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特表2024-531766電気刺激のための電極パッドおよびそれを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】電気刺激のための電極パッドおよびそれを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/04 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
A61N1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516815
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2022073441
(87)【国際公開番号】W WO2023041293
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】20211112
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524098891
【氏名又は名称】ルズモン メディカル アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, デビッド
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB22
(57)【要約】
本発明は、電気刺激のための電極パッドおよびそれを製造する方法に関する。電極パッドは、少なくとも1つの伝導性トラックを備える第1の非伝導性可撓性基板であって、少なくとも1つの伝導性トラックが、第1の非伝導性可撓性基板の第1の側面上に配置される、第1の非伝導性可撓性基板と、少なくとも1つの伝導性トラックによって被覆されない面積内において、第1の非伝導性可撓性基板の第1の側面上に配置される、プライマと、少なくとも1つの伝導性トラックおよびプライマにわたって配置される、伝導性シリコーンの層とを備え、プライマは、第1の非伝導性可撓性基板を伝導性シリコーンに接合しており、少なくとも1つの伝導性トラックと伝導性シリコーンの層の第1の側面との間に機械的接触を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気刺激のための電極パッド(100、200)であって、
-少なくとも1つの伝導性トラック(102)を備える第1の非伝導性可撓性基板(101)であって、前記少なくとも1つの伝導性トラック(102)は、前記第1の非伝導性可撓性基板(101)の第1の側面上に配置される、第1の非伝導性可撓性基板(101)と、
-前記少なくとも1つの伝導性トラック(102)によって被覆されない面積内において、前記第1の非伝導性可撓性基板(101)の前記第1の側面上に配置される、プライマ(103)と、
-前記少なくとも1つの伝導性トラック(102)および前記プライマ(103)にわたって配置される、伝導性シリコーンの層(104)と
を備え、
前記プライマ(103)は、前記第1の非伝導性可撓性基板(101)を前記伝導性シリコーンの層(104)に接合しており、前記少なくとも1つの伝導性トラック(102)と前記伝導性シリコーンの層(104)の第1の側面との間に機械的接触を提供する、電極パッド(100、200)。
【請求項2】
-前記第1の非伝導性可撓性基板(101)の第2の側面上に配置される、接着剤(106)と、
-少なくとも1つの伝導性トラック(108)を備える第2の非伝導性可撓性基板(107)であって、前記少なくとも1つの伝導性トラック(108)は、前記第2の非伝導性可撓性基板(107)の第1の側面上に配置される、第2の非伝導性可撓性基板(107)と
をさらに備え、
前記第2の非伝導性可撓性基板の前記第1の側面に対向する、前記第2の非伝導性可撓性基板(107)の第2の側面は、前記接着剤(106)上に配列される、請求項1に記載の電極パッド(200)。
【請求項3】
前記伝導性シリコーンの層(104)の前記第2の側面以外の前記電極パッドの全ての側面を被覆する、非伝導性シリコーン層(105)をさらに備える、請求項1または2に記載の電極パッド(100、200)。
【請求項4】
前記プライマ(103)は、非伝導性プライマである、先行する請求項のいずれかに記載の電極パッド(100、200)。
【請求項5】
前記伝導性シリコーンの層(104)は、伝導性シリコーンの圧縮成型層である、先行する請求項のいずれかに記載の電極パッド(100、200)。
【請求項6】
前記非伝導性可撓性基板(101、107)は、ポリマープリント回路基板である、先行する請求項のいずれかに記載の電極パッド(100、200)。
