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特表2024-531823GPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質及びその使用
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  • 特表-GPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質及びその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】GPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20240822BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240822BHJP
   C07K 14/56 20060101ALI20240822BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240822BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240822BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240822BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240822BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240822BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240822BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240822BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240822BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240822BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K16/28
C07K14/56
C12N15/62 Z
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P1/16
A61P31/12
A61P35/02
A61K38/16
A61K39/395 N
A61K38/21
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533155
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 CN2022112278
(87)【国際公開番号】W WO2023016564
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】202110926743.1
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524002223
【氏名又は名称】上▲海▼津曼特生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】何柯
(72)【発明者】
【氏名】宋利平
(72)【発明者】
【氏名】範藝
(72)【発明者】
【氏名】陳英嬌
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG09
4B064AG27
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA06
4B064CA08
4B064CA10
4B064CA19
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA41
4C084DA22
4C084MA13
4C084MA16
4C084MA17
4C084MA52
4C084MA59
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZB331
4C084ZB332
4C084ZC021
4C084ZC022
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB33
4C085BB34
4C085BB35
4C085BB36
4C085BB37
4C085BB41
4C085BB42
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG01
4C085GG08
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA16
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、GPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質およびその使用を提供する。前記融合タンパク質は、A鎖およびB鎖からなり、A鎖のアミノ酸配列は配列番号1に示され、B鎖のアミノ酸配列は配列番号2に示される。本発明のGPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質は、標的細胞、特に腫瘍細胞に対する殺滅効果を顕著に向上させると同時に、非標的細胞に結合することによる毒性副作用を顕著に低減させ、より安全性が高く、より生産コストが低く、かつ良好な凍結融解安定性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A鎖およびB鎖からなるGPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質であって、A鎖のアミノ酸配列は配列番号1に示され、B鎖のアミノ酸配列は配列番号2に示されるGPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質。
【請求項2】
請求項1に記載の抗体インターフェロンα融合タンパク質をコードすることを特徴とする単離された核酸。
【請求項3】
請求項2に記載の核酸を含んでなることを特徴とする、組換え発現ベクター。
【請求項4】
請求項3記載の組換え発現ベクターを含むことを特徴とする形質転換体。
【請求項5】
GPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質の製造方法であって、請求項4に記載の形質転換体を培養し、培養物から前記抗体インターフェロンα融合タンパク質を得る工程を含むことを特徴とするGPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の抗体インターフェロンα融合タンパク質および薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項7】
疾患の治療、治療補助または予防のための医薬の製造における、請求項1に記載の抗体インターフェロンα融合タンパク質又は請求項6に記載の医薬組成物の使用。
【請求項8】
