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特表2024-531730キノリン化合物徐放錠及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】キノリン化合物徐放錠及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/47 20060101AFI20240822BHJP
   C07D 215/36 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 9/22 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240822BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240822BHJP
   A61P 19/06 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
A61K31/47
C07D215/36 CSP
A61K9/22
A61K47/26
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/02
A61K47/32
A61K47/14
A61K47/12
A61K47/10
A61P19/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516489
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 CN2021119132
(87)【国際公開番号】W WO2023039850
(87)【国際公開日】2023-03-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515329931
【氏名又は名称】ヒノバ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ シン
(72)【発明者】
【氏名】クウァン トンタオ
(72)【発明者】
【氏名】チェン ジアン
(72)【発明者】
【氏名】アイ チャオウー
(72)【発明者】
【氏名】リー シンハイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA94
4C076BB01
4C076CC21
4C076DD25
4C076DD26
4C076DD28
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD41M
4C076DD46
4C076DD46M
4C076DD47
4C076DD67
4C076DD68
4C076EE16M
4C076EE23
4C076EE31
4C076EE32M
4C076EE38
4C076FF01
4C076FF31
4C076GG01
4C086BC28
4C086GA15
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA12
4C086ZC31
(57)【要約】
本発明は、キノリン化合物徐放錠を開示し、このキノリン化合物徐放錠は、キノリン化合物1~40部、充填剤100~300部、徐放材料50~200部、潤滑剤0.5~4部という重量比の原材料及び補助材料を含む。前記充填剤には、マンニトール、微結晶セルロース、ラクトース、デンプン、コーンスターチ、リン酸水素カルシウム水和物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、精製スクロース及び/又はグルコースが含まれるが、これらに限定されず、前記徐放材料には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びポビドン、ベヘン酸グリセリル及び/又は長鎖脂肪酸が含まれるが、これらに限定されず、前記潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、タルク、ベヘン酸グリセリル及び/又はステアリン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キノリン化合物徐放錠であって、キノリン化合物1~40部、充填剤100~300部、徐放材料50~200部、潤滑剤0.5~4部という重量比の原材料及び補助材料を含み、
前記充填剤には、マンニトール、微結晶セルロース、ラクトース、デンプン、コーンスターチ、リン酸水素カルシウム水和物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、精製スクロース及び/又はグルコースが含まれるが、これらに限定されず、
前記徐放材料には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びポビドン、ベヘン酸グリセリル及び/又は長鎖脂肪酸が含まれるが、これらに限定されず、
前記潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、タルク、ベヘン酸グリセリル及び/又はステアリン酸が含まれるが、これらに限定されない
ことを特徴とする徐放錠。
【請求項2】
前記充填剤が、ラクトース及び/又は微結晶セルロース、好ましくは、質量比10~70:2~30のラクトースと微結晶セルロースの組成物であり、前記徐放材料が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、前記潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル及び/又はステアリン酸が含まれるが、これらに限定されない
ことを特徴とする請求項1に記載の徐放錠。
【請求項3】
前記ラクトースには、ラクトース一水和物、無水ラクトース及び/又は粒径の異なるラクトースが含まれるが、これらに限定されず、前記微結晶セルロースには、微結晶セルロースPH101、PH102、PH301及び/又はPH302が含まれるが、これらに限定されず、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースには、ヒドロキシプロピルメチルセルロースK4M、K100LV及び/又はK750が含まれるが、これらに限定されず、前記潤滑剤が、ステアリン酸マグネシウムである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の徐放錠。
【請求項4】
キノリン化合物5部、充填剤256部、徐放材料117部、潤滑剤1.9部という重量比の原材料及び補助材料を含み、
前記充填剤が、質量比10~70:2~30のラクトース一水和物と微結晶セルロースPH101の組成物であり、
