(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ドリルアンカーパイル
(51)【国際特許分類】
E02D 5/80 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
E02D5/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536536
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-02-22
(86)【国際出願番号】 GB2022051859
(87)【国際公開番号】W WO2023031576
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524071481
【氏名又は名称】リフレックス マリン リミテッド
【氏名又は名称原語表記】REFLEX MARINE LTD
【住所又は居所原語表記】5 ROCKLEAZE, BRISTOL BS9 1ND (GB)
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】ストロング,フィリップ
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041GA01
2D041GC02
2D041GD02
(57)【要約】
ドリルアンカーパイル
本発明は、海底に掘削されたボーリング孔(30)に埋め込まれるように構成されたアンカ
ーパイル(2)を含むアンカーシステム(1)に関するものである。 アンカーパイル(2)
は、長手方向の軸線(L)を有し、上端部(4)と下端部(5)とからなる本体の細い部分
(3)から構成される。 本体の細い部分(3)の断面は、上端部(4)から下端部(5)に
向かう方向において、長手方向の軸線(L)の一部に沿って膨らみ、少なくとも1つの支承
部(7a、7b)を画定し、使用時に、少なくとも1つの支承部(7a、7b)と孔(30)の隣接
部分との間に、ロックをかける媒体を受容するための環状の隙間(32)が形成されるよう
になっている。 アンカーパイル(2)は、環状の隙間(32)内にロックをかける媒体を受
け入れ、わらかい素材が支承部(7a、7b)に突き当たることで、孔(30)内の所定の位置
にロックされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下から構成されるアンカーシステム (1)
- 海底に掘削されたボーリング孔(30)内に埋め込まれるように構成されたアンカーパイ
ル(2)であって、このアンカーパイル(2)は、本体の細い部分(3)を含み、該本体の
細い部分(3)に沿って形成された1つまたは複数の継手を任意に含み、該本体の細い部分
(3)は、長手方向の軸(L)を有し、また上端部(4)および下端部(5)を備える。この
上端部は、使用時に、該ボーリング孔(30)内に完全に埋まるされるように構成されてい
る。
- アンカーパイル(2)の本体の細い部分(3)上に位置する1つまたは複数の部分を備え
ており、その各部分は本体の細い部分(3)およびその上に形成された1つまたは複数の継
ぎ目の断面よりも大きい断面を有し、1つまたは複数の部分の断面は、上端(4)から下端
(5)に向かう方向において、長手方向の軸(L)の一部に沿って膨らんでいる。これによ
り少なくとも1つの支承部(7a.7b)は、使用時に、ロックをかける媒体を受容するため
の環状の溝(32)が、少なくとも1つの支承部(7a、7b)と孔(30)の隣接部分との間に
画定され、ロックをかける媒体が支承部(7a、7b)および孔(30)の適切な耐荷重土壌層
と接触することから生じる摩擦抵抗の結果として、環状の溝(32)内にロックをかける媒
体が受容されることにより、アンカーパイル(2)が孔(30)内の所定の位置にロックさ
れるようになっていることを特徴とするもの。
【請求項2】
請求項1に記載のアンカーシステム(1)で、支承部(7a、7b)が少なくとも1つのテーパ
ーの部分からなるもの。
【請求項3】
請求項1および2のいずれかに記載のアンカーシステム(1)で、本体の細い部分(3)が、
本体の細い部分(3)から外側に膨らんだ部分(6a、6b)および/または本体の細い部分
(3)から外側に膨らんで傾斜する傾斜面を備えたもの。
【請求項4】
本体の細い部分(3)が、長手方向の軸線(L)に対して本質的に平行に配置された少なく
とも1つの導管(11a、11b)を備え、この導管(11a、 11b)は、本体の細い部分(3)の
断面が増大する本体の細い部分(3)の長手方向の軸線(L)の部分に沿って延びているも
の。この時少なくとも1つの導管(11a、11b)は、それによって本体の細い部分(3)の上
側セクションと下側セクションとの間のチャネルを形成する。
【請求項5】
前述の請求項のいずれかに記載のアンカーシステム(1)であって、本体の細い部分(2)
が構成されている、アンカーシステム(1)で以下から構成されるもの。
- 本体の細い部分(3)の長手方向の軸(L)と同軸の第1の円錐形の部分(8a、8b)を有
し、この第1の円錐形の部分(8a、8b)に沿って、本体の細い部分(11)の断面が、上端
(4)から下端(5)に向かう方向に膨らむもの。
- 本体の細い部分(3)の長手方向の軸(L)と同軸の第2の円錐形の部分(10a、10b)を
備え、この第2の円錐形の部分(10a、10b)に沿って、本体(3)の断面が、上端(4)か
ら下端(5)に向かう方向に細くなるもの。
- 第1の円錐形の部分(8a、8b)と第2の円錐形の部分(10a、10b)との間に延びる、本体
の細い部分(3)の長手方向の軸(L)と同軸の管状部分(9a、9b)。
【請求項6】
請求項5に記載のアンカーシステム(1)で、第1の円錐形の部分(8a、8b)のテーパ角が
、第2の円錐形の部分(10a、10b)のテーパ角よりも小さいもの。
【請求項7】
請求項5および6のいずれかに記載のアンカーシステム(1)で、第1の円錐形の部分(8a、
8b)が、第2の円錐形の部分(10a、10b)よりも本体の細い部分(3)の大きな長さに沿っ
て延びていることを特徴とするもの。
【請求項8】
請求項4から7のいずれか一項に記載のアンカーシステム(1)で、本体の細い部分(3)が