前記疾患がGPC3陽性関連疾患であることを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記GPC3陽性関連疾患が、腫瘍、肝疾患およびウイルス感染疾患からなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記腫瘍が、乳癌、腸癌、膵臓癌、食道癌、卵巣癌、胃癌、前立腺癌、腎臓癌、子宮頸癌、骨髄腫、リンパ腫、白血病、甲状腺癌、子宮癌、膀胱癌、神経内分泌癌、頭頸部癌、肝臓癌、鼻咽頭癌、精巣癌、肺癌、黒色腫、皮膚癌、肉腫、神経膠腫、中皮腫および骨髄異形成症候群からなる群より選択されることを特徴とする、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記腸癌は結腸直腸癌を含み、前記卵巣癌は卵黄嚢胞腫瘍を含み、前記神経内分泌癌はメルケル細胞癌を含み、前記肺癌は小細胞肺癌および非小細胞肺癌を含み、前記皮膚癌は基底細胞皮膚癌および皮膚扁平上皮癌を含み、前記肉腫は隆起性線維肉腫を含み、前記神経膠腫は膠芽腫を含み、前記子宮癌は子宮内膜癌および子宮肉腫を含むことを特徴とする、請求項10に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出願日2021年8月12日を有する中国特許出願2021109267431の優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、バイオ医薬品の分野に属し、特にGPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
インターフェロンα( IFNα)は、広範な抗ウイルス、抗腫瘍作用を有し、IFNα受容体との結合によりエフェクター細胞を活性化させ、ナチュラルキラー細胞などの免疫細胞の活性を高め、ウイルス及び腫瘍細胞の増殖を阻害し、腫瘍細胞のアポトーシスなどを誘導することから、現在臨床的に広く用いられている生物製品の1つであり、主に肝疾患(例えば、慢性B型肝炎、C型肝炎など)、抗ウイルス(例えば、ウイルス性呼吸器疾患、皮膚疾患、血液疾患、婦人科疾患など)及び特定の腫瘍(例えば、慢性顆粒球白血病、黒色腫、リンパ腫、腎臓癌など)の治療、並びに腫瘍及び悪性血液疾患の補助治療として使用されている。
【0004】
しかし、IFNα受容体は、人体の各組織器官に広く発現しているため、臨床的な使用においては、発熱、疲労、筋肉痛、肝毒性、骨髄阻害、神経毒性等の毒性副作用を伴うことが多い。多数の臨床研究データにより、PEG-IFNα(6μg/kg/週で8週間投与、3μg/kg/週で維持の療法)は、メラノーマの補助療法において、60%以上の患者でグレード3以上の重篤な有害事象( SAE )を引き起こし( ractical Guidelines for the Management of Interferon-a-2b Side Effects in Patients Receiving Adjuvant Treatment for Melanoma. Cancer 2008;112:982-94)、慢性骨髄性白血病CMLの治療におけるPEG-IFNαの臨床最大耐用量(MTD)は7.5~9μg/kgであった(Long-Term Results of the Randomized Phase III Trial EORTC 18991 of Adjuvant Therapy With Pegylated Interferon Alfa-2b Versus Observation in Resected Stage III Melanoma. JOURNAL OF CLINICAL ONCOLOGY, VOLUME 30, NUMBER 31,NOVEMBER 1 2012)。しかし、臨床前の体内外の薬力学実験データにより、望ましい腫瘍阻害用量は、臨床耐用量と比較して少なくとも100倍でさらに増加される必要がある(Treating Cancer with PEG Intron Pharmacokinetic Profile and Dosing Guidelines for an Improved Interferon-Alpha-2b Formulation. TALPAZ et al BLOOD, 15 SEPTEMBER 2001. VOLUME 98, NUMBER 6)。
【0005】
また、インターフェロンαは、その製品特性の原因で、一般的には、組換えヒトインターフェロン-α2b融合蛋白質( rHSA-IFN-α2b )の凍結融解を繰り返すと徐々に重合体が増加し、4回の凍結融解で重合体の含有量が17.91%に達し、凍結融解に安定性が悪いから、組換えヒトインターフェロン-α2b融合蛋白質は凍結融解に適用しないとの認識があった(夏根性ら。組換えヒトインターフェロン-α2b融合蛋白質の安定性研究。生物学雑誌、2008、25(006):38 ~ 40)から、生産、輸送及び使用において、制限されている。
【0006】
ホスファチジルイノシトールプロテオグリカン3( GPC3)は、細胞表面に存在するヘパラン硫酸プロテオグリカンのホスファチジルイノシトールプロテオグリカン家族の1つである。既存の実験研究により、GPC3 mRNA及びGPC3タンパク質は、肝臓癌において特異的に高く発現し、肝臓癌の発症と非常に密接な関係を有することが示された[Zhu ZW,Friess H,Wang L,Abou-Shady M,Zimmermann A,Lander AD,Korc M,Kleeff J,Buechler MW.Gut 2001;48:558-64]。GPC3は肝癌の発生進展と密接な関係を有することが報告されている研究や文献報告から明らかであり、肝癌の早期だけでなく、肝癌の進展とともにその検出率が高まっている。また、研究により、肺扁平上皮癌( LSCC )、卵巣癌、卵黄嚢胞腫瘍においてGPC3の発現割合は高くなることが見出された。
【0007】
GPC3は肝癌診断に対し明らかに感度と特異性を有し、肝癌治療の新規標的となり得る。Codrituzumab ( GC33)は、最初のGPC3標的抗体であり、現在臨床第II相にあるが、臨床研究の最初結果は、HCC群においてGC33が臨床的利益を示しないことを示し、これにより、GPC3標的のモノクローナル抗体薬物GC33の臨床第II相の効果が不十分であり、薬物投与群と対照群の全生存率と無増悪生存率に有意差がないことが明らかになった。
【0008】
また、抗GPC3モノクローナル抗体Codrituzumab ( GC33)およびIFN-α2bは、臨床用の投与方式、用量、半減期など多方面にわたる非適合性が極めて高い。例えば、IFN-α2bは、一般に皮下注射で用い、ヒトの耐量約20ug/kgで、半減期がわずか3-4時間を有することに対して、抗GPC3モノクローナル抗体Codrituzumab ( GC33)は静脈内注射で用い、臨床第I相において最大耐量が週に20 mg/kgであったが、好ましい治療効果が達成されておらず、半減期が4日を超えた。したがって、IFN-α2bと抗GPC3モノクローナル抗体Codrituzumab ( GC33)よりも優れた腫瘍治療効果を同時に達成すること、及びIFN-α2bの毒性副作用を低減することを目的とする場合、単純な組み合わせ又は融合で適合を達成することがない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、従来技術における抗GPC3モノクローナル抗体(例えば、GC33)の薬効不良及びインターフェロンαの安全性と凍結融解安定性の不足を克服するために、GPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質及びその使用を提供し、その内、当該の抗体インターフェロンα融合タンパク質により、融合タンパク質におけるインターフェロンα機能性断片の目標標的指向性を顕著に向上させ、融合タンパク質の目標標的細胞(例えば、GPC3陽性の腫瘍細胞)に対する殺滅効果を向上させるとともに、インターフェロンα機能性断片の正常細胞( GPC3を発現しない健康細胞)に対する毒性副作用を低下させるとともに、製造過程で生成されるインターフェロンα機能性断片を含む潜在的不純物分子の非目標臓器、組織、細胞に対する作用による毒性副作用を顕著に低下させることができる。
