(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】接合ツール及びツール・グリッパ
(51)【国際特許分類】
B23K 26/14 20140101AFI20240822BHJP
B23K 26/70 20140101ALI20240822BHJP
【FI】
B23K26/14
B23K26/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024533157
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2022065974
(87)【国際公開番号】W WO2023016680
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】102021121086.0
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500091678
【氏名又は名称】トックス・プレッソテヒニック・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト
(71)【出願人】
【識別番号】524057647
【氏名又は名称】アルファ レーザー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バーデント ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】プファイファー ウォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】ソルナー ユルゲン
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168DA28
4E168EA17
4E168EA24
4E168EA26
4E168FB03
4E168KA16
4E168KB03
4E168KB05
(57)【要約】
本発明は、可動ツール(7)を有する押さえ装置(6)と、ツール対向要素(4)とを備える接合ツール・ユニット(2)に関する。可動ツール(7)を有する押さえ装置(6)と、ツール対向要素(4)とは互いに対向して設けられ、工作物(25)は、配置された状態において、押さえ装置(6)とツール対向要素(4)との間に配置可能であり、可動ツール(7)とツール対向要素(4)とは相互作用して接合接続を形成し、導光システム(9)は押さえ装置(6)に形成され、前記導光システム(9)は、工作物(25)が接合ツール・ユニット(2)に配置されているときに、工作物(25)の接合位置の方向に光線を案内するように設計されている。本発明によれば、流体用の流路(38)が、光線のセクションに沿って押さえ装置(6)の工作物側の端部まで画定され、流路(38)は、入口(23)及び第1の出口(33)を有し、流体用の第1の出口(33)は、押さえ装置(6)の工作物側の端部に形成され、前記出口は、接合過程の間、工作物(25)と接触しており、第2の出口(37)が流路(38)のために設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合ツール・ユニット(2)であって、
可動ツール(7)を有する押さえ装置(6)と、ツール対向要素(4)とを備え、
前記可動ツール(7)を有する前記押さえ装置(6)と、前記ツール対向要素(4)とが互いに対向して設けられ、工作物(25)が、配置された状態において、前記押さえ装置(6)と前記ツール対向要素(4)との間に配置可能であり、前記可動ツール(7)と前記ツール対向要素(4)とが協働して接合接続を形成し、導光システム(9)が前記押さえ装置(6)に形成され、前記導光システム(9)が、前記工作物(25)が前記接合ツール・ユニット(2)に配置されているときに、前記工作物(25)の接合位置の方向に光の光線を案内するように設計されていて、
流体用の流路が、前記光の前記光線のセクションに沿って前記押さえ装置(6)の工作物側の端部まで画定され、前記流路(38)が、入口(23)と第1の出口(33)とを有し、前記流体用の前記第1の出口(33)が、前記押さえ装置(6)の工作物側の端部に形成され、前記出口が、接合過程の間に前記工作物(25)と接触しており、前記流路(38)の第2の出口(37)が設けられていることを特徴とする、接合ツール・ユニット(2)。
【請求項2】
請求項1に記載の接合ツール・ユニットであって、
前記流路(38)にセンサが配置されていることを特徴とする、接合ツール・ユニット。
【請求項3】
先行する請求項のうちの何れか1項に記載の接合ツール・ユニットであって、
前記センサによって圧力の変化を測定することができることを特徴とする、接合ツール・ユニット。
【請求項4】
先行する請求項のうちの何れか1項に記載の接合ツール・ユニットであって、
前記第2の出口(37)を塞ぐことができることを特徴とする、接合ツール・ユニット。
【請求項5】
先行する請求項のうちの何れか1項に記載の接合ツール・ユニットであって、
前記導光システム(9)が光学系(12、13、15)を備え、前記流体が前記光学系(12、13、15)を冷却し洗浄するように、前記流路(38)を通して前記流体を案内することができることを特徴とする、接合ツール・ユニット。
【請求項6】
先行する請求項のうちの何れか1項に記載の接合ツール・ユニットであって、
前記接合ツール・ユニット(2)が制御ユニット(40)を備え、前記制御ユニット(40)が前記センサのデータを検出することができることを特徴とする、接合ツール・ユニット。
【請求項7】
先行する請求項のうちの何れか1項に記載の接合ツール・ユニットであって、
前記第1の出口(33)が覆われ、前記第2の出口(37)が塞がれているときに、予め決められた閾値を超えることができることを特徴とする、接合ツール・ユニット。
【請求項8】
先行する請求項のうちの何れか1項に記載の接合ツール・ユニットであって、
前記制御ユニット(40)が、前記センサが、前記圧力に対する予め決められた閾値を超えたときに、前記光線を作動させることを特徴とする、接合ツール・ユニット。
【請求項9】
先行する請求項のうちの何れか1項に記載の接合ツール・ユニットであって、
前記制御ユニット(40)が、前記センサが、前記圧力に対する予め決められた閾値よりも低いときに、前記光線の作動を止める、又は前記光線を放出しないことを特徴とする、接合ツール・ユニット。
【請求項10】
先行する請求項のうちの何れか1項に記載の接合ツール・ユニット(2)を備え、ツール・クリップ(3)を備える、ツール・グリッパ(1)。
【請求項11】
接合ツール・ユニットによる、特に、請求項1から請求項9までの何れか1項に記載の接合ツール・ユニット(2)による工作物の接合過程方法であって、
- 流体を流路(38)に導入するステップと、
- 押さえ装置(6)の第1の出口(33)が工作物(25)に接触して配置されるまで、前記接合ツール・ユニット(2)を前記工作物(25)の方向に移動させるステップと、
- 前記押さえ装置(6)の第2の出口(37)を塞ぐステップと、
- 前記流路(38)内のセンサによって圧力を測定するステップと、
- 制御ユニット(40)によって、前記センサによって測定された圧力を、前記圧力に対する予め決定可能な閾値と比較するステップと、
- 前記センサによって測定された前記圧力が前記予め決められた閾値を超えたときに、前記第2の出口(37)を開いて前記流路(38)内に流れを生じさせるステップと、
- 前記制御ユニット(40)によって光源(10)を作動させるステップと、
- 前記接合ツール・ユニット(2)の前記可動ツール(7)の、前記工作物(25)の方向への移動の開始と同時に、又は、前記接合ツール・ユニット(2)の前記可動ツール(7)の、前記工作物(25)の方向への移動の開始後に、前記工作物(25)の接合位置の照射を終了させるステップと、
- 前記制御ユニット(40)によって前記第2の出口(37)を塞ぐステップと、
- 前記接合ツール・ユニット(2)又は前記押さえ装置(6)を前記工作物(25)から離すステップと
を有する、接合過程方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[先行技術]
接合ツール・ユニットのツール、特にポンチ又はダイが、媒体によって損傷をチェックされる接合ツール・ユニットは既に知られている。導光システムを有する接合ツール・ユニットも知られており、この導光システムは、工作物(ワークピース)の接合位置の方向に光の光線を案内するように設計されている。したがって、硬度の高い工作物を接合することが可能であることが有利である。
【0002】
