(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】半導体デバイス一体型ショットキーダイオード
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20240822BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H01L29/78 657D
H01L29/78 652T
H01L29/78 652S
H01L29/78 652F
H01L29/78 652L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516588
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 US2022043147
(87)【国際公開番号】W WO2023043687
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522086423
【氏名又は名称】アナログ パワー コンバージョン エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003476
【氏名又は名称】弁理士法人瑛彩知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェンドロン-ハンセン, アモリ―
(72)【発明者】
【氏名】スドュルーラ, デュミトル ゲオルゲ
(72)【発明者】
【氏名】ゼペシ, レスリー ルイ
(72)【発明者】
【氏名】高田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】讓原 逸男
(72)【発明者】
【氏名】米山 知宏
(72)【発明者】
【氏名】細山田 佑
(57)【要約】
半導体デバイスは、第1の領域及び第2の領域を有する半導体ダイを備え、第2の領域の動作温度が、第1の領域の動作温度よりも低い。複数の第1のタブが、第1の領域、第2の領域、又はその両方にそれぞれ配置される。半導体デバイスは、複数のパワーデバイスセルを備えるパワーデバイスと、複数のダイオードセルを備えるダイオードとをさらに備える。パワーデバイスセルは、第1の領域にあるタブ又はタブの一部内に配置され、ダイオードセルは、第2の領域にあるタブ又はタブの一部内に配置される。パワーデバイスは、垂直型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)から構成可能であり、ダイオードは、垂直型ショットキーバリアダイオード(SBD)から構成可能である。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
第1の領域及び第2の領域を有し、前記第2の領域の動作温度が前記第1の領域の動作温度よりも低い、半導体ダイと、
前記第1の領域に配置された複数の第1のタブと、
前記第2の領域に配置された複数の第2のタブと、
複数のパワーデバイスセルを備え、該パワーデバイスセルが前記複数の第1のタブにそれぞれ配置されている、パワーデバイスと、
複数のダイオードセルを有し、該複数のダイオードセルが前記複数の第2のタブにそれぞれ配置されている、ダイオードと、
を含む半導体デバイス。
【請求項2】
前記第1の領域は、前記半導体ダイの中央領域を含み、 前記第2の領域は、前記半導体ダイの周辺領域を含む、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
シリコンカーバイドを用いて構成される、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記パワーデバイスが垂直型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を備える、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記ダイオードが垂直型ショットキーバリアダイオード(SBD)を備える、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記第2の領域は、
前記半導体ダイの第1の端に隣接して配置され、前記複数の第2のタブのうちの少なくとも第1のタブを内に有する第1のサブ領域と、
前記半導体ダイの第2の端に隣接して配置され、前記複数の第2のタブのうちの少なくとも第2のタブを内に有する第2のサブ領域と、を備え、
前記第2の端は、前記第1の端の反対側の端である、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記第1の領域は、前記第2の領域の前記第1のサブ領域と前記第2の領域の前記第2のサブ領域との間に配置される、請求項6に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
半導体デバイスであって、
第1の領域と第2の領域とを有し、前記第2の領域の動作温度が前記第1の領域の動作温度よりも低い、半導体ダイと、
前記第1の領域と前記第2の領域の両方に配置された第1のタブと、
を含み、
前記第1のタブは、
前記第1の領域に配置されたパワーデバイスの第1のパワーデバイスセルと、
ダイオードの第1の複数のダイオードセルと、を含み、
前記第1のタブの前記ダイオードセルのすべては、前記第2の領域内に配置されている、半導体デバイス。
【請求項9】
前記第1のタブは、前記第2の領域内に配置されたパワーデバイスの第2のパワーデバイスセルをさらに含む、請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記第1のタブは、前記第2の領域に配置されたパワーデバイスの第3のパワーデバイスセルをさらに含み、
前記第2の領域に配置された前記パワーデバイスセルは、前記第2の領域に配置された前記ダイオードセルと交互に配置されている、請求項9に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
当該半導体デバイスは、シリコンカーバイドを用いて構成される、請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記パワーデバイスが垂直型金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を備える、請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記ダイオードが垂直型ショットキーバリアダイオード(SBD)を備える、請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記第2の領域は、
前記半導体ダイの第1の端に隣接して配置された第1のサブ領域と、
前記半導体ダイの第2の端に隣接して配置された第2のサブ領域と、を含み、
前記第2の端は前記第1の端の反対側にあり、
前記第1の領域は、前記第2の領域の前記第1のサブ領域と前記第2の領域の前記第2のサブ領域との間に配置される、請求項8に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
前記第1の領域と前記第2の領域の両方に配置された第2のタブをさらに備え、
前記第1のタブは、
前記第1の領域に配置された前記パワーデバイスの第2のパワーデバイスセルと、
前記ダイオードの第2の複数のダイオードセルと、を含み、
前記第2のタブのすべてのダイオードセルは前記第2の領域内に配置され、
前記第2の領域に配置された前記第2のタブの面積は、前記第2の領域に配置された前記第1のタブの面積と異なる、請求項8に記載の半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年9月14日出願の米国特許出願17/475,255の優先権を主張し、その全内容が本願に援用される。
【0002】
ショットキーバリアダイオード(SBD)は、逆回復電荷をもたず、電力変換モジュール(ハーフブリッジ及びフルブリッジトポロジを有するモジュールを含む)の効率を改善するために、パワーデバイスと並んでフリーホイーリングダイオード(FWD)として広く使用される。パワーデバイスは、例として、金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、又はジャンクションFET(JFET)である。
【0003】
