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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】心血管疾患の処置
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20240822BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20240822BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240822BHJP
   C07K 14/435 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K48/00
A61K31/713
A61K31/711
A61K31/7125
A61P3/06
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K47/54
A61K31/712
A61P9/00
C07K14/435
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516476
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 EP2022075355
(87)【国際公開番号】W WO2023041508
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】2113104.0
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2207239.1
(32)【優先日】2022-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521548168
【氏名又は名称】アルゴノート アールエヌエー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100203208
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【弁理士】
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】カーン,ステラ
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】カーン,マイケル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076AA22
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA95
4C076BB01
4C076BB11
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB17
4C076BB31
4C076CC11
4C076CC21
4C076CC41
4C076DD66
4C076EE59
4C084AA13
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA17
4C084MA23
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA52
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA36
4C084ZC33
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA23
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZC33
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、核酸であって、センス鎖とアンチセンス鎖とを含む二本鎖RNA分子を含み、前記分子のセンスRNA部分又はアンチセンスRNA部分のいずれかの少なくとも5’末端に共有結合された一本鎖DNA分子をさらに含み、前記二本鎖阻害的RNAは、高コレステロール血症及び心血管疾患などの、高コレステロール血症に関連する疾患の処置において心血管疾患に関連する遺伝子を標的とする、核酸に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸分子であって、
センス鎖とアンチセンス鎖とを含む二本鎖阻害的リボ核酸(RNA)分子を含む第1の部分と;
一本鎖デオキシリボ核酸(DNA)分子を含む第2の部分であって、前記一本鎖DNA分子の3’末端は、前記二本鎖阻害的RNA分子の前記センス鎖の5’末端に共有結合されているか、又は前記一本鎖DNA分子の3’末端は、前記二本鎖阻害的RNA分子の前記アンチセンス鎖の5’に共有結合されており、前記二本鎖阻害的RNAは、心血管疾患に関連する心血管遺伝子標的の一部をコードするセンスヌクレオチド配列又はその多型配列変異体を含むことを特徴とし、前記一本鎖DNA分子は、相補的塩基対形成によって前記一本鎖DNAの一部にアニールしてステム及びループドメインを含む二本鎖DNA構造を形成するように適合されたヌクレオチド配列を、その長さの少なくとも一部にわたって含み、前記核酸分子はN-アセチルガラクトサミンを含み及び前記二本鎖阻害的RNAは天然のヌクレオチドからなることを特徴とする、第2の部分と
を含む、核酸分子。
【請求項2】
前記一本鎖DNA分子の3’末端が、前記二本鎖阻害的RNA分子の前記センス鎖の5’末端に共有結合されている、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項3】
前記一本鎖DNA分子の3’末端が、前記二本鎖阻害的RNA分子の前記アンチセンス鎖の5’末端に共有結合されている、請求項1に記載の核酸分子。
【請求項4】
前記ループドメインがヌクレオチド配列GCGAAGCを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項5】
前記一本鎖DNA分子が、
5’TCACCTCATCCCGCGAAGC 3’(SEQ ID NO 387及び251);
5’CGAAGCGCCCTACTCCACT 3’(SEQ ID NO 130);及び
5’GCGAAGCCCCTACTCCACT 3’(SEQ ID NO 400)
の群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項4に記載の核酸分子。
【請求項6】
前記阻害的RNA分子が、少なくとも1つのデオキシチミジンジヌクレオチド(dTdT)を含むか又は少なくとも1つのデオキシチミジンジヌクレオチド(dTdT)からなる2ヌクレオチドのオーバーハングを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項7】
前記センス鎖及び/又は前記アンチセンス鎖が、少なくとも1つのヌクレオチド間ホスホロチオアート結合を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項8】
前記核酸分子がビニルホスホナート修飾を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項9】
前記二本鎖阻害的RNA分子が17~29ヌクレオチド又は19~21ヌクレオチド長である、請求項1~8のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項10】
前記心血管遺伝子標的がヒトリポタンパク質(a)である、請求項1~9のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項11】
前記二本鎖阻害的RNA分子が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33及び34からなる群から選択されるアンチセンスヌクレオチド配列を含む、請求項10に記載の核酸分子。
【請求項12】
前記二本鎖阻害的RNA分子が、SEQ ID NO:41を含むアンチセンスヌクレオチド配列とSEQ ID NO:49を含むセンスヌクレオチド配列とを含み、前記一本鎖DNA分子が、前記二本鎖阻害的RNA分子の前記センス鎖の5’末端に共有結合されている、請求項10に記載の核酸分子。
【請求項13】
前記二本鎖阻害的RNA分子が、SEQ ID NO:4を含むアンチセンスヌクレオチド配列とSEQ ID NO:44を含むセンスヌクレオチド配列とを含み、前記一本鎖DNA分子が、前記二本鎖阻害的RNA分子の前記アンチセンス鎖の5’末端に共有結合されている、請求項10に記載の核酸分子。
【請求項14】
前記二本鎖阻害的RNA分子が、SEQ ID NO:5を含むアンチセンスヌクレオチド配列とSEQ ID NO:46を含むセンスヌクレオチド配列とを含み、前記一本鎖DNA分子が、前記二本鎖阻害的RNA分子の前記アンチセンス鎖の5’末端に共有結合されている、請求項10に記載の核酸分子。
【請求項15】
前記心血管遺伝子標的がヒトアポリポタンパク質C III(Apo C III)である、請求項1~9のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項16】
前記核酸分子が、SEQ ID NO:60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78及び79からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む、請求項15に記載の核酸分子。
【請求項17】
前記核酸分子が、SEQ ID NO:211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249及び250からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む、請求項15に記載の核酸分子。
【請求項18】
