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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】がん治療のための三剤療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/138 20060101AFI20240822BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/475 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61K31/138
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
A61P43/00 121
A61K31/475
A61K31/5377
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516808
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 US2022043601
(87)【国際公開番号】W WO2023043883
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/244,412
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524098710
【氏名又は名称】サイトメトリック セラピューティクス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100170852
【弁理士】
【氏名又は名称】白樫 依子
(72)【発明者】
【氏名】ラリー ウェイセンタール
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム グレイス
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC73
4C086CB21
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA23
4C206KA01
4C206MA03
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZB26
4C206ZB27
4C206ZC75
(57)【要約】
三剤療法でがんを治療する方法が開示される。本方法は、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビン(TGV)を含む2つ又は3つの異なる抗腫瘍医薬によるがん治療レジメンを含む。がん治療レジメンは、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンの連続投与及び/又は同時投与を含み得る。がん治療レジメンは、処方された治療に対するアジュバントとして、タモキシフェン及びゲフィチニブの連続投与及び/又は同時投与を含み得る。がん治療レジメンは、周期的であり得るか、又はメトロノーム投薬による連続的なメトロノーム治療であり得る。がん治療レジメンは、周期的であってもよく、その後、メトロノーム投薬による連続的なメトロノーム治療が続いてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト対象におけるがんを治療する方法であって、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンの連続投与及び/又は同時投与を含むレジメンを前記対象に与えることを含む、方法。
【請求項2】
前記レジメンが、タモキシフェン及びゲフィチニブを同時に1日2回、並びにビノレルビンを1日1回、3日間投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レジメンが、タモキシフェン及びゲフィチニブを同時に連続3日間1日2回、並びにビノレルビンを前記連続3日間の2日目に1日1回、投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レジメンが、1週間毎、2週間毎、3週間毎、4週間毎、又はそれより少ない頻度で繰り返される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ゲフィチニブが、1回の投与当たり10~500mg/mの用量で投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
タモキシフェンが、1回の投与当たり10~500mg/mの用量で投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ビノレルビンが、1回の投与当たり5~250mg/mの用量で投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記レジメンが、1日にわたって、連続2日間にわたって、連続3日間にわたって、連続4日間にわたって、連続5日間にわたって、連続6日間にわたって、連続7日間にわたって、連続8日間にわたって、連続9日間にわたって、又は連続10日間にわたって行われる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記レジメンが、
150~225mg/mのゲフィチニブを、前記レジメンの1日目、2日目、及び3日目に1日2回、前記対象に経口投与することと、
64~96mg/mのタモキシフェンを、前記レジメンの1日目、2日目、及び3日目に1日2回、前記対象に経口投与することと、
有効量のビノレルビンを、前記レジメンの2日目に、前記対象に経口又は静脈内投与することと、を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ビノレルビンが、前記レジメンの2日目に、前記対象に静脈内投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ビノレルビンが、前記レジメンの2日目に、前記対象に経口投与される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
10~96mg/mのビノレルビンが、前記レジメンの2日目に、前記対象に投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
187.5mg/mのゲフィチニブが、前記レジメンの1日目、2日目、及び3日目に1日2回、経口投与される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
80mg/mのタモキシフェンが、前記レジメンの1日目、2日目、及び3日目に1日2回、経口投与される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
80mg/mのビノレルビンが、前記レジメンの2日目に、経口又は静脈内投与される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
30mg/mのビノレルビンが、前記レジメンの2日目に、経口又は静脈内投与される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
対象におけるがんを治療する方法であって、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及び処方された化学療法剤の連続投与及び/又は同時投与のレジメンを前記対象に与えることを含む、方法。
【請求項18】
タモキシフェンが、1回の投与当たり10~500mg/mの用量で投与され、ゲフィチニブが、1回の投与当たり10~500mg/mの用量で投与され、前記処方された化学療法剤が、処方された用量で投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記処方された化学療法剤が、患者が耐性になった化学療法剤である、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記対象が、0.5~3.6mの体表面積を有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記レジメンが、約2週間毎に繰り返される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記レジメンが、約3週間毎に繰り返される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記がんが、固形がん又は血液がんである、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記がんが、ステージIがん、ステージIIがん、ステージIIIがん、又はステージIVがんである、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記がんが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質がん カポジ肉腫(軟部組織肉腫)、AIDS関連リンパ腫(リンパ腫)、原発性CNSリンパ腫(リンパ腫)、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、皮膚の基底細胞がん、胆道がん、膀胱がん、骨がん(ユーイング肉腫及び骨肉腫及び悪性線維性組織球腫を含む)、脳腫瘍、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、原発不明がん、心臓腫瘍、髄芽細胞腫及び他のCNS胎児性腫瘍、胚細胞腫瘍、原発性CNSリンパ腫、子宮頸がん、小児がん、胆管がん、脊索腫、小児骨がん、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性腫瘍、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、菌状息肉腫及びセザリー症候群、非浸潤性乳管がん(DCIS)、胚性腫瘍、髄芽細胞腫、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼がん、眼内黒色腫、網膜芽腫、卵管がん、骨の線維性組織球腫、骨肉腫、胆のうがん、胃(腹部)がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、胚細胞腫瘍、小児中枢神経系胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、精巣がん、妊娠性絨毛性疾患、有毛細胞白血病、頭頸部がん、心臓腫瘍、小児期、肝細胞(肝臓)がん、ランゲルハンス細胞組織球症、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん(頭頸部がん)、眼内黒色腫、島細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、カポジ肉腫(軟部組織肉腫)、腎臓(腎細胞)がん、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭がん(頭頸部がん)、白血病、口唇及び口腔がん(頭頸部がん)、肝臓がん、肺がん(非小細胞、小細胞、胸膜肺芽腫、及び気管気管支腫瘍)、リンパ種、男性乳がん、骨の悪性線維性組織球腫及び骨肉腫、黒色腫、眼内(眼球)黒色腫、メルケル細胞がん(皮膚がん)、悪性中皮腫、転移性がん、原発不明の転移性頸部扁平上皮がん(頭頸部がん)、NUT遺伝子変化を伴う正中線がん、口腔がん(頭頸部がん)、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫、菌状息肉腫(リンパ種)、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、骨髄性白血病、慢性(CML)、骨髄性白血病、急性(AML)、慢性骨髄増殖性腫瘍、鼻腔及び副鼻腔がん(頭頸部がん)、鼻咽腔がん(頭頸部がん)、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん、口腔がん、口唇及び口腔がん並びに口腔咽頭がん(頭頸部がん)、骨肉腫及び骨治療の未分化多形性肉腫、卵巣がん、膵臓がん、膵臓神経内分泌腫瘍(島細胞腫)、傍神経節腫、副鼻腔及び鼻腔がん(頭頸部がん)、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん(頭頸部がん)、褐色細胞腫、下垂体部腫瘍、形質細胞腫/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫(肺がん)、妊娠及び乳がん、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、原発性腹膜がん、前立腺がん、小児のまれながん、直腸がん、再発性がん、腎細胞(腎臓)がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫(小児軟部組織肉腫)、唾液腺がん(頭頸部がん)、肉腫、小児横紋筋肉腫(軟部組織肉腫)、小児血管腫瘍(軟部組織肉腫)、ユーイング肉腫(骨がん)、カポジ肉腫(軟部組織肉腫)、骨肉腫(骨がん)、軟部組織肉腫、子宮肉腫、セザリー症候群(リンパ腫)、皮膚がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉腫、皮膚の扁平上皮細胞がん、原発不明の頸部扁平上皮がん、転移性(頭頸部がん)、腹部(胃)がん、皮膚T細胞性リンパ腫、精巣がん、咽喉がん、鼻咽腔がん、口腔咽頭がん、下咽頭がん、胸腺腫及び胸腺がん、甲状腺がん、気管気管支腫瘍(肺がん)、腎盂及び尿管の移行細胞がん(腎臓(腎細胞)がん)、原発不明がん、尿管及び腎盂、移行細胞がん(腎臓(腎細胞)がん、尿道がん、子宮内膜子宮がん、子宮肉腫、腟がん、血管腫瘍、外陰がん、並びにウィルムス腫瘍及び他の小児腎腫瘍からなる群から選択される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記がんが、乳がん、腸(結腸)がん、膵臓がん、食道がん、皮膚(黒色腫及び扁平上皮細胞)がん、前立腺がん、神経内分泌がん、肺(小細胞及び大細胞)がん、脳(GBM)がん、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、及び髄膜がんからなる群から選択される、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記方法が、前記方法の前のがん腫瘍のサイズと比較して、前記がん腫瘍のサイズの減少をもたらす、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記方法が、前記方法の前の循環がんマーカーのレベルと比較して、循環がんマーカーのレベルの低下をもたらす、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記方法が、前記方法の前の前記対象の既往比較自己評価(ACSA)と比較して、前記対象のACSAの改善をもたらす、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
