(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】鉄鋼還元炉における使用のための固体凝集体
(51)【国際特許分類】
C10L 5/10 20060101AFI20240822BHJP
C10B 53/08 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
C10L5/10
C10B53/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517064
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 BR2022050317
(87)【国際公開番号】W WO2023039651
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】BR1020210184108
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524102006
【氏名又は名称】テクノルド・ディセンヴォルヴィメント・テクノロジコ・エス・エー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・ロピス・デ・オリヴェイラ
(72)【発明者】
【氏名】ギルヘルメ・フランシスコ・ゴンサウヴェス
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・マイケル・ポッター
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル・アラウージョ・ロヴァッティ
【テーマコード(参考)】
4H012
4H015
【Fターム(参考)】
4H012KA02
4H012KA04
4H015AA10
4H015AB01
4H015BA13
4H015CA03
4H015CB01
(57)【要約】
本発明は、鉄鋼還元炉における使用のための固体凝集体に関する。本文脈において、本発明は、第1の組成物によって形成されるコア(N)と、第2の組成物によって形成されるコーティング(R)とを含む固体凝集体(A)であって、第2の組成物は、鉄鋼炉内部での還元プロセスの間に不活性犠牲材料として作用する少なくとも1種の化合物を含む、固体凝集体(A)を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄鋼還元炉における使用のための固体凝集体(A)であって、
第1の組成物によって形成されるコア(N)と、第2の組成物によって形成されるコーティング(R)とを含み、
前記第2の組成物が、鉄鋼炉内部での還元プロセスの間に不活性犠牲材料として作用する少なくとも1種の化合物を含み、
前記第2の組成物が、非コーキング石炭又はその残留物、及び少なくとも1種の結合剤を含むことを特徴とする、固体凝集体(A)。
【請求項2】
石炭凝集体であることを特徴とする、請求項1に記載の固体凝集体(A)。
【請求項3】
前記コア(N)を形成する前記第1の組成物が、コーキング石炭及び少なくとも1種の結合剤を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の固体凝集体(A)。
【請求項4】
前記コア(N)を形成する前記第1の組成物が、
60~70質量%のコーキング石炭、及び
6~10質量%の結合剤
を含むことを特徴とする、請求項3に記載の固体凝集体(A)。
【請求項5】
前記コーティング(R)を形成する前記第2の組成物が、
70~95質量%の非コーキング石炭、コーク粉砕物又は石炭残留物と、
5~15質量%の結合剤と
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の固体凝集体(A)。
【請求項6】
金属凝集体であることを特徴とする、請求項1に記載の固体凝集体(A)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体凝集体に関する。より詳細には、本発明は、鉄鋼還元炉における使用のための固体凝集体に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄還元方法が行われるところの設備の主な装置のうちの1つは、溶鉱炉と呼ばれ、その機能は、Fe鉄の、そのFe2O3原鉱からの分離を引き起こすことである。この分離は、化学的還元によって行われ、これは、金属をその酸化物から分離することを含み、還元剤を使用して実施される。この還元剤は、操作の条件下で、還元される金属よりも酸素誘引性でなければならない材料である。鉄鋼産業において使用される主な還元剤は、鉱物石炭に由来するコークである。
