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特表2024-531844架橋基としてキレート化基を含むリガンド化合物
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  • 特表-架橋基としてキレート化基を含むリガンド化合物 図1
  • 特表-架橋基としてキレート化基を含むリガンド化合物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-30
(54)【発明の名称】架橋基としてキレート化基を含むリガンド化合物
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/12 20060101AFI20240823BHJP
   C07K 7/52 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 51/04 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 51/08 20060101ALI20240823BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20240823BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20240823BHJP
   A61P 25/00 20060101ALN20240823BHJP
【FI】
C07F7/12 L
C07K7/52 ZNA
A61K51/04 200
A61K51/08 200
A61K51/04 100
A61K51/08 100
A61K47/64
A61P35/00
A61P25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024506907
(86)(22)【出願日】2022-08-04
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 EP2022071964
(87)【国際公開番号】W WO2023012282
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】21189855.6
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504150162
【氏名又は名称】テクニシェ ユニバーシタット ミュンヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】パーツィンガー,マラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンドリンガー,レナルト
(72)【発明者】
【氏名】ウェスター,ハンス-ユルゲン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
4H049
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC01
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA12
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZB261
4C084ZB262
4C085HH03
4C085KA09
4C085KA29
4C085KA30
4C085KB07
4C085KB09
4C085KB11
4C085KB12
4C085KB15
4C085KB20
4C085KB45
4C085KB61
4C085KB82
4C085LL13
4C085LL18
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA15
4H045BA50
4H045BA51
4H045BA71
4H045CA40
4H045DA35
4H045EA20
4H045EA50
4H045EA51
4H045FA10
4H045FA20
4H045FA33
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ13
4H049VR23
4H049VR31
4H049VU06
4H049VW01
(57)【要約】
(a)式(I)の化合物:
(式中、aは、0または1であり、mは、2または3であり、nは、2または3であり、R、R、およびRから選択される1個の基は、エフェクター部分Rを含む基であり、R、R、およびRから選択される別の基は、ケイ素系フッ化物アクセプター(SiFA)部分Rを含む基であり、R、R、およびRから選択される残りの基は、式(R-1)
(式中、Rは、-H、-OH、およびC1~C3アルキルから選択され、破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)の基であり、Rは、-H、-OH、およびC1~C3アルキルから選択される);
(b)それの塩、ならびに(c)式(I)の化合物またはその塩および放射性または非放射性カチオンから形成されたキレート化合物から選択される化合物が提供される。本発明の化合物は、放射性核種治療または核診断イメージングなどの治療および診断目的に好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式(I)
【化1】
(式中、
aは、0または1であり、
mは、2または3であり、
nは、2または3であり、
、R、およびRから選択される1個の基は、エフェクター部分Rを含む基であり、
、R、およびRから選択される別の基は、ケイ素系フッ化物アクセプター(SiFA)部分Rを含む基であり、部分はケイ素原子およびフッ素原子を含み、フッ素原子が、共有結合によってケイ素原子に直接連結されており、18Fによる19Fの同位体交換によって18Fで標識され得るか、または18Fで標識され、
、R、およびRから選択される残りの基は、式(R-1)
【化2】
(式中、
は、-H、-OH、およびC1~C3アルキルから選択され、破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)の基であり、
は、-H、-OH、およびC1~C3アルキルから選択される)の化合物;
(b)それの塩、ならびに
(c)式(I)の化合物またはその塩および放射性または非放射性カチオンから形成されたキレート化合物
から選択される化合物。
【請求項2】
SiFA部分Rが、式(S-2)
【化3】
(式中、
1SおよびR2Sは互いから独立して、直鎖または分岐C3~C10アルキル基であり、Pheは、フェニレン基であり、yは0~6の整数であり、破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)
の基を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
SiFA部分Rが、式(S-3)
【化4】
(式中、
rは1、2、または3、sは、1~6の整数であり、
Rは独立してC1~C6アルキルであり、
1SおよびR2Sは互いから独立して、直鎖または分岐C3~C10アルキル基であり、破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)
の基である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
エフェクター部分Rが、受容体に結合することが可能なペプチド性結合モチーフである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
が、ソマトスタチン受容体に結合することが可能なペプチド性結合モチーフである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、Tyr-オクトレオタート(TATE、H-D-Phe-シクロ(L-Cys-L-Tyr-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-L-Thr-OH)、Thr-オクトレオチド(ATE)、Phe-Tyr-オクトレオチド(TOC、H-D-Phe-シクロ(L-Cys-L-Tyr-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-L-Thr-オール)、NaI-オクトレオチド(NOC、H-D-Phe-シクロ(L-Cys-L-1-NaI-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-L-Thr-オール)、1-NaI,Thr-オクトレオチド(NOCATE)、BzThi-オクトレオチド(BOC)、BzThi,Thr-オクトレオチド(BOCATE)、JR11(H-L-Cpa-シクロ(D-Cys-L-Aph(Hor)-D-Aph(Cbm)-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-D-Tyr-NH)、BASS(H-L-Phe(4-NO)-シクロ(D-Cys-L-Tyr-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-D-Tyr-NH)、およびKE121(シクロ(D-Dab-L-Arg-L-Phe-L-Phe-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Phe))から選択される受容体アゴニストまたは受容体アンタゴニストに由来し得る部分である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
エフェクター部分Rを含む基が、式(R-2a)または(R-2b)
【化5】
(式中、
は、請求項1から6のいずれか一項において定義されるとおりであり、
は、-H、-OH、およびC1~C3アルキルから選択され、好ましくは-Hであり、
は-COOHであり、
破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)
の、好ましくは式(R-2a)の基である、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
SiFA部分Rを含む基が、式(R-3a)、(R-3b)、(R-3c)、または(R-3d)
【化6】
(式中、
は、請求項1から7のいずれか一項において定義されるとおりであり、
およびRは、-H、-OH、およびC1~C3アルキルから選択され、好ましくは-Hであり、
10およびR11は-COOHであり、
は二価の連結基であり、
は三価の連結基であり、
は親水性修飾基であり、
破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)
の、好ましくは式(R-3a)または(R-3b)の基である、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
式(I)の化合物が、式(IC)
【化7】
(式中、
i)R1Aは、請求項7で定義されるような式(R-2a)の基であり、R3Aは、請求項8で定義されるような式(R-3a)、(R-3b)、(R-3c)、および(R-3d)の基から選択される、または
ii)R1Aは、請求項7で定義されるような式(R-2a)および(R-2b)の基から選択され、R3Aは、請求項8で定義されるような式(R-3a)および(R-3b)の基から選択される)
の化合物である、請求項7または8に記載の化合物。
【請求項10】
式(I)の化合物が、式(ID)または(IE)
【化8】
(式中、
およびRは、請求項1から9のいずれか一項において定義されるとおりであり、
は二価の連結基であり、
は三価の連結基であり、
は親水性修飾基である)
の化合物である、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
が、Tyr-オクトレオタート(TATE、H-D-Phe-シクロ(L-Cys-L-Tyr-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-L-Thr-OH)、Thr-オクトレオチド(ATE)、Phe-Tyr-オクトレオチド(TOC、H-D-Phe-シクロ(L-Cys-L-Tyr-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-L-Thr-オール)、NaI-オクトレオチド(NOC、H-D-Phe-シクロ(L-Cys-L-1-NaI-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-L-Thr-オール)、1-NaI,Thr-オクトレオチド(NOCATE)、BzThi-オクトレオチド(BOC)、BzThi,Thr-オクトレオチド(BOCATE)、JR11(H-L-Cpa-シクロ(D-Cys-L-Aph(Hor)-D-Aph(Cbm)-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-D-Tyr-NH)、BASS(H-L-Phe(4-NO)-シクロ(D-Cys-L-Tyr-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-D-Tyr-NH)、およびKE121(シクロ(D-Dab-L-Arg-L-Phe-L-Phe-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Phe))から選択される受容体アゴニストまたは受容体アンタゴニストに由来し得る部分であり、
は、式(S-3)
【化9】
の基である、
(式中、
rは1、2、または3、sは、1~6の整数であり、
Rは独立してC1~C6アルキルであり、R1SおよびR2Sはともにtert-ブチルであり、破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)
請求項9または10に記載の化合物。
【請求項12】
二価の連結基Lが、式(L-2)
【化10】
(式中、
eは1~6の整数、好ましくは1~4であり、
fは0~5の整数、好ましくは0または1であり、
H1は、fが1より大きい場合、各出現に関して独立して、自身の-NHおよび-COOH官能基に加えてさらなる親水性官能基を含む親水性アミノ酸に由来するアミノ酸単位であり、
破線は、基を隣接する基に付着させる結合を記し、アステリスクによって追加で示される結合はそれぞれ、RまたはRに付着される)
の基である、請求項8から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
親水性修飾基-Rが、式(H-1)
【化11】
(式中、
gは、0~5の整数、好ましくは1~3であり、
H2は、gが1より大きい場合、各出現に関して独立して、自身の-NHおよび-COOH官能基に加えてさらなる親水性官能基を含む親水性アミノ酸に由来するアミノ酸単位であり、
H1は、アミノ酸単位AH2に付着された末端水素原子、アセチル基、または、炭水化物基、多価アルコール単位、および多価カルボン酸単位から選択される親水性単位から選択され、
破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)
の基である、請求項8から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
キレート化合物の放射性または非放射性カチオンが、43Sc、44Sc、47Sc、51Cr、52mMn、55Co、57Co、58Co、52Fe、56Ni、57Ni、62Cu、64Cu、67Cu、66Ga、68Ga、67Ga、89Zr、90Y、86Y、94mTc、99mTc、97Ru、105Rh、109Pd、111Ag、110mIn、111In、113mIn、114mIn、117mSn、121Sn、127Te、142Pr、143Pr、147Nd、149Gd、149Pm、151Pm、149Tb、152Tb、155Tb、153Sm、156Eu、157Gd、155Tb、161Tb、164Tb、161Ho、166Ho、157Dy、165Dy、166Dy、160Er、165Er、169Er、171Er、166Yb、169Yb、175Yb、167Tm、172Tm、177Lu、186Re、186gRe、188Re、188W、191Pt、195mPt、194Ir、197Hg、198Au、199Au、212Pb、203Pb、211At、212Bi、213Bi、223Ra、224Ra、225Ac、226Th、および227Thのカチオンから、ならびにその非放射性同位体のカチオンから選択されるか、または18F-[AlF]2+などの18Fもしくは19Fを含むカチオン性分子であり、好ましくは、68Ga、90Y、または177Luのカチオンから、およびGa、YまたはLuの非放射性同位体のカチオンから選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
1種または複数の請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物を含むか、またはそれからなる医薬組成物または診断用組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
神経内分泌腫瘍(NET)は、神経内分泌系に起源を持つ悪性腫瘍の異種起源の群である。この系は、内分泌腺(下垂体(pituary)、副甲状腺、副腎)、膵臓組織、または消化器および呼吸器系(びまん性内分泌系:肺、胃腸管)に位置する内分泌細胞などの様々な異なる組織における神経内分泌細胞で構成される。[1]NETは、患者の(人種的な)系統(decent)に応じて、発生率が2~5/100000(毎年新たに診断される悪性腫瘍の0.5%)である希少なエンティティである。胃腸管の腫瘍は67%で最も一般的であり、続いて呼吸器系におけるNETが25%である。発生率は低いかもしれないが、診断における至適化された方法に起因して、過去30年にわたって診断されるエンティティの数は増大してきている[1~4]。
【0002】
NETの診断および治療の目的で、ソマトスタチン受容体(SST)、より正確にはその5つのサブタイプSST1~5が検討される[5、6]。それらのGタンパク質共役型受容体は、異なる組織における神経内分泌細胞上で自然に発現されるが、様々なタイプのNETおよびそれらの転移上で過剰発現される[5、7、8]。そのため、SST受容体は、陽電子放出断層撮影法(PET)を適用する診断の明確化に関して魅力的な対象である[6]。それにもかかわらず、腫瘍の起源およびタイプに応じて、各サブタイプの発現レベルは様々であるため、適用はささいなことではない。その上、多数のリガンドは、1つまたは2つのサブタイプに対して非常に密接な関係にあり得るが、十分な親和性を有してSST受容体すべてを標的とすることは可能ではない。しかしながら、SSTは特に、様々なNET上で過剰発現され、したがって、それは、新しい放射性医薬の開発に関して非常に関心を持たれている[5、6]。
【0003】
18F系SSTトレーサーの中で、特に[18F]SiFAlinTATEが、近年関心を得ている。[9、10]恒久的な正電荷を含有するSiFA系の基礎的要素SiFAlin-アルデヒドによって、18Fで標識することが達成されている。そのインビトロおよびインビボパラメーターは有望であり、ヒト臨床試験において最初となった[11、12]。
【0004】
マルチモーダル手法、単一のペプチドまたは小分子内で1つより多い標識技法を組み合わせる可能性が、種々の方法で調査されてきた。
近年、ミュンヘン工科大学医薬放射化学の教授が、生体分子の放射性ハイブリッド(rh)標識法の方法論を開発し、これにより、18Fフッ化物(PETのため)または三価の放射性金属(PETのための68Ga3+、PRRTのための177Lu3+など)のいずれかでの、汎用的な前駆体分子の標識が可能となった。rhリガンドが18Fフッ化物で標識される場合、低温金属は分子中で錯体化され得、放射性金属で標識される場合、低温19Fフッ素が存在する。そのため、18F標識ペプチド、および対応する放射性金属標識類似体は、同じ化学的構造を、したがって同一のインビトロおよびインビボ特性を持っており、それにより、まったく同じの、診断および治療トレーサー(たとえば、18F/177Lu類似体)のインビボ特性を有する、構造的に同一のセラノスティックトレーサーを生成することが可能となる。
【0005】
キレート化剤と、異なる標識手法のための別のモダリティとの組合せは多くの方法で適用することができ、したがって、異なるマルチモーダル手法がこれまでに調査されてきた。Schotteliusらは、すでに確立されているPSMAリガンドPSMA I&Tを蛍光色素スルホ-Cy5と組み合わせ、蛍光-放射性ハイブリッド構造(PSMA I&F)を得た[13]。Roxinらは、彼らの見解による放射性ハイブリッドの概念、キレート化剤DOTAおよびBF系構造で構成されるVLA-4標的ペプチド(DOTA-AMBF-LLP2A)を設計した。すでに導入されている放射性ハイブリッドの概念と同様に、DOTA-AMBF-LLP2Aは、18Fおよび三価の放射性金属で標識することもできる(最初の調査は非錯体化化合物に限定された)[14]。
【0006】
頻繁に、2つのモダリティは、三価の単位、たとえばジアミノプロプリオン酸(rhPSMA7)、またはリジン単位(PSMA I&F、DOTA-AMBF-LLP2A)を介してコンジュゲートされ、通常、立体的にかさ高い放射性ハイブリッドまたは蛍光-放射性ハイブリッド部分が生じる。
【0007】
Gaiらによって異なる手法が選ばれた。彼らは、より複雑なDOTA系およびNOTA系の基礎的要素を設計したのであり、それらは、標準的なペプチドケミストリーを介して、またはペプチドケミストリーとクリックケミストリーとの組合せの適用によって、ペプチド骨格に直接導入可能である[15]。
【0008】
キレート化剤DOTPIは、対称四量体PSMAリガンドDOTPI(Trz-KuE)およびDOTPI(DBCO-KuE)を生成するために、または四量体DOTPI(RGD)に対処するαvβ3インテグリンにおける架橋単位として、使用されてきた[16、17]。多価TRAPペプチドに関して類似の例が説明されている。さらに、二量体TRAPコンジュゲートが、蛍光用途のためのフルオロフォアローダミン6Gも備えている、マルチモーダル手法が公開されている[18]。
【0009】
親和力の一般的概念に起因して、多量体架橋としてのTRAPおよびDOTPIなどのキレート化剤の適用は通常、高親和性のペプチドをもたらす[19]。ペプチドに対処する標的とのコンジュゲーションのためのカルボン酸と、放射性金属の錯体化のための親水性ホスフィナートとの組合せは、全体的に高親水性のペプチドをもたらす[16、18]。
【発明の概要】
【0010】
