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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】放熱組立体及び放熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20240822BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20240822BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H05K7/20 N
H01L23/36 Z
H01L23/46 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516647
(86)(22)【出願日】2022-03-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2022080743
(87)【国際公開番号】W WO2023045275
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202111134798.5
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511151662
【氏名又は名称】中興通訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
【住所又は居所原語表記】ZTE Plaza,Keji Road South,Hi-Tech Industrial Park,Nanshan Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】段凱文
(72)【発明者】
【氏名】李帥
(72)【発明者】
【氏名】劉欣
(72)【発明者】
【氏名】劉帆
(72)【発明者】
【氏名】聶志東
(72)【発明者】
【氏名】汪艷
(72)【発明者】
【氏名】趙明明
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA05
5E322AA10
5E322DA00
5E322FA01
5F136BA07
5F136CB08
(57)【要約】
放熱組立体及び放熱装置が開示される。放熱組立体は、基板ベース(110)と、基板カバープレート(120)と、乱流発生部材と、複数の放熱部材(130)とを含み、基板カバープレート(120)は、基板ベース(110)と接続され、熱を集中させるための集熱キャビティ(210)を形成し、乱流発生部材は、乱流発生片(310)、乱流発生柱を含み、集熱キャビティ(210)内に設置され、乱流発生片(310)と集熱キャビティ(210)との高さが等しく、乱流発生片(310)は、基板ベース(110)に少なくとも部分的に密着して配置され、基板カバープレート(120)に少なくとも部分的に密着して配置され、乱流発生片(310)の側壁が基板カバープレート(120)と基板ベース(110)との間に配置され、乱流発生片(310)の側壁は基板カバープレート(120)と基板ベース(110)とを支持し、乱流発生片(310)の隣接する側壁の間に空室が設けられ、複数の放熱部材(130)は、基板カバープレート(120)と接続され、放熱部材(130)には集熱キャビティ(210)と連通するように設けられた放熱管路(230)が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板ベースと、
前記基板ベースと接続され、熱を集中させるための集熱キャビティを形成する基板カバープレートと、
前記集熱キャビティ内に設置された乱流発生部材であって、前記乱流発生部材は、1つ以上の乱流発生片を含み、前記乱流発生片の高さと前記集熱キャビティの高さとが等しく、前記乱流発生片は、前記基板ベースに少なくとも部分的に密着して配置され、前記基板カバープレートに少なくとも部分的に密着して配置され、前記乱流発生片の側壁が前記基板カバープレートと前記基板ベースとの間に配置され、前記側壁は前記基板カバープレートと前記基板ベースとを支持し、前記乱流発生片の隣接する側壁の間に空室が設けられた前記乱流発生部材と、
