(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】建設機械の油圧システムの制御
(51)【国際特許分類】
F15B 11/02 20060101AFI20240827BHJP
F15B 11/17 20060101ALI20240827BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20240827BHJP
E02F 3/43 20060101ALI20240827BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
F15B11/02 M
F15B11/17
E02F9/22 E
E02F9/22 K
E02F3/43 B
E02F9/20 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504792
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 US2022038277
(87)【国際公開番号】W WO2023014540
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナッカース、アダム エム.
(72)【発明者】
【氏名】メッツガー、ラスティン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】セサー、クリス アール.
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー、スティーヴン ディー.
【テーマコード(参考)】
2D003
3H089
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA02
2D003BA03
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB02
2D003DB03
2D003DB04
2D003DB05
3H089AA72
3H089BB15
3H089CC01
3H089CC12
3H089DA02
3H089DA07
3H089DB43
3H089EE15
3H089EE36
3H089FF01
3H089FF12
3H089GG02
3H089JJ02
(57)【要約】
油圧システムは、第一のリンク機構部材を制御するための第一のアクチュエータと、第二のリンク機構部材を制御するための第二のアクチュエータと、第一のアクチュエータを含む第一の一次油圧回路および第一の二次油圧回路と、第二のアクチュエータを含む第二の一次油圧回路および第二の二次油圧回路と、流体を第一の一次油圧回路および第二の二次油圧回路を通して流すための第一のポンプと、流体を第二の一次油圧回路および第一の二次油圧回路を通して流すための第二のポンプと、コントローラと、を含み得る。コントローラは、運転者支援モードが有効であると判定し、第一の二次油圧回路を通る流体の流れを制御する第一の弁と、第二の二次油圧回路を通る流体の流れを制御する第二の弁との閉鎖を引き起こすように構成され得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧システム(200)であって、
第一のリンク機構部材を制御するための第一のアクチュエータ(212a)と、
前記第一のリンク機構部材および機械(100)の作業器具に接続された第二のリンク機構部材を制御するための第二のアクチュエータ(212b)と、
前記第一のアクチュエーター(212a)を含む第一の一次油圧回路(210a)および第一の二次油圧回路(210c)と、
前記第二のアクチュエーター(212b)を含む第二の一次油圧回路(210b)および第二の二次油圧回路(210d)と、
流体を前記第一の一次油圧回路(210a)および前記第二の二次油圧回路(210d)を通して流すための第一のポンプ(202a)と、
流体を前記第二の一次油圧回路(210b)および前記第一の二次油圧回路(210c)を通して流すための第二のポンプ(202b)と、
コントローラ(128)であって、
前記機械(100)に対して運転者支援モードが有効であると判定し、
前記運転者支援モードが有効であると判定することに基づいて、前記第一の二次油圧回路(210c)を通る流体の流れを制御する第一の弁(214c)と、前記第二の二次油圧回路(210d)を通る流体の流れを制御する第二の弁(214d)との閉鎖を引き起こすように構成される、コントローラ(128)と、を備える、油圧システム(200)。
【請求項2】
前記作業器具がバケット(118)であり、前記第一のリンク機構部材がブーム部材(114)であり、前記第二のリンク機構部材がスティック部材(116)である、請求項1に記載の油圧システム(200)。
【請求項3】
前記コントローラ(128)が、前記第一の弁(214c)および前記第二の弁(214d)の閉鎖を引き起こして、前記第一のアクチュエータ(212a)を前記第二のポンプ(202b)から分離し、前記第二のアクチュエータ(212b)を前記第一のポンプ(202a)から分離するように構成される、請求項1~2のいずれかに記載の油圧システム(200)。
【請求項4】
前記第一の弁(214c)および前記第二の弁(214d)の閉鎖を引き起こす前記コントローラ(128)が、