ヒト対象におけるがんを治療する方法であって、メトロノーム投薬でのタモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンの連続投与及び/又は同時投与を含むレジメンを前記対象に与えることを含む、方法。
【請求項31】
前記レジメンが、1回の投与当たり5~500mg/mの用量のタモキシフェン、1回の投与当たり5~500mg/mの用量で投与されるゲフィチニブ、及び1回の投与当たり5~500mg/mの用量で投与されるビノレルビンを投与することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記レジメンが、任意で、請求項1~31のいずれか一項に記載のがんを治療する方法の後に、数ヶ月又は数年の期間与えられる、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
タモキシフェン及びゲフィチニブを、任意で、ブリスターパック中に含むキットであって、各ブリスターパックが、毎日使用するための用量のタモキシフェン及びゲフィチニブを含む、キット。
【請求項34】
タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンを含む、キット。
【請求項35】
前記ゲフィチニブが、約5~500mgの固体単位剤形で提供される、請求項33又は34に記載のキット。
【請求項36】
前記ゲフィチニブが、約37.5mgの固体単位剤形で提供される、請求項33~35のいずれか一項に記載のキット。
【請求項37】
前記タモキシフェンが、約5~500mgの固体単位剤形で提供される、請求項33~36のいずれか一項に記載のキット。
【請求項38】
前記タモキシフェンが、約20mgの固体単位剤形で提供される、請求項33~37のいずれか一項に記載のキット。
【請求項39】
前記タモキシフェン及び前記ゲフィチニブが、単一剤形で提供される、請求項33~36のいずれか一項に記載のキット。
【請求項40】
前記タモキシフェン及び前記ゲフィチニブが、約20mgのタモキシフェン及び約37.5mgのゲフィチニブを含む単一剤形で提供される、請求項33~39のいずれか一項に記載のキット。
【請求項41】
前記ビノレルビンが、約5~500mgの液体単位剤形で提供される、請求項33~40のいずれか一項に記載のキット。
【請求項42】
前記ビノレルビンが、約5~500mgの固体単位剤形で提供される、請求項33~41のいずれか一項に記載のキット。
【請求項43】
がん細胞生存について対象のがん細胞に対して薬物組み合わせをインビトロで試験することを含む方法であって、前記薬物組み合わせが、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンを含む、方法。
【請求項44】
インビトロ試験が、ビノレルビンの投与の前に、ビノレルビンの投与と一緒に、及び/又はビノレルビンの投与の後に、タモキシフェン及びゲフィチニブを投与することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
インビトロ試験が、前記がん細胞生存を測定することを含む、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項46】
前記インビトロ試験が、前記対象から得られた細胞の前記がん細胞生存の実質的な減少を提供する場合に、請求項1~16及び20~32のいずれか一項に従って対象におけるがんを治療することを更に含む、請求項43~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記がん細胞生存の実質的な減少が、前記がん細胞生存の50%~100%の減少を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
対象におけるがんを治療する方法であって、がん細胞生存について前記対象のがん細胞に対して、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンを含む薬物組み合わせを試験することと、請求項1~16及び20~32のいずれか一項に記載の方法を前記対象に施すことと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年9月15日に出願された米国仮特許出願第63/244,412号の優先権及び利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、がんの全身治療のための三剤療法に関し、特に、広範囲ながんの治療におけるタモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビン(「tamoxifen,gefitinib,and vinorelbine、TGV」)の組み合わせに関する。
【背景技術】
【0003】
がんと闘うために多くのタイプのがん治療が開発されてきた。治療は、患者ごとに異なる場合があり、どのがん治療が患者にとって最も有用であるかを確立するためのバイオマーカー試験を含み得る。利用可能ながん治療には、化学療法、標的療法、ホルモン療法、免疫療法、幹細胞移植、及びキメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor、CAR)T細胞療法などの全身療法が含まれる。それらには、放射線療法などの局所療法、及び手術などの局部療法も含まれる。
【0004】
がん患者が受ける治療のタイプは、典型的には、がん自体及びがんがどの程度進行しているかに依存する。がんを有する一部の人は、局部がんのための手術、又は局所がんのための局所療法など、1つの治療のみを受ける。しかし、ほとんどの人は、手術と化学療法及び/又は放射線療法などの治療の組み合わせを受ける。
【0005】
使用する治療のタイプを最も正確に決定しても、患者のがんは、選択された治療に対する耐性を発達させる場合がある。多数のタイプのがんに対して広範囲な活性を有する改善されたがん治療が必要とされており、標準的な全身療法に耐性であったがんに対して活性を有する療法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、ヒト対象におけるがんを治療する方法であって、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンの連続投与及び/又は同時投与を含むレジメンを対象に与えることを含む、方法に関する。
【0007】
本開示はまた、対象におけるがんを治療する方法であって、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及び処方された化学療法剤の連続投与及び/又は同時投与のレジメンを対象に与えることを含む、方法に関する。
【0008】
本開示はまた、ヒト対象におけるがんを治療する方法であって、メトロノーム投薬でのタモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンの連続投与及び/又は同時投与を含むレジメンを対象に与えることを含む、方法に関する。
【0009】
本開示はまた、タモキシフェン及びゲフィチニブを、任意で、ブリスターパック中に含むキットであって、各ブリスターパックが、毎日使用するための用量のタモキシフェン及びゲフィチニブを含む、キットに関する。本開示の他のキットとしては、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンを含むものが挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、所望の実施形態の以下の詳細な説明及びそこに含まれる実施例を参照することによって、より容易に理解され得る。
【0011】
この明細書全体を通して、説明は、抗がん治療法を使用する方法に言及する。
【0012】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で本明細書に記載されている開示された方法の特定の特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供されてもよいことが理解されるべきである。逆に、簡略のために単一の実施形態の文脈で記載されている開示された方法の様々な特徴は、別々に又は任意の部分的組み合わせでも提供され得る。
【0013】
この説明の態様に関する様々な用語は、明細書及び特許請求の範囲全体で使用される。そのような用語は、別段の指示がない限り、当該技術分野においてそれらの通常の意味が付与されるものとする。他の具体的に定義された用語は、本明細書に提供される定義と一致するように解釈されるものとする。
【0014】
「実質的」とは、既知の値との比較における類似性、差異、増加、又は減少の程度を指す。実質的には、既知の値との比較において、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の類似性、差異、増加、又は減少を含み得る。
【0015】
「治療する」又は「治療」という用語は、がんの1つ以上の症状の軽減、寛解、縮小などの任意の客観的又は主観的パラメータを含む、がんの減弱若しくは改善、又は損傷、病状、若しくは状態を対象にとってより許容可能にすること、対象の身体的健康を改善すること、若しくは生存期間を延長することにおける、任意の成功又は成功の徴候を指す。1つ以上の症状の治療又は改善は、客観的又は主観的パラメータに基づくことができ、これには、身体検査、臨床試験、非侵襲的画像診断、及び/又は対象による自己報告の結果が含まれる。
【0016】
「寛解」、「がんからの寛解」、及び「完全寛解」という用語は、身体的評価、実験的評価、画像評価、及び/又は臨床評価によって疾患の徴候が特定されない、疾患経過中の改善の状態を指す。
【0017】
「部分寛解」という用語は、身体的評価、実験的評価、画像評価、及び/又は臨床評価によって疾患の残留徴候が特定される、疾患経過中の改善の状態を指す。
【0018】
「有効量」及び「治療有効量」という用語は、本明細書において互換的に使用され、がんの1つ以上の症状の改善などであるがこれらに限定されない、特定の生物学的結果又は治療結果を達成するのに有効な薬物の量を指す。薬物の治療有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、体表面積、及び体重、並びに個体において所望の応答を生じさせる薬物の能力などの要因に従って変動し得る。そのような結果としては、限定されないが、当該技術分野において好適な任意の手段によって決定される、がんの治療が挙げられ得る。
【0019】
本明細書で使用される「対象」という用語は、任意の動物、特に哺乳動物を意味することが意図される。本明細書に記載の方法は、ヒト及び非ヒト動物に適用可能であるが、好ましくはペット及びヒトに、最も好ましくはヒトに使用される。「対象」及び「患者」は、本明細書において互換的に使用される。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0020】
「メトロノーム投与」又は「メトロノーム投薬」という用語は、比較的低用量の抗がん薬が、連続的又は頻繁な定期的スケジュール(毎日又は毎週など)で、通常は長期的に与えられる治療を指す。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、本開示によるメトロノーム投薬による化学療法は、がんの治療に有効かつ安全である。
【0021】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先する。好ましい方法及び材料を以下に記載するが、本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料は、実務又は試験において使用され得る。本明細書に開示される材料、方法、及び実施例は、例示に過ぎず、限定することを意図しない。
【0022】
