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特表2024-531775空間内の物体を決定するためのレーダシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】空間内の物体を決定するためのレーダシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/46 20060101AFI20240822BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
G01S13/46
G01S7/03 248
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516917
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2022075726
(87)【国際公開番号】W WO2023041683
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】102021124012.3
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522224955
【氏名又は名称】ニューラ ロボティクス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】NEURA ROBOTICS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】コズロフ、ドミトリー
(72)【発明者】
【氏名】シラキー、ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】レーガー、ダーヴィト
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AC01
5J070AC02
5J070AC12
5J070AD01
5J070AG01
(57)【要約】
レーダシステムであって、第1の位置推定センサによって第1の位置推定ビームローブを生成可能であり、第2の位置推定センサによって第2の位置推定ビームローブを生成可能であり、位置推定ビームローブは、それぞれ主扇形平面を有する扇形に設計されており、第1の位置推定ビームローブの第1の主扇形平面が、運動方向に対して平行に配置された仮想のベース平面に対して第1の入射角で配置されており、第2の位置推定ビームローブの第2の主扇形平面がベース平面に対して第2の入射角で配置されており、第1の入射角と第2の入射角が異なる、レーダシステム、並びに空間内の物体を決定する方法であって、反射された位置推定信号の反射仰角が信号オフセットとセンサオフセットの比によって決定される、方法。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダシステム(100)であって、
第1の位置推定センサ(1.1)及び
第2の位置推定センサ(10.1)を備え、
前記第1の位置推定センサ(1.1)と前記第2の位置推定センサ(10.1)がレーダセンサとして設計されており、
前記第1の位置推定センサ(1.1)と前記第2の位置推定センサ(10.1)は、センサオフセット(3.8)を有するように運動方向(3.7)にずらして共通のキャリア(3.1)に配置されており、前記キャリア(3.1)が前記運動方向(3.7)に運動可能に配置されており、
前記位置推定センサ(1.1、10.1)の位置推定センサポジションを決定する手段を更に備え、
前記第1の位置推定センサ(1.1)によって第1の位置推定ビームローブ(1.3)を生成可能であり、前記第2の位置推定センサ(10.1)によって第2の位置推定ビームローブ(10.3)を生成可能であり、
前記位置推定ビームローブ(1.3、10.3)は、それぞれ主扇形平面(1.4、10.4)を有する扇形に設計されており、前記第1の位置推定ビームローブ(1.3)の第1の主扇形平面(1.4)が、前記運動方向(3.7)に対して平行に配置された仮想のベース平面(30)に対して第1の入射角(1.5)で配置されており、前記第2の位置推定ビームローブ(10.3)の第2の主扇形平面(10.4)が前記ベース平面(30)に対して第2の入射角(10.5)で配置されており、
前記第1の入射角(1.5)と前記第2の入射角(10.5)が異なる、レーダシステム。
【請求項2】
前記キャリア(3.1)は、ステータ(4.1)に対して回転軸(3.6)を中心に回転可能に配置されたロータとして形成されており、それにより前記運動方向(3.7)が回転するように設計されている
ことを特徴とする、
請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項3】
位置推定センサポジションを決定するための前記手段がエンコーダシステムとして設計されている
ことを特徴とする、
請求項1または2に記載のレーダシステム。
【請求項4】
前記位置推定ビームローブ(1.3、10.3)は、前記第1の主扇形平面(1.4)と前記第2の主扇形平面(10.4)は、前記運動方向に関して逆向きに、前記ベース平面(30)に対して傾くように配置されている
ことを特徴とする、
請求項1~3のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項5】
前記第1の入射角(1.5)と前記第2の入射角(10.5)が数値的に同じ大きさである
ことを特徴とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項6】
前記位置推定ビームローブ(1.3、10.3)は、それぞれ主開き角度(56)と、前記主開き角度に対して垂直に配置された横開き角度(58)を有し、前記主開き角度(56)は、少なくとも90°、殊に少なくとも120°であり、前記主開き角度(56)と前記横開き角度(58)の比がそれぞれ5:1より大きく、殊に10:1より大きい
ことを特徴とする、
請求項1~5のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項7】
前記第1の位置推定センサ(1.1)は、第1の反射された位置推定信号(71.1)を検出するように設計されており、前記第2の位置推定センサ(10.1)は、第2の反射された位置推定信号(71.2)を検出するように設計されており、前記第1の反射された位置推定信号(71.1)と前記第2の反射された位置推定信号(71.2)との間に信号オフセット(74)が設けられていることと、前記レーダシステム(100)は、前記信号オフセット(74)と前記センサオフセット(3.8)の比によって反射仰角(54)を決定するように設計された位置推定計算ユニット(3.3.1、3.3.2)を有することと、
を特徴とする、
請求項1~6のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項8】
前記位置推定計算ユニット(3.3.1、3.3.2)は、前記第1の反射された位置推定信号(71.1)及び/又は前記第2の反射された位置推定信号(71.2)から、反射ポジション値と距離値を決定するように設計されており、前記反射仰角と前記反射ポジション値と前記距離値によって位置推定データセットが形成される