シリコンカーバイド(SiC)SBDは、容量電荷が極めて小さいため、スイッチング用途のFWDとして理想的である。さらに、SiC-MOSFETのボディダイオードは、基板からの結晶欠陥の膨張によりバイポーラ劣化を起こしやすく、その結果、FWDの候補としては好ましくない。そのため、スイッチングアプリケーションのSiC-MOSFETパワーデバイスは、SiC-SBDと組み合わされることが多い。
【0004】
無線周波数(RF)アプリケーションでは、寄生インダクタンスを低減するために、SBDはパワーデバイスと同じダイに集積される。しかし、パワーデバイスの動作は相当量の熱を発生させ、ダイの温度を上昇させる可能性がある。温度の上昇は、SBDの動作にとって非常に不都合である。例えば、温度の上昇はSBDの比直列抵抗の上昇を引き起こし、アクティブエリアフットプリントを増加させる必要があり、SBDの接合キャパシタンスが高くなる。
【0005】
パワーデバイスと集積SBDとを備えるデバイスであって、パワーデバイスの動作によるSBDの温度上昇が低減されるデバイスがあれば有益である。
【発明の概要】
【0006】
実施形態は、半導体デバイスに関し、特に、パワーデバイス及びショットキーバリアダイオード(SBD)を含む半導体デバイスに関し、この半導体デバイスは、互いに間隔を隔てたコンパクトな活性領域(以下、「タブ」)を有し、パワーデバイス及びSBDは、タブ内に実装される。実施形態では、半導体デバイスは、無線周波数で動作するように設計されたワイドバンドギャップパワー半導体デバイスである。実施形態では、パワーデバイスによって発生する熱がSBDに与える影響を低減するように構成される。
【0007】
一実施形態では、半導体デバイスは、第1の領域と第2の領域とを有する半導体ダイを備え、第2の領域の動作温度は第1の領域の動作温度よりも低い。複数の第1のタブが第1の領域に配置され、複数の第2のタブが第2の領域に配置される。半導体デバイスは、複数のパワーデバイスセルを備えるパワーデバイスをさらに備え、パワーデバイスセルは、複数の第1のタブにそれぞれ配置され、複数のダイオードセルを備えるダイオードは、複数の第2のタブにそれぞれ配置される。
【0008】
別の実施形態では、半導体デバイスは、第1の領域及び第2の領域からなる半導体ダイを備え、第2の領域の動作温度は、第1の領域の動作温度よりも低い。第1のタブは、第1の領域と第2の領域の両方に配置され、第1のタブは、第1の領域に配置されたパワーデバイスの第1のパワーデバイスセルと、ダイオードの第1の複数のダイオードセルとを含み、第1のタブのすべてのダイオードセルは、第2の領域内に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】一実施形態によるパワーデバイスと集積SBDとを含む半導体デバイスの概略を示す図である。
【
図1B】一実施形態によるパワーデバイス及び集積SBDを含む半導体デバイスを示す図である。
【
図1C】別の実施形態によるパワーデバイスと集積SBDとを含む半導体デバイスを示す図である。
【
図2】異なる温度におけるSBDの順方向伝導特性を示す図である。
【
図3A】複数のタブを有するマルチタブ半導体デバイスを示す図である。
【
図3B】
図3Aの半導体デバイスの上面及び下面の動作温度をそれぞれ示す図である。
【
図3C】
図3Aの半導体デバイスの上面及び下面の動作温度をそれぞれ示す図である。
【
図4A】実施形態による垂直型MOSFET及びSBDを含むマルチタブ半導体デバイスを示す図である。
【
図4B】実施形態による
図4Aの半導体デバイスの垂直型MOSFETタブの詳細を示す図である。
【
図4C】実施形態による
図4Aの半導体デバイスの垂直型MOSFETタブの断面を示す図である。
【
図4D】実施形態による
図4Aの半導体デバイスの垂直型SBDタブの断面を示す図である。
【
図5A】他の実施形態による垂直型MOSFET及びSBDを含むマルチタブ半導体デバイスを示す図である。
【
図5B】他の実施形態による垂直型MOSFET及びSBDを含むマルチタブ半導体デバイスを示す図である。
【
図6】他の実施形態による垂直型MOSFETとSBDを含むマルチタブ半導体デバイスを示す図である。
【
図7】他の実施形態による垂直型MOSFET及びSBDを含むマルチタブ半導体デバイスを示す図である。
【
図8A】他の実施形態による垂直型MOSFET及びSBDを含むマルチタブ半導体デバイスを示す図である。
【
図8B】他の実施形態による垂直型MOSFET及びSBDを含むマルチタブ半導体デバイスを示す図である。
【
図8C】他の実施形態による垂直型MOSFET及びSBDを含むマルチタブ半導体デバイスを示す図である。
【
図9】他の実施形態による垂直型MOSFET及びSBDを含むマルチタブ半導体デバイスを示す図である。
【
図10】他の実施形態による垂直型MOSFET及びSBDを含むマルチタブ半導体デバイスを示す図である。
【
図11A】実施形態による半導体デバイスのタブの詳細を示す図である。
【
図11B】実施形態による半導体デバイスのタブの断面を示す図である。
【
図11C】別の実施形態による半導体デバイスのタブの断面を示す図である。
【
図12】実施形態による
図10又は
図11の半導体デバイスのSBDセルの電流の広がりを示す図である。
【
図13】実施形態による半導体デバイスのSBDセルに対する電流の広がりの効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願の実施形態は、半導体パワーデバイスのセルを含むタブのスパースレイアウトに関し、特に、ショットキーバリアダイオード(SBD)のセルを含むタブとともに、シリコンカーバイド(SiC)垂直型金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ(VMOSFET)又はSiC垂直型絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(V-IGBT)のようなパワーデバイスのセルを含むタブのスパースレイアウトに関する。
【0011】
本明細書で提示される実施形態は、SiC技術に関して説明され得るが、実施形態はそれに限定されず、他の実施形態では、通常のバンドギャップ半導体、別のワイドバンドギャップ(WBG)半導体、又は超ワイドバンドギャップ(UWGB)半導体を代わりに使用してもよく、例えば、シリコン、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、高アルミニウム含有AlGaN、β-三酸化ガリウム(β-Ga2O3)、ダイヤモンド、窒化ホウ素などが挙げられる。他の実施形態では、3C-SiCや6H-SiCなど、4H以外のポリタイプのSiCを使用することができる。
【0012】
実施形態の詳細な説明は、以下に添付の図とともに提供される。本開示の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定され、多数の代替、修正、及び等価を包含する。様々なプロセスのステップが所定の順序で示される場合があるが、実施形態は、必ずしも列挙された順序で実行されることに限定されない。実施形態では、特定の操作を同時に実行してもよいし、記載された順序以外の順序で実行してもよいし、全く実行しなくてもよい。
【0013】
数多くの具体的な詳細が以下の説明に記載されている。これらの詳細は、具体例によって本開示の範囲の徹底的な理解を促進するために提供され、実施形態は、これらの具体的な詳細の一部がなくても特許請求の範囲に従って実施することができる。したがって、本開示の特定の実施形態は例示であり、排他的又は限定的であることを意図するものではない。明瞭さを保つために、本開示に関連する技術分野で公知である技術的事項は、本開示が不必要に不明瞭にならないように詳細に説明されていない。
【0014】
図1Aは、実施形態による、パワーデバイス-ここではnチャネルMOSFET110-及び集積SBD112を含む半導体デバイス100Aの概略を示す図である。SBD112は、MOSFET110に逆向き平行に接続されている。
【0015】
MOSFET110のソースとSBD112のアノードはソースコンタクト104に接続されている。VMOSFET110のゲートはゲートコンタクト106に接続されている。MOSFET110のドレインとSBD112のカソードはドレインコンタクト108に接続されている。
【0016】