これまで知られている接合ツール・ユニットの場合、レーザの使用により、接合ツール・ユニットを用いて作業する作業員、又は接合ツールの動作領域に留まる可能性のある作業員に対して放射に対する防護を確実にしなければならないことが欠点である。公知の接合ツール・ユニットでは、接合ツール・ユニット全体が、この目的のために、レーザ・ビームの光に対して遮光性があるように構成されたハウジングを備えている。その結果、公知の接合ツール・ユニットは、特に自動化された過程に対しては、比較的高価で複雑な設計のものである。
【0003】
[発明の目的及び利点]
本発明の目的は、改良された接合ツール・ユニットを提供することである。特に、本発明の目的は、硬い工作物に接合位置を安全に生成することができる改良された接合ツール・ユニットを提供することである。
【0004】
この目的は独立請求項によって達成される。
【0005】
本発明の好都合で有利な変形は、従属請求項に開示される。
【0006】
本発明は、可動ツールを有する押さえ装置と、ツール対向要素とを備える接合ツール・ユニットに基づいており、可動ツールを有する押さえ装置と、ツール対向要素とは互いに対向して設けられ、工作物は、配置された状態において、押さえ装置とツール対向要素との間に配置可能であり、可動ツールとツール対向要素とは協働して接合接続を形成し、導光システムは押さえ装置に形成され、導光システムは、工作物が接合ツール・ユニットに配置されているときに、工作物の接合位置の方向に光の光線を案内するように設計されている。
【0007】
例えば、工作物は、例えば、層状に配置されるか、又は互いの上に配置される2つ以上の工作物部品を備える。接合接続による接合過程において、接合ツール・ユニットによって互いに接続される2つ以上の工作物部品を、可動ツールとツール対向要素との間に配置することが可能であることは有利である。可動ツールとツール対向要素との間に配置されるこれらの工作物部品は、異なる材料から構成することができる。例えば、工作物部品は、異なる金属組成又は異なる硬度を有することができる。好ましくは、接合過程の間に可動ツールが当接する工作物部品は、さらなる工作物部品よりも硬く、及び/又は脆い。工作物は、1つだけの工作物部品からなることも考えられる。例えば、接合過程において、機能要素は、接合ツール・ユニットによって工作物に配置される。例えば、接合過程において、機能要素は、単一の工作物部品又は1つだけの工作物部品に配置される。
【0008】
例えば、接合ツール・ユニットは、可動ツールが作用する工作物部品を光によって加熱することができるように構成される。接合される工作物を加熱できることにより、接合ツール・ユニットによって、硬い及び/又は脆い工作物部品と、より柔らかい材料から作られた工作物部品との間で接合接続を生成できることは有利である。接合される工作物を加熱できることにより、本接合ツール・ユニットは、現在既に可能な、又は公知の接続用途に対して改良を施すこともできる。
【0009】
接合ツール・ユニットは、機能要素、例えばセルフピアス・ナット、リベット・ナット、圧入ナット、ボルト、ねじ要素を工作物に配置するために、ならびに/あるいは、例えば、クリンチ・リベット、ソリッド・パンチ・リベット、もしくは半中空パンチ・リベットなどのリベットをクリンチング及び/又は配置するために構成されることが有利である。機能要素は、例えば、接合ツール・ユニットによって工作物にリベッティング、プレス、パンチング、又はクリンチングすることができる。
【0010】
接合ツール・ユニットによって、例えば、複数の工作物部品を、例えばリベットなどの接続要素を用いて、又は、例えばクリンチング過程によって接続要素を用いずに、互いに接続することができる。接合ツール・ユニットによって、例えば1つだけの工作物部品からなる工作物に機能要素を配置することが可能である。
【0011】
少なくとも接合過程の間、押さえ装置は、好ましくは、工作物の関連する表面と接触している。一般的には、押さえ装置と接触する工作物の表面は、平面状で平坦であるように構成されることが有利である。例えば、工作物が配置されたときに工作物に当接する押さえ装置の前面など、ツール対向要素に面する押さえ装置の側も平面状で平坦に設計される。押さえ装置の前面は、好ましくは、例えば、硬質金属又は高炭素鋼材料など、機械的に比較的耐性のある材料又は変形しにくい材料からなる。
【0012】
押さえ装置はまた、ストリッパー機能を有することもできる。例えば、接合接続の生成が完了した後、可動ツールは、ツール対向要素に対して工作物から離れるように移動される。ここで、工作物は可動ツールに固着されたままであることが考えられ、この場合、押さえ装置は、有利には、ツール対向要素に対して工作物と接触している位置に留まり、その結果、工作物は所定の位置に固定されたままであり、したがって、押さえ装置とツール対向要素との間に挟持された状態であることにより、可動ツールから剥がされる。
【0013】
また、可動ツール及びツール対向要素の両方が、工作物から離れる方向又は工作物に向かう方向への移動を同時に行うことも考えられる。この場合、工作物が、可動ツールとツール対向要素との間に別個の保持要素によって配置されることが有利である。
【0014】
押さえ装置は、これに代えて、ビーム・シールドとしてのみ、及び/又は、光線を案内するためのみに機能するように構成することができる。光線は、好ましくは、光源によって生成され、例えば、光源は、レーザとして、特に、固体レーザ、ガス・レーザ、又は液体レーザとして構成される。レーザは、パルス・レーザ・モード及び/又は連続レーザ・モードで動作可能であると考えられる。さらに、光線の光はまた、可視、紫外範囲、及び/又は赤外範囲にあることができる。光源の波長は、処理される工作物の材料の最大吸収に適合されることが有利であり、その結果、エネルギーに関して可能な限り効率的な工作物への熱の入力が、光源の光によって実施される。
【0015】
例えば、可動ツールは、接合ツール・ユニットの移動軸線に沿って移動可能であるように設けられる。例えば、可動ツールは、接合ツール・ユニットの移動軸線に沿って直線的にのみ移動可能であるように設けられる。接合ツール・ユニットに工作物が配置された状態において、接合ツール・ユニットは、ツール対向要素の方向への可動ツールの移動によって工作物を接合するように構成されることが好ましい。特に、ツール対向要素に対する可動ツールの最大移動速度は、0.1m/sから2m/sの間、例えば1m/sから2m/sの間である。
【0016】
可動ツール及び/又は押さえ装置の移動のために、例えば、空気圧液圧駆動ユニット、液圧駆動ユニット、空気圧駆動ユニット、及び/又は電気駆動ユニットなどの駆動装置、例えばリニア駆動装置が設けられる。可動ツール及び/又は押さえ装置のための駆動装置は、電気機械サーボ駆動装置を備えることが好ましい。
【0017】
可動ツールは、例えば、ダイ・ユニットとして、又はポンチ・ユニットとして構成される。さらに、ツール対向要素は、例えば、ダイ・ユニットとして、又はポンチ・ユニットとして構成される。
【0018】
例えば、押さえ装置及び可動ツールを備えるポンチ・ユニットが提供される。例えば、押さえ装置はポンチ押さえ装置として構成され、可動ツールはポンチ・ツールとして構成される。例えば、ツール対向要素はダイとして提供される。
【0019】
また、押さえ装置及び可動ツールを備えるダイ・ユニットが提供されることも考えられる。例えば、押さえ装置がダイ押さえ装置として構成され、可動ツールがダイとして構成される。例えば、ツール対向要素はポンチ・ツールとして提供される。前述の場合の両方とも、押さえ装置は、押さえ機能及び/又はストリッパー機能を提供するように構成される。
【0020】
可動ツールがポンチ・ツールとして構成され、ツール対向要素がダイとして構成されること、又はその逆も考えられる。接合ツール・ユニットが2つの可動ツールを有し、これらの可動ツールが接合ツール・ユニットで互いに対向して設けられることも考えられる。2つの可動ツールは、直線的に移動可能であるように設けられることが好ましい。例えば、ツール対向要素は可動ツールを備える。接合ツール・ユニットが、それぞれの場合で可動ツールを有する2つの押さえ装置を有し、この場合、例えば1つの可動ツールがポンチ・ツールであり、1つの可動ツールがダイであり、2つの押さえ装置が、接合ツール・ユニットにおいて互いに対向した可動ツールを有して配置されることがさらに考えられる。
【0021】