量、サイズ、配合、パラメータ、並びに他の量及び特徴は、正確ではなく、正確である必要もないが、所望に応じて、許容誤差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、及び当業者に公知の他の要因を反映して、近似及び/又はより大きく若しくはより小さくあってもよいことが理解される。一般に、量、サイズ、配合、パラメータ又は他の量若しくは特徴は、そのように明示的に述べられているか否かにかかわらず、「約」又は「およそ」である。「約」が定量値の前に使用される場合、特に明記されない限り、パラメータには、特定の定量値自体も含まれることが理解される。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、量、一時的な期間などの測定可能な値について言及するとき、既定値から±10%、±5%、±1%、又は±0.1%の変動を包含することを意味し、そのような変動は、開示される方法を実行するために適切である。
【0023】
本明細書で使用される場合、近似を表す言葉は、関連する基本機能の変化をもたらすことなく変化し得る任意の定量的表現を修飾するために適用され得る。したがって、「約」によって修飾された値は、場合によっては、指定された正確な値に限定されないことがある。少なくともいくつかの例において、近似を表す言葉は、値を測定するための機器の精度に対応し得る。修飾語「約」はまた、2つの端点の絶対値によって定義される範囲を開示するものとして考慮されるべきである。例えば、表現「約2~約4」はまた、範囲「2~4」を開示する。「約」という用語は、示された数のプラス又はマイナス10%を指し得る。例えば、「約10%」は、9%~11%の範囲を示し得、「約1」は、0.9~1.1を意味し得る。「約」の他の意味は、四捨五入など、文脈から明らかであり得るので、例えば、「約1」は、0.5~1.4も意味し得る。
【0024】
反対に示されない限り、数値は、同じ数の有効数字に換算されたときに同じである数値、及び値を決定するために本出願に記載されるタイプの従来の測定技術の実験誤差未満だけ記載された値と異なる数値を含むと理解されるべきである。
【0025】
本明細書に開示される全ての範囲は、列挙された端点を含み、端点から独立している(例えば、「2グラム~10グラムで、全ての中間値は、2グラム、10グラム、及び全ての中間値を含む」)。本明細書に開示される範囲の端点及び任意の値は、正確な範囲又は値に限定されない。これらは、これらの範囲及び/又は値を近似する値を含むほど十分に不正確である。全ての範囲は、組み合わせ可能である。
【0026】
更に、「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」というオープンエンドの意味を有するものとして理解されるべきであるが、この用語は、「からなる(consisting)」という用語のクローズドな意味も含む。例えば、成分A及びBを含む組成物は、A、B、及び他の成分を含む組成物であってもよいが、A及びBのみでできている組成物であってもよい。
【0027】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。したがって、例えば、「細胞(a cell)」への言及は、2つ以上の細胞の組み合わせ等を包含する。
【0028】
がんを治療するための三剤療法
対象、好ましくはヒト対象におけるがんを治療する方法であって、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンの連続投与及び/又は同時投与のレジメンを対象に与えることを含む、方法が開示される。
【0029】
本開示のいくつかの態様では、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンは、連続して投与される。連続投与の場合、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンの各用量は、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、又はそれ以上の時間間隔などの、各投与用量から離散的な時間間隔で投与される。他の態様では、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンは、例えば各投与用量から離散的な時間間隔なしで、同時に投与される。更に他の態様では、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンのうちの1つ以上は、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンのうちの他のものと連続的に又は同時に投与される。
【0030】
いくつかの態様では、本方法は、タモキシフェン及びゲフィチニブを同時に1日2回、並びにビノレルビンを1日1回、3日間投与するレジメンを含む。本方法は、タモキシフェン及びゲフィチニブを同時に連続3日間1日2回、並びにビノレルビンを連続3日間の2日目に1日1回、投与するレジメンを含むことができる。
【0031】
いくつかの態様では、レジメンは、約1週間毎、約2週間毎、約3週間毎、約4週間毎、又はそれより少ない頻度で繰り返される3日間レジメンである。
【0032】
レジメンは、1日にわたって、連続2日間にわたって、連続3日間にわたって、連続4日間にわたって、連続5日間にわたって、連続6日間にわたって、連続7日間にわたって、連続8日間にわたって、連続9日間にわたって、又は連続10日間にわたって行われる1日レジメンであり得る。例えば、レジメンは、毎日のレジメンであってもよい。レジメンはまた、数ヶ月又は数年の期間にわたって継続され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、ゲフィチニブは、1回の投与当たり約10~500mg/mの用量で投与される。例えば、ゲフィチニブは、1回の投与当たり約10~500mg/mの用量で、1回の投与当たり約50~400mg/mの用量で、1回の投与当たり約100~300mg/mの用量で、又は1回の投与当たり約100~200mg/mの用量で投与することができる。他の例では、ゲフィチニブは、1回の投与当たり約10~300mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~200mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~190mg/mの用量で、又は1回の投与当たり約10~180mg/mの用量で投与することができる。他の例では、ゲフィチニブは、1回の投与当たり、約10mg/m、約20mg/m、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/m、約100mg/m、約125mg/m、約150mg/m、約175mg/m、約187.5mg/m、約200mg/m、約225mg/m、約250mg/m、約275mg/m、約300mg/m、約325mg/m、約350mg/m、約375mg/m、約400mg/m、約425mg/m、約450mg/m、約475mg/m、又は約500mg/mの用量で投与することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、タモキシフェンは、1回の投与当たり約10~500mg/mの用量で投与される。例えば、タモキシフェンは、1回の投与当たり約10~500mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~400mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~300mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~200mg/mの用量で、又は1回の投与当たり約10~100mg/mの用量で投与することができる。他の例では、タモキシフェンは、1回の投与当たり約10~90mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~80mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~70mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~60mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~50mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~40mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~30mg/mの用量で、又は1回の投与当たり約10~20mg/mの用量で投与することができる。他の例では、タモキシフェンは、1回の投与当たり、約10mg/m、約20mg/m、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/m、約100mg/m、約125mg/m、約150mg/m、約175mg/m、約200mg/m、約225mg/m、約250mg/m、約275mg/m、約300mg/m、約325mg/m、約350mg/m、約375mg/m、約400mg/m、約425mg/m、約450mg/m、約475mg/m、又は約500mg/mの用量で投与することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、ビノレルビンは、1回の投与当たり約5~250mg/mの用量で投与される。例えば、ビノレルビンは、1回の投与当たり約50~250mg/mの用量で、1回の投与当たり約50~200mg/mの用量で、1回の投与当たり約50~150mg/mの用量で、1回の投与当たり約50~100mg/mの用量で、又は1回の投与当たり約50~90mg/mの用量で投与することができる。他の例では、ビノレルビンは、1回の投与当たり約5~100mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~90mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~80mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~70mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~60mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~50mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~40mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~30mg/mの用量で、又は1回の投与当たり約5~20mg/mの用量で投与することができる。他の例では、ビノレルビンは、1回の投与当たり、約5mg/m、約10mg/m、約20mg/m、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/m、約100mg/m、約125mg/m、約150mg/m、約175mg/m、約200mg/m、約225mg/m、又は約250mg/mの用量で投与することができる。
【0036】
一実施形態では、レジメンは、150~225mg/mのゲフィチニブをレジメンの1日目、2日目、及び3日目に1日2回対象に経口投与することと、64~96mg/mのタモキシフェンをレジメンの1日目、2日目、及び3日目に1日2回対象に経口投与することと、有効量のビノレルビンをレジメンの2日目に対象に経口又は静脈内投与することと、を含む。
【0037】
一実施形態では、レジメンは、150~225mg/mのゲフィチニブをレジメンの1日目、2日目、及び3日目に1日2回対象に経口投与することと、64~96mg/mのタモキシフェンをレジメンの1日目、2日目、及び3日目に1日2回対象に経口投与することと、ビノレルビンをレジメンの2日目に対象に静脈内投与することと、を含む。別の実施形態では、レジメンは、150~225mg/mのゲフィチニブをレジメンの1日目、2日目、及び3日目に1日2回対象に経口投与することと、64~96mg/mのタモキシフェンをレジメンの1日目、2日目、及び3日目に1日2回対象に経口投与することと、ビノレルビンをレジメンの2日目に対象に経口投与することと、を含む。
【0038】
本開示の方法は、1回の投与当たり約10mg/m~約96mg/mのビノレルビンをレジメンの2日目に対象に投与することを含むことができる。
【0039】
本方法は、約187.5mg/mのゲフィチニブをレジメンの1日目、2日目、及び3日目に1日2回、経口投与することを更に含むことができる。
【0040】
本方法は、約80mg/mのタモキシフェンをレジメンの1日目、2日目、及び3日目に1日2回、経口投与することを更に含むことができる。
【0041】
本方法のいくつかの実施形態では、約80mg/mのビノレルビンが、レジメンの2日目に経口又は静脈内投与される。本方法のいくつかの実施形態では、約30mg/mのビノレルビンが、レジメンの2日目に経口又は静脈内投与される。
【0042】
経口又は静脈内ビノレルビンを用いる例示的なレジメンを表1及び2に列挙する。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
本開示に従って治療される対象は、約0.5m~約3.6mの体表面積を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、約0.243m、約0.563m、約0.787m、約1.236m、約1.603m、約1.92m、約1.98m、約2.06m、約2.5m、約3m、又は約3.6mの表面積を有する。
