(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-29
(54)【発明の名称】内向性爪の矯正用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20240822BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240822BHJP
A61Q 3/02 20060101ALI20240822BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/891
A61Q3/02
A61K8/86
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541592
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 KR2022014155
(87)【国際公開番号】W WO2023048474
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】10-2021-0125885
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524106783
【氏名又は名称】イ、ミソク
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ、ミソク
(72)【発明者】
【氏名】イ、テ ボム
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC212
4C083AC352
4C083AC492
4C083AC892
4C083AC902
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083CC28
4C083DD28
4C083EE06
(57)【要約】
本発明は、シロキサン樹脂、アクリレート系化合物、および光開始剤を含む内向性爪の矯正用組成物に関するものである。本発明の組成物を用いると、内向性爪に組成物を塗布して硬化させる簡単な方法で内向性爪が反った方向と反対方向に逆カールを発生させることにより、内向性爪を矯正する効果を提供することができる。また、本発明は、組成物の最適配合を通じてカール量を最大化しながら爪の表面から硬化物が脱落しないようにすることができ、硬化後に残留物が現れず、反応熱による熱感が高くならないように調節し、内向性爪の矯正効果および使いやすさに優れた組成物を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシシロキサン樹脂を含むシロキサン樹脂、アクリレート系化合物、および光開始剤を含む、内向性爪の矯正用組成物。
【請求項2】
前記組成物が、組成物全重量に対してシロキサン樹脂1乃至50重量%、アクリレート系化合物10乃至50重量%、光開始剤0.1乃至15重量%、及び残量の溶媒を含む、請求項1に記載の内向性爪の矯正用組成物。
【請求項3】
前記シロキサン樹脂がエポキシ基を有しないシロキサン樹脂をさらに含む、請求項1に記載の内向性爪の矯正用組成物。
【請求項4】
前記アクリレート系化合物が、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーン変性アクリレート、およびポリエステルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の内向性爪の矯正用組成物。
【請求項5】
前記アクリレート系化合物が、3個以上のアクリレート官能基を有する多官能性アクリレート系化合物である、請求項1に記載の内向性爪の矯正用組成物。
【請求項6】
前記シロキサン樹脂とアクリレート系化合物との重量比が1:1乃至3:1である、請求項1に記載の内向性爪の矯正用組成物。
【請求項7】
前記光開始剤がカチオン開始剤およびラジカル開始剤を含む、請求項1に記載の内向性爪の矯正用組成物。
【請求項8】
前記ラジカル開始剤が、300nm以下で最大吸収ピークを有する短波長ラジカル開始剤を含む、請求項7に記載の内向性爪の矯正用組成物。
【請求項9】
前記カチオン開始剤とラジカル開始剤との重量比が1:2乃至1:50である、請求項7に記載の内向性爪の矯正用組成物。
【請求項10】
前記組成物がポリチオール(polythiol)をさらに含む、請求項1に記載の内向性爪の矯正用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内向性爪の矯正用組成物に関するものであり、より詳細には、内向性爪に塗布後硬化させる場合、内向性爪が反った方向と反対方向に逆カールを誘導することにより、内向性の手の爪又は足の爪を矯正することができる組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内向性爪(ingrown(toe)nail)は、手の爪や足の爪が皮膚に食い込んで炎症や痛みを起こす疾患である。内向性爪は、肥満や老化によって爪に自然に屈曲がひどくなる場合、水虫を長く放置して爪の形が変形する場合、またはタイトな靴を長時間履いた時に爪が爪の外側の皮膚を持続的に押すようになる場合など、さまざまな原因によって発生することができる。
