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特表2024-531737倉庫使用部分スプリンクラーシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】倉庫使用部分スプリンクラーシステム
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/58 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
A62C35/58
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516542
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 US2022043594
(87)【国際公開番号】W WO2023043878
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/244,514
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/244,307
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503217015
【氏名又は名称】ヴィクトリック カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ジェイ メイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン デロシア
(72)【発明者】
【氏名】ケビン デズモンド モーガン
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189CA05
2E189CB01
2E189CB07
2E189CC02
2E189CC09
(57)【要約】
倉庫使用部分スプリンクラーシステムが提供され、それは、流体供給システムと、流体供給システムに流体接続された少なくとも1本の横断主配管と、少なくとも1本の横断主配管から延在し、少なくとも1本の横断主配管に流体接続された複数の分岐管と、複数の分岐管から突出し、複数の分岐管に流体接続された複数の倉庫スプリンクラーヘッドと、を含む。倉庫スプリンクラーヘッドは、少なくとも11.2のkファクタ及び175psiよりも高いスプリンクラー定格を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体供給システムと、
前記流体供給システムに流体接続された少なくとも1本の横断主配管と、
前記少なくとも1本の横断主配管から延在し、該少なくとも1本の横断主配管に流体接続された複数の分岐管と、
前記複数の分岐管から突出し、該複数の分岐管に流体接続された複数の倉庫スプリンクラーヘッドであって、少なくとも11.2のkファクタ及び175psiよりも高いスプリンクラー定格を有する倉庫スプリンクラーヘッドと、
を備える倉庫使用部分スプリンクラーシステム。
【請求項2】
前記分岐管は、約1.61インチ~約3.32インチの内径を有する、請求項1に記載の倉庫使用部分スプリンクラーシステム。
【請求項3】
前記流体供給システムは、メインポンプ及びジョッキーポンプを備える、請求項1に記載の倉庫使用部分スプリンクラーシステム。
【請求項4】
前記流体供給システムは、175psiよりも高い供給圧力を与える、請求項1に記載の倉庫使用部分スプリンクラーシステム。
【請求項5】
前記複数の倉庫スプリンクラーヘッドの各倉庫スプリンクラーヘッドは、50未満のRTIを有する、請求項4に記載の倉庫使用部分スプリンクラーシステム。
【請求項6】
前記倉庫スプリンクラーヘッドは、少なくとも200psiのスプリンクラー定格を有する、請求項1に記載の倉庫使用部分スプリンクラーシステム。
【請求項7】
前記倉庫スプリンクラーヘッドは、少なくとも250psiのスプリンクラー定格を有する、請求項1に記載の倉庫使用部分スプリンクラーシステム。
【請求項8】
前記倉庫スプリンクラーヘッドは、300psiまでのスプリンクラー定格を有する、請求項1に記載の倉庫使用部分スプリンクラーシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1本の横断主配管は近位横断主配管及び遠位横断主配管を含み、前記分岐管は前記近位横断主配管と前記遠位横断主配管の間に延在する、請求項1に記載の倉庫使用部分スプリンクラーシステム。
【請求項10】
天井専用のシステムである請求項1に記載の倉庫使用部分スプリンクラーシステム。
【請求項11】
倉庫使用部分を消火するスプリンクラーシステムであって、前記倉庫使用部分は床及び該床上35フィートを超える高さに位置する天井を備え、前記スプリンクラーシステムは、
175psiよりも高い静圧を与えることができる流体供給システムと、
前記流体供給システムに流体接続された制御弁と、
前記制御弁の下流側に位置し、それに流体接続された逆止弁と、
複数の倉庫スプリンクラーヘッドであって、各々が、
オリフィスが貫通された本体であって、前記オリフィスは700psiよりも高い静水圧強度試験圧力に耐えるように構成された封止アセンブリによって封止され、175psiよりも高い定格圧力を有する本体と、
少なくともk16.8の公称kファクタ定格と、
50未満のRTIを有する熱トリガと、
を有する倉庫スプリンクラーヘッドと、
前記逆止弁と前記複数の倉庫スプリンクラーヘッドとの間に延在し、前記逆止弁を前記複数の倉庫スプリンクラーヘッドに流体接続する配管網と、
を備えるスプリンクラーシステム。
【請求項12】
前記流体供給システムは、流体源及び少なくとも1つのポンプを備える、請求項11に記載のスプリンクラーシステム。
【請求項13】
前記流体供給システムは、メインポンプ及びジョッキーポンプを備える、請求項11に記載のスプリンクラーシステム。
【請求項14】
前記複数の倉庫スプリンクラーヘッドは、前記天井付近に位置する、請求項11に記載のスプリンクラーシステム。
【請求項15】
前記複数の倉庫スプリンクラーヘッドの各倉庫スプリンクラーヘッドは、前記天井から約4インチ~約30インチの距離に位置する流体偏向板を含む、請求項14に記載のスプリンクラーシステム。
【請求項16】
少なくとも1つの保管ラックをさらに備え、該少なくとも1つの保管ラックは、前記床上12フィートを超える保管高さに、そこに保管される少なくとも1つの商品を有する、請求項11に記載のスプリンクラーシステム。
【請求項17】
前記複数の倉庫スプリンクラーヘッドの少なくとも一部分が、前記少なくとも1つのラック内に配置された、請求項16に記載のスプリンクラーシステム。
【請求項18】
前記複数の倉庫スプリンクラーヘッドが、下向きスプリンクラー及び上向きスプリンクラーからなる群から選択される、請求項11に記載のスプリンクラーシステム。
【請求項19】
前記複数の倉庫スプリンクラーヘッドの各倉庫スプリンクラーヘッドは、ESFRスプリンクラーである、請求項11に記載のスプリンクラーシステム。
【請求項20】
流体供給システムと、該流体供給システムに流体接続された少なくとも1本の横断主配管と、該少なくとも1本の横断主配管から延在し、該少なくとも1本の横断主配管に流体接続された複数の分岐管と、該複数の分岐管から突出し、該複数の分岐管に流体接続された複数の倉庫スプリンクラーヘッドとを有する倉庫使用部分スプリンクラーシステムのための分岐管サイズを決定する方法であって、
(I)前記複数の倉庫スプリンクラーヘッドに採用するために、少なくとも11.2のkファクタ及び175psiよりも高いスプリンクラー定格を有する倉庫スプリンクラーヘッドの種類を選択するステップと、
(II)前記倉庫使用部分スプリンクラーシステムのための設計領域を決定するステップと、
(III)前記倉庫使用部分スプリンクラーシステムのための分岐管サイズを選択するステップと、
(IV)決定された前記設計領域内の選択された前記倉庫スプリンクラーヘッドに従って及び選択された前記分岐管サイズに従って、前記倉庫使用部分スプリンクラーシステムについてのシステム要求を計算するステップと、
(V)計算された前記システム要求及び追加の安全係数の合計を与えることができるメインポンプを選択するステップと、
(VI)選択された前記メインポンプのポンプ定格圧力を計算するステップと、
(VII)前記ポンプ定格圧力に基づいて、前記選択されたメインポンプの出力静圧を計算するステップと、
(VIII)前記選択されたメインポンプの前記出力静圧に基づいて供給圧力を計算するステップと、
(IX)計算された前記供給圧力が175psi未満である場合、ステップ(I)~(VIII)を繰り返すステップであって、前記選択された分岐管サイズが第1の分岐管サイズであり、ステップ(III)は前記第1の分岐管サイズよりも細い第2の分岐管サイズを選択するステップを備える、ステップ、又は
