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特表2024-531759空間内の物体を決定するためのレーダシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】空間内の物体を決定するためのレーダシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/46 20060101AFI20240822BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
G01S13/46
G01S7/03 248
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516757
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2022075725
(87)【国際公開番号】W WO2023041682
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】102021124011.5
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522224955
【氏名又は名称】ニューラ ロボティクス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】NEURA ROBOTICS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】コズロフ、ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】シラキー、ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】レーガー、ダーヴィト
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AC02
5J070AC12
5J070AC13
5J070AD01
5J070AK13
(57)【要約】
レーダセンサとして設計され、可動に配置された少なくとも1つの位置推定センサと、少なくとも1つの位置推定センサの位置推定センサポジションを決定するための手段とを備えたレーダシステムにおいて、少なくとも1つの位置推定センサが不均一な放射特性を生成するための手段を有し、不均一な放射特性を生成するための手段は、この手段により形成される位置推定ビームローブが第1の位置推定角度に依存する信号振幅を有し、それにより信号振幅が位置推定信号プロファイルを有するように設計されており、位置推定信号プロファイルが第2の位置推定角度に依存する、レーダシステム、並びに空間内の物体を決定するための方法であって、反射された位置推定信号の第2の位置推定成分が、反射信号プロファイルを位置推定センサの不均一な放射特性と相関させることによって決定される、方法。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダセンサとして設計され、可動に配置された少なくとも1つの位置推定センサ(1.1、10.1)と、前記少なくとも1つの位置推定センサ(1.1、10.1)の位置推定センサポジションを決定するための手段とを備えたレーダシステム(100)において、
前記少なくとも1つの位置推定センサ(1.1、10.1)が不均一な放射特性を生成するための手段を有し、前記不均一な放射特性を生成するための手段は、前記手段により形成される位置推定ビームローブ(1.3)が第1の位置推定角度(50)に依存する信号振幅を有し、それにより前記信号振幅が位置推定信号プロファイル(52)を有するように設計されており、前記位置推定信号プロファイル(52)が第2の位置推定角度(54)に依存することを特徴とする、レーダシステム。
【請求項2】
前記第1の位置推定角度(50)は方位角方向に配置され、前記第2の位置推定角度(54)は仰角方向に配置される
ことを特徴とする、
請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項3】
放射特性は、異なる第2の位置推定角度(54)の前記位置推定信号プロファイル(52)の相関が、それぞれ0.5以下、好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.1以下の最大値をもたらすように不均一である
ことを特徴とする、
請求項1または2に記載のレーダシステム。
【請求項4】
不均一な放射特性を生成するための前記手段は、カバー(1.2)によって形成される
ことを特徴とする、
請求項1~3のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項5】
不均一な放射特性を生成するための前記手段は、複数のアンテナ素子を含むアンテナアレイを有する送信アンテナ及び/又は受信アンテナによって形成され、前記個々のアンテナ素子は、少なくとも部分的に互いに不規則な間隔で配置され、及び/又は様々に配向され、及び/又は少なくとも部分的に異なるレベルに配置されている
ことを特徴とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項6】
前記位置推定ビームローブ(1.3)は、少なくとも90°、好ましくは少なくとも120°の第2の開き角度(56)を有し、前記位置推定ビームローブ(1.3)の前記第2の開き角度(56)と前記位置推定ビームローブ(1.3)の第1の開き角度(58)の比が5:1より大きく、殊に10:1より大きいことを特徴とする、
請求項1~5のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの位置推定センサ(1.1、10.1)がロータ(3.1)に配置され、前記ロータ(3.1)はステータ(4.1)に対して回転可能に配置され、位置推定センサポジションを決定するための前記手段は、前記ステータ(4.1)に対する前記ロータ(3.1)のポジションを検出するように形成されている
ことを特徴とする、
請求項1~6のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項8】
位置推定センサポジションを決定するための前記手段は、少なくとも1つの読取りヘッド(3.2.1、3.2.2)及び実量器(4.2)を有するエンコーダシステムによって形成される
ことを特徴とする、
請求項1~7のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項9】
前記レーダシステム(100)は、第1の位置推定成分、第2の位置推定成分、及び反射された位置推定信号(71)の距離値(72)を決定するように設計された位置推定計算ユニット(3.3.1、3.3.2)を有する
ことを特徴とする、
請求項1~8のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項10】
前記第1の位置推定成分は方位角(74)によって形成され、前記第2の位置推定成分は仰角によって形成される
ことを特徴とする、
請求項9に記載のレーダシステム。
【請求項11】
