(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】気体センサを含むエアロゾル発生装置及び関連するエアロゾル発生アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/51 20200101AFI20240827BHJP
A24F 40/485 20200101ALI20240827BHJP
A24F 40/53 20200101ALI20240827BHJP
A24F 40/65 20200101ALI20240827BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F40/485
A24F40/53
A24F40/65
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576422
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2022071553
(87)【国際公開番号】W WO2023012104
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 顕
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC34
4B162AC42
4B162AC50
4B162AD20
4B162AD41
(57)【要約】
エアロゾル発生装置(12)は、気化可能材料を貯蔵している消耗品を収容するように構成された貯蔵部(20)であって、開放端部(30)と底端部(32)との間を装置軸(X)に沿って延びる貯蔵部(20)と、消耗品が貯蔵部(20)内にあるときに、貯蔵部(20)の少なくとも一部分を加熱して、開放端部(30)上にエアロゾルを形成するように構成された第1の加熱システム(60)と、気体センサ(36)を含む気体検知区画(22)と、を含み、貯蔵部(20)は、ベイピングモードでは、ベイピング流入口(26)から消耗品内を通して開放端部(30)までベイピング流を伝導するように構成されており、貯蔵部(20)は、検知モードでは、開放端部(30)から気体検知区画(22)まで吐出流を伝導するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置(12)であって、
気化可能材料を貯蔵している消耗品(14)を収容するように構成された貯蔵部(20)であって、開放端部(30)と底端部(32)との間を装置軸(X)に沿って延びる前記貯蔵部(20)と、
前記消耗品(14)が前記貯蔵部(20)に収容されているときに、前記貯蔵部(20)の少なくとも一部分を少なくとも第1の温度まで加熱して、前記開放端部(30)上にエアロゾルを形成するように構成された第1の加熱システム(60)と、
前記貯蔵部(20)と流体連通していることが可能であって、少なくとも気体を検知する気体センサ(36)を含む気体検知区画(22)と、
を含み、
前記貯蔵部(20)は、ベイピングモードでは、ベイピング流入口(26)から前記消耗品(14)内を通して前記開放端部(30)までベイピング流を伝導するように構成されており、
前記貯蔵部(20)は、検知モードでは、前記開放端部(30)から前記気体検知区画(22)まで吐出流を伝導するように構成されている、
エアロゾル発生装置(12)。
【請求項2】
前記気体検知区画(22)と前記貯蔵部(20)との間に配置された検知弁(50)を更に含み、
前記検知弁(50)は、前記気体検知区画(22)が前記貯蔵部(20)と流体連通している開位置と、前記気体検知区画(22)が前記貯蔵部(20)から隔離されている閉位置との間で可動であり、
前記検知弁(50)は、前記検知モードでは前記開位置にあり、前記ベイピングモードでは前記閉位置にある、
請求項1に記載のエアロゾル発生装置(12)。
【請求項3】
前記ベイピング流入口(26)と前記貯蔵部(20)との間に配置されたベイピング弁(52)を更に含み、
前記ベイピング弁(52)は、前記ベイピング流入口(26)が前記貯蔵部(20)と流体連通している開位置と、前記ベイピング流入口(26)が封止されている閉位置との間で可動であり、
前記ベイピング弁(52)は、前記ベイピングモードでは前記開位置にあり、前記検知モードでは前記閉位置にある、
請求項1又は2に記載のエアロゾル発生装置(12)。
【請求項4】
制御モジュール(66)及びスイッチシステム(68)を更に含み、前記制御モジュール(66)は、前記検知モードと前記ベイピングモードとの間で前記装置(12)を制御するように構成されており、前記スイッチシステム(68)は、ユーザが前記制御モジュール(66)に命令するためにマニピュレートするように設計されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(12)。
