(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】アトピー性皮膚炎の予防または治療用ゲル組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/575 20060101AFI20240822BHJP
A61P 37/00 20060101ALI20240822BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/63 20060101ALI20240822BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240822BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240822BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240822BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240822BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240822BHJP
【FI】
A61K31/575
A61P37/00
A61P37/08
A61K8/63
A61Q19/00
A61K8/73
A61K8/86
A61K8/02
A61K9/06
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516985
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 KR2022013781
(87)【国際公開番号】W WO2023043219
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0122994
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521165873
【氏名又は名称】シャペロン インク.
【氏名又は名称原語表記】SHAPERON INC.
【住所又は居所原語表記】#606(Jagok-dong), Gangnam ACE Tower 174-10, Jagok-ro Gangnam-gu, Seoul 06373 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ソン、スンヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ウンホ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076BB31
4C076CC03
4C076CC18
4C076DD45
4C076EE23
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4C076FF35
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC482
4C083AD331
4C083AD332
4C083AD491
4C083AD492
4C083BB04
4C083CC02
4C083DD41
4C083EE12
4C083EE13
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA11
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA27
4C086MA63
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB13
(57)【要約】
本発明は、タウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有し、ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩、及びポリソルベート20またはポリソルベート80の界面活性剤を含有するゲル組成物及びこれを含むアトピー皮膚炎予防または治療用組成物に関するものであり、具体的に、前記組成物は既存のアトピー皮膚炎治療剤に比べて副作用が少なく高い治療効果を有し、また従来の製剤に比べて顕著しく優れた効果があるので、アトピー性皮膚炎を予防または治療できる新しい薬学的組成物として有用に利用できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として、タウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;
ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;及び
ポリソルベート20またはポリソルベート80の界面活性剤を含有する、ゲル組成物。
【請求項2】
前記のタウロデオキシコリン酸は、ソジウムタウロデオキシコリン酸であることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項3】
有効成分としてタウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、
全体のゲル組成物に対して0.01ないし3w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項4】
有効成分としてタウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、
全体のゲル組成物に対して0.02ないし0.5w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項5】
有効成分としてタウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、
全体のゲル組成物に対して0.05ないし0.1w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項6】