前記基板カバープレートと接続された複数の放熱部材であって、前記放熱部材は、1つ以上の放熱管路が設けられ、前記放熱管路は、前記集熱キャビティと連通するように設けられた前記放熱部材と、
を含む放熱組立体。
【請求項2】
前記乱流発生片は、複数のアレイ素子を含み、
前記アレイ素子の横断面形状は、几字形と、台形と、矩形と、Z形と、V形と、W形と、のうちの少なくとも1つを含む
請求項1に記載の放熱組立体。
【請求項3】
隣接する乱流発生片の配置方式は、離隔配置と、密着配置と、のうちの少なく1つを含む
請求項1に記載の放熱組立体。
【請求項4】
2つの密着して配置された前記乱流発生片の側壁の構造は、平行に位置合わされた構造であるか、又は位置をずらして形成された局所的に交錯する重ね合わせ構造である
請求項3に記載の放熱組立体。
【請求項5】
2つ以上の密着して配置された乱流発生片単体構造体により、一体型の複雑乱流発生片単体構造を構成する
請求項4に記載の放熱組立体。
【請求項6】
前記基板カバープレートには貫通溝が設けられ、前記放熱部材は底部の位置決め部を介して位置決めされて前記貫通溝と組み立てられ、前記放熱管路は前記貫通溝を介して前記集熱キャビティと互いに連通している
請求項1に記載の放熱組立体。
【請求項7】
前記乱流発生片が前記貫通溝を遮らないように、前記乱流発生片のうち、前記基板カバープレートと密着する部分は前記貫通溝とずらして設置された
請求項6に記載の放熱組立体。
【請求項8】
前記乱流発生片が前記放熱管路を遮らないように、前記乱流発生片のうち、前記基板カバープレートと密着する部分は前記放熱管路とずらして設置された
請求項6に記載の放熱組立体。
【請求項9】
前記基板ベースには乱流発生柱が設けられ、
前記乱流発生柱は、第1の柱体と、前記第1の柱体と同心状に設けられた第2の柱体とを含み、
前記第1の柱体は、前記第2の柱体よりも半径が大きく、前記集熱キャビティ内に設けられ、かつ高さが前記集熱キャビティの高さと等しく、
前記第2の柱体にはねじ穴が設けられ、前記第2の柱体は前記第1の柱体よりも高い
請求項1に記載の放熱組立体。
【請求項10】
前記放熱部材は、前記放熱部材の重力方向における両側に延設された外部延在構造を含み、前記外部延在構造により、前記放熱部材の重力方向における寸法が前記基板ベースの長手方向寸法よりも大きい
請求項1に記載の放熱組立体。
【請求項11】
前記放熱管路の形状構造は少なくとも、ハニカム形と、最速降下線形と、斜線形と、のうちの1つを含む
請求項1に記載の放熱組立体。
【請求項12】
請求項1から11の何れか一項に記載の放熱組立体を含む
放熱装置。
【請求項13】
ハウジングをさらに含み、前記放熱組立体は、前記ハウジングと密封的に接続されている
請求項12に記載の放熱装置。
【請求項14】
前記放熱組立体は、前記ハウジングと螺合により接続され、或いは、前記放熱組立体は、前記ハウジングと攪拌摩擦溶接により接続されている
請求項13に記載の放熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は出願番号が202111134798.5で、出願日が2021年9月27日である中国特許出願に基づいて提出され、その中国特許出願の優先権を主張し、その中国特許出願の全ての内容を参考として本願に援用する。
【0002】
本願は電子技術の分野に関し、特に放熱組立体及び放熱装置に関する。
【背景技術】
【0003】
電力電子技術の高速な発展に伴い、電子機器はますます大容量化、大出力化、高集積化、軽量化する方向へ発展し、これにより機器システムの熱消費密度がますます大きくなり、環境適応性の需要もますます高くなり、電子機器の高信頼性放熱問題はすでに業界の発展を抑制するボトルネックになっている。
【0004】
アクティブアンテナユニット(Active Antenna Unit、略してAAUと称する)の放熱装置を例とすると、その軽量化の放熱需要は主に内部の消費電力の高いボトルネックとなっているチップにより制約を受けている。一部の技術案では、3D VC形態の放熱装置を用いて局部の高熱流束領域に対して冷却を行ってもよいが、この技術形態には漏れのリスクが高く、信頼性が低く、耐圧力が低く、変形しやすいなどの問題が存在する。これと同時に、鉛直に置かれた状態では、3D VC放熱モジュールの集熱キャビティの最上部で空焚きが発生しやすいため、対応するチップに過熱して故障するリスクがある。
