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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-08-30
(54)【発明の名称】アルミナを製造するプロセス
(51)【国際特許分類】
   C22B 21/00 20060101AFI20240823BHJP
   C22B 7/04 20060101ALI20240823BHJP
   C22B 1/00 20060101ALI20240823BHJP
   C22B 3/06 20060101ALI20240823BHJP
   C22B 3/44 20060101ALI20240823BHJP
   C22B 3/08 20060101ALI20240823BHJP
   C22B 3/04 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
C22B21/00
C22B7/04 B
C22B1/00 101
C22B3/06
C22B3/44 101Z
C22B3/08
C22B3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024517551
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-13
(86)【国際出願番号】 AU2022051143
(87)【国際公開番号】W WO2023044537
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】2021903036
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520280612
【氏名又は名称】ティエンチー リチウム クウィンアーナ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ヤフェン
(72)【発明者】
【氏名】リム,ハゼル
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA02
4K001AA10
4K001AA23
4K001AA34
4K001AA35
4K001AA36
4K001AA38
4K001BA12
4K001CA01
4K001CA09
4K001DB02
4K001DB03
4K001DB07
4K001DB22
(57)【要約】
リチウム抽出による浸出残渣から有価物を抽出するためのプロセスであって、本プロセスは、(a)浸出残渣を塩化物含有化合物と混合して第1の混合物を形成することと、(b)第1の混合物を焼成して、アルミノケイ酸カルシウムに富んだ焼成混合物及び塩酸含有オフガスを形成することと、(c)焼成混合物を酸浸出して、アルミニウム含有液及びケイ素に富む固体残渣を形成することと、(d)アルミニウム化合物、ケイ素化合物、並びに、ケイ素及びアルミニウム含有化合物からなる群から選択される有価物を回収することと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム抽出による浸出残渣から有価物を抽出するためのプロセスであって、
(a)前記浸出残渣を塩化物含有化合物と混合して第1の混合物を形成することと、
(b)前記第1の混合物を焼成して、アルミノケイ酸カルシウムに富んだ焼成混合物及び塩酸含有オフガスを形成することと、
(c)前記焼成混合物を酸浸出して、アルミニウム含有液及びケイ素に富む固体残渣を形成することと、
(d)アルミニウム化合物、ケイ素化合物、並びに、ケイ素及びアルミニウム含有化合物からなる群から選択される有価物を回収することと、を含む、前記プロセス。
【請求項2】
前記塩化物含有化合物が、塩化カルシウム、塩化第一鉄または塩化第二鉄からなる群から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記塩化化合物が、無水形態よりもむしろ結晶形態である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記塩化化合物が、塩化カルシウム二水和物である、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記第1の混合物の焼成が、700~1600℃、好ましくは800~1100℃の範囲の温度で行われる、請求項2に記載のプロセス。
【請求項6】
焼成時間が、0.5~6時間、好ましくは1~2.5時間である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
浸出残渣の塩化化合物に対する比(重量比)が、1:2~1:0.33、好ましくは1:0.5~1:1の範囲内である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
前記焼成混合物が、酸浸出ステップ(c)の前に粉砕される、請求項5に記載のプロセス。
【請求項9】
前記焼成混合物が、酸浸出され、塩化アルミニウムを、好ましくはアルミニウム六水和物(AlCl.6HOまたはACH)の形態で形成する、請求項5に記載のプロセス。
【請求項10】
