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特表2024-531788コンディショニングシャンプー組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】コンディショニングシャンプー組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20240822BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 8/892 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20240822BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240822BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/891
A61K8/892
A61K8/894
A61K8/898
A61Q5/02
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517066
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2022075362
(87)【国際公開番号】W WO2023046529
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】21198036.2
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【弁理士】
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】エカニ・ノコド,アクセル・エルヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ハマー,ベサニー・レベッカ・ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】モガダム,アラシュ・モハジャー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC172
4C083AC542
4C083AC792
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB07
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
4C083EE28
(57)【要約】
本発明は、リンスオフ組成物の分野にあり、特に、改善されたヘアコンディショニングおよびスタイリング特性のためのシャンプー組成物に関する。重く脂っぽい感触を低減しながら、乾燥後の毛髪のための低摩擦および梳きやすさなどのコンディショニング特性を改善することが絶えず必要とされている。本発明の目的は、例えばシリコーンなどのコンディショニング剤を増加させることなく、単一の組成物から改善されたヘアコンディショニングおよびスタイリング特性を提供することができるヘアトリートメント組成物を提供することである。シリコーンと組み合わせて特定の感圧接着剤を使用することにより、ヘアコンディショニングおよびスタイリング特性を改善することができることが分かった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a 1重量%~50重量%の1つ以上のクレンジング界面活性剤;
b 0.1重量%~5重量%の感圧接着剤であって、
i 少なくとも4個の炭素を有する側鎖を有するアクリル基;および
ii A C~C側鎖アクリル
を含むランダムコポリマーである、感圧接着剤;ならびに
c 0.5重量%~3重量%のシリコーン
を含む、ヘアクレンジング組成物。
【請求項2】
感圧接着剤とシリコーンとを4:1~1:4の比で含む、請求項1に記載のヘアクレンジング組成物。
【請求項3】
前記界面活性剤が、アニオン性、非イオン性、両性、双性イオン性化合物またはそれらの混合物から選択される、請求項1に記載のヘアクレンジング組成物。
【請求項4】
前記アクリル基が、アクリル酸ブチルまたはアクリル酸2-エチルヘキシルである、請求項1に記載のヘアクレンジング組成物。
【請求項5】
前記C~C側鎖アクリルが、アクリル酸、メタクリル酸またはメタクリル酸ブチルのうちの1つ以上から選択される、請求項1に記載のヘアクレンジング組成物。
【請求項6】
感圧接着剤とシリコーンとを3:1~1:3の比で含む、請求項1に記載のヘアクレンジング組成物。
【請求項7】
感圧接着剤とシリコーンとを2:1~1:2の比で含む、請求項1に記載のヘアクレンジング組成物。