計算された前記供給圧力が、選択された前記倉庫スプリンクラーのスプリンクラー定格よりも高い場合、ステップ(I)~(VIII)を繰り返すステップであって、前記選択された分岐管サイズが第1の分岐管サイズであり、ステップ(III)は前記第1の分岐管サイズよりも太い第2の分岐管サイズを選択するステップを備える、ステップと、
(X)前記選択された倉庫スプリンクラーの前記スプリンクラー定格を超えることなく前記選択された倉庫スプリンクラーの前記スプリンクラー定格に最も近い供給圧力をもたらす分岐管サイズが選択されるまで、ステップ(IX)を繰り返すステップと、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年9月15日出願の同様の発明の名称の米国仮特許出願第63/244307号及び2021年9月15日出願の同様の発明の名称の米国仮特許出願第63/244514号の優先権を主張し、それらの各々の内容全体がここに参照により取り込まれる。
【0002】
本開示は、概略として、スプリンクラーシステムに関し、より詳細には倉庫使用部分(storage occupancy)スプリンクラーシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
倉庫使用部分スプリンクラーシステムは、一般に、給水系、例えば、使用部分の天井付近の高所まで上向きに略鉛直に延在する主昇水導管に(配管、例えば、地下配管を介して)接続された都市/自治体の給水系又はリザーバタンク及びポンプの給水系を含む。一般に、グリッド、ツリー又はループシステムにおいて、主昇水導管は、少なくとも1本の横方向に延在する横断主導管、例えば、限定することなく、下部地面に略平行に延在する近位横断主導管、遠位横断主導管及び/又はループ主導管に接続される。分岐管が横断主導管から横方向に(下部地面に略平行にも)延在し、倉庫スプリンクラーヘッドが分岐管から突出する。
【0004】
倉庫スプリンクラーヘッドは、一般に、倉庫使用部分をそこに有する使用部分を含む倉庫使用部分を保護するためのUL Solution及びFM Approvalなどの国家認定試験機関及び承認機関に挙げられて承認されているスプリンクラーヘッドと定義されている。そのようなスプリンクラーヘッドは、一般に、少なくとも11.2のkファクタを有し、一般的に、とりわけ、早期抑制高速応答(「ESFR」)スプリンクラーヘッド、制御モード特定アプリケーション(「CMSA」)スプリンクラーヘッド、制御モード密集地域(「CMDA」)スプリンクラーヘッドを含む。全米防火協会(「NFPA」)などの各種国家認定標準化団体が、倉庫スプリンクラーの使用及び設置のための規格を作成し、それらは州、地方、地域の建築基準法に組み込まれることが多く、それらは倉庫使用部分スプリンクラーシステムについて現地管轄当局(「AHJ」)によって適用される。さらに、FM Approvalなどの特定の団体は、それらの使用部分のための商業的保険を取得することを承認されるために、倉庫使用部分内の倉庫スプリンクラーの設置のための規格を公布する。これらの規格は、倉庫使用部分内では列挙された倉庫スプリンクラーの使用を要件とすることを定める。これらの規格は、倉庫スプリンクラーを、それらが設置され得るスプリンクラーとスプリンクラーの間隔によって区別し得るものであり、スプリンクラーは、一般に約10フィート以内の離隔で設置される標準カバレッジスプリンクラー及び一般に約14フィート以内の離隔で設置され得る拡張カバレッジスプリンクラーとして知られている。
【0005】
倉庫使用部分は、一般的に、約15フィート以上の天井高を有し、通常は早期抑制高速応答(「ESFR」)スプリンクラーヘッドを採用する。一方、前述したように、上記に挙げたものを含む他の形態の倉庫スプリンクラーヘッドが、管轄区域、商品、天井高及び当業者には予想される他の要因に応じて適宜使用され得る。商品の保管は、一般にスプリンクラーヘッドの下方約3フィートまで積み上げることが許可される。
【0006】
倉庫スプリンクラーヘッドの上記特性の1つは、kファクタである。kファクタは、ここで使用されるように、スプリンクラーヘッドの吐出係数を表す定数として定義され、その定数は、スプリンクラーヘッドの出口からの流体の流量(ガロン/分(GPM))をスプリンクラーヘッドオリフィスの入口に供給される流体のフローの圧力(ポンド/平方インチ(PSI))の平方根で除算して定量化される。kファクタは、GPM/√PSI及びそのメートル法同等値として表現される。例えば、表題「NFPA13:Standards for the Installation of Sprinkler Systems」(「NFPA13」)のNFPA規格(2010年版)及びその更新版であるNFPA13(2019年版)などの業界で認められた規格は、kファクタ範囲にわたる平均値として、スプリンクラーヘッドの定格若しくは公称kファクタ又は定格吐出係数を規定している。例えば、11.2を超えるkファクタについて、NFPA13は、以下の公称kファクタをGPM/√PSIで規定する(kファクタ範囲をカッコ内に示す):(i)11.2(10.7-11.7);(ii)14.0(13.5-14.5);(iii)16.8(16.0-17.6);(iv)19.6(18.6-20.6);(v)22.4(21.3-23.5);(vi)25.2(23.9-26.5);(vii)28.0(26.6-29.4);(viii)33.6(31.9-35.3);(ix)36.4(34.6-38.2)又はそれ以上。
【0007】
理解されるはずであるように、スプリンクラーが火災試験される圧力、すなわち、スプリンクラー設計圧力は、それぞれのスプリンクラーヘッドが、スプリンクラーシステムでの使用時に対抗すべき最低作動圧力を決定し、倉庫スプリンクラーシステムについての水圧要求計算の基礎を設定する。すなわち、スプリンクラーシステム内のスプリンクラーヘッドの水圧的に最も遠隔のグループのスプリンクラー設計圧力の合計、及びそれらのスプリンクラーヘッドに対するそれぞれの流量の合計が、スプリンクラーシステム要求を規定し、すなわち、スプリンクラーシステムの水圧的に最も遠隔の設計領域に適正な流量及び圧力が供給されることを保証するために必要な流量及び流圧を規定する。したがって、スプリンクラーシステム要求は、一般に、システムの水圧的に最も遠隔の領域におけるスプリンクラーヘッドの各々に必要な圧力を考慮した上で、各種圧力損失を給水系に上乗せすることによって算出される。例えば、スプリンクラーヘッドの高さ、システム内のバルブ動作、及び配管網内の摩擦からもたらされるシステム内の圧力損失が、考慮される。配管網内の摩擦が大きく、配管の直線部分については配管内径に大きく依存し、小さな内径の配管は大きな内径の配管よりも大きな摩擦損失を有する。
【0008】
これらの評価基準は、給水系が適正な流量及び圧力をシステムの最も水圧的に要求の高い領域に与えることを保証するように計算される。リザーバタンク給水システムでは、メインポンプは、少なくともスプリンクラーシステム要求を達成するように必要な供給圧力及び流量を与える必要がある。都市/自治体の給水システムでは、メインポンプは、一般に、スプリンクラーシステム要求を達成するように必要な供給圧力及び流量を与えるように都市給水圧力を補完する必要がある。
【0009】
システムの最も水圧的に要求の高い領域に対する適正な流量及び圧力を保証すると、水圧的に要求の低い位置におけるシステムの領域に、より高いシステム圧力をかけることになる。少なくとも11.2のkファクタを有する公知の倉庫スプリンクラーヘッドは、175psiのスプリンクラー定格を有する。すなわち、スプリンクラーシステム内のいずれかのスプリンクラーヘッドが通常作動条件下で対抗することができる最も高いシステム圧力は、流動していても静止していても、175psiである。スプリンクラーシステムの他の構成要素、例えば、配管網は、通常は175psiよりも高い定格とされる。したがって、スプリンクラーヘッドは、倉庫使用部分スプリンクラーシステムの最も低い圧力定格の構成要素であり、したがって、175psiのスプリンクラー定格を超えることを回避しつつも適切なスプリンクラーシステム要求が達成されることを保証するように倉庫使用部分スプリンクラーシステムの他の構成要素を選択する際に利用可能な選択肢を限定してしまう。
【0010】
