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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】レスベラトロールの製剤および使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/05 20060101AFI20240822BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61K31/05
A61P17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516470
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2022076107
(87)【国際公開番号】W WO2023041803
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/246,242
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/252,892
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524095775
【氏名又は名称】ダンスター フェルメント エージー
【氏名又は名称原語表記】DANSTAR FERMENT AG
(74)【代理人】
【識別番号】100107870
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100098121
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 世津子
(72)【発明者】
【氏名】ダ シルバ ピント, マルシア
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ ラ ボーム, ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ドッジソン, クレア
【テーマコード(参考)】
4C206
【Fターム(参考)】
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA20
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA48
4C206MA72
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA89
(57)【要約】
本開示は、皮膚の健康パラメーターを改善する、および/または皮膚老化の徴候を減少する方法であって、それを必要とするヒト対象に有効量のレスベラトロールを投与することを含む、方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚の健康パラメーターを改善する、および/または皮膚老化の徴候を減少する方法であって、それを必要とするヒト対象に有効量のレスベラトロールの経口投薬量およびレスベラトロールの局所製剤の両方を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記レスベラトロールが3,5,4’-トリヒドロキシ-トランス-スチルベンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レスベラトロールの経口投薬量が1日あたり50mg~1000mg、例えば1日あたり100mg~200mg、特に1日あたり約150mgであり、例えば前記レスベラトロールの経口投薬量が分割用量で1日2回投与され、例えば前記レスベラトロールの経口投薬量が1日あたり150mgであり、朝に75mgおよび夕方に75mgの分割用量で投与される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記レスベラトロールの局所製剤が約2mg/cmの量で皮膚に投与され、例えば前記レスベラトロールの局所製剤が0.5wt%~2.5wt%のレスベラトロール、特に約1.5wt%のレスベラトロールを含み、例えばクリーム剤であり、または例えば前記レスベラトロールの局所製剤が、2mg~20mg/皮膚100cm、例えば4mg~10mg/皮膚100cm、例えば約6mg/皮膚100cmのレスベラトロールの毎日の投薬量で投与され、例えば前記レスベラトロールの局所製剤が分割用量で1日2回投与され、例えば前記レスベラトロールの局所製剤が前記対象の顔に投与され、例えば前記レスベラトロールの局所製剤が、約1.5wt%のレスベラトロールを含み、朝に約1gおよび夕方に約1gの投薬量で前記対象の顔に投与されるクリーム剤である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