【請求項8】
50~98重量%の水を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のヘアクレンジング組成物。
【請求項9】
毛髪上の乾燥摩擦の低減を改善するためのシリコーンを含むシャンプー組成物中における少なくとも4個の炭素を有する側鎖を有するアクリル基およびC~C側鎖アクリルを含む感圧接着剤の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンスオフ組成物の分野にあり、特に、改善されたヘアコンディショニングおよびスタイリング特性のためのシャンプー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人毛の触感は、シャンプー、ヘアコンディショナー、およびヘアスタイリング剤を設計する際の最も重要な因子の1つである。多くの顧客にとって、柔らかくさらさらの人毛が望ましい。したがって、毛髪の触感および摩擦特性は、ヘアケア製品による処置後に絶えず評価される。
【0003】
様々な物理現象が人毛の触感に影響を与える。例えば、脱色などの活動によって毛髪の摩擦が増加し、髪を梳く間に障害を引き起こし、不健康に見える毛髪をもたらす。毛髪組成物中のコンディショニング剤の使用は、毛髪表面に吸着されて滑らかな感触を誘発するので、濡れたときに毛髪を梳きやすくし、乾燥したときに毛髪をより扱いやすくする。一般的に使用されるコンディショニング剤としては、カチオン性界面活性剤およびポリマー、高融点脂肪化合物、低融点油、シリコーン化合物、およびそれらの混合物が挙げられる。シリコーンは周知であり、好ましいコンディショニング剤の1つである。しかしながら、より良好なコンディショニングを達成するために毛髪組成物中のシリコーン濃度を増加させることは、製品の使用者にとって望ましくない、重く、コーティングされた感触の一因となり得る。
【0004】
重く脂っぽい感触を低減しながら、乾燥後の毛髪のための低摩擦および梳きやすさなどのコンディショニング特性を改善することが絶えず必要とされている。
【0005】
感圧接着剤(PSA)は、米国特許第5166276号明細書、欧州特許第412707号明細書および欧州特許第412704号明細書に記載されているようにヘアケア組成物に使用されている。感圧接着剤は、ヘアスタイル保持の利益を提供することが知られている。
【0006】
本発明の目的は、改善されたヘアコンディショニングおよびスタイリング特性を提供することができるヘアトリートメント組成物を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、シャンプー組成物である単一の組成物からヘアコンディショニングおよびスタイリング特性を提供することである。
【0008】
本発明のさらに別の目的は、例えばシリコーンなどのコンディショニング剤を増加させることなく低摩擦を改善することができるヘアトリートメント組成物を提供することである。
【0009】
驚くべきことに、シリコーンと組み合わせて特定の感圧接着剤を使用することにより、ヘアコンディショニングおよびスタイリング特性を改善することができることが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5166276号明細書
【特許文献2】欧州特許第412707号明細書
【特許文献3】欧州特許第412704号明細書
【発明の概要】
【0011】
したがって、第1の態様では、本発明は、1重量%~50重量%の1つ以上のクレンジング界面活性剤;0.1重量%~5重量%の感圧接着剤であって、少なくとも4個の炭素を有する側鎖を有するアクリル基およびC~C側鎖アクリルを含むランダムコポリマーである、感圧接着剤;ならびに0.5重量%~3重量%のシリコーンを含むヘアクレンジング組成物を提供する。
【0012】
第2の態様では、本発明は、毛髪上の乾燥摩擦の低減を改善するためのシリコーンを含むシャンプー組成物中に、少なくとも4個の炭素を有する側鎖を有するアクリル基およびC~C側鎖アクリルを含む感圧接着剤の使用を提供する。
【0013】