【請求項7】
前記ポリマープリント回路基板は、熱を測定および調節すること、移動を測定すること、ならびにパッドIDを受信および表示することのうちの少なくとも1つのために適合される回路網と動作可能に接続している、少なくとも1つのマイクロコントローラを備える、請求項6に記載の電極パッド(100、200)。
【請求項8】
前記第2の非伝導性可撓性基板(107)の前記第1の側面上の前記少なくとも1つの伝導性トラック(108)は、加熱要素である、請求項2に記載の電極パッド(200)。
【請求項9】
前記電極パッド(200)は、少なくとも2つの伝導性トラック(508a、508b)を備え、前記伝導性トラック(508a、508b)のそれぞれは、別個の加熱要素である、請求項8に記載の電極パッド(200)。
【請求項10】
前記加熱要素は、蛇行パターンにおいて配列される、前記少なくとも1つの伝導性トラック(108、508a、508b)を備える、請求項8または9に記載の電極パッド(200)。
【請求項11】
前記接着剤(106)は、接着フィルムである、先行する請求項のいずれかに記載の電極パッド(100、200)。
【請求項12】
電気刺激のための電極パッドを製造する方法であって、前記方法は、
-少なくとも1つの伝導性トラック(102)を備える第1の非伝導性可撓性基板(101)を提供することであって、前記少なくとも1つの伝導性トラック(102)は、前記第1の非伝導性可撓性基板(101)の第1の側面上に配置される、ことと、
-前記少なくとも1つの伝導性トラック(102)をマスクで被覆することと、
-プライマ(103)を前記第1の非伝導性可撓性基板(101)の前記第1の側面上に配置することと、
-前記マスクを除去することと、
-前記少なくとも1つの伝導性トラック(102)および前記プライマ(103)にわたって伝導性シリコーンの層(104)を配置することであって、それにより、前記プライマが、前記第1の非伝導性可撓性基板(101)を前記伝導性シリコーン(104)に接合しており、前記少なくとも1つの伝導性トラック(102)と前記伝導性シリコーンの層(104)の第1の側面との間に機械的接触を提供する、ことと
を含む、方法。
【請求項13】
前記方法はさらに、
-接着剤(106)を前記第1の非伝導性可撓性基板(101)の第2の側面上に配置することと、
-少なくとも1つの伝導性トラック(108)を備える第2の非伝導性可撓性基板(107)を提供することであって、前記少なくとも1つの伝導性トラック(108)は、前記第2の非伝導性可撓性基板(107)の第1の側面上に配置される、ことと、
-前記第2の非伝導性可撓性基板(107)の前記第1の側面に対向する、前記第2の非伝導性可撓性基板(107)の第2の側面を前記接着剤(106)上に配列することと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記方法はさらに、前記伝導性シリコーンの層(104)の前記第2の側面以外の前記電極パッド(100、200)の全ての側面を非伝導性シリコーン層(105)で被覆することを含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記伝導性シリコーンの層(104)を配置するステップはさらに、
-前記第1の非伝導性可撓性基板(101)を成型ツール内に設置することと、
-前記成型ツール内の前記少なくとも第1の伝導性トラック(102)および前記プライマ(103)にわたって伝導性シリコーン(104)を配置することと、
-前記伝導性シリコーンの層(104)が、前記第1の非伝導性可撓性基板(101)に圧縮成型されるように、圧力および熱を前記成型ツールに印加することと
を含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、電気療法のための電極に関し、具体的には、電気刺激のための電極パッドおよび電極パッドを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
TENS(経皮的電気神経刺激)および(NMES神経筋電気刺激)デバイスは、患者の皮膚に取付される複数の電極パッドに接続される、パルス発生器を備える。患者の皮膚上のアノードおよびカソードとして、単一患者かつ再利用限定電極パッドを使用することが、一般的である。単一患者かつ再利用限定電極パッドは、典型的には、導電性粘着性ヒドロゲル層と、同様にサイズ指定された伝導性シート(典型的には、炭素または黒鉛)と、粘着性ヒドロゲルと炭素/黒鉛シートとの間に埋込される、外部ケーブル接続部とから成り、ケーブルのコアは、炭素繊維または銅線のいずれかである。電極パッドの暴露される非患者側上に、織繊維が存在し、これは、基板/補強材として、また、電気刺激パルスを望ましくない接触から保護するための絶縁体としての役割を果たす。