前記処理が、前記焼成混合物を塩酸または他の塩化物含有浸出剤溶液で直接浸出し、固体シリカ濃縮副産物及びACH溶液を生成することによって達成される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記浸出溶液中のケイ素レベルが、ゲルの形成を回避するのに十分に低い、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記焼成混合物の酸浸出が、塩酸のみが関与するものか、または多段階酸浸出スキームの初期段階(複数可)において別の酸、任意に硫酸が関与するものかに関わらず、単一または多段階の酸浸出スキームを含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項13】
前記焼成混合物を、ACH形成前に水で浸出して過剰の塩化カルシウムを除去し、前記水浸出焼成混合物を、固液分離後、ACHを形成するための処理に送る、請求項10に記載のプロセス。
【請求項14】
水浸出温度範囲が、20~95℃、好ましくは20~30℃であり、水浸出時間が、0.5~48時間であり、焼成混合物の水に対する比が、1:2~1:5の範囲である、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記水浸出からの塩化カルシウム含有液が、試薬再生ステップに送られる、請求項13に記載のプロセス。
【請求項16】
酸浸出ステップ(c)からのACH溶液を、複数のACH結晶化ステップで結晶化させてACHを回収する、請求項10に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ACH結晶化ステップのそれぞれが、中間再溶解ステップ(複数可)によって分離され、再溶解には、ACH結晶の溶媒として脱イオン水または希塩酸が含まれることが好ましい、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記ACH溶液が、塩酸ガスで処理されACH結晶化を引き起こす、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記結晶化ACHが、1000~1600℃、好ましくは1200~1300℃で直接焼成され高純度アルミナを生成する、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記結晶化ACHが、焼成前に、好ましくは750~1150℃の範囲の低い温度で焙焼され、焼成前に非晶質またはγ相アルミナを形成する、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記結晶質ACHを、水、好ましくは高純度水に溶解し、前記生成物ACH溶液を中和してベーマイト(AlOOH)を形成する、請求項18に記載のプロセス。
【請求項22】
前記生成物ACH溶液が、水酸化アンモニウムまたはNH/HO溶液で中和される、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記中和中に形成された塩化アンモニウムを分離し、その後にベーマイトが形成される、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
次いで、前記ベーマイトを分離し、焼成して高純度アルミナ(α-アルミナ相)を形成する、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記ベーマイトが、焼成前に焙焼されて非晶質またはγ-アルミナを形成する、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
試薬再生ステップを含む、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記塩化物含有化合物が、ステップ(a)で使用するために再生される、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
塩酸が、塩酸再生ステップにて再生される、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
一次結晶化段階からの塩酸を含有する不用液、並びに、カルシウム、マグネシウム、鉄、ナトリウム及びカリウムの塩化物は、前記塩酸再生ステップに送られ、そこで前記塩化物は、飽和によって結晶化され、再生塩酸から除去され、酸浸出ステップ(c)に送られる、請求項16の従属項として、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
前記塩化物の混合物を水に溶解して、塩化カルシウム晶析装置に送られる流れを形成し、そこで塩化カルシウムが塩化カルシウム二水和物として回収される、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
ブリードストリームが、塩化ナトリウム及び塩化カリウムを含む塩を除去する、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
前記再生された塩化カルシウム二水和物が焼成ステップ(b)に送られる、請求項30に記載のプロセス。
【請求項33】