本明細書では、パワーデバイスがnチャネルVMOSFET、特にSiC nチャネルMOSFETである実施形態を説明することができるが、実施形態はこれに限定されない。例えば、実施形態では、パワーデバイスは、代わりに、平面型MOSFET、平面型又は垂直型IGBT、接合型FET(JFET)、pチャネルデバイス、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、サイリスタ、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)などを含むことができる。
【0017】
半導体デバイスの要素は、複数のセルで構成することができる。例えば、SBDは複数のセルを含み得、各セルはそれ自体のアノードとそれ自体のカソードを含み得る。垂直型SBDでは、各セルのカソードはすべて、アノードに接続されたコンタクトパッドが配置された面に対向するダイの面に配置されたコンタクトパッドに接続される場合がある。
【0018】
同様に、垂直型MOSFET(VMOSFET)は、複数のセルを含み得、各セルは、それ自体のゲート導体及び関連するゲートパッド、ソース領域及び関連するソースパッド、ならびにドレインを含み得る。セルのドレインはすべて、ゲートパッド及びソースパッドが配置された表面とは対向するダイの表面に配置されたコンタクトパッドに接続される場合がある。
【0019】
半導体デバイスの複数のセルは、半導体ダイに複数のタブとともに配置されてもよく、各タブはセルの1つ以上を含んでもよい。本明細書では、複数のタブを含む半導体デバイスをマルチタブ半導体デバイスと呼ぶことがある。
【0020】
タブは半導体デバイスの活性領域に相当し、タブの外側の領域は非活性領域と見なすことができる。本明細書で用いられるように、活性領域及び非活性領域は、一般に、熱の発生によって区別される。したがって、半導体デバイスのタブは、通常の動作条件下で相当な電力が消費される表面近傍又は特定の容積の領域として定義することができる。特定の容積は、ダイの厚さ全体にわたって延在することはあっても、ダイの表面全体にわたって広がることはない。したがって、(赤外線カメラによる)サーマルスキャンでは、デバイスの通常動作時に周囲よりも温度が高い領域としてタブが表示され、非活性領域における周囲温度以上の温度は、通常、タブからの非活性領域への熱の拡散によってのみ生じる。
【0021】
また、タブは、半導体デバイスの特定の用途に必要な(設計された)機能を果たすダイの領域(容積)として定義されることもある。非限定的な例として、パワー半導体の機能は、オフ(無電流導通)状態とオン(実質的な電流導通)状態との間でスイッチングすることによって電流を制御することであり、そのパワー半導体のタブは、そのスイッチングを実行する領域であり得る。
【0022】
高電圧パワー半導体デバイスのような一部のデバイスでは、タブは高電圧終端構造によって境界付けられている場合がある。このようなデバイスでは、タブは、それぞれの高電圧終端構造内に配置されるであろう領域であり、非活性領域は、それぞれの高電圧終端構造内にないデバイスの領域であり得る。
【0023】
さらに、ほとんどの半導体デバイスの機能は、とりわけ半導体のドーピングによって決定されるため、半導体デバイスのタブは、その内部に様々な極性の高ドープ領域(典型的には、SiC技術の場合、ドーパント濃度が1.0E17cm-3以上)を有し、非活性領域は、低ドープエピタキシー(典型的には、SiC技術の場合、ドーパント濃度が2.0E16cm-3以下)及び/又は誘電体領域のみを含む。一部のデバイスでは、非活性領域は出発材料をそのままの状態に残し、追加のドーピングを行わない場合がある。例えば、半導体デバイスが、軽度にドープされたn型半導体を成長させて、重度にドープされたn型半導体を備える基板にエピタキシーを形成することによって形成される場合、完成したデバイスの非活性領域におけるエピタキシー及び基板の部分は、エピタキシーの形成が完了したときに存在したドーパント濃度を有することがある。
【0024】
それぞれの制御パッド(例、ゲートパッド)が、各タブに提供され得る。実施形態では、第1のタイプの導電端子用の1つ以上のパッド(例えば、1つ以上のソースパッド)が、各タブに提供されてもよい。第2のタイプの導電端子(例、ドレイン)は、ドレインパッドなどの単一のパッドに電気的に結合される場合がある。デバイスが垂直型デバイスである場合、制御端子用パッド及び第1のタイプの導電端子用パッドは、ダイの一方の面(たとえば、上側)に形成され、第2のタイプの導電端子用パッドは、ダイの反対側の面(たとえば、下側)に形成されることがある。
【0025】
タブが大きく間隔を置いて配置される場合、熱を放散するために使用されるダイの表面にわたってより均一な温度が得られる可能性があり、これによりダイが熱を放散する能力が向上する可能性がある。また、タブを離間させることにより、デバイスを通過する電流をデバイスの基板内で拡散させることによって、垂直型デバイスの比直列抵抗を改善することができる。
【0026】
図1Bは、実施形態では、パワーデバイスと集積SBDとを含むマルチタブ半導体デバイス100Bの概略を示す図である。
図1Bにおいて、パワーデバイスは垂直型MOSFETであってもよく、SBDは垂直型SBDであってもよい。
【0027】
半導体デバイス100Bは、SBDの1つ以上のセル(以下、SBDセル)をそれぞれ備える複数のSBDタブ116-A1、116-A2、116-A3、116-B1、116-B2、116-B3を含む。複数のSBDタブ116-A1、116-A2、116-A3、116-B1、116-B2、116-B3には、それぞれ複数のアノードコンタクト120-A1、120-A2、120-A3、120-B1、120-B2、120-B3が接続されており、各アノードコンタクトは、それぞれのSBDタブのSBDセルのアノードに接続されている。各SBDタブ116-A1、116-A2、116-A3、116-B1、116-B2、116-B3のSBDセルのカソードは、共通にドレインコンタクト108に接続される。
【0028】
半導体デバイス100Bは、複数のMOSFETタブ118-A1、118-A2、118-A3、118-B1、118-B2、及び118-B3を含み、各々が、MOSFETの1つ以上のセル(以下、MOSFETセル)を備える。複数のゲートコンタクト106-A1、106-A2、106-A3、106-B1、106-B2、106-B3はそれぞれMOSFETタブ118-A1、118-A2、118-A3、118-B1、118-B2、118-B3に接続されており、各ゲートコンタクトはそれぞれのMOSFETタブのMOSFETセルのゲートに接続されている。複数のソースコンタクト104-A1、104-A2、104-A3、104-B1、104-B2、104-B3は、それぞれMOSFETタブ118-A1、118-A2、118-A3、118-B1、118-B2、118-B3に接続されており、各ソースコンタクトは、それぞれのMOSFETタブのMOSFETセルのソースに接続されている。各MOSFETタブ118-A1、118-A2、118-A3、118-B1、118-B2、及び118-B3のMOSFETセルのドレインは、共通にドレインコンタクト108に接続される。
【0029】
図1Cは、実施形態によるパワーデバイスと集積SBDとを含むマルチタブ半導体デバイス100Cの概略を示す図である。
図1Cにおいて、パワーデバイスは垂直型MOSFETであってもよく、SBDは垂直型SBDであってもよい。
【0030】
半導体デバイス100Cは、複数の集積タブ114-A1、114-A2、114-A3、114-B1、114-B2、及び114-B3を含み、それぞれが1つ以上のSBDセルと1つ以上のMOSFETセルとを備える。複数のソースコンタクト104-A1、104-A2、104-A3、104-B1、104-B2、及び104-B3はそれぞれ、集積タブ114-A1、114-A2、114-A3、114-B1、114-B2、及び114-B3に接続され、各ソースコンタクトは、それぞれの集積タブのSBDセルのアノード及びMOSFETセルのソースに接続される。複数のゲートコンタクト106-A1、106-A2、106-A3、106-B1、106-B2、106-B3がそれぞれ集積タブ114-A1、114-A2、114-A3、114-B1、114-B2、114-B3に接続されており、各ゲートコンタクトはそれぞれの集積タブのMOSFETセルのゲートに接続されている。各集積タブ114-A1、114-A2、114-A3、114-B1、114-B2、及び114-B3のSBDセルのカソード及びMOSFETセルのドレインは、共通にドレインコンタクト108に接続される。
【0031】
