(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-02
(54)【発明の名称】自動露出制御のための口腔内X線センサー
(51)【国際特許分類】
A61B 6/51 20240101AFI20240826BHJP
H04N 23/71 20230101ALI20240826BHJP
A61B 6/00 20240101ALN20240826BHJP
【FI】
A61B6/51 500
H04N23/71
A61B6/00 520Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500261
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2022067571
(87)【国際公開番号】W WO2023280612
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【氏名又は名称】森川 元嗣
(72)【発明者】
【氏名】シュルツェ-ガンツリン、ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】リンデンベルク、カイ
【テーマコード(参考)】
4C093
5C122
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA37
4C093DA05
4C093EE01
4C093FA02
4C093FA04
4C093FA13
4C093FA15
4C093FA18
4C093FA32
4C093FA45
4C093FA52
4C093FA59
4C093FC17
4C093FC18
4C093FC19
4C093FC25
4C093FD01
4C093FF08
5C122DA17
5C122FF22
5C122FH11
(57)【要約】
本発明は、自動露出制御(AEC)機能を有する口腔内X線システム(3)とともに使用するための口腔内X線センサー(1)であって、口腔内X線センサー(1)が、露出分析ユニット(1.2)と、イメージングX線検出器(1.3)と、通信インターフェース(1.1)とを含むことを特徴とし、ここにおいて、イメージングX線検出器(1.3)から受信されるスカウトショットまたはスカウトビデオストリームが、スカウト画像またはビデオストリームの露出レベルに関する情報を記録することと、口腔内X線センサー(1)の外部に配置され、さらなる露出の評価および決定に適応される、口腔内X線システム(3)の決定ユニット(2.2)に、通信インターフェース(1.1)によってこの情報をフォワーディングすることとを行うために、口腔内X線センサー(1)中の露出分析ユニット(1.2)によって分析される、口腔内X線センサー(1)に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動露出制御(AEC)機能を有する口腔内X線システム(3)とともに使用するための口腔内X線センサー(1)において、
前記口腔内X線センサー(1)が、露出分析ユニット(1.2)と、イメージングX線検出器(1.3)と、通信インターフェース(1.1)とを備え、
スカウト画像又はビデオストリームの露出レベルに関する情報を記録することと、前記口腔内X線センサー(1)の外部に配置され、さらなる露出の評価及び決定に適応される、前記口腔内X線システム(3)の決定ユニット(2.2)に、前記通信インターフェース(1.1)によって前記情報をフォワーディングすることと、を行うために、
前記イメージングX線検出器(1.3)から受信されるスカウトショット又はスカウトビデオストリームが、前記口腔内X線センサー(1)中の前記露出分析ユニット(1.2)によって分析されることを特徴とする、口腔内X線センサー(1)。
【請求項2】
前記口腔内X線センサー(1)が、前記イメージングX線検出器(1.3)から受信される画像データを部分的に又は完全に記憶する画像メモリ(1.6)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の口腔内X線センサー(1)。
【請求項3】
前記口腔内X線システム(3)が、請求項1又は2に記載の口腔内X線センサー(1)と、自動露出制御(AEC)機能をもつ口腔内X線デバイス(2)とを備え、前記口腔内X線デバイス(2)と前記口腔内X線センサー(1)とが、それぞれの通信インターフェース(1.1、2.1)によって接続され、前記口腔内X線デバイス(2)が、前記露出レベルに関する前記情報を評価し、さらなる露出のシーケンス、特にショットの数及びそれらの持続時間を決定する、決定ユニット(2.2)を備えることを特徴とする、口腔内X線システム(3)。