前記ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、ソジウムヒアルロン酸であることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項7】
ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、
全体のゲル組成物に対して0.1ないし2w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項8】
ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、
全体のゲル組成物に対して0.5ないし1.5w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項9】
ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、
全体のゲル組成物に対して1w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項10】
ポリソルベート20またはポリソルベート80の界面活性剤は、
全体のゲル組成物に対して0.01ないし1w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項11】
ポリソルベート20またはポリソルベート80の界面活性剤は、
全体のゲル組成物に対して0.02ないし0.5w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項12】
ポリソルベート20またはポリソルベート80の界面活性剤は、
全体のゲル組成物に対して0.03ないし0.1w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項13】
ポリソルベート20またはポリソルベート80の界面活性剤は、
全体のゲル組成物に対して0.05w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項14】
保存剤をさらに含む、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項15】
保存剤はパラオキシ安息香酸メチルである、請求項14に記載のゲル組成物。
【請求項16】
保存剤は、全体のゲル組成物に対して0.05ないし1w/v%で含有されることを特徴とする、請求項14に記載のゲル組成物。
【請求項17】
保存剤は、全体のゲル組成物に対して0.1ないし0.5w/v%で含有されることを特徴とする、請求項14に記載のゲル組成物。
【請求項18】
保存剤は、全体のゲル組成物に対して0.2w/v%で含有されることを特徴とする、請求項14に記載のゲル組成物。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載のゲル組成物を含む、
アトピー性皮膚炎の予防または治療用の薬学組成物。
【請求項20】
請求項1から18のいずれかに記載のゲル組成物を含む、
アトピー性皮膚炎の予防または改善用化粧料組成物。
【請求項21】
有効成分として、タウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;
ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;及び
ポリソルベート20又はポリソルベート80の界面活性剤を含有する、
ゲル組成物を個体に投与する段階を含むアトピー性皮膚炎の予防または改善方法。
【請求項22】
有効成分として、タウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;
ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;及び
ポリソルベート20またはポリソルベート80の界面活性剤を含有する、
ゲル組成物を個体に投与する段階を含むアトピー性皮膚炎の治療方法。
【請求項23】
アトピー性皮膚炎の予防または治療用の薬学的組成物として使用するための
有効成分として、タウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;
ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;及び
ポリソルベート20またはポリソルベート80の界面活性剤を含有する、
ゲル組成物の用途。
【請求項24】
アトピー性皮膚炎の予防または改善用化粧料組成物として使用するための
有効成分として、タウロデオキシコリン酸、その誘導体又はその薬学的に許容される塩;
ヒアルロン酸、その誘導体又はその薬学的に許容される塩;及び
ポリソルベート20またはポリソルベート80の界面活性剤を含有する、
ゲル組成物の用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有し、ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;およびポリソルベート20またはポリソルベート80である界面活性剤を含有するゲル組成物、そのアトピー皮膚炎予防、治療または改善用途、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食べ物と呼吸器で露出する物質に対して皮膚炎や喘息、高焦熱が現れる傾向を1925年コカ(Coca)が初めてアトピー(atopy)と記述した。アトピー性疾患にはアトピー性皮膚炎の他に喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などがある。アトピー性皮膚炎の発病率は、環境の汚染物質の増加などによって世界的に急速に増加する傾向であり、有病率が全人口の20%に達する。アトピー性皮膚炎の患者らは、日常生活の制約のため、生活の質が低下し、社会的には治療に対する経済的負担が増えている。したがって、アトピー治療管理対策が急がれる状況である。アトピー性皮膚炎(Atopic Dermatitis)は、主に幼児期または小児期に始まる激しいかゆみを伴う再発性慢性皮膚疾患で、家族歴を伴う非常にありふれた皮膚疾患である。嬰児期、幼児期、特に生後2ヶ月前後に症状が始まるが、このうち約50%が生後2歳以前に発生し、ほとんどが5歳以前に症状が現れる一方、成人で初めて症状が現れる例は非常に珍しい。一部の患者において、成長とともに症状が緩和されたり、自然治癒され、幼児期発生患者の半分以上が2歳前に好転する。皮膚病変の形及び分布が特徴的な所見を示し、掻痒症(かゆみ)、皮膚乾燥症及び特徴的な湿疹を伴う。幼児期には顔と手足の広がる側の部分に湿疹で始まるが、成長しながら特徴的に腕が曲がる部分と膝の後ろの曲がる部位に湿疹の形で現れるようになる。成人の場合、折れる部位の皮膚が厚くなる苔癬化(lichenification)が現れ、幼少期に比べて四肢以外の顔や胸、首筋などに湿疹が生じる場合が多い。