これらおよび他の態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読むことによって当業者には明らかになるであろう。疑念を避けるために、本発明の一態様の任意の特徴は、本発明の任意の他の態様で利用することができる。「含む(comprising)」という語は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」、または「で構成される(composed of)」を意味することを意図していない。言い換えれば、列挙された工程または選択肢は網羅的である必要はない。以下の説明で与えられる実施例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図していないことに留意されたい。同様に、別段の指示がない限り、すべての百分率は重量/重量百分率である。操作例および比較例を除いて、または別段に明示されている場合を除いて、材料の量もしくは反応の条件、材料の物理的特性および/または使用を示す本明細書のすべての数字は、「約」という語によって修飾されると理解されるべきである。「x~y」の形式で表される数値範囲は、xおよびyを含むと理解される。特定の特徴について、複数の好ましい範囲が「x~y」の形式で記載されている場合、異なる終点を組み合わせたすべての範囲も企図されることが理解される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の態様では、本発明は、感圧接着剤およびシリコーンを含むヘアクレンジング組成物に関する。
【0015】
感圧接着剤
「感圧接着剤」(PSA)材料は、室温で恒久的に粘着性であり、単に接触するかまたは軽い圧力を加えることによって表面に測定可能な接着性を発現することができる。
【0016】
アクリルPSAは、少なくとも4個の炭素を有する側鎖(例えば、アクリル酸n-ブチルまたはアクリル酸2-エチルヘキシル)を有し、低いガラス転移温度Tgを有するアクリル基と、Tgを調整するためのアクリル酸メチルなどの短側鎖アクリルと、接着性を改善し、伸長特性(すなわち、一軸延伸における変形に対するそれらの機械的応答)を最適化するためのアクリル酸とを含むランダムコポリマーである。Tgを調整し、散逸特性を最適化するために本質的に必要な、粘着付与剤などの小分子添加剤が含められてもよい。
【0017】
本発明の感圧接着剤は、
i 少なくとも4個の炭素を有する側鎖を有するアクリル基;および
ii C~C側鎖アクリル
を含む、ランダムコポリマーである。
【0018】
少なくとも4個の炭素を有する側鎖を有するアクリル基の例としては、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸イソオクチルおよびアクリル酸ドデシルが挙げられる。
【0019】
好ましい4個以上の炭素を有する側鎖を有するアクリル基は、アクリル酸ブチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルである。
【0020】
~C側鎖アクリルの例としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸およびメタクリル酸ブチルが挙げられる。
【0021】
好ましいC~C側鎖アクリルは、アクリル酸、メタクリル酸またはメタクリル酸ブチルの1つ以上から選択される。
【0022】
適切な水媒性アクリル感圧接着剤としては、Dow Corning PA-0560、Dow Corning PA-0580、Dow Corning MG-0560、Dow Corning MG-0580、National Starch and Chemical製のNACOR 38-088A、Dow製のAcudyne MD-5800、Dow製のAcudyne MD-5600、Ichemco srl製のTackwhite NA 55、Ichemco srl製のTackwhite A 4 MED、BASF AG製のAcronal 80 D、BASF AG製のAcronal 85 D、BASF AG製のAcronal A220、BASF AG製のAcronal N 285、BASF AG製のAcronal V 210およびBASF AG製のAcronal V212が挙げられる。
【0023】
特に好ましいアクリル感圧性材料としては、Dow製のAcudyne MD-5800およびDow製のAcudyne MD-5600(RODERM(商標)MD 5600)が挙げられ、最も好ましくは、RODERM(商標)MD 5600である。
【0024】
本発明の感圧接着剤は、好ましくは、10Pa~10Paの動的貯蔵(G’)値を有する。
【0025】
本発明の感圧接着剤は、好ましくは、10Pa~10Paの散逸(G”)値を有する。
【0026】
感圧接着剤のガラス転移温度は、好ましくは-100℃~20℃、より好ましくは-80℃~0℃、最も好ましくは-60℃~-30℃である。
【0027】
感圧接着剤は、クレンジング組成物中に、全組成物の0.1重量%~5重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも1重量%、さらにより好ましくは少なくとも1.8重量%であるが、典型的には4重量%以下、より好ましくは3重量%以下、さらにより好ましくは2重量%以下の濃度で存在する。
【0028】
シリコーン
