(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】原動機付き車両のウィンドウガラスワイパーシステム用の装置
(51)【国際特許分類】
B60S 1/40 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
B60S1/40 200Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552325
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 EP2022074169
(87)【国際公開番号】W WO2023031251
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102021122692.9
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】バイテルシュミット・マクシミリアン
(72)【発明者】
【氏名】ヘルツィンガー・ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AC01
3D225AE29
(57)【要約】
【課題】容易な操作が可能であり、過負荷時の係止手段あるいは係止解除手段の破壊を防止する、ワイパーアームとワイパーブレードを結合するための装置を提供する。
【解決手段】ワイパーアーム50とワイパーブレードを結合する装置10であって、ワイパーブレードと結合可能なアダプタ20と、ワイパーアーム50と結合可能でアダプタ20を収容するアダプタ開口部32を備えた収容要素30とを含み、アダプタ20が、変形可能な2つの係止領域22,24を備えており、係止領域は、アダプタ20を収容要素30と係止させるように構成されており、係止領域22,24の係止解除のための操作手段40を含み、係止解除箇所では、操作手段40が収容要素30の係合開口部34へ係合し、アダプタ20がアダプタ開口部32を通して取出し可能であるように、操作手段40によって係止領域22,24が互いへ向けて変形する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機付き車両のウィンドウガラスワイパーシステム用のワイパーアーム(50)とワイパーブレードを結合するための装置(10)であって、
ワイパーブレードと結合可能に構成されたアダプタ(20)と、
ワイパーアーム(50)と結合可能に構成され、アダプタ(20)を収容するためのアダプタ開口部(32)を備えた収容要素(30)と
を含み、アダプタ(20)が、互いへ向けて変形可能な少なくとも2つの係止領域(22,24)を備えており、該係止領域は、係止箇所においてアダプタ(20)を収容要素(30)と係止させるように構成されており、
係止領域(22,24)の係止解除のための操作手段(40)を含み、係止解除箇所では、操作手段(40)が収容要素(30)の係合開口部(34)へ係合し、このとき、アダプタ(20)がアダプタ開口部(32)を通して取出し可能であるように、操作手段(40)によって2つの係止領域(22,24)が互いへ向けて変形することを特徴とする装置。
【請求項2】
操作手段(40)が操作方向(R)に沿って操作可能であり、操作方向(R)に対して垂直な両係止領域(22,24)の間の間隔について、係止解除箇所での間隔よりも係止箇所での間隔が大きいことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
係合開口部(34)が、装置(10)の端面側(12)に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置(10)。
【請求項4】
係止領域(22,24)のうち少なくとも1つがくさび状の断面を有していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項5】
アダプタ開口部(32)が係合開口部(34)に対応していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項6】
係止領域(22,24)がそれぞれ1つの係合ノーズ部(22.1,24.1)を備えており、該係合ノーズ部(22.1,24.1)が、係止箇所において、収容要素(30)の係合開口部(36,38)に係合することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項7】
操作手段(40)が押圧ボタン(42)を備えており、該押圧ボタン(42)にはそれぞれ1つの拡径輪郭部(44.1,46.1)を有する少なくとも2つの係止解除領域(44,46)が配置されており、該係止解除領域は、係止解除箇所において係止領域(22,24)を互いへ向けて変形させるのに適していることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の装置(10)。