実施形態では、パワーデバイスの複数のセルを複数の分離されたタブに形成することによって半導体パワーデバイスを形成する。特に、実施形態では、パワーデバイス及び集積ダイオードを含む半導体パワーデバイスを含み、各タブは、パワーデバイスのセル、ダイオードのセル、又はその両方を含む。実施形態では、パワーデバイス、ダイオード、又は両方は、垂直型デバイスであってもよい。実施形態では、SBDセルは、SBDセルの動作温度を低下させるようにタブ間に分散される。
【0032】
図2は、異なる温度におけるSiC垂直型SBDの順方向伝導特性を示す図である。X軸はダイオードを横切る順方向電圧降下V
Fに対応し、Y軸はSBDの面積を横切る順方向電流密度I
Fに対応し、単位はアンペア/cm
2である。順方向電流密度I
Fと順方向電圧V
Fの関係を以下の7つの温度について示す:25℃、50℃、75℃、100℃、125℃、150℃、175℃。
【0033】
図に示すように、SBDは多数キャリアデバイスであるため、電流密度が比較的低い値(約200A/cm2)を超えると、任意の順方向電流密度IFに対する順方向電圧VFは温度とともに急激に上昇する。例えば、順方向電流密度IFが1400A/cm2の場合、順方向電圧VFは25℃で約2.0Vから175℃でほぼ3.0Vまで上昇する。
【0034】
SBDの要件により、定格順方向電流での順方向電圧降下VFが制限される場合、SBDを低温で動作させることで、順方向電圧VFの要件を満たしたまま、より高い順方向電流密度IFでSBDを動作させることができる。これにより、SBDが占めるダイの面積を小さくすることができる。
【0035】
さらに、このグラフは、SBDの温度を下げると、順方向電圧VFを下げることによって、高い順方向電流を伝導するときにSBDが消費する電力が減少することを示している。
【0036】
図3Aは、複数のタブを有する半導体デバイス300を示す図である。
図3B及び
図3Cは、それぞれ、
図3Aの半導体デバイス300の上面及び下面における動作温度を示す図である。
【0037】
半導体デバイス300は、半導体ダイ302に配置された、総称してタブ314と呼ばれる複数のタブを含む。半導体ダイ302はSiCを含むことができるが、実施形態はこれに限定されない。
【0038】
タブ314はそれぞれ、動作時に熱を放散し得るアクティブデバイスを含むことができる。アクティブデバイスの発熱部は、主に半導体ダイ302の上面近傍に配置される。
【0039】
図3Bに示すように、上面の温度(Temperature)上昇は、主にタブで発生する。
図3Cに示すように、熱はダイの上面から底面に流れるにつれて広がるため、ダイの底面では、半導体ダイ302の中央付近の温度が端部付近の温度よりも高くなる。
【0040】
したがって、半導体ダイ302の中央付近のタブ314-C1及び314-C2における動作温度は、半導体ダイ302の周縁付近のタブ314-P1、314-P2及び314-P3における動作温度よりも高い。
【0041】
実施形態は、マルチタブ半導体ダイ内に配置されたパワーデバイス及びSBDを有する半導体デバイスを含み、パワーデバイスのセルは、タブの平均動作温度よりも高い動作温度を有することになるタブ又はタブの一部内に配置され、SBDのセルは、タブの平均動作温度よりも低い動作温度を有することになるタブ又はタブの一部内に配置される。このようにして、実施形態では、半導体デバイスにおけるSBDの動作特性が改善される。
【0042】
例として、SBDセルは半導体ダイの端近傍のタブに配置することができ、又はパワーデバイスのセルとSBDセルの両方が同じタブにある場合、SBDセルは半導体ダイの端近傍のタブの一部又は部分に配置することができる。
【0043】
タブ内のSBDセルの配置は、熱シミュレーション(例、Ansys(登録商標)Redhawk-SCElectrothermal(商標)ソフトウェアを使用して実行可能)を使用して決定することができる。セル活性領域のフットプリントを決定するためのデバイスモデリングは、TechnologyComputer-AidedDesign(TCAD)ソフトウェア(例えば、Synopsys、Silvaco、Crosslightなどから入手可能)を使用して実行することができる。
【0044】
図4Aは、実施形態による垂直型MOSFET(VMOSFET)及び垂直型SBD(VSBD)を含むマルチタブ半導体デバイス400を示す図である。
【0045】
半導体デバイス400は、いずれも垂直型MOSFETのセルを第1の複数のタブ(総称して、MOSFETタブ418)に配置し、垂直型SBDのセルを第2の複数のタブ(総称して、SBDタブ416)に配置する点で、
図1Bの半導体デバイス100Bと同様である。
【0046】
半導体デバイス400は、半導体ダイ402の左端に隣接して配置された第1、第2、第3、及び第4の左SBDタブ416-A1、416-A2、416-A3、及び416-A4を含む。左SBDタブ416-A1、416-A2、416-A3、及び416-A4はそれぞれ、トレンチ終端416-A1T、416-A2T、416-A3T、及び416-A4T内に包含され、半導体ダイ402の上面に配置されたそれぞれのアノードコンタクト420-A1、420-A2、420-A3、及び420-A4を含む。
【0047】
半導体デバイス400は、半導体ダイ402の右端に隣接して配置された第1、第2、第3、及び第4の右SBDタブ416-B1、416-B2、416-B3、及び416-B4をさらに含む。右SBDタブ416-B1、416-B2、416-B3、及び416-B4はそれぞれ、トレンチ416-B1T、416-B2T、416-B3T、及び416-B4T内に包含され、半導体ダイ402の上面に配置されたそれぞれのアノードコンタクト420-B1、420-B2、420-B3、及び420-B4を含む。
【0048】
半導体デバイス400は、第1、第2、及び第3のMOSFETタブ418-1、418-2、及び418-3をさらに含み、それぞれ半導体ダイ402の幅を横切って配置され、左SBDタブ416-A1、416-A2、416-A3、及び416-A4と、右SBDタブ416-B1、416-B2、416-B3、及び416-B4とインターリーブする。MOSFETタブ418-1、418-2、及び418-3はそれぞれ、トレンチ終端418-1T、418-2T、及び418-3T内に包含される。MOSFETタブ418-1、418-2、及び418-3は、半導体ダイ402の上面に配置されたそれぞれのソースコンタクト404-1、404-2、及び404-3と、それぞれのゲートコンタクト406-1、406-2、及び406-3とを含む。
【0049】
トレンチ416-A1T、416-A2T、416-A3T、416-A4T、416-B1、416-B2、416-B3、及び416-B4、418-1T、418-2T、及び418-3Tは、それぞれのタブの高電圧終端の構成要素であってもよく、一実施形態では、誘電体で充填されてもよい。
【0050】
MOSFETタブ418内のMOSFETセルのドレイン及びSBDタブ416内のSBDセルのカソードは、半導体ダイ402の底面に配置されたドレインコンタクト(図示せず)に共通に接続される。
【0051】
左SBDタブ416-A1、416-A2、416-A3、及び416-A4と右SBDタブ416-B1、416-B2、416-B3、及び416-B4とをそれぞれ半導体ダイ402の左端及び右端に隣接して配置することによって、MOSFETタブ418-1、418-2、及び418-3内のセルからの熱拡散によるSBDタブ416の動作温度上昇を低減することができる。
【0052】
図4Bは、実施形態による
図4Aの半導体デバイスの垂直型MOSFETタブ418の詳細を示す図である。垂直型MOSFETタブ418は、MOSFETタブ418-1、418-2、及び418-3のいずれであってもよい。
【0053】
垂直型MOSFETタブ418は、トレンチ終端418-T内に包含され得る。
【0054】
垂直型MOSFETタブ418は、ゲート電極426及びソース電極424を含む。ゲート電極426は、
図4Aに示されるゲートコンタクト406のようなゲートコンタクトに電気的に接続可能であり、ソース電極424は、
図4Aに示されるソースコンタクト404のようなソースコンタクトに電気的に接続可能である。
【0055】
ゲート電極426及びソース電極424はそれぞれ複数のフィンガーを含み、ゲート電極426のフィンガーはソース電極424のフィンガーと互い違いに配置されている。ゲート電極426の各フィンガーは、ソース電極424の隣接する2つのフィンガーがそのMOSFETセルのソース電極として動作するMOSFETのセルに対応することができる。したがって、各MOSFETタブ418は、複数のMOSFETセルを含むことができる。