本発明で使用されるシリコーンには、コンディショニング剤としてヘアトリートメント組成物に使用されるかまたは使用可能なシリコーンのいずれかが含まれる。
【0029】
適切なシリコーンとしては、ポリジオルガノシロキサン、特にCTFA名称ジメチコンを有するポリジメチルシロキサンが挙げられる。また、CTFA名称ジメチコノールを有する、ヒドロキシル末端基を有するポリジメチルシロキサンも、本発明の組成物(特にシャンプーおよびコンディショナー)に使用するのに適している。また、例えば国際公開第96/31188号に記載されているように、わずかな架橋度を有するシリコーンガムも、本発明の組成物に使用するのに適している。
【0030】
シリコーン自体(エマルジョンまたは最終的なヘアコンディショニング組成物ではない)の粘度は、典型的には、25℃で350~200,000,000mm sec-1である。好ましくは、粘度は、25℃で少なくとも5,000mm sec-1、より好ましくは少なくとも10,000mm sec-1である。好ましくは、粘度は、20,000,000mm sec-1、より好ましくは10,000,000mm sec-1、最も好ましくは5,000,000mm sec-1を超えない。
【0031】
粘度は、一般に、シリコーンの供給業者によって、測定されるかまたはそれらの分子量から推定されるかのいずれかで提供される。
【0032】
本発明で使用されるシリコーンには、官能化シリコーンも含まれ得る。適切な官能化シリコーンとしては、アミノ-、カルボキシ-、ベタイン-、第四級アンモニウム-、炭水化物-、ヒドロキシ-およびアルコキシ-置換シリコーンが挙げられる。好ましくは、官能化シリコーンは、複数の置換を含有する。
【0033】
疑念を避けるために、ヒドロキシル置換シリコーンに関して、ヒドロキシル末端基のみを有するポリジメチルシロキサン(CTFA名称ジメチコノールを有する)は、本発明の定義内の官能化シリコーンとはみなされない。しかしながら、ポリマー鎖に沿ってヒドロキシル置換を有するポリジメチルシロキサンは、官能化シリコーンとみなされる。
【0034】
本発明の組成物に含めるための官能化シリコーンの好ましいクラスは、アミノ官能性シリコーンである。「アミノ官能性シリコーン」とは、少なくとも1つの第一級、第二級もしくは第三級アミン基または第四級アンモニウム基を含有するシリコーンを意味する。
【0035】
適切なアミノ官能性シリコーンの例としては、CTFA名称「アモジメチコン」を有するポリシロキサンが挙げられる。
【0036】
本発明での使用に適したアミノ官能性シリコーンの具体例は、アミノシリコーン油DC2-8220、DC2-8166、DC2-8466およびDC2-8950-114(すべてDow Corning製)、ならびにGE 1149-75(General Electric Silicones製)である。適切な第四級シリコーンポリマーは、欧州特許出願公開第0530974号明細書に記載されている。好ましい第四級シリコーンポリマーは、Goldschmidt製のK3474である。
【0037】
別の好ましい官能性シリコーンは、アルコキシ置換シリコーンである。そのような分子は、シリコーンコポリオールとして公知であり、シリコーンポリマー骨格に、場合によりアルキル連結基を介して結合した1つ以上のポリエチレンオキシド基またはポリプロピレンオキシド基を有する。
【0038】
本発明の組成物に有用なシリコーンコポリオールのタイプの例は、以下に示される一般式:
Si(CH[O-Si(CH)(A)]-[O-Si(CH)(B)]-O-Si(CH
による分子構造を有する。
【0039】
この式中、Aは、1~22個、好ましくは4~18個、より好ましくは10~16個の炭素原子を有するアルキレン鎖である。Bは、構造:-(R)-(EO)(PO)-OHを有する基であり、式中、Rは、連結基、好ましくは1~3個の炭素原子を有するアルキレン基である。好ましくは、Rは、-(CH-である。rおよびsの平均値は、5以上、好ましくは10以上、より好ましくは15以上である。rおよびsの平均値が100以下である場合が好ましい。式中、pの値は、適切には10以上、好ましくは20以上、より好ましくは50以上、最も好ましくは100以上である。qの値は、適切には1~20であり、比p/qは、好ましくは10以上、より好ましくは20以上である。p+qの値は、11~500、好ましくは50~300の数である。
【0040】
適切なシリコーンコポリオールは、10以下、好ましくは7以下、より好ましくは4以下のHLBを有する。適切なシリコーンコポリオール材料は、DC5200であり、ラウリルPEG/PPG-18/18メチコン(INCI名)として公知であり、Dow Corningから入手可能である。
【0041】