前記位置推定計算ユニット(3.3.1、3.3.2)は、第2の反射された位置推定信号を、同じ第1の位置推定成分を有する第1の反射された位置推定信号と比較するように、及び異なる信号構成要素のみを更に処理するように設計されている
ことを特徴とする、
請求項1~10のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項12】
前記レーダシステム(100)は、物体(8)を識別するための少なくとも1つの識別センサ(2.1、20.1)を有し、前記少なくとも1つの識別センサ(2.1、20.1)によって識別ビームローブ(2.2)を生成することができ、前記少なくとも1つの識別センサ(2.1、20.1)は、固定レーダセンサとして設計されている
ことを特徴とする、
請求項1~11のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項13】
識別ビームローブ(2.2)は、少なくとも90°、殊に少なくとも120°の第1の開き角度(64)を有し、前記識別ビームローブ(2.2)は、少なくとも90°、殊に少なくとも120°の第2の開き角度(62)を有する
ことを特徴とする、
請求項12に記載のレーダシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの識別センサ(2.1、20.1)が前記ステータ(4.1)に配置されている
ことを特徴とする、
請求項12または13に記載のレーダシステム。
【請求項15】
前記レーダシステム(100)は、反射された識別信号のレーダシグネチャを識別するように設計された少なくとも1つの識別計算ユニット(4.3.1、4.3.2)を有する
ことを特徴とする、
請求項12~14のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項16】
前記レーダシステム(100)は、反射された識別信号を前記反射された位置推定信号(71)に割り当てるように設計された中央計算ユニット(5)を有する
ことを特徴とする、
請求項12~15のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項17】
位置推定センサ(1.1、10.1)として設計され、可動に配置され、不均一な放射特性を有する少なくとも1つのレーダセンサによって空間内の物体(8)を決定するための方法(800)であって、
位置推定ビームローブ(1.3)を放射する工程と、
反射振幅を有する反射された位置推定信号(71)と関連する位置推定センサポジションとを同時に検出する工程と、
前記少なくとも1つの位置推定センサ(1.1、10.1)がその位置推定センサポジションを変える間、前記工程を数回繰り返す工程と、
前記反射振幅と前記関連する位置推定センサポジションから反射信号プロファイルを作成する工程と、
前記反射信号プロファイルを前記位置推定センサの前記不均一な放射特性と相関させることによって、前記反射された位置推定信号(71)の第2の位置推定成分を決定する工程と、
を包含する方法。
【請求項18】
前記第2の位置推定成分が仰角によって形成される
ことを特徴とする、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の位置推定成分が前記関連する位置推定センサポジションによって決定され、及び/又は前記反射された位置推定信号(71)の伝播時間から距離値(72)が決定される
ことを特徴とする、
請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の位置推定成分が方位角(74)によって形成される
ことを特徴とする、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記位置推定ビームローブ(1.3)の前記放射、及び/又は前記反射された位置推定信号(71)の前記検出が、前記少なくとも1つの位置推定センサ(1.1、10.1)によって行われる
ことを特徴とする、
請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の反射された位置推定信号は、同じ第1の位置推定成分を有する第1の反射された位置推定信号と比較される
ことを特徴とする、
請求項19、又は請求項19に従属する請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記反射振幅が複素反射振幅として設計され、前記複素反射振幅は反射振幅及び反射位相を有する
ことを特徴とする、
請求項17~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、
識別センサ(2.1、20.1)として設計された固定レーダセンサによって識別ビームローブ(2.2)を放射する工程と、
レーダシグネチャを有する反射された識別信号を検出する工程と、
前記レーダシグネチャを識別する工程と、
前記反射された識別信号を前記反射された位置推定信号(71)に割り当てる工程と、
を包含する
ことを特徴とする、請求項17~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記反射された識別信号は、ビームフォーミング法で処理される
ことを特徴とする、
請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記レーダシステム(100)は、請求項17~25のいずれか一項に記載の方法(800)を実行するように設計されている
ことを特徴とする、
請求項1~16のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間内の物体を決定するためのレーダシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空間内の物体を決定するため、特に位置推定する(Lokalisierung)ために、ロータに配置された、したがって回転軸を中心として回転可能に配置されたレーダセンサが用いられる。反射された、レーダセンサによって検出される信号の方位角は、ロータの位置によって決定できる。方位角は、信号を反射する空間内の物体の方位角位置に対応する。仰角を決定するために、相互に間隔をおいて配置された複数の受信アンテナを備えたレーダセンサを使用することが知られている。反射された信号がいくつかの受信アンテナで検出されるときの位相シフトと、受信アンテナ間の既知の間隔とによって、反射された信号の仰角を決定することができる。更に、仰角は、複数の送信アンテナが用いられ、信号が各送信アンテナから特定の位相シフトで送信される、いわゆるフェーズドアレイ法を用いて決定することができる。それによって、伝播する送信ビームをその伝播方向に関して偏向させることができる。
【0003】
従来技術として、特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0267160号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既知のシステム及び方法の欠点は、仰角を決定するために多数の送信アンテナ及び/又は受信アンテナが必要であり、システムが非常に複雑になることである。それに対応して、送信信号と受信信号の処理も複雑になる。その場合、システムの分解能が向上すると複雑さが更に増す。それに応じて、従来のレーダシステムにはコストがかかる。
【0006】
