(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ゴム複合押出機ヘッドのロック装置、押出機ヘッド及び方法
(51)【国際特許分類】
B29C 48/255 20190101AFI20240822BHJP
B29C 48/30 20190101ALI20240822BHJP
B29C 48/49 20190101ALI20240822BHJP
B29B 7/58 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B29C48/255
B29C48/30
B29C48/49
B29B7/58
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517043
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 CN2021128880
(87)【国際公開番号】W WO2023040021
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】202111096930.8
(32)【優先日】2021-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202122278023.7
(32)【優先日】2021-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524100910
【氏名又は名称】グイリン ラバー インダストリー アールアンドディー インスティチュート カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】チェン イーリン
(72)【発明者】
【氏名】デン ウェンチョン
(72)【発明者】
【氏名】リー ルイイン
(72)【発明者】
【氏名】オウ アンリン
【テーマコード(参考)】
4F201
4F207
【Fターム(参考)】
4F201AA45
4F201AJ08
4F201BA01
4F201BC02
4F201BD05
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK80
4F207AA45
4F207AJ08
4F207KA01
4F207KA17
4F207KK12
4F207KL62
4F207KL99
4F207KM15
(57)【要約】
本発明は、ゴム複合押出機ヘッドのロック装置、押出機ヘッド及び方法を提供し、押出機器の分野に属する。前記ゴム複合押出機ヘッドのロック装置は、ロックドア、接続ベース、接続板及び移動ユニットを含み、前記ロックドアに貫通孔が開けられ、前記接続ベースは、当該貫通孔内に設置され、移動ユニットは、前記接続ベースの内室に取り付けられ、前記接続板は、前記ロックドアの外部に位置し、且つ両端がそれぞれロックドアに接続されるとともに、移動ユニットは接続板に接続され、移動ユニットは、接続板を介してロックドアを動かして往復移動させる。本発明はロック構造が簡単であり、加工組立性に優れ、外型のロック効率を向上させる。ロック装置は、押出機ヘッドの2つの側面に対称に取り付けられ、ヘッドの後部にヘッドと押出機との接続空間を空け、特殊な押出装置を配置することができ、拡張適合性が高い。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロックドア、接続ベース、接続板及び移動ユニットを含むゴム複合押出機ヘッドのロック装置であって、
前記ロックドアに貫通孔が開けられ、前記接続ベースは、当該貫通孔内に設置され、移動ユニットは、前記接続ベースの内室に取り付けられ、
前記接続板は、前記ロックドアの外部に位置し、且つ両端がそれぞれロックドアに接続されるとともに、移動ユニットは接続板に接続され、
移動ユニットは、接続板を介してロックドアを動かして往復移動させることを特徴とするゴム複合押出機ヘッドのロック装置。
【請求項2】
前記ロックドアは、C字形構造であり、それは順次一体に接続された上バンプ、本体及び下バンプを含み、
前記本体は、直方体構造であり、前記本体の中央部に貫通孔が開けられ、
前記上バンプ、下バンプは、貫通孔の上、下の両端にそれぞれ位置し、且つ本体の同一の側面に位置することを特徴とする請求項1に記載のゴム複合押出機ヘッドのロック装置。
【請求項3】
前記上バンプの下部と本体との接続箇所に上楔形斜面が設置され、
前記下バンプの上部と本体との接続箇所に下楔形斜面が設置され、
