(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】多層電池用セパレータ
(51)【国際特許分類】
H01M 50/457 20210101AFI20240822BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20240822BHJP
H01M 50/429 20210101ALI20240822BHJP
H01M 50/411 20210101ALI20240822BHJP
H01M 50/44 20210101ALI20240822BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20240822BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20240822BHJP
【FI】
H01M50/457
H01M50/414
H01M50/429
H01M50/411
H01M50/44
H01M50/489
H01M50/403 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517138
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 US2022043543
(87)【国際公開番号】W WO2023043847
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521190440
【氏名又は名称】エスダブリュエム ホルコ ルクセンブルク
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モーティン、ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ベロアード、クリステル
(72)【発明者】
【氏名】ル・ノザヒック、アクセル
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021BB12
5H021CC01
5H021CC04
5H021EE01
5H021EE05
5H021EE11
5H021HH00
5H021HH01
5H021HH03
(57)【要約】
電池用セパレータ及びそのようなセパレータの製造方法が提供される。セパレータは、Zn/MnO2電池等の各種アルカリ電池に用いることが可能である。アルカリ電池用セパレータは、ポリビニルアルコール繊維の第1の層、セルロースまたはセルロース誘導体の第2の層、及び水溶性ポリマーを含む第3の層を含む。バッテリーセパレータは、望ましい湿潤イオン抵抗、坪量、及び吸収性能を維持しながら、閉塞を軽減するために孔径が縮小されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコール繊維を含む第1の層と、
セルロースまたはセルロース誘導体を含む第2の層と、
水溶性ポリマーを含む第3の層とを含む、アルカリ電池用セパレータ。
【請求項2】
前記第3の層がセルロースゲルをさらに含む、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項3】
前記第3の層が、ポリビニルアルコール及び微結晶セルロースゲルの混合物を含む、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項4】
前記第3の層が界面活性剤を含む、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項5】
前記第3の層が、前記第2の層の第1の面に接着されたコーティングを含む、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項6】
前記第2の層が第2の面を備え、前記第1の層が前記第2の面に接着されている、請求項5に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項7】
前記第3の層の前記混合物が、約50%のポリビニルアルコール及び約50%の微結晶セルロースゲルを含む、請求項3に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項8】
前記第3の層の坪量が約0.1g/m
2~約10.0g/m
2であるように構成される、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項9】
前記第3の層の坪量が約2.5g/m
2~約7.5g/m
2であるように構成される、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項10】
前記第3の層が、約2.5g/m
2のポリビニルアルコール及び微結晶セルロースゲルの50:50の比率による混合物であるように構成される、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項11】
前記第1の層が、ポリビニルアルコールと、
リヨセル繊維、溶解パルプ、マーセル化パルプまたはそれらの組み合わせのうちの1つとの混合物を含む、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項12】
前記第1の層が、約55重量%のポリビニルアルコール及び約45重量%のリヨセル繊維を含む、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項13】