前記第一の弁(214c)に対する第一の流体の流れ設定および前記第二の弁(214d)に対する第二の流体の流れ設定を決定し、
前記第一の流体の流れ設定による前記第一の弁(214c)の閉鎖、および前記第二の流体の流れ設定による前記第二の弁(214d)の閉鎖を引き起こすように構成される、請求項1~3のいずれかに記載の油圧システム。
【請求項5】
作業器具を有する機械(100)に対して運転者支援モードが有効であると判定することであって、
前記機械(100)の第一のリンク機構部材が、第一のアクチュエータ(212a)によって制御され、前記第一のリンク機構部材および前記作業器具に接続された前記機械(100)の第二のリンク機構部材が、第二のアクチュエータ(212b)によって制御され、
第一の一次油圧回路(210a)および第一の二次油圧回路(210c)が、前記第一のアクチュエーター(212a)を含み、第二の一次油圧回路(210b)および第二の二次油圧回路(210d)が、前記第二のアクチュエーター(212b)を含む、判定することと、
前記作業器具の位置が前記運転者支援モードに関連する条件を満たすことを検出することと、
前記運転者支援モードが有効であると判定することと、前記作業器具の前記位置が前記条件を満たすことを検出することに基づいて、前記第一の二次油圧回路(210c)を通る流体の流れを制御する第一の弁(214c)と、前記第二の二次油圧回路(210d)を通る流体の流れを制御する第二の弁(214d)との閉鎖を引き起こすことと、を含む、方法。
【請求項6】
前記条件が、前記作業器具の前記位置が、整地線からの閾値距離であることである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記整地線からの前記閾値距離が、前記運転者支援モードを起動するために使用される前記整地線からの異なる閾値距離よりも前記整地線から遠くにある、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記運転者支援モードが、整地動作、レベリング動作、または掘り込み動作のためのものである、請求項5~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記運転者支援モードが、前記第一のリンク機構部材、前記第二のリンク機構部材、または前記作業器具のうちの一つまたは複数の移動を自動化する、請求項5~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記作業器具の前記位置が異なる条件を満たすことを検出することと、
前記作業器具の前記位置が前記異なる条件を満たすことを検出することに基づいて、前記第一の弁(214c)および前記第二の弁(214d)の開放を引き起こすことと、をさらに含む、請求項5~9のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、油圧システムに関し、例えば、油圧システムの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ショベルまたは別の類似のタイプの機械などの作業機械または建設機械は、一つまたは複数の作業現場作業(例えば、材料輸送、掘り込み、整地、または同類のもの)を実施するために使用され得る。典型的には、こうした機械は、機械および/または機械の一つまたは複数の構成要素の動作を制御するために、油圧システムを含む。例えば、油圧システムは、機械の作業器具を制御するために使用され得る。より具体的には、ショベルの油圧システムを使用して、ショベルの動作、ショベルの本体の回転(例えば、スイング動作)、および/またはブーム、スティック、バケットを含むショベルの構成要素の動作を制御してもよい。
【0003】
油圧システムは、加圧流体を一つまたは複数の油圧回路に供給し、それによって一つまたは複数のアクチュエータ(例えば、シリンダ)の作動を引き起こすポンプを含み得る。一部の例では、油圧システムは、それぞれの油圧回路を通る流体の流れを引き起こして、一つまたは複数のアクチュエータの作動を引き起こす、二つ以上のポンプを利用し得る。例えば、ショベル用の油圧システムは、一つまたは複数のブームアクチュエータと流体連通する一次ブーム油圧回路および二次ブーム油圧回路、ならびに一つまたは複数のスティックアクチュエータと流体連通する一次スティック油圧回路および二次スティック油圧回路を含み得る。第一のポンプは、一次ブーム油圧回路および二次スティック油圧回路を通る流体の流れを引き起こしてもよく、第二のポンプは、一次スティック油圧回路および二次ブーム油圧回路を通る流体の流れを引き起こしてもよい。ブームおよびスティックの両方を利用するショベルの動作中、油圧回路内の圧力および制限の差異は、ブームアクチュエータおよび/またはスティックアクチュエータにおける過剰なまたは低減された流れをもたらす干渉を引き起こし得る。所望の流体の流れからの逸脱は、油圧回路の速度の不均衡を引き起こし、動作精度の低下をもたらし得る。
【0004】
機械によって実行される一部の動作は、高度な精度を必要とし得る。例えば、ショベルは、運転者支援モードを使用して整地動作を実行し得る。運転者支援モードでは、ブーム、スティック、および/またはバケットの移動は、バケットの軌道を整地線(grade line)に維持するために自動化され得る。したがって、所望の流体の流れからの偏差から生じる低減された動作精度は、バケットの軌道を整地線に維持するために必要な精度の程度の達成を防止し得る。