前記核酸分子が、SEQ ID NO:50、51、52、53、54、55、56、57、58、80、81、82、83、84、85、86、87、88及び89からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む、請求項15に記載の核酸分子。
【請求項19】
前記心血管遺伝子標的がヒトジグリセリドアシルトランスフェラーゼ2(DGAT2)である、請求項1~9のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項20】
前記核酸が、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118及び119からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む、請求項19に記載の核酸分子。
【請求項21】
前記核酸が、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169及び170からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む、請求項19に記載の核酸分子。
【請求項22】
前記核酸が、SEQ ID NO:90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、120、121、122、123、124、125、126、127、128及び129からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む、請求項19に記載の核酸分子。
【請求項23】
前記心血管遺伝子標的がヒトPCSK9である、請求項1~9のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項24】
前記核酸分子が、SEQ ID NO:171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、189、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209及び210からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む、請求項23に記載の核酸分子。
【請求項25】
前記核酸分子が、SEQ ID NO:191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209及び210からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む、請求項23に記載の核酸分子。
【請求項26】
前記心血管遺伝子標的がヒトアポリポタンパク質Bである、請求項1~9のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項27】
前記核酸分子が、SEQ ID NO:499、500、453、502、503、457、505、506、462、508、509、467、511、512、472、514、515、477、517 518、482、520、521、487、523、524及び492からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む、請求項26に記載の核酸分子。
【請求項28】
前記核酸分子が、450、501、455、504、460、507、465、510、470、513、475、516、480、519、485、522、490及び525からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む、請求項26に記載の核酸分子。
【請求項29】
前記核酸分子がN-アセチルガラクトサミンに共有結合されている、請求項1から28のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載の少なくとも1つの核酸分子を含む薬学的組成物。
【請求項31】
前記組成物が少なくとも1つのさらなる治療薬を含む、請求項30に記載の薬学的組成物。
【請求項32】
高コレステロール血症若しくは高コレステロール血症に関連する疾患を有するか、又は高コレステロール血症若しくは高コレステロール血症に関連する疾患にかかりやすい対象の処置又は予防において使用するための、請求項1~31のいずれか一項に記載の核酸分子又は薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、核酸であって、センス鎖とアンチセンス鎖とを含む二本鎖RNA分子を含み、前記分子のセンスRNA部分又はアンチセンスRNA部分のいずれかの少なくとも5’末端に共有結合された一本鎖DNA分子をさらに含み、前記二本鎖阻害的RNA(double stranded inhibitory RNA)は、心血管疾患遺伝子を標的とする、核酸;前記核酸分子を含む薬学的組成物、及び心血管疾患遺伝子の発現の増加したレベルに関連する疾患、例えば高コレステロール血症の処置のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
開示の背景
高コレステロール血症に関連する心血管疾患、例えば虚血性心血管疾患は一般的な症状であり、心疾患並びに高い死亡率及び罹患率をもたらし、質の悪い食事、肥満又は遺伝性機能不全遺伝子の結果であり得る。例えば、高レベルのリポタンパク質(a)及び他のリポタンパク質は、アテローム性動脈硬化症に関連する。コレステロールは、動物細胞における膜生合成のために不可欠である。水溶性の欠如は、コレステロールがリポタンパク質に付随して体内を輸送されることを意味する。アポリポタンパク質は、リン脂質、コレステロール及び血流を介した身体の様々な部分へのコレステロールなどの脂質の輸送を促進する脂質とともに形成される。リポタンパク質は、サイズによって分類され、HDL(高密度リポタンパク質)、LDL(低密度リポタンパク質)、IDL(中間密度リポタンパク質)、VLDL(超低密度リポタンパク質)及びULDL(ウルトラ低密度リポタンパク質)リポタンパク質を形成することができる。
【0003】
リポタンパク質は、それらの循環全体を通して組成を変化させ、様々な比率のアポリポタンパク質A(ApoA)、B(ApoB)、C(ApoC)、D(ApoD)又はE(ApoE)、トリグリセリド、コレステロール及びリン脂質を含む。例えば、ApoBは、ULDL及びLDLの主要なアポリポタンパク質であり、2つのアイソフォームapoB-48及びapoB-100を有する。両ApoBアイソフォームは、単一の遺伝子によってコードされ、終止コドンの生成をもたらす残基2180でのApoB-100転写物のRNA編集後に、より短いApoB-48遺伝子が産生される。ApoB-100は、LDLの主要な構造タンパク質であり、例えば細胞内へのコレステロールの輸送を可能にする細胞受容体に対するリガンドとしての役割を果たす。
【0004】
家族性高コレステロール血症は難病であり、血中LDLコレステロール(LDL-C)レベルの上昇に起因する。この疾患は、常染色体顕性障害であり、ヘテロ接合(350~550mg/dLのLDL-C)状態及びホモ接合(650~1000mg/dLのLDL-C)状態のいずれもが上昇したLDL-Cをもたらす。家族性高コレステロール血症のヘテロ接合型は、集団の約1:500である。ホモ接合状態ははるかに稀であり、約1:100万である。LDL-Cの正常レベルは130mg/dLの領域にある。
【0005】
高コレステロール血症は小児患者において特に急性であり、早期に診断されなければ、冠動脈心疾患の加速及び早期の死亡をもたらし得る。早期に診断され治療されれば、子供は通常の平均余命を有することができる。成人では、変異又は他の要因のいずれかによる高LDL-Cは、冠動脈疾患、脳卒中又は腎臓疾患をもたらし得るアテローム性動脈硬化症のリスク増加と直接関連している。LDL-Cのレベルを低下させることは、アテローム性動脈硬化症及び関連する症状のリスクを低下させることが知られている。HMG-CoAレダクターゼを阻害することによってコレステロールのデノボ合成を遮断するスタチンの投与によって、当初、LDL-Cレベルを低下させることができる。一部の対象は、スタチンをエゼチミブ、コレスチポール又はニコチン酸などの他の治療薬と組み合わせる併用療法から恩恵を受けることができる。しかしながら、HMG-CoAレダクターゼの発現及び合成は、スタチン阻害に応答して適応し、時間が経過するにつれて増加するため、スタチン抵抗性が確立された後では、有益な効果は、一時的又は限定的であるに過ぎない。
【0006】
したがって、単独で、又は上昇したLDL-Cによる心血管疾患を制御するための既存の治療アプローチと組み合わせて使用することができる代替療法を特定することが望まれている。
【0007】
遺伝子機能を特異的に消失させるための技術は、低分子阻害又は干渉RNA(siRNA)とも呼ばれる、siRNA分子中に含まれる配列に相補的なmRNAの破壊をもたらす二本鎖阻害的RNAを細胞内に導入することによる。siRNA分子は、互いにアニールして二本鎖RNA分子を形成するRNAの2つの相補鎖(センス鎖及びアンチセンス鎖)を含む。siRNA分子は、典型的には、消失されるべき遺伝子のエクソンに由来するが、必ず由来するわけではない。多くの生物は、siRNAの形成をもたらすカスケードを活性化することによって二本鎖RNAの存在に応答する。二本鎖RNAの存在は、二本鎖RNAをリボ核タンパク質複合体の一部になるより小さな断片(siRNA、約21~29ヌクレオチド長)にプロセシングするRNase IIIを含むタンパク質複合体を活性化する。siRNAは、RNase複合体がsiRNAのアンチセンス鎖に相補的なmRNAを切断し、それによってmRNAの破壊をもたらすためのガイドとして作用する。
【0008】