前記焼成ステップの前に、前記浸出残渣を適切な酸で洗浄して鉄を含む不純物を除去する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項34】
前記浸出残渣が、磁気分離、粒度調整及びリチウムスラグふるい分けからなる群から選択される鉱物処理方法によって選鉱される、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸出残渣からアルミナを製造するプロセスに関する。特に、浸出残渣は、リチウムを抽出するためにベータまたはβ-スポジュメンを浸出させることによって形成されるものである。
【背景技術】
【0002】
背景技術に関する以下の説明は、本発明の理解を容易にすることのみを目的としている。この説明は、参照されるいかなる材料も本明細書の優先日時点で、一般常識の部分であること、またはそうであったことの認知または承認ではない。
【0003】
電池に使用する高純度のリチウム塩を製造するには、さまざまなプロセスが利用できる。電池に使用される主要なリチウム塩には、水酸化リチウム一水和物及び炭酸リチウムが挙げられる。1つのプロセスルートには、焼成スポジュメン(β-スポジュメン)を酸浸出することが含まれ、これは、硫酸リチウム溶液及び浸出残渣、または特定の鉱物学的性質を考慮する必要があるさらなる加工が施されていない場合に低価値の副産物であって過去に建築材料として用いれられたリチウムスラグを生成するために、鉄含有量が低い(例えば80~1500ppmのFe:Aylmore,M et al.,Assessment of a spodumene ore by advanced analytical and mass spectrometry technique to determine its amenability to processing for the extraction of lithium,Minerals Engineering,April 2018,137-148)。
【0004】
リチウム抽出からの浸出残留物は、ゼオライトまたは高純度アルミナに処理することができるが、プロセスが複雑になり得る。高純度アルミナを製造するための1つのプロセスが、出願人の国際公開第WO2019148233号に記載されており、これは、選択された温度及び時間でリチウムスラグをアルカリ性化合物の水溶液で水熱処理することを含む。アルカリ処理されたリチウムスラグに対してイオン交換ステップが実行される。次に、イオン交換されたアルカリ処理されたリチウムスラグから、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、並びに、ケイ素及びアルミニウム含有化合物からなる群から選択される有価物が回収される。特に注目される有価物は、高純度のアルミナである。
【0005】
リチウム精製プロセスの開発における重要な考慮事項は、プロセスの持続可能性である。固形廃棄物を大量に生成することは望ましくなく、可能であれば、プロセス中における試薬再生及び再利用も実施されるべきである。さらに、特にリチウムスラグに関して言及すれば、材料は浸出に対して耐性があり、これがさらなる処理において課題となる。
【0006】
リチウムスラグから、望ましくは高純度のアルミナ及びシリカなどの有価物を抽出するための改良されたプロセスを提供することが、本発明の目的である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、一実施形態において、リチウム抽出による浸出残渣から有価物を抽出するためのプロセスを提供し、本プロセスは、
(a)浸出残渣を塩化物含有化合物と混合して第1の混合物を形成することと、
(b)第1の混合物を焼成して、アルミノケイ酸カルシウムに富んだ焼成混合物及び塩酸含有オフガスを形成することと、
(c)焼成混合物を酸浸出して、アルミニウム含有液及びケイ素に富む固体残渣を形成することと、
(d)アルミニウム化合物、ケイ素化合物、並びに、ケイ素及びアルミニウム含有化合物からなる群から選択される有価物を回収することと、を含む。
【0008】
塩化物含有化合物は、塩化カルシウム、塩化第一鉄または塩化第二鉄からなる群から好都合に選択される。他の塩化物も焼成ステップに適している可能性があるが、塩化カルシウムが特に好ましい。塩化化合物は、好都合に無水形態よりもむしろ結晶形態であり、例えば、塩化カルシウムの場合には、塩化カルシウム二水和物が好ましく使用される。
【0009】
第1の混合物の焼成は、好ましくは700~1600℃の範囲の温度で行われ、800~1100℃がより好ましい。焼成時間は、0.5~6時間が好ましく、1~2.5時間がより好ましい。浸出残渣の塩化化合物に対する比(重量比)は、1:2~1:0.33の範囲であり、1:0.5~1:1が好ましい。
【0010】
焼成された混合物は、酸浸出ステップ(c)の前に好都合に粉砕される。このような粉砕により粒子サイズが減少し、塊状の焼成物が除去され、粉砕された焼成混合物のより大きな表面積の関数として浸出効率が増加する。
【0011】
好都合には、焼成混合物を処理して、好ましくはアルミニウム六水和物(AlCl.6HOまたはACH)の形態の塩化アルミニウムを形成する。これは、焼成混合物を塩酸または他の塩化物含有浸出剤溶液で直接酸浸出して、固体シリカ濃縮副産物及びACH溶液を生成することによって達成することができる。浸出溶液中のケイ素レベルは、ゲルの形成を回避するために十分に低くする必要がある。シリカ濃縮副産物は、好都合に分離され、販売される。