【0003】
鉄鋼産業は、冶金用石炭にきわめて依存しており、これが、生産される鉄鋼の最終コストの大きい割合を占める。一貫生産されるコーキング鉄鋼製造のための鉱物石炭は、コーキング石炭と呼ばれ、これは鉄原鉱を金属鉄へと還元することにおいて必須の物質であり、その理由は、コーキング石炭が酸素と結合して、二酸化炭素、鉄及びスラグを創製するためである。
【0004】
鉄鋼製造のために一般に使用される石炭の部類は、瀝青炭(軟質石炭)であり、これは、加熱されたときに固体の塊(コーキング石炭)を形成する。他方で、加熱されたときに軟化しない又は凝集しない場合、それは非コーキング石炭と呼ばれる。
【0005】
今日、鉄鋼産業における凝集体の使用がますます一般的になっている。凝集方法は、結合剤の使用を通じて、より大きい製品を得る目的で、微粒材料をグループ化することからなる。この方法を通して、例えば、普通は廃棄される小さい断片を活用して、高品質の金属凝集体又は練炭を得ることが可能である。いくつかの事例では、石炭凝集体はコーキング石炭に置き換えることができ、金属凝集体は鉄原鉱に置き換えることができる。
【0006】
様々な凝集方法の中で、練炭製造技術がこの産業における基礎とされている。この技術は、鉱物石炭と植物石炭との両方で用いることができ、一般に、(i)石炭粒子又はバイオマス粒子を粒度分析的に均衡を取る工程と、(ii)結合剤を混合する(凝集させる)工程と、(iii)機械的に圧縮する工程と、(iv)練炭を乾燥させる工程とを含む。以下の文献は、練炭の例、及びそのそれぞれの生産方法の例を記載している。
【0007】
米国特許第8585786B2号は、例えば、石炭等の固体燃料を練炭製造する方法及びシステムを記載している。この文献では、固体燃料は、連続供給固体燃料処理プラントを通じて運ばれ、電磁エネルギーで処理され、処理後に練炭製造される。
【0008】
文献WO2014098413A1は、練炭及びそれを製造する方法を記載している。練炭を製造する前記方法は、(i)粉砕された石炭を供給する工程と、(ii)粉砕された石炭100質量部に対して、1質量部から5質量部の間の硬化剤と、5質量部から15質量部の間の結合剤とを混合して得られる混合物を製造する工程と、(iii)該混合物を形作る工程とを含む。粉砕された石炭を供給する工程では、粉砕された石炭は、(i)0超~50質量%以下の低い等級の石炭、及び(ii)残りの石炭灰を含む。低い等級の石炭は、25質量%から40質量%の間の揮発性断片(乾燥ベース)を有し、0超~3未満の、るつぼ膨張数を有する。
【0009】
文献WO2013152959A1は、石炭を含有する練炭を製造する方法を記載しており、ここで、結合剤系と一緒の石炭は、蒸気の導入を伴う混合に供され、得られた混合物は加圧形成に供されて練炭を形成する。本明細書では、(i)炭素担体を乾燥させた後に混合する工程と、(ii)結合剤系と混合される炭素担体の温度を設定して、その後、所定の温度範囲において混合する工程と、(iii)加圧形成後に練炭を加熱処理する工程と、のうちの少なくとも1つが、超加熱蒸気との直接な又は非直接な相互作用の手段によって実施される。得られた残留蒸気が、混合中に導入された蒸気のうちの少なくとも一部として使用される。
【0010】
オーストラリア特許第2008203855B2号は、低ランクの石炭と凝集材料とを含む練炭を形成する方法を記載しており、該方法は、低ランクの石炭の供給物を乾燥させて水分含有量が8~16質量%である乾燥石炭を生成する工程と、乾燥石炭を凝集材料と混合する工程と、乾燥石炭と凝集材料との混合物を練炭へと圧縮する工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
上に挙げたように、練炭は、鉄鋼製造炉において鉄原鉱又はその凝集体を還元する方法において使用することができる。しかしながら、事前のコーキング処理なしに炉内で直接使用される場合、これらの練炭は、ひとまとまりに固着することに行き着き、いわゆる「塊」を形成する。その理由は、炉の内部で、熱が練炭の表面を軟化させ、1つの練炭の別の練炭との結合又は原鉱との結合をしやすくするからである。
【0012】
結果として、塊を形成して該方法を実行不可能にするという不利益の下、事前の処理なしに還元炉内部で直接使用されうる練炭等の固体凝集体は、先行技術において存在しない。
【0013】
本明細書で提案されている本発明は、上に記載した先行技術の課題を、単純且つ効率的に解決する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第8585786B2号