【0056】
図4Cは、実施形態では、
図4Aの半導体デバイス400の垂直型MOSFETタブ418の断面を示す図である。この断面は、
図4A及び
図4Bの線A-A’に沿って取られており、垂直型MOSFETタブ418内に配置されたMOSFETセルのうちの2つを示している。
【0057】
図4Cは、半導体デバイス400の半導体基板401と、半導体基板401の上面に配置されたエピタキシー層404とを示す図である。実施形態では、半導体基板401及びエピタキシー層404は4H-SiCを用いて構成されるが、実施形態はこれに限定されない。
【0058】
図4Cはさらに、半導体基板401の底面に配置されたドレインコンタクト408を示す図である。ドレインコンタクト408は、半導体デバイス400のすべてのMOSFETタブ内のすべてのMOSFETセルのすべてのドレインに電気的に接続されてもよく、また、半導体デバイス400のSBDタブ内のすべてのSBDセルのすべてのカソードに電気的に接続されてもよい。ドレインコンタクト408と半導体基板401との間には、それらの間の電気的接続を改善するためにシリサイド層(図示せず)が配置されてもよく、シリサイド層は、例えば、ニッケルシリサイドを含むか、又はn型SiCとオーミックコンタクトを形成することができる他の金属のシリサイドであってもよい。
【0059】
p-ドープ半導体のp-ボディ408は、エピタキシー層404内に配置される。ヘビードープp型領域442及びヘビードープn型ソース領域444は、各p-ボディ408内に配置されている。シリサイド層422は、ヘビードープp型領域442とソース領域444に配置され、電気的に接続されている。ヘビードープp型領域442は、シリサイド層422とp-ボディ408との間に低コンタクト抵抗接続を提供するように動作する。シリサイド層422は、ニッケルシリサイドを含むか、又はp型及びn型SiCの両方とオーミック接触を形成することができる他の金属のシリサイドであってもよい。
【0060】
ゲート誘電体448Gを含む誘電体448は、p-ボディ408及びソース領域444の一部を含むエピタキシー層404に配置される。一実施形態では、誘電体448、ゲート誘電体448G、又はその両方は、二酸化ケイ素(SiO2)を用いて構成することができる。一実施形態では、誘電体448は、BoroPhosphoSilcate Glass(BPSG)を含むことができる。一実施形態では、誘電体448は、ベンゾシクロブテン(BCB)などの誘電率の低い材料(「低誘電率(low-k)」材料)を用いて構成することができるが、これに限定されない。
【0061】
ゲート電極446は、ゲート誘電体448G及びp-ボディ408の一部と重なる部分に配置され、ゲート電極446によって重なるp-ボディ408の部分は、そのゲート電極446に対応するMOSFETセルのチャネル領域を備える。ゲート電極は、ドープされたポリシリコンを用いて構成することができる。
【0062】
ゲートコンタクト426は、ゲート電極446上に配置され、ゲート電極446と電気的にコンタクトしている。ソースコンタクト424は、シリサイド層422上に形成され、シリサイド層422と電気的に接触する。ゲートコンタクト426及びソースコンタクト424は、それぞれ、数ある導体の中でもアルミニウムを用いて構成することができる。
【0063】
パッシベーション層428は、誘電体448、ゲートコンタクト426、及びソースコンタクト424上に配置される。一実施形態では、パッシベーション層428は、シリコン酸窒化物(SiON)を含むことができる。
【0064】
図4Cは、実施形態によるMOSFETタブ418内のVMOSFETセルの可能な構造を示す図であるが、実施形態はこれに限定されない。
【0065】
図4Dは、実施形態による
図4Aの半導体デバイス400のSBDタブ416の断面を示す図である。断面は、
図4Aの線B-B’に沿って取られ、SBDタブ418内に配置された垂直型SBDセルを図示する。
【0066】
図4Dは、
図4Cに関して説明したように、半導体デバイス400の半導体基板401と、半導体基板401の上面に配置されたエピタキシー層404とを示す図である。
【0067】
図4Dは、
図4Cに関して説明したように、半導体基板401の下面に配置されたドレインコンタクト408をさらに示し、このドレインコンタクトは、半導体デバイス400のSBDタブ416内のすべてのSBDセルのすべてのカソードに電気的に接続され得る。
【0068】
SBDタブ416では、p-シールド436がエピタキシー層404内に形成される。ショットキー層432が、エピタキシー層404及びp-シールド436の全部又は一部に形成される。ショットキー層432は、ショットキー層432とエピタキシー層404の接合部にショットキー障壁が生じるように、エピタキシー層404とは異なる仕事関数を有する材料(典型的には金属)を含む。ここで、エピタキシー層404がn型半導体である場合、ショットキー層432は、エピタキシー層404よりも高い仕事関数を有する材料から構成される。したがって、図示例では、ショットキー層432は、チタン(Ti)、チタンタングステン(TiW)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)などを用いて構成することができる。
【0069】
誘電体448は、p-シールド436の部分及びショットキー層432の部分に配置される。パッシベーション層428は、誘電体448上に配置される。
【0070】
カソードコンタクト420は、ショットキー層432上に配置され、ショットキー層432と電気的に接触する。カソードコンタクト420は、数ある導体の中でもアルミニウムを用いて構成することができる。
【0071】
図4Dは、一実施形態のSBDタブ416内の垂直型SBDセルの可能な構造を示すが、実施形態はこれに限定されない。
【0072】
図5Aは、別の実施形態に係る垂直型MOSFET及び垂直型SBDを含むマルチタブ半導体デバイス500Aを示す図である。
【0073】
半導体デバイス500Aは、両方とも、第1の複数のタブ(総称して、MOSFETタブ518)にMOSFETセルを配置し、第2の複数のタブ(総称して、SBDタブ516)にSBDセルを配置するという点で、
図1Bの半導体デバイス100Bと類似している。
【0074】
半導体デバイス500Aは、半導体ダイ502の上縁及び下縁に隣接して配置された上側及び下側のSBDタブ516-1及び516-2をそれぞれ含む。SBDタブ516-1及び516-2はそれぞれ、トレンチ終端516-1T及び516-2T内に包含され、半導体ダイ502の上面に配置されたそれぞれのアノードコンタクト520-1及び520-2を含む。
【0075】
半導体デバイス500Aは、半導体ダイ502の幅を横切って、上側SBDタブ516-1と下側SBDタブ516-2との間に配置された第1、第2、第3、及び第4のMOSFETタブ518-1、518-2、518-3、及び518-4をそれぞれさらに含む。MOSFETタブ518-1、518-2、518-3、及び518-4は、トレンチ終端518-1T、518-2T、518-3T、及び518-4T内にそれぞれ包含される。MOSFETタブ518-1、518-2、518-3、及び518-4は、半導体ダイ502の上面に配置されたそれぞれのソースコンタクト504-1、504-2、504-3、及び504-4と、それぞれのゲートコンタクト506-1、506-2、506-3、及び506-4とを含む。
【0076】
MOSFETタブ518内のMOSFETセルのドレイン及びSBDタブ516内のSBDセルのカソードは、半導体ダイ502の底面に配置されたドレインコンタクト(図示せず)に共通に接続される。
【0077】
実施形態では、MOSFETタブ518及びSBDタブ516の内部構造は、それぞれ
図4C及び
図4Dに示すMOSFETタブ418及びSBDタブ416の構造と実質的に類似していてもよい。
【0078】
上側及び下側SBDタブ516-1及び516-2を半導体ダイ502の上側及び下側端にそれぞれ隣接して配置することにより、MOSFETタブ518-1~518-4からの熱拡散によるSBDタブ516-1及び516-2の動作温度上昇を低減することができる。
【0079】
図5Bは、別の実施形態による垂直型MOSFET及びSBDを含むマルチタブ半導体デバイス500Bを示す図である。
【0080】
導体デバイス500Bは、