【請求項5】
前記貯蔵部(20)は、前記開放端部(30)を通して前記消耗品(14)を受け入れるように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(12)。
【請求項6】
前記貯蔵部(20)は、前記検知モードでは、前記貯蔵部(20)に消耗品(14)がないときに前記吐出流を伝導するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(12)。
【請求項7】
前記ベイピング流入口(26)は、前記貯蔵部(20)の前記底端部(32)に配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(12)。
【請求項8】
前記第1の加熱システム(60)は更に、前記検知モードでは、前記貯蔵部(20)を通る前記吐出流を少なくとも第2の温度まで加熱するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(12)。
【請求項9】
前記検知モードにおいて、前記気体検知区画(22)に入る前記吐出流を少なくとも第2の温度まで加熱するように構成された第2の加熱システム(62)を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(12)。
【請求項10】
前記第1の加熱システム(60)及び/又は前記第2の加熱システム(62)は中空の円筒状構成要素を含み、前記検知モードでは、前記吐出流は前記円筒状構成要素を通り抜けて前記気体センサ(36)に向かって流れる、請求項8又は9に記載のエアロゾル発生装置(12)。
【請求項11】
前記円筒状構成要素は、半径方向の内側から外側にかけて、炭化水素充填材が充填されたテフロン層と、銅層と、ヒータフィルムとを含む、請求項10に記載のエアロゾル発生装置(12)。
【請求項12】
前記第2の温度は、前記吐出流からの少なくとも1つの所定成分の隔離を引き起こすように選択され、前記第2の温度は、好ましくは80℃~100℃であり、有利にはほぼ90℃に等しい、請求項8~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(12)。
【請求項13】
前記気体センサ(36)に接続された通信モジュール(70)を更に含み、前記気体センサ(36)は、前記吐出流を表す検知データを生成するように構成されており、前記通信モジュール(70)は、前記検知データを外部装置(1)に送信するように構成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(12)。
【請求項14】
前記気体センサ(36)で検知される前記気体は、アセトン、二酸化炭素、及びエタノールからなる群から選択される成分を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(12)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(12)と、
前記エアロゾル発生装置(12)とともに動作するように構成された消耗品(14)と、
を含むエアロゾル発生アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生装置に関する。
【0002】
本発明はまた、そのようなエアロゾル発生装置及び消耗品を含むエアロゾル発生アセンブリにも関する。
【背景技術】
【0003】
様々なタイプのエアロゾル発生装置が当該技術分野において既に知られている。一般に、そのようなエアロゾル発生装置は、気化可能材料を貯蔵すること、又はそのような気化可能材料を貯蔵する消耗品を収容することのための貯蔵部を含む。気化可能材料は、例えば、液体又は固体を含んでよい。加熱システムは、その気化可能材料を加熱してエアロゾルを発生させるように構成された1つ以上の電気作動抵抗性加熱素子から形成される。エアロゾルは、エアロゾル発生装置の入口と出口との間に延びる流路内に放出される。
【0004】
一般に、エアロゾル発生装置は、ユーザが携帯しやすいように設計されている。典型的には、ユーザは、エアロゾル発生装置を、いつでも使用できるように一日のほとんどの時間にわたって携帯している。
【0005】
