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特表2024-531751ポリマー層及びそれらの間の支持要素を有する管腔内イントロデューサシース
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ポリマー層及びそれらの間の支持要素を有する管腔内イントロデューサシース
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
A61M25/00 504
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516701
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 US2022043515
(87)【国際公開番号】W WO2023043829
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/244,688
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エル.ゲプフリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ディー.モンゴメリー
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA04
4C267AA15
4C267BB03
4C267BB13
4C267BB14
4C267BB63
4C267CC07
4C267CC08
4C267FF01
4C267GG03
4C267GG04
4C267GG05
4C267GG06
4C267GG08
4C267GG22
4C267GG24
4C267GG34
4C267GG42
4C267HH04
(57)【要約】
管腔内イントロデューサシース及びそれを形成する方法が開示される。イントロデューサシースは、第1のポリマー層と、第2のポリマー層と、第1のポリマー層と第2のポリマー層との間に位置決めされた少なくとも2つの長手方向の支持要素とを含む。長手方向の支持要素は、実質的な長手方向の圧縮なしに管腔内イントロデューサシースの血管内への前進を容易にするために柱状強度を提供するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔内イントロデューサシースであって、
第1のポリマー層と、
第2のポリマー層と、
前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間に位置決めされ、実質的な長手方向の圧縮なしに前記管腔内イントロデューサシースの血管内への前進を容易にするために柱状強度を提供するように構成された少なくとも2つの長手方向の支持要素であって、前記長手方向の支持要素が、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層によって互いに隔離されている、長手方向の支持要素と、を備える、管腔内イントロデューサシース。
【請求項2】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素は、互いに別個であり、分離されている、請求項1に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項3】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素は、3つの長手方向の支持要素を含む、請求項1又は2に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項4】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素は、4つの長手方向の支持要素を含む、請求項1又は2に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項5】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素は、前記管腔内イントロデューサシースの円周の周りに対称的に位置決めされる、請求項1~4のいずれか1項に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項6】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素は、前記管腔内イントロデューサシースの円周の周りに非対称に位置決めされる、請求項1~4のいずれか1項に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項7】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素は、前記管腔内イントロデューサシースの長手方向軸線に対して概ね位置合わせされる、請求項1~6のいずれか1項に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項8】
前記管腔内イントロデューサシースは、約1mm未満の平均壁厚を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項9】
前記第1のポリマー層又は前記第2のポリマー層のうちの少なくとも1つは、複数の副層を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項10】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素のうちの少なくとも1つは、前記複数の副層のうちの2つの隣接する層の間に位置決めされる、請求項9に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項11】
前記第1のポリマー層は、前記第2のポリマー層に少なくとも部分的に接合され、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層は、前記少なくとも2つの長手方向の支持要素を完全に封入する、請求項1~10のいずれか1項に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項12】
