(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製する方法
(51)【国際特許分類】
B01J 37/02 20060101AFI20240822BHJP
B01J 37/10 20060101ALI20240822BHJP
B01J 29/48 20060101ALI20240822BHJP
B01J 29/46 20060101ALI20240822BHJP
B01J 29/40 20060101ALI20240822BHJP
C07C 1/02 20060101ALI20240822BHJP
C07C 15/04 20060101ALI20240822BHJP
C07C 15/06 20060101ALI20240822BHJP
C07C 15/08 20060101ALI20240822BHJP
C07C 6/00 20060101ALN20240822BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240822BHJP
【FI】
B01J37/02 101Z
B01J37/10 ZAB
B01J37/02 301P
B01J29/48 M
B01J29/46 M
B01J29/40 M
C07C1/02
C07C15/04
C07C15/06
C07C15/08
C07C6/00
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516702
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2021133888
(87)【国際公開番号】W WO2023045070
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202111124097.3
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503190796
【氏名又は名称】中国科学院大▲連▼化学物理研究所
【氏名又は名称原語表記】DALIAN INSTITUTE OF CHEMICAL PHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 中民
(72)【発明者】
【氏名】于 政錫
(72)【発明者】
【氏名】楊 越
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BC17A
4G169BC17B
4G169BC35A
4G169BC35B
4G169BC42A
4G169BC42B
4G169BC58A
4G169BC58B
4G169BC59A
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BD05A
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4G169BE06C
4G169BE32C
4G169CB38
4G169CB66
4G169CC21
4G169DA06
4G169DA07
4G169DA08
4G169EA01Y
4G169EA02Y
4G169EA04Y
4G169EB18Y
4G169FA02
4G169FB02
4G169FB03
4G169FB14
4G169FB30
4G169FB57
4G169FB61
4G169FB63
4G169FC02
4G169FC07
4G169FC08
4G169ZA11A
4G169ZA11B
4G169ZD06
4G169ZD09
4G169ZF02B
4G169ZF05A
4G169ZF05B
4G169ZF09B
4H006AA02
4H006AC12
4H006AC29
4H006BA07
4H006BA08
4H006BA09
4H006BA14
4H006BA19
4H006BA60
4H006BA71
4H006BA81
4H006BA82
4H006BB61
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC18
4H006BC31
4H006BE41
4H006DA12
4H039CA41
4H039CK10
4H039CK90
(57)【要約】
修飾モレキュラーシーブ触媒を調製する方法、及びナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製する方法である。修飾モレキュラーシーブ触媒を調製する方法は、高温水熱法を使用してモレキュラーシーブを金属修飾するステップを含み、それは、可溶性金属塩水溶液を調製するステップ(1)と、金属修飾すべきゼオライトモレキュラーシーブを上記可溶性金属塩水溶液に入れ、60~100℃の温度で浸漬するステップ(2)と、ステップ(2)で得られたモレキュラーシーブを水切りし、乾燥させ、及び焙焼するステップ(3)とを含む。ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製する方法は、修飾モレキュラーシーブ触媒を調製するステップ(a)と、ナフサとCO2を含有する原料を反応器内で修飾モレキュラーシーブ触媒と接触させて反応させ、ベンゼン、トルエン及びパラキシレンを生成するステップ(b)とを含み、該方法は、従来技術における限られた水素資源と高コストの欠点を克服する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナフサとCO
2の結合変換を触媒してベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための修飾モレキュラーシーブ触媒を調製する方法であって、前記方法は、高温水熱法を使用してモレキュラーシーブを金属修飾するステップを含み、それは、
可溶性金属塩水溶液を調製するステップ(1)と、
金属修飾すべきゼオライトモレキュラーシーブを前記可溶性金属塩水溶液に入れ、60~100℃の温度で浸漬するステップ(2)と、
ステップ(2)で得られたモレキュラーシーブを水切りし、乾燥させ、及び焙焼して、前記修飾モレキュラーシーブ触媒を得るステップ(3)とを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記金属修飾すべきゼオライトモレキュラーシーブと前記可溶性金属塩水溶液との固液比は1/10~1/1であり、前記可溶性金属塩水溶液中の金属塩の質量濃度は10%~30%であり、浸漬時間は2~10時間であり、乾燥ステップは、空気雰囲気下で、100~150℃の条件下で行われ、焙焼ステップは、空気雰囲気下で、500~700℃の条件下で行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属修飾に使用される金属は、La、Zn、Ga、Fe、Mo、及びCr金属のうちの少なくとも1つから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記修飾ゼオライトモレキュラーシーブ触媒は、修飾されたHZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブで構成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記修飾ゼオライトモレキュラーシーブ触媒は、修飾されたHZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブ及び結合剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記モレキュラーシーブを金属修飾した後にシラン化修飾することを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記シラン化修飾は、その場化学蒸着法を使用し、それは、
金属修飾されたゼオライトモレキュラーシーブを反応器内に入れるステップ(4)と、
シラン化試薬を含有する材料Aを前記反応器内に一度に注入するステップ(5)であって、シラン化試薬の注入量は0.2~0.3g/g固体であり、前記シラン化試薬は前記反応器内に気体状態で存在するステップ(5)と、
反応器への材料Aの供給を停止し、反応器の温度を400℃以上に上げ、空気を注入して焙焼し、好ましくは、反応器温度を400℃~550℃に上げ、空気を注入して焙焼するステップ(6)を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記シラン化修飾は、その場気相原子層堆積法を使用し、それは、
金属修飾されたゼオライトモレキュラーシーブを反応器内に入れるステップ(4’)と、
シラン化試薬を含有する材料Aを前記反応器内にn回注入するステップ(5’)であって、各回のシラン化試薬の注入量は0.03~0.06g/g固体であり、前記シラン化試薬は前記反応器内に気体状態で存在し、nの数値範囲は3~6であるステップ(5’)と、