前記第1の層が、約40%の非水溶性ポリビニル繊維及び約15%の水溶性ポリビニル繊維を含む、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項14】
前記第1層の坪量が約15g/m
2~約30g/m
2であるように構成される、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項15】
前記第2の層が、セルロース繊維、セルロースナノフィラメント、またはミクロフィブリル化セルロース繊維を含む、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項16】
前記第2の層が、リヨセル繊維、溶解パルプ、マーセル化パルプ、またはそれらの組み合わせのうちの1つを含む、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項17】
前記第2の層の坪量が約0.5g/m
2~約15g/m
2であるように構成される、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項18】
前記第2の層の坪量が約2.5g/m
2~約10g/m
2であるように構成される、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項19】
前記第2の層の坪量が約5.0g/m
2であるように構成される、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項20】
前記セパレータの最大孔径が約0.1μm未満であるように構成される、請求項3に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項21】
イオン抵抗が約50ミリオーム/cm
2未満であるように構成される、請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項22】
前記セパレータの最大孔径が約0.075μm未満であるように構成される、請求項3に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項23】
イオン抵抗が約37.5ミリオーム/cm
2未満であるように構成される、請求項3に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項24】
請求項1に記載のアルカリ電池用セパレータを含む電池。
【請求項25】
ポリビニルアルコール繊維及びセルロースまたはセルロース誘導体を含む少なくとも1つの層と、
水溶性ポリマーを含む前記少なくとも1つの層に接着されたコーティングとを含み、
約1.0μm未満の最大孔径を有するアルカリ電池用セパレータ。
【請求項26】
前記少なくとも1つの層がリヨセル繊維をさらに含む、請求項25に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項27】
前記少なくとも1つの層が微結晶セルロースをさらに含む、請求項25に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項28】
前記セパレータが約50ミリオーム/cm
2未満のイオン抵抗を有する、請求項25に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項29】
前記セパレータが約37.5ミリオーム/cm
2未満のイオン抵抗を有する、請求項25に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項30】
前記セパレータが約0.55μm未満の最大孔径を有する、請求項25に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項31】
前記コーティングがポリビニルアルコールを含み、前記セパレータが約0.2μm未満の最大孔径を有する、請求項25に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項32】
前記コーティングが微結晶セルロースをさらに含み、前記セパレータが約0.1μm未満の最大孔径を有する、請求項31に記載のアルカリ電池用セパレータ。
【請求項33】
請求項25に記載のアルカリ電池用セパレータを含む電池。
【請求項34】
アルカリ電池用セパレータの製造方法であって、
ポリビニルアルコール繊維を含む第1の層を形成するステップと、
セルロースまたはセルロース誘導体を含む第2の層を形成するステップと、
前記第1の層または前記第2の層の一方を、水溶性ポリマーを含む第3の層でコーティングするステップとを含む方法。
【請求項35】
前記第1の層が、ポリビニルアルコールと、
リヨセル繊維、溶解パルプ、マーセル化パルプ、またはそれらの組み合わせのうちの1つとの混合物を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
湿式堆積法により前記第2の層を形成するべく、リヨセル繊維を前記第1の層上に排出するステップをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記第2の層は、第1の面と、
前記第1の面に対向する第2の面とを有し、