前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間に位置決めされた中間層をさらに備え、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層は、前記中間層に少なくとも部分的に接合されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項13】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に放射線不透過性である、請求項1~12のいずれか1項に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項14】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素は、少なくとも1つの連続的支持部材の部分である、請求項1~13のいずれか1項に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項15】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素は、前記少なくとも2つの長手方向の支持要素の長さに沿って位置決められた複数の屈曲点をさらに備える、請求項1~14のいずれか1項に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項16】
前記第1のポリマー層又は前記第2のポリマー層のうちの少なくとも1つは、その表面上に少なくとも1つの放射線不透過性マークを含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項17】
管腔内イントロデューサシースを形成する方法であって、前記方法は、
第1のポリマー層をマンドレルの周囲に位置決めすることと、
第1の熱処理を前記第1のポリマー層に施すことと、
前記第1のポリマー層上に少なくとも2つの長手方向の支持要素を位置決めすることであって、前記長手方向の支持要素は、前記第1のポリマー層及び第2のポリマー層によって互いに隔離されており、前記長手方向の支持要素は、実質的な長手方向の圧縮なしに前記管腔内イントロデューサシースの血管内への前進を容易にするために柱状強度を提供するように構成されている、位置決めすることと、
前記第1のポリマー層及び前記少なくとも2つの長手方向の支持要素の周囲に第2のポリマー層を位置決めすることと、
前記第1のポリマー層、前記第2のポリマー層、及び前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間に位置決めされた前記少なくとも2つの長手方向の支持要素に第2の熱処理を施すこと、とを含む、方法。
【請求項18】
前記第1のポリマー層の周囲に前記第2のポリマー層を位置決めする前に、前記第1のポリマー層の周囲に中間ポリマー層を位置決めすることをさらに含み、前記中間ポリマー層は、前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間に位置決めされる、
ように構成されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素を前記第1のポリマー層上に位置決めする前に、前記少なくとも2つの長手方向の支持要素に第3の熱処理を施し、前記少なくとも2つの長手方向の支持要素に形状を付与すること、
をさらに含む、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のポリマー層又は前記第2のポリマー層のうちの少なくとも1つの表面上に、少なくとも1つの放射線不透過性マークを適用すること、
をさらに含む、請求項17~19のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年9月15日に出願された米国仮特許出願第63/244,688号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、医療用又は外科用シースに関する。より具体的には、本開示は、支持のために設けられた構造を有するシースに関する。
【背景技術】
【0003】
人体に医療処置を施すための現在の方法は、多くの場合、血管内又は管腔内送達可能であるカテーテル及び医療機器の使用を伴う。非限定的な例としては、例えば、ステント及びステントグラフト(自己拡張型又は別様の)、分岐したステント及びステントグラフト、薬物溶出ステント、及び血管フィルタ、並びに管腔内撮像デバイスなどの内部人工器官の管腔内又は血管内送達が挙げられる。
【0004】
このようなカテーテル及び他の医療機器は、開口部又は切開部を通って身体に入ることがある。場合によっては、医療用導管が開口部又は切開部を通して挿入され、カテーテル及び他の医療機器が医療用導管を通過する。このような医療用導管は、イントロデューサシースと呼ばれることがある。場合によっては、イントロデューサシースは、人体内の内腔を通してナビゲートするために使用され、その間、イントロデューサシースの一部は、内腔の壁と接触する結果として、圧着又は圧潰され得る。このような場合、イントロデューサシースが構造的支持を含むことが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
管腔内イントロデューサシース並びにその製造方法が開示される。
【0006】
一例(「例1」)によれば、管腔内イントロデューサシースは、第1のポリマー層と、第2のポリマー層と、第1のポリマー層と第2のポリマー層との間に位置決めされ、かつ実質的な長手方向の圧縮なしに管腔内イントロデューサシースの血管内への前進を容易にするために柱状強度を提供するように構成された少なくとも2つの長手方向の支持要素とを含む。長手方向の支持要素は、第1のポリマー層及び第2のポリマー層によって互いに隔離されている。
【0007】
別の例(「例2」)によれば、例1に加えて、少なくとも2つの長手方向の支持要素は、互いに別個であり、分離されている。
【0008】
別の例(「例3」)によれば、例1又は例2に加えて、少なくとも2つの長手方向の支持要素は、3つの長手方向の支持要素を含む。
【0009】
別の例(「例4」)によれば、例1又は例2に加えて、少なくとも2つの長手方向の支持要素は、4つの長手方向の支持要素を含む。
【0010】
別の例(「例5」)によれば、先行するいずれかの例の管腔内イントロデューサシースにおいて、少なくとも2つの長手方向の支持要素は、管腔内イントロデューサシースの円周の周りに対称的に位置決めされる。
【0011】
別の例(「例6」)によれば、例1~例4のいずれか1つに加えて、少なくとも2つの長手方向の支持要素は、管腔内イントロデューサシースの円周の周りに非対称に位置決めされる。
【0012】
別の例(「例7」)によれば、先行するいずれかの例に加えて、少なくとも2つの長手方向の支持要素は、管腔内イントロデューサシースの長手方向軸線に対して概ね位置合わせされる。
【0013】
別の例(「例8」)によれば、先行するいずれかの例に加えて、管腔内イントロデューサシースは、約1mm未満の平均壁厚を有する。
【0014】
別の例(「例9」)によれば、先行するいずれかの例に加えて、第1のポリマー層又は第2のポリマー層のうちの少なくとも1つは、複数の副層を含む。
【0015】
別の例(「例10」)によれば、例9に加えて、少なくとも2つの長手方向の支持要素のうちの少なくとも1つは、複数の副層のうちの2つの隣接する層の間に位置決めされる。
【0016】