【0012】
焼成混合物は、好ましくは粉砕後、ACH形成前に水で浸出して過剰の塩化カルシウムを除去することが望ましくあり得る。水浸出焼成混合物は、固液分離の後、ACHを形成するための処理に送られる。水浸出ステップからの塩化カルシウム含有液は、試薬再生ステップに送られることが好ましい。好ましい水浸出温度範囲は、20~95℃であり、20~30℃が好ましい。好ましい水浸出時間は、0.5~48時間であり、3時間がより好ましく、焼成混合物の水に対する比は、好ましくは1:2~1:5の範囲であり、1:3.5がより好ましい。
【0013】
ACH形成の話に戻ると、焼成混合物の酸浸出は、好ましくは、塩酸のみが関与するものか、または多段階酸浸出スキームの初期段階(複数可)において硫酸などの別の酸が関与するものかに関わらず、単一または多段階の酸浸出スキームを含む。有利なスキームは、単一酸浸出を含み、好都合には、焼成混合物の塩酸による浸出を含むであろう。
【0014】
酸浸出または他のACH生成ステップからのACH溶液は、ACHを回収するために結晶化することが望ましい。必要なACH純度を達成するには、高純度アルミナの製造において、高純度の精製されたACH中間体または前駆体を提供するために、多段階の結晶化プロセス(好都合には、中間の再溶解ステップ(複数可)によって分離された複数のACH結晶化ステップを含む)を実施することが望ましい。本明細書で説明するプロセスには、2~3回のACH結晶化ステップが適している。ACH結晶化のための沈殿剤として塩酸が好都合に使用され、ACH溶液を塩酸ガスで飽和させるとACH結晶化が起こる。再溶解には、好ましくは、ACH結晶の溶媒としての脱イオン水または希塩酸が含まれる。
【0015】
ACHは、好ましくは上記のように精製され結晶化した形態であり、その後、必要な仕様、例えば99.99%または4N仕様の高純度アルミナを生成するために、1000~1600℃、好ましくは1200~1300℃で直接焼成され得る。好ましくは、前のステップにおいて、結晶化ACHは低温、好ましくは750~1150℃の範囲で焙焼され、所望のHPAのα相アルミナを形成する焼成前に非晶質またはγ相アルミナを形成する。
【0016】
他のプロセスステップにおいては便利な塩酸源であるが、焼成炉に塩化物腐食のリスクをもたらす直接焼成の代わりに、精製された結晶質ACHを水、好ましくは高純度水(例えば、脱イオン水、蒸留水、超純水(>18.5Ωが望ましい)または同様の精製水流)に溶解し、生成物ACH溶液は中和されてベーマイト(AlOOH)を形成することができる。生成物ACH溶液の中和には、任意の便利なアルカリが含まれ得るが、しかしながら、特に塩化アンモニウム中和生成物が販売可能な場合には、水酸化アンモニウムまたはNH/HO溶液が好ましい。塩化アンモニウムは、ベーマイト形成により分離される場合があり、より長い時間がかかる可能性がある。次に、ベーマイトを分離し、焙焼して非晶質またはγ-アルミナを形成し、その後焼成して、上記の商品化に必要な仕様の高純度アルミナ(α-アルミナ相)を形成する。
【0017】
プロセスは、好ましくは、試薬再生ステップを含む。好都合には、塩化物含有化合物は、例えば、ACH結晶化段階からの不用液中に存在する塩化物塩の混合物から分離させることによって、ステップ(a)で使用するために再生される。上述のように、浸出ステップで使用するための塩酸も再生され得る。
【0018】
焼成ステップの前に、リチウムスラグを適切な酸で洗浄して、鉄などの不純物の一部を除去してもよいが、通常、リチウムスラグ中に存在する量は比較的少量であるため、鉄を除去するための個別の精製ステップは、おそらく任意であるか、または不要である。同じことがマグネシウムなどの不純物にも当てはまるが、不純物のかなりの部分が副産物としてリチウムスラグを生成する事前のリチウム抽出プロセスで除去されるため、やはりリチウムスラグ中には非常に少量しか存在しない。特別な鉄及び/またはマグネシウム不純物の除去やその他の処理ステップ(例えば、焼成前に塩化カルシウムまたはマグネシウムを精製するため)を行わずに、そのリチウムスラグを処理して、高純度アルミナ(HPA)などの有価物が回収され得ることは、本明細書に記載のプロセスの重要な利点である。
【0019】
リチウムスラグは、他の鉱物処理方法によっても選鉱され得る。例えば、磁性粒子は、磁気分離の任意の手段によって除去され得るか、または、特定のまたは選択された粒径画分をプロセスに導くために、粒度が調整され得る、及び/またはリチウムスラグがふるい分けされ得る。
【0020】
商業化のための高純度アルミナ仕様を製造することは、必要に応じて、高純度アルミナの製造後に洗浄するステップ及び粉砕するステップが含まれ得る。
【0021】
本明細書に記載のプロセスにより、現在低価値副産物であるリチウムスラグを、費用効率の高い方法で高純度の貴重なアルミニウム及びケイ素含有化合物の製造に使用することが可能となり、複数の試薬を再生及びリサイクルすることができ、廃棄物が最小限に抑えられる。
【0022】