【0046】
本方法のいくつかの実施形態では、ゲフィチニブ、タモキシフェン、及びビノレルビンの用量は、対象の体表面積に基づいて、対象ごとに調整することができる。ゲフィチニブが1回の投与当たり約187.5mg/mで経口投与され、タモキシフェンが1回の投与当たり約80mg/mで経口投与され、ビノレルビンが1回の投与当たり約80mg/mで経口投与される方法の特定の実施形態では、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンのそれぞれの1回の投与当たりの用量は、表3に示されるように、対象の体表面積に基づいて、対象ごとに調整することができる。
【0047】
【表3】
【0048】
アジュバントとしての2つの薬物の組み合わせ
また、対象、好ましくはヒト対象におけるがんを治療する方法であって、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及び患者が耐性になった処方された治療の連続投与及び/又は同時投与のレジメンを対象に与えることを含む、方法も開示される。これらの方法では、2つの薬物の組み合わせ(タモキシフェン及びゲフィチニブ(tamoxifen and gefitinib、TG)の組み合わせ)が、アジュバントとして使用される。TGの組み合わせは、処方された治療の効果を増強する。処方された治療は、処方された化学療法薬物又は処方された化学療法薬物の組み合わせであってもよく、これに対して患者は耐性を発達させた。処方された治療にTGを加えることにより、患者は、がんが処方された治療に対して非応答性になった場合であっても、処方された治療を続けることができる。
【0049】
タモキシフェン、ゲフィチニブ、及び患者が耐性になった処方された治療の連続投与及び/又は同時投与のレジメンを対象に与えることを含む方法では、TGの投与は、1回の投与当たり約10~500mg/mの用量で投与されるタモキシフェンの1日レジメン、及び1回の投与当たり約10~500mg/mの用量で投与されるゲフィチニブの1日レジメンを含むことができる。
【0050】
例えば、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及び患者が耐性になった処方された治療の投与は、タモキシフェンを、1回の投与当たり約10~500mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~400mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~300mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~200mg/mの用量で、又は1回の投与当たり約10~100mg/mの用量で投与することを含むことができる。他の例では、タモキシフェンは、1回の投与当たり約10~90mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~80mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~70mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~60mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~50mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~40mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~30mg/mの用量で、又は1回の投与当たり約10~20mg/mの用量で投与することができる。他の例では、タモキシフェンは、1回の投与当たり、約10mg/m、約20mg/m、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/m、約100mg/m、約125mg/m、約150mg/m、約175mg/m、約200mg/m、約225mg/m、約250mg/m、約275mg/m、約300mg/m、約325mg/m、約350mg/m、約375mg/m、約400mg/m、約425mg/m、約450mg/m、約475mg/m、又は約500mg/mの用量で投与することができる。
【0051】
タモキシフェン、ゲフィチニブ、及び患者が耐性になった処方された治療の投与は、ゲフィチニブを、1回の投与当たり約10~500mg/mの用量で、1回の投与当たり約50~400mg/mの用量で、1回の投与当たり約100~300mg/mの用量で、又は1回の投与当たり約100~200mg/mの用量で投与することを含むことができる。他の例では、ゲフィチニブは、1回の投与当たり約10~300mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~200mg/mの用量で、1回の投与当たり約10~190mg/mの用量で、又は1回の投与当たり約10~180mg/mの用量で投与することができる。他の例では、ゲフィチニブは、1回の投与当たり、約10mg/m、約20mg/m、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/m、約100mg/m、約125mg/m、約150mg/m、約175mg/m、約187.5mg/m、約200mg/m、約225mg/m、約250mg/m、約275mg/m、約300mg/m、約325mg/m、約350mg/m、約375mg/m、約400mg/m、約425mg/m、約450mg/m、約475mg/m、又は約500mg/mの用量で投与することができる。
【0052】
開示される方法は、ビノレルビンとの使用及び/又は処方された治療との使用における、2つの薬物の組み合わせである、TGの組み合わせを含み得る。処方された治療は、化学療法薬物のアビラテロン酢酸エステル、アルブミン結合(nab)パクリタキセル、アレムツズマブ、アルトレタミン、ベリノスタット、ベンダムスチン、ベバシズマブ、ブリナツモマブ、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブレンツキシマブベドチン、ブスルファン、カバジタキセル、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、セリチニブ、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クリゾチニブ、シクロホスファミド、シタラビン(Ara-C)、ダブラフェニブ、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダサチニブ、ダウノルビシン、DaunoXome(リポソームダウノルビシン)、DepoCyt(リポソームシタラビン)、Doxil(リポソームドキソルビシン)、ドキソルビシン、エピルビシン、エリブリンメシル酸塩、エルロチニブ、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン、ギリアデルウエハー、ヒドロキシウレア、イブリツモマブ、イブルチニブ、イダルビシン、イデラリシブ、イホスファミド、イマチニブ、イピリムマブ、イリノテカン、イキサベピロン、ランレオチド、ラパチニブ、レナリドマイド、レンバチニブ、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトキサントロン、ニロチニブ、ニボルマブ、オファツムマブ、オラパリブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パルボシクリブ、パニツムマブ、パゾパニブ、パノビノスタット、PEG-アスパラギナーゼ、ペグインターフェロンアルファ-2b、ペンブロリズマブ、ペメトレキセド、ペントスタチン、プララトレキサート、プロカルバジン、ラムシルマブ、リツキシマブ、ロミデプシン、シプロイセル-T、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、テモゾロマイド、テムシロリムス、テニポシド、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トポテカン、トシツモマブ、トラメチニブ、トラスツズマブ、バルルビシン、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、及びビノレルビンのうちのいずれか1つ又は組み合わせによる治療を含むことができる。
【0053】
開示される方法は、処方された治療との使用における、2つの薬物の組み合わせである、TGの組み合わせを含むことができ、処方された治療の化学療法薬物は、処方された治療レジメンに従って投与される。
【0054】
治療されるがん
本方法は、約1週間毎、約2週間毎、約3週間毎、約4週間毎、又はそれより少ない頻度でレジメンを繰り返すことを含み得る。本方法は、がんを有する対象又はがんから寛解した対象においてレジメンを繰り返すことを含み得る。がんは、固形がん又は血液がんであり得る。がんは、ステージIがん、ステージIIがん、ステージIIIがん、又はステージIVがんであり得る。好適ながんとしては、これらに限定されないが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質がんカポジ肉腫(軟部組織肉腫)、AIDS関連リンパ腫(リンパ腫)、原発性CNSリンパ腫(リンパ腫)、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、皮膚の基底細胞がん、胆道がん、膀胱がん、骨がん(ユーイング肉腫及び骨肉腫及び悪性線維性組織球腫を含む)、脳腫瘍、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、原発不明がん、心臓腫瘍、髄芽細胞腫及び他のCNS胎児性腫瘍、胚細胞腫瘍、原発性CNSリンパ腫、子宮頸がん、小児がん、胆管がん、脊索腫、小児骨がん、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性腫瘍、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、菌状息肉腫及びセザリー症候群、非浸潤性乳管がん(DCIS)、胚性腫瘍、髄芽細胞腫、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼がん、眼内黒色腫、網膜芽腫、卵管がん、骨の線維性組織球腫、骨肉腫、胆のうがん、胃(腹部)がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、胚細胞腫瘍、小児中枢神経系胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、精巣がん、妊娠性絨毛性疾患、有毛細胞白血病、頭頸部がん、心臓腫瘍、小児期、肝細胞(肝臓)がん、ランゲルハンス細胞組織球症、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん(頭頸部がん)、眼内黒色腫、島細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、カポジ肉腫(軟部組織肉腫)、腎臓(腎細胞)がん、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭がん(頭頸部がん)、白血病、口唇及び口腔がん(頭頸部がん)、肝臓がん、肺がん(非小細胞、小細胞、胸膜肺芽腫、及び気管気管支腫瘍)、リンパ種、男性乳がん、骨の悪性線維性組織球腫及び骨肉腫、黒色腫、眼内(眼球)黒色腫、メルケル細胞がん(皮膚がん)、悪性中皮腫、転移性がん、原発不明の転移性頸部扁平上皮がん(頭頸部がん)、NUT遺伝子変化を伴う正中線がん、口腔がん(頭頸部がん)、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫、菌状息肉腫(リンパ種)、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、骨髄性白血病、慢性(CML)、骨髄性白血病、急性(AML)、慢性骨髄増殖性腫瘍、鼻腔及び副鼻腔がん(頭頸部がん)、鼻咽腔がん(頭頸部がん)、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん、口腔がん、口唇及び口腔がん並びに口腔咽頭がん(頭頸部がん)、骨肉腫及び骨治療の未分化多形性肉腫、卵巣がん、膵臓がん、膵臓神経内分泌腫瘍(島細胞腫)、傍神経節腫、副鼻腔及び鼻腔がん(頭頸部がん)、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん(頭頸部がん)、褐色細胞腫、下垂体部腫瘍、形質細胞腫/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫(肺がん)、妊娠及び乳がん、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、原発性腹膜がん、前立腺がん、小児のまれながん、直腸がん、再発性がん、腎細胞(腎臓)がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫(小児軟部組織肉腫)、唾液腺がん(頭頸部がん)、肉腫、小児横紋筋肉腫(軟部組織肉腫)、小児血管腫瘍(軟部組織肉腫)、ユーイング肉腫(骨がん)、カポジ肉腫(軟部組織肉腫)、骨肉腫(骨がん)、軟部組織肉腫、子宮肉腫、セザリー症候群(リンパ腫)、皮膚がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉腫、皮膚の扁平上皮細胞がん、原発不明の頸部扁平上皮がん、転移性(頭頸部がん)、腹部(胃)がん、皮膚T細胞性リンパ腫、精巣がん、咽喉がん、鼻咽腔がん、口腔咽頭がん、下咽頭がん、胸腺腫及び胸腺がん、甲状腺がん、気管気管支腫瘍(肺がん)、腎盂及び尿管の移行細胞がん(腎臓(腎細胞)がん)、原発不明がん、尿管及び腎盂、移行細胞がん(腎臓(腎細胞)がん、尿道がん、子宮内膜子宮がん、子宮肉腫、腟がん、血管腫瘍、外陰がん、並びにウィルムス腫瘍及び他の小児腎腫瘍が挙げられる。