ことを特徴とする、
請求項7に記載のレーダシステム。
【請求項9】
前記位置推定計算ユニット(3.3.1、3.3.2)は、第1の位置推定データセットを第2の位置推定データセットと比較するように、かつ異なるデータのみを更に処理するように設計されている
ことを特徴とする、
請求項8に記載のレーダシステム。
【請求項10】
前記レーダシステム(100)が物体(8)を識別するための少なくとも1つの識別センサ(2.1、20.1)を有し、前記少なくとも1つの識別センサ(2.1、20.1)によって識別ビームローブ(2.2)を生成可能であり、前記少なくとも1つの識別センサ(2.1、20.1)が固定レーダセンサとして設計されている
ことを特徴とする、
請求項1~9のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項11】
前記識別ビームローブ(2.2)は、少なくとも90°、殊に少なくとも120°の主開き角度(62)を有し、前記識別ビームローブ(2.2)は、少なくとも90°、殊に少なくとも120°の横開き角度(64)を有する
ことを特徴とする、
請求項10に記載のレーダシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つの識別センサ(2.1、20.1)が前記ステータ(4.1)に配置されている
ことを特徴とする、
請求項10または11に記載のレーダシステム。
【請求項13】
前記レーダシステム(100)は、反射された識別信号のレーダシグネチャを識別するように設計された少なくとも1つの識別計算ユニット(4.3.1、4.3.2)を有する
ことを特徴とする、
請求項10~12のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項14】
前記レーダシステム(100)は、前記反射された識別信号を前記反射された位置推定信号(71.1、71.2)に割り当てるように設計された中央計算ユニット(5)を有する
ことを特徴とする、
請求項10~13のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【請求項15】
第1の位置推定センサ(1.1)として設計されたレーダセンサによって、及び第2の位置推定センサ(10.1)として設計されたレーダセンサによって、空間内の物体(8)を決定する方法(800)であって、前記第1の位置推定センサ(1.1)と前記第2の位置推定センサ(10.1)は、前記第1の位置推定センサと前記第2の位置推定センサがセンサオフセット(3.8)を有するように運動方向にずらして共通のキャリアに配置されており、前記キャリア(3.1)は前記運動方向に運動可能に配置されており、前記キャリアの運動サイクル中に、
前記第1の位置推定センサ(1.1)によって第1の位置推定ビームローブ(1.3)を、及び前記第2の位置推定センサ(10.1)によって第2の位置推定ビームローブ(10.3)を放射する工程であって、前記位置推定ビームローブ(1.3、10.3)は、それぞれ主扇形平面(1.4、10.4)を有する扇形に設計されており、前記第1の位置推定ビームローブ(1.3)の第1の主扇形平面(1.4)が、運動方向(3.7)に対して平行に配置された仮想のベース平面(30)に対して第1の入射角(1.5)で配置されており、前記第2の位置推定ビームローブ(10.3)の第2の主扇形平面(10.4)が、前記ベース平面(30)に対して第2の入射角(10.5)で配置されており、前記第1の入射角(1.5)と前記第2の入射角(10.5)が異なる、工程と、
前記第1の位置推定センサ(1.3)及び関連する第1の信号ポジション(72.1)によって第1の反射された位置推定信号(71.1)を検出する工程と、
前記第2の位置推定センサ(10.3)及び関連する第2の信号ポジション(72.2)によって第2の反射された位置推定信号(71.2)を検出する工程と、
前記第1の信号ポジション(72.1)と前記第2の信号ポジション(72.2)との間の信号オフセット(74)を決定する工程と、
前記信号オフセット(74)と前記センサオフセット(3.8)の比によって前記反射された位置推定信号(71.1、71.2)の反射仰角(54)を決定する工程と、
が実行される方法。
【請求項16】
前記キャリア(3.1)が回転可能に配置されており、前記運動サイクルは、前記キャリア(3.1)の1回転によって形成される
ことを特徴とする、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の反射された位置推定信号(71.1)及び/又は前記第2の反射された位置推定信号(71.2)から反射ポジション値と距離値が決定され、前記反射仰角(54)と前記反射ポジション値と前記距離値によって位置推定データセットが形成される
ことを特徴とする、
請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記ロータ(3.1)が複数の運動サイクルを実行し、第2の位置推定データセットは、同じ反射ポジション値を有する第1の位置推定データセットと比較される
ことを特徴とする、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、
識別センサ(2.1、20.1)として設計された固定レーダセンサによって識別ビームローブ(2.2)を放射する工程と、
レーダシグネチャを有する反射された識別信号を検出する工程と、
前記レーダシグネチャを識別する工程と、
前記反射された識別信号を前記反射された位置推定信号(71.1、71.2)に割り当てる工程と、
を包含する
ことを特徴とする、
請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記反射された識別信号は、ビームフォーミング法で処理される
ことを特徴とする、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記レーダシステム(100)は、請求項15~20のいずれか一項に記載の方法(800)を実行するように設計されている
ことを特徴とする、
請求項1~14のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間内の物体を決定するためのレーダシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空間内の物体を決定するため、特に位置推定する(Lokalisierung)ために、ロータに配置された、したがって回転軸を中心として回転可能に配置されたレーダセンサが用いられる。反射された、レーダセンサによって検出される信号の方位角は、ロータの位置によって決定できる。方位角は、信号を反射する空間内の物体の方位角位置に対応する。仰角を決定するために、相互に間隔をおいて配置された複数の受信アンテナを備えたレーダセンサを使用することが知られている。反射された信号がいくつかの受信アンテナで検出されるときの位相シフトと、受信アンテナ間の既知の間隔とによって、反射された信号の仰角を決定することができる。更に、仰角は、複数の送信アンテナが用いられ、信号が各送信アンテナから特定の位相シフトで送信される、いわゆるフェーズドアレイ法を用いて決定することができる。それによって、伝播する送信ビームをその伝播方向に関して偏向させることができる。