【0003】
このような内向性爪の疾患は足の爪、特に親指の爪で多く発生するが、内向性の足の爪は正常な足の爪に比べて厚さがかなり厚いため、足の爪が皮膚をより強い力で掘り込むようになり、炎症や痛みがひどくなる。炎症が悪化する場合には匂いがして痛みがさらにひどくなることがあり、歩行が困難で靴の着用によって症状がさらに悪化するなど、生活に深刻な不便をもたらすことがある。
【0004】
このような内向性爪の疾患を治療するための矯正装置として、大韓民国登録特許公報第10-1565692号では、弾性のある板バネを足の爪に装着することにより内向性の足の爪を正常な足の爪に正しく矯正する矯正器を開示している。しかし、このような矯正器を足の爪に取り付けると、着用感により日常生活や歩行時に使用者が不便を感じることがあり、装置の大きさによって矯正器を挟んだまま靴を履きにくいため、外出時には持続的な矯正が難しいことがある。
【0005】
このような矯正装置の不便さを解決するために、爪にコーティング剤を塗布して内向性の足の爪を矯正する技術が提案されている。一例として、大韓民国登録特許公報第10-2021734号では、ニトロセルロース、アクリル樹脂、フタル酸ジブチル、 酢酸ブチル、バルプロ酸、及びカフェイン酸エステルを含むコーティング剤を足の爪にコーティングして内向性の足の爪の矯正効果を示す技術を開示している。
【0006】
しかしながら、前記コーティング剤を用いて内向性の足の爪を矯正するためには、足の爪の表面を研磨しなければならないという欠点があった。また、前記技術は、コーティング剤を用いて足の爪の表面を柔らかくしながら足の爪に柔軟性を付与するためのものであり、矯正に付随的な役割を果たすだけで、矯正効果に直接的な関係がなく、効果が現れるまでに時間がかかるという限界があった。
【0007】
これにより、使用者に不便を招く矯正器を使用せずに、優れた矯正効果を現すことができる内向性爪の矯正技術に対する開発が必要な状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、内向性爪が反った方向と反対方向に逆カールを誘導して内向性爪を矯正することができる組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、エポキシシロキサン樹脂を含むシロキサン樹脂、アクリレート系化合物、および光開始剤を含む、内向性爪の矯正用組成物を提供する。
【0010】
本発明において、前記組成物は、組成物の全重量に対してシロキサン樹脂1乃至50重量%、アクリレート系化合物10乃至50重量%、光開始剤0.1乃至15重量%、および残量の溶媒を含むことができる。
【0011】
本発明において、前記シロキサン樹脂は、エポキシ基を有しないシロキサン樹脂をさらに含むことができる。
【0012】
本発明において、前記アクリレート系化合物は、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーン変性アクリレート、およびポリエステルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0013】
本発明において、前記アクリレート系化合物は、3個以上のアクリレート官能基を有する多官能性アクリレート系化合物であり得る。
【0014】
本発明において、前記シロキサン樹脂とアクリレート系化合物との重量比は、1:1乃至3:1であり得る。
【0015】
本発明において、前記光開始剤はカチオン開始剤およびラジカル開始剤を含むことができる。
【0016】
本発明において、前記ラジカル開始剤は、300nm以下で最大吸収ピークを有する短波長ラジカル開始剤を含むことができる。
【0017】
本発明において、前記カチオン開始剤とラジカル開始剤との重量比は1:2乃至1:50であり得る。
【0018】
本発明の組成物は、ポリチオール(polythiol)をさらに含むことができる。
【0019】
本発明の組成物は、紫外線吸収剤、レベリング剤、および重合禁止剤のうちの1つ以上の添加剤をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明による内向性爪の矯正用組成物は、塗布及び硬化の簡単な方法を通じて内向性爪が反った方向と反対方向に逆カールを発生させて内向性爪を矯正することができる。これにより、別途の矯正装置や外科的手術なしに簡単な方法で持続的な矯正効果を提供することができる。
【0021】
特に、本発明では、組成物の最適配合によりカール量を最大化しながら爪の表面から硬化物が脱落しないようにすることができ、硬化後に残留物が現れず、反応熱による熱感が高くならないように調節し、内向性爪の矯正効果および使いやすさに優れた組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による内向性爪の矯正用組成物の矯正試験の結果を示したものである。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態による内向性爪の矯正用組成物の矯正試験の結果を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体的な具現形態についてより詳細に説明する。他の式で定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野で熟練した専門家によって通常理解されるものと同じ意味を有する。一般的に、本明細書で使用される命名法は、当該技術分野で周知であり、通常使用されるものである。