前記徐放材料が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースK4M及びK100LVであり、その質量比が好ましくは57:60であり、
前記潤滑剤が、ステアリン酸マグネシウムである
ことを特徴とする請求項1に記載の徐放錠。
【請求項5】
前記キノリン化合物が、式Iで表される化合物、又はその光学異性体、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩若しくはプロドラッグであり、
上式において、
Zは、O、S又は-NH-から選択され、
は、N又はCRから選択され、Wは、N又はCRから選択され、Wは、N又はCRから選択され、
、R、R、R、Rは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基、ヘテロアリール基、-OR、-S(O)、-C(O)R、C(O)OR、-C(O)NR、-NR又はNRC(O)Rから選択され、ここにおいて、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基又はヘテロアリール基は、それぞれ独立に任意選択であり、さらに、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、オキソ基、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基、ヘテロアリール基、-OR、-S(O)、-C(O)R、C(O)OR、-C(O)NR、-NR又はNRC(O)Rから選択される1つ又は複数の置換基によって置換され、
は、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基又はヘテロアリール基から選択され、ここにおいて、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基又はヘテロアリール基は、それぞれ独立に任意選択であり、さらに、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、オキソ基、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、-C(O)NR、-NR又はNRC(O)Rから選択される1つ又は複数の置換基によって置換され、
、Rは、それぞれ独立に水素、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基又はヘテロアリール基から選択され、ここにおいて、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基又はヘテロアリール基は、それぞれ独立に任意選択であり、さらに、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、オキソ基、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基から選択される1つ又は複数の置換基によって置換され、かつ、mは0、1又は2であり、
X、Yは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基又はヒドロキシアルキル基から選択され、
ZがO又はSから選択される場合に、Rは、水素又はC~Cアルキル基、シクロアルキル基から選択され、ここにおいて、前記アルキル基、シクロアルキル基は、独立に任意選択であり、さらに、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、オキソ基、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、-C(O)NR、-NR又はNRC(O)Rから選択される1つ又は複数の置換基によって置換され、Zが-NH-から選択される場合に、Rは、水素、アリール基又はヘテロアリール基、好ましくはピリジル基から選択される
ことを特徴とする請求項1に記載の徐放錠。
【請求項6】
前記キノリン化合物が、2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸、及び/又はその光学異性体、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、プロドラッグであり、前記2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸の構造式が、
であることを特徴とする請求項5に記載の徐放錠。
【請求項7】
前記キノリン化合物が、2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸結晶形I、結晶形II及び/又はそのナトリウム塩結晶形であることを特徴とする請求項6に記載の徐放錠。
【請求項8】
前記2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸結晶形Iの粉末X線回折で、2θ回折角6.5±0.2、13.6±0.2、14.1±0.2、17.7±0.2、21.8±0.2、22.0±0.2、22.8±0.2、23.2±0.2、24.3±0.2、26.8±0.2、27.4±0.2度のところに特徴的なピークがあることを特徴とする請求項7に記載の徐放錠。
【請求項9】
前記特徴的なピークの相対強度値が、
回折角2θ 相対強度%
6.5±0.2 36.1
13.6±0.2 100.0
14.1±0.2 14.1
17.7±0.2 13.6
21.8±0.2 17.0
22.0±0.2 11.1
22.8±0.2 16.9
23.2±0.2 11.1
24.3±0.2 45.6
26.8±0.2 15.7
27.4±0.2 36.5
であることを特徴とする請求項8に記載の徐放錠。
【請求項10】
前記2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸結晶形IIの粉末X線回折で、2θ回折角7.9±0.2、9.5±0.2、15.9±0.2、18.2±0.2、19.1±0.2、23.9±0.2、26.1±0.2度のところに特徴的なピークがあることを特徴とする請求項7に記載の徐放錠。
【請求項11】
前記特徴的なピークの相対強度値が、
回折角2θ 相対強度%
7.9±0.2 100.0
9.5±0.2 7.3
15.9±0.2 28.6
18.2±0.2 10.0
19.1±0.2 6.8
23.9±0.2 22.7
26.1±0.2 6.7
であることを特徴とする請求項10に記載の徐放錠。
【請求項12】