したがって、本発明は、空間内の物体を確実かつ正確に決定することができ、開発コスト、製造コスト及び運用コストが低いレーダシステムを提供するという課題に基づいている。
【0007】
本発明は、空間内の物体を確実かつ正確に決定することができ、かつ簡単に実装できる方法を提供するという課題にも基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を有するレーダシステム、請求項17の特徴を有する方法、及び請求項26の特徴を有するレーダシステムによって解決される。
本発明の有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明によるレーダシステムは、少なくとも1つの位置推定センサを有し、少なくとも1つの位置推定センサは、可動に配置されたレーダセンサとして設計されている。位置推定センサは、送信及び/又は受信するように設計することができる。位置推定センサが可動に配置されていることによって、広い領域を走査することができる。更に、本発明によるレーダシステムは、少なくとも1つの位置推定センサポジションを決定するための手段を有する。少なくとも1つの位置推定センサは、不均一な放射特性を生成するための手段を有し、不均一な放射特性を生成するための手段は、この手段により形成される位置推定ビームローブ(Lokalisationsstrahlkeule)が第1の位置推定角度に依存する信号振幅を有し、それにより信号振幅が位置推定信号プロファイルを有するように設計されている。位置推定信号プロファイルは、第2の位置推定角度に依存する。位置推定信号プロファイルは、殊に、第2の位置推定角度に対する第1の位置推定角度に依存する信号振幅の推移を表す。
【0010】
信号振幅は、アンテナ放射パターン(Antennendiagramm)において、第1の位置推定角度と第2の位置推定角度に依存してプロットすることができる。位置推定センサの信号振幅を検知するために、位置推定ビームローブが、殊に基準物体に向けられ、反射された信号に基づいて信号振幅を決定することができる。放射特性が不均一に設計されていることによって、放射特性は、殊に第1の位置推定角度の方向及び/又は第2の位置推定角度の方向に不規則な推移を有することができる。好ましくは、放射特性の不均一性によって、位置推定信号プロファイルからその第2の位置推定角度を推測することができる。信号振幅を複素信号振幅として設計することができ、複素信号振幅は、殊に信号振幅及び信号位相を有する。
【0011】
殊に、第1の位置推定角度は方位角方向に配置され、第2の位置推定角度は仰角方向に配置されている。ここでは、及び以下では、殊に垂直軸を中心とした回転方向が方位角方向と呼ばれる。それに応じて、方位角は、垂直軸に対する水平面に位置する2点間の角度を表すことができる。位置推定センサは、殊に垂直軸を中心として回転可能、すなわち、方位角方向に回転可能に設計されている。ここでは、及び以下では、殊に水平軸を中心とした回転方向が仰角方向と呼ばれる。仰角は、水平軸に対する垂直面に位置する2点間の角度を表すことができる。
【0012】
殊に、放射特性は、異なる第2の位置推定角度の位置推定信号プロファイルの相関がそれぞれ0.5以下、好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.1以下の最大値をもたらすように不均一である。それによって、異なる第2の位置推定角度に対して、比較的非類似の位置推定信号プロファイル、したがって高度な不均一性を有する放射特性を提供することができる。それによって、特定の位置推定信号プロファイルを特定の第2の位置推定角度に相対的に確実に割り当てることができる。
【0013】
不均一な放射特性を生成するための手段は、カバーによって形成することができる。カバーは、少なくとも1つの位置推定センサの前に配置されることが好ましい。カバーは、特にプラスチックで作ることができる。カバーは、位置推定ビームローブの不均一性を生成する簡単な方法であり得る。カバーは、その面積にわたって異なる厚さ及び/又は構造を有することができる。特に、構造及び/又は厚さは信号振幅に対応し得る。
【0014】
本発明の一発展形態では、不均一な放射特性を生成するための手段は、複数のアンテナ素子を含むアンテナアレイを有する送信アンテナ及び/又は受信アンテナによって形成され、個々のアンテナ素子は、少なくとも部分的に互いに不規則な間隔で配置され、及び/又は様々に配向され、及び/又は少なくとも部分的に異なるレベルに配置されている。アンテナ素子をこのように配置することによって、放射特性の不均一性を達成することができる。アンテナ素子は、特に、異なる回転の向きを有することができる。
【0015】
位置推定ビームローブは、殊に、少なくとも90°、殊に少なくとも120°の第2の開き角度を有し、位置推定ビームローブの第2の開き角度と位置推定ビームローブの第1の開き角度の比が5:1より大きく、殊に10:1より大きくなるように設計されている。したがって、位置推定ビームローブは、楕円形又はほぼ矩形の断面を有することができる。殊に、第2の開き角度は仰角方向に配置され、第1の開き角度は方位角方向に配置されている。したがって、位置推定ビームローブの断面の長辺が垂直方向に配置されることが好ましい。空間内の物体の位置推定は、特に高分解能と可能な限り高い更新レートを必要とする。これは、可動の配置と位置推定ビームローブの幾何学的形状とによって達成することができる。位置推定センサは、特に位置推定ビームローブの断面が比較的狭いことにより、高分解能を達成することができる。
【0016】
好ましくは、少なくとも1つの位置推定センサがロータに配置されており、ロータはステータに対して回転可能に配置されており、位置推定センサポジションを決定するための手段は、ステータに対するロータの位置を検出するように設計されている。
【0017】
殊に、位置推定センサポジションを決定するための手段は、少なくとも1つの読取りヘッド及び実量器(Massverkoerperung)を有するエンコーダシステムによって形成される。エンコーダシステムは、殊に、少なくとも1つの読取りヘッドがロータに配置され、実量器がステータに配置されるように、レーダシステムに配置されている。エンコーダシステムは、第1の読取りヘッドと第2の読取りヘッドを有することが特に好ましい。それにより、エンコーダシステムを少なくとも部分的に冗長に設計することができる。
【0018】
本発明の一発展形態では、レーダシステムは、第1の位置推定センサと第2の位置推定センサを有し、これらの位置推定センサは、殊に180°、特に方位角方向に、ずらしてロータに配置されている。これにより、レーダシステムの更新レートを向上させることができる。更に、冗長化することができ、それに伴いより高いフェイルセーフ性(Ausfallsicherheit)を達成することができる。殊に、第1の読取りヘッドは第1の位置推定センサに割り当てられ、第2の読取りヘッドは第2の位置推定センサに割り当てられている。その場合、第1の位置推定センサの位置推定ビームローブと第2の位置推定センサの位置推定ビームローブとを少なくともほぼ同一に、又は異なるように設計することができる。
【0019】