【0055】
いくつかの実施形態では、がんは、乳がん、腸(結腸)がん、膵臓がん、食道がん、皮膚(黒色腫及び扁平上皮細胞)がん、前立腺がん、神経内分泌がん、肺(小細胞及び大細胞)がん、脳(GBM)がん、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、又は髄膜がんである。
【0056】
開示される方法は、同じ対象において方法を適用する前のがん腫瘍のサイズと比較して、がん腫瘍のサイズの減少をもたらし得る。がん腫瘍のサイズの減少は、開示される方法を対象に適用する前のがん腫瘍のサイズと比べて、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%の減少などの実質的な減少であり得る。
【0057】
いくつかの態様では、開示される方法は、本方法の前の循環がんマーカーのレベルと比較して、循環がんマーカーのレベルの低下をもたらし得る。循環がんマーカーのレベルの低下は、開示される方法を対象に適用する前の循環がんマーカーのレベルと比べて、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%の低下などの実質的な低下であり得る。本方法は、本方法の前の対象の既往比較自己評価(Anamnestic Comparative Self Assessment、ACSA)と比較して、対象のACSAの改善をもたらし得る。
【0058】
また、がん細胞生存について対象のがん細胞に対して薬物組み合わせをインビトロで試験するための方法であって、薬物組み合わせが、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンを含む、方法も開示される。インビトロ試験は、ビノレルビンの投与の前に、ビノレルビンの投与と一緒に、及び/又はビノレルビンの投与の後に、タモキシフェン及びゲフィチニブを投与することを含み得る。インビトロ試験は、がん細胞生存を測定することを含み得る。がん細胞生存を測定するための好適なインビトロ試験及び方法としては、示差的染色細胞毒性アッセイ(Differential Staining Cytotoxicity Assay、DiSC)、MTTアッセイ、ATPアッセイ、及びフルオレセインジアセテートアッセイ(fluorescein diacetate assay、FDA)が挙げられる。MTTアッセイは、細胞代謝活性を評価するための比色アッセイである。細胞酵素は、テトラゾリウム色素MTT 3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミドを、紫色を有するその不溶性ホルマザンに還元することができる。ATPアッセイは、ATPの検出に基づいて細胞生存性を測定することができる手順である。細菌を含む全ての生細胞は、ATPアッセイで検出することができる。比色、蛍光及び生物発光などのいくつかの検出方法を使用することができる。FDAは、生存性プローブとして機能することができ、その蛍光を活性化するのに必要な酵素活性と、その蛍光生成物の細胞内保持に必要な細胞膜完全性との両方を測定する細胞透過性エステラーゼ基質フルオレセインジアセテートを使用する。
【0059】
インビトロ試験は、薬物組み合わせにより対象から得られた細胞のがん細胞生存の実質的な減少を提供することができる。薬物組み合わせによるがん細胞生存の実質的な減少は、薬物組み合わせの非存在下でのがん細胞生存と比べて、約50%~約100%の減少であり得る。がん細胞生存の実質的な減少は、薬物組み合わせの非存在下でのがん細胞生存と比べて、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%の減少であり得る。
【0060】
また、対象におけるがんを治療する方法であって、まず、がん細胞生存について対象のがん細胞に対して、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンを含む薬物組み合わせをインビトロで試験することと、次いで、開示された治療レジメンのうちのいずれかを対象に与えることと、を含む方法も開示される。
【0061】
3つの薬物タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビン(TGV)のレジメンの使用
タモキシフェンは、乳がんの一時的な非治癒的管理のために使用され、承認されている。ゲフィチニブは、EGFR陽性非小細胞肺がんの一時的な非治癒的治療に使用される。ビノレルビンは、2つのタイプのヒトがん、非小細胞肺がん及び乳がんの緩和療法(一時的で非治癒的な治療)に使用される。
【0062】
これら3つの医薬、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビン、全てを組み合わせた治療レジメンが開示される。治療レジメンは、広範囲のヒトがんにおける寛解を実証している。3つの薬物のTGV組み合わせは、血液脳関門に広がったか又は血液脳関門の内側で始まったがんにおいて寛解を示す。これは、がん治療において極めてまれな観察である。TGVは、これらの薬物の各々が個別に承認されている限定されたがんをはるかに超えた用途を有している。タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンのいずれも、手術又は放射線が治療的介入の唯一の手段である血液脳関門の内側で治療有効性を実証していない。
【0063】
開示される治療レジメンは、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及び/又はビノレルビンの組み合わせを、治療ごとの投与ごとに広範囲の用量(治療量以下から食品医薬品局が承認した治療用量を数倍上回る量まで)で使用する。タモキシフェンは、その標準用量のほぼ8倍の治療用量で使用することができ、ゲフィチニブは、標準用量の2倍で使用することができる。
【0064】
3つの薬物は、それぞれの承認された治療用量で、又はそれを超える量で使用することができる。開示されるレジメンに従ったそれらの使用は、それぞれの承認された治療用量で予想されるものより大きな毒性をもたらさない。承認された治療用量での化学療法の最悪の毒性としては、悪心、嘔吐、脱毛、爪床の喪失、発疹、生命を脅かす好中球減少症、血小板減少症、貧血、及び神経障害が挙げられる。開示されるレジメンは、承認された治療用量での化学療法の最悪の毒性と比べて、実質的に低減された毒性を有する。記載されるレジメンは、承認された治療用量での化学療法の最悪の毒性と比べて、実質的な悪心がない、実質的な嘔吐がない、実質的な脱毛がない、実質的な爪床の損失がない、実質的な発疹がない、実質的に生命を脅かす好中球減少症がない、実質的な血小板減少症がない、貧血が最小限である、及び/又は神経障害が最小限であることを特徴とする低い毒性を有する。
【0065】
いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、比較的高濃度で使用される2つの薬物、タモキシフェン及びゲフィチニブは、第3の薬物(例えば、ビノレルビン)のがん細胞への輸送をほぼ独占的に加速し得、及び/又は第3の薬物(例えば、ビノレルビン)の放出を防止し得る。ビノレルビンのこのがん特異的移動、及び/又はビノレルビンのがん特異的保持により、3つ全ての薬物の組み合わせからの治療毒性は軽度であり、例えば、軽度の骨髄抑制、通常は軽度の便秘が後に続く場合がある下痢であり、これらは両方とも、市販の下痢止め薬及び緩下薬で容易に管理される。
【0066】
3つのジェネリック薬物のうちの2つの記載された濃度は、3つを合わせた独特の相乗効果に影響を及ぼす。これにより、開示される三剤療法に応答したことが観察された多くのがんにおいて、レジメンは、3つのジェネリック薬物のこの組み合わせを広範囲に適用することが可能になる。実施例が示すように、寛解は、皮膚の転移性扁平上皮細胞がん、転移性乳がん、転移性前立腺がん、多形性膠芽腫(glioblastoma multiforme、GBM)及び血液脳関門内部の軟膜乳がん、転移性膵臓がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、並びに多くの他のがんにおいて見られている。
【0067】
3つの薬物は、経口投与されてもよい。3つの薬物は、3日間にわたって与えられる丸薬のブリスターパックで提供され得る。3つの薬物の用量は、医薬を自身に投与する患者の体表面積に対して調整され得る。レジメンを与える頻度は、1回、1週間毎に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、又はそれより少ない頻度であり得る。
【0068】
一実施形態では、タモキシフェン及びゲフィチニブは、6錠の丸薬で特定の濃度で与えられてもよく、これらは、経口ビノレルビン投与の前日に1日2回、経口ビノレルビン投与の当日に1日2回、及び経口ビノレルビン投与の翌日に1日2回与えられてもよい。いくつかの態様では、ビノレルビンは、3日間の治療の2日目の日中に投与される第7の丸薬であり得る。一実施形態では、体表面積が1.5平方メートルの患者に5錠の丸薬のブリスターパックを与えることができ、これは、ビノレルビンの5錠の丸薬の投与の前日に1日2回、ビノレルビンの5錠の丸薬の投与の当日に1日2回、及びビノレルビンの5錠の丸薬の投与の翌日に1日2回服用することができ、後者は2日目の中頃に与えられる。一実施形態では、体表面積が1.75平方メートルの患者は、ビノレルビンの6錠の丸薬を服用する前日に1日2回、ビノレルビンの6錠の丸薬を服用する当日に1日2回、及びビノレルビンの6錠の丸薬を服用した翌日に1日2回、6錠の丸薬の組み合わせを服用することができる。したがって、体表面積が増加するにつれて、丸薬の数は比例して増加する。
【0069】
メトロノーム治療
従来の化学療法レジメンによれば、抗がん薬は、最大耐量(maximum tolerated dose、MDT)に近いか、又は最大耐量(MDT)でサイクルで投与され、それらは、患者が有害な薬物反応から回復できるように長い休薬期間と交互に行われる。この戦略は、かなりの数の患者(成人及び小児の両方)において疾患プロセスを制御するのに成功している。
【0070】
従来の化学治療レジメンとは対照的に、メトロノーム化学治療の主な特徴(Mross et al.,J Cancer Ther Res.2012;1:32;Maiiti,J Pharmacol Pharmacother.2014 Jul-Sep;5(3):186-192に記載)は、
・大幅な中断を伴わない化学療法の頻繁な(用量密度の高い)投与、
・MTDの代わりに生物学的に最適化された用量を使用すること、
・造血成長因子の適用がないこと、
・経口薬物を好むこと、
・治療に関連する副作用の発生率が低いこと、及び
・耐性の発達が遅れる可能性である。
【0071】
対象におけるがんを治療する方法であって、メトロノーム投薬レジメンでのタモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンの連続投与及び/又は同時投与を含むレジメンを対象に与えることを含む、方法が開示される。メトロノーム投薬レジメンは、1回の投与当たり5~500mg/mの用量でタモキシフェン、1回の投与当たり5~500mg/mの用量でゲフィチニブ、及び1回の投与当たり5~500mg/mの用量でビノレルビンを投与することを含み得る。
【0072】
メトロノーム治療は、1回の投与当たり約5~500mg/mの用量でタモキシフェンを投与することを含むことができる。例えば、メトロノーム治療は、タモキシフェンを1回の投与当たり約5~500mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~400mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~300mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~200mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~175mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~150mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~125mg/mの用量で、又は1回の投与当たり約5~100mg/mの用量で投与することを含むことができる。他の例では、メトロノーム治療は、タモキシフェンを1回の投与当たり約5~100mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~90mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~80mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~70mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~60mg/mの用量で、又は1回の投与当たり約5~50mg/mの用量で投与することを含むことができる。他の例では、メトロノーム治療は、タモキシフェンを1回の投与当たり、約5mg/m、約10mg/m、約20mg/m、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/m、約100mg/m、約125mg/m、約150mg/m、約175mg/m、約200mg/m、約300mg/m、約400mg/m、又は約500mg/mの用量で投与することを含むことができる。