上楔形斜面、下楔形斜面の角度は、いずれも3°~12°であることを特徴とする請求項2に記載のゴム複合押出機ヘッドのロック装置。
【請求項4】
前記接続板は、板状構造であり、それはロックドアの側面と平行であり、且つその上端がロックドアの貫通孔の上方に位置し、ロックドアに接続され、その下端がロックドアの貫通孔の下方に位置し、ロックドアに接続され、
前記接続板と上バンプは、ロックドアの両側にそれぞれ位置することを特徴とする請求項3に記載のゴム複合押出機ヘッドのロック装置。
【請求項5】
前記接続ベースは、一側が開口した矩形環状構造であり、
前記接続ベースは、前記ロックドアの貫通孔内に位置し、且つその上、下、左、右の外面がロックドアの貫通孔の内壁にそれぞれ接触し
前記ロックドアは、接続ベースの上、下、左、右の外面に沿って往復移動することができることを特徴とする請求項4に記載のゴム複合押出機ヘッドのロック装置。
【請求項6】
前記移動ユニットは、ピストンロッドと動力機構を含み、
前記ピストンロッドは、一端が動力機構に接続され、他端が接続板の中央部に接続され、
前記動力機構は、接続ベースの内室に取り付けられ、
前記動力機構は、液圧シリンダ、エアシリンダ又は電気駆動機構を採用することを特徴とする請求項1に記載のゴム複合押出機ヘッドのロック装置。
【請求項7】
前記ゴム複合押出機ヘッドは、固定外型と可動外型を含み、
前記固定外型の両側に請求項1~6のいずれか1項に記載のゴム複合押出機ヘッドのロック装置がそれぞれ取り付けられ、
一方のロック装置の接続ベースの非開口側は、前記固定外型の側面に接続され、
他方のロック装置の接続ベースの非開口側は、前記固定外型の他方の側面に接続され、
ピストンロッドが最も長く伸びた時に、ロックドアの上楔形斜面、下楔形斜面は、可動外型の上、下のロック面とそれぞれ接触せず、ピストンロッドが引っ込んだ時に、ロックドアの上楔形斜面、下楔形斜面は、可動外型の上、下のロック面とそれぞれ完全に接触し、ロック力を発生させてロックを実現することを特徴とするゴム複合押出機ヘッド。
【請求項8】
押出機ヘッドの固定外型の左、右の両側に請求項1~6のいずれか1項に記載のロック装置を対称に設置するステップと、
押出機ヘッドをロックする必要がある場合、両側のロック装置における移動ユニットを利用して両側のロック装置におけるロックドアを同期して内向きに移動するように引き動かし、各側のロックドアの上楔形斜面、下楔形斜面をそれぞれ最外側の可動外型の上、下のロック面に接触させ、各可動外型をロックされるようにするステップと、
押出機ヘッドを開く必要がある場合、両側のロック装置における移動ユニットを利用して両側のロック装置におけるロックドアを同期して外向きに移動するように引き動かし、各側のロックドアの上楔形斜面、下楔形斜面を、上楔形斜面、下楔形斜面が上、下のロック面と接触しないまで、それぞれ最外側の可動外型の上、下のロック面から離れるようにし、各可動外型をロックされないようにするステップと、を含むこと特徴とするゴム複合押出機ヘッドのロック方法。
【請求項9】
押出機ヘッドにおける全ての流路の長さをいずれも10%~20%短縮するステップをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のゴム複合押出機ヘッドのロック方法。
【請求項10】
押出機ヘッドにおける推力板の取り付け角度を40°~55°にすることを特徴とする請求項8に記載のゴム複合押出機ヘッドのロック方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出機器技術の分野に属し、具体的にはゴム複合押出機ヘッドのロック装置、押出機ヘッド及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
押出機ヘッドは、主に、ゴムとプラスチック工業において押出形材を生産する成形出口を提供するために用いられる。1つ又は複数の押出機から1つ又は複数の押出形材を連続的に生産するための押出機ヘッドは、動かずに固定された固定外型と、クランプ枢軸に設置された少なくとも1つの移動可能な部材(可動外型ともいう)とを含み、移動可能な部材がクランプ枢軸により固定外型に対する動きを実現することで、それらの動作位置における隣接面がシールされ、それらを開き位置に揺動回転させることができ、作業者は開き位置から清掃及びメンテナンスを行うことができる。
【0003】
例えば、
図1、