【0005】
3D VC放熱モジュールの放熱能力はその構造の熱設計と密接な関係にあり、3D VCモジュール自体及び機器全体の放熱能力を更に高めるために、放熱モジュールの内部キャビティ設計及び放熱モジュールとハウジングとの組立構造の設計の改善と最適化が急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願は放熱組立体及び放熱装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様において、本願の実施例は放熱組立体を提供する。前記放熱組立体は、
基板ベースと、
前記基板ベースと接続され、熱を集中させるための集熱キャビティを形成する基板カバープレートと、
前記集熱キャビティ内に設置された乱流発生部材であって、前記乱流発生部材は、1つ又は2つ以上の乱流発生片及び乱流発生柱を含み、前記乱流発生片の高さと前記集熱キャビティの高さとが等しく、前記乱流発生片は、前記基板ベースに少なくとも部分的に密着して配置され、前記基板カバープレートに少なくとも部分的に密着して配置され、前記乱流発生片の側壁が前記基板カバープレートと前記基板ベースとの間に配置され、前記側壁は前記基板カバープレートと前記基板ベースとを支持し、前記乱流発生片の隣接する側壁の間に空室が設けられた前記乱流発生部材と、
前記基板カバープレートと接続された複数の放熱部材であって、前記放熱部材は、1つ又は2つ以上の放熱管路が設けられ、前記放熱管路は、前記集熱キャビティと連通するように設けられた前記放熱部材と、を含む。
【0008】
第2の態様において、本願の実施例は第1の態様に記載の放熱組立体を含む放熱装置を提供する。
【0009】
本願の他の特徴及び利点は、後の明細書において説明され、明細書から部分的に明らかになるか、又は本願を実施することによって理解される。本願の目的及び他の利点は、明細書、特許請求の範囲及び図面において特別に指摘される構成によって達成し、得ることができる。
【0010】
添付図面は、本願の技術案の更なる理解を提供するものであり、明細書の一部を構成し、本願の実施例と共に本願の技術案を解釈するために使用され、本願の技術案に対する制限を構成するものではない。
【0011】
以下では、図面と実施例を組み合わせて本願をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本願の一実施例に係る放熱組立体の構造模式図である。
図2】本願の一実施例に係る放熱組立体の基板と放熱部材接続構造の部分模式図である。
図3】本願の一実施例に係る放熱組立体の乱流発生片が基板内に設けられた部分模式図である。
図4】本願の一実施例に係る放熱組立体内の乱流発生片の第1の構造模式図である。
図5】本願の一実施例に係る放熱組立体内の乱流発生片の第2の構造模式図である。
図6】本願の一実施例に係る放熱組立体内の乱流発生片の第3の構造模式図である。
図7】本願の一実施例に係る放熱組立体内の乱流発生部材の第1の構造模式図である。
図8】本願の一実施例に係る放熱組立体内の乱流発生部材の第2の構造模式図である。
図9】本願の一実施例に係る放熱組立体内の乱流発生部材の第3の構造模式図である。
図10】本願の一実施例に係る放熱組立体の乱流発生部材と放熱部材の放熱管路とが位置をずらして設置された構造模式図である。
図11】本願の一実施例に係る放熱装置の構造模式図である。
図12】本願の一実施例に係る放熱組立体の放熱部材の構造模式図である。
図13】本願の一実施例に係る放熱組立体の乱流発生柱の組立の構造模式図である。
図14】本願の一実施例に係る放熱組立体がハウジングと螺合により接続される構造模式図である。
図15】本願の一実施例に係る放熱組立体がハウジングと攪拌摩擦溶接により接続される構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本セクションは、本願の具体的な実施例について詳細に説明し、添付図面には本願の好ましい実施例が示され、図面の役割は、明細書の文字部分の記載を図形で補足することで、本願の各技術的特徴及び全体的な技術的解決手段を直感的かつ具体的に理解することを可能にすることであるが、本願の保護範囲への制限であると理解すべきではない。
