(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】内視鏡用ワイヤ引きホイール、内視鏡用ハンドル及び内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/008 20060101AFI20240822BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61B1/008 512
A61B1/00 711
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516534
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 CN2022136236
(87)【国際公開番号】W WO2023103909
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】202123060327.2
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524003448
【氏名又は名称】広州瑞派医療器械有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU RED PINE MEDICAL INSTRUMENT CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】12/F,No.87 Luoxuan Avenue,Guangzhou International Bio-island,Huangpu District,Guangzhou,Guangdong 510000,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ フェン
(72)【発明者】
【氏名】リ ジン
(72)【発明者】
【氏名】タン シャオフェン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161DD03
4C161FF12
4C161HH33
4C161HH34
(57)【要約】
内視鏡用ワイヤ引きホイール(100)、内視鏡用ハンドル及び内視鏡であって、ワイヤを巻いている過程において、それぞれ牽引ワイヤの両端を巻線部(120)の対向する両側に分布させ、次に、牽引ワイヤの両端をそれぞれ反対する方向に対応させて2つの巻線溝(121)に巻き付ける。2つの巻線溝(121)には、キャビティ(123)に連通するリード線孔(122)が設けられているため、牽引ワイヤを巻き付けておいてから、そのワイヤの端部は、1つのリード線孔(122)を通ってキャビティ(123)に引き込まれて、さらにキャビティ(123)を介してもう1つのリード線孔(122)から引き出され、このように繰り返すことで、牽引ワイヤの端部は、巻線部(120)に安定的に固定される。従来の接着又は溶接方式に比べて、本設計は、巻線部(120)における構造を改善することにより、固定部品を別途増設したり、外部装置を利用したりする必要がなく、牽引ワイヤの信頼可能な固定を実現でき、ワイヤの固定効率の向上に有利であり、同時にワイヤの固定操作の便利性の向上に有利であり、組立効率を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡用ワイヤ引きホイールであって、
取付部と巻線部とを含み、
前記取付部は、ケーシング内に回転可能に装着されるために用いられ、
前記巻線部は、前記取付部に設けられ、前記巻線部の外壁には、2つの巻線溝が設けられ、2つの前記巻線溝は、前記巻線部の軸方向に沿って間隔をあけて配列され、各前記巻線溝は、前記巻線部の周方向に沿って延在して設けられ、2つの前記巻線溝の溝壁には、いずれもリード線孔が設けられ、前記巻線部内には、キャビティが設けられ、各前記リード線孔は、それぞれ、前記キャビティに連通する、ことを特徴とする内視鏡用ワイヤ引きホイール。
【請求項2】
各前記巻線溝の溝壁には、前記巻線部の周方向に沿って間隔をあけて配列される少なくとも2つの前記リード線孔が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用ワイヤ引きホイール。
【請求項3】
前記キャビティの内壁には、少なくとも2つの凹溝が設けられ、少なくとも2つの前記凹溝は、前記巻線部の周方向に沿って間隔をあけて配列され、各前記凹溝は、前記巻線部の軸方向に沿って延在して設けられ、且つそれぞれ2つの前記巻線溝に連通して各前記リード線孔を形成する、ことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用ワイヤ引きホイール。
【請求項4】
隣接する2つの前記凹溝の間には、巻線ブロックが形成され、前記巻線ブロックは、牽引ワイヤが巻設されるために用いられる、ことを特徴とする請求項3に記載の内視鏡用ワイヤ引きホイール。