図5Aの半導体デバイス500Aに類似している。しかしながら、半導体デバイス500Bは、例えば、半導体ダイ502Bが、その中心で半導体デバイス500Bに衝突する流体を使用して冷却される場合にあり得るように、半導体ダイ502Bの中心が半導体ダイ502Bの縁よりも低温である動作条件用に設計される。
【0081】
したがって、半導体ダイ502Bの中心部の動作温度は、半導体ダイ502Bの周辺部の動作温度よりも低いので、半導体デバイス500Bの上側SBDタブ516-1及び下側SBDタブ516-2は、半導体ダイ502Bの中心部に近接して配置される。
【0082】
図6は、別の実施形態による垂直型MOSFET及び垂直型SBDを含むマルチタブ半導体デバイス600を示す。
【0083】
半導体デバイス600は、両方とも、第1の複数のタブ(総称して、MOSFETタブ618)にMOSFETセルを配置し、第2の複数のタブ(総称して、SBDタブ616)にSBDセルを配置するという点で、
図1Bの半導体デバイス100Bと同様である。
【0084】
図6において、線を付していないタブはMOSFETタブ618であり、線を付しているタブはSBDタブ616である。MOSFETタブ618は、
図4Aに示した半導体デバイス400のMOSFETタブ418と同様の内部構成とすることができ、SBDタブ616は、
図4Aに示した半導体デバイス400のSBDタブ416と同様の内部構成とすることができる。
【0085】
SBDタブ616は、半導体ダイ602の左端領域及び右端領域に配置され、MOSFETタブ618は、左端領域と右端領域との間に配置される。
【0086】
SBDタブ616を半導体ダイ602の左端領域及び右端領域に配置することによって、MOSFETタブ618からの熱拡散によるSBDタブ616の動作温度上昇を低減することができる。
【0087】
図7は、別の実施形態による垂直型MOSFET及び垂直型SBDを含むマルチタブ半導体デバイス700を示す。
【0088】
半導体デバイス700は、半導体デバイス700が複数の混合タブ(総称して、混合タブ714)の各々にMOSFETセルとSBDセルの両方を配置する点で、
図1Cの半導体デバイス100Cと同様である。
【0089】
半導体デバイス700は、半導体ダイ702の長軸を横切って平行に配置された第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の混合タブ714-1、714-2、714-3、714-4、714-5、及び714-6を含む。混合タブ714の長軸は、半導体ダイ702の短軸と一致している。
【0090】
合タブ714は実質的に同一であり、したがって、簡潔にするために、第1の混合タブ714-1のみを説明する。
【0091】
第1の混合タブ714-1の上側SBD部分710-A1及び下側SBD部分710-B1(ハッチングで示す)は、SBDセルを備え、それぞれ、半導体ダイ702の上側及び下側端に隣接する第1の混合タブ714-1の部分に配置される。MOSFETセルは、SBD部分710-A1及び710-B1には存在しない。
【0092】
第1の混合タブ714-1のMOSFET部分712-1(線を付してない)は、MOSFETセルを含み、上下のSBD部分710-A1及び710-B1の間に配置される。SBDセルはMOSFET部分712-1には存在しない。
【0093】
第1の混合タブ714-1は、トレンチ終端714-1Tによって包含され、半導体ダイ702の上面に配置されたソースコンタクト704-1及びゲートコンタクト706-1を含む。
【0094】
第1の混合タブ714-1のMOSFETセルのゲートは、ゲートコンタクト706-1に共通に電気的に接続される。第1の混合タブ714-1のMOSFETセルのソースコンタクト及び第1の混合タブ714-1のSBDセルのアノードは、共通にソースコンタクト704-1に電気的に接続される。
【0095】
第1の混合タブ714-1のMOSFETセルのドレイン及び第1の混合タブ714-1のSBDセルのカソードは、半導体ダイ702の底面に配置されたドレインコンタクト(図示せず)に共通に電気的に接続される。第2~第6の混合タブ714-2~714-6のMOSFETセルのドレイン及び第2~第6混合タブ714-2~714-6のSBDセルのカソードも、共通にドレインコンタクトに電気的に接続され得る。
【0096】
一実施形態では、線A-A’に沿ったMOSFET部分712-1の断面は、
図4Cに示すMOSFETタブ418の断面と実質的に類似していてもよい。しかし、実施形態はこれに限定されない。
【0097】
一実施形態では、線B-B’に沿った上側SBD部分710-A1又は下側SBD部分710-B1の断面は、
図4Dに示すSBDタブ416の断面と実質的に類似していてもよい。しかし、実施形態はこれに限定されない。
【0098】
第1の混合タブ714-1の上側SBD部分710-1及び下側SBD部分710-2を半導体ダイ702の上側端及び下側端にそれぞれ隣接して配置し、第2~第6の混合タブ714-2~714-6の各々の上側SBD部分及び下側SBD部分を半導体ダイ702の上側端及び下側端にそれぞれ隣接して配置することによって、混合タブ714のMOSFET部分からの熱拡散による混合タブ714のSBD部分の動作温度上昇を低減することができる。
【0099】
図8A、
図8B、及び
図8Cは、他の実施形態による垂直型MOSFET及び垂直型SBDを含むマルチタブ半導体デバイス800A、800B、及び800Cを示す。
【0100】
図8Aは、他の実施形態による垂直型MOSFET及び垂直型SBDを含むマルチタブ半導体デバイス800Aを示す図である。半導体デバイス800Aは、第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の混合タブ814-1、814-2、814-3、814-4、814-5、及び814-6を含む。
【0101】
半導体デバイス800A、800B、及び800Cはそれぞれ、
図7の半導体デバイス700と同様である。例えば、半導体デバイス700の第1の混合タブ714-1のように、半導体デバイス800Aの第1の混合タブ814-1は、トレンチ終端814-1Tによって包含され、ソースコンタクト804-1及びゲートコンタクト806-1を含み、上側及び下側SBD部分810-A1及び810-B1を有し、MOSFET部分812-1を有し、それぞれの説明は、
図7の対応する構造の説明と同様である。したがって、簡潔にするために、半導体デバイス800A、800B、800Cと半導体デバイス700との相違点のみを説明する。
【0102】
半導体デバイス700では、SBD部分(ハッチングで示す)の面積は、混合タブ714のそれぞれで同じである。対照的に、半導体デバイス800A、800B、及び800Cの混合タブ814のSBD部分の領域は、それぞれの混合タブ814のダイ上の位置の予想される動作温度に応じて変化する。
【0103】
例として、半導体ダイ802の上端及び下端に近い領域は、より中央の領域の動作温度よりも低い動作温度を有する可能性がある一方で、半導体ダイ802の角の領域は、さらに低い温度を有する可能性がある。したがって、半導体デバイス800Aでは、SBD部分が隅にある第1の混合タブ814-1におけるSBD部分(ハッチングで示す)の面積は、隅にない第2の混合タブ814-2におけるSBD部分の面積よりも大きい。
【0104】
SBD部分として使用される各混合タブ814の部分は、SBD部分の平均動作温度又は最高動作温度を最小にするように決定することができる。例として、
図3Cに示すような温度マップを決定し、温度マップの等高線(すなわち等温線)をSBD部分の最も内側の境界として使用して混合タブ814のSBD部分を配置することができる。
【0105】
境界線として使用する等温線は、SBD部分に必要な総面積に応じて決定することができる。SBD部分に必要な総面積はSBDの動作温度に依存する可能性があるため、設計、シミュレーション、評価を繰り返す反復プロセスを用いて等温線を決定することができる。
【0106】
したがって、
図8Aの半導体デバイス800Aのような実施形態では、最も外側の混合タブ814内のSBD部分(第1の混合タブ814-1の第1の上側SBD部分810-A1及び第1の下側SBD部分810-B1など)は第1の面積を有してもよく、より中央の混合タブ814内のSBD部分(第2の混合タブ814-2の第2の上側SBD部分810-A2及び第2の下側SBD部分810-B2など)は第1の面積よりも小さい第2の面積を有してもよい。
【0107】
