに固定する工程と、
を更に備えたことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1フレームの前部にカバーを適用して、前記第1フレームを前記カバーと前記第2フレームとの間に囲む工程
を更に備えたことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
モバイルコンピューティングデバイスであって、
前記モバイルコンピューティングデバイスの前面を画定するディスプレイと、
ハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、
(i)ハウジング内部を取り囲む周壁を含む第1フレームであって、前記周壁は前記ハウジング内部から外向きに面するキャリヤ面を有する、第1フレームと、
(ii)前記キャリヤ面に取り付けられ前記周壁によって前記ハウジング内部から分離された放射要素を有するアンテナと、
(iii)(i)前記ハウジング内部向きに面する内面と、(ii)前記モバイルコンピューティングデバイスの前記前面とは反対側の後面を画定する外面と、を有する第2フレームと、
(iv)前記ディスプレイ用のベゼルを画定するカバーであって、前記第1フレームに取り付けられたカバーと、
を備え、
前記第2フレームは、前記第1フレームにオーバーモールドされており、前記キャリヤ面と前記第2フレームの前記内面との間に前記放射要素の少なくとも一部を収容している
ことを特徴とするモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項18】
前記カバーは、前記第1フレームを囲むように前記第2フレームと係合するように構成されている
ことを特徴とする請求項17に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項19】
前記ハウジングは、複数のアンテナを有し、
当該複数のアンテナは、前記キャリヤ面のそれぞれの離間した領域に取り付けられたそれぞれの放射要素を有する
ことを特徴とする請求項17に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【請求項20】
前記アンテナは、前記放射要素から前記ハウジング内部に延びる給電線を含む
ことを特徴とする請求項17に記載のモバイルコンピューティングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
無線アクセス技術(例えば、5G)の開発、及び、そのような技術のモバイル通信デバイスへの組み込みは、より早期の技術(例えば、4G)と比較して、そのようなデバイスへの追加の通信ハードウェアの配備を伴い得る。スマートフォン及び他の手持ち式(携帯型)通信デバイス等のデバイスは、そのような通信ハードウェアに適応するための物理的空間を制限している可能性があり、従って、追加のハードウェアの配備が、電気的ノイズ及び/または干渉の可能性を増大させることを含め、次善の(最適でない)通信性能をもたらし得る。
【発明の概要】
【0002】
添付の図面は、以下の詳細な説明と共に、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を形成し、特許請求される発明を含む概念の実施形態を更に説明するのに役立ち、また、それら実施形態の様々な原理及び利点を説明するのに役立つ。添付図面において、同様の参照符号は、別個の図面を通して同一または機能的に類似の要素を指している。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1図1は、モバイルコンピューティングデバイスの概略図である。
【0004】
図2図2は、図1のデバイスの簡略化された断面を示す図である。
【0005】
図3図3は、図1のデバイスのハウジングの、背面から見た分解図を示す図である。
【0006】
図4図4は、図1のデバイスのハウジングの、正面から見た分解図を示す図である。
【0007】
図5図5は、図1のデバイスを組み立てる方法のフローチャートである。
【0008】
図6図6は、図1のデバイスのキャリヤフレームの概略図である。
【0009】
図7図7は、その上にアンテナを配備した後の、図6のキャリヤフレームの概略図である。
【0010】
図8図8は、シェルに取り付けられた、図7のキャリヤフレームの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