標的の親和性および親油性としての典型的なパラメーターは概して有望であるが、キレート化剤そのものおよび多量体/マルチモーダルペプチドの合成のしやすさは、複雑であり、多くの場合不都合である。
【0011】
本発明は、キレート化剤系放射性ハイブリッドリガンド化合物の開発のための新規の手法を提供する。これらの化合物において、キレート化剤のヘテロ環構造は、結合モチーフと第2の標識構造としてのSiFA基との架橋構造として機能する。キレート化構造がリンカーとして働くため、結合モチーフとキレート化剤との間のスペーサーとして作用する追加のリンカー構造は必要とされず、結果としてリガンド化合物の全体的な構造は単純化される。得られる化合物は、親和性が高く、親水性が高く、かつヒト血清アルブミンへの結合が弱く、マウスモデルにおいて好都合なインビボ結果をもたらす。
【0012】
具体的には、本発明は、
以下の式(I)
【0013】
【化1】
【0014】
(式中、
aは、0または1、好ましくは1であり、
mは、2または3、好ましくは2であり、
nは、2または3、好ましくは2であり、
、R、およびRから選択される1個の基は、エフェクター部分Rを含む基であり、
、R、およびRから選択される別の基は、ケイ素系フッ化物アクセプター(SiFA)部分Rを含む基であり、部分はケイ素原子およびフッ素原子を含み、フッ素原子が、共有結合によってケイ素原子に直接連結されており、18Fによる19Fの同位体交換によって18Fで標識され得るか、または18Fで標識され、
、R、およびRから選択される残りの基は、式(R-1)
【0015】
【化2】
【0016】
(式中、
は、-H、-OH、およびC1~C3アルキルから選択され、好ましくは-Hであり、破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)の基であり、
は、-H、-OH、およびC1~C3アルキルから選択され、好ましくは-Hである)の化合物、
それの塩、
ならびに式(I)の化合物またはその塩および放射性または非放射性カチオンから形成されたキレート化合物
から選択される化合物を提供する。
【0017】
上に説明されるように、本発明の化合物は、式(I)の化合物、それらの塩(すなわち、式(I)の化合物の塩、典型的に医薬的に許容される塩)、ならびに式(I)の化合物またはその塩および放射性または非放射性カチオンから形成されたキレート化合物から選択される。したがって、反対の指示がない限り、本明細書における本発明の化合物への言及はいずれも、式(I)の化合物(および本明細書で開示されるこの式の好ましい実施形態)、それの塩、およびキレート化合物を包含する。同様に、考慮中の化合物の特定の立体化学が特定の文脈において示されない限り、式(I)の任意のキラル化合物の任意のラセミ化合物、エナンチオマー、またはジアステレオマー、およびそれらの塩が包含される。本明細書において、本発明の化合物は、本発明のリガンド化合物、または簡潔にリガンドとも呼ばれることがある。
【0018】
以下で、本発明の化合物の構造要素がさらに論じられる。当業の読者によって理解されるように、式(I)の化合物の(好ましい)構造についてこの文脈において提供される情報は、式(I)の化合物の塩、ならびに式(I)の化合物またはその塩および放射性または非放射性カチオンから形成されたキレート化合物にも当てはまる。
【0019】
式(I)において、aは、0または1であり、好ましくは1である。したがって、式(I)の化合物は式(IA)
【0020】
【化3】
【0021】
(式中、変数m、n、およびR~Rは上述のとおり定義される)の化合物であることが好ましい。
式(I)によって例示されるように、本発明の化合物は、環員として3個の窒素原子(aが0である場合)または4個の窒素原子(aが1である場合)を含む、置換されたヘテロ環を含む。ヘテロ環において環員として存在する窒素原子は、エタンジイル基-CH-CH-(mが2でありnが2である場合)によって、または、エタンジイル基、および1個または2個のプロパンジイル基-CH-CH-CH-(mが3でありnが3であるか、またはmおよびnの両方が3である場合)によって連結されている。窒素原子およびエタンジイル基、またはエタンジイル基およびプロパンジイル基によって形成されたヘテロ環は、本明細書において窒素含有大員環とも呼ばれる。
【0022】
当業の読者によって理解されるように、aが0である場合、式(I)において指標aを担持する括弧にはさまれた部分[....]はなく、置換基-Rを担持する窒素原子と、式における括弧内の部分の2つの側に示される-CH-CH-基との間に直接結合が形成されている。
【0023】
上に示されるa、m、およびnに関する選好に関して、以下の好ましい式(IB)において例示されるように、a=1、m=2、およびn=2という組合せが、式(I)の化合物のためにさらに好ましい組合せであることが理解されるであろう:
【0024】
【化4】
【0025】
(式中、変数R~RおよびRは上述のとおり定義される)。
式(I)およびその好ましい実施形態において、R、R、およびRから選択される1個の基(すなわち、RまたはRまたはRのいずれか)は、エフェクター部分Rを含む。そのようなエフェクター部分Rの好ましい例は、リガンド/受容体相互作用が、本発明に従う化合物と、治療および/または診断目的の受容体との間で生じることを可能にする結合モチーフである。そのような受容体の好ましい例はソマトスタチン(SST)受容体である。そのような結合モチーフは、受容体に対する化合物のための基本的な親和性アンカーとして働くことができる。より好ましくは、Rは、少なくともソマトスタチン受容体2もしくはSSTに、またはより多くのソマトスタチン受容体サブタイプに、またはソマトスタチン受容体サブタイプすべてにさえ結合することが可能な結合モチーフであり、後者はいわゆるSST汎受容体リガンドをもたらす。
【0026】
が上述と一致した結合モチーフを表す場合、一般に、高親和性を有して受容体と結合することが可能である。この文脈において、高親和性結合は好ましくは、結合モチーフを含む化合物が、低いナノモル範囲、好ましくは50nM以下、より好ましくは10nM以下、さらにより好ましくは5nM以下でのIC50を示すことを意味する。明確さのために、最大半数阻害濃度(IC50)はここで、インビトロでの放射性参照リガンドの受容体への結合を50%阻害するために必要である、結合モチーフRまたはそれを含む本発明による化合物のモル濃度の定量的尺度と定義される。たとえば、SST受容体への結合のための参照リガンドとして、[125I]Tyr-オクトレオチドが信頼されてもよい。
【0027】
本明細書で言及されるようなSST受容体への高親和性結合が可能であるエフェクター部分として好ましい結合モチーフは、1つより多いSST受容体タイプへの高親和性を示し得ることが理解されるであろう。好ましくは、結合部分Rは、SST受容体サブタイプの中で最も高いSSTへの結合親和性を示すものである。
【0028】
好適な結合モチーフは、SST受容体のアゴニストおよびアンタゴニストを含む。
エフェクター分子Rは一般に、カップリング基、すなわち、Rが共有結合によって本発明の化合物の残部に付着されることを可能にする官能基を含む。カップリング基は、1個または複数の原子からなっていてもよい。例示的なカップリング基は、-NH-、-NR-から選択され得、R基はC1~C6アルキルであり、好ましくはメチル、-C(O)-、-O-、-S-、第四級アンモニウム基、およびチオウレア架橋、または、Rが付着された相補基と一緒にそのようなチオウレア架橋を形成する基である。この文脈において、本明細書において可能なカップリング基として第四級アンモニウム基に言及される他の事例においても、第四級アンモニウム基は好ましくは、式-N(R) -のカップリング基であり、R基は独立して、C1~C6アルキルであり、好ましくはメチルである。理解されるように、Rによって含まれるカップリング基は、本発明に従う化合物によって含まれるさらなる相補的なカップリング基に共有結合されていてもよく、その結果、2個のカップリング基が組み合わさって、アミド結合(-C(O)-NH-)、アルキル化アミド結合(-C(O)-NR-)、またはチオウレア架橋(-NH-C(S)-NH-)などの結合単位を形成する。本明細書で言及されるように、また下記のさらなる事例において、アルキル化アミド結合-C(O)-NR-における置換基Rは、C1~C6アルキル、好ましくはメチルである。Rがカップリング基-NH-を含むこと、およびカップリング基が、本発明に従う化合物において含有される基-C(O)-とアミド結合-C(O)-NH-を形成することが好ましい。たとえば、本明細書で開示される式(R-2a)、(R-2b)、(IC)、および(ID)において、Rが、カップリング基-NH-または-NR-、好ましくは-NH-を含むこと、およびこれらの式において、カップリング基が、Rが付着されている-C(O)-基に結合されて、アミド結合(-C(O)-NH-)またはアルキル化アミド結合(-C(O)-NR-)、好ましくはアミド結合を形成することが好ましい。
【0029】
好ましくは、エフェクター部分Rは、ペプチド性結合モチーフ、すなわち、受容体に結合することが可能なペプチド構造を含む結合モチーフである。ペプチド性結合モチーフは好ましくは、環状ペプチド構造、またはジスルフィド架橋によって環化されたペプチドを含む。上に述べられるように、結合モチーフは好ましくは、SSTに結合することが可能なものである。SSTに結合することが可能な様々なペプチドが公知であり、文献において説明されている。それらを使用して、たとえば、ペプチドに含有されるカルボン酸基またはアミノ基を使用して化合物の残部とアミド結合を形成することによって、本発明の化合物においてR基を提供することができる。
【0030】
したがって、Rは、基を含んでもよく、好ましくは、Tyr-オクトレオタート(TATE、H-D-Phe-シクロ(L-Cys-L-Tyr-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-L-Thr-OH)、Thr-オクトレオチド(ATE)、Phe-Tyr-オクトレオチド(TOC、H-D-Phe-シクロ(L-Cys-L-Tyr-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-L-Thr-オール)、NaI-オクトレオチド(NOC、H-D-Phe-シクロ(L-Cys-L-1-NaI-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-L-Thr-オール)、1-NaI,Thr-オクトレオチド(NOCATE)、BzThi-オクトレオチド(BOC)、BzThi,Thr-オクトレオチド(BOCATE)、JR11(H-L-Cpa-シクロ(D-Cys-L-Aph(Hor)-D-Aph(Cbm)-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-D-Tyr-NH)、BASS(H-L-Phe(4-NO)-シクロ(D-Cys-L-Tyr-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-D-Tyr-NH)、およびKE121(シクロ(D-Dab-L-Arg-L-Phe-L-Phe-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Phe))から、より好ましくはTATEまたはJR11から、最も好ましくはTATEから選択される受容体アゴニストまたは受容体アンタゴニストに由来し得る基である。当業の読者によって理解されるように、受容体アゴニストまたはアンタゴニストに含有されるカルボン酸基またはアミノ基などの官能基を使用して、R基を化合物の残部に付着させるカップリング基を提供することによって、R基は、上に列挙される受容体アゴニストまたはアンタゴニストに好都合に由来し得る。好ましくは、これらのペプチド性受容体アゴニストまたは受容体アンタゴニストは、その中に、たとえば、ペプチドに含有される任意選択で置換されたフェニルアラニン単位中に、含有されるアミノ基を使用して、本発明の化合物の残部とのアミド結合を形成することによって、R基を提供する。たとえば、本明細書で開示される式(R-2a)、(R-2b)、(ID)、(IE)、(IF)、および(IG)において、Rと、Rが付着されているカルボニル基-C(O)-との共有結合は、上述の受容体アゴニストまたは受容体アンタゴニストに含有されるアミノ基に由来する-NH-カップリング基を使用して形成されてもよい。
【0031】
代替的に、当業の読者によって理解されるように、アミンに連結してチオウレア架橋を形成することができるイソチオシアナートを有する部分などの、本発明の化合物の残部への化学結合が形成されることを可能にする官能基を提供する追加の官能性部分を、R基に導入することによって、R基は、上に列挙される受容体アゴニストまたは受容体アンタゴニストに好都合に由来し得る。当業の読者によって理解されるように、典型的に「バイオコンジュゲーション戦略」と要約される、他のコンジュゲーション戦略を使用して、本発明に従う化合物の残部に、本発明に従う化合物におけるR基を連結することもできる。
【0032】
上述と一致して、Rは、式(B-1)
【0033】
【化5】
【0034】
(式中、破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)の基であることが好ましい。当業の読者によって理解されるように、式(B-1)において破線によって示される結合は、窒素原子の反対側のその終端にメチル基を担持していないが、式(I)の化合物の残部にR基を付着させる結合を表す。好ましくは、式(B-1)において破線によって示される結合は、本発明の化合物において、式(B-1)において示される-NH-基の窒素原子と、たとえば本明細書で開示される式(R-2a)、(R-2b)、(ID)、(IE)、(IF)、および(IG)におけるもののようなRが付着されていてもよいカルボニル基の炭素原子との間に存在する共有結合を表す。このようにして、アミド結合は提供され得る。
【0035】
より好ましくは、Rは、式(B-1a)
【0036】
【化6】
【0037】
(式中、破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)の基である。
好ましくは、エフェクター部分Rを含む基である、R、R、およびRから選択される基は、式(R-2a)または(R-2b)
【0038】
【化7】
【0039】
(式中、
は、本明細書で定義されるような、それの任意の好ましい実施形態を含むエフェクター部分であり、
は、-H、-OH、およびC1~C3アルキルから選択され、好ましくは-Hであり、
は-COOHであり、
破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)の、より好ましくは式(R-2a)の基である。したがって、当業者によって理解されるように、破線で示される結合は、CHR基およびCHR基それぞれの反対側のその終端にメチル基を担持していないが、本発明の化合物において、CHR基またはCHR基それぞれと、式(I)における窒素原子、または、エフェクター部分Rを含む基であるR、R、およびRから選択される基が付着されているその好ましい実施形態との間に存在する共有結合を表す。
【0040】
、R、およびRから選択される別の基、すなわち、上で論じられる部分Rを含む基ではない2個の基のうちの1個は、ケイ素系フッ化物アクセプター(SiFA)部分Rを含む基である。そのようなSiFA部分は、ケイ素原子およびフッ素原子を含み、フッ素原子は、共有結合によってケイ素原子に直接連結されている。SiFA部分は、18Fによる19Fの同位体交換によって18Fで標識され得るか、または18Fで標識される。
【0041】
好ましくは、SiFA部分Rは、式(S-1)
【0042】
【化8】
【0043】
(式中、
1SおよびR2Sは互いから独立して、直鎖または分岐C3~C10アルキル基であり、好ましくはR1SおよびR2Sは、イソプロピルおよびtert-ブチルから選択され、より好ましくはR1SおよびR2Sはtert-ブチルであり、
3Sは、1個または複数の芳香族および/または脂肪族部分を含み、任意選択で、OおよびSから選択される最大3個までのヘテロ原子を含む二価のC1~C20炭化水素基であり、好ましくはR3Sは、芳香族環を含み、1個または複数の脂肪族部分を含んでもよい二価のC6~C12炭化水素基であり、
破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)の基を含む。
【0044】
より好ましくは、SiFA部分Rは、式(S-2)
【0045】
【化9】
【0046】
(式中、
1SおよびR2Sは互いから独立して、直鎖または分岐C3~C10アルキル基であり、好ましくはR1SおよびR2Sは、イソプロピルおよびtert-ブチルから選択され、より好ましくはR1SおよびR2Sはtert-ブチルであり、Pheは、フェニレン基であり、yは0~6、好ましくは0または1、より好ましくは1の整数であり、破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)の基を含む。フェニレン基上の2個の置換基は好ましくは、互いに対してパラ位置にある。R基は式(S-2)の基を含み、R1SおよびR2Sはtert-ブチルであり、yは1であることが特に好ましい。
【0047】
SiおよびF原子と一緒に、好ましくは上に示すような基の形態で、SiFA基Rは、Rが、R基と式(I)におけるその付着点との間に形成される共有結合によって本発明の化合物の残部に付着されることを可能にするカップリング基を含んでもよい。カップリング基は、1個または複数の原子からなっていてもよい。例示的なカップリング基は、-NH-、-NR-、-C(O)-、-O-、-S-、-N(R) -(CH-C(O)-、およびチオウレア架橋、またはRが付着されている相補基と一緒にそのようなチオウレア架橋を形成する基から選択される。上述の例示的な基において、RはC1~C6アルキルであり、好ましくはメチルであり、rは1、2、または3であり、好ましくは1である。カップリング基は、本発明の化合物において提供されるさらなる相補的なカップリング基にRの付着点で共有結合されていてもよく、その結果、2個のカップリング基が組み合わさって、アミド結合-C(O)-NH-、アルキル化アミド結合-C(O)-NR-、またはチオウレア架橋-NH-C(S)-NH-などの結合単位、好ましくはアミド結合を形成する。カップリング基として好ましいのは、-C(O)-および-N(R) -(CH-C(O)-である。同様に、Rによって含まれるこれらのカップリング基は、Rの付着点で本発明の化合物において提供される相補的なカップリング基とアミド結合を形成することが好ましい。
【0048】
代替的に、式(I)の化合物においてRの付着点で提供されるカップリング基としての第四級アンモニウム基に対し形成された共有結合によって、R基は、本発明の化合物の残部に付着されてもよい。上に述べられるように、第四級アンモニウム基は好ましくは、式-N(R) -のカップリング基であり、R基は独立してC1~C6アルキルであり、好ましくはメチルである。当業の読者によって理解されるように、これは、たとえば、SiFA基とのコンジュゲーションの際に第四級アミノ基に変換される第三級アミノ基を有する化合物を使用して、Rを担持する単位が提供される場合、遂行され得る。
【0049】
上述と一致して、SiFA部分Rは、式(S-3)
【0050】
【化10】
【0051】
(式中、
rは1、2、または3、好ましくは1であり、-(CH-におけるsは、1~6の整数であり、好ましくは1であり、
Rは独立してC1~C6アルキルであり、好ましくはメチルであり、
1SおよびR2Sは互いから独立して、直鎖または分岐C3~C10アルキル基であり、好ましくはR1SおよびR2Sは、イソプロピルおよびtert-ブチルから選択され、より好ましくはR1SおよびR2Sはtert-ブチルであり、破線は、その基を化合物の残部に付着させる結合を示す)の基であることが特に好ましい。
【0052】
さらに、上述と一致して、式(S-3)の基、したがってSiFA部分Rは最も好ましくは、式(S-4)
【0053】
【化11】
【0054】
(式中、Buはtert-ブチル基を示し、破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)の基である。
当業者によって理解されるように、式(S-3)および(S-4)において破線によって示される結合は、-C(O)-基の反対側のその終端にメチル基を担持しておらず、むしろ化合物の残部に基を付着させるように働く。好ましくは、式(S-3)および(S-4)において破線によって示される結合は、本発明の化合物において、式(S-3)および(S-4)において示される-C(O)-基の炭素原子と、本発明の化合物においてRの付着点で提供されてもよい-NH-基、たとえば、下記に示される式(R-3a)、(R-3c)、もしくは(ID)(それぞれの式においてRが付着されている)に存在する連結基Lに含有されてもよい-NH-基、または下記に示される式(R-3b)、(R-3d)、もしくは(IE)(それぞれの式においてRが付着されている)に存在する連結基Lに含有されてもよい-NH-基、またはRS1が付着されている式(IF)または(IG)に含有される-NH-基の、窒素原子との間に存在する共有結合を表す。このようにして、アミド結合は、結合単位として提供され得る。
【0055】
式(S-3)および(S-4)(それぞれ、2個の置換基R(式(S-3)において)または2個のメチル置換基(式(S-4)において)を担持する)において示される正に帯電した第四級アンモニウム基の例示的な対イオンは、式(I)の化合物の塩形態に関して本明細書で論じられるようにアニオンであり、たとえば、トリフルオロ酢酸アニオンまたは酢酸アニオンを含む。
【0056】
式(S-1)~(S-4)において示されるフッ素原子は、18F原子、または、18Fによる19Fの同位体交換によって交換されて18Fを提供することができる19F原子であってもよい。
【0057】
好ましくは、SiFA部分Rを含む基である、R、R、およびRから選択される基は、式(R-3a)、(R-3b)、(R-3c)、または(R-3d)
【0058】
【化12】
【0059】
(式中、
は、本明細書で定義されるような、それの任意の好ましい実施形態を含むSiFA部分であり、
およびRは、-H、-OH、およびC1~C3アルキルから選択され、好ましくは-Hであり、
10およびR11は-COOHであり、
は二価の連結基であり、
は三価の連結基であり、
は親水性修飾基であり、
破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)の、より好ましくは式(R-3a)または(R-3b)の基である。したがって、当業者によって理解されるように、破線で示される結合は、CHR基、CHR基、CHR10基、およびCHR11基それぞれの反対側のその終端にメチル基を担持していないが、本発明の化合物において、CHR基、CHR基、CHR10基、およびCHR11基それぞれと、式(I)における窒素原子、または、SiFA部分Rを含む基であるR、R、およびRから選択される基が付着されているその好ましい実施形態との間に存在する共有結合を表す。