【0003】
従来技術として、特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0267160号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既知のシステム及び方法の欠点は、仰角を決定するために多数の送信アンテナ及び/又は受信アンテナが必要であり、システムが非常に複雑になることである。それに対応して、送信信号と受信信号の処理も複雑になる。その場合、システムの分解能が向上すると複雑さが更に増す。それに応じて、従来のレーダシステムにはコストがかかる。
【0006】
したがって、本発明は、空間内の物体を確実かつ正確に決定することができ、開発コスト、製造コスト及び運用コストが低いレーダシステムを提供するという課題に基づいている。
【0007】
本発明は、空間内の物体を確実かつ正確に決定することができ、かつ簡単に実装できる方法を提供するという課題にも基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を有するレーダシステム、請求項15の特徴を有する方法、及び請求項20の特徴を有するレーダシステムによって解決される。
本発明の有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明によるレーダシステムは、第1の位置推定センサ及び第2の位置推定センサを備え、第1の位置推定センサと第2の位置推定センサがレーダセンサとして設計されており、第1の位置推定センサと第2の位置推定センサは、センサオフセットを有するように運動方向にずらして共通のキャリアに配置されており、キャリアは運動可能に配置されている。更に、本発明によるレーダシステムは、位置推定センサの位置推定センサポジションを決定する手段を更に備え、第1の位置推定センサによって第1の位置推定ビームローブを生成可能であり、第2の位置推定センサによって第2の位置推定ビームローブを生成可能であり、位置推定ビームローブは、それぞれ主扇形平面を有する扇形に設計されており、第1の位置推定ビームローブの第1の主扇形平面が、運動方向に対して平行に配置された仮想のベース平面に対して第1の入射角(Anstellwinkel)で配置されており、第2の位置推定ビームローブの第2の主扇形平面がベース平面に対して第2の入射角で配置されており、第1の入射角と第2の入射角は異なる。その場合、「運動方向」という用語は、殊に、この運動方向がそれぞれ逆の方向も含むように使用される。
【0010】
第1の位置推定センサと第2の位置推定センサとの間のセンサオフセットは、殊に、第1の位置推定センサと第2の位置推定センサを運動方向にずらしてキャリアに配置することをもたらす。運動方向は、好ましくは水平方向に配置されている。
【0011】
位置推定ビームローブは、扇形であることによって、殊に一方向に非常に狭く、この方向に対して垂直に立つ方向に非常に幅広に設計されている。その場合、それぞれの主扇形平面は、殊に、送信方向と、それぞれの位置推定ビームローブが幅広に設計された方向とによって定義される平面に対して平行に配置されている。第1の入射角と第2の入射角が異なることによって、殊に、第1の位置推定ビームローブと第2の位置推定ビームローブとの間に設けられたオフセットが、特に仰角に依存する。
【0012】
空間的な配置と運動を説明するために、本明細書では殊に、「仰角」と「方位角」という用語が使用される。仰角により、殊に、水平軸を中心とした回転方向の位置が表される。一般に、本明細書では殊に、仰角方向により、運動方向に対して垂直に配置された方向が表される。方位角は、好ましくは、垂直軸を中心とした回転方向の位置を表す。一般に、本明細書では殊に、方位角方向により、運動方向に対して垂直に配置された回転軸を中心とした回転方向が表される。特に好ましくは、運動方向は水平方向に配置され、それにより、方位角により水平方向の向きを表すことができ、仰角により垂直方向の向きを表すことができる。
【0013】
殊に、キャリアは、ステータに対して回転軸を中心に回転可能に配置されたロータとして形成されており、それにより運動方向が回転するように(rotatorisch)設計されている。その場合、回転軸は、好ましくは運動方向に対して垂直に配置されている。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、位置推定センサポジションを決定する手段はエンコーダシステムとして設計されている。エンコーダシステムは、特にステータに対するキャリアの配置を検出できるように設計することができる。したがって、エンコーダシステムによって、位置推定センサの位置推定センサポジションを決定することができる。殊に、エンコーダシステムはロータリエンコーダとして設計されている。エンコーダシステムは、殊に、少なくとも1つの読取りヘッドがキャリアに配置され、実量器がステータに配置されるように、レーダシステムに配置されている。エンコーダシステムは、第1の読取りヘッドと第2の読取りヘッドを有することが特に好ましい。それによって、エンコーダシステムを少なくとも部分的に冗長に設計することができる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、位置推定ビームローブは、第1の主扇形平面と第2の主扇形平面が運動方向に関して逆向きに、ベース平面に対して傾くように配置されている。それによって、位置推定ビームローブのオフセットの仰角への依存を強めることができる。
【0016】
特に好ましくは、第1の入射角と第2の入射角は、数値的に同じ大きさである。これによって、特に、レーダシステムの構造とデータ評価を簡素化することができる。
位置推定ビームローブは、殊に、それぞれ主開き角度と、主開き角度に対して垂直に配置された横開き角度を有するように設計されており、主開き角度は、少なくとも90°、殊に少なくとも120°であり、主開き角度と横開き角度の比がそれぞれ5:1より大きく、殊に10:1より大きい。したがって、位置推定ビームローブの各々は、楕円形、又はほぼ矩形の断面を有することができる。殊に、主開き角度は、それぞれの主扇形平面に対して平行な位置推定ビームローブの開き角度を表す。横開き角度は、好ましくは主開き角度に対して垂直に配置されている。空間内の物体の位置推定(Lokalisieren)は、特に高分解能と可能な限り高い更新レートを必要とする。これは、回転可能な配置と位置推定ビームローブの幾何学的形状とによって達成することができる。特に、各位置推定ビームローブの断面が比較的狭いことによって、位置推定センサは高分解能を達成することができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、第1の位置推定センサは、第1の反射された位置推定信号を検出するように設計されており、第2の位置推定センサは、第2の反射された位置推定信号を検出するように設計されており、第1の反射された位置推定信号と第2の反射された位置推定信号との間に信号オフセットが設けられており、レーダシステムは、信号オフセットとセンサオフセットの比によって反射仰角(Reflexionselevationswinkel)を決定するように設計された位置推定計算ユニットを有する。殊に、反射された位置推定信号の仰角が反射仰角と呼ばれる。反射された各位置推定信号は、殊に、対応する位置推定センサから位置推定ビームローブが放射されることにより空間内の物体によって反射される信号である。その場合、第1の反射された位置推定信号と第2の反射された位置推定信号は、殊に同じ反射する物体によって反射される。信号オフセットは、殊に第1の信号ポジションと第2の信号ポジションとの間に形成される。それぞれの信号ポジションに対応するキャリアポジションは、位置推定センサポジションを決定する手段を用いて検出することができる。殊に、第1の反射された位置推定信号を検出するときの第1の位置推定センサの位置推定センサポジションが第1の信号ポジションと呼ばれ、それに対応して、第2の反射された位置推定信号を検出するときの第2の位置推定センサの位置推定センサポジションが第2の信号ポジションと呼ばれる。