【0024】
本発明は、内向性爪の表面に塗布して硬化させることによって矯正効果を現すことができる、内向性爪の矯正用組成物に関するものである。
【0025】
本発明によれば、内向性爪の矯正用組成物を矯正しようとする爪の表面に塗布して紫外線を照射する場合、組成物が硬化しながら逆カールが発生して内向性爪を矯正する効果を現すことができる。本発明において、用語「逆カール」とは、内向性爪が反った方向と反対方向に発生するカールを意味し、逆に用語「正カール」とは、内向性爪が反った方向に発生するカールを意味する。
【0026】
本発明の組成物を用いると、別途の矯正装置がなくても内向性爪の矯正が可能であるため、使用者に不便さを招くことなく、靴着用の有無にかかわらず継続的に矯正効果を維持することができる。また、従来技術では、内向性爪の矯正のためにコーティング組成物を用いる場合、単に爪を保護し、柔軟性を付与する効果のみあるだけで、実質的な物理的矯正効果を発揮しにくかったが、本発明を用いると組成物を爪に塗布して紫外線を照射するだけでも物理的な力による矯正効果を現すことができる。
【0027】
一般的に使用される光硬化性組成物を内向性爪の表面に塗布すると、硬化時に発生する収縮現象により正カールが発生し、内向性爪の症状がさらに悪くなる可能性がある。しかしながら、本発明では、光硬化性組成物の構成成分および配合を調節することにより、逆カールを発生させながら硬化性および付着力の両方に優れており、内向性爪の矯正に効果的に使用できる組成物を提供することができる。
【0028】
このような効果を達成するために、本発明の内向性爪の矯正用組成物は、シロキサン樹脂、アクリレート系化合物、および光開始剤を含むことを特徴とする。
【0029】
前記シロキサン樹脂は、光硬化性樹脂であり、分子内Si-O結合からなるシロキサン(siloxane)官能基を含むポリシロキサン化合物を意味する。本発明において、前記シロキサン樹脂は、硬化時に逆カールを誘発するための成分として使用される。
【0030】
具体的には、本発明によりシロキサン樹脂を含む組成物を内向性爪に塗布して硬化させる場合、組成物が内向性爪が反った方向と反対方向に反りながら硬化することができる。したがって、組成物を塗布して硬化させるだけでも、内向性爪の反対方向に力が作用して矯正効果を誘導することができる。
【0031】
本発明において、前記シロキサン樹脂は、1個以上のエポキシ基を含むポリシロキサン樹脂、すなわちエポキシシロキサン樹脂を含むことができる。エポキシシロキサン樹脂を用いる場合、逆カールのカール量が向上し、硬化物が高い硬度を有することができるので、内向性爪の矯正に優れた効果を示すことができる。
【0032】
本発明において、前記エポキシシロキサン樹脂は、ポリシロキサンの末端にエポキシ基を含むことができ、例えば、下記の化学式(1)で表される。
【0033】
【0034】
前記式において、
Rはそれぞれ独立に水素、C1-C6のアルキル基、またはC1-C6のアルコキシ基であってもよく、
R'はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシ基、C1-C6アルキル基、またはC1-C6のアルコキシ基であってもよく、
Xはそれぞれ独立にエポキシ基、C1-C6のエポキシアルコキシ基、またはC1-C6のエポキシシクロアルキル基であってもよく、
nは1乃至6の整数であってもよく、
m + m'は10乃至1,000であってもよい。
【0035】
例えば、前記エポキシシロキサン樹脂は、アルキル基を含むポリシロキサンとエポキシ基を含むシラン化合物との縮合反応(condensation)によって製造することができる。
【0036】
本発明の一実施形態では、シロキサン樹脂として、前記エポキシシロキサン樹脂とエポキシ基を有しないシロキサン樹脂とを混合して使用することができる。シロキサン樹脂としてエポキシシロキサン樹脂のみを用いると、ネイル用UVランプで照射すると熱感が発生する問題やカールが均一に発生しない問題が生じる可能性があるが、本発明ではエポキシシロキサン樹脂にエポキシ基を有しないシロキサン樹脂を混合使用することで前記問題を解決することができる。
【0037】
本発明において、前記エポキシ基を有しないシロキサン樹脂は、下記の化学式(2)で表される。
【0038】
【0039】
前記式において、
Rはそれぞれ独立に水素、C1-C6のアルキル基、またはC1-C6のアルコキシ基であってもよく、
R'はそれぞれ独立に水素、ヒドロキシ基、C1-C6アルキル基、またはC1-C6のアルコキシ基であってもよく、
m + m'は10乃至1,000であってもよい。
【0040】