a.前記レスベラトロールが3,5,4’-トリヒドロキシ-トランス-スチルベンであり、
b.前記レスベラトロールの経口投薬量が1日あたり150mgであり、朝に75mgおよび夕方に75mgの分割用量で投与され、
c.前記レスベラトロールの局所製剤が、約1.5wt%のレスベラトロールを含み、朝に約1gおよび夕方に約1gの投薬量で前記対象の顔に投与されるクリーム剤である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
レスベラトロール処置の期間が少なくとも4週間、例えば少なくとも8週間である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記対象が40歳を超える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
レスベラトロールを受けていない対照集団の平均と比較して、前記対象の前記皮膚の健康パラメーターが改善し、および/もしくは前記対象の前記皮膚老化の徴候が減少し、または前記レスベラトロール処置の開始時の前記対象の状態と比較して、前記対象が皮膚の健康パラメーターの改善および/または皮膚老化の徴候の減少を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記皮膚老化の徴候が、しわの増加、毛穴のサイズの増加、色素沈着領域の増加、皮脂の低減、水分の減少、皮膚の弾力の減少、皮膚のトーンの減少および皮膚の温度の減少の1つまたは複数を含み、例えば前記皮膚老化の徴候が、眼領域のしわの数および深さの増加を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記皮膚老化の徴候が画像分析を使用して評価され、前記画像分析が、毛穴のサイズ、色素沈着、しわの数および深さ、皮脂、水分、皮膚の弾力、皮膚のトーン、および皮膚の温度の1つもしくは複数または全てを測定し、例えば前記画像分析がA-ONE Smart測定システム(Bomtech Electronics Co. Ltd.、Seoul、Korea)を使用して行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記皮膚の健康パラメーターが、例えば酸化ストレスマーカーおよび/または血液抗酸化特性、例えば総抗酸化能力、反応性酸化代謝産物の誘導体(DROM)、および/または酸化型グルタチオンの還元型グルタチオン(E(h)GSH)とシステイン(E(h)CySH)とに対する比の1つまたは複数を測定する血液分析を使用して評価される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
皮膚の健康パラメーターを改善する、および/または皮膚老化の徴候を減少する方法であって、それを必要とするヒト対象に有効量のレスベラトロールをレスベラトロールの経口投薬量またはレスベラトロールの局所製剤として投与することを含み、レスベラトロールを受けていない対照集団の平均と比較して、前記対象の前記皮膚の健康パラメーターが改善し、および/もしくは前記対象の前記皮膚老化の徴候が減少し、または前記レスベラトロール処置の開始時の前記対象の状態と比較して、前記対象が皮膚の健康パラメーターの改善および/もしくは皮膚老化の徴候の減少を有し、例えば前記皮膚老化の徴候が画像分析を使用して評価され、前記画像分析が、毛穴のサイズ、色素沈着、しわの数および深さ、皮脂、水分、皮膚の弾力、皮膚のトーン、および皮膚の温度の1つもしくは複数もしくは全てを測定し、例えば前記画像分析がA-ONE Smart測定システム(Bomtech Electronics Co. Ltd.、Seoul、Korea)を使用して行われ、例えば前記皮膚の健康パラメーターが血液分析を使用して評価され、例えば酸化ストレスマーカーおよび/もしくは血液抗酸化特性、例えば総抗酸化能力、反応性酸化代謝産物の誘導体(DROM)、および/もしくは酸化型グルタチオンの還元型グルタチオン(E(h)GSH)とシステイン(E(h)CySH)とに対する比の1つもしくは複数を測定する、方法。
【請求項13】
それを必要とするヒト対象において皮膚の健康パラメーターの改善、および/または皮膚老化の徴候の減少における使用のためのレスベラトロールであって、前記ヒト対象が例えば請求項1から11のいずれか一項に記載の方法に従って有効量の経口投薬量および局所製剤の両方を受ける、レスベラトロール。
【請求項14】
例えば請求項1から11のいずれか一項に記載の方法に従って、レスベラトロールの経口投薬量およびレスベラトロールの局所製剤の両方を使用説明書と一緒に含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば皮膚の健康、状態および老化の徴候を高めるためのレスベラトロールの新規の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