さらに、例えば、導光システムは、それぞれの場合、2つの押さえ装置に配置することができ、この場合、例えば、一方の押さえ装置のみが可動ツールを有し、他方の押さえ装置がツール対向要素を有する。さらに、例えば、両方の押さえ装置が、それぞれの場合、可動ツール及び導光システムを有することもできる。例えば、工作物の両側を照射することができ、したがって加熱することができる。例えば、工作物、すなわち第1の工作物側及び第2の工作物側に当たる2つの光線を予め相互に適合させることが可能である。例えば、制御ユニットによってこれを予め決めることが可能であり、すなわち、例えば、照射の開始、照射の終了、又は両側のそれぞれのもしくは同時の照射の持続時間、及び/又は、2つの光線のエネルギーの量もしくは強度を予め決めることが可能である。
【0022】
工作物は、2つの導光システムによって、第1の側から、第2の側から、又は両側から光線を受けることができることが有利である。両側から照射すると、単一の光照射に対してより短い時間で、所望の、又は可能な、対応するエネルギーの量又は強度を工作物に効果的に供給できることが有利である。また、両側照射では、2つの押さえ装置の間に配置された工作物の重なった部分を導光システムによって加熱することも可能である。
【0023】
押さえ装置とツール対向要素が互いに対して移動可能であるように設けられていることも有利であると判明した。その結果、接合ツール・ユニットを比較的柔軟に使用することができる。
【0024】
例えば、押さえ装置は、ツール対向要素に対して移動可能であるように設けられる。例えば、押さえ装置と可動ツールは、互いに独立して駆動装置によって移動可能であるように設けられる。押さえ装置は、好ましくは、駆動装置によってツール対向要素の方向に移動可能である。押さえ装置とツール対向要素は、互いに対して駆動装置によって移動可能であるように設けられることが考えられる。例えば、駆動装置は、押さえ装置及び/又はツール対向要素を移動させることができる。押さえ装置は、有利には、可動ツールの長手方向の範囲にわたって可動ツールを円周方向に囲む。押さえ装置に可動ツール用の穴が設けられ、可動ツールは押さえ装置の穴に沿って直線的に移動可能であることが好ましい。
【0025】
押さえ装置とツール対向要素との間に配置された工作物を挟持することができるように、押さえ装置とツール対向要素とを互いに向かって移動させることができることが有利である。例えば、第1に、これによって、接合過程のために工作物を固定することができ、第2に、工作物の複数の工作物部分もまた互いに当接して持することができ、その結果、工作物の1つの工作物部分から別の工作物部分への熱伝達が改善される。
【0026】
例えば、押さえ装置、導光システム、及び/又は光源は、押さえ装置、導光システム、及び/又は光源が共に移動可能であるようにのみ設けられるように、互いに対して、又は互いに対向して配置される。例えば、押さえ装置、導光システム、及び/又は光源は、互いに対して所定の位置に固定されるように設けられる。
【0027】
例えば、導光システムは、光源の光を光線に沿って囲み、その結果、光は、導光システムによって、光線に対して半径方向外向きに遮光する態様で遮られる。導光システムは、好ましくは、押さえ装置において、導光システムが光線に沿って光を囲むように設計され、その結果、光は、導光システムによって、光線に対して半径方向外向きに遮蔽される。
【0028】
実際には最良の条件であったとしても、押さえ装置が工作物に配置された状態において、光線の小さな成分が散乱光として生じる。これは、一般的には、押さえ装置の部分と工作物の表面の部分とが互いに完全に平坦に当接することができない、又は押さえ装置を工作物表面に正確に垂直に配置することができないためである。したがって、実際には、工作物に配置された状態で、押さえ装置の表面と工作物表面との間、又は押さえ装置の前面と工作物表面との間に、概して、例えば10分の1ミリメートルの範囲の小さな隙間幅を有する隙間領域が生じる。散乱光の成分は、押さえ装置と工作物表面との間、又は押さえ装置の前面と工作物の表面との間の隙間を通って、接合ツール・ユニットの周囲に外向きに現れ得る。この隙間は、例えば、特に、押さえ装置及び工作物の2つの対向する表面の選択的な窪み又は隆起などの凹凸により、及び/又は、対向する表面、例えば、押さえ装置の前面と工作物表面との間の対向する表面の非平行な向きから存在し得る。
【0029】
また、接合ツール・ユニットに工作物が配置された状態において、押さえ装置が工作物の接合位置を囲むように工作物の表面と接触する位置に押さえ装置が配置されるように、押さえ装置が構成されることが提案される。その結果、押さえ装置と工作物表面との間で、光の放射パワーの最大20%が外向きに放射される、または、接合される工作物のポイントのすぐ周囲での入射光の放射パワーの最大20%が、押さえ装置と工作物の表面との間で、外向きに放射される。
【0030】
例えば、光の放射パワーは、接合ツール・ユニットに配置された工作物に作用する光源からの光の放射パワーであると考えられる。例えば、光源を出てすぐの光の放射パワーは、特に、光源から接合位置までの経路における光の反射損失及び吸収損失により、接合ツール・ユニットに配置された工作物に作用する光の放射パワーよりも大きい。
【0031】
導光システムの凹部は押さえ装置に設けられることが好ましい。好ましくは、導光システムの凹部、特に円筒状の凹部は、押さえ装置の内部に設けられ、好ましくは、導光軸線に対して円周方向に完全に閉じられており、凹部の円筒軸線、例えば凹部の長手方向の範囲に沿って工作物の方向に光を案内することができる。例えば、凹部は、押さえ装置に穴として、例えば貫通穴として設けられる。凹部は、例えば、凹部まで延在する押さえ装置の材料によって取り囲まれる。また、凹部は押さえ装置に管の態様で、例えば管として設けられることも考えられる。しかしながら、導光システムがガラス繊維を有し、ガラス繊維が押さえ装置に固定されることも考えられる。
【0032】
例えば、流体用の流路が、光の光線のセクションに沿って押さえ装置の工作物側の端部まで画定される。流路は、入口及び第1の出口を有し、流体用の第1の出口は、押さえ装置の工作物側の端部に形成される。前記出口は、接合過程の間、工作物と接触しており、そして、流路の第2の出口が設けられている。
【0033】
導光システムは、光源からの光の光線が、可動ツールの移動軸線に対して0°より大きい角度でのみ接合位置に放射するように、押さえ装置に設けられることが有利である。入射角は、直線可動ツールの移動軸線に対して可能な限り傾きが急であることが好ましい。導光システムは、光の光線が、直線可動ツールの移動軸線に対して5°から40°の間の角度範囲でのみ工作物の接合位置に放射するように設計されることが好ましい。凹部、特に第1の凹部の長手方向軸線は、押さえ装置に、可動ツールの移動軸線に対して5°から40°の間の角度範囲に設けられることが有利である。
【0034】
工作物の接合位置に向かう、または接合位置に至る光線がわずかに斜めを向いていることにより、押さえ装置を、特に、ツール対向要素を向くその前端部において、比較的細い設計にすることができることは有利である。したがって、好ましくは、押さえ装置の外形寸法に事実状変化がなく、これは、例えば、可動ツールによって処理される工作物又はその接合位置への接合ツール・ユニットの配置及びアクセスのしやすさにとって有利である。
【0035】
角度範囲を設定するための設定手段が考えられ、これにより、光線を直線可動ツールの移動軸線に対して設定することができる。この設定手段によって設定することができる設定角度は、好ましくは凹部の設計によって定められる。
【0036】
さらに、第2の凹部が押さえ装置に設けられることが有利である。第2の凹部は、押さえ装置に第1の凹部に対して鏡面対称に設けられることが考えられる。鏡軸は可動ツールの移動軸線に平行に延びることが好ましい。例えば、可動ツールの移動軸線が押さえ装置又は可動ツールの中心を通って延びる場合、好ましくは、移動軸線は鏡軸に一致する。
【0037】
凹部は、好ましくは、接合ツール・ユニットが工作物に当接しているときに光が第1の凹部に沿って工作物上に案内され、工作物から反射された光が第2の凹部に沿って案内されるように、押さえ装置に構成される。光線を押さえ装置の第1の凹部及び第2の凹部に沿って導くことにより、防護室を不要にすることができる。
【0038】
例えば、押さえ装置は、反射された光が捕捉され吸収されるビームトラップ(trap)又はビーム受け(sump)を備える。ビームトラップ又はビーム受けは、第2の凹部の端部に配置されることが好ましい。第2の凹部の端部は、好ましくは、工作物に対して対向する方向に構成される。
【0039】
有利なことに、接合ツール・ユニットは、提案される導光システムによって実際に使用することができる。特に、接合ツール・ユニットは、例えば、高い光エネルギーの量による潜在的な危険性に関する安全面に関連する、大きな追加の対策なしに使用することができることが有利である。