反応器への材料Aの供給を停止し、反応器の温度を400℃以上に上げ、空気を注入して焙焼し、好ましくは、反応器温度を400℃~550℃に上げ、空気を注入して焙焼するステップ(6’)を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記シラン化修飾に使用されるシラン化試薬は、以下の化学式の化合物の少なくとも1つから選択され、
【化3】
式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、C
1~
10アルキル基、C
1~
10アルコキシ基からそれぞれ独立して選択されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記シラン化修飾に使用されるシラン化試薬では、R
1、R
2、R
3及びR
4の少なくとも1つがC
1~
10アルコキシ基から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記シラン化試薬は、オルトケイ酸テトラエチル及びオルトケイ酸テトラメチルのうちの少なくとも1つから選択されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ナフサとCO
2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製する方法であって、前記方法は、
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法に基づいて修飾モレキュラーシーブ触媒を調製するステップ(a)と、
ナフサとCO
2を含有する原料を反応器内で前記修飾モレキュラーシーブ触媒と接触させて反応させ、ベンゼン、トルエン及びパラキシレンを生成するステップ(b)とを含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項13】
前記原料は、ナフサ及びCO
2で構成されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ナフサは、水素化分解ナフサ、触媒分解ナフサ、ラフィネート、抜頭原油、及び石炭直接液化ナフサのうちの少なくとも1つから選択され、
好ましくは、前記ナフサ中の炭化水素の炭素数の分布範囲はC
4~C
12であり、
好ましくは、前記反応器は、固定床反応器、流動床反応器、又は移動床反応器のうちの1つであることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ナフサとCO
2の反応条件は、反応温度450~650℃、反応圧力0.1~3MPa、前記ナフサの重量空間速度0.1~5h
-1、CO
2の重量空間速度0.1~5h
-1であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石油化学工業の分野に属し、具体的には、ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製する方法、特に修飾されたゼオライトモレキュラーシーブ触媒がナフサとCO2の結合変換を触媒してベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業の発展に伴い、大気中の二酸化炭素(CO2)含有量は日に日に増加し、温室効果はますます深刻になっている。「カーボンニュートラル」という国際的な概念を受けて、CO2のリサイクルと利用が科学研究者らの研究の焦点となっている。
【0003】
なお、ベンゼン、トルエン、キシレン(以下、BTPX)は市場消費量の多い基礎化学品であるが、中国では大量に輸入する必要がある。BTPXを生産するための現在の技術的ルートには主にナフサの触媒改質が含まれるが、この技術的ルートはまだ中国のニーズを満たすことができない。
【0004】
研究者らは、水素の影響下での二酸化炭素の水素化をBTPXの調製に使用できることを発見した。しかし、このルートは二酸化炭素の水素化を利用して液体炭化水素又はBTPXを調製するものであるが、その技術指標の達成が難しく、水素の供給源も工業用途を制限する重要な問題となっている。
【発明の概要】
【0005】
上記技術的問題を解決するために、本出願の発明者は、ナフサを原料として使用し、それを原料としてCO2と結合させてベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製することが、CO2を使用して芳香族ベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための新しい技術的ルートであることを創造的に発見し、それは、ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの生産とCO2の大規模利用のための新しい方法を提供する。
【0006】
一態様では、本出願は、ナフサとCO2の結合変換を触媒してベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための修飾モレキュラーシーブ触媒を調製する方法を提供し、その特徴は、以下のとおりである。上記方法は、高温水熱法を使用してモレキュラーシーブを金属修飾するステップを含み、それは、
可溶性金属塩水溶液を調製するステップ(1)と、
金属修飾すべきゼオライトモレキュラーシーブを上記可溶性金属塩水溶液に入れ、60~100℃の温度で浸漬するステップ(2)と、
ステップ(2)で得られたモレキュラーシーブを水切りし、乾燥させ、及び焙焼して、上記修飾モレキュラーシーブ触媒を得るステップ(3)とを含む。
【0007】
任意選択的に、上記金属修飾すべきゼオライトモレキュラーシーブと上記可溶性金属塩水溶液との固液比は1/10~1/1であり、上記可溶性金属塩水溶液中の金属塩の質量濃度は10%~30%であり、浸漬時間は2~10時間であり、乾燥ステップは、空気雰囲気下で、100~150℃の条件下で行われ、焙焼ステップは、空気雰囲気下で、500~700℃の条件下で行われる。
【0008】
任意選択的に、ステップ(1)では、可溶性金属塩水溶液を、60℃、70℃、80℃、90℃、及び100℃の温度のうちの任意の値又は任意の2つの値によって決定される範囲の値に加熱することができる。
【0009】
任意選択的に、ステップ(2)では、浸漬時間は、2時間、4時間、6時間、8時間及び10時間のうちの任意の値又は任意の2つの値によって決定される範囲の値である。
【0010】
任意選択的に、上記金属修飾に使用される金属は、La、Zn、Ga、Fe、Mo、及びCr金属のうちの少なくとも1つから選択される。
【0011】
任意選択的に、上記金属修飾は、ZnとGaの二金属を使用して行われる。
【0012】
任意選択的に、上記修飾ゼオライトモレキュラーシーブ触媒は、修飾されたHZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブで構成される。
【0013】
任意選択的に、上記修飾ゼオライトモレキュラーシーブ触媒は、修飾されたHZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブ及び結合剤を含む。
【0014】
任意選択的に、上記方法は、上記モレキュラーシーブを金属修飾した後にシラン化修飾することを更に含む。
【0015】
任意選択的に、上記シラン化修飾は、その場化学蒸着法を使用し、それは、
金属修飾されたゼオライトモレキュラーシーブを反応器内に入れるステップ(4)と、
シラン化試薬を含有する材料Aを上記反応器内に一度に注入するステップ(5)であって、シラン化試薬の注入量は0.2~0.3g/g固体であり、上記シラン化試薬は上記反応器内に気体状態で存在するステップ(5)と、
反応器への材料Aの供給を停止し、反応器の温度を400℃以上に上げ、空気を注入して焙焼するステップ(6)とを含む。
【0016】
任意選択的に、ステップ(6)では、反応器温度を400℃~550℃に上げ、空気を注入して焙焼する。
【0017】
具体的には、上記シラン化修飾は、その場化学蒸着法を使用し、それは、
金属修飾されたゼオライトモレキュラーシーブを反応器内に入れ、高温条件(例えば、450~550℃)下で窒素で活性化し、次に、窒素雰囲気下でシラン化修飾温度(該温度は、シラン化試薬が反応器内で気相状態に存在することを確保する)まで冷却するステップ(4-1)と、
全てのシラン化試薬を含有する材料Aを上記反応器に一度に注入し、所定時間継続するステップ(5-1))であって、該材料Aは窒素をキャリアガスとするシラン化試薬であるステップ(5-1)と、
反応器への材料Aの供給を停止し、反応器の温度を400℃以上(例えば、550℃)に上げ、空気を注入して焙焼し、ゼオライトモレキュラーシーブのシラン化修飾を完了するステップ(6-1)とを含む。
【0018】
任意選択的に、上記シラン化修飾は、その場気相原子層堆積法を使用し、それは、
金属修飾されたゼオライトモレキュラーシーブを反応器内に入れるステップ(4’)と、
シラン化試薬を含有する材料Aを上記反応器内にn回注入するステップ(5’)であって、各回のシラン化試薬の注入量は0.03~0.06g/g固体であり、上記シラン化試薬は上記反応器内に気体状態で存在し、nの数値範囲は3~6であるステップ(5’)と、