レーダシステムは、第1の位置推定成分、第2の位置推定成分、及び反射された位置推定信号の距離値を決定するように設計された、位置推定計算ユニットを有することができる。反射された位置推定信号は、殊に、位置推定ビームローブが放射されることにより空間内の物体によって反射された信号である。殊に、反射された位置推定信号は、位置推定センサによって検出され、位置推定計算ユニットによって処理される。位置推定センサの放射特性が不均一に設計されていることによって、反射された位置推定信号の位置推定信号プロファイルから、反射された位置推定信号の第2の位置推定角度を推測することができ、それに伴い反射する物体のポジションを推測することができる。第1の位置推定成分の決定は、特に、検出された位置推定センサポジションに基づいて決定することができる。距離値を決定するために、特に位置推定信号の送信と反射された位置推定信号の検出との間の伝播時間を使用することができる。このために、位置推定計算ユニットは、殊に少なくとも1つの位置推定センサ及び位置推定センサポジションを決定するための手段に接続される。殊に、位置推定計算ユニットは、ロータに配置されている。レーダシステムは、ロータとステータとの間に供給ラインとデータラインを通すための回転フィードスルー(Drehdurchfuehrung)を有することができる。
【0020】
更に、レーダシステムは、更なる冗長化として、及びレーダシステムのフェイルセーフ性を更に高めるために、第1の位置推定計算ユニット及び第2の位置推定計算ユニットを有することができる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、第1の位置推定成分は方位角によって形成され、第2の位置推定成分は仰角によって形成される。特に、少なくとも1つの位置推定センサが回転可能に配置されている場合、それによってポジションを具体的に表わすことができる。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの位置推定計算ユニットは、第2の反射された位置推定信号を、同じ第1の位置推定成分を有する第1の反射された位置推定信号と比較するように、及び異なる信号構成要素のみを更に処理するように設計されている。位置推定センサで走査される周辺環境には、位置推定センサに対して静的な物体が存在する可能性があり、これらの物体で反射された位置推定信号は、時間に対して変化しないか、又はわずかしか変化しない。第2の反射された位置推定信号を第1の反射された位置推定信号と比較することによって、静止物体を位置推定センサに対して動く物体から分けることができる。更に、比較によって、伝送及び更に処理されるべきデータ量を低減することができる。それによって、特にレーダシステムのダイナミクスと精度を向上させることができる。殊に、位置推定計算ユニットは、位置推定センサの運動サイクルごとに、例えば一回転ごとに比較が実行されるように設計されている。
【0023】
本発明の一発展形態では、レーダシステムは、物体を識別するための少なくとも1つの識別センサを有し、少なくとも1つの識別センサによって識別ビームローブを生成することができ、少なくとも1つの識別センサは固定レーダセンサとして設計されている。物体の識別は、殊に、物体によって生成される特徴的なレーダシグネチャによって実行される。レーダシグネチャは、ドップラ周波数のスペクトル、いわゆるドップラシグネチャを含むことができ、このドップラシグネチャを用いて、高分解能で生物と非生物の区別を可能にすることができる。ドップラシグネチャに関する高分解能は、比較的長い観測時間を必要とするが、これは特に、物体の位置を推定するための高い更新レートと矛盾する可能性がある。レーダシステムが少なくとも1つの回転可能な位置推定センサと、殊に少なくとも1つの固定識別センサとを有することによって、レーダシステムは、空間内の物体の位置推定と識別を同時に行うための理想的な前提条件を提供することができる。
【0024】
殊に、識別ビームローブは、少なくとも90°、特に好ましくは少なくとも120°の第1の開き角度を有し、識別ビームローブは、殊に少なくとも90°、特に好ましくは少なくとも120°の第2の開き角度を有する。したがって、識別ビームローブは、殊に円形又はほぼ正方形の断面を有する。更に、識別ビームローブの第1の開き角度及び第2の開き角度が比較的大きく、それにより識別センサによって広い領域を検出することができる。
【0025】
少なくとも1つの識別センサがステータに配置されていることが好ましい。それによって、レーダシステムの単純で統一的な構造を実現することができる。
本発明の一発展形態では、レーダシステムは第1の識別センサと第2識別センサを有し、これらの識別センサは、殊に180°、特に方位角方向に、ずらしてステータに配置されている。それによって、広い領域で物体を識別することができる。それに加えて、レーダシステムは、更に広い領域を対象として含むことができるようにするため、更なる識別センサを有することができる。その場合、異なる識別センサの識別ビームローブを少なくともほぼ同一に、又は異なるように設計することができる。
【0026】
レーダシステムは、反射された識別信号のレーダシグネチャを識別するように設計された少なくとも1つの識別計算ユニットを有することができる。このために、レーダシステムを、特に、反射された識別信号のドップラシグネチャを特定の物体に割り当てるように設計することができる。特に、識別計算ユニットを、反射された識別信号のレーダシグネチャを参照データベースと比較するように設計することができる。少なくとも1つの識別計算ユニットは、少なくとも1つの識別センサに接続されることが好ましい。少なくとも1つの識別計算ユニットは、ステータに配置されてもよい。
【0027】
更に、レーダシステムは、更なる冗長化として、及びレーダシステムのフェイルセーフ性を更に高めるために、第1の識別計算ユニットと第2の識別計算ユニットを有することができる。
【0028】
レーダシステムは、反射された識別信号を反射された位置推定信号に割り当てるように設計された中央計算ユニットを有することができる。それによって、レーダシステムは高分解能で空間内の物体の位置を推定し、同時に識別することができる。そのために、中央計算ユニットは、少なくとも1つの位置推定計算ユニット及び少なくとも1つの識別計算ユニットに接続されることが好ましい。反射された識別信号を反射された位置推定信号に割り当てることができるようにするため、少なくとも1つの識別センサは、殊に反射された識別信号に基づいて物体の位置を少なくともおおよそ推定できるように設計されている。殊に、少なくとも1つの識別センサは、そのために送信アンテナと少なくとも2つの受信アンテナを有することが好ましい。それによって、反射された識別信号を、殊に少なくとも1つの識別計算ユニットによってビームフォーミング法で処理することができる。その場合、反射された識別信号に基づいた物体の位置推定は、反射された位置推定信号に基づいた位置推定よりも大幅に不正確になる可能性がある。
【0029】
位置推定センサとして設計され、可動に配置され、不均一な放射特性を有する少なくとも1つのレーダセンサによって空間内の物体を決定するための本発明による方法は、
・位置推定ビームローブを放射する工程と、
・反射振幅を有する反射された位置推定信号と関連する位置推定センサポジションとを同時に検出する工程と、
・位置推定センサがその位置推定センサポジションを変える間、前述の工程を数回繰り返す工程と、
・反射振幅と関連する位置推定センサポジションから反射信号プロファイルを作成する工程と、