、その長手方向の軸(L)に対して本質的に平行に配置された少なくとも1つの導管(11a
、11b)を備え、その導管(11a、11b)が以下の部分で延びているもの。
- 第1の円錐形の部分(8a、8b)の少なくとも一部
- 管状部分(9a、9b)
- 第2の円錐形の部分(10a、10b)の少なくとも一部。
【請求項9】
前述のいずれかの請求項に記載のアンカーシステム(1)で、アンカーパイル(2)の本体
の細い部分(3)の少なくとも一部が、本体の細い部分(3)と環状の隙間(32)内に受容
されたロックをかける媒体との間の摩擦を増大させるように構成された凝集性の高摩擦コ
ーティングを備えることを特徴とするもの。
【請求項10】
請求項9に記載の固定システム(1)で前記粘着性高摩擦コーティングが、前記本体の細
い部分(3)に結合されたビチューメン、もしくは同様の材料、またはシート材料を含む
もの。
【請求項11】
請求項9または10に記載の固定システム(1)で、前記少なくとも1つのテーパーの部分
分が粘着性の高摩擦コーティングを含むもの。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか一項に記載のアンカーシステム(1)で、前記本体の細い部分
(3)の少なくとも一部が、前記ボーリング孔を貫通するために前記本体の細い部分(3
)から外側に駆動されるように構成された固定手段(12)を備える、 (30)壁によ
って固定できるようにすることを特徴とするもの。
【請求項13】
請求項10に記載の固定システム(1)で、前記固定手段(12)が円錐形ボルトであるも
の。
【請求項14】
請求項12または13に記載の固定システム(1)で前記本体の細い部分(3)が、前記本体
の細い部分(3)の長さに沿って互いに離間した複数の固定手段(12)を備えるもの。
【請求項15】
請求項14に記載の固定システム(1)で、前記複数の固定手段(12)のうちの1つ以上
が、前記本体の細い部分(3)の長手方向の軸に対して異なる角度で延在するように構成
されるもの。
【請求項16】
請求項1から10のいずれか一項に記載のアンカーシステム(1)で、前記アンカーパイル
(2)の前記本体の細い部分(3)が、上方に配置された複数のポート(14a、14b
、14c)を備える実質的に管状の中空体として形成されているもの。この時このポート
(14a、14b、14c)は、本体の細い部分(3)の内部容積と、本体の細い部分(
3)とボーリング孔 (30)の間に形成される環状の溝(32)との間の流体連通を確立す
るように構成されているもの。
【請求項17】
請求項1から3のいずれか一項に記載のアンカーシステム(1)で、係留索(40)の係留
索終端点が、アンカーパイル(2)の本体の細い部分(5)の上端(4)に一体的に接続
されているもの。この時、係留索(40)が同心であり、本体の細い部分(3)の長手方
向の軸(L)と軸方向に整列するように配置される。
【請求項18】
請求項1から5のいずれか一項に記載のアンカーシステム(1)で、前記ボーリング孔の開
口部に配置されるように構成されたガイド(20)をさらに備え、前記ガイド(20)は
、使用時に位置合わせされるように構成されたガイドチャネル(22)を提供するもの。
このときガイド(20)は、アンカーパイル(2)がボーリング孔(30)内に配置され
ると、 ボーリング孔(30)内のアンカーパイル(2)から取り外し可能となるように構
成される。
【請求項19】
請求項18に記載のアンカーシステム(1)で、 前記ガイド(20)が、前記ボーリング
孔(30)に接触するように構成された第1の端部と、反対側の第2の端部とを備え、か
つ、前記ガイド(20)がスロットをさらに備えるスロットはその第1端と第2端との間
に延在し、その中でスロットはガイドチャネル(22)と連通しているもの。
【請求項20】
請求項19のアンカーシステム(1)で、前記スロットが、前記ガイド(20)の長手方向
の軸とほぼ平行に延在するもの。
【請求項21】
請求項18から20のいずれか一項に記載の固定システム(1)で、少なくとも前記ガイド(
20)が脆性の素材または変形するような素材で作られているもの。
【請求項22】
係留アンカーを形成するために海底に掘削されたボーリング孔(30)にアンカーパイル
(2)を設置する方法であって、以下のステップを含むもの。
請求項1から21のいずれかに記載の固定システム(1)を提供するステップ
アンカーパイル(2)の本体の細い部分(3)の支承部(7a、7b)と隣接するボーリ
ング孔(300)の壁との間に形成される環状隙間(32)を少なくとも部分的にロック
をかける媒体で充填してアンカーパイル(2) を所定の位置にをロックするステップ
【請求項23】
請求項22に記載のアンカーパイル(2)を設置する方法であって、ロックをかける媒体を
挿入する前に、アンカーパイル(2)がボーリング孔(30)内に完全に入るまでアンカ
ーパイル(2)をボーリング孔(30)に通すことをさらに含む方法。
【請求項24】
請求項22および請求項23のいずれかに記載のアンカーパイル(2)の設置方法であって、
以下から構成されるもの。
本体の細い部分(3)の下端部(5)を、ガイド(20)のガイドチャネルを通して、孔(30
)内に導入するステップ。
ガイド(20)をアンカーパイル(2)から取り外す。
【請求項25】
請求項22から24のいずれか1項に記載の方法であって、ロックをかける媒体が、ボーリン
グ孔(30)の上部から環状隙間(32)に直接流体媒体で供給される方法。
【請求項26】
請求項25に記載の手法で、 アンカーパイル(2)の本体の細い部分(3)が、管状の中空
体として形成され、ロックをかける媒体が中空管状の主本体を通って、本体の細い部分(
3)とボーリング孔(30)との間の環状の隙間(32)に圧送される流体および/またはス
ラリーとして提供されるもの。
【請求項27】
請求項26に記載の手法で、本体の細い部分(3)が、その長さの少なくとも一部にわたっ
て配置された複数のポート(14a、14b、14c)を備えているもの。この時ポート(14a、14
b、14c)が、本体の細い部分(3)の内部容積と環状の溝(32)との間に流体連通を確立
するように構成され、ロックをかける媒体が、中空の本体の細い部分(3)の上端部(4)