反応器への材料Aの供給を停止し、反応器の温度を400℃以上に上げ、空気を注入して焙焼するステップ(6’)とを含む。
【0019】
具体的には、上記シラン化修飾は、その場気相原子層堆積法を使用し、それは、
金属修飾されたゼオライトモレキュラーシーブを反応器内に入れるステップ(4’-1)と、
シラン化試薬を含有する飽和ボトルにキャリアガスとしての窒素を注入し、次に、キャリアガスがシラン化試薬を反応器内に運びんで所定時間継続し、高温条件(例えば、450~550℃)下で窒素で活性化し、次に、窒素雰囲気下でシラン化修飾温度(該温度は、シラン化試薬が反応器内で気相状態に存在することを確保する)まで冷却するステップ(5’-1)と、
反応器へのシラン化試薬及びキャリアガスとしての窒素の注入を停止し、反応器の温度を400℃以上(例えば、550℃)に上げ、空気を注入して焙焼し、ゼオライトモレキュラーシーブの1回のシラン化修飾を完了するステップ(6’-1)と、
ステップ(2)と(3)をn回繰り返すステップ(7)とを含む。
【0020】
任意選択的に、「その場化学蒸着法」及び「その場気相原子層堆積法」に含まれる「その場」は両方とも、反応器内でモレキュラーシーブをシラン化修飾した後、修飾されたモレキュラーシーブを除去するステップを行わずに、同じ反応器内でナフサとCO2の結合変換反応を触媒するために使用することを指す。その場気相シラン化法により、触媒の輸送、充填、洗浄などのステップが削減され、コストが大幅に削減される。
【0021】
任意選択的に、上記シラン化修飾に使用されるシラン化試薬は、以下の化学式の化合物の少なくとも1つから選択され、
【化1】
式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、C
1~
10アルキル基、C
1~
10アルコキシ基からそれぞれ独立して選択される。
【0022】
任意選択的に、上記シラン化修飾に使用されるシラン化試薬では、R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つがC1~10アルコキシ基から選択される。
【0023】
任意選択的に、上記シラン化試薬は、オルトケイ酸テトラエチル及びオルトケイ酸テトラメチルのうちの少なくとも1つから選択される。
【0024】
別の態様では、本出願は、ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製する方法を提供し、上記方法は、前述した方法に基づいて、修飾モレキュラーシーブ触媒を調製するステップ(a)と、ナフサとCO2を含有する原料を反応器内で上記修飾モレキュラーシーブ触媒と接触させて反応させ、ベンゼン、トルエン及びパラキシレンを生成するステップ(b)とを含む。
【0025】
任意選択的に、上記修飾されたゼオライトモレキュラーシーブは、金属修飾及びシラン化修飾されたゼオライトモレキュラーシーブである。
【0026】
任意選択的に、上記修飾されたゼオライトモレキュラーシーブは、金属修飾してからシラン化修飾したゼオライトモレキュラーシーブである。
【0027】
任意選択的に、上記修飾されたゼオライトモレキュラーシーブは、シラン化のみによって修飾されたゼオライトモレキュラーシーブである。
【0028】
任意選択的に、上記ゼオライトモレキュラーシーブ触媒は、修飾されたゼオライトモレキュラーシーブで構成される。
【0029】
任意選択的に、上記修飾されたゼオライトモレキュラーシーブは、金属修飾、シラン化修飾、及びその場水蒸気修飾を順次受けたゼオライトモレキュラーシーブである。
【0030】
具体的には、水蒸気修飾は、以下のステップによって行われる。その場シラン化修飾されたモレキュラーシーブの配置される反応器に水蒸気を注入し、窒素雰囲気下で温度を700~900℃に上げて所定時間処理する。
【0031】
任意選択的に、上記原料は、ナフサ及びCO2で構成される。
【0032】
任意選択的に、上記ナフサは、水素化分解ナフサ、触媒分解ナフサ、ラフィネート、抜頭原油、及び石炭直接液化ナフサのうちの少なくとも1つから選択される。
【0033】
任意選択的に、上記ナフサ中の炭化水素の炭素数の分布範囲はC4~C12である。
【0034】
任意選択的に、上記反応器は、固定床反応器、流動床反応器、又は移動床反応器のうちの1つである。
【0035】
任意選択的に、ナフサとCO2の反応条件は、反応温度450~650℃、反応圧力0.1~3MPa、上記ナフサの重量空間速度0.1~5h-1、CO2の重量空間速度0.1~5h-1である。
【0036】
任意選択的に、反応温度は、450℃、500℃、550℃及び650℃のうちの任意の値又は任意の2つの値によって決定される範囲の値から選択される。
【0037】
任意選択的に、反応圧力は、0.1MPa、1MPa及び3MPaのうちの任意の値又は任意の2つの値によって決定される範囲の値から選択される。
【0038】
任意選択的に、上記ナフサの重量空間速度は、0.1h-1、1h-1及び5h-1のうちの任意の値又は任意の2つの値によって決定される範囲の値から選択される。
【0039】
任意選択的に、CO2の重量空間速度は、0.1h-1、0.3h-1及び5h-1のうちの任意の値又は任意の2つの値によって決定される範囲の値から選択される。
【0040】
任意選択的に、反応時間は、30分~120分である。
【0041】
任意選択的に、CO2とナフサの質量比は、0.8:0.27~0.8:1である。
【0042】
任意選択的に、CO2とナフサの質量比は、0.8:0.27、0.8:1及び1:1のうちの任意の値又は任意の2つの値によって決定される範囲の値から選択される。
【0043】
任意選択的に、上記ゼオライトモレキュラーシーブ触媒は、結合剤を更に含む。
【0044】
本出願では、流動床用ゼオライトモレキュラーシーブ触媒の調製方法は、以下のとおりである。金属修飾されたゼオライトモレキュラーシーブを結合剤と水中で均一に混合し、叩解、ゴム粉砕、脱泡を経てスラリーを得て、得られたスラリーを通常の噴霧乾燥法によって成形し、焙焼して上記流動床用ゼオライトモレキュラーシーブを得て、上記結合剤は、アルミニウム又はケイ素を含有する非晶質結合剤を含み、好ましくは、擬ベーマイト又はシリカゾルである。
【0045】
具体的には、上記ナフサとCO2の結合変換によってBTPXを調製する方法は、以下のとおりである。
【0046】
(i)ゼオライトモレキュラーシーブ触媒を反応器内に入れ、まず所定温度で窒素などの不活性ガスで前処理し、窒素雰囲気下で反応温度に調整し、
(ii)ナフサとCO2を供給し、ナフサは、マイクロフィードポンプで供給し、CO2は、流量計で供給量を制御し、反応圧力を所定範囲内に制御し、
(iii)ナフサとCO2を所定時間反応させた後、生成物をガスクロマトグラフィーで分析する。
【0047】
本出願における「水素化分解ナフサ」は、重油の水素化分解によって生成される重質ナフサを指す。
【0048】
本出願における「触媒分解ナフサ」は、減圧軽油とロングレシジューの触媒分解によって生成されるナフサを指す。
【0049】
本出願における「ラフィネート」は、芳香族炭化水素に富む触媒改質生成物から芳香族炭化水素が抽出された後に残る分留油を指す。
【0050】
本出願における「抜頭原油」は、直留ガソリンの蒸留中に得られる沸点が60℃未満の軽質留分を指す。
【0051】
本出願における「石炭直接液化ナフサ」は、石炭直接液化装置によって調製されるナフサを意味する。
【0052】
本出願では、ナフサとCO2の結合変換によって芳香族炭化水素を調製するということは、CO2を原料として使用してナフサと反応させて芳香族炭化水素を調製することを意味する。
【0053】
更に、別の態様では、本出願は、モレキュラーシーブ触媒をシリル化修飾する方法を提供し、該方法は、
金属修飾又は未修飾のゼオライトモレキュラーシーブを含有する固体を反応器内に入れるステップ(1-1)と、
シラン化試薬を含有する材料Aを上記反応器内にn回注入するステップ(2-1)であって、各回のシラン化試薬の注入量は0.03~0.06g/g固体であり、上記シラン化試薬は上記反応器内に気体状態で存在し、nの数値範囲は3~6であるステップ(2-1)と、
反応器への材料Aの供給を停止し、反応器の温度を400℃以上に上げ、空気を注入して焙焼するステップ(3-1)とを含む。
【0054】
具体的には、上記シラン化修飾は、その場気相原子層堆積法を使用し、それは、
金属修飾又は未修飾のゼオライトモレキュラーシーブを含有する固体を反応器内に入れるステップ(1-1’)と、
シラン化試薬を含有する飽和ボトルにキャリアガスとしての窒素を注入し、次に、キャリアガスがシラン化試薬を反応器内に運びんで所定時間継続し、高温条件(例えば、450~550℃)下で窒素で活性化し、次に、窒素雰囲気下でシラン化修飾温度(該温度は、シラン化試薬が反応器内で気相状態に存在することを確保する)まで冷却するステップ(2-1’)と、