前記コーティングが前記第1の面上に形成される、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の層が第2の面に接着される、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の層が湿式堆積される、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記第3の層がセルロースゲルをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
前記第3の層が、ポリビニルアルコール及び微結晶セルロースゲルの混合物を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
前記第3の層が界面活性剤を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
前記コーティングは、バーコーティングまたはプレスコーティングにより塗布される、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
請求項34に記載の方法により形成された電池用セパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2021年9月17日に出願された米国特許仮出願第63/245,345号の利益を主張し、その開示内容は、ここで参照することにより、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本分野は一般に、電池用セパレータ及びそのようなセパレータを製造する方法に関し、より詳細には、孔径が縮小された多層アルカリ電池用セパレータに関する。
【背景技術】
【0003】
アルカリ電池用のセパレータ紙は、電極間の機械的な障壁として機能し、短絡を防止すると同時に、細孔内の電解質を介してイオン輸送を可能にする。セパレータは、電極間でイオンを均一に輸送するために、良好な機械的完全性、化学的不活性、明確で一様性のある多孔性、及び孔についての屈曲性を備えている必要がある。近年、繊維から作製されたセパレータが、より伝統的な非繊維ポリオレフィンベースのセパレータに代わるものとして考えられてきた。アルカリ電池に用いられるセパレータ紙は、多くの場合、ポリビニルアルコール(PVA)繊維及びセルロース、またはレーヨンやリヨセルなどのセルロース誘導体の混合物を含む。
【0004】
電池用セパレータの製造に繊維を用いると、多くの利点が得られる。様々な繊維組成が可能であることに加えて、繊維から作製されたセパレータは、様々なレベルの坪量で設計することが可能になる。レーヨン繊維だけでなく、小さな番手のPVAも入手可能になったことで、セル内のスペースを節約して活性材の量を増やし、放電性能を向上させることを目標に、素材を軽量化する傾向にある。電池用セパレータの製造における繊維の使用も、従来のポリオレフィン材料と比較してコスト削減に大きく寄与する。
【0005】
さらに、繊維から作製された電池用セパレータは孔径を縮小することが可能であり、それにより、性能を妨げるばかりでなく、場合によってはショートの原因となる樹状突起の生成を制御するのに役立つ。孔径の縮小により、電池用セパレータは電極材料の活性成分や導電性添加剤の浸透をより効果的に遮断することも可能となる。
【0006】
望ましい湿潤イオン抵抗及び吸収性能を提供しつつ、孔径を縮小したアルカリ電池用セパレータを提供することは有利であろう。
【発明の概要】
【0007】
アルカリ電池用セパレータ及びそのようなセパレータの製造方法が提供される。セパレータは、Zn/MnO2電池等の各種アルカリ電池に用いることが可能である。
【0008】
ある態様では、アルカリ電池用セパレータは、ポリビニルアルコール繊維の第1の層、セルロースまたはセルロース誘導体の第2の層、及び水溶性ポリマーを含む第3の層を含む。電池用セパレータは、望ましい湿潤イオン抵抗、坪量、及び吸収性能を維持しながら、閉塞を低減するために孔径が縮小されている。
【0009】
実施形態では、第3の層は、第2の層の第1の面に接着されたコーティングを含む。第2の層は第2の面を含み、第1の層は第2の面に接着される。第2の層の第1の面にコーティングを優先的に施して孔径をさらに小さくすることにより、一方で湿潤イオン抵抗が指数関数的に増加するのを抑えることが可能となる。
【0010】
実施形態において、第3の層は、ポリビニルアルコール、微結晶セルロース、またはポリビニルアルコール及び微結晶セルロースの混合物を含む。第3の層は、第3の層の湿潤性を改善するために湿潤剤をさらに含んでもよい。
【0011】
第3の層は、セパレータ全体にわたるイオン抵抗の増加を低減するために、比較的小さい坪量を有することが好ましい。実施形態において、第3の層の材料は、約0.1g/m2~約10g/m2、好ましくは約2.5~約7.5g/m2、より好ましくは約2.5g/m2であるとよい。
【0012】
実施形態では、第3の層は、ポリビニルアルコール及び微結晶セルロースゲルの混合物を含む。ポリビニルアルコール及び微結晶セルロースゲルの比率は約70:30~約30:70まで変化してもよく、好ましくは約50%のポリビニルアルコール及び約50%の微結晶セルロースゲルであるとよい。例示的な実施形態では、第3の層は、50:50の比率で混合された約2.5g/m2のポリビニルアルコール及び微結晶セルロースゲルを含む。
【0013】