レスベラトロール(3,5,4’-トリヒドロキシ-スチルベン)は、植物が外部のストレス要因に応答して合成するポリフェノールであるフィトアレキシンである。これは2つの異性体形態、シスおよびトランスで存在し、トランス形態は生物学的に活性である。レスベラトロールは多数の植物種において発見されるだけでなく、赤ワイン、ブドウ、ダークチョコレート、ピーナッツおよび液果類にも存在し、その抗酸化活性のために局所および経口製剤でも使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
目に見える皮膚老化の徴候には、しわ(小じわおよび深いしわ)の蓄積、乾燥、たるみ、透明感、不均一な色素沈着および毛穴の目立ちが挙げられる。内因性老化は主に遺伝過程に依存するが、生活様式の選択、日光曝露および汚染などの外因性因子は、皮膚の老化を有意に加速する。さらに、皮膚バリアの崩壊は、炎症性皮膚疾患を刺激する、および微生物病原体の皮膚への侵入を可能とし、潜在的に全身循環における炎症を高めるなどの有害な健康の結果をもたらし得る。皮膚の機能を改善し、皮膚老化の徴候を減少するため、改善された手法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、レスベラトロールを使用した、皮膚の健康パラメーターおよび/または皮膚老化の徴候を改善するための新規の方法およびキットを提供する。特に、本開示は、プラセボ製品と比較して、例えば以下により測定される皮膚の健康パラメーターおよび/または皮膚老化の徴候を改善するための、レスベラトロールの経口投与および/または局所塗布のための方法を提供する:
a.例えばしわ(小じわおよび/もしくは深いしわ)、不均一な色素沈着、皮膚の弾力、保湿、毛穴の目立ち、皮膚のトーン、皮脂および/もしくは皮膚の温度)の1つもしくは複数を測定する画像分析、例えば画像が通常光、紫外線および偏光下で得られ、毛穴のサイズ、色素沈着、しわの数および深さ、皮脂、水分、皮膚の弾力、皮膚のトーンおよび皮膚の温度を測定する画像分析、ならびに/または
b.例えば酸化ストレスマーカーおよび/もしくは血液抗酸化特性、例えば総抗酸化能力、反応性酸化代謝産物の誘導体(DROM)、および/もしくは酸化型グルタチオンの還元型グルタチオン(E(h)GSH)とシステイン(E(h)CySH)とに対する比の1つもしくは複数を測定する、血液分析。
【発明を実施するための形態】
【0005】
第1の実施形態では、本開示は、皮膚の健康パラメーターを改善する、および/または皮膚老化の徴候を減少する方法であって、それを必要とするヒト対象に有効量のレスベラトロールの経口投薬量およびレスベラトロールの局所製剤の両方を投与することを含む、方法(方法1)を提供する。例えば、方法1には以下の方法が挙げられる。
【0006】
1.1 レスベラトロールが3,5,4’-トリヒドロキシ-トランス-スチルベン(すなわちトランス-レスベラトロール)である、方法1。
【0007】
1.2 レスベラトロールの経口投薬量が1日あたり50mg~1000mg、例えば1日あたり100mg~200mg、特に1日あたり約150mgである、方法1または1.1。
【0008】
1.3 レスベラトロールの経口投薬量が分割用量で1日2回投与される、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0009】
1.4 レスベラトロールの経口投薬量が1日あたり150mgであり、朝に75mgおよび夕方に75mgの分割用量で投与される、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0010】
1.5 レスベラトロールの局所製剤が約2mg/cmの量で皮膚に投与される、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0011】
1.6 レスベラトロールの局所製剤が0.5重量%(wt%)~2.5wt%のレスベラトロール、特に約1.5wt%のレスベラトロールを含み、例えばクリーム剤である、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0012】
1.7 レスベラトロールの局所製剤が、2mg~20mg/皮膚100cm、例えば4mg~10mg/皮膚100cm、例えば約6mg/皮膚100cmのレスベラトロールの毎日の投薬量で投与される、先行する1~1.5のいずれかの方法。
【0013】
1.8 レスベラトロールの局所製剤が分割用量で1日2回投与される、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0014】
1.9 レスベラトロールの局所製剤が対象の顔に投与される、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0015】