典型的には、そのようなエアロゾル発生装置は、一日を通してたびたび使用される。例えば、喫煙者は、そのような装置を休憩中や食後によく使用するが、それは、例えば、リラックスしてストレス及び/又は不安を軽減するためである。これらの装置が使用されるのは、ユーザの心身の健康状態が変化したとき又は変化した後である。しかしながら、ユーザは、その変化の程度をほとんど実感できない。
【0006】
その変化を監視することは、ユーザが自身の身体状態や心理状態をよりよく知ることに大いに役立ちうるであろう。そこで、ユーザの心身の健康状態に関するデータをユーザに提供する簡単な方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の1つは、エアロゾル発生装置のユーザの健康状態に関するよりよい情報を提供するエアロゾル発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明は、エアロゾル発生装置であって、
気化可能材料を貯蔵している消耗品を収容するように構成された貯蔵部であって、開放端部と底端部との間を装置軸に沿って延びる貯蔵部と、
消耗品が貯蔵部に収容されているときに、貯蔵部の少なくとも一部分を少なくとも第1の温度まで加熱して、開放端部上にエアロゾルを形成するように構成された第1の加熱システムと、
貯蔵部と流体連通していることが可能であって、少なくとも気体を検知する気体センサを含む気体検知区画と、
を含み、
貯蔵部は、ベイピングモードでは、ベイピング流入口から消耗品内を通して開放端部までベイピング流を伝導するように構成されており、
貯蔵部は、検知モードでは、開放端部から気体検知区画まで吐出流を伝導するように構成されている、
エアロゾル発生装置に関する。
【0009】
エアロゾル発生装置は、1日のうちの、ユーザの代謝に特定の変化が生じる特定の短時間の間に使用される。例えば、ユーザは、代謝が激しく変化する食後にエアロゾル発生装置を使用することがある。ユーザは、休憩中にリラックスするために装置を使用することがある。感情や気分もユーザの代謝に影響を及ぼす。少なくとも、ユーザが吐き出す気体を検知するために、装置の気体センサが使用される。例えば、エアロゾル発生装置は、ユーザの代謝を解析する方法を提供し、それに関する情報を提供する。ユーザの代謝パラメータを監視することは、非常に重要な情報をユーザに提供し、ユーザがそれに応じた行動を起こすことを可能にすることによって、ユーザの心身の健康状態を向上させることに大いに役立つ。
【0010】
幾つかの実施形態によれば、エアロゾル発生装置は更に、気体検知区画と貯蔵部との間に配置された検知弁を含み、
検知弁は、気体検知区画が貯蔵部と流体連通している開位置と、気体検知区画が貯蔵部から隔離されている閉位置との間で可動であり、
検知弁は、検知モードでは開位置にあり、ベイピングモードでは閉位置にある。
【0011】
幾つかの実施形態によれば、エアロゾル発生装置は更に、ベイピング流入口と貯蔵部との間に配置されたベイピング弁を含み、
ベイピング弁は、ベイピング流入口が貯蔵部と流体連通している開位置と、ベイピング流入口が封止されている閉位置との間で可動であり、
ベイピング弁は、ベイピングモードでは開位置にあり、検知モードでは閉位置にある。
【0012】
これらの機能のおかげで、装置は、典型的なベイピングモードと、ユーザが吐き出した気体を装置が解析する検知モードとの間で使用可能である。このシンプルな流体回路により、装置は、シンプルな方法で両モード間で切り替わることが可能である。
【0013】
幾つかの実施形態によれば、エアロゾル発生装置は更に、制御モジュール及びスイッチシステムを含み、制御モジュールは、検知モードとベイピングモードとの間で装置を制御するように構成されており、スイッチシステムは、ユーザが制御モジュールに命令するためにマニピュレートするように設計されている。
【0014】
これらの機能のおかげで、ユーザは所望のモードを容易に選択することが可能である。
【0015】
幾つかの実施形態によれば、貯蔵部は、開放端部を通して消耗品を受け入れるように構成されている。
【0016】
幾つかの実施形態によれば、検知モードでは、貯蔵部に消耗品がないときに吐出流を伝導するように構成されている。
【0017】
幾つかの実施形態によれば、ベイピング流入口は、貯蔵部の底端部に配置されている。
【0018】
これらの機能のおかげで、エアロゾル発生装置の共通部品が、吐出流を気体検知区画に運ぶことに使用される。装置の製造は容易なままである。
【0019】
幾つかの実施形態によれば、第1の加熱システムは更に、検知モードでは、貯蔵部を通る吐出流を少なくとも第2の温度まで加熱するように構成されている。
【0020】
幾つかの実施形態によれば、エアロゾル発生装置は更に、検知モードにおいて、気体検知区画に入る吐出流を少なくとも第2の温度まで加熱するように構成された第2の加熱システムを含む。