【0060】
、R、およびRから選択される残りの基(すなわち、エフェクター部分RBを含む基でもSiFA部分を含む基でもない基)は、式(R-1)
【0061】
【化13】
【0062】
(式中、
は、-H、-OH、およびC1~C3アルキルから選択され、好ましくは-Hであり、破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)の基である。したがって、当業者によって理解されるように、式(R-1)において破線によって示される結合は、CHR基の反対側のその終端にメチル基を担持しておらず、むしろ式(I)において示される窒素原子に基を付着させるように働くか、または好ましい実施形態である。
【0063】
上述と一致して、以下の表に列挙されるように、式(I)、および(IA)によって、R、R、およびRの様々な例示的な組合せが包含される。
【0064】
【表A】
【0065】
表における「Rを含む基」および「Rを含む基」への言及は、これらの基の、ならびにRおよびRそれら自体の、好ましい変形を包含することが理解されるであろう。
これらの例示的な組合せの中で好ましいのは、組合せNo.2およびNo.5である。したがって、特に好ましいのは、aが1である組合せNo.2およびNo.5である。
【0066】
上述と一致して、式(I)の化合物は好ましくは、式(IC)
【0067】
【化14】
【0068】
(式中、
i)R1Aは、本明細書で定義されるような式(R-2a)の基であり、R3Aは、本明細書で定義されるような式(R-3a)、(R-3b)、(R-3c)、および(R-3d)の基から選択される、または
ii)R1Aは、本明細書で定義されるような式(R-2a)および(R-2b)の基から選択され、R3Aは、本明細書で定義されるような式(R-3a)および(R-3b)の基から選択される)の化合物である。
【0069】
さらに、式(I)の化合物は、より好ましくは式(ID)または(IE)
【0070】
【化15】
【0071】
(式中、
は、本明細書で定義されるような、それの任意の好ましい実施形態を含むエフェクター部分であり、Rは、本明細書で定義されるような、それの任意の好ましい実施形態を含むSiFA部分であり、
は二価の連結基であり、
は三価の連結基であり、
は親水性修飾基である)の化合物である。
【0072】
したがって、式(I)の化合物が、式(IC)の化合物、または好ましくは式(ID)または(IE)の化合物である場合においても、
は、Tyr-オクトレオタート(TATE、H-D-Phe-シクロ(L-Cys-L-Tyr-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-L-Thr-OH)、Thr-オクトレオチド(ATE)、Phe-Tyr-オクトレオチド(TOC、H-D-Phe-シクロ(L-Cys-L-Tyr-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-L-Thr-オール)、NaI-オクトレオチド(NOC、H-D-Phe-シクロ(L-Cys-L-1-NaI-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-L-Thr-オール)、1-NaI,Thr-オクトレオチド(NOCATE)、BzThi-オクトレオチド(BOC)、BzThi,Thr-オクトレオチド(BOCATE)、JR11(H-L-Cpa-シクロ(D-Cys-L-Aph(Hor)-D-Aph(Cbm)-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-D-Tyr-NH)、BASS(H-L-Phe(4-NO)-シクロ(D-Cys-L-Tyr-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-D-Tyr-NH)、およびKE121(シクロ(D-Dab-L-Arg-L-Phe-L-Phe-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Phe))から選択される受容体アゴニストまたは受容体アンタゴニストに由来し得る部分であり、
は、上に定義されるような式(S-3)の基であるが、R1SおよびR2Sはともにtert-ブチルであることが、
式(IC)、(ID)、および(IE)においてさらに好ましいことが理解されるであろう。
【0073】
さらにより好ましくは、式(IC)、(ID)、および(IE)において、Rは、上に定義されるような式(B-1a)の基であり、Rは、上に定義されるような式(S-4)の基である。
【0074】
上述の式(R-3a)、(R-3b)、(R-3c)、(R-3d)、(ID)、および(IE)において示されるL基は、二価の連結基である。二価の連結基Lは、その2個の末端のそれぞれに、隣接する基への付着のためのカップリング基として、たとえば、-NH-基または-NR-基(式中、RはC1~C6アルキル、好ましくはメチルである)を含んでもよい。より好ましくは、NH-基または-NR-基のそれぞれは、隣接する基としてのカルボニル基(-C(O)-)と組み合わさって、アミド結合-NH-C(O)-またはアルキル化アミド結合-NR-C(O)-を形成する。-NH-基および-NR-基の中で、選好は-NH-に与えられる。たとえば、連結基Lは、-NH-RL1-NH-基を含んでもよいか、またはそれからなっていてもよく、RL1は、C1~C6アルカンジイル基などのアルカンジイル基であり、アルカンジイル基は、-OH、-COOH、-CONH、または-NHから選択される、1個、2個、または3個などの1個または複数の置換基を担持してもよい。
【0075】
好ましくは、二価の連結基Lは、(L-1)基
【0076】
【化16】
【0077】
(式中、eは1~6、好ましくは1~4の整数であり、破線は、基を隣接する基に付着させる結合を記し、好ましくは、アステリスクによって追加で示される結合はそれぞれ、RまたはLに付着される)を含むか、またはそれからなる。そのような(L-1)基は、好都合には、ジアミノプロピオン酸(Dap)、ジアミノ酪酸(Dab)、オルニチン(Orn)、およびリジン(Lys)から選択されるアミノ酸に由来し得、それは、これらのアミノ酸に含有される-NH基を使用してカップリング基-NH-を提供することによるものであり、ここで、-NH基における1個の水素原子への結合は、別の隣接する原子または基への結合によって置き換えられる。(L-1)基が存在し、かつ上に言及されるアミノ酸に由来する場合、アミノ酸は好ましくは、D配置である。
【0078】
二価の連結基Lはまた、炭水化物単位、多価アルコール単位、多価カルボン酸単位、および、自身の-NHおよび-COOH官能基に加えてさらなる親水性官能基を含む親水性アミノ酸に由来するアミノ酸単位から選択される1個または複数の親水性単位を含んでもよいか、またはそれからなっていてもよい。当業者によって理解されるように、この文脈においても、単位は、それらが由来する化学構造によって命名される。たとえば、これらの1個または複数の親水性単位は、式(L-1)の基と組み合わされて連結基Lを提供してもよい。
【0079】
上述と一致して、二価の連結基Lの好ましい構造は、式(L-2)
【0080】
【化17】
【0081】
(式中、
eは1~6の整数、好ましくは1~4であり、
fは0~5の整数、好ましくは0または1であり、
H1は、fが1より大きい場合、各出現に関して独立して、自身の-NHおよび-COOH官能基に加えてさらなる親水性官能基を含む親水性アミノ酸に由来するアミノ酸単位であり、
破線は、基を隣接する基に付着させる結合を記し、アステリスクによって追加で示される結合はそれぞれ、RまたはRに付着される)の基である。
【0082】
H1はアミノ酸単位である。当業者によって理解されるように、アミノ酸単位は、アミノ酸に、すなわち、同じ分子中にアミノ基およびカルボン酸基を含む化合物に、由来し得る基である。特定のアミノ酸単位は典型的に、それが由来し得る、たとえば、オルニチン単位、リジン単位などのようなアミノ酸の名称によって識別される。特定の文脈において別段に示されない限り、アミノ酸単位が由来し得るアミノ酸は好ましくは、α-アミノ酸である。アミノ酸単位がキラルアミノ酸に由来し得る場合、選好はD配置に与えられる。
【0083】
さらに理解されるように、アミノ酸単位は、アミノ酸に由来し得、それは、その官能基のうちの1個または複数を使用してカップリング基を提供し、それが、アミノ酸単位が付着されている隣接する原子または基への結合を形成することによる。たとえば、アミノ酸のアミノ基を使用してカップリング基-NH-を提供してもよく、ここで、アミノ基中の1個の水素原子への結合は、別の隣接する原子または基への結合によって置き換えられる。アミノ酸のカルボン酸基を使用してカップリング基-C(O)-を提供してもよく、ここで、-OH基への結合は、別の隣接する原子または基への結合によって置き換えられる。好ましくは、アミノ酸によって提供される任意のカップリング基は、本発明に従う化合物におけるさらなる相補的なカップリング基に共有結合されており、その結果、2個の相補的なカップリング基が組み合わさって、アミド結合(-C(O)-NH-)またはアルキル化アミド結合-C(O)-NR-、好ましくはアミド結合などの結合単位を形成する。RはC1~C6アルキル、好ましくはメチルである。
【0084】
具体的には、式(L-2)において、AH1は、fが1より大きい場合、各出現に関して独立して、自身の-NHおよび-COOH官能基に加えてさらなる親水性官能基を含む親水性アミノ酸に由来するアミノ酸単位である。そのような単位は、本明細書で簡潔に「親水性アミノ酸単位」と呼ばれることがある。
【0085】
たとえば、アミノ酸単位AH1のさらなる親水性官能基は、fが1より大きい場合、各出現に関して独立して、-NH、-COOH、-NH-C(=NH)-NH、-C(=O)NH、-NH-C(=O)-NH、-OH、および-P(=O)(OH)から選択することができる。
【0086】
好ましくは、f個のアミノ酸単位AH1のそれぞれは、fが1より大きい場合、各出現に関して独立して、側鎖が、-(CH-NH、-(CH-COOH、-(CH-NH-C(=NH)-NH、-(CH-C(=O)NH、-(CH-NH-C(=O)-NH、-(CH-OH、および-(CH-P(=O)(OH)(式中、vは1~4である)から選択される末端親水性官能基を有する側鎖を含む。
【0087】
したがって、アミノ酸単位AH1は、fが1より大きい場合、各出現に関して独立して、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)単位、2,4-ジアミノブタン酸(Dab)単位、オルニチン(Orn)単位、リジン(Lys)単位、アルギニン(Arg)単位、グルタミン酸(Glu)単位、アスパラギン酸(Asp)単位、アスパラギン(Asn)単位、グルタミン(Gln)単位、セリン(Ser)単位、シトルリン(Cit)単位、チオシトルリン単位、メチルイソチオシトルリン単位、カナバニン単位、チオカナバニン単位、α-アミノ-γ-(チオウレアオキシ)-n-酪酸単位、α-アミノ-γ-(チオウレアチア)-n-酪酸単位、およびホスホノメチルアラニン(Pma)単位から選択されることが好ましい。それらは好ましくは、D配置のアミノ酸に由来し得る単位である。特に好ましいのは、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)単位、2,4-ジアミノブタン酸(Dab)単位、オルニチン(Orn)単位、リジン(Lys)単位、アルギニン(Arg)単位、グルタミン酸(Glu)単位、アスパラギン酸(Asp)単位、アスパラギン(Asn)単位、グルタミン(Gln)単位、セリン(Ser)単位、シトルリン(Cit)単位、およびホスホノメチルアラニン(Pma)単位から選択される単位である。したがって、たとえば、好ましい基[AH1(式中、fは1である)は、Asp単位によって、またはGlu単位によって、提供されてもよい。
【0088】
好ましくは、-[AH1-基は、式(L-2)において-[AH1-基が付着されているNH基とアミド結合を形成するC末端、およびLまたはRとそれぞれアミド結合を形成するN末端を提供する。
【0089】
上述と一致して、-[AH1-単位は好ましくは、式
【0090】
【化18】
【0091】
(式中、fは上に定義されるとおりであり、f個のRH1基のそれぞれは、fが1より大きい場合、各出現に関して独立して、
-(CH-NH、-(CH-COOH、-(CH-NH-C(=NH)-NH、-(CH-C(=O)NH、-(CH-NH-C(=O)-NH、-(CH-OH、および-(CH-P(=O)(OH)(式中、vは1~4である)
から選択される)の単位である。
【0092】
上述の式のアミノ酸単位-C(O)-CH(RH1)-NH-は、fが1より大きい場合、各出現に関して独立して、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)単位、2,4-ジアミノブタン酸(Dab)単位、オルニチン(Orn)単位、リジン(Lys)単位、アルギニン(Arg)単位、グルタミン酸(Glu)単位、アスパラギン酸(Asp)単位、アスパラギン(Asn)単位、グルタミン(Gln)単位、セリン(Ser)単位、シトルリン(Cit)単位、およびホスホノメチルアラニン(Pma)単位から選択されることがより好ましい。それらは好ましくは、D配置のアミノ酸に由来し得る単位である。したがって、たとえば、好ましい基-[C(O)-CH(RH1)-NH]-(式中、fは1である)は、Asp単位によって、またはGlu単位によって、提供されてもよい。
【0093】
-[C(O)-CH(RH1)-NH]-基のC末端は一般に、式(L-2)において-[AH1-基が付着されているNH基とアミド結合を形成し、N末端は好ましくは、LまたはRとそれぞれアミド結合を形成する。
【0094】
上述の式(R-3b)、(R-3d)、および(IE)において示されるL基は、三価の連結基である。
好ましくは、Lは三価のアミノ酸単位、すなわち、アミノ酸に必要とされるアミノ基、およびカルボン酸基に加えて、さらなる官能基を含むアミノ酸に由来する単位である。さらなる官能基もアミノ基またはカルボン酸基であること、および本発明の化合物において、アミノ基、カルボン酸基、および、アミノ酸単位が由来するアミノ酸によって提供されるさらなる官能基を使用して形成された3個のアミド結合が、単位に付着されていることが好ましい。
【0095】
より好ましくは、Lは、以下の(i)、および(ii)
(i)カルボン酸基およびアミノ基と一緒にカルボン酸基およびアミノ基から選択されるさらなる官能基を含むアミノ酸に由来し得る三価のアミノ酸単位、
(ii)、-N(R) -基(式中、Rは独立して、C1~C6アルキル、好ましくはメチルである)を含み、自身の-NH基、および-COOH基に加えて第3の官能基として第三級アミノ基を含む三官能性アミノ酸に由来し得る、三価のアミノ酸単位
から選択される三価のアミノ酸単位であり、(i)が好ましい。
【0096】
たとえば、上述の(i)と一致する、カルボン酸基およびアミノ基と一緒にカルボン酸基およびアミノ基から選択されるさらなる官能基を含むアミノ酸に由来し得る三価のアミノ酸単位は、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)単位、2,4-ジアミノブタン酸(Dab)単位、オルニチン(Orn)単位、およびリジン(Lys)単位、最も好ましくはDap単位から選択されるアミノ酸単位とすることができる。立体化学の観点から、これらの単位が由来するアミノ酸は好ましくは、D配置である。
【0097】
たとえば、上述の(ii)と一致する、-N(R) -基を含む三価のアミノ酸単位は、N-ジアルキル化2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、N-ジジアルキル化2,4-ジアミノブタン酸(Dab)、N-ジアルキル化オルニチン(Orn)、およびN-ジアルキル化リジン(Lys)に由来し得る。
【0098】
上述と一致して、三価の連結単位Lの好ましい構造は、以下の式(L-3)
【0099】
【化19】
【0100】
(式中、hは0であり、かつkは1~4の整数、より好ましくは1である、またはkは0、かつhは1~4の整数、より好ましくは1であるのいずれかであり、破線は、隣接する原子または単位に付着される結合を記し、カルボニル基-C(O)-で破線によって示される結合は、Lと形成される)によって例示することができる。
【0101】
親水性修飾基-Rは、炭水化物単位、多価アルコール単位、多価カルボン酸単位、および、自身の-NHおよび-COOH官能基に加えてさらなる親水性官能基を含む親水性アミノ酸に由来するアミノ酸単位から選択される1個または複数の親水性単位を含む。
【0102】
上述の式(R-3b)、(R-3d)、および(IE)において示されるRは、親水性修飾基、すなわち、本発明に従う化合物の親水特性を高める基である。
好ましくは、親水性修飾基-Rは、式(H-1)
【0103】
【化20】
【0104】
(式中、
gは、0~5の整数、好ましくは1~3、さらにより好ましくは2または3であり、
H2は、gが1より大きい場合、各出現に関して独立して、自身の-NHおよび-COOH官能基に加えてさらなる親水性官能基を含む親水性アミノ酸に由来するアミノ酸単位であり、
HTは、アミノ酸単位AH2に付着された末端水素原子、アセチル基、または、炭水化物基、多価アルコール単位、および多価カルボン酸単位から選択される親水性単位から選択され、
破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)の基である。したがって、当業者によって理解されるように、破線で示される結合は、AH2の反対側にメチル基を担持しておらず、むしろ上述の式におけるR~Lを付着させる共有結合を表す。
【0105】
上述から理解されるように、gが1以上である場合、RHTは、末端水素原子、アセチル基、または、炭水化物基、多価アルコール単位(たとえば、キナ酸に由来するアシル基によって提供される)、および多価カルボン酸単位から選択される親水性単位のうちのいずれかとすることができる。gが0である場合、RHTは好ましくは、炭水化物基、多価アルコール単位、および多価カルボン酸単位から選択される親水性単位である。
【0106】
H2は、アミノ酸単位、すなわち、アミノ酸に由来し得る基である。特定の文脈において別段に示されない限り、アミノ酸単位が由来し得るアミノ酸は好ましくは、α-アミノ酸である。アミノ酸単位がキラルアミノ酸に由来し得る場合、選好はD配置に与えられる。
【0107】
さらに理解されるように、アミノ酸単位は、アミノ酸に由来し得、それは、その官能基のうちの1個または複数を使用してカップリング基を提供し、それが、アミノ酸単位が付着されている隣接する原子または基への結合を形成することによる。たとえば、アミノ酸のアミノ基を使用してカップリング基-NH-を提供してもよく、ここで、アミノ基中の1個の水素原子への結合は、別の隣接する原子または基への結合によって置き換えられる。アミノ酸のカルボン酸基を使用してカップリング基-C(O)-を提供してもよく、ここで、-OH基への結合は、別の隣接する原子または基への結合によって置き換えられる。好ましくは、アミノ酸によって提供される任意のカップリング基は、本発明に従う化合物におけるさらなる相補的なカップリング基に共有結合されており、その結果、2個の相補的なカップリング基が組み合わさって、アミド結合(-C(O)-NH-)またはアルキル化アミド結合-C(O)-NR-、好ましくはアミド結合などの結合単位を形成する。RはC1~C6アルキル、好ましくはメチルである。
【0108】
具体的には、式(H-1)において、AH2は、gが1より大きい場合、各出現に関して独立して、自身の-NHおよび-COOH官能基に加えてさらなる親水性官能基を含む親水性アミノ酸に由来するアミノ酸単位である。
【0109】
たとえば、アミノ酸単位AH2のさらなる親水性官能基は、gが1より大きい場合、各出現に関して独立して、-NH、-COOH、-NH-C(=NH)-NH、-C(=O)NH、-NH-C(=O)-NH、-OH、および-P(=O)(OH)から選択することができる。
【0110】
好ましくは、g個のアミノ酸単位AH2のそれぞれは、fが1より大きい場合、各出現に関して独立して、側鎖が、-(CH-NH、-(CH-COOH、-(CH-NH-C(=NH)-NH、-(CH-C(=O)NH、-(CH-NH-C(=O)-NH、-(CH-OH、および-(CH-P(=O)(OH)(式中、vは1~4である)から選択される末端親水性官能基を有する側鎖を含む。
【0111】
したがって、アミノ酸単位AH2は、gが1より大きい場合、各出現に関して独立して、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)単位、2,4-ジアミノブタン酸(Dab)単位、オルニチン(Orn)単位、リジン(Lys)単位、アルギニン(Arg)単位、グルタミン酸(Glu)単位、アスパラギン酸(Asp)単位、アスパラギン(Asn)単位、グルタミン(Gln)単位、セリン(Ser)単位、シトルリン(Cit)単位、チオシトルリン単位、メチルイソチオシトルリン単位、カナバニン単位、チオカナバニン単位、α-アミノ-γ-(チオウレアオキシ)-n-酪酸単位、α-アミノ-γ-(チオウレアチア)-n-酪酸単位、およびホスホノメチルアラニン(Pma)単位から選択されることが好ましい。それらは好ましくは、D配置のアミノ酸に由来し得る単位である。特に好ましいのは、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)単位、2,4-ジアミノブタン酸(Dab)単位、オルニチン(Orn)単位、リジン(Lys)単位、アルギニン(Arg)単位、グルタミン酸(Glu)単位、アスパラギン酸(Asp)単位、アスパラギン(Asn)単位、グルタミン(Gln)単位、セリン(Ser)単位、シトルリン(Cit)単位、およびホスホノメチルアラニン(Pma)単位から選択される単位である。したがって、たとえば、好ましい基[AH2(式中、fは1である)は、Asp単位によって、またはGlu単位によって、提供されてもよい。
【0112】
好ましくは、-[AH2-基は、式(H-1)において-[AH2-基が付着されているNH基とアミド結合を形成するC末端、およびLまたはRとそれぞれアミド結合を形成するN末端を提供する。
【0113】
上述と一致して、-R基は好ましくは、式
【0114】
【化21】
【0115】
(式中、gは上に定義されるとおりである。g個のRH2基のそれぞれは、gが1より大きい場合、各出現に関して独立して、