1.10 レスベラトロールの局所製剤が、約1.5wt%のレスベラトロールを含み、朝に約1gおよび夕方に約1gの投薬量で対象の顔に投与されるクリーム剤である、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0016】
1.11 a.レスベラトロールが3,5,4’-トリヒドロキシ-トランス-スチルベンであり、
b.レスベラトロールの経口投薬量が1日あたり150mgであり、朝に75mgおよび夕方に75mgの分割用量で投与され、
c.レスベラトロールの局所製剤が、約1.5wt%のレスベラトロールを含み、朝に約1gおよび夕方に約1gの投薬量で対象の顔に投与されるクリーム剤である、
先行するいずれかの項に記載の方法。
【0017】
1.12 レスベラトロール処置の期間が少なくとも4週間、例えば少なくとも8週間である、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0018】
1.13 対象が女性である、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0019】
1.14 対象が40歳を超える、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0020】
1.15 レスベラトロールを受けていない対照集団の平均と比較して、対象の皮膚の健康パラメーターが改善し、および/または対象の皮膚老化の徴候が減少する、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0021】
1.16 レスベラトロール処置の開始と終了との間で、対象の皮膚の健康パラメーターの1つもしくは複数が同じままであるかもしくはあまり悪化しない、および/または対象の皮膚老化の徴候の1つもしくは複数が同じままであるかもしくはあまり増加しない、任意の方法1.15。
【0022】
1.17 レスベラトロール処置の開始時の対象の状態と比較して、対象が皮膚の健康パラメーターの改善および/または皮膚老化の徴候の減少を有する、先行する1~1.15のいずれかの方法。
【0023】
1.18 皮膚老化の徴候が、しわの増加(例えば小じわおよび/もしくは深いしわの数および/もしくは深さの増加)、毛穴のサイズの増加、色素沈着領域の増加、皮脂の低減、水分の減少、皮膚の弾力の減少、皮膚のトーンの減少および皮膚の温度の減少の1つまたは複数を含む、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0024】
1.19 皮膚老化の徴候が、眼領域のしわの数および深さの増加を含む、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0025】
1.20 皮膚老化の徴候が画像分析を使用して評価され、画像分析が、毛穴のサイズ、色素沈着、しわの数および深さ、皮脂、水分、皮膚の弾力、皮膚のトーン、および皮膚の温度の1つもしくは複数または全てを測定し、例えば画像分析がA-ONE Smart測定システム(Bomtech Electronics Co. Ltd.、Seoul、Korea)を使用して行われる、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0026】
1.21 皮膚老化の徴候が、通常光、紫外線および/または偏光下で画像分析を使用して評価され、例えば画像が通常光、紫外線および/または偏光下で得られる、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0027】
1.22 画像分析がしわの数および深さ、毛穴のサイズ、色素沈着領域、皮脂、水分、皮膚の弾力および皮膚の温度を測定する、1.20または1.21のいずれかの方法。
【0028】
1.23 皮膚の健康パラメーターが、例えば酸化ストレスマーカーおよび/または血液抗酸化特性、例えば総抗酸化能力、反応性酸化代謝産物の誘導体(DROM)、および/または、酸化型グルタチオンの還元型グルタチオン(E(h)GSH)とシステイン(E(h)CySH)とに対する比の1つまたは複数を測定する血液分析を使用して評価される、先行する1~1.17のいずれかの方法。
【0029】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とするヒト対象において皮膚の健康パラメーターの改善、および/または皮膚老化の徴候の減少における使用のためのレスベラトロールであって、ヒト対象が例えば上記の方法1~1.23のいずれかに従って有効量の経口投薬量およびレスベラトロールの局所製剤の両方を受ける、レスベラトロールを提供する。
【0030】