【0018】
それに応じて、第1の位置推定センサによって第1の反射された位置推定信号を検出するときのキャリアポジションと、第2の位置推定センサによって第2の反射された位置推定信号を検出するときのキャリアポジションとの間に信号オフセットを設けることができる。それぞれのキャリアポジションは、位置推定センサポジションを決定する手段を用いて、特にエンコーダシステムを用いて検出することができる。特に、センサオフセットと入射角が既知である場合、第1の位置推定計算ユニットは、信号オフセットとセンサオフセットの比によって反射仰角を決定することができる。
【0019】
殊に、位置推定計算ユニットは、第1の反射された位置推定信号及び/又は第2の反射された位置推定信号から反射ポジション値と距離値を決定するように設計されており、反射仰角と反射ポジション値と距離値によって位置推定データセットが形成される。運動方向にそれぞれ反射された位置推定信号のポジションを反射ポジション値と呼ぶことができる。反射ポジション値は、一般に、殊に関連する反射された位置推定信号を受信する位置推定センサの位置推定センサポジションとは異なる。反射ポジション値は、特に、関連する反射された位置推定信号を受信する位置推定センサの位置推定センサポジションと、それぞれの主扇形平面の入射角とから決定することができる。受信された位置推定センサの位置推定センサポジションの決定は、特に、エンコーダシステムによって検出されたキャリアポジションに基づいて決定することができる。距離値を決定するために、特に位置推定信号の送信と反射された位置推定信号の検出との間の伝播時間を使用することができる。距離値は、それぞれの位置推定センサから反射する物体までの距離を表すことができる。空間内の反射する物体のポジションは、位置推定データセットによって一義的に表すことができる。
【0020】
位置推定計算ユニットは、殊に位置推定センサ、及び位置推定センサポジションを決定する手段に接続されている。殊に、位置推定計算ユニットはキャリアに配置されている。レーダシステムは、キャリアとステータとの間に供給ラインとデータラインを通すための回転フィードスルー(Drehdurchfuehrung)を有することができる。更に、レーダシステムは、冗長化として、及びレーダシステムのフェイルセーフ性を高めるために、第1の位置推定計算ユニット及び第2の位置推定計算ユニットを有することができる。殊に、第1の位置推定計算ユニットと第2の位置推定計算ユニットは同一に設計されている。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、位置推定ユニットは、第1の位置推定データセットを第2の位置推定データセットと比較するように、かつ異なるデータのみを更に処理するように設計されている。その場合、更なる処理は、特にデータを伝送することを含むことができる。位置推定センサで走査される周辺環境には、位置推定センサに対して静的な物体が存在する可能性があり、これらの物体で反射された位置推定信号は、時間に対して変化しないか、又はわずかしか変化しない。第2の位置推定データセットを第1の位置推定データセットと比較することによって、位置推定センサに対して動く物体から静的物体を分けることができる。更に、比較によって、更に処理されるべきデータ量を低減することができる。それによって、特にレーダシステムのダイナミクスと精度を向上させることができる。殊に、位置推定計算ユニットは、ロータの一回転ごとに比較が実行されるように設計されている。
【0022】
本発明の一発展形態では、レーダシステムは、物体を識別するための少なくとも1つの識別センサを有し、少なくとも1つの識別センサによって識別ビームローブを生成可能であり、少なくとも1つの識別センサは固定レーダセンサとして設計されている。物体の識別は、殊に、物体により生成される特徴的なレーダシグネチャによって実行される。レーダシグネチャは、ドップラ周波数のスペクトル、いわゆるドップラシグネチャを含むことができ、このドップラシグネチャを用いて、高分解能で生物と非生物の区別を可能にすることができる。ドップラシグネチャに関する高分解能は、比較的長い観測時間を必要とするが、これは特に、物体の位置を推定するための高い更新レートと矛盾する可能性がある。レーダシステムが回転可能な位置推定センサと、殊に少なくとも1つの固定識別センサとを有することによって、レーダシステムは、空間内の物体の位置推定と識別を同時に行うための理想的な前提条件を提供することができる。
【0023】
殊に、識別ビームローブは、少なくとも90°、特に好ましくは少なくとも120°の主開き角度を有し、識別ビームローブは、殊に少なくとも90°、特に好ましくは少なくとも120°の横開き角度を有する。したがって、識別ビームローブは、殊に円形、又はほぼ正方形の断面を有する。したがって、更に、識別ビームローブの主開き角度と横開き角度が比較的大きく、それにより識別センサによって広い領域を検出することができる。殊に、識別ビームローブの主開き角度は仰角方向に配置され、識別ビームローブの横開き角度は方位角方向に配置されている。
【0024】
好ましくは、少なくとも1つの識別センサがステータに配置されている。それによって、レーダシステムの簡単で統一的な構造を実現することができる。
本発明の一発展形態では、レーダシステムが第1の識別センサと第2識別センサを有し、これらの識別センサは、殊に、特に好ましくは運動方向に180°のオフセットを設けてステータに配置されている。それによって、広い領域で物体を識別することができる。更に、レーダシステムは、より広い領域を対象として含むことができるようにするために、更なる識別センサを有することができる。その場合、異なる識別センサの識別ビームローブを少なくともほぼ同一に、又は異なるように設計することができる。
【0025】
レーダシステムは、反射された識別信号のレーダシグネチャを識別するように設計された少なくとも1つの識別計算ユニットを有することができる。このために、レーダシステムを、特に、反射された識別信号のドップラシグネチャを特定の物体に割り当てるように設計することができる。特に、識別計算ユニットを、反射された識別信号のレーダシグネチャを参照データベースと比較するように設計することができる。少なくとも1つの識別計算ユニットは、少なくとも1つの識別センサに接続されることが好ましい。少なくとも1つの識別計算ユニットは、ステータに配置されてもよい。