実施形態において、第1の層は、ポリビニルアルコールと、リヨセル繊維、溶解パルプ、マーセル化パルプ、またはそれらの組み合わせのうちの1つとの混合物を含む。第1の層は、少なくとも約20%、ある実施形態では少なくとも約30%、他の実施形態では少なくとも約55%の比率(重量比)でポリビニルアルコール繊維を含んでいてもよい。第1の層は、リヨセルなどのリヨセル繊維を、少なくとも約25%、ある実施形態では少なくとも約35%、他の実施形態では少なくとも約45%の比率(重量比)でさらに含んでいてもよい。そのような一実施形態では、第1層は、ポリビニルアルコール及びリヨセル繊維を含み、約50%~約75%のポリビニルアルコール及び約25%~約50%のリヨセル繊維、好ましくは約55重量%のポリビニルアルコール及び約45重量%のリヨセル繊維の重量比であるとよい。
【0014】
第1の層は、非水溶性ポリビニル繊維及び水溶性ポリビニル繊維の両方を含んでもよい。例示的な実施形態では、第1の層は約40%の非水溶性ポリビニル繊維及び約15%の水溶性ポリビニル繊維を含む。
【0015】
第1の層の坪量は、約10g/m2~約40g/m2、好ましくは約15g/m2~約30g/m2であってもよい。
【0016】
実施形態において、第2の層は、セルロース繊維、セルロースナノフィラメント、またはミクロフィブリル化セルロース繊維を含む。このようなある実施形態では、第2の層は、リヨセル繊維、溶解パルプ、マーセル化パルプ、またはそれらの組み合わせのうちの1つを含む。
【0017】
また、第2の層は、セパレータ全体にわたるイオン抵抗の増加を緩和するために、比較的小さい坪量を有することが好ましい。実施形態では、第2の層の坪量は、約0.5g/m2~約15g/m2、または約2.5g/m2~約10g/m2、好ましくは約5.0g/m2である。
【0018】
セパレータの最大孔径は、約0.55μm未満、好ましくは約0.1μm未満であってもよい。ある実施形態では、セパレータの最大孔径は約0.075μm以下である。
【0019】
セパレータの平均孔径は、約0.32μm未満、または約0.2μm未満、または約0.1876μm以下であってもよい。
【0020】
セパレータのイオン抵抗は約50ミリオーム/cm2未満である。一実施形態では、イオン抵抗は約37.5ミリオーム/cm2以下である。
【0021】
別の態様では、アルカリ電池用セパレータは、ポリビニルアルコール繊維及びセルロースまたはセルロース誘導体を含む少なくとも1つの層と、水溶性ポリマーを含む少なくとも1つの層に接着されたコーティングとを含み、セパレータの最大孔径は約1.0μm未満である。
【0022】
実施形態では、少なくとも1つの層は、リヨセル繊維及び/または微結晶セルロースをさらに含む。
【0023】
実施形態において、セパレータは約0.55μm未満の最大孔径を有する。特定の実施形態では、コーティングはポリビニルアルコールを含み、セパレータは約0.2μm未満の最大孔径を有する。他の実施形態では、コーティングは微結晶セルロースをさらに含み、セパレータは約0.1μm未満、好ましくは約0.075μm以下の最大孔径を有する。
【0024】
他の態様では、アルカリ電池用セパレータの製造方法は、ポリビニルアルコール繊維を含む第1の層を形成するステップと、セルロースまたはセルロース誘導体を含む第2の層を形成するステップと、第1または第2の層の一方を、水溶性ポリマーを含む第3の層でコーティングするステップとを含む。
【0025】
コーティングは、バーコーティング、カーテンコーティング、ロールコーター、スロットダイコーター、スプレーコーター、エングレービングされた(engraved)アニロックスロールを備えたフレキソコーター(すなわち、CIプレス)などを用いて塗布してもよい。例示的な実施形態では、コーティングはバーコーティングまたはCIプレスコーティングで塗布される。
【0026】
実施形態では、第2の層は、第1の面と、第1の面に対向する第2の面とを有する。コーティングは第1の面上に形成され、第1の層は第2の面に接着される。第2の層の第1の面にコーティングを優先的に塗布して孔径をさらに小さくすることにより、一方で湿潤イオン抵抗が指数関数的に増加することを防止する。
【0027】
実施形態では、第3の層またはコーティングはさらにセルロースゲルを含む。このようなある実施形態では、第3の層は、ポリビニルアルコール及び微結晶セルロースゲルの混合物を含む。
【0028】
実施形態では、第1の層は湿式堆積紙材料である。第1の層は、ポリビニルアルコールと、リヨセル繊維、溶解パルプ、マーセル化パルプ、またはそれらの組み合わせのうちの1つとの混合物を含んでもよい。ポリビニルアルコールは、非水溶性、水溶性、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0029】
この方法は、リヨセル繊維及びポリビニルアルコール繊維を別々に混合して分散させ、次いで分散させた繊維を一緒に混合するステップを含んでいてもよい。混合繊維から水分を排水し、繊維をエンドレスワイヤ上に湿式堆積してもよい。連続湿潤シートは、電解質に対するセパレータの湿潤性をさらに向上させるために、プレスして乾燥させ、湿潤剤を含浸させてもよい。
【0030】
第2の層は、セルロース繊維、セルロースナノフィラメント、またはミクロフィブリル化セルロース繊維を含んでもよい。このようなある実施形態では、第2の層は、リヨセル繊維、溶解パルプ、マーセル化パルプ、またはそれらの組み合わせのうちの1つを含む。実施形態では、この方法は、リヨセル繊維を第1の層上に排出して湿式堆積法により第2の層を形成するステップをさらに含む。湿式堆積法としては、湿式抄紙法、ドレインボックス等を組み合わせたスロットダイ法等が挙げられる。第1の層及び第2の層には湿潤剤を含浸させてもよい。
【0031】