別の実施形態では、本開示は、例えば上記の方法1~1.23のいずれかに従って、それを必要とするヒト対象において皮膚の健康パラメーターを改善する、および/または皮膚老化の徴候を減少するための経口投薬量製剤および局所製剤の形態の医薬の製造における、レスベラトロールの使用を提供する。
【0031】
別の実施形態では、本開示は、例えば上記の方法1~1.23のいずれかに従って、レスベラトロールの経口投薬量およびレスベラトロールの局所製剤の両方を使用説明書と一緒に含むキットを提供する。
【0032】
数値「X」の前に置かれる用語「約」は、本明細書において、Xマイナス10%のXからXプラス10%のXにわたる区間を指す。
【0033】
本発明によれば、レスベラトロールは、単一の活性成分として、または他の活性成分と組み合わせて、特に単一の活性成分として、経口投与および/または局所投与することができる。
【0034】
第2の実施形態では、本開示は、皮膚の健康パラメーターを改善する、および/または皮膚老化の徴候を減少する方法であって、それを必要とするヒト対象に有効量のレスベラトロールをレスベラトロールの経口投薬量として投与することを含む、方法(方法2)を提供する。例えば、方法2には以下の方法が挙げられる。
【0035】
2.1. レスベラトロールが3,5,4’-トリヒドロキシ-トランス-スチルベンである、方法2。
【0036】
2.2 レスベラトロールの経口投薬量が1日あたり50mg~1000mg、例えば1日あたり100mg~200mg、特に1日あたり約150mgである、方法2または2.1。
【0037】
2.3 レスベラトロールの経口投薬量が分割用量で1日2回投与される、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0038】
2.4 レスベラトロールの経口投薬量が1日あたり150mgであり、朝に75mgおよび夕方に75mgの分割用量で投与される、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0039】
2.5 レスベラトロールが3,5,4’-トリヒドロキシ-トランス-スチルベンであり、
レスベラトロールの経口投薬量が1日あたり150mgであり、朝に75mgおよび夕方に75mgの分割用量で投与される、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0040】
2.6 レスベラトロール処置の期間が少なくとも4週間、例えば少なくとも8週間である、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0041】
2.7 対象が女性である、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0042】
2.8 対象が40歳を超える、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0043】
2.9 レスベラトロールを受けていない対照集団の平均と比較して、対象の皮膚の健康パラメーターが改善し、および/または対象の皮膚老化の徴候が減少する、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0044】
2.10 レスベラトロール処置の開始と終了との間で、対象の皮膚の健康パラメーターの1つもしくは複数が同じままであるかもしくはあまり悪化しない、および/または対象の皮膚老化の徴候の1つもしくは複数が同じままであるかもしくはあまり増加しない、2.9の任意の方法。
【0045】
2.11 レスベラトロール処置の開始時の対象の状態と比較して、対象が皮膚の健康パラメーターの改善および/または皮膚老化の徴候の減少を有する、先行する2~2.9のいずれかの方法。
【0046】
2.12 皮膚老化の徴候が、しわの増加(例えば小じわおよび/もしくは深いしわの数および/もしくは深さの増加)、毛穴のサイズの増加、色素沈着領域の増加、皮脂の低減、水分の減少、皮膚の弾力の減少、皮膚のトーンの減少および皮膚の温度の減少の1つまたは複数を含む、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0047】
2.13 皮膚老化の徴候が、眼領域のしわの数および深さの増加を含む、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0048】
2.14 皮膚老化の徴候が画像分析を使用して評価され、画像分析が、毛穴のサイズ、色素沈着、しわの数および深さ、皮脂、水分、皮膚の弾力、皮膚のトーン、および皮膚の温度の1つもしくは複数または全てを測定し、例えば画像分析がA-ONE Smart測定システム(Bomtech Electronics Co. Ltd.、Seoul、Korea)を使用して行われる、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0049】