本発明において、前記エポキシ基を有しないシロキサン樹脂は、ポリシロキサンの繰り返し単位内にSi-H結合を含むシロキサン樹脂、すなわちヒドロシロキサン樹脂(hydrosiloxane)であり得る。
【0041】
前記ヒドロシロキサン樹脂は、アルキルヒドロシロキサン-ジアルキルシロキサン共重合体、アルキルヒドロシロキサンなど、分子内のアルキルヒドロシロキサン繰り返し単位を含むポリシロキサンであってもよく、例えば、前記の化学式(2)で1つ以上のRが水素である化合物であり得る。
【0042】
本発明において、前記エポキシシロキサン樹脂とエポキシ基を有しないシロキサン樹脂は重量基準で1:2乃至1:10、好ましくは1:3乃至1:8の割合で混合することができる。シロキサン樹脂の含有量を前記範囲に調整する場合、内向性爪の屈曲面で逆カールが均一に発生しながらカール量が高く、未硬化残留物が発生せず、硬化時に熱感が現れないように調整することができる。
【0043】
本発明において、前記シロキサン樹脂の総量は、組成物の全重量に対して1乃至50重量%、好ましくは10乃至50重量%、より好ましくは20乃至40重量%であり得る。
【0044】
本発明の内向性爪の矯正用組成物に含まれるアクリレート系化合物は、シロキサン樹脂と共に使用される重合性化合物であり、本発明において、用語「アクリレート」とは、アクリレート(acrylate)だけでなく、メタクリレート(methacrylate)も含む意味であり、「アクリレート系化合物」とは、アクリレート系ポリマー、オリゴマー、およびモノマーを含む意味である。
【0045】
前記アクリレート系化合物は、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーン変性アクリレート、ポリエステルアクリレートなどであり、ウレタンアクリレート化合物であることが好ましい。
【0046】
前記ウレタンアクリレートは、分子内にヒドロキシル基を有するアクリレート化合物とイソシアネート基を有する化合物とを反応させて製造されたものであり得る。例えば、前記ウレタンアクリレートは多官能ウレタンアクリレートであり得、重合可能な不飽和官能基を分子内に3個以上含有するヒドロキシアクリレート化合物と、2官能の脂肪族イソシアネート化合物とを反応させることにより製造することができる。
【0047】
前記2官能脂肪族イソシアネート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトブタン、1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,8-ジイソシアナトオクタン 、1,12-ジイソシアナトドデカン、1,5-ジイソシアナト-2-メチルペンタン、トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、トランス-1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、キシレン-1,4-ジイソシアネート 、テトラメチルキシレン-1,3-ジイソシアネート、1-クロロメチル-2,4-ジイソシアネート、4,4'-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルイソシアネート)、4,4'-オキシビス(フェニルイソシアネート)などであり得る。
【0048】
前記重合可能な不飽和官能基を分子内に3個以上含有するヒドロキシアクリレート化合物は、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレートなどであり得る。
【0049】
本発明において、前記アクリレート系化合物は、3個以上のアクリレート基を有する多官能アクリレート化合物であり得る。このとき、官能基数は5乃至20個であることが好ましく、8乃至18個であることがより好ましい。
【0050】
本発明において、前記アクリレート系化合物の官能基数が少ない場合、逆カールではなく正カールが誘導され、総カール量が減少し、カール量が変化する速度が低下する可能性がある。これにより、内向性爪に加えられる矯正効果が微小であるか、むしろ正カールにより内向性爪を悪化させることができる。しかし、アクリレート系化合物の官能基数が3官能以上、好ましくは5官能以上、より好ましくは8官能以上に高くなるほど、カール発生速度及びカール量が増加することになり、内向性爪の矯正に優れた効果を示すことができる。
【0051】
本発明において、前記アクリレート系化合物の含有量は、組成物の全重量に対して10乃至50重量%、好ましくは15乃至35重量%であり得る。
【0052】
本発明において、前記シロキサン樹脂とアクリレート系化合物との重量比は、1:1乃至3:1であり、1:1乃至2:1であることが好ましい。前記範囲において、本発明の組成物が硬化しながら逆カールが発生しカール量が増加して内向性爪の矯正効果が向上し、ネイル用UVランプで硬化時にも硬化後に残留物が残らず優れた硬度を示すことができる。
【0053】
本発明の内向性爪の矯正用組成物に含まれる光開始剤(photoinitiator)は、光照射により樹脂および重合性化合物を重合させる成分である。前記光開始剤は、組成物の全重量に対して0.1乃至15重量%、好ましくは2乃至10重量%の量で含まれてもよい。