アミノ官能性シリコーンと非官能性シリコーンとの組み合わせを使用することが好ましい。特に、シリコーンがシリコーン油ブレンドである場合、シリコーン油ブレンドが、
(i)少なくとも200,000ダルトンの分子量を有するポリジメチルシロキサンガムのシリコーン油の総重量の50~95重量%、および
(ii)200,000ダルトン未満の分子量を有するアミノ官能化ポリジメチルシロキサンである第2のシリコーンのシリコーン油の総重量の5~50重量%
を含む場合が好ましい。
【0042】
このようなブレンドに適したアミノ官能化シリコーンは、欧州特許出願公開第455,185号明細書(Helene Curtis)に記載されている。
【0043】
本発明の組成物に有用な市販のアミノ官能化シリコーンの例は、Dow Corningから入手可能なDC-8220であり、これは、25℃で150mm-1の粘度および2.0%のモルパーセントアミン官能性を有する。
【0044】
シリコーンは、流体として組成物に添加され、その後乳化されてもよいが、加工を容易にするために予め形成されたエマルジョンとして添加されることが好ましい。
【0045】
アミノ官能性シリコーンの予め形成されたエマルジョンは、Dow CorningおよびGeneral Electricなどのシリコーン油の供給業者からも入手可能である。具体例としては、DC939 Cationic Emulsionならびに非イオン性エマルジョンDC2-7224、DC2-8467、DC2-8177およびDC2-8154(すべてDow Corning製)が挙げられる。
【0046】
本発明で使用されるシリコーンには、一般式(RSiO3/2を有する、モノマー単位のシルセスキオキサンを含み、
式中、n=1であり;
Rは、アルキル基、好ましくはメチル、エチルまたはプロピル、より好ましくはメチルであり;
および、ポリジアルキルシロキサンのコポリマーセグメントを含み、アルキル基が好ましくはメチルであり、末端基が好ましくは-OHであり;最も好ましいポリジアルキルシロキサンがジメチコノールである、
非線形の、好ましくは分岐のオルガノポリシロキサンが含まれる。
【0047】
本発明で使用されるシリコーンには、シクロメチコンも含まれ得る。
【0048】
シリコーンは、組成物中に、組成物の0.1~3重量%、好ましくは少なくとも0.25重量%、より好ましくは少なくとも0.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.75重量%、さらにより好ましくは少なくとも1重量%であるが、典型的には2.9重量%以下、好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらにより好ましくは1.5重量%以下の濃度で存在し得る。
【0049】
本発明によるクレンジング組成物は、感圧接着剤とシリコーンとを4:1~1:4の比で含む。
【0050】
シャンプー
本発明のシャンプー組成物は、一般に、水性であり、すなわち、それらの主成分として水もしくは水溶液またはリオトロピック液晶相を有する。
【0051】
適切には、シャンプー組成物は、組成物の総重量に基づいて、50~98重量%、好ましくは60~92重量%の水を含む。
【0052】
界面活性剤は、それらが溶解している水溶液の表面張力を低下させるように作用する親水性部分および疎水性部分を有する化合物である。本発明によるシャンプー組成物は、一般に、化粧品として許容され、毛髪への局所塗布に適した1つ以上のクレンジング界面活性剤を含む。クレンジング界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、両性および双性イオン性化合物ならびにそれらの混合物から選択され得る。
【0053】
本発明で使用するためのシャンプー組成物中のクレンジング界面活性剤の総量は、組成物の総重量に基づいて、一般に、1~50重量%、好ましくは2~40重量%、より好ましくは4~25重量%の界面活性剤総量である。
【0054】
クレンジング界面活性剤の非限定的な例としては、アニオン性クレンジング界面活性剤が挙げられ、これは、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルカリールスルホネート、N-アルキルサルコシネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート、アシルアミノ酸系界面活性剤、アルキルエーテルカルボン酸、アシルタウレート、アシルグルタメート、アルキルグリシネートおよびそれらの塩、特にそれらのナトリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩ならびにモノ-、ジ-およびトリエタノールアミン塩を含む。先のリストのアルキル基およびアシル基は、一般に、8~18個、好ましくは10~16個の炭素原子を含有し、不飽和であってもよい。アルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルホスフェートおよびアルキルエーテルカルボン酸ならびにそれらの塩は、1分子あたり1~20個のエチレンオキシド単位またはプロピレンオキシド単位を含有し得る。