本開示の様々な実施形態によって達成される望ましい目的の本明細書における記載は、これらのいずれかまたは全てが、本開示の最も一般的な実施形態またはそのより具体的な実施形態のいずれかにおいて、個々にまたは集合的に、必須の特徴として存在することを暗示または示唆することを意味するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0032】
特に明記しない限り、定量的な値は、「約(about)」または「おおよそ(approximately)」などの語が記載されているか否かにかかわらず、概算値である。本明細書に記載される材料、方法、及び実施例は、例示のみを目的とするものであり、限定することを意図したものではない。分子量(molecular weight)または分子質量(molecular mass)の値は概算であり、説明のためにのみ提供される。
【0033】
本明細書では、アルカリ電池用セパレータ及びそのようなセパレータの製造方法が開示される。電池用セパレータは、望ましい湿潤イオン抵抗、坪量、及び吸収性能を維持しつつ、閉塞を軽減するために孔径が縮小されている。セパレータは、Zn/MnO2電池等の各種アルカリ電池に用いることが可能である。
【0034】
本明細書に開示されるこのような多層アルカリ電池用セパレータの1つは、ポリビニルアルコール繊維及びリヨセル繊維の混合物を含む第1の層と、セルロースまたはセルロース誘導体を含む第2の層と、ポリビニルアルコール、微結晶セルロース、またはそれらの組み合わせを含む第3のコーティング層とを含む。セパレータは、制御された孔径を有する。すなわち、孔径は、予め決定され、または予め選択されてもよい。セパレータは、Zn/MnO2電池等の各種アルカリ電池に用いることが可能である。
【0035】
第1の層はポリビニルアルコール繊維及びリヨセル繊維の混合物を含む。第1の層は、少なくとも約20%、ある実施形態では少なくとも約30%、他の実施形態では少なくとも約55%の比率(重量比)でポリビニルアルコール繊維を含んでいてもよい。第1の層は、リヨセルなどのリヨセル繊維を、少なくとも約25%、ある実施形態では少なくとも約35%、他の実施形態では少なくとも約45%の比率(重量比)でさらに含んでいてもよい。実施形態では、第1の層は、最大55%のポリビニルアルコール繊維、及び最大45%のリヨセル繊維(例えば、リヨセル)を含んでいてもよい。実施形態において、高度にフィブリル化リヨセル繊維は、高度に精製された溶解パルプもしくはマーセル化パルプ、あるいはこれらのパルプ及びリヨセル繊維の混合物によって置き換えられてもよい。
【0036】
電池用セパレータの第2層に用いられるセルロースやセルロース誘導体には、これらに限定されないが、天然セルロース(木材繊維及びパルプ、綿、麻など)、ならびに再生セルロース(例:レーヨン及びリヨセル繊維)が含まれる。実施形態では、第2の層の繊維は、ナノフィラメントまたはミクロフィブリル化セルロース繊維であってもよい。実施形態において、第2の層の繊維は、高度に精製された溶解パルプもしくはマーセル化パルプ、またはこれらのパルプ及びセルロース系繊維の混合物によって置き換えもしくは混合されてもよい。第2の層の材料は、約0.5g/m2~約15g/m2、好ましくは約2.5~約10g/m2、さらに他の実施形態では約5g/m2であってもよい。
【0037】
第3のコーティング層は、ポリビニルアルコール、微結晶セルロース、またはポリビニルアルコール及び微結晶セルロースの混合物を含んでもよい。実施形態では、第3の層は、第3の層の湿潤性を改善するために湿潤剤をさらに含んでいてもよい。実施形態において、第3の層の材料は、0.1g/m2~10g/m2、好ましくは2.5~7.5g/m2、より好ましくは約2.5g/m2であるとよい。
【0038】
実施形態において、本開示による三層電池用セパレータは、45%の高フィブリル化リヨセル繊維、40%の非水溶性ポリビニルアルコール繊維、及び15%の水溶性ポリビニルアルコール繊維を含む、坪量20g/m2のポリビニルアルコール繊維及びリヨセル繊維の混合物を含む第1の層と、5g/m2のリヨセルを含む第2の層と、約2.5g/m2~7.5g/m2の高分子量ポリビニルアルコール樹脂及び微結晶セルロースゲルの50:50の比率の混合物を含む第3のコーティング層とを含む。
【0039】
通常、セパレータを製造する方法は、セルロース誘導体、例えば、リヨセル繊維、及び任意選択でセルロースを高度にフィブリル化することによって第1の層を形成する第1のステップを含む。セルロースのフィブリル化は、シングルディスクリファイナ、ダブルディスクリファイナ、コニカルリファイナ、回転シリンダーリファイナ、またはセルロースやセルロース誘導体を機械的に粉砕もしくは加工して個々の繊維やより小さなフィブリル要素を製造するために用いられる他の種類のリファイナのような機械リファイナを用いることにより達成される。このプロセスの供給材料は、パルプ状に形成された、予め処理されたセルロース系材料(木材チップ、一年生植物等)であってもよい。供給材料として用いられるパルプを製造するためのセルロース系材料の前処理は、クラフト蒸解、亜硫酸蒸解、ソーダ蒸解などの化学的蒸解、機械的精製、化学的消化と精製の組み合わせ、またはその他の既知のプロセスの結果であってもよい。
【0040】