【0040】
例えば、押さえ装置は窪みを備える。例えば、窪みは、接合ツール・ユニットに工作物が配置された状態で、押さえ装置が工作物と接触しているときに、工作物の接合位置の周りの領域に配置されるようにツール対向要素に対向して配置される。
【0041】
第1の凹部及び第2の凹部は、それぞれ場合、一端で窪みに移行することが好ましい。例えば、接合過程の間、可動ツールは窪み内で、又は窪みを通って係合する。窪みは、好ましくは、押さえ装置の穴として設けられる。
【0042】
例えば、押さえ装置は窪みを囲むように設けられ、その結果、理想的な場合には、工作物と接触している状態で、押さえ装置は工作物と共に窪みを完全に囲む。
【0043】
好ましくは、第2の凹部に加えて陥没部が設けられ、陥没部は第2の凹部の一部分で始まって陥没部の端部まで延びる。陥没部の長手方向の範囲は、好ましくは、可動ツールの移動軸線に平行に延びる。陥没部は、好ましくは円筒状に構成される。
【0044】
導光システムは、例えば、光線の光源のすぐ下流で始まり、第2の凹部、又はビームトラップもしくはビーム受けで終わる。流体の流路は、好ましくは、導光システムに沿って延び、例えばコリメータ、又は、例えば単一のレンズ、又は、例えば研磨ファイバ端(ground fiber end)の方向で終わる。例えば、コリメータ又は単一のレンズ又は研磨ファイバ端は、好ましくは、光源の光が影響を受けるよう光線の光源の下流に配置される。流路はまた、好ましくは、陥没部を備え、その結果、流体は第2の凹部及び陥没部の両方を通ることができる。
【0045】
流路内の流体は、好ましくは、例えば窒素又は空気などの気体である。窒素は、粒子、又は、例えば水などの液体を含まないので、窒素を使用することができることは有利である。窒素に加えて空気を使用することもでき、空気は粒子や液体を含まないことが好ましい。流体は、好ましくは、入口で導光システム又は流路に導入される。入口は、好ましくは、流路において、第1の凹部の上流で、コリメータ又はレンズ又はファイバ端の下流に配置される。例えば窒素ガス・ボンベなどの流体供給源用の接続部が入口に設けられることが好ましい。
【0046】
第1の出口は、好ましくは、押さえ装置の工作物側の端部に構成され、第1の凹部は第1の出口で終わり、第2の凹部は第1の出口で始まる。出口は、好ましくは、押さえ装置の窪みの一部である。好ましくは、第1の出口は、接合接続が生成されるときに工作物に当接し、可動ツールは、好ましくは、第1の出口において工作物と接触する。第1の出口は、好ましくは、可動ツールの幅よりもわずかに広くなるように設計される。可動ツールの幅は、例えば、可動ツールの移動軸線に対して垂直に構成される。
【0047】
第2の出口は、好ましくは、陥没部の端部に配置される。第2の出口は、好ましくは、押さえ装置の開口部であり、流体は、流路のこの開口部から流出することができる。さらに、この流体は、有害な固体又は液体を巻き込むことができるので、これらの固体又は液体をこの流体によって流路から取り除くことができる。特に、固体は、導光システムにとって、又は導光システムの光学系にとって有害である。第2の出口はまた、流体を流路から能動的に取り除くことができるように、例えば、ポンプに接続することができる。
【0048】
センサが流路に配置されることは有利である。
【0049】
センサは圧力センサ及び/又は流量センサとして構成されることが好ましい。センサは、例えば、陥没部に、好ましくは第2の出口近傍に配置される。しかしながら、センサは流路の任意のポイントに構成することができる。さらに、流路の異なるポイントで圧力を測定できるように、流路に複数のセンサを配置することができる。
【0050】
センサによって圧力の変化を測定することができれば有利である。
【0051】
圧力は、接合ツール・ユニット又は押さえ装置が工作物に接触して配置されているかどうかに応じて変化することが好ましい。第1の出口が工作物によって覆われているとき、特に完全に覆われているときに、流体が押さえ装置から第1の出口を通って流出する可能性があるため、流路の圧力は高くなることが有利である。
【0052】
第1の出口は、接合接続の生成中、工作物によって持続的に覆われることが好ましい。接合接続の生成は、押さえ装置が工作物に当接しているときに、特に第1の出口が工作物によって覆われているときに、開始することが好ましい。押さえ装置と工作物との間の接触は、好ましくは、押さえ装置と工作物の表面との間に作用する押圧力又は圧縮力である力を予め決めることで影響を与えることができる。この目的のために、例えば、可動ツールの移動軸線に対して押さえ装置を軸方向に押圧するか、又はこの押さえ装置をツール対向要素の方向に予圧する、機械ばね、例えば螺旋圧縮ばね又は空気ばねなどが設けられる。
【0053】
押さえ装置は、好ましくは、接合接続が生成された後でのみ、工作物から離される。工作物の照射、及び接合接続を形成するための工作物の方向への可動ツールの移動の両方と、初期位置に戻る可動ツールの移動とは、押さえ装置が工作物に当接している間又は工作物に押し付けられている間に行われることが好ましい。ツール対向要素の方向への可動ツールの移動を開始することができ、同時に又はその後に、光を用いた接合位置の照射又は照光を終了することができる。その結果、比較的短い接合サイクル時間を実現できることが有利である。工作物の照射を、可動ツールが工作物の方向に移動する前に終了させることもできる。
【0054】
また、第2の出口を塞ぐことができることも有利である。
【0055】
第2の出口は、好ましくは、陥没部の端部に配置され、第2の出口は、押さえ装置の外面に向かう開口とすることができる。第2の出口の開口は、例えば、機械的に動作することができるフラップによって塞いだり開いたりすることができる。
【0056】
さらに可能なことは、ライン、例えばガス・ラインを開口部に配置することである。例えば、ガス・ラインに弁を構成することができ、第2の出口は弁によって開く又は閉じることができる。
【0057】
吸引ラインを第2の出口に配置することも考えられ、その結果、流路から流体を能動的に取り除くことができる。吸引ラインは、好ましくは、接合ツール・ユニットの入口に隣接して配置される。
【0058】
例えば、吸引ラインには負圧がかかる。負圧は、例えばポンプなどの負圧装置によって与えられ、その結果、例えばポンプのスイッチの入り切りを切り替えることによって、第2の出口を塞ぐ又は開くことができ、もしくは、流体を流路から取り除く、又は流路に留まることができる。ポンプは、例えば一定の吸引力を達成するために、持続的に作動させることができる。例えば、ポンプと第2の出口との間に弁が構成され、この弁によって第2の出口を塞ぐ又は開くことができる。
【0059】
第2の出口は、制御ユニットによって塞ぐ又は開くことができることが有利である。例えば、制御ユニットは、機械的に動作することができるフラップ、又は弁、又はポンプを切り替えることができる。
【0060】
流体が入口を通って流入し、第2の出口が開いているとき、流路に流れを発生させることができる。第2の出口の開口部は、機械式フラップの開口を開けているか、又は弁が開いていることによってのみ開くことができる。さらに、流体はまた、例えばポンプによって、開いている第2の出口から吸引することもできる。
【0061】
接合接続の生成中に流路内に流れを与えることが有利である。これは、工作物の照射中に、及び可動ツールの移動中に、流路内に流れが形成されることを意味する。光源が作動される前であっても流れが形成されることは有利であり、それは、それによって、例えば有害な粒子及び気体などの汚染物を、流路から、又は導光システムから、又は導光システムの光学系から取り除くことができるからである。接合過程の間に、特に第1の出口付近で放出される汚れ粒子又は気体を、流体が運び去ることができ、又は流路から除去することができるように、光源のスイッチが切られた後に流路内に流れを与えることは有利である。
【0062】
第2の出口は、接合接続が生成され、可動ツールが初期位置に到達した直後に再び閉じることができる。
【0063】
導光システムが光学系を備え、流体が光学系を冷却し洗浄するように流体を流路に通すように案内することができることが有利である。
【0064】
光学系は、好ましくは、ミラー、レンズ、保護ガラスなどである。
【0065】