【請求項8】
係止領域(22,24)がそれぞれ1つの末端部(22.2,24.2)を備えており、係合開口部(34)への操作手段(40)の係合時に、拡径輪郭部(44.1,46.1)が末端部(22.2,24.2)に接触することを特徴とする請求項7に記載の装置(10)。
【請求項9】
係止解除箇所へ向けた操作方向(R)に沿った操作手段(40)の変位時に、末端部(22.2,24.2)が拡径輪郭部(44.1,46.1)に沿って移動するように拡径輪郭部(44.1,46.1)が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の装置(10)。
【請求項10】
係合開口部(34)への係合時に拡径輪郭部(44.1,46.1)が少なくとも部分範囲において操作方向(R)に対して傾斜しているよう操作手段(40)が形成されていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の少なくとも1つの装置(10)を含む原動機付き車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機付き車両のウィンドウガラスワイパーシステム用のワイパーアームとワイパーブレードを結合するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原動機付き車両用の従来のウィンドウガラスワイパーシステムは、典型的には原動機付き車両に固定されたワイパーアームを含んでいる。当該ワイパーアームには、同様に、交換可能なワイパーブレードがアダプタを用いて固定されている。公知の実施形態では、ワイパーブレード及びアダプタはアセンブリを形成することが可能である。このために、ワイパーブレードはアダプタと結合され、アダプタは、アダプタ収容部においてワイパーアームに取外し可能に固定されることが可能である。
【0003】
このような標準ワイパーシステムのための公知の固定は、トップロック係止である。アダプタ収容部は、当該固定態様ではしばしば「スライダ」とも呼ばれる。ここで、アダプタを用いて固定されたワイパーブレードをワイパーアームから係止解除するために、ワイパーブレードのアダプタは、窓ガラスから反対へ向いた上側において押圧ボタンを備えている。
【0004】
加えて、近年では、ワイパーアームは、ウィンドウガラスの直接的な湿式洗浄用の湿式アームシステムへ更に開発された。ここで、ワイパーアームには、例えば洗浄液を供給するためのホース及び統合された洗浄ノズルが配置されている。
【0005】
しかし、機能上の理由から、当該洗浄ノズル及びホースは、好ましくはカバーキャップによって覆われるべきである。このとき、当該カバーキャップはワイパーアーム全体にわたって延在しており、これにより、トップロック係止解除ボタンへのアクセスが防止される。加えて、カバーキャップは、窓ガラスへ向いた下側へ向いたアダプタ収容部の下側において係合手段を介して固定され、これにより、ワイパーブレードの交換に際しての取扱性が大幅に困難となってしまう。この理由から、湿式アームワイパーシステムでは、ワイパーブレードの係止解除のために他のコンセプトが必要である。
【0006】
湿式アームを有さない上述の標準ワイパーシステムについては、特許文献1から、アダプタを用いたワイパーアームとワイパーブレードの間の係止部が知られており、当該係止部は、アダプタ収容部の外部に配置された、押圧ボタンを有する弾性的な係止アームを備えている。しかしながら、係止手段あるいは係止解除手段としての弾性的な係止アームは、大きな負荷においてはすぐに破壊し得るという欠点を有している。加えて、係止手段あるいは係止解除手段は多数の構成部材を備えており、当該構成部材は、より大きなコスト及び困難な操作をもたらすものである。
【0007】
標準ワイパーシステム用の類似の係止機構が特許文献2からも知られている。
【0008】
湿式アームワイパーシステム用については、特許文献3から多種多様な係止機構が知られている。とりわけ、特許文献3の
図1には、フック、側方のピンを有するアーム、押圧ボタン/スライダを有するアーム及びクランプタブを有するアームによる様々な実施形態が挙げられている。しかし、当該係止機構は、好ましいカバーキャップの使用を妨げるものである。なぜなら、カバーキャップは、上述のようにワイパーアーム全体にわたって延在すべきであるためである。加えて、係止手段あるいは係止解除手段も、取扱性を困難にし、過剰な負荷において容易に破壊される小さなフック、ピン、アーム及びクランプタブに頼っているという問題を抱えている。ここでも、係止手段あるいは係止解除手段は多数の構成部材を備えており、当該構成部材は、より大きなコスト及び困難な操作をもたらすものである。
【0009】