例えば、水圧要求計算は、配管、例えば、分岐管の内径に最小内径制限を課すことになる。最小内径よりも小さな内径を使用すると、スプリンクラーヘッドの定格圧力を超える最大システム圧力が生じてしまう。実際には、倉庫使用部分スプリンクラーシステムの設計者は、標準化されたサイズ及びそのような配管の内径の組合せから昇水管及び分岐管での使用のための配管を選択することに制約を受ける(特注サイズは現実的ではない)。したがって、特定された最小内径の制約がそのような配管の利用可能な標準化された内径に対応しない場合、設計者は少なくとも次の最大標準サイズの配管を選択せざるを得ない。一般に、大きな内径の配管は、小さな内径の配管よりも高コストである。したがって、175psiのスプリンクラー定格の1つの欠点は、倉庫使用部分スプリンクラーシステムの設計者が、175psiのスプリンクラー最大圧力定格を欠けば全体的に費用対効果の高い倉庫使用部分スプリンクラーシステムが採用され得る一方で、多くの場合、より高価な分岐管及び昇水管の配管などの構成要素を使用しなければならないという制約を受けることである。
【0011】
したがって、より高い自由度を設計者に与えてより費用対効果の高い倉庫使用部分スプリンクラーシステムを設計するように、少なくとも11.2のkファクタ及び175psiよりも高いスプリンクラー定格を有する倉庫スプリンクラーヘッドを使用するのが有利である。
【発明の概要】
【0012】
簡潔に述べると、本開示の一態様は、流体供給システムと、流体供給システムに流体接続された少なくとも1本の横断主配管と、少なくとも1本の横断主配管から延在し、少なくとも1本の横断主配管に流体接続された複数の分岐管と、複数の分岐管から突出し、複数の分岐管に流体接続された複数の倉庫スプリンクラーヘッドと、を有する倉庫使用部分スプリンクラーシステムに向けられる。倉庫スプリンクラーヘッドは、少なくとも11.2のkファクタ及び175psiよりも高いスプリンクラー定格を有する。
【0013】
倉庫使用部分スプリンクラーシステムの一構成において、分岐管は、約1.61インチ~約3.32インチの内径を有する。
【0014】
上記構成の倉庫使用部分スプリンクラーシステムのいずれか1つにおいて、流体供給システムは、メインポンプ及びジョッキーポンプを含み得る。
【0015】
上記構成の倉庫使用部分スプリンクラーシステムのいずれか1つにおいて、流体供給システムは、175psiよりも高い供給圧力を与える。
【0016】
上記構成の倉庫使用部分スプリンクラーシステムのいずれか1つにおいて、複数の倉庫スプリンクラーヘッドの各倉庫スプリンクラーヘッドは、50未満のRTIを有する。
【0017】
上記構成の倉庫使用部分スプリンクラーシステムのいずれか1つにおいて、倉庫スプリンクラーヘッドは、少なくとも200psiのスプリンクラー定格を有し得る。
【0018】
上記構成の倉庫使用部分スプリンクラーシステムのいずれか1つにおいて、倉庫スプリンクラーヘッドは、少なくとも250psiのスプリンクラー定格を有し得る。
【0019】
上記構成の倉庫使用部分スプリンクラーシステムのいずれか1つにおいて、倉庫スプリンクラーヘッドは、300psiまでのスプリンクラー定格を有し得る。
【0020】
上記構成の倉庫使用部分スプリンクラーシステムのいずれか1つにおいて、少なくとも1本の横断主配管は近位横断主配管及び遠位横断主配管を含んでいてもよく、分岐管は近位横断主配管と遠位横断主配管の間に延在し得る。
【0021】
上記構成の倉庫使用部分スプリンクラーシステムのいずれか1つにおいて、倉庫使用部分スプリンクラーシステムは、天井専用のシステムであり得る。
【0022】
本開示の一態様は、倉庫使用部分は床及び床上35フィートを超える高さに位置する天井を含む倉庫使用部分を消火するスプリンクラーシステムに向けられる。スプリンクラーシステムは、175psiよりも高い静圧を与えることができる流体供給システムと、流体供給システムに流体接続された制御弁と、制御弁の下流側に位置し、それに流体接続された逆止弁と、複数の倉庫スプリンクラーヘッドと、を含む。倉庫スプリンクラーヘッドの各々は、オリフィスが貫通された本体であって、オリフィスは700psiよりも高い静水圧強度試験圧力に耐えるように構成された封止アセンブリによって封止され、175psiよりも高い定格圧力を有する本体と、少なくともk16.8の公称kファクタ定格と、50未満のRTIを有する熱トリガと、を有する。配管網が、逆止弁と複数の倉庫スプリンクラーヘッドとの間に延在し、逆止弁を前記複数の倉庫スプリンクラーヘッドに流体接続する。
【0023】
スプリンクラーシステムの一構成において、流体供給システムは、流体源及び少なくとも1つのポンプを含み得る。
【0024】
上記構成のスプリンクラーシステムのいずれか1つにおいて、流体供給システムは、メインポンプ及びジョッキーポンプを含み得る。
【0025】
上記構成のスプリンクラーシステムのいずれか1つにおいて、複数の倉庫スプリンクラーヘッドは、天井付近に位置し得る。その一構成において、複数の倉庫スプリンクラーヘッドの各倉庫スプリンクラーヘッドは、天井から約4インチ~約30インチの距離に位置する流体偏向板を含み得る。
【0026】
上記構成のスプリンクラーシステムのいずれか1つにおいて、少なくとも1つの保管ラックが倉庫使用部分に含まれてもよく、少なくとも1つの保管ラックは、床上12フィートを超える保管高さに、そこに保管される少なくとも1つの商品を有する。その一構成において、複数の倉庫スプリンクラーヘッドの少なくとも一部分が、少なくとも1つのラック内に配置され得る。
【0027】
上記構成のスプリンクラーシステムのいずれか1つにおいて、複数の倉庫スプリンクラーヘッドが、下向きスプリンクラー及び上向きスプリンクラーからなる群から選択され得る。
【0028】
上記構成のスプリンクラーシステムのいずれか1つにおいて、複数の倉庫スプリンクラーヘッドの各倉庫スプリンクラーヘッドは、ESFRスプリンクラーである。
【0029】
本開示の一態様は、流体供給システムと、流体供給システムに流体接続された少なくとも1本の横断主配管と、少なくとも1本の横断主配管から延在し、少なくとも1本の横断主配管に流体接続された複数の分岐管と、複数の分岐管から突出し、複数の分岐管に流体接続された複数の倉庫スプリンクラーヘッドとを有する倉庫使用部分スプリンクラーシステムのための分岐管サイズを決定する方法に向けられる。方法は、(I)複数の倉庫スプリンクラーヘッドに採用するために、少なくとも11.2のkファクタ及び175psiよりも高いスプリンクラー定格を有する倉庫スプリンクラーヘッドの種類を選択するステップと、(II)倉庫使用部分スプリンクラーシステムのための設計領域を決定するステップと、(III)倉庫使用部分スプリンクラーシステムのための分岐管サイズを選択するステップと、(IV)決定された設計領域内の選択された倉庫スプリンクラーヘッドに従って及び選択された分岐管サイズに従って、倉庫使用部分スプリンクラーシステムについてのシステム要求を計算するステップと、(V)計算されたシステム要求及び追加の安全係数の合計を与えることができるメインポンプを選択するステップと、(VI)選択されたメインポンプのポンプ定格圧力を計算するステップと、(VII)ポンプ定格圧力に基づいて、選択されたメインポンプの出力静圧を計算するステップと、(VIII)選択されたメインポンプの出力静圧に基づいて供給圧力を計算するステップと、を備える。ステップ(I)~(VIII)はいずれの特定の順序にも限定されず、任意の適宜の順序で実行され得る。ステップ(IX)において、計算された供給圧力が175psi未満である場合、方法は、ステップ(I)~(VIII)を繰り返すステップをさらに含み、選択された分岐管サイズが第1の分岐管サイズであり、ステップ(III)は第1の分岐管サイズよりも細い第2の分岐管サイズを選択するステップを含む。一方、計算された供給圧力が、選択された倉庫スプリンクラーのスプリンクラー定格よりも高い場合、方法は、ステップ(I)~(VIII)を繰り返すステップをさらに含み、選択された分岐管サイズが第1の分岐管サイズであり、ステップ(III)は第1の分岐管サイズよりも太い第2の分岐管サイズを選択するステップを含む。ステップ(X)は、選択された倉庫スプリンクラーのスプリンクラー定格を超えることなく、選択された倉庫スプリンクラーのスプリンクラー定格に最も近い供給圧力をもたらす分岐管サイズが選択されるまで、ステップ(IX)を繰り返すステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来の倉庫使用部分スプリンクラーシステムの模式図である。
図2図1の従来の倉庫使用部分スプリンクラーシステムの、切断線2-2に沿う断面模式図である。
図3】本開示の倉庫使用部分スプリンクラーシステムの模式図である。
図4図3の倉庫使用部分スプリンクラーシステムの、切断線4-4に沿う断面模式図である。
図5図3の倉庫使用部分スプリンクラーシステムを採用する倉庫使用部分の斜視図である。
図6A図3の倉庫使用部分スプリンクラーシステムにおいて採用可能な倉庫スプリンクラーヘッドの正面図であり、倉庫スプリンクラーヘッドはヒュージブルリンク型熱トリガを有する。
図6B図6Aの倉庫スプリンクラーヘッドの斜視図である。
図7図3の倉庫使用部分スプリンクラーシステムにおいて採用可能な倉庫スプリンクラーヘッドの正面図であり、倉庫スプリンクラーヘッドはガラス球型熱トリガを有する。