図2に示す実施例では、1つ又は複数の押出機1が押出機ヘッドの固定外型3に取り付けられ、押出機ヘッドは、枢軸7に設置された少なくとも1つの可動外型6を含み、前記可動外型6が枢軸7に基づいて回動できることで、動作位置で可動外型6と固定外型3とが互いに隣接するシール面を形成し、可動外型6を開き位置に揺動回転させることができる。
【0004】
一般的な押出形材の生産装置は、押出機ヘッドに接続された少なくとも1つの押出機を含む。これらの装置は、入力された材料を処理して、それを加熱させることにより、圧力を発生させ、材料を可塑化させる。このため、材料は、押出機ヘッドにおける流路を通して押圧形材に所望の形状に押圧され、当該形状は、押出機ヘッドにおける出力部分の形状によって決められる。一般的には、押出機ヘッドは開放可能な構造として設計され、このように流路を清掃及びメンテナンスしやすいが、押出機ヘッドが閉じた時、すなわち動作位置にある時、押出機ヘッドは、シールされて可塑化材料の圧力に抵抗しなければならず、そのため押出機ヘッドにロック装置を取り付けることが必要となる。
【0005】
しかし、従来の押出機ヘッドにおけるロック装置は、体積が大きく、構造が複雑であり、且つ押出機の背部に多くの部品が設置され、取り付け及び保守点検が不便であり、油圧シリンダを採用して直接ロックすれば、機械的セルフロックを実現できず、そのため液圧システムに対する要求が高い。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上記従来技術に存在する難題を解決してなされ、ゴム複合押出機ヘッドのロック装置、押出機ヘッド及び方法を提供することに目的があり、構造が簡単で、加工組立性に優れ、外型のロック効率を向上させ、またヘッドの後部にヘッドと押出機との接続空間を空け、さらに特殊な押出装置を配置することができ、拡張適合性が高い。
【0007】
本発明は、以下の技術的解決手段により実現される。
本発明の第1の態様は、ゴム複合押出機ヘッドのロック装置を提供し、前記ゴム複合押出機ヘッドのロック装置は、ロックドア、接続ベース、接続板及び移動ユニットを含み、
前記ロックドアに貫通孔が開けられ、前記接続ベースは、当該貫通孔内に設置され、移動ユニットは、前記接続ベースの内室に取り付けられ、
前記接続板は、前記ロックドアの外部に位置し、且つ両端がそれぞれロックドアに接続されるとともに、移動ユニットは接続板に接続され、
移動ユニットは、接続板を介してロックドアを動かして往復移動させる。
【0008】
本発明のさらなる改良点として、前記ロックドアは、C字形構造であり、それは順次一体に接続された上バンプ、本体及び下バンプを含み、
前記本体は、直方体構造であり、前記本体の中央部に貫通孔が開けられ、
前記上バンプ、下バンプは、貫通孔の上、下の両端にそれぞれ位置し、且つ本体の同一の側面に位置する。
【0009】
本発明のさらなる改良点として、前記上バンプの下部と本体との接続箇所に上楔形斜面が設置され、
前記下バンプの上部と本体との接続箇所に下楔形斜面が設置され、
上楔形斜面、下楔形斜面の角度は、いずれも3°~12°である。
【0010】
本発明のさらなる改良点として、前記接続板は、板状構造であり、それはロックドアの側面と平行であり、且つその上端がロックドアの貫通孔の上方に位置し、ロックドアに接続され、その下端がロックドアの貫通孔の下方に位置し、ロックドアに接続され、
前記接続板と上バンプは、ロックドアの両側にそれぞれ位置する。
【0011】
本発明のさらなる改良点として、前記接続ベースは、一側が開口した矩形環状構造であり、
前記接続ベースは、前記ロックドアの貫通孔内に位置し、且つその上、下、左、右の外面がロックドアの貫通孔の内壁にそれぞれ接触し
前記ロックドアは、接続ベースの上、下、左、右の外面に沿って往復移動することができる。
【0012】
本発明のさらなる改良点として、前記移動ユニットは、ピストンロッドと動力機構を含み、
前記ピストンロッドは、一端が動力機構に接続され、他端が接続板の中央部に接続され、
前記動力機構は、接続ベースの内室に取り付けられ、
前記動力機構は、液圧シリンダ、エアシリンダ又は電気駆動機構を採用する。
【0013】
本発明の第2の態様は、ゴム複合押出機ヘッドを提供し、前記ゴム複合押出機ヘッドは、固定外型と可動外型を含み、
前記固定外型の両側に上記ゴム複合押出機ヘッドのロック装置がそれぞれ取り付けられ、
一方のロック装置の接続ベースの非開口側は、前記固定外型の側面に接続され、
他方のロック装置の接続ベースの非開口側は、前記固定外型の他方の側面に接続され、