別の例(「例11」)によれば、先行するいずれかの例に加えて、第1のポリマー層は、第2のポリマー層に少なくとも部分的に接合され、第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、少なくとも2つの長手方向の支持要素を完全に封入する。
【0017】
別の例(「例12」)によれば、先行するいずれかの例に加えて、第1のポリマー層と第2のポリマー層との間に位置決めされた中間層をさらに含み、第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、中間層に少なくとも部分的に接合される。
【0018】
別の例(「例13」)によれば、先行するいずれかの例に加えて、少なくとも2つの長手方向の支持要素のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に放射線不透過性である。
【0019】
別の例(「例14」)によれば、先行するいずれかの例に加えて、少なくとも2つの長手方向の支持要素は、少なくとも1つの連続的支持部材の部分である。
【0020】
別の例(「例15」)によれば、先行するいずれかの例に加えて、少なくとも2つの長手方向の支持要素は、少なくとも2つの長手方向の支持要素の長さに沿って位置決めされた複数の屈曲点をさらに含む。
【0021】
別の例(「例16」)によれば、先行するいずれかの例に加えて、第1のポリマー層又は第2のポリマー層のうちの少なくとも1つは、その表面上に少なくとも1つの放射線不透過性マークを含む。
【0022】
別の例(「例17」)によれば、管腔内イントロデューサシースを形成する方法は、第1のポリマー層をマンドレルの周囲に位置決めすることと、第1の熱処理を第1のポリマー層に施すことと、第1のポリマー層上に少なくとも2つの長手方向の支持要素を位置決めすること、とを含む。長手方向の支持要素は、第1のポリマー層及び第2のポリマー層によって互いに隔離されており、長手方向の支持要素は、実質的な長手方向の圧縮なしに管腔内イントロデューサシースの血管内への前進を容易にするために柱状強度を提供しており、第1のポリマー層及び少なくとも2つの長手方向の支持要素の周囲に第2のポリマー層を位置決めし、第1のポリマー層、第2のポリマー層、及び第1のポリマー層と第2のポリマー層との間に位置決めされた少なくとも2つの長手方向の支持要素に第2の熱処理を施す。
【0023】
別の例(「例18」)によれば、例17に加えて、本方法は、第1のポリマー層の周囲に第2のポリマー層を位置決めする前に、第1のポリマー層の周囲に中間ポリマー層を位置決めすることをさらに含み、中間ポリマー層は、第1のポリマー層と第2のポリマー層との間に位置決めされるように構成されている。
【0024】
別の例(「例19」)によれば、例17又は例18に加えて、本方法は、第1のポリマー層上に少なくとも2つの長手方向の支持要素を位置決めする前に、少なくとも2つの長手方向の支持要素に第3の熱処理を施し、少なくとも2つの長手方向の支持要素に形状を付与することをさらに含む。
【0025】
別の例(「例20」)によれば、例17~19のいずれか1つに加えて、本方法は、第1のポリマー層又は第2のポリマー層のうちの少なくとも1つの表面上に、少なくとも1つの放射線不透過性マークを適用することをさらに含む。
【0026】
前述の例は、まさに実施例であり、本開示によって提供される本発明の概念のいずれの範囲をも限定する又はさもなければ狭めるように読まれるべきではない。複数の例が開示されているが、更に他の実施形態は、例示的な例を示し説明する以下の「発明を実施するための形態」から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び「発明を実施するための形態」は、本質的に制限的ではなく、本質的に例示的であるとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
添付の図面は、本開示の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、実施形態を示し、本明細書の説明と共に本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0028】
図1】本明細書に開示される実施形態による管腔内イントロデューサシースの断面側面図である。
【0029】
図2A】本明細書に開示される実施形態による管腔内イントロデューサシースの断面正面図である。
図2B】本明細書に開示される実施形態による管腔内イントロデューサシースの断面正面図である。
図2C】本明細書に開示される実施形態による管腔内イントロデューサシースの断面正面図である。
図2D】本明細書に開示される実施形態による管腔内イントロデューサシースの断面正面図である。
図2E】本明細書に開示される実施形態による管腔内イントロデューサシースの断面正面図である。
【0030】
図3A】本明細書に開示される実施形態による管腔内イントロデューサシースの断面正面図である。
図3B】本明細書に開示される実施形態による管腔内イントロデューサシースの断面正面図である。
図3C】本明細書に開示される実施形態による管腔内イントロデューサシースの断面正面図である。
図3D】本明細書に開示される実施形態による管腔内イントロデューサシースの断面正面図である。
【0031】
図4A】本明細書に開示される実施形態による、管腔内イントロデューサシースの一部分の断面側面図である。
図4B】本明細書に開示される実施形態による、管腔内イントロデューサシースの一部分の断面側面図である。
【0032】
図5】本明細書に開示される実施形態による、管腔内イントロデューサシースを製造する方法のフローチャートである。
【0033】
図6A】本明細書に開示される実施形態による、支持要素を伴う管腔内イントロデューサシースの立面図である。
図6B】本明細書に開示される実施形態による、支持要素を伴う管腔内イントロデューサシースの立面図である。
図6C】本明細書に開示される実施形態による、支持要素を伴う管腔内イントロデューサシースの立面図である。
図6D】本明細書に開示される実施形態による、支持要素を伴う管腔内イントロデューサシースの立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
定義及び用語
本開示は、限定的に読まれることを意図するものではない。例えば、本出願において使用される用語は、その分野の用語がそのような用語に帰するであろう意味の文脈において広く解釈されるべきである。
【0035】
不正確さの用語に関して、「約」及び「およそ」という用語は、述べられた測定値を含み、述べられた測定値に合理的に近い任意の測定値も含む測定値を指すために、互換的に使用され得る。述べられた測定値に合理的に近い測定値は、関連技術の当業者によって理解され、容易に確認されるような合理的に少量だけ述べられた測定値から逸脱している。そのような逸脱は、例えば、測定誤差、測定機器及び/又は製造機器較正の差、測定の読み取り及び/又は設定におけるヒューマンエラー、他の構成要素に関連する測定の差を考慮して性能及び/又は構造パラメータを最適化するために行われる微調整、特定の実装シナリオ、人若しくは機械による物体の不正確な調整及び/又は操作などに起因し得る。関連技術の当業者がそのような合理的に小さい差の値を容易に把握できないと判断される場合、「約」及び「およそ」という用語は、述べられた値のプラス又はマイナス10%を意味すると理解され得る。