【0003】
アトピーは一般的にアレルギー反応を伴う。特にアトピー性皮膚炎は単に皮膚疾患であるだけでなく、アレルギー性喘息および鼻炎のようなアレルギー性行進(allergic march)の信号になる。しかし、アトピー性皮膚炎の正確な原因とメカニズムがまだ究明されておらず、完治できる適切な治療薬が開発されていないのが実情である。現在としてはアトピー性皮膚炎の治療剤として抗ヒスタミン剤とステロイド、免疫調節剤が使われている。主に炎症と免疫反応を緩和させるための消炎鎮痛剤とステロイド系免疫抑制剤が使われるが、早い好転を見せる長所があるが、減らしたり切ったりすると症状が急激に悪化することもあり、長期間服用時に2次的に副腎皮質不全、糖尿、消化性潰瘍、多毛症、脱毛症、着色などの全身副作用が現れたりもして特に小児に白内障を起こすこともある。ステロイド軟膏剤の場合、皮膚が薄くなる薄化や萎縮、血管が増える紅潮、毛嚢炎などの重大な副作用を誘発する。非ステロイド系免疫調節剤であるエリデル(Elidel、pimecrolimus)クリームとプロトピック(Protopic、tacrolimus、FK506)軟膏がステロイド軟膏に代わる薬剤として開発され、長期間塗布時に既存のステロイド軟膏で現れた副作用がなく、顔や首などの敏感肌によく使われ、全体アトピー皮膚炎市場の30%まで急成長した。しかし、最近カルシニュリン(calcineurin)抑制剤の癌誘発可能性に対する危険が提起され、16歳未満の患者には低濃度で使用することにのみ認められ、2歳以下の小児では低濃度の使用も認められておらず、売上が減少する傾向にある。その他のアトピー治療で抗ヒスタミン剤とひどい場合に短期間の副腎皮質ホルモン剤の服用と外用剤を塗布することもあり、皮膚紫外線治療やインターフェロン治療などを施行しているが、ほとんどがしばらく好転を見せるが、投薬を止めれば再び再発する難治性疾患である。したがって、既存の治療剤より副作用が少なく、高い有効性を示す治療用及び予防用薬剤の開発が切実に必要な実情である。
【0004】
これにより、本発明者らは、タウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有し、ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩およびポリソルベート20またはポリソルベート80である界面活性剤を含有する形態のゲル組成物がアトピー皮膚炎の治療に相当な効果があり、また既存の剤形に比べて顕著に優れた効果を示すことを確認し、前記組成物をアトピー皮膚炎の予防、治療また改善用に利用することを明らかにすることによって、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、タウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有し、ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩、およびポリソルベート20またはポリソルベート80である界面活性剤を含有するゲル組成物、およびこれを含むアトピー性皮膚炎予防または治療剤を提供することである。
【0006】
また、本発明の他の目的は、前記ゲル組成物を個体に投与する段階を含むアトピー性皮膚炎の予防、改善または治療方法を提供することである。
【0007】
また、本発明の他の目的はアトピー性皮膚炎の予防または治療用の薬学的組成物として使用するための前記ゲル組成物の用途を提供することである。
【0008】
さらに、本発明の他の目的はアトピー性皮膚炎の予防または改善用化粧料組成物として使用するための前記ゲル組成物の用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は有効成分としてタウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;およびポリソルベート20またはポリソルベート80である界面活性剤を含有するゲル組成物を提供する。
【0010】
また、前記ゲル組成物はアトピー皮膚炎予防または治療用組成物として使用できる。
【0011】
また、前記ゲル組成物はアトピー皮膚炎予防または改善用化粧料組成物として使用できる。
【0012】
また、本発明は前記ゲル組成物を個体に投与する段階を含むアトピー性皮膚炎の予防または改善方法を提供する。
【0013】
また、本発明は前記ゲル組成物を個体に投与する段階を含むアトピー性皮膚炎の治療方法を提供する。
【0014】
また、本発明はアトピー性皮膚炎の予防または治療用の薬学的組成物として使用するための前記ゲル組成物の用途を提供する。
【0015】
さらに、本発明はアトピー性皮膚炎予防または改善用化粧料組成物として使用するための前記ゲル組成物の用途を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるゲル組成物は、既存のアトピー皮膚炎治療剤に比べて副作用が少なく、高い治療効果を有し、また従来の剤形に比べても顕著な効果を示すことを確認して、アトピー皮膚炎予防、治療または改善用組成物として有用に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1はマウスのアトピー皮膚炎誘導のためのDNCB投入時間およびアトピー皮膚炎治療のための0.5%HY209_HAゲルおよび5%HY209_PEGゲルの投入時間を示した図である。
【
図2】
図2はDNCBでアトピー性皮膚炎誘導後0.5%HY209_HAゲル及び5%HY209_PEGゲルを含む多様な治療剤で処理されたマウスのアトピー性皮膚炎誘発部位を示した図である。