【請求項5】
前記取付部又は前記巻線部には、ストッパ突起が設けられ、前記ストッパ突起は、ケーシング内におけるストッパ構造と嵌合して前記取付部の回転範囲を制限するために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用ワイヤ引きホイール。
【請求項6】
前記取付部又は前記巻線部には、位置決め孔が設けられ、前記位置決め孔は、ケーシング内における位置決め構造と嵌合して前記取付部の回転を阻止するために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用ワイヤ引きホイール。
【請求項7】
前記取付部には、第1スナップフィット箇所が設けられ、前記第1スナップフィット箇所は、角度制御ノブにおける第2スナップフィット箇所に係着嵌合するために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用ワイヤ引きホイール。
【請求項8】
前記巻線部には、3つの凸リングが設けられ、3つの前記凸リングは、前記巻線部の軸方向に沿って間隔をあけて配列され、且つ隣接する2つの前記凸リングの間に、前記巻線溝が形成されている、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の内視鏡用ワイヤ引きホイール。
【請求項9】
内視鏡用ハンドルであって、
ケーシング、牽引ワイヤ及び請求項1~8のいずれか1項に記載の内視鏡用ワイヤ引きホイールを含み、前記巻線部は、前記取付部を介して前記ケーシング内に回転可能に装着され、前記牽引ワイヤの両端は、それぞれ対応して2つの前記巻線溝内に巻設され、且つ前記牽引ワイヤの両端は、いずれも少なくとも2つの前記リード線孔に穿設されている、ことを特徴とする内視鏡用ハンドル。
【請求項10】
請求項9に記載の内視鏡用ハンドルを含む、ことを特徴とする内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の技術分野に関し、特に内視鏡用ワイヤ引きホイール、内視鏡用ハンドル及び内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
病理変化した部位を明確かつ直感的に把握して、病理変化に対する診断の正確性を向上させせるために、内視鏡は、手術の過程において極めて重要な作用を発揮する。従来の内視鏡は、ハンドル、挿入管、湾曲部、先端部及び本体などを含む。ハンドルの内部には、ノブ装置が設けられることで、湾曲部が異なる方向へ湾曲するように制御し、その湾曲角度を規定する。ノブ装置は、牽引ワイヤ、ワイヤ引きホイール及び角度制御ノブなどを含む。牽引ワイヤは、通常、接着剤でワイヤ引きホイールに接着され、又はワイヤ引きホイールに溶接され、それによって、牽引ワイヤが脱落しやすく、不良率が高く、且つその固定方式が困難であり、組立効率が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに基づき、牽引ワイヤを効果的かつ安定に固定してワイヤの固定の成功率を向上させるとともに、ワイヤの固定操作を便利にして組立効率を向上させることができる内視鏡用ワイヤ引きホイール、内視鏡用ハンドル及び内視鏡を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記内視鏡用ワイヤ引きホイールは、取付部と巻線部とを含み、前記取付部は、ケーシング内に回転可能に装着されるために用いられ、前記巻線部は、前記取付部に設けられ、前記巻線部の外壁には、2つの巻線溝が設けられ、2つの前記巻線溝は、前記巻線部の軸方向に沿って間隔をあけて配列され、各前記巻線溝は、前記巻線部の周方向に沿って延在して設けられ、2つの前記巻線溝の溝壁には、いずれもリード線孔が設けられ、前記巻線部内には、キャビティが設けられ、各前記リード線孔は、それぞれ、前記キャビティに連通する。
【0005】
上述した内視鏡用ワイヤ引きホイールは、ワイヤを巻いている過程において、牽引ワイヤの両端を巻線部の対向する両側に分布させ、次に、牽引ワイヤの両端をそれぞれ反対する方向に対応させて2つの巻線溝に巻き付ける。このように、巻線部が一方向に沿って回転するとき、牽引ワイヤは、一端がリリース状態にあり、他端が巻き取り状態にあり、それにより、湾曲部が異なる方向へ湾曲する制御を実現する。2つの巻線溝には、キャビティに連通するリード線孔が設けられているため、牽引ワイヤを巻き付けておいてから、そのワイヤの端部は、1つのリード線孔を通ってキャビティに引き込まれて、さらにキャビティを介してもう1つのリード線孔から引き出されることが可能であり、このように繰り返すことで、牽引ワイヤの端部を安定的に巻線部に固定することができる。従来の接着又は溶接方式に比べて、本設計は、巻線部における構造を改善することにより、固定部品を別途増設したり、外部装置を利用したりする必要がなく、牽引ワイヤの信頼可能な固定を実現でき、ワイヤの固定効率の向上に有利であり、同時にワイヤの固定操作の便利性の向上に有利であり、組立効率を向上させる。