反応器へのシラン化試薬及びキャリアガスとしての窒素の注入を停止し、反応器の温度を400℃以上(例えば、550℃)に上げ、空気を注入して焙焼し、ゼオライトモレキュラーシーブの1回のシラン化修飾を完了するステップ(3-1’)と、
ステップ(2)と(3)をn回繰り返すステップ(4-1’)とを含む。
【0055】
他の態様では、本出願は、モレキュラーシーブ触媒を修飾する方法を提供し、該方法は、
可溶性金属塩水溶液を調製するステップ(1’-1)と、
ゼオライトモレキュラーシーブを上記可溶性金属塩水溶液に入れ、60~100℃の温度で所定時間浸漬するステップ(2’-1)と、
ステップ(2)で得られた修飾モレキュラーシーブを水切りし、乾燥させ、及び焙焼するステップ(3’-1)と、
ステップ(3)で得られた、金属修飾されたゼオライトモレキュラーシーブを反応器内に入れるステップ(4’-1)と、
シラン化試薬を含有する材料Aを上記反応器内にn回注入するステップ(5’-1)であって、各回のシラン化試薬の注入量は0.03~0.06g/g固体であり、上記シラン化試薬は上記反応器内に気体状態で存在し、nの数値範囲は3~6であるステップ(5’-1)と、
反応器への材料Aの供給を停止し、反応器の温度を400℃以上に上げ、空気を注入して焙焼し、まず金属で修飾され、次に気相シラン化修飾されたモレキュラーシーブを得るステップ(6’-1)とを含む。
【0056】
任意選択的に、上記修飾されたゼオライトモレキュラーシーブと上記可溶性金属塩水溶液との固液比は1/10~1/1(質量比)であり、上記可溶性金属塩水溶液中の金属塩の質量濃度は10%~30%であり、浸漬時間は2~10時間であり、乾燥ステップは、空気雰囲気下で、100~150℃の条件下で行われ、焙焼ステップは、空気雰囲気下で、500~700℃の条件下で行われる。
【0057】
任意選択的に、ステップ(1)では、可溶性金属塩水溶液を、60℃、70℃、80℃、90℃、及び100℃の温度のうちの任意の値又は任意の2つの値によって決定される範囲の値に加熱することができる。
【0058】
任意選択的に、ステップ(2)では、浸漬時間は、2時間、4時間、6時間、8時間及び10時間のうちの任意の値又は任意の2つの値によって決定される範囲の値である。
【0059】
任意選択的に、上記ゼオライトモレキュラーシーブは、HZSM-5水素型モレキュラーシーブである。
【0060】
任意選択的に、上記金属修飾されたゼオライトモレキュラーシーブのうちの金属は、La、Zn、Ga、Fe、Mo、及びCr金属のうちの少なくとも1つから選択される。
【0061】
任意選択的に、上記シラン化修飾に使用されるシラン化試薬は、以下の化学式の化合物の少なくとも1つから選択され、
【化2】
式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、C
1~
10アルキル基、C
1~
10アルコキシ基からそれぞれ独立して選択される。
【0062】
任意選択的に、R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つがC1~10アルコキシ基から選択される。
【0063】
任意選択的に、上記シラン化試薬は、オルトケイ酸テトラエチル及びオルトケイ酸テトラメチルのうちの少なくとも1つから選択される。
【0064】
本出願が生み出す有益な効果は、以下のとおりである。
【0065】
1)本出願は、CO2を使用してベンゼン、トルエン、及びパラキシレン(すなわち、BTPX)の大規模生産のための新しい技術的ルートを提供し、該方法は、従来技術における限られた水素資源と高コストの欠点を克服する。
【0066】
2)本出願では、修飾されたHZSM-5モレキュラーシーブを触媒の活性成分として使用すると、炭化水素生成物中のBTPXの選択率は75.08%に達し、キシレン中のパラキシレンの選択率はいずれも92%以上であり、
3)本出願では、金属修飾されたHZSM-5モレキュラーシーブのみを触媒の活性成分として使用した場合と比較して、金属修飾及びシラン化修飾されたHZSM-5モレキュラーシーブを触媒の活性成分として使用すると、より高いBTPX選択率とキシレン中のパラキシレンの選択率を達成することができ、
4)本出願では、その場化学蒸着法でシラン化を行う場合と比較して、シラン化修飾にはその場気相原子層堆積法が使用されており、修飾されたHZSM-5モレキュラーシーブを活性成分として使用すると、より高いBTPX選択率とキシレン中のパラキシレンの選択率を達成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下では、実施例を参照しながら本出願を詳細に説明するは、本出願は、これらの実施例に限定されない。
【0068】
本出願で開示される範囲の端点及び任意の値は、該正確な範囲又は値に限定されないが、これらの範囲又は値は、そのような範囲又は値の近似値を含むものと理解されるべきである。数値範囲については、各範囲の終点値及び個々の点値を互いに組み合わせて、1つ以上の新しい数値範囲を生成することができ、これらの数値範囲は本明細書に具体的に開示されるものとみなされる。
【0069】
以下では、実施例を参照しながら本出願を詳細に説明するは、本出願は、これらの実施例に限定されない。
【0070】
特に明記しない限り、本出願の実施例における原料はいずれも市販のもの、又は既知の方法によって調製されたものである。実施例におけるHZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブは、南開大学催化剤厂から購入した。
【0071】
特に明記しない限り、実施例における分析方法は全て、機器又は装置の従来の設定及び従来の分析方法を使用する。
【0072】
本出願の実施例では、ナフサの種類は石炭直接液化ナフサであり、その具体的な組成は以下の表のとおりである。
【表0】
【0073】
本出願の実施例では、固定床反応器の内径は1.5cm、固定流動床反応器の内径は3cmである。
【0074】
本出願の実施例の生成物では、炭化水素生成物のみが記載されており、ナフサとCO2との反応によって生成される他の生成物は記載されない。
【0075】
実施例1 固定床用の亜鉛修飾HZSM-5モレキュラーシーブの成形サンプルの調製
100gのHZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブ(南開大学催化剤厂、Si/Al=15)を10wt%硝酸亜鉛水溶液に入れ、HZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブと硝酸亜鉛水溶液の質量比(すなわち、固液比)は1/10であり、80℃の条件下で6時間浸漬し、水切りした後、空気雰囲気下で、120℃の条件下で4時間乾燥させ、その後、空気雰囲気下で、550℃で4時間焙焼した後に[Zn]HZSM-5モレキュラーシーブサンプルを得て、錠剤化して成形し、破砕し、篩い分けした後、粒径40~60メッシュの成形モレキュラーシーブ粒子を得て、これをFX-[Zn]HZSM-5と表記する。
【0076】
実施例2 固定床用のガリウム修飾HZSM-5モレキュラーシーブの成形サンプルの調製
100gのHZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブ(南開大学催化剤厂、Si/Al=15)を10wt%硝酸ガリウム水溶液に入れ、HZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブと硝酸ガリウム水溶液の質量比(すなわち、固液比)は1/10であり、80℃の条件下で6時間浸漬し、水切りした後、空気雰囲気下で、120℃の条件下で4時間乾燥させ、その後、空気雰囲気下で、550℃で4時間焙焼した後に[Ga]HZSM-5モレキュラーシーブサンプルを得て、錠剤化して成形し、破砕し、篩い分けした後、粒径40~60メッシュの成形モレキュラーシーブ粒子を得て、これをFX-[Ga]HZSM-5と表記する。
【0077】
実施例3 固定床用のランタン修飾HZSM-5モレキュラーシーブの成形サンプルの調製
100gのHZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブ(南開大学催化剤厂、Si/Al=15)を10wt%硝酸ランタン水溶液に入れ、HZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブと硝酸ランタン水溶液の質量比(すなわち、固液比)は1/10であり、90℃の条件下で4時間浸漬し、水切りした後、空気雰囲気下で、120℃の条件下で4時間乾燥させ、その後、空気雰囲気下で、550℃で4時間焙焼した後に[La]HZSM-5モレキュラーシーブサンプルを得て、錠剤化して成形し、破砕し、篩い分けした後、粒径40~60メッシュの成形モレキュラーシーブ粒子を得て、これをFX-[La]HZSM-5と表記する。
【0078】
実施例4 固定床用の鉄修飾HZSM-5モレキュラーシーブの成形サンプルの調製
100gのHZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブ(南開大学催化剤厂、Si/Al=15)を10wt%硝酸鉄水溶液に入れ、HZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブと硝酸鉄水溶液の質量比(すなわち、固液比)は1/10であり、70℃の条件下で8時間浸漬し、水切りした後、空気雰囲気下で、120℃の条件下で4時間乾燥させ、その後、空気雰囲気下で、550℃で4時間焙焼した後に[Fe]HZSM-5モレキュラーシーブサンプルを得て、錠剤化して成形し、破砕し、篩い分けした後、粒径40~60メッシュの成形モレキュラーシーブ粒子を得て、これをFX-[Fe]HZSM-5と表記する。
【0079】
実施例5 固定床用のクロム修飾HZSM-5モレキュラーシーブの成形サンプルの調製
100gのHZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブ(南開大学催化剤厂、Si/Al=15)を10wt%硝酸クロム水溶液に入れ、HZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブと硝酸クロム水溶液の質量比(すなわち、固液比)は1/10であり、70℃の条件下で8時間浸漬し、水切りした後、空気雰囲気下で、120℃の条件下で4時間乾燥させ、その後、空気雰囲気下で、550℃で4時間焙焼した後に[Cr]HZSM-5モレキュラーシーブサンプルを得て、錠剤化して成形し、破砕し、篩い分けした後、粒径40~60メッシュの成形モレキュラーシーブ粒子を得て、これをFX-[Cr]HZSM-5と表記する。
【0080】
実施例6 流動床用の亜鉛修飾HZSM-5の成形モレキュラーシーブサンプルの調製
実施例1で調製した100gの[Zn]HZSM-5モレキュラーシーブサンプルを、アルミニウム又はシリコンを含有する非晶質結合剤と混合し、噴霧乾燥して成形し、具体的なステップは、以下のとおりである。
【0081】
[Zn]HZSM-5モレキュラーシーブサンプル、擬ベーマイト、シリカゾル、キサンタンガム(バクテリアポリサッカライド)、及び水を均一に混合し、叩解し、ゴム粉砕し、及び脱泡した後にスラリーを得て、スラリー中の各成分の重量部は、以下のとおりである。
[Zn]HZSM-5 35重量部
Al2O3 20重量部
SiO2 45重量部
H2O 240重量部
キサンタンガム 1重量部
【0082】
得られたスラリーを噴霧乾燥して成形し、粒径分布20~100μmの微小球粒子サンプルを得て、微小球粒子サンプルをマッフル炉内で550℃で3時間焙焼した後、摩耗指数1.2の[Zn]HZSM-5の成形モレキュラーシーブを得て、これをFL-[Zn]HZSM-5と表記する。
【0083】
実施例7 固定床用の亜鉛とガリウムの複合物修飾HZSM-5モレキュラーシーブの成形サンプルの調製
100gのHZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブ(南開大学催化剤厂、Si/Al=15)を硝酸亜鉛と硝酸ガリウムの10wt%混合水溶液に入れ、硝酸亜鉛と硝酸ガリウムの質量比は1/1であり、HZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブと硝酸亜鉛と硝酸ガリウムの混合水溶液の質量比(すなわち、固液比)は1/10であり、80℃の条件下で6時間浸漬し、水切りした後、空気雰囲気下で、120℃の条件下で4時間乾燥させ、その後、空気雰囲気下で、550℃で4時間焙焼した後に[Zn、Ga]HZSM-5モレキュラーシーブサンプルを得て、錠剤化して成形し、破砕し、篩い分けした後、粒径40~60メッシュの成形モレキュラーシーブ粒子を得て、これをFX-[Zn、Ga]HZSM-5と表記する。
【0084】
実施例8 固定床用の亜鉛修飾HZSM-5モレキュラーシーブの成形サンプルの調製
100gのHZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブ(南開大学催化剤厂、Si/Al=15)を10wt%硝酸亜鉛水溶液に入れ、HZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブと硝酸亜鉛水溶液の質量比(すなわち、固液比)は実施例1と同じであり、室温(20℃)で6時間浸漬し、水切りした後、空気雰囲気下で、120℃の条件下で4時間乾燥させ、その後、空気雰囲気下で、550℃で4時間焙焼した後に[Zn]HZSM-5モレキュラーシーブサンプルを得て、錠剤化して成形し、破砕し、篩い分けした後、粒径40~60メッシュの成形モレキュラーシーブ粒子を得て、これをFX-[Zn]HZSM-5-Rと表記する。
【0085】
実施例9 固定床用の亜鉛修飾HZSM-5モレキュラーシーブの成形サンプルの調製
100gのHZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブ(南開大学催化剤厂、Si/Al=15)を10wt%硝酸亜鉛水溶液に入れ、HZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブと硝酸亜鉛水溶液の質量比(すなわち、固液比)は1/1であり、80℃の条件下で6時間浸漬し、水切りした後、空気雰囲気下で、120℃で4時間乾燥させ、その後、空気雰囲気下で、550℃で4時間焙焼した後に[Zn]HZSM-5モレキュラーシーブサンプルを得て、錠剤化して成形し、破砕し、篩い分けした後、粒径40~60メッシュの成形モレキュラーシーブ粒子を得て、これをFX-[Zn]HZSM-5-Aと表記する。
【0086】
実施例10 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための触媒は、マイクロ固定床反応装置でオンラインで調製される。オンライン触媒調製の条件は、以下のとおりである。実施例1で調製した5グラムのFX-[Zn]HZSM-5触媒を固定床反応器に入れ、まず、50mL/分の窒素で550℃で1時間処理し、その後、窒素雰囲気下で300℃まで冷却する。窒素雰囲気下(質量流量計で制御、100mL/分)、オルトケイ酸テトラエチルを反応器にポンプ注入し、オルトケイ酸テトラエチルの重量空間速度は0.2h-1、常圧である。60分間供給した後、供給を停止し、オルトケイ酸テトラエチルの注入量を0.2g/gの上記触媒とし、窒素でパージし、温度を550℃まで上げ、空気雰囲気下で4時間焙焼した後、ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための固定床触媒を得て、これをFXNCC-1と名付ける。
【0087】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=0.8:1であり、CO
2の重量空間速度=0.8h
-1であり、ナフサの重量空間速度は1.0h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表1に示される。
【表1】
【0088】
実施例10-1 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
マイクロ固定床反応装置でナフサとCO2の結合変換における触媒の反応性能を評価する。評価条件は、以下のとおりである。実施例1で調製した5グラムのFX-[Zn]HZSM-5を固定床反応器に入れ、まず、50mL/分の窒素で550℃で1時間処理する。
【0089】
次に、窒素雰囲気下で反応温度が550℃になり、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=0.8:1であり、CO
2の重量空間速度=0.8h
-1であり、ナフサの重量空間速度は1.0h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表1-1に示される。
【表1-1】
【0090】
実施例10及び実施例10-1を比較すると、以下のことをわかる。金属修飾されたHZSM-5モレキュラーシーブのみを触媒の活性成分として使用した場合と比較して、金属修飾及びシラン化修飾されたHZSM-5モレキュラーシーブを触媒の活性成分として使用すると、より高いBTPX選択率とキシレン中のパラキシレンの選択率を達成することができる。
【0091】
実施例11 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための触媒は、マイクロ固定床反応装置でオンラインで調製される。オンライン触媒調製の条件は、以下のとおりである。実施例2で調製した5グラムのFX-[Ga]HZSM-5触媒を固定床反応器に入れ、まず、50mL/分の窒素で550℃で1時間処理し、その後、窒素雰囲気下で300℃まで冷却する。窒素雰囲気下(質量流量計で制御、100mL/分)、オルトケイ酸テトラエチルを反応器にポンプ注入し、オルトケイ酸テトラエチルの重量空間速度は0.2h-1、常圧である。60分間供給した後、供給を停止し、オルトケイ酸テトラエチルの注入量は実施例10と同じであり、窒素でパージし、温度を550℃まで上げ、空気雰囲気下で4時間焙焼した後、ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための固定床触媒を得て、これをFXNCC-2と名付ける。