リポタンパク質(a)の発現の阻害は公知であり、リポタンパク質(a)の発現を停止させるための阻害的RNAの使用も公知である。例えば、国際公開第2019/092283号は、リポタンパク質(a)をコードするmRNAのノックダウンを標的とする特異的siRNA配列の同定、及び冠動脈心疾患、大動脈弁狭窄症又は脳卒中などの上昇したリポタンパク質(a)発現に関連する心血管疾患の処置におけるそれらの使用を開示している。同様に、米国特許第9,932,586号は、リポタンパク質(a)発現を標的とする特異的siRNA配列、並びにバージャー病、冠動脈心疾患、腎動脈狭窄症、高アポベータリポ蛋白血症、脳血管アテローム性動脈硬化症、脳血管疾患及び静脈血栓症などの上昇したリポタンパク質(a)発現に関連する心血管疾患の処置におけるそれらの使用を開示している。
【0009】
APOC IIIの過剰発現は、アテローム性動脈硬化症及び2型糖尿病に関連する。例えば、国際公開第2003/020765号は、ApoCIIIポリペプチドに由来する免疫原を使用するアテローム性動脈硬化症の制御のためのワクチン接種アプローチ、並びに冠動脈及び脳血管疾患における動脈硬化性プラークを制御する上でのその使用を開示している。同様のワクチン接種アプローチは、国際公開第2004/080375号及び国際公開第2001/064008号に開示されている5。国際公開第2014/205449号及び国際公開第2014/179626号には、APOCIII発現を標的とすることによってインスリン感受性を改善し、II型糖尿病を処置するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用が開示されている。
【0010】
さらに、国際公開第2007/136989号及び国際公開第2005/019418号はそれぞれ、高コレステロール血症、心血管疾患、II型糖尿病及びメタボリックシンドロームなどの血清トリグリセリドレベルの低下から利益を得る症状との関連で、DGAT2の発現を調節し、DGAT2発現の低下から利益を得る症状を処置するための、DGATに向けられたアンチセンス化合物の使用を開示している。国際公開第2018/093966号は、高コレステロール血症、心血管疾患、II型糖尿病及びメタボリックシンドロームなどの肥満及び肥満関連疾患を処置するための、DGAT2及びジグリセリドアシルトランスフェラーゼ1(DGAT1)に向けられたRNAサイレンシング10の使用を開示している。同様に、国際公開第2005/044981号は、多くの他の遺伝子標的の中でも特にDGAT2を標的化するためのsiRNAの使用、及びトリグリセリド調節から利益を得る疾患の処置におけるそれらの使用を開示している。
【0011】
本開示は、センス又はアンチセンス阻害的RNAのいずれかの少なくとも5’末端に連結された短いDNA部分の包含によって修飾されており、ヘアピン構造を形成する二本鎖阻害的RNAを含む核酸分子に関する。二本鎖阻害的RNAは、専ら又は主として天然のヌクレオチドを使用し、先行技術の二本鎖RNA分子が薬力学及び薬物動態を改善するために典型的に利用する修飾されたヌクレオチド又は糖を必要としない。開示される二本鎖阻害的RNAは、潜在的により少ない副作用で心血管遺伝子標的を発現停止させる活性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2019/092283号
【特許文献2】米国特許第9,932,586号
【特許文献3】国際公開第2003/020765号
【特許文献4】国際公開第2004/080375号
【特許文献5】国際公開第2001/064008号
【特許文献6】国際公開第2014/205449号
【特許文献7】国際公開第2014/179626号
【特許文献8】国際公開第2007/136989号
【特許文献9】国際公開第2005/019418号
【特許文献10】国際公開第2018/093966号
【特許文献11】国際公開第2005/044981号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の記述
本発明の一局面によれば、核酸分子であって、
センス鎖とアンチセンス鎖とを含む二本鎖阻害的リボ核酸(RNA)分子を含む第1の部分と;
一本鎖デオキシリボ核酸(DNA)分子を含む第2の部分であって、前記一本鎖DNA分子の3’末端は、前記二本鎖阻害的RNA分子の前記センス鎖の5’末端に共有結合されているか、又は前記一本鎖DNA分子の3’末端は、前記二本鎖阻害的RNA分子の前記アンチセンス鎖の5’に共有結合されており、前記二本鎖阻害的RNAは、心血管疾患に関連する心血管遺伝子標的の一部をコードするセンスヌクレオチド配列を含むことを特徴とし、前記一本鎖DNA分子は、相補的塩基対形成によって前記一本鎖DNAの一部にアニールして二本鎖DNA構造を形成するように適合されたヌクレオチド配列を、その長さの少なくとも一部にわたって含み、前記二本鎖阻害的RNAは天然のヌクレオチドからなる、第2の部分と
を含む、核酸分子が提供される。
【0014】
本発明の一局面によれば、核酸分子であって、
センス鎖とアンチセンス鎖とを含む二本鎖阻害的リボ核酸(RNA)分子を含む第1の部分と;
一本鎖デオキシリボ核酸(DNA)分子を含む第2の部分であって、前記一本鎖DNA分子の3’末端は、前記二本鎖阻害的RNA分子の前記センス鎖の5’末端に共有結合されているか、又は前記一本鎖DNA分子の3’末端は、前記二本鎖阻害的RNA分子の前記アンチセンス鎖の5’に共有結合されており、前記二本鎖阻害的RNAは、心血管疾患に関連する心血管遺伝子標的の一部をコードするセンスヌクレオチド配列又はその多型配列変異体を含むことを特徴とし、前記一本鎖DNA分子は、相補的塩基対形成によって前記一本鎖DNAの一部にアニールしてステム及びループドメインを含む二本鎖DNA構造を形成するように適合されたヌクレオチド配列を、その長さの少なくとも一部にわたって含み、前記核酸分子はN-アセチルガラクトサミンを含み及び前記二本鎖阻害的RNAは天然のヌクレオチドからなることを特徴とする、第2の部分と
を含む、核酸分子が提供される。
【0015】
「多型配列変異体」は、1、2、3又はそれより多くのヌクレオチドが変化する遺伝子配列である。
【0016】
本発明の好ましい態様において、前記一本鎖DNA分子の3’末端は、二本鎖阻害的RNA分子のセンス鎖の5’末端に共有結合されている。
【0017】
本発明の好ましい態様において、前記一本鎖DNA分子の3’末端は、二本鎖阻害的RNA分子のアンチセンス鎖の5’末端に共有結合されている。
【0018】
本発明の好ましい態様において、一本鎖DNA分子は、前記センス鎖の5’末端及び前記アンチセンス鎖の5’末端に共有結合されている。
【0019】
本発明の代替の態様において、前記一本鎖DNA分子は、前記センス鎖の5’末端、前記センス鎖の3’末端に共有結合されている。
【0020】
本発明の好ましい態様において、前記ループ部分は、ヌクレオチド配列GNA又はGNNAを含む領域を含み、各Nは、独立して、グアニン(G)、チミジン(T)、アデニン(A)又はシトシン(C)を表す。
【0021】
本発明の好ましい態様において、前記ループドメインは、G及びCヌクレオチド塩基を含む。
【0022】
本発明の代替の態様において、前記ループドメインは、ヌクレオチド配列GCGAAGCを含む。
【0023】
本発明の好ましい態様において、前記一本鎖DNA分子は、ヌクレオチド配列5’TCACCTCATCCCGCGAAGC 3’(SEQ ID NO 387及び251)を含む。
本発明の好ましい態様において、前記一本鎖DNA分子は、ヌクレオチド配列5’ CGAAGCGCCCTACTCCACT 3’(SEQ ID NO 130)を含む。
【0024】
本発明の好ましい態様において、前記一本鎖DNA分子は、ヌクレオチド配列5’ GCGAAGCCCCTACTCCACT 3’(SEQ ID NO 400)を含む。
【0025】
阻害的RNA分子は、化学的修飾を必要としない天然のヌクレオチド塩基を含むか又は化学的修飾を必要としない天然のヌクレオチド塩基からなる。さらに、本発明のいくつかの態様においては、湾曲(crook)DNA分子が前記二本鎖阻害的RNAのセンス鎖の3’末端に連結されており、アンチセンス鎖には、少なくとも2ヌクレオチド塩基オーバーハング配列が提供されていてもよい。2ヌクレオチドオーバーハング配列は、標的によってコードされるヌクレオチドに対応することができ、又は非コードである。2ヌクレオチドオーバーハングは、任意の配列及び任意の順序の2つのヌクレオチド、例えば、UU、AA、UA、AU、GG、CC、GC、CG、UG、GU、UC、CU及びTTであり得る。
【0026】
本発明の好ましい態様において、前記阻害的RNA分子は、デオキシチミジンジヌクレオチド(dTdT)を含むか又はデオキシチミジンジヌクレオチド(dTdT)からなる2ヌクレオチドオーバーハングを含む。
【0027】
本発明の好ましい態様において、前記dTdTオーバーハングは、前記アンチセンス鎖の5’末端に位置する。
【0028】
本発明の代替の好ましい態様において、前記dTdTオーバーハングは、前記アンチセンス鎖の3’末端に位置する。
【0029】
本発明の好ましい態様において、前記dTdTオーバーハングは、前記センス鎖の5’末端に位置する。
【0030】
本発明の代替の好ましい態様において、前記dTdTオーバーハングは、前記センス鎖の3’末端に位置する。
【0031】
本発明の好ましい態様において、前記センス鎖及び/又は前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド間ホスホロチオアート結合を含む。
【0032】
本発明の好ましい態様において、前記センス鎖は、ヌクレオチド間ホスホロチオアート結合を含む。
【0033】
好ましくは、前記センス鎖の5’及び/又は3’末端の2つのヌクレオチドは、2つのヌクレオチド間ホスホロチオアート結合を含む。
【0034】
本発明の好ましい態様において、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド間ホスホロチオアート結合を含む。
【0035】
好ましくは、前記アンチセンス鎖の5’及び/又は3’末端の2つのヌクレオチドは、2つのヌクレオチド間ホスホロチオアート結合を含む。
【0036】