上述のアルミナ及びリチウム塩を生産するためのプロセスのさらなる特徴は、そのいくつかの非限定的な実施形態に関する以下の説明においてより十分に説明される。この説明は、本発明を例示する目的のみに含まれている。これは、上述のような本発明の広範な概要、開示または説明を制限するものとして理解されるべきではない。説明は添付図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の実施形態による、アルミナを生産するためのプロセスのフロー図である。
図2】本発明の第2の実施形態による、アルミナを生産するためのプロセスのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1及び図2を参照すると、例えば浸出されたスポジュメン鉱石残渣の形態のリチウムスラグ5は、焼成スポジュメン(すなわち、β-スポジュメン)から実質的にすべてのリチウムを遊離させる浸出ステップ後のリチウム精製からの廃棄副産物として得られる。浸出ステップは、例えば、出願人の国際公開第WO2021146768号に記載されているように、硫酸または硫酸ナトリウム浸出が関連し得、その内容はあらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。リチウム遊離プロセスでは、鉄、マグネシウム、カルシウム及びその他などのカチオン性不純物も浸出溶液に抽出され、それは水酸化リチウムまたは炭酸リチウムを回収するために従来のルートで処理され得る。
【0025】
リチウムスラグ5(例えば、Al12.8wt%、Si30.8wt%、低レベルの鉄(0.49wt%)、非常に低レベルのカルシウム(0.18wt%)及びマグネシウム(0.09wt%)を含み得る)は、実質的にパイロフィライト(Al.4SiO.HO)を含み、これをシリカ濃縮副産物110及び高純度アルミナ(HPA)200を回収するためのプロセス1に供する。
【0026】
リチウムスラグ備蓄(図示せず)からのリチウムスラグ4は、まずふるい分けステップ2でふるい分けされて、網下リチウムスラグ画分5及び網上リチウムスラグ画分6が生成される。網下リチウムスラグ画分5は、平均粒子サイズ(例えば、53マイクロメートル未満)の粒子が含まれ、以下に説明するように焼成ステップ10に送られる。網上リチウムスラグ画分6は、リチウムスラグ備蓄に戻されるか、またはサイズ縮小の対象となる。
【0027】
塩化カルシウムまたは塩化カルシウム二水和物によるリチウムスラグの焼成
網下リチウムスラグ画分5を塩化物含有化合物と混合して、焼成ステップ10での処理のための第1の固体混合物を形成する。この実施形態では、固体塩化カルシウム7(無水または塩化カルシウム二水和物としての結晶形態)が塩素含有化合物として使用される。好ましくは、塩化カルシウム二水和物の結晶形態が塩素含有化合物として使用される。しかしながら、他の実施形態では、塩化第一鉄または塩化第二鉄を含む他の塩化物塩を使用することもできる。この実施例では、リチウムスラグ残渣の塩化化合物に対する比(重量比)は、1:1である。
【0028】
焼成ステップ10は、この実施例では、リチウム抽出の技術分野で知られているタイプのロータリーキルンまたはフラッシュ焼成炉で1000℃の温度で1時間実施され得る。この温度では、XRD分析によって検出される、酸浸出性斜長石相が形成され得る。
【0029】
焼成ステップからの焼成混合物11は、アルミノケイ酸カルシウムが豊富であり、以下に説明するように、リチウムスラグ5のアルミノケイ酸塩(複数可)よりも塩酸で浸出しやすい。
【0030】
塩化カルシウム二水和物を使用する焼成ステップ10は、水及び塩素イオンを放出して、塩酸含有オフガス9を生成し、これが塩酸再生ステップ80に送られる。
【0031】
続く酸浸出ステップ30における浸出効率は、粉砕ステップ20において焼成混合物11を粉砕して塊状の焼成物を除去し、浸出のための表面積と効率を増加させることによって促進される。この実施例では、粉砕ステップ20後の粒子サイズは、90%が20マイクロメートルを超えている。
【0032】
高純度アルミナ製造の中間体としての塩化アルミニウム六水和物の製造
一実施形態では、図1に示すように、高純度アルミナ製造の中間体、三塩化アルミニウム六水和物(AlCl.6HO)または溶液中で形成されるACHを生成する目的で、粉砕焼成混合物24が焼成ステップ10から取り出され、塩酸32中でスラリー化され、酸浸出ステップ30で酸浸出される。ACHは、塩酸による粉砕焼成混合物24の単一段階浸出を含むプロセス、または多段階プロセスで生成され得る。有利なことに、事前の焼成ステップ10により、単一段階の塩酸浸出が実現可能であり、この実施形態では、カルシウムアルミノシリケートマトリックスの形成を引き起こすことにより、酸浸出ステップ30の効率が増加する。
【0033】
この実施形態における塩酸浸出ステップ30は、ACHを形成するための反応のための化学量論的量よりわずかに過剰の25重量%塩酸による浸出を必要とする。つまり、残渣中のアルミニウム1モル当量に対して3モル当量をわずかに超えるHClが含まれる。この実施例における他のプロセス条件は、浸出温度95℃、浸出時間3時間、粉砕焼成混合物24:HCl体積比1:3.5である。
【0034】