【0073】
メトロノーム治療は、1回の投与当たり約5~500mg/mの用量でゲフィチニブを投与することを含むことができる。例えば、メトロノーム治療は、ゲフィチニブを1回の投与当たり約5~500mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~400mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~300mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~200の用量で、1回の投与当たり約5~175mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~150mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~125mg/mの用量で、又は1回の投与当たり約5~100mg/mの用量で投与することを含むことができる。他の例では、メトロノーム治療は、ゲフィチニブを1回の投与当たり約5~100mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~90mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~80mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~70mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~60mg/mの用量で、又は1回の投与当たり約5~50mg/mの用量で投与することを含むことができる。他の例では、メトロノーム治療は、ゲフィチニブを1回の投与当たり、約5mg/m、約10mg/m、約20mg/m、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/m、約100mg/m、約125mg/m、約150mg/m、約175mg/m、約200mg/m、約300mg/m、約400mg/m、又は約500mg/mの用量で投与することを含むことができる。
【0074】
メトロノーム治療は、1回の投与当たり約5~500mg/mの用量でビノレルビンを投与することを含むことができる。例えば、メトロノーム治療は、ビノレルビンを1回の投与当たり約5~500mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~400mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~300mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~200mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~175mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~150mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~125mg/mの用量で、又は1回の投与当たり約5~100mg/mの用量で投与することを含むことができる。他の例では、メトロノーム治療は、ビノレルビンを1回の投与当たり約5~100mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~90mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~80mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~70mg/mの用量で、1回の投与当たり約5~60mg/mの用量で、又は1回の投与当たり約5~50mg/mの用量で投与することを含むことができる。他の例では、メトロノーム治療は、ビノレルビンを1回の投与当たり、約5mg/m、約10mg/m、約20mg/m、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/m、約100mg/m、約125mg/m、約150mg/m、約175mg/m、約200mg/m、約300mg/m、約400mg/m、又は約500mg/mの用量で投与することを含むことができる。
【0075】
メトロノーム投薬レジメンは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、又は7日の期間、薬物を連続的及び/又は同時に投与することを含むことができ、1週間毎、2週間毎、3週間毎、4週間毎、又はそれより少ない頻度で繰り返すことができる。メトロノーム投薬レジメンは、数ヶ月又は数年の期間、1日にわたって、連続2日間にわたって、連続3日間にわたって、連続4日間にわたって、連続5日間にわたって、連続6日間にわたって、連続7日間にわたって、連続8日間にわたって、連続9日間にわたって、又は連続10日間にわたって、薬物を連続的及び/又は同時に投与することを含むことができる。
【0076】
メトロノーム投薬レジメンによるメトロノーム治療に先行して、三剤療法を行ってもよい。
【0077】
キット
また、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンを含むキットも開示される。キットは、タモキシフェン及びゲフィチニブを、任意で、ブリスターパック中に含むことができ、各ブリスターパックは、毎日使用するための用量のタモキシフェン及びゲフィチニブを含む。キットは、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンを、任意で、ブリスターパック中に含むことができ、各ブリスターパックは、毎日使用するための用量のタモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンを含む。
【0078】
キットは、約10~100mgの固体単位剤形のゲフィチニブを含むことができる。キットは、約37.5mgの固体単位剤形のゲフィチニブを含むことができる。キットは、約10~30mgの固体単位剤形のタモキシフェンを含むことができる。キットは、約20mgの固体単位剤形のタモキシフェンを含むことができる。キットは、タモキシフェン及びゲフィチニブを単一剤形で含むことができる。キットは、約20mgのタモキシフェン及び約37.5mgのゲフィチニブを含む単一剤形でタモキシフェン及びゲフィチニブを含むことができる。キットはまた、約5~60mgの液体単位剤形のビノレルビンを含むことができる。キットはまた、約5~60mgの固体単位剤形のビノレルビンを含むことができる。キットには、使用説明書が提供されてもよい。キットに提供される例示的な用量単位は、表4に列挙される用量単位を含み得る。
【0079】
【表4】
【0080】
キットの成分は、処方された用量ごとに必要に応じていくつかのタモキシフェン及びゲフィチニブ錠剤を提供することによって、処方された用量を自己投与する能力を患者に提供することができる。ビノレルビンの経口投与のためのキットは、ビノレルビンを20mgカプセル又は30mgカプセルで提供することができる。ビノレルビンの静脈内投与のためのキットは、静脈内に1m当たり30mgで、医院で投与され得る10mg/mlのビノレルビンを提供することができる。例えば、表1又は表2に示すような例示的な治療レジメンのためのブリスターパックは、治療レジメンの1日目、2日目、及び3日目について、数列のタモキシフェン用量単位、数列のゲフィチニブ用量単位、又は数列のタモキシフェン/ゲフィチニブ併用用量単位を含んでもよい。ブリスターパックはまた、治療レジメンの2日目について、1つ以上の列のビノレルビン用量単位を含んでもよい。レジメンの1日目、2日目、及び3日目に1日2回、患者は、処方された用量ごとに必要に応じていくつかのタモキシフェン及びゲフィチニブ用量単位を服用することができる。2日目の昼に、患者は、1用量当たり必要に応じていくつかのビノレルビンカプセルを服用することができる。
【0081】
本明細書に記載される実施形態は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、又は生物系に限定されず、当然のことながら変動し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、抗体及びその抗原結合断片、並びに検出及び/又は診断及び/又は治療する方法を説明することを目的としたものであり、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0082】
例示的な実施形態
実施形態1.ヒト対象におけるがんを治療する方法であって、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンの連続投与及び/又は同時投与を含むレジメンを対象に与えることを含む、方法。
【0083】
実施形態2.レジメンが、タモキシフェン及びゲフィチニブを同時に1日2回、並びにビノレルビンを1日1回、3日間投与することを含む、実施形態1に記載の方法。
【0084】
実施形態3.レジメンが、タモキシフェン及びゲフィチニブを同時に連続3日間1日2回、並びにビノレルビンを連続3日間の2日目に1日1回、投与することを含む、実施形態1に記載の方法。
【0085】
実施形態4.レジメンが、1週間毎、2週間毎、3週間毎、4週間毎、又はそれより少ない頻度で繰り返される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
実施形態5.ゲフィチニブが、1回の投与当たり10~500mg/mの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0087】
実施形態6.タモキシフェンが、1回の投与当たり10~500mg/mの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
実施形態7.ビノレルビンが、1回の投与当たり5~250mg/mの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
実施形態8.レジメンが、1日にわたって、連続2日間にわたって、連続3日間にわたって、連続4日間にわたって、連続5日間にわたって、連続6日間にわたって、連続7日間にわたって、連続8日間にわたって、連続9日間にわたって、又は連続10日間にわたって行われる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
実施形態9.レジメンが、
150~225mg/mのゲフィチニブを、レジメンの1日目、2日目、及び3日目に1日2回、対象に経口投与することと、
64~96mg/mのタモキシフェンを、レジメンの1日目、2日目、及び3日目に1日2回、対象に経口投与することと、
有効量のビノレルビンを、レジメンの2日目に、対象に経口又は静脈内投与することと、を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
実施形態10.ビノレルビンが、レジメンの2日目に、対象に静脈内投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
実施形態11.ビノレルビンが、レジメンの2日目に、対象に経口投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
実施形態12.10~96mg/mのビノレルビンが、レジメンの2日目に、対象に投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
実施形態13.187.5mg/mのゲフィチニブが、レジメンの1日目、2日目、及び3日目に1日2回、経口投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0095】
実施形態14.80mg/mのタモキシフェンが、レジメンの1日目、2日目、及び3日目に1日2回、経口投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
実施形態15.80mg/mのビノレルビンが、レジメンの2日目に、経口又は静脈内投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
実施形態16.30mg/mのビノレルビンが、レジメンの2日目に、経口又は静脈内投与される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
実施形態17.対象におけるがんを治療する方法であって、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及び処方された化学療法剤の連続投与及び/又は同時投与のレジメンを対象に与えることを含む、方法。
【0099】
実施形態18.タモキシフェンが、1回の投与当たり10~500mg/mの用量で投与され、ゲフィチニブが、1回の投与当たり10~500mg/mの用量で投与され、処方された化学療法剤が、処方された用量で投与される、実施形態17に記載の方法。
【0100】