【0014】
本願の説明において、「いくつか」は一つ又は複数を意味し、「複数」は2つ以上を意味し、「~より大きい」、「~より小さい」、「~を超える」などは基準となる数を含まないと理解し、「以上」、「以下」、「以内」などは基準となる数を含むと理解すべきである。「第一」、「第二」と言及した場合、技術的特徴を区分するためだけであって、相対的重要性を提示又は暗示する、或いは提示される技術的特徴の数を暗示的に指定する、或いは技術的特徴の前後関係を暗示的に指定するように理解すべきではない。
【0015】
本願の説明において、別途明確な限定がない限り、「設置」、「取付」、「接続」等の用語は、広義に理解されるべきである。当業者は、技術手段の具体的な内容と合わせて、本願における上記の用語の具体的な意味合いを合理的に確定することができる。
【0016】
本願の実施例は、放熱組立体及び放熱装置を提供する。放熱組立体は、基板ベースと、基板カバープレートと、乱流発生部材と、複数の放熱部材とを含む。基板カバープレートは、基板ベースと接続され、熱を集中させるための集熱キャビティを形成する。乱流発生部材は、乱流発生片を含み、集熱キャビティ内に設置される。乱流発生片は、集熱キャビティとの高さが等しい。乱流発生片は、基板ベースに少なくとも部分的に密着して配置され、基板カバープレートに少なくとも部分的に密着して配置される。乱流発生片の側壁は、基板カバープレートと基板ベースとの間に配置される。乱流発生片の側壁は基板カバープレートと基板ベースとを支持する。乱流発生片の隣接する側壁の間には、空室が設けられる。複数の放熱部材は、基板カバープレートと接続される。放熱部材には、集熱キャビティと連通するように設けられた1つ以上の放熱管路が設けられている。乱流発生片の上面と基板カバープレートのキャビティ側面とが密着し、乱流発生片の底面と基板ベースのキャビティ側面とが密着し、乱流発生片の側壁が基板カバープレートと基板ベースとの間に挟み込まれて支持が形成され、放熱装置の耐圧力、構造的強度及び信頼性を高めることができる。乱流発生片の隣接する側壁の間に空室が設けられることにより、空室を気液分離流路として液体作動媒体を壁面に沿って流すことができ、気体作動媒体を空室の中央を通って上昇して離脱させ、基板内部キャビティの二相循環効率を向上させることができる。また、高温の気体・液体作動媒体が乱流発生片を通過する時、高温の気体・液体流が乱流発生片によって妨げられ、高温の気体・液体流が乱流発生片を迂回し、乱流発生片の側面に渦を形成し、乱流発生片表面の温度境界層を破壊する。これにより、熱抵抗を大幅に減少させ、熱伝達係数を増大させ、熱伝達を強化する作用を実現することができる。
【0017】
以下、添付の図面に関連して、本願の実施例についてさらに説明する。
【0018】
本願の一実施例に係る放熱組立体100を、図1から図3に示す。該放熱組立体100は、基板ベース110と、基板カバープレート120と、乱流発生部材と、複数の放熱部材130とを含む。基板カバープレート120は、基板ベース110と接続され、熱を集中させるための集熱キャビティ210を形成する。乱流発生部材は、集熱キャビティ内に設置され、1つ以上の乱流発生片310及び乱流発生柱を含む。乱流発生片310は、基板ベース110に少なくとも部分的に密着して配置され、基板カバープレート120に少なくとも部分的に密着して配置される。複数の放熱部材130は基板カバープレート120と接続される。放熱部材130には、集熱キャビティ210と連通するように設けられた1つ以上の放熱管路230が設けられている。乱流発生片310を設けることにより、放熱装置の信頼性及び耐圧の問題を解決することができる。また、高温の気体・液体が乱流発生片310を通過する時、高温の気体・液体流が乱流発生片310によって妨げられ、高温の気体・液体流が乱流発生片310を迂回し、乱流発生片310の側面に渦を形成し、乱流発生片310表面の温度境界層を破壊する。これにより、熱抵抗を大幅に減少させ、伝熱係数を増大させ、伝熱を強化する作用を実現することができる。すなわち、乱流発生片310を設けることにより、放熱装置の信頼性及び耐圧の問題を解決すること以外にも、熱抵抗を低減させて熱伝達係数を増大させる作用を達成することもできる。