【0010】
本発明は、以下のような態様により、上述した課題を解決する。
【0011】
本発明の第1の態様は、A鎖およびB鎖からなる、GPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質であって、A鎖のアミノ酸配列は配列番号1に示され、B鎖のアミノ酸配列は配列番号2に示されるGPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質を提供する。
【0012】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の抗体インターフェロンα融合タンパク質をコードする単離された核酸を提供する。
【0013】
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載の核酸を含む組換え発現ベクターを提供する。
本発明において、前記組換え発現ベクターは、ベクターに外来核酸を導入してなる。
【0014】
本発明の第4の態様は、第3の態様に記載の組換え発現ベクターを含む形質転換体を提供する。
本発明において、前記形質転換体は、前記組換え発現ベクターを宿主細胞に導入してなる。
【0015】
本発明の第5の態様は、第4の態様に記載の形質転換体を培養し、培養物から前記抗体インターフェロンα融合タンパク質を得る工程を含む、GPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質の製造方法を提供する。
【0016】
本発明の第6の態様は、第1の態様に記載の抗体インターフェロンα融合タンパク質と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0017】
本発明の第7の態様は、疾患の治療、治療補助または予防のための医薬の製造における、第1の態様に記載の抗体インターフェロンα融合タンパク質または第6の態様に記載の医薬組成物の使用を提供する。
【0018】
本明細書のいくつかの態様において、前記疾患はGPC3陽性関連疾患である。
本発明において、前記GPC3陽性関連疾患は、腫瘍、肝疾患及びウイルス感染疾患からなる群から選択される。
【0019】
本発明のいくつかの態様において、前記腫瘍は、乳癌、腸癌、膵臓癌、食道癌、卵巣癌、胃癌、前立腺癌、腎臓癌、子宮頸癌、骨髄腫、リンパ腫、白血病、甲状腺癌、子宮癌、膀胱癌、神経内分泌癌、頭頸部癌、肝臓癌、上咽頭癌、精巣癌、肺癌、黒色腫、皮膚癌、肉腫、神経膠腫、中皮腫、及び骨髄異形成症候群からなる群から選択される。
【0020】
本発明において、前記腸癌は結腸直腸癌を含み、前記卵巣癌は卵黄嚢胞腫瘍を含み、前記神経内分泌癌はメルケル細胞癌を含み、前記肺癌は小細胞肺癌および非小細胞肺癌を含み、前記皮膚癌は基底細胞皮膚癌および皮膚扁平上皮癌を含み、前記肉腫は隆起性線維肉腫を含み、前記神経膠腫は膠芽腫を含み、前記子宮癌は子宮内膜癌および子宮肉腫を含む。
【0021】
本発明の第8の態様は、GPC3陽性関連疾患の治療方法であって、それを必要とする患者に治療有効量の第一の態様に記載のインターフェロンα融合タンパク質または第6の態様に記載の医薬組成物を投与または併用投与することを含む治療方法を提供する。
【0022】
本明細書で使用される用語「組換えタンパク質」とは、天然に存在するタンパク質ではなく、人工的に設計/構築されたタンパク質を指す。本発明の「組換えタンパク質」における「組換え」は、その製造方法を表すものではなく、「組換えタンパク質」が天然に存在しないことを示すためにのみ使用される。本発明の組換えタンパク質は、発現されたタンパク質又は組み立てられたタンパク質であってもよい。
【0023】
本明細書で使用される用語「融合タンパク質」とは、DNA組み換え技術によって得られる2つの遺伝子の組み換えた遺伝子で発現された産物を指す。融合タンパク質の技術によって、多様な機能を有する新規な目的タンパク質を構築および発現することができる。
【0024】
本明細書で使用される用語「抗体」とは、通常、基本的に免疫グロブリン遺伝子や免疫グロブリン遺伝子断片によってコードされるポリペプチドを1つまたは複数含むタンパク質を指す。例えば、免疫グロブリン遺伝子は、κ、λ、α、γ、δ、εとμ定常領域遺伝子、および無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含んでよい。本明細書ででは、軽鎖は、κやλに区分されることができる。重鎖は、γ、μ、α、δやεに区分され、それぞれIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEといった免疫グロブリンタイプを順次に定義することができる。本明細書で使用される抗体は、四量体を含む構造単位を有し得る。各々の四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対から構成され得、各々の対は1つの「軽」鎖(約25kD)及び1つの「重」鎖(約50kD~70kD)を有し得る。各々の構造単位のN末端は、主として抗原認識に関与する約100~110又はそれ以上のアミノ酸の可変領域を規定し得る。本明細書で使用される軽鎖可変領域(VL)及び重鎖可変領域(VH)という用語は、通常、それぞれ軽鎖および重鎖の可変領域を指す。抗体は、完全免疫グロブリンとして存在するか、または、各種のペプチダーゼによる消化や新規発現によって多くの十分な特徴づけの断片として存在してよい(他の抗体断片のより詳細な説明については、Fundamental Immunology, W. E. Paul, ed., Raven Press, N.Y. (1993)を参照する)。
【0025】
本明細書で使用される用語「Fc領域」(fragment crystallizable、Fc)は、IgG定常領域CH2及びCH3ドメイン及びヒンジ領域で構成される。
【0026】
本明細書で使用される用語「抗原結合断片」又は「fab断片」又は「Fab」は、軽鎖の可変領域(VL)、軽鎖の定常領域(CL)、重鎖の可変領域(VH)、重鎖の定常領域1(CL1)ドメインから構成され、抗原に結合できる。
【0027】
本明細書で使用される用語「knobs-into-holes技術」又は「杵臼」技術又は「突起-入り-空洞」技術又は「ボタン」技術は、遺伝子工学技術を使用して、重鎖の二つのCH3ドメインに異なる突然変異を導入して、重鎖のヘテロ二量体化を引き起こし、一つの重鎖に一つのノブ(knob)を作り、他方の重鎖にホール(hole)を作り、その後二つが優先的に咬合して、非対称抗体を形成する(Ridgway JB,et al.'Knobs-into-holes'engineering ofantibody CH3domains for heavy chain heterodimerization.Protein Engineering,1996,9(7):617-621)。当業者に知られているように、一つの重鎖に複数のノブ(knob)及び/又はホール(hole)を作りことができ、対応的に、他方の重鎖に複数のホール(hole)及び/又はノブ(knob)を作ることができる。