【0003】
単一患者かつ再利用限定粘着性電極は、臨床医によって、神経を刺激するために、好適には、四肢または胴部の適切な面積内に位置し得、これは、ひいては、次いで、疼痛緩和を提供する(TENS)か、または筋肉を活性化する(NMES)かのいずれかであり、損傷された、または恐らく不活性な筋肉の強化を提供する。典型的には、20~40分の各治療後、粘着性電極は、患者の皮膚から剥ぎ取られ、通常、廃棄される。各治療後、粘着性電極は、患者の皮膚から剥ぎ取られ、通常、廃棄される。ある場合には、臨床医は、同一の患者上のさらなる治療のために、パッドを再利用することを選定し得るが、しかしながら、粘着性電極ゲルは、経時的に乾燥し、したがって、それらの導電性ならびに皮膚に粘着する能力の低下を有するであろう。再利用は、実践的な期間において、5回の使用に限定され、この後、電極は、廃棄され、新しい未使用の電極が、使用される。
【0004】
先行技術の挟着構造体の設計に起因して、刺激パルスの分布は、電極のサイズが、増加するにつれて、強度が低下する。より大きい(50×100mmおよびそれよりも大きい)電極のいくつかの製造業者は、2つの相互継合された50×50mm電極と同等である、二重ケーブル接続を使用する。他の製造業者は、炭素/黒鉛シートと接触している、炭素または銅線のより長く暴露される区分を使用する。50×50mmの単一患者再利用限定電極を併用するとき、患者にとって快適感を感じる、市販のパルス発生デバイスは、説明されるように、より大きい単一患者電極を使用するとき、あまり快適感を感じ得ず、刺激される四肢において、鋭く、チクチク痛む感覚として明白である不快感が、多くの場合、より大きい電極の一端において位置する。
【0005】
さらに、異なるサイズの患者上の異なる四肢または身体部分の治療は、異なるサイズの神経を刺激し、したがって、異なるサイズの筋肉を活性化するための能力を要求する。上記に説明される構成の先行技術の電極は、それらが、サイズにおいて増加するにつれて、より有効ではない状態になる。
【0006】
したがって、病院または治療クリニックの環境内において、異なる患者を横断して使用され得るように、複数の患者かつ複数回の再利用が可能であり、好適には、清浄および殺菌され得る、電極の設計および構造体に対する必要性が、存在する。好ましくは、そのような電極はまた、サイズを拡縮されることが可能であり、高温部または縁効果を伴うことのない、さらに均一な電流分布に起因して、患者の快適感を改良するであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要約)
上記の観点から、本開示の目標は、欠点を克服する、または少なくとも軽減することである。
【0008】
本発明は、独立請求項内に記述され、特徴付けられる一方、従属請求項は、本発明の他の特性を説明する。
【0009】
第1の側面では、本発明は、電気刺激のための電極パッドに関し、電極パッドは、
-少なくとも1つの伝導性トラックを備える第1の非伝導性可撓性基板であって、少なくとも1つの伝導性トラックは、第1の非伝導性可撓性基板の第1の側面上に配置される、第1の非伝導性可撓性基板と、
-少なくとも1つの伝導性トラックによって被覆されない面積内において、第1の非伝導性可撓性基板の第1の側面上に配置される、プライマと、
-少なくとも1つの伝導性トラックおよびプライマにわたって配置される、伝導性シリコーンの層と
を備え、
プライマは、第1の非伝導性可撓性基板を伝導性シリコーンに接合しており、少なくとも1つの伝導性トラックと伝導性シリコーンの層の第1の側面との間に機械的接触を提供する。
【0010】
一実施形態では、電極パッドはさらに、第1の非伝導性可撓性基板の第2の側面上に配置される、接着剤と、少なくとも1つの伝導性トラックを備える第2の非伝導性可撓性基板であって、少なくとも1つの伝導性トラックが、第2の非伝導性可撓性基板の第1の側面上に配置される、第2の非伝導性可撓性基板とを備えてもよく、第2の非伝導性可撓性基板の第1の側面に対向する、第2の非伝導性可撓性基板の第2の側面は、接着剤上に配列される。
【0011】
一実施形態では、電極パッドはさらに、伝導性シリコーンの層の第2の側面以外の電極パッドの全ての側面を被覆する、非伝導性シリコーン層を備えてもよい。
【0012】
一実施形態では、プライマは、非伝導性プライマであってもよい。
【0013】
一実施形態では、伝導性シリコーンの層の層は、伝導性シリコーンの圧縮成型層であってもよい。
【0014】
一実施形態では、非伝導性可撓性基板は、ポリマープリント回路基板であってもよい。
【0015】