【
図3】
図3はDNCBでアトピー皮膚炎誘導後0.5%HY209_HAゲル及び5%HY209_PEGゲルを含む多様な治療剤で処理されたマウスの官能評価結果を示したグラフである。
【
図4】
図4はDNCBでアトピー皮膚炎誘導後0.5%HY209_HAゲル及び5%HY209_PEGゲルを含む多様な治療剤で処理されたマウスの多様なサイトカイン抑制能を示したグラフである。
【
図5】
図5はDNCBでアトピー皮膚炎誘導後0.5%HY209_HAゲル及び5%HY209_PEGゲルを含む多様な治療剤で処理されたマウスの上皮及び真皮を比較して示した図である。
【
図6】
図6はDNCBでアトピー皮膚炎誘導後0.5%HY209_HAゲル及び5%HY209_PEGゲルを含む多様な治療剤で処理されたマウスの上皮厚さ測定結果を示したグラフである。
【
図7】
図7はDNCBでアトピー皮膚炎誘導後0.5%HY209_HAゲルおよび5%HY209_PEGゲルを含む多様な治療剤で処理されたマウスの真皮厚さ測定結果を示したグラフである。
【
図8】
図8はDNCBでアトピー皮膚炎誘導後0.5%HY209_HAゲル及び5%HY209_PEGゲルを含む多様な治療剤で処理されたマウスの脾臓の重さ測定結果を示したグラフである。
【
図9】
図9はマウスのアトピー性皮膚炎誘導のためのMC903投入時間およびアトピー性皮膚炎治療のための0.5%HY209_HAゲルの投入時間を示した図である。
【
図10】
図10はMC903でアトピー皮膚炎誘導後0.5%HY209_HAゲルを含む多様な治療剤で処理されたマウスのアトピー皮膚炎誘発部位を示した図、および官能評価結果および耳の厚さを示したグラフである。
【
図11】
図11はMC903でアトピー性皮膚炎誘導後0.5%HY209_HAゲルを含む多様な治療剤で処理されたマウスの上皮および真皮を比較して示した図、および上皮および真皮厚さ測定結果を示したグラフである。
【
図12】
図12はマウスのアトピー性皮膚炎誘導のためのオキサゾロン投入時間およびアトピー性皮膚炎治療のための0.5%HY209_HAゲルの投入時間を示した図である。
【
図13】
図13はオキサゾロンでアトピー皮膚炎誘導後0.5%HY209_HAゲルを含む多様な治療剤で処理されたマウスのアトピー皮膚炎誘発部位を示した図、および官能評価結果および耳の厚さを示したグラフである。
【
図14】
図14はオキサゾロンでアトピー性皮膚炎誘導後0.5%HY209_HAゲルを含む多様な治療剤で処理されたマウスの上皮および真皮を比較して示した図、および上皮および真皮厚さ測定結果を示したグラフである。
【発明の実施のための最良の形態】
【0018】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0019】
本発明は有効成分として、タウロデオキシコリン酸、その誘導体又はその薬学的に許容される塩;
ヒアルロン酸、その誘導体又はその薬学的に許容される塩;及び
ポリソルベート20またはポリソルベート80である界面活性剤を含有する、ゲル組成物を提供する。
【0020】
また、本発明はアトピー性皮膚炎の予防または治療用の薬学的組成物として使用するための有効成分として、タウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;
ヒアルロン酸、その誘導体又はその薬学的に許容される塩;及び
ポリソルベート20またはポリソルベート80である界面活性剤を含有する、ゲル組成物の用途を提供する。
【0021】
本発明では、前記のタウロデオキシコリン酸は、ソジウムタウロデオキシコリン酸であってもよいが、これに限定されない。
【0022】
本発明で、有効成分としてタウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、全体のゲル組成物に対して0.01ないし3w/v%;具体的に0.01ないし1w/v%;より具体的に0.02ないし0.5w/v%;より具体的に0.05ないし0.1w/v%で含まれ得る。
【0023】
本発明で、前記ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、ソジウムヒアルロン酸であってもよい。
【0024】
本発明で、前記のヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、全体のゲル組成物に対して0.1ないし2w/v%;具体的に0.1ないし2w/v%;0.5ないし1.5w/v%;より具体的に1w/v%で含まれ得る。
【0025】
本発明で、前記ポリソルベート20またはポリソルベート80である界面活性剤は、全体ゲル組成物に対して0.01ないし1w/v%;具体的に0.02ないし0.5w/v%;より具体的に0.03ないし0.1w/v%;より具体的に0.05w/v%で含まれ得る。
【0026】
本発明で界面活性剤としてポリソルベート20を使用することができる。
【0027】
本発明で前記ゲル組成物は、追加で保存剤を含むことができる。
【0028】
本発明で前記保存剤としては、パラオキシ安息香酸メチルを使用することができる。
【0029】
本発明で前記保存剤は、全体のゲル組成物に対して0.05ないし1w/v%;具体的に0.1ないし0.5w/v%;より具体的に0.2w/v%で含まれ得る。
【0030】
本発明で、前記ゲル組成物は追加で安定化剤、湿潤剤および/または乳化剤、溶解補助剤、溶剤、浸透圧を調節するための塩および/または緩衝液のような添加剤などを含有することができるが、これに限定されるものではない。
【0031】
本発明において、前記ゲル組成物はアトピー性皮膚炎の予防または治療用の薬学組成物であってもよい。
【0032】
本発明で前記ゲル組成物はアトピー性皮膚炎予防または改善用化粧料組成物であってもよい。
【0033】
本発明で前記ゲル組成物はアトピー性皮膚炎の予防、改善または治療用動物用ゲル組成物であってもよい。
【0034】