当業者は、図面内の要素は簡潔及び明瞭に示されていて、必ずしも一定縮尺で描かれていない、ということを理解するであろう。例えば、図面内の幾つかの要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を改善することを助けるべく、他の要素と比較して誇張されている可能性がある。
【0012】
装置及び方法の構成要素は、適切な場合、図面内で従来の符号によって示されており、当該図面は、詳細に関する開示を不明瞭にしないように、本発明の実施形態を理解することに関連する特定の詳細のみを示しており、当該詳細に関する開示は、本明細書の記載の利益を受ける当業者にとって容易に明らかである。
【0013】
本明細書に開示される実施例は、モバイルコンピューティングデバイス用のハウジングであって、ハウジング内部を取り囲む周壁を含む第1フレームであって、前記周壁は前記ハウジング内部から外向きに面するキャリヤ面を有する、第1フレームと、前記キャリヤ面に取り付けられ前記周壁によって前記ハウジング内部から分離された放射要素を有するアンテナと、(i)前記ハウジング内部向きに面する内面と、(ii)前記モバイルコンピューティングデバイスの外側面を画定する外面と、を有する第2フレームと、を備え、前記第2フレームは、前記第1フレームに取り付けられており、前記キャリヤ面と前記第2フレームの前記内面との間に前記放射要素の少なくとも一部を収容していることを特徴とするハウジング、に向けられている。
【0014】
本明細書に開示される更なる実施例は、モバイルコンピューティングデバイスのハウジング内部を取り囲むための周壁を含む第1フレームであって、前記周壁は前記ハウジング内部から外向きに面するキャリヤ面を有する第1フレーム、を提供する工程と、前記キャリヤ面にアンテナの放射要素を取り付ける工程と、前記ハウジング内部向きに面する内面を有する第2フレームであって、前記キャリヤ面と当該第2フレームの前記内面との間に前記放射要素の少なくとも一部を収容する第2フレーム、を前記第1フレームに取り付ける工程と、を備え、前記放射要素は、前記周壁によって前記ハウジング内部から分離されており、前記第2フレームは、更に、前記モバイルコンピューティングデバイスの外側面を画定する外面を含むことを特徴とする方法、に向けられている。
【0015】
本明細書に開示される更なる実施例は、モバイルコンピューティングデバイスであって、前記モバイルコンピューティングデバイスの前面を画定するディスプレイと、ハウジングと、を備え、前記ハウジングは、(i)ハウジング内部を取り囲む周壁を含む第1フレームであって、前記周壁は前記ハウジング内部から外向きに面するキャリヤ面を有する、第1フレームと、(ii)前記キャリヤ面に取り付けられ前記周壁によって前記ハウジング内部から分離された放射要素を有するアンテナと、(iii)(i)前記ハウジング内部向きに面する内面と、(ii)前記モバイルコンピューティングデバイスの前記前面とは反対側の後面を画定する外面と、を有する第2フレームと、(iv)前記ディスプレイ用のベゼルを画定するカバーであって、前記第1フレームに取り付けられたカバーと、を備え、前記第2フレームは、前記第1フレームにオーバーモールドされており、前記キャリヤ面と前記第2フレームの前記内面との間に前記放射要素の少なくとも一部を収容していることを特徴とするモバイルコンピューティングデバイス、に向けられている。
【0016】
図1は、スマートフォンまたは他のモバイルコンピュータ等のモバイルコンピューティングデバイス100を示す。当該デバイス100は、当該デバイス100の様々な他のコンポーネント(構成要素)を支持するハウジング104を含む。これらの他のコンポーネントは、ハウジングによって支持され、図示の例ではハウジング104によって形成されたベゼル面112によって囲まれた、ディスプレイ108を含む。ハウジング104の特定のコンポーネントは、ディスプレイ108と同様に、デバイス100の外側面(外部面)を形成する。特に、ベゼル112及びディスプレイ108は、デバイス100の前面を形成し、一方、以下により詳細に説明されるハウジング104の他のコンポーネントは、デバイスの側面116と、前面とは反対側の後面(図1では不可視)と、を形成している。
【0017】