【0054】
本発明において、前記光開始剤としては、カチオン開始剤またはラジカル開始剤を用いることができ、好ましくはカチオン開始剤とラジカル開始剤を混合使用することができる。
【0055】
本発明において、前記カチオン開始剤は、光照射によりカチオンを形成して重合を開始する開始剤であり、本発明においてカチオン開始剤は、逆カールを誘発するための成分として用いられる。
【0056】
本発明において、前記カチオン開始剤にはオニウム塩(onium salt)を使用することができる。具体的には、前記オニウム塩開始剤は、ヨードニウム塩、スルホニウム塩などを意味することができ、例えば、スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル(4-フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、(フェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(チオジ-4,1-フェニレン)ビス(ジフェニルスルホニウム)ジヘキサフルオロアンチモン酸塩、および(チオジ-4,1-フェニレン)ビス(ジフェニルスルホニウム)ジヘキサフルオロホスフェートからなる群より選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0057】
加えて、カチオン開始剤として、鉄-アレーン錯体などの有機金属塩(organometallic salt);o-ニトリルベンジルトリアリールシリルエーテル、トリアリールシリルペルオキシド、アシルシランなどの有機シラン;α-スルホニルオキシケトン、α-ヒドロキシメチルベンゾインスルホネートなどの潜在性硫酸(latent sulfonic acid)などを使用することも可能である。
【0058】
前記カチオン開始剤の含有量は、組成物の全重量に対して0.05乃至5重量%、好ましくは0.1乃至3重量%であり得る。前記範囲において、カチオン開始剤による逆カール現象が現れながら、硬化時の黄変現象を最小化することができる。
【0059】
本発明において、前記ラジカル開始剤は、光照射によりラジカルを形成して重合を開始する開始剤であり、本発明においてラジカル開始剤は、組成物の硬化を誘導しながら収縮が発生しないように調節するために用いられる。
【0060】
ラジカル開始剤は、吸収波長領域に応じて短波長開始剤と長波長開始剤とに分けられ、本発明においてラジカル開始剤は短波長開始剤であることが好ましい。本発明において、用語「短波長開始剤」とは、300nm以下、好ましくは250nm以下の波長で最大吸収ピークが現れる開始剤を意味することができる。
【0061】
ラジカル開始剤として長波長開始剤を使用する場合、組成物が硬化したときに爪の屈曲方向に反りながら収縮することができ、これにより内向性爪の矯正効果を低下させ、むしろ疾患を悪化させる問題が生じる可能性がある。本発明では、ラジカル開始剤として短波長開始剤を用いることで、硬化時に収縮が発生することなく逆カールが現れるように調節することができる。
【0062】
本発明で使用されるラジカル開始剤は、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-フェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1フェニル-1-プロパノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、α,α-ジエトキシアセトフェノンなどであり得る。
【0063】
前記ラジカル開始剤の含有量は、組成物の全重量に対して0.05乃至10重量%、好ましくは2乃至8重量%であり得る。また、前記カチオン開始剤とラジカル開始剤を混合使用する場合、重量比は1:2乃至1:50、好ましくは1:10乃至1:30であり得る。前記範囲において、逆カールを誘導して優れた内向性爪の矯正効果を示しながらも黄変現象を最小化し、表面に未硬化残留物が残らないように調節することができる。
【0064】
本発明の一実施形態において、前記内向性爪の矯正用組成物は、ポリチオール(polythiol)をさらに含むことができる。
【0065】
本発明において前記ポリチオールは、表面硬化を促進しながら、本発明の成分による逆カールが維持されるようにして内向性爪の矯正効果を向上させる成分である。
【0066】
前記ポリチオールは、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、2-(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)-1,3-ジチアエタン、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、および3-メルカプトメチル-1,5-ジメルカプト-2,4-ジチアペンタンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0067】