一実施形態では、ポリマープリント回路基板は、熱を測定および調節すること、移動を測定すること、ならびにパッドIDを受信および表示することのうちの少なくとも1つのために適合される回路網と動作可能に接続している、少なくとも1つのマイクロコントローラを備えてもよい。
【0016】
一実施形態では、第2の非伝導性可撓性基板の第1の側面上の少なくとも1つの伝導性トラックは、加熱要素であってもよい。加熱要素は、蛇行パターンにおいて配列される、少なくとも1つの伝導性トラックを備えてもよい。
【0017】
一実施形態では、電極パッドは、少なくとも2つの伝導性トラックを備えてもよく、伝導性トラックのそれぞれは、別個の加熱要素である。加熱要素は、蛇行パターンにおいて配列される、少なくとも1つの伝導性トラックを備えてもよい。
【0018】
一実施形態では、接着剤は、接着フィルムであってもよい。
【0019】
第2の側面では、本発明は、電気刺激のための電極パッドを製造する方法を提供し、本方法は、
-少なくとも1つの伝導性トラックを備える第1の非伝導性可撓性基板を提供することであって、少なくとも1つの伝導性トラックは、第1の非伝導性可撓性基板の第1の側面上に配置される、ことと、
-少なくとも1つの伝導性トラックをマスクで被覆することと、
-プライマを第1の非伝導性可撓性基板の第1の側面上に配置することと、
-マスクを除去することと、
-少なくとも1つの伝導性トラックおよびプライマにわたって伝導性シリコーンの層を配置することであって、それにより、プライマが、第1の非伝導性可撓性基板を伝導性シリコーンに接合しており、少なくとも1つの伝導性トラックと伝導性シリコーンの層の第1の側面との間に機械的接触を提供する、ことと
を含む。
【0020】
一実施形態では、本方法はさらに、接着剤を第1の非伝導性可撓性基板の第2の側面上に配置することと、少なくとも1つの伝導性トラックを備える第2の非伝導性可撓性基板を提供することであって、少なくとも1つの伝導性トラックが、第2の非伝導性可撓性基板の第1の側面上に配置される、ことと、第2の非伝導性可撓性基板の第1の側面に対向する、第2の非伝導性可撓性基板の第2の側面を接着剤上に配列することとを含んでもよい。
【0021】
一実施形態では、本方法はさらに、伝導性シリコーンの層の第2の側面以外の電極パッドの全ての側面を非伝導性シリコーン層で被覆することを含んでもよい。
【0022】
一実施形態では、伝導性シリコーンの層を配置するステップはさらに、第1の非伝導性可撓性基板を成型ツール内に設置することと、成型ツール内の少なくとも第1の伝導性トラックおよびプライマにわたって伝導性シリコーンを配置することと、伝導性シリコーンの層が、第1の非伝導性可撓性基板に圧縮成型されるように、圧力および熱を成型ツールに印加することとを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施形態による、例示的電極パッドの断面を図示する。
【0024】
図2図2は、本発明の実施形態による、例示的電極パッドの断面を図示する。
【0025】
図3図3は、本発明の実施形態による、例示的電極パッドの上面図を図示する。
【0026】
図4図4は、本発明の実施形態による、例示的電極パッドの上面図を図示する。
【0027】
図5図5は、本発明の実施形態による、例示的電極パッドの上面図を図示する。
【0028】
図6図6は、本発明の実施形態による、例示的電極パッドの分解図である。
【0029】
図7図7は、本発明の実施形態による、例示的電極パッドの分解図である。
【0030】
図8図8は、本発明の実施形態による、電極パッドを製造する例示的方法の断面を図示する。
【0031】
図9図9は、本発明の実施形態による、電極パッドを製造する例示的方法の断面を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(詳細な説明)
以下において、本発明の実施形態が、添付される図面を参照して、さらに詳細に議論されるであろう。しかしながら、図面が、本発明を図面内に描写される主題に限定することは意図されないことを理解されたい。
【0033】
図1は、電気刺激を使用する患者の治療のための例示的電極パッド100の断面を図示する。電極パッドは、非伝導性可撓性基板101の第1の側面上に配置される、少なくとも1つの伝導性トラック102を備える、第1の非伝導性可撓性基板101を備える。非伝導性可撓性基板101は、可撓性プリント回路基板(PCB)材料、例えば、Kapton(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、または電子機器にとって好適な他の可撓性ポリマー等のポリイミド材料から作製され得る。少なくとも1つの伝導性トラック102は、好ましくは、銅から成り得るが、任意の他の好適な伝導性材料が、使用されてもよい。
【0034】