流体の流れは流路に沿って進み、その結果、流体で、例えば塵埃粒子又は煤塵粒子などの汚染物を流路から除去できることは有利である。第1の出口が工作物によって覆われているときに、流体が入口から光学系に沿って第2の出口へ流れることは有利である。導光システムの光学系領域は、保護ガラスによって押さえ装置の凹部から隔てられることが好ましい。光学系領域には、例えば、ミラーが配置され、有利には、粒子を含まない流体が光学系領域に流入するように入口が構成される。光学系領域に存在する流体は、保護ガラスに沿って側面と外側の領域にしか流れることができない。その結果、流体が入口を通って光学系領域に導入されると、光学系領域内の流体は有利に蓄積される。光学系領域内の圧力は、好ましくは、押さえ装置の凹部内の圧力と同じかそれよりも高い。光学系を保護するために、接合ツール・ユニットが作動していないときでも、流体が入口を経て光学系領域に持続的に導入されることが有利である。
【0066】
入口を通って流路に流入する流体の量を調整及び/又は制御することは有利である。流路内に流れが生じているとき、又は第1の出口が覆われて第2の出口が開いているとき、第1の出口が開いているときよりも多くの流体が入口を通って流路に流入することが好ましい。例えば、流路内に流れが生じているときに吸引される量と同じ量の流体が流路に流入する。
【0067】
さらに、光線によって生成される熱は、流路に沿った流体の流れによって除去することができる。さらなる選択肢としては、冷却された流体又は低温の流体が流路に導入され、それによって、流路又は光学系の温度をさらに下げることができる。例えば、これに加えて、ビームトラップ又はビーム受けを流体によって冷却することができる。
【0068】
さらに、ビームトラップ又はビーム受けは、好ましくは、第2の凹部の端部に冷却プレートを有し、冷却プレートは、押さえ装置の外面に配置される。冷却プレートは、好ましくは、ビームトラップ又はビーム受けが吸収又は捕捉した熱エネルギーを放散させる役割を果たす。冷却プレートは、押さえ装置に交換可能に配置可能である。さらに、ビームトラップ又はビーム受けは、例えば液体冷却システムによって能動的に冷却されることが考えられる。例えば、ビームトラップ又はビーム受けは、流路内に導かれた気体流又は空気流のみで冷却されるか、又は追加的に冷却される。
【0069】
接合ツール・ユニットが制御ユニットを備え、制御ユニットがセンサのデータを検出できることも有利である。
【0070】
制御ユニットは、好ましくはプログラム可能な演算ユニットであり、制御ユニットはセンサと通信することができることが好ましい。センサは、好ましくは、センサによって測定された圧力を制御ユニットに伝達する。
【0071】
接合ツール・ユニットの操作は、好ましくは、制御ユニットによって行われる。制御ユニットは、駆動装置及び/又は光源及び/又は導光システムの構成要素を制御及び/又は調整するように構成されることが好ましい。さらに、制御ユニットは、接合ツール・ユニットに配置された工作物に押さえ装置が接触するまで、例えば特に駆動装置によって、押さえ装置をツール対向要素の方向に移動させるように構成される。
【0072】
第1の出口が覆われ、第2の出口が塞がれているときに、予め決められた閾値を超えることができることが有利である。
【0073】
例えば、流体は、光線が作動される前に、入口を通って流路に導入される。例えば、第1の出口が工作物によって覆われ、第2の出口が塞がれ、その結果、流体の導入によって流路内に動圧が発生する。押さえ装置が工作物の接合面に対して垂直に配置されているとき、又は光の放射パワーの最大20%が押さえ装置と工作物の表面との間で外向きに放射されるときにのみ、動圧は閾値を超えることができる。
【0074】
センサが、圧力に対する予め決められた閾値を超えたときに、制御ユニットが光線を作動させることも有利である。
【0075】
閾値は、好ましくは、制御ユニットがセンサによって測定された圧力を閾値と比較できるように、制御ユニットに記憶される。閾値を超えたときにのみ光線を作動することができ、その結果、工作物上にある第1の出口の当接面への光線によって工作物を加熱することができる。例えば、制御ユニットは、光源の光を用いた、配置された工作物の接合位置での照射の前、及び/又は、可動ツールの移動が開始される前に、センサによって検出された圧力が閾値を超えているかどうかをチェックする。例えば、センサは、光源の光を外向きに遮光する態様で遮るように押さえ装置が工作物と接触する位置にあるかどうかを判定するように構成される。その結果、接合ツール・ユニットの周辺領域にいる作業員に対する危険を排除することができる。
【0076】
光パワーシステムがシャッタを有することも考えられる。例えば、光源の光による接合位置の照光を、シャッタによって作動させたり、作動を止めたりすることができる。例えば、シャッタは、光学的閉鎖体として、例えば機械的及び/又は電子的閉鎖体の形態で、例えば可動要素として設けられる。例えば非透光性材料からなる可動要素は、例えば、光線の経路に導入して、この光線を遮ったりまた出したりすることができる。制御ユニットの手段によってシャッタを作動させる、又は可動要素を作動させることができることは有利である。
【0077】
さらに、接合ツール・ユニットの制御ユニットは、可動ツールが、ツール対向要素の方向への移動中に、光源の光の光線に照射される前に、光源の光による、配置された工作物の接合位置の照射を終了するように構成される。例えば、制御ユニットは、可動ツールが光の光線に入る直前に、工作物の接合位置の照射のスイッチを切る。その結果、可動ツールの加熱、したがって可動ツールへの損傷が防止される。
【0078】
特に、接合過程の複数の過程を制御、調整、及び/又は駆動することができる中央制御ユニットが設けられているので、接合ツール・ユニットの接合過程のサイクル制御が比較的単純化されることは有利である。
【0079】
圧力に対する予め決められた閾値をセンサが下回るとき、制御ユニットは光線の作動を止める、又は光線を放出しないことが有利である。
【0080】
センサによって測定された圧力が閾値よりも低い場合、光線は好ましくは制御ユニットによって作動が止められる。
【0081】
センサによって測定された圧力が閾値よりも低い場合、接合ツール・ユニットは、特に制御ユニットは、光源の光での、配置された工作物の接合位置の照射の開始、及び/又は可動ツールの移動の開始を妨げる。したがって、接合ツール・ユニットが工作物に正しく配置されていないとき、又は外向きに過度の放射が可能なときに、人が光線を偶発的又は故意に作動することはできない。
【0082】
本発明の有利な実施形態は、上記の実施形態のうちの1つによる接合ツール・ユニットを備え、ツール・クリップを備えるツール・グリッパである。
【0083】
有利には、ツール・クリップは、可動ツールをツール対向要素に接続し、その結果、可動ツールとツール対向要素との間で力が流れる。ツール・クリップは、好ましくは、例えば、ロボット・アームに締結することができるC形クリップである。例えば、ツール・グリッパは、クリンチング、リベッティング、接合トング、及び/又はエンボス加工用のトング(tong)として構成される。ツール・グリッパは、半中空のパンチ・リベット・トング及び/又は中実のパンチ・リベット・トングとして提供されることも考えられる。
【0084】
接合ツール・ユニットによる工作物の接合過程の形態の方法も提案され、本方法は、
- 流体を流路に導入するステップと、
- 押さえ装置の第1の出口が工作物に接触して配置されるまで、接合ツール・ユニットを工作物の方向に移動させるステップと、
- 押さえ装置の第2の出口を塞ぐステップと、
- 流路内のセンサによって圧力を測定するステップと、
- 制御ユニットによって、センサによって測定された圧力を、圧力に対する予め決定可能な閾値と比較するステップと、
- センサによって測定された圧力が予め決められた閾値を超えたときに、第2の出口を開いて流路内に流れを生じさせるステップと、
- 制御ユニットによって光源を作動させるステップと、
- 接合ツール・ユニットの可動ツールの、工作物の方向への移動の開始と同時に、又は、接合ツール・ユニットの可動ツールの、工作物の方向への移動の開始後に、工作物の接合位置の照射を終了させるステップと、
- 制御ユニットによって第2の出口を塞ぐステップと、
- 接合ツール・ユニット又は押さえ装置を工作物から離すステップと
を有する。
【0085】
例えば、前述の方法ステップは、上記の順序で連続して行われる。また、個々の方法ステップが一緒に、又は同時に行われることも考えられる。例えば、流体の導入は接合ツール・ユニットの移動の後に行われる。
【0086】