を通って流体媒体中で提供される。 この流体を、ポート(14a、14b、14c)を通して本体
の細い部分(3)の内部容積を通してポンプで送り込み、ロックをかける媒体を流体媒体
中で環状の隙間(32)に供給することを特徴とするもの。
【請求項28】
請求項27に記載の手法で、本体の細い部分(3)が、その長さの少なくとも一部にわたっ
て複数のポート(14a、14b、14c)が設置されており、このポート(14a、14b、14c)の大
きさが、本体の細い部分(3)の下端(5)から離れるにつれて小さくなっていることを特
徴とするもの。
【請求項29】
請求項22から28のいずれかに記載の方法で、アンカーパイル(2)を孔(30)に挿入する
前に、セメントやグラウト骨材を孔(30)に供給するステップを含むもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に海底で使用されるアンカーシステムに関するものである。 このアンカー
システムは、海底の係留の終端点やアンカーとして使用するのに適している。 さらに、
このアンカーシステムを設置する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野では打ち込み、吸引、埋め込み式などの様々なアンカーシステムが知られて
いる。 しかしながら、このようなシステムにはいくつかの欠点があることが判明してい
る。 一般的に使用されているアンカーシステムは、特定の海底地盤での使用に限定され
ており、またコストと時間がかかる。
浮体式洋上風力発電(FOW)プロジェクトでは、地質条件が1つのサイトで大きく異なるこ
とがある。 その結果、従来のアンカーシステムは、サイト全体で使用するには適さない
可能性がある。さらに、洋上風力発電プロジェクトでは、多数のアンカーの基礎が必要と
されるため、従来のアンカーシステムを使用するにはコスト高い。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態の目的のひとつは、既知の係留のためのアンカーシステムのこれらおよ
び他の欠点を回避または軽減することである。
本発明の第1の態様によれば、以下を含む係留のためのシステムを提供する。
海底に掘削したボーリング孔に埋め込まれるように構成されたアンカーパイルであって、
本体の細い部分を備え、本体の細い部分に沿って形成された1つまたは複数の継ぎ手を備
えている。さらにこの本体の細い部分は、長手方向の軸を有し、上端と下端を備え、上端
は、使用時にはボーリング孔内に完全に沈むように構成されているもの。
アンカーパイルの本体の細い部分上に1つまたは複数の部分があり、それぞれ本体の細い
部分そのもの、もしくは任意の1つまたは複数の接合部の断面よりも大きい断面を有して
いる。この断面は、本体の上端から下端に向かって膨らみを有しており、それによって少
なくとも1つの支承部を形成する。これにより使用時にはロックを受け止める環状の溝が
少なくとも一つの支承部と孔に隣接する部分の間で形成される。この時アンカーパイルは
環状の溝内でロック装置によって固定される。これは十分な摩擦がロック装置の台に生じ
た結果であり、この摩擦は支承部と土壌の間で生じる。
アンカーパイルは、ロックをかける媒体を環状の溝内に受容する際に、ロックをかける媒
体が支承部および孔の適切な耐荷重土壌層と密着することから生じる十分な摩擦抵抗の結
果として、孔内の所定の位置にロックされる。
本発明の第2の態様では、以下を含むアンカーシステムを提供する:
本明細書に記載のアンカーシステム
ロックの装置
本発明の第3の態様では、係留を形成するために海底に掘削されたボーリング孔にアンカ
ーパイルを設置する方法が提供され、この方法は以下のステップを含む:
本明細書に記載のアンカーシステムを提供するステップ
アンカーパイルの本体の細い部分の支承部と隣接するボーリング孔との間にある環状の溝
を少なくとも部分的にロックをかける媒体で充填し、アンカーパイルを所定の位置にロッ
クする。
本発明は、ロックをかける媒体を用いてボーリング内に挿入することにより所定の位置に
固定することができるアンカーシステムを提供する。 つまり本発明はロックをかける媒
体を用いてアンカーシステムを孔内に固定する効率的で信頼性の高い方法を提供する。こ
のアンカーシステムは非常に信頼性が高く、例えば少なくとも100トンから1000トンを超
えるような幅広い荷重を支えることができる。
本発明は、係留索などによって課される重量、例えば1000トンを超える垂直方向および横
方向の荷重を受けることができるアンカーシステムを提供する。
本発明のアンカーシステムは、ボーリングの穴が一列に設置されており、高角度な荷重に
使用することができる。
本発明のアンカーシステムは、ボーリング孔の中で確実に固定され、低コストの消耗品を
使用し、従来のアンカー機構と比較して環境への影響も低減される。
本発明のアンカーシステムは、環状の溝へのロックをかける媒体の導入から生じる摩擦に
より、十分な抵抗を提供するように構成されており、また、固定するための部材を使用す
ることによって固定することもできる。
1つまたは複数の部分の支承部の形状(例えば角度)は、アンカーパイルが引張荷重を受
けたときに、ボーリング孔内の周囲の基材にフープ応力を生じさせるために、受けたロッ
クをかける媒体の結果として生じる摩擦抵抗を介して最大圧縮荷重を伝達するように最適
化されることが好ましい。
細長い部材の長手方向の軸の形状は、長手方向の軸上の任意の2点間で直径または断面に
幾何学的に変化をつけることができる。 長手方向の軸に沿った直径または断面に変化を
つけることにより、規則的または不規則的な半径方向の断面または四角い箱断面などの箱
断面、半径方向の導管などの導管、波形、または必要とされ得る他の幾何学的表面形状な
どのテーパー形状などの断面を形成することができる。
本発明のアンカーシステムの細長い部材の上端は、ボーリング孔内に完全に沈められ、海
底下のボーリング孔内に位置することが望ましい。
本発明のアンカーシステムは、深く埋め込むためのアンカーパイルを提供するように構成
される。 本発明のアンカーシステムは、例えばオフショアの用途に使用することができ
る。さらに本発明のアンカーシステムは、例えば深海でも使用することができる。