【0019】
図3に示すように、一実施例において、集熱キャビティ内には、集熱キャビティ210と同じ高さの複数組の連続した乱流発生片310が設置される。これにより、基板ベース110と基板カバープレート120との間の溶接強度を高めることができる。乱流発生片310の上面と基板カバープレート120のキャビティ側面とが密着して設けられ、乱流発生片310の底面と基板ベース110のキャビティ側面とが密着して設けられ、乱流発生片310の側壁が基板カバープレート120と基板ベース110との間に挟み込まれて支持が形成され、放熱装置の耐圧力、構造的強度及び信頼性を高めることができる。乱流発生片310の隣接する側壁の間に独立した空室を気液分離流路として仕切って、液体作動媒体を壁面に沿って流すことができ、気体作動媒体を空室の中央を通って上昇して離脱させ、基板内部キャビティの二相循環効率を向上させることができる。
【0020】
乱流発生片310の構造は、様々な形式であってもよい。例えば、図4から5の単純な乱流発生片310構造である。例えば、図6の複数の単純な乱流発生片310構造を組み合わせてなる複雑な乱流発生片310構造である。該複雑な乱流発生片310構造では、2つの単純な乱流発生片310を密着させて配置し、側壁の位置をずらすことにより局所的に交錯する重ね合わせ構造を形成し、乱流発生片の局所的に交錯する重ね合わせ構造により、単純な乱流発生片310よりも強い耐圧力を持つ。本実施例は乱流発生片310の構造について具体的に限定しない。
【0021】
なお、集熱キャビティ210内には、複数組の乱流発生片310のうちの各乱流発生片310を個別にスポット溶接により位置決めするように配置してもよく、大面積の乱流発生片310を一体的に位置決めするように配置してもよい。隣接する乱流発生片310同士は、密着して配置されてもよく、離隔して配置されてもよい。乱流発生片310の側壁は平行に位置合わされてもよく、位置をずらして局所的に交錯する重ね合わせ構造を形成してもよい。本実施例では乱流発生片310の設置方法について具体的に限定しない。
【0022】
なお、図4から図6に示すように、乱流発生片310は、複数のアレイ素子311を含む。アレイ素子311の横断面形状は、几字形であってもよく、台形であってもよく、矩形であってもよく、Z形であってもよく、V形であってもよく、W形であってもよく、本実施例ではこれについて具体的に限定しない。
【0023】
なお、放熱部材130は放熱管路230が設けられたフィンである。放熱部材130と基板カバープレート120とは垂直に設置されてもよく、傾斜して設置されてもよく、本実施例ではこれについて具体的に限定しない。
【0024】
さらに、放熱管路230を有する放熱部材130について、放熱管路230内では、気体・液体冷媒の流れを満たすことができると理解されてもよい。気体・液体冷媒の温度が閾値を超えると液体の気体・液体冷媒が気化し、気化した気体・液体冷媒が上へ流れ、放熱部材130の表面を介して外部環境の冷たい空気と熱交換する。気化した気体・液体冷媒の温度が閾値以下に下がると液化し、液化した気体・液体冷媒が重力の作用を受けて下へ流れる。これにより、循環流動を実現する。
【0025】
図7に示すように、一実施例において、大面積の乱流発生片310を用いて一体的に位置決めするように基板ベース110に設置する場合、レーザー彫刻等の方法により乱流発生片310の局所領域を空洞化してもい。これにより、集熱キャビティ210内の流れ抵抗を低減させることができる。また、大面積一体型の乱流発生片310構造により、乱流発生片310間の構造連続性を利用して一体的に位置決めを行い、溶接中に乱流発生片310が偏って変位し、放熱管路230を閉塞するリスクを低減させた。
【0026】
図8に示すように、一実施例において、使用時、乱流発生片310の空室が重力方向に対して略垂直である。乱流発生片310と放熱部材130とが離隔して交錯するように設置される。基板カバープレート120のうち、放熱部材130との気体・液体交換用の貫通溝220の位置には、乱流発生片310が設置されていない。乱流発生片310と気体・液体交換用の貫通溝220との縁部間隔は、1mm以上である。