-(CH-NH、-(CH-COOH、-(CH-NH-C(=NH)-NH、-(CH-C(=O)NH、-(CH-NH-C(=O)-NH、-(CH-OH、および-(CH-P(=O)(OH)(式中、vは1~4である)
から選択される)の基である。
【0116】
上述の式のアミノ酸単位-C(O)-CH(RH2)-NH-は、gが1より大きい場合、各出現に関して独立して、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)単位、2,4-ジアミノブタン酸(Dab)単位、オルニチン(Orn)単位、リジン(Lys)単位、アルギニン(Arg)単位、グルタミン酸(Glu)単位、アスパラギン酸(Asp)単位、アスパラギン(Asn)単位、グルタミン(Gln)単位、セリン(Ser)単位、シトルリン(Cit)単位、およびホスホノメチルアラニン(Pma)単位から選択されることが好ましい。それらは好ましくは、D配置のアミノ酸に由来し得る単位である。したがって、たとえば、好ましい基-[C(O)-CH(RH2)-NH]-は、2個のGlu単位または2個のCit単位、ならびにCit単位、Glu単位、Dap単位、およびLys単位から選択される第3の単位を含む3個の親水性アミノ酸単位によって提供されてもよい。
【0117】
さらに上述と一致して、特に好ましい式(I)の化合物は、以下の式(IF)および(IG)
【0118】
【化22】
【0119】
(式中、変数は、本明細書の任意の好ましい実施形態を含む本明細書で定義されるような意味を有し、RS1は、本明細書で定義されるような式(S-3)の、好ましくは本明細書で定義されるような式(S-4)のSiFA基である)によって例示することができる。
【0120】
上に述べられるように、本発明に従う化合物は、式(I)の化合物、それらの塩、ならびに式(I)の化合物またはそれらの塩および放射性または非放射性カチオンから形成されたキレート化合物を包含する。塩は好ましくは、医薬的に許容される、すなわち、医薬的に許容されるアニオンまたはカチオンと形成された、塩である。塩は、たとえば、無機酸または有機酸を用いて、窒素原子などのプロトン化されやすい孤立電子対を担持する原子をプロトン化することによって、または、たとえば、塩基を用いた中和によって、カルボン酸基などの酸性基からプロトンを分離することによって、形成されてもよい。本発明に従う化合物に存在してもよく、塩の形態での化合物を提供し得る他の帯電した基は、アンモニウムカチオンを含む第四級アンモニウム基(ここで、4個のオルガニル基によって窒素が置換されている)などの常に帯電している基、または帯電したキレート錯体を含む。
【0121】
本発明の化合物の塩形態で対イオンとして存在してもよい例示的なアニオンとしては、たとえば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩(たとえば、リン酸、リン酸水素、またはリン酸二水素の塩など)、炭酸、炭酸水素、または過塩素酸塩;酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、オクタン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ウンデカン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、ニコチン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、またはアスコルビン酸塩;メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、2-ナフタレンスルホン酸塩、3-フェニルスルホン酸塩、またはカンファースルホン酸塩などのスルホン酸塩から選択されるアニオンが言及され得る。本願において提供される例に例示されるように、本発明に従う化合物の合成中、トリフルオロ酢酸を使用することができ、その結果、トリフルオロ酢酸の塩が、好都合に提供され得るか、または、所望であれば好都合に酢酸の塩に変換され得、トリフルオロ酢酸の塩および酢酸の塩は、好ましい塩の形態として言及され得るようになる。
【0122】
塩形態が、式(I)または(II)の化合物の負に帯電した形態を含む場合、本発明の化合物の塩形態で対イオンとして存在してもよい例示的なカチオンとしては、たとえば、リチウム、ナトリウム、またはカリウムなどのアルカリ金属カチオン、カルシウムまたはマグネシウムなどのアルカリ土類金属カチオン;およびアンモニウム(有機基によって置換されたアンモニウムイオンを含む)から選択されるカチオンが言及され得る。
【0123】
上に述べられるように、本発明の化合物は、式(I)の化合物またはその塩および放射性または非放射性カチオンから形成されたキレート化合物も含む。
式(I)によって(または、(IA)~(IF)などの、それの好ましい実施形態によって)例示されるように、本発明の化合物は、置換された窒素含有ヘテロ環を含み、置換された窒素含有ヘテロ環は、カチオンのためのキレート化リガンドを好適に提供することができることが当業の読者によって認識されるであろう。したがって、本発明の化合物において、キレート化合物は、式(I)に(または、(IA)~(IF)などの、それの好ましい実施形態に)含まれる、置換された窒素含有ヘテロ環を使用してキレートリガンドを提供することによって好都合に得ることができる。キレート化合物は、キレート化されたカチオンとして、放射性または非放射性カチオンを含む。理解されるように、キレートリガンドは、キレート化合物における放射性または非放射性カチオンのためのリガンドとして作用する。
【0124】
本発明の化合物は、エフェクター部分R(または、それぞれそのような部分を含む基)と、SiFA部分R(または、それぞれそのような部分を含む基)との架橋基として、キレート化リガンドとして好適な、置換された窒素含有ヘテロ環を含むため、本発明の化合物は、架橋基としてキレート化基を含む化合物であると考えることができる。
【0125】
そのようなキレート化合物によってキレート化されたカチオンとして含まれてもよい例示的な放射性または非放射性カチオンとしては、43Sc、44Sc、47Sc、51Cr、52mMn、55Co、57Co、58Co、52Fe、56Ni、57Ni、62Cu、64Cu、67Cu、66Ga、68Ga、67Ga、89Zr、90Y、86Y、94mTc、99mTc、97Ru、105Rh、109Pd、111Ag、110mIn、111In、113mIn、114mIn、117mSn、121Sn、127Te、142Pr、143Pr、147Nd、149Gd、149Pm、151Pm、149Tb、152Tb、155Tb、153Sm、156Eu、157Gd、155Tb、161Tb、164Tb、161Ho、166Ho、157Dy、165Dy、166Dy、160Er、165Er、169Er、171Er、166Yb、169Yb、175Yb、167Tm、172Tm、177Lu、186Re、186gRe、188Re、188W、191Pt、195mPt、194Ir、197Hg、198Au、199Au、212Pb、203Pb、211At、212Bi、213Bi、223Ra、224Ra、225Ac、226Th、および227Thのカチオン、これらの金属の非放射性同位体のカチオン、または18F-[AlF]2+などの18Fもしくは19Fを含むカチオン性分子を挙げることができる。
【0126】
好ましくは、放射性または非放射性カチオンは、177Luの、もしくはLuの非放射性同位体の、カチオンなどのLuのカチオン、90Yの、もしくはYの非放射性同位体の、カチオンなどのYのカチオン、または68Gaの、もしくはGaの非放射性同位体の、カチオンなどのGaのカチオンである。特に好ましいのは、68Gaの、またはGaの非放射性同位体の、カチオンなどのGaのカチオンである。
【0127】
本発明に従う化合物は好ましくは、-1.0以下、より好ましくは-2.0以下の、オクタノール-水分配係数(logD7.4またはlogP値とも呼ばれる)を示す。それは一般に、-4.0を下回らない。
【0128】
この分配係数は、1.00mlずつなどの等しい量のn-オクタノールおよびPBS(pH=7.4)を含有する2相系において、たとえば室温(20℃)で、本発明に従う化合物の平衡分配を測定すること、およびlog10としてlogD7.4値を算出することによって決定されてもよい(オクタノール中の濃度/PBS中の濃度)。オクタノールおよびPBS中の本発明に従う化合物の(絶対)濃度の代わりに、化合物が、放射性部分、たとえば放射性キレートを含む場合の放射線活性などの、各相における化合物の濃度に比例したパラメーターも、算出のために使用されてもよい。
【0129】
本発明の化合物は、ヒト血清アルブミン(HSA)への有利な結合特性を提供することができる。見かけの分子量としてkDaで表され、下記の実施例の項において説明されるように放射性逆親和性クロマトグラフィー(RIAC)によって決定される中から低のHSA結合値が、達成され得る。好ましくは、HSA結合値は、22kDa未満、より好ましくは10kDaを下回る。
【0130】
例示的な本発明に従う化合物として、以下がさらに言及される。
下記の実施例の項において示される式を有するリガンド化合物01もしくはそれの塩、またはリガンド化合物もしくはその塩および放射性または非放射性カチオンから形成されたキレート化合物。
【0131】
下記の実施例の項において示される式を有するリガンド化合物02もしくはそれの塩、またはリガンド化合物もしくはその塩および放射性または非放射性カチオンから形成されたキレート化合物。
【0132】
下記の実施例の項において示される式を有するリガンド化合物03もしくはそれの塩、またはリガンド化合物もしくはその塩および放射性または非放射性カチオンから形成されたキレート化合物。
【0133】
下記の実施例の項において示される式を有するリガンド化合物04もしくはそれの塩、またはリガンド化合物もしくはその塩および放射性または非放射性カチオンから形成されたキレート化合物。
【0134】
下記の実施例の項において示される式を有するリガンド化合物05もしくはそれの塩、またはリガンド化合物もしくはその塩および放射性または非放射性カチオンから形成されたキレート化合物。
【0135】
下記の実施例の項において示される式を有するリガンド化合物06もしくはそれの塩、またはリガンド化合物もしくはその塩および放射性または非放射性カチオンから形成されたキレート化合物。
【0136】
下記の実施例の項において示される式を有するリガンド化合物07もしくはそれの塩、またはリガンド化合物もしくはその塩および放射性または非放射性カチオンから形成されたキレート化合物。
【0137】
下記の実施例の項において示される式を有するリガンド化合物08もしくはそれの塩、またはリガンド化合物もしくはその塩および放射性または非放射性カチオンから形成されたキレート化合物。
【0138】
下記の実施例の項において示される式を有するリガンド化合物09もしくはそれの塩、またはリガンド化合物もしくはその塩および放射性または非放射性カチオンから形成されたキレート化合物。
【0139】
リガンド化合物01~09またはそれらの塩から形成された例示的なキレート化合物においてキレート化された例示的な放射性または非放射性カチオンそれぞれとしては、68GaのカチオンまたはGaの非放射性同位体のカチオンなどのGaのカチオン、および177LuのカチオンまたはLuの非放射性同位体のカチオンなどのLuのカチオンが言及され得る。
【0140】
さらなる態様において、本発明は、本発明に従う化合物の1つまたは複数のタイプ、好ましくは1つのタイプを含むか、またはそれからなる医薬組成物(治療組成物とも呼ばれる)を提供する。上に述べられるように、化合物は、式(I)の化合物、または本明細書で開示されるその好ましい実施形態、式(I)の化合物の塩、またはその好ましい実施形態、または式(I)の化合物もしくはその好ましい実施形態から、もしくはそれの塩から形成されたキレート化合物であってもよい。関連する態様において、本発明に従う化合物は、治療における使用のために、または薬剤としての使用のために提供される。したがって、本発明の化合物は、治療法において使用することができ、方法は、被験体にリガンド化合物を投与することを含んでもよい。被験体は、ヒトであっても動物であってもよく、好ましくはヒトである。好ましくは、本発明の化合物は、治療によるヒトまたは動物の体の処置の方法における使用のために提供され、治療は放射性核種治療である。
【0141】
上で言及される治療または治療法は、ヒトまたは動物の体の疾患または障害、たとえばがんの処置または予防を目標とする。
式(I)によって含まれるエフェクター部分Rが、ソマトスタチン受容体に結合することが可能である結合モチーフである場合、疾患または障害は、ソマトスタチン受容体の増大した、または異常な発現と関連付けられる疾患または障害であってもよい。たとえば、そのような疾患または障害は、SSTなどの、SST~SSTのうちの少なくとも1つを過剰発現する腫瘍であってもよい。たとえば、そのような腫瘍は、神経内分泌腫瘍であってもよい。
【0142】
たとえば、177Luカチオンまたは90Yカチオンなどの、キレート化された放射性カチオンを含むキレート化合物である本発明に従う化合物は、有利には、上で論じられるような疾患または障害の放射性核種治療などの放射性核種治療において使用することができる。
【0143】
別の態様において、本発明は、本発明に従う化合物の1つまたは複数のタイプ、好ましくは1つのタイプを含むか、またはそれからなる診断用組成物を提供する。上に述べられるように、化合物は、式(I)の化合物、または本明細書で開示されるその好ましい実施形態、式(I)の化合物の塩、またはその好ましい実施形態、または式(I)の化合物もしくはその好ましい実施形態から、もしくはそれの塩から形成されたキレート化合物であってもよい。関連する態様において、本発明に従う化合物は、疾患または障害のインビボでの診断の方法における使用のために提供される。したがって、本発明に従う化合物は、診断の方法において使用することができ、方法は、被験体にリガンド化合物を投与すること、および、被験体において化合物を検出すること、または被験体における化合物の分布を監視し、それにより診断されるべき疾患を検出すること、または監視することを含んでもよい。たとえば、本発明に従う化合物を検出する、または監視するために、陽電子放出断層撮影法(PET)または単光子放出コンピューター断層撮影法(SPECT)それぞれを用いる核イメージングを使用することができる。被験体は、ヒトまたは動物であってもよく、好ましくはヒトである。代替的に、診断の方法はまた、試料、たとえば、インビトロまたはエクスビボで被験体から得られる生理学的試料に化合物を加えること、および試料中の化合物を検出することを含んでもよい。
【0144】
上で言及される診断の方法は、がんなどの、ヒトまたは動物の体の疾患または障害の特定を目標とする。したがって、診断用途の観点から、本発明の化合物は好ましくは、がんのインビボでの診断の方法における使用のために提供される。
【0145】
式(I)によって含まれるエフェクター部分Rが、ソマトスタチン受容体に結合することが可能である結合モチーフである場合、疾患または障害は、ソマトスタチン受容体の増大した、または異常な発現と関連付けられる疾患または障害であってもよい。たとえば、そのような疾患または障害は、SSTなどの、SST~SSTのうちの少なくとも1つを過剰発現する腫瘍であってもよい。たとえば、そのような腫瘍は、神経内分泌腫瘍であってもよい。
【0146】
たとえば、SiFA基が18Fフッ化物を含む、または本発明の化合物がキレート化された放射性カチオン、たとえば68Gaカチオンを含むキレート化合物である、本発明の化合物は、有利には、陽電子放出断層撮影法(PET)による、または単光子放出コンピューター断層撮影法(SPECT)による診断などの核診断イメージングのために使用することができる。
【0147】
治療および診断用途への好適性は相互排他的ではない、すなわち、本発明に従う化合物は、両方の用途に好適であり得ることが理解されるであろう。たとえば、キレート化された177Luカチオンを含む化合物は、治療および診断イメージング用途両方のために使用することができる。さらに、キレート化基およびSiFA基の存在に起因して、本発明の化合物は、放射性ハイブリッド(rh)リガンドとして好適である。そのようなrhリガンドは、代替的に、[18F]フッ化物(たとえばPETのため)または放射性金属(PETのための68Gaカチオン、または放射線治療のための177Luカチオンなど)で標識することができる。[18F]フッ化物でrhリガンドが標識される場合、低温(非放射性)金属カチオンは、分子の他の箇所で錯体化され得るが必ずしも錯体化されなければならないことはなく、それが対応する放射性金属カチオンで標識される場合、低温[19F]フッ素が含まれ得る。そのため、18F標識化合物、および対応する放射性金属標識類似体は、同じ化学的構造を、したがって同一のインビトロおよびインビボ特性を持ち得、それにより、まったく同じの、診断および治療トレーサー(たとえば、18F/177Lu類似体)のインビボ特性を有する、構造的に同一のセラノスティックトレーサーを生成することを可能にする[20]。
【0148】
したがって、この手法と一致して、本発明の化合物は、ケイ素系フッ化物アクセプター基が18Fで標識されており、キレート化基が、キレート化された非放射性カチオン(natLuまたはnatGaなど)を含有する化合物、およびキレート化基が、キレート化された放射性カチオン(177Luまたは68Gaなど)を含有し、ケイ素系フッ化物アクセプター基が、18Fで標識されていない(したがって、19Fを担持する)化合物を含む。同様に、本発明は、上で論じられるような、ソマトスタチン受容体の増大した、または異常な発現と関連付けられる疾患または障害のインビボでの診断および治療のハイブリッドな方法における使用のための本発明の化合物を提供し、方法は、最初に、ケイ素-フッ化物アクセプター基が18Fで標識されており、キレート化基がキレート化された非放射性カチオン(natLuまたはnatGaなど)を含有する本発明の化合物の、その次に、キレート化基が、キレート化された放射性カチオンを含有し、ケイ素-フッ化物アクセプター基が18Fで標識されていない化合物の、投与を包含する。
【0149】
したがって、別の態様において、本発明は、疾患または障害のインビボイメージングの方法における使用のための、本発明に従う化合物の1つまたは複数のタイプ、好ましくは1つのタイプを含むか、またはそれからなる、専用の組成物を提供する。上に述べられるように、化合物は、式(I)の化合物、または本明細書で開示されるその好ましい実施形態、式(I)の化合物の塩、またはその好ましい実施形態、または、式(I)の化合物もしくはその好ましい実施形態から、もしくはそれの塩から形成されたキレート化合物であってもよい。本発明に従う化合物は、イメージング法において使用することができ、方法は、被験体にリガンド化合物を投与すること、および被験体においてリガンド化合物を検出すること、および、治療処置前または治療処置中に用量測定を算出することを目的として、注入後の異なる時間点でインビボでのリガンド化合物の分布を監視することを含んでもよい。被験体は、ヒトまたは動物であってもよく、好ましくはヒトである。イメージング法は、がんなどの、ヒトまたは動物の体の疾患または障害の治療処置前または治療処置中の用量測定の算出のために使用されてもよい。式(I)によって含まれるエフェクター部分Rが、ソマトスタチン受容体に結合することが可能である結合モチーフである場合、疾患または障害は、ソマトスタチン受容体の増大した、または異常な発現と関連付けられる疾患または障害であってもよい。たとえば、そのような疾患または障害は、SSTなどの、SST~SSTのうちの少なくとも1つを過剰発現する腫瘍であってもよい。たとえば、そのような腫瘍は、神経内分泌腫瘍であってもよい。
【0150】
たとえば、SiFA基が、18Fフッ化物および非放射性natLuを含む本発明の化合物、または、キレート化基が、キレート化された放射性カチオン、たとえば177Luカチオンを含むのに対し、SiFAが非放射性である本発明の化合物は、有利には、陽電子放出断層撮影法(PET)または単光子放出コンピューター断層撮影法(SPECT)それぞれを用いた核イメージングのために使用して、適用された化合物の分布を監視し、その後、定量的分布速度論を用いて個別の用量測定を算出することができる。
【0151】
医薬または診断用組成物は、1種または複数の医薬的に許容される担体、賦形剤、および/または希釈剤をさらに含んでもよい。好適な医薬担体、賦形剤、および/または希釈剤の例は、当技術分野で周知であり、リン酸緩衝生理食塩水、アミノ酸緩衝液(生理食塩水の有無は問わない)、注入用水、油/水エマルションなどのエマルション、各種の湿潤剤、無菌溶液などを含む。そのような担体を含む組成物は、周知の従来方法によって製剤化することができる。これらの組成物は、好適な用量で被験体に投与することができる。好適な組成物の投与は、異なる方法で、たとえば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所、皮内、鼻腔内または気管支内投与によって遂行されてもよい。前記投与が、静脈内注入および/または送達によって行われることが、特に好ましい。組成物は、標的部位に直接投与されてもよい。投与計画は、担当医および臨床学的因子によって決定されることになる。医療分野で周知であるように、任意の1人の患者のための投与量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与されることになる特定の化合物、用量測定、性別、投与時間および経路、健康全般、ならびに同時に投与される他の薬物を含む多くの因子に依存する。化合物は、たとえば、0,1ng~10μg/kg体重の間の量で、投与されてもよい。たとえば、診断用途において、本発明の化合物またはそれらの塩の典型的な投与量は、<100μg/患者、たとえば、0.1~30μg/患者の範囲であり、しかしながら、必要に応じて、より多いまたはより少ない投与量を想定することができる。放射線治療用途における本発明の化合物またはそれらの塩の典型的な投与量は、50~200μg/患者、好ましくは75~150μg/患者の範囲であり、しかしながら、必要に応じて、より多いまたはより少ない投与量を想定することができる。
【0152】
以下の項目は、本発明の態様を要約する。これらの項目は、説明の上述部分に密接に関係付けられること、およびこれらの項目において提供される情報は、説明の上述部分を補足し得、逆も同様であることが理解されるであろう。
【0153】
1.(a)式(I)
【0154】
【化23】
【0155】
(式中、
aは、0または1、好ましくは1であり、
mは、2または3、好ましくは2であり、
nは、2または3、好ましくは2であり、
、R、およびRから選択される1個の基は、エフェクター部分Rを含む基であり、R、R、およびRから選択される別の基は、ケイ素系フッ化物アクセプター(SiFA)部分Rを含む基であり、部分はケイ素原子およびフッ素原子を含み、フッ素原子が、共有結合によってケイ素原子に直接連結されており、18Fによる19Fの同位体交換によって18Fで標識され得るか、または18Fで標識され、