【0026】
更に、レーダシステムは、更なる冗長化として、及びレーダシステムのフェイルセーフ性を更に高めるために、第1の識別計算ユニットと第2の識別計算ユニットを有することができる。
【0027】
レーダシステムは、反射された識別信号を反射された位置推定信号に割り当てるように設計された中央計算ユニットを有することができる。それによって、レーダシステムは高分解能で空間内の物体の位置を推定し、同時に識別することができる。そのために、中央計算ユニットは、殊に少なくとも1つの位置推定計算ユニット及び少なくとも1つの識別計算ユニットに接続されている。反射された識別信号を反射された位置推定信号に割り当てることができるようにするため、少なくとも1つの識別センサは、殊に反射された識別信号に基づいて物体の位置を少なくともおおよそ推定できるように設計されている。殊に、少なくとも1つの識別センサは、そのために送信アンテナと少なくとも2つの受信アンテナを有することが好ましい。それによって、反射された識別信号を、殊に少なくとも1つの識別計算ユニットによってビームフォーミング法で処理することができる。その場合、反射された識別信号に基づいた物体の位置推定は、反射された位置推定信号に基づいた位置推定よりも大幅に不正確になる可能性がある。
【0028】
空間内の物体を決定する方法は、位置推定センサとして設計された第1のレーダセンサによって、及び位置推定センサとして設計された第2のレーダセンサによって実行され、第1の位置推定センサと第2の位置推定センサは、センサオフセットを有するように運動方向にずらして共通のキャリアに配置されており、キャリアは運動方向に運動可能に配置されている。キャリアの運動サイクル中、
・第1の位置推定センサによって第1の位置推定ビームローブを、及び第2の位置推定センサによって第2の位置推定ビームローブを放射する工程であって、位置推定ビームローブは、それぞれ主扇形平面を有する扇形に設計されており、第1の位置推定ビームローブの第1の主扇形平面が、運動方向に対して平行に配置された仮想のベース平面に対して第1の入射角で配置されており、第2の位置推定ビームローブの第2の主扇形平面が、ベース平面に対して第2の入射角で配置されており、第1の入射角と第2の入射角が異なる、工程と、
・第1の位置推定センサ及び関連する第1の信号ポジションによって第1の反射された位置推定信号を検出する工程と、
・第2の位置推定センサ及び関連する第2の信号ポジションによって第2の反射された位置推定信号を検出する工程と、
・第1の信号ポジションと第2の信号ポジションとの間の信号オフセットを決定する工程と、
・信号オフセットとセンサオフセットの比によって、反射された位置推定信号の反射仰角を決定する工程と、が実行される。
【0029】
殊に、前述の工程は、キャリアの運動サイクル中に数回実行される。好ましくは第1の信号ポジションと第2の信号ポジションはエンコーダシステムによって検出される。殊に、キャリアは回転可能に配置されており、運動サイクルは、キャリアの一回転によって形成されている。
【0030】
上述したレーダシステムの説明において、方法に関して挙げた客観的特徴の1つに相当し、かつ同一の名称の特徴がある場合、レーダシステムに関して述べた説明は、殊に方法の客観的特徴にも同様に適用される。これに対応して、例えば、位置推定センサ、又はレーダシステムの位置推定ビームローブに関する上記の説明を、方法の位置推定センサ又は位置推定ビームローブに適用することができる。
【0031】
方法の好ましい一実施形態では、第1の反射された位置推定信号及び/又は第2の反射された位置推定信号から反射ポジション値と距離値が決定され、反射仰角と反射ポジション値と距離値によって位置推定データセットが形成される。
【0032】
殊に、この方法は、キャリアが複数の運動サイクルを実行するように設計されており、第2の位置推定データセットが同じ反射方位角を有する第1の位置推定データセットと比較される。それによって、レーダシステムに関する上記の実施形態に従って、更に処理されるべきデータ量を低減することができ、更に、運動する物体の認識を簡単にすることができる。
【0033】
この方法は、殊に、
・識別センサとして設計された固定レーダセンサによって識別ビームローブを放射する工程と、
・レーダシグネチャを有する反射された識別信号を検出する工程と、
・レーダシグネチャを識別する工程と、
・反射された識別信号を反射された位置推定信号に割り当てる工程と、を更に包含するように設計されている。
【0034】
レーダシグネチャは、ドップラ周波数のスペクトル、いわゆるドップラシグネチャを含むことができ、このドップラシグネチャを用いて、高分解能で生物と非生物の区別を可能にすることができる。レーダシグネチャの識別は、殊に、ドップラシグネチャに基づいて実行される。レーダシグネチャを識別することは、特に、反射された識別信号を参照データベースと比較することを含むことができる。
【0035】
反射された識別信号を反射された位置推定信号に割り当てることができるようにするため、反射された識別信号に基づいて、反射する物体の位置を少なくともおおよそ推定することができる。殊に、そのために、反射された識別信号は、ビームフォーミング法で処理される。その場合、反射された識別信号に基づいた物体の位置推定は、反射された位置推定信号に基づいた位置推定よりも大幅に不正確になる可能性がある。
【0036】
殊に、上述のレーダシステムは、説明された方法を実行するように設計されている。
以下の図に基づいて本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】レーダシステムの例示的実施形態の概略図を示す。
図2】第1の位置推定ビームローブ及び第2の位置推定ビームローブと共にロータの概略図を示す。
図3】位置推定ビームローブ及び決定されるべき物体の配置の概略図を示す。
図4】第2の位置推定ビームローブ及び決定されるべき物体の配置の概略図を示す。
図5】空間内の物体を決定するための方法の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
同じ及び機能的に同じ部品には、同じ参照符号が使用される。
図1は、第1の位置推定センサ1.1と第2の位置推定センサ10.1を備えたレーダシステム100を示し、第1の位置推定センサ1.1と第2の位置推定センサ10.1は、レーダセンサとして設計されている。第1の位置推定センサ1.1と第2の位置推定センサ10.1は、センサオフセット3.8を有するように移動方向3.7にずらして共通のキャリア3.1に配置されている。殊に、キャリア3.1は、ステータ4.1に対して回転軸3.6を中心に回転可能に配置されている。第1の位置推定センサ1.1によって第1の位置推定ビームローブ1.3を生成することができ、第2の位置推定センサによって第2の位置推定ビームローブ10.3を生成することができる。第1の位置推定センサ1.1と第2の位置推定センサ10.1との間のセンサオフセット3.8は、殊に、第1の位置推定センサ1.1と第2の位置推定センサ10.1を運動方向3.7にずらしてキャリア3.1に配置することをもたらす。回転軸3.6は、垂直に配置されていることが好ましい。