図8Bの半導体デバイス800Bのような他の実施形態では、各混合タブ814のSBD部分の各々の面積は、各混合タブ814の動作温度に応じて異なってもよい。
【0108】
図8Cの半導体デバイス800Cのような実施形態では、混合タブ814-3及び814-4の最も中央のようないくつかの混合タブ814は、SBD部分をもたず、代わりにMOSFET部分のみを含む場合がある(したがって、実際には混合タブではない場合がある)。
【0109】
半導体デバイス800A、800B、又は800CのSBD部分の平均動作温度又は最高動作温度は、半導体デバイス700の対応する動作温度よりも低い可能性があるため、SBD部分に使用される総面積は、半導体デバイス800A、800B、又は800Cにおいてより小さい可能性がある。
【0110】
図4、
図5A、及び
図6の半導体デバイス400、500A、及び600と比較して、
図7、
図8A、
図8B、及び
図8Cの半導体デバイス700、800A、800B、及び800Cでは、SBDセルのアノードをMOSFETのソースに接続するためにボンドワイヤを使用する必要がなく、これは、そのような接続が混合タブの配線層内に形成され得るからである。さらに、半導体デバイス700、800A、800B、及び800Cの高電圧終端の寄生キャパシタンスは、半導体デバイス400、500A、及び600の高電圧終端の寄生キャパシタンスよりも低い場合がある。
【0111】
図9は、別の実施形態による垂直型MOSFET及び垂直型SBDを含むマルチタブ半導体デバイス900を示す。
【0112】
半導体デバイス900は、半導体デバイス900が複数の混合タブ(総称して、混合タブ914)の各々にMOSFETセルとSBDセルの両方を配置する点で、
図1Cの半導体デバイス100Cと同様である。
【0113】
半導体デバイス900は、
図7の半導体デバイス700と同様である。例えば、半導体デバイス700の第1の混合タブ714-1のように、半導体デバイス900の第1の混合タブ914-1は、トレンチ終端914-1Tによって包含され、ソースコンタクト904-1及びゲートコンタクト906-1を含み、MOSFETセルを含むがSBDセルを含まないMOSFET部分912-1を有する。これらの各構造の説明は、
図7の対応する構造の説明と同様である。したがって、簡潔にするために、半導体デバイス900と半導体デバイス700との相違点のみを説明する。
【0114】
第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の混合タブ914-1、914-2、914-3、914-4、914-5、及び914-6は実質的に同一であり、したがって、簡潔にするために、第1の混合タブ914-1のみを説明する。
【0115】
SBDセルを含むがMOSFETセルを含まない
図7の半導体デバイス700の上側及び下側SBD部分(第1混合タブ714-1の第1上側SBD部分710-A1及び第1下側SBD部分710-B1など)の代わりに、半導体デバイス900の混合タブ914は、第1混合タブ914-1の第1上側混合部分911-A1及び第1下側混合部分911-B1などのMOSFETセルとSBDセルの両方を含む上側及び下側部分(以下、混合部分、クロスハッチングで示す)を有する。
【0116】
第1の混合タブ914-1の上側及び下側混合部分911-A1及び911-B1は、SBDセル及びMOSFETセルの両方を備える。第1の混合タブ914-1の上側及び下側混合部分911-A1及び911-B1は、半導体ダイ902の上側及び下側端に隣接する第1の混合タブ914-1の部分にそれぞれ配置される。
【0117】
第1の混合タブ914-1のMOSFET部分912-1(ハッチングのない状態で示す)は、MOSFETセルを含み、SBDセルを含まない。MOSFET部分912-1は、上側混合部分911-A1と下側混合部分911-B1との間に配置される。
【0118】
MOSFET部分912-1及び第1の混合タブ914-1の混合部分911-A1及び911-B1の両方のMOSFETセルのゲートは、ゲートコンタクト906-1に電気的に接続される。MOSFET部分912-1及び第1の混合タブ914-1の混合部分911-A1及び911-B1の両方のMOSFETセルのソース、ならびに第1の混合タブ914-1の混合部分911-A1及び911-B1のSBDセルのアノードは、ソースコンタクト904-1に電気的に接続される。
【0119】
MOSFET部分912-1及び第1の混合タブ914-1の混合部分911-A1及び911-B1の両方におけるMOSFETセルのドレイン、ならびに第1の混合タブ914-1の混合部分911-A1及び911-B1におけるSBDセルのカソードは、半導体ダイ902の底面に配置されたドレインコンタクト(図示せず)に電気的に接続される。MOSFET部分及び第2~第6混合タブ914-2~914-6の混合部分の両方のMOSFETセルのドレイン、及び第2~第6混合タブ914-2~914-6の混合部分のSBDセルのカソードも、ドレインコンタクトに電気的に接続され得る。
【0120】
一実施形態では、線A-A’に沿ったMOSFET部分912-1の断面は、
図4Cに示すMOSFETタブ418の断面に相当し得る。しかし、実施形態はこれに限定されない。
【0121】
実施形態では、線C-C’に沿ったような上側混合部分911-A1又は下側混合部分911-B1の断面は、
図11Aに示す断面に相当し得る。別の実施形態では、線C-C’に沿ったような上側混合部分911-A1又は下側混合部分911-B1の断面は、
図11Bに示す断面に対応し得る。しかしながら、実施形態はこれに限定されない。
【0122】
実施形態では、混合タブ914の混合部分のMOSFETセル及びSBDセルは、後述の
図11A及び
図11Bを参照して説明するように、交互に配置される。
【0123】
混合タブ914の混合部分を半導体ダイ902のより低温の位置に配置することによって、半導体デバイス700で得られる温度関連の利点のいくつかは、同様に発揮され得る。しかし、発熱MOSFETセルがSBDセルの近くに配置されるため、温度関連の利点はそれほど大きくならない。
【0124】
ただし、混合タブ914の混合部分におけるSBDセルとMOSFETセルとの混合により、デバイスの総アクティブ面積を増大させることなくSBDセルを互いに分離することができるため(MOSFETセルがSBDセル間の空間を占めるため)、以下に
図12及び
図13を参照して説明するように、SBDは、MOSFETセル下のエピタキシー層における電流拡散から恩恵を受け得る。
【0125】
図10は、別の実施形態による垂直型MOSFET及び垂直型SBDを含むマルチタブ半導体デバイス1000を示す。半導体デバイス1000は、第1、第2、第3、第4、第5、及び第6の混合タブ1014-1、1014-2、1014-3、1014-4、1014-5、及び1014-6を含む。
【0126】
半導体デバイス1000は、
図9の半導体デバイス900と同様である。例えば、半導体デバイス900の第1の混合タブ914-1と同様に、半導体デバイス1000の第1の混合タブ1014-1は、トレンチ終端1014-1Tによって包含され、ソースコンタクト1004-1及びゲートコンタクト1006-1を含み、上側及び下側混合部分1011-A1及び1011-B1を有し、MOSFET部分1012-1を有し、それぞれの説明は、
図9の対応する構造の説明と同様である。したがって、簡潔にするために、半導体デバイス1000と半導体デバイス900との相違点のみを説明する。
【0127】
半導体デバイス900では、混合部分(クロスハッチングで示す)の面積は、混合タブ914のそれぞれにおいて同じである。対照的に、半導体デバイス1000の混合タブ1014の混合部分の面積は、それぞれの混合タブ1014のダイ上の場所の予想される動作温度に応じて変化する。
【0128】
例えば、半導体ダイ1002の上端及び下端に近い領域は、より中央の領域の動作温度よりも低い動作温度を有する可能性がある一方で、半導体ダイ1002の角の領域は、さらに低い動作温度を有する可能性がある。したがって、半導体デバイス1000では、混合部分が隅にある第1の混合タブ1014-1における混合部分1011-A1及び1011-B1(クロスハッチングで示す)の面積は、隅にない第2の混合タブ1014-2における混合部分混合部分1011-A2及び1011-B2の面積よりも大きい。
【0129】
混合部分として使用される各混合タブ1014の部分は、混合部分の平均動作温度又は最高動作温度を最小にするように決定することができる。例えば、