デバイス100は、ハウジング104及びディスプレイ108によって囲まれたハウジング内部を含む。ハウジング内部は、デバイス100の様々な内部コンポーネントが支持される容積部である。内部コンポーネントは、コントローラ、記憶装置、カメラ、通信ハードウェア、回路基板、及び/または、他の支持部材、等を含み得る。前述の通信ハードウェアは、1または複数の無線通信インタフェースを含む。各通信インタフェースは、それぞれの無線及び/またはベースバンドコントローラ、並びに、無線信号を送受信するように制御可能な1または複数のアンテナ、を含み得る。通信インタフェースは、例えば、区別可能な複数の無線通信規格(例えば、WiFiや、4G、5G等の携帯電話規格)を実装し得る。
【0018】
当業者には明らかなように、アンテナの性能(例えば、放射パターン、ゲイン、効率性等)は、アンテナの幾何学的形状だけでなく、アンテナが配備される物理的環境によっても影響され得る。前述のコントローラ等の内部コンポーネントに近接したり、回路基板によって形成されるグランドプレーンに近接すると、アンテナの性能に悪影響が及ぼされ得る。アンテナとデバイス100の他の内部コンポーネントとの間の距離を増大させることによって、そのような悪影響を軽減し得る。もっとも、ハウジング内部のスペースは厳しく制限されているため、残りのデバイスコンポーネントの位置が選択された時、アンテナの配備に利用可能な選択肢がほとんど残らない場合があり得る。隣接するコンポーネントによるアンテナ性能への悪影響を軽減しながら、ハウジング内部にアンテナを配備するという課題は、追加のアンテナ及び関連するサポートハードウェアを要求する追加の(例えば新しく開発された)通信規格の実装によって、更に悪化され得る。
【0019】
従って、以下に説明されるように、ハウジング104は、アンテナの放射要素の少なくとも一部のハウジング内部の外側への配備を可能にするように構造化されている。具体的には、ハウジング104は、内側ハウジングとデバイス100の外側面との少なくとも一部を画定する、オーバーモールドフレーム等の、少なくとも2つのコンポーネントを含む。アンテナは、内側ハウジング内に設置されるのではなく、前述のフレームの間に取り付けられる。結果として、少なくとも一部のアンテナの放射要素は、前述のフレームの別のサブセットによって環境暴露や衝撃等から保護されたままでありながら、前述のフレームのサブセットによってハウジング内部から分離される。
【0020】
図2を参照して、図1に示される平面S2によるハウジング104の簡略化された断面図が示されている。図2に示されるように、ハウジング104は、3つのコンポーネントを含む。特に、ハウジング104は、キャリヤフレーム200を含み、これは、内部フレームとも呼ばれ得る。ハウジング104は、更に、シェル204を含み、これは、外側フレームとも呼ばれ得る。ハウジング104は、更に、カバー208を含み、これは、図1で紹介されたベゼル面112を提供する。
【0021】
キャリヤフレーム200及びシェル204は、共に、ハウジング内部212を画定し、その中に、プリント回路基板(PCB)213などの他の内部コンポーネントが設置され得る。すなわち、ハウジング内部212は、キャリヤフレーム200及びシェル204の内側(すなわち、デバイス100の質量中心により近い)表面、並びに、ディスプレイ108の内側表面、によって境界付けられる容積部である。図2に示されるように、ディスプレイ108は、キャリヤフレーム200に取り付けられており、カバー208によってキャリヤフレーム200に対して保持されており、カバー208は、シェル204と係合してキャリヤフレーム200を囲んでいる。
【0022】
キャリヤフレーム200は、その外側にキャリヤ面216を含んでいる。すなわち、キャリヤ面216は、キャリヤフレーム200の内面218とは反対側で、ハウジング内部212とは反対側を向いている。キャリヤ面216は、ハウジング内部の外側にあるが、デバイス100が完全に組み立てられる時、キャリヤフレーム200がシェル204及びカバー208内に囲まれる結果として、デバイス100の外側に露出されない。代わりに、デバイス100の外側面は、ディスプレイ108、カバー208、及び、シェル204の外面217、によって画定される。以下でより詳細に説明されるように、キャリヤ面216は、少なくともデバイス100の1または複数のアンテナの放射要素を担持するため、そのように呼ばれる。従って、アンテナは、シェル204及びカバー208によって環境暴露から保護されたままでありながら、キャリヤフレーム200によってハウジング内部212から分離される。具体的には、アンテナの放射要素は、キャリヤ面上に配置され、シェル204の内面220によって覆われる。図2の詳細図は、キャリヤ面216(アンテナ224が取り付けられている)とシェル204の内面220との間に収容された例示的なアンテナ224を示している。図2の上部では、2つの表面を視覚的に区別するために、シェル204の内面220とキャリヤ面216とがそれらの間に空間を伴って図示されているが、表面216、220は、例えばシェル204がキャリヤフレーム200上にオーバーモールドされる等して、少なくとも幾つかの領域で直接接触していてもよい。