ピストンロッドが最も長く伸びた時に、ロックドアの上楔形斜面、下楔形斜面は、可動外型の上、下のロック面とそれぞれ接触せず、ピストンロッドが引っ込んだ時に、ロックドアの上楔形斜面、下楔形斜面は、可動外型の上、下のロック面とそれぞれ完全に接触し、ロック力を発生させてロックを実現する。
【0014】
本発明の第3の態様は、ゴム複合押出機ヘッドのロック方法を提供し、前記方法は、押出機ヘッドの固定外型の左、右の両側に上記ロック装置を対称に設置するステップと、
押出機ヘッドをロックする必要がある場合、両側のロック装置における移動ユニットを利用して両側のロック装置におけるロックドアを同期して内向きに移動するように引き動かし、各側のロックドアの上楔形斜面、下楔形斜面をそれぞれ最外側の可動外型の上、下のロック面に接触させ、各可動外型をロックされるようにするステップと、
押出機ヘッドを開く必要がある場合、両側のロック装置における移動ユニットを利用して両側のロック装置におけるロックドアを同期して外向きに移動するように引き動かし、各側のロックドアの上楔形斜面、下楔形斜面を、上楔形斜面、下楔形斜面が上、下のロック面と接触しないまで、それぞれ最外側の可動外型の上、下のロック面から離れるようにし、各可動外型をロックされないようにするステップと、を含む。
【0015】
本発明のさらなる改良点として、前記方法は、
押出機ヘッドにおける全ての流路の長さをいずれも10%~20%短縮するステップをさらに含む。
【0016】
本発明のさらなる改良点として、前記方法は、押出機ヘッドにおける推力板の取り付け角度を40°~55°にするステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0017】
従来技術に比べ、本発明の有益な効果は、以下のとおりである。
本発明はロック構造が簡単であり、加工組立性に優れ、外型のロック効率を向上させる。ロック装置は、押出機ヘッドの2つの側面に対称に取り付けられ、ヘッドの後部にヘッドと押出機との接続空間を空け、特殊な押出装置(例えばゴムギアポンプ押出装置など)を配置することができ、拡張適合性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明のゴム複合押出機ヘッドの動作状態にある時の構造概略図である。
【
図2】本発明のゴム複合押出機ヘッドが開いた後の構造概略図である。
【
図3】本発明のゴム複合押出機ヘッドのロック装置の動作状態にある時のロックドアの断面概略図である。
【
図4】本発明のゴム複合押出機ヘッドのロック装置の型開き状態にある時のロックドアの断面概略図である。
【
図5】本発明のゴム複合押出機ヘッドのロック装置におけるロックドアの側面断面概略図である。
【
図6】本発明のゴム複合押出機ヘッドのロック装置におけるロックドアの構造概略図である。
【
図7】本発明のゴム複合押出機ヘッドのロック装置における接続ベースの構造概略図である。
【
図8】本発明のゴム複合押出機ヘッドにおける推力板の取り付け角度の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
【0020】
図1及び
図2に示すように、従来の押出機ヘッドは、中間に配置された固定外型3を基準とし、固定外型3の上下方向に複数の可動外型6がそれぞれ配置される。前記固定外型3における上、下の背部に上、下の枢軸7がそれぞれ設置され、上、下の枢軸7は、可動外型6に反転基準を提供するために用いられ、各可動外型6は、枢軸7に沿って回転して開閉することができ、さらに手動で可動外型6の流路キャビティを保守点検し又は流路キャビティ内の材料をクリーニングすることを容易にする。前記固定外型3の後部の背面には複数の押出機1が配置され、各可動外型6及び固定外型3の流路キャビティ内には異なる配合の材料が押出機により強制的に供給される。固定外型3は、各可動外型6の中間に設置される。また、従来の押出機ヘッドに推力板がさらに取り付けられる。
【0021】
押出機ヘッドが複合プレス成形動作状況においてロックされる閉鎖力を確保するために、前記固定外型3の左右両側に本発明のゴム複合押出機ヘッドのロック装置が対称に取り付けられ、それはゴム複合押出機ヘッドの固定外型3の左、右の側面に接続され、且つ対称に設置され、本発明は、押出機ヘッドの2つの側面に前記ロック装置がそれぞれ設置されるため、押出機ヘッドの背部(すなわち押出機取り付け側)の空間が開放式であり、様々な付加部材の配置を容易にすることができ、メンテナンス及び取り付けも容易にする。
【0022】
図3から