【0036】
「実質的な長手方向の圧縮なしに」という用語は、その元の長手方向の長さを実質的に維持しながら、それに加えられるある範囲の外力に耐えることができる材料又は構成要素の物理的特性を指すために使用される。いくつかの例では、元の長手方向の長さを実質的に維持することは、元の長手方向の長さの少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、若しくは99%以上、又はそれらの間の任意の他の範囲若しくは値を維持することを伴い得る。
【0037】
軸線などの線に対して「概ね位置合わせされている」という用語は、定義された線又は軸線に対する物体の物理的な位置決めを指すために使用される。例えば、物体が軸線に平行である場合、物体は軸線と位置合わせされており、物体の実質的な部分、例えば、物体の少なくとも約80%、85%、90%、95%、又は99%以上が軸線と実質的に位置合わせされている場合、物体は概ね軸線と位置合わせされており、ここで、軸線と実質的に位置合わせされているとは、約10°未満、約5°未満、又はそうでなければそれが比較される軸線に対して好適な角度内にある角度で位置決めされている物体を示す。
様々な実施形態の説明
【0038】
図1は、本明細書中に開示されるように、チューブ又はシース、特に管腔内イントロデューサシースの形状であり得る、構造体100の断面図を示す。構造体100は、第1の層又は外側層102と、複数の長手方向の支持要素又は部材104と、第2の層又は内側層106とを含む。内側層106は、ベース層とも呼ばれる。様々な例において、本明細書でさらに説明されるように、各長手方向の支持要素104は、第1の(外側)層102及び第2の(内側)層106によって、又は、層102及び層106のうちの1つ以上が複数のより小さい又はより薄い層(本明細書では一般に「副層」と呼ばれる)で作製される場合、(例えば、隣接する副層のうちの2つによって)他の長手方向の支持要素104に対して隔離される。いくつかの例では、長手方向の支持要素104は、互いに別個であり、分離されている。
【0039】
外側層102は、支持要素104が外側層102及び内側層106によって完全に包囲又は封入され、したがって、2つの層102及び106に対する支持要素104の移動が低減又は制限されるように、内側層106に直接的又は間接的に少なくとも部分的に取り付けられるか、又は接合される。取り付け又は接合は、第1の層102及び第2の層106の部分を部分的に溶融し、それによってそれらを共に接合することによって、又は接着剤、例えば熱活性化接着剤の使用によってなど、好適な接合方法又は方法の組み合わせによって達成され得る。いくつかの例では、支持要素104は、構造体100の長さの一部を伸長する。いくつかの例では、支持要素104のうちの少なくとも1つは、部分的に又は全体的に放射線不透過性であってもよい。
【0040】
いくつかの例では、構造体100の壁は、約5mm未満、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.2mm未満、又はそれらの間の任意の他の好適な範囲の平均厚さを有する。壁厚は、外側層102及び内側層106によって画定される。いくつかの例では、本明細書でさらに説明されるように、壁厚は、前述の層に加えて複数の層によって画定されてもよく、又は前述の層は、「副層」とも呼ばれる複数のより小さい又はより薄い層から形成される。
【0041】
内側層106は、構造体100を通って延びる内腔又は導管108の形状及びサイズを画定する。支持要素104は、任意の好適な数、例えば、2つ、3つ、4つ、又はそれより多い数であってもよい。示される例において、構造体100は、図において104A及び104Bとラベル付けされた2つの支持要素を含む。いくつかの例では、支持要素は、同じ又は類似の物理的特性の、同じ又は類似の材料で作製されてもよい。いくつかの例では、支持要素は、異なる物理的特性を有する異なる材料で作製されてもよいいくつかの例では、以下でさらに説明されるように、複数の支持要素は、構造体の周囲に円周方向に等間隔に離隔されてもよく、又は複数の支持要素のうちの1つ以上は、隣接する支持要素間に異なる間隔を有してもよい。
【0042】
支持要素104は、支持要素104が十分な柱状強度を提供することで、構造体100が、実質的な長手方向の圧縮なしに、血管内へ、例えば、患者の血管内へ前進することを可能にするように、外側層102と内側層106との間に位置決めされる。このように、支持要素104は、外側層102及び内側層106よりも可撓性が低いか又は長手方向に圧縮されやすいが、例えば、圧着又は圧潰ではなく屈曲又はねじれにより、構造体100の構成を変化させることもできる材料で作製され、それによって構造体100の構造的完全性及び、構造体100の長手方向軸線L-Lに沿って測定される構造体100の長さである構造体100の長手方向の長さを実質的に維持する。
【0043】
いくつかの例では、十分な柱状強度は、座屈、亀裂、又は他の損傷を受ける材料の感受性を判定するために、応力-ひずみ試験又は圧縮力試験を使用して判定される。いくつかの例では、十分な柱状強度は、動作条件を表す加えられた力に応答して、元の長手方向の長さの少なくとも約80%、85%、90%、95%、若しくは99%、又はそれらの間の任意の他の範囲若しくは値を維持する支持要素の能力によって画定されるが、様々な値が企図される。任意の特定の値にかかわらず、柱状強度は、血管内での軸線方向変位の間の望ましくないしわ又は潰れを防止又は実質的に阻止するのに十分である一方で、血管又はデバイスへの著しい損傷を伴わずに曲がりくねった血管の解剖学的構造を追跡するのに十分に可撓性である、として概ね特徴付けられ得る。いくつかの例では、柱状強度は、構造体のポリマー層(複数可)及び/又は長手方向の支持要素若しくは部材のタイプ及び/又は材料に基づいて、調整又は決定され得る。いくつかの例では、本明細書でさらに開示されるように、柱状強度は、層が所望の物理的特性に達するように、ポリマー層の熱処理プロセスを制御することによって調整され得る。いくつかの例では、柱状強度は、構造体の層及び/又は長手方向の支持要素若しくは部材のサイズ、厚さ、及び/又は断面積/断面寸法に基づいて決定され得る。
【0044】
いくつかの例では、支持要素は、幅がワイヤの厚さよりも大きいフラットワイヤである。いくつかの例では、支持要素104は、丸線ワイヤ、又は正方形、長方形、卵形、若しくは多角形などの他の断面形状を有するワイヤである。いくつかの例では、支持要素は実質的に直線状であり、構造体の長手方向軸線によって画定される方向に沿って延びる。いくつかの例では、支持要素は、曲線又は湾曲構成を有するが、依然として、構造体の長手方向軸線と概ね位置合わせされる。