【0028】
本明細書で使用される用語「抗原特異的」は、抗原結合分子によって選択的に認識される特定の抗原またはそのエピトープを指す。
【0029】
本明細書で使用される用語「置換」とは、アミノ酸残基に使用される場合、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質において、1つ又は複数の天然に存在する又は導入されたアミノ酸が別のアミノ酸で置換されて、新規なペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を形成することを指す(例えば、本明細書の「突然変異体」又は「突然変異型」)。ポリペプチド又はタンパク質における置換は、ポリペプチド又はタンパク質の機能の低下又は不変をもたらす可能性がある。置換は「保存的置換」であってもよく、アミノ酸配列に対しては、1つのアミノ酸残基を類似の物理化学的特性を持つ側鎖の異なる他のアミノ酸残基で置換されることを指し、又はポリペプチドの活性に重要ではないアミノ酸に置換されることを指す。例えば、非極性側鎖アミノ酸残基間(例えば、Met、Ala、Val、Leu及びIle、Pro、Phe、Trp)、非荷電極性側鎖残基間(例えば、Cys、Ser、Thr、Asn、Gly及びGln)、酸性側鎖残基間(例えば、Asp、Glu)、塩基性側鎖アミノ酸間(例えば、His、Lys及びArg)、β分岐側鎖アミノ酸間(例えば、Thr、Val及びIle)、硫黄含有側鎖アミノ酸間(例えば、Cys及びMet)又は芳香族側鎖残基間(例えば、Trp、Tyr、His及びPhe)で保存的置換を実行することができる。いくつかの実施形態において、置換、削除又は添加も「保存的置換」と見なすことができる。挿入又は削除されるアミノ酸の数は、約1~5の範囲であってもよい。保存的置換は一般に、タンパク質のコンホメーション構造に大きな変化を引き起こさず、タンパク質の生物学的活性を維持することができる。
【0030】
本明細書で使用される用語「二重陽性発現細胞」又は「標的細胞」又は「標的ターゲット細胞」とは、GC33抗原結合断片及びインターフェロンα機能断片とを同時に結合することができる細胞を指す。
【0031】
本明細書で使用される用語「非標的細胞」又は「非標的ターゲット細胞」とは、GPC3を発現しなくて、インターフェロンα機能断片のみを結合する細胞を指す。
【0032】
本明細書で使用される用語「IFNα」又は「α型インターフェロン」又は「インターフェロンα」は、すべての天然又は組み換えα型インターフェロンを含み、特に好ましくはヒトインターフェロン、例えば、IFN-α2b (例えば、Schering Corporation,Kenilworth,N.J.から入手可能なIntron(登録商標)AインターフェロンまたはViraferon(登録商標)-Aインターフェロン)、IFN-α2A (例えば、Hoffmann-La Roche,Nutley,N.J.から入手可能なRoferon(登録商標)-Aインターフェロン)などのヒト組み換えインターフェロンが挙げられ、IFN-α-n1(例えば、Sumitomo,Japanから、またはGlaxo-Wellcome Ltd.,London,Great Britainから入手可能なWellferon(登録商標)インターフェロンα-n1)またはIFN-α-N3(例えば、Interferon Sciencesから入手可能なAlferon N(登録商標)インターフェロン)などの天然のα型インターフェロンの混合物が挙げられ、これらに限定されない。
【0033】
本発明において、用語「IFNα」又は「α型インターフェロン」又は「インターフェロンα機能性断片」又は「IFNα機能性断片」は、IFNαの生物学的活性を有する任意の物質、例えば、変異した又は切断又は修飾されたIFNα、例えば、IFNα低親和性突然変異体、IFNαのPEG誘導体( PEG-IFNα)も含む。本発明において、用語「IFNα」または「α型インターフェロン」または「インターフェロンα」は、いかなる特定の取得源にも限定されず、市販により取得するか又は当業者に公知の通常の技術によって製造されることができ、当該製造方法は、生物源抽出法及び遺伝子工学的抽出法などを含むが、これらに限定されず、その詳しい記載はPestka S.Arch Biochem Biophys.1983 Feb 15;221(1):1-37などである。いくつかの実施形態において、IFNαは、ヒト、ウマ、ウシ、マウス、ブタ、ウサギ、ネコ、イヌ、ラット、ヤギ、ヒツジ及び非ヒト霊長類から選択される。
【0034】
本明細書で使用される用語「IFNα 2b」又は「IFN-α 2b」又は「IFNα 2b」又は「インターフェロン-α 2b」は、IFN-αのサブタイプであり、いずれもインターフェロン-α 2bに対する表現である。ヒト野生型シグナルペプチド含有インターフェロン-α2bアミノ酸配列を配列番号3に示す。
【0035】
本明細書で使用される用語「低親和性変異体」は、野生型IFNαと比較して、増殖阻害活性又は抗ウイルス機能活性が変化しないか、又は低下したIFNα変異体を指す。
【0036】
本明細書で使用される用語「リンカー配列」又は「Linker」は、異なる機能結合断片(例えば、GC33抗原結合断片及びインターフェロンα機能断片、GC33抗原結合断片又はインターフェロンα機能断片及びFc領域)を連結すること、又は同じ機能結合断片内の異なる構造ドメインのアミノ酸配列を連結する。
【0037】
本明細書で使用される用語「GC33」、「Codrituzumab」、「Anti-GPC3 mAb」、「anti-GPC3 Ab」は、本発明において互換的に使用され、抗GPC3抗体Codrituzumabを表す。
【0038】
本明細書で使用される用語「本発明の組換えタンパク質」とは、GPC3を標的とする抗体インターフェロンα融合タンパク質、特にTTM101-LC03-M3を指す。
【0039】
本明細書で使用される用語「宿主細胞」は、一般に、対象からのプラスミド又はベクターのレシピエントであってもよいか、又はある単細胞、細胞株又は細胞培養物を含み、それは本明細書に開示されるポリヌクレオチドを含むか、又は本明細書のタンパク質ヘテロ二量体を発現する(例えば、ヘテロ二量体のタンパク質)。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含むことができる。自然、偶発的又は意図的な突然変異により、子孫は必ずしも元の親細胞と同一(形態的又はゲノムの全DNA相補体において)であるとは限らない。宿主細胞は、本明細書に開示されるベクターで体外でトランスフェクトされた細胞を含むことができる。宿主細胞は、細菌細胞(例えば、大腸菌(E.coli))、酵母細胞又はHEK293細胞、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞又は骨髄腫細胞などの他の真核細胞であってもよい。いくつかの実施形態において、宿主細胞は哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態において、前記哺乳動物細胞はCHO細胞である。
【0040】
本明細書で使用される用語「ベクター」は、一般に、挿入された核酸分子を宿主細胞内及び/又は宿主細胞間で伝達する、適切な宿主内で自己複製できる核酸分子を指す。当該用語は、主に細胞へのDNA又はRNAの挿入に使用されるベクター、DNA又はRNAの複製に主に使用されるベクター、及びDNA又はRNAの転写及び/又は翻訳に使用される発現ベクターを含むことができる。また、上記機能の複数を提供するベクターも含まれる。「発現ベクター」は、適切な宿主細胞に導入されると、ポリペプチドに転写及び翻訳されてもよいポリヌクレオチドである。「発現系」は、一般に、所望の発現量を生成することができる発現ベクターを含む、適切な宿主細胞を意味する。