【0023】
従って、アンテナは、アンテナの放射要素とデバイス100の他の電気的コンポーネント(ハウジング内部212に取り付けられる)との間をより大きく分離して設置され得る。放射要素と他の電気的コンポーネントとの間の分離が増大すると、そのような電気的コンポーネントがアンテナの性能に及ぼす悪影響を軽減し得る。
【0024】
ハウジング104は、前述の3つのコンポーネント(キャリヤフレーム200、シェル204及びカバー208)を有するものとして図示されているが、他の例では、キャリヤフレーム200、シェル204及びカバー208のうちの1または複数が、複数の区別可能なコンポーネントとして実装され得る。例えば、シェル204は、カバー208と協働してキャリヤフレーム200を囲む、2以上の別個のコンポーネントとして実装され得る。
【0025】
図3を参照して、デバイス100の背面側から見たハウジング104の分解図が示されている(すなわち、ベゼル面112が外側を向いていて、不可視である)。図3に見られるように、シェル204は、デバイス100の特定の外側面を画定する。特に、シェル204は、背面300を画定し、例えばその中にバッテリパック(不図示)を受容するための開口304を有する。シェル204は、また、当該シェル204の周囲に沿って延在しデバイス100の各側面116の後部を画定する側壁308を含む。一方、カバー208は、側面116の前部(すなわち、ディスプレイ108により近い部分)を画定する側壁312を含む。側壁308、312は、ハウジング104が完全に組み立てられる時、互いに係合して側面116を形成し、キャリヤフレーム200を囲む。
【0026】
キャリヤフレーム200は、図2に関連して前述されたように、ハウジング内部212を取り囲みキャリヤ面216を画定する周壁316を含む。換言すれば、キャリヤ面216は、キャリヤフレーム200の外側の周囲に延在する。周壁316は、また、前述の内面218を画定する。幾つかの例では、キャリヤフレーム200は、ハウジング内部212内に延在する1または複数のアンカー320など、周壁316に取り付けられた追加のコンポーネントを含み得る。アンカーは、デバイス100の内部コンポーネント(例えば、回路基板など)をキャリヤフレーム200に取り付けるために、締結具または他の結合機構を受容し得る。幾つかの例では、シェル204も、1または複数のアンカーを含み得る。
【0027】
図3に見られるように、キャリヤフレーム200は、キャリヤ面216に取り付けられた複数のアンテナ324を含む。特に、アンテナ324-1、324-2、324-3、324-4、324-5、324-6が、図3において視認できる。もっとも、更なるアンテナ324も、キャリヤ面216上に配置され得る。より一般的には、多種多様なアンテナ324の何れもが、キャリヤ面216に取り付けられ得て、各々がキャリヤ面216の対応する領域に配置され得る。各アンテナ324に割り当てられる領域は、アンテナ324自体の間の相互作用を軽減するために、間隔を空けて配置される。アンテナ324は、複数の通信規格を実装し得る。例えば、アンテナの別個の(区別可能な)サブセット(例えば、あるサブセット内のアンテナ324-1、324-3、及び、別のサブセット内のアンテナ324-2、324-4、324-5)は、別個の(区別可能な)複数の無線通信規格、例えば、WiFi、4G、5G等、を実装し得る。
【0028】