【0045】
図2Aは、一例による図1の線A-Aの矢印の方向から見た場合の構造体100を示しており、線A-Aは、構造体100を長手方向軸線L-Lに対して垂直に切開して断面を示している。支持要素104A及び104Bは、支持要素が互いに約180度離れて位置するように、構造体100において互いに反対の位置に位置決めされてもよい。
【0046】
図2Bは、別の例における構造体100を示し、構造体100は、3つの支持要素104A、104B、及び104Cを有する。支持要素は、例えば、支持要素が互いに約120°離れて位置するように、構造体100の周囲に沿って等間隔をあけて分散されるように位置決めされてもよいが、様々な他の角変位が企図される。
【0047】
図2Cは、別の例における構造体100を示し、構造体100は、4つの支持要素104A、104B、104C、及び104Dを有する。支持要素は、1対の支持要素が互いに反対の位置に位置決めされ、別の対の支持要素が第1の対の支持要素とは異なる位置で互いに反対の位置に位置決めされるように位置決めされてもよい。したがって、いくつかの例では、支持要素は、互いに約90°離れて位置する。4つより多い支持要素を有する構造体100の追加の実装形態が存在し得る。
【0048】
図2A図2Cは、支持要素が構造体100の外周又は円周の周囲に対称(例えば、鏡映対称又は回転対称)に位置決めされている例を示す。図2Dは、支持要素が構造体100の外周又は円周の周囲に非対称に位置決めされている例を示す。具体的には、支持要素104A及び104Bは、構造体100の円周に沿って測定された支持要素間の距離が、一方の側で他方の側よりも短くなるように位置決めされ、それによって、そのような構成において非対称性の原因となる。
【0049】
図2Eは、支持要素が互いに対して非対称であり、一方の支持要素104Aが他方の支持要素104Bとは異なる形状又はサイズを有する別の例を示す。支持要素104Aは、例えば、他の支持要素104Bよりも、より広い又はより狭い幅を有してもよく、より長い又はより短い長さを有してもよく、又は他の支持要素104Bとは概ね異なる形状若しくは構成を有してもよい。
【0050】
図3Aは、中間層300が外側層102を内側層106に接着接合又は粘着接合する能力を提供するような、外側層102と内側層106との間の中間層300を示している。中間層300の外側表面は、外側層102の内側表面に少なくとも部分的に付着し、中間層300の内側表面は、内側層106の外側表面に少なくとも部分的に付着する。いくつかの例では、支持要素104A及び104Bは、外側層102、中間層300、及び内側層106と接触していてもよい。いくつかの例では、中間層300は、例えば、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)が挙げられるがこれには限定されない、任意の好適なタイプの熱硬化性ポリエステルフィルム、又は熱可塑性フィルムなどの任意の好適な熱活性化接着材料で作製される。
【0051】
層102及び106は、それぞれ、「外側層」及び「内側層」とラベル付けされるが、いくつかの例では、これらの層の各々は、材料の単一層又は単一シートで作製されるのではなく、むしろ、副層と称され得る複数の層を含み、層を集合的に形成するように共に取り付けられる。
【0052】
例えば、図3Bは、2つの副層302及び304を有する内側層106を示す。第1の副層302は、支持要素104A及び104B並びに外側層102と接触しているが、第2の副層304は、第1の副層302のみと接触している。副層302及び304は、例えば接着又は粘着によって共に取り付けられて、内側層106を形成する。いくつかの例では、第2の副層304は、第1の副層302とは異なる材料で作製され得る。
【0053】
例えば、図3Cは、2つの副層306及び308を有する外側層102を示しており、第1の副層306は、支持要素104A及び104B並びに内側層106と接触しているが、第2の副層308は、第1の副層306とのみ接触している。副層306及び308は、例えば、接着又は粘着によって共に取り付けられて、外側層102を形成する。いくつかの例では、第2の副層308は、第1の副層306とは異なる材料で作製され得る。
【0054】
いくつかの例では、外側層102及び内側層106は各々2つの副層を有し、合計4つの層を有する構造体を形成する。いくつかの例では、外側層102及び/又は内側層106は、各々2つより多い副層、例えば3つ以上の副層を有してもよい。副層は、同じ又は異なる材料で作製されてもよく、同様の又は異なる物理的及び/若しくは化学的特性を有してもよく、かつ/又は同じ若しくは異なる厚さを有してもよい。
【0055】
例えば、図3Dは、複数の支持要素104A~104Fを示し、各々が2つの隣接する副層の間に位置決めされ、外側層102及び内側層106の各々が2つの副層を有し、合計4つの副層302、304、306、及び308を形成している。支持要素104A及び104Bは両方とも、副層302と副層306との間に位置決めされている。支持要素104C及び104Dは両方とも、副層302と副層304との間に位置決めされている。支持要素104E及び104Fは両方とも、副層306と副層308との間に位置決めされている。他の追加又は代替の層又は副層もまた、好適なものとして実装され得る。
【0056】
図4Aは、支持要素104A及び104Bとともに実装され得る追加の支持要素400を示す。追加の支持要素400は、支持要素104A及び104Bによって提供される長手方向の支持に加えて、半径方向の支持を提供するように、内側層106の周囲に巻き付けられた螺旋状の部材であってもよい。いくつかの例では、支持要素400は、支持要素が互いに接触する位置で、支持要素104A及び104Bに取り付けられてもよい。いくつかの例では、支持要素400は、支持要素104A又は104Bの連続的な延長部であってもよく、例えば、材料の連続的な又はモノリシックな管状片から(例えば、レーザー切断によって)切断されてもよい。
【0057】
図4Bは、支持要素104A及び104Bとともに実装され得る2つの追加の支持要素400及び402を示す。支持要素400及び402は、例えば、第1の螺旋状の支持要素400が第2の螺旋状の支持要素402とは異なる角度で巻かれるように、内側層106の周囲に巻き付けられた螺旋状の部材であってもよい。支持要素400及び402は、支持要素が互いに接触する位置で支持要素104A及び104Bに取り付けられてもよい。
【0058】