前記2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸ナトリウム塩結晶形の粉末X線回折で、2θ回折角6.1±0.2、10.5±0.2、12.0±0.2、14.1±0.2、15.9±0.2、18.0±0.2、21.7±0.2、27.6±0.2、32.0±0.2、33.8±0.2、36.4±0.2度のところに特徴的なピークがあることを特徴とする請求項7に記載の徐放錠。
【請求項13】
前記特徴的なピークの相対強度値が、
回折角2θ 相対強度%
6.1±0.2 22.2
10.5±0.2 21.4
12.0±0.2 30.7
14.1±0.2 24.3
15.9±0.2 89.9
18.0±0.2 38.5
21.7±0.2 27.9
27.6±0.2 100.0
32.0±0.2 22.0
33.8±0.2 34.2
36.4±0.2 22.4
であることを特徴とする請求項12に記載の徐放錠。
【請求項14】
前記2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸結晶形Iの調製が、
2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸の粗製品を取り、メタノールに溶解させ、濾過し、濾液を20~24時間自然冷却させて結晶を析出させ、その後、温度を15~20℃に制御し、2時間攪拌して結晶を析出させ、濾過し、結晶を取り、乾燥させ、得るステップ
を含むことを特徴とする請求項7に記載の徐放錠の調製方法。
【請求項15】
前記2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸結晶形IIの調製が、
2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸の粗製品を取り、体積比7:4のテトラヒドロフランとジクロロメタンの混合溶液に溶解させ、濾過し、濾液を室温で蒸発乾燥させ、得るステップ
を含むことを特徴とする請求項7に記載の徐放錠の調製方法。
【請求項16】
前記2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸ナトリウム塩結晶形の調製が、
2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸の粗製品を取り、水に溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH値を12に調整し、3分間攪拌して、濾過し、結晶を真空で乾燥させ、得るステップ
を含むことを特徴とする請求項7に記載の徐放錠の調製方法。
【請求項17】
湿式造粒、乾式造粒、直接粉末圧縮又は膜制御徐放技術、好ましくは湿式造粒を採用する調製であることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のキノリン化合物徐放錠の調製方法。
【請求項18】
前記湿式造粒が、
a.原材料及び補助材料を比率にしたがって秤り取り、ラクトースを60メッシュのふるいに通すステップと、
b.規定量の1/4~1/3のラクトースを取り、湿式造粒機に入れ、5~10分間攪拌し、次いで、規定量の1/4~1/3のラクトースと1/3~1/2のキノリン化合物を加え、5~10分間攪拌し、最後に、残りの量のラクトースとキノリン化合物を加え、5~10分間攪拌し、その後、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを加え、10~20分間攪拌するステップと、
c.水を加えて柔らかい材料を作り、造粒し、湿った顆粒を水分1.0%~4.0%まで乾燥させ、整粒するステップと、
d.ステアリン酸マグネシウムをステップcの顆粒と混合し、圧縮し、コーティングし、得るステップと
を含むことを特徴とする請求項17に記載の調製方法。
【請求項19】
ステップbで、規定量の1/3のラクトースを取り、湿式造粒機に入れ、5分間攪拌し、次いで、規定量の1/3のラクトースと1/2のキノリン化合物を加え、5分間攪拌し、最後に、残りの量のラクトースとキノリン化合物を加え、5分間攪拌し、その後、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを加え、10分間攪拌することを特徴とする請求項18に記載の調製方法。
【請求項20】
ステップcの造粒が、20メッシュのふるい網を通す造粒であり、乾燥が、60℃での乾燥であり、整粒が、20メッシュのふるいを用いる整粒であり、かつ/又は、ステップdのコーティングが、2~4%の重量増加にしたがって行うコーティングであることを特徴とする請求項18に記載の調製方法。
【請求項21】
2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸の結晶形であって、2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸結晶形Iであり、その粉末X線回折で、2θ回折角6.5±0.2、13.6±0.2、14.1±0.2、17.7±0.2、21.8±0.2、22.0±0.2、22.8±0.2、23.2±0.2、24.3±0.2、26.8±0.2、27.4±0.2度のところに特徴的なピークがあることを特徴とする結晶形。
【請求項22】
前記特徴的なピークの相対強度値が、
回折角2θ 相対強度%
6.5±0.2 36.1
13.6±0.2 100.0
14.1±0.2 14.1
17.7±0.2 13.6
21.8±0.2 17.0
22.0±0.2 11.1
22.8±0.2 16.9
23.2±0.2 11.1
24.3±0.2 45.6
26.8±0.2 15.7
27.4±0.2 36.5
であることを特徴とする請求項21に記載の結晶形。
【請求項23】
2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸の結晶形であって、2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸結晶形IIであり、その粉末X線回折で、2θ回折角7.9±0.2、9.5±0.2、15.9±0.2、18.2±0.2、19.1±0.2、23.9±0.2、26.1±0.2度のところに特徴的なピークがあることを特徴とする結晶形。
【請求項24】
前記特徴的なピークの相対強度値が、
回折角2θ 相対強度%
7.9±0.2 100.0
9.5±0.2 7.3
15.9±0.2 28.6
18.2±0.2 10.0
19.1±0.2 6.8
23.9±0.2 22.7
26.1±0.2 6.7
であることを特徴とする請求項23に記載の結晶形。
【請求項25】