2.15 皮膚老化の徴候が、通常光、紫外線および/または偏光下で画像分析を使用して評価され、例えば画像が通常光、紫外線および/または偏光下で得られる、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0050】
2.16 画像分析がしわの数および深さ、毛穴のサイズ、色素沈着領域、皮脂、水分、皮膚の弾力および皮膚の温度を測定する、2.14または2.15のいずれかの方法。
【0051】
2.17 皮膚の健康パラメーターが、例えば酸化ストレスマーカーおよび/または血液抗酸化特性、例えば総抗酸化能力、反応性酸化代謝産物の誘導体(DROM)、および/または酸化型グルタチオンの還元型グルタチオン(E(h)GSH)とシステイン(E(h)CySH)とに対する比の1つまたは複数を測定する血液分析を使用して評価される、先行する2~2.11のいずれかの方法。
【0052】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とするヒト対象において皮膚の健康パラメーターの改善、および/または皮膚老化の徴候の減少における使用のためのレスベラトロールであって、ヒト対象が例えば上記の方法2~2.17のいずれかに従って有効量の経口投薬量を受ける、レスベラトロールを提供する。
【0053】
別の実施形態では、本開示は、例えば上記の方法2~2.17のいずれかに従って、それを必要とするヒト対象において皮膚の健康パラメーターを改善する、および/または皮膚老化の徴候を減少するための経口投薬製剤の形態の医薬の製造における、レスベラトロールの使用を提供する。
【0054】
第3の実施形態では、本開示は、皮膚の健康パラメーターを改善する、および/または皮膚老化の徴候を減少する方法であって、それを必要とするヒト対象に有効量のレスベラトロールをレスベラトロールの局所製剤として投与することを含む、方法(方法3)を提供する。例えば、方法3には以下の方法が挙げられる。
【0055】
3.1. レスベラトロールが3,5,4’-トリヒドロキシ-トランス-スチルベンである、方法3。
【0056】
3.2 レスベラトロールの局所製剤が約2mg/cmの量で皮膚に投与される、方法3または3.1。
【0057】
3.3 レスベラトロールの局所製剤が0.5wt%~2.5wt%のレスベラトロール、特に約1.5wt%のレスベラトロールを含み、例えばクリーム剤である、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0058】
3.4 レスベラトロールの局所製剤が、2mg~20mg/皮膚100cm、例えば4mg~10mg/皮膚100cm、例えば約6mg/皮膚100cmのレスベラトロールの毎日の投薬量で投与される、先行する3~3.2のいずれかの方法。
【0059】
3.5 レスベラトロールの局所製剤が分割用量で1日2回投与される、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0060】
3.6 レスベラトロールの局所製剤が対象の顔に投与される、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0061】
3.7 レスベラトロールの局所製剤が、約1.5wt%のレスベラトロールを含み、朝に約1gおよび夕方に約1gの投薬量で対象の顔に投与されるクリーム剤である、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0062】
3.8 a.レスベラトロールが3,5,4’-トリヒドロキシ-トランス-スチルベンであり、
b.レスベラトロールの局所製剤が、約1.5wt%のレスベラトロールを含み、朝に約1gおよび夕方に約1gの投薬量で対象の顔に投与されるクリーム剤である、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0063】
3.9 レスベラトロール処置の期間が少なくとも4週間、例えば少なくとも8週間である、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0064】
3.10 対象が女性である、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0065】
3.11 対象が40歳を超える、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0066】
3.12 レスベラトロールを受けていない対照集団の平均と比較して、対象の皮膚の健康パラメーターが改善し、および/または対象の皮膚老化の徴候が減少する、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0067】
3.13 レスベラトロール処置の開始と終了との間で、対象の皮膚の健康パラメーターの1つもしくは複数が同じままであるかもしくはあまり悪化しない、および/または対象の皮膚老化の徴候の1つもしくは複数が同じままであるかもしくはあまり増加しない、3.12の任意の方法。