本発明の代替の好ましい態様において、前記一本鎖DNA分子は、1つ又は複数のヌクレオチド間ホスホロチオアート結合を含む。
【0037】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子はビニルホスホナート修飾を含む。
【0038】
本発明の好ましい態様において、前記ビニルホスホナート修飾は、前記センスRNA鎖の5’末端ホスファートへの修飾である。
【0039】
本発明の好ましい態様において、前記ビニルホスホナート修飾は、前記アンチセンスRNA鎖の5’末端ホスファートへの修飾である。
【0040】
本発明の好ましい態様において、前記二本鎖阻害的RNA分子は、10~40ヌクレオチド長である。
【0041】
本発明の好ましい態様において、前記二本鎖阻害的RNA分子は、17~29ヌクレオチド長である。
【0042】
本発明の好ましい態様において、前記二本鎖阻害的RNA分子は、19~21ヌクレオチド長である。好ましくは、19ヌクレオチド長である。
【0043】
本発明の好ましい態様において、前記心血管遺伝子標的は、ヒトリポタンパク質(a)である。
【0044】
本発明の代替の態様において、前記二本鎖阻害的RNA分子は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33又は34からなる群から選択されるアンチセンスヌクレオチド配列を含む。
【0045】
本発明の好ましい態様において、前記二本鎖阻害的RNA分子は、SEQ ID NO:41を含むアンチセンスヌクレオチド配列とSEQ ID NO:49を含むセンスヌクレオチド配列とを含み、前記一本鎖DNA分子は、二本鎖阻害的RNA分子のセンス鎖の5’末端に共有結合されている。
【0046】
本発明の好ましい態様において、前記二本鎖阻害的RNA分子は、SEQ ID NO:4を含むアンチセンスヌクレオチド配列とSEQ ID NO:44を含むセンスヌクレオチド配列とを含み、前記一本鎖DNA分子は、二本鎖阻害的RNA分子のアンチセンス鎖の5’末端に共有結合されている。
【0047】
本発明の好ましい態様において、前記二本鎖阻害的RNA分子は、SEQ ID NO:5を含むアンチセンスヌクレオチド配列とSEQ ID NO:46を含むセンスヌクレオチド配列とを含み、前記一本鎖DNA分子は、二本鎖阻害的RNA分子のアンチセンス鎖の5’末端に共有結合されている。
【0048】
本発明の代替の好ましい態様において、前記心血管遺伝子標的はヒトアポリポタンパク質C III(Apo C III)である。
【0049】
好ましくは、前記核酸分子は、SEQ ID NO:60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78及び79からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む。
【0050】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、SEQ ID NO:211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249及び250からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む。
【0051】
好ましくは、前記核酸分子は、SEQ ID NO:50、51、52、53、54、55、56、57、58、80、81、82、83、84、85、86、87、88及び89からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む。
【0052】
本発明の代替の好ましい態様において、前記心血管遺伝子標的はヒトジグリセリドアシルトランスフェラーゼ2(DGAT2)である。
【0053】
好ましくは、前記核酸は、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118及び119からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む。
【0054】
好ましくは、前記核酸は、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169及び170からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む。
【0055】
好ましくは、前記核酸は、SEQ ID NO:90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、120、121、122、123、124、125、126、127、128及び129からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む。
【0056】
本発明の好ましい態様において、前記心血管遺伝子標的はヒトPCSK9である。
【0057】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、SEQ ID NO:171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、189及び190からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む。
【0058】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、SEQ ID NO:191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209及び210からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む。
【0059】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、SEQ ID NO:255、256、257、258、259、260、261、262、263及び264からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む。
【0060】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、SEQ ID NO:265、266、267、268、269、270、271、272、273及び274からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む。
【0061】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、SEQ ID NO:275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、292、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329及び330からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む。
【0062】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、SEQ ID NO:331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、285及び386からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む。
【0063】
本発明の好ましい態様において、前記心血管遺伝子標的はヒトアポリポタンパク質Bである。
【0064】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、SEQ ID NO:499、500、453、502、503、457、505、506、462、508、509、467、511、512、472、514、515、477、517 518、482、520、521、487、523、524及び492からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む。
【0065】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、450、501、455、504、460、507、465、510、470、513、475、516、480、519、485、522、490及び525からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むRNA鎖を含む。
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、表1に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体を含むか又は表1に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体からなるRNA鎖を含む。
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、表2に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体を含むか又は表2に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体からなるRNA鎖を含む。
【0066】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、表3に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体を含むか又は表3に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体からなるRNA鎖を含む。
【0067】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、表4に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体を含むか又は表4に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体からなるRNA鎖を含む。