【0055】
クレンジング界面活性剤のさらなる非限定的な例としては、アルキレンオキシド、通常はエチレンオキシドを有し、一般に6~30個のエチレンオキシド基を有する脂肪族(C~C18)第一級または第二級の直鎖または分岐鎖アルコールを含む、非イオン性クレンジング界面活性剤が挙げられ得る。他の代表的なクレンジング界面活性剤としては、モノ-またはジ-アルキルアルカノールアミド(例としては、ココモノエタノールアミドおよびココモノイソプロパノールアミドが挙げられる)ならびにアルキルポリグリコシド(APG)が挙げられる。本発明での使用に適したアルキルポリグリコシドは市販されており、例えば、BASF製のPlantapon 1200およびPlantapon 2000として特定される材料が挙げられる。本発明で使用するための組成物に含めることができる他の糖由来界面活性剤としては、C10~C18N-アルキル(C~C)ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、例えば国際公開第9206154号および米国特許第5194639号明細書に記載のC12~C18N-メチルグルカミド、ならびにN-アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミド、例えばC10~C18N-(3-メトキシプロピル)グルカミドが挙げられる。
【0056】
クレンジング界面活性剤のさらなる非限定的な例としては、アルキル基およびアシル基が8~19個の炭素原子を有する、アルキルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン(スルタイン)、アルキルグリシネート、アルキルカルボキシグリシネート、アルキルアンホアセテート、アルキルアンホプロピオネート、アルキルアンホグリシネート、アルキルアミドプロピルヒドロキシスルタイン、アシルタウレートおよびアシルグルタメートを含む、両性または双性イオン性クレンジング界面活性剤が挙げられ得る。
【0057】
本発明で使用するためのシャンプー組成物に使用するための典型的なクレンジング界面活性剤としては、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルイセチオン酸ナトリウム、ラウリルエーテルカルボン酸およびN-ラウリルサルコシン酸ナトリウム、パレス硫酸ナトリウム、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ココベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウムが挙げられる。
【0058】
好ましいクレンジング界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(n)EO(式中、nは1~3である)、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム(n)EO(式中、nは1~3である)、ココイルイセチオン酸ナトリウムおよびラウリルエーテルカルボン酸、ココベタイン、コカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウムである。
【0059】
前述のアニオン性、非イオン性および両性クレンジング界面活性剤のいずれかの混合物も適切であり得、好ましくは、第1の界面活性剤と第2の界面活性剤との比は、シャンプー組成物中のクレンジング界面活性剤の含有重量に基づいて、1:1~10:1、より好ましくは2:1~9:1、最も好ましくは3:1~8:1である。
【0060】
場合により、本発明で使用するためのシャンプー組成物は、性能および/または消費者の受容性を高めるために、さらなる成分(その非限定的な例を以下に記載する)を含有してもよい。
【0061】
カチオン性ポリマーは、コンディショニング性能を高めるために本発明で使用するためのシャンプー組成物中の好ましい成分である。
【0062】
適切なカチオン性ポリマーは、カチオン置換されたホモポリマーであってもよく、または2タイプ以上のモノマーから形成されてもよい。ポリマーの重量平均(M)分子量は、一般に、100000~3百万ダルトンである。ポリマーは、第四級アンモニウム基もしくはプロトン化アミノ基、またはそれらの混合物などのカチオン性窒素含有基を有する。ポリマーの分子量が低すぎる場合、コンディショニング効果は不十分である。高すぎる場合、吐出されたときに組成物の曳糸性をもたらす高い延伸粘度が問題になり得る。