図5に示すように、本発明のゴム複合押出機ヘッドのロック装置は、ロックドア2、接続ベース9、接続板8及び移動ユニット10を含む。前記ロックドア2に貫通孔が開けられ、前記接続ベース9は、当該貫通孔内に設置され、移動ユニット10は、前記接続ベース9の内室に取り付けられ、前記接続板は、前記ロックドアの外部に位置し、且つ両端がそれぞれロックドアに接続されるとともに、移動ユニットは接続板に接続され、移動ユニットは、接続板を介してロックドアを動かして接続ベースの外壁に沿って往復移動させることができる。
【0023】
取り付けに際しては、一方のロック装置の接続ベースの1つの側面を押出機ヘッドの固定外型の側面に接続し、他方のロック装置の接続ベースの1つの側面を押出機ヘッドの固定外型の他方の側面に接続する。
【0024】
具体的には、
図6に示すように、ロックドア2は、C字形構造であり、順次一体に接続された上バンプ、本体及び下バンプを含む。そのうち、前記本体は、直方体構造であり、前記本体の中央部に貫通孔が開けられ、上バンプ、下バンプは、貫通孔の上、下の両端にそれぞれ位置し、且つ本体の同一の側面に位置する。このようにロックドア2全体の重量が軽く、空間がコンパクトであり、部品の数が少なく、構造が簡単であり、信頼性がより高い。好ましくは、前記貫通孔は、長方形孔である。
【0025】
好ましくは、前記上バンプの下部と本体との接続箇所に上楔形斜面11が設置され、前記下バンプの上部と本体との接続箇所にも下楔形斜面が設置される。
図6に示すように、ロックドアの縦断面から見ると、上バンプ、下バンプの形状は、いずれも直角台形であり、且つ上バンプの下底は、本体の上端の側面に固定して接続され、上バンプの直角辺と本体の頂辺は、同一の直線に位置し、上バンプの斜辺は、上楔形斜面11を形成し、下バンプの下底は、本体の下端の側面に固定して接続され、下バンプの直角辺と本体の底辺は、同一の直線に位置し、下バンプの斜辺は、下楔形斜面を形成する。
【0026】
好ましくは、上楔形斜面、下楔形斜面の角度は、いずれも3°~12°である(当該角度は、接触面の摩擦係数に基づいて算出され、角度の正接関数が摩擦係数よりも小さいと、機械的セルフロックを実現することができる)。YZ平面において、当該角度により、ロックドア2は液圧又は電力無効状態で機械的セルフロックを実現することができ、液圧システムが動力を失う条件で、ヘッドは、依然としてシール性、安全性を保証することができる。
【0027】
好ましくは、前記本体において上バンプ、下バンプが接続されない他方側の上、下の両端は、それぞれ丸みを付けられ、鋳造プロセスの需要を満たし、当該位置の応力が小さく、材料をそれほど必要としない一方、鋭いコーナーが人を傷つけることを回避する。
【0028】
前記接続板8は、板状構造であり、それはロックドアの側面と平行に設置され、本体において上バンプ、下バンプが取り付けられた側面と対向する側面に接続され、すなわち接続板、上バンプ(下バンプ)は、ロックドアの両側にそれぞれ位置する。具体的には、前記接続板の上端は、ロックドアの貫通孔の上方に位置し、ロックドアに接続され、前記接続板の下端は、ロックドアの貫通孔の下方に位置し、ロックドアに接続され、接続板とロックドア2は、ボルトで接続することができ、このように、接続板が往復移動する時、その上端、下端を介してロックドア2を動かして往復移動させることができる。
【0029】
図7に示すように、前記接続ベース9全体は、「C」字状付きの矩形状であり、すなわち一側が開口した矩形環状構造であり、前記接続ベース9は、前記ロックドア2の貫通孔内に位置し、且つその上、下、左、右の外面がロックドアの貫通孔の内壁とそれぞれ接触する。接続ベース9の上、下側の外面の形状は、平行四辺形であり、左、右側の外面は、C字形面である。4つの平面によりロックドア2をガイドし、ロックドア2がXY、YZの両軸線面の拘束条件で移動することを保証し、ロックドア2の貫通孔の内面が接続ベース9の外平面と接触してガイドを制限し、楔形斜面がY軸方向に沿って移動してヘッドをロックできることを保証する。
【0030】
さらに、ロックドアの貫通孔の内壁と接続ベース9の外壁との間の円滑な相対運動を保証するために、両者の接触面の間に自己潤滑ブロックを設置することができる。
【0031】
取り付けに際しては、前記接続ベース9の非開口側の外面を固定外型3の側面に固定して接続し、固定接続方式は、従来の複数種類の接続方式を採用することができ、例えばボルトと切りこみとの係合連結形式を採用する。
【0032】