フィブリル化は、例えば、0.65~0.75J/mの比エッジ負荷(SEL)に相当する185KW~200KWの総エネルギーにおいて125分~200分のように、様々な持続時間やエネルギーレベルで行うことが可能である。フィブリル化プロセスは30g/Lの繊維懸濁液を用いて行われる。一般に、フィブリル化は低いエネルギーで長期間にわたって起こり、その目標は、セルロースに1200~1500KWH/Tの総エネルギー(700~1150kWh/Tの比エネルギー)のような所定量のエネルギーを導入して、カナダ標準ろ水度(CSF)140~100、さらには37~25CSFの範囲のフィブリル化レベルに到達させることである。得られるフィブリル化繊維の幅は通常16~20ミクロン(マイクロメートル)、長さは1000~1150ミクロン(マイクロメートル)である。フィブリル化プロセスは、繊維が切れてしまうことを避けるため、高いエネルギーレベルよりも長い時間で行うことが好ましい。
【0041】
一度フィブリル化プロセスが実行されて制御されると、パルパー内において水溶性繊維及び主体PVA繊維の両方が添加されることが予測されるため、セルロース及び/またはセルロース誘導体を冷水で希釈して温度を40℃以下に冷却する。いずれの種類のPVA繊維も通常、カット長は2~4mmである。より細い繊維(たとえば、より低いデニール(d)またはdTex)が用いられる場合、意図せず繊維が絡み合うことを避けるために、より短い繊維が必要となる。
【0042】
適切な第1の層及び第1の層を製造する方法のより完全な説明は、国際公開第2019/064205号公報に開示されており、その完全な開示は、ここで参照することにより、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0043】
次いで、第2の層が、短く切断されて水に分散されたリヨセル繊維から作製され、その後、所望のパルプ精製機(例えば、ホランダービータ、バレービータ、シングルまたはマルチディスクリファイナ、マルチディスクリファイナ、コニカルリファイナ、またはPFIミルビータ)を用いてパルプ精製段階を経て処理される。リヨセル繊維は、所望のフリーネス指数(°SR/CSF)及び所望の繊維寸法(長さ及び太さ)に達するまで精製される。理想的には、°SR指数は85°SR以上、可能であれば90°SR以上であるとよい。この所望の精製強度により、1平方メートルあたりのパルプ使用量をできるだけ少なくしながら、第2層の繊維の孔径を小さくすることが可能となる。第2の層の材料は、約0.5g/m2~約15g/m2であってもよく、好ましくは約2.5~約10g/m2であり、さらに他の実施形態では、約5g/m2であってもよい。
【0044】
ミキシングチェスト内で均一かつ完全に分散された後、リヨセル繊維及びPVA繊維の第1の層は、繊維がエンドレスワイヤ上に湿式で配置されているため、水が排水された傾斜抄紙機を介して処理される。次いで、第2の層は、第2の層のエンドレスワイヤ上で個別に排水される。完全に水気を切ると、2つの層が結合されて連続的な湿ったシートが形成される。湿式堆積法では、製紙法やドレインボックスを組み合わせたスロットダイ法を用いることがある。次いで、連続的な湿ったシートを取り上げて乾燥させてもよい。次いで、セパレータの濡れ性をさらに向上させるために、サイズプレスを用いて、得られた紙素材に湿潤剤を含む溶液を含浸させるとよい。次いで、最終的な乾燥を行い、コアに巻かれた連続シートを収集することができる。
【0045】
実施形態では、代替的に、第1の層及び第2の層を同じエンドレスワイヤ上で同時に排水してもよい。このプロセスは、第1の層をエンドレスワイヤ上で排水することから始まり、次いで、濡れたままの第1の層及びエンドレスワイヤの両方で第2の層を排水する。湿式堆積法では、製紙法やドレインボックスを組み合わせたスロットダイ法を用いることがある。次いで、連続した二層のシートは、上記のような乾燥、上記のような含浸、そして最後に巻き取り及びコアへの回収のための最終ラウンドである乾燥のプロセスを経て加工される。
【0046】
第3の層は、水溶性ポリマー(ポリビニルアルコール樹脂、カルボキシメチルセルロース、デンプン、アルギン酸塩など)及び微結晶セルロース分散液を混合して、ポリビニルアルコール及び微結晶セルロースゲルの混合物を生成することによって作製される。次いで、界面活性剤または湿潤剤を上記の混合物に添加することにより、第3の層の湿潤性を改善してもよい。第3の層の材料は、0.1g/m2~10g/m2、ある実施形態では2.5~7.5g/m2、さらに他の実施形態では2.5g/m2であってもよい。
【0047】
第3の層は、湿潤イオン抵抗が望ましくない範囲まで増加することを防止しながら、孔径をさらに小さくするために、二層セパレータの片面、好ましくは第2の層の上部をコーティングするために用いられる。コーティングを塗布するために用いられるコーティング技術は、バーコーティング、カーテンコーティング、ロールコーター、スロットダイコーター、スプレーコーター、またはエングレービングされたアニロックスロールを備えたフレキソ印刷機であってもよい。
【0048】
次いで、第3の層は、任意の適切な乾燥方法、例えば、赤外線乾燥機または空気加熱オーブンによる非接触乾燥を用いて乾燥される。
【0049】
現在開示されている三層電池用セパレータの孔径は、約0.075μm未満である。本開示の三層電池用セパレータは、孔径が小さくなっているにもかかわらず、イオン抵抗が50ミリオーム/cm2未満であり、かつ、125g/m2を超える電解質吸収を維持する。本開示による三層電池用セパレータの基本的なの坪量は、大きくても30g/m2である。
【0050】
例
【0051】
例示的なアルカリ電池用セパレータの以下の非限定的な例は、必要に応じてステップを省略して、上述の方法に従って製造された。
【0052】
例1
【0053】