、R、およびRから選択される残りの基は、式(R-1)
【0156】
【化24】
【0157】
(式中、
は、-H、-OH、およびC1~C3アルキルから選択され、好ましくは-Hであり、破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)の基であり、
は、-H、-OH、およびC1~C3アルキルから選択され、好ましくは-Hである)の化合物、
(b)それの塩、ならびに
(c)式(I)の化合物またはその塩および放射性または非放射性カチオンから形成されたキレート化合物
から選択される化合物。
【0158】
2.SiFA部分Rが、式(S-1)
【0159】
【化25】
【0160】
(式中、
1SおよびR2Sは互いから独立して、直鎖または分岐C3~C10アルキル基であり、好ましくはR1SおよびR2Sは、イソプロピルおよびtert-ブチルから選択され、より好ましくはR1SおよびR2Sはtert-ブチルであり、
3Sは、1個または複数の芳香族および/または脂肪族部分を含み、任意選択で、OおよびSから選択される最大3個までのヘテロ原子を含む二価のC1~C20炭化水素基であり、好ましくはR3Sは、芳香族環を含み、1個または複数の脂肪族部分を含んでもよい二価のC6~C12炭化水素基であり、破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)
の基を含む、項目1に記載の化合物。
【0161】
3.SiFA部分Rが、式(S-2)
【0162】
【化26】
【0163】
(式中、
1SおよびR2Sは互いから独立して、直鎖または分岐C3~C10アルキル基であり、好ましくはR1SおよびR2Sは、イソプロピルおよびtert-ブチルから選択され、より好ましくはR1SおよびR2Sはtert-ブチルであり、Pheは、フェニレン基であり、yは0~6、好ましくは1の整数であり、破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)
の基を含む、項目1または2に記載の化合物。
【0164】
4.SiFA部分Rが、式(S-3)
【0165】
【化27】
【0166】
(式中、
rは1、2、または3、好ましくは1であり、sは、1~6の整数であり、好ましくは1であり、
Rは独立してC1~C6アルキルであり、好ましくはメチルであり、
1SおよびR2Sは互いから独立して、直鎖または分岐C3~C10アルキル基であり、好ましくはR1SおよびR2Sは、イソプロピルおよびtert-ブチルから選択され、より好ましくはR1SおよびR2Sはtert-ブチルであり、破線は、その基を化合物の残部に付着させる結合を示す)
の基である、項目1から3のいずれか1つに記載の化合物。
【0167】
5.SiFA部分Rが、式(S-4)
【0168】
【化28】
【0169】
(式中、Buはtert-ブチル基を示し、破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)
の基である、項目1から4のいずれか1つに記載の化合物。
【0170】
6.エフェクター部分Rが、受容体に結合することが可能なペプチド性結合モチーフである、項目1から5のいずれか1つに記載の化合物。
7.Rが、ソマトスタチン受容体に、好ましくはソマトスタチン受容体2(SST)に、結合することが可能なペプチド性結合モチーフである、項目6に記載の化合物。
【0171】
8.Rが、Tyr-オクトレオタート(TATE、H-D-Phe-シクロ(L-Cys-L-Tyr-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-L-Thr-OH)、Thr-オクトレオチド(ATE)、Phe-Tyr-オクトレオチド(TOC、H-D-Phe-シクロ(L-Cys-L-Tyr-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-L-Thr-オール)、NaI-オクトレオチド(NOC、H-D-Phe-シクロ(L-Cys-L-1-NaI-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-L-Thr-オール)、1-NaI,Thr-オクトレオチド(NOCATE)、BzThi-オクトレオチド(BOC)、BzThi,Thr-オクトレオチド(BOCATE)、JR11(H-L-Cpa-シクロ(D-Cys-L-Aph(Hor)-D-Aph(Cbm)-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-D-Tyr-NH)、BASS(H-L-Phe(4-NO)-シクロ(D-Cys-L-Tyr-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Cys)-D-Tyr-NH)、およびKE121(シクロ(D-Dab-L-Arg-L-Phe-L-Phe-D-Trp-L-Lys-L-Thr-L-Phe))から選択される受容体アゴニストまたは受容体アンタゴニストに由来し得る部分である、項目7に記載の化合物。
【0172】
9.Rが、式(B-1)
【0173】
【化29】
【0174】
(式中、破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)
の基である、項目8の化合物。
10.式(I)の化合物が、式(IB)
【0175】
【化30】
【0176】
(式中、R、R、R、およびRは、先行する項目のいずれか1つにおいて定義される)
の化合物である、項目1から9のいずれか1つに記載の化合物。
【0177】
11.エフェクター部分Rを含む基が、式(R-2a)または(R-2b)
【0178】
【化31】
【0179】
(式中、
は、先行する項目のいずれか1つにおいて定義されるとおりであり、
は、-H、-OH、およびC1~C3アルキルから選択され、好ましくは-Hであり、
は-COOHであり、
破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)
の、好ましくは式(R-2a)の基である、項目1から10のいずれか1つに記載の化合物。
【0180】
12.SiFA部分Rを含む基が、式(R-3a)、(R-3b)、(R-3c)、または(R-3d)
【0181】
【化32】
【0182】
(式中、
は、先行する項目のいずれか1つにおいて定義されるとおりであり、
およびRは、-H、-OH、およびC1~C3アルキルから選択され、好ましくは-Hであり、
10およびR11は-COOHであり、
は二価の連結基であり、
は三価の連結基であり、
は親水性修飾基であり、
破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)
の、好ましくは式(R-3a)または(R-3b)の基である、項目1から11のいずれか1つに記載の化合物。
【0183】
13.式(I)の化合物が、式(IC)
【0184】
【化33】
【0185】
(式中、
i)R1Aは、項目11で定義されるような式(R-2a)の基であり、R3Aは、項目12で定義されるような式(R-3a)、(R-3b)、(R-3c)、および(R-3d)の基から選択される、または
ii)R1Aは、項目11で定義されるような式(R-2a)および(R-2b)の基から選択され、R3Aは、項目12で定義されるような式(R-3a)および(R-3b)の基から選択される)
の化合物である、項目11または12のいずれか1つに記載の化合物。
【0186】
14.式(I)の化合物が、式(ID)または(IE)
【0187】
【化34】
【0188】
(式中、
およびRは、先行する項目のいずれか1つにおいて定義されるとおりであり、
は二価の連結基であり、
は三価の連結基であり、
は親水性修飾基である)
の化合物である、項目1から13のいずれか1つに記載の化合物。
【0189】
15.二価の連結基Lが、その2個の末端のそれぞれに、隣接する基への付着のための-NH-基を含む、項目12から14のいずれか1つに記載の化合物。
16.二価の連結基Lが、(L-1)基
【0190】
【化35】
【0191】
(式中、eは1~6、好ましくは1~4の整数であり、破線は、基を隣接する基に付着させる結合を記し、好ましくは、アステリスクによって追加で示される結合はそれぞれ、RまたはLに付着される)
を含むか、またはそれからなる、項目12から15のいずれか1つに記載の化合物。
【0192】
17.二価の連結基Lが、炭化水素単位、多価アルコール単位、多価カルボン酸単位、および、自身の-NHおよび-COOH官能基に加えてさらなる親水性官能基を含む親水性アミノ酸に由来するアミノ酸単位から選択される1個または複数の親水性単位を含む、項目12から16のいずれか1つに記載の化合物。
【0193】
18.二価の連結基Lが、式(L-2)
【0194】
【化36】
【0195】
(式中、
eは1~6の整数、好ましくは1~4であり、
fは0~5の整数、好ましくは0または1であり、
H1は、fが1より大きい場合、各出現に関して独立して、自身の-NHおよび-COOH官能基に加えてさらなる親水性官能基を含む親水性アミノ酸に由来するアミノ酸単位であり、
破線は、基を隣接する基に付着させる結合を記し、アステリスクによって追加で示される結合はそれぞれ、RまたはRに付着される)
の基である、項目12から17のいずれか1つに記載の化合物。
【0196】
19.親水性アミノ酸単位が、Lにおいてこれらの単位のうちの1個より多くが存在する場合、各出現に関して独立して、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)単位、2,4-ジアミノブタン酸(Dab)単位、オルニチン(Orn)単位、リジン(Lys)単位、アルギニン(Arg)単位、グルタミン酸(Glu)単位、アスパラギン酸(Asp)単位、アスパラギン(Asn)単位、グルタミン(Gln)単位、セリン(Ser)単位、シトルリン(Cit)単位、およびホスホノメチルアラニン(Pma)単位から選択される、項目17または18に記載の化合物。
【0197】
20.Lが三価のアミノ酸単位である、項目12から19のいずれか1つに記載の化合物。
21.Lが、以下の(i)、および(ii)
(i)カルボン酸基およびアミノ基と一緒にカルボン酸基およびアミノ基から選択されるさらなる官能基を含むアミノ酸に由来し得る三価のアミノ酸単位、
(ii)、-N(R) -基(式中、Rは独立して、C1~C6アルキル、好ましくはメチルである)を含み、自身の-NH基および-COOH基に加えて第3の官能基として第三級アミノ基を含む三官能性アミノ酸に由来し得る、三価のアミノ酸単位
から選択される三価のアミノ酸単位であり、(i)が好ましい、項目20に記載の化合物。
【0198】
22.カルボン酸基およびアミノ基と一緒にカルボン酸基およびアミノ基から選択されるさらなる官能基を含むアミノ酸に由来し得る三価のアミノ酸単位が、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)単位、2,4-ジアミノブタン酸(Dab)単位、オルニチン(Orn)単位、およびリジン(Lys)単位、より好ましくはDap単位から選択されるアミノ酸単位である、項目21に記載の化合物。
【0199】
23.-N(R) -基を含む三価のアミノ酸単位が、N-ジアルキル化2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、N-ジアルキル化2,4-ジアミノブタン酸(Dab)、N-ジアルキル化オルニチン(Orn)、およびN-ジアルキル化リジン(Lys)に由来する、項目21に記載の化合物。
【0200】
24.親水性修飾基-Rが、炭化水素単位、多価アルコール単位、多価カルボン酸単位、および、自身の-NHおよび-COOH官能基に加えてさらなる親水性官能基を含む親水性アミノ酸に由来するアミノ酸単位から選択される1個または複数の親水性単位を含む、項目12から23のいずれか1つに記載の化合物。
【0201】
25.親水性修飾基-Rが、式(H-1)
【0202】
【化37】
【0203】
(式中、
gは、0~5の整数、好ましくは1~3であり、
H2は、gが1より大きい場合、各出現に関して独立して、自身の-NHおよび-COOH官能基に加えてさらなる親水性官能基を含む親水性アミノ酸に由来するアミノ酸単位であり、
H1は、アミノ酸単位AH2に付着された末端水素原子、アセチル基、または、炭水化物基、多価アルコール単位、および多価カルボン酸単位から選択される親水性単位から選択され、
破線は、基を化合物の残部に付着させる結合を示す)
の基である、項目12から24のいずれか1つに記載の化合物。
【0204】
26.親水性アミノ酸単位AH2が、gが1より大きい場合、各出現に関して独立して、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)単位、2,4-ジアミノブタン酸(Dab)単位、オルニチン(Orn)単位、リジン(Lys)単位、アルギニン(Arg)単位、グルタミン酸(Glu)単位、アスパラギン酸(Asp)単位、アスパラギン(Asn)単位、グルタミン(Gln)単位、セリン(Ser)単位、シトルリン(Cit)単位、およびホスホノメチルアラニン(Pma)単位から選択される、項目25に記載の化合物。
【0205】
27.キレート化合物の放射性または非放射性カチオンは、43Sc、44Sc、47Sc、51Cr、52mMn、55Co、57Co、58Co、52Fe、56Ni、57Ni、62Cu、64Cu、67Cu、66Ga、68Ga、67Ga、89Zr、90Y、86Y、94mTc、99mTc、97Ru、105Rh、109Pd、111Ag、110mIn、111In、113mIn、114mIn、117mSn、121Sn、127Te、142Pr、143Pr、147Nd、149Gd、149Pm、151Pm、149Tb、152Tb、155Tb、153Sm、156Eu、157Gd、155Tb、161Tb、164Tb、161Ho、166Ho、157Dy、165Dy、166Dy、160Er、165Er、169Er、171Er、166Yb、169Yb、175Yb、167Tm、172Tm、177Lu、186Re、186gRe、188Re、188W、191Pt、195mPt、194Ir、197Hg、198Au、199Au、212Pb、203Pb、211At、212Bi、213Bi、223Ra、224Ra、225Ac、226Th、および227Thのカチオンから、ならびにその非放射性同位体のカチオンから選択されるか、または18F-[AlF]2+などの18Fもしくは19Fを含むカチオン性分子であり、より好ましくは、68Ga、90Y、または177Luのカチオンから、およびGa、YまたはLuの非放射性同位体のカチオンから選択される、項目1から26のいずれか1つに記載の化合物。
【0206】
28.キレート化された放射性または非放射性ガリウムカチオンを含むキレート化合物である、項目1から27のいずれか1つに記載の化合物。
29.キレート化された放射性カチオンを含むキレート化合物であり、SiFA基が18Fで標識されていない、項目1から28のいずれか1つに記載の化合物。
【0207】
30.キレート化された放射性カチオンが68Gaのカチオンである、項目29に記載の化合物。
31.キレート化された非放射性カチオンを含むキレート化合物であるか、またはキレート化されたカチオンを含まず、SiFA基が18Fで標識された、項目1から28のいずれか1つに記載の化合物。
【0208】
32.項目1から31のいずれか1つに記載の1種または複数の化合物を含むか、またはそれからなる医薬組成物。
33.薬剤としての使用のための項目1から31のいずれか1つに記載の化合物。
【0209】
34.治療によるヒトまたは動物の体の処置の方法における使用のための項目1から31のいずれか1つに記載の化合物または項目32に記載の医薬組成物であって、治療が放射性核種治療である、化合物または医薬組成物。
【0210】
35.がんの処置における使用のための項目1から31のいずれか1つに記載の化合物または項目32に従う医薬組成物。
36.がんが、SST~SSTのうちの少なくとも1つを過剰発現する腫瘍である、項目35に記載の使用のための化合物または医薬組成物。
【0211】
37.1種または複数の項目1から31のいずれか1つに記載の化合物を含むか、またはそれからなる診断用組成物。
38.インビボで疾患または障害を診断する方法における使用のための項目1から31のいずれか1つに記載の化合物または項目36の診断用組成物。
【0212】
39.疾患または障害ががんである、項目37の使用のための化合物または診断用組成物。
40.がんが、SST~SSTのうちの少なくとも1つを過剰発現する腫瘍である、項目38に記載の使用のための化合物または診断用組成物。
【0213】
41.診断する方法が核診断イメージングを包含し、核診断イメージングが好ましくは、陽電子放出断層撮影法または単光子放出コンピューター断層撮影法イメージングである、項目37から39のいずれか1つに記載の使用のための化合物または塩または診断用組成物。
【0214】
本明細書において、特許出願および製造者の取扱説明書を含む複数の文献が引用される。これらの文献の本開示は、本発明の特許性に関連するとは考えられないが、その全体が参照により本明細書において引用される。より具体的には、すべての参照される文献は、各個別の文献が参照により引用されることを具体的にかつ個別に示された場合と同じ程度に、参照により引用される。
【0215】
参考文献
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【0216】
【表B-1】
【0217】
【表B-2】
【発明を実施するための形態】
【0218】
以下の実施例は、本発明をさらに例示することを目的とする。
【実施例
【0219】
I.材料および方法
1.有機合成:SiFA-Brの合成
【0220】
【化38】
【0221】
((4-ブロモベンジル)オキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン(B2)
【0222】
【化39】
【0223】
丸底フラスコに、4.68gの4-ブロモベンジルアルコール(B1、25.0mmol、1.00当量)を70mLの乾燥DMFに溶解し、撹拌する。2.04gのイミダゾール(30.0mmol、1.20当量)、および4.52gのTBDMS塩化物(30.0mmol、1.20当量)を撹拌下加える。混合物を放置して室温で20hの間、反応させる。次いで、反応を250mLの氷温のHOに注ぎ、有機相をEtO(5×50mL)で抽出した。合わせた有機相を、NaHCO(100mL)、ブライン(100mL)の飽和水溶液で洗浄し、NaSO上で乾燥させる。減圧下、溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(5%の石油エーテル中のEtOAc)によって粗生成物を精製する。減圧下、溶媒を除去した後、7.24gの生成物B2(24.1mmol、96%)を無色の油状物として得る。
TLC(SiO、5%のEtOAc/石油エーテル):R=0.97[UV]
1H-NMR (300 MHz, CDCl3): δ[ppm] = 7.45 (d, 3J = 8 Hz, 2 H, HAr), 7.20 (d, 3J = 8 Hz, 2 H, HAr), 4.68 (s, 2 H, Ar-CH2), 0.94 (s, 9 H, C-CH3), 0.10 (s, 6 H, Si-CH3)。
13C-NMR (75 MHz, CDCl3): δ [ppm] = 140.3 (s, Ci), 130.1 (s, Cm), 127.5 (s, Co) 120.4 (s, Cp), 64.2, (s, CH2), 25.8 (s, C-CH3), 18.2, (s, C-CH3) 5.4 (s, Si-CH3)。
【0224】
ジ-tert-ブチル(4-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)フェニル)フルオロシラン(B3)
【0225】
【化40】
【0226】
アルゴン雰囲気において、7.24gのB2(24.1mmol、1.00当量)を67mLの乾燥THFに溶解し、-78℃に冷却する(ドライアイスおよびアセトン)。1.5hの間にわたり、32.6mLの、ペンタン中のtBuLiの1.7M溶液(55.4mmol、2.30当量)をTHF中のB2の溶液にゆっくりと滴下する。混合物を、追加の30minの間-78℃で、撹拌するために放置する。別の丸底フラスコ中で、5.00gのジ-tert-ブチルジフルオロシラン(27.7mmol、1.10当量)を44mLの乾燥THFに溶解し、同様に-78℃に冷却する。2hの間にわたって、一定の撹拌下、THF中のB2とtBuLiとの混合物を、ジ-tert-ブチルジフルオロシランの溶液にゆっくりと滴下する。反応を室温に温め、さらに15hの間、撹拌下、放置する。120mLのブラインを加えることにより反応を終了し、有機相を分離する。水相をEtO(3×100mL)で抽出し、合わせた有機相をMgSO上で乾燥させ、減圧下、溶媒を除去する。生成物B3を、帯黄色の油状物(9.14g、23.9mmol、99%)として得る。
13C-NMR (75 MHz, CDCl3): δ [ppm] = 143.0 (s, Ci), 134.1 (d, 3J (13C, 19F) = 12 Hz, Cm), 132.0 (d, 2J (13C, 19F) = 56 Hz, Cp), 125.3 (s, Co), 65.0 (s, CH2), 27.5 (s, CH3), 26.8 (s, C-CH3), 26.1 (s, CH3), 20.4 (d, 2J (13C, 19F) = 8 Hz, C-CH3), 5.11 (s, Si-CH3)。
【0227】
(4-(ジ-tert-ブチルフルオロシリル)フェニル)メタノール(B4)
【0228】
【化41】
【0229】
化合物B3(9.14g、23.9mmol、1.00当量)を50mLのMeOHに溶解する。溶液を、3.00mLの濃縮HCl(97.9mmol、4.10当量)を加えた後、反応のために、室温で18hの間、放置する。減圧下、混合物を濃縮し、析出物を50mLのEtOに溶解し、50mLの、NaHCOの飽和水溶液で有機相を洗浄する。水相をEtO(3×50mL)で抽出し、合わせた有機相を合わせ、MgSO上で乾燥させる。減圧下、溶媒を除去し、生成物B4(5.90g、22.0mmol、92%)を帯黄色の油状物として得る。
1H-NMR (CDCl3): δ [ppm] = 7.61 (d, 2 H, 3J = 8 Hz, HAr), 7.38 (d, 2 H, 3J = 8 Hz, HAr), 4.72 (s, 2 H, Ar-CH2), 1.06 (s, 18 H, C-CH3).