【0063】
カチオン性窒素含有基は、一般に、カチオン性ポリマーの全モノマー単位の一部に置換基として存在する。したがって、ポリマーがホモポリマーでない場合、カチオン性窒素含有基は、スペーサーの非カチオン性モノマー単位を含有することができる。このようなポリマーは、CTFA Cosmetic Ingredient Directory第3版に記載されている。カチオン性モノマー単位と非カチオン性モノマー単位との比は、一般に0.2~3.0meq/gmである、必要な範囲のカチオン電荷密度を有するポリマーを与えるように選択される。ポリマーのカチオン電荷密度は、米国薬局方に記載されているケルダール法によって、窒素決定のための化学試験下で適切に決定される。
【0064】
適切なカチオン性ポリマーとしては、例えば、カチオン性アミン官能基または第四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと、水溶性スペーサーモノマー、例えば(メタ)アクリルアミド、アルキルおよびジアルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクトンおよびビニルピロリジンとのコポリマーが挙げられる。アルキルおよびジアルキル置換モノマーは、好ましくはC1~C7アルキル基、より好ましくはC1~3アルキル基を有する。他の適切なスペーサーとしては、ビニルエステル、ビニルアルコール、無水マレイン酸、プロピレングリコールおよびエチレングリコールが挙げられる。
【0065】
カチオン性アミンは、組成物の特定の種およびpHに応じて、第一級、第二級または第三級アミンであり得る。一般に、第二級および第三級アミン、特に第三級アミンが好ましい。
【0066】
アミン置換ビニルモノマーおよびアミンは、アミン形態で重合し、次いで四級化によってアンモニウムに変換することができる。
【0067】
カチオン性ポリマーは、アミン-および/または四級アンモニウム置換モノマーおよび/または相溶性スペーサーモノマーに由来するモノマー単位の混合物を含むことができる。
【0068】
適切な(非限定的な例の)カチオン性ポリマーには、以下が含まれる:
例えば、業界(CTFA)でそれぞれPolyquaternium 6およびPolyquaternium 7と呼ばれる、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマーおよびアクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドとのコポリマーを含む、カチオン性ジアリル第四級アンモニウム含有ポリマー;
3~5個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸のホモポリマーおよびコポリマーのアミノ-アルキルエステルの鉱酸塩(米国特許第4,009,256号明細書に記載されている);
カチオン性ポリアクリルアミド(国際公開第95/22311号に記載されている)。
【0069】
使用することができる他のカチオン性ポリマーとしては、カチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体およびカチオン性グアーガム誘導体などのカチオン性多糖ポリマーが挙げられる。
【0070】
本発明で使用するための組成物に使用するのに適したカチオン性多糖ポリマーは、一般式:
A-O-[R-N(R)(R)(R)X
のモノマーを含み、
式中、Aは、デンプンまたはセルロース無水グルコース残基などの無水グルコース残基である。Rは、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基もしくはヒドロキシアルキレン基、またはそれらの組み合わせである。R、RおよびRは、独立して、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基またはアルコキシアリール基を表し、各基は約18個までの炭素原子を含有する。各カチオン性部分の炭素原子の総数(すなわち、R、RおよびRの炭素原子の合計)は、好ましくは約20個以下であり、Xは、アニオン性対イオンである。
【0071】
別のタイプのカチオン性セルロースとしては、Polyquaternium 24と業界(CTFA)で呼ばれる、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースのポリマー第四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの材料は、Amerchol Corporationから、例えばPolymer LM-200の商品名で入手可能である。