・反射信号プロファイルを位置推定センサの不均一な放射特性と相関させることによって、第2の位置推定成分を決定する工程と、を包含する。
【0030】
上述したレーダシステムの説明において、方法に関して挙げた客観的特徴の1つに相当し、かつ同一の名称の特徴がある場合、レーダシステムに関して述べた説明は、殊に方法の客観的特徴にも同様に適用される。例えば、レーダシステムの位置推定センサ、位置推定ビームローブ又は不均一な放射特性に関する上記の説明を方法の位置推定センサ、位置推定ビームローブ又は不均一な放射特性に相応に適用することができる。
【0031】
殊に、少なくとも1つの位置推定センサは、可動に配置され、それにより回転可能に設計されている。運動サイクル中、特に位置推定センサが1回転する間、位置推定ビームローブを頻繁に放出することができ、それにより位置推定センサの運動サイクルの過程で、位置推定ビームローブが位置推定信号を反射する物体に数回連続して当てられる。物体によって反射された位置推定信号及び関連する位置推定センサポジションは、それに対応して頻繁に検出されることが好ましい。更に、物体の断面を少なくとも1つの位置推定センサの運動方向に、位置推定ビームローブの対応する断面より小さくすることができ、それにより一工程で検出された反射振幅が、放射された位置推定ビームローブの信号振幅の一部のみを表す。個々の反射された位置推定信号の反射振幅と、関連する位置推定センサポジションとから反射振幅プロファイルを検知することができる。反射振幅プロファイルは、放射特性との相関によって、第2の位置推定成分を、殊に高い確率で一義的に割り当てることができることを特徴とするように設計されることが好ましい。殊に、第2の位置推定成分は、相関結果における極値、特に最大値によって決定される。その場合、放射特性は位置推定センサのアンテナ放射パターンから知ることができる。
【0032】
それぞれの反射された位置推定信号の第1の位置推定成分は、殊に、関連する位置推定センサポジションによって決定される。距離値は、特に、反射された位置推定信号の伝播時間から決定することができる。殊に、反射する物体の距離は、物体により反射された位置推定信号から、特にそれぞれの位置推定信号の送信と関連する反射された位置推定信号の検出との間の伝播時間及び/又は位相シフトに基づいて決定される。
【0033】
殊に、第2の位置推定成分は仰角によって形成される。これは特に、特定の開き角度を有する位置推定ビームローブの幾何学的形状を考慮することができる。第1の位置推定成分は、方位角によって形成され得る。特に、少なくとも1つの位置推定センサが回転可能に配置されている場合、空間内のポジションを有利に表すことができる。
【0034】
この方法は、位置推定ビームローブの放射及び/又は反射された位置推定信号の少なくとも1つの位置推定センサによる検出が行われるように設計されてもよい。それによって、位置推定センサは、放射された位置推定ビームローブ及び/又は反射された位置推定信号にその不均一な放射特性が現れるようにすることができる。少なくとも1つの位置推定センサによって位置推定ビームローブの放射がすでに行われた場合、位置推定ビームローブは、少なくとも1つの位置推定センサの放射特性に対応する不均一性をすでに有している。少なくとも1つの位置推定センサによって反射された位置推定信号の検出のみが行われる場合、反射された位置推定信号若しくは反射された位置推定信号から作成された反射信号プロファイルのみが、少なくとも1つの位置推定センサの放射特性に対応する不均一性を有する。少なくとも1つの位置推定センサによって、位置推定ビームローブの放射と反射された位置推定信号の検出が行われる場合、反射信号プロファイルは特に強度に形成された不均一性を有することができる。それによって、特に第2の位置推定成分の、特に確実な相関結果と高分解能を達成することができる。不均一な放射特性は、基準物体によって反射された位置信号を検出することによって実現できる。第2の位置推定成分の決定は、殊に、反射信号プロファイルをこのようにして検知された放射特性と相関させることによって行われる。
【0035】
この方法は、第2の反射された位置推定信号が、同じ第1の位置推定成分を有する第1の反射された位置推定信号と比較されるように設計されることが好ましい。レーダシステムに関する上記の実施形態によれば、それによって、伝送及び更に処理されるデータの量を低減することができ、更に、運動する物体の認識を簡単にすることができる。
【0036】
この方法の好ましい実施形態では、反射振幅は複素反射振幅として設計され、複素反射振幅は反射振幅及び反射位相を有する。それによって、反射振幅が追加情報を含むことができる。このようにして、特に、反射振幅と放射特性との相関結果の質を向上させることができる。
【0037】
この方法は、殊に、
・識別センサとして設計された固定レーダセンサによって識別ビームローブを放射する工程と、
・レーダシグネチャを有する反射された識別信号を検出する工程と、
・レーダシグネチャを識別する工程と、
・反射された識別信号を反射された位置推定信号に割り当てる工程と、を更に包含するように設計されている。
【0038】
レーダシグネチャは、ドップラ周波数のスペクトル、いわゆるドップラシグネチャを含むことができ、このドップラシグネチャを用いて、高分解能で生物と非生物の区別を可能にすることができる。レーダシグネチャの識別は、殊に、ドップラシグネチャに基づいて実行される。レーダシグネチャを識別することは、特に、反射された識別信号を参照データベースと比較することを含むことができる。
【0039】
反射された識別信号を反射された位置推定信号に割り当てることができるようにするため、反射された識別信号に基づいて、反射する物体の位置を少なくともおおよそ推定することができる。殊に、そのために、反射された識別信号は、ビームフォーミング法で処理される。その場合、反射された識別信号に基づいた物体の位置推定は、反射された位置推定信号に基づいた位置推定よりも大幅に不正確になる可能性がある。
【0040】
殊に、上述のレーダシステムは、説明された方法を実行するように設計されている。
以下の図に基づいて本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】レーダシステムの例示的実施形態の概略図を示す。
図2】方位角平面への位置推定ビームローブの投影の概略図を示す。
図3】第1の方位角位置における図2に示される位置推定ビームローブ及び反射する物体の配置の概略図を示す。
図4図3に示される配置の概略図を示し、位置推定ビームローブが第2の方位角位置に配置されている。
図5】空間内の物体を決定するための方法の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
同じ及び機能的に同じ部品には、同じ参照符号が使用される。
図1は、第1の位置推定センサ1.1及び第2の位置推定センサ10.1を備えたレーダシステム100を示し、殊に、第1の位置推定センサ1.1及び第2の位置推定センサ10.1は、回転可能なレーダセンサとして設計されている。殊に、第1の位置推定センサ1.1と第2の位置推定センサ10.1は同一である。第1の位置推定センサ1.1と第2の位置推定センサ10.1をロータ3.1に配置することができる。その場合、第1の位置推定センサ1.1と第2の位置推定センサ10.1を方位角方向に180°ずらして、したがって殊に互いに対向するようにロータ3.1に配置することができる。ロータ3.1は、ステータ4.1に対して回転軸3.6を中心として方位角方向3.7に回転可能に配置することができる。位置推定センサ1.1、10.1が回転可能に配置されていることによって、広い領域、殊に360°の領域を走査することができる。