同様に、湿式アームワイパーシステムについて、スライダを用いた係止も特許文献4から知られている。当該スライダも、好ましいカバーキャップの使用を阻害するものである。加えて、対応する凹部へのロック突起部の設定された挿入により、取扱が困難となる。なぜなら、ロック突起部は、スライダによって覆われており、したがってユーザにとって視認できないためである。同様に、係止手段あるいは係止解除手段の多くの構成部材が必要であり、当該多くの構成部材により、より大きなコスト及び困難な操作が生じてしまう。
【0010】
まとめると、ワイパーアームとワイパーブレードを結合するための公知の装置では、過負荷時に係合手段あるいは係合解除手段が容易に破壊されることがあり、小さな係止手段あるいは係止解除手段の使用によって取扱が困難となっている。このとき、公知の係止手段あるいは係止解除手段の多数の構成部材は、製品コスト及び製造コストの上昇にもつながってしまう。加えて、公知の装置は、湿式アームを有さない標準ワイパーシステムにおける使用にも、またカバーキャップを有する湿式アームシステムにおける使用にも不適である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0031151号明細書
【特許文献2】仏国特許出願公開第3091237号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2015/0013095号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102010052314号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そのため、本発明の基礎となる課題は、容易な操作が可能であり、過負荷時の係止手段あるいは係止解除手段の破壊を防止する、原動機付き車両のウィンドウガラスワイパーシステム用のワイパーアームとワイパーブレードを結合するための安価で確実な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
当該課題の本発明による解決は、独立請求項の特徴によって行われる。本発明の有利な発展構成は、従属請求項から明らかである。
【0014】
当該課題は、本発明により、原動機付き車両のウィンドウガラスワイパーシステム用のワイパーアームとワイパーブレードを結合するための装置であって、ワイパーブレードと結合可能に構成されたアダプタと、ワイパーアームと結合可能に構成され、アダプタを収容するためのアダプタ開口部を備えた収容要素とを含み、アダプタが、互いへ向けて変形可能な少なくとも2つの係止領域を備えており、該係止領域は、係止箇所においてアダプタを収容要素と係止させるように構成されており、係止領域の係止解除のための操作手段を含み、係止解除箇所では、操作手段が収容要素の係合開口部へ係合し、このとき、アダプタがアダプタ開口部を通して取出し可能であるように、操作手段によって2つの係止領域が互いへ向けて変形する装置によって解決される。
【0015】
係合開口部への操作手段の係合により、互いへ向けて変形可能な2つの係止領域は、ユーザの操作のみによって同時に互いへ向けて変形することができ、これにより、取扱いが大幅に容易となる。加えて、係止及び係止解除に必要な力が少なくとも2つの係止領域へ分配され、これにより、装置の耐久性が全体として高められる。さらに、本発明による装置では、アダプタが係止領域にわたって二倍にアダプタ収容部で係止されており、係止の確実性が大幅に改善される。さらに、装置は、いくつかの構成部材のみを備えているため、安価に製造可能である。
【0016】
特に好ましい構成では、操作手段が操作方向に沿って操作可能であり、操作方向に対して垂直な両係止領域の間の間隔について、係止解除箇所での間隔よりも係止箇所での間隔が大きい。したがって、両係止領域間の間隔を、操作方向に沿った操作手段の移動のみによって容易な態様で低減することが可能である。このとき、上記間隔は、アダプタがアダプタ開口部を通して取出し可能であるように低減される。
【0017】
別の特に好ましい実施形態では、係合開口部が本発明による装置の端面側に配置されている。当該配置構造は、湿式アームを有さない標準ワイパーシステムにおける使用も、またカバーキャップを有する湿式アームシステムにおける使用も可能とするものである。係合開口部の当該端面側の配置によって、カバーキャップは、係合開口部において始まり残りのワイパーアームにわたって延在することが可能である。この場合、公知のトップロック係止では覆われることができない範囲を覆うことが可能である。好ましくは、当該実施形態では、装置は細長く形成されている。ここで、更に好ましくは、係合開口部は、収容要素の結合側とは反対に配置されており、結合側では、収容要素がワイパーアームに結合されている。
【0018】