【0021】
これらの機能のおかげで、気体センサによって実施される解析をより容易にするために吐出流が加熱される。
【0022】
幾つかの実施形態によれば、第1の加熱システム及び/又は第2の加熱システムは中空の円筒状構成要素を含み、検知モードでは、吐出流は円筒状構成要素を通り抜けて気体センサに向かって流れる。
【0023】
幾つかの実施形態によれば、円筒状構成要素は、半径方向の内側から外側にかけて、炭化水素充填材が充填されたテフロン層と、銅層と、ヒータフィルムとを含む。
【0024】
これらの機能のおかげで、加熱システムはなおもシンプル且つ効率的である。中空の円筒状構成要素は、吐出流を気体センサまで運ぶ回路の一部を占める。銅層は、ヒータフィルムによって発生した熱の良好な熱伝導を可能にする。
【0025】
幾つかの実施形態によれば、第2の温度は、吐出流からの少なくとも1つの所定成分の隔離を引き起こすように選択され、第2の温度は、好ましくは80℃~100℃であり、有利にはほぼ90℃に等しい。
【0026】
これらの機能のおかげで、センサによって実施される解析は、(例えば、特定の気体成分に関しては)可能な限り正確である。
【0027】
幾つかの実施形態によれば、エアロゾル発生装置は更に、気体センサに接続された通信モジュールを含み、気体センサは、吐出流を表す検知データを生成するように構成されており、通信モジュールは、その検知データを外部装置に送信するように構成されている。
【0028】
これらの機能のおかげで、エアロゾル発生装置で生成された検知データは外部装置に運ばれる。例えば、そのデータは、その後、ユーザが自身の代謝に関する情報を確認できるように、簡単な方法で表示される。
【0029】
幾つかの実施形態によれば、気体センサで検知される気体は、アセトン、二酸化炭素、及びエタノールからなる群から選択される成分を含む。
【0030】
これらの機能のおかげで、ユーザは、人間の代謝の重要な構成要素に関する情報にアクセスすることが可能である。
【0031】
本発明はまた、
上述のようなエアロゾル発生装置と、
そのエアロゾル発生装置とともに動作するように構成された消耗品と、
を含むエアロゾル発生アセンブリに関する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明によるエアロゾル発生装置と、外部装置とを示す図であり、エアロゾル発生装置が検知モードにあって、検知データを外部装置に送信している様子を示す図である。
【
図2】本発明によるエアロゾル発生アセンブリの断面図であって、このエアロゾル発生アセンブリは、
図1のエアロゾル発生装置と、この装置の貯蔵部に挿入されている消耗品とを含み、この装置はベイピングモードにある、断面図である。
【
図3】消耗品がない、
図2のエアロゾル発生装置の断面図であって、この装置は検知モードにある、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明について説明する前に、本発明は、以下の説明で記述される構造の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践又は実行されることは、本開示の利益を享受する当業者に明らかであろう。
【0034】
本明細書では「エアロゾル発生装置」又は「装置」という用語は、エアロゾル発生ユニットによって、ベイピング用エアロゾルを含むエアロゾルをユーザに送達するベイピング装置を包含しうる(エアロゾル発生ユニットは、例えば、エアロゾル発生要素が蒸気を発生させ、その蒸気が凝縮してエアロゾルになり、そのエアロゾルが(例えば、マウスピースにある)装置の出口まで送達されて、ユーザによって吸入される、そのエアロゾル発生要素である)。装置は可搬であってよい。「可搬」は、ユーザが保持して使用する装置を意味してよい。装置は、(例えば、可変時間長にわたってヒータシステムを作動させることにより)(定量のエアロゾルとは対照的に)可変量のエアロゾルを発生させるように適合されてよく、その発生はトリガで制御されてよい。トリガは、ベイピングボタン及び/又は吸入センサのように、ユーザが作動させるものであってもよい。吸入センサは、可変量の蒸気が提供されることを可能にするために吸入強度並びに吸入継続時間に対して高感度であってよい(これは、タバコ、葉巻、又はパイプ等のような従来の可燃性喫煙物品の喫煙効果を模倣するためである)。装置は、ヒータ及び/又は加熱されたエアロゾル発生物質(エアロゾル前駆体)の温度を特定の目標温度まで駆動し、その後、エアロゾルの効率的な発生を可能にする目標温度で温度を維持するための温度調節制御部を含んでよい。
【0035】