本発明のアンカーシステムは、土壌内に埋め込む従来のアンカーシステムよりも、ボーリ
ング孔内において2倍から3倍深い位置に設置するのが理想である。 本発明のアンカーシ
ステムは、ボーリング孔の上部の土壌部分の下に埋め込まれるように構成されている。
アンカーシステムを埋め込む深さは、ボーリング孔内におけるアンカーパイルの細長い部
材の下端の深さで決まる。 本発明のアンカーシステムの埋め込みの深さは、適切な耐荷
力土層と係合するために必要な深さであり、例えば海底下100メートル以上に設置する場
合が挙げられる。 これに比べ、従来のアンカーシステム、例えば打ち込み杭や吸引杭の
埋め込みの深さは、通常海底下約10~20メートルであり、杭の頂部は通常、海底レベル付
近に位置する。
1つ以上の接合部は、隣接する細長い部材部分を連結して細長い部材を提供するための連
結の接合部を含む。
細長い部材の支承部は、少なくとも1つのテーパー部から構成することが理想である。 各
テーパーの角度は、アンカーシステムの特定の要件に従う。例えば、現場の土壌条件およ
び杭の設計要件に従って、選択、変更することができる。 例えば、支承部の各テーパー
部の最適化された角度は、細長い部材の長手方向の軸に垂直または横方向に延びる平面に
対して少なくとも2度の角度で延びるのが望ましい。 また軸受面の各テーパー部の最適化
された角度は、細長い部材の長手方向の軸に対して垂直または横方向に延びる平面に対し
て10度以下であることが好ましい。 軸受面の各テーパー部の最適化された角度は、細長
い部材の長手方向の軸に対して垂直または横方向に延びる平面に対して2度以上10度以下
であることが望ましい。
テーパーの部分は、本体の細い部分の長手方向の軸から半径方向外側に延びるように構成
されてもよい。 例えばテーパー部は、ボーリング孔の基端部に向かって本体の細い部分
の長手方向の軸から半径方向外向きに延びるように構成することもできる。これによりテ
ーパー部の最大直径がテーパー部の下端部であったり、テーパー部の下端部と近くなる。
ある実施形態では、本アンカーシステムは、1つ以上の(好ましくは複数の)膨らんでい
る部分から構成される。これは本体の細い部分の長手方向の軸から離れるように延びるも
のである。
膨らんでいる部分(単数または複数)は、本体の細い部分の長手方向の軸から任意の適切
な角度で離れて延びるように構成できる。 例えば、膨らんでいる部分は、半径方向外向
きに延びてもよい。
膨らんでいる部分は、システムの長さに沿って互いに間隔を置いて配置されることが望ま
しい。 また特定の要件に応じて、任意の適切な数に設定できることを理解いただきたい
。この複数の膨らんでいる部分は、互いに等距離に離間することもできる。
外側に延びる各部分は、任意の適切な形状および/または寸法を有することもできる。
さらに1つ以上の、好ましくはそれぞれの、他の外側に伸びる部分と同一の形状および/
または寸法を有することも可能である。
ある実施形態では、膨らんでいる部分は、本体の細い部分から半径方向外向きに突出する
少なくとも1つの箱部、例えば正方形の箱部、および/または本体の細い部分から外向き
に傾斜する少なくとも1つの角度の付いた面を備える。 本体の細い部分は、任意の幾何学
的形状を有する外向きに延びる本体部分(複数可)を含んでもよい。この場合、膨らんで
いる部分(複数可)は、本体の細い部分の長手方向の軸に対して斜めに延びる少なくとも
1つの面を有する。
1つまたは複数の膨らんでいる部分は、隣接する本体の細い部分の間に設けられた(本体
の細い部分を接続するように構成された)1つまたは複数の接合部とは区別される。 アン
カーパイルの本体の細い部分部における1つまたは複数の接合部は、テーパー状の上面を
備えている。 しかし、このテーパー状の上面は、ロックをかける媒体を介してボーリン
グ孔の基材に圧縮荷重を伝達する支持面とは異なる。
例えば1つ以上の、好ましくはそれぞれ膨らんでいる部分は、本体の細い部分の表面を横
切るような少なくとも1つの導管を備える。これは例えば膨らんでいる部分の表面を横切
る流体の流れを可能にする流路を提供するように構成する。少なくとも1つの導管は、本
体の細い部分の長手方向の軸に対して任意の適切な角度で延びる。
少なくとも1つの導管は、本体の細い部分部及び/又は膨らんでいる部分の上側セクショ
ンと下側セクションとの間のチャネル又は溝を形成する。
少なくとも1つの導管は、本体の細い部分の長手方向の軸に平行に配置されることが望ま
しい。これにより本体の細い部分の長手方向の軸の一部に沿って導管が延びるようになる
。
ある実施形態では、本体の細い部分は、少なくとも1つの膨らんでいる部分を含み、以下
から構成される:
本体の細い部分の長手方向の軸線と同軸の第1の円錐部を有し、その第1の円錐形の部分に
沿って、本体の細い部分の断面がその上端から下端に向かう方向に膨らみを有するもの。
本体の細い部分の長手方向の軸線と同軸の第2の円錐部を有し、この第2の円錐形の部分
に沿って、本体の断面がその上端から下端に向かう方向に細くなるもの。
ある実施形態では、本体の細い部分は、少なくとも1つの外側に延びる本体部を含み、以
下から構成される:
本体の細い部分の長手方向の軸と同軸の第1の円錐部を有し、第1の円錐形の部分に沿って
、本体の細い部分の断面がその上端から下端に向かう方向に膨らみを有するもの。
本体の細い部分の長手方向の軸と同軸の第2の円錐部で、その第2の円錐形の部分に沿って
、本体の断面がその上端から下端への方向に細くなるもの
本体の細い部分の長手方向の軸(L)と同軸の管状部。これは第1の円錐形の部分と第2の
円錐形の部分との間に延びる。
第1の円錐形の部分は、軸受面を備えることが望ましい。
第1の円錐形の部分のテーパーの角度は、第2の円錐形の部分のテーパーの角度より小さい
ことが望ましい。
第1および第2の円錐部のテーパーの角度は、アンカーシステムの本体の特定の要件に応じ
て、任意の適切な角度であってよい。 ある実施形態では、第1の円錐部のテーパーの角度
は、第2の円錐部のテーパーの角度と同じでも構わない。
第2の円錐形の部分のテーパ角度は、本体の孔内に簡単に挿入できるように変化をつける
こともできる。
第1の円錐形の部分のテーパーの角度は、アンカーシステムの効率的な固定を確保するの
に十分な高さの環状空間を提供するように設定する。