2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸の結晶形であって、2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸ナトリウム塩結晶形であり、その粉末X線回折で、2θ回折角6.1±0.2、10.5±0.2、12.0±0.2、14.1±0.2、15.9±0.2、18.0±0.2、21.7±0.2、27.6±0.2、32.0±0.2、33.8±0.2、36.4±0.2度のところに特徴的なピークがあることを特徴とする結晶形。
【請求項26】
前記特徴的なピークの相対強度値が、
回折角2θ 相対強度%
6.1±0.2 22.2
10.5±0.2 21.4
12.0±0.2 30.7
14.1±0.2 24.3
15.9±0.2 89.9
18.0±0.2 38.5
21.7±0.2 27.9
27.6±0.2 100.0
32.0±0.2 22.0
33.8±0.2 34.2
36.4±0.2 22.4
であることを特徴とする請求項25に記載の結晶形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にキノリン化合物徐放錠及びその調製方法に関し、医学の領域に属する。
【背景技術】
【0002】
キノリン化合物は、ヒノバ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッドが独自に研究・開発し、独自の知的財産権を有する(現在すでに8件の発明特許を申請している)、尿酸トランスポーター(URAT1)阻害剤であり、高尿酸血症や痛風の治療に使用されている。キノリン化合物徐放錠の有効成分は、キノリン化合物である。その構造は、式Iの通りである。
【0003】
出願番号:201611109936.3、発明の名称:キノリン化合物、その調製方法及び尿酸トランスポーター阻害薬としての使用。
【0004】
ラットの体内での薬物のPK試験の結果を示した図1からわかるように、薬物はラットの体内に進入した後すぐに吸収され、薬物の摂取後4時間ではラットの血中薬物濃度は比較的高い。薬理試験から推測すると、過度に高い血中薬物濃度は潜在的な中毒性副作用を引き起こす可能性がある。Caco-2実験では、キノリン化合物はCaco-2細胞中で高い浸透性を示し、排出トランスポーターの基質ではないことが明らかになっている。溶解度試験では、キノリン化合物は水への溶解度が非常に低く、生物薬剤学分類によってBSC2類に分類され、薬物の放出は薬物吸収の律速過程であることが明らかになっている。普通の規格では、in vitroの薬物放出試験はin vivoの薬物バイオアベイラビリティと高い相関があるため、徐放性製剤の開発は、バイオアベイラビリティを確保しながら、効果的に薬物摂取後の血中薬物濃度を低下させ、Cmaxによって人体に引き起こされる中毒性副作用を軽減することができる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、キノリン化合物徐放錠及びその調製方法を提供することであり、本発明は、当該化合物の製剤の開発において徐放性製剤の考え方を採用し、開発の目標は、投薬を1日1回にし、AUCが不変の状態を維持しながら、効果的にCmaxを下げることとした。定められた製剤の処方は、12~20時間以内に完全に放出され、服薬コンプライアンスを改善し、副作用の発生を抑制し、薬物の安定性を向上させる。
【0006】
本発明は、キノリン化合物徐放錠を提供し、この徐放錠は、キノリン化合物1~40部、充填剤100~300部、徐放材料50~200部、潤滑剤0.5~4部という重量比の原材料及び補助材料を含み、
前記充填剤には、マンニトール、微結晶セルロース、ラクトース、デンプン、コーンスターチ、リン酸水素カルシウム水和物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、精製スクロース及び/又はグルコースが含まれるが、これらに限定されず、
前記徐放材料には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びポビドン、ベヘン酸グリセリル及び/又は長鎖脂肪酸が含まれるが、これらに限定されず、
前記潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、タルク、ベヘン酸グリセリル及び/又はステアリン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0007】
さらに、前記充填剤は、ラクトース及び/又は微結晶セルロース、好ましくは、質量比10~30:2~10のラクトースと微結晶セルロースの組成物であり、前記徐放材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、前記潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル及び/又はステアリン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0008】
またさらに、前記ラクトースには、ラクトース一水和物、無水ラクトース及び/又は粒径の異なるラクトースが含まれるが、これらに限定されず、前記微結晶セルロースには、微結晶セルロースPH101、PH102、PH301及び/又はPH302が含まれるが、これらに限定されず、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースには、ヒドロキシプロピルメチルセルロースK4M、K100LV及び/又はK750が含まれるが、これらに限定されず、前記潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0009】
またさらに、前記キノリン化合物徐放錠は、キノリン化合物5部、充填剤256部、徐放材料117部、潤滑剤1.9部という重量比の原材料及び補助材料を含み、
前記充填剤は、質量比10~70:2~30のラクトース一水和物と微結晶セルロースPH101の組成物であり、
前記徐放材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースK4M及びK100LVであり、その質量比は好ましくは57:60であり、
前記潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0010】
さらに、前記キノリン化合物は、式Iで表される化合物、又はその光学異性体、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩若しくはプロドラッグであり、
上式において、
Zは、O、S又は-NH-から選択され、
は、N又はCRから選択され、Wは、N又はCRから選択され、Wは、N又はCRから選択され、