酸浸出ステップ30の生成物は、図1及び図2に示すように、ACH溶液を含有するスラリー34及びシリカ濃縮固体残渣である。スラリー34は、低レベルの鉄及び非常に低レベルの他のカチオン性不純物(例えば、Ca及びMg)を含み、それにより、それらを除去するために特定の不純物除去ステップ(複数可)を必要としない。
【0035】
例えば、濾過または遠心分離を含み得る固液分離36の後、シリカ濃縮固体残渣はシリカ副産物110として入手可能である。シリカ副産物110は販売することも、さらに精製することもできる。
【0036】
シリカ副産物110とACH溶液38の固液分離36に続いて、ACH溶液38は、一次結晶化段階140に送られる。一次結晶化段階140において、ACHは一次ACH結晶142として結晶化され、これは、例えば、濾過を含む固液分離ステップ145によって不用液146から分離され、二次結晶化段階240において再溶解及び再結晶化される。
【0037】
次いで、二次ACH結晶242は、第3結晶化段階340で再溶解及び再結晶化されて、後述するように高純度アルミナ55、200を製造するための処理のために準備が整った純粋なACH結晶342を形成する。ACHの結晶化は、既知の方法により各結晶化段階140、240、340のACH溶液を塩酸ガス1420で飽和させ、結晶化混合物を、各結晶化段階で40~80℃の温度範囲に維持し、結晶化プロセスの発熱特性により沈殿に最適な条件を得ることにより達成される。ACH結晶142及び242の再溶解は、脱イオン水または希HClを使用して行われる。必要に応じて、36%HClまたは超純水(>18.5Ωが望ましい)によるACH結晶342の洗浄を含めることもできる。
【0038】
ACH形成前の水浸出
第2の実施形態では、図2に示すように、プロセス1Aは、ACHの生成及び結晶化の前に水浸出ステップ125を含む。水浸出ステップ125は、溶液129中の結晶化段階140、240、340を妨げる可能性がある過剰な塩化カルシウムを除去するために、粉砕焼成混合物24を水に浸出させることを含む。この実施例におけるプロセス条件は、浸出温度25℃、浸出時間3時間、粉砕焼成混合物24:水体積比1:3.5である。
【0039】
溶液129は、固液分離ステップ126において水浸出残渣127から分離され、塩化カルシウム再生段階90に送られる。水浸出残留物127は、上述のように進行する酸浸出ステップ30に送られる。図2のプロセス1Aは、その他の点では図1のプロセス1と同一である。
【0040】
高純度アルミナの製造
次いで、精製された塩化アルミニウム六水和物(ACH)342を、焼成ステップ50で焼成して、高純度アルミナ(HPA、α-アルミナ)55が生成され得る。
【0041】
焼成ステップ50はまた、塩酸ガス1420を生成し、これは好都合に結晶化ステージ140、240及び340に送られ、ACH溶液を飽和させ、上述したようにACH結晶化を引き起こす。
【0042】
他の実施形態では、焙焼ステップが焼成ステップ50の前に行われ得る。このような焙煎は、好ましくは固定炉内で行われ、比較的低温、例えば、この例では800℃で、ACH結晶が非晶質またはγ-アルミナ及びHClガスに分解される。HClガスは、結晶化段階140、240、340に再循環されるであろう。塩化物は、その腐食特性により、特に1100℃を超える高温では、あらゆる焼成炉にとって脅威となる。焼成ステップ50における焙焼アルミナ(非晶質またはγ-アルミナ)の焼成により、α相アルミナであるHPAが生成されるであろう。
【0043】
上で触れたように、塩化物の存在は、その腐食特性により焼成炉にとって脅威である。これに対処するために、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる、出願人の国際公開第WO2021146768号に記載されているように、例えば、水酸化アンモニウムによるACH結晶の中和によるベーマイトの形成を含む代替プロセスによって精製ACHからHPAが生成され得る。特に中和の塩化アンモニウム生成物が販売可能な場合には、中和に水酸化アンモニウムを使用することが好ましい。塩化アンモニウムは、ベーマイト形成により分離される場合があり、より長い時間がかかる可能性がある。次に、ベーマイトを分離し、好都合に焙焼して非晶質またはγ-アルミナを形成し、その後焼成して、上記の商品化に必要な仕様の高純度アルミナ(α-アルミナ相)を形成する。
【0044】
HPA55は、洗浄ステップ60で洗浄され、粉砕ステップ70で粉砕されて、商品化に必要な仕様、典型的には最低純度99.99%または4NのHPA200を生成する。洗浄ステップ60は、超純水(>18.5Ω)で洗浄することを含み、焼成ステップ50中に導入されたアルカリ金属などの残留汚染物質を除去するために、好ましくは3つの洗浄ステップが実施される。洗浄されたHPA61は、濾過され、乾燥され、粉砕ステップ70において必要なサイズ、例えば1μmに粉砕される。製品HPA200は、パッケージ化され、販売される。
【0045】
試薬の再生
上記の実施形態には、焼成ステップ9で生成される塩酸の使用、及び焼成ステップ10で使用するための塩化カルシウム7の再生が含まれる。
【0046】