【0068】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、表5に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体を含むか又は表5に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体からなるRNA鎖を含む。
【0069】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、表8に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体を含むか又は表8に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体からなるRNA鎖を含む。
【0070】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、表10に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体を含むか又は表10に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体からなるRNA鎖を含む。
【0071】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、表14に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体を含むか又は表14に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体からなるRNA鎖を含む。
【0072】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、表15に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体を含むか又は表15に記載されているヌクレオチド配列若しくは多型配列変異体からなるRNA鎖を含む。
【0073】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、SEQ ID NO:388に記載されているヌクレオチド配列の19~21個の連続するヌクレオチドを含むか又はSEQ ID NO:388に記載されているヌクレオチド配列の19~21個の連続するヌクレオチドからなる。
【0074】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、N-アセチルガラクトサミンに共有結合されている。
【0075】
本発明のさらなる態様において、N-アセチルガラクトサミンは、前記阻害的RNAのアンチセンス部分又は前記阻害的RNAのセンス部分のいずれかに結合されている。
【0076】
好ましくは、N-アセチルガラクトサミンは、前記センスRNAの5’末端に結合されている。
【0077】
本発明の代替の態様において、N-アセチルガラクトサミンは、前記センスRNAの3’末端に結合されている。
【0078】
本発明の代替の好ましい態様において、前記N-アセチルガラクトサミンは、前記アンチセンスRNAの3’末端に結合されている。
【0079】
本発明の好ましい態様において、N-アセチルガラクトサミンは一価である。
【0080】
本発明の好ましい態様において、N-アセチルガラクトサミンは二価である。
【0081】
本発明の代替の態様において、N-アセチルガラクトサミンは三価である。
【0082】
本発明の好ましい態様において、前記核酸分子は、以下の構造を含む分子に共有結合されている。
【化1】
【0083】
本発明の代替の態様において、前記核酸分子は、以下の構造を含む分子に共有結合されている。
【化2】
【0084】
本発明の代替の態様において、前記核酸分子は、以下の構造を含む分子に共有結合されている。
【化3】
【0085】
本発明の代替の態様において、前記核酸分子は、以下の構造を含む分子に共有結合されている。
【化4】
【0086】
本発明の代替の好ましい態様において、前記核酸分子は、N-アセチルガラクトサミン4-サルファートを含む分子に共有結合されている。
【0087】
本発明のさらなる局面によれば、本発明による少なくとも1つの核酸分子を含む薬学的組成物が提供される。
【0088】
本発明の好ましい態様において、前記組成物は、薬学的担体及び/又は賦形剤をさらに含む。
【0089】
投与される場合、本発明の組成物は、薬学的に許容され得る調製物で投与される。このような調製物は、薬学的に許容され得る濃度の塩、緩衝剤、防腐剤、適合的な担体を通常含有し得、任意でコレステロール低下剤などの他の治療剤を含有してもよく、他の治療剤は本発明による核酸分子とは別個に、又は組み合わせが適合的である場合には組み合わされた調製物で投与され得る。
【0090】
本発明による核酸と他の異なる治療剤との組み合わせは、同時、逐次又は時間的に別個の投与量として投与される。
【0091】
本発明の治療薬は、注射又は時間とともに徐々に注入することを含む任意の慣用の経路によって投与され得る。投与は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、腔内、皮下、経皮又は経上皮であり得る。
【0092】
本発明の組成物は、有効量で投与される。「有効量」は、単独で、又はさらなる用量とともに、所望の応答を生じる組成物の量である。心血管疾患などの疾患を処置する場合、所望の応答は、疾患の進行を阻害すること又は反転させることである。これは、疾患の進行を一時的に遅らせるに過ぎないことを含み得るが、より好ましくは、疾患の進行を恒常的に停止させることを含む。これは、日常的な方法によって監視され得る。
【0093】
そのような量は、当然のことながら、処置されている具体的な症状、症状の重症度、年齢、身体状態、サイズ及び体重を含む個々の患者パラメータ、処置の期間、併用療法の性質(もし存在すれば)、具体的な投与経路、並びに医療従事者の知識及び専門知識に属する同様の要因に依存する。これらの要因は当業者に周知であり、日常的な実験のみで対処することができる。個々の成分又はそれらの組み合わせの最大用量、すなわち、健全な医学的判断による最も高い安全用量が使用されることが一般に好ましい。しかしながら、医学的理由、心理学的理由、又は実質的に任意の他の理由のために、患者は、より低い用量又は耐容され得る用量を求め得ることが当業者によって理解されよう。
【0094】
前述の方法で使用される薬学的組成物は、好ましくは無菌であり、患者/患畜への投与に適した重量又は体積の単位で、所望の応答を生成するための有効量の本発明による核酸分子を含有する。応答は、例えば、心血管疾患の退縮及び疾患症候の減少などを決定することによって測定することができる。
【0095】
対象に投与される本発明による核酸分子の用量は、種々のパラメータに従って、特に使用される投与様式及び対象の状態に従って選択され得る。他の要因には、所望の処置期間が含まれる。適用された初期用量において対象における応答が不十分であれば、より高い用量(又は異なる、より局所的な送達経路による効果的により高い用量)が、患者の耐容性が許容する程度まで使用され得る。本発明による核酸の検出方法は、処置を必要とする対象に対する適切な投与量の決定を容易にすることは明らかであろう。
【0096】
一般に、1nM~1μMの本明細書に開示される核酸分子の用量が、一般に、標準的な手順に従って製剤化され、投与される。好ましくは、用量は、1nM~500nM、5nM~200nM、10nM~100nMの範囲であり得る。組成物の投与のための他のプロトコルは当業者に公知であり、用量量、注射スケジュール、注射部位、投与様式などが前述のものとは異なる。(例えば、試験目的又は獣医学的治療目的のための)ヒト以外の哺乳動物への組成物の投与は、上記と実質的に同じ条件下で行われる。対象は、本明細書で使用される場合、哺乳動物、好ましくはヒトであり、ヒトリポタンパク質(a)の発現に関して適合した非ヒト霊長類又はトランスジェニック哺乳動物を含む。
【0097】
投与される場合、本発明の薬学的調製物は、薬学的に許容され得る量及び薬学的に許容され得る組成物で適用される。「薬学的に許容され得る」という用語は、有効成分の生物学的活性の有効性を妨げない非毒性物質を意味する。そのような調製物は、塩、緩衝剤、防腐剤、適合的な担体を通常含有し得、任意に他の治療剤、例えばスタチンを含有してもよい。医薬に使用される場合、塩は薬学的に許容され得るべきであるが、薬学的に許容され得ない塩は、その薬学的に許容され得る塩を調製するために都合よく使用され得、本発明の範囲から除外されない。そのような薬理学的及び薬学的に許容され得る塩には、以下の酸:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸などから調製されるものが含まれるが、これらに限定されない。また、薬学的に許容され得る塩は、ナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩などのアルカリ金属塩又はアルカリ土類塩として調製され得る。
【0098】
組成物は、所望であれば、薬学的に許容され得る担体と組み合わされ得る。本明細書で使用される「薬学的に許容され得る担体」という用語は、ヒトへの投与に適した1つ又は複数の適合的な固体又は液体充填剤、希釈剤又は封入物質を意味する。この文脈における「薬学的に許容され得る担体」という用語は、例えば溶解性及び/又は安定性を促進するために活性成分と組み合わされる、天然又は合成の有機又は無機成分を示す。薬学的組成物の成分はまた、所望の薬学的有効性を実質的に損なう相互作用が存在しないように、本発明の分子と、及び互いと混合することができる。
【0099】
薬学的組成物は、塩中の酢酸;塩中のクエン酸;塩中のホウ酸;及び塩中のリン酸を含む適切な緩衝剤を含有し得る。薬学的組成物はまた、適切な防腐剤を含有してもよい。