【0006】
一実施例では、各前記巻線溝の溝壁には、前記巻線部の周方向に沿って間隔をあけて配列される少なくとも2つの前記リード線孔が設けられている。
【0007】
一実施例では、前記キャビティの内壁には、少なくとも2つの凹溝が設けられ、少なくとも2つの前記凹溝は、前記巻線部の周方向に沿って間隔をあけて配列され、各前記凹溝は、前記巻線部の軸方向に沿って延在して設けられ、且つそれぞれ2つの前記巻線溝に連通して各前記リード線孔を形成する。
【0008】
一実施例では、隣接する2つの前記凹溝の間には、巻線ブロックが形成され、前記巻線ブロックは、牽引ワイヤが巻設されるために用いられる。
【0009】
一実施例では、前記取付部又は前記巻線部には、ストッパ突起が設けられ、前記ストッパ突起は、ケーシング内におけるストッパ構造と嵌合して前記取付部の回転範囲を制限するために用いられる。
【0010】
一実施例では、前記取付部又は前記巻線部には、位置決め孔が設けられ、前記位置決め孔は、ケーシング内における位置決め構造と嵌合して前記取付部の回転を阻止するために用いられる。
【0011】
一実施例では、前記取付部には、第1スナップフィット箇所が設けられ、前記第1スナップフィット箇所は、角度制御ノブにおける第2スナップフィット箇所に係着嵌合するために用いられる。
【0012】
一実施例では、前記巻線部には、3つの凸リングが設けられ、3つの前記凸リングは、前記巻線部の軸方向に沿って間隔をあけて配列され、且つ隣接する2つの前記凸リングの間に、前記巻線溝が形成されている。
【0013】
前記内視鏡用ハンドルは、ケーシング、牽引ワイヤ及び上記の内視鏡用ワイヤ引きホイールを含み、前記巻線部は、前記取付部を介して前記ケーシング内に回転可能に装着され、前記牽引ワイヤの両端は、それぞれ対応して2つの前記巻線溝内に巻設され、且つ前記牽引ワイヤの両端は、いずれも少なくとも2つの前記リード線孔に穿設されている。
【0014】
上述した内視鏡用ハンドルは、上記の内視鏡用ワイヤ引きホイールを採用し、ワイヤを巻いている過程において、牽引ワイヤの両端を巻線部の対向する両側に分布させ、次に、牽引ワイヤの両端をそれぞれ反対する方向に対応させて2つの巻線溝に巻き付ける。このように、巻線部が一方向に沿って回転するとき、牽引ワイヤは、一端がリリース状態にあり、他端が巻き取り状態にあり、それにより、湾曲部が異なる方向へ湾曲する制御を実現する。2つの巻線溝には、キャビティに連通するリード線孔が設けられているため、牽引ワイヤを巻き付けておいてから、そのワイヤの端部は、1つのリード線孔を通ってキャビティに引き込まれて、さらにキャビティを介してもう1つのリード線孔から引き出されることが可能であり、このように繰り返すことで、牽引ワイヤの端部を安定的に巻線部に固定することができる。従来の接着又は溶接方式に比べて、本設計は、巻線部における構造を改善することにより、固定部品を別途増設したり、外部装置を利用したりする必要がなく、牽引ワイヤの信頼可能な固定を実現でき、ワイヤの固定効率の向上に有利であり、同時にワイヤの固定操作の便利性の向上に有利であり、組立効率を向上させる。
【0015】
前記内視鏡は、上記の内視鏡用ハンドルを含む。
【0016】
上述した内視鏡は、上記の内視鏡用ハンドルを採用し、ワイヤを巻いている過程において、牽引ワイヤの両端を巻線部の対向する両側に分布させ、次に、牽引ワイヤの両端をそれぞれ反対する方向に対応させて2つの巻線溝に巻き付ける。このように、巻線部が一方向に沿って回転するとき、牽引ワイヤは、一端がリリース状態にあり、他端が巻き取り状態にあり、それにより、湾曲部が異なる方向へ湾曲する制御を実現する。2つの巻線溝には、キャビティに連通するリード線孔が設けられているため、牽引ワイヤを巻き付けておいてから、そのワイヤの端部は、1つのリード線孔を通ってキャビティに引き込まれて、さらにキャビティを介してもう1つのリード線孔から引き出されることが可能であり、このように繰り返すことで、牽引ワイヤの端部を安定的に巻線部に固定することができる。従来の接着又は溶接方式に比べて、本設計は、巻線部における構造を改善することにより、固定部品を別途増設したり、外部装置を利用したりする必要がなく、牽引ワイヤの信頼可能な固定を実現でき、ワイヤの固定効率の向上に有利であり、同時にワイヤの固定操作の便利性の向上に有利であり、組立効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本願の一部を構成する図面は本発明に対する更なる理解を提供するために用いられ、本発明の概略的な実施例及びその説明は本発明を解釈するために用いられ、本発明に対する不当な限定を構成しない。