【0027】
図9に示すように、一実施例において、乱流発生片310の空室が重力方向に対して略平行である場合、乱流発生片310の、気体・液体交換の貫通溝220の位置では平坦シート構造で移行させてもよく、平坦シートの底面が基板ベース110のキャビティ側面に密着し、平坦シートの上面と気体・液体交換用の貫通孔との間に隙間空間が保たれる。すなわち、乱流発生片310が貫通溝220を遮ることを防止するために、乱流発生片310のうち基板カバープレート120と密着する部分は貫通溝220とずらして設置される。ここで、平坦シートの縁部と気体・液体交換用の貫通溝220の縁部との間隔は、1mm以上である。
【0028】
図10に示すように、一実施例において、乱流発生片310の空室が重力方向に対して略平行である場合、各乱流発生片310のうち、基板カバープレート120と密着する部分は放熱管路230とずらして設置される。これにより、乱流発生片310が放熱管路230を遮って、集熱キャビティ210と放熱部材130の放熱管路230との間の気体・液体交換を阻害することを防止する。
【0029】
一実施例において、図3に示すように、基板ベース110の内部には、周方向座ぐり穴を設けることにより集熱キャビティ210を仕切って、周方向座ぐり穴により、基板ベース110と基板カバープレート120との間の接続強度及び気密性を強化している。なお、周方向座ぐり穴は基板ベース110と一体構造であってもよく、基板カバープレート120と一体構造であってもよく、本実施例ではこれについて具体的に限定しない。基板ベース110内部キャビティには周方向座ぐり穴が設けられる。基板カバープレート120の底面は、周方向座ぐり穴の上面と密着して接続される。基板カバープレート120の側面は、基板ベース110の内部キャビティ周面と密着して設置される。基板カバープレート120と基板ベース110とは、周方向座ぐり穴により集熱キャビティ210を仕切っている。
【0030】
図11から図12に示すように、放熱組立体100は、ハウジング1110と組み立てられて放熱装置1100を構成している。放熱部材130は、外部延在構造330により、ハウジング1110上のフィンとの間の不連続部分を小さくして、放熱部材130の放熱面積を補うことができる。なお、放熱部材130の外部延在構造330は、ハウジング1110のフィンの一部又は全部に取って代わってもよく、外部延在構造330内には、集熱キャビティ210と連通する放熱管路230が配置されてもよい。放熱部材130の上方外部延在構造330により、放熱部材130は、高さ方向においてハウジング1110の上側フィンに全て取って代わる。また、上方外部延在構造330には集熱キャビティ210と連通する放熱管路230が設けられるため、放熱部材130に凝縮面積と放熱面積を増大させ、さらに、集熱キャビティ210内の液面高さを引き上げ、集熱キャビティ210の上部の空焚き問題を改善し、放熱組立体の二相循環効率及び放熱効率を向上させることができる。
【0031】
一実施例において、図2及び図12に示すように、基板カバープレート120には、放熱部材130に対応する、気体・液体交換用の貫通溝220が設けられているので、放熱部材130の底部を貫通溝220内に挿入して放熱部材130の放熱管路230と基板の集熱キャビティ210とを連通させることができる。放熱部材130が集熱キャビティ210内に過剰に挿入されて気体・液体交換が閉塞される問題を防止するために、放熱部材130の底部には、台形重ね接続形式の位置決め部430が設けられている。放熱部材130は、位置決め部430を利用して基板カバープレート120の貫通溝220とで位置決め組立を形成することができる。
【0032】
なお、放熱部材130は、下方且つ外方へ延出して下方外部延在構造330を形成してもよく、上方且つ外方へ延出して上方外部延在構造330を形成してもよく、本実施例ではこれについて具体的に限定しない。
【0033】
なお、放熱部材130の外部延在構造330は、ハウジング1110上に設けられた歯板に取って代わらずに、外部延在構造330をハウジング1110の元のフィン流路内に配置して密集化歯状態を形成するようにしてもよい。
【0034】