この例では、アンテナ324は、導電性トレース、例えばキャリヤ面216に貼り付けられた金属ストリップ、として実装される。各アンテナ324は、放射要素(図3で視認可能)と、当該放射要素をトランシーバ等のデバイス100の内部コンポーネントに接続する1または複数の給電線(例えば、Rx給電線及びTx給電線)と、を含む。当該給電線は、キャリヤ表面216からハウジング内部212まで延在し、例えば開口328を通って周壁316を貫通している。例示的な開口328-2、328-3、328-4、328-5、328-6が、図3に図示されており、これらは、キャリヤ面216から周壁316を通って内面218まで延在している。従って、各アンテナ324の全体がキャリヤ面216に取り付けられて、周壁316によってハウジング内部212から分離される、という必要はない。もっとも、アンテナ324の放射要素は、デバイス100の内部電子機器から当該放射要素を分離するために、全体的に、または実質的に全体的に、キャリヤ面216に取り付けられている。
【0029】
図2及び図3から明らかなように、キャリヤ面216上にアンテナ324を配置すると、シェル204とキャリヤフレーム200とが組み付けられる時、アンテナ324(または少なくともその放射要素)はキャリヤ面216とシェル204の内面220との間に収容されることになる。
【0030】
図4を参照して、ハウジング104の正面からの分解図が示されている。図3に関連して前述された要素に加えて、アンテナ324の特定の給電線が視認できる。特に、アンテナ324-1、324-2、324-3、324-4にそれぞれ対応する給電線の対400-1、400-2、400-3、400-4が、キャリヤフレーム200のハウジング内部212内に延在していることが示されている。給電線400は、キャリヤ面216から前述の開口328を通ってハウジング内部212まで延在して、そこで内部コントローラまたは他の通信ハードウェアに接続され得る。
【0031】
図5を参照すると、ハウジング104を製造してデバイス100を組み立てる方法500が図示されている。特に、方法500は、ハウジング内部212の外側にアンテナ324を配備するために、キャリヤフレーム200及びシェル204が提供されて互いに固定され得る手順を示す。
【0032】
ブロック505において、例えば射出成形または任意の他の適切なプロセスによって、キャリヤフレーム200が提供される。前述の例では、キャリヤフレーム200は、適切なプラスチックまたは他の材料のシングルショットで成形される。他の例では、キャリヤフレーム200は、複数の部品として製造され得て、それらはその後に完全なキャリヤフレーム200を提供するべく結合され得る。キャリヤフレーム200を製造するために採用される材料は、活性化可能な材料、例えばベース熱可塑性プラスチック内の添加剤、を含む。当該添加剤は、レーザ光によって活性化され得る金属無機化合物を含み得る。図6は、ブロック505の実行後のキャリヤフレーム200を示す。図6に見られるように、キャリヤフレーム200は未だアンテナ324を含んでいない。
【0033】
ブロック510において、アンテナ324を受容予定のキャリヤ面216上の領域が、例えば当該領域をレーザ光にさらすことによって、活性化される。例えば、1または複数のレーザエミッタが、前述の領域を照射するように制御され得る。例えば、アンテナ324の位置及び形状に対応するキャリヤ面216上の所定の経路に沿って当該キャリヤ面216を照射することによって、それらが制御され得る。このような露光が、前述の添加剤を活性化して、アンテナ324を形成する導電性材料を受容して結合するような活性化領域を構成する。
【0034】
ブロック515において、ブロック510で活性化された領域が金属化される、すなわち、キャリヤ面216にアンテナ324を形成する導電性材料(例えば、銅または他の適切な導体)を堆積させる、または、他の態様で取り付ける。例えば、ブロック515において、キャリヤフレーム200が、溶液中に導電性材料を含む1または複数の溶液槽内に浸漬され得る。これにより、当該導電性材料がキャリヤ面216の活性化領域上に堆積されるが、キャリヤフレーム200の残りの部分には堆積されない。当業者には明らかなように、この例では、キャリヤフレーム200及びアンテナ324の製造は、レーザ直接構造化(LDS)を介して実施される。
【0035】
前述されたように、キャリヤフレーム200は、キャリヤ面216上の放射要素をハウジング内部212に接続するための、アンテナ324の給電線400用の開口328をも含んでいる。開口328は、キャリヤフレーム200の成形(モールディング)の際に設けられ得て、あるいは、他の例では、成形(モールディング)後であるがブロック515における金属化の前に、キャリヤフレーム200に穿孔され得るか、または、別の態様で適用され得る。図7は、アンテナ324がキャリヤ面216に取り付けられた状態での、ブロック510及び515の実行後のキャリヤフレーム200を示す。