本発明において、前記ポリチオールの含有量は、組成物の全重量に対して2乃至10重量%、好ましくは5乃至8重量%であり得る。前記範囲では、逆カール誘導効果を維持しながら硬化物に優れた硬度を示すことができる。
【0068】
本発明の内向性爪の矯正用組成物は、紫外線(UV)吸収剤をさらに含むことができる。
【0069】
本発明において、前記紫外線吸収剤は、組成物全重量に対して0.05乃至3重量%含まれ、硬化時に逆カールが発生する速度を調節して爪の表面で硬化物が脱落するのを防止する効果を示すことができる。
【0070】
前記紫外線吸収剤は、ベンゾオキサジノン(benzoxazinone)系、トリアジン(triazine)系、ベンゾトリアゾール(benzotriazole)系、及びベンゾフェノン(benzophenone)系紫外線吸収剤からなる群より選択される少なくとも1種を用いることができる。市販の紫外線吸収剤の例としては、ベンゾオキサジノン(benzoxazinone)系は、サイテク社のCYASORB UV-3853S;トリアジン(triazine)系は、サイテック社のCYASORB UV-1164、BASF社のTINUVIN 1577、TINUVIN P、TINUVIN 234、TINUVIN 326、TINUVIN 328、TINUVIN 329、TINUVIN 571、TINUVIN 400、TINUVIN 479;ベンゾトリアゾール(benzotriazole)系は、シバ社のCYASORB UV-2337、CYASORB UV-5411、BASF社のTINUVIN 360、TINUVIN 213、TINUVIN 99-2、TINUVIN 171、TINUVIN 328、TINUVIN 384-2、TINUVIN 900、TINUVIN 928、TINUVIN 1130、ソンウォン産業のSONGSORB 1000、SONGSORB 2340、SONGSORB 3200、SONGSORB 3260、SONGSORB 3270、SONGSORB 3280;ベンゾフェノン(benzophenone)系は、サイテク社のCYASORB UV-9、CYASORB UV-24、CYASORB UV-531、シバ社のCHIMASSORB 81、ソンウォン産業のSONGSORB 8100などがあり、それぞれのUV吸収剤を単独または2種以上混合して使用することができる。
【0071】
本発明の内向性爪の矯正用組成物は、表面のクレタリング(cratering)現象を防止するためにレベリング剤をさらに含むことができる。前記レベリング剤は、コーティング性および硬化性を考慮して組成物全重量に対して0.1乃至1重量%を含むことができる。
【0072】
本発明において、前記レベリング剤は、シリコーン系、フッ素系、アクリル系などの製剤であり得る。市販されているレベリング剤の例としては、BYK-Chemie社のBYK-323、BYK-331、BYK-333、BYK-337、BYK-373、BYK-375、BYK-377、BYK-378;EVONIK社のTEGO Glide 410, TEGO Glide 411, TEGO Glide 415, TEGO Glide 420, TEGO Glide 432, TEGO Glide 435, TEGO Glide 440, TEGO Glide 450, TEGO Glide 455、TEGO Rad 2100、TEGO Rad 2200N、TEGO Rad 2250、TEGO Rad 2300、TEGO Rad 2500;3M社のFC-4430、FC-4432などが挙げられる。
【0073】
本発明の内向性爪の矯正用組成物は、組成物の全重量に対して0.1乃至1重量%の重合禁止剤をさらに含むことができる。
【0074】
本発明において、前記重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ヒドロキノンモノエチルエーテル、p-メトキシフェノール、p-t-ブチルカテコールなどのフェノール化合物、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩(クフェロン)などのヒドロキシルアミン化合物、ジチオベンゾイルジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドなどの有機硫黄化合物などがあり、それぞれの重合禁止剤を単独または2種以上混合して使用することができる。
【0075】
本発明の内向性爪の矯正用組成物は溶媒と混合して使用することができる。
【0076】
前記溶媒としては、コーティング組成物の溶媒として通常用いられる有機溶媒を使用することができる。例えば、前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、シクロヘキサノン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、 ブチルアセテート、メトキシメチルエチルアセテートなどの溶媒を1種以上使用することができる。
【0077】
本発明の内向性爪の矯正用組成物は、前記の成分の他に、光硬化性組成物に通常添加される成分、例えば紫外線安定剤、酸化防止剤、湿潤剤、消泡剤などをさらに含むことができる。