図3Cに示すような温度マップを決定し、温度マップの等高線(すなわち等温線)を混合部分の最内境界として混合タブ1014の混合部分を配置することができる。
【0130】
境界線として使用する等温線は、混合部分に必要な総面積に応じて決定することができる。混合部分に必要な総面積は、混合部分のSBDセルの動作温度に依存する可能性があるため、設計、シミュレーション、評価を繰り返す反復プロセスを用いて等温線を決定することができる。
【0131】
したがって、半導体デバイス1000のような実施形態では、最も外側の混合タブ1014内の混合部分(第1混合タブ1014-1の第1の上側混合部分1011-A1及び第1の下側混合部分1011-B1など)は第1の面積を有してもよく、より中央の混合タブ1014内の混合部分(第2の混合タブ1014-2の第2の上側混合部分1011-A2及び第2の下側混合部分1011-B2など)は第1の面積よりも小さい第2の面積を有してもよい。
【0132】
他の実施形態では、各混合タブ1014の各混合部分の面積は、各混合タブ1014の動作温度に応じて異なる場合がある。
【0133】
実施形態では、ダイ1002の1つ以上の最も中央のタブなど、いくつかの混合タブ1014は、混合部分をもたず、代わりにMOSFET部分のみを含む場合がある。
【0134】
半導体デバイス1000の混合部分のSBDセルの平均動作温度又は最高動作温度は、半導体デバイス900の対応する動作温度よりも低い場合があるので、混合部分のSBDセルに使用される総面積は、半導体デバイス1000においてより小さい場合がある。
【0135】
図11Aは、実施形態による混合タブ1114Aの詳細を示す平面図である。混合タブ1114Aは、
図9の混合タブ914-1~914-6又は
図10の混合タブ1014-1~1014-6のいずれであってもよい。
【0136】
混合タブ1114Aは、ゲート電極1126及びソース電極1124を含む。ゲート電極1126は、
図9に示すゲートコンタクト906-1のようなゲートコンタクトに電気的に接続されることがあり、ソース電極1124は、
図9に示すソースコンタクト904-1のようなソースコンタクトに電気的に接続されることがある。
【0137】
ゲート電極1126及びソース電極1124は、それぞれ複数のフィンガーを含み、ゲート電極1126のフィンガーは、ソース電極1124のフィンガーと互い違いに配置される。
【0138】
混合タブ1114AのMOSFET領域1112では、ゲート電極1126の各フィンガーはMOSFETセルに対応することができ、ソース電極1124の隣接する2つのフィンガーはそのMOSFETセルのソース電極として動作する。
【0139】
混合タブ1114Aの上側及び下側混合部分1111-A及び1111-Bでは、ゲート電極1126の各フィンガーはMOSFETのセルに対応し、ソース電極1124の各フィンガーはSBDセルのアノードに対応し、隣接するMOSFETセルのソース電極としても動作し得る。
【0140】
したがって、混合タブ1114Aは、複数のMOSFETセル及び複数のSBDセルを含むことができ、MOSFETセルは混合タブ1114A全体に配置され、SBDセルは混合タブ1114Aの混合部分1111-A及び1111-Bにのみ配置される。
【0141】
図11Aは、4個のSBDセル及び11個のMOSFETセルを有する混合タブ1114Aを示す図であるが、実施形態はこれに限定されず、各セルタイプをより多く又は少なく含むことができる。
【0142】
また、
図11Aは、混合タブ1114Aの最上位セル及び最下位セルをMOSFETセルであるとして示す図であるが、実施形態はこれに限定されず、混合タブ1114Aの最上位セル及び最下位セルはSBDセルであってもよい。
【0143】
また、
図11Aは、混合タブ1114Aの混合部分1111-A及び1111-BにおけるMOSFETセル及びSBDセルの交互配置を示し、隣接する各対のMOSFETセルの間に1つのSBDセルがあり、隣接する各対のSBDセルの間に1つのMOSFETセルがあるが、実施形態はこれに限定されず、混合タブ1114Aの混合部分1111-A及び1111-Bは、隣接する各対のMOSFETセル間に1つ以上のSBDセル、隣接する各対のSBDセル間に1つ以上のMOSFETセル、又はその両方を含むことができる。
【0144】
図11Bは、実施形態による混合タブ1114Bの断面を示す図である。この断面は、
図9、
図10、又は
図11Aの線C-C’に沿ってとられ、混合タブ1114Bの混合部分内に配置された互い違いのMOSFETセル及びSBDセルを図示する。
【0145】
図11Bにおいて4××の形式の参照文字を有する部分は、
図4C及び
図4Dにおいて同じ参照文字を有する部分と実質的に類似しており、したがって、その説明は、簡潔にするために省略される。
図11Bにおける11××の形式の参照文字を有する部分は、
図11Aにおける同じ参照文字を有する部分と実質的に類似しており、したがって、その説明は簡潔にするために省略する。
【0146】
図11Bは、ソース電極1124の各フィンガーが、対応するSBDセルのアノードとして、及び隣接するMOSFETセルのソース電極として、どのように動作するかを示す。
【0147】
図11Cは、一実施形態による混合タブ1114Cの断面を示す。この断面は、
図9、
図10、又は
図11Aの線C-C’に沿ってとられ、混合タブ1114Cの混合部分内に配置された互い違いのMOSFETセル及びSBDセルを図示する。
【0148】
混合タブ1114Cは、
図11Bの混合タブ1114Bとほぼ同様の構造であるため、簡潔にするために、両者の相違点のみを説明する。
【0149】
混合タブ1114Cでは、
図11Bの混合タブ1114Bにあるようなp-シールド436は存在しない。代わりに、p-ボディ408が、混合タブ1114Bにおいてp-シールド436が実行する機能を、混合タブ1114Cにおいて実行する。したがって、p-ボディ408の数は、混合タブ1114Bに比べて増加する可能性があり、p-ボディ408の形状は変更される可能性がある。
【0150】
図12は、実施形態による
図9又は
図10の半導体デバイスのSBDセルのエピタキシー層での電流の広がりを示す図である。SBDセルが電流を流すとき、SBDセルに隣接するMOSFETセルは電流を流さないので、SBDセルを通る電流は、下に配置されたエピタキシー層に広がり、SBDセルの直列抵抗を低減することができる。
【0151】
図13は、一実施形態による
図9又は
図10の半導体デバイスのSBDセルに対する電流の広がりの効果を示す図である。グラフは、MOSFET/SBDセルの幅(W
UNDERLAPと記される)の関数としてのSBDの比直列抵抗(R
S,SP)を表す。MOSFET/SBDセルのSBD部分の異なる幅(1.0μmと3.8μm)について、2つの曲線が報告されている(W
ACTIVEと記される)。
【0152】
W
UNDERLAPが増加するにつれて比直列抵抗が減少するのは、MOSFET/SBDセルのMOSFET部分の下でSBD電流が広がるためである。この減少はMOSFET/SBDのSBD部分が狭いほど強く、W
ACTIVEが小さいことに対応する。あるI
Fで同じV
Fターゲットであれば、エピタキシー層の電流拡散を利用することで、より小さなアクティブエリアを持つSBDを設計することができる。
図13で報告された比直列抵抗の低減に基づいて、SBDの総アクティブ面積は、W
ACTIVEが3.8μmの場合は少なくとも2分の1、1.0μmの場合は少なくとも5分の1小さくすることができる。
【0153】
複数のパワーデバイスセルを備えるパワーデバイスと複数のダイオードセルを備えるダイオードを含む半導体デバイスが、ダイオードセルの動作温度を最小化するような方法で、複数のタブ内にパワーデバイスセルとダイオードセルを配置する、例示的な実施形態が提供されている。実施形態では、半導体デバイスはシリコンカーバイドデバイスであるが、実施形態はこれに限定されない。実施形態では、パワーデバイスは、垂直型MOSFETなどのMOSFETであるが、実施形態はこれに限定されない。実施形態では、ダイオードは、垂直型SBDなどのSBDであるが、実施形態はこれに限定されない。
【0154】
本開示の態様を、例示として提示された特定の実施形態と併せて説明してきた。開示された実施形態に対する多数の代替、修正、及び変形は、特許請求の範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に開示された実施形態は、限定を意図するものではない。
【国際調査報告】