接続ベース9の内室に取り付けられた移動ユニット10は、液圧又は電力駆動などの機構を配置してロックドア2の移動を実現することができ、接続ベース9の開口部を介して外部からパイプラインを導入して移動ユニットの動力の輸送を実現する。
【0033】
具体的には、前記移動ユニット10は、ピストンロッド及び動力機構を含み、ピストンロッドは、一端が動力機構に接続され、他端が接続板8の中央部に接続され、動力機構は、ピストンロッドの伸び出し又は引っ込みを駆動し、さらに接続板8を接続ベース9から離れ又は接続ベース9に近づく方向に移動するように駆動し、それとともに、接続板8はロックドア2を押出機ヘッドから離れ又は押出機ヘッドに係入するように駆動する。前記動力機構は、接続ベース9の空洞内に取り付けられる。前記動力機構は、従来の液圧シリンダ、エアシリンダ又は電気駆動機構を採用することができ、ピストンロッドを押して往復移動させることができればよい。
図3、
図4、
図5に示す実施例において、移動ユニット10は、液圧シリンダを採用する。
【0034】
ピストンロッドが最も長く伸びた時に、接続板と接続ベースとの間の距離は、最も大きく、この時にロックドアの上、下楔形斜面は、可動外型6の上、下のロック面12と接触せず、ピストンロッドが引っ込んだ時に、接続板と接続ベースとの間の距離は、近づき、この時にロックドアの上、下楔形斜面は、可動外型6の上、下のロック面12と完全に接触し、ロック力を発生させてロックを実現する。
【0035】
好ましくは、接続ベース9は、流体媒体又は固体保温機能を有し、具体的には接続ベース9に穿孔して冷却水を流し入れ又は保温材料を取り付けることにより当該保温機能を実現することができる。保温機能により移動ユニット10の動作温度を制御することができ、移動ユニット10の長期動作の安定性及び信頼性を保証する。
【0036】
ロックドア2は、接続板8を介して移動ユニット10に接続され(
図5に示す実施例においては接続板8を除去した構造である)、移動ユニット10は、ロックドア2を接続ベース9の外面に沿って移動するように引き動かし、最終的に楔形斜面11によりヘッドをロックする。
【0037】
ロックドア2内の貫通孔の内面は、接続ベース9の外面と接触してXY、YZという2つの軸線面の拘束を形成し、固定外型3の両側に左右対称に配置された移動ユニット10がロックドア2を接続ベース9においてY軸線に沿って同期して内向きに移動するように駆動して押出機ヘッドをロックさせることを保証する。ロックドアが同期して内向きにロックすることは、動力機構により保証され、例えば動力機構が液圧シリンダを採用すれば、バルブの流量により両側のロックドアが同期して内向きにロックすることを制御し、動力機構が電気駆動機構を採用すれば、モータの回転数により両側のロックドアが同期して内向きにロックすることを同期制御し、同期制御方法は、従来の方法を採用すれば実現でき、ここで説明を省略する。
【0038】
動作過程において、移動ユニット10は、ロックドア2を接続ベース9上を移動するように引き動かし、ロックドア2は、両側から同期して内向きに移動し、最終的に楔形斜面11によりヘッドの可動外型6をロックし、楔形斜面11により機械的セルフロックを実現し、楔形斜面11による閉鎖力を利用してゴム材料の圧力に抵抗して、隣接面をシールする効果に達する。
【0039】
本発明は、押出機ヘッドのロック方法をさらに提供し、前記方法は、固定外型3の左、右の両側に上記ロック装置を対称に設置し、移動ユニット10が液圧又は電気措置により両側のロック装置におけるロックドアを同期して内向きに移動するように引き動かし、各側のロックドアの上、下楔形斜面をそれぞれ最外側の可動外型6の上、下のロック面12と接触させ、楔形斜面11とロック面12との接触による閉鎖力により、各可動外型6がロックされるようにすることを含む。押出機ヘッドを開き位置に切り替える必要がある場合、上記運動と逆の順序で装置の操作を行い、すなわち移動ユニット10を制御して液圧又は電気措置により両側のロック装置におけるロックドアを同期して外向きに移動するように引き動かし、各側のロックドアの上、下楔形斜面を、上、下楔形斜面が上、下のロック面12と接触しなくなるまで、それぞれ最外側の可動外型6の上、下のロック面12から離れるようにし、この時に押出機ヘッドがロックされなくなり、ロックドアと可動外型が一定の間隔距離に達し、各可動外型を開くことができる。
【0040】
従来の押出機ヘッドに対しては、本発明のロック装置を利用してロックを実現することができる。しかし、従来の押出機ヘッドの流路4の長さが長く、それによるロック装置のロック力学的パラメータに対する要求が高く、したがって、好ましくは、前記方法は、さらに以下を含んでもよい。