本発明で、前記のタウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有するゲル組成物の投与量は、多様な要因、例えば活性成分の有効性および作用持続時間、投与方式、温血動物の性別、年齢、体重およびその他の疾患の重硬度などの個別条件によって変わることができる。特定投与経路及び投与量は投与を受ける個体の特徴、すなわち年齢、体重、疾患状態、体のコンディションなどの条件によって担当医師/獣医師によって選択されることができる。
【0035】
本発明では、
(a)タウロデオキシコリン酸、その誘導体又はその薬学的に許容される塩;及びヒアルロン酸、その誘導体又はその薬学的に許容される塩を配合してゲル型生成物を収得する段階;及び
(b)ポリソルベート20またはポリソルベート80である界面活性剤を添加して撹拌する段階を含む、ゲル組成物の製造方法が提供される。
【0036】
前記段階(a)で、前記タウロデオキシコリン酸はソジウムタウロデオキシコリン酸であってもよく、タウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、全体のゲル組成物に対して0.01~3w/v%;具体的に0.01~1w/v%;より具体的に0.02~0.5w/v%;より具体的に0.05~0.1w/v%で含まれ得る。
【0037】
前記段階(a)で、前記ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、ソジウムヒアルロン酸であってもよく、ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、全体のゲル組成物に対して0.1~2w/v%;具体的に0.1~2w/v%;0.5~1.5w/v%;より具体的に1w/v%で含まれ得る。
【0038】
前記段階(b)において、前記ポリソルベート20またはポリソルベート80である界面活性剤は、全体ゲル組成物に対して0.01ないし1w/v%;具体的に0.02ないし0.5w/v%;より具体的に0.03ないし0.1w/v%;より具体的に0.05w/v%で含まれ得る。
【0039】
本発明の具体的な実施例で、本発明者たちは、ソジウムタウロデオキシコリン酸を含有し、ヒアルロン酸ナトリウムを添加したHY209ゲルを製造した後、前記HY209ゲルをアトピー皮膚炎を誘発したマウスに塗布した結果、0.5%HY209ゲルがアトピー皮膚炎の各症状に対して有意な効果を示し、特に既存アトピー皮膚炎治療剤および既存自社製品と比較しても顕著に優れていることを確認した。
【0040】
したがって、本発明のタウロデオキシコリン酸及びその誘導体を有効成分として含有し、ヒアルロン酸及びその誘導体を賦形剤として含有するアトピー皮膚炎の予防、治療又は改善用組成物は、アトピー皮膚炎を誘発したマウスを対象とした皮膚塗布実験で有意なアトピー皮膚炎の治療又は改善効果を示すので、前記の組成物はアトピー皮膚炎の予防、治療または改善用組成物の有効成分として有用に使用できる。
【0041】
また、本発明は
有効成分として、タウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;
ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;及び
ポリソルベート20またはポリソルベート80の界面活性剤を含有する、
ゲル組成物を個体に投与する段階を含むアトピー性皮膚炎の予防または改善方法を提供する。
【0042】
併せて、本発明は
有効成分として、タウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;
ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;及び
ポリソルベート20またはポリソルベート80の界面活性剤を含有する、
ゲル組成物を個体に投与する段階を含むアトピー性皮膚炎の治療方法を提供する。
【0043】
前記のタウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩、ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩、ポリソルベート20またはポリソルベート80である界面活性剤およびアトピー皮膚炎は、前記のゲル組成物に対する説明と同じであり、具体的な説明は前記の内容を援用する。
【0044】
一方、本発明の方法で製造されたゲル組成物は、既存のアトピー性皮膚炎治療剤に比べて副作用が少なく、高い治療効果を有し、また従来の剤形に比べて顕著に優秀な効果を確認したので、本発明のゲル組成物をアトピー性皮膚炎予防、改善または治療のために有用に利用できる。
【0045】
以下、本発明を実施例、比較例および実験例によって詳しく説明する。
【0046】
ただし、下記の実施例、比較例および実験例は本発明を例示するものであり、本発明の内容が下記の実施例、比較例および実験例に限定されるものではない。
【0047】
<実施例1>試料の製造
【0048】
アトピー皮膚炎予防または治療用組成物として、ソジウムタウロデオキシコリン酸(Sodium tauro deoxycholate,TDCA)を含有する0.5%HY209gel(ゲル)を下表1の組成で製造した。
【0049】
ソジウムタウロデオキシコリン酸粉末を20mlの精製水およびポリソルベート80と混合して溶解させた後、パラオキシ安息香酸メチルおよび70mlの蒸留水を前記25%タウロデオキシコリン酸ナトリウム溶液と共に混合し、前記混合溶液にヒアルロン酸ナトリウムを添加した後、精製水を添加して1000mlになるようにした。
【0050】
【0051】
<比較例1>賦形剤が異なる5%HY209_PEGgel(ゲル)の製造
【0052】
前記<実施例1>のソジウムタウロデオキシコリン酸粉末を5%になるようポリエチレングリコール400溶液(10% in distilled water)及びエタノール原液を7:3で混合した溶液に溶かした後、0.4μmフィルターでろ過して製造した。
【0053】
<実施例2>DNCBによるアトピー性皮膚炎誘導動物モデルの製作
【0054】
2、4-Dinitrochlorobenzene(2、4-ジニトロクロ
ロベンゼン、DNCB)をアセトンに1%または2%の濃度で溶解した溶液200mlを除毛したマウスの背中に2日間1日2回塗布した後、3日目にDNCBをアセトンに1%の濃度で溶解した溶液200mlを1日2回塗布し、DNCB溶液の塗布を開始した日から10日ないし11日目にDNCBをアセトンに1%の濃度で溶解した溶液200mlまたは上記溶液を10倍希釈させた溶液を1日2回追加で上記除毛したマウスの背中に塗布してアトピー性皮膚炎を誘発させた(