【0100】
薬学的組成物は、単位剤形で都合よく提供され得、薬学の分野で周知の方法のいずれによっても調製され得る。全ての方法は、活性剤を、1つ又は複数の補助成分を構成する担体と混ぜる工程を含む。一般に、組成物は、活性化合物を液体担体又は細かく分割された固体担体又はその両方と均一かつ緊密に混ぜ、次いで、必要であれば生成物を成形することによって調製される。経口投与に適した組成物は、それぞれが所定量の活性化合物を含有するカプセル、錠剤、ロゼンジなどの分離した単位として提供され得る。
【0101】
非経口投与に適した組成物は、好ましくはレシピエントの血液と等張である核酸の無菌水性又は非水性調製物を都合よく含む。この調製物は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤を使用して公知の方法に従って製剤化され得る。無菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤又は溶媒中の無菌注射用溶液又は懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であり得る。使用され得る許容され得る溶媒としては、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌固定油は、溶媒又は懸濁媒体として従来から使用されている。この目的のために、合成モノ又はジグリセリドを含む任意の無刺激性固定油が使用され得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製において使用され得る。経口、皮下、静脈内、筋肉内などの投与に適した担体製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,PAに見出すことができる。
【0102】
本発明のさらに好ましい態様において、前記薬学的組成物は、少なくとも1つのさらなる異なる治療剤を含む。
【0103】
本発明の好ましい態様において、前記さらなる治療薬はスタチンである。
【0104】
スタチンは、一般に、上昇したLDL-Cを有する対象においてコレステロールレベルを制御するために使用される。スタチンは、罹患しやすい対象及び心血管疾患を有する対象を予防及び治療する上で有効である。スタチンの典型的な投与量は5~80mgの領域内にあるが、これはスタチン及び高LDL-Cに苦しむ対象のために必要とされるLDL-Cの所望の低下レベルに依存する。しかしながら、スタチンの標的であるHMG-CoA還元酵素の発現及び合成は、スタチン投与に応答して適応するため、スタチン治療の有益な効果は、スタチン抵抗性が確立された後では、一時的又は限定的であるに過ぎない。
【0105】
好ましくは、前記スタチンは、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピトバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン及びシンバスタチンからなる群より選択される。
【0106】
本発明の好ましい態様において、前記さらなる治療薬はエゼチミブである。エゼチミブは、少なくとも1つのスタチン、例えばシンバスタチンと組み合わされてもよい。
【0107】
本発明の代替の好ましい態様において、前記さらなる治療薬は、フィブラート、ニコチン酸、コレスチラミンからなる群より選択される。
【0108】
本発明のさらなる代替の好ましい態様において、前記さらなる治療剤は、治療抗体、例えば、エボロクマブ、ボコシズマブ又はアリロクマブである。
【0109】
本発明のさらなる局面によれば、高コレステロール血症若しくは高コレステロール血症に関連する疾患を有するか、又は高コレステロール血症若しくは高コレステロール血症に関連する疾患にかかりやすい対象の処置又は予防において使用するための、本発明の核酸分子又は薬学的組成物が提供される。
【0110】
本発明の好ましい態様において、前記対象は小児対象である。
【0111】
小児対象には、新生児(0~28日齢)、乳児(1~24月齢)、幼児(2~6歳)及び思春期前[7~14歳]の小児が含まれる。
【0112】
本発明の代替の好ましい態様において、前記対象は成人/成体対象である。
【0113】
本発明の好ましい態様において、高コレステロール血症は家族性高コレステロール血症である。
【0114】
本発明の好ましい態様において、家族性高コレステロール血症は、上昇したレベルのリポタンパク質(a)発現に関連する。
【0115】
本発明の好ましい態様において、前記対象はスタチン治療に抵抗性である。
【0116】
本発明の好ましい態様において、高コレステロール血症に関連する前記疾患は、脳卒中予防、高脂血症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、冠動脈心疾患、大動脈弁狭窄症、脳血管疾患、末梢動脈疾患、高血圧症、メタボリックシンドローム、II型糖尿病、非アルコール性脂肪酸肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、バージャー病、腎動脈狭窄症、高アポベータリポ蛋白血症、脳血管アテローム性動脈硬化症、脳血管疾患及び静脈血栓症からなる群より選択される。
【0117】
本発明のさらなる局面によれば、有効量の本発明による核酸又は薬学的組成物を投与し、それにより高コレステロール血症を処置又は予防する工程を含む、高コレステロール血症を有する又は高コレステロール血症にかかりやすい対象を処置するための方法が提供される。
【0118】
本発明の好ましい方法において、前記対象は小児対象である。
【0119】
本発明の別の好ましい方法において、前記対象は成人/成体対象である。
【0120】
本発明の好ましい方法において、高コレステロール血症は家族性高コレステロール血症である。
【0121】
本発明の好ましい方法において、家族性高コレステロール血症は、上昇したレベルのリポタンパク質(a)発現に関連する。
【0122】
本発明の好ましい方法において、前記対象はスタチン治療に抵抗性である。
【0123】
本発明の好ましい方法において、高コレステロール血症に関連する前記疾患は、脳卒中予防、高脂血症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、冠動脈心疾患、大動脈弁狭窄症、脳血管疾患、末梢動脈疾患、高血圧症、メタボリックシンドローム、II型糖尿病、非アルコール性脂肪酸肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、バージャー病、腎動脈狭窄症、高アポベータリポ蛋白血症、脳血管アテローム性動脈硬化症、脳血管疾患及び静脈血栓症からなる群より選択される。
【0124】
本明細書の説明及び特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」及び「含有する(contain)」という用語並びにこれらの用語の変形、例えば「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「含むが、これらに限定されない(including but not limited to)」を意味し、他の部分、添加剤、成分、整数又は工程を排除することは意図されない(排除しない)。
【0125】
本明細書の説明及び特許請求の範囲を通じて、文脈上別段の必要がない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、文脈上別段の必要がない限り、本明細書は単数だけでなく複数も想定していると理解されるべきである。
【0126】
本発明の局面、態様又は実施例に関連して記載される特徴、整数、特性、化合物、化学部分又は基は、これらと整合しない場合を除き、本明細書に記載される任意の他の局面、態様又は実施例に適用可能であると理解されるべきである。
【0127】
ここで、本発明の一態様を、単に例として、以下の図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0128】
図1】siRNA化合物の形質移入後のHepG2細胞における標的PCSK9 mRNAレベルを示す血清安定性アッセイ。水、10%FBS又は10%ヒト血清中において37℃で30分間又は2時間のインキュベーション後に、HepG2細胞を以下のsiRNAで形質移入した:修飾されたインクリシラン[白いバー]、湾曲のない非修飾「インクリシラン」[灰色のバー]、3’SS湾曲ありの非修飾インクリシラン[格子模様のバー]、5’SS「反転されたヘアピン」湾曲ありの非修飾インクリシラン[斑点のあるバー]、又は5’SS湾曲ありの非修飾インクリシラン[格子模様のバー]。PCSK9 mRNAレベルをRT-qPCR分析によって定量した。対照は、「siRNAなし」処置を含む[黒いバー];
図2】siRNA化合物の形質移入後のHepG2細胞における標的PCSK9 mRNAレベルを示す血清安定性アッセイ。水、10%、20%又は50%FBS中において37℃で2時間のインキュベーション後に、HepG2細胞を以下のsiRNAで形質移入した:修飾されたインクリシラン[白いバー]、湾曲のない非修飾「インクリシラン」[灰色のバー]、5’SS「反転されたヘアピン」湾曲ありの非修飾インクリシラン[斑点のあるバー]、又は5’SS湾曲ありの非修飾インクリシラン[縞模様のバー]。PCSK9 mRNAレベルをRT-qPCR分析によって定量した。対照は、「siRNAなし」前処置を含む[黒いバー];
図3】siRNA化合物の形質移入後のHepG2細胞における標的PCSK9 mRNAレベルを示す血清安定性アッセイ。水、10%FBS又は10%ヒト血清中において37℃で4時間のインキュベーション後に、HepG2細胞を以下のsiRNAで形質移入した:修飾されたインクリシラン[白いバー]、湾曲のない非修飾「インクリシラン」[灰色のバー]、5’SS「反転されたヘアピン」湾曲ありの非修飾インクリシラン[斑点のあるバー]、又は5’SS湾曲ありの非修飾インクリシラン[縞模様のバー]。PCSK9 mRNAレベルをRT-qPCR分析によって定量した。対照は、「siRNAなし」前処置を含む[黒いバー];