【請求項4】
前記決定ユニット(2.2)が、さらに、センサー固有特性(1.5)、及び/又はユーザによって指定された画像品質パラメータを考慮に入れるように適応されていることを特徴とする、請求項3に記載の口腔内X線システム(3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内X線センサーと歯科用X線ユニットとを備える、自動露出制御(AEC:automatic exposure control)機能をもつ口腔内X線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動露出制御(AEC)、すなわち、AEC技法はよく知られており、デジタルX線画像受信機を用いた口腔内X線について歯科分野においてもよく知られており、たとえば、EP1859659A1および米国特許第6,898,268(B2)号を参照されたい。
【0003】
X線画像検出器は、口腔内X線診断における一般的な露出状況のための最適化されたダイナミックレンジを有する。露出不足の画像は、増加された雑音によって特徴づけられ、露出過度のエリアは、ピクセルの飽和効果によりもはや信号を解像することができない。AEC技法を使用すると、飽和限界は、複数の露出を行い、個々の記録を合算することによって、解決され得る。飽和限界を低下させることによって、X線画像受信機は、低い露出のために最適化され得る。このコンスタレーションでは、ユーザは、患者線量を可能な限り低く保つために、各場合において必要とされる最小画像品質を、その指示に応じて、具体的に決めることができる。
【0004】
露出状況は、スカウトショット(scout shot)を用いて測定され得る。この第1のショットの露出レベルに関する情報は、この目的のために使用される。これは、一定数のピクセルのどの最大値が到達されたかまたは超えられたかを示す。それはまた、たとえば、飽和限界に対するパーセント単位の、最大許容値に関する相対値であり得る。露出レベルに関する情報はまた、それぞれのヒストグラム中に含まれていることがある。
【0005】
スカウトショットを用いたAEC X線システムでは、記録セッション中に記録ジオメトリの移動によって引き起こされ得る移動アーティファクトを低減するために、完了したX線露出を決めるために、事前露出された画像の高速評価が必要とされる。今まで、スカウトショットの露出レベルの評価は、X線デバイス中に(または接続されたコンピュータ中に)ある評価ユニットによって、口腔内X線センサー(以下、略して「センサー」とも呼ばれる)から切り離して実施された。現在までのプロシージャは、以下の通りである。
【0006】
1. センサーが第1のショットを検出する
2. センサーは、第1のショットをX線デバイスに送信する
3. 評価ユニットが、X線デバイスにおいて第1のショットを分析する
4. 評価ユニットは、第2のショットのための露出レベルを決める
5. センサーは第2のショットを検出する
6. センサーは、第2のショットをX線デバイスに送信する
7. 評価ユニットは、X線デバイスにおいて第1のショットおよび第2のショットからの合算された画像を計算する
概して、AEC機能をもつ口腔内X線デバイスは、コンピュータまたはクラウドに接続される。露出準備完了(readiness)に設定された、口腔内X線センサーは、X線画像の開始を検出し、X線画像をキャプチャする。露出の後に、X線画像データは、口腔内X線検出器から読み出され、コンピュータにフォワーディングされる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、口腔内X線システムとともに使用するための統合されたAEC機能をもつ口腔内X線センサーを提供することである。
【0008】
この目的は、請求項1に記載の統合されたAEC機能をもつ口腔内(IO)X線センサーによって達成された。従属請求項の主題は、さらなる発展および好ましい実施形態に関する。
【0009】
本発明によれば、露出レベルに関するスカウト画像またはビデオストリームの分析は、X線デバイスによってではなく、IO X線センサーによって実施される。この目的で、ビデオストリームは、たとえば、個々の画像の独立したシーケンスとして、使用され得る。
【0010】