【0041】
溶融体複合層間の結合強度及び材料押出温度を保証する総合的な考慮に基づき、ロードバランシング結果から固定外型3の負荷を再配置することができ、すなわち全ての流路4の長さを短縮して、さらに負荷を低下させ、好ましくは、流路4の長さを10%~20%短縮する。流路4の長さを短縮することにより、部材が受けるゴム材料の負荷を減少するだけでなく、またゴム材料の滞留時間を減少し、圧力とゴム温度を低減し、歩留まりを向上させる。また、全ての流路4の長さを短縮すると、ロック装置のロック力学的パラメータに対する要求も低くなり、さらにロック装置のサイズを小さくすることができる。
【0042】
また、押出機ヘッドのロード分析から分かるように、ロックドア2が印加した圧力、推力板5が印加した圧力は、スクリュー軸方向のゴム推力、流路面のゴム推力、口型面のゴム推力とバランスを取る必要があり、したがって、好ましくは、前記方法は、さらに以下を含んでもよい。
【0043】
従来の押出機ヘッドにおける推力板5の取り付け角度を大きくすることにより同等の負荷条件でロックドアのロードを減少することができる。推力板5は、固定外型3に取り付けられ、推力板の取り付け角度が大きくなると動力需要を低減することができるが、取り付け角度が大きすぎると可動外型が開かれないため、この2つの条件を同時に考慮し、適切な取り付け角度を選択し、本発明において推力板の取り付け角度は、40°~55°であることが好ましい。従来における推力板の支持位置のサイズを調整する方法を採用して推力板の取り付け角度の変化を実現すればよく、ここでは説明を省略し、
図8に示すように、推力板の取り付け角度aを調整することによりロックドアのロードを低減する。
【0044】
推力板5の取り付け角度を調整すると、固定外型3とロックドア2のロードを再配分させ、ロックドア2のロードをより均一にさせ、さらにロックドアのロードを大幅に減少させ、ロック装置のサイズをより小さくさせ、より軽量化させることができる。また、ロックドアの圧力需要を低減すると、側面のロックドアによる動力システム(例えば液圧システム)に対する要求がより低く、外型の応力がより小さく、ロックもより確実である。
【0045】
以上説明したように、本発明は、流路を短縮し、推力板の取り付け角度を大きくすることにより、押出機ヘッドをロックするために必要なバランス力を低下させ、さらに移動ユニット10のサイズに対する要求及び移動ユニット10の定格動力を低下させ、また、組立面積が小さいという利点を有し、押出機ヘッドのロック装置に必要な操作面積を減少する。本発明は、機器のサイズが小さい場合、投資コストを低減し、動作に対する操作要求及び消費電力も低減する。
【0046】
本発明の説明において、なお、特に明確な規定及び限定がない限り、用語の「連結」、「接続」は、広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよく、直接接続してもよいし、中間媒体を介して間接的に接続してもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本発明における具体的な意味を理解することができる。
【0047】
本発明の説明において、特に説明しない限り、用語の「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などが指示した方位又は位置関係は、図面に基づいて示された方位又は位置関係であり、単に本発明の説明の便宜及び説明の簡略化のためのものであり、係る装置又は素子は、特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されなければならないことを指示又は暗示するものではなく、したがって本発明を限定するものとして理解できない。
【0048】
最後に説明すべきものとして、上記技術的解決手段は、本発明の一実施形態に過ぎず、当業者であれば、本発明の上記具体的な実施形態に記載された方法に限定されず、本発明で開示された適用方法及び原理の上で、様々な改良又は変形を容易に行うことができ、したがって、前述した形態は、好ましいものに過ぎず、限定的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0049】
1 押出機
2 ロックドア
3 固定外型
4 ヘッドの流路
5 推力板
6 可動外型
7 枢軸
8 接続板
9 接続ベース
10 移動ユニット
11 楔形斜面
12 ロック面
【国際調査報告】