、R、R、R、Rは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基、ヘテロアリール基、-OR、-S(O)、-C(O)R、C(O)OR、-C(O)NR、-NR又はNRC(O)Rから選択され、ここにおいて、前記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基又はヘテロアリール基は、それぞれ独立に任意選択であり、さらに、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、オキソ基、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基、ヘテロアリール基、-OR、-S(O)、-C(O)R、C(O)OR、-C(O)NR、-NR又はNRC(O)Rから選択される1つ又は複数の置換基によって置換され、
は、水素、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基又はヘテロアリール基から選択され、ここにおいて、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基又はヘテロアリール基は、それぞれ独立に任意選択であり、さらに、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、オキソ基、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、-C(O)NR、-NR又はNRC(O)Rから選択される1つ又は複数の置換基によって置換され、
、Rは、それぞれ独立に水素、アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基又はヘテロアリール基から選択され、ここにおいて、前記アルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基又はヘテロアリール基は、それぞれ独立に任意選択であり、さらに、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、オキソ基、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基から選択される1つ又は複数の置換基によって置換され、かつ、mは0、1又は2であり、
X、Yは、それぞれ独立に水素、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基又はヒドロキシアルキル基から選択され、
ZがO又はSから選択される場合に、Rは、水素又はC~Cアルキル基、シクロアルキル基から選択され、ここにおいて、前記アルキル基、シクロアルキル基は、独立に任意選択であり、さらに、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、オキソ基、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロ基、アリール基、ヘテロアリール基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、-C(O)NR、-NR又はNRC(O)Rから選択される1つ又は複数の置換基によって置換され、Zが-NH-から選択される場合に、Rは、水素、アリール基又はヘテロアリール基、好ましくはピリジル基から選択される。
【0011】
さらに、前記キノリン化合物は、2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸、及び/又はその光学異性体、溶媒和物、薬学的に許容可能な塩、プロドラッグであり、前記2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸の構造式は、
である。
【0012】
またさらに、前記キノリン化合物は、2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸結晶形I、結晶形II及び/又はそのナトリウム塩結晶形である。
【0013】
またさらに、前記2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸結晶形Iの粉末X線回折では、2θ回折角6.5±0.2、13.6±0.2、14.1±0.2、17.7±0.2、21.8±0.2、22.0±0.2、22.8±0.2、23.2±0.2、24.3±0.2、26.8±0.2、27.4±0.2度のところに特徴的なピークがある。
【0014】
またさらに、前記特徴的なピークの相対強度値は、
回折角2θ 相対強度%
6.5±0.2 36.1
13.6±0.2 100.0
14.1±0.2 14.1
17.7±0.2 13.6
21.8±0.2 17.0
22.0±0.2 11.1
22.8±0.2 16.9
23.2±0.2 11.1
24.3±0.2 45.6
26.8±0.2 15.7
27.4±0.2 36.5
である。
【0015】
またさらに、前記2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸結晶形IIの粉末X線回折では、2θ回折角7.9±0.2、9.5±0.2、15.9±0.2、18.2±0.2、19.1±0.2、23.9±0.2、26.1±0.2度のところに特徴的なピークがある。
【0016】
またさらに、前記特徴的なピークの相対強度値は、
回折角2θ 相対強度%
7.9±0.2 100.0
9.5±0.2 7.3
15.9±0.2 28.6
18.2±0.2 10.0
19.1±0.2 6.8
23.9±0.2 22.7
26.1±0.2 6.7
である。
【0017】
またさらに、前記2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸ナトリウム塩結晶形の粉末X線回折では、2θ回折角6.1±0.2、10.5±0.2、12.0±0.2、14.1±0.2、15.9±0.2、18.0±0.2、21.7±0.2、27.6±0.2、32.0±0.2、33.8±0.2、36.4±0.2度のところに特徴的なピークがある。
【0018】
またさらに、前記特徴的なピークの相対強度値は、
回折角2θ 相対強度%
6.1±0.2 22.2
10.5±0.2 21.4
12.0±0.2 30.7
14.1±0.2 24.3
15.9±0.2 89.9
18.0±0.2 38.5
21.7±0.2 27.9
27.6±0.2 100.0
32.0±0.2 22.0
33.8±0.2 34.2
36.4±0.2 22.4
である。
【0019】
本発明はさらに、前記徐放錠の調製方法を提供し、前記2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸結晶形Iの調製は、