【0068】
3.14 レスベラトロール処置の開始時の対象の状態と比較して、対象が皮膚の健康パラメーターの改善および/または皮膚老化の徴候の減少を有する、先行する方法3~3.12のいずれか。
【0069】
3.15 皮膚老化の徴候が、しわの増加(例えば小じわおよび/もしくは深いしわの数および/もしくは深さの増加)、毛穴のサイズの増加、色素沈着領域の増加、皮脂の低減、水分の減少、皮膚の弾力の減少、皮膚のトーンの減少および皮膚の温度の減少の1つまたは複数を含む、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0070】
3.16 皮膚老化の徴候が、眼領域のしわの数および深さの増加を含む、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0071】
3.17 皮膚老化の徴候が画像分析を使用して評価され、画像分析が、毛穴のサイズ、色素沈着、しわの数および深さ、皮脂、水分、皮膚の弾力、皮膚のトーン、および皮膚の温度の1つもしくは複数または全てを測定し、例えば画像分析がA-ONE Smart測定システム(Bomtech Electronics Co. Ltd.、Seoul、Korea)を使用して行われる、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0072】
3.18 皮膚老化の徴候が、通常光、紫外線および/または偏光下で画像分析を使用して評価され、例えば画像が通常光、紫外線および/または偏光下で得られる、先行するいずれかの項に記載の方法。
【0073】
3.19 画像分析がしわの数および深さ、毛穴のサイズ、色素沈着領域、皮脂、水分、皮膚の弾力および皮膚の温度を測定する、3.17または3.18のいずれかの方法。
【0074】
3.20 皮膚の健康パラメーターが、例えば酸化ストレスマーカーおよび/または血液抗酸化特性、例えば総抗酸化能力、反応性酸化代謝産物の誘導体(DROM)、および/または酸化型グルタチオンの還元型グルタチオン(E(h)GSH)とシステイン(E(h)CySH)とに対する比の1つまたは複数を測定する血液分析を使用して評価される、先行する3~3.14のいずれかの方法。
【0075】
別の実施形態では、本開示は、それを必要とするヒト対象において皮膚の健康パラメーターの改善、および/または皮膚老化の徴候の減少における使用のためのレスベラトロールであって、ヒト対象が例えば上記の方法3~3.20のいずれかに従って有効量の局所製剤を受ける、レスベラトロールを提供する。
【0076】
別の実施形態では、本開示は、例えば上記の方法3~3.20のいずれかに従って、それを必要とするヒト対象において皮膚の健康パラメーターを改善する、および/または皮膚老化の徴候を減少するための局所製剤の形態の医薬の製造における、レスベラトロールの使用を提供する。
【実施例1】
【0077】
臨床試験
二重盲検無作為化プラセボ対照臨床試験を、8週間の参加および4群で、以下のように実行した。
調査製品:トランス-レスベラトロール(この実施例の項では、「レスベラトロール(resveratrol)」または「レスベラトロール(Resveratrol)」と称する)。
用量:単一のカプセル剤で、水とともに75mgのレスベラトロールを1日2回(朝および夕方)、および/または1gのクリーム剤(1.5wt%のレスベラトロールを含有する)を顔に1日2回(朝および夕方)局所塗布
期間:8週間
提案された被験者の数:140
【0078】
この試験の目的は、その他の点で健康な40歳を超えた女性における、プラセボと比較した、皮膚の健康パラメーターおよび皮膚老化の徴候についてのレスベラトロールの有効性を評価することである。試験は、レスベラトロールの経口投与および/または局所塗布が、プラセボ製品と比較して、しわ(小じわおよび/または深いしわ)、不均一な色素沈着、皮膚の弾力、保湿、毛穴の目立ち、皮膚のトーン、皮脂、皮膚の温度ならびに/または酸化ストレスマーカーおよび血液抗酸化特性を含む皮膚の健康パラメーターおよび皮膚老化の徴候を改善することを示すように設計される。
【0079】
レスベラトロールは当該技術分野において公知のプロセスに従って製造することができる。好ましくは、本発明による臨床試験において使用されるレスベラトロールは、特にWO2006/089898およびWO2016/180956に記載されるような遺伝子組み換えの宿主細胞(特に酵母細胞)を例えば使用した発酵により製造され、そのように製造されたレスベラトロールを、例えばWO2018/141798に記載されるように精製することができる。特に、本発明による臨床試験において使用されるレスベラトロールは、Evolva SA、SwitzerlandからのVeri-te(商標)レスベラトロール(食品グレード>98%)である。