図8】保管ラックを有し、天井及びラック内倉庫スプリンクラーヘッドを採用する倉庫使用部分の立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示の以下の説明は、添付図面と併せて読まれると、より良く理解されることになる。ただし、本開示は図示する厳密な構成及び手段に限定されないことが理解されるべきである。
【0032】
特定の技術用語が、説明の便宜のためのみに以下の説明において使用され、それは限定ではない。文言「下/下側(lower)」、「下/下部(bottom)」、「上/上側(upper)」及び「上/上部(top)」は、参照される図面の方向を指定する。文言「内向きに」、「外向きに」、「上向きに」及び「下向きに」は、それぞれ本開示に係るスプリンクラーシステムの幾何中心に向かう方向及び遠ざかる方向並びにその指定される部分をいう。スプリンクラーシステムを説明する際に、用語「近位」はデバイスの上端に関して使用され、用語「遠位」はデバイスの下端に関して使用される。ここで特に断りがない限り、用語「a」、「an」及び「the」は1つの要素に限定されるのではなく、「少なくとも1つ」を意味するものとして読まれるべきである。技術用語は上記の文言、その派生語及び同様の意味の文言を含む。
【0033】
本開示の構成要素の寸法又は特性に言及する際にここで使用される用語「約(about)」、「約(approximately)」、「一般に/概略/略/概ね(generally)」、「実質的に/略(substantially)」及び同様の用語は、説明する寸法/特性は厳密な境界又はパラメータではなく、機能的に同様の軽微なばらつきをそこから除外するものではないことを示すことが理解できる。少なくとも、数値パラメータを含むような参照は、本技術で許容される数学的及び工業的原則(例えば、丸め、測定又は他の系統誤差、製造公差など)を用いても、最下位桁を変化させないばらつきを含むものである。
【0034】
図面を詳細に参照するにあたり、全体を通じて同様の符号は同様の要素を示すものである。図1及び2に、従来の倉庫使用部分スプリンクラーシステム1の模式図を示す。倉庫使用部分50(図5参照)は、保管商品52をそこに保管する。図5に示すように、保管商品52は、床50b上に位置して積み上げられ得る。図8に示すように、単数又は複数の保管商品52が、追加的又は代替的に、倉庫使用部分50内に配置される保管ラック54上に位置し得る。ラック54は、一段、二段又は多段のラック54で構成され得る。保管商品52がそのようなラック倉庫内に配置される場合、倉庫使用部分の天井50aに隣接して位置するものに加えて、倉庫スプリンクラーはラック54内に配置されてもよく、すなわち、ラック内倉庫スプリンクラーシステムとなり得る。
【0035】
当業者には理解できるように、保管商品52は、クラス1、クラス2、クラス3、クラス4、カートン入り非発泡プラスチック、カートン入り発泡プラスチック、未カートン入り非発泡プラスチック、未カートン入り発泡プラスチック、ゴムタイヤ、ロール紙、遊休パレット、ハイベイレコードなど、FM8~9及びNFPA13ガイドラインにおいて特定される商品分類のいずれかを含む。NFPA13ガイドラインの下では、プラスチック商品はグループA、グループB-クラスIV又はグループC-クラスIIIプラスチックの下で分類され、グループAは最も可燃性が高く又は最も危険性が高いものである。グループAプラスチックは、カートン入り(非発泡又は発泡)及び未カートン入り(非発泡又は発泡)として別個に分類可能である。NFPA30ガイドラインによると、保管商品52は、引火性及び可燃性の液体も含み得る。
【0036】
簡明化のために、スプリンクラーシステム1は、リザーバタンク及びポンプシステムを備える流体供給システムを有する。当業者には理解できるように、このようなシステムでは、リザーバタンクが流体供給系となり、メインポンプが少なくともスプリンクラーシステム要求を達成するのに必要な供給圧力及び流量を与える。追加的又は代替的に、流体供給システムは、都市/自治体の給水システムを備えていてもよく、都市/自治体のシステムは少なくとも流体供給系の少なくとも一部分を構成し、メインポンプはスプリンクラーシステム要求を達成するのに必要な都市給水圧力を補完して供給圧力及び流量の組合せを与える。流体供給システムのいずれの形態においても、ジョッキーポンプが、以下に更に詳細に説明するように、小さな圧力ばらつきを補償するのに採用され得る。
【0037】
一般に、例示の天井専用の従来の倉庫使用部分スプリンクラーシステム1は、主昇水配管4に接続されたメインポンプ3に接続された(都市給水系CWを補完し得る)リザーバタンク2を含む。主昇水配管4は、使用部分の天井50a付近の高さまで(制御弁4aを介して及び任意選択的に逆止弁4bも介して)上向きに略鉛直に延在する。非限定的なグリッドシステムでは、主昇水配管4は、その上端付近で、横方向に延在する横断主導管、例えば、下部地面に略平行に延在する近位/一次横断主配管5及び/又は遠位/二次横断主配管6に接続される。分岐管7は(これも下部地面に略平行な)横断主配管5、6から及び/又はそれらの間に横方向に延在し、従来の天井高倉庫スプリンクラーヘッド8が分岐管7から突出する。ラック内倉庫スプリンクラーシステムは、通常は、例えば、多段保管ラック54の個々のアレイ58付近の略鉛直に延在する昇水導管56に流体接続されたリザーバタンク2及び/又は都市給水系CWから延在する導管を介した流体供給系を含む。少なくとも1本の分岐管60は、昇水導管56に流体接続され、そこから略水平に延在し、多段保管ラック54の段を通じて、ラック54内に配置された倉庫スプリンクラーと流通する。理解されるはずであるように、ラック内に配置された倉庫スプリンクラーは、天井高倉庫スプリンクラーと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0038】
例示の天井専用の従来の倉庫使用部分スプリンクラーシステムでは、スプリンクラーヘッド8は、概ね天井50aの下方約4インチ~30インチ、例えば、天井50aの下方約4インチ~18インチなどの高さ距離の天井高付近に位置する。当業者には理解できるように、従来の倉庫スプリンクラーヘッド8は、少なくとも11.2のkファクタ及び175psiのスプリンクラー定格を有する。
【0039】
スプリンクラーシステム1、例えば、主昇水配管4には、ジョッキーポンプ9も接続される。当業者には理解できるように、ジョッキーポンプ9は、時間とともに減衰してしまう配管網のシステム圧力を維持してメインポンプ3を一時的にトリガするように設置される小容量ポンプである。ジョッキーポンプは、一般的には、システム内の圧力を、静的条件下でメインポンプ3の圧力以上に維持する。すなわち、ジョッキーポンプ9は、メインポンプ3に静圧及び何らかの追加の静圧を出力することができるように選択される。ただし、ジョッキーポンプ9は、1つの作動スプリンクラーでも必要とされるフローに対応することはできない。したがって、スプリンクラーヘッド8が作動される場合、依然としてメインポンプ3によって検知されてメインポンプ3を作動させる圧力降下が存在する。したがって、リザーバタンク及びポンプシステムでは、システム供給圧力は、(以下にさらに詳細に説明するような)メインポンプ3の静圧、すなわち、ポンプチャーンと、追加のジョッキーポンプ9の静圧との合計となる。都市/自治体の給水システムでは、システム供給圧力は、都市給水圧力と、メインポンプ3の静圧と、追加のジョッキーポンプ9の静圧との合計である。簡明化のため及び開示の全体を通じた一貫性のため、追加のジョッキーポンプの静圧はスプリンクラーシステムに10psiの圧力を加えるが、ジョッキーポンプは異なる量の圧力を加えることもできることが想定される。
【0040】
非限定的な一例の200フィート×200フィートの従来の倉庫使用部分スプリンクラーシステム1を用いて、現行の倉庫使用部分スプリンクラーシステムがどのように設計されるのかを概略説明する。この例では、20本の分岐管7があり、連続する分岐管7は約10フィート離隔し、倉庫スプリンクラーヘッド8は14のkファクタを有するESFRスプリンクラーヘッドである。スプリンクラー設計圧力は、約56psiであり、それにより(当業者にはよく理解されている態様で算出された)そこを通過する約105gpmのフローを与える。当業者には理解できるように、ESFRスプリンクラーヘッド8のシステム要求計算のための一般的な設計領域DAは、システム内で水圧的に最も遠隔の3本の分岐管7の各々に沿う水圧的に最も遠隔の4個のスプリンクラーヘッド8、すなわち、3×4のグリッドの12個のESFRスプリンクラーヘッド8で構成され得る。ただし、例えば、限定することなく、システム内で水圧的に最も遠隔の3本の分岐管7の各々に沿う水圧的に最も遠隔の3個のスプリンクラーヘッド8、すなわち、3×3のグリッドの9個のESFRスプリンクラーヘッド8が設計領域を構成するシステムなど、倉庫スプリンクラーヘッド8のシステム要求計算のための他の許容される矩形又は非矩形の設計領域が同様に選択されてもよい。