図4】siRNA(PC8-PC18と名付けられた)化合物の形質移入後のHepG2細胞における標的PCSK9 mRNAレベルを示す血清安定性アッセイ。水、10%FBS又は10%ヒト血清中において37℃で2時間のインキュベーション後に、HepG2細胞を以下の非修飾PC8-18 siRNAで形質移入した:湾曲なしのsiRNA35[白いバー]、湾曲なしであるが、3’SS及び3’AS上にdTdTオーバーハングを含むsiRNA36[灰色のバー]、3’SS上に湾曲を有するsiRNA37[斑点のあるバー]、3’AS上に湾曲を有するsiRNA38[縦の縞模様のバー]、3’SS上に湾曲及び3’AS上にdTdTオーバーハングを有するsiRNA39[格子模様のバー]、5’SS「反転されたヘアピン」湾曲を有するsiRNA41[横の縞模様のバー]、又は5’SS上に湾曲及び3’AS上にdTdTオーバーハングを有するsiRNA42[黒地に斑点のあるバー]。PCSK9 mRNAレベルをRT-qPCR分析によって定量した。対照は、「siRNAなし」前処置を含む[黒いバー];
図5図5A 非修飾siRNA化合物(PC2-PC12と名付けられた)の投与後の肝臓PCSK9 mRNAのインビボサイレンシング。各処置群について5匹のマウスの群に、ビヒクル[黒いバー]、化合物A(湾曲なし;白いバー)、化合物G(センス鎖(SS)の5’末端に湾曲;斑点のあるバー)又は化合物H(SSの3’末端の湾曲;灰色のバー)のいずれかを皮下(SC)に注射した。2mg/kg又は10mg/kgのいずれかで各化合物を与え、屠殺後、RT-qPCRによる肝臓PCSK9 mRNAレベルを2つの時点(2日目及び7日目)で測定した。 図5B インビボ研究(図5A)においてマウスで使用されたsiRNA化合物A、G及びHの形質移入後のHepG2細胞における標的PCSK9 mRNAレベルを示す血清安定性アッセイ。水、10%FBS又は10%ヒト血清中において、37℃で30分間又は2時間のインキュベーション後に、siRNA化合物A、G又はHでHepG2細胞を形質移入した:化合物A(湾曲なし;白いバー)、化合物G(センス鎖(SS)の5’末端に湾曲;斑点のあるバー)又は化合物H(SSの3’末端に湾曲;灰色のバー)。PCSK9 mRNAレベルをRT-qPCR分析によって定量した。対照は、「siRNAなし」[黒いバー]及び「血清なし」前処置を含む。 図5C インビボ研究(図5A)においてマウスで使用されたsiRNA化合物A、G及びHの形質移入後のHepG2細胞における標的PCSK9 mRNAレベルを示す血清安定性アッセイ。水、20%又は50%ヒト血清中において、37℃で2時間のインキュベーション後に、siRNA化合物A、G又はHでHepG2細胞を形質移入した:化合物A(湾曲なし;白いバー)、化合物G(センス鎖(SS)の5’末端に湾曲;斑点のあるバー)又は化合物H(SSの3’末端に湾曲;灰色のバー)。PCSK9 mRNAレベルをRT-qPCR分析によって定量した。対照は、「siRNAなし」[黒いバー]及び「血清なし」前処置を含む。
【発明を実施するための形態】
【0129】
材料及び方法
HepG2逆形質移入
Bio-Synthesis(Lewisville、TX)によって合成された二重鎖siRNA(表1)を、ヌクレアーゼを含まない水(Invitrogen(商標)AM9932)に再懸濁して、10μMのストック溶液を生成した。血清安定性アッセイのために、ビヒクル(ヌクレアーゼを含まない水)、10%ウシ胎児血清(FBS)又は種々の濃度(10%~80%)のヒト血清(HS)中で、2時間、37℃でストックsiRNAをインキュベートした。血清又はビヒクル中でのプレインキュベーション後、0.15μLのLipofectamine RNAiMAX(Invitrogen(商標)13778075)/ウェルを使用して、384ウェルプレート(Thermo Scientific(商標)164688)中のHepG2細胞中に、25nMの濃度でsiRNAを形質移入した。形質移入された細胞を37℃及び5%COでインキュベートした。siRNA処理を受けていない細胞を対照として使用した。
初代マウス肝細胞における自由取り込み及び形質移入
【0130】
マウス肝細胞(MSCP10、Lonza)を解凍し、Primary Hepatocyte Thawing and Plating Supplements(Gibco(商標)CM3000)を補充したWilliams E培地(Gibco(商標)A1217601)中、384ウェルプレート(Thermo Scientific(商標)164688)に播種した。自由取り込みのために、ウェルあたり0.15μLのLipofectamineを使用して25nMのsiRNAで、又は100nMのGalNAc-siRNAで細胞を処理した。
二本鎖RT-qPCR
【0131】
Cells-to-CT 1-step TaqMan Kit(Invitrogen(商標)A25603)を使用して、RT-qPCR読み取りのために細胞を処理した。簡単に説明すると、細胞を50μLの氷冷PBSで洗浄し、DNase Iを含有する20μLの溶解溶液に溶解した。2μLのSTOP溶液を2分間添加することにより、5分後に溶解を停止した。RT-qPCR分析のために、ウェルあたり1μLの溶解物を20μLのRT-qPCR反応体積で96ウェルPCRプレートに分注した。GAPDH(VIC_PL、アッセイId Hs00266705_g1)及びPCSK9(FAM、アッセイId Hs00545399-m1)又はApoB(FAM、アッセイId Mm01545150_m1)に対するTaqManプローブとともに、Cells-to-CT 1-step TaqMan KitからのTaqMan(登録商標)1-Step qRT-PCR Mixを使用して、RT-qPCRを行った。QuantStudio 5サーモサイクリング機器(Applied BioSystems)を使用して、RT-qPCRを行った。GAPDHを内部対照として使用し、発現変化を参照試料(siRNA処理なし)に対して正規化した、ΔΔCT法を用いて相対定量を決定した。
インビボマウス研究動物
【0132】
University of ReadingのSaretius動物ユニット中で雄のC57BL/6Jマウス(20~25g)を群で飼育し、12時間の明/暗サイクル下、23℃で、Home Officeの規制に従って湿度を制御して維持した。研究の期間中、マウスに標準的なげっ歯類飼料SDSラット拡張食餌(RM3-E-FG)を与えた。
siRNA化合物の製剤化
【0133】
5mL/kgの投与体積で皮下(SC)に与えられた場合に2及び10mg/kgの用量を提供するために、化合物A、化合物G及び化合物Hをそれぞれ、RNAaseを含まないPBS中で0.4及び2mg/mLの濃度に製剤化した。対照群(n=5)には、5mL/kgの投与体積で、ビヒクル(RNaseを含まないPBS)を皮下に与えた。
RT-qPCRのための肝臓処理
【0134】
siRNA化合物又はビヒクル注射(n=5)後2日目(48時間)及び7日目(168時間)に、イソフルラン下での心臓穿刺によって、各処置群から試料を最終的に採取した。肝臓組織を切除し、液体N中で急速凍結した。GenElute(商標)Total RNA Purification Kit(RNB100-100RXN)を使用して、急速凍結された全肝臓のホモジネートから全RNAを抽出した。
【0135】
GAPDH(VIC_PL)、PCSK9(FAM)及びmTTR(FAM)に対するTaqManプローブとともにThermoFisher TaqMan Fast 1-Step Master Mixを使用して、Duplex RT-qPCRを行った。GAPDHを内部対照として使用し、標的遺伝子の発現変化をビヒクル対照に対して正規化したΔΔCT法を使用して、PCSK9の相対定量(RQ)を決定した。
[実施例1]
血清安定性アッセイにおける非修飾「インクリシラン」配列のセンス鎖(SS)上の湾曲の5’対3’配置を試験する
【0136】
10%FBS又は10%ヒト血清中での2時間のインキュベーション後、SSの5’又は3’末端のいずれかに位置する湾曲を有する非修飾「インクリシラン」は、「湾曲なし」siRNAと比較して増加した標的mRNA(PCSK9)ノックダウン(KD)を示す。しかしながら、ヒト血清中での前処理後には、湾曲が5’末端に存在する場合、SSの3’末端と比較してより優れたKDが観察される。
【0137】
これは図1で実証されており、ヘアピン配列GCGAAGCを含有する5’SS湾曲siRNA[縞模様のバー]は、10%ヒト血清での2時間の処理後のHepG2細胞において、修飾されたインクリシランで観察された標的KD(80%)[白いバー]に匹敵する高いレベルの標的KD(85%)を維持する。同様の結果は、「反転された」湾曲ヘアピン(CGAAGCG)がSSの5’末端に配置された場合に示され得る[斑点のあるバー]。対照的に、3’SSに配置された湾曲[格子模様のバー]は、ヒト血清中での前処理後のHepG2細胞において-18.75%(標的KDの低下);65%KD(血清インキュベーションなしでの80%KDと比較)を示す。予想されたように、湾曲が付着されていない非修飾「インクリシラン」[灰色のバー]は、FBS又はヒト血清のいずれかの中での前処理後に標的KDの低下したレベルを示す;それぞれ50%及び60%KDで、KDの-26.8%及び-39%の低下に等しい。
[実施例2]
漸増濃度のFBSを用いた血清安定性アッセイにおける非修飾「インクリシラン」配列のセンス鎖(SS)上の湾曲の5’配置を試験する
【0138】
漸増濃度のFBS中での、37℃で2時間のインキュベーション後、SSの5’末端に湾曲が配置された非修飾「インクリシラン」配列[縞模様のバー]は、試験されたFBSの全ての濃度(10%、20%及び50%)で持続的な標的mRNA(PCSK9)ノックダウン(70~80%KD)を示し、修飾されたインクリシランで観察されたレベル(70~80%KD)[白いバー]と同等である。同様に、SSの5’末端上の「反転された」湾曲ヘアピン(CGAAGCG)は、KDの低下なしに、65~75%のKDを提供する[斑点のあるバー]。これに対して、「湾曲なし」化合物[灰色のバー]は、わずか20~50%の標的KDが血清処理後に明らかであるように、KDの最大-85%の低下を示す。