いくつかの例では、放射線不透過性は、本明細書に開示されるように、構造体又はシースの1つ以上の層若しくは副層上に実装されてもよい。例えば、図4Aは、内側層106の内側表面及び/又は外側表面上に配置され得る放射線不透過性マーク404を示す。マーク404は、例えば、X線又は同様の放射線が適用されるとき、構造体が患者の内部にある間に、ユーザ(例えば、外科医又は医師)が構造体の位置を見ることを可能にする。マーク404は、本明細書に開示される実施形態のうちの任意の1つ以上において、任意の数で、任意の層又は副層上の任意の場所に適用され得ることを理解されたい。いくつかの例では、マーク404は、2つの隣接する層又は副層の間にマーク404が位置するように、副層の内側表面又は外側表面上に形成されてもよい。いくつかの例では、複数のマーク404は、隣接する層又は副層の複数の異なる対の間に配置されてもよい。いくつかの例では、異なる位置に配置された異なるマーク404は、互いに区別可能であるように異なる独特の形状又は構成を有してもよい。いくつかの例では、マーク404は、パッド印刷法を使用して任意の好適な外側表面又は内側表面に適用されてもよい。マーク404は、ドット、多角形、線、幾何学的パターンの形態、又は使用中にユーザによる容易な認識を可能にする任意の他の好適な構成をとってもよい。マーク404は、タングステンが挙げられるがこれには限定されない、任意の好適な放射線不透過性材料で作製されてもよい。
【0059】
図5は、本明細書に開示される実施形態による、それによって構造体100が作製又は製造され得るプロセス500を示す。ステップ502において、ベース層のための材料(例えば、フィルムなどのポリマーのストリップ)は、マンドレルの周囲に巻き付けられるか、又は位置決めされる。材料又はフィルムは、螺旋の1つの巻きにおける材料の一部が、螺旋の後続の巻きにおける材料の別の部分と重なり合うように螺旋状に巻き付けられてもよく、それによって、重なり合った螺旋状の構成を形成する。
【0060】
ステップ504において、ベース層がマンドレルの周囲に巻き付けられている間に、ベース層に熱処理が施される。熱処理は、ベース層の材料をその融点に達することなく加熱するために、任意の好適な時間及び温度を伴うことができ、その後、ベース層の所望の物理的特性を選択するために制御された方法で、ベース層を冷却する。
【0061】
ステップ506において、別個の熱処理が支持要素に施される。このステップにおける熱処理は、ステップ504の熱処理とは異なる温度及び処理時間を有し、熱処理は、支持要素の所望の物理的及び機械的特性を選択するために、支持要素に形状を付与するように構成されている。
【0062】
ステップ508において、長手方向の支持要素は、ベース層の長手方向の方向に沿ってベース層の周囲に配置又は位置決めされる。長手方向の支持要素は、互いに別個であり、分離されていてもよい。長手方向の方向は、マンドレルによって画定され得る。支持要素は、ベース層又はマンドレルの長手方向軸線と概ね位置合わせされるか、又は実質的に平行になるように位置決めされる。
【0063】
ステップ510では、フィルムの第2の層とも呼ばれるフィルムの別の層が、ベース層及び支持要素の周囲に巻き付けられ、適用され、又は位置決めされ、外側層を形成する。いくつかの例では、フィルムは、ステップ502と同様に、重なり合った螺旋状の構成で巻かれている。いくつかの例では、フィルムは、ステップ502においてフィルムの第1の層によって想定される螺旋状の構成とは異なる巻き付け角度又は巻き数を有する。いくつかの例では、フィルムの第2の層の厚さ又は幅は、ベース層を形成するフィルムの第1の層と異なっていてもよい。
【0064】
ステップ512において、外側層を形成するフィルムの第2の層を、ベース層を形成するフィルムの第1の層に、それらの間に位置決めされた支持要素と共に接合するために、熱処理が施される。このように、各長手方向の支持要素は、第1の(外側)層及び第2の(内側)層によって、互いに共に接合されたときに長手方向の支持要素の残りから隔離されてもよく、又は別の方法で互いに隔離されてもよい。いくつかの例では、熱処理温度は、フィルムの他の層に接合するように、フィルムの第1の層又は第2の層の一部分を部分的に溶融するために選択される。いくつかの例では、フィルムの第1の層の表面又は第2の層の表面は、当該技術分野で公知の熱活性化接着剤で処理され、接着剤が活性化する期間にわたってある温度に維持される。したがって、熱処理は、接着剤を活性化させ、2つの層を共に接合し、その後、接着剤が冷却するときに結晶化し、それによって材料接合の強度を増大させる。
【0065】
層の冷却が観察された後に行われるステップ514において、製品又は構造体がマンドレルから取り外される。
【0066】
いくつかの例では、ステップ508の前又は後のいずれかに、フィルムの中間層をベース層の周囲に配置又は位置決めすることもできる。中間層は、ステップ512で説明したように、2つの周囲層を共に接合することを容易にするために、熱活性化接着剤を含むことができる。いくつかの例では、ステップ502及び/又はステップ510は、適宜、同じ材料又は異なる材料で作製され得る複数のフィルム層を適用することを含む。
【0067】
図6A図6Dは、本明細書に開示される様々な例により、複数の接続頂点602を介して共に接続された複数の長手方向の支持要素104で作製される連続的支持部材600を示す。したがって、いくつかの例によれば、長手方向の支持要素104は、連続的支持部材600を形成するか、又はその部分である。いくつかの例では、連続的支持部材600は、連続的かつ単一の材料片から作製される。参考までに、外側層102は簡略化のために示されていない。様々な例では、頂点602の各々は、2つの隣接する長手方向の支持要素104を接続して、連続的支持部材600を形成する。支持部材600は、適宜、任意の数の個々の長手方向の支持要素104を含んでもよく、頂点602の形状及び構成は変化してもよく、例えば、実質的に直線状、曲線状、又は湾曲状であってもよい。いくつかの例では、内側層106の周囲に位置決めされた、各々が互いに別個の複数の連続的支持部材600があってもよい。いくつかの例では、内側層106の長さに沿って測定された連続的支持部材600の長手方向の長さは、内側層106の周囲に位置決めされた他の連続的支持部材600の長手方向の長さと異なってもよい。
【0068】
図6Aにおいて、連続的支持部材600は、細長い方形波と同様の構成をとり、図1に示されるように、長手方向軸線L-Lと実質的に平行な方向に内側層106の長手方向の長さに沿って延びる少なくとも7つの個々の支持要素104A~104Gを示す。いくつかの例では、個々の長手方向の支持要素104A~104Gの各々は、互いに対して十分に又は実質上平行であってもよい。いくつかの例では、方形波構成は、長手方向の支持要素104A~104Gの各々が互いに対して傾斜し得るように、台形の形状に似ていてもよい。
【0069】
図6Bでは、連続的支持部材600は、例えば、蛇行、丸みを帯びたジグザグ、波状、又は細長い正弦派状として説明され得る構成をとり、少なくとも9つの個々の支持要素104A~104Iを示す。示されるように、頂点602は、実質的に曲線又は丸みを帯びていてもよく、個々の支持要素104A~104Iの各々は、構造体の長手方向軸線L-Lに平行な軸線に対して角度位置をとるようにわずかに傾斜している。
【0070】