【0041】
理解されるはずであるように、システム要求計算因子として、リザーバタンク2の供給系とスプリンクラーヘッド8の間のシステム内の圧力損失に加えて、設計領域DA内の個々のスプリンクラーヘッド8における必要な圧力もある。システム内の圧力損失は、主に、配管摩擦、取付け具及びバルブにおける乱流並びに高さの変化に起因する。これも当業者には理解できるように、NFPA13は、ノード間のシステム配管における圧力損失を計算及び総計するHazen-Williamsの式、すなわち、P=((4.52×Q1.85)/(C1.85×D4.87))×Lを承認している。なお、P=摩擦抵抗(配管のpsi/フィート)、Q=配管を通じる流量(gpm又はメートル法同等値)、C=配管材料に基づく摩擦損失係数、D=配管の実際の内径(インチ)、L=ノード間の配管の長さである。当業者には理解できるように、ノードは、流量、配管サイズ又は配管材料の少なくとも1つの変化によって表される。高さの変化に起因する圧力損失に関して、水の重力に起因する許容される圧力損失は、鉛直高さのフィートあたり0.433psiである。取付け具及びバルブにおける圧力損失計算は、一般にNFPA13に従って、そして、当業者には理解されるように、NFPA13(2019年版)の表27.2.3.1.1(Equivalent Schedule 40 Steel Pipe Length Chart along with the Equivalent Length Modifier Section 27.2.3.1.3 to accommodate Schedule 10 piping)に基づくエルボージョイント又はバルブのタイプと同じ摩擦損失を与えることになる同等の長さの配管を特定することによって計算される。同等の長さの各種取付け具、バルブ及び他の配管部品は、一般的にこの目的のためにそれらの製造業者によって提供される。
【0042】
当業者には理解できるように、スプリンクラーシステムに使用される配管は、種々の国内規格、国際規格及び管轄規格、最も一般的には、ANSI/ASME、欧州標準化委員会(「CN」)及び日本工業標準調査会がそれぞれ公布したNPS規格、DN規格及びJIS規格によって対象の配管の外径に関係する公称指定方式によって参照される。CNによって公布されるようなEN1127などの一般的でない配管規格は、その実際の外径によって配管を示し得る。配管製造業者は、独自の配管サイズを提供してもよい。Hazen-Williamsの式及び同様の計算で使用されるような配管の内径は、公称配管サイズ及び壁厚の関数であり、それはNPS規格における配管スケジュール(及び他のシステムについて当業者には周知の他の用語)として記される。また、これらのシステムに規定された全ての寸法は、製造ばらつきに対応するのに許容される寸法及び楕円率の特定のばらつき又は許容差を有する公称(又は目標)寸法である。これらの各種規格には重なり及び同値が存在することもあるが、本開示はいずれかの特定の配管規格、指定又はスケジュールによる使用に限定されず、ここで使用される配管の内径の参照は、これらの記述子のいずれかの下での配管の公称内径であり、そのメートル法変換値も含む。
【0043】
非限定的な本例において、システム内の配管はNPSスケジュール40の炭素鋼配管であり、分岐管7は長さ約200フィートであり、横断主配管5、6は長さ約200フィートであり、主昇水配管4は高さ約40フィートである。さらに、近位横断主配管5は約6.065インチの内径を有し、遠位横断主配管6は約4.026インチの内径を有し、それらは普及している横断主配管の寸法であり、それぞれNPS6及びNPS4の配管に対応する。従来の倉庫使用部分スプリンクラーシステム1の本例に対するシステム要求は、HRS Systems,Inc.によって販売されるHydraulic Analyzer of Sprinkler Systems(「HASS」)プログラムを利用して計算される(Appendix A参照)。HASSプログラムは、当業者に利用される水理解析のための業界で認められたツールである。
【0044】
本例では、そしてAppendix A(表1~12)における計算に示すように、分岐管7に利用可能な最小標準化NPS配管は、システム内のスプリンクラーヘッド8を175psiを超える圧力に曝すことはないが、NPS2.5であり、約2.469インチの内径ID(図2参照)を有する。前述したように、倉庫使用部分スプリンクラーシステムの設計者は、与えられた標準化サイズから配管を選択することに主に制限される。本例では、NPS2.5の配管は、システム内のスプリンクラーヘッド8を175psiを超える圧力に曝すことなく分岐管7に利用され得る最小標準サイズの配管である。
【0045】
すなわち、計算されたシステム要求は、NPS2.5の配管が分岐管7に利用される場合に約1264gpmにおいて約108psiである。ただし、この圧力は、システムが閉じられている場合の流圧、及び理解できるように供給圧力であり、すなわち、流量がゼロでの静圧は、システム要求よりも高くなければならない。したがって、それは、スプリンクラー定格未満に維持されなければならない供給静圧である。供給圧力は、選択されたメインポンプ3に応じる。AHJ、例えば、地元消防署は、一般に、システム要求が充足されることを保証するために、メインポンプ3がシステム要求及びシステム要求に上乗せする追加の安全マージン、すなわち、安全係数を与えることを必要とする。一般に、10psi又は10%安全マージンが、許容可能である。当業者には理解できるように、都市/自治体の給水システムでは、システム要求及び安全係数の合計を充足するように都市給水流量及び圧力を補完することができるメインポンプ3が選択されなければならない。
【0046】
一般に、消火ポンプは、それらの定格流量及び耐圧強度に基づいて選択される。一覧の消火ポンプ、すなわち、試験機関の要件を満たすことが試験及び承認されたポンプは、標準流量容量、例えば、50gpm、500gpm、750gpm、1000gpm、1250gpm、1500gpm、2000gpm、2500gpm及びその他において提供される。消火ポンプは、それらの定格流量の約150%まで動作することが必要とされる。したがって、システム流量要求で定格とされる消火ポンプは、サイズが過大となり、したがって不必要に高価なポンプとなってしまうので、それを選択する必要はない。このシステム要求流量は、一般に、例えば、選択されたポンプ定格容量の約115%~約135%など、選択されたポンプ定格容量の約90%~約140%に収まるべきである。例えば、約1264gpmのシステム流量要求を有する本例では、システム要求流量は選択されたポンプ定格容量の約126.5%となるので、1000gpmのポンプ定格容量を有するメインポンプ3が許容可能となる。
【0047】
続いて、それぞれのポンプがシステム要求流量においてシステム要求圧力及び安全係数の合計を満たすか否かを評価するために、変動する定格圧力での、選択された流量容量のポンプのポンプ性能曲線、すなわち、ポンプ定格流量容量におけるポンプの出力圧力が解析される。これにより、ポンプ圧力定格は、システム要求圧力及び安全係数の合計よりも大きくなるべきである。当業者には理解できるように、ポンプの出力圧力は、流量の増加とともに低下する。システム要求圧力及び安全係数の合計を5psi以内で上回る圧力定格を有するメインポンプ3を選択することは、非常に効率的である。したがって、簡明化及びここでの例示間の一貫性のため、ポンプ定格圧力と、システム要求圧力及び安全係数の合計との差の5psiの圧力減衰が想定される。すなわち、本例については、ポンプ定格圧力は約123psiと推定され、すなわち、108psiのシステム要求圧力、10psiの安全係数、及びポンプ定格圧力とシステム要求圧力及び安全係数の合計との差の5psiの圧力減衰の合計と推定される。
【0048】
ポンプ定格圧力が計算されると、ポンプチャーン、すなわち、流量ゼロにおいて動作するポンプの静圧出力が計算され得る。一覧の消火ポンプは、ポンプ定格圧力の140%以内のポンプチャーンを有していなければならない。消火ポンプはポンプ定格圧力の115%以内のポンプチャーンを有することが多く、本開示の全体を通じた一貫性のために、ポンプチャーンは推定ポンプ定格圧力の115%において計算される。したがって、本例では、メインポンプ3のポンプチャーンは、約141.5psiである。そのため、従来の倉庫使用部分スプリンクラーシステム1の本例について、供給圧力、すなわち、メインポンプ3のポンプチャーン及び追加のジョッキーポンプ9の静圧の合計は、約151.5psiとなる。したがって、選択されたメインポンプ3はシステムの従来の倉庫スプリンクラーヘッド8をその175psiの定格を超える圧力に曝すことなく108psiの計算システム要求を満たすことができるので、この例示的システムは従来の倉庫使用部分スプリンクラーシステム1として適切である。