【0041】
用語「有効量」又は「治療有効量」とは、疾患の治療を含むが、これに限定されない、意図する用途を達成するのに十分な組成物(例えば、本明細書に記載されるタンパク性ヘテロ二量体)の量を指す。治療有効量は意図する用途(例えば、in vitro又はin vivo)、又は治療される被験体及び病状、例えば被験体の体重及び年齢、病状の重症度、投与様式等によって変えることができ、当業者はこれを容易に決定することができる。この用語は標的細胞における特定の応答、例えば標的遺伝子導入、増殖及び/又はアポトーシスを誘導する用量に当てはまる場合がある。具体的な用量は選ばれる特定の化合物、採用される投与計画、他の化合物と組み合わせて投与されるか否か、投与時期、投与対象の組織、及び行われる物理的送達システムに応じて異なる。
【0042】
用語「治療」又は「治療すること」又は「緩和すること」又は「改善すること」は本明細書で区別なく使用され、治療的利益及び/又は予防的利益を含むが、これらに限定されない有益な又は所望の結果を得るためのアプローチを指す。本明細書で使用される場合、治療的利益は一般に、治療される基礎障害の根絶又はその重症度の低減を指す。また、治療的利益は、対象において改善が観察されるような基礎障害と関連する1つ又は複数の生理的症状の根絶、重症度の低減又は発生率の低減によって達成されるが、対象が依然として基礎障害に苦しむこともある。予防的利益のために、組成物は特定の疾患を発症するリスクのある対象、又はこの疾患の診断が下されていない場合であっても、疾患の1つ若しくは複数の生理的症状が報告されている対象に投与することができる。
【0043】
本明細書で使用される用語「共投与」、「…と併用」及びそれらの文法的等価物は、一般に、2つ以上の薬剤及び/又はその代謝産物が対象に同時に存在するように、動物に2つ以上の薬剤を投与することを含む。共投与は、別々の組成物中での同時投与、別々の組成物中での異なる時点での投与、または両方の薬剤が存在する組成物中での投与を含む。
【0044】
本明細書で使用される用語「細胞増殖」は、一般に細胞数が分裂の結果として変化する現象を指す。例えば、細胞増殖は細胞数の増大をもたらし得る。この用語は、増殖シグナルと一致して細胞形態が変化する(例えばサイズが増大する)細胞成長も包含する。
【0045】
本明細書で使用される用語「増殖阻害」又は「細胞増殖の阻害」は、一般に、癌細胞の増殖速度及び/又は増殖速度の低下を指す。例えば、これは癌細胞の死(例えば、アポトーシスによる)を含むことができる。いくつかの実施形態において、当該用語は、固形腫瘍の成長及び/又は増殖を阻害すること、及び/又は腫瘍のサイズの縮小又は除去を誘導することも指してもよい。
【0046】
本明細書で使用される用語「凍結融解安定性」は、一般に、エマルション系が凍結および融解の交互の変化を受ける場合の安定性を指す。
【0047】
本明細書で使用される用語「対象」または「個体」または「動物」または「患者」は、疾患または障害の診断、予後予測、軽減、予防および/または処置を必要とする、哺乳動物または霊長類を含むヒトまたは非ヒト動物を指す。哺乳動物対象は、ヒト、家畜、農場動物、ならびに動物園、スポーツ、またはペット動物、例えばイヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ブタ、ウシ、クマなどを含む。
【0048】
本明細書で使用される用語「in vivoで」(「生体内で」)は、一般に対象の身体内で起こる事象を指す。
【0049】
本明細書で使用される用語「in vitroで」(「生体外で」)は、一般に対象の身体外で起こる事象を指す。例えば、in vitroアッセイは対象の外で行われる任意のアッセイを包含する。in vitroアッセイは死細胞又は生細胞を用いる細胞ベースのアッセイを包含する。in vitroアッセイは、無傷細胞を用いない無細胞アッセイも包含する。
【0050】
本明細書で使用される用語「投与」は、本発明の組換えタンパク質又は融合タンパク質を含む医薬組成物の治療有効量を対象へ送達することを指す。投与は、全身的投与又は局所的投与であってもよい。投与は、注射器などの投与装置によることができる。投与方法は、埋め込み、経鼻吸入、噴霧、注射などを含むが、これらに限定されない。投与経路は、吸入、鼻腔内、経口、静脈内、皮下又は筋肉内投与などを含む。
【0051】
本発明は、先行技術と比較して以下のような有益な効果を有し:
本発明の新規GPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質は、GPC3陽性標的細胞(例えば肝癌細胞HepG2、HuH-7の腫瘍細胞)に対する増殖阻害及び腫瘍殺傷活性が極めて強いと同時に、GPC3を発現しない非標的細胞に対する安全性が極めて高く、さらに、当該の融合タンパク質は、インターフェロンαよりも凍結融解安定性が著しく優れており、製品の生産、輸送及び使用に有利である。
【0052】
IFNα受容体を発現する細胞にとって、有益な効果は以下に示され:
1、本発明の組換えタンパク質は、GPC3陽性標的細胞(例えば、肝癌細胞HepG2、HuH-7)に対する結合活性、ADCC活性、増殖阻害活性などがいずれも等モル濃度のIFNαよりも有意に強く、かつGPC3陰性の非標的細胞(例えば、正常細胞)に対する結合活性、増殖阻害活性などがいずれも等モル濃度のIFNαよりも有意に弱く、一部の実験ではGPC3陰性の非標的細胞に対する増殖阻害活性の検出結果が陰性であった。すなわち、GC33抗原断片の結合能を持たない非標的細胞では、本発明の組換えタンパク質におけるIFNα機能性断片はIFNα受容体発現細胞に対する結合活性、増殖阻害活性等に有意に低下し、また、関連する活性を示さないこともあった。
【0053】
2、本発明の組換えタンパク質は、GPC3陰性の非標的細胞に対する潜在的な危険不純物( B鎖ホモ二量体)による増殖阻害活性が極めて弱く、但し、本発明の組換えタンパク質は、CN108864290B構造二重特異性組換えタンパク質よりも潜在的な危険不純物がGPC3陰性の非標的細胞に対する増殖阻害活性が弱く、従って、本発明の組換えタンパク質は、潜在的な危険不純物による安全性リスクや毒性副作用が極めて低くなる。同時に、危険不純物の品質管理に起因する製造コストの高騰も低減される。
【0054】
3、本発明の組換えタンパク質は、良好な凍結融解安定性を有し、5回繰り返し凍結融解後の純度はいずれも95%以上であり、外観は清澄であり、凍結融解安定性はIFN-α2bモノマーまたはPEG化されたIFN-α2bよりも明らかに優れている。
【0055】
以上のように、本発明の組換えタンパク質は、標的細胞、特に腫瘍細胞に対する殺滅効果を顕著に向上させると同時に、非標的細胞に結合することによる毒性副作用を顕著に低減させ、より安全性が高く、より生産コストが低く、かつ良好な凍結融解安定性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1図1は、本発明の組換えタンパク質の構造模式図を示す。
図2図2は、本発明の組換えタンパク質を精製した非還元SDS-PAGEの電気泳動図を示す。
図3図3は、本発明の組換えタンパク質と対照試料との標的細胞HuH-7および非標的細胞MDA-MB-231に対するの結合活性をフローサイトメトリーで測定したグラフを示す。