20g/m2の坪量を有する第1の湿式堆積層を有する三層電池用セパレータを調製した。第1の層は、45%の高フィブリル化リヨセル繊維、40%の非水溶性ポリビニルアルコール繊維及び15%の水溶性ポリビニルアルコール繊維を含む。第2の層には、94°SRに精製された5g/m2のリヨセル繊維と、50:50の比率で混合された2.5g/m2の高分子量ポリビニルアルコール樹脂及び微結晶セルロースゲルを含む第3のコーティング層とを含む。総坪量、最大孔径、イオン抵抗、及びその他の特性を測定し、以下の表1に示す。
【0054】
例2
【0055】
20g/m2の坪量を有する第1の湿式堆積層を有する三層電池用セパレータを調製した。第1の層は、45%の高フィブリル化リヨセル繊維、40%の非水溶性ポリビニルアルコール繊維、及び15%の水溶性ポリビニルアルコール繊維を含む。第2の層は、94°SRに精製された5g/m2のリヨセル繊維と、50:50の比率で混合した5.0g/m2の高分子量ポリビニルアルコール樹脂及び微結晶セルロースゲルを含む第3のコーティング層とを含む。総坪量、最大孔径、イオン抵抗、及びその他の特性を測定した結果を、以下の表1に示す。
【0056】
例3
【0057】
20g/m2の坪量を有する第1の湿式堆積層を有する二層電池用セパレータを調製した。第1の層は、45%の高フィブリル化リヨセル繊維、40%の非水溶性ポリビニルアルコール繊維、及び15%の水溶性ポリビニルアルコール繊維を含む。第2の層には、94°SRに精製された5g/m2のリヨセル繊維を含む。コーティング層は追加しなかった。総坪量、最大孔径、イオン抵抗、及びその他の特性を測定した結果を、以下の表1に示す。
【0058】
例4
【0059】
20g/m2の坪量を有する第1の湿式堆積層を有する三層電池用セパレータを調製した。第1の層は、45%の高度にフィブリル化されたリヨセル繊維、40%の非水溶性ポリビニルアルコール繊維、及び15%の水溶性ポリビニルアルコール繊維を含む。第2の層は、94°SRに精製された5g/m2のリヨセル繊維(PFI Labリファイナ)と、2.5g/m2の微結晶セルロースゲルを含む第3のコーティング層とを含む。総坪量、最大孔径、イオン抵抗、及びその他の特性を測定した結果を、以下の表1に示す。
【0060】
例5
【0061】
20g/m2の坪量を有する第1の湿式堆積層を有する三層電池用セパレータを調製した。第1の層は、45%の高度にフィブリル化されたリヨセル繊維、40%の非水溶性ポリビニルアルコール繊維、及び15%の水溶性ポリビニルアルコール繊維を含む。第2の層は、94°SRに精製された5g/m2のリヨセル繊維(PFI Labリファイナ)と、2.5g/m2の高分子量ポリビニルアルコール樹脂を含む第3のコーティング層とを含む。総坪量、最大孔径、イオン抵抗、及びその他の特性を測定した結果を、以下の表1に示す。
【0062】
【0063】
表1に示すように、混合されていないコーティングを含む例3の二層アルカリ電池用セパレータと、例4及び例5の三層電池用セパレータとは、最大孔径及び電気抵抗値があまり望ましくなかった。一方、混合されたコーティングを有する例2の三層電池用セパレータは、0.1μm未満のより望ましい最大孔径及び望ましい電気抵抗を有するセパレータとなった。例1で用いた材料の量では、湿潤イオン抵抗値が例2のセパレータよりもさらに小さかったため、さらに望ましい結果をもたらした。
【0064】
本明細書では、本発明をその特定の好ましい実施形態に従って詳細に説明したが、当業者であれば多くの修正及び変更が可能である。したがって、前述の開示は、それによって限定されると解釈されるべきではなく、そのような前述の明白な変形を含み、以下の特許請求の範囲の精神及び範囲によってのみ限定されると解釈されたい。
【0065】
例えば、第1の態様では、第1の実施形態は、ポリビニルアルコール繊維を含む第1の層と、セルロースまたはセルロース誘導体を含む第2の層と、及び水溶性ポリマーを含む第3の層とを含むアルカリ電池用セパレータである。
【0066】
第2の実施形態では、第1の実施形態における第3の層がさらにセルロースゲルを含む。
【0067】
第3の実施形態は、最初の2つの実施形態の任意の組み合わせであって、第3の層は、ポリビニルアルコール及び微結晶セルロースゲルの混合物を含む。
【0068】
第4の実施形態は、最初の3つの実施形態の任意の組み合わせであって、第3の層は界面活性剤を含む。
【0069】
第5の実施形態は、最初の5つの実施形態の任意の組み合わせであって、第3の層が第2の層の第1の面に接着されたコーティングを含む。
【0070】
第6の実施形態は、最初の5つの実施形態の任意の組み合わせであって、第2の層が第2の面を含み、第1の層が第2の面に接着されている。
【0071】
第7の実施形態は、最初の6つの実施形態の任意の組み合わせであって第3の層の混合物が約50%のポリビニルアルコール及び約50%の微結晶セルロースゲルを含む。
【0072】
第8の実施形態は、最初の7つの実施形態の任意の組み合わせであって、第3の層の坪量は約0.1g/m2~約10.0g/m2である。
【0073】
第9の実施形態は、最初の8つの実施形態の任意の組み合わせであって、第3の層の坪量は約2.5g/m2~約7.5g/m2である。
【0074】
第10の実施形態は、最初の9つの実施形態の任意の組み合わせであって、第3の層は、50:50の比率で混合された約2.5g/m2のポリビニルアルコール及び微結晶セルロースゲルを含む。
【0075】
第11の実施形態は、最初の10の実施形態の任意の組み合わせであって、第1の層が、ポリビニルアルコールと、リヨセル繊維、溶解パルプ、マーセル化パルプまたはそれらの組み合わせのうちの1つとの混合物を含む。
【0076】