【0049】
図3~7では、全体として10で示される、本開示の実施形態に係るグリッド状の天井専用の倉庫使用部分スプリンクラーシステムが模式的に示される。ただし、当業者には理解できるように、本開示は、天井50aの付近のみに取り付けられ又は保管ラック54(図8)内にさらに取り付けられた倉庫スプリンクラーヘッド18を有する倉庫使用部分内のツリー又はループシステムにも同様に適用可能である。従来のスプリンクラーシステム1と同様に、スプリンクラーシステム10は、保管商品52、すなわち、クラス1、クラス2、クラス3、クラス4/カートン入り非発泡プラスチック、カートン入り発泡プラスチック、未カートン入り非発泡プラスチック、未カートン入り発泡プラスチック、ゴムタイヤ、ロール紙、遊休パレット、ハイベイレコード、グループAカートン入り(非発泡又は発泡)及び未カートン入り(非発泡又は発泡)プラスチック、グループB-クラスIV、グループC-クラスIIIプラスチック、引火性及び可燃性液体並びにこれらの組合せのうちの1つの少なくとも1つの商品を収容する倉庫使用部分50のために構成されたリザーバタンク及びポンプシステムの形態もとる(本開示は都市/自治体の給水システムにも同様に適用可能である)。
【0050】
倉庫使用部分スプリンクラーシステム10は、主昇水配管14に接続されたメインポンプ13に接続されたリザーバタンク12を含む。前述したように、リザーバタンク12は、都市給水系CWを補完し得る。主昇水配管14は、使用部分の天井50a付近の高さまで上向きに略鉛直に延在する。制御弁14a(及び任意選択的に逆止弁14b)は、主昇水配管14に沿って位置決めされ、当業者にはよく理解されている態様で動作可能である。主昇水配管14は、その上端付近で、横方向に延在する横断主導管、例えば、下部地面に略平行に延在する近位横断主配管15及び遠位横断主配管16に接続される。分岐管17は(これも下部地面に略平行な)横断主配管15、16の間に横方向に延在し、倉庫スプリンクラーヘッド18が分岐管17から突出する。
【0051】
スプリンクラーシステム10では、倉庫スプリンクラーヘッド18は、より高い自由度を設計者に与えてより費用対効果の高い倉庫使用部分スプリンクラーシステムを設計するように、175psiよりも高いスプリンクラー定格、例えば、限定することなく、約200psi~約300psiのスプリンクラー定格において、少なくとも11.2のkファクタ、例えば、限定することなく、16.8~36.4のkファクタを有する。スプリンクラーシステム10、例えば、主昇水配管14には、ジョッキーポンプ19も接続される。
【0052】
図6A~7に示すように、倉庫スプリンクラーヘッド18は、非限定的な例として、下向きスプリンクラーであり、すなわち、下向きの配向での設置のために概ね構成される。ただし、上向き倉庫スプリンクラーヘッドの配向も、同様に適用可能である。スプリンクラーヘッド18は、例えば、ネジ係合、結合部などを介した分岐管17への取付けのために構成された近位フレーム本体22a、及びフレーム本体22aから個別に離れて延在して遠位終端ノーズピース21において収束する一対のフレームアーム22bを有するスプリンクラーフレーム22を含む。ノーズピース21は、流体偏向板24をそこに固定するように構成される。理解できるように、流体偏向板24は、許容される倉庫スプリンクラーの一覧と一致する態様で消火流体を分散するように設計される。
【0053】
スプリンクラーフレーム本体22aは、近位入口22c、遠位出口22d、及びその間に延在する、スプリンクラー軸Aを画定する内部消火流体オリフィス23を画定する。オリフィス23は、スプリンクラーヘッド18が作動されると、そこを通る消火流体のフローを可能とする。ただし、非作動状態では、倉庫スプリンクラーヘッド18を封止するために、封止アセンブリ28がオリフィス23の遠位出口22dに配置される。封止アセンブリは、フレーム本体22aとノーズピース21の間に軸方向に取り付けられた封止プラグ28aを備える。熱トリガ26(すなわち、感熱要素)が封止プラグ28aを支持する。図6A、6Bの構成では、熱トリガ26は、可融性リンク26aの形態をとるが、代替的に、スプリンクラー軸Aに沿って配置され、軸方向に整列されたガラス球型熱トリガ26b(図7)の形態をとってもよい。ただし、本開示は、これに限定されない。例えば、熱トリガ26は、現在公知の又は後に公知となる他の破砕性又は非破砕性の熱応答トリガの形態をとり得る。
【0054】
ノーズピース21から延在する(以下にさらに説明するような)負荷部材36は、熱トリガ26を通じて又はそれに対して負荷をかけて封止プラグ28aをオリフィス23との封止係合において固定する。非作動状態では、封止アセンブリ28、ノーズピース21及びフレームアーム22bの組合せが、流体供給システムによって与えられる分岐管及びオリフィス23内の流体の圧力に対抗して作用することによって封止を維持するように作用する。当技術分野で周知であるように、スプリンクラーは、倉庫使用部分を消火するために一覧入りするためには、それらがスプリンクラーの定格圧力以上の試験圧力において損傷なく封止を維持できることを保証することが試験され、例えば、175psiでのスプリンクラー定格が500psiの試験圧力に耐えることが必要とされ得る。倉庫スプリンクラーヘッド18は封止アセンブリ28、ノーズピース21及びフレームアーム22bを有し、これらは175psiよりも充分に高い流体システム圧力、例えば、約200psi~約300psiにおいて、かつ700psiよりも高い静水圧強度試験圧力、例えば、1200psiの試験圧力などにおいて、封止を維持するように構成される。
【0055】
熱的事象又は充分なレベルの熱に対する倉庫スプリンクラーヘッド18の作動、動作又は熱応答は、標準応答よりも速くなるように構成され得る。例えば、熱トリガ26は、最大36(m×s)1/2又は約19(m×s)1/2~約36(m×s)1/2など、50(m×s)1/2以下の応答時間指数(RTI)を有するように構成され得る。理解できるように、熱トリガ26は、代替的に、他のスプリンクラーヘッド18に対して50(m×s)1/2よりも高いRTI、例えば、標準応答スプリンクラーヘッド18に対して80(m×s)1/2よりも高いRTIなどを有するように構成され得る。当業者には理解できるように、所与のスプリンクラーヘッドのRTIは、標準化された試験方法、例えば、FM2000及びFM2008において特定される感度-応答時間指数試験並びにUL199において特定される感度試験-オーブン熱試験などによって規定される。これらの試験は、概略として、所定の気温及び気流速度を示すダクト網にスプリンクラーを落下させ、スプリンクラーが作動するまでの経過時間を測定することを規定する。倉庫スプリンクラーヘッド18の熱トリガ26は、約155°F~約286°F、例えば、約164°F~約225°Fなどの範囲、例えば、FM承認規格から理解されるように即応倉庫スプリンクラーヘッド18に対して約212°Fなどの熱定格であり得る。
【0056】
倉庫スプリンクラーヘッド18が、図6A、6Bに示すように熱トリガ26として可融性リンク26aを採用する場合、スプリンクラーヘッド18は、スプリンクラーヘッド18の非作動状態において封止プラグ28aを出口22dと封止係合して位置決めされた状態を維持するように、フレーム本体22aと偏向板24の間(及びフレームアーム22b同士の間)に配置された熱トリガアセンブリ30を含む。熱トリガアセンブリ30は支柱32、レバー34及び可融性リンク26aを含み、可融性リンク26aは支柱32及びレバー34を作動可能な非作動状態で相互に結合して出口22d内の封止プラグ28aを安定化させる。熱トリガアセンブリ30は、負荷部材36、例えば、支柱32及びレバー34の構成に作用するネジ部材の近位方向の力を封止プラグ28aに伝達する。負荷部材36は、ノーズピース21内の開放端チャネル(不図示)を通じて、例えば、ネジ係合によって進められて、当業者にはよく理解されている態様で熱トリガアセンブリ30との係合状態となる。
【0057】
非作動状態では、図6Bに最もよく示すように、支柱32の近位端が封止プラグ28aと係合し、支柱32の遠位端がレバー34、例えば、レバー34に沿う切欠きに係合する。レバー34の一端は、支柱32と負荷部材36の間に固定される。レバー34の他端は、可融性リンク26aを介して支柱32に結合される。負荷部材36は、レバー34の他端を支柱32に結合する可融性リンク26aに対してレバー34に沿う切欠きの釣合いがとられる際の支点を形成する。概略として、可融性リンク26aは、固定の温度又は温度範囲、例えば、前述した熱定格において溶融するように構成された可融性材料の薄い層によって面同士で接合された2枚のプレート部材を含む。
【0058】