図1)。
【0055】
<実験例1>外観観察および官能評価による動物モデルで0.5%HY209_HAgel(ゲル)および既存自社製品である5%HY209_PEGgel(ゲル)のアトピー性皮膚炎治療効果の比較確認
【0056】
前記<実施例2>のアトピー性皮膚炎誘導動物モデルで外観観察および官能評価を通じた0.5%HY209_HAゲルおよび5%HY209_PEGゲルのアトピー性皮膚炎治療効果を比較確認するために、前記<実施例2>で製作したアトピー性皮膚炎が誘発されたマウスを治療方法によってDNCBグループ、0.5%HY209_HAゲルグループ、5%HY209_PEGゲルグループ、Dexamethasone(デキサメタソン、DEX)(マキシデックス軟膏、アルコン製薬)グループ、Crisaborole(クリサボロール)(ユクリサ軟膏、ファイザー製薬)グループ、Tofacitinib(トパシチニブ)グループ、FK506(Tacrolimus、タクロリムス)(プロトピック軟膏、レオパーマ)でそれぞれ5匹ずつ無作為に配定した。
【0057】
各グループマウスのアトピー性皮膚炎が誘発された背中部位の外観観察及び官能評価を実施してアトピー性皮膚炎の好転有無を検査し、官能評価はDNCB溶液塗布開始後15日目に2分間掻く回数、紅斑及び出血、浮腫、擦り傷及びただれ、鱗屑及び乾燥の重症度に応じてそれぞれ0点から3点まで点数を付与し、総点15点満点で計算した。3人が盲検でそれぞれ評価した後、各マウス個体の平均値を算出した。
【0058】
その結果、0.5%HY209_HAゲルグループおよび5%HY209_PEGゲルグループはDNCBグループと比較してアトピー皮膚炎に対する官能評価指数が有意義に減少したことが確認できた。特に、0.5%HY209_HAゲルグループの場合、陽性対照群として使用したDEXグループ、Crisaboroleグループ、Tofacitinibグループ及びFK506グループに比べてアトピー性皮膚炎の症状が顕著に好転したことが確認でき、既存自社製品である5%HY209_PEGゲルグループと比較した時にも、HY209の用量が10倍減少したが同等または以上の治療効果を持つことが確認できた(
図2及び
図3)。
【0059】
<実験例2>血清分析による動物モデルで0.5%HY209_HAgel(ゲル)及び既存自社製品である5%HY209_PEGgel(ゲル)のアトピー性皮膚炎治療効果の比較確認
【0060】
前記<実施例2>のアトピー皮膚炎誘導動物モデルで0.5%HY209_HAゲル及び5%HY209_PEGゲルの血清分析を通じたアトピー皮膚炎治療効果を比較確認するために、<実験例1>の評価を終えた各グループの個体にゾレチル250mg/5cc及び2%ロンプン(ROMPUN)溶液を8:2(v/v)に混合し、これを食塩水で10倍希釈して製造した麻酔剤を注射した後、心臓で採血した。その後、通常の方法で血清分析を行った。
【0061】
その結果、0.5%HY209_HAゲルグループ及び5%HY209_PEGゲルグループの血清内サイトカインの濃度は、DEXグループ及びFK506グループの血清内サイトカイン濃度と比較してアトピー皮膚炎を改善することが確認された(
図4)。
【0062】
<実験例3>上皮及び真皮厚さ測定による動物モデルで0.5%HY209_HAgel(ゲル)及び既存自社製品である5%HY209_PEGgel(ゲル)のアトピー性皮膚炎治療効果の比較確認
【0063】
前記<実施例2>のアトピー性皮膚炎誘導動物モデルで上皮及び真皮厚さ測定を通じた0.5%HY209_HAゲル及び5%HY209_PEGゲルのアトピー性皮膚炎治療効果を比較確認するために、前記<実験例1>で0.5%HY209_HAゲル、5%HY209_PEGゲル、マキシデックス軟膏、ユクリサ軟膏及びプロトピック軟膏を塗布したグループの各個体をアトピー性皮膚炎が誘発された日から15日目にアトピー性皮膚炎の発生部位を乱切(scarity)し、アトピー性皮膚炎が誘発されていないSham(無処理)グループ及びアトピー性皮膚炎の誘発後、治療されていないDNCBグループも15日目に乱切(scarity)した。
【0064】
各グループのマウスから皮膚組織を採取した後、採取した組織サンプルを切断して10%ホルマリン溶液内に24時間固定させた後、蒸留水で洗浄し、固定された皮膚組織をパラフィンブロックにした後、7μmの厚さの切片で切断し、ヘマトキシリンエオシン(Hematoxylin and Eosin、H&E)染色した後、光学顕微鏡を利用して観察した後、映像分析ソフトウェアを利用して上皮および真皮厚さを測定し分析ソフトウェアを利用して分析した。
【0065】
その結果、DNCBグループはShamグループに比べて上皮及び真皮の厚さの増加が観察され、これと対照的に0.5%HY209_HAゲルグループ、5%HY209_PEGゲルグループ、DEXグループ及びCrisaboroleグループ及びFK506グループの場合、DNCBグループと比べて皮膚上皮の厚さが顕著に減少し、真皮の厚さが正常なShamグループと近く回復されたことが確認できた。また、0.5%HY209_HAゲルグループと既存自社製品である5%HY209_PEGゲルグループを比較した時、HY209の容量が10倍減少したにも関わらず同等または以上の回復効果を持つことが確認できた(
図5ないし
図7)。
【0066】
<実験例4>脾臓の重さ測定による動物モデルで0.5%HY209_HAgel(ゲル)及び既存自社製品である5%HY209_PEGgel(ゲル)のアトピー性皮膚炎治療効果の比較確認
【0067】
前記<実施例2>のアトピー性皮膚炎誘導動物モデルで脾臓重量測定を通じた0.5%HY209_HAゲル及び5%HY209_PEGゲルのアトピー性皮膚炎治療効果を比較確認するために、前記<実験例1>で0.5%HY209_HAゲル、5%HY209_PEGゲル、マキシデックス軟膏、ユクリサ軟膏、トパシチニブ及びプロトピック軟膏を塗布したグループの各個体をアトピー性皮膚炎が誘発された日から15日目に犠牲にさせ、アトピー性皮膚炎が誘発されていないSham(無処理)グループ及びアトピー性皮膚炎の誘発後、治療されていないDNCBグループも15日目に犠牲させた。