一実施形態では、係止領域のうち少なくとも1つがくさび状の断面を有している。これにより、装置は、操作時に作用する力に対して特に良好な耐久性を有する。このとき、係止領域のテーパ状の端部は操作手段に結合されており、くさび形状により係止領域の耐破壊性が高められる。
【0019】
別の一実施形態では、アダプタ開口部が係合開口部に相当する。1つのみの開口部が必要となるため、装置の製造も、また取扱いも更に容易となる。
【0020】
好ましい一実施形態では、係止領域はそれぞれ1つの係合ノーズ部を備えており、当該係合ノーズ部は、係止箇所において、収容要素の係合開口部に係合する。収容要素の係合開口部との係止領域の係合により、アダプタと収容要素の間の確実かつ良好に取外し可能な結合が保証される。
【0021】
特に好ましい一構成では、操作手段が押圧ボタンを備えており、該押圧ボタンにはそれぞれ1つの拡径輪郭部を有する少なくとも2つの係止解除領域が配置されており、該係止解除領域は、係止解除箇所において係止領域を互いへ向けて変形させるのに適している。このとき、拡径輪郭部は、押圧ボタンの操作あるいは移動によって係止領域が互いへ向けて変形するように形成されている。したがって、特に効率的な係止解除が保証される。
【0022】
別の一実施形態では、係止領域は、それぞれ1つの末端部を備えている。この場合、係合開口部への操作手段の係合時には、拡径輪郭部が末端部に接触する。当該接触により、係止領域を互いへ向けて変形させるために操作手段から係止領域への力の伝達が特に容易に可能となる。
【0023】
特に好ましくは、このとき、係止解除箇所へ向けた操作方向に沿った操作手段の変位時に、末端部が拡径輪郭部に沿って移動するように拡径輪郭部が形成されている。したがって、係止領域は、係止解除箇所のために特に容易に互いへ向けて変形することが可能である。
【0024】
別の実施形態では、係合開口部への係合時に拡径輪郭部が少なくとも部分範囲において操作方向に対して傾斜しているよう操作手段が形成されている。これにより、各末端部が対応する拡径輪郭部において沿うように変位することができ、これにより、係止領域は、互いへ向けて、及び操作方向へ向けて変形する。これにより、良好にコントロール可能な係止領域の変形が保証される。
【0025】
このとき、収容要素は、本発明の全ての実施形態においてワイパーアームと一体的に結合されることが可能である。一体的な形成あるいは結合によって、安価なウィンドウガラスワイパーシステムを提供することが可能である。これに代えて、収容要素及びワイパーアームを二部材で形成することが可能である。この場合、好ましくは、これら部材は、取外し可能に互いに結合されている。そして、モジュール式の構造により、様々なワイパーアームに対する本発明による装置の使用が簡易化される。
【0026】
上記課題は、上記開示した装置のうち少なくとも1つを備えた原動機付き車両によっても同様に解決される。上述の利点は十分に当てはまる。
【0027】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】係止箇所での本発明による装置の一実施形態の概略的な断面図である。
【
図2】係止解除箇所での本発明による装置の一実施形態の概略的な断面図である。
【
図3】
図2に類似した係止解除箇所での本発明による装置の一実施形態の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1には、原動機付き車両のウィンドウガラスワイパーシステム用のワイパーアームとワイパーブレードを結合するための本発明による装置10が示されている。ここで、装置10は、アダプタ20と、収容要素30と、操作手段40とを含んでいる。ここで、
図1には、アダプタ20が収容要素30と係止されている装置10の係止箇所が示されている。アダプタ20にはウィンドウガラス洗浄のためのワイパーブレードを固定することができるが、これは、単純化のために
図1には示されていない。
【0030】
図1に概略的に示されているように、収容要素30は、ワイパーアーム50と一体的に形成されるようにワイパーアーム50に結合されることが可能である。したがって、収容要素30は、ワイパーアーム50の1つの構成要素を形成している。しかし、収容要素30及びワイパーアーム50が二部材で形成されることも考えられる。この場合、好ましくは、これら部材は、取外し可能に互いに結合されている。ワイパーアーム50は、原動機付き車両における端部に固定されているとともに、公知の駆動手段によって、ウィンドウガラス洗浄のためにワイパー動作において駆動される(不図示)。
【0031】
好ましくは、収容要素30におけるアダプタ20の正しい係止箇所をユーザがより容易に見つけることができるように、収容要素30は、当該収容要素30においてアダプタ20の移動を制限するためのストッパ30.1を備えている。
【0032】
図1において見て取れるように、収容要素30は、好ましくは中空状に形成されているとともに、アダプタ20を収容するように構成されている。このとき、アダプタ20は、アダプタ開口部32を通して収容要素30内へ押し込まれることが可能である。