【0072】
他の適切なカチオン性多糖ポリマーとしては、(例えば、米国特許第3,962,418号明細書に記載されているような)第四級窒素含有セルロースエーテルおよび(例えば、米国特許第3,958,581号明細書に記載されているような)エーテル化セルロースとデンプンとのコポリマーが挙げられる。そのような材料の例としては、一般に業界(CTFA)でPolyquaternium 10と呼ばれる、Dow製のポリマーLRおよびJRシリーズが挙げられる。
【0073】
使用することができる特に適切なタイプのカチオン性多糖ポリマーは、グアーヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(RhodiaからJAGUAR商標シリーズで市販されている)などのカチオン性グアーガム誘導体である。そのような材料の例は、JAGUAR C13S、JAGUAR C14およびJAGUAR C17である。
【0074】
上記のカチオン性ポリマーのいずれかの混合物が使用されてもよい。
【0075】
カチオン性ポリマーは、一般に、本発明で使用するためのシャンプー組成物中に、組成物の総重量に基づいて、0.01~5重量%、好ましくは0.02~1重量%、より好ましくは0.05~0.8重量%のカチオン性ポリマーのレベルで存在する。
【0076】
別段の指示がない限り、本明細書で言及される比率、百分率、部などは重量基準である。
【0077】
その他の成分
本発明の組成物は、性能および/または消費者の受容性を高めるために、さらなる任意の成分を含有してもよい。そのような成分の例としては、芳香剤、染料および顔料が挙げられる。これらの成分の各々は、その目的を成し遂げるのに有効な量で存在する。一般に、これらの任意成分は、(組成物の総重量に基づいて、重量基準で)5%までの量で個々に含まれる。
【0078】
本発明の組成物は、主に、毛髪および頭皮への局所塗布を意図している。
【0079】
最も好ましくは、本発明の組成物は、毛髪に局所的に塗布され、次いで毛髪および頭皮に擦り込まれる。本組成物は、次いで、毛髪を乾燥させる前に、水で毛髪および頭皮からすすぎ落とされる。
【0080】
第2の態様では、本発明は、毛髪上の乾燥摩擦の低減を改善するためのシリコーンを含むシャンプー組成物中に、少なくとも4個の炭素を有する側鎖を有するアクリル基およびC~C側鎖アクリルを含む感圧接着剤の使用に関する。
【0081】
本発明を、以下の非限定的な実施例によってさらに説明する。
【0082】
[実施例]
実施例1:乾燥摩擦に対するPSAおよびシリコーンを含むシャンプー組成物の効果
PSAおよびシリコーンを含むリンスオフ水性ヘアクレンジングシャンプー配合物を調製し、シリコーンまたはPSAのいずれかを含有するシャンプー配合物と比較した。
【0083】
調製した配合物をヘアスイッチ(hair switch)に使用し、摩擦を測定した。
【0084】
テクスチャアナライザーを使用して摩擦を測定し、乾燥摩擦値を得た。
【0085】
摩擦測定方法論
すべての摩擦測定は、20度および50% RHの制御条件下で行った。
【0086】
摩擦は、英国サリー州のStable Micro Systemsによって供給されるTA.XT2i Texture Analyserを使用して測定した。摩擦プローブは、ゴム材料でコーティングされたステンレス鋼シリンダであった。摩擦接触部の荷重は約560gであった。使用時に、約1.0cmの、摩擦プローブと毛髪との間の接触面積を達成した。
【0087】
試験コンディショナーで処置した毛髪の摩擦特性を評価するために使用した方法論は以下の通りであった:
毛髪のスイッチをテクスチャアナライザーにしっかりと取り付け、毛髪繊維を平らな構成に固定する前に梳くことによって整列させた。摩擦プローブを毛髪上に置き、10mms-1の速度で毛髪に沿って移動させて、プローブと毛髪との間の摩擦を測定した。
【0088】
以下に報告される摩擦値は、キューティクルと共におよびキューティクルに抗してプローブが移動した全距離にわたって測定された全摩擦力を積分することによって得られる、g.mm単位の摩擦ヒステリシスの値である。スイッチごとに2回の測定を実施し(ヘアスイッチの上方向に1回、下方向に1回)、配合物ごとに5個のスイッチを試験した。報告された値は、1処置あたりのこれらの10個の読み値から得られた平均値である。
【0089】
【表1】
【0090】
上記の表は、PSAおよびシリコーンの両方を含むシャンプー組成物が、シリコーンまたはPSAのいずれかを含有するシャンプー配合物と比較した場合、改善された摩擦低減を示すことを示す。
【0091】
以下の表は、様々な比でPSAおよびシリコーンを含むシャンプー組成物を示す。
【0092】
【表2】
【国際調査報告】