【特許文献2】WO2014098413A1
【特許文献3】WO2013152959A1
【特許文献4】オーストラリア特許第2008203855B2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の第1の目的は、事前のコーキング処理を必要としない、鉄鋼製造炉における使用のための固体凝集体を提供することである。
【0016】
本発明の第2の目的は、凝集体が加熱されるときに、炉の内部に凝集体がひとまとまりに固着する(塊を形成する)ことを阻止する、鉄鋼製造炉における使用のための固体凝集体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上に記載した目的を達成するために、本発明は、第1の組成物によって形成されるコアと、第2の組成物によって形成されるコーティングとを含む、鉄鋼還元炉における使用のための固体凝集体であって、第2の組成物は、鉄鋼炉内部での還元プロセスの間に不活性犠牲材料として作用する少なくとも1種の化合物を含む、固体凝集体を提供する。
【0018】
以下に提示される「発明を実施するための形態」は、添付の図面及びそのそれぞれの参照番号を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による固体凝集体の概略断面図を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
最初に、以下の説明が、本発明の好ましい実施形態に基づいていることが留意されるべきである。しかしながら、当業者に明らかとなるように、本発明はこの特定の実施形態に限定されない。
【0021】
したがって、本発明は、鉄鋼還元炉における使用のための、
図1に図示されている固体凝集体Aを提供する。本発明の固体凝集体Aは、第1の組成物によって形成されるコアNと、第2の組成物によって形成されるコーティングRとを含み、コーティングRを形成する第2の組成物は、鉄鋼製造炉内部での還元プロセスの間に不活性犠牲材料として作用する少なくとも1種の化合物を含む。
【0022】
本発明の固体凝集体Aは、例えば、燃料練炭又は金属凝集体、例えばペレット又は第一鉄練炭であり得る。
【0023】
燃料練炭の事例では、好ましくはコアNを形成する第1の組成物は、少なくとも1種のコーキング石炭及び少なくとも1種の結合剤を含む。したがって、Nコア材料は、燃料練炭中で通常使用されるコーキング材料である。より好ましくは、Nコアを形成する第1の組成物は、60~70質量%のコーキング石炭、及び6~10質量%の結合剤を含む。
【0024】
好ましくは、Rコーティングを形成する第2の組成物は、非コーキング石炭又はその残留物、及び少なくとも1種の結合剤を含む。Rコーティング組成物中の石炭は、例えば、一般にコーク粉砕物又は石炭廃棄物、低品質の石炭等であり得る。任意の不活性石炭廃棄物(非コーキング)がRコーティング組成物中で使用され得ることは、ここでは特筆すべきことではない。このように、還元炉内部を加熱するとき、Rコーティング材料はコーキングされず、これは、凝集体の表面同士が固着することを阻止し、結果として塊の形成を阻止する。
【0025】
より好ましくは、Rコーティングを形成する第2の組成物は、70~95質量%の非コーキング石炭、コーク粉砕物、石炭廃棄物、又はこれらの任意の組み合わせ、並びに5~15質量%の結合剤を含む。
【0026】
本発明の第2の実施形態では、固体凝集体Aは、第一鉄ペレット又は練炭等の金属凝集体である。この事例では、不活性材料、好ましくは金属は、凝集体のRコーティング中で使用されて犠牲材料として作用する。コアNは、対象の材料によって形成されると考えられる。
【0027】
本発明の固体凝集体Aは、本発明の保護の範囲が
図1に示される楕円形状に限定されないように、任意の既存の幾何形状において製造することができる。
【0028】
そのため、上に説明しているように、本発明は、固体凝集体Aが加熱されるときに、炉の内部で、コーティング中の犠牲材料が、凝集体がひとまとまりに固着する(塊を形成する)ことを阻止するために、事前のコーキング処理を必要としない、鉄鋼製造炉における使用のための固体凝集体Aを提供する。
【0029】
本出願の保護の範囲において多数のバリエーションが許容される。このことは、本発明が上に記載した特定の構造/実施形態に限定されないという事実を強固にする。
【符号の説明】
【0030】
A 固体凝集体
N コア
R コーティング
【国際調査報告】