【0080】
被験者を、以下の4つの試験群に分ける:
群1-レスベラトロール活性処置、経口および局所:この群において提案された被験者の数は35である。被験者に、1個のカプセル剤(75mgのレスベラトロール)を水とともに1日あたり2回(朝に1カプセルおよび夕方に1カプセル)摂取し、1gの量のクリーム剤(1.5wt%のレスベラトロールを含有する)を顔に1日2回(朝に1回および夕方に1回)、顔のクレンジング後かつ保湿剤を塗布する前に塗布するように説明する。
【0081】
レスベラトロールカプセル剤の組成:
【0082】
【表1】
【0083】
レスベラトロールクリーム剤の組成:
【0084】
【表2】
【0085】
群2-レスベラトロール活性処置、経口およびプラセボ局所:この群において提案された被験者の数は35である。被験者に、1個のカプセル剤(75mgのレスベラトロール)を水とともに1日あたり2回(朝および夕方)摂取し、プラセボ局所製品を活性局所処置群のように塗布するように説明する。
【0086】
群3-プラセボ経口およびレスベラトロール活性処置、局所:この群において提案された被験者の数は35である。被験者に、プラセボ経口製品を活性経口処置群のように摂取し、1gの量のクリーム剤(1.5wt%のレスベラトロールを含有する)を顔に1日2回(朝および夕方)、顔のクレンジング後かつ保湿剤を塗布する前に塗布するように説明する。
【0087】
群4-プラセボ経口および局所:この群において提案された被験者の数は35である。被験者に、プラセボ経口および局所製品を活性経口および局所処置群のように摂取するように説明する。
【0088】
プラセボ経口製品は、カルボキシメチルセルロースおよびステアリン酸マグネシウムからなり、レスベラトロール経口製品と同一であるように見える。プラセボ局所製品は水性クリーム剤(水中油型乳剤)であり、1.5wt%レスベラトロールクリーム剤と同一であるがレスベラトロールを含めないように作製される。活性およびプラセボ製品の両方を、GMP基準で作製した。
【0089】
被験者の組み入れ基準は以下の通りである:
40歳を超える女性;
その他の点で健康であること;
標準的なスキンケアの習慣を変えないことに同意していること。
【0090】
除外基準は以下の通りである:
制御不能な心血管、神経、精神、腎臓、胃腸、免疫、内分泌(制御不能な糖尿病または甲状腺疾患を含む)または血液学的異常を含むがそれらに限定されない、臨床的に有意な医学的状態;
現在レスベラトロールを摂取しているか、またはレスベラトロールクリーム剤を使用していること;
ボトックスおよび他の注射剤、マイクロダーマブレイジョン、レーザー治療を含む、美容外科手術および手技;
局所レチノイド(Rein-A、Retrieve)、経口レチノイド、例えばイソトレチノイン(ロアキュタン)、過酸化ベンゾイル、AHA、美容液、ケミカルピーリングを含む、ざ瘡または他の皮膚状態のための薬品;
積極的喫煙者、ニコチンの使用、アルコールまたは薬物(処方または非合法物質)乱用;慢性的な過去のおよび/または現在のアルコールの使用(週に14回を超えるアルコール飲酒);
妊婦または授乳婦であることが分かっている;
レスベラトロールへのアレルギーまたは過感受性;
治験責任医師の意見において被験者が組み入れに適していないとされる任意の状態。
【0091】
この試験は、活性およびプラセボ群をベースラインのデータコレクションとともに使用した、8週の処置期間の二重盲検無作為化プラセボ対照臨床試験である。試験に登録する際、被験者は4つの処置群の1つに1:4の可能性で無作為に割り当てられる。ベースラインの皮膚評価および空腹時血液検査を登録時に完了する。皮膚評価には、しわ、毛穴のサイズ、色素沈着領域、皮脂、水分、皮膚の弾力および皮膚の温度の特徴付けを含める。皮膚評価および写真を撮る前に、被験者は全ての化粧およびリップスティックを、提供されたメイク落としワイプ(make-up removal wipe)を使用して落とし、髪を顔から取り払う。空腹時血液試料では、酸化ストレスマーカー、血液抗酸化特性、レスベラトロール濃度および代謝産物を測定する。
【0092】
被験者がベースライン測定を完了したら、彼らに割り当てられた製品を規定された投薬レジメンに従って摂取/塗布するように説明する。8週の試験期間中、被験者に試験の中間点(第4週)および終了時(第8週)に、ベースライン測定を繰り返すために試験施設に通うよう依頼する。試験終了時(第8週)、被験者に出口面接(exit interview)および質問票を完了するよう依頼する。被験者は全ての訪問の間、空腹状態で施設に通うことを求められる。第8週の終了時、試験の参加が完了したと考えられる。ベースライン、第4週および第8週に行われる転帰の測定を、表1に列挙する。
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【国際調査報告】