実施形態19.処方された化学療法剤が、患者が耐性になった化学療法剤である、実施形態17又は18に記載の方法。
【0101】
実施形態20.対象が、0.5~3.6mの体表面積を有する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
実施形態21.レジメンが、約2週間毎に繰り返される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
実施形態22.レジメンが、約3週間毎に繰り返される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
実施形態23.がんが、固形がん又は血液がんである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
実施形態24.がんが、ステージIがん、ステージIIがん、ステージIIIがん、又はステージIVがんである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
実施形態25.がんが、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質がん カポジ肉腫(軟部組織肉腫)、AIDS関連リンパ腫(リンパ腫)、原発性CNSリンパ腫(リンパ腫)、肛門がん、虫垂がん、星状細胞腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、皮膚の基底細胞がん、胆道がん、膀胱がん、骨がん(ユーイング肉腫及び骨肉腫及び悪性線維性組織球腫を含む)、脳腫瘍、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、原発不明がん、心臓腫瘍、髄芽細胞腫及び他のCNS胎児性腫瘍、胚細胞腫瘍、原発性CNSリンパ腫、子宮頸がん、小児がん、胆管がん、脊索腫、小児骨がん、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性腫瘍、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、菌状息肉腫及びセザリー症候群、非浸潤性乳管がん(DCIS)、胚性腫瘍、髄芽細胞腫、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼がん、眼内黒色腫、網膜芽腫、卵管がん、骨の線維性組織球腫、骨肉腫、胆のうがん、胃(腹部)がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、胚細胞腫瘍、小児中枢神経系胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、精巣がん、妊娠性絨毛性疾患、有毛細胞白血病、頭頸部がん、心臓腫瘍、小児期、肝細胞(肝臓)がん、ランゲルハンス細胞組織球症、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん(頭頸部がん)、眼内黒色腫、島細胞腫、膵臓神経内分泌腫瘍、カポジ肉腫(軟部組織肉腫)、腎臓(腎細胞)がん、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭がん(頭頸部がん)、白血病、口唇及び口腔がん(頭頸部がん)、肝臓がん、肺がん(非小細胞、小細胞、胸膜肺芽腫、及び気管気管支腫瘍)、リンパ種、男性乳がん、骨の悪性線維性組織球腫及び骨肉腫、黒色腫、眼内(眼球)黒色腫、メルケル細胞がん(皮膚がん)、悪性中皮腫、転移性がん、原発不明の転移性頸部扁平上皮がん(頭頸部がん)、NUT遺伝子変化を伴う正中線がん、口腔がん(頭頸部がん)、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫、菌状息肉腫(リンパ種)、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、骨髄性白血病、慢性(CML)、骨髄性白血病、急性(AML)、慢性骨髄増殖性腫瘍、鼻腔及び副鼻腔がん(頭頸部がん)、鼻咽腔がん(頭頸部がん)、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん、口腔がん、口唇及び口腔がん並びに口腔咽頭がん(頭頸部がん)、骨肉腫及び骨治療の未分化多形性肉腫、卵巣がん、膵臓がん、膵臓神経内分泌腫瘍(島細胞腫)、傍神経節腫、副鼻腔及び鼻腔がん(頭頸部がん)、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん(頭頸部がん)、褐色細胞腫、下垂体部腫瘍、形質細胞腫/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫(肺がん)、妊娠及び乳がん、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、原発性腹膜がん、前立腺がん、小児のまれながん、直腸がん、再発性がん、腎細胞(腎臓)がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫(小児軟部組織肉腫)、唾液腺がん(頭頸部がん)、肉腫、小児横紋筋肉腫(軟部組織肉腫)、小児血管腫瘍(軟部組織肉腫)、ユーイング肉腫(骨がん)、カポジ肉腫(軟部組織肉腫)、骨肉腫(骨がん)、軟部組織肉腫、子宮肉腫、セザリー症候群(リンパ腫)、皮膚がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉腫、皮膚の扁平上皮細胞がん、原発不明の頸部扁平上皮がん、転移性(頭頸部がん)、腹部(胃)がん、皮膚T細胞性リンパ腫、精巣がん、咽喉がん、鼻咽腔がん、口腔咽頭がん、下咽頭がん、胸腺腫及び胸腺がん、甲状腺がん、気管気管支腫瘍(肺がん)、腎盂及び尿管の移行細胞がん(腎臓(腎細胞)がん)、原発不明がん、尿管及び腎盂、移行細胞がん(腎臓(腎細胞)がん、尿道がん、子宮内膜子宮がん、子宮肉腫、腟がん、血管腫瘍、外陰がん、並びにウィルムス腫瘍及び他の小児腎腫瘍からなる群から選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
実施形態26.がんが、乳がん、腸(結腸)がん、膵臓がん、食道がん、皮膚(黒色腫及び扁平上皮細胞)がん、前立腺がん、神経内分泌がん、肺(小細胞及び大細胞)がん、脳(GBM)がん、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、及び髄膜がんからなる群から選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
実施形態27.方法が、方法の前のがん腫瘍のサイズと比較して、がん腫瘍のサイズの減少をもたらす、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
実施形態28.方法が、方法の前の循環がんマーカーのレベルと比較して、循環がんマーカーのレベルの低下をもたらす、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
実施形態29.方法が、方法の前の対象の既往比較自己評価(ACSA)と比較して、対象のACSAの改善をもたらす、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
実施形態30.ヒト対象におけるがんを治療する方法であって、メトロノーム投薬でのタモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンの連続投与及び/又は同時投与を含むレジメンを対象に与えることを含む、方法。
【0112】
実施形態31.レジメンが、1回の投与当たり5~500mg/mの用量のタモキシフェン、1回の投与当たり5~500mg/mの用量で投与されるゲフィチニブ、及び1回の投与当たり5~500mg/mの用量で投与されるビノレルビンを投与することを含む、実施形態30に記載の方法。
【0113】
実施形態32.レジメンが、任意で、実施形態1~31のいずれか1つに記載のがんを治療する方法の後に、数ヶ月又は数年の期間与えられる、実施形態30又は31に記載の方法。
【0114】
実施形態33.タモキシフェン及びゲフィチニブを、任意で、ブリスターパック中に含むキットであって、各ブリスターパックが、毎日使用するための用量のタモキシフェン及びゲフィチニブを含む、キット。
【0115】
実施形態34.タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンを含む、キット。
【0116】
実施形態35.ゲフィチニブが、約5~500mgの固体単位剤形で提供される、実施形態33又は34に記載のキット。
【0117】
実施形態36.ゲフィチニブが、約37.5mgの固体単位剤形で提供される、実施形態33~35のいずれか1つに記載のキット。
【0118】
実施形態37.タモキシフェンが、約5~500mgの固体単位剤形で提供される、実施形態33~36のいずれか1つに記載のキット。
【0119】
実施形態38.タモキシフェンが、約20mgの固体単位剤形で提供される、実施形態33~37のいずれか1つに記載のキット。
【0120】
実施形態39.タモキシフェン及びゲフィチニブが、単一剤形で提供される、実施形態33~36のいずれか1つに記載のキット。
【0121】
実施形態40.タモキシフェン及びゲフィチニブが、約20mgのタモキシフェン及び約37.5mgのゲフィチニブを含む単一剤形で提供される、実施形態33~39のいずれか1つに記載のキット。
【0122】
実施形態41.ビノレルビンが、約5~500mgの液体単位剤形で提供される、実施形態33~40のいずれか1つに記載のキット。
【0123】
実施形態42.ビノレルビンが、約5~500mgの固体単位剤形で提供される、実施形態33~41のいずれか1つに記載のキット。
【0124】
実施形態43.がん細胞生存について対象のがん細胞に対して薬物組み合わせをインビトロで試験することを含む方法であって、薬物組み合わせが、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンを含む、方法。
【0125】
実施形態44.インビトロ試験が、ビノレルビンの投与の前に、ビノレルビンの投与と一緒に、及び/又はビノレルビンの投与の後に、タモキシフェン及びゲフィチニブを投与することを含む、実施形態43に記載の方法。
【0126】
実施形態45.インビトロ試験が、がん細胞生存を測定することを含む、実施形態43又は44に記載の方法。
【0127】
実施形態46.インビトロ試験が、対象から得られた細胞のがん細胞生存の実質的な減少を提供する場合に、実施形態1~16及び20~32のいずれか1つに従って対象におけるがんを治療することを更に含む、実施形態43~45のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
実施形態47.がん細胞生存の実質的な減少が、がん細胞生存の50%~100%の減少を含む、実施形態46に記載の方法。
【0129】
実施形態48.対象におけるがんを治療する方法であって、がん細胞生存について対象のがん細胞に対して、タモキシフェン、ゲフィチニブ、及びビノレルビンを含む薬物組み合わせを試験することと、実施形態1~16及び20~32のいずれか1つに記載の方法を対象に施すことと、を含む、方法。
【実施例
【0130】
TGVによる治療レジメンの例示的な実施形態には、3日間1日2回経口投与される1平方メートル当たり80ミリグラムのタモキシフェン、3日間1日2回経口投与される1平方メートル当たり187.5mgのゲフィチニブ、及び3日サイクルの2日目の昼に経口服用される1平方メートル当たり80mgのビノレルビンが含まれる。
【0131】
様々な体表面積の患者が、例えば、彼らのサイズが1.2~1.3平方メートルであれば、3日間1日2回、5錠の丸薬、彼らが1.4~1.6平方メートルであれば、1日2回、6錠の丸薬、彼らが1.7~1.8平方メートルであれば、1日に7錠の丸薬、彼らが1.9~2.1平方メートルであれば、8錠の丸薬などのように摂取できるように、37.5mgの用量のゲフィチニブ及び20mgの用量のタモキシフェンを丸薬又はカプセルに組み合わせることができる。
【0132】
ブリスターパックは、患者が各3日サイクルの適切な用量を容易に測ることができるように処方されてもよく、医薬は、患者が適切な用量を容易に自己投与することができるようにブリスターパック上で順序付けられる。
【0133】
1平方メートル当たり80ミリグラムの高用量のタモキシフェン(従来のがん治療における典型的な用量は1日20mg)及び高用量のゲフィチニブ(1平方メートル当たり187ミリグラムを3日間1日2回(従来のがん治療における典型的な用量は1日250mg))の使用は、生がん細胞培養物を用いたサイトメトリー試験において、ビノレルビンをがん細胞に輸送し、がん細胞においてプログラムされたアポトーシス(プログラムされたがん細胞死)を引き起こすのに並外れた相乗効果をもたらし、一方で正常組織の多くを残し、劇的な臨床転帰をもたらすことが見出された。
【0134】
TGVによる治療レジメンは、第3又は第4選択薬物療法として原発性脳がんにおいて、並びに肺及び軟膜乳がんを含む乳がんからの脳転移に対して、優れた臨床活性を有するようであるため、血液脳関門を通過することが見出された。
【0135】