【0036】
図5に戻って、ブロック520において、シェル204がキャリヤフレーム200に取り付けられる。この例では、シェル204は、キャリヤフレーム200上にオーバーモールドされる。これは、例えば、キャリヤフレーム200(アンテナ324を備える)を型内に載置して、そこにシェル204を形成する材料を適用することによって、行われる。他の例では、シェル204は、別の適切な機構、例えば接着剤等、によって、キャリヤフレーム200に取り付けられ得る。図8は、ブロック520の実行後のキャリヤフレーム200及びシェル204を示す。シェル204は、当該シェル204の内面220とキャリヤ面216との間で、アンテナ324の放射要素の少なくとも後部を収容する。アンテナ324-2等の幾つかのアンテナが、キャリヤ面216上のアンテナ324の構成に応じて、完全には囲まれない前部を有する。これらの露出部分は、組み立てプロセスの後半で、カバー208によって囲まれる。
【0037】
ブロック525において、デバイス100の内部コンポーネントが設置され、ブロック530において、ディスプレイ108及びカバー208が設置される。内部コンポーネントがハウジング内部212内に設置される順序及び態様は、特に限定はされない。一般に、内部コンポーネントは、キャリヤフレーム200(例えば、図3に示されるアンカー320等のアンカーを介して)及びシェル204の一方または両方に取り付けられ得る、及び/または、他の内部コンポーネントに取り付けられ得る。内部コンポーネントの設置が完了すると、ディスプレイ108が、ハウジング内部の上方に設置され得て、カバー208によってハウジング104に取り付けられ得る。カバー208の側壁312が、周壁316の前部を囲み、シェル204と係合してキャリヤフレーム216及びアンテナ324を完全に囲む。
【0038】
前述の組立プロセス、特にキャリヤ面216上にアンテナ324を設けることの結果として、アンテナ324を衝撃や他の環境要因から保護しながら、ハウジング内部212内のコンポーネントからの干渉を軽減する位置にアンテナ324を配備することができる。
【0039】
前述の明細書において、特定の実施形態が説明された。しかしながら、当業者は、以下の特許請求の範囲で示す本発明の範囲から逸脱することなく、種々の改変及び変更を行うことができることを認識する。従って、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的なものであるとみなされるべきであり、このような改変の全てが、本教示の範囲内に含まれることが意図されている。
【0040】
利益、利点、課題の解決法、並びに、何らかの利益、利点または解決法を生じさせ得るかより顕著にし得るあらゆる要素は、特許請求の範囲の請求項のいずれかまたは全てにおける、決定的な、要求される、または必須の、特徴または要素として解釈されるべきではない。本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ規定され、本出願の係属中になされるあらゆる補正と、発行時の特許請求の範囲の全ての均等物と、を含む。
【0041】
更に、当該文書において、第1及び第2、上及び下、等のような関連語は、1つの実体または動作を他の実体または動作から区別するためにのみ用いられている可能性があり、必ずしもそのような実体または動作間の実際のそのような関係または順序を要求したり含意したりしていない可能性がある。用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、「含有する(contains)」、「含有している(containing)」、あるいは、それらの他のあらゆる変形語は、非排他的な包含をカバーすることが意図されている。要素の列挙(リスト)を、備える、有する、含む、または、含有する、というプロセス、方法、物品、または、装置は、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていない他の要素や、そのようなプロセス、方法、物品、または、装置に固有の他の要素を含み得る。「を備える(comprises...a)」、「を有する(has...)」