本発明の実施例中の技術方案をより明確に説明するために、以下に実施例の説明中に使用する必要がある図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明中の図面は本発明の一部の実施例だけである、当業者にとって、創造的な労働をしない前提で、これらの図面によって他の図面を得ることができる。
【
図1】一実施例に係る内視鏡用ワイヤ引きホイールの一視角での構成図である。
【
図2】一実施例に係る内視鏡用ワイヤ引きホイールの他の視角での構成図である。
【
図3】他の一実施例に係る内視鏡用ワイヤ引きホイールの一視角での構成図である。
【
図4】他の一実施例に係る内視鏡用ワイヤ引きホイールの他の視角での構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより明確に理解するために、以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態について詳しく説明する。以下の説明において、本発明を十分に理解するために、多くの具体的な細部を説明する。しかしながら、本発明は、ここで説明される実施形態とは異なる多くの他の形態で実施することができ、当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく類似な改善を行うことができる。したがって、本発明は以下に開示される具体的な実施例に限定されるものではない。
【0019】
一実施例では、
図1と
図3を参照すると、内視鏡用ワイヤ引きホイール100は、取付部110と巻線部120を含む。取付部110は、ケーシング内に回転可能に装着されるために用いられる。巻線部120は、取付部110に設けられ、巻線部120の外壁には、2つの巻線溝121が設けられている。2つの巻線溝121は、巻線部120の軸方向に沿って間隔をあけて配列され、各巻線溝121は、巻線部120の周方向に沿って延在して設けられ、2つの巻線溝121の溝壁には、いずれもリード線孔122が設けられ、巻線部120内には、キャビティ123が設けられている。各リード線孔122は、それぞれ、キャビティ123に連通する。
【0020】
上述した内視鏡用ワイヤ引きホイール100は、ワイヤを巻いている過程において、牽引ワイヤの両端を巻線部120の対向する両側に分布させ、次に、牽引ワイヤの両端をそれぞれ反対する方向に対応させて2つの巻線溝121に巻き付ける。このように、巻線部120が一方向に沿って回転するとき、牽引ワイヤの一端がリリース状態にあり、他端が巻き取り状態にあり、それにより、湾曲部が異なる方向へ湾曲する制御を実現する。2つの巻線溝121には、キャビティ123に連通するリード線孔122が設けられているため、牽引ワイヤを巻き付けておいてから、そのワイヤの端部は、1つのリード線孔122を通ってキャビティ123に引き込まれて、さらにキャビティ123を介してもう1つのリード線孔122から引き出されることが可能であり、このように繰り返すことで、牽引ワイヤの端部を安定的に巻線部120に固定することができる。従来の接着又は溶接方式に比べて、本設計は、巻線部120における構造を改善することにより、固定部品を別途増設したり、外部装置を利用したりする必要がなく、牽引ワイヤの信頼可能な固定を実現でき、ワイヤの固定効率の向上に有利であり、同時にワイヤの固定操作の便利性の向上に有利であり、組立効率を向上させる。
【0021】
なお、各巻線溝121におけるリード線孔122の数は、1つ、2つ、3つ又はそれよりも多い数であってもよい。各巻線溝121におけるリード線孔122が2つ以上である場合、牽引ワイヤの端部がリード線孔122の間に貫通する形態は、複数種あり、これに対して、本実施例は、具体的に限定せず、牽引ワイヤがリード線孔122の間に貫通して安定的に固定することを実現できればよい。
【0022】
選択的に、巻線部120と取付部110との間の接続形態は、ボルト接続、ネジ山スリーブ接続、係着、リベット接続、溶接、接着、一体成型方式などであってもよいが、これらに限定されない。また、一体成型方式は、射出成型、3Dプリントなどの方式である。
【0023】
さらに、
図1と
図3を参照すると、各巻線溝121の溝壁には、巻線部120の周方向に沿って間隔をあけて配列される少なくとも2つのリード線孔122が設けられている。本実施例では、リード線孔122の数を増やすことにより、牽引ワイヤの貫通方式を多くし、このように、牽引ワイヤと巻線部120との間の結合力を高めることに有利であるだけでなく、操作者に多種の貫通方式の選択肢を提供して、ワイヤの固定操作をより便利にする。例えば、牽引ワイヤの端部は、同一の巻線溝121におけるリード線孔122の間に貫通してもよく、隣接する2つの巻線溝121におけるリード線孔122の間で往復して貫通してもよい。
【0024】
さらに、
図2と