第12の実施形態は、最初の11の実施形態の任意の組み合わせであって、第1の層が、約55重量%のポリビニルアルコール及び約45重量%のリヨセル繊維を含む。
【0077】
第13の実施形態は、最初の12の実施形態の任意の組み合わせであって、第1の層が約40%の非水溶性ポリビニル繊維及び約15%の水溶性ポリビニル繊維を含む。
【0078】
第14の実施形態は、最初の13の実施形態の任意の組み合わせであって、第1の層の坪量は、約15g/m2~約30g/m2である。
【0079】
第15の実施形態は、最初の14の実施形態の任意の組み合わせであって、第2の層がセルロース繊維、セルロースナノフィラメント、またはミクロフィブリル化セルロース繊維を含む。
【0080】
第16の実施形態は、最初の15の実施形態の任意の組み合わせであって、第2の層がリヨセル繊維、溶解パルプ、マーセル化パルプ、またはそれらの組み合わせのうちの1つを含む。
【0081】
第16の実施形態は、最初の15の実施形態の任意の組み合わせであって、第2の層の坪量は、約0.5g/m2~約15g/m2である。
【0082】
第17の実施形態は、最初の16の実施形態の任意の組み合わせであって、第2の層の坪量は、約2.5g/m2~約10g/m2である。
【0083】
第18の実施形態は、最初の17の実施形態の任意の組み合わせであって、第2の層の坪量は約5.0g/m2である。
【0084】
第19の実施形態は、最初の18の実施形態の任意の組み合わせであって、セパレータの最大孔径が約0.1μm未満である。
【0085】
第20の実施形態は、最初の19の実施形態の任意の組み合わせであって、イオン抵抗は約50ミリオーム/cm2未満である。
【0086】
第21の実施形態は、最初の20の実施形態の任意の組み合わせであって、セパレータの最大孔径が約0.075μm以下である。
【0087】
第22の実施形態は、最初の21の実施形態の任意の組み合わせであって、イオン抵抗は約37.5ミリオーム/cm2以下である。
【0088】
第23の実施形態は、最初の22の実施形態の任意の組み合わせを含む電池である。
【0089】
他の態様では、第1の実施形態は、ポリビニルアルコール繊維及びセルロースまたはセルロース誘導体を含む少なくとも1つの層と、水溶性ポリマーを含む少なくとも1つの層に接着したコーティングとを含むアルカリ電池用セパレータであり、セパレータの有する最大孔径は約1.0μm未満である。
【0090】
第2の実施形態は、少なくとも1つの層がリヨセル繊維をさらに含む、第1の実施形態である。
【0091】
第3の実施形態は、最初の2つの実施形態の任意の組み合わせであって、少なくとも1つの層が微結晶セルロースをさらに含む。
【0092】
第4の実施形態は、最初の3つの実施形態の任意の組み合わせであって、セパレータは、約50ミリオーム/cm2未満のイオン抵抗を有する。
【0093】
第5の実施形態は、最初の4つの実施形態の任意の組み合わせであって、セパレータは、約37.5ミリオーム/cm2未満のイオン抵抗を有する。
【0094】
第6の実施形態は、最初の5つの実施形態の任意の組み合わせであって、セパレータは約0.55μm未満の最大孔径を有する。
【0095】
第7の実施形態は、最初の6つの実施形態の任意の組み合わせであって、コーティングはポリビニルアルコールを含み、セパレータは約0.2μm未満の最大孔径を有する。
【0096】
第8の実施形態は、最初の7つの実施形態の任意の組み合わせであって、コーティングは微結晶セルロースをさらに含み、セパレータは約0.1μm未満の最大孔径を有する。
【0097】
第9の実施形態は、最初の8つの実施形態の任意の組み合わせを含む電池である。
【0098】
第3の態様では、第1の実施形態は、アルカリ電池用セパレータを製造する方法に関する。この方法は、ポリビニルアルコール繊維を含む第1の層を形成するステップと、セルロースまたはセルロース誘導体を含む第2の層を形成するステップと、第1または第2の層の一方を、水溶性ポリマーを含む第3の層でコーティングするステップとを含む。
【0099】
第2の実施形態は、第1の実施形態であって、その第1の層が、ポリビニルアルコールと、リヨセル繊維、溶解パルプ、マーセル化パルプ、またはそれらの組み合わせのうちの1つとの混合物を含む。
【0100】
第3の実施形態は、最初の2つの実施形態の任意の組み合わせであって、第1の層上にリヨセル繊維を排出して湿式堆積法により第2の層を形成するステップを含む。
【0101】
第4の実施形態は、最初の3つの実施形態の任意の組み合わせであって、第2の層が第1の面及び第1の面に対向する第2の面を有し、コーティングが第1の面上に形成される。
【0102】
第5の実施形態は、最初の4つの実施形態の任意の組み合わせであって、第1の層が第2の面に接着される。
【0103】
第6の実施形態は、最初の5つの実施形態の任意の組み合わせであって、第1の層は湿式積層される。
【0104】
第7の実施形態は、最初の6つの実施形態の任意の組み合わせであって、第3の層がセルロースゲルをさらに含む。
【0105】
第8の実施形態は、最初の7つの実施形態の任意の組み合わせであって、第3の層は、ポリビニルアルコール及び微結晶セルロースゲルの混合物を含む。
【0106】
第9の実施形態は、最初の8つの実施形態の任意の組み合わせであって、第3の層が界面活性剤を含む。
【0107】
第10の実施形態は、最初の9つの実施形態の任意の組み合わせであって、コーティングがバーコーティングまたはプレスコーティングを用いて塗布される。
【0108】
第11の実施形態は、最初の10の実施形態を任意に組み合わせて形成された電池用セパレータである。
【国際調査報告】