図1には、例えば細長く形成された装置10の1つの端面側12にアダプタ開口部32が配置されている実施形態が図示されている。端面側12は、好ましくは、装置10の収容要素30がワイパーアーム50と結合されているワイパーアーム側14とは反対側にある。
【0033】
他の一実施形態では、アダプタ開口部32が装置10の下側16に配置されていることも考えられ、装置10が車両に取り付けられている場合に、下側16が原動機付き車両の車両ウィンドウガラスへ向いている。そして、アダプタ20を挿入し、あるいは取り出すために、ワイパーアーム50をウィンドウガラスから持ち上げる必要がある。
【0034】
アダプタ20に関連して、両係止領域22,24が力の作用の下で互いへ向けて変形可能であることが特に重要である。好ましくは、係止領域22,24は互いに対向しており、これにより、この種の変形が容易となる。好ましくは、係止領域22,24は、全ての実施形態において弾性的に変形可能である。
【0035】
さらに、アダプタ20が、第1の係合ノーズ部22.1及び第1の末端部22.2を有する少なくとも1つの第1の係止領域22と、第2の係合ノーズ部24.1及び第2の末端部24.2を有する第2の係止領域24とを備えていることが
図1において見て取れる。ここで、末端部22.2,24.2は、装置10の端面側12へ向いている。
図1に示された係合箇所では、第1の係合ノーズ部22.1が第1の係合開口部36に係合する。これに対応して、第2の係合ノーズ部24.1は第2の係合開口部38に係合する。少なくとも当該係合によって、アダプタ20は、収容要素30と係止されている。このとき、上述のように収容要素30と係合した追加的な係止領域が存在することが考えられる。
【0036】
図1に示された係止箇所では、2つの係止領域22,24は互いへ向けて変形されていないとともに、互いに対して係止間隔d
1を有している。このとき、係止間隔d
1は、両係止領域22,24の間で操作手段40の操作方向Rに対して垂直に延びている。
【0037】
さらに、係止領域22,24がくさび状の断面を有していることが
図1において見て取れ、くさび形状の基部にはアダプタ本体部20.1が配置されているとともに、くさび形状は、末端部22.2,22.4へ向けて先細となっている。これにより、係止領域22,24の互いへ向いた特に耐久性のある変形が可能となる。
【0038】
好ましくは、アダプタ20は一部材で形成されている。しかし、アダプタの上述の要素が個別の構成部材で構成され、組み立てられることも考えられる。
【0039】
全ての実施形態では、更に、アダプタ20は、係止領域22あるいは24がその係合ノーズ部22.1あるいは24.1によって規定されるように、係止領域22,24が末端部22.2,24.2において周囲で互いに結合されているように形成されることが可能である。
図1において係止解除方向Rに沿って見ると、周囲の境界線が現れる(不図示)。しかし、係止領域22,24がアダプタ20における凹部を用いて互いに分離されていることも考えられる。
【0040】
アダプタ20の係止解除のために、収容要素30は係合開口部34を備えている。好ましくは、当該係合開口部は、収容要素30の端面側12に配置されている。係合開口部34は、係止箇所において、操作手段40が
図1に示されているように第1の操作箇所における収容要素30へ係合するように構成されている。第1の操作箇所では、操作手段が収容要素30に係合して配置されており、係止領域22,24は、操作手段40によってまだ互いへ向けて変形されていない。操作手段40は、第1の操作箇所において例えば収容要素30に取外し可能に係止されることが可能である。
【0041】
操作手段40は、
図1において見て取れるように、本体要素として押圧ボタン42を備えており、当該押圧ボタンには、第1の拡径輪郭部44.1を有する第1の係止解除領域44と、第2の拡径輪郭部46.1を有する第2の係止解除領域46とが配置されている。
【0042】
図2には、装置10の係止解除箇所が図示されている。このために、操作手段40は、操作方向Rに沿って収容要素30内へ更に移動する。係止解除箇所において、係止解除領域44,46を有する操作手段40は、
図2に示されているように第2の操作箇所において収容要素30の係合開口部34に係合する。係止解除箇所に到達している、操作手段40の当該第2の操作箇所では、係止領域22,24は、操作手段40によって互いへ向けて変形している。
【0043】
図1において見て取れるように、拡径輪郭部44.1は、第2の操作箇所の到達前に既に対応する末端部22.2に接触し、同様に、拡径輪郭部46.1も対応する末端部24.2に接触する。操作方向Rに沿った第1の操作箇所から第2の操作箇所へ向けた操作手段40の変位によって、末端部22.2は、拡径輪郭部44.1に沿って移動する。同様に、末端部24.2も拡径輪郭部46.1に沿って移動する。したがって、係止領域22,24は、同時に、かつ、操作手段40の唯一の変位のみによって互いへ向けて変形する。