2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸の粗製品を取り、メタノールに溶解させ、濾過し、濾液を20~24時間自然冷却させて結晶を析出させ、その後、温度を15~20℃に制御し、2時間攪拌して結晶を析出させ、濾過し、結晶を取り、乾燥させ、得るステップを含む。
【0020】
本発明はさらに、前記徐放錠の調製方法を提供し、前記2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸結晶形IIの調製は、
2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸の粗製品を取り、体積比7:4のテトラヒドロフランとジクロロメタンの混合溶液に溶解させ、濾過し、濾液を室温で蒸発乾燥させ、得るステップを含む。
【0021】
本発明はさらに、前記徐放錠の調製方法を提供し、前記2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸ナトリウム塩結晶形の調製は、
2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸の粗製品を取り、水に溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH値を12に調整し、3分間攪拌して、濾過し、結晶を真空で乾燥させ、得るステップを含む。
【0022】
本発明はさらに、前記キノリン化合物徐放錠の調製方法を提供し、この調製方法は、湿式造粒、乾式造粒、直接粉末圧縮又は膜制御徐放技術、好ましくは湿式造粒を採用する調製である。
【0023】
さらに、前記湿式造粒は、
a.原材料及び補助材料を比率にしたがって秤り取り、ラクトースを60メッシュのふるいに通すステップと、
b.規定量の1/4~1/3のラクトースを取り、湿式造粒機に入れ、5~10分間攪拌し、次いで、規定量の1/4~1/3のラクトースと1/3~1/2のキノリン化合物を加え、5~10分間攪拌し、最後に、残りの量のラクトースとキノリン化合物を加え、5~10分間攪拌し、その後、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを加え、10~20分間攪拌するステップと、
c.水を加えて柔らかい材料を作り、造粒し、湿った顆粒を水分1.0%~4.0%まで乾燥させ、整粒するステップと、
d.ステアリン酸マグネシウムをステップcの顆粒と混合し、圧縮し、コーティングし、得るステップとを含む。
【0024】
またさらに、ステップbで、規定量の1/3のラクトースを取り、湿式造粒機に入れ、5分間攪拌し、次いで、規定量の1/3のラクトースと1/2のキノリン化合物を加え、5分間攪拌し、最後に、残りの量のラクトースとキノリン化合物を加え、5分間攪拌し、その後、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを加え、10分間攪拌する。
【0025】
またさらに、ステップcの造粒は、20メッシュのふるい網に通す造粒であり、乾燥は、60℃での乾燥であり、整粒は、20メッシュのふるいを用いる整粒であり、かつ/又は、ステップdのコーティングは、2~4%の重量増加にしたがって行うコーティングである。
【0026】
本発明はさらに、2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸の結晶形を提供し、この結晶形は、2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸結晶形Iであり、その粉末X線回折では、2θ回折角6.5±0.2、13.6±0.2、14.1±0.2、17.7±0.2、21.8±0.2、22.0±0.2、22.8±0.2、23.2±0.2、24.3±0.2、26.8±0.2、27.4±0.2度のところに特徴的なピークがある。
【0027】
さらに、前記特徴的なピークの相対強度値は、
回折角2θ 相対強度%
6.5±0.2 36.1
13.6±0.2 100.0
14.1±0.2 14.1
17.7±0.2 13.6
21.8±0.2 17.0
22.0±0.2 11.1
22.8±0.2 16.9
23.2±0.2 11.1
24.3±0.2 45.6
26.8±0.2 15.7
27.4±0.2 36.5
である。
【0028】
本発明はさらに、2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸の結晶形を提供し、この結晶形は、2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸結晶形IIであり、その粉末X線回折では、2θ回折角7.9±0.2、9.5±0.2、15.9±0.2、18.2±0.2、19.1±0.2、23.9±0.2、26.1±0.2度のところに特徴的なピークがある。
【0029】
さらに、前記特徴的なピークの相対強度値は、
回折角2θ 相対強度%
7.9±0.2 100.0
9.5±0.2 7.3
15.9±0.2 28.6
18.2±0.2 10.0
19.1±0.2 6.8
23.9±0.2 22.7
26.1±0.2 6.7
である。
【0030】
本発明は最後に、2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸の結晶形を提供し、この結晶形は、2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸ナトリウム塩結晶形であり、その粉末X線回折では、2θ回折角6.1±0.2、10.5±0.2、12.0±0.2、14.1±0.2、15.9±0.2、18.0±0.2、21.7±0.2、27.6±0.2、32.0±0.2、33.8±0.2、36.4±0.2度のところに特徴的なピークがある。
【0031】
さらに、前記特徴的なピークの相対強度値は、
回折角2θ 相対強度%
6.1±0.2 22.2
10.5±0.2 21.4
12.0±0.2 30.7
14.1±0.2 24.3
15.9±0.2 89.9
18.0±0.2 38.5
21.7±0.2 27.9
27.6±0.2 100.0
32.0±0.2 22.0
33.8±0.2 34.2
36.4±0.2 22.4
である。
【0032】
本発明には、以下の利点がある。
1.薬物バイオアベイラビリティが低下しないようにしながら、最大血中薬物濃度を下げ、潜在的な中毒性副作用を回避する
2.薬物を1日1回服用する方式で、患者のコンプライアンスが大幅に向上する
3.選択された補助材料はすべて、FDA及びSFDAによって規定された安全な用量内にあり、有効成分との適合性は良く、製品の安定性は高い
4.キノリン化合物徐放錠は、一般的な固形製剤の製造技術を採用しており、生産効率は高く、生産コストは低い
【0033】