【0043】
更に、レーダシステム100は、第1の読取りヘッド3.2.1、第2の読取りヘッド3.2.2、及び実量器4.2を有するエンコーダシステムを備えることができる。エンコーダシステムは、殊に、ステータ4.1に対するロータ3.1の方位角位置を検出するように設計されている。それによって、エンコーダシステムを用いて、位置推定センサ1.1、10.1の位置推定センサポジションを検知することができる。エンコーダシステムは、殊に、第1の読取りヘッド3.2.1と第2の読取りヘッド3.2.2がロータ3.1に配置され、実量器4.2がステータ4.1に配置されるようにレーダシステム100に配置されている。殊に、第1の読取りヘッド3.2.1は第1の位置推定センサ1.1に割り当てられ、第2の読取りヘッド3.2.2は第2の位置推定センサ10.1に割り当てられている。
【0044】
第1の位置推定センサ1.1と第2の位置推定センサ10.1によって、それぞれ、送信振幅を有する位置推定ビームローブ1.3を生成することができる。その場合、第1の位置推定センサ1.1と第2の位置推定センサ10.1の位置推定ビームローブ1.3を少なくともほぼ同一に、又は異なるように設計することができる。
【0045】
図2は、方位角平面への位置推定ビームローブ1.3の投影の概略図を示す。信号振幅は、好ましくは方位角方向に配置される第1の位置推定角度50に依存する。それによって、信号振幅は位置推定信号プロファイル52を有することができる。位置推定信号プロファイル52は第2の位置推定角度54に依存し、仰角54は、殊に第1の位置推定角度50に対して垂直に、したがって好ましくは仰角方向に配置されている(図1参照)。位置推定センサ1.1、10.1の放射特性を不均一に形成することができ、それにより位置推定センサ1.1、10.1によって放射される位置推定ビームローブ1.3も殊に不均一に形成されている。
【0046】
殊に、放射特性は、異なる第2の位置推定角度54の位置推定信号プロファイル52の相関が0.5以下、好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.1以下の最大値をもたらすように不均一である。それによって、異なる第2の位置推定角度54に対して、比較的非類似の位置推定信号プロファイル52、したがって高度な不均一性を有する放射特性を提供することができる。それによって、特定の位置推定信号プロファイル52を特定の第2の位置推定角度54に相対的に確実に割り当てることができる。
【0047】
図1に示されるように、位置推定センサ1.1、10.1は、不均一な送信振幅を生成するためのカバー1.2を有することができる。カバー1.2は、特にプラスチックで作ることができる。カバー1.2は、位置推定センサ1.1、10.1の放射特性の不均一性を生成する簡単な方法であり得る。カバー1.2は、その面積にわたって異なる厚さ及び/又は構造を有することができる。特に、構造及び/又は厚さは送信振幅に対応し得る。
【0048】
位置推定ビームローブ1.3は、殊に、少なくとも90°、好ましくは少なくとも120°の第2の開き角度56を有し、位置推定ビームローブ1.3の第2の開き角度56と位置推定ビームローブ1.3の第1の開き角度58の比が5:1より大きく、殊に10:1より大きくなるように設計されている。したがって、位置推定ビームローブ1.3は、長辺が垂直方向に配置された楕円形又はほぼ矩形の断面60を有することができる。特に、位置推定ビームローブ1.3の断面60が比較的狭いことによって、位置推定センサ1.1、10.1は高分解能を達成することができる。
【0049】
レーダシステム100は、反射された位置推定信号71の第1の位置推定成分、第2の位置推定成分、及び距離値72(図4を参照)を決定するように設計された第1の位置推定計算ユニット3.3.1を有することができる。第1の位置推定成分が方位角74によって形成され、第2の位置推定成分が仰角によって形成されることが好ましい。殊に、レーダシステム100は、第1の位置推定計算ユニット3.3.1に対応する第2の位置推定計算ユニット3.3.2を冗長化として有することが好ましい。反射された位置推定信号71は、殊に、位置推定センサ1.1、10.1のうちの1つによって位置推定ビームローブ1.3が放射されることにより空間内の物体8によって反射された信号である。
【0050】
殊に、反射された位置推定信号71は、位置推定センサ1.1、10.1のうちの1つによって検出され、第1の位置推定演算ユニット3.3.1及び第2の位置推定演算ユニット3.3.2により処理される。位置推定センサ1.1、10.1が不均一な放射特性を有することによって、反射された位置推定信号71の特性から、反射された位置推定信号71の仰角、したがって反射する物体8の仰角を推測することができる。方位角74の決定は、特に、エンコーダシステムによって検出された位置推定センサポジションに基づいて決定することができる。そのために、位置推定計算ユニット3.3.1、3.3.2は、殊に位置推定センサ1.1、10.1及びエンコーダシステムに、殊に読取りヘッド3.2.1、3.2.2に接続されている。殊に、位置推定計算ユニット3.3.1、3.3.2は、ロータ3.1に配置されている。位置推定計算ユニット3.3.1、3.3.2を、第2の反射された位置推定信号を同じ方位角74を有する第1の反射された位置推定信号と比較するように、及び異なる信号構成要素のみを更に処理するように設計することができる。それによって、静止物体8を位置推定センサ1.1、10.1に対して動く物体8から分けることができる。更に、比較によって、伝送及び更に処理されるべきデータ量を低減することができる。
【0051】
レーダシステム100は、ロータ3.1とステータ4.1との間に供給ラインとデーライン線を通すために、ロータ側の回転フィードスルー部3.4及びステータ側の回転フィードスルー部4.4を含む回転フィードスルーを有することができる。
【0052】
レーダシステム100は、物体8を識別するための第1の識別センサ2.1と第2の識別センサ20.1を有することができ、識別センサ2.1、20.1によって各識別ビームローブ2.2を生成することができる。その場合、第1の識別センサ2.1と第2の識別センサ20.1の識別ビームローブ2.2を少なくともほぼ同一に、又は異なるように設計することができる。識別センサ2.1、20.1は、殊に、固定レーダセンサとして設計され、ステータ4.1に配置される。殊に、第1の識別センサ2.1及び第2の識別センサ20.1は、180°、特に方位角方向にずらしてロータに配置されている。それによって、広い領域で物体8を識別することができる。
【0053】
殊に、識別ビームローブ2.2は、少なくとも90°、特に好ましくは少なくとも120°の第1の開き角度64と、少なくとも90°、特に好ましくは少なくとも120°の第2の開き角度62を有する。したがって、識別ビームローブ2.2は、殊に円形又はほぼ正方形の断面66を有する。更に、識別ビームローブ2.2の第1の開き角度64及び第2の開き角度62が比較的大きく、それにより識別センサ2.1、20.1のうちの1つによって広い領域を検出できる。