【0044】
好ましくは、操作手段40は、係合開口部34への係合時に拡径輪郭部44.1,46.1が少なくとも部分範囲において操作方向Rに対して傾斜するように形成されている。これにより、変形が容易となるか、あるいは係止領域22,24の互いへ向いたあらかじめ規定された変形が可能となる。
【0045】
図2において見て取れるように、第2の操作箇所あるいは係止解除箇所において、末端部22.2,24.2が各拡径輪郭部44.1あるいは46.1の傾斜した部分範囲とは別の部分範囲に接触することも考えられる。ここでは、末端部22.2,24.2は、例えば取外し可能に操作手段40に結合されることが可能である。このために、係合が考えられる。当該別の部分範囲では、拡径輪郭部44.1あるいは46.1は、例えば操作方向に対して垂直に向けられることが可能である。
【0046】
このとき、係止解除箇所では係合ノーズ部22.1,24.1が拡径輪郭部44.1あるいは46.1の傾斜した部分範囲に接触することも考えられる。これにより、係止解除箇所における両係止領域22,24の互いへ向いた変形をより良好に確保することが可能である。
【0047】
係合解除箇所では2つの係止領域22,24が互いへ向けて変形されているため、当該係止領域は、互いに対して、係止間隔d1よりも小さな係止解除間隔d2を有している。このとき、係止解除間隔d2は、両係止領域22,24の間で操作手段40の操作方向Rに対して垂直に延びている。
【0048】
これにより、一方では、係止解除箇所において両係合ノーズ部22.1,24.1が各係合開口部36,38から解除される。他方では、アダプタ20を収容要素30から取出し可能であるように当該アダプタ20が係止解除箇所において変形している。
【0049】
当該取出しは、例えば
図3に示されている。
図3に示された実施形態では、アダプタ開口部32が係合開口部34に相当する。このとき、係止解除間隔d
2は、アダプタ20がその係止解除箇所においてアダプタ開口部32あるいは係合開口部34を通して装置10の端面側12で取出し可能であるように選択されている。このとき、操作手段40は、係止領域22,24が互いへ向けて変形しているその第2の操作箇所にとどまる。
【0050】
反対に、アダプタ20が係止解除箇所で取付のためにアダプタ開口部32を通して収容要素30へ押し込まれることができることも考えられる。ここで、好ましくは、アダプタ20は、操作手段40によってその第2の操作箇所において押し込まれる。しかし、アダプタ20が係止箇所において収容要素30へ押し込まれ、アダプタ20が完全に収容要素30へ収容されることができるように、係止領域20,24が、アダプタ開口部32によってのみ互いへ向けて変形されることも考えられる。
【0051】
しかし、例えばアダプタ開口部32が装置10の下側16に配置され、係合開口部が装置10の端面側12に配置される場合に、アダプタ開口部32が係合開口部34に対して異なっていることも考えられる。この場合、アダプタ20は、その係止解除箇所において、装置10の下側16におけるアダプタ開口部32を通して取り出されることが可能である。
【0052】
基本的に、係止領域22,24の間の復元力をもたらすために、全ての実施形態において、装置10にバネ要素60をオプションで設けることが可能である。オプションのバネ要素は、
図1~
図3に示されているように、好ましくは係止領域22,24の間に配置されている。復元力は、一方では、係合ノーズ部20と収容要素30の間の係合の強さを高めるために寄与し、これにより、アダプタ20が収容要素30においてより良好に固定されている。他方で、係止領域22,24は、当該係止領域が上述のようにあらかじめ互いへ向けて係止解除箇所へ変形している場合に、信頼性をもって係止箇所へ戻ることが可能である。
【0053】
アダプタ10、収容要素30、操作手段40及びオプションのバネ要素60は、好ましくは、上述の係止、変形及び/又はバネ作用を可能とする合成樹脂及び/又は金属で形成されている。
【符号の説明】
【0054】
10 装置
12 端面側
14 ワイパーアーム側
16 下側
20 アダプタ
20.1 アダプタ本体部
22 第1の係止領域
22.1 第1の係合ノーズ部
22.2 第1の末端部
24 第2の係止領域
24.1 第2の係合ノーズ部
24.2 第2の末端部
30 収容要素
30.1 ストッパ
32 アダプタ開口部
34 係合開口部
36 第1の係合開口部
38 第2の係合開口部
40 操作手段
42 押圧ボタン
44 第1の係止解除領域
44.1 第1の拡径輪郭部
46 第2の係止解除領域
46.1 第2の拡径輪郭部
50 ワイパーアーム
60 バネ要素
R 操作方向
d1 係止間隔
d2 係止解除間隔
【国際調査報告】