図4を参照すると、キャビティ123の内壁には、少なくとも2つの凹溝124が設けられている。少なくとも2つの凹溝124は、巻線部120の周方向に沿って間隔をあけて配列され、各凹溝124は、巻線部120の軸方向に沿って延在して設けられ、且つそれぞれ、2つの巻線溝121に連通して各リード線孔122を形成する。これにより、2つの巻線溝121におけるリード線孔122の間に巻き付けられた牽引ワイヤは、いずれも凹溝124内に位置し、キャビティ123に入ることがなく、内視鏡用ワイヤ引きホイール100の取付への影響を避ける。
【0025】
一実施例では、
図2と
図4を参照すると、隣接する2つの凹溝124の間に巻線ブロック1241が形成され、巻線ブロック1241は、牽引ワイヤが巻設されるために用いられ、牽引ワイヤに巻線支持を提供し、ワイヤの固定をさらに強固にする。
【0026】
一実施例では、
図2と
図4を参照すると、取付部110又は巻線部120には、ストッパ突起1251が設けられている。ストッパ突起1251は、ケーシング内におけるストッパ構造と嵌合して、取付部110の回転範囲を制限するために用いられる。これにより、内視鏡用ワイヤ引きホイール100が回転している時、ストッパ突起1251は、ケーシング内におけるストッパ構造と嵌合して、内視鏡用ワイヤ引きホイール100が引き続き回転できなくなり、このように、内視鏡用ワイヤ引きホイール100の回転範囲を効果的に制限し、過度に回転することによって牽引ワイヤが破断することを避けて、内視鏡の使用安全性を確保することができる。
【0027】
一実施例では、
図2と
図4を参照すると、取付部110又は巻線部120には、位置決め孔1252が設けられている。位置決め孔1252は、ケーシング内における位置決め構造と嵌合して、取付部110の回転を阻止するために用いられる。内視鏡用ワイヤ引きホイール100が自由に回転可能な状態にあるため、取付部110は、ワイヤが巻いている過程において左右に回転して、ワイヤを巻き付ける操作の難度を増加させる。そのため、本実施例では、位置決め孔1252を設け、ワイヤを巻いている過程において、位置決め孔1252をケーシング内における位置決め構造に嵌合させ、さらに締結部材を位置決め孔1252及び位置決め構造に挿入して、取付部110の回転を制限して一時の固定を実現する。ワイヤの巻き取りが完了すると、締結部材を位置決め孔1252から除去すればよい。ここで、締結部材は、ピン軸などであってもよいが、これに限定されない。
【0028】
なお、位置決め孔1252は、半円形、四角形、半楕円形などの孔状構造とされてもよい。
【0029】
一実施例では、
図2と
図3を参照すると、取付部110には、第1スナップフィット箇所111が設けられている。第1スナップフィット箇所111は、角度制御ノブにおける第2スナップフィット箇所に係着嵌合するために用いられる。このように、第1スナップフィット箇所111が第2スナップフィット箇所に嵌合することにより、取付部110と角度制御ノブを安定的に接続させる。
【0030】
選択的に、第1スナップフィット箇所111は、係止溝であり、第2スナップフィット箇所は、スナップフィット突起であり、或いは、第1スナップフィット箇所111は、スナップフィット突起であり、第2スナップフィット箇所は、係止溝である。
【0031】
一実施例では、
図1と
図3を参照すると、巻線部120には、3つの凸リング125が設けられている。3つの凸リング125は、巻線部120の軸方向に沿って間隔をあけて配列され、且つ隣接する2つの凸リング125の間に、巻線溝121が形成され、このように、巻線溝121は、凸リング125によって効果的に隔離されて、ワイヤ間の干渉を効果的に防止できる。
【0032】
一実施例では、
図1を参照すると、内視鏡用ハンドルは、ケーシング、牽引ワイヤ及び上記の実施例における内視鏡用ワイヤ引きホイール100を含む。巻線部120は、取付部110を介してケーシング内に回転可能に装着されている。牽引ワイヤの両端は、それぞれ対応して2つの巻線溝121内に巻設され、且つ牽引ワイヤの両端は、いずれも少なくとも2つのリード線孔122に穿設されている。
【0033】
上述した内視鏡用ハンドルでは、上記の内視鏡用ワイヤ引きホイール100が採用され、ワイヤを巻いている過程において、牽引ワイヤの両端を巻線部120の対向する両側に分布させ、次に、牽引ワイヤの両端をそれぞれ反対する方向に対応させて2つの巻線溝121に巻き付ける。このように、巻線部120が一方向に沿って回転するとき、牽引ワイヤの一端がリリース状態にあり、他端が巻き取り状態にあり、それにより、湾曲部が異なる方向へ湾曲する制御を実現する。2つの巻線溝121には、キャビティ123に連通するリード線孔122が設けられているため、牽引ワイヤを巻き付けておいてから、そのワイヤの端部は、1つのリード線孔122を通ってキャビティ123に引き込まれて、さらにキャビティ123を介してもう1つのリード線孔122から引き出されることが可能であり、このように繰り返すことで、牽引ワイヤの端部を安定的に巻線部120に固定することができる。従来の接着又は溶接方式に比べて、本設計は、巻線部120における構造を改善することにより、固定部品を別途増設したり、外部装置を利用したりする必要がなく、牽引ワイヤの信頼可能な固定を実現でき、ワイヤの固定効率の向上に有利であり、同時にワイヤの固定操作の便利性の向上に有利であり、組立効率を向上させる。