【0054】
レーダシステム100は、第1の識別計算ユニット4.3.1及び第2の識別計算ユニット4.3.2を有することができ、識別計算ユニット4.3.1、4.3.2の各々は、反射された識別信号のレーダシグネチャを識別するように設計されている。殊に、識別計算ユニット4.3.1、4.3.2は、同一に設計されている。このために、レーダシステム100を、特に、反射された識別信号のドップラシグネチャを特定の物体に割り当てるように設計することができる。特に、識別計算ユニット4.3.1、4.3.2を、反射された識別信号のレーダシグネチャを参照データベースと比較するように設計することができる。識別計算ユニット4.3.1、4.3.2は、特に識別センサ2.1、20.1に接続されることが好ましい。識別計算ユニット4.3.1、4.3.2をステータ4.1に配置することができる。
【0055】
レーダシステム100は、反射された識別信号を反射された位置推定信号71に割り当てるように設計された中央計算ユニット5を有することができる。それによって、レーダシステム100は、高分解能で空間内の物体8の位置を推定し、同時に識別することができる。このために、中央計算ユニット5は、位置推定計算ユニット3.3.1、3.3.2及び識別計算ユニット4.3.1、4.3.2に接続されることが好ましい。反射された識別信号を反射された位置推定信号71に割り当てることができるようにするため、識別センサ2.1、20.1は、反射された識別信号に基づいて物体8の位置を少なくともおおよそ推定できるように設計されている。そのために、識別センサ2.1、20.1は殊に、それぞれ送信アンテナと少なくとも2つの受信アンテナを有する。それによって、反射された識別信号は、殊に識別計算ユニット4.3.1、4.3.2によって、ビームフォーミング法で処理することができる。
【0056】
図5は、空間内の物体を決定するためのいくつかの方法工程を包含する方法800の概略図を示す。好ましくは、図1に示されるレーダシステム100は、この方法を実行するように設計されている。以下に、第1の位置推定センサ1.1に基づいて方法が説明される。この方法は、第2の位置推定センサ10.1によって相応に実行することができる。
【0057】
殊に、第1の方法ステップ80において、不均一な送信振幅を有する位置推定ビームローブ1.3が、例えば第1の位置推定センサ1.1によって放射される。第2の方法ステップ82において、例えば第1の位置推定センサ1.1によって反射振幅を有する反射された位置推定信号と、特にエンコーダシステムによって第1の位置推定信号1.1の関連する位置推定センサポジションとを同時に検出することができる。第1の方法ステップ80及び第2の方法ステップ82は、第1の位置推定センサ1.1がその位置推定センサポジションを変える間、数回繰り返すことができる。このために、第1の位置推定センサ1.1は、回転軸3.6を中心として方位角方向3.7に回転することができる。殊に、第3の方法ステップ84において、反射振幅及び関連する位置推定センサポジションから反射信号プロファイルが作成される。第4の方法ステップ86において、反射された位置推定信号71の、殊に仰角の形態の第2の位置推定成分を、反射信号プロファイルを位置推定センサ1.1の放射特性と相関させることによって決定することができる。
【0058】
図3及び図4に示されるように、第1の位置推定センサ1.1が1回転する間、位置推定ビームローブ1.3を頻繁に放出することができ、それにより位置推定センサ1.1が1回転する過程で、位置推定ビームローブ1.3が位置推定信号を反射する物体8に数回連続して当てられる。図3は、第1の方位角位置における位置推定ビームローブ1.3を示し、図4は、第2の方位角位置における位置推定ビームローブ1.3を示す。図3及び図4において、物体8は同じ位置にある。
【0059】
物体8によって反射された位置推定信号及び位置推定センサ1.1の関連する位置推定センサポジションが、殊にそれに対応して頻繁に検出される。更に、物体8の断面を方位角方向に、位置推定ビームローブ1.3の対応する断面70より小さくすることができ、それにより第2の方法工程82の1つにおいて検出された反射振幅が、放射された位置推定ビームローブ1.3の信号振幅の一部のみを表す。その場合、それぞれの反射された位置推定信号71の方位角74は、殊に、それぞれ関連する、エンコーダシステムによって検出された位置推定センサポジションから既知である。したがって、個々の反射された位置推定信号の反射振幅と関連する位置推定センサポジションとから反射振幅プロファイルを検知することができる。反射振幅プロファイルは、放射特性との相関を通じて、この反射振幅プロファイルに仰角の形態の第2の位置推定成分を、殊に高い確率で一義的に割り当てることができることを特徴とするように形成されていることが好ましい。その場合、放射特性は、位置推定センサ1.1のアンテナ放射パターンから知ることができる。
【0060】
殊に、物体8によって反射された位置推定信号71から、特に、それぞれの位置推定信号の送信(第1の方法工程80)と関連する反射された位置推定信号の検出(第2の方法工程82)との間の伝播時間及び位相シフトに基づいて、反射された位置推定信号71、したがって72反射する物体8の距離値が決定される。反射する物体の方位角は、エンコーダシステムによって検出された反射された位置推定信号71の方位角74に基づいて決定することができる。したがって、空間内の反射する物体8のポジションを殊に一義的に決定することができる。
【0061】
方法800は、殊に、第5の方法工程90において、識別センサ2.2、20.2のうちの少なくとも1つによって識別ビームローブ2.2が放射されるように設計されている。次に、第6の方法工程92において、反射された識別信号のレーダシグネチャを検出することができ、第7の方法工程94においてこのレーダシグネチャを識別することができる。レーダシグネチャの識別は、殊に、ドップラシグネチャに基づいて実行される。レーダシグネチャを識別することは、特に、反射された識別信号を参照データベースと比較することを含むことができる。殊に、第5の方法工程90から第7の方法工程94は、第1の方法工程80から第4の方法ステップ86と並行に設けられている。
【0062】
第8の方法工程99において、反射された識別信号を反射された位置推定信号71に割り当てることができる。反射された識別信号を反射された位置推定信号71に割り当てることができるようにするため、反射された識別信号に基づいて反射物体8の位置を少なくともおおよそ推定することができる。殊に、そのために、反射された識別信号は、ビームフォーミング法で処理される。
【0063】
このようにして、物体8は、方法800を用いて殊に位置推定及び識別され、したがって包括的に決定される。
【符号の説明】
【0064】
1.1 第1の位置推定センサ
1.2 カバー
1.3 位置推定ビームローブ
2.1 第1の識別センサ
2.2 識別ビームローブ
3.1 ロータ
3.2.1 第1の読取りヘッド
3.2.2 第2の読取りヘッド
3.3.1 第1の位置推定計算ユニット
3.3.2 第2の位置推定計算ユニット
3.4 ロータ側の回転実行部
3.6 回転軸
3.7 方位角方向
4.1 ステータ
4.2 実量器
4.3.1 第1の識別計算ユニット
4.3.2 第2の識別計算ユニット
4.4 ステータ側の回転実行部
5 中央計算ユニット