流体は、接合過程全体にわたって、例えば、入口を通って流路に導入され、押さえ装置が工作物上に配置されていない限り、流体は第1の出口から流出する。例えば、1つの方法ステップでは、処理される工作物は、例えば、接合ツール・ユニットの可動ツールとツール対向要素との間に配置され、例えば位置決めされる。処理される工作物の配置は、ここでは、接合ツール・ユニットの外部に設けられた配置ユニット、例えばロボット・アームによって行うことができる。配置ユニットが接合ツール・ユニットの構成部分であることも考えられる。処理される工作物は、ツール対向要素に当接することが好ましい。接合ツール・ユニットは、押さえ装置の第1の出口が工作物に接触して配置されるまで、駆動装置によって、処理される工作物に向かって移動される。押さえ装置が工作物に接触して配置された後、可動ツールは、処理される工作物が光線によって加熱されたときに、可動ツールが工作物へより短い経路を移動すればよいように、駆動装置によって工作物の方向に移動される。可動ツールの移動によってばね要素に荷重がかけられ、それによって、押さえ装置に工作物の方向の力が働く。第1の出口は、押さえ装置に作用する力によって工作物に押し付けられ、その結果、光線のスイッチを入れたとき、工作物から反射されたビームは、押さえ装置からほとんど、又は実質的にまったく漏れることができない。
【0087】
工作物に接触している押さえ装置の位置をチェックするために、流路内の圧力が測定され、好ましくは、この目的のために第2の出口が閉じられる。その結果、押さえ装置の第1の出口が工作物によって覆われているとき、及び流路又は導光システムが損傷していないとき、流路内に流体が蓄積する。センサによって測定された圧力は、制御ユニットに伝達され、制御ユニットは、好ましくは、センサによって測定された圧力を予め決定可能な閾値と比較する。閾値は、好ましくは、第1の出口と工作物との間の隙間が狭くても、流路内でセンサによって測定された圧力が閾値を超えることができないように選択される。したがって、工作物に押さえ装置が所望のように、例えば垂直に配置されている状態でのみ光源を作動することができることが確実になる。
【0088】
例えば、流路内の圧力がチェックされた後、第2の出口が開かれ、その結果、流路内に流れが蓄積される。したがって、好ましくは、流路内の流れによって流路から汚染物が除去される。
【0089】
流れが流路に形成されると、制御ユニットは、光線が工作物に当たるように光源を作動させる。例えば、工作物は光源の光線によって加熱され、特に、表面がまだ加熱されていないときには、光線の一部分は工作物で反射される。反射された光線は、第2の凹部に沿ってビームトラップ又はビーム受けに至る。その結果、追加の放射防護室なしに、放射に対する防護が確実になる。
【0090】
工作物の温度は、好ましくは高温計によって測定される。高温計は押さえ装置に配置され、押さえ装置には穴が構成される。例えば、穴は、第1の凹部に対して移動軸線を中心として90°回転するように押さえ装置に設けられる。その結果、工作物の熱放射は穴を経て高温計に到達することができ、それによって、工作物の温度を、工作物の接合位置において測定することができる。高温計は、好ましくは、測定された温度を制御ユニットに伝達し、到達すべき温度は制御ユニットに記憶されており、測定値と比較される。例えば、特定の時間内に到達すべき温度に到達しない場合、光源の作動は停止される。
【0091】
例えば、ツール対向要素の方向への可動ツールの移動は、特に、光源のスイッチを切る直前、又は光源のスイッチを切ると同時に開始され、その結果、工作物は接合位置で接合される。例えば、制御ユニットは、可動ツールがツール対向要素の方向の経路で光源の光線の放射経路の領域に到達したときに、光源、したがって工作物の照光のスイッチが切られているかどうかをチェックするように構成される。しかしながら、制御ユニットが、最初に、光源、したがって工作物の照光のスイッチが切られているかどうかをチェックし、光源のスイッチが切られているかどうかをチェックした後にのみ、可動ツールを移動させることも考えられる。例えば、接合接続の生成中、特に、接合接続を生成する際に生成される汚染物を運び去ることができるように、流路に流れが持続的に存在する。
【0092】
例えば、接合過程が終了した後、可動ツールは初期位置に戻される。例えば、次いで、第2の出口が閉じられる。例えば、次いで、接合ツール・ユニットが工作物から離される。例えば、流体は、入口を通って第1の出口の方向に持続的に流れ、その結果、光学系は、停止期間中であっても汚染されない。
【0093】
本発明のさらなる特徴及び利点を、概略的に示す本発明の例示的な実施形態によってより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1】接合ツール・ユニットを有するツール・グリッパを斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】接合ツール・ユニットの一部の斜視図である。
【
図3】
図2による接合ツール・ユニットの部分のさらなる斜視図である。
【
図4】接合ツール・ユニットが押さえ装置及びツール対向要素で工作物に当接している、
図1による接合ツール・ユニットの一部の断面図であり、ここでは、光線の経路が示されている。
【
図5】
図4による構成の断面図であり、ここでは、流体流の経路が示されている。
【
図6】高温計を有する接合ツール・ユニットの一部の断面図である。
【
図7】
図4及び
図5による構成の断面図であり、ここでは、接合接続が生成されている。
【
図8】接合接続を生成した後に開始位置にある、
図4、
図5、及び
図7による構成の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
接合ツール・ユニット2を有するツール・グリッパ1が
図1に示されている。ツール・グリッパ1はツール・クリップ3を有し、ツール・クリップ3には、接合ツール・ユニット2、又は接合ツール・ユニット2のツール対向要素4が配置されている。ツール・クリップ3は、C形クリップとして設計されることが好ましく、例えば、接続要素5を介して、
図1には示されていないロボット・アームに締結することができる。
【0096】
接合ツール・ユニット2には、押さえ装置6、可動ツール7(
図2参照)、駆動装置8、光源10、及び制御ユニット40が配置されている。例えば、光源10は、レーザとして、特にファイバレーザとして構成される。駆動装置8は、電気駆動装置、空気圧駆動装置、液圧駆動装置、又は液圧空気圧駆動装置として構成することができる。
【0097】
例えば、可動ツール7、高温計24、及び導光システム9は押さえ装置6に配置される。導光システム9は、コリメータ11、第1のミラー12、第2のミラー13、ビームトラップ14又はビーム受け、及び保護ガラス15を備える(
図4参照)。コリメータ11は、好ましくは、平行にされた光線が生成されるように、例えば平行にされたレーザ光線が生成されるように設計される。例えば、光源10の光線は広げられ、そして互いに少なくともほぼ平行に向けられる。第1のミラー12は、例えば、光源10の光線の位置を、処理される工作物25に設定することができるように調節可能である。第2のミラー13は、好ましくは、接合ツール・ユニット2の適位置に固定的に配置される。保護ガラス15は、好ましくは、光学系すなわち導光システム9のミラー12、13及びコリメータ11と、押さえ装置6との間の分離ポイントを形成する。さらに、光線のビーム径は、接合ツール・ユニット2の外面の調節要素26によって設定することができる。ビームトラップ14又はビーム受けの端部には、ビームトラップ14又はビーム受けを冷却する冷却プレート31が構成されることが好ましい。冷却プレート31は、好ましくは、押さえ装置6の外面に取外し可能に配置され、したがって、冷却プレート31は、例えば、摩耗又は汚染の場合に、交換又は洗浄することができる。
【0098】
接合ツール・ユニット2は、好ましくは、光源10を接合ツール・ユニット2に結合するためにソケット16、17を有する(
図2参照)。例えば、流体が流入する、又は吸引されるように、吸引ライン20用のソケット18、19、及び入口23用のソケット21、22もまた接合ツール・ユニットに設けられる。例えば、流体は気体、例えば空気、特に粒子が取り除かれた空気として構成される。例えば、流体は、粒子を含まない精製された気体として存在する。流体が、例えば窒素又は二酸化炭素などの特定の気体として存在することも考えられる。
【0099】
標準的なツール・グリッパは、接合ツール・ユニット2の一部を、特に押さえ装置6及び導光システム9を、例えば、好ましくはツール・クリップ3に配置されている駆動装置8に押さえ装置6及び導光システム9を接続することによって、後付けすることができる。好ましくは、この目的のために、接合ツール・ユニット2は締結要素27を有し、接合ツール・ユニット2の一部、特にソケット16、17、18、19、21、22が構成されている接合ツール・ユニット2の部分は、締結要素27によって駆動装置8に接続することができる。さらに、押さえ装置6は、駆動装置8に接続するための取付要素29を有する。締結要素27は、好ましくは、板状の材料、特に金属から作られる。締結要素27は、締結手段30、例えばねじによって駆動装置8に接続することができる。例えば、締結要素27には安全スイッチ28が配置される。