上記の評価が、IO X線センサー(以下、略して「センサー」とも呼ばれる)に移動される場合、X線デバイスの側のデータ転送と複雑さとが低減される。本発明によるプロセスは、次いで、たとえば、以下の通りである。
【0011】
1. センサーが、第1のショット(スカウトショット)を検出する、
2. 評価ユニット(たとえば、センサーの露出分析ユニット)が、第1のショットを分析し、露出レベルに関する情報をコンパイルする、
3. 露出レベルに関する情報、ならびに適用可能な場合にはセンサー特性が、センサー外の決定ユニットに送信される、
4. 決定ユニットは、このおよび他の情報に基づいて、さらなるショットの露出パラメータを決める、
5. この決定に従って、センサーによって、露出が行われないか、または1つまたは複数の露出が行われる、
6. センサーは、個々の記録および/または(随意に)少なくとも1つの合算された記録をX線デバイスまたはPCに送信する。
【0012】
本発明の本質的な特徴は、IO X線センサーに関連する電子機器(たとえば、露出分析ユニット)が、スカウト画像またはビデオストリームの露出レベルについての情報をキャプチャし、この情報をX線デバイスに通信することが可能であることである。これは、初期化作業を低減し、プロセスの速度を上げる。
【0013】
X線デバイス、特に、X線デバイスの決定ユニットは、後続の露出のために、露出パラメータ、たとえば、記録の数、露出時間、管電流および管電圧を設定するために、露出レベルに関するこの情報および他の仕様、好ましくはセンサー固有特性、必要とされる画像品質、指示、デュアルエネルギーのためのkV調整、増加されたダイナミックレンジ(高ダイナミックレンジ(HDR))、線量依存の雑音挙動などを使用する。これは、1つのさらなる露出であり得るが、いくつかのさらなる露出、またはさらなる露出なしでもあり得る。
【0014】
ビデオストリームの場合、X線デバイスの決定ユニットによって計算された値に到達したとき、露出は、好ましくは、X線デバイスによって停止される。
【0015】
IO X線センサーヘッドまたはX線センサーコネクタは、評価ユニット(たとえば、露出分析ユニット)のための好ましい適応である。代替的に、センサーヘッドは、コネクタが必要とされないように、X線デバイスにワイヤレス接続され得る。
【0016】
以下の説明では、本発明は、図面を参照しながら、実施形態例によってより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態による、AEC可能なIO X線センサーをもつ口腔内X線システム(3)の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面に示されている参照番号は、以下に記載する要素を指定し、これらは例示的な実施形態の以下の説明において参照される。
【0019】
1. AEC機能をもつ口腔内X線センサー
1.1 通信インターフェース
1.2 露出分析ユニット
1.3 イメージングX線検出器
1.4 コントローラ
1.5 センサー固有特性(メモリ)
1.6 画像メモリ
2. X線デバイス
2.1 通信インターフェース
2.2 決定ユニット
2.3 X線源
2.4 コントローラ
2.5 通信インターフェース
2.6 電力供給および高電圧源
2.7 ユーザインターフェース
3. 口腔内X線システム
4.1 コンピュータ
4.2 ユーザインターフェースおよびディスプレイ
5. ネットワーク
6. クラウド
図1は、本発明の一実施形態による口腔内X線システム(3)の概略図を示す。口腔内X線システム(3)は、口腔内X線センサー(1)に接続された口腔内X線デバイス(2)を有する。接続は、好ましくはケーブル接続である。IO X線センサー(1)は、センサーヘッド(ハウジング)と、ケーブルと、コネクタとからなる。IO X線センサー(1)は、このコネクタを介して口腔内X線デバイス(2)に接続される。好ましくは、同じAEC機能をもつ他のセンサー(1)が、それらのコネクタを介してIO X線デバイス(2)に同時に接続され得る。代替的に、ワイヤレス接続が使用され得る。口腔内X線センサー(1)は、通信インターフェース(1.1)と、露出分析ユニット(1.2)と、イメージングX線検出器(1.3)と、コントローラ(1.4)と、センサー固有特性を含んでいるメモリ(1.5)と、画像メモリ(1.6)とを有する。