一次結晶化段階140からの不用液146は、特に、塩酸、塩化カルシウム、並びに少量のカルシウム、マグネシウム、鉄、ナトリウム及びカリウムを含む。不用液146(図2を参照して上述したように水浸出ステップ125が使用される塩化カルシウム含有溶液129と一緒)は、塩酸再生ステップ80に送られ、そこで塩化物は、HCl32から除去されるカルシウム、ナトリウム及びカリウム塩82の混合物としてHClガス9で飽和することによって結晶化され、それは酸浸出ステップ30に送られる。
【0047】
塩化カルシウム再生ステップ80では、塩化カルシウム94が分離ステップ93で流れ92として廃棄される、他の塩化物から分離される。このプロセスでは、混合塩化物を水に再溶解し、塩化カルシウム晶析装置に送られ、そこで塩化カルシウムの大部分が結晶質塩化カルシウム二水和物として回収される。ブリードストリームは、塩化ナトリウム及び塩化カリウムなどの塩を除去し、塩化カルシウムをわずかに損失する。この損失は、新鮮な塩化カルシウム二水和物で補うことができる。再生された塩化カルシウム94は、塩化カルシウム二水和物7として焼成ステップ10に送られる。
【0048】
本明細書に記載のプロセスは、価値の低い浸出残渣を、鉄及びマグネシウムなどの比較的低レベルの不純物元素で処理して高純度のアルミナ及びシリカを生成することにより、リチウム抽出操作の収益性を高める大きな可能性を秘めている。同時に、試薬をリサイクルしてコストを最小限に抑え、廃棄物を実質的に排除することで、さらなる商業的利益を得ることができる。
【0049】
本明細書に記載のアルミナを生産するためのプロセスに対する変更及び変形は、本開示を読んだ当業者にとっては明らかであり得る。それらのような変更及び変形は、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0050】
本明細書全体を通して、文脈で別段の要求がない限り、単語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形は、指定された整数または整数のグループを含むことを意味するが、任意の他の整数または整数のグループを除外することを意味するものではないと理解されるであろう。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム抽出によるアルミナ及びシリカ含有浸出残渣から有価物を抽出するためのプロセスであって、
(a)前記浸出残渣を塩化カルシウムと混合して第1の混合物を形成することと、
(b)前記第1の混合物を焼成して、アルミノケイ酸カルシウムに富んだ焼成混合物及び塩酸含有オフガスを形成することと、
(c)前記焼成混合物を塩化物含有浸出剤で酸浸出して、塩化アルミニウム六水和物(AlCl.6HOまたはACH)を含有するアルミニウム含有溶液と、ケイ素に富む固体残渣とを形成することと、
(d)アルミニウム化合物、ケイ素化合物、並びに、ケイ素及びアルミニウム含有化合物からなる群から選択される有価物を回収することと、を含み、
酸浸出ステップ(c)からのACH溶液は、ACHを回収するために結晶化に供され、
ACH結晶化からの塩酸を含有する不用液、並びに、カルシウム、マグネシウム、鉄、ナトリウム及びカリウムの塩化物の混合物は、塩酸再生ステップに送られ、そこで前記塩化物は、飽和によって結晶化され、再生塩酸から除去され、酸浸出ステップ(c)に送られる、前記プロセス。
【請求項2】
リチウム抽出によるアルミナ及びシリカ含有浸出残渣から有価物を抽出するためのプロセスであって、
(a)β-スポジュメンの硫酸浸出によって形成された浸出残渣を塩化カルシウムと混合して、第1の混合物を形成することと、
(b)前記第1の混合物を焼成して、アルミノケイ酸カルシウムに富んだ焼成混合物及び塩酸含有オフガスを形成することと、
(c)前記焼成混合物を水浸出して過剰の塩化カルシウムを回収することと、
(d)前記焼成混合物を塩化物含有浸出剤で酸浸出して、塩化アルミニウム六水和物(AlCl.6HOまたはACH)を含有するアルミニウム含有溶液と、ケイ素に富む固体残渣とを形成することと、
(e)アルミニウム化合物、ケイ素化合物、並びに、ケイ素及びアルミニウム含有化合物からなる群から選択される有価物を回収することと、を含み、
酸浸出ステップ(c)からのACH溶液は、ACHを回収するために結晶化に供される、前記プロセス。
【請求項3】
前記塩化カルシウムが、無水形態よりもむしろ結晶形態である、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記塩化化合物が、塩化カルシウム二水和物である、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記第1の混合物の焼成が、700~1600℃、好ましくは800~1100℃の範囲の温度で行われる、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
焼成時間が、0.5~6時間、好ましくは1~2.5時間である、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