シリコーン、特に、医療用グレードのシリコーンは、医療用デバイス内においての使用にとって、周知の有効な材料であり、これは、可撓性であり、共形化可能であり、清浄、殺菌、および再利用することが容易である。電極パッド100は、伝導性シリコーンの層104を備える。伝導性シリコーンの層104は、患者の皮膚に接触するように配列される。伝導性シリコーンは、好ましくは、炭素、ニッケル、または銀等の伝導性材料と混合されるシリコーンから成る。シリコーンは、他の材料と容易に接合せず、これは、中間プライマを伴わない金属およびプラスチックに接合する際に、特に、芳しくない。プライマ103は、少なくとも1つの伝導性トラック102によって被覆されていない面積内において、第1の非伝導性可撓性基板101の第1の側面上に配置される。一実施形態では、プライマ103は、非伝導性プライマである。
【0035】
伝導性シリコーンの層104は、少なくとも1つの伝導性トラック102およびプライマ103にわたって配置される。プライマは、第1の非伝導性可撓性基板101を伝導性シリコーン104に接合しており、少なくとも1つの伝導性トラック102と伝導性シリコーンの層104の第1の側面との間に機械的接触を提供する。伝導性シリコーンの層104は、好ましくは、伝導性シリコーンの圧縮成型層であり得る。これは、導電性シリコーン104が、伝導性トラック102および伝導性シリコーン104に対する高い予負荷を確保しながら、近隣のプライミングされた非伝導性可撓性基板101をシリコーン104に接合するように印加される高圧力を用いて、成型および硬化されることを可能にする。接合は、伝導性トラック102とシリコーン104との間に存在しないが、これは、信頼可能な電気接続を確保する。これは、機械的に固定された接点接続の状態になる。
【0036】
一実施形態では、電極パッド100はさらに、伝導性シリコーンの層104の第2の側面以外の電極パッドの全ての側面を被覆する、非伝導性シリコーン層105を備える。伝導性シリコーンの層104の第2の側面は、患者の皮膚に接触するように配列される、伝導性シリコーン104の側面である。
【0037】
図2は、電気刺激を使用する患者の治療のための例示的電極パッド200の断面を図示する。電極パッド100の特徴に加えて、電極パッド200はさらに、第1の非伝導性可撓性基板101の第2の側面上に配置される、接着剤106を備える。接着剤106は、両面接着テープ等の接着フィルムであってもよい。電極パッド200はさらに、第2の非伝導性可撓性基板107の第1の側面上に配置される、少なくとも1つの伝導性トラック108を備える、第2の非伝導性可撓性基板107を備え、第2の非伝導性可撓性基板の第1の側面と対向する、第2の非伝導性可撓性基板107の第2の側面は、接着剤106上に配列される。第2の非伝導性可撓性基板107は、可撓性プリント回路基板(PCB)材料、例えば、Kapton(登録商標)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、または電子機器にとって好適な他の可撓性ポリマー等のポリイミド材料から作製され得る。少なくとも1つの伝導性トラック108は、好ましくは、銅から成り得るが、任意の他の好適な伝導性材料が、使用されてもよい。
【0038】
非伝導性可撓性基板101、107は、いくつかの実施形態では、ポリマープリント回路基板であってもよい。ポリマープリント回路基板はさらに、熱を測定および調節すること、移動を測定すること、ならびにパッドIDを受信および表示することのうちの少なくとも1つのために適合される回路網と動作可能に接続している、少なくとも1つのマイクロコントローラを備えてもよい。
【0039】
第2の基板107の第1の側面上の少なくとも1つの伝導性トラック108は、好ましくは、加熱要素である。一実施形態では、少なくとも1つの伝導性トラック108は、0.1mm幅であり、35μmの厚さを有する、銅から作製される。少なくとも1つの伝導性トラック108は、好ましくは、図4に図式的に図示されるような蛇行パターンにおいて配列され得る。図4はさらに、サーミスタ等の熱測定デバイス401と、少なくとも1つのマイクロコントローラに対するコネクタ402とを図示する。電極パッド200は、図5に図式的に図示されるように、少なくとも2つの伝導性トラック508a、508bを備えてもよく、少なくとも2つの伝導性トラック508a、508bのそれぞれは、別個の加熱要素である。図5はさらに、各加熱要素が、サーミスタ等の加熱測定デバイス501a、501bと、少なくとも1つのマイクロコントローラに対するコネクタ502のセットとを具備することを図示する。個別の加熱要素の数は、電極パッドのサイズに依存する。50×50mmの電極パッドは、1つの加熱要素を有し得るのに対し、50×200mmの電極パッドは、3つの加熱要素を有し得る。