なお、放熱部材130には、集熱キャビティと相互に連通する放熱管路230が設置されている。放熱管路230は、ハニカム形式を採用してもよく、最速降下線形式を採用してもよく、斜線形式を採用してもよく、これらの形式組み合わせを採用してもよいが、本実施例ではこれについて具体的に限定しない。例えば、図12に示すように、放熱管路230が最速降下線形式又は斜線形式を採用する場合、放熱管路230の反重力高点を歯頂側に、反重力低点を基板側に設けてもよい。
【0035】
図1及び図12に示すように、放熱部材130の頂部にアンカー530を設けてもよい。放熱装置1100の保護カバープレート140は、リベット方式で放熱組立体の放熱部材130のアンカー530に組み立てられる。これにより、放熱組立体100に保護作用を提供することができる。なお、放熱部材130は、保護カバープレート140と溶接方式により組み立てられてもよいが、本実施例ではこれについて具体的には限定しない。
【0036】
作動中に、放熱組立体100の集熱キャビティ210内の液体冷媒(二相作動媒体)は急速に熱を吸収して気化するので、放熱組立体100の基板は、内圧が過大になることにより発生し得る膨れ、変形等の問題の発生を減少させるために、十分な耐圧力が求められる。本実施例は主に、集熱キャビティ210内に乱流発生片310又は乱流発生柱等を設置することにより、基板ベース110と基板カバープレート120との間の接続強度を高める。
【0037】
使用時、発熱するチップは基板ベース110の外面に貼り付けられて放熱する。貼り付け面間の接触熱抵抗を減少させるために、通常は、ねじ止めでPCBと放熱組立体100の基板とを密に組み立てるため、放熱基板には、PCBと固定的に取り付けられるねじ穴を設ける必要がある。図13に示すように、放熱組立体100内の集熱キャビティ210内にはねじ穴付きの同心乱流発生柱が設置される。乱流発生柱は、第1の柱体1320と、第1の柱体と同心状に設けられた第2の柱体1310とを含む。第1の柱体1320は、第2の柱体1310よりも半径が大きく、集熱キャビティ210内に設けられ、かつ高さが集熱キャビティ210の高さと等しい。第1の柱体1320の上面と底面がそれぞれ基板ベース110と基板カバープレート120のキャビティ側面と密着しているため、溶接されると基板の耐圧強度を高めることができる。一方、第2の柱体1310内にはねじ穴が設けられ、第2の柱体1310が第1の柱体1320よりも高い。ねじ穴の位置が放熱部材130と干渉する場合、第2の柱体1310の高さは基板カバープレート120の上面を越えず、ねじ穴の深さは基板カバープレート120を貫通しない。ねじ穴の位置が放熱部材130と干渉しない場合、第2の柱体1310の高さは、基板カバープレート120から突出してもよい。これにより、より長い深さを有するねじ穴にフィッティングして、PCBと基板との間の組立能力を高め、チップと基板との間の接触熱抵抗を効果的に低減させることができる。
【0038】
本願の実施例はさらに、図11に示す放熱装置1100を提供する。放熱装置1100は、上記の実施例のような放熱組立体100とハウジング1110とを含む。該放熱装置1100の技術的手段、解決する課題及び達成できる技術的効果は、上述の実施例の放熱組立体100と一致するため、ここでは説明を省く。放熱組立体100の作用をより向上させるために、放熱組立体100は、放熱装置1100のハウジング1110と密に組み立てられる必要がある。放熱組立体100とハウジング1110とは、螺合して密封される形式で組み立てられてもよく、攪拌摩擦溶接形式で組み立てられてもよく、本実施形態ではこれについて具体的に限定しない。
【0039】
一実施例において、放熱組立体100とハウジング1110とが螺合及び密封の形式で組み立てられる様子を、図14に示す。基板ベース110の冷却領域を内側輪郭境界として、内側輪郭境界に沿って放熱部材130側に向けて外側に、ハウジング1110の基板上面よりも高い組立フランジ1410を張り出す。組立フランジ1410の輪郭縁部には複数の突出部1420が設けられ、突出部1420の中心には組立ねじ穴1430が設けられ、組立フランジ1410の下面中心線にはシール溝1440が開けられている。ハウジング1110の基板には、放熱組立体の基板ベース110の外郭境界を基準として組立貫通溝が開けられる。ハウジング1110の基板上面には、組立貫通溝の境界及び放熱組立体の組立フランジ1410の外郭境界を基準範囲として組立凸台1120が設けられる。組立凸台1120は、組立フランジ1410の底面と密着する。組立フランジ1410の組立ねじ穴1430に対応する位置に同サイズのねじ穴が設けられている。放熱組立体100は、基板ベース110の張り出された組立フランジ1410を介してハウジング1110の基板上面の組立凸台1120に密着して位置決めされ、対応する組立ねじ穴1430を介して固定的に組み立てられ、フランジシール溝1440にシールストリップが設置される。