【0039】
更に、レーダシステム100は、位置推定センサ1.1、10.1の位置推定センサポジションを決定するためのエンコーダシステムを有することができる。ステータ4.1に対するキャリア3.1の配置を検出できるようにエンコーダシステムを設計することができる。それにより、エンコーダシステムを用いて、位置推定センサ1.1、10.1の位置推定センサポジションを決定することができる。エンコーダシステムは、殊に、第1の読取りヘッド3.2.1と第2の読取りヘッド3.2.2がロータ3.1に配置され、実量器4.2がステータ4.1に配置されるようにレーダシステム100に配置されている。
【0040】
図2に示されるように、位置推定ビームローブ1.3、10.3は、それぞれ主扇形平面を有する扇形に設計されており、第1の位置推定ビームローブ1.3の第1の主扇形平面1.4は、運動方向3.7に対して平行に配置された仮想のベース平面30に対して第1の入射角1.5で配置されており、第2の位置推定ビームローブ10.3の第2の主扇形平面10.4は、ベース平面30に対して第2の入射角10.5で配置されている。
【0041】
位置推定ビームローブ1.3、10.3は、扇形であることによって、殊に一方向に非常に狭く、この方向に対して垂直に立つ方向に非常に幅広に設計されている。その場合、それぞれの主扇形平面1.4、10.4は、送信方向1.6と、それぞれの位置推定ビームローブ1.3、10.3が幅広に設計される方向とにより定義される平面に対して殊に平行である。
【0042】
位置推定ビームローブ1.3、10.3は、第1の入射角1.5と第2の入射角10.5とが異なるように配置されている。図2に示されるように、位置推定ビームローブ1.3、10.3を、例えば、第1の主扇形平面1.4と第2の主扇形平面10.4が、運動方向3.7に関して逆向きに、ベース平面30に対して傾くように配置することができる。特に、第1の主扇形平面1.4と第2の主扇形平面10.4を、回転軸3.6に関してベース平面30に対して逆向きに傾けることができる。特に好ましくは、第1の入射角1.5と第2の入射角10.5は、数値に関して同じ大きさである。
【0043】
位置推定ビームローブ1.3、10.3は、殊に、それぞれ主開き角度56と、この主開き角度に対して垂直に配置された横開き角度58を有するように設計されており、主開き角度56は、少なくとも90°、好ましくは少なくとも120°であり、位置推定ビームローブ1.3、10.3の主開き角度56と横開き角度58の比は、それぞれ5:1より大きく、殊に10:1より大きい。したがって、位置推定ビームローブ1.3、10.3の各々は、楕円形、又はほぼ矩形の断面60を有することができる(特に図2及び図3を参照)。殊に、主開き角度56は、それぞれの主扇形平面1.4、10.4に対して平行の位置推定ビームローブ1.3、10.3の開き角度を表す。横開き角度58は、主開き角度56に対して垂直に配置されることが好ましい。
【0044】
図4に示されるように、反射する物体8は、第1の位置推定ビームローブ1.3と第2の位置推定ビームローブ10.3によって検出することができる。殊に、物体8によって、第1の反射された信号71.1若しくは第2の反射された信号71.2が生成される。好ましくは、第1の位置推定センサ1.1は、第1の反射された位置推定信号71.1を検出するように設計され、第2の位置推定センサ10.3は、第2の反射された位置推定信号71.2を検出するように設計されている。
【0045】
その場合、図4は、第1の位置推定センサ1.3による第1の反射された位置推定信号71.1の検出と、第2の位置推定センサ10.3による第2の反射された位置推定信号71.2の検出とが、図示された座標系の迎角方向32に配置された縦座標において第1の反射された位置推定信号71.1と第2の反射された位置推定信号71.2が物体8と一致するように重ね合わせられていることを示す。このことから、第1の位置推定センサ1.1が第1の反射された位置推定信号71.1を検出する第1の信号ポジション72.1と、第2の位置推定センサ10.1が第2の反射された位置推定信号71.2を検出する第2の信号ポジション72.2との間に信号オフセット74を配置できることが認識できる。殊に、第1の反射された位置推定信号71.1を検出するときの第1の位置推定センサ1.1の位置推定センサポジションが第1の信号ポジション72.1と呼ばれ、それに対応して、第2の反射された位置推定信号71.2を検出するときの第2の位置推定センサ10.1の位置推定センサポジションが第2の信号ポジション72.2と呼ばれる。
【0046】
レーダシステム100は、図1に示される第1の位置推定計算ユニット3.3.1を有することができ、これは、信号オフセット74とセンサオフセット3.8との比を用いて、図4に示される反射仰角54を決定するように設計されている。特に、センサオフセット3.8と入射角1.5、10.5が既知である場合、第1の位置推定計算ユニット3.3.1は、信号オフセット74とセンサオフセット3.8の比によって反射仰角54を決定することができる。
【0047】
第1の位置推定計算ユニット3.3.1は、殊に位置推定センサ1.1、10.1及びエンコーダシステムに接続されている。図1に示されるように、第1の位置推定計算ユニット3.3.1は、殊にキャリア3.1に配置されている。レーダシステム100は、キャリア3.1とステータ4.1との間に供給ラインとデータラインを通すために、ロータ側の回転フィードスルー部3.4及びステータ側の回転フィードスルー部4.4を含む回転フィードスルーを有することができる。更に、レーダシステム100は、冗長化として第2の位置推定演算ユニット3.3.2を有することができる。殊に、第1の位置推定計算ユニット3.3.1と第2の位置推定計算ユニット3.3.2は同一に設計されている。第1の位置推定計算ユニット3.3.1と第2の位置推定計算ユニット3.3.2を、第1の位置推定データセットを第2の位置推定データセットと比較するように、かつ異なるデータのみを更に処理するように設計することができる。
【0048】
レーダシステム100は、物体8を識別するための第1の識別センサ2.1と第2の識別センサ20.1を有することができ、識別センサ2.1、20.1によって各識別ビームローブ2.2を生成することができる。その場合、第1の識別センサ2.1と第2の識別センサ20.1の識別ビームローブ2.2を少なくともほぼ同一に、又は異なるように設計することができる。識別センサ2.1、20.1は、殊に、固定レーダセンサとして設計され、ステータ4.1に配置されている。殊に、第1の識別センサ2.1及び第2の識別センサ20.1は、180°ずらしてロータに配置されている。それによって、物体8を広い領域で識別することができる。
【0049】
殊に、識別ビームローブ2.2は、少なくとも90°、特に好ましくは少なくとも120°の主開き角度62と、少なくとも90°、特に好ましくは少なくとも120°の横開き角度64を有する。したがって、識別ビームローブ2.2は、殊に円形、又はほぼ正方形の断面66を有する。更に、識別ビームローブ2.2の仰角62と横開き角度64が比較的大きく、それにより識別センサ2.1、20.1のうちの1つによって広い領域を検出できる。
【0050】