【0068】
各グループの犠牲となったマウスから脾臓組織を採取した後、採取した脾臓サンプルの重さを測定した。
【0069】
その結果、DNCBによって肥大した脾臓の重さが0.5%HY209_HAゲルを利用して治療したグループの場合、Shamグループと類似していることが確認され、マウスの一般的な健康および免疫状態が正常と近く回復したことが確認でき、既存自社製品である5%HY209_PEGゲルグループと比較した時にも、HY209の容量が10倍減少したが同等または以上の治療効果を持つことが確認できた(
図8)。
【0070】
<実施例3>MC903によるアトピー性皮膚炎誘導動物モデル製作
【0071】
Calcipotriol(カルシポトリオール、MC903)溶液1nMを脱毛したマウスの背中に9日間1日2回塗布してアトピー性皮膚炎を誘発させた(
図9)。
【0072】
<実験例5>外観観察および官能評価による動物モデルで0.5%HY209_HAgel(ゲル)のアトピー性皮膚炎治療効果を確認
【0073】
前記<実施例3>のアトピー皮膚炎誘導動物モデルで外観観察および官能評価を通じた0.5%HY209_HAゲルのアトピー皮膚炎治療効果を確認するために、前記<実施例3>で製作したアトピー皮膚炎が誘発されたマウスを治療方法によってMC903グループおよび0.5%HY209_HAゲルグループにそれぞれ5匹ずつ無作為に配定した。
【0074】
各グループマウスのアトピー性皮膚炎が誘発された背中部位の外観観察及び官能評価を実施してアトピー性皮膚炎の好転有無を検査し、官能評価はMC903溶液塗布開始後10日目に2分間掻く回数、紅斑及び出血、浮腫、擦り傷及びただれ、鱗屑及び乾燥の重症度に応じてそれぞれ0点から3点まで点数を付与し、総点15点満点で計算した。3人が盲検でそれぞれ評価した後、各マウス個体の平均値を算出した。
【0075】
その結果、0.5%HY209_HAゲルグループはMC903グループと比較してアトピー性皮膚炎に対する官能評価指数が有意義に減少し、耳の厚さを測定した結果でもアトピー性皮膚炎の症状に対して治療効果を有することが確認できた(
図10)。
【0076】
<実験例6>上皮および真皮厚さ測定による動物モデルで0.5%HY209_HAgel(ゲル)のアトピー性皮膚炎治療効果を確認
【0077】
前記<実施例3>のアトピー性皮膚炎誘導動物モデルで上皮及び真皮厚さ測定を通じた0.5%HY209_HAゲルのアトピー性皮膚炎治療効果を確認するために、前記<実験例5>で0.5%HY209_HAゲルを塗布したグループの各個体をアトピー性皮膚炎が誘発された日から10日目にアトピー性皮膚炎発生部位を乱切(scarify)し、アトピー性皮膚炎が誘発されていないSham(無処理)グループ及びアトピー性皮膚炎の誘発後、治療されていないMC903グループも10日目に乱切(scarity)した。
【0078】
各グループのマウスから皮膚組織を採取した後、採取した組織サンプルを切断して10%ホルマリン溶液内に24時間固定させた後、蒸留水で洗浄し、固定された皮膚組織をパラフィンブロックにした後、7μmの厚さの切片で切断し、ヘマトキシリンエオシン(Hematoxylin and Eosin、H&E)染色した後、光学顕微鏡を利用して観察した後、映像分析ソフトウェアを利用して上皮および真皮厚さを測定し分析ソフトウェアを利用して分析した。
【0079】
その結果、MC903グループはShamグループに比べて上皮及び真皮厚さの増加が観察され、これと対照的に0.5%HY209_HAゲルグループの場合、MC903グループと比較して皮膚上皮厚さが顕著に減少し、真皮厚さが正常なShamグループと近く回復したことが確認できた(
図11)。
【0080】
<実施例4>Oxazoloneによるアトピー性皮膚炎誘導動物モデルの製作
【0081】
1%Oxazolone(オキサゾロン)溶液を除毛したマウスの背中に1回塗布後、8日目、10日目及び15日目に0.1%オキサゾロンを1日2回追加で塗布し、アトピー性皮膚炎を誘発させた(
図12)。
【0082】
<実験例7>外観観察および官能評価による動物モデルで0.5%HY209_HAgel(ゲル)のアトピー性皮膚炎治療効果を確認
【0083】
前記<実施例4>のアトピー皮膚炎誘導動物モデルで外観観察および官能評価を通じた0.5%HY209_HAゲルのアトピー皮膚炎治療効果を確認するために、前記<実施例4>で製作したアトピー皮膚炎が誘発されたマウスを治療方法によってオキサゾロングループおよび0.5%HY209_HAゲルグループにそれぞれ5匹ずつ無作為に配定した。
【0084】
各グループマウスのアトピー性皮膚炎が誘発された背中部位の外観観察及び官能評価を実施してアトピー性皮膚炎の好転有無を検査し、官能評価はオキサゾロン溶液塗布開始後17日目に2分間掻く回数、紅斑及び出血、浮腫、擦り傷及び爛れ、鱗屑及び乾燥の重症度に応じてそれぞれ0点から3点まで点数を付与し、総点15点満点で計算した。3人が盲検でそれぞれ評価した後、各マウス個体の平均値を算出した。
【0085】
その結果、0.5%HY209_HAゲルグループはオキサゾロングループと比較してアトピー皮膚炎に対する官能評価指数が有意義に減少し、耳の厚さを測定した結果でもアトピー皮膚炎の症状に対して治療効果を有することが確認できた(
図13)。
【0086】
<実験例8>上皮および真皮厚さ測定による動物モデルで0.5%HY209_HAgel(ゲル)のアトピー性皮膚炎治療効果を確認
【0087】
前記<実施例4>のアトピー性皮膚炎誘導動物モデルで上皮及び真皮厚さ測定を通じた0.5%HY209_HAゲルのアトピー性皮膚炎治療効果を確認するために、前記<実験例7>で0.5%HY209_HAゲルを塗布したグループの各個体をアトピー性皮膚炎が誘発された日から17日目にアトピー性皮膚炎発生部位を乱切(scarity)し、アトピー性皮膚炎が誘発されていないSham(無処理)グループ及びアトピー性皮膚炎の誘発後、治療されていないオキサゾロングループも17日目に乱切(scarity)した。
【0088】