倉庫スプリンクラーヘッド18が作動されると、すなわち、可融性リンク26aが熱的にトリガされると、可融性材料が溶融し、2枚のプレート部材が分離し、レバー34の支点に関して負荷部材36と可融性リンク26aの間のそれまでの平衡が崩壊する。そして、レバー34は、支点に関して枢動して、支柱32から解放され、倉庫スプリンクラーヘッド18からの支柱32及びレバー34の離脱をもたらす。封止プラグ28aが支柱32によって拘束されなくなると、封止プラグ28aもフレーム本体22aのオリフィス23内の(分岐管17からの)上流側の加圧された消火流体によって出口22dから押し出される。消火流体は、フレーム本体22aの流体オリフィス23から噴出し、偏向板24の設計に従う噴霧パターンでのその分散のために偏向板24に衝突する。
【0059】
図7に示すように、倉庫スプリンクラーヘッド18がガラス球型熱トリガ26bを含む場合、負荷部材36は、当業者によく理解されている態様で封止プラグ28aに対してガラス球(ガラス球型熱トリガ)26bを固定する。ガラス球26bは、負荷部材36を介して、封止プラグ28aに(分岐管17内の上流流体からの封止プラグ28aに対抗している消火流体圧力よりも高い)圧力をかける。それにより、倉庫スプリンクラーヘッド18の周辺の周囲温度が作動温度又は温度範囲に達するまで(その時にガラス球26bがトリガ/作動される、例えば、ガラス球26bの粉砕)(分岐管17からの)消火流体がフレーム本体22aから流出するのを防止する。封止プラグ28aは、上流の加圧された消火流体によってその後に押し出されて偏向される。消火流体は、フレーム本体22aの流体オリフィス23から噴出して、偏向板24の設計に従う噴霧パターンでのその分散のために偏向板24に衝突する。
【0060】
存庫使用部分スプリンクラーシステム10の非限定的な例を用いて、175psiよりも高いスプリンクラー定格を有する倉庫スプリンクラーヘッド18を採用する有利な効果を説明する。倉庫スプリンクラーヘッド8ではなく倉庫スプリンクラーヘッド18を採用することの効果を強調するために、倉庫使用部分スプリンクラーシステム10の例は、従来の倉庫使用部分スプリンクラーシステム1の他の特性の大部分を維持する。すなわち、倉庫使用部分スプリンクラーシステム10は、20本の分岐管17の200フィート×200フィートのシステム10の形態をとり、連続する分岐管17は約10フィート離隔され、倉庫スプリンクラーヘッド18も、スプリンクラー設計圧力が約56psiでkファクタが14のESFRスプリンクラーヘッドであり、それにより、そこを通る約105gpmのフローを与える。システム10内の配管は、NPSスケジュール40の炭素鋼配管のままであり、分岐管17は長さ約200フィートのままであり、横断主配管15、16は長さ約200フィートのままであり、主昇水配管14は高さ約40フィートのままである。さらに、近位横断主配管15は約6.025インチの内径を有したままであり、遠位横断主配管16は約4.026インチの内径を有したままである。
【0061】
倉庫使用部分スプリンクラーシステム10の第1の非限定的な例では、分岐管17は、スプリンクラーシステム1の例での2.469インチではなく(NPS2に対応する)約2.067インチの内径ID´(図4参照)を有する。HASSプログラムを利用するAppendix B(表13~24)における計算に示すように、これは、(スプリンクラーシステム1の例の)約1264gpmにおける約108psiから、約1267gpmにおける約131psiへのシステム要求の増加をもたらす。これにより(スプリンクラーシステム1の例に関して前述したように)約146psi、すなわち、131psiのシステム要求圧力+10psiの安全係数+5psiの圧力減衰(ポンプ定格圧力とシステム要求圧力及び安全係数の合計との差)のポンプ定格圧力を有するメインポンプ13が選択され得る。したがって、メインポンプ13のポンプチャーンは、約168psiとなる。したがって、供給圧力、すなわち、本例の倉庫使用部分スプリンクラーシステム10についてのメインポンプ13のポンプチャーン及び追加のジョッキーポンプ19の静圧の合計は、約178psiである。
【0062】
当業者には理解できるように、この非限定的な例の倉庫使用部分スプリンクラーシステム10は、175psiのスプリンクラー定格を有する従来の倉庫スプリンクラーヘッド8では許容可能とはならない。なぜなら、スプリンクラーヘッド8は、それらの圧力定格よりも高い圧力に曝されることになるためである。これに対して、本例の倉庫使用部分スプリンクラーシステム10は、175psiよりも高いスプリンクラー定格を有する倉庫スプリンクラーヘッド18とともに使用される場合、許容可能であり、かつスプリンクラーシステム1よりも有利である。この例示的な有利な効果は、より小径の分岐管は比較的大径の分岐管よりも安価となることである。
【0063】
スケジュール40のNPS配管を利用する従来の倉庫使用部分スプリンクラーシステム1の例において、NPS2.5の分岐管は、現在のところ1フィートあたり約11.54ドルである。したがって、各々が長さ約200フィートの20本の分岐管7は、4000フィートの分岐管7に相当し、分岐管7のためだけに合計46.160ドルとなる。これに対して、やはりスケジュール40のNPS配管を利用する倉庫使用部分スプリンクラーシステム10の例では、NPS2の分岐管は、現在のところ1フィートあたり約7.10ドルである(同じ見積り元より)。したがって、4000フィートの分岐管17は28.400ドルとなり、分岐配管のみについて従来システム1に対して17.760ドルの節約となり、すなわち、約38.5%の節約となる。理解できるように、その配管を相互接続するのに使用される結合部及び取付け具も安価な小型化サイズとなるため、更なる節約が実現されることになる。また、特に分岐配管がNPS2以下のサイズとされ得る状況では、NPS2.5以上の分岐管に課される耐震ブレースに対する要件を回避することによってさらに費用が節約され得る。
【0064】
倉庫使用部分スプリンクラーシステム10の第2の非限定的な例では、分岐管17は、システム10の前出の例における(NPS2に対応する)約2.067インチと比較して(NPS1.5に対応する)約1.61インチの内径ID´(図4参照)を有する。HASSプログラムを利用するAppendix C(表25~36)における計算に示すように、これは、約1280gpmにおける約226psiへのシステム要求の増加をもたらす。これにより(スプリンクラーシステム1の例に関して前述したように)、約241psi、すなわち、226psiのシステム要求圧力+10psiの安全係数+5psiの圧力減衰(ポンプ定格圧力とシステム要求圧力及び安全係数の合計との差)のポンプ定格圧力を有するメインポンプ13が選択され得る。したがって、メインポンプ13のポンプチャーンは、約277psiとなる。したがって、供給圧力、すなわち、本例の倉庫使用部分スプリンクラーシステム10についてのメインポンプ13のポンプチャーン及び追加のジョッキーポンプ19の静圧の合計は、約287psiである。現在のところ、スケジュール40のNPS1.5の分岐管は、1フィートあたり約5.48ドルである(同じ見積り元より)。したがって、4000フィートのNPS1.5の分岐管17は21.920ドルとなり、少なくとも11.2のkファクタ及び175psiよりも高いスプリンクラー定格、本例では少なくとも287psiのスプリンクラー定格を有するスプリンクラーヘッド18が採用される場合、従来のシステム1に対して24.240ドルの節約となり、すなわち、約52.5%の節約となる。
【0065】
連続する分岐管7が約10フィート離隔された20本の分岐管7を有する200フィート×200フィートの従来の倉庫使用部分スプリンクラーシステム1のさらに他の非限定的な例において(図1、2)、25.2のkファクタを有するESFRスプリンクラーヘッド8が選択され、スプリンクラー設計圧力が約40psiであり、それにより、そこを通る約159.4gpmのフローを与える。システム内の配管はNPSスケジュール10の炭素鋼配管であり、分岐管7は長さ約200フィートであり、横断主配管5、6は長さ約200フィートであり、主昇水配管4は高さ約40フィートである。さらに、近位横断主配管5は約6.357インチの内径を有し、遠位横断主配管6は約4.260インチの内径を有し、それらは一般的な横断主配管寸法であり、それぞれNPS6及びNPS4配管に対応する。
【0066】