【0100】
接合ツール・ユニットの一部の断面が
図4、
図5、
図6、
図7、及び
図8に示されており、これらによって、導光システム9又は流路38の設計をよりよく説明することができる。光源10の光線は、光源から、領域41で導光システム9に結合される。光線の経路は、
図4に矢印Lで概略的に示されている。光線は、例えば、
図4には示されていない光源10から領域41を通り、コリメータ11に進み、光線は、次いで、例えば、第1のミラー12及び第2のミラー13で反射され、例えば、保護ガラス15を通って押さえ装置6に至る。押さえ装置6には第1の凹部32が構成され、第1の凹部32は、例えば押さえ装置6内の穴である。光線は、好ましくは、第1の凹部32を通過して、押さえ装置6の工作物側の端部に構成された第1の出口33(
図4参照)に至る。押さえ装置6が工作物25に接触して配置されている場合、光線は、好ましくは金属の工作物表面42で反射され、押さえ装置6に例えば穴として構成された第2の凹部34に入る。ビームトラップ14又はビーム受けは、第2の凹部34の端部に構成され、その結果、工作物25から反射された光線は、ビームトラップ14又はビーム受けで受け入れられて吸収される。
【0101】
好ましくは、第1の凹部32の終わり、及び第2の凹部34の始まりで押さえ装置6に窪みが形成され、例えば、可動ツールは、第1の出口33の窪みを通って工作物25に突き当たる。窪みは、好ましくは、押さえ装置6に穴として設けられる。
【0102】
可動ツール7を工作物25の方向に移動軸線35に沿って直線的に移動できるように、可動ツール7のための穴が押さえ装置6に設けられることがさらに好ましい。移動軸線35は、好ましくは、可動ツール7の長手方向に沿って延びる。さらに、移動軸線35は、例えば、可動ツール7の中心を通って延びる。第1の凹部32又は第2の凹部34の長手方向軸線は、例えば、押さえ装置6の可動ツール7の移動軸線35に対して5°から40°の間の角度範囲αに設けられる(
図4参照)。好ましくは、第2の凹部34は、第1の凹部32に対して鏡面対称に設計され、例えば、その鏡面は可動ツール7の移動軸線35を通って延びる。
【0103】
例えば、導光システム9の一部は流路38を形成する。例えば、導光システム9の第1の凹部32及び第2の凹部34と窪み又は第1の出口33とが流路38の一部を形成する。好ましくは、流路38は主に導光システムに沿って延び、流路38はコリメータ11の下流でのみ始まる。さらに、流路38は、好ましくは穴として構成される陥没部36を有する。陥没部36は、好ましくは、第2の凹部34の一部分で始まり、可動ツール7の移動軸線35に平行に延びる。流体は、入口23を経て流路38に入り、流路38に沿って流れることができる。流体は、第1の凹部32へは保護ガラス15の外面しか流れることができないため、好ましくは、保護ガラス15までのコリメータ11の下流の光学系領域に貯蔵される。その結果、流体が入口23を通って流入する限り、保護ガラス15までのコリメータ11の下流の光学系領域に過圧が生じる。例えば、流体は、光学系又はミラー12、13を清浄に保つために、入口23を経て持続的に流入する。流体は、第1の出口33及び第2の出口37を通って流路38から流出することができる。第2の出口37は、好ましくは、陥没部36の端部に配置され、第2の出口37は、例えば、流入する流体を陥没部36の端部で吸引することができるように吸引ライン20に接続される。流路38から流体を吸引することができる吸引ライン20は流路38に配置されることが好ましい。
【0104】
流体は、接合過程全体にわたって入口23を通って流路32に導入され、流体は、押さえ装置6が工作物25に接触して配置されていない限り、第1の出口33から流出する。接合過程のために、最初、接合ツール・ユニット2が、押さえ装置6及びツール対向要素4が工作物に当接するまで、処理される工作物25の方向に移動されることが好ましい。例えば、ある接合過程では、2つの工作物部品が互いに接続される。押さえ装置6が工作物25に接触して配置されるとすぐに、駆動装置8は、好ましくは、移動軸線35に沿って工作物25の方向に可動ツール7を移動させる。これは、可動ツール7の初期位置を示す。したがって、可動ツール7と工作物25との間の間隔は最短化され、その結果、可動ツール7は工作物25まで比較的短い経路を有する。
【0105】
可動ツール7が駆動装置8によって移動されると、好ましくはばね要素に荷重が加えられ、それによって押さえ装置6は、ばね要素の力で工作物25に押し付けられる。その結果、押さえ装置6の第1の出口33は、好ましくは、工作物25にしっかりと押し付けられ、これは、押さえ装置6と工作物25との間から光が出るのを防止するように意図されている。さらに、押さえ装置6に当接している工作物25と押さえ装置6との接触力が高いことにより、第1の工作物部分から、ツール対向要素4に当たっている工作物25の第2の工作物部分へ、熱をより効果的に伝達することができる。
【0106】
例えば、次いで、押さえ装置6が、可動ツール7が最初に作用する工作物25の表面に所望のように当接しているかどうかがチェックされる。この目的のために、可動ツール7の位置は、好ましくは制御ユニット40によって決定される。可動ツール7は駆動装置8に接続されているので、さらに、押さえ装置6及び導光装置9の位置は、好ましくは安全スイッチ28によってチェックされる。例えば、両方の検査で所望の結果が得られて適正であると確認された後、流路38内の圧力が決定される。
【0107】
圧力を決定するために、好ましくは、第2の出口37又は吸引ライン20のポンプへの弁は閉じられている(
図4参照)。その結果、押さえ装置6の第1の出口33が工作物25によって覆われ、流路38又は導光システム9が損傷していないときには、流体は流路38内に溜まる。流路38内の圧力は、有利には、センサ(図示せず)によって測定される。センサによって測定された圧力は制御ユニット40に伝達され、制御ユニット40は、好ましくは、センサによって測定された圧力を予め決定可能な閾値と比較する(
図1参照)。閾値は、好ましくは、第1の出口33と工作物25との間の隙間が狭い場合であっても、センサによって測定された流路38内の圧力が閾値を超えることができないように選択される。したがって、押さえ装置6が工作物25に、所望のように、例えば垂直に配置されているときのみ光源10を作動できることが確実になり、その結果、光放射、又は工作物25から反射された光放射は外に逃げない。
【0108】
例えば、流路3内の圧力がチェックされた後、流路38内の流れが再び形成されるように、第2の出口37及び/又は吸引ライン20のポンプへの弁が開かれる(
図5、矢印参照)。したがって、流体は、入口23から第2のミラー13へ、保護ガラス15へ、第1の凹部32に沿って第2の凹部34へ、陥没部36に沿って第2の出口37へと流れ、そして第2の出口37で吸引される。したがって、汚染物が、流路38内の流れによって流路38から除去されることが好ましい。
【0109】
一旦、流路38内に流れが形成されると、制御ユニット40は光源10を作動させ、コリメータ11からの光線が第1のミラー12に当たり、第1のミラー12及び第2のミラー13で反射され、その結果、第1の陥没部32に沿った光線が工作物25に当たる(
図4、矢印L参照)。例えば、工作物25は、光源10の光線によって加熱され、光線の一部分は、特に表面がまだ加熱されていないときには、工作物25で反射される。反射された光線は、工作物25に対して垂直に配置されている押さえ装置6によって、第2の凹部34に沿ってビームトラップ14又はビーム受けに至る。その結果、追加の放射防護室なしに、放射に対する防護が確実になる。
【0110】
工作物での温度は、好ましくは、高温計24によって測定される(
図6参照)。高温計24は押さえ装置6に配置され、押さえ装置6には穴39が構成される。穴39の長手方向は、凹部32、34の長手方向及び可動ツール7の移動軸線35に対して横方向に向けられていることが好ましい。したがって、高温計24は、導光システム9に沿った光放射又は可動ツール7の移動を妨げない。例えば、穴39は、第1の凹部32に対して移動軸線35を中心に90°回転するように押さえ装置6に設けられる。その結果、工作物の熱放射は穴39を経て高温計24に到達することができ、それによって、工作物25の温度、特に工作物の接合位置における工作物25の温度を測定することができる。高温計24は、好ましくは、測定された温度を制御ユニット40に伝達し、到達すべき温度は制御ユニット40に記憶されており、測定値と比較される。制御装置40は、例えば、異なる材料に対する到達すべき温度を記憶している。例えば、特定の時間内に到達すべき温度に到達しない場合、光源10の作動は停止される。特定の時間内に到達すべき温度に到達できない場合、接合過程はまずは中断される。