【0078】
本発明によれば、前記内向性爪の矯正用組成物を矯正しようとする内向性爪に塗布し、UVランプで乾燥してコーティング層を形成する方法により矯正することができる。このとき、コーティング層を1回以上、好ましくは2乃至4回形成して矯正効果を調節し、コーティング層が脱落することなく自然に逆カールが発生するように制御することができる。また、最上部のコーティング層上にはトップコートを塗布した後、最終的に紫外線を照射して硬化を完了させることができる。
【0079】
組成物の塗布厚さは、1回当たり1乃至500μm、好ましくは10乃至200μmであり得、UV乾燥は1回当たり10秒以上、好ましくは10秒乃至1分間実施することができる。
【0080】
組成物の乾燥(硬化)に用いるUVランプの仕様は特に制限されず、例えばネイルショップで一般的に使用されるUVランプで、300乃至450nmの範囲内の波長を放出し、50乃至100Wの電力を有するランプを用いることができる。
【0081】
本発明の内向性爪の矯正用組成物を爪に塗布して光を照射すると、組成物が硬化しながら爪屈曲の反対方向に反るようになる。これにより、内向性爪の両端部に屈曲方向と反対方向に物理的な力が加えられる効果が現れ、内向性爪を矯正することができる。
【0082】
本発明によれば、外科的手術や矯正装置なしで、コーティング剤を塗布して硬化させるだけでも簡単に内向性爪を矯正することができる。また、本発明を用いると、生活に不便を招くことなく矯正効果を持続的に維持することができる。さらに、本発明では、組成物の最適配合を通じて、逆カールを発生させながらカール量を最大化して矯正効果を向上させ、硬化時の収縮や被着面から脱落する問題が発生しないように防止し、組成物が容易に硬化するように調整した。したがって、本発明は、簡単で便利な方法で優れた矯正効果を示す内向性爪の矯正技術を提供することができる。
【0083】
<実施例>
以下の実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。ただし、これらの実施例は、本発明を例示的に説明するために一部の実験方法と構成を示したものであり、本発明の範囲がこのような実施例に制限されるものではない。
【0084】
<製造例:内向性爪の矯正用組成物の製造>
下記表1に記載された組成に従って、内向性爪の矯正用組成物を製造した(単位:重量%)。
【0085】
【0086】
前記表1で使用された成分の説明は以下の通りである。
- エポキシシロキサン:エポキシプロポキシプロピルジメトキシシリルポリジメチルシロキサン(C社)
- エポキシ基を有しないシロキサン:メチルヒドロシロキサン(G社)
- 15官能ウレタンアクリレート:POLYGOMER PN-3915(P社)
- 6官能ウレタンアクリレート:POLYGOMER PN-3640(P社)
- ポリチオール:4官能ポリチオール(S社)
- カチオン開始剤:スルホニウムヘキサフルオロホスフェート(Omnicat 270、I社)
- 短波長ラジカル開始剤:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Omnirad 184、I社)
- 長波長ラジカル開始剤:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド(Omnirad TPO、I社)
- 紫外線吸収剤:ヒドロキシルフェニルトリアジン(Tinuvin 400、B社)
レベリング剤:シリコーン-フリーアクリル系レベリング剤(TEGO Flow 460 N、E社)
- 重合禁止剤:ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)
- PGMA: 2-メトキシ-1-メチルエチルアセテート
- MIBK:メチルイソブチルケトン
【0087】
<比較例:シロキサン樹脂を含む光硬化性組成物の製造>
従来ディスプレイ用コーティングに適用される光硬化性組成物と本発明組成物との特性比較のために、比較例としてエポキシシロキサン樹脂を含むディスプレイ用光硬化性組成物を製造した。
【0088】
具体的には、エポキシシロキサン樹脂10.3重量%、ウレタンアクリレート(dipentaerythritol hexaacrylate)58.6重量%、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]アイオドニウムヘキサフルオロホスフェート(カチオン開始剤)1.4重量%、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(ラジカル開始剤)2.1重量%、メチル-5-ノルボネン-2,3-ジカルボキシリックアンハイドライド(硬化剤)3.4重量%、及びメチルエチルケトン(溶媒)24.1重量%の組成を有する光硬化性組成物を製造した。
【0089】
<実験例1:硬化後カール量測定及び硬化度確認>