例えば、個々の支持要素104Bは、構造体の長手方向軸線L-Lに平行に延びる線B-Bに対してある角度(θ)で延びるように示されており、θの値は、約20°未満、約15°未満、約10°未満、約5°未満、約3°未満、約1°未満の任意の非ゼロ値、又はそれらの間の任意の他の値であってもよいが、様々な追加の角度値が企図される。同様に、他の個々の支持要素のうちの任意の1つ以上もまた、支持要素104Bの角度(θ)と同じでもよく又は異なってもよい角度で位置決めされてもよい。
【0071】
図6Cに示されるように、連続的支持部材600は、個々の長手方向の支持要素104の少なくとも1つの長さに沿って、少なくとも1つの屈曲点604をさらに含む。屈曲点(複数可)604は、長手方向の支持要素104が延びる方向とは異なる方向に、正弦波状、波状、又はジグザグの構成であってもよい。いくつかの例では、屈曲点604は各々、構造体の長手方向軸線に沿って見たときに、S字形状、逆S字形状、Z字形状、又は逆Z字形状をとることができる。いくつかの例では、屈曲点604は、構造体の長手方向軸線に対して横方向又は垂直に延びていてもよい。いくつかの例では、屈曲点604は、屈曲点604が内側層106の表面を横切る直線に沿って位置決めされるように、長手方向の支持要素104の長さに沿った特定の点又は位置に沿って位置合わせされる。
【0072】
いくつかの例では、セットに属するすべての屈曲点が内側層106の表面を横切って引かれた直線に沿って位置決めされるように、屈曲点604の複数のセット(例えば、図示されるような第1のセット604A及び第2のセット604B)があってもよい。いくつかの例では、2つのセット604A及び604Bは、互いに対して実質的に平行であり、かつ/又は長手方向軸線に対して実質的に垂直に延びる。いくつかの例では、屈曲点604の2つより多いセットが存在する場合、複数のセットは、構造体の長手方向軸線に沿って等間隔をあけて位置決めされてもよく、又は代替的に、第1のセットと第2のセットとの間の第1の距離が第1のセットと第3のセットとの間の第2の距離と異なり得るように位置決めされてもよく、第2及び第3のセットは、間に他のセットがない状態で第1のセットの両側に位置決めされる。
【0073】
図6Dに示されるように、屈曲点604は、互いに対して互い違いの構成で位置決めされてもよく、屈曲点604の位置は、連続的支持部材600の長さ全体にわたって分散される。いくつかの例では、屈曲点604は、連続的支持部材600が長手方向軸線に沿ってではなく直線にレイアウトされるとき(すなわち、頂点602が曲げられていないとき)、2つの隣接する屈曲点604が連続的支持部材600に沿って同じ距離を共有するように、連続的支持部材600の長さに沿って等間隔をあけて位置決めされる。
【0074】
本明細書に開示されるように、支持要素及び/又は連続的支持部材は、ニチノール(NiTi)などの任意の好適な材料及び/又は限定ではないが、ステンレス鋼、L605鋼、ポリマー、MP35N鋼、ポリマー材料、Phynox、Elgiloy、又は任意の他の適切な生体適合性材料などの他の材料で作製されてもよく、及びそれらの組み合わせは、支持要素の材料として使用することができる。NiTiの超弾性特性及び柔軟さは、支持要素の追従性を高めることができる。さらに、NiTiは、所望の形状に形状固定することができる。すなわち、NiTiは、支持要素が送達システムから展開されるときなど、支持要素が拘束されていないとき、支持要素が所望の形状になる傾向があるように、形状固定することができる。
【0075】
いくつかの例では、支持要素は、とりわけ、白金又はチタンが挙げられるが、これらには限定されない、任意の好適な放射線不透過性材料で作製されてもよい。
【0076】
本明細書に開示されるように、いずれの層又は副層も、ポリマー又は複数のポリマーで作製されてもよい。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ポリマー又は延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)ポリマーなどのフルオロポリマーが挙げられるが、これらには限定されない生体適合性材料を使用することができる。いくつかの例では、インプラントに使用される生体適合性材料は、ポリエチレン又は発泡ポリエチレンを挙げることができるが、これらには限定されない。
【0077】
いくつかの例では、ポリエステル、シリコーン、ウレタン、ポリエチレンテレフタレート、別の生体適合性ポリマー、又はこれらの組み合わせなどであるが、これらに限定されない材料が、層又は副層の少なくとも一部分を形成するために使用されてもよい。いくつかの事例では、生体吸収型材料又は生体吸収性材料、例えば、生体吸収型ポリマー又は生体吸収性ポリマーが使用されてもよい。いくつかの例では、材料は、ダクロン、ポリオレフィン、カルボキシメチルセルロース布、ポリウレタン、又は他の織布、不織布、又はフィルムエラストマーを含むことができる。
【0078】
当業者であれば、本開示の様々な態様が、意図された機能を実行するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現され得ることを容易に理解するであろう。また、本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を示すために誇張されている場合があり、その点に関して、図面は限定するものとして解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0079】
本明細書に開示される図に示されるデバイス、方法、及びシステムは、デバイス、方法、及びシステムの様々な特徴の例として提供され、それらの図示される特徴の組み合わせは、明らかに本発明の範囲内であるが、例及びそれらの図は、本明細書に提供される発明概念が、より少ない特徴、付加的特徴、又は代替的特徴から、図に示されるそれらの特徴のうちの1つ以上にまで限定されることを示唆することを意味しない。
【0080】
本出願の発明は、一般的なものと、具体的な実施形態に関するものの両方について上述した。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な修正及び変形を行うことができることが当業者には明らかであろう。それゆえ、本実施形態は、この発明の修正及び変形が、添付の特許請求の範囲、及びそれらの等価物の範囲内に収まるのであれば、そのような修正及び変形を包含するものであることを意図している。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔内イントロデューサシースであって、
第1のポリマー層と、
第2のポリマー層と、
前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間に位置決めされ、実質的な長手方向の圧縮なしに前記管腔内イントロデューサシースの血管内への前進を容易にするために柱状強度を提供するように構成された少なくとも2つの長手方向の支持要素であって、前記長手方向の支持要素が、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層によって互いに隔離されている、長手方向の支持要素と、を備える、管腔内イントロデューサシース。