レーダシステム100は、第1の識別計算ユニット4.3.1及び第2の識別計算ユニット4.3.2を有することができ、識別計算ユニット4.3.1、4.3.2の各々は、反射された識別信号のレーダシグネチャを識別するように設計されている。殊に、識別計算ユニット4.3.1、4.3.2は、同一に設計されている。このために、レーダシステム100を、特に、反射された識別信号のドップラシグネチャを特定の物体に割り当てるように設計することができる。特に、識別計算ユニット4.3.1、4.3.2を、反射された識別信号のレーダシグネチャを参照データベースと比較するように設計することができる。識別計算ユニット4.3.1、4.3.2は、特に識別センサ2.1、20.1に接続されることが好ましい。識別計算ユニット4.3.1、4.3.2をステータ4.1に配置することができる。
【0051】
レーダシステム100は、反射された識別信号を反射された位置推定信号に割り当てるように設計された中央計算ユニット5を有することができる。それによって、レーダシステム100は、高分解能で空間内の物体8の位置を推定し、同時に識別することができる。このために、中央計算ユニット5は、位置推定計算ユニット3.3.1、3.3.2及び識別計算ユニット4.3.1、4.3.2に接続されることが好ましい。反射された識別信号を反射された位置推定信号に割り当てることができるようにするため、識別センサ2.1、20.1は、反射された識別信号に基づいて物体8の位置を少なくともおおよそ推定できるように設計されている。そのために、識別センサ2.1、20.1は殊に、それぞれ送信アンテナと少なくとも2つの受信アンテナを有する。それによって、反射された識別信号は、殊に識別計算ユニット4.3.1、4.3.2によって、ビームフォーミング法で処理することができる。
【0052】
図5は、空間内の物体を決定するためのいくつかの方法工程を包含する方法800の概略図を示す。好ましくは、図1に示されるレーダシステム100は、この方法を実行するように設計されている。
【0053】
第1の方法工程80において、第1の位置推定ビームローブ1.3を第1の位置推定センサ1.1によって、及び第2の位置推定ビームローブ10.3を第2の位置推定センサ10.1によって放射することができる。第2の方法工程82において、殊に第1の反射された位置推定信号71.1は、第1の位置推定センサ1.1及び関連する第1の信号ポジション72.1によって、殊にエンコーダシステムを用いて検出される。対応する配置が図3に示されている。第3の方法工程84において、第2の反射された位置推定信号71.2を第2の位置推定センサ10.1及び関連する第2の信号ポジション72.2によって、殊にエンコーダシステムを用いて検出することができる。第2の信号ポジション72.2の配置は図4に示されている。
【0054】
第4の方法工程86において、第1の信号ポジション72.1と第2の信号ポジション72.2との間の信号オフセット74を決定することができる。殊に、第5の方法工程88において、反射仰角54が信号オフセット74とセンサオフセット3.8の比によって決定される。
【0055】
殊に、第1の方法工程80から第4の方法工程86は、キャリア3.1の運動サイクル、特に1回転中に数回実行される。
方法800は、殊に、第5の方法工程90において、識別センサ2.2、20.2のうちの少なくとも1つによって識別ビームローブ2.2が放射されるように設計されている。次に、第6の方法工程92において、反射された識別信号のレーダシグネチャを検出することができ、第7の方法工程94においてこのレーダシグネチャを識別することができる。レーダシグネチャの識別は、殊に、ドップラシグネチャに基づいて実行される。レーダシグネチャを識別することは、特に、反射された識別信号を参照データベースと比較することを含むことができる。殊に、第5の方法工程90から第7の方法工程94は、第1の方法工程80から第4の方法工程86と並行に設けられている。
【0056】
第8の方法工程99において、反射された識別信号を反射された位置推定信号71.1、71.2に割り当てることができる。反射された識別信号を反射された位置推定信号71.1、71.2に割り当てることができるようにするため、反射された識別信号に基づいて反射する物体8を少なくともおおよそ位置推定することができる。殊に、そのために、反射された識別信号は、ビームフォーミング法で処理される。
【符号の説明】
【0057】
1.1 第1の位置推定センサ
1.3 位置推定ビームローブ
1.4 第1の主扇形平面
1.5 第1の入射角
1.6 送信方向
2.1 第1の識別センサ
2.2 識別ビームローブ
3.1 キャリア
3.2.1 第1の読取りヘッド
3.2.2 第2の読取りヘッド
3.3.1 第1の位置推定計算ユニット
3.3.2 第2の位置推定計算ユニット
3.4 ロータ側の回転フィードスルー部
3.6 回転軸
3.7 運動方向
3.8 センサオフセット
4.1 ステータ
4.2 実量器
4.4 ステータ側の回転フィードスルー
8 物体
10.1 第2の位置推定センサ
10.3 第2の位置推定ビームローブ
10.4 第2の主扇形平面
10.5 第2の入射角
20.1 第2の識別センサ
30 ベース平面
32 仰角方向
54 反射仰角
56 位置推定ビームローブの主開き角度
58 位置推定ビームローブの横開き角度
60 位置推定ビームローブの断面
62 識別ビームローブの主開き角度
64 識別ビームローブの横開き角度
66 識別ビームローブの断面
71.1 第1の反射された位置推定信号
71.2 第2の反射された位置推定信号
72.1 第1の信号ポジション
72.2 第2の信号ポジション
74 信号オフセット
80 第1の方法工程
82 第2の方法工程
84 第3の方法工程
86 第4の方法工程
90 第5の方法工程
92 第6の方法工程
94 第7の方法工程
99 第8の方法工程
100 レーダシステム
800 方法
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダシステム(100)であって、
第1の位置推定センサ(1.1)及び
第2の位置推定センサ(10.1)を備え、
前記第1の位置推定センサ(1.1)と前記第2の位置推定センサ(10.1)がレーダセンサとして設計されており、
前記第1の位置推定センサ(1.1)と前記第2の位置推定センサ(10.1)は、センサオフセット(3.8)を有するように運動方向(3.7)にずらして共通のキャリア(3.1)に配置されており、前記キャリア(3.1)が前記運動方向(3.7)に運動可能に配置されており、
前記位置推定センサ(1.1、10.1)の位置推定センサポジションを決定する手段を更に備え、
前記第1の位置推定センサ(1.1)によって第1の位置推定ビームローブ(1.3)を生成可能であり、前記第2の位置推定センサ(10.1)によって第2の位置推定ビームローブ(10.3)を生成可能であり、
前記位置推定ビームローブ(1.3、10.3)は、それぞれ主扇形平面(1.4、10.4)を有する扇形に設計されており、前記第1の位置推定ビームローブ(1.3)の第1の主扇形平面(1.4)が、前記運動方向(3.7)に対して平行に配置された仮想のベース平面(30)に対して第1の入射角(1.5)で配置されており、前記第2の位置推定ビームローブ(10.3)の第2の主扇形平面(10.4)が前記ベース平面(30)に対して第2の入射角(10.5)で配置されており、