前記製造例で製造された内向性爪の矯正用組成物を厚さ0.5Tの人工のネイルチップに20μm厚で塗布し、UV LEDネイルランプで30秒間乾燥した後、同じ条件で塗布及び乾燥を繰り返した。前記UV LEDネイルランプとしては、ネイルショップで普遍的に使われるランプの仕様に応じて、365乃至405nm波長帯で電力70Wのランプを用いた。
【0090】
1回塗布及び乾燥結果と2回目塗布及び乾燥結果でネイルチップが広がった程度と、24時間室内で保管後のネイルチップが広がった程度を測定して下記表2に示した(単位:mm)。このとき、逆カールの量は正数で、正カールの量は負数で表記した。
【0091】
また、硬化後表面の残留物を確認し、表面に未硬化残留物がない場合や量が多くない場合には○、残留物が多量に観察された場合には×と表示して、表2に示した。
【0092】
【0093】
表2の結果によれば、製造例1の組成物をネイルチップに塗布した結果、逆カールが発生し、24時間後にカール量が1.2mmと高いうえ、残留物なしで硬化が完了したことを確認した。
【0094】
一方、製造例2の場合にも逆カールが発生し、24時間後に1.0mmのカール量が現れ、残留物なしで硬化が完了した。ただし、製造例2の場合、UV吸収剤を含まないため製造例1に比べてカール量が多少減少する結果を示し、足爪の表面に塗布時に熱感が発生した。
【0095】
製造例3の場合はアクリレート系化合物として製造例1に用いた化合物と同レベルの粘度を有しながら官能基の数が少ないアクリレート系化合物を用いたものであり、実験結果24時間後のカール量が製造例1の半分レベルである0.6mmに低下することを確認した。これにより、アクリレート系化合物の官能基数が高いほどネイルチップが広がる速度とカール量が増加することを確認できた。
【0096】
ラジカル開始剤として長波長開始剤を用いた製造例4および光開始剤としてカチオン開始剤なしでラジカル開始剤のみを用いた製造例5の組成物は、硬化時に収縮して逆カールではなく正カールが発生し、これにより内向性爪をむしろ悪化させる結果が現れた。また、カチオン開始剤のない製造例5の場合には、表面に未硬化残留物が観察された。
【0097】
また、ポリチオールを配合から除いた製造例6の場合、逆カールが発生し、製造例2と同様のレベルのカール量が現れることが確認された。ただし、高い硬化反応のためにアクリレート系化合物及びカチオン開始剤の含有量を増加させたにもかかわらず、表面に未硬化残留物が多少観察されたところ、逆カールのカール量を増やして硬化性を確保して矯正効果を維持するためにポリチオールを使用することが好ましいということを確認した。
【0098】
エポキシシロキサン樹脂を含まない製造例7を用いた場合、硬化により収縮が発生しカール量が非常に低い結果が現れ、アクリレート系化合物の量の増加にもかかわらず硬度が著しく低くなる結果が現れた。
【0099】
前記実験結果によれば、シロキサン樹脂としてエポキシシロキサン樹脂を使用し、アクリレート系化合物として官能基数の高い化合物を使用し、光開始剤としてカチオン開始剤および短波長ラジカル開始剤を混合使用する場合、硬化時に逆カールが発生しネイルチップの屈曲の反対方向に力が加わりながら矯正効果を提供できることを確認し、ポリチオールを配合する場合、カール量が高いうえ、硬化性が改善され、矯正効果がさらに向上することが確認できた。
【0100】
<実験例2:内向性爪の矯正試験>
2人の被験者を対象に、前記製造例1の内向性爪の矯正用組成物を実験例1と同様の方法で爪に塗布して硬化させた後、矯正効果を観察した。
【0101】
図1および
図2は、前記実験結果を撮影した写真であり、両被験者ともに本発明の組成物を適用したときに爪両端部の屈曲が緩やかになる結果が現れた。
【0102】
これにより、本発明の内向性爪の組成物が実際に内向性爪の矯正効果を示すことが確認できた。
【0103】
<実験例3:ディスプレイ用光硬化性組成物との硬化特性比較>
比較例の光硬化性組成物を実験例1と同じ条件で硬化させた後、カール特性を観察した。
【0104】
その結果、ネイルチップの屈曲面に均一に逆カールが発生せず、硬化物にクラックが生じることを確認した。これにより、高い架橋密度が要求され、重合性化合物の配合量が高いディスプレイ用光硬化性組成物の場合、柔軟性が低く、内向性爪のように屈曲面に適用しにくいことを確認した。
【0105】
また、ディスプレイ産業に適用されるUVランプではなく、UVネイルランプで紫外線を照射した結果、高い反応熱が発生し、内向性爪に適用時に火傷の恐れがあった。
【0106】
一方、前記実験例1では、本発明の組成を満足する内向性爪の矯正用組成物の場合、逆カールが発生しながらカール量が高く、柔軟性に優れ、屈曲面でも逆カールを維持することができ、表面硬化度に優れた結果を確認したところ、本発明の組成物は、従来のディスプレイなどの電子機器産業に用いられる光硬化性組成物とは異なり、内向性爪の矯正に最適化された特性を示すことが確認できた。
【0107】
以上、本発明の一部の具現形態について説明したが、本発明は、上述したような具現形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で修正および変形して実施することができ、そのような修正および変形が加えられた形態も本発明の技術的思想に属するものと理解されるべきである。
【国際調査報告】