[実施例3]
4時間のインキュベーション期間にわたる血清安定性アッセイにおける非修飾「インクリシラン」配列のセンス鎖(SS)上の湾曲の5’配置を試験する
【0139】
10%FBS又は10%ヒト血清のいずれかの中での4時間のインキュベーション後に、SSの5’末端に位置する湾曲を有する非修飾「インクリシラン」は、それぞれ約75%の標的mRNA(PCSK9)ノックダウン(KD)及び65%KDの持続したレベルを示す[縞模様のバー]。同様に、SSの5’末端における「反転した」湾曲ヘアピン(CGAAGCG)については明らかなKDの低下は存在せず[斑点のあるバー]、修飾された「インクリシラン」と同等であり、約70%のKDが観察される[白いバー]。対照的に、湾曲の非存在[灰色のバー]は、10%FBS(45%KD)又は10%ヒト血清(35%KD)中での4時間の前処理後に、それぞれKDの-36%及び-50%の低下に等しい、大幅により低いレベルのKDをもたらす。
[実施例4]
血清安定性アッセイにおける、PCSK9を標的とする非修飾siRNA配列(PC8-18と名付けられた配列)上の湾曲の5’対3’配置を試験する
【0140】
10%FBS又は10%ヒト血清中での2時間のインキュベーション後、センス鎖(SS)の5’末端に位置する湾曲を有するPC8-18は、SS又はASのいずれかの3’に位置する湾曲と比較して、標的mRNA(PCSK9)の優れたレベルのノックダウン(KD)を示す。これは図4に示されており、3’SSに位置する湾曲で見られる60~70%KD(血清処理なしと比較して30%KDの低下に等しい)[白地に斑点のあるバー及び格子模様のバー]と比較して、5’SS湾曲を有するPC8-18 siRNAについては持続的な標的KD(約85%)が存在する:[横の縞模様のバー及び黒地に斑点のあるバー]。同様に、湾曲が3’AS上に配置されている場合、KDの低下は6~16%であり、65~75%の標的KDをもたらす[縦の縞模様のバー]。PC8-18 siRNA上に湾曲が存在しない場合、標的KDは、FBS中での2時間のインキュベーション後にわずか35%に低下し、KDの大幅な低下(血清処置なしと比較して-63%)に相当し、ヒト血清中ではわずか25%のKD(-77%)に低下する。同様に、3’dTdTオーバーハングを含有する湾曲なしの分子は、それぞれ、FBS及びヒト血清中での前処理後に(血清処理なしと比較して)-44%及び-72%のKDレベルの低下を示す。
[実施例5]
PCSK9を標的とする非修飾siRNA化合物(PC2配列)上の湾曲の5’配置対3’配置のインビボサイレンシング効果を試験する
【0141】
各処置群について5匹のマウスの群に、ビヒクル(PBS)、化合物A(湾曲なし)、化合物G(センス鎖(SS)の5’末端上の湾曲)又は化合物H(SSの3’末端上の湾曲)のいずれかを皮下に(SC)注射した。各化合物を2mg/kg又は10mg/kgのいずれかで与え、屠殺後、2つの時点(2日目及び7日目)で肝臓PCSK9 mRNAのレベルを測定した。
【0142】
化合物G(5’SS湾曲)は、ビヒクル対照と比較して、2及び10mg/kgで48時間後に肝臓においてPCSK9 mRNAの40%KD及び7日後に10mg/kgで30%KDをもたらす(図5A)。化合物H(3’SS湾曲)については、48時間後に、同等の肝臓標的KD、2mg/kgで約50%KD(10mg/kgでは30%KD)が見られ、7日目には有意なKDは観察されなかった(図5A)。湾曲を含有しない化合物Aは、顕著により低い標的KDを示し、2日又は7日のいずれかでの2mg/kg用量のSC注射後にサイレンシングは存在しない。10mg/kgの用量では、化合物Aは、48時間後には20%未満のKDを示し、7日後には40%を示す(図5A)。
[実施例6]
血清安定性アッセイ(HepG2細胞)において化合物A、G及びHを試験する
【0143】
SS上の5’及び3’に位置する湾曲の両方について、同様の結果が示されている。化合物G(5’SS湾曲)及び化合物H(3’SS湾曲)は、10%FBS又はヒト血清中のいずれかでの2時間のインキュベーション後に、(血清処理なしと比較して)50%超のPCSK9 mRNA KDを維持する。対照的に、2時間の血清処置後に50%からわずか20%KDへ、化合物A(湾曲なし)について見られる標的KDの低下が存在する;図5B
【0144】
2時間にわたって、増加する血清濃度(20%及び50%)でこれらのsiRNA化合物をさらに検証すると、化合物G(5’SS湾曲)は、ヒト血清中において、3’SSに位置する湾曲(H)よりも優れた性能を示した。これは図5Cに示されており、標的mRNA KDの持続的なレベル(約50%)は、50%ヒト血清中での2時間のインキュベーション後の化合物G[斑点のあるバー]においてのみ明瞭である。これは、その「血清なし」処理KDレベルと比較すると、Gについては、KDの低下が存在しないことに相当する。対照的に、化合物H[灰色のバー]は、KDの完全な喪失(0%)を示し、50%ヒト血清中で2時間後に、「湾曲なし」化合物A[白いバー]と全く同じように機能する。
【表1】
【表2】


【表3】
【表4】

【表5】
[実施例7]
(インクリシラン、PCSK9配列)
【0145】
湾曲がセンス鎖の5’末端に付着された場合(siRNA15-5’C)、siRNA配列は、10%FBS又はヒト血清中での2時間のインキュベーション後に、化学的に修飾されたバージョン(siRNA14m)に匹敵して、標的PCSK9に対する完全なKD活性を維持した。センス鎖の3’末端の湾曲(siRNA 15b)は、HS中で部分的な保護を示した。3’末端に短い湾曲(ヘアピン部分のみ)を有するsiRNA(siRNA15s7)及び5’末端に短い湾曲(ヘアピン部分のみ)を有するsiRNA(Inc_03)並びに5’末端にのみステム12ヌクレオチド部分を有するsiRNA(INC_02)は全て、25nMでHepG2中に形質移入された場合、完全な19ヌクレオチドの湾曲と比較して、KDの著しい低下を示した(表6及び7)。
【表6】


【表7】
【表8】
[実施例8]
(PC8-18 PCSK9配列)
【0146】
湾曲がセンス鎖の5’末端に付着された場合(PC8_05)、siRNA配列は、80%HS中での2時間のインキュベーション後に標的PCSK9に対する完全なKD活性を維持し、これは血清プレインキュベーションなしで観察されたKDレベルに匹敵した。センス鎖の3’末端の湾曲(PC8_01)は、HS中で大幅に低下した保護を与え、血清プレインキュベーションなしと比較してKDの72%の低下を示した。3’末端に短い湾曲(ヘアピン部分のみ)を有するsiRNA(PC8_03)及び5’末端に短い湾曲(ヘアピン部分のみ)を有するsiRNA(PC8_11)並びに5’末端にのみステム12ヌクレオチド部分を有するsiRNA(PC8_10)は全て、25nMでHepG2中に形質移入された場合、完全な19ヌクレオチドの湾曲と比較して、KDの著しい低下を示した(表9)。
【表9】
【表10】
[実施例9]
(化合物G-PCSK9配列)
【0147】
湾曲がセンス鎖の5’末端に付着された場合(siRNA_G)、siRNA配列は、80%HS中での8時間のインキュベーション後に、血清プレインキュベーションなしで観察されたKDのレベルに匹敵して、PCSK9に対する完全なKD活性を維持した(表11)。対照的に、siRNA_A(湾曲なし)又はsiRNA_H(センス鎖の3’末端の湾曲)は、25nMでHepG2中に形質移入された場合、80%HS中で保護を示さず、それぞれ70.8%及び100%の%KDの低下を示した。自由取り込みアッセイでは、siRNA_Gは、10%FBS中で培養され、100nMのsiRNAで24、48及び72時間処理された初代マウス肝細胞において、siRNA_Hと比較してより良好なKDレベルを示した(表12)。
【表11】
【表12】
[実施例10]
(ApoB配列)
【0148】
マウスApoBに対する配列を保有する合計11個のsiRNAを20%及び50%ヒト血清に曝露し、その後、初代マウス肝細胞中に25nMで形質移入すると、センス鎖上に5’湾曲を保有するsiRNA変異体は、総じて、3’末端に湾曲を保有するsiRNA変異体と比較して、血清への曝露後にApoBのKDを誘導するより優れた能力を示した(表13)。
【表13】
【表14】
【表15】
参考文献
【0149】
Nair,J.K.,Willoughby,J.L.,Chan,A.,Charisse,K.,Alam,M.R.,Wang,Q.,Hoekstra,M.,Kandasamy,P.,Kel’in,A.V.,Milstein,S.and Taneja,N.,2014.Multivalent N-acetylgalactosamine-conjugated siRNA localizes in hepatocytes and elicits robust RNAi-mediated gene silencing.Journal of the American Chemical Society,136(49),pp.16958-16961.
Soutschek,J.,Akinc,A.,Bramlage,B.,Charisse,K.,Constien,R.,Donoghue,M.,Elbashir,S.,Geick,A.,Hadwiger,P.,Harborth,J.and John,M.,2004.Therapeutic silencing of an endogenous gene by systemic administration of modified siRNAs.Nature,432(7014),p.173
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
【配列表】
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【国際調査報告】