コントローラ(1.4)は、通信インターフェース(1.1)と、露出分析ユニット(1.2)と、イメージングX線検出器(1.3)と、メモリ(1.5)と、画像メモリ(1.6)とを含む、IO X線センサー(1)のすべての構成要素へのアクセスを有して、それらを制御する。画像メモリ(1.6)は、イメージングX線検出器(1.3)から受信される画像データの一部または全部を記憶する。画像メモリ(1.6)は、イメージングX線検出器(1.3)からのピクセル画像データが、信号の損失なしに、評価のために読み出され得ない場合、または、信号の損失が、放射線衛生学の理由で許容できない場合、有用である。好ましくは、X線センサー(1)は、バッテリーとワイヤレス通信とを装備することができる。これは、ケーブルが不要にされることを可能にする。ワイヤードデータ通信および/または電力供給も、代替として考慮され得る。ここで、USBインターフェースまたはパワーオーバーイーサネット(登録商標)(PoE:Power over Ethernet(登録商標))が、規格として好適である。
【0020】
口腔内X線センサー(1)は、自動露出制御(AEC)機能のための構成要素を含み、これは、以下でより詳細に説明される。イメージングX線検出器(1.3)から受信されるスカウトショットまたはスカウトビデオストリームが、露出レベルに関する情報を記録するために、露出分析ユニット(1.2)によって口腔内X線センサー(1)においてローカルに分析される。露出レベル情報を含む分析結果は、通信インターフェース(1.1)によって、口腔内X線デバイス(2)にまたは別の外部デバイス(たとえば、コンピュータ)にフォワーディングされる。口腔内X線デバイス(2)は、この目的で、対応する通信インターフェース(2.1、2.5)を有する。口腔内X線ユニット(2)は、露出レベルに関する記録された情報を含む分析結果を評価し、さらなる露出のシーケンス、特にショットの数およびそれらの持続時間を決定する、決定ユニット(2.2)を有する。ビデオストリームの場合、これはまた、進行中の露出中に行われ得る。ビデオストリームを使用するとき、第1のショットおよび第2のショットは、第1の「m」個のショットおよび第2の「n」個のショットのセットに拡大する。この場合、プロセスも、複数回繰り返され得る。IO X線センサー(1)は、記録セッションの終了まで、対応する記録準備完了のままである。口腔内X線ユニット(2)は、X線源(2.3)と、電力供給および高電圧源(2.6)と、コントローラ(2.4)とをも有する。コントローラ(2.4)はまた、特に、IO X線センサー(1)へのアクセスを有する。口腔内X線デバイス(2)は、好ましくは、特に、歯科治療のための小さい形式のX線デバイスである。決定ユニット(2.2)は、さらに、センサー固有特性(1.5)、および/またはユーザによって指定された画像品質パラメータを考慮に入れるように設計される。センサー固有特性(1.5)は、特に、センサー寸法と、ローカルピクセルエラーと、線量/信号挙動と、アナログ露出信号のデジタル化を可能にしないか、またはアナログ露出信号の限定されたデジタル化を可能にする、飽和効果がそれより上で起こる、最大飽和レベルとに関する情報を含む。画像品質パラメータは、X線デバイス(2)上のユーザインターフェース(2.7)を通して、ユーザによって直接または間接的に入力され得る。間接的指定は、医療指示(たとえば、疑わしい虫歯、歯周症、根本原因)を介して行われ得、これは、決定ユニット(2.2)をもつ口腔内X線システム(3)によって露出パラメータ、たとえば、最大露出、デュアルエネルギーなどに変換される。代替的に、これはまた、口腔内X線デバイス(2)に接続されたコンピュータ(4.1)のユーザインターフェース(4.2)を介して行われ得る。口腔内X線デバイス(2)は、それの通信インターフェース(2.5)を介して、好ましくはネットワーク(5)を介して、コンピュータ(4.1)に接続される。口腔内X線デバイス(2)およびコンピュータ(4.1)はまた、クラウド(6)への接続を有し得る。IO X線センサー(1)またはIO X線デバイス(2)が画像処理機能を実施する代わりに、これは、クラウド(6)において、またはPC(4.1)によって行われ得る。受信された生画像材料は、センサー固有のおよび記録固有の欠陥(deficiency)を補償するために、処理されて初期生画像になる。これらは、ゲイン、欠陥およびDC補正(Gain, Blemish and DC correction)(クラシック)、ダイナミックレンジ拡張(高ダイナミックレンジ(HDR))、動きアーティファクト補償(ぶれ防止(anti-shake))である。
【国際調査報告】