図4図4は、本発明の組換えタンパク質の標的細胞であるHuH-7細胞に対するADCC活性をレポーター遺伝子方法によって測定したグラフを示す。
図5図5は、本発明の組換えタンパク質のGPC3陽性標的細胞HuH-7に対する増殖阻害活性を示すグラフである。
図6A図6Aは、本発明の組換えタンパク質のGPC3陰性の非標的細胞MDA-MB-231に対する増殖阻害活性を示すグラフである。
図6B図6Bは、本発明の組換えタンパク質のGPC3陰性の非標的細胞U266に対する増殖阻害活性を示すグラフである。
図7図7は、本発明の組換えタンパク質における潜在的な危険不純物のGPC3陰性の非標的細胞MDA-MB-231に対する増殖阻害活性を示すグラフである。
図8図8は、本発明の組換えタンパク質のBALB/c nudeマウスHuH-7皮下腫瘍モデルへの腫瘍阻害効果を示すグラフである。
図9図9は、本発明の組換えタンパク質のBALB/c nudeマウスHuH-7皮下腫瘍モデルへの腫瘍阻害効果を示すヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明の技術手段、創造特徴、達成目的及び効果をわかりやすくするために、具体的な図面を参照しながら、本発明をさらに述べる。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0058】
以下、本発明の目的、特徴および効果を十分に理解するために、本発明の構想、具体的な構造およびそれによる技術的効果を図面を参照しながらさらに説明する。
【0059】
実施例1 組換えタンパク質の設計
本発明の組換えタンパク質の構造を図1に示す。前記組換えタンパク質は、GC33抗原結合断片、IFNα機能性断片およびFc領域からなっている。IFNα機能性断片のN末端は、抗原結合断片中のCLにおけるC末端に(GGGGS)4を介して結合され(図1に示す)、また、IFNα機能性断片のC末端はFc領域に直接結合され、抗原結合断片中の可変領域(V領域)と定数領域(C領域)は直接結合され、Fc領域はknobs-into-holes技術を利用した。
【0060】
本実施例では、TTM101-LC03-M3を例として、本発明の組換えタンパク質の設計を説明した。TTM101-LC03-M3分子の構造情報を表1に示し、対照試料を表2に示した。
【表1】
【表2】
【0061】
上記表1と表2において、( H )は、重鎖VHおよびCH1構成ドメインを指し、( L )は、軽鎖VLおよびCL構成ドメインを指し;GC33は、抗ホスファチジルイノシトールプロテオグリカン( Glypican3、GPC3)モノクローナル抗体codrituzumabを表し;Fcは野生型Fc領域、Fc1はholeまたはholes変異を有するFc領域、Fc2はknobまたはknobs変異を有するFc領域を表した。
【0062】
表1に記載の配列名と配列番号を表3に示した。ただし、A鎖およびB鎖シグナルペプチドは、配列番号8に示され;IFN-α2bのアミノ酸配列は、配列番号3に示され、1~23位がシグナルペプチド配列であり;Codrituzumabのアミノ酸配列は、米国特許第US7919086号に記載され、重鎖アミノ酸配列は配列番号6に示され、軽鎖アミノ酸配列は配列番号7に示されている。ヒトIgG1アイソタイプ・コントロール( B117901)は、百英生物社から購入した。IFN-α2b組換えタンパク質(Z03003)は、南京GenScriptバイオテクノロジー社から購入した。
【0063】

【表3-1】
【表3-2】
【0064】
実施例2 組換えタンパク質プラスミドの構築、発現、および精製
1、プラスミド構築、細胞トランスフェクションおよびタンパク質発現
本発明の組換えタンパク質発現プラスミドはGENEWIZ社がタンパク質配列に基づきコドン最適化を行った後合成し、pCDNA3.1プラスミドに連結し、配列同定して配列を確認した。
【0065】
得られた発現プラスミドを0.22μmメンブランフィルターでろ過した後、OptiPRO SFM Medium( GIBCO ) 2mLにプラスミド50μg ( A鎖とB鎖発現プラスミドの質量比は2:1または3:1)をピペットで加えて混合した。 OptiPRO SFM Medium 2 mLにトランスフェクション試薬ExpiFectamine CHO Reagent 160μLをピペットで加え、混合した。得られたトランスフェクション試薬混合溶液を、プラスミドを含む混合溶液に加えて混合した。プラスミドとトランスフェクション試薬の混合物を、体積50mL、細胞密度6×106 viable cells /mLの宿主細胞ExpiCHO-S ( Thermo Fisher )懸濁液にゆっくりと均一に添加し、37℃、8%CO2インキュベーター中で培養した。1日目(18~22時間後)に、300μLの ExpiCHO Enhancerおよび8mLの ExpiCHO Feedを添加し、培養温度を32℃に低下させ;5日目に2回目の追加を行い、8mLの ExpiCHO Feedを追加し、12日間培養後に採取した。細胞懸濁液8000rpmで15分間遠心分離し、得られた上清、すなわち細胞培養採取液を目的タンパク質精製に用いた。
【0066】
2、タンパク質精製
2.1試料捕捉
本発明の組換えタンパク質発現の上清を、Mabselect Sure (すなわち、プロテインA 、Cytivaから購入)アフィニティフィラーを使用して、目的のタンパク質を捕捉した。実験手順は以下の通りであった:
a) 平衡:紫外線検出ラインが安定になるまで、平衡溶液(50mM Tris-HCl、150mM NaCl、pH7.2)を用いてクロマトグラフィーカラムを平衡化し;
b) ロード:サンプルポンプで、保持時間5分、30mg/ml以下でロードし;
c) 再平衡:クロマトグラフィーカラムの5倍カラム容量を、平衡溶液(50mM Tris-HCl、150mM NaCl、pH7.2)でリンスし;
d) 溶出:溶出液(50mM NaAC-HAC、Ph3.5)を用いて目的タンパク質を溶出させ、溶出液pHを1M Tris緩衝液で5.5調製し、SDS-PAGEにてタンパク質純度を調べた。
【0067】
2.2試料精製
本発明の組換えタンパク質TTM101-LC03-M3発現の上清を、以下の実験手順により、SULFATE650Fフィラー( TOSOH )を用いて、試料中のポリマーおよび他の不純物を除去した:
a) 平衡:紫外線検出ラインが安定になるまで、平衡溶液(50mM NaAC-HAC、pH5.5)を用いてクロマトグラフィーカラムを平衡化し;
b) ロード:サンプルポンプで5minの保持時間で、50mg/ml以下のロードし;
c) 再平衡:クロマトグラフィーカラムの5倍カラム容量を、平衡溶液(50mM NaAC-HAC、pH5.5)でリンスし;
d) 溶出:溶出液(50mM NaAC-HAC、250Mm、pH5.5)を用いて目的タンパク質を溶出させ、SDS-PAGEにてタンパク質純度を調べた。
【0068】
表2の対照試料Codrituzumabの精製方法は2.1と同様である。
表1に示す本発明の組換えタンパク質の理論分子量はいずれも120kD程度であり、表2に示す対照抗体Codrituzumabの分子量は150KDであった。本発明の組換えタンパク質(図1参照)の精製試料の非還元SDS-PAGEタンパク質電気泳動によるアッセイの結果を図2に示し、精製した後(すなわちSULFATE650Fで精製した後)、非還元SDS-PAGEタンパク質電気泳動によるアッセイの結果は、不純物の大部分が陽イオン交換クロマトグラフィー用充填剤によって除去されたことを示した。
【0069】
実施例3 本発明の組換えタンパク質の、GPC3陽性肝癌細胞系(ダブルポジティブ発現細胞、標的細胞)及びGPC3陰性細胞系(非標的細胞)に対する結合活性のアッセイ