明らかなことであるが、本発明の上記の内容に基づき、当領域の通常の技術知識と慣用手段に従い、本発明の上記の基本的な技術思想から逸脱しないという前提の下で、さらにその他の様々な改良、置き換え又は変更を行うことが可能である。
【0034】
以下では、実施例という形の具体的な実施方式で、本発明の上記の内容についてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の上記の主題の範囲が以下の実施例に限定されると解釈してはならない。本発明の上記の内容に基づいて実現される技術はすべて、本発明の範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】ラットの体内における有効成分(旧コード:HC-1310)の薬物時間曲線図。
図2】結晶形IのXRD図。
図3】結晶形IのDSC図。
図4】結晶形IのTGA図。
図5】結晶形IのPLM図。
図6】結晶形IIのXRD図。
図7】結晶形IIのDSC図。
図8】結晶形IIのTGA図。
図9】結晶形IIのPLM図。
図10】ナトリウム塩結晶形のXRD図。
図11】ナトリウム塩結晶形のDSC図。
図12】ナトリウム塩結晶形のTGA図。
図13】徐放材料の種類のスクリーニング及び比率の異なるサンプルの放出曲線図。
図14】キノリン化合物徐放錠(規格:5mg)のコーティング錠と素錠の放出曲線の比較。
図15】キノリン化合物懸濁液又は徐放錠5mg/kg単回経口投与後の雄雌ビーグル犬の平均薬物血中濃度時間曲線図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
実施例1.キノリン化合物結晶形Iの調製
無水メタノール59.2kgを反応釜に加え、攪拌を開始し、反応系を加熱還流させた。反応系に2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸の粗製品1135gを加え、反応系を65~70℃に加熱して溶解させ、濾過して不溶物を除去し、濾液を反応釜に移し、反応系を65~70℃に加熱して溶解させ、加熱を止め、20~24時間自然冷却させて結晶を析出させた。反応系の温度を15~20℃に制御し、2時間攪拌して結晶を析出させた。濾過し、乾燥させて、類白色から白色の結晶粒状の2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸化合物結晶形Iの生成物を得た。
【0037】
結晶形IのXRD、DSC、TGA、PLM図を、図2図5に示した。
【0038】
実施例2.キノリン化合物結晶形IIの調製
2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸の粗製品約10mgを取り、テトラヒドロフラン0.7mLとジクロロメタン0.4mLに加え、溶解させ、濾過し、ドラフトチャンバーに入れ、室温で開放しながら揮発させ、2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸結晶形IIの生成物を得た。
【0039】
結晶形IIのXRD、DSC、TGA、PLM図を、図6図9に示した。
【0040】
実施例3.キノリン化合物ナトリウム塩結晶形の調製
2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸の粗製品約300mgを取り、水12mLに加え、攪拌し、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を滴加してpHを12にし、サンプルを攪拌して析出させ、次いで、3分間攪拌した後、濾過し、一晩真空乾燥させ、2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸ナトリウム塩結晶形の化合物を得た。
【0041】
ナトリウム塩結晶形のXRD、DSC、TGA図を、図10図12に示した。
【0042】
実施例4.キノリン化合物徐放錠の調製
規定:実施例1で調製した2-[4-(6-ブロモキノリル)-チオ]-2-エチル酪酸化合物結晶形I 5g、ラクトース一水和物226.1g、微結晶セルロースPH101 30g、ヒドロキシプロピルメチルセルロースK4M(HPMC K4M)57g、ヒドロキシプロピルメチルセルロースK100LV(HPMC K100LV)60g、ステアリン酸マグネシウム1.9g。
【0043】
調製方法:
a.原材料及び補助材料を比率にしたがって秤り取り、ラクトースを60メッシュのふるいに通す
b.規定量の1/3のラクトースを取り、湿式造粒機に入れ、5分間攪拌し、次いで、規定量の1/3のラクトースと1/2のキノリン化合物を加え、5分間攪拌し、最後に、残りの量のラクトースとキノリン化合物を加え、5分間攪拌し、その後、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを加え、10分間攪拌する
c.水を加えて柔らかい材料を作り、20メッシュのふるい網で造粒し、60℃で水分3%まで乾燥させ、20メッシュのふるいで整粒する
d.ステアリン酸マグネシウムをステップcの顆粒と混合し、圧縮し、3%の重量増加にしたがってコーティングし、得る。
【0044】
以下では、試験例を通じて、本発明の有益な効果をさらに説明する。
【0045】
試験例1.キノリン化合物徐放錠の異なる比率及び種類の徐放材料での放出の比較
1.規定
表1を参照。
【0046】
表1 キノリン化合物徐放錠(規格:5 mg)の異なる比率及び種類の徐放材料での放出の比較
【表1】
【0047】
2.調製ステップ
(1)PVPK30 10.00gを秤り取り、精製水90.00gを加え、PVPK30を精製水に入れ、攪拌して溶解させ、10%PVPK30水溶液を作り、準備する
(2)100錠の量の調製にしたがって、規定量のAPIとラクトース一水和物を秤り取り、等量添加法にしたがって80メッシュのふるいに通して均一に混合する
(3)規定量の徐放材料を秤り取り、上記粉末とふるい(60メッシュ)に通して混合する
(4)適量の粘着剤を加えて柔らかい材料を作り、20メッシュのふるい網で造粒し、60℃で1時間乾燥させ、20メッシュのふるいで整粒する
(5)顆粒重量の1%の比率にしたがってステアリン酸マグネシウムを加え、均一に混合する
(6)回転式圧縮機、10mmの浅い凹型円形パンチを用いて圧縮を行う
【0048】
3.放出度の検査
媒体:pH6.8リン酸塩緩衝液バスケット法:100rpm
各規定サンプルについて、3錠のサンプルの放出度を測定し、平均値を計算した。サンプルは、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間の時点で採取し、HPLCに送って放出曲線の検査を行った。
【0049】
4.結果
表2及び図13を参照。
【0050】
表2 キノリン化合物徐放錠(規格:5 mg)の徐放材料の種類と比率の異なるスクリーニングサンプルの放出曲線