各円錐部は、第1の自由端と、他の円錐部または管状部分に隣接して位置する第2の対向端
とを有する。 円錐形の部分の長さは、第一の自由端と第二の対向端との間で測定される
。 各円錐形の部分は、アンカーシステムの本体の細い部分の特定の要件に応じて、任意
の適切な長さを有することができることをご理解いただきたい。
第1の円錐形の部分は、第2の円錐形の部分よりも本体の長さに沿って延びることが望まし
い。
本体の細い部分部は、第1の円錐状部分の少なくとも一部、第2の円錐状部分の少なくとも
一部、管状部分(存在する場合)に沿って延びる少なくとも1つの導管を備えるているこ
とが望ましい。
本体部分は、本体の細い部分の長手方向の軸(L)に対して平行に配置された少なくとも1
つの導管からなる。この導管は第1の円錐状部分の少なくとも一部、第2の円錐状部分の少
なくとも一部、管状部分(存在する場合)に沿って延びる。
アンカーパイルの本体の少なくとも一部は、本体の細い部分と、ボーリング孔と本体の細
い部分の長手方向の軸の部分との間に設けられた環状の隙間内に受容されるロックをかけ
る媒体との間の摩擦を増加させるように構成された高摩擦コーティングを備える。
この高摩擦のコーティングは、軸受表面、例えば、テーパー表面および/またはテーパー
部分に設けられることが望ましい。
高摩擦の被膜は、第1の円錐形の部分上の、管状部分上に設けられることが望ましい。 第
2の円錐形の部分は、この高摩擦の被膜を有しないことが望ましい。
高摩擦の被膜は、本体の軸受面とロックをかける媒体との間の摩擦を増大させることがで
きれば任意のコーティングでよい。層、シート、または粒状であることが望ましい。 高
摩擦の被膜は、本体の長手方向の軸の所定の長さに沿って、任意の適切な手段によって、
軸受表面に塗布されるか、または他の方法で軸受表面に設置される。 本体の長手方向の
軸の断面が増加する部分に塗布されることが望ましい。 高摩擦の被膜は、1つ以上の膨ら
んでいる部分の少なくとも一部に沿って塗布されてもよい。アスファルトまたは他の適切
な材料から作成されることが望ましい。
ある実施形態では、本体の少なくとも一部分は固定手段を備えており、ボーリング孔の隣
接部分を貫通して、アンカーシステムの本体とボーリング孔の隣接する土層との間に機械
的に固定するように構成される。
固定手段は、本体から外向きに、又は離れて駆動されるように動作可能として、ボーリン
グ孔の隣接部分を貫通させることができることが望ましい。
固定手段は、例えば、少なくとも1つの追加要素により実現できる。例えば円錐形の尖っ
た形状を利用できる。 それ以外にも例えば、円すい状のボルトで構成できる。
膨らんでいる部分は、1つ以上の、好ましくは複数の、固定手段を含むことができる。 固
定手段は、本体の細い部分部の長さに沿って互いに間隔を置いて配置できるし、膨らんで
いる部分の長さに沿って互いに間隔を隔てて配置されてもよい。それぞれの本体部分には
、任意の適切な数の固定手段を設置できる。
複数の固定手段のうちの1つ以上は、本体の細い部分の長手方向の軸線に対して異なる角
度に延びるように構成される。 本体の細い部分の固定は、本体の細い部分から複数の異
なる角度で延びる複数の固定手段を使用することによって改善され得る。
アンカーパイルの本体の細い部分は、少なくとも一部に複数のポートを含んだ管状の中空
体として形成されることが望ましい。 このポートは、本体の細い部分の内部容積と孔の
隣接部分との間に画定された環状の溝との間の流体の流れを確立するように構成される。
ポート(単数または複数)は、1つまたは複数の膨らんでいる部分によって形成される。
アンカーシステムは、係留索に接ぐための係留索の終端点をさらに備える。 ある実施形
態では、係留ライン(アンカーライン)の終端点は、アンカーパイルの本体の細い部分の
上端に一体的に接続される。 係留ライン(アンカーライン)の終端点は、連結された本
体の細い部分の長手方向の軸(L)と同心で軸方向に伸びていることが望ましい。 係留ラ
イン終端点はアンカーパイルの上端から半径方向にオフセットさせることができ、これに
より本体の細い部分の周囲に、または本体の細い部分を貫通して、汲み上げられた流体の
ための経路を確立することを可能にする。
ある実施形態では、アンカーシステムはガイドチューブをさらに備え、ガイドチューブの
遠位端によって本体の細い部分の上端に結合されるか、または本体の上端に隣接するよう
に構成されるものもある。
ある実施形態では、アンカーシステムは以下から構成される。
ボーリング孔の開口部に配置されるように構成されたガイドを備えて、使用時にボーリン
グ孔と位置を整え、アンカーパイルがそこを通過してボーリング孔に入ることを可能にす
るように構成された開放端ガイドチャネルを備える。このガイドは、ボーリング孔内に配
置されると、アンカーパイルから取り外せるように構成されている。
一実施形態において、ガイドは、ボーリング孔に接触するように構成された第1の端部と
、第2の対向する端部とを含む。 ガイドは、その第1の端部と第2の端部との間に延在する
スロットをさらに含むこともあり、そのスロットはガイドチャネルと接続している。 ス
ロットは、係留ラインがそこを通過できるように構成するのが望ましい。
スロットは、ガイドの長手方向の軸に実質的に平行に、例えばガイドチャネルの長手方向
の軸に実質的に平行に延びるのが望ましい。
ガイドは、円錐形で構成することもできる。 ガイドは、変形するような材料で構成する
こともできる。
ガイドチャネルは、中央付近に配置できる。また柔らかい素材や変形するような材料で構
成することができる。
アンカーパイルをボーリング孔に入れる方法、例えば係留を形成するために海底に掘削さ
れたボーリング孔に設置する方法は、アンカーパイルがボーリング孔内に完全に受容され
るまでロックをかける媒体を挿入する前にアンカーパイルをボーリング孔に通すことをさ
らに含むことが望ましい。 ある実施形態では、アンカーパイルは孔底に接触するものも
ある。
アンカーパイルを設置する方法として望ましいのは、ボーリング孔を掘削し、アンカーパ
イルを挿入し、その後、アンカーパイルの本体の細い部分の1つまたは複数の部分の支承
部と隣接するボーリングボーリング孔との間に画定された環状の溝にロックをかける媒体