【0070】
本発明の組換えタンパク質は標的GPC3陽性肝癌細胞系又はGPC3陰性細胞系に対する結合親和性がフローサイトメトリーによって測定した。
【0071】
検出細胞は、GPC3陽性腫瘍細胞株HuH-7(Cell Bank/Stem Cell Bank, Chinese Academy of Sciences)及びGPC3陰性腫瘍細胞株MDA-MB-231(南京COBIOERバイオテクノロジー社から購入)であり、良好に増殖した細胞を収集し、計数し、細胞をFACS緩衝液( PBS+2%FBS )で1×106細胞/ mlの濃度に再懸濁した。細胞を、96ウェルプレートUプレート(カタログ番号3799,Corning )に100μL /ウェルで加え、TTM101-LC03-M3、GC33、アイソタイプ・コントロール( 100nMで開始し、3倍で段階希釈、合計7点)をそれぞれ7つの濃度で加え、4℃で1時間インキュベートし、FACS緩衝液で洗浄した後、ヤギ抗ヒトIgG ( Alexa Fluor488 goat anti-human IgG (H+L), Invitrogen)を加えて4℃で1時間インキュベートし、FACS緩衝液で洗浄して再懸濁させた後、フローサイトメーター(Attune Nxt,invitrogen )によって蛍光値を検出した。
【0072】
図3に示すように、実験の結果では、TTM101-LC03-M3及び抗GPC3モノクローナル抗体GC33の両方は、GPC3及びIFNα受容体を同時に発現する標的細胞HuH-7細胞に対して結合活性をある程度有し、TTM101-LC03-M3のHuH-7細胞に対する結合は、抗GPC3モノクローナル抗体( anti-GPC3 mAb、GC33、すなわち対照試料Codrituzumab)と比較して、より高い最大平均蛍光強度を有した。一方、図3に示すように、TTM101-LC03-M3は、GPC3陰性(すなわち、GPC3を発現せず、IFNα受容体を発現する)の非標的の細胞MDA-MB-231に結合しなかった。
【0073】
実施例4 本発明の組換えタンパク質の抗体依存性細胞傷害作用(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC )活性アッセイ
本発明の組換えタンパク質の標的GPC3陽性肝癌細胞株に対するADCC活性をレポーター遺伝子法によって測定した。
【0074】
具体的な方法は以下の通りであった:
1、標的細胞及びエフェクター細胞の調製:標的細胞HuH-7(5E4/ml,100μL/well)及びJurkat-NFAT-Luc-CD16Aエフェクター細胞(2E6/ml、50μL/well )を3904プレートに加えた。
2、試料(50nM、6X )を8つの濃度で希釈し、50μL/wellで標的細胞およびエフェクター細胞と共に37℃で5 ~ 6時間同時インキュベートした。
3、プレートを5分間遠心分離し、96ウェルプレート(白色透明の底)に培養上清20μLを吸引した。
4、QUANTI-Blue sloution検出試薬( Invivogen )を50μL/wellで加え、混合した後、Elisa Analyzer ( SpectraMax M2)にてシグナル値を測定した。
【0075】
図4に示すように、TTM101-LC03-M3はADCC活性を保持しており、TTM101-LC03-M3のADCC活性は抗GPC3モノクローナル抗体(anti-GPC3 mAb、GC33、すなわち対照試料Codrituzumab )と同等であった。
【0076】
実施例5 本発明の組換えタンパク質の増殖阻害活性のアッセイ
cell titer gloキット(Promega,Cat:G7558)を用いて、本発明の組換えタンパク質は、異なる腫瘍細胞株の増殖阻害活性を測定した。
【0077】
GPC3陽性細胞株HuH-7又はGPC3陰性腫瘍細胞株U266(南京COBIOERバイオテクノロジー社から購入)又はGPC3陰性腫瘍細胞株MDA-MB-231(南京COBIOERバイオテクノロジー社から購入) (ヒト乳癌細胞)を96ウェルブラック・プレート( Corning,3904)に播種し、TTM101-LC01-M3又は対照試料IFN-α 2b (南京GenScriptバイオテクノロジー社から購入)、PEG-IFN-α2b (Xiamen Amoytop社から購入)及び抗GPC3抗体GC33(100nM開始、6倍で段階希釈、合計9点)を加え、CO2 インキュベーター、37℃で3日間インキュベートし、Cell titer gloを添加し、Multomode Plate Reader ( PerkinElmer,Envision2105)にてシグナル値を検出した。
【0078】
その結果では、TTM101-LC03-M3のGPC3陽性( GPC3+ )である標的細胞HuH-7に対する増殖阻害活性( IC50)が対照試料IFN-α2bおよびPEG-IFN-α2b (図5を参照)の両方よりも高く、抗GPC3モノクローナル抗体(anti-GPC3 mAb、GC33、すなわち対照試料Codrituzumab、この抗体のHuH-7に対する増殖阻害効果は見られなかった)よりも高いであった。具体的には、図5に示したように、TTM101-LC03-M3のGPC3陽性( GPC3+ )である標的細胞HuH-7に対する増殖阻害活性(IC50=0.04638nM)は対照試料PEG-IFN-α2b ( IC50=4.81nM )よりも約100倍以上強いことを示し、一方、TTM101-LC03-M3は、GPC3陰性の非標的細胞に対する増殖阻害活性は対照試料IFN-α 2b及びPEG-IFN-α 2bよりも有意に低く、具体的には、図6Aに示したように、TTM101-LC03-M3は、GPC3陰性( GPC3- )の非標的細胞MDA-MB-231に対する増殖阻害活性( IC50=83.96nM )は、対照試料IFN-α 2b ( IC50=0.3933nM )よりも約200倍以上弱く、図6Bに示したように、TTM101-LC03-M3は、GPC3陰性( GPC3- )の非標的細胞U266に対する増殖阻害活性( IC50=31.33nM )は、対照試料IFN-α 2b (IC50=0.07183nM)よりも約400倍以上弱くなった。
【0079】
上記の本発明の組換えタンパク質のGPC3陽性又はGPC3陰性細胞に対する増殖阻害活性の結果から明らかなように、本発明の組換えタンパク質TTM101-LC03-M3は、GPC3陽性の標的細胞のGPC3との結合により、TTM101-LC03-M3におけるIFN-α 2b機能性断片の増殖阻害活性を有意に増強した。驚くべきことに、本発明の組換えタンパク質TTM101-LC03-M3におけるIFN-α2b機能性断片は、GPC3を発現しない非標的細胞に対して、増殖阻害活性を200倍または400倍以上で低下した。本発明の組換えタンパク質は、GPC3を有する標的細胞に対してのみ、より強力な増殖阻害作用を有し、GPC3を有しない非標的細胞に対しては作用が弱く、本発明の組換えタンパク質は極めて安全性が高いことがわかった。
【0080】
実施例6 本発明の組換えタンパク質における潜在的不純物の非標的細胞に対する増殖阻害活性のアッセイ
組換えタンパク質の調製プロセスにおける潜在的な不純物による安全性のリスクを低減するために、本発明では、TTM101-LC03-M3の潜在的な危険不純物であるB鎖ホモ二量体は、非標的細胞への増殖阻害を比較した。
【0081】