【表2】
【0051】
この結果からわかるように、徐放材料HPC HXFを用いて得られた錠剤は、pH6.8の媒体中では徐放効果がなく、1時間で放出度は90%以上であった。30%及び40%の比率の徐放材料HPMC K4Mを用いて得られた錠剤は、pH6.8の媒体中でゆっくりと放出し、24時間で放出度は90%未満であった。30%及び40%の比率の徐放材料HPMC K750を用いて得られた錠剤は、放出速度が中程度で、16~20時間で放出度は95%以上であった。
【0052】
試験例2.キノリン化合物徐放錠中の徐放材料の用量
1.規定
表3を参照。
【0053】
表3 キノリン化合物徐放錠(規格:5 mg)の徐放材料の異なる用量の比較
【表3】
【0054】
2.調製ステップ
(1)規定量のAPIとラクトースを秤り取り、等量添加法にしたがって60メッシュのふるいで均一に混合する
(2)規定量の徐放材料を秤り取り、上記粉末とふるいに通して3回混合する
(3)75%エタノール溶液を加えて柔らかい材料を作り、20メッシュのふるい網で造粒し、50℃で1時間乾燥させ、20メッシュのふるいで整粒する
(4)顆粒重量の1%の比率にしたがってステアリン酸マグネシウムを加え、均一に混合する
(5)回転式圧縮機、10mmの浅い凹型パンチを用いて圧縮を行う
(6)規定の比率にしたがってコーティング液を構成し、固形分5%のコーティング液を調合する
(7)BY300A小型コーティング機を用いてコーティングを行い、一定量の素錠を秤り取ってコーティングパンに入れ、3%の重量増加にしたがってコーティングを行い、サンプルを得る
【0055】
3.放出曲線の検討
放出度の測定方法:
媒体:pH6.8リン酸塩緩衝液回転バスケット法:100rpm
素錠及びコーティング錠のサンプルは、それぞれ3錠のサンプルの放出度を測定し、平均値を計算した。サンプルは、1時間、2時間、4時間、16時間、20時間、24時間の時点で採取し、HPLCに送って放出曲線の検査を行った。
【0056】
4.結果
表4及び図14を参照。
【0057】
表4 キノリン化合物徐放錠(規格:5 mg)の徐放材料の用量を最適化したコーティング錠と素錠の放出データ
【表4】
【0058】
表4と図14のデータからわかるように、徐放材料を減らした後、コーティング錠と素錠の放出はともに16時間で95%以上に達し、完全な放出に近い。コーティング錠は、初期では素錠に比べて放出が10%ほど少ないが、16時間後には放出にほとんど差はない。
【0059】
試験例3.動物試験
17050401バッチの規定にしたがって1000錠拡大し、18071003バッチのサンプルを生産して、ビーグル犬のPK試験を行った。試験の設計は、以下の通りである。
【0060】
試験は2段階に分け、ビーグル犬は雄雌半々の6匹とした。第1段階では、実験動物に5mg/kgの有効成分懸濁液を単回経口投与し、溶媒は0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム水溶液(0.5%CMC-Na)とした。7日間の休薬期間の後、第2段階では、同じ実験動物にそれぞれ5mgの規格のキノリン化合物徐放錠10錠を単回経口投与した。すべての動物は、投与前に一晩絶食させ、投与の約4時間後に給餌を再開し、投与の15分前に胃管を用いてKCl-HCl緩衝液75mLを投与した。投与前及び投与の0.0833時間後、0.25時間後、0.5時間後、1時間後、2時間後、4時間後、8時間後、12時間後、24時間後、48時間後に、血漿サンプルを採取した。検証済みのLC-MS/MS法を用いて、血漿サンプル中のキノリン化合物の濃度を測定した。その中で、5mg/kgの懸濁液と5mgの錠剤を投与したビーグル犬の体内試験結果を、表5及び図15に示した。
【0061】
表5 キノリン化合物懸濁液又は徐放錠投与後の雄雌ビーグル犬の平均薬物動態パラメーター(n=6)
【表5】
【0062】
試験結果は、同様のAUCを確保しながら、徐放錠のCmaxが顕著に25%近く下がったことを示している。過度に高い血中薬物濃度が引き起こす副作用の発生率を効果的に抑えることができる。
【0063】
生産拡大では、徐放材料としてHPMC K750を用いると、錠剤の規定中の用量が比較的大きく占め、素錠は、コーティングの過程で錠剤表面の耐摩耗性が不十分で、収率が低く、工程コンプライアンスが低いことがわかり、HPMC K750の代わりにHPMC K4MとK100LVの混合物を用いると、素錠の製造時の工程問題が克服され、HPMC K750を徐放材料とした徐放錠と同様の徐放効果及び薬物動態パラメーターが得られることがわかったため、そこからは、HPMC K4MとK100LVを徐放材料とした錠剤の規定を採用して、安定性の検討を行った。
【0064】
試験例4.本発明のキノリン化合物徐放錠の安定性の検討
1.規定
表6を参照。
【0065】
表6 キノリン化合物徐放錠(規格:5 mg)の規定
【表6】
【0066】
2.調製ステップ
(1)規定量のラクトースを秤り取り、60メッシュのふるいに通す
(2)規定量の1/3のラクトースを秤り取り、湿式造粒機に入れ、5分間攪拌し、次いで、規定量の1/3のラクトースと1/2のAPIを加え、5分間攪拌運転し、最後に、残りの量のラクトースとキノリン化合物を加え、機械をオンにして5分間攪拌し、規定量のHPMC K4M、HPMC K100LV、微結晶セルロースPH101を秤り取り、機械をオンにして10分間攪拌する
(3)適量の水を加えて柔らかい材料を作り、20メッシュのふるい網で造粒し、60℃で乾燥させて水分4%未満にし、20メッシュのふるいで整粒する
(4)顆粒重量の0.5%の比率にしたがってステアリン酸マグネシウムを加え、均一に混合する
(5)回転式圧縮機、10mmの浅い凹型パンチを用いて圧縮を行う
(6)規定の比率にしたがってコーティング液を構成し、固形分12%のコーティング液を調合する
(7)BY300A小型コーティング機を用いてコーティングを行い、一定量の素錠を秤り取ってコーティングパンに入れ、3%の重量増加にしたがってコーティングを行い、サンプルを得る
【0067】
3.安定性の検討の結果
表7を参照。
【0068】
表7 5mg製剤の規定を最適化したサンプル(19082901)の安定性の検討
加速条件:40°C±2°C/75%RH±5%RH
長期条件:25°C±2°C/60%RH±10%RH
【表7】
【0069】
この結果から、HPMC K4MとK100LVを徐放材料とした錠剤は、HPMC K750を徐放材料とした錠剤と徐放効果が一致しており、加速試験と長期試験で、本発明の徐放錠の関係物質に増加傾向はなく、放出曲線も安定していて変化がなく、製品の品質が安定していることがわかる。
図1
図2
図3
図4
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図15
【国際調査報告】