13C-NMR (CDCl3): δ [ppm] = 142.3 (s, Ci), 134.4 (d, 3J (13C, 19F) = 12 Hz, Cm), 133.1 (d, 2J (13C, 19F) = 56 Hz, Cp), 125.6 (s, Co), 65.4 (s, CH2), 27.4 (s, CH3), 20.4 (d, 2J (13C, 19F) = 8 Hz, C-CH3).
HPLC(15minで50~100%のB)t=10.7min。
【0230】
(4-(ブロモメチル)フェニル)ジ-tert-ブチルフルオロシラン(SiFA-Br)
【0231】
【化42】
【0232】
0℃に冷却したB4の溶液(3.08g、11.5mmol、1.0当量)、および100mLのDCM中のテトラブロモメタン(4.18g、12.6mmol、1.1当量)に、トリフェニルホスフィン(3.30g、12.6mmol、1.1当量)を、30minの間にわたって少量に分けて加えた。溶液を室温で2hの間、撹拌した。真空で溶媒を除去し、残留物を低温のn-ヘキサン(3×50mL)で洗浄した。ろ過によって白色の析出物を除去し、真空で溶液を濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、5%の、石油中のEtOAc、v/v)によって精製を行った。化合物SiFA-Brを無色の油状物(3.06g、9.20mmol、80%)として分離した。
RP-HPLC(15minで50~100%のB):t=9.2min、K’=3.73。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ [ppm] = 7.58 (2 H, d, C6H4), 7.40 (2 H, d, C6H4), 4.49 (2 H, s, CH2OSi), 1.05 (18 H, s, Si(tBu)2)。
【0233】
2.一般方法
2.1 溶媒および試薬
溶媒
さらなる精製をせずにすべての溶媒を使用した。それらは、Sigma-Aldrich Chemie GmbH(Munich、ドイツ)またはVWR International GmbH(Bruchsal、ドイツ)から購入する。使用の前に、Thermo Fischer Scientific Inc.(Waltham、USA)からのBarnstead MicroPureシステムによって、HOを精製する。品質管理またはnatGaとの錯体化のための生成物の最終精製を、Merck Millipore(Darmstadt、ドイツ)からのトレース純水中で行う。
【0234】
ペプチド合成のための試薬
AAは、Iris Biotech GmbH(Marktredwitz、ドイツ)、Sigma-Aldrich Chemie GmbH(Munich、ドイツ)、またはMerck Millipore(Darmstadt、ドイツ)から購入する。カップリング試薬および化学物質は、Sigma-Aldrich Chemie GmbH(Steinheim、ドイツ)、Molekula GmbH(Garching、ドイツ)、およびMacrocyclics Inc.(Dallas、USA)から購入する。
【0235】
一般合成のための試薬
一般合成のための化学物質は、Sigma-Aldrich Chemie GmbH(Steinheim、ドイツ)、およびMerck KGaA(Darmstadt、ドイツ)から購入する。別段に言及されない限り、試薬はさらなる精製をせずに使用される。
【0236】
キレート化剤
キレート化剤DOTA(tBu)は、CheMatech(Dijon、フランス)から購入する。
【0237】
生化学物質
【0238】
【表1】
【0239】
2.2 機器およびソフトウェア
高速液体クロマトグラフィー
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を、15minでのHO(0.1%のTFAを有する)中のMeCN(2%のHOおよび0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA);v/vを有する)、およびそれに続く完了まで(標準:5min)のHO中の95%のMeCN(v/v)のイソクラティック溶媒混合物の直線勾配で、分析的逆相(RP)HPLCを使用して行う。検出は、λ=220nm(ペプチド結合)またはλ=254nm(芳香族系)で行う。株式会社島津製作所(京都)からのLabSolution Softwareを使用してRP-HPLCクロマトグラムを分析する。分析的調査のために、2つの異なるシステム:
1)2つのLC-20AD勾配ポンプ、CBM-20A通信モジュール、CTO-20Aカラムオーブン、SPD-20A紫外線/可視光(UV/VIS)検出器、および1ml/minの流量を有するMultoKrom(登録商標)100-5 C18カラム(125×4.6mm、5μm粒径、CS Chromatographie GmbH)で構成される、株式会社島津製作所(京都)、
2)2つのLC-20AD勾配ポンプ、CBM-20A通信モジュール、工学博士Herbert Knauer GmbH社(Berlin、ドイツ)からのSmartline UV検出器2500、および1ml/minの流量を有するMultoKrom(登録商標)100-5 C18カラム(125×4.6mm、5μm粒径、CS Chromatographie GmbH)で構成される、株式会社島津製作所(京都)
を使用する。
【0240】
最終生成物の精製を、15または20minでのHO(0.1%のTFA;v/vを有する)中のMeCN(5%のHOおよび0.1%のTFA;v/vを有する)、および、それに続く完了まで(標準:5min)のHO中の95%のMeCN(v/v)のイソクラティック溶媒混合物の直線勾配で、分取RP-HPLCを使用して行う。検出は、λ=220nm(ペプチド結合)またはλ=254nm(芳香族系)で行う。株式会社島津製作所(京都)からのLabSolution Softwareを使用してRP-HPLCクロマトグラムを分析する。準備の精製のために、3つの分離システム
1)2つのLC-20AP勾配ポンプ、DGU-20A脱気ユニット、CBM-20A通信モジュール、CTO-20Aカラムオーブン、SPD-20A UV/VIS検出器、および8ml/minの流量を有するMultospher100 C18カラム(5μm、250×20mm、CS Chromatography GmbH)で構成される、株式会社島津製作所(京都)、
2)2つのLC-20AT勾配ポンプ、DGU-20A脱気ユニット、CBM-20A通信モジュール、SPD-20A UV/VIS検出器、および5ml/minの流量を有するMultospher100 C18カラム(5μm、250×10mm、CS Chromatographie GmbH)で構成される、株式会社島津製作所(京都)、
3)2つのLC-20AP勾配ポンプ、CBM-20A通信モジュール、SPD-20A UV/VIS検出器、SIL-10APオートサンプラ、FRC-10Aフラクションコレクタ、および8ml/minの流量を有するMultospher100 C18カラム(5μm、250×20mm、CS Chromatographie GmbH)で構成される、株式会社島津製作所(京都)
が使用される。
【0241】
放射性物質の調査は、15minでのHO(0.1%のTFA;v/vを有する)中のMeCN(2%のHOおよび0.1%のTFA;v/vを有する)、続いて完了まで(標準:5min)のHO中の95%のMeCN(v/v)のイソクラティック溶媒混合物の直線勾配で、2つの異なる分析的放射性RP-HPLCシステムを使用して行う。検出は、λ=220nm(ペプチド結合)またはλ=254nm(芳香族系)で、または放射線検出器を使用して行う。2つのシステムは、
1)2つのLC-20AD勾配ポンプ、DGU-20A脱気ユニット、SIL-20Aオートサンプラ、CTO-10ASカラムオーブン、FRC-10Aフラクションコレクタ、SPD-20A UV/VIS検出器、Berthold Technologies GmbH社(Bad Wilbad、ドイツ)からのHERM LB500(NaIシンチレーション結晶)放射線検出器、CBM-20A通信モジュール、およびMultospher(登録商標)100 RP18カラム(5μm、125×4.6mm、CS Chromatographie GmbH)で構成される、株式会社島津製作所(京都)、
2)2つのLC-20AD勾配ポンプ、SPD-20A UV/VIS検出器、Berthold Technologies GmbH社(Bad Wilbad、ドイツ)からのHERM LB500(NaIシンチレーション結晶)放射線検出器、CBM-20A通信モジュール、およびMultoKrom(登録商標)100-5 C18カラム(125×4.6mm、5μm粒径、CS Chromatographie GmbH)で構成される、株式会社島津製作所(京都)
で構成される。
【0242】
容量因子(K’)は、以下の、それぞれのカラムの実験的に決定される保持時間(t)、および実験的に決定されるデッドタイム(t)を用いる、
【0243】
【数1】
【0244】
のとおり算出される。
HSA結合の決定
百分率でのHSA結合の決定のために、Chiral Technologies Europa SAS(Illkirchen-Graffenstaden、フランス)からの0.5ml/minの流量を有するキラルHSAカラム(5μm、50×3mm)との組合せで島津製作所の分析的クロマトグラフィーシステム1を使用する。溶媒を50mMのNHOAc水溶液(pH=6.9)、およびiPrOHと交換する。勾配:0~3min:iPrOH中の0~100%のNHOAc;次いで定組成で、iPrOH中の80%のNHOAc。
【0245】
エレクトロスプレーイオン化-質量分析
エレクトロスプレーイオン化(ESI)を有するVarian500-MS IT質量分析計、およびAgilent Technologies(Santa Clara、USA)からのイオントラップ検出器を使用して、質量分析(MS)を行う。
【0246】
放射性RP薄層クロマトグラフィー
Merck Millipore(Darmstadt、ドイツ)からのシリカゲル60RP-18F254s TLC細片(1×10cm)上で、放射性RP薄層クロマトグラフィー(TLC)を行い、LabLogic Systems Ltd(Sheffield、UK)からのScan-RAM Radio TLC検出器、およびLauraソフトウェアを使用して分析する。
【0247】
γカウンター
放射性試料を定量化するために、PerkinElmer Inc.社(Waltham、USA)からのモデル2480Wizardγカウンターを使用する。
【0248】
線量校正器
放射性試料の活性を推定するために、Mirion Technologies(Florham Park、USA)からのCRC(登録商標)-55tW線量校正器/ウェルカウンターを使用する。
【0249】
インキュベーター
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞およびAR42J細胞の培養およびインキュベーションは、Thermo Fischer Scientific Inc.(Waltham、USA)からのHERAcell 150i-インキュベーターにおいて、5%COを含有する雰囲気中、37℃で行う。
【0250】
凍結乾燥機
Edwards Limited(Burgess Hill、UK)からのEdwards nXDS10i真空ポンプに連結されたChrist社(Osterode am Harz、ドイツ)からのAlpha1-2凍結乾燥機で、中間および最終生成物の凍結乾燥を行う。
【0251】
1.3 放射性核種
18
放射性[18F]Fは、Rechts der Isar診療所(Munich、ドイツ)から購入し、2.5ml水溶液(約4-10GBq)で配達された。
【0252】
125
HARTMANN ANALYTIC GmbH社(Braunschweig、ドイツ)からの、40mMのNaOH(74TBq/mmol)中の[125I]NaI溶液を用いて、125Iでの放射性ヨウ素化を行った。
【0253】
3 一般合成手順(GSP)
GSP1 2-CTC樹脂の樹脂充填
2-クロロトリチルクロリド樹脂(2-CTC;最大占有率:1.6mmol/g)(1当量(eq.)、1g)を、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、2.25当量)と、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF、総体積:約15ml)中のFmoc保護されたAAとの溶液に加え、3hの間、室温(RT)で撹拌する。MeOH(4ml)を溶液に加え、RTで15minの間、撹拌する。百分率が増大する(25%、50%、75%、100%)DMF中のMeOHを有する溶液、およびジクロロメタン(DCM、5×15ml)中で樹脂を洗浄する。デシケーターにおいて一晩、樹脂を乾燥させる。
樹脂占有率は、以下の方程式:
【0254】
【数2】
【0255】
に従って決定され、
【0256】
【数3】
【0257】
を用いる。
GSP2 Fmoc脱保護
10mlのピペリジン(DMF中で20%;v/v)を加えることによって、Fmoc保護されたアミンのN末端脱保護を行う。溶液を2回(1×15min、1×5min)加え、それに続いて樹脂を洗浄する(6×5mlのDMF、4×5mlのDCM)。次いで、樹脂を、以下の反応において使用するか、またはデシケーターにおいて一晩乾燥させる。
【0258】
SiFAlin含有分子における脱離反応を阻止するために、Fmoc保護されたアミンの最終の脱保護は、先に説明したピペリジン(DMF中で20%;v/v)を使用する方法を用いて、5min未満の間で行う。
【0259】
GSP3 Dde脱保護
Dde基の脱保護のために、N-メチル-2-ピロリジン(NMP;5ml)およびDCM(1ml)中のヒドロキシルアミン塩酸塩(1.25g)およびイミダゾール(0.92g)の溶液を調製する。樹脂を、DMF中で膨潤させ、混合物中で3hの間、振盪させた。樹脂を、NMP(4×5ml)、DMF(4×5ml)、DCM(4×5ml)で洗浄し、デシケーターにおいて一晩乾燥させた。
【0260】
GSP4 標準的な固相ペプチドのカップリング
充填した樹脂をDMF中で30minの間、膨潤させる。DMF中の、Fmoc保護されたAA(1.5当量)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸(TBTU;1.5当量)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt、1.5当量)、およびDIPEA(4.5当量)の溶液を前活性化し(10min)、樹脂に加える。2hの間、溶液を振盪させ、DMF(6×5ml)およびDCM(4×5ml)で樹脂を洗浄する。樹脂を含有するシリンジをデシケーターにおいて一晩乾燥させる。
【0261】
GSP5 Fmoc-L-Cys(Acm)-OH AAのカップリング
充填した樹脂をDMF中で30minの間、膨潤させる。DMF中の、Fmoc-L-Cys(Acm)-OH(2.0当量)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC、4.0当量)、シアノヒドロキシイミノ酢酸エチル(Oxyma)(2.0当量)、およびDIPEA(0.8当量)の溶液を前活性化し(2min)、樹脂に加える。2hの間、溶液を振盪させ、DMF(6×5ml)およびDCM(4×5ml)で樹脂を洗浄する。樹脂を含有するシリンジをデシケーターにおいて一晩乾燥させる。
【0262】
GSP6 Dap AAのカップリング
充填した樹脂をDMF中で30minの間、膨潤させる。DMF中の、Fmoc保護されたDap AA(1.5当量)、TBTU(1.5当量)、HOAt(1.5当量)、およびsym-コリジン(5.0当量)の溶液を前活性化し(2min)、樹脂に加える。2hの間、溶液を振盪させ、DMF(6×5ml)およびDCM(4×5ml)で樹脂を洗浄する。樹脂を含有するシリンジをデシケーターにおいて一晩乾燥させる。
【0263】
GSP7 DOTA(tBu)のカップリング
トランス-(ジ-tert-ブチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA(tBu))のカップリングのために、DMF中のDOTA(tBu)(3.0当量)、HOAt(3.0当量)、およびTBTU(3.0当量)の、sym-コリジン(11.0当量)を加えた溶液を調製し、10minの間、前活性化する。Fmoc脱保護し膨潤させた樹脂に溶液を加え、一晩撹拌する。DMF(6×5ml)およびDCM(4×5ml)で樹脂を洗浄する。樹脂を含有するシリンジをデシケーターにおいて乾燥させる。
【0264】
GSP8 SiFA-Brのカップリング
(4-(ブロモメチル)フェニル)ジ-tert-ブチルフルオロシラン(SiFA-Br)とのカップリングのために、DCM中で樹脂を膨潤させた。DCM中の溶液(2ml)に、DIPEA(6当量)とSiFA-Br(3当量)との溶液を加え、一晩撹拌した。樹脂を、DCM(5×5ml)で洗浄し、デシケーターにおいて乾燥させる。
【0265】
GSP9 トリフルオロ酢酸タリウム(III)を用いた環化
樹脂をDMF中で30minの間、膨潤させる。DMF中のトリフルオロ酢酸タリウム(III)(TTFA)(2当量)とグリセロール(4当量)(8ml+2ml)との溶液を調製し、膨潤させた樹脂に加える。1hの間、懸濁液を撹拌する。次いで、溶液を新鮮な溶液と交換し、1hの間、撹拌する。DMF(10×8ml)およびDCM(5×8ml)で樹脂を洗浄し、デシケーターにおいて一晩乾燥させる。
【0266】
GSP10 酸に不安定な保護基の保持下での樹脂切断
乾燥させた樹脂に、10mlのヘキサフルオロイソプロパノール(DCM中のHFIP;20%;v/v)の溶液を加え、45minの間、振盪させる。手順を繰り返し、DCM(3×5ml)で樹脂を洗浄する。合わせた溶液を丸底フラスコに収集し、減圧下、揮発性成分を蒸発させる。
【0267】
GSP11 酸に不安定な保護基の切断下での樹脂切断
TFA(87.5%)、トリイソプロピルシラン(TIPS;2.5%)、およびHO(10%)の溶液を樹脂に加える。インキュベーション(2×45min)後、TFA(5ml)で樹脂を洗浄し、丸底フラスコにすべてのフラクションを収集する。N流中で揮発性成分を蒸発させ、粗生成物を得る。
【0268】
GSP12 natGaとの錯体化
natGaのキレート化剤への組み込みのために、2mMのジメチルスルホキシド(DMSO)中の化合物の溶液を、Ga(NOの溶液(HO中で20mM、1.5当量)と合わせ、DMSOを加えることによって、1mMに溶解する。混合物を、1hの間、70℃でインキュベートし、生成物を得る。
【0269】
GSP13 凍結乾燥
乾燥させた生成物を少量のtBuOHおよびHOに溶解し、-80℃で凍結させる。減圧下、揮発性成分を完全に除去する(凍結乾燥させる)。
【0270】
GSP14 natLuとの錯体化
natLuのキレート化剤への組み込みのために、2mMのジメチルスルホキシド(DMSO)中の化合物の溶液を、LuClの溶液(HO中で20mM、1.5当量)と合わせ、DMSOを加えることによって、1mMに溶解する。混合物を、1hの間、90℃でインキュベートし、生成物を得る。
【0271】
4.Fmoc-TATE(PG)-2-CTの合成
【0272】
【化43】
【0273】