各グループのマウスから皮膚組織を採取した後、採取した組織サンプルを切断して10%ホルマリン溶液内に24時間固定させた後、蒸留水で洗浄し、固定された皮膚組織をパラフィンブロックにした後、7μmの厚さの切片で切断し、ヘマトキシリンエオシン(Hematoxylin and Eosin、H&E)染色した後、光学顕微鏡を利用して観察した後、映像分析ソフトウェアを利用して上皮および真皮厚さを測定し分析ソフトウェアを利用して分析した。
【0089】
その結果、オキサゾロングループはShamグループに比べて上皮及び真皮厚さの増加が観察され、これと対照的に0.5%HY209_HAゲルグループの場合、オキサゾロングループと比較して皮膚上皮厚さが顕著に減少し、真皮厚さが正常なShamグループと近く回復したことが確認できた(
図14)。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、タウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有し、ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩、およびポリソルベート20またはポリソルベート80界面活性剤を含有するゲル組成物およびこれを含むアトピー皮膚炎予防または治療用組成物に関するものであり、具体的に、前記の組成物は既存のアトピー皮膚炎治療剤に比べて副作用が少なく高い治療効果を有し、また従来の製剤に比べて著しく優れた効果を有するという長所があり、有用に利用することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として、タウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;
ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩;及び
ポリソルベート20またはポリソルベート80の界面活性剤を含有する、ゲル組成物。
【請求項2】
前記のタウロデオキシコリン酸は、ソジウムタウロデオキシコリン酸であることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項3】
有効成分としてタウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、
全体のゲル組成物に対して0.01ないし3w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項4】
有効成分としてタウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、
全体のゲル組成物に対して0.02ないし0.5w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項5】
有効成分としてタウロデオキシコリン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、
全体のゲル組成物に対して0.05ないし0.1w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項6】
前記ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、ソジウムヒアルロン酸であることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項7】
ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、
全体のゲル組成物に対して0.1ないし2w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項8】
ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、
全体のゲル組成物に対して0.5ないし1.5w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項9】
ヒアルロン酸、その誘導体またはその薬学的に許容される塩は、
全体のゲル組成物に対して1w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項10】
ポリソルベート20またはポリソルベート80の界面活性剤は、
全体のゲル組成物に対して0.01ないし1w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項11】
ポリソルベート20またはポリソルベート80の界面活性剤は、
全体のゲル組成物に対して0.02ないし0.5w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項12】
ポリソルベート20またはポリソルベート80の界面活性剤は、
全体のゲル組成物に対して0.03ないし0.1w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項13】
ポリソルベート20またはポリソルベート80の界面活性剤は、
全体のゲル組成物に対して0.05w/v%で含有されることを特徴とする、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項14】
保存剤をさらに含む、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項15】
保存剤はパラオキシ安息香酸メチルである、請求項14に記載のゲル組成物。
【請求項16】
保存剤は、全体のゲル組成物に対して0.05ないし1w/v%で含有されることを特徴とする、請求項14に記載のゲル組成物。
【請求項17】
保存剤は、全体のゲル組成物に対して0.1ないし0.5w/v%で含有されることを特徴とする、請求項14に記載のゲル組成物。
【請求項18】
保存剤は、全体のゲル組成物に対して0.2w/v%で含有されることを特徴とする、請求項14に記載のゲル組成物。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載のゲル組成物を含む、
アトピー性皮膚炎の予防または治療用の薬学組成物。
【請求項20】
請求項1から18のいずれかに記載のゲル組成物を含む、
アトピー性皮膚炎の予防または改善用化粧料組成物。
【国際調査報告】