【請求項2】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素は、互いに別個であり、分離されている、請求項1に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項3】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素は、3つの長手方向の支持要素を含む、請求項1に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項4】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素は、4つの長手方向の支持要素を含む、請求項1に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項5】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素は、前記管腔内イントロデューサシースの円周の周りに対称的に位置決めされる、請求項1に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項6】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素は、前記管腔内イントロデューサシースの円周の周りに非対称に位置決めされる、請求項1に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項7】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素は、前記管腔内イントロデューサシースの長手方向軸線に対して概ね位置合わせされる、請求項1に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項8】
前記管腔内イントロデューサシースは、約1mm未満の平均壁厚を有する、請求項1に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項9】
前記第1のポリマー層又は前記第2のポリマー層のうちの少なくとも1つは、複数の副層を備える、請求項1に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項10】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素のうちの少なくとも1つは、前記複数の副層のうちの2つの隣接する層の間に位置決めされる、請求項9に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項11】
前記第1のポリマー層は、前記第2のポリマー層に少なくとも部分的に接合され、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層は、前記少なくとも2つの長手方向の支持要素を完全に封入する、請求項1に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項12】
前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間に位置決めされた中間層をさらに備え、前記第1のポリマー層及び前記第2のポリマー層は、前記中間層に少なくとも部分的に接合されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項13】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に放射線不透過性である、請求項1~11のいずれか1項に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項14】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素は、少なくとも1つの連続的支持部材の部分である、請求項1~11のいずれか1項に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項15】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素は、前記少なくとも2つの長手方向の支持要素の長さに沿って位置決められた複数の屈曲点をさらに備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項16】
前記第1のポリマー層又は前記第2のポリマー層のうちの少なくとも1つは、その表面上に少なくとも1つの放射線不透過性マークを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の管腔内イントロデューサシース。
【請求項17】
管腔内イントロデューサシースを形成する方法であって、前記方法は、
第1のポリマー層をマンドレルの周囲に位置決めすることと、
第1の熱処理を前記第1のポリマー層に施すことと、
前記第1のポリマー層上に少なくとも2つの長手方向の支持要素を位置決めすることであって、前記長手方向の支持要素は、前記第1のポリマー層及び第2のポリマー層によって互いに隔離されており、前記長手方向の支持要素は、実質的な長手方向の圧縮なしに前記管腔内イントロデューサシースの血管内への前進を容易にするために柱状強度を提供するように構成されている、位置決めすることと、
前記第1のポリマー層及び前記少なくとも2つの長手方向の支持要素の周囲に第2のポリマー層を位置決めすることと、
前記第1のポリマー層、前記第2のポリマー層、及び前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間に位置決めされた前記少なくとも2つの長手方向の支持要素に第2の熱処理を施すこと、とを含む、方法。
【請求項18】
前記第1のポリマー層の周囲に前記第2のポリマー層を位置決めする前に、前記第1のポリマー層の周囲に中間ポリマー層を位置決めすることをさらに含み、前記中間ポリマー層は、前記第1のポリマー層と前記第2のポリマー層との間に位置決めされる、
ように構成されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも2つの長手方向の支持要素を前記第1のポリマー層上に位置決めする前に、前記少なくとも2つの長手方向の支持要素に第3の熱処理を施し、前記少なくとも2つの長手方向の支持要素に形状を付与すること、
をさらに含む、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のポリマー層又は前記第2のポリマー層のうちの少なくとも1つの表面上に、少なくとも1つの放射線不透過性マークを適用すること、
をさらに含む、請求項17又は18に記載の方法。
【国際調査報告】