、「を含む(includes...a)」、「を含有する(contains...a)」の後に続く要素は、更なる制約条件が無ければ、当該要素を、備える、有する、含む、または、含有する、というプロセス、方法、物品、または、装置、における付加的な同一要素の存在を排除しない。用語「a」及び「an」は、明示的に他の言及が無い限り、1または複数として定義される。用語「実質的に」、「本質的に」、「およそ」、「約」、あるいは、それらの他のあらゆる変形語は、当業者に理解されるように、近い状態であるものとして定義され、1つの非限定的な実施形態において、当該用語は、10%以内、別の実施形態においては5%以内、別の実施形態においては1%以内、及び、別の実施形態において0.5%以内、として定義される。本明細書で用いられる用語「結合された」は、接続されたものとして定義されるが、必ずしも直接的でなくてもよく、また、必ずしも機械的でなくてもよい。ある方式で「構成された」デバイスまたは構造は、少なくとも当該方式で構成されるが、挙げられていない方式で構成されてもよい。
【0042】
特定の表現が、要素の組合せを列挙するために、本明細書において採用され得る。このような表現の例は、「A、B及びCの少なくとも1つ」、「A、B及びCの1または複数」、「A、BまたはCの少なくとも1つ」、「A、BまたはCの1または複数」、を含む。別段の明示がない限り、前記の表現は、A及び/またはB及び/またはCの任意の組合せを包含する。
【0043】
幾つかの実施形態は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、カスタマイズドプロセッサ及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のような、1または複数の専用プロセッサ(又は「処理デバイス」)と、当該1または複数のプロセッサを制御して、特定の非プロセッサ回路と共に、本明細書で説明される方法及び/または装置の機能の一部、大部分、または、全て、を実装する、特有の記憶されたプログラム命令(ソフトウェア及びファームウェアの両方を含む)と、で構成され得ることが認識されるであろう。あるいは、一部または全ての機能が、記憶されたプログラム命令を有しない状態機械によって実装され得るし、または、各機能もしくは特定の機能の幾つかの組合せがカスタム論理として実装された1または複数の特定用途向け集積回路(ASIC)において実装され得る。勿論、2つの手法の組合せが用いられてもよい。
【0044】
更に、実施形態は、本明細書で説明されて特許請求される方法を実行するようにコンピュータ(例えばプロセッサを含む)をプログラミングするための、記憶されたコンピュータ可読コードを有する、コンピュータ可読ストレージ媒体として実装され得る。このようなコンピュータ可読ストレージ媒体の例は、ハードディスク、CD-ROM、光学ストレージデバイス、磁気ストレージデバイス、ROM(読出し専用メモリ)、PROM(プログラマブル読出し専用メモリ)、EPROM(消去可能プログラマブル読出し専用メモリ)、EEPROM(電気的消去可能プログラマブル読出し専用メモリ)、及び、フラッシュメモリ、を含むがこれらに限定されない。更に、例えば、利用可能な時間、現在の技術水準、及び、経済的考慮事項、によって動機付けされる、可能性ある顕著な努力や多くの設計選択肢にもかかわらず、本明細書に開示される概念及び原理によって導かれる時、当業者は、このようなソフトウェア命令及びプログラム並びにICを最小限の実験で容易に生成可能になる、ということが期待される。
【0045】
本開示の要約は、読者が当該技術的開示の性質を素早く確認することを許容するために提供される。それは、特許請求の範囲の請求項の範囲または意味を解釈または制限するために用いられないという理解と共に提示される。また、前述の詳細な説明において、当該開示を円滑にする目的で、様々な実施形態において様々な特徴がまとめてグループ化されていることが認められ得る。この開示方法は、特許請求される実施形態が、各請求項で明示的に記載されている特徴よりも多くの特徴を必要とする、という意図を反映するものとして解釈されるべきでない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、単一の開示された実施形態の全ての特徴よりも少なく存在する。以下の特許請求の範囲は、ここで詳細な説明に組み入れられ、各請求項は、別個に特許請求される主題として、それ自身独立している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】