【0092】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=0.8:1であり、CO
2の重量空間速度=0.8h
-1であり、ナフサの重量空間速度は1.0h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表2に示される。
【表2】
【0093】
実施例12 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
【0094】
ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための触媒は、マイクロ固定床反応装置でオンラインで調製される。オンライン触媒調製の条件は、以下のとおりである。実施例3で調製した5グラムのFX-[La]HZSM-5触媒を固定床反応器に入れ、まず、50mL/分の窒素で550℃で1時間処理し、その後、窒素雰囲気下で300℃まで冷却する。窒素雰囲気下(質量流量計で制御、100mL/分)、オルトケイ酸テトラエチルを反応器にポンプ注入し、オルトケイ酸テトラエチルの重量空間速度は0.2h-1、常圧である。60分間供給した後、供給を停止し、オルトケイ酸テトラエチルの注入量は実施例10と同じであり、窒素でパージし、温度を550℃まで上げ、空気雰囲気下で4時間焙焼した後、ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための固定床触媒を得て、これをFXNCC-3と名付ける。
【0095】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=0.8:1であり、CO
2の重量空間速度=0.8h
-1であり、ナフサの重量空間速度は1.0h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表3に示される。
【表3】
【0096】
実施例13 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための触媒は、マイクロ固定床反応装置でオンラインで調製される。オンライン触媒調製の条件は、以下のとおりである。実施例4で調製した5グラムのFX-[Fe]HZSM-5触媒を固定床反応器に入れ、まず、50mL/分の窒素で550℃で1時間処理し、その後、窒素雰囲気下で300℃まで冷却する。窒素雰囲気下(質量流量計で制御、100mL/分)、オルトケイ酸テトラエチルを反応器にポンプ注入し、オルトケイ酸テトラエチルの重量空間速度は0.2h-1、常圧である。60分間供給した後、供給を停止し、オルトケイ酸テトラエチルの注入量は実施例10と同じであり、窒素でパージし、温度を550℃まで上げ、空気雰囲気下で4時間焙焼した後、ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための固定床触媒を得て、これをFXNCC-4と名付ける。
【0097】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=0.8:1であり、CO
2の重量空間速度=0.8h
-1であり、ナフサの重量空間速度は1.0h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表4に示される。
【表4】
【0098】
実施例14 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための触媒は、マイクロ固定床反応装置でオンラインで調製される。オンライン触媒調製の条件は、以下のとおりである。実施例5で調製した5グラムのFX-[Cr]HZSM-5触媒を固定床反応器に入れ、まず、50mL/分の窒素で550℃で1時間処理し、その後、窒素雰囲気下で300℃まで冷却する。窒素雰囲気下(質量流量計で制御、100mL/分)、オルトケイ酸テトラエチルを反応器にポンプ注入し、オルトケイ酸テトラエチルの重量空間速度は0.2h-1、常圧である。60分間供給した後、供給を停止し、オルトケイ酸テトラエチルの注入量は実施例10と同じであり、窒素でパージし、温度を550℃まで上げ、空気雰囲気下で4時間焙焼した後、ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための固定床触媒を得て、これをFXNCC-5と名付ける。
【0099】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=0.8:1であり、CO
2の重量空間速度=0.8h
-1であり、ナフサの重量空間速度は1.0h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表5に示される。
【表5】
【0100】
実施例15 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための触媒は、マイクロ固定流動床反応装置でオンラインで調製される。オンライン触媒調製の条件は、以下のとおりである。実施例6で調製した10グラムのFL-[Zn]HZSM-5触媒を固定流動床反応器に入れ、まず、50mL/分の窒素で550℃で1時間処理し、その後、窒素雰囲気下で300℃まで冷却する。窒素雰囲気下(質量流量計で制御、200mL/分)、オルトケイ酸テトラエチルを反応器にポンプ注入し、オルトケイ酸テトラエチルの重量空間速度は0.2h-1、常圧である。75分間供給した後、供給を停止し、オルトケイ酸テトラエチルの注入量は実施例9の1.25倍であり、窒素でパージし、温度を550℃まで上げ、空気雰囲気下で4時間焙焼した後、ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための固定床触媒を得て、これをFLNCC-1と名付ける。該実施例で10gの成形モレキュラーシーブサンプルFL-[Zn]HZSM-5を使用する目的は、マイクロ固定流動床反応装置の要件を満たすことだけであり、該量(10g)であれば、触媒を流動状態にすることができるが、5gの含有量であれば、触媒を流動状態にすることができない。マイクロ固定流動床反応装置を使用する場合、実施例9と同程度のシラン化修飾を行うだけで、シラン化修飾の供給時間は75分となる。
【0101】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=0.8:1であり、CO
2の重量空間速度=0.8h
-1であり、ナフサの重量空間速度は1.0h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表6に示される。
【表6】
【0102】
実施例16 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための触媒は、マイクロ固定床反応装置でオンラインで調製される。オンライン触媒調製の条件は、以下のとおりである。実施例1で調製した5グラムのFX-[Zn]HZSM-5触媒を固定床反応器に入れ、まず、50mL/分の窒素で550℃で1時間処理し、その後、窒素雰囲気下で300℃まで冷却する。次に、気相原子層堆積法を使用してシラン化試薬で修飾し、具体的なステップは、以下のとおりである。(1)オルトケイ酸テトラエチルを含有する飽和ボトル(温度15℃)に窒素(質量流量計で制御、200mL/分)を注入し、反応器に入れ、すなわち、オルトケイ酸テトラエチルを窒素ガスによって反応器に運び、5分後に供給を停止し、(2)窒素でパージし、温度を550℃まで上げ、大気雰囲気で1時間焙焼し、(3)(1)と(2)を3回繰り返し、4回に注入するオルトケイ酸テトラエチルの量は、実施例10で1回注入する量と等価であり、ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための固定床触媒を得て、これをFXNCC-6と名付ける。
【0103】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=0.8:1であり、ナフサの重量空間速度は1.0h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表7に示される。
【表7】
【0104】
実施例17 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための触媒は、マイクロ固定床反応装置でオンラインで調製される。オンライン触媒調製の条件は、以下のとおりである。実施例7で調製した5グラムのFX-[Zn、Ga]HZSM-5触媒を固定床反応器に入れ、まず、50mL/分の窒素で550℃で1時間処理し、その後、窒素雰囲気下で300℃まで冷却する。窒素雰囲気下(質量流量計で制御、100mL/分)、オルトケイ酸テトラエチルを反応器にポンプ注入し、オルトケイ酸テトラエチルの重量空間速度は0.2h-1、常圧である。60分間供給した後、供給を停止し、オルトケイ酸テトラエチルの注入量は実施例10と同じであり、窒素でパージし、温度を550℃まで上げ、空気雰囲気下で4時間焙焼した後、ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための固定床触媒を得て、これをFXNCC-7と名付ける。