樹脂に結合したFmoc-TATE(PG)-2-CTの合成を、Niedermoserら[23]による手順に従って行う。GSP1に従って、2-CTC樹脂にFmoc-L-Thr(tBu)-OHを充填する(樹脂占有率:0.5~0.7mmol/g)。Fmoc脱保護(GSP2)後、Fmoc-L-Cys(Acm)-OH(GSP5)、続いて、Fmoc-L-Thr(tBu)-OH(GSP2、GSP4)、Fmoc-L-Lys(Boc)-OH(GSP2、GSP4)、Fmoc-D-Trp(Boc)-OH(GSP2、GSP4)、Fmoc-L-Tyr(tBu)-OH(GSP2、GSP4)、Fmoc-L-Cys(Acm)-OH(GSP2、GSP5)、およびFmoc-D-Phe-OH(GSP2、GSP4)をカップリングする。GSP9に従って、Acm保護基の同時脱保護を伴う、得られたペプチド鎖の酸化的環化を行い、樹脂に結合したFmoc-TATE(PG)-2-CTを得る。TFAを用いた酸性条件下、試験切断を行う(10min、RT)。分析的RP-HPLCおよびESI-MSを使用して、適切な生成物の形成を確認する。
【0274】
Fmoc-D-Phe-シクロ[L-Cys-L-Tyr(tBu)-D-Trp(Boc)-L-Lys(Boc)-L-Thr(tBu)-L-Cys]-L-Thr-OH
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~90%のMeCN/HO、v/v、15min):t=10.8min;K‘=4.1。
MS(ESIポジティブ):C64741014に関して算出されたm/z:1270.48、実際:1315.1[M+CO+H]
【0275】
5.リガンドの合成
5.1 01の合成
【0276】
【化44】
【0277】
01は、4章で説明した2-CT-TATE(PG)-Fmoc前駆体から出発して合成する。前駆体を、Fmoc脱保護し(GSP2)、DOTA(tBu)にカップリングする(GSP7)。DMF(2.5ml)中の、TBTU(1.5当量)、HOAt(1.5当量)、およびDIPEA(4.5当量)の溶液を樹脂に加え、10minの間、前活性化する。DMF(2.5ml)中のFmoc-D-Lys-OtBu(1.5当量)の溶液を、前活性化した樹脂に加え、2hの間、撹拌する。DMF(5×10ml)で樹脂を洗浄する。ジメチルグリシン塩酸塩(GSP2、GSP4)、続いてSiFA-Br(GSP8)をカップリングする。生成物を、酸に不安定な基すべての同時脱保護とともに樹脂から切断し(GSP11)、分取RP-HPLCによって精製し、凍結乾燥する(GSP13)。分析的RP-HPLCおよびESI-MSを使用して、QCによって、適切な生成物の形成を確認する。
【0278】
01 (N-SiFAlin-N,N-Me-Gly-D-Lys(トランス-DOTA-TATE)-OH):
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=12.7min;K‘=5.0。
【0279】
RP-HPLC(分取):(0.1%のTFAを用いた33~50%のMeCN/HO、v/v、20min):t=18.5min;K‘=5.5。
MS(ESIポジティブ):C90133FN1721Siに関して算出されたm/z:1898.91、実際:634.0[M+3H]3+、950.3[M+2H]2+、1899.8[M+H]
【0280】
5.2 02の合成
【0281】
【化45】
【0282】
リガンド02は、4章で説明したFmoc-TATE(PG)-2-CT前駆体から出発して合成する。前駆体を、Fmoc脱保護し(GSP2)、DOTA(tBu)にカップリングする(GSP7)。DMF(2.5ml)中の、TBTU(1.5当量)、HOAt(1.5当量)、およびDIPEA(4.5当量)の溶液を樹脂に加え、10minの間、前活性化する。DMF(2.5ml)中のFmoc-D-Dap-OtBu(1.5当量)の溶液を、前活性化した樹脂に加え、2hの間、撹拌する。DMF(5×10ml)で樹脂を洗浄する。ジメチルグリシン塩酸塩(GSP2、GSP4)、続いてSiFA-Br(GSP8)をカップリングする。生成物を、酸に不安定な基すべての同時脱保護とともに樹脂から切断し(GSP11)、分取RP-HPLCによって精製し、凍結乾燥する(GSP13)。分析的RP-HPLCおよびESI-MSを使用して、品質管理(QC)によって、適切な生成物の形成を確認する。
【0283】
02 (N-SiFAlin-N,N-Me-Gly-D-Dap(トランス-DOTA-TATE)-OH):
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=12.6min;K‘=5.0。
【0284】
RP-HPLC(分取):(0.1%のTFAを用いた35~47%のMeCN/HO、v/v、20min):t=17.2min;K‘=5.2。
MS(ESIポジティブ):C87127FN1721Siに関して算出されたm/z:1856.86、実際:619.9[M+3H]3+、929.3[M+2H]2+
【0285】
5.3 03の合成
【0286】
【化46】
【0287】
03は、4章で説明したFmoc-TATE(PG)-2-CT前駆体から出発して合成する。前駆体を、Fmoc脱保護し(GSP2)、DOTA(tBu)にカップリングする(GSP7)。DMF(2.5ml)中の、TBTU(1.5当量)、HOAt(1.5当量)、およびDIPEA(4.5当量)の溶液を樹脂に加え、10minの間、前活性化する。DMF(2.5ml)中のFmoc-D-Lys-OtBu(1.5当量)の溶液を、前活性化した樹脂に加え、2hの間、撹拌する。DMF(6×5ml)で樹脂を洗浄し、Fmoc-D-Dap(Dde)-OHをカップリングする(GSP6)。Dde基を切断し(GSP3)、ジメチルグリシン塩酸塩をカップリングする(GSP4)。Fmoc脱保護(GSP2)後、Fmoc-D-Cit-OH(GSP4)、続いて、Fmoc-D-Cit-OH(GSP2、GSP4)、およびFmoc-D-Cit-OH(GSP2、GSP4)をカップリングする。SiFA-Brをカップリングし(GSP8)、最後のFmoc基を除去する(GSP2)。生成物を、酸に不安定な基すべての同時脱保護とともに樹脂から切断し(GSP11)、分取RP-HPLCによって精製し、凍結乾燥する(GSP13)。分析的RP-HPLCおよびESI-MSを使用して、QCによって、適切な生成物の形成を確認する。
【0288】
03 (H-D-Cit-D-Cit-D-Cit-D-Dap(N-SiFAlin-N,N-Me-Gly)-D-Lys(トランス-DOTA-TATE)-OH):
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=11.2min;K‘=4.3。
【0289】
RP-HPLC(分取):(0.1%のTFAを用いた33~41%のMeCN/HO、v/v、20min):t=15.9min;K‘=5.1。
MS(ESIポジティブ):C111172FN2828Siに関して算出されたm/z:2456.21、実際:819.9[M+3H]3+、1229.1[M+2H]2+、1639.2[2M+3H]3+、1843.9[3M+4H]4+
【0290】
5.4 04の合成
【0291】
【化47】
【0292】
04は、4章で説明したFmoc-TATE(PG)-2-CT前駆体から出発して合成する。前駆体を、Fmoc脱保護し(GSP2)、DOTA(tBu)にカップリングする(GSP7)。DMF(2.5ml)中の、TBTU(1.5当量)、HOAt(1.5当量)、およびDIPEA(4.5当量)の溶液を樹脂に加え、10minの間、前活性化する。DMF(2.5ml)中のFmoc-D-Lys-OtBu(1.5当量)の溶液を、前活性化した樹脂に加え、2hの間、撹拌する。DMF(6×5ml)で樹脂を洗浄し、Fmoc-D-Dap(Dde)-OHをカップリングする(GSP6)。Dde基を切断し(GSP3)、ジメチルグリシン塩酸塩をカップリングする(GSP4)。Fmoc脱保護(GSP2)後、Fmoc-D-Cit-OH(GSP4)、続いて、Fmoc-D-Cit-OH(GSP2、GSP4)、およびFmoc-D-Glu(tBu)-OH(GSP2、GSP4)をカップリングする。SiFA-Brをカップリングし(GSP8)、最後のFmoc基を除去する(GSP2)。生成物を、酸に不安定な基すべての同時脱保護とともに樹脂から切断し(GSP11)、分取RP-HPLCによって精製し、凍結乾燥する(GSP13)。分析的RP-HPLCおよびESI-MSを使用して、QCによって、適切な生成物の形成を確認する。
【0293】
04 (H-D-Glu-D-Cit-D-Cit-D-Dap(N-SiFAlin-N,N-Me-Gly)-D-Lys(トランス-DOTA-TATE)-OH):
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=11.3min;K‘=4.4。
【0294】
RP-HPLC(分取):(0.1%のTFAを用いた33~40%のMeCN/HO、v/v、20min):t=17.1min;K‘=5.4。
MS(ESIポジティブ):C110168FN2629Siに関して算出されたm/z:2428.17、実際:810.3[M+3H]3+、1215.2[M+2H]2+、1619.9[2M+3H]3+
【0295】
5.5 05の合成
【0296】
【化48】
【0297】
05は、4章で説明したFmoc-TATE(PG)-2-CT前駆体から出発して合成する。前駆体を、Fmoc脱保護し(GSP2)、DOTA(tBu)にカップリングする(GSP7)。DMF(2.5ml)中の、TBTU(1.5当量)、HOAt(1.5当量)、およびDIPEA(4.5当量)の溶液を樹脂に加え、10minの間、前活性化する。DMF(2.5ml)中のFmoc-D-Lys-OtBu(1.5当量)の溶液を、前活性化した樹脂に加え、2hの間、撹拌する。DMF(6×5ml)で樹脂を洗浄し、Fmoc-D-Dap(Dde)-OHをカップリングする(GSP6)。Dde基を切断し(GSP3)、ジメチルグリシン塩酸塩をカップリングする(GSP4)。Fmoc脱保護(GSP2)後、Fmoc-D-Dap(Boc)-OH(GSP6)、続いて、Fmoc-D-Glu(tBu)-OH(GSP2、GSP4)、およびFmoc-D-Glu(tBu)-OH(GSP2、GSP4)をカップリングする。SiFA-Brをカップリングし(GSP8)、最後のFmoc基を除去する(GSP2)。生成物を、酸に不安定な基すべての同時脱保護とともに樹脂から切断し(GSP11)、分取RP-HPLCによって精製し、凍結乾燥する(GSP13)。分析的RP-HPLCおよびESI-MSを使用して、QCによって、適切な生成物の形成を確認する。
【0298】
05 (H-D-Glu-D-Glu-D-Dap-D-Dap(N-SiFAlin-N,N-Me-Gly)-D-Lys(トランス-DOTA-TATE)-OH):
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=11.2min;K‘=4.3。
【0299】
RP-HPLC(分取):(0.1%のTFAを用いた30~43%のMeCN/HO、v/v、20min):t=17.6min;K‘=5.8。
MS(ESIポジティブ):C106159FN2329Siに関して算出されたm/z:2329.09、実際:583.2[M+4H]4+、777.1[M+3H]3+、1165.2[M+2H]2+、1553.6[2M+3H]3+、1748.9[3M+4H]4+
【0300】
5.6 06の合成
【0301】
【化49】
【0302】
06は、4章で説明したFmoc-TATE(PG)-2-CT前駆体から出発して合成する。前駆体を、Fmoc脱保護し(GSP2)、DOTA(tBu)にカップリングする(GSP7)。DMF(2.5ml)中の、TBTU(1.5当量)、HOAt(1.5当量)、およびDIPEA(4.5当量)の溶液を樹脂に加え、10minの間、前活性化する。DMF(2.5ml)中のFmoc-D-Lys-OtBu(1.5当量)の溶液を、前活性化した樹脂に加え、2hの間、撹拌する。DMF(6×5ml)で樹脂を洗浄し、Fmoc-D-Dap(Dde)-OHをカップリングする(GSP6)。Dde基を切断し(GSP3)、ジメチルグリシン塩酸塩をカップリングする(GSP4)。Fmoc脱保護(GSP2)後、Fmoc-D-Lys(Boc)-OH(GSP4)、続いて、Fmoc-D-Glu(tBu)-OH(GSP2、GSP4)、およびFmoc-D-Glu(tBu)-OH(GSP2、GSP4)をカップリングする。SiFA-Brをカップリングし(GSP8)、最後のFmoc基を除去する(GSP2)。生成物を、酸に不安定な基すべての同時脱保護とともに樹脂から切断し(GSP11)、分取RP-HPLCによって精製し、凍結乾燥する(GSP13)。分析的RP-HPLCおよびESI-MSを使用して、QCによって、適切な生成物の形成を確認する。
【0303】
06 (H-D-Glu-D-Glu-D-Lys-D-Dap(N-SiFAlin-N,N-Me-Gly)-D-Lys(トランス-DOTA-TATE)-OH):
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=11.1min;K‘=4.3。
【0304】
RP-HPLC(分取):(0.1%のTFAを用いた30~47%のMeCN/HO、v/v、20min):t=15.7min;K‘=4.7。
MS(ESIポジティブ):C109165FN2329Siに関して算出されたm/z:2371.13、実際:791.2[M+3H]3+、1186.8[M+2H]2+、1582.5[2M+3H]3+
【0305】
5.7 07の合成
【0306】
【化50】
【0307】
07は、4章で説明したFmoc-TATE(PG)-2-CT前駆体から出発して合成する。前駆体を、Fmoc脱保護し(GSP2)、DOTA(tBu)にカップリングする(GSP7)。DMF(2.5ml)中の、TBTU(1.5当量)、HOAt(1.5当量)、およびDIPEA(4.5当量)の溶液を樹脂に加え、10minの間、前活性化する。DMF(2.5ml)中のFmoc-D-Lys-OtBu(1.5当量)の溶液を、前活性化した樹脂に加え、2hの間、撹拌する。DMF(6×5ml)で樹脂を洗浄し、Fmoc-D-Dap(Dde)-OHをカップリングする(GSP6)。Dde基を切断し(GSP3)、ジメチルグリシン塩酸塩をカップリングする(GSP4)。Fmoc脱保護(GSP2)後、Fmoc-D-Glu(tBu)-OH(GSP4)、続いて、Fmoc-D-Glu(tBu)-OH(GSP2、GSP4)、およびFmoc-D-Glu(tBu)-OH(GSP2、GSP4)をカップリングする。SiFA-Brをカップリングし(GSP8)、最後のFmoc基を除去する(GSP2)。生成物を、酸に不安定な基すべての同時脱保護とともに樹脂から切断し(GSP11)、分取RP-HPLCによって精製し、凍結乾燥する(GSP13)。分析的RP-HPLCおよびESI-MSを使用して、QCによって、適切な生成物の形成を確認する。
【0308】
07 (H-D-Glu-D-Glu-D-Glu-D-Dap(N-SiFAlin-N,N-Me-Gly)-D-Lys(トランス-DOTA-TATE)-OH):
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=11.5min;K‘=4.5。
【0309】
RP-HPLC(分取):(0.1%のTFAを用いた30~43%のMeCN/HO、v/v、20min):t=17.2min;K‘=5.3。
MS(ESIポジティブ):C108160FN2231Siに関して算出されたm/z:2372.08、実際:593.2[M+4H]4+、791.0[M+3H]3+、1185.9[M+2H]2+、1581.1[2M+3H]3+、1779.2[3M+4H]4+
【0310】
5.8 08の合成
【0311】
【化51】
【0312】
08は、4章で説明したFmoc-TATE(PG)-2-CT前駆体から出発して合成する。前駆体を、Fmoc脱保護し(GSP2)、DOTA(tBu)にカップリングする(GSP7)。DMF(2.5ml)中の、TBTU(1.5当量)、HOAt(1.5当量)、およびDIPEA(4.5当量)の溶液を樹脂に加え、10minの間、前活性化する。DMF(2.5ml)中のFmoc-D-Lys-OtBu(1.5当量)の溶液を、前活性化した樹脂に加え、2hの間、撹拌する。DMF(6×5ml)での洗浄後、Fmoc-D-Glu(tBu)-OH(GSP2、GSP4)、およびFmoc-D-Dap(Dde)-OH(GSP2、GSP6)に化合物をカップリングする。Dde基を切断し(GSP3)、ジメチルグリシン塩酸塩をカップリングする(GSP4)。Fmoc脱保護(GSP2)後、間欠的なFmoc脱保護(GSP2)とともに、Fmoc-D-Glu(tBu)-OHを3回カップリングする(GSP4)。SiFA-Br(GSP8)のカップリング後、最後のFmoc基を除去する(GSP2)。生成物を、酸に不安定な保護基の同時切断を用いて樹脂から切断し(GSP11)、RP-HPLCによって精製し、凍結乾燥する。分析的RP-HPLCおよびESI-MSを使用して、QCによって、適切な生成物の形成を確認する。
【0313】
08 (H-D-Glu-D-Glu-D-Glu-D-Dap(N-SiFAlin-N,N-Me-Gly)-D-Glu-D-Lys(トランス-DOTA-TATE)-OH:
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=11.2min;K‘=4.3。
【0314】
RP-HPLC(分取):(0.1%のTFAを用いた30~60%のMeCN/HO、v/v、20min):t=18.1min;K‘=2.1。
MS(ESIポジティブ):C113167FN2334Siに関して算出されたm/z:2501.12、実際:625.8[M+4H]4+、834.0[M+3H]3+、1250.5[M+2H]2+、1667.1[2M+3H]3+、1875.3[3M+4H]4+
【0315】
5.9 09の合成
【0316】
【化52】
【0317】
09は、4章で説明したFmoc-TATE(PG)-2-CT前駆体から出発して合成する。前駆体を、Fmoc脱保護し(GSP2)、DOTA(tBu)にカップリングする(GSP7)。DMF(2.5ml)中の、TBTU(1.5当量)、HOAt(1.5当量)、およびDIPEA(4.5当量)の溶液を樹脂に加え、10minの間、前活性化する。DMF(2.5ml)中のFmoc-D-Lys-OtBu(1.5当量)の溶液を、前活性化した樹脂に加え、2hの間、撹拌する。DMF(6×5ml)で樹脂を洗浄し、Fmoc-D-Dap(Dde)-OHをカップリングする(GSP6)。Dde基を切断し(GSP3)、ジメチルグリシン塩酸塩をカップリングする(GSP4)。Fmoc脱保護(GSP2)後、Fmoc-D-Glu(tBu)-OH(GSP4)、続いて、Fmoc-D-Glu(tBu)-OH(GSP2、GSP4)、およびFmoc-D-Glu(tBu)-OH(GSP2、GSP4)をカップリングする。Fmoc脱保護(GSP2)後、キナ酸を2回(2×GSP4)、続いてSiFA-Br(GSP8)をカップリングする。化合物を、酸に不安定な保護基すべての切断を用いて樹脂から切断し(GSP11)、分取RP-HPLCによって精製し、凍結乾燥する(GSP13)。分析的RP-HPLCおよびESI-MSを使用して、QCによって、適切な生成物の形成を確認する。