【0111】
例えば、ツール対向要素4の方向への可動ツール7の移動は、特に、光源10のスイッチを切る直前、又は光源10のスイッチを切ると同時に、又は光源10のスイッチを切った後に開始され、その結果、工作物25は接合位置で接合される(
図7参照)。例えば、制御ユニット40は、可動ツール7がツール対向要素4の方向の経路で光源10の光線の放射経路の領域に到達したときに、光源10、したがって工作物25の照光のスイッチが切られているかどうかをチェックするように構成される。その結果、光源10からの光線の照射によって可動ツール7が望ましくなく加熱されることが防止される。それによって、接合ツール・ユニット2の作業員の安全も確保される。しかしながら、制御ユニットが、最初に、光源10、したがって工作物25の照光のスイッチが切られているかどうかをチェックし、光源10のスイッチが切られているかどうかをチェックした後にのみ、可動ツール7を移動させることも考えられる。可動ツール7は、好ましくは、工作物25に向かって移動軸線35に沿って移動され、工作物25の2つの工作物部分は、可動ツール7が工作物25の第1の工作物部分と接触することによって、好ましくは、工作物25の工作物部分がツール対向要素4に押し付けられることによって変形される。それにより、接合接続が生じる。例えば、接合接続の生成中、特に、接合接続を生成する際に生成される汚染物を運び去ることができるように、流路38に流れが持続的に存在する(
図5参照)。
【0112】
例えば、接合過程が終了した後、可動ツール7は
図4による初期位置に戻される。例えば、次いで、第2の出口37が閉じられる。例えば、次いで、接合ツール・ユニット2、特に押さえ装置6が、駆動装置8によって工作物25から離される。例えば、流体は、入口23を通って第1の出口33の方向に持続的に流れ、その結果、光学系は、停止期間中であっても汚染されない。
【符号の説明】
【0113】
1…ツール・グリッパ、2…接合ツール・ユニット、3…ツール・クリップ、4…ツール対向要素、5…接続要素、6…押さえ装置、7…ツール、8…駆動装置、9…導光システム、10…光源、11…コリメータ、12…ミラー、13…ミラー、14…ビーム受け、15…保護ガラス、16…ソケット、17…ソケット、18…ソケット、19…ソケット、20…吸引ライン、21…ソケット、22…ソケット、23…入口、24…高温計、25…工作物、26…調節要素、27…締結要素、28…安全スイッチ、29…取付要素、30…締結手段、31…冷却プレート、32…凹部、33…出口、34…凹部、35…移動軸線、36…陥没部、37…出口、38…流路、39…穴、40…制御ユニット、41…領域、42…ツール表面
【手続補正書】
【提出日】2023-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合ツール・ユニット(2)であって、
可動ツール(7)を有する押さえ装置(6)と、ツール対向要素(4)とを備え、前記可動ツール(7)を有する前記押さえ装置(6)と、前記ツール対向要素(4)とが互いに対向して設けられ、工作物(25)が、配置された状態において、前記押さえ装置(6)と前記ツール対向要素(4)との間に配置可能であり、前記可動ツール(7)と前記ツール対向要素(4)とが協働して接合接続を形成し、導光システム(9)が前記押さえ装置(6)に形成され、前記導光システム(9)が、前記工作物(25)が前記接合ツール・ユニット(2)に配置されているときに、前記工作物(25)の接合位置の方向に光の光線を案内するように設計されていて、流体用の流路が、前記光の前記光線のセクションに沿って前記押さえ装置(6)の工作物側の端部まで画定され、前記流路(38)が、入口(23)と第1の出口(33)とを有し、前記流体用の前記第1の出口(33)が、前記押さえ装置(6)の工作物側の端部に形成され、前記出口が、接合過程の間に前記工作物(25)と接触しており、前記流路(38)の第2の出口(37)が設けられ
、前記可動ツール(7)が、前記接合ツール・ユニット(2)の移動軸線に沿って移動可能であるように設けられていることを特徴とする、接合ツール・ユニット(2)。
【請求項2】
請求項1に記載の接合ツール・ユニットであって、
前記可動ツール(7)が、前記接合ツール・ユニット(2)の前記移動軸線に沿って直線的にのみ移動可能であるように設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の接合ツール・ユニット。
【請求項3】
先行する請求項のうちの何れか1項に記載の接合ツール・ユニットであって、
センサが前記流路(38)に配置されていることを特徴とする、接合ツール・ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の接合ツール・ユニットであって、
前記センサによって圧力の変化を測定することができることを特徴とする、接合ツール・ユニット。
【請求項5】
先行する請求項のうちの何れか1項に記載の接合ツール・ユニットであって、
前記第2の出口(37)を塞ぐことができることを特徴とする、接合ツール・ユニット。
【請求項6】
先行する請求項のうちの何れか1項に記載の接合ツール・ユニットであって、
前記導光システム(9)が光学系(12、13、15)を備え、前記流体が前記光学系(12、13、15)を冷却し洗浄するように、前記流路(38)を通して前記流体を案内することができることを特徴とする、接合ツール・ユニット。
【請求項7】
請求項3から請求項6までのうちの何れか1項に記載の接合ツール・ユニットであって、
前記接合ツール・ユニット(2)が制御ユニット(40)を備え、前記制御ユニット(40)が前記センサのデータを検出することができることを特徴とする、接合ツール・ユニット。
【請求項8】
先行する請求項のうちの何れか1項に記載の接合ツール・ユニットであって、
前記第1の出口(33)が覆われ、前記第2の出口(37)が塞がれているときに、予め決められた閾値を超えることができることを特徴とする、接合ツール・ユニット。
【請求項9】
請求項3から請求項8までのうちの何れか1項に記載の接合ツール・ユニットであって、
前記制御ユニット(40)が、前記センサが、前記圧力に対する予め決められた閾値を超えたときに、前記光線を作動させることを特徴とする、接合ツール・ユニット。
【請求項10】
請求項3から請求項9までのうちの何れか1項に記載の接合ツール・ユニットであって、
前記制御ユニット(40)が、前記センサが、前記圧力に対する予め決められた閾値よりも低いときに、前記光線の作動を止める、または前記光線を放出しないことを特徴とする、接合ツール・ユニット。
【請求項11】
先行する請求項のうちの何れか1項に記載の接合ツール・ユニット(2)を備え、ツール・クリップ(3)を備える、ツール・グリッパ(1)。
【請求項12】
請求項3から請求項10までのうちのいずれか1項に記載の接合ツール・ユニットによる工作物の接合過程方法であって、
流体を流路(38)に導入するステップと、
押さえ装置(6)の第1の出口(33)が工作物(25)に接触して配置されるまで、前記接合ツール・ユニット(2)を前記工作物(25)の方向に移動させるステップと、
前記押さえ装置(6)の第2の出口(37)を塞ぐステップと、
前記流路(38)内のセンサによって圧力を測定するステップと、
制御ユニット(40)によって、前記センサによって測定された圧力を、前記圧力に対する予め決定可能な閾値と比較するステップと、
前記センサによって測定された前記圧力が前記予め決められた閾値を超えたときに、前記第2の出口(37)を開いて前記流路(38)内に流れを生じさせるステップと、
前記制御ユニット(40)によって光源(10)を作動させるステップと、
前記接合ツール・ユニット(2)の前記可動ツール(7)の、前記工作物(25)の方向への移動の開始と同時に、または、前記接合ツール・ユニット(2)の前記可動ツール(7)の、前記工作物(25)の方向への移動の開始後に、前記工作物(25)の接合位置の照射を終了させるステップと、
前記制御ユニット(40)によって前記第2の出口(37)を塞ぐステップと、
前記接合ツール・ユニット(2)または前記押さえ装置(6)を前記工作物(25)から離すステップと
を有する、接合過程方法。
【国際調査報告】