【0040】
一実施例において、放熱組立体100とハウジング1110とが攪拌摩擦溶接の形式で組み立てられる様子を、図15に示す。基板ベース110の冷却領域を基準境界とし、基準境界の内側は、基板ベース110の中央底板である。基準境界に沿って攪拌摩擦溶接工程の熱影響範囲以上に外方へ拡張し、外方へ拡張する距離が2mm以上である。基板ベース110は、基準境界の拡張範囲内に、攪拌摩擦溶接工程の溶接継手深さ以上の高さを有する第1の周方向増厚領域410を設ける。ハウジング1110の基板には、放熱組立体100の基板ベース110の周方向外縁境界を基準として組立貫通溝が開けられる。組立貫通溝境界を基準として外方への拡張範囲は、溶接プロセスのショルダー半径以上である。ハウジング1110の基板は、該拡張範囲内で第2の周方向増厚領域1510の形式で、攪拌摩擦溶接プロセスの溶接継手深さ以上の増厚高さで局所的に増厚する。放熱組立体の基板ベース110の第1の周方向増厚領域410と、ハウジング1110の基板の第2の周方向増厚領域1510とが側面を介して密着して組み立てられ、攪拌摩擦溶接により固定的に接続される。なお、攪拌摩擦溶接とは、高速回転する溶接ツールとワークとの摩擦による熱を利用して被溶材料を局所的に溶融させ、溶接ツールが溶接界面に沿って前方に移動すると、塑性化された材料が溶接ツールの回転摩擦力によって溶接ツールの前方から後方に流れ、溶接ツールに押し出されて緻密な固相溶接継目を形成することである。
【0041】
本願の実施例は、放熱組立体及び放熱装置を提供する。放熱組立体は、基板ベースと、基板カバープレートと、乱流発生部材と、複数の放熱部材とを含む。基板カバープレートは、基板ベースと接続され、熱を集中させるための集熱キャビティを形成する。乱流発生部材は、乱流発生片、乱流発生柱を含み、集熱キャビティ内に設置される。乱流発生片は、集熱キャビティとの高さが等しい。乱流発生片は、基板ベースに少なくとも部分的に密着して配置され、基板カバープレートに少なくとも部分的に密着して配置される。乱流発生片の側壁は、基板カバープレートと基板ベースとの間に配置される。乱流発生片の側壁は基板カバープレートと基板ベースとを支持する。乱流発生片の隣接する側壁の間には、空室が設けられる。複数の放熱部材は、基板カバープレートと接続される。放熱部材には、集熱キャビティと連通するように設けられた1つ又は2つ以上の放熱管路が設けられている。乱流発生片の上面と基板カバープレートのキャビティ側面とが密着し、乱流発生片の底面と基板ベースのキャビティ側面とが密着し、乱流発生片の側壁が基板カバープレートと基板ベースとの間に挟み込まれて支持が形成され、放熱装置の耐圧力、構造的強度及び信頼性を高めることができる。乱流発生片の隣接する側壁の間に空室が設けられることにより、空室を気液分離流路として液体作動媒体を壁面に沿って流すことができ、気体作動媒体を空室の中央を通って上昇して離脱させ、基板内部キャビティの二相循環効率を向上させることができる。また、高温の気体・液体作動媒体が乱流発生片を通過する時、高温の気体・液体流が乱流発生片によって妨げられ、高温の気体・液体流が乱流発生片を迂回し、乱流発生片の側面に渦を形成し、乱流発生片表面の温度境界層を破壊する。これにより、熱抵抗を大幅に減少させ、熱伝達係数を増大させ、熱伝達を強化する作用を実現することができる。
【0042】
以上、添付図面を組み合わせて本願の実施例について詳細に説明したが、本願は上記実施例に限定されるものではなく、当業者が有する知識の範囲内で、本願の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】