本明細書では「エアロゾル」という用語は、固体粒子、液滴、気体のうちの1つ以上である気化可能材料の浮遊物を包含してよい。その浮遊物は、空気を含む気体の状態であってもよい。本明細書でのエアロゾルは、一般に、蒸気を意味/包含してよい。エアロゾルは、気化可能材料の1つ以上の成分を含んでよい。
【0036】
本明細書では「気化可能材料」又は「前駆体」又は「エアロゾル形成物質」又は「物質」という用語は、エアロゾルを形成するように空気中で気化可能な任意の材料を指すために用いられる。気化は、一般に、400℃未満、好ましくは350℃までの温度などの気化可能材料の沸点までの温度上昇により得られる。気化可能材料は、例えば、エアロゾルを発生させる液体、ゲル、ワックス、発泡体等、エアロゾルを発生させる固体であって、ロッドの形態であってよく、処理済みタバコ材料、再構成タバコ(RTB)の圧着シート又は配向ストリップ、又はこれらの任意の組み合わせを含む固体を含んでよく、又はこれらで構成されてよい。気化可能材料は、ニコチン、カフェイン、又は他の有効成分の1つ以上を含んでよい。有効成分は担体によって運ばれてよく、担体は液体であってよい。担体は、プロピレングリコール又はグリセリンを含んでよい。香料も含まれてよい。香料は、エチルバニリン(バニラ)、メントール、酢酸イソアミル(バナナ油)、又は類似物を含んでよい。
【0037】
本明細書では「外部装置」という用語は、本明細書中で説明するようにエアロゾル発生装置との無線データ接続を確立できる装置を意味してよい。そのような外部装置は、例えば、携帯電話のようなモバイル装置であってよい。更に、そのような外部装置は、エアロゾル発生装置から受信された、又はエアロゾル発生装置に送信されることを意図された、少なくとも幾らかのデータを処理することが可能なスマート装置であってよい。そのようなスマート装置は、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレットコンピュータ、ラップトップ、デスクトップコンピュータ、又は他の任意の(例えば、IoT(「モノのインターネット」)技術に従って実装された)スマートオブジェクトであってよい。
【0038】
図1にエアロゾル発生アセンブリ10を示す。例えば、エアロゾル発生アセンブリ10は、
図1に示すように、外部装置1とともに動作するように設計されている。
【0039】
エアロゾル発生アセンブリ10は、エアロゾル発生装置12と、エアロゾル発生装置12とともに動作するように構成された消耗品14とを含む。
【0040】
消耗品14は、気化可能材料を貯蔵する。
図2に示す特定の例では、消耗品14は、円筒形状と円形又は楕円形の断面とを有するスティック又はタバコロッドである。スティックは、長さが69mm~100mm、径が5mm~8mmであってよい。変形形態として、消耗品14は異なる形状であってよい。例えば、スティックは、既製の紙巻きタバコである。別の例によれば、スティックは、平らな形状と長方形の断面とを有する。更に別の例によれば、消耗品14は、液体形態の気化可能材料を含んでよい。
【0041】
消耗品14は、ユーザの口/唇と接するように設計されたマウスピース部と、気化可能材料を貯蔵するように設計された気化可能材料格納部とを有してよい。この気化可能材料格納部は、ヒータで加熱されるように(これについては後で詳細に説明する)、又は少なくともヒータと流体連通しているように設計されている。ヒータは、気化可能材料を少なくともある加熱温度まで加熱するように構成されており、少なくとも一部分が消耗品14及び/又は装置12に組み込まれていてよい。これらの図の例では、ヒータは全体が装置12に組み込まれている。気化可能材料の加熱温度は、加熱材料の性質に依存し、例えば、400℃未満であってよく、好ましくは200℃~390℃である。より大まかには、固体気化可能材料の場合には、加熱温度は、気化可能材料を燃やさずに加熱だけするように選択される。液体気化可能材料の場合には、加熱温度は、気化可能材料を気化させるように選択される。
【0042】
エアロゾル発生装置12は、軸X(以下「装置軸X」と呼ぶ)に沿って延びている。以下の説明では「長さ」という用語は、装置軸Xに沿って測定される、エアロゾル発生装置12の一要素の寸法を意味する。
【0043】
エアロゾル発生装置12は、ベイピングモードと検知モードとの間で動作するように構成されている。エアロゾル発生装置は、ベイピングモードでは、エアロゾルをユーザに送達するように構成されている。エアロゾル発生装置は、検知モードでは、ユーザが吐き出す吐出流の中の少なくとも気体を検知するように構成されている。これらのモードについてはあとで詳述する。
【0044】