8 物体
10.1 第2の位置推定センサ
20.1 第2の識別センサ
50 第1の位置推定角度
52 位置推定信号プロファイル
54 第2の位置推定角度
56 位置推定ビームローブの第2の開き角度
58 位置推定ビームローブの第1の開き角度
60 位置推定ビームローブの断面
62 識別ビームローブの第2の開き角度
64 識別ビームローブの第1の開き角度
66 識別ビームローブの断面
68 物体の断面
70 位置推定ビームローブの断面
71 反射された位置推定信号
72 距離値
74 反射された位置推定信号の方位角
80 第1の方法工程
82 第2の方法工程
84 第3の方法工程
86 第4の方法工程
90 第5の方法工程
92 第6の方法工程
94 第7の方法工程
99 第8の方法工程
100 レーダシステム
800 方法
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダセンサとして設計され、可動に配置された少なくとも1つの位置推定センサ(1.1、10.1)と、前記少なくとも1つの位置推定センサ(1.1、10.1)の位置推定センサポジションを決定するための手段とを備えたレーダシステム(100)において、
前記少なくとも1つの位置推定センサ(1.1、10.1)が不均一な放射特性を生成するための手段を有し、前記不均一な放射特性を生成するための手段は、前記手段により形成される位置推定ビームローブ(1.3)が第1の位置推定角度(50)に依存する信号振幅を有し、それにより前記信号振幅が位置推定信号プロファイル(52)を有するように設計されており、前記位置推定信号プロファイル(52)が第2の位置推定角度(54)に依存することを特徴とする、レーダシステム。
【請求項2】
放射特性は、異なる第2の位置推定角度(54)の前記位置推定信号プロファイル(52)の相関が、それぞれ0.5以下、好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.1以下の最大値をもたらすように不均一である
ことを特徴とする、
請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項3】
不均一な放射特性を生成するための前記手段は、カバー(1.2)によって形成される
ことを特徴とする、
請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項4】
不均一な放射特性を生成するための前記手段は、複数のアンテナ素子を含むアンテナアレイを有する送信アンテナ及び/又は受信アンテナによって形成され、前記個々のアンテナ素子は、少なくとも部分的に互いに不規則な間隔で配置され、及び/又は様々に配向され、及び/又は少なくとも部分的に異なるレベルに配置されている
ことを特徴とする、
請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項5】
前記位置推定ビームローブ(1.3)は、少なくとも90°、好ましくは少なくとも120°の第2の開き角度(56)を有し、前記位置推定ビームローブ(1.3)の前記第2の開き角度(56)と前記位置推定ビームローブ(1.3)の第1の開き角度(58)の比が5:1より大きく、殊に10:1より大きいことを特徴とする、
請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの位置推定センサ(1.1、10.1)がロータ(3.1)に配置され、前記ロータ(3.1)はステータ(4.1)に対して回転可能に配置され、位置推定センサポジションを決定するための前記手段は、前記ステータ(4.1)に対する前記ロータ(3.1)のポジションを検出するように形成されている
ことを特徴とする、
請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項7】
前記レーダシステム(100)は、物体(8)を識別するための少なくとも1つの識別センサ(2.1、20.1)を有し、前記少なくとも1つの識別センサ(2.1、20.1)によって識別ビームローブ(2.2)を生成することができ、前記少なくとも1つの識別センサ(2.1、20.1)は、固定レーダセンサとして設計されている
ことを特徴とする、
請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項8】
識別ビームローブ(2.2)は、少なくとも90°、殊に少なくとも120°の第1の開き角度(64)を有し、前記識別ビームローブ(2.2)は、少なくとも90°、殊に少なくとも120°の第2の開き角度(62)を有する
ことを特徴とする、
請求項に記載のレーダシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの識別センサ(2.1、20.1)がステータ(4.1)に配置されている
ことを特徴とする、
請求項に記載のレーダシステム。
【請求項10】
位置推定センサ(1.1、10.1)として設計され、可動に配置され、不均一な放射特性を有する少なくとも1つのレーダセンサによって空間内の物体(8)を決定するための方法(800)であって、
位置推定ビームローブ(1.3)を放射する工程と、
反射振幅を有する反射された位置推定信号(71)と関連する位置推定センサポジションとを同時に検出する工程と、
前記少なくとも1つの位置推定センサ(1.1、10.1)がその位置推定センサポジションを変える間、前記工程を数回繰り返す工程と、
前記反射振幅と前記関連する位置推定センサポジションから反射信号プロファイルを作成する工程と、
前記反射信号プロファイルを前記位置推定センサの前記不均一な放射特性と相関させることによって、前記反射された位置推定信号(71)の第2の位置推定成分を決定する工程と、
を包含する方法。
【請求項11】
前記第1の位置推定成分が前記関連する位置推定センサポジションによって決定され、及び/又は前記反射された位置推定信号(71)の伝播時間から距離値(72)が決定される
ことを特徴とする、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の反射された位置推定信号は、同じ第1の位置推定成分を有する第1の反射された位置推定信号と比較される
ことを特徴とする、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、
識別センサ(2.1、20.1)として設計された固定レーダセンサによって識別ビームローブ(2.2)を放射する工程と、
レーダシグネチャを有する反射された識別信号を検出する工程と、
前記レーダシグネチャを識別する工程と、
前記反射された識別信号を前記反射された位置推定信号(71)に割り当てる工程と、
を包含する
ことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記反射された識別信号は、ビームフォーミング法で処理される
ことを特徴とする、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記レーダシステム(100)は、請求項1014のいずれか一項に記載の方法(800)を実行するように設計されている
ことを特徴とする、
請求項1~のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【国際調査報告】