【0105】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=0.8:1であり、CO
2の重量空間速度=0.8h
-1であり、ナフサの重量空間速度は1.0h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表8に示される。
【表8】
【0106】
実施例18 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための触媒は、マイクロ固定床反応装置でオンラインで調製される。オンライン触媒調製の条件は、以下のとおりである。実施例8で調製した5グラムのFX-[Zn]HZSM-5-R触媒を固定床反応器に入れ、まず、50mL/分の窒素で550℃で1時間処理し、その後、窒素雰囲気下で300℃まで冷却する。窒素雰囲気下(質量流量計で制御、100mL/分)、オルトケイ酸テトラエチルを反応器にポンプ注入し、オルトケイ酸テトラエチルの重量空間速度は0.2h-1、常圧である。60分間供給した後、供給を停止し、オルトケイ酸テトラエチルの注入量は実施例10と同じであり、窒素でパージし、温度を550℃まで上げ、空気雰囲気下で4時間焙焼した後、ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための固定床触媒を得て、これをFXNCC-8と名付ける。
【0107】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=0.8:1であり、CO
2の重量空間速度=0.8h
-1であり、ナフサの重量空間速度は1.0h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表9に示される。
【表9】
【0108】
実施例10のBTPX選択率と比較すると、高温水熱法によって金属修飾されたHZSM-5モレキュラーシーブは、室温浸漬法によって金属修飾されたHZSM-5モレキュラーシーブよりも高いBTPX選択率を達成することができる。
【0109】
実施例19 シラン化試薬で修飾された固定床ZSM-5触媒の調製
ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための触媒は、マイクロ固定床反応装置でオンラインで調製される。オンライン触媒調製の条件は、以下のとおりである。5グラムの40~60メッシュHZSM-5モレキュラーシーブ触媒を固定床反応器に入れ、まず、50mL/分の窒素で550℃で1時間処理し、その後、窒素雰囲気下で300℃まで冷却する。窒素雰囲気下(質量流量計で制御、100mL/分)、オルトケイ酸テトラエチルを反応器にポンプ注入し、オルトケイ酸テトラエチルの重量空間速度は0.2h-1、常圧である。60分間供給した後、供給を停止し、オルトケイ酸テトラエチルの注入量は実施例10と同じであり、窒素でパージし、温度を550℃まで上げ、空気雰囲気下で4時間焙焼した後、ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための固定床触媒を得て、これをFXNCC-9と名付ける。
【0110】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=0.8:1であり、CO
2の重量空間速度=0.8h
-1であり、ナフサの重量空間速度は1.0h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表9-1に示される。
【表9-1】
【0111】
実施例20 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
実施例19で調製した5gのFXNCC-9触媒を10wt%硝酸ランタン溶液に入れ、FXNCC-9触媒に使用したHZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブと硝酸ランタン水溶液の固液比は実施例3と同じであり、90℃の条件下で4時間浸漬し、水切りした後、空気雰囲気下で、120℃の条件下で4時間乾燥させ、次に、空気雰囲気下で、550℃で4時間焙焼して触媒サンプルを得て、これをFXNCC-10と表記する。
【0112】
マイクロ固定床反応装置でナフサとCO
2の結合変換における触媒の反応性能を評価する。評価条件は、以下のとおりである。5g(40~60メッシュ)の成形触媒サンプルFXNCC-10を固定床反応器に入れ、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に上げ、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=0.8:1であり、CO
2の重量空間速度=0.8h
-1であり、ナフサの重量空間速度は1.0h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表10に示される。
【表10】
【0113】
実施例12と比較すると、該実施例の触媒によって達成されるBTPX選択率及びキシレン中のパラキシレン選択率はより低い。これは、Laを金属修飾に使用した場合、最初にシラン化してから金属修飾する場合と比較して、最初に金属修飾してからシラン化して得られたモレキュラーシーブは、BTPXとキシレンのより高い選択率を達成できることを示す。
【0114】
実施例21 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
ナフサの変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための触媒は、マイクロ固定床反応装置でオンラインで調製される。オンライン触媒調製の条件は、以下のとおりである。実施例1で調製した5グラムのFX-[Zn]HZSM-5触媒を固定床反応器に入れ、まず、50mL/分の窒素で550℃で1時間処理し、その後、窒素雰囲気下で300℃まで冷却する。窒素雰囲気下(質量流量計で制御、100mL/分)、オルトケイ酸テトラエチルを反応器にポンプ注入し、オルトケイ酸テトラエチルの重量空間速度は0.2h-1、常圧である。60分間供給した後、供給を停止し、オルトケイ酸テトラエチルの注入量は実施例10と同じであり、窒素でパージし、温度を550℃まで上げ、空気雰囲気下で4時間焙焼した後、ナフサの結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための固定床触媒を得て、これをFXNCC-1と名付ける。
【0115】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、N
2流量は質量流量計で制御され、原料N
2:ナフサ(質量比)=0.51:1であり(すなわち、該実施例では、実施例10のCO
2の代わりに等モル量のN
2が使用される)、ナフサの重量空間速度は1.0h
-1であり、N
2の重量空間速度は0.51h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表11に示される。
【表11】
【0116】
実施例21では、N2が希釈剤として使用され、一方、実施例10では、CO2がナフサとの反応のための原料として使用され、これは、実施例10及び21の芳香族炭化水素選択率及びBTPX選択率を比較することによって反映され得る。具体的には、実施例10の芳香族炭化水素選択率及びBTPX選択率は、実施例21の芳香族炭化水素選択率よりも著しく高い。
【0117】
実施例22 触媒の水熱安定性評価
ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための触媒は、マイクロ固定床反応装置でオンラインで調製される。オンライン触媒調製の条件は、以下のとおりである。実施例1で調製した5グラムのFX-[Zn]HZSM-5触媒を固定床反応器に入れ、まず、50mL/分の窒素で550℃で1時間処理し、その後、窒素雰囲気下で300℃まで冷却する。窒素雰囲気下(質量流量計で制御、100mL/分)、オルトケイ酸テトラエチルを反応器にポンプ注入し、オルトケイ酸テトラエチルの重量空間速度は0.2h-1、常圧である。60分間供給した後、供給を停止し、オルトケイ酸テトラエチルの注入量は実施例10と同じであり、窒素でパージし、温度を550℃まで上げ、空気雰囲気下で4時間焙焼する。次に、窒素雰囲気下で温度を900℃まで上げ、水蒸気100%(水WHSV=2h-1)雰囲気下で1時間処理し、ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための固定床触媒を調製し、これをFXNCC-11名付ける。