浸出残渣の塩化化合物に対する比(重量比)が、1:2~1:0.33、好ましくは1:0.5~1:1の範囲内である、請求項5または6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記焼成混合物が、酸浸出ステップ(c)の前に粉砕される、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記処理が、前記焼成混合物を塩酸で直接浸出し、溶液中に固体シリカ濃縮副生成物及びACHを生成することによって達成される、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記浸出溶液中のケイ素レベルが、ゲルの形成を回避するのに十分に低い、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記焼成混合物の酸浸出が、塩酸のみが関与するものか、または多段階酸浸出スキームの第1の段階において別の酸、任意に硫酸が関与するものかに関わらず、単一または多段階の酸浸出スキームを含む、請求項9に記載のプロセス。
【請求項12】
前記焼成混合物を、ACH形成前に水で浸出して過剰の塩化カルシウムを除去し、前記水浸出焼成混合物を、固液分離後、ACHを形成するための処理に送る、請求項1の従属項としての請求項9に記載のプロセス。
【請求項13】
水浸出温度範囲が、20~95℃、好ましくは20~30℃であり、水浸出時間が、0.5~48時間であり、焼成混合物の水に対する比が、1:2~1:5の範囲である、請求項2または12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記水浸出からの塩化カルシウム含有液が、試薬再生ステップに送られる、請求項2、12または13に記載のプロセス。
【請求項15】
酸浸出ステップ(c)からのACH溶液を、複数のACH結晶化ステップで結晶化させてACHを回収する、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記ACH結晶化ステップのそれぞれが、中間再溶解ステップ(複数可)によって分離され、再溶解には、ACH結晶の溶媒として脱イオン水または希塩酸が含まれることが好ましい、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ACH溶液が、塩酸ガスで処理されACH結晶化を引き起こす、請求項15に記載のプロセス。
【請求項18】
前記不用液が、結晶化の一次段階から送られる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項19】
前記結晶化ACHが、1000~1600℃、好ましくは1200~1300℃で直接焼成され高純度アルミナを生成する、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記結晶化ACHが、焼成前に、好ましくは750~1150℃の範囲の、高純度アルミナを生成するための直接焼成よりも低い温度で焙焼され、焼成前に非晶質またはγ相アルミナを形成する、請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記結晶質ACHを、水、好ましくは高純度水に溶解し、前記生成物ACH溶液を中和してベーマイト(AlOOH)を形成する、請求項17に記載のプロセス。
【請求項22】
前記生成物ACH溶液を水酸化アンモニウムまたはNH/HO溶液で中和することを含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記中和中に形成された塩化アンモニウムを分離し、その後にベーマイトが形成される、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
次いで、前記ベーマイトを分離し、焼成して高純度アルミナ(α-アルミナ相)を形成する、請求項22に記載のプロセス。
【請求項25】
前記ベーマイトが、焼成前に焙焼されて非晶質またはγ-アルミナを形成する、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
試薬再生ステップを含む、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記塩化物含有化合物が、ステップ(a)で使用するために再生される、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
前記塩化物の混合物を水に溶解して、塩化カルシウム晶析装置に送られる流れを形成し、そこで塩化カルシウムが塩化カルシウム二水和物として再生される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項29】
ブリードストリームが、塩化ナトリウム及び塩化カリウムを含む塩を除去する、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項30】
前記再生された塩化カルシウム二水和物が焼成ステップ(b)に送られる、請求項28に記載のプロセス。
【請求項31】
焼成ステップの前に、前記浸出残渣を適切な酸で洗浄して鉄を含む不純物を除去する、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項32】
前記浸出残渣が、磁気分離、粒度調整及びリチウムスラグふるい分けからなる群から選択される鉱物処理方法によって選鉱される、先行請求項のいずれか1項に記載のプロセス。
【国際調査報告】