【0034】
一実施例では、
図1を参照すると、内視鏡は上記の実施例における内視鏡用ハンドルを含む。
【0035】
上述した内視鏡は、上記の内視鏡用ハンドルを採用し、ワイヤを巻いている過程において、牽引ワイヤの両端を巻線部120の対向する両側に分布させ、次に、牽引ワイヤの両端をそれぞれ反対する方向に対応させて2つの巻線溝121に巻き付ける。このように、巻線部120が一方向に沿って回転するとき、牽引ワイヤの一端がリリース状態にあり、他端が巻き取り状態にあり、それにより、湾曲部が異なる方向へ湾曲する制御を実現する。2つの巻線溝121には、キャビティ123に連通するリード線孔122が設けられているため、牽引ワイヤを巻き付けておいてから、そのワイヤの端部は、1つのリード線孔122を通ってキャビティ123に引き込まれて、さらにキャビティ123からもう1つのリード線孔122から引き出されることが可能であり、このように繰り返すことで、牽引ワイヤの端部を安定的に巻線部120に固定することができる。従来の接着又は溶接方式に比べて、本設計は、巻線部120における構造を改善することにより、固定部品を別途増設したり、外部装置を利用したりする必要がなく、牽引ワイヤの信頼可能な固定を実現でき、ワイヤの固定効率の向上に有利であり、同時にワイヤの固定操作の便利性の向上に有利であり、組立効率を向上させる。
【0036】
以上説明した実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせについては説明していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書に記載される範囲内であると考えられるべきである。
【0037】
上記の実施例は、本願のいくつかの実施形態を示しているに過ぎず、その叙述は具体的かつ詳細であるが、本願の発明の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。当業者であれば、本願の思想から逸脱することなく、本願の範囲に含まれるいくつかの変形および改善を行うことができることに留意されたい。したがって、本願の特許の範囲は、添付の特許請求の範囲に従うものとする。
【0038】
本発明の説明において、理解すべきものとして、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などが指示する方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本発明を説明しやすく且つ説明を簡略化するためのものだけであり、言及される装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作しなければならないことを意味又は示唆するものではなく、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0039】
なお、用語「第1」、「第2」は説明の目的だけであり、相対的な重要性を意味又は示唆し、又は説明された技術的特徴の数を示唆すると理解されるものではない。従って、「第1」、「第2」で限定された特徴は、少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。本発明の説明において、特に明示的かつ具体的に制限されない限り、「複数」の意味は少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどである。
【0040】
本発明において、特に明確に規定及び限定されない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などの用語は、広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、着脱可能な接続であってもよいし、一体になってもよい。また、機械的に接続されていてもよいし、電気的に接続されていてもよい。また、直接的に接続されていてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されていてもよく、2つの素子内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。本発明における上記用語の具体的な意味は、特定の状況に応じて当業者には理解されるであろう。
【0041】