エアロゾル発生装置12は、ケーシング18と、ケーシング18内に配置された内部構成要素とを含む。
【0045】
内部構成要素は、消耗品14を収容するように構成された貯蔵部20と、気体検知区画22と、好ましくは検知流路24であって、検知流路24を介して区画22が貯蔵部20と流体連通することが可能である、検知流路24と、ベイピング流入口26とを含む。
【0046】
貯蔵部20は、開放端部30と底端部32との間を装置軸Xに沿って延びる。
図2に示すように、貯蔵部20は、開放端部30を通して消耗品14を受け入れるように構成されている。具体的に貯蔵部20は、ベイピングモードでは、ベイピング流入口26から消耗品14内を通して開放端部30までベイピング流を伝導するように構成されている。貯蔵部20の長さは、例えば、消耗品14の長さより短く、これにより、消耗品14が貯蔵部20に挿入されたときに消耗品14の口部が開放端部30から突出する。
図3に示すように、貯蔵部20は、検知モードでは、(例えば、貯蔵部20に消耗品14がないときに)開放端部30から気体検知区画22まで吐出流を伝導するように構成されている。具体的には、検知モードにおいて、ユーザは、開放端部30から貯蔵部20内に吐出流を吐き出す。
【0047】
気体検知区画22は、装置軸Xに沿って、装置12の、貯蔵部20の反対側に配置されている。気体検知区画22は、少なくとも気体を検知する気体センサ36を含む。例えば、気体センサ36で検知される気体は、アセトン、二酸化炭素、及びエタノールからなる群から選択される成分を含む。
【0048】
気体センサ36は、吐出流を表す検知データを生成するように構成されている。例えば、その検知データは、検知された気体を表す。その検知データは、有利なことに、吐出流内の気体濃度の情報を含む。
【0049】
検知流路24は、貯蔵部20から気体検知区画まで延びていて、貯蔵部20と気体検知区画22とを流体連通させている。検知モードでは、ユーザが貯蔵部20内に吐き出した吐出流は、貯蔵部20から検知流路24を通って気体検知区画22まで流れる。検知流路24は外周壁39によって画定されており、外周壁39は、検知流路24、第1の横断壁40、及び第2の横断壁42を半径方向に区切っている。
【0050】
第1の横断壁40は、検知流路24を貯蔵部20から隔てており、例えば、装置軸Xにほぼ垂直な面内に広がっている。第1の横断壁40は、少なくとも、貯蔵部20と検知流路24とをつなぐ第1の貫通穴44を提供している。
【0051】
第2の横断壁42は、第1の横断壁40と気体検知区画との間に置かれており、例えば、装置軸Xにほぼ垂直な面内に広がっている。第2の横断壁42は、少なくとも1つの第2の貫通穴46を提供している。
図2及び3の例によれば、第2の横断壁42は、第2の横断壁42の径方向周囲に配置された幾つかの第2の貫通穴46を提供している。
【0052】
ベイピング流入口26は、貯蔵部20と装置12の外側とをつないでいる。
図2及び3に示すように、ベイピング流入口26は、有利なことに、貯蔵部20の底端部32に配置されており、装置12の側方壁上に開いている。ベイピングモードでは、開放端部30においてユーザが空気を吸い込むと、新鮮な空気がベイピング流入口26から貯蔵部20に入る。
【0053】
任意選択で、装置12の内部構成要素は更に、気体検知区画22と貯蔵部20との間に配置された検知弁50と、ベイピング流入口26と貯蔵部20との間に配置されたベイピング弁52とを含む。
【0054】
図2及び3に示すように、検知弁50は、検知流路24を通る流れを制御する。検知弁50は、気体検知区画22が貯蔵部20と流体連通している開位置(
図3)と、気体検知区画22が貯蔵部20から隔離されている閉位置(
図2)との間で可動である。有利なことに、検知弁50は、検知モードでは開位置にあり、ベイピングモードでは閉位置にある。
図2及び3の例によれば、検知弁50は、上方位置(
図2)と下方位置(
図3)との間で装置軸Xに沿って並進可動である栓56を含む。検知弁50が閉位置にあるときには、栓56は上方位置にある。栓56は、上方位置では、第1の横断壁40の第1の貫通穴44を封止して、検知流路24及び気体検知区画22が貯蔵部20から隔離されるようにしている。検知弁50が開位置にあるときには、栓56は下方位置にある。栓56は、下方位置では、第1の貫通穴44から離れて、貯蔵部20が第1の貫通穴44及び各第2の貫通穴46を通して気体検知区画22と連通するようにしている。
【0055】
図2及び3を参照すると、ベイピング弁52は、ベイピング流入口26を通る流れを制御する。ベイピング弁52は、ベイピング流入口26が貯蔵部20と流体連通している開位置(
図2)と、ベイピング流入口26が封止されている閉位置(