を挿入してアンカーを所定の位置にロックすることを含む、いわゆる「シングルパス」で
実施されることである。
使用時には、本体の支承部と隣接するボーリング孔との間に形成された環状の溝に、孔内
の所定の深さに位置する本体の細い部分に対してロックをかける媒体が導入される。 こ
の時、孔の高さの一部がロックをかける媒体で満たされ、本体の細い部分の支承部が十分
なロックを提供するのに十分な程度、例えば完全に覆われるように、環状隙間に導入され
る。
ロックをかける媒体は、例えば、緩い骨材、グラウト、セメント、またはそれらの任意の
組み合わせのうちの1つ以上から構成できる。
アンカーパイルを設置する方法は、以下を含むことが好ましい:
(訳者注:番号は原文ママ)本体の細い部分の下端を、ガイドのガイドチャネルを通して
孔内に導入すること;
アンカーパイルからガイドを取り外す。
アンカーパイルを設置する方法は以下を含むことが好ましい:
iii.本体の細い部分をガイドのガイドチャネルを通して、本体の細い部分が孔内の所定の
深さに到達するまで導入する工程
iv. ロックをかける媒体を環状の溝に挿入して本体が所定の位置にロックされると、ガイ
ドをアンカーパイルから取り外す。
ロックをかける媒体は、ボーリング孔の上部から環状の溝に流体により直接供給してもよ
い。
アンカーパイルの本体の細い部分は、管状の中空体として形成されることが望ましい。
ロックをかける媒体は、ボーリング孔内部から中空の管から供給される流体および/また
はスラリー(ドロドロした状態)で供給可能である。
ある実施形態では、本体の細い部分は、1つ以上の、好ましくは複数の、ポートを備え、
ポートは本体の長さの少なくとも一部に設置される。
各ポートは、本体の内部容積と環状の溝(単数または複数)との間の流体連通を確立する
ように構成されることが好ましい。 ロックをかける媒体は、細長いメインの本体を通し
て(このとき(例えば中空管状の主本体)の上端を通すことが好ましい)、流体媒体で環
状の溝に供給されてもよい。 流体は、例えばポート(複数可)を通して本体の内部容積
を通してポンプで送ることにより、ロックをかける媒体を流体の形で環状の溝(複数可)
に供給しても良い。
本発明のアンカーシステムは、一実施形態においては、ロックをかける媒体が、アンカー
パイルの上端に向かってパイルの下端から上方に向かって好ましくは順次に、ボーリング
孔と環状の溝(複数可)を充填するための独自の流体の供給方法を提示するものである。
これは、本体の少なくとも一部に設置した複数のポートにより達成されるものであり、
このポートの大きさ(例えば、ポートの最大直径)は、本体の細い部分の下端から離れる
につれて減少するように構成する。このように設置することで、供給されたロックをかけ
る媒体は、本体の細い部分の下端に向かって流れ、最も大きなポートを通って本体から排
出される。 ロックをかける媒体が、本体の細い部分の下端に流れて、最も大きいポート
またはそれに隣接するポートの環状の溝を満たすと、増大した圧力により本体に沿って上
昇して、最も大きいポートよりもわずかに小さいポートを通って排出される。 従って、
本発明は本体の長さに沿って配置された複数のベアリングの表面と孔の隣接部分との間に
形成された環状の溝を効率的かつ確実に充填するために利用するアンカーシステムを提供
するものである。 これによりアンカーパイルを孔内の所定位置に確実に固定することが
できる。
本方法はアンカーパイルを孔内に打ち込む前に、孔内にロックをかける媒体を供給するこ
とが好ましい。
地質の構造はボーリング孔の深さに沿って変化することをご理解いただきたい。 ある実
施形態では、構造物の設置中および固定中に、係留索の少なくとも一部が周囲の地質材料
を切断するのに十分な張力下に置かれるように、固定システムが構成される。
本体の細い部分は、所定の深さに設置されて本体の細い部分全体がボーリング孔内に入る
ことが好ましい。 本体の細い部分の上端は、ボーリング孔内で海底面下の所定の距離に
位置する。 本体の細い部分が全体的にボーリング孔内に入り、ボーリング孔内に固定さ
れているため、引張荷重を受ける結果として係留索が海底面と本体の細い部分の上端部の
上方との間に位置するカテナリー曲線を形成する。係留索は、土層との摩擦係合と土層に
対する支承によって、引張荷重を隣接する土層に伝達する。 係留索のカテナリー曲線の
結果、本発明のアンカーシステムは、アキシャル荷重(スラスト荷重)を大幅に低減する
ことができる。
本体の細い部分にかかる荷重の軸方向の低減させるために、有効直径を大きくして係留索
の荷重支持面を増やす。
アンカーシステムは、係留索の少なくとも一部、例えばボーリング孔に挿入されるように
構成された係留索の少なくとも全ての長さを取り囲んで保護するように構成された保護シ
ースをさらに備える。 保護シースは、摩擦力および/または周囲の地質材料からの摩耗
による損傷から係留索を保護するように構成されることが好ましい。 保護シースは、例
えば、鋼鉄製ラップ、熱可塑性プラスチック、または鋼鉄製クロス巻(編組)部品、また
は同様の部品の組み合わせで構成することができる。
保護シースは、摩擦抵抗を増加させる一方で、係留索の荷重支持面を増やすことができる
。さらに、保護シースには、鋼板などの耐荷重構成要素を組み込んで、地層に対する耐荷
重を増加させ、アンカーパイルにおける軸方向荷重をさらに減少させることもできる。ま
たこのような耐荷重部材を係留索に直接取り付けてもよい。
ある実施形態では、本発明は、損傷する場合も部分的に損傷するにとどめた構成されたア
ンカーシステムを提供する。 このアンカーシステムは、システム全体が損傷しないよう
に構成されている。特に、本体の細い部分は、ボーリング孔内で骨材によって全体的に受
け止められて固定される。 ピーク荷重の間、骨材(準流体として作用する)と本体の細
い部分は、ボーリング孔に沿って軸方向に移動したり、外れたりする可能性がある。 ピ
ーク荷重があるレベル以下に下がるたびに、ロックをかける媒体は環状の溝内でリセット
され、本体の細い部分のベアリング表面に高い摩擦力を与え続けながら、本体の細い部分
を孔内の所定の位置にロックする。
【図面の簡単な説明】
【0004】
以下、本発明の態様について添付の図を参照して例示的に説明する。
【
図1】本発明の一実施形態によるアンカーシステムの断面を示す概略図である。