本発明において、特に明確に規定及び限定されない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1及び第2の特徴が直接に接触してもよいし、第1及び第2の特徴が中間媒体を介して間接的に接触してもよい。また、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上にあるか、あるいは、第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも大きいことを示すだけであってもよい。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の直下又は斜め下にあるか、あるいは第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも小さいことを示すだけであってもよい。
【0042】
なお、一方の素子が他方の素子に「固定される」、「設けられる」と呼ばれる場合、他方の素子に直接存在してもよく、又は介在する要素が存在してもよい。一方の素子が他方の素子に「接続される」と考えられる場合、他方の素子に直接接続されてもよく、又は介在する要素が存在してもよい。本明細書で使用される用語「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、「右」及び類似の表現は説明の目的だけであり、唯一の実施形態を示すものではない。
【符号の説明】
【0043】
100 ワイヤ引きホイール、110 取付部、111 第1スナップフィット箇所、112 当接突起、120 巻線部、121 巻線溝、122 リード線孔、123 キャビティ、124 凹溝、1241 巻線ブロック、125 凸リング、1251 ストッパ突起、1252 位置決め孔。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡用ワイヤ引きホイールであって、
取付部と巻線部とを含み、
前記取付部は、ケーシング内に回転可能に装着されるために用いられ、
前記巻線部は、前記取付部に設けられ、前記巻線部の外壁には、2つの巻線溝が設けられ、2つの前記巻線溝は、前記巻線部の軸方向に沿って間隔をあけて配列され、各前記巻線溝は、前記巻線部の周方向に沿って延在して設けられ、2つの前記巻線溝の溝壁には、いずれもリード線孔が設けられ、前記巻線部内には、キャビティが設けられ、各前記リード線孔は、それぞれ、前記キャビティに連通する、ことを特徴とする内視鏡用ワイヤ引きホイール。
【請求項2】
各前記巻線溝の溝壁には、前記巻線部の周方向に沿って間隔をあけて配列される少なくとも2つの前記リード線孔が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用ワイヤ引きホイール。
【請求項3】
前記キャビティの内壁には、少なくとも2つの凹溝が設けられ、少なくとも2つの前記凹溝は、前記巻線部の周方向に沿って間隔をあけて配列され、各前記凹溝は、前記巻線部の軸方向に沿って延在して設けられ、且つそれぞれ2つの前記巻線溝に連通して各前記リード線孔を形成する、ことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用ワイヤ引きホイール。
【請求項4】
隣接する2つの前記凹溝の間には、巻線ブロックが形成され、前記巻線ブロックは、牽引ワイヤが巻設されるために用いられる、ことを特徴とする請求項3に記載の内視鏡用ワイヤ引きホイール。
【請求項5】
前記取付部又は前記巻線部には、ストッパ突起が設けられ、前記ストッパ突起は、ケーシング内におけるストッパ構造と嵌合して前記取付部の回転範囲を制限するために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用ワイヤ引きホイール。
【請求項6】
前記取付部又は前記巻線部には、位置決め孔が設けられ、前記位置決め孔は、ケーシング内における位置決め構造と嵌合して前記取付部の回転を阻止するために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用ワイヤ引きホイール。
【請求項7】
前記取付部には、第1スナップフィット箇所が設けられ、前記第1スナップフィット箇所は、角度制御ノブにおける第2スナップフィット箇所に係着嵌合するために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用ワイヤ引きホイール。
【請求項8】
前記巻線部には、3つの凸リングが設けられ、3つの前記凸リングは、前記巻線部の軸方向に沿って間隔をあけて配列され、且つ隣接する2つの前記凸リングの間に、前記巻線溝が形成されている、ことを特徴とする請求項
1に記載の内視鏡用ワイヤ引きホイール。
【請求項9】
内視鏡用ハンドルであって、
ケーシング、牽引ワイヤ及び請求項1~8のいずれか1項に記載の内視鏡用ワイヤ引きホイールを含み、前記巻線部は、前記取付部を介して前記ケーシング内に回転可能に装着され、前記牽引ワイヤの両端は、それぞれ対応して2つの前記巻線溝内に巻設され、且つ前記牽引ワイヤの両端は、いずれも少なくとも2つの前記リード線孔に穿設されている、ことを特徴とする内視鏡用ハンドル。
【請求項10】
請求項9に記載の内視鏡用ハンドルを含む、ことを特徴とする内視鏡。
【国際調査報告】