前記第1の入射角(1.5)と前記第2の入射角(10.5)が異なる、レーダシステム。
【請求項2】
前記位置推定ビームローブ(1.3、10.3)は、前記第1の主扇形平面(1.4)と前記第2の主扇形平面(10.4)は、前記運動方向に関して逆向きに、前記ベース平面(30)に対して傾くように配置されている
ことを特徴とする、
請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項3】
前記第1の入射角(1.5)と前記第2の入射角(10.5)が数値的に同じ大きさである
ことを特徴とする、
請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項4】
前記第1の位置推定センサ(1.1)は、第1の反射された位置推定信号(71.1)を検出するように設計されており、前記第2の位置推定センサ(10.1)は、第2の反射された位置推定信号(71.2)を検出するように設計されており、前記第1の反射された位置推定信号(71.1)と前記第2の反射された位置推定信号(71.2)との間に信号オフセット(74)が設けられていることと、前記レーダシステム(100)は、前記信号オフセット(74)と前記センサオフセット(3.8)の比によって反射仰角(54)を決定するように設計された位置推定計算ユニット(3.3.1、3.3.2)を有することと、
を特徴とする、
請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項5】
前記位置推定計算ユニット(3.3.1、3.3.2)は、前記第1の反射された位置推定信号(71.1)及び/又は前記第2の反射された位置推定信号(71.2)から、反射ポジション値と距離値を決定するように設計されており、前記反射仰角と前記反射ポジション値と前記距離値によって位置推定データセットが形成され
前記位置推定計算ユニット(3.3.1、3.3.2)は、第1の位置推定データセットを第2の位置推定データセットと比較するように、かつ異なるデータのみを更に処理するように設計されている
ことを特徴とする、
請求項に記載のレーダシステム。
【請求項6】
前記レーダシステム(100)が物体(8)を識別するための少なくとも1つの識別センサ(2.1、20.1)を有し、前記少なくとも1つの識別センサ(2.1、20.1)によって識別ビームローブ(2.2)を生成可能であり、前記少なくとも1つの識別センサ(2.1、20.1)が固定レーダセンサとして設計されている
ことを特徴とする、
請求項1に記載のレーダシステム。
【請求項7】
前記識別ビームローブ(2.2)は、少なくとも90°、殊に少なくとも120°の主開き角度(62)を有し、前記識別ビームローブ(2.2)は、少なくとも90°、殊に少なくとも120°の横開き角度(64)を有する
ことを特徴とする、
請求項に記載のレーダシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの識別センサ(2.1、20.1)が前記ステータ(4.1)に配置されている
ことを特徴とする、
請求項に記載のレーダシステム。
【請求項9】
前記レーダシステム(100)は、前記反射された識別信号を前記反射された位置推定信号(71.1、71.2)に割り当てるように設計された中央計算ユニット(5)を有する
ことを特徴とする、
請求項に記載のレーダシステム。
【請求項10】
第1の位置推定センサ(1.1)として設計されたレーダセンサによって、及び第2の位置推定センサ(10.1)として設計されたレーダセンサによって、空間内の物体(8)を決定する方法(800)であって、前記第1の位置推定センサ(1.1)と前記第2の位置推定センサ(10.1)は、前記第1の位置推定センサと前記第2の位置推定センサがセンサオフセット(3.8)を有するように運動方向にずらして共通のキャリアに配置されており、前記キャリア(3.1)は前記運動方向に運動可能に配置されており、前記キャリアの運動サイクル中に、
前記第1の位置推定センサ(1.1)によって第1の位置推定ビームローブ(1.3)を、及び前記第2の位置推定センサ(10.1)によって第2の位置推定ビームローブ(10.3)を放射する工程であって、前記位置推定ビームローブ(1.3、10.3)は、それぞれ主扇形平面(1.4、10.4)を有する扇形に設計されており、前記第1の位置推定ビームローブ(1.3)の第1の主扇形平面(1.4)が、運動方向(3.7)に対して平行に配置された仮想のベース平面(30)に対して第1の入射角(1.5)で配置されており、前記第2の位置推定ビームローブ(10.3)の第2の主扇形平面(10.4)が、前記ベース平面(30)に対して第2の入射角(10.5)で配置されており、前記第1の入射角(1.5)と前記第2の入射角(10.5)が異なる、工程と、
前記第1の位置推定センサ(1.3)及び関連する第1の信号ポジション(72.1)によって第1の反射された位置推定信号(71.1)を検出する工程と、
前記第2の位置推定センサ(10.3)及び関連する第2の信号ポジション(72.2)によって第2の反射された位置推定信号(71.2)を検出する工程と、
前記第1の信号ポジション(72.1)と前記第2の信号ポジション(72.2)との間の信号オフセット(74)を決定する工程と、
前記信号オフセット(74)と前記センサオフセット(3.8)の比によって前記反射された位置推定信号(71.1、71.2)の反射仰角(54)を決定する工程と、
が実行される方法。
【請求項11】
前記第1の反射された位置推定信号(71.1)及び/又は前記第2の反射された位置推定信号(71.2)から反射ポジション値と距離値が決定され、前記反射仰角(54)と前記反射ポジション値と前記距離値によって位置推定データセットが形成される
ことを特徴とする、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ロータ(3.1)が複数の運動サイクルを実行し、第2の位置推定データセットは、同じ反射ポジション値を有する第1の位置推定データセットと比較される
ことを特徴とする、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、
識別センサ(2.1、20.1)として設計された固定レーダセンサによって識別ビームローブ(2.2)を放射する工程と、
レーダシグネチャを有する反射された識別信号を検出する工程と、
前記レーダシグネチャを識別する工程と、
前記反射された識別信号を前記反射された位置推定信号(71.1、71.2)に割り当てる工程と、
を包含する
ことを特徴とする、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記反射された識別信号は、ビームフォーミング法で処理される
ことを特徴とする、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記レーダシステム(100)は、請求項1014のいずれか一項に記載の方法(800)を実行するように設計されている
ことを特徴とする、
請求項1~のいずれか一項に記載のレーダシステム。
【国際調査報告】