【
図2】ボーリング孔内の
図1のアンカーシステムを示す概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるアンカーシステムの膨らんでいる部分の概略図である;
【
図4】
図1のアンカーシステムを介して使用されるロックをかける媒体の流路を示す概略図である。
【
図5】ボーリング孔内で
図1のアンカーシステムを介して使用されるロックをかける媒体の流路を示す概略図である。
【
図6】
図1のアンカーシステムを介して導入されたロックをかける媒体がアンカーシステムの下端に向かう流路を示す概略図である。
【
図7】
図1のアンカーシステムを介して導入されるロックをかける媒体がアンカーシステムの本体の細い部分部材の中央に向かって流れる流路を示す概略図である。
【
図8】
図1のアンカーシステムを介して導入されたロックをかける媒体がアンカーシステムの上端に向かう流路を示す概略図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるガイドの概略図である。
【
図10】ボーリング孔内に固定された
図1のアンカーシステムの時間の経過による変化を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
発明の詳細
図を参照しつつ説明すると、アンカーシステム1は、海底に掘削されたボーリング孔30に
埋め込まれるように構成されたアンカーパイル2からなる。 アンカーパイル2は、長手方
向の軸を有し、上端部4と下端部5とからなる本体の細い部分3からなる。
本体の細い部分3は、2つの間隔をあけて膨らんでいる部分6a、6bからなる。 つの膨らん
でいる部分6a、6bは、本体の細い部分3の長さに沿ってほぼ等間隔に配置されていること
が分かる。 しかしながら、部材6a、6bは、本体の細い部分3の任意の適切な位置に設けら
れてもよいことをご理解いただきたい。
本体の細い部分3の断面は、これら2つの外側に延びる本体部材6a、6bのそれぞれにおいて
、その上端4から下端5まで長手方向の軸に沿って延びる方向に膨らんでいることがわかる
。
図示の実施形態は、離れている2つの外向きに延びる本体部分6a、6bを有するが、アンカ
リングシステム1は、任意の適切な数の外向きに延びる本体部分6a、6bから構成されても
よいことを理解されたい。 例えば、システム1は、例えばボーリング孔30の深さなど、ア
ンカーシステムの特定の要件に応じて、単一の膨らんでいる部分から構成されてもよいし
、2つ以上の膨らんでいる部分、例えば3つまたは4つまたは5つから構成されてもよい。
離れている2つの外側に延びる本体部材6a、6bの各々は、使用時に、ロックをかける媒体
を受容するための環状隙間32が軸受面7a、7bとボーリング孔30の隣接部分との間に形成さ
れるように、軸受面7a、7bを提供する。
各外側に延びる本体部材6a、6bは、第1の円錐形の部分8a、8b、管状部分9a、9b、および
本体の細い部分3の長手方向の軸(L)と同軸の第2の円錐形の部分10a、10bからなる。
各本体部材6a、6bの第1の円錐形の部分8a、8bに沿って、本体の細い部分3の断面は、上端
4から下端5への方向に膨らむ。
本体の細い部分3の断面は、各本体部分6a、6bの第2の円錐形の部分10a、10bに沿って、上
端4から下端5に向かう方向に細くなる。
管状部分9a、9bは、第1の円錐形の部分8a、8bと第2の円錐形の部分10a、10bとの間に位置
する。
第1および第2の円錐形の部分8a、8b、10a、10bは、軸受面7a、7bとなるテーパー部を形成
する。 しかしながら、突出部材6a、6bは、ロックをかける媒体を支持し、隣接し、保持
するのに適した支承部7a、7bを提供するために、任意の適切な形状または構成を有しても
よいことを理解されたい。
第1の円錐形の部分および第2の円錐形の部分8a、8b、10a、10bの各々は、本体の細い部分
部3の長手方向の軸(L)に対して斜めに延びる(すなわち、テーパーの角度を規定する)
テーパー部を提供する。
図示の実施形態では、第1の円錐形の部分8a、8bは、第2の円錐形の部分10a、10bのテーパ
角度よりも小さい。 しかしながら、第1および第2の円錐形の部分8a、8b、10a、10bのテ
ーパ角度は、アンカーシステム1の特定の要件に応じて、任意の適切な角度を有してもよ
いことを理解されたい。
各円錐形の部分8a、8b、10a、10bは、管状部分9a、9bに位置するか、または管状部分9a、
9bに隣接する第1の自由端と第2の対向端とを有する。 各円錐形の部分8a、8b、10a、10b
の長さは、その第1の自由端と第2の対向端との間で測定される。
図1および
図3から、第1
の円錐形の部分8a、8bが第2の円錐形の部分10a、10bよりも大きな長さを有することがわ
かる。 しかしながら、各円錐形の部分は、アンカーシステムの特定の要件に応じて、任
意の適切な長さを有することができることを理解されたい。
図示の実施形態では、各円錐形の部分8a、8b、10a、10bと対抗する第2の端部の断面寸法
は、管状部分9a、9bの断面寸法と実質的に同じである。 これにより、アンカー装置1をボ
ーリング孔にスムーズに挿入することができる。
各膨らんでいる部分6a、6bは、複数の間隔をあけて設置されている導管11a、11bをさらに
備える。 導管11a、11bは、本体の細い部分3の長手方向Lに実質的に平行な方向に延びて
いる。 導管11a、11bは、第1の円錐形の部分8a、8b、管状部分9a、9b、および第2の円錐
形の部分10a、10bの少なくとも一部に沿って延びている。
図示の実施形態では、導管11a、11bはチャネルとして設けられている。 第1の突起部材6a
のチャンネル11aは、第2の突起部材6bのチャンネル11bと位置合わせがなされている。 し
かしながら、チャネルは、任意の適切な位置に配置されてもよく、例えば、他の、例えば
隣接する、突起部材に設けられたチャネルとの間で補正され得ることを理解されたい。
突起部材6a、6bのテーパー状の軸受面7a、7bには、例えばアスファルトのような高摩擦の
被膜が施されている。 高摩擦の被膜は、本体の細い部分3と環状隙間内に受容されたロッ
クをかける媒体との間の摩擦を増大させるように構成されている。