【0118】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=0.8:1であり、ナフサの重量空間速度は1.0h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表12に示される。
【表12】
【0119】
実施例23 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための触媒は、マイクロ固定床反応装置でオンラインで調製される。オンライン触媒調製の条件は、以下のとおりである。実施例8で調製した5グラムのFX-[Zn]HZSM-5-R触媒を固定床反応器に入れ、まず、50mL/分の窒素で550℃で1時間処理し、その後、窒素雰囲気下で300℃まで冷却する。窒素雰囲気下(質量流量計で制御、100mL/分)、オルトケイ酸テトラエチルを反応器にポンプ注入し、オルトケイ酸テトラエチルの重量空間速度は0.2h-1、常圧である。60分間供給した後、供給を停止し、オルトケイ酸テトラエチルの注入量は実施例10と同じであり、窒素でパージし、温度を550℃まで上げ、空気雰囲気下で4時間焙焼する。次に、窒素雰囲気下で温度を900℃まで上げ、水蒸気100%(水WHSV=2h-1)雰囲気下で1時間処理し、ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための固定床触媒を調製し、これをFXNCC-12と名付ける。
【0120】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=0.8:1であり、ナフサの重量空間速度は1.0h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表13に示される。
【表13】
【0121】
実施例22及び23を比較すると、芳香族炭化水素選択率及びBTPX選択率の点で、実施例22の水熱処理触媒が実施例23の水熱処理触媒よりも著しく優れたことが分かり、従って、高温水熱法で調製した金属修飾されたHZSM-5の水熱安定性は、室温浸漬法で調製した金属修飾されたHZSM-5よりも大幅に優れた。
【0122】
実施例24 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
触媒FXNCC-1は、実施例10と同じ方法で調製される。
【0123】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=1:1であり、CO
2の重量空間速度=5h
-1であり、ナフサの重量空間速度は5h
-1であり、反応圧力は1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表14に示される。
【表14】
【0124】
実施例25 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
触媒FXNCC-1は、実施例10と同じ方法で調製される。
【0125】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=1:1であり、CO
2の重量空間速度=0.1h
-1であり、ナフサの重量空間速度は0.1h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表15に示される。
【表15】
【0126】
実施例26 固定床用の亜鉛修飾HZSM-5モレキュラーシーブの成形サンプルの調製
100gのHZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブ(南開大学催化剤厂、Si/Al=15)を30wt%硝酸亜鉛水溶液に入れ、HZSM-5ゼオライトモレキュラーシーブと硝酸亜鉛水溶液の質量比(すなわち、固液比)は1/10であり、80℃の条件下で4時間浸漬し、水切りした後、空気雰囲気下で、120℃の条件下で4時間乾燥させ、その後、空気雰囲気下で、550℃で4時間焙焼した後に[Zn]HZSM-5モレキュラーシーブサンプルを得て、錠剤化して成形し、破砕し、篩い分けした後、粒径40~60メッシュの成形モレキュラーシーブ粒子を得て、これをFX-[Zn]HZSM-5-Bと表記する。
【0127】
実施例27 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための触媒は、マイクロ固定床反応装置でオンラインで調製される。オンライン触媒調製の条件は、以下のとおりである。実施例26で調製した5グラムのFX-[Zn]HZSM-5-B触媒を固定床反応器に入れ、まず、50mL/分の窒素で550℃で1時間処理し、その後、窒素雰囲気下で300℃まで冷却する。窒素雰囲気下(質量流量計で制御、100mL/分)、オルトケイ酸テトラエチルを反応器にポンプ注入し、オルトケイ酸テトラエチルの重量空間速度は0.2h-1、常圧である。60分間供給した後、供給を停止し、オルトケイ酸テトラエチルの注入量を0.2g/gの上記触媒とし、窒素でパージし、温度を550℃まで上げ、空気雰囲気下で4時間焙焼した後、ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための固定床触媒を得て、これをFXNCC-13と名付ける。
【0128】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=0.8:1であり、CO
2の重量空間速度=0.8h
-1であり、ナフサの重量空間速度は1.0h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表16に示される。
【表16】
【0129】
実施例28 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
触媒FXNCC-1は、実施例10と同じ方法で調製される。
【0130】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=0.8:0.27であり、CO
2の重量空間速度=0.8h
-1であり、ナフサの重量空間速度は0.27h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表17に示される。
【表17】
【0131】
実施例29 ベンゼン、トルエン及びパラキシレンの調製用触媒の調製及び反応評価
ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための触媒は、マイクロ固定床反応装置でオンラインで調製される。オンライン触媒調製の条件は、以下のとおりである。実施例1で調製した5グラムのFX-[Zn]HZSM-5触媒を固定床反応器に入れ、まず、50mL/分の窒素で550℃で1時間処理し、その後、窒素雰囲気下で300℃まで冷却する。次に、気相原子層堆積法を使用してシラン化試薬で修飾し、具体的なステップは、以下のとおりである。(1)オルトケイ酸テトラエチルを含有する飽和ボトル(温度10℃)に窒素(質量流量計で制御、200mL/分)を注入し、反応器に入れ、すなわち、オルトケイ酸テトラエチルを窒素ガスによって反応器に運び、5分後に供給を停止し、(2)窒素でパージし、温度を550℃まで上げ、大気雰囲気で1時間焙焼し、(3)(1)と(2)を5回繰り返し、6回に注入するオルトケイ酸テトラエチルの量は、実施例10で1回注入する量と等価であり、ナフサとCO2の結合変換によってベンゼン、トルエン及びパラキシレンを調製するための固定床触媒を得て、これをFXNCC-14と名付ける。
【0132】
次に、窒素雰囲気下で温度を反応温度550℃に調整し、ナフサ原料はマイクロフィードポンプで供給され、CO
2流量は質量流量計で制御され、原料CO
2:ナフサ(質量比)=0.8:1であり、ナフサの重量空間速度は1.0h
-1であり、反応圧力は0.1MPaである。反応生成物をオンラインAgilent7890ガスクロマトグラフィーで分析し、30分間の反応後に分析用にサンプルを採取する。反応結果は、表18に示される。
【表18】
【0133】
上記実施例で使用したナフサに加えて、本出願では、水素化分解ナフサ、触媒分解ナフサ、ラフィネート、抜頭原油から選択される任意のナフサ、又はそれらの任意の混合物使用することができる。
【0134】
以上の内容は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、本出願にいかなる正式な制限も課すものではなく、本出願は、好ましい実施形態において上記を開示したが、本出願を限定することを意図するものではなく、当業者は、本出願の技術的解決手段の範囲から逸脱することなく、上記に開示された技術的内容を使用して、同等の実施形態に同等の変更を伴うわずかな変更又は修正を行うことができ、それらは技術的解決手段の範囲内に属する。
【国際調査報告】