【0040】
図3は、電極パッド100の3つの実施形態による、例示的電極パッド300a、300b、300cの上面図を図示する。図3は、サイズ比較のために、伝導性シリコーンの層104のサイズを示す。伝導性トラック102は、好ましくは、伝導性シリコーンの層104の外周に対して等距離にある。例示的電極パッド300a、300b、300cの非伝導性可撓性基板101の面積は、伝導性シリコーンの層104の面積よりも小さい。電極パッド300aおよび300cは、非伝導性可撓性基板101の外周が、伝導性シリコーン104の外周の外縁の内方向にあるように構成される。電極パッド300bは、非伝導性可撓性基板101の真中に、開口部または切抜部を伴って構成される。そのような開口部および低減された外周は、シリコーンに続く層、すなわち、非伝導性シリコーン105が、伝導性シリコーンに共有結合的に接合されることを有効にし、したがって、プライマ-シリコーン接合への低減された依存性を伴って、堅固な生成物を提供する。電極パッド300aの伝導性トラック102は、等距離において、トラックと電極の縁および中心との間に維持されるように位置付けられ、均一な電流分布を達成する。電極パッド300bの伝導性トラック102は、電極パッドの縁により近く位置付けられ、電極パッド300bの縁の近くで、例えば、中心バイアスで、より高い電流密度を達成する。電極パッド300cの伝導性トラック102は、電極の中心により近く位置付けられ、電極の中心近くで、例えば、中心バイアスで、より高い電流密度を達成する。
【0041】
図4は、電極パッド200の3つの実施形態による、例示的電極パッド400a、400b、400cの上面図を図示する。図4は、サイズ比較のために、伝導性シリコーンの層104のサイズを示す。伝導性トラック102は、好ましくは、伝導性シリコーンの層104の外周に対して等距離にある。例示的電極パッド400a、400b、400cの非伝導性可撓性基板101の面積は、伝導性シリコーンの層104の面積ならびに第2の非伝導性可撓性基板107の面積に類似し、第2の非伝導性可撓性基板107上の少なくとも1つの伝導性トラック108に電気的および/または熱的絶縁を提供する。電極パッド400aの伝導性トラック102は、等距離において、トラックと電極の縁および中心との間に維持されるように位置付けられ、均一な電流分布を達成する。電極パッド400bの伝導性トラック102は、電極パッドの縁により近く位置付けられ、電極パッド400bの縁の近くで、例えば、中心バイアスで、より高い電流密度を達成する。電極パッド400cの伝導性トラック102は、電極の中心により近く位置付けられ、電極の中心近くで、例えば、中心バイアスで、より高い電流密度を達成する。
【0042】
図6は、電極パッド100、300a、300b、300cの実施形態による、例示的電極パッド600の分解図である。電極パッド600は、第1の非伝導性可撓性基板601を有する。非伝導性可撓性基板601は、伝導性トラック602と、伝導性トラック602を被覆していないプライマ(図示せず)とを備える。伝導性トラック602およびプライマは、伝導性シリコーンの層604のある層に対面する。プライマは、第1の非伝導性可撓性基板601を伝導性シリコーン604に接合しており、少なくとも1つの伝導性トラック602と伝導性シリコーンの層604との間に機械的接触を提供する。図6はまた、伝導性トラック602に対する電気接続のためのケーブル609を示す。電極パッド600はさらに、患者の皮膚に対して位置付けられるように配列される、伝導性シリコーンの層604の側面以外の電極パッド600の全ての側面を被覆する、非伝導性シリコーン層605を備える。
【0043】
図7は、電極パッド200、400a、400b、400cの実施形態による、例示的電極パッド700の分解図である。電極パッド700は、第1の非伝導性可撓性基板701を有する。非伝導性可撓性基板701は、伝導性トラック702と、伝導性トラック702を被覆していないプライマ(図示せず)とを備える。伝導性トラック702およびプライマは、伝導性シリコーンの層704のある層に対面する。プライマは、第1の非伝導性可撓性基板701を伝導性シリコーン704に接合しており、少なくとも1つの伝導性トラック702と伝導性シリコーンの層704との間に機械的接触を提供する。接着剤706は、伝導性シリコーン704に対面しない第1の非伝導性可撓性基板701の側面上に配置される。伝導性トラック(図示せず)を備える、第2の非伝導性可撓性基板707が、接着剤706上に配列される。第2の非伝導性基板707は、熱を測定および調節すること、移動を測定すること、ならびにパッドIDを受信および表示することのうちの少なくとも1つのために適合される回路網と動作可能に接続している、少なくとも1つのマイクロコントローラ710を備える。図7はまた、伝導性トラック702および/またはマイクロコントローラ710に対する電気接続のためのケーブル709を示す。電極パッド700はさらに、患者の皮膚に対して位置付けられるように配列される、伝導性シリコーンの層704の側面以外の電極パッド700の全ての側面を被覆する、非伝導性シリコーン層705を備える。