図3を参照すると、ある実施形態では、本体の細い部分3の外側に延びる本体部材6aは、ボ
ーリング孔30の壁の隣接部分を貫通してそれと固定接続を確立するように動作可能な固定
手段12を備える。 固定手段12は、部材6aの管状部9aに設けられていることが分かる。 図
3は、単一の膨らんでいる部材6a上に存在する固定手段のみを図示しているが、膨らんで
いる部材6a、6bの1つ以上、例えばそれぞれが固定手段12を含んでいてもよいことをご理
解いただきたい。
固定手段12は、ボーリング孔壁30の隣接部分を貫通するために、本体の細い部分3から外
向きにまたは離れるように駆動されるように動作可能である。
図示の実施形態では、固定手段12はコーンポイントボルトである。 しかしながら、固定
手段12は、ボーリング孔壁30を貫通するために外側に駆動可能な任意の適切な固定手段12
であってもよいことを理解されたい。
本体の細い部分3、例えば外側に延びる本体部材6a、6bは、1つ以上の固定手段12を含んで
いてもよい。 固定手段12は、本体の細い部分3の長さに沿って、例えば外側に延びる本体
部材6a、6b(または管状部9a、9b)の長さに沿って、互いに間隔を置いて配置されてもよ
い。
複数の固定手段12のうちの1つ以上は、対応する本体の細い部分3の長手方向の軸線に対し
て異なる角度で延びるように構成されている。 細長い手段の固定は、本体の細い部分3か
ら複数の異なる角度で延びる固定手段12を使用することによって改善されることが判明し
ている。
海底に掘削されたボーリング孔30にアンカーパイル2を設置する方法としては、
図4から図
9に示すように、ロックをかける媒体を挿入する前に、アンカーパイル2がボーリング孔30
内に完全に受容されるまで、本明細書に記載のアンカーパイル2をボーリング孔30内を埋
め込むことになる。 本体の細い部分3の上端4は、孔30内に完全に受容され、海底の表面
下の所定の深さに位置する。 ある実施形態では、アンカーパイル2、例えば本体の細い部
分3の下端5は、ボーリング孔30の底に接触する。
設置の際、孔30の開口部には、ガイドチャネル21を備えたガイド20が所定の位置に配置さ
れる。 ガイドチャネル21は、ボーリング孔30内で位置合わせされる。 アンカーパイル2
は、ガイド20のガイドチャネル21と位置合わせされ、ガイドチャネル21を通ってボーリン
グ孔30の開口部に挿入される。 その後、アンカーパイル2が孔30内に打ち込まれる。 そ
の後、ガイド20がアンカーパイル2から取り外される。
ロックをかける媒体は、ボーリング孔30の上部から環状の溝32に流体媒体で直接供給する
こともできる。 代替的に、ロックをかける媒体は、本体の細い部分3の下部から環状の溝
32に流体媒体で供給することもできる。 アンカーパイル2の本体の細い部分3は、
図4~図
8に示すように、本質的に管状の中空体として形成され、ロックをかける媒体は、中空の
管状の主本体3を通して孔30の内部から圧送される流体および/または堆積物として提供
される。
図4から
図8に示すように、本体の細い部分3は、任意の感覚でポート14a、14b、14cが設置
されている。 各ポート14a、14b、14cは、本体の細い部分3の内部容積と隣接する環状隙
間32との間に流体連通を確立するように構成されている。 ロックをかける媒体は、本体
の細い部分3を通して流体媒体で環状の溝に供給されてもよい。 図示の実施形態では、ロ
ックをかける媒体は、本体の細い部分3(例えば中空の管状本体)の上端4から下端5に向
かって供給される。 流体は、例えば、ポート14a、14b、14cを通して本体3の内部容積を
通して、環状隙間32に流体媒体中のロックをかける媒体を供給するためにポンプで送り込
むことができる。
図6~
図8を参照すると、ポート14a、14b、14cの大きさは、本体の細い部分3の下端5から
離れるにつれて小さくなることが分かる。 本体の細い部分3の下端5に向かって設けられ
たポート14a(
図6参照)は、本体の細い部分3の中央領域に向かって設けられたポート14b
(
図7参照)よりも寸法が大きい。 さらに、(
図7参照)本体の細い部分3の中央領域に向
かって設けられたポート14bは、(
図8参照)本体の細い部分3の上端4に向かって設けられ
たポート14cよりも寸法が大きい。 この配置により、本発明のアンカーシステム1は、ロ
ックをかける媒体が、アンカーパイル2の下端部5からアンカーパイル2の上端部に向かっ
て順次上方に優先的かつ順次に、ボーリング孔30、および環状隙間(単数または複数)32
を充填するように提供される独特の流体配置方法を提供することが可能になる。これによ
り、供給されたロックをかける媒体は、本体の細い部分3の下端5に向かって配置された最
大のポート14aを通って本体の細い部分3から優先的排出される。 ロックをかける媒体が
、本体の細い部分3の下端5に向かって最も大きいポート14aまたはそれに隣接した環状の
溝32を満たすと、増大した圧力により、ロックをかける媒体は、本体の細い部分3に沿っ
てその上端4に向かう方向にさらに設けられたわずかに小さいポート14bを通って出る。
ロックをかける媒体がわずかに小さいポート14bまたはそれに隣接する環状の溝32を充填
するにつれて、増大した圧力は、ロックをかける媒体を、本体の細い部分3に沿ってその
上端4に向かう方向に配置された次第に小さいポート16cを通って出口に出させ、隣接する
環状の溝32を順次充填する。
したがって、本発明は、本体の細い部分3の長さ方向に沿って配置された複数の支承部と
、ボーリング孔30の隣接部分との間に形成される環状の間隙を効率的かつ確実に埋めるた
めに使用することができるアンカーシステム1を提供するものである。 本発明は、アンカ
ーパイル2を孔30内の所定位置に確実に固定することができる。
一旦しっかりと固定されると、アンカーパイル2の上端4に取り付けられた係留索40は十分
な張力を受け、
図10に示すように、周囲の土壌構造を徐々に切断してカテナリー曲線を形
成することができる。 その結果、本体の細い部分は軸力の減少を経験し、装置全体が損
傷を受ける危険性が著しく減少する。 本発明を主に海底用途を参照して説明してきたが
、当業者には、本発明がこれに限定されないことが理解されよう。
【国際調査報告】