本例において、そしてHASSプログラムを用いるAppendix D(表37~46)における計算に示すように、システム内のスプリンクラーヘッド8を175psiを超える圧力に曝すことなく分岐管7に利用可能な最小標準化NPS配管はNPS2.5であり、約2.635インチの内径IDを有する。すなわち、NPS2.5の配管が分岐管7に利用される場合の計算システム要求は、約1928gpmにおいて約103psiである。したがって、メインポンプ3は、(スプリンクラーシステム1の上記例に関して前述したように)約118psi、すなわち、103psiのシステム要求圧力+10psiの安全係数+5psiの圧力減衰(ポンプ定格圧力とシステム要求圧力及び安全係数の合計との差)のポンプ定格圧力を有するものと推定される。したがって、メインポンプ3のポンプチャーンは約135.7psiとなり、供給圧力、すなわち、従来の倉庫使用部分スプリンクラーシステム1の本例についてのメインポンプ3のポンプチャーン及び追加のジョッキーポンプ9の静圧の合計は約145.7psiである。したがって、選択されたメインポンプ3がシステムの従来の倉庫スプリンクラーヘッド8をその175psiの定格を超える圧力に曝すことなく約103psiの計算システム要求を満たすことができるので、本例示的システムは従来の倉庫使用部分スプリンクラーシステム1として適切である。NPS2.5の分岐管は、現在のところ1フィートあたり約5.93ドルである。したがって、各々が長さ約200フィートの20本の分岐管7は、4000フィートの分岐管7に相当し、分岐管7のためだけに合計23.720ドルとなる。
【0067】
これに対して、25.2のkファクタを有するESFRスプリンクラーヘッドの形態で175psiよりも高いスプリンクラー定格を有する倉庫スプリンクラーヘッド18を採用する本開示の同等の倉庫使用部分スプリンクラーシステム10(図3、4)において、2.635インチの内径IDを有するNPS2.5の配管の代わりに、約2.157インチの内径ID´を有するNPS2の配管が、分岐管17に利用され得る。
【0068】
すなわち、スプリンクラーシステム10は、連続する分岐管7が約10フィート離隔された20本の分岐管17を有する200フィート×200フィートのシステムのままである。ESFRのK25.2スプリンクラーヘッド18は、約56psiのスプリンクラー設計圧力を有し、それにより、そこを通る約105gpmのフローを与える。本例示的システム10の配管は、NPSスケジュール10の炭素鋼配管のままであり、分岐管17は長さ約200フィートのままであり、横断主配管15、16は長さ約200フィートのままであり、主昇水配管14は高さ約40フィートのままである。さらに、近位横断主配管15は約6.375インチの内径を有したままであり、遠位横断主配管16は約4.260インチの内径を有したままである。
【0069】
HASSプログラムを利用するAppendix E(表47~58)における計算に示すように、これは、約1928gpmにおける約103psiから約1938gpmにおける約148psiへのシステム要求の増加をもたらす。これにより、約163psi、すなわち、148psiのシステム要求圧力+10psiの安全係数+5psiの圧力減衰(ポンプ定格圧力とシステム要求圧力及び安全係数の合計との差)のポンプ定格圧力を有するメインポンプ13が選択され得る。したがって、メインポンプ13のポンプチャーンは、約170psiとなる。したがって、供給圧力、すなわち、本例の倉庫使用部分スプリンクラーシステム10についてのメインポンプ13のポンプチャーン及び追加のジョッキーポンプ19の静圧の合計は、約180psiである。これは、従来のスプリンクラーシステム1では許容可能ではないが本開示のスプリンクラーシステム10では許容可能である。スケジュール10のNPS配管を利用する本例示的倉庫使用部分スプリンクラーシステム10において、NPS2の分岐管は、現在のところ、1フィートあたり約4.27ドルである(同じ見積り元より)。したがって、4000フィートの分岐管17は17.080ドルとなり、前述の従来のシステム1に対して6.640ドルの節約となり、すなわち、約28%の節約となる。
【0070】
本開示のスプリンクラーシステム10の上記の非限定的な例から分かるように、少なくとも11.2のkファクタ及び175psiよりも高いスプリンクラー定格を有する倉庫スプリンクラーヘッド18を採用することで、設計者は、スプリンクラー定格を超えることなく、より細い標準サイズの分岐管など、より細い分岐管を利用することが可能となる。分岐管が細いと、システム要求圧力が高まることになり、したがって、より強度の高いメインポンプ3が必要となる。それでもなお、メインポンプ13の費用の増加は、(当業者であれば知っているはずであるように)より細い分岐管を利用する際の費用節約と比較すると、無視できる一時的な費用である。理解できるように、上記例の分岐管の費用は時間とともに変化し得るが、太い分岐管から細い分岐管への概ねの節約率は有効なままとなる。さらに、使用部分は、メインポンプ13がシステムの全てに供給を行う複数のスプリンクラーシステムを含み得る。したがって、これも理解できるように、従来の倉庫使用部分スプリンクラーシステム1に対する倉庫使用部分スプリンクラーシステム10の費用節約は、より強力なメインポンプ13の費用増加に対して、より大きな及び/又は複数のシステムが採用される場合により一層顕著となる。
【0071】
ここに記載される例は、少なくとも11.2のkファクタ及び175psiよりも高いスプリンクラー定格を有する倉庫スプリンクラーヘッドを採用することによってもたらされる設計自由度によって倉庫使用部分スプリンクラーシステムの設計に与えられる特定の有利な効果を例示するものにすぎない。これらの有利な効果は、非グリッド化レイアウト(ツリーレイアウト及びループレイアウトがその一般的な例である)など、例示のグリッド化レイアウト以外のレイアウトを有し、少なくともk11.2以外のスプリンクラーkファクタ(k14、k17、k20、k22、k25、k28及びk34がその例である)を有する倉庫使用部分スプリンクラーシステムにおいても実現されることが予期される。これらの有利な効果によって、より細い分岐管に加えて、より細い昇水管及び/又は横断主配管、並びにここに記載する特徴の使用に起因する他のスプリンクラーシステム構成要素(取付け具及びバルブなど)を選択する際のより高い自由度も可能となり得る。これらの有利な効果は、一般的かつ実用的な範囲の標準化昇水配管サイズ及びスケジュール、例えば、NPS4のスケジュール40(約4.03インチの内径を有する)からNPS10のスケジュール10(約10.42インチの内径を有する)などにわたって実現され、一般的かつ実用的な範囲の標準化分岐配管サイズ及びスケジュール、例えば、NPS1.25のスケジュール40(約1.38インチの内径を有する)からNPS4のスケジュール7(約4.30インチの内径を有する)など、例えば、NPS1.5のスケジュール40(約1.61インチの内径を有する)からNPS3のスケジュール7(約3.31インチの内径を有する)などにわたって実現されることが分かる。
【0072】
したがって、当業者には、種々の変形例及び改良例が、上記開示に対してその広範な発明のコンセプトから逸脱することなくなされ得ることが分かるはずである。それらの一部は上述され、他は当業者に明らかである。例えば、ここでの例示は湿潤システムに基づいて計算されているが、本開示は乾燥又は前動作システムにも同様に適用可能である。したがって、本開示は、開示の特定の実施形態に限定されず、後続の特許請求の範囲に記載されるような本発明の主旨及び範囲内の変形例を包含するものであることが理解される。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
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【0076】
【表4】
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【表5】
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【表6】
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【表8】
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【表9】
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【表10】
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【表11】
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【表57】
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【表58】
図1
図2
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図4
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図6A
図6B
図7
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【国際調査報告】