図3)との間で可動である。有利なことに、ベイピング弁52は、ベイピングモードでは開位置にあり、検知モードでは閉位置にある。
【0056】
装置12の内部構成要素は更に、第1の加熱システム60と、任意選択の第2の加熱システム62とを含む。
【0057】
第1の加熱システム60は、消耗品14が貯蔵部20に収容されているときに、貯蔵部20の少なくとも一部分を少なくとも第1の温度まで加熱して、開放端部30上にエアロゾルを形成するように構成されている。例えば、第1の温度は、加熱温度にほぼ等しい。有利なことに、第1の加熱システム60は更に、検知モードでは、貯蔵部20を通る吐出流を少なくとも第2の温度まで加熱するように構成されている。例えば、第2の温度は、吐出流からの少なくとも1つの所定成分、即ち、検知された気体からの少なくとも1つの所定成分の隔離を引き起こすように選択される。第2の温度は、好ましくは80℃~100℃であり、有利にはほぼ90℃に等しい。例えば、第1の加熱システム60は、貯蔵部20の周囲の少なくとも一部に配置されている。
【0058】
第2の加熱システム62は、検知モードにおいて、気体検知区画22に入る吐出流を少なくとも第2の温度まで加熱するように構成されている。例えば、第2の加熱システム62は、少なくとも一部分が気体検知区画22内に配置されており、吐出流が気体センサ36に達する前に吐出流を加熱する。一変形形態では、第2の加熱システム62は、少なくとも一部分が検知流路24内に配置されてよい。
【0059】
例えば、第1の加熱システム60及び/又は第2の加熱システム62は中空の円筒状構成要素を含み、検知モードでは、吐出流はこの円筒状構成要素を通り抜けて気体検知区画22に向かって流れる。例えば、第1の加熱システム60及び第2の加熱システム62のそれぞれは、そのような中空の円筒状構成要素を含む。有利なことに、円筒状構成要素は、半径方向の内側から外側にかけて、炭化水素充填材が充填されたテフロン層と、銅層と、ヒータフィルムとを含む。例えば、第1の加熱システム60及び/又は第2の加熱システム62は電気作動抵抗性加熱要素である。
【0060】
図1を参照すると、任意選択で、内部構成要素は、制御モジュール、スイッチシステム、及び通信モジュール(図示せず)を含む。
【0061】
制御モジュール66は、検知モードとベイピングモードとの間で装置12を制御するように構成されている。具体的には、制御モジュール66は、これらのモードのそれぞれにおいて、第1の加熱システム60、及び/又は最終的には第2の加熱システム62の動作を制御するように構成されている。
【0062】
スイッチシステム68は、ユーザが制御モジュール66に命令するためにマニピュレートするように設計されている。例えば、スイッチシステム68は、検知位置とベイピング位置との間で可動なスイッチを含む。スイッチが検知位置にあるときには、スイッチシステム68は、装置12を検知モードにするように制御モジュール66に命令する。スイッチがベイピング位置にあるときには、スイッチシステム68は、装置12をベイピングモードにするように制御モジュール66に命令する。スイッチは、例えば、機械式スイッチ、電子式スイッチ、又は電気機械式スイッチである。有利なことに、スイッチは触覚スイッチである。
【0063】
代替として、スイッチシステム68は、消耗品14が貯蔵部20に収容されているかどうかを検出し、それに応じて、ベイピングモード又は検知モードを自動的に作動させるように構成されてよい。
【0064】
図1に示すように、通信モジュール70は気体センサ36に接続されている。通信モジュール70は、気体センサ36から検知データを受信するように構成されている。通信モジュール70は更に、その検知データを外部装置1に送信するように構成されている。一例として、その検知データを外部装置1に送信することは、Bluetooth経由で実施される。
【0065】
内部構成要素は更に、装置の様々な機能を実施する他の要素を含んでよい。これらの他の要素は本質的に周知であるため、ここでは詳細には説明しない。
【0066】
上述のように、外部装置1は、エアロゾル発生アセンブリ10と(特にエアロゾル発生装置と)通信するように構成されている。例えば、外部装置1はディスプレイシステムを含む。外部装置1は、有利なことに、通信モジュール70から受信された検知データに基づく情報をそのディスプレイシステムに表示するように構成されている。例えば、その情報は、ユーザの代謝率、実施すべき運動に関するアドバイス、飲食に関する提言に関するものである。外部装置1は、例えばコネクテッドデバイスである。それは、例えば、スマートフォン、スマートウォッチ、又はタブレットである。
【国際調査報告】