TTM101-LC03-M3精製プロセス(実施例2に記載)において、TTM101-LC03-M3のB鎖ホモ二量体(ホモ二量体分子量約140kD )を単離し、IFN-α2B-Fc1( CN108864290B中の図3に示す組換えタンパク質構造の右腕ホモ二量体)と共に、非標的細胞( GPC3陰性細胞) MDA-MB-231への増殖阻害活性を検出した。結果では、図7に示したように、3nMの濃度でIFN-α 2bのMDA-MB-231( GPC3陰性細胞、非標的細胞)に対する増殖阻害率は88.3%、IFN-α2B-Fc1のMDA-MB-231( GPC3陰性細胞、非標的細胞)に対する増殖阻害率は32.1% ( IFN-α2Bより約56.2%低下)、TTM101-LC03-M3のB鎖ホモ二量体のMDA-MB-231( GPC3陰性細胞、非標的細胞)に対する増殖阻害率はわずか9.3% ( IFN-α2Bより約79%、IFN-α2B-Fc1より約22.8%低下)であった。
【0082】
総じて、潜在的な危険不純物は、非標的細胞に対して非常に弱い効果しか有さず、すなわち、潜在的な安全リスク又は潜在的な毒性副作用の可能性は非常に低いであった。
【0083】
実施例7 本発明の組換えタンパク質のin vivoで抗腫瘍薬効活性のアッセイ
BALB/c nudeマウスHuH-7皮下腫瘍モデルにおけるGPC組換えタンパク質の標的化抗腫瘍効果
BALB/c nudeマウスの右頸背部に~30 mm3のHuh-7腫瘍塊を接種し、接種と同時に実験動物に後の実験の唯一の確認マーカーとして耳番号付けを行った。腫瘍の増殖を待ち、腫瘍の平均体積が150 mm 3 に達したら、1群あたり6匹のマウスの無作為な群分けで投与を開始した。いずれも静脈内注射により、10 mL/kgの投与体積で投与し、3週間連続投与、週2回、共6回の投与を行った。
【0084】
実験の指標は、腫瘍成長が阻害されるか、遅延されるか、または治癒されるかを調べることであった。腫瘍直径をノギスで週2回測定した。腫瘍体積の計算式は、V=0.5a × b2であり、a及びbはそれぞれ腫瘍の長径及び短径を表した。各群の各時点における腫瘍体積の平均値及び標準誤差( SEM )を含む統計分析を行った。両群間の比較は、one -tailed T testで分析し、GraphPad Prismを用いて全てのデータ分析を行った。p<0.05を有意差とした。
【0085】
結果として、図8および図9ならびに表4に示したように、TTM101-LC03-M3は、腫瘍増殖の阻害に対して用量依存し、腫瘍阻害効果は、等用量GC33の場合よりも優れ、高用量PEG-IFN-α2b (臨床的に許容される耐量よりも高い用量)よりも優れていた。以上の結果から、TTM101-LC03-M3は、肝臓癌細胞の腫瘍増殖を効果的に阻害することができることが示された。
【0086】
【表4】
【0087】
実施例8 組換えタンパク質の凍結融解安定性の調査
既存の組換えヒトアルブミンインターフェロン-α2b融合タンパク質は、凍結融解安定性が低く、繰り返しの凍結融解が望ましくない、例えば、PEG化長時間作用型インターフェロンは、凍結も振とうもされず、輸送及び保存条件に高い要求を有した。本発明の組換えタンパク質の凍結融解安定性を調べるために、本発明の組換えタンパク質について繰り返し凍結融解安定性試験を行った。タンパク質を20mM NaAc (PH=5)緩衝液に置き、-40℃条件下で5回繰り返し凍結融解した。凍結融解前後の試料を、純度(サイズ排除クロマトグラフィー、SEC )および外観分析に供した。その結果、表5に示すように、TTM101-LC03-M3は凍結融解安定性が良好で、純度が97%以上であり、5回繰り返し凍結融解後に外観が澄明であり、本発明の組換えタンパク質は凍結融解安定性がIFN-α2bモノマーまたはPEG化されたIFN-α2bよりも明らかに優れていることが明らかとなった。
【表5】
【0088】
本明細書で提供されるあらゆる実施例または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、本発明をよりよく説明するためであり、特に請求されない限り、本発明の範囲を限定しない。明細書中の言語は、保護要求されていない要素が本発明の実施に不可欠であることを示すものとして解釈されるべきではない。
【0089】
本明細書で引用されるすべての刊行物および特許出願は、個々の出版物または特許出願が、具体的かつ個別に参照により組み込まれるように、参照により本明細書に全体として組み込まれる。なお、本明細書に記載の理論、メカニズム、証拠、または発見は、本発明の理解をさらに高めることを意図しており、いずれかの方法によって本発明をそのような理論、メカニズム、、証拠、または発見に限定されることを決して意図していない。本発明は、図面および前述の説明において詳細に示され説明されたが、本発明は例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
【配列表】
2024531823000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A鎖およびB鎖からなるGPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質であって、A鎖のアミノ酸配列は配列番号1に示され、B鎖のアミノ酸配列は配列番号2に示されるGPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質。
【請求項2】
請求項1に記載の抗体インターフェロンα融合タンパク質をコードすることを特徴とする単離された核酸。
【請求項3】
請求項2に記載の核酸を含んでなることを特徴とする、組換え発現ベクター。
【請求項4】
請求項3記載の組換え発現ベクターを含むことを特徴とする形質転換体。
【請求項5】
GPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質の製造方法であって、請求項4に記載の形質転換体を培養し、培養物から前記抗体インターフェロンα融合タンパク質を得る工程を含むことを特徴とするGPC3標的化抗体インターフェロンα融合タンパク質の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の抗体インターフェロンα融合タンパク質および薬学的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項7】
疾患の治療、治療補助または予防のための薬剤であって、請求項1に記載の抗体インターフェロンα融合タンパク質を含む、薬剤
【請求項8】
前記疾患がGPC3陽性関連疾患であることを特徴とする、請求項7に記載の薬剤
【請求項9】
前記GPC3陽性関連疾患が、腫瘍、肝疾患およびウイルス感染疾患からなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の薬剤
【請求項10】
前記腫瘍が、乳癌、腸癌、膵臓癌、食道癌、卵巣癌、胃癌、前立腺癌、腎臓癌、子宮頸癌、骨髄腫、リンパ腫、白血病、甲状腺癌、子宮癌、膀胱癌、神経内分泌癌、頭頸部癌、肝臓癌、鼻咽頭癌、精巣癌、肺癌、黒色腫、皮膚癌、肉腫、神経膠腫、中皮腫および骨髄異形成症候群からなる群より選択されることを特徴とする、請求項9に記載の薬剤
【請求項11】
前記腸癌は結腸直腸癌を含み、前記卵巣癌は卵黄嚢胞腫瘍を含み、前記神経内分泌癌はメルケル細胞癌を含み、前記肺癌は小細胞肺癌および非小細胞肺癌を含み、前記皮膚癌は基底細胞皮膚癌および皮膚扁平上皮癌を含み、前記肉腫は隆起性線維肉腫を含み、前記神経膠腫は膠芽腫を含み、前記子宮癌は子宮内膜癌および子宮肉腫を含むことを特徴とする、請求項10に記載の薬剤
【国際調査報告】