【0318】
09 (D-(-)-キナ酸-D-Glu-D-Glu-D-Glu-D-Dap(N-SiFAlin-N,N-Me-Gly)-D-Lys(トランス-DOTA-TATE)-OH):
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=11.6min;K‘=4.5。
【0319】
RP-HPLC(分取):(0.1%のTFAを用いた38~42%のMeCN/HO、v/v、30min):t=24.4min;K‘=3.4。
MS(ESIポジティブ):C115170FN2236Siに関して算出されたm/z:2546.13、実際:849.1[M+3H]3+、1272.9[M+2H]2+、1696.8[2M+3H]3+
【0320】
5.natGaまたはnatLuとの錯体化
GSP12またはGSP14に従って、natGaまたはnatLuとの錯体化を行う。分析的RP-HPLCおよびESI-MSを適用して、QCによって、適切な生成物の形成を確認する。
【0321】
nat Ga]01:
N-SiFAlin-N,N-Me-Gly-D-Lys(トランス-[natGa]DOTA-TATE)-OH
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=13.2min;K‘=5.3。
MS(ESIポジティブ):C90131FGaN1721Siに関して算出されたm/z:1965.82、実際:656.2[M+3H]3+、983.8[M+2H]2+、1311.8[2M+3H]3+
【0322】
nat Ga]02:
N-SiFAlin-N,N-Me-Gly-D-Dap(トランス-[natGa]DOTA-TATE)-OH
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=13.1min;K‘=5.2。
MS(ESIポジティブ):C87125FGaN1721Siに関して算出されたm/z:1923.77、実際:642.2[M+3H]3+、962.7[M+2H]2+、1283.5[2M+3H]3+
【0323】
nat Ga]03:
H-D-Cit-D-Cit-D-Cit-D-Dap(N-SiFAlin-N,N-Me-Gly)-D-Lys(トランス-[natGa]DOTA-TATE)-OH
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=11.5min;K‘=4.5。
MS(ESIポジティブ):C111170FGaN2828Siに関して算出されたm/z:2523.12、実際:841.7[M+3H]3+、1262.3[M+2H]2+、1682.8[2M+3H]3+
【0324】
nat Ga]04:
H-D-Glu-D-Cit-D-Cit-D-Dap(N-SiFAlin-N,N-Me-Gly)-D-Lys(トランス-[natGa]DOTA-TATE)-OH
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=11.5min;K‘=4.5。
MS(ESIポジティブ):C110166FGaN2629Siに関して算出されたm/z:2495.08、実際:832.3[M+3H]3+、1248.3[M+2H]2+、1664.2[2M+3H]3+
【0325】
nat Ga]05:
H-D-Glu-D-Glu-D-Dap-D-Dap(N-SiFAlin-N,N-Me-Gly)-D-Lys(トランス-[natGa]DOTA-TATE)-OH
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=11.3min;K‘=4.4。
MS(ESIポジティブ):C106157FGaN2329Siに関して算出されたm/z:2396.00、実際:600.3[M+4H]4+、799.7[M+3H]3+、1199.1[M+2H]2+、1598.5[2M+3H]3+
【0326】
nat Lu]05:
H-D-Glu-D-Glu-D-Dap-D-Dap(N-SiFAlin-N,N-Me-Gly)-D-Lys(トランス-[natLu]DOTA-TATE)-OH
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~90%のMeCN/HO、v/v、15min):t=8.10min;K‘=4.4。
MS(ESIポジティブ):C106157FLuN2329Siに関して算出されたm/z:2502.01、実際:834.6[M+3H]3+、861.0[M+DMSO+3H]3+ 1251.8[M+2H]2+
【0327】
nat Ga]06:
H-D-Glu-D-Glu-D-Lys-D-Dap(N-SiFAlin-N,N-Me-Gly)-D-Lys(トランス-[natGa]DOTA-TATE)-OH
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=11.2min;K‘=4.3。
MS(ESIポジティブ):C109163FGaN2329Siに関して算出されたm/z:2438.04、実際:610.6[M+4H]4+、813.9[M+3H]3+、1220.3[M+2H]2+、1626.7[2M+3H]3+
nat Ga]07:
H-D-Glu-D-Glu-D-Glu-D-Dap(N-SiFAlin-N,N-Me-Gly)-D-Lys(トランス-[natGa]DOTA-TATE)-OH
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=11.7min;K‘=4.6。
MS(ESIポジティブ):C108158FGaN2231Siに関して算出されたm/z:2438.99、実際:610.2[M+4H]4+、813.2[M+3H]3+、1219.2[M+2H]2+、1625.4[2M+3H]3+、1828.7[3M+4H]4+
【0328】
nat Ga]08:
H-D-Glu-D-Glu-D-Glu-D-Dap(N-SiFAlin-N,N-Me-Gly)-D-Glu-D-Lys(トランス-[natGa]DOTA-TATE)-OH
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=11.5min;K‘=4.5。
MS(ESIポジティブ):C113165FGaN2334Siに関して算出されたm/z:2568.03、実際:856.4[M+3H]3+、1283.7[M+2H]2+、1711.6[2M+3H]3+
【0329】
nat Ga]09:
D-(-)-キナ酸-D-Glu-D-Glu-D-Glu-D-Dap(N-SiFAlin-N,N-Me-Gly)-D-Lys(トランス-[natGa]DOTA-TATE)-OH
RP-HPLC(分析的):(0.1%のTFAを用いた10~60%のMeCN/HO、v/v、15min):t=11.9min;K‘=4.7。
MS(ESIポジティブ):C115168FGaN2236Siに関して算出されたm/z:2613.04、実際:871.7[M+3H]3+、1306.9[M+2H]2+、1742.3[2M+3H]3+、1960.5[3M+4H]4+
MS(ESIポジティブ):C117176FGaN2634Siに関して算出されたm/z:2669.13、実際:890.3[M+3H]3+、1334.9[M+2H]2+、1779.5[2M+3H]3+
【0330】
6.放射性リガンドの合成
6.1 [125I]TOCの合成
【0331】
【化53】
【0332】
先に公開されている手順に従って、インビトロ研究のための参照リガンド[125I]TOCを調製した。[21]簡潔には、20μLのDMSOおよび280μLのトリスヨウ素化緩衝液(25mMのトリス-HCl、0.4mMのNaCl、pH=7.5)に、50~150μgの非ヨウ素化された前駆体TOCを溶解した。5.00μL(15~20MBq)の[125I]NaI(74TBq/mmol、3.1GBq/mL、40mMのNaOH、Hartmann Analytic、Braunschweig、ドイツ)を加えた後、150μgのIodoGen(登録商標)でコーティングした反応バイアルに溶液を移した。RTで15minの間、反応を、インキュベートし、酸化物質から溶液を分離させることによって停止した。RP-HPLC[(15minで20%~50%のB):t=9.4min]によって、[125I]I-TOCの粗生成物を精製し、HO中の、10Vol-%の100mMのNa-アスコルバート溶液で、最終の溶解した生成物を処理して放射線分解を阻止した。
【0333】
6.2 イオン交換反応による18Fフッ素化
18F標識のために、先に公開されている手順を適用した[22]。
7.インビトロ実験
7.1細胞培養
AR42J細胞またはCHO-SST細胞の培養前に、すべての使用される生化学物質を37℃に加熱する。
【0334】
AR42J細胞の培養
RPMI1640培地(2mMのL-Glu、10%のFCS;v/vを有する)において、AR42J細胞を培養し、加湿された5%CO雰囲気で、37℃でインキュベートした。一定速度の細胞成長を確実にするために、3~4日毎に細胞を分割した。
【0335】
枯渇した培地を廃棄し、PBS(10ml)で接着細胞を洗浄した。次いで、PBS中の0.1%のEDTAでの処理(5ml、10min、37℃)によって、細胞培養フラスコから細胞を取り除き、5mlのRPMI1640培地(2mMのL-Glu、10%のFCS;v/vを有する)を加えることで再懸濁した。懸濁液を遠心分離にかけ(1300毎分回転数(rpm)、3min、RT)、上清を廃棄し、新鮮なRPMI1640培地(2mMのL-Glu、10%のFCS;v/vを有する)培地に、細胞ペレットを再懸濁した。新しい細胞培養フラスコに10~50%の懸濁液を移し、新鮮なRPMI1640培地(2mMのL-Glu、10%のFCS;v/vを有する)培地で、体積を25mlにする。
【0336】
内在化評価のために、20mlのRPMI1640培地(2mMのL-Glu、10%のFCS;v/vを有する)に細胞ペレットを再懸濁する。10μlのトリパンブルー溶液で10μlの懸濁液を混合する。10μlの得られた混合物をNeubauer血球計算盤(0.1mm深さ、0.0025mm面積)に加える。光学顕微鏡下で細胞を計数し、20mlの懸濁液の細胞濃度を、以下の式:
【0337】
【数4】
【0338】
に従って決定する。
次いで、細胞を24ウェルポリL-リジンプレートに播種し(2.0×10個の細胞)、1mlのRPMI1640培地(2mMのL-Glu、10%のFCS;v/vを有する)中で、24±2hの間、加湿された5%CO雰囲気で、37℃でインキュベートした。
【0339】
CHO-SST細胞の培養
SSTトランスフェクトCHO-SST細胞を、DMEM/F12(10%のFCS;v/vを有する)中で培養し、加湿された5%CO雰囲気で、37℃でインキュベートした。一定速度の細胞成長を確実にするために、2~3日毎に細胞を分割した。
【0340】
枯渇した培地を廃棄し、PBS(10ml)で接着細胞を洗浄した。次いで、トリプシン/EDTAでの処理(5ml、5min、37℃)によって、細胞培養フラスコから細胞を取り除き、5mlのDMEM/F-12(10%のFCS;v/vを有する)培地を加えることで再懸濁した。懸濁液を遠心分離にかけ(1300rpm、3min、RT)、上清を廃棄し、20mlの新鮮なDMEM/F-12(10%のFCS;v/vを有する)培地に、細胞ペレットを再懸濁した。新しい細胞培養フラスコに懸濁液の一部を移し、新鮮なDMEM/F-12(10%のFCS;v/vを有する)培地で、体積を25mlにする。
【0341】
IC50値の決定のために、20mlのDMEM/F-12(10%のFCS;v/vを有する)培地に、細胞ペレットを再懸濁する。10μlのトリパンブルー溶液で10μlの懸濁液を混合する。10μlの得られた混合物をNeubauer血球計算盤(0.1mm深さ、0.0025mm面積)に加える。光学顕微鏡下で細胞を計数し、20mlの懸濁液の細胞濃度を、以下の式:
【0342】
【数5】
【0343】
に従って決定する。
次いで、細胞を24ウェルプレートに播種し(1.0×10個の細胞)、1mlのDMEM/F-12(10%のFCS;v/vを有する)培地中で、24±2hの間、加湿された5%CO雰囲気で、37℃でインキュベートした。
【0344】
7.2 IC50評価
SSTトランスフェクトCHO細胞を、DMEM/F12(10%のFCSを有する)中で培養し、加湿された5%CO雰囲気で、37℃でインキュベートした。IC50の決定のために、細胞を、実験の24±2h前に採取し、24ウェルプレートに播種し(1.0×10個の細胞)、1ml/ウェルの培養培地中でインキュベートした。
【0345】
培養培地を除去した後、細胞を400μlのHBSAで1回洗浄し、200μlの新鮮なHBSAを加える。次に、25μlの、それぞれのリガンドのいずれかのHBSA(対照)を、濃度を増大させながら(10-10~10-4MのHBSA)加え、それに続いてウェル当たり25μlの[125I]TOC(HBSA中の1.0nM)を加えた。各濃度を3連で調査する。RTでの60minのインキュベーション後、アッセイ培地を除去し、それに続いて300μlの低温のPBSで洗浄することによって、実験を終了した。両方のステップの培地を1つのフラクションに合わせ、結合されていない放射性リガンドの量とする。その後、細胞を300μlの1MのNaOH(15min、RT)で溶解し、後に続く洗浄ステップの300μlの1MのNaOHで一体にした。
【0346】
結合された、および結合されていない放射性リガンドの定量化をγカウンターにおいて遂行した。GraphPad PRISMソフトウェアを使用して、数学的分析を行った。
【0347】
7.3 内在化研究
RPMI1640培地(2mMのL-Glu、10%のFCS;v/vを有する)において、AR42J細胞を培養し、加湿された5%CO雰囲気で、37℃でインキュベートした。内在化の定量化のために、細胞を、実験の24±2h前に採取し、24ウェルポリL-リジンプレートに播種し(2.0×10個の細胞)、1ml/ウェルの培養培地中でインキュベートした。
【0348】
培養培地を除去した後、細胞を、300μlのアッセイ培地(2mMのL-Glu、5%のBSA;v/vを有するRPMI1640培地)で洗浄し、200μlのアッセイ培地中で少なくとも15minの間、37℃でプレインキュベートした。アッセイ培地中の18F標識リガンド(20nM)と125I-TOC(1nM)との25μlの混合物、続いて、25μlの、アッセイ培地中のTOC(100μM、競合実験)または25μlのアッセイ培地(内在化実験)のいずれかを、ウェルに加える。調査時間(15、30、および60min)当たり1つの24ウェルプレートを、それぞれの時間の間、インキュベートする(37℃、5%CO)。プレートを氷上で冷却し、上清を回収し、300μlの氷温の洗浄液(RPMI1640培地)でウェルを洗浄し、上清と合わせる。300μlの酸性洗浄液(0.9%NaCl、50mMの酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液、pH=4.6)を加え、15minの間、氷上でインキュベートする。上清を回収し、300μlの氷温の酸性洗浄液で細胞を洗浄する。300μlのNaOH水溶液(1M)を細胞に加え、少なくとも15minの間、RTでインキュベートする。溶液を回収し、300μlのNaOH溶液でウェルを洗浄する。
【0349】
γカウンターにおいて、18F活性、続いて、同じ試料の125I活性を定量化する。
8.インビボ実験
8.1 マウスモデルおよび腫瘍モデル
すべての動物実験は、ドイツの一般的な動物福祉規制、および動物の世話と使用に関する規定のガイドラインに従って行った。腫瘍異種移植片を確立するために、AR42J細胞(5×10個の細胞/100μL)をダルベッコ改変イーグル培地/Glutamax-Iを有するNutrition Mixture F-12(1:1)に懸濁させ8週齢の雌CD1 nu/nuマウス(Charles River、Sulzfeld、ドイツ)の右肩に皮下的に接種した。腫瘍が5~9mmの直径に成長したとき(接種7~15日後)、マウスを実験のために使用した。
【0350】
8.2 生体内分布
約0.5~2.0MBq(0.05~0.20nmol)の18F標識SSTリガンドを、AR42J担腫瘍雌CD1 nu/nuマウスの尾静脈に注入した。注入後1hでマウスを犠牲にした(n=3~5)。選択された器官を取り出し、秤量し、γカウンターにおいて測定した。
【0351】
9.さらなる調査
9.1 HSA結合研究
RIAC法
分子量既知の参照タンパク質としてコンアルブミン(MW:75kDa)、オボアルブミン(44kDa)、炭酸脱水酵素(29kDa)、リボヌクレアーゼA(13.7kDa)、およびアプロチニン(6.5kDa)を含む市販されているゲルろ過校正キット(GE Healthcare、Buckinghamshire、UK)を用いて、生産者の推奨に従って、ゲルろ過カラムSuperdex75 Increase 10/300GL(GE Healthcare、Uppsala、スウェーデン)を予め校正した。rtで0.8mL/minの一定流量を使用してAMSEC実験を行った。移動相として、生理的濃度(700μM)のPBS中のHSAの溶液を使用した。説明したように、PSMAリガンドを10~20GBq/μmolのモル活性で標識した。1.0MBqの放射性リガンドのプローブを標識化溶液から直接注入した。決定された校正曲線を使用して放射性リガンドの保持時間から算出した見かけの分子量MWとして、HSA結合を表した。
【0352】
図1は、低分子量ゲルろ過校正キットを使用した、Superdex75 Increaseゲルろ過カラムの校正グラフを示す。MW:分子量。t:実験的に決定された保持時間。V:溶出体積。Kav:分配係数。
【0353】
評価のために、実験的に決定された保持時間tを、最初に、流量を乗ずることによって溶出体積Vに変換し、その後、以下の方程式に従って分配係数Kavに変換する
【0354】
【数6】
【0355】
式中、Vはカラムの空いた体積であり(8.027mL)、Vは形状のカラム体積(24mLである)。カラム校正の傾向線グラフによって与えられる方程式
av=-0.18ln(MW)+2.0967
を使用して、
見かけの分子量MWを、
【0356】
【数7】
【0357】
に応じて算出する。
9.2 オクタノール-水分配係数
目的の放射性リガンド(0.7~1.0MBq)を、1.5ml反応管中のn-オクタノールと、PBS(1ml、1/1;v/v)との混合物に加え、3minの間、激しく振盪させる。得られた混合物を遠心分離にかけ(9000rpm、5min、RT)、100μlのオクタノール相およびPBS相を別々に分離する。
【0358】
定量化は、γカウンターにおいて、各分離したプローブの活性の決定によって行う。以下の方程式:
【0359】
【数8】
【0360】
によって、LogDpH=7.4値を決定する。
最終のLogDpH=7.4値の決定はオクテットにおいて行う。外れ値を除去した後、平均値および標準偏差を決定する。
【0361】
II.結果
【0362】
【表2】
【0363】
生体内分布研究の結果を図2に示す。
【図面の簡単な説明】
【0364】
図1図1は、低分子量ゲルろ過校正キットを使用した、Superdex75 Increaseゲルろ過カラムの校正グラフを示す。MW:分子量。t:実験的に決定された保持時間。V:溶出体積。Kav:分配係数。
図2】生体内分布研究の結果を図2に示す。
図1
図2
【配列表】
2024531844000001.xml
【国際調査報告】