【0044】
先行技術の電極パッドは、電極パッドの真中に延在するケーブルを有する。そのようなケーブルは、多くの場合、パッドおよびケーブルが、患者の四肢の周囲に巻着されるとき、患者に対する電極のストラップ固定と干渉する。これは、特に、多くの電極パッドが、患者に巻着されるときに、解決困難である。電極パッド600、700の角において、電極パッド600、700から退出する、図7および8に図示されるケーブル609、709の利点は、これが、全ての方向におけるストラップ固定を可能にすることである。
【0045】
図8は、本発明の実施形態による、電極パッド100を製造する例示的方法の断面を図示する。本方法は、第1のステップa)少なくとも1つの伝導性トラック102を備える第1の非伝導性可撓性基板101を提供することであって、少なくとも1つの伝導性トラック102が、第1の非伝導性可撓性基板101の第1の側面上に配置される、ことを含む。次のステップb)では、少なくとも1つの伝導性トラック102は、マスクで被覆され、プライマ103は、第1の非伝導性可撓性基板101の第1の側面上に配置される。次いで、マスクが、除去される。次いで、ステップc)では、伝導性シリコーンの層104は、プライマが、第1の非伝導性可撓性基板101を伝導性シリコーン104に接合しており、少なくとも1つの伝導性トラック102と伝導性シリコーンの層104の第1の側面との間に機械的接触を提供するように、少なくとも第1の伝導性トラック102およびプライマ103にわたって配置される。
【0046】
本方法はさらに、伝導性シリコーンの層104の第2の側面以外の電極パッド100の全ての側面を非伝導性シリコーン層105で被覆するステップd)を含んでもよい。
【0047】
伝導性シリコーンの層104を配置するステップはさらに、1つの好ましい実施形態では、第1の非伝導性可撓性基板101を成型ツール内に設置するステップと、伝導性シリコーン104を成型ツール内の少なくとも第1の伝導性トラック102およびプライマ103にわたって配置するステップと、伝導性シリコーンの層104が、第1の非伝導性可撓性基板101に圧縮成型されるように、圧力および熱を成型ツールに印加するステップとを含んでもよい。これは、導電性シリコーン104が、伝導性トラック102および伝導性シリコーン104に対する高い予負荷を確保しながら、近隣のプライミングされた非伝導性可撓性基板101をシリコーン104に接合するように印加される高圧力を用いて、成型および硬化されることを可能にする。接合は、伝導性トラック102とシリコーン104との間に存在しないが、これは、信頼可能な電気接続を確保する。これは、機械的に固定された接点接続の状態になる。代替として、液体シリコーンゴム射出成型方法が、使用されてもよい。
【0048】
図9は、本発明の実施形態による、電極パッド200を製造する例示的方法の断面を図示する。本方法は、図5を参照して上記に説明されるステップc)から継続する。本方法はさらに、接着剤106を第1の非伝導性可撓性基板101の第2の側面上に配置するステップe)を含む。次いで、次のステップf)は、少なくとも1つの伝導性トラック108を備える第2の非伝導性可撓性基板107を提供することであって、少なくとも1つの伝導性トラック108が、第2の非伝導性可撓性基板107の第1の側面上に配置される、ことを含む。次いで、次のステップg)は、第2の非伝導性可撓性基板107の第1の側面に対向する、第2の非伝導性可撓性基板107の第2の側面を接着剤106上に配列することを含む。
【0049】
本方法はさらに、伝導性シリコーンの層104の第2の側面以外の電極パッド200の全ての側面を非伝導性シリコーン層105で被覆するステップd)を含んでもよい。
【0050】
前述の説明では、本発明による、電極パッドおよび製造方法の種々の側面が、例証的実施形態を参照して説明されている。解説の目的のために、具体的な番号、システム、および構成が、システムおよびその働きの徹底的な理解を提供するために記述された。しかしながら、本説明は、限定する意味合いにおいて解釈されることは意図されない。例証的実施形態の種々の修正および変形例、ならびに本開示の主題が関連する当業者に明白である方法および画像処理デバイスの他の実施形態が、本請求項の範囲内にあると見なされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】