より一般的な乳がん、腸がん、及び肺がんから広がり、膵臓がん、胃がん、皮膚の転移性扁平上皮細胞がん、黒色腫、神経芽細胞腫、尿膜管のがん、及び多くの他のがんにまで及ぶ広範囲の活性がある。これらの全てのがんの非常に高い割合がこのレジメンに応答し、がん治療における三剤治療レジメンの広範な適用可能性を示している。全てのがん症例の約48%は、乳がん、肺がん、結腸がん、膵臓がん、及び前立腺がんである。これらの症例の約89%は、腺がんである。実験的研究では、任意の原発部位からの全ての腺がんのおよそ36%がインビトロで応答性であり、全ての腺がんの約33%がインビボで応答することが見出された。しかし、トリプルネガティブ乳がんは際立っていた。このよく知られている難治性疾患の全症例の80パーセントは、インビボで応答した。
【0136】
インビトロで試験した場合、インビトロ試験によってTGVに応答すると予測されたがんの94%は、実際にインビボで応答した。
【0137】
以下は、TGV療法から恩恵を受けた17人のがん患者の17件の症例研究である。TGV療法の治療レジメンを表1及び表2に記載する。17件の症例研究は、転移性食道がん、転移性皮膚がん、転移性乳がん、軟膜乳がん、転移性前立腺がん、多形性膠芽腫、肺がん、腸がん、急性骨髄性白血病、鼻腔神経芽細胞腫、及び尿路上皮がんを有する患者を表す。症例研究は、TGV療法が、顕著な有効性を伴って、様々ながんにおける広範囲の適用を有していたことを実証している。TGV療法はまた、以前にがんに対して重度の前治療を受けた患者に与えられた場合にも、顕著な有効性を有した。TGV療法は、極めて低い毒性を有し、患者にとって著しく許容可能であった。
【0138】
実施例18は、アジュバントとしての2つの薬物の組み合わせ(タモキシフェン及びゲフィチニブ)の使用を示す。TGの組み合わせは、患者が耐性を発達させた化学療法薬物の組み合わせの効果を増強した。処方された治療にTGを加えることにより、患者は、処方された治療、化学療法薬物の組み合わせを続けることができ、この治療に応答した。
【0139】
実施例1.転移性食道がんのためのTGV療法
66歳の女性である患者は、固形食品を飲み込むことができない状態になった。上部内視鏡検査により食道の腺がんが示された後、患者は、がん治療施設に紹介され、広範な肝転移、骨転移、肺転移、及び他の転移、並びに肝不全が見つかった。彼女は、彼女がいかなる治療の候補者でもないと告げられた。PET-CTスキャンの後に、彼女はまた、彼女がいかなる治療の候補者でもないと告げられた。彼女は、後に第2の治療施設からも同じ返答を受けた。これに絶望し、患者は、TGV療法を受けるために入院した。ステントを彼女の食道に配置した。分析のために彼女の肝臓から腫瘍試料を採取した。
【0140】
患者は、肝疾患のために肝臓内動脈化学療法を受けた。2週間後、肝臓機能は正常に戻ったが、残りの疾患は成長し続けた。次いで、患者はTGVレジメンを受け、これにより完全寛解がもたらされた。患者は、生存しており、TGV治療の6年後に無病である。
【0141】
実施例2.皮膚がん(扁平上皮細胞がん)のためのTGV療法
71歳の男性である患者は、皮膚がん(扁平上皮細胞がん)を発症した。がんは切除されたが、その後、患者の頭皮に再発し、850cmの塊に急速に発達した。これは、後腹膜及び胸のリンパ節に転移した。
【0142】
組織生検を行い、サイトメトリー試験に送った。試験により、TGV療法のみが彼の疾患において活性であることが示された。患者はTGVを開始し、完全寛解に入り、そして、生存しており、本開示によるTGV治療の4年後に完全に無病である。
【0143】
実施例3.脳に転移した乳がんのためのTGV療法
患者は、65歳の女性であり、乳がんの治療に成功したが、12年後に頭痛を発症した。
【0144】
MRIにより、彼女の脳への31個の転移並びに肺、骨及び肝臓における広範な転移性疾患が示された。神経外科医は、小脳における31個の病変のうち3個を除去し、これらをサイトメトリー試験に送った。試験により、TGV療法が活性であることが示された。TGV療法は、6ヶ月以上施された。彼女は、完全寛解した。彼女は、生存しており、本開示によるTGV治療の4年後に無病である。この疾患の標準的な治療である放射線は、治療中に使用しなかった。
【0145】
実施例4.多形性膠芽腫のためのTGV療法
患者は、再発性多形性膠芽腫(GBM)の複数年の切除歴を有する53歳の女性である。彼女は、放射線及びTemodar(登録商標)(Schering Corporation,Kenilworth,NJ)である、GBMのための標準療法で治療されたが、疾患は進行し、彼女は実験的レジメンに失敗し、車椅子に束縛された状態となり、彼女の左腕は麻痺した状態となった。彼女は、TGV療法のために神経外科ユニットに送られた。彼女はTGVレジメンを開始し、現在、彼女の疾患のいかなる症状もない(彼女は、もはや車椅子に乗っておらず、彼女の左腕の使用を回復しており、本明細書に開示される方法によるTGV治療後にほぼ完全寛解している)。
【0146】
実施例5.転移性前立腺がんのためのTGV療法
患者は、転移性前立腺がんの治療のための全ての標準的なホルモン療法及び化学療法で治療され、1つの実験的療法が失敗した後にTGV療法を紹介された71歳の男性である。患者は、TGVレジメンを受け、彼のPSAは、600から16になり、全ての骨痛が完全に消失した。治療は、2週間毎に行われ、患者は、本明細書に開示される方法に従ってTGV治療を継続している。
【0147】
実施例6.軟膜乳がんのためのTGV療法
患者は、左乳房の粘液腺がんを有する51歳の女性であった。それは、彼女の骨、脳、及び軟膜に転移していた。軟膜乳がんの生存率は、約31日である。患者はTGVを受け、わずか4ヶ月後に彼女は完全寛解し、これは3年半続いた後、肝臓における転移性がんで彼女は死亡した。
【0148】
実施例7.多形性膠芽腫のためのTGV療法
患者は、多形性膠芽腫を有する61歳の女性であった。彼女は、約2年前に彼女の腫瘍の大部分の一次切除を受けた後、TGV療法にアプローチした。彼女は、放射線療法及びテモゾロマイドを受け、これにより彼女は2年間寛解した。再発時に、彼女は、別の切除を受けた。彼女の腫瘍をTGV療法について試験し、それはTGVに対する感受性を示した。彼女は、TGVレジメンを受けた。彼女は、完全寛解に入り、これは3年続いた。
【0149】
実施例8.広範な転移性乳がんのためのTGV療法
患者は、未治療の乳がん並びに骨、脳、脊髄、肺、及び肝臓に広く転移性の疾患を有する41歳の女性である。彼女は、臭い及び感染を制御するために左乳房への局所化学療法を受ける直前に、彼女の14cmの菌状乳房塊のサイトメトリー試験を受けることに最終的に同意した。サイトメトリー試験によりTGVが最も活性な薬剤であることが示され、それを投与した。患者は、疾患の寛解に入り、血液脳関門の内側及び外側の両方でほぼ同等の応答を示した。寛解は、2年半続いた。
【0150】
実施例9.肺がんのためのTGV療法
患者は、複数の浸出、複数の脳転移を伴う肺の右下肺葉腺がんを有する71歳の男性である。患者は、4ヶ月間TGVで治療され、ほぼ完全寛解にあり、本明細書に開示される方法に従ってTGV治療を継続しており、血液脳関門の内側及び外側の両方で同等の応答がある。胸水及びがんの全徴候のおよそ90%は治療され、患者には、ほとんど副作用がなかった。
【0151】
実施例10.再発性転移性腸がんのためのTGV療法
患者は、転移性の再発性大腸がんを有する75歳の男性である。彼は、約10年前に5-フルオロウラシル及びオキサリプラチンで治療されていた。彼は、下部骨盤で再発した。腫瘍を切除したが、腹膜腔には明らかに残存疾患があった。患者は、TGVで治療され、本開示による6ヶ月のTGV治療により2年の寛解に入った。
【0152】
実施例11.乳房のトリプルネガティブ扁平上皮細胞がんのためのTGV療法
44歳の女性は、乳房の扁平上皮細胞がんを示し、これは、シトキサン、アドリアマイシン、及びタキソテールで難治性であった。サイトメトリー試験により、最も活性な薬剤がTGVであったことが示される。患者は、6サイクルのTGVで治療された。彼女の腫瘍は、8cm超と測定されたが、治療の終わりには触知可能な疾患はなかった。彼女の劇的な完全寛解は、直視下生検によって確認された。患者はまた、乳房に放射線治療を受け、本明細書に開示される方法によるTGV治療の2年半後に完全な臨床的寛解のままである。
【0153】
実施例12.乳房のトリプルネガティブ、小葉及び延性(Ductile)がんのためのTGV療法
38歳の女性は、左乳房のダンベル型の大規模トリプルネガティブ混合小葉及び延性がんを示した。このがんの管成分及び小葉成分の両方に対してサイトメトリー試験を実施し、両方ともTGVに対して非常に感受性であった。患者は、TGV療法で治療され、本明細書に開示される方法に従って8サイクルにわたるTGV治療(4ヶ月)で全てのがんが消失し、患者は、再生検で病理学的に寛解が完了したので、彼女の乳房に対する放射線療法に進んだ。
【0154】
実施例13.小細胞肺がんのためのTGV療法
肺の小細胞がんからの大規模な肥大肝を有する72歳の女性について、サイトメトリー試験を行った。彼女の小細胞肺がんは、いずれの標準薬物にも感受性ではないが、TGVに感受性であることが示された。余命が約1ヶ月の患者は、本明細書に開示される方法に従ってTGV治療で治療され、寛解に入り、18ヶ月間生存した。
【0155】
実施例14.膵臓がんのためのTGV療法
51歳の患者は、膵臓がんを示した。不完全に切除されたがんに対してサイトメトリー試験を行った。この分析からの患者の最も活性な治療はTGVであり、この疾患の標準的な薬剤である5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、オキサリプラチン、又はタキソテールに対する応答の証拠はなかった。患者は、6ヶ月間TGVを受け、本明細書に開示される方法によるTGV治療の3年半後に無病であり、疾患の証拠はなかった。
【0156】
実施例15.急性骨髄性白血病のためのTGV療法
有害な分子マーカーを伴う急性骨髄性白血病の標準的な導入化学療法に失敗し、2つの他の実験的療法に失敗した54歳の男性は、ホスピスで1立方ミリメートル当たりの細胞(cmm)が234,000の白血球数を示した。サイトメトリー試験を実施したところ、彼がTGVに感受性であることが示され、TGV治療を開始した。本明細書に開示される方法によるTGV治療による患者の治療から1週間以内に、白血病細胞を表す彼の白血球数は、234,000から1000に減少した。
【0157】
実施例16.鼻腔神経芽細胞腫のためのTGV療法
患者は、成長の遅い鼻腔神経芽細胞腫を発症した58歳の元プロホッケー選手である。疾患は、12年間の治療である、手術、放射線療法、及び複数の化学療法には応答しなかった。患者は、TGV療法の目的で来て、サイトメトリー試験後、TGVが示された。患者は、本明細書に開示される方法によるTGV治療を継続しており、MRIで示される部分寛解を有する。患者は、彼が実質的に良くなっていると感じ続けており、著しい毒性を伴わずに治療に耐えている。
【0158】
実施例17.尿路上皮がんのためのTGV療法。
局所的に進行した膀胱がんを有する76歳の男性は、彼の膀胱の三角部に尿路上皮がんを示した。患者は、放射線療法及び高用量MVAC(M-メトトレキサート、V-ビンブラスチン、A-ドキソルビシン、C-シスプラチン)で治療された。患者は、リンパ節症の形態で後腹膜疾患が発見された6ヶ月後まで完全に寛解していた。次いで、患者は、ゲムシタビン及びシスプラチンで治療され、これに対しては応答しなかった。次いで、患者は、完全な応答まで後腹膜リンパ節を照射された。患者を毎月経過観察し、肺及び縦隔に再発疾患が発見されたとき、Padcev(登録商標)(エンホルツマブベドチン)を開始したが、これに対する応答はなかった。次いで、患者にTGVを提供した。患者は重度の前治療を受けていたので、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム)をTGVとともに与えた。患者は、5日以内に好中球減少症を有し、入院した。繰り返しPET-CTスキャンは、どこにも疾患の証拠を示さなかった。患者は、彼の骨髄が回復するまで繰り返しの化学療法を受けるべきではないと結論付けられた。
【0159】
実施例18.処方された治療に対するアジュバントとしてのTG。
【0160】
38歳の女性は、尿膜管の転移性がんの1年の病歴を示した。彼女は、FOLFIRINOX(FOL-ロイコボリンカルシウム(フォリン酸)、F-フルオロウラシル、IRIN-イリノテカン塩酸塩、及びOX-オキサリプラチン)で治療されていたが、応答はなかった。次いで、患者は、緩和ケアのために紹介された。
【0161】
彼女は、大量の腹水を有しており、これを除去しサイトメトリー試験に送った。試験により、患者は、5-フルオロウラシルに対する感受性並びにゲムシタビン及びオキサリプラチンに対する過感受性を有することが明らかになった。患者は、高用量様式で2週間毎に与えられるゲムシタビン及びオキサリプラチンとともに、経口カペシタビンを開始した。
【0162】
彼女の最初のがん胎児性抗原(carcinoembryonic antigen、CEA)抗原は、350であった。8ヶ月の期間で、これは21のCEAに低下し、患者は、全てのがん症状の消失にもかかわらず、更なる用量の化学療法に耐えることが困難であると感じた。患者を手術について評価した。患者の外科的介入により壊死破片のみを切除したが、そのいずれも顕微鏡的に又はサイトメトリー的に通用しなかった。
【0163】
患者は化学療法を停止した。彼女のCEAは600に上昇し、症状は増加した。彼女は、カペシタビン、ゲムシタビン、及びオキサリプラチンで再び治療された。彼女のCEAは、600から121になり、その後、化学療法にもかかわらず、236まで再び急上昇した。患者は、カペシタビン、ゲムシタビン、及びオキサリプラチン治療に対して耐性になっていた。サイトメトリー分析から他の治療選択肢がないので、患者は、P糖タンパク質を阻害するためにタモキシフェン及びゲフィチニブを開始し、同じ療法で彼女のCEAは62に達するまで減少した。
【国際調査報告】