【0005】
米国特許第9,845,590号(’590特許)は、第一の油圧ポンプおよび第二の油圧ポンプを含む土工機械上の作業器具および部分組立品に油圧動力を提供するための油圧システムを開示している。’590特許は、第一の油圧ポンプが、機械に対して上昇および下降することができるリフトアームを含むリフト回路と関連付けられてもよく、第二の油圧ポンプが、リフトアームに枢動可能に接続されたバケットを傾けるための傾斜回路と、機械を操舵するためのステアリング回路の両方と関連付けられてもよいことを示す。’590特許は、リフト回路ならびに傾斜およびステアリング回路が、第一の油圧ポンプおよび第二の油圧ポンプの配置により、互いに独立して同時に動作することができると述べている。
【0006】
本開示の油圧システム用のコントローラは、運転者支援モードを使用した整地動作など、高度な精度を必要とする動作中の、第一のポンプを使用した第一のアクチュエータの独立した制御、および第二のポンプを使用した第二のアクチュエータの独立した制御を提供する。その他の方法で、第一のアクチュエータは、第一のポンプおよび第二のポンプを使用して協働して制御されてもよく、第二のアクチュエータは、第一のポンプおよび第二のポンプを使用して協働して制御されてもよい。本開示の油圧システムのコントローラは、上述の問題および/または当技術分野における他の問題のうちの一つまたは複数を解決する。
【発明の概要】
【0007】
油圧システムは、第一のリンク機構部材を制御するための第一のアクチュエータと、第一のリンク機構部材および機械の作業器具に接続された第二のリンク機構部材を制御するための第二のアクチュエータと、第一のアクチュエータを含む第一の一次油圧回路および第一の二次油圧回路と、第二のアクチュエータを含む第二の一次油圧回路および第二の二次油圧回路と、流体を第一の一次油圧回路および第二の二次油圧回路を通して流すための第一のポンプと、流体を第二の一次油圧回路および第一の二次油圧回路を通して流すための第二のポンプと、コントローラと、を含み得る。コントローラは、運転者支援モードが機械に対して有効であると判定し、運転者支援モードが有効であると判定することに基づいて、第一の二次油圧回路を通る流体の流れを制御する第一の弁および第二の二次油圧回路を通る流体の流れを制御する第二の弁を閉鎖させるように構成され得る。
【0008】
方法は、作業器具を有する機械に対して運転者支援モードが有効であると判定することを含んでもよく、機械の第一のリンク機構部材が、第一のアクチュエータによって制御され、第一のリンク機構部材および作業器具に接続された機械の第二のリンク機構部材が、第二のアクチュエータによって制御され、第一の一次油圧回路および第一の二次油圧回路が第一のアクチュエータを含み、第二の一次油圧回路および第二の二次油圧回路は、第二のアクチュエータを含む。方法は、作業器具の位置が運転者支援モードに関連する条件を満たすことを検出することを含み得る。方法は、運転者支援モードが有効であると判定すること、および作業器具の位置が条件を満たすことを検出することに基づいて、第一の二次油圧回路を通る流体の流れを制御する第一の弁および第二の二次油圧回路を通る流体の流れを制御する第二の弁を閉鎖させることを含み得る。
【0009】
ショベルは、バケットと、バケットに接続されたスティック部材と、スティック部材に接続されたブーム部材と、スティック部材を制御するためのスティックアクチュエータと、ブーム部材を制御するためのブームアクチュエータと、スティックアクチュエータを含む一次スティック油圧回路および二次スティック油圧回路と、ブームアクチュエータを含む一次ブーム油圧回路および二次ブーム油圧回路と、流体を一次ブーム油圧回路および二次スティック油圧回路を通して流すための第一のポンプと、流体を一次スティック油圧回路および二次ブーム油圧回路を通して流すための第二のポンプと、コントローラと、を含み得る。コントローラは、バケットの位置が条件を満たすことを検出し、バケットの位置が条件を満たすことを検出することに基づいて、二次ブーム油圧回路を通る流体の流れを制御する第一の弁と、二次スティック油圧回路を通る流体の流れを制御する第二の弁との閉鎖を引き起こすように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本明細書に記載の例示的な機械の図である。
【
図2】
図2は、本明細書に記載の例示的な油圧システムの図である。
【
図3】
図3は、本明細書に記述される例示的な装置および/または例示的な方法が実装され得る、例示的なシステムの図である。
【
図4】
図4は、油圧システムの制御に関連する例示的なプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、油圧システム用のコントローラに関し、油圧システムを利用して、機械および/または機械の一つまたは複数の構成要素の移動を制御する任意の機械に適用可能である。例えば、機械は、ショベル、車両、締固め機、舗装機械、コールドプラナ、整地機械、バックホウローダ、ホイールローダ、ハーベスタ、モーターグレーダ、スキッドステアローダ、トラクタ、ドーザ、または同類のものであってもよい。
【0012】
図1は、本明細書に記載の例示的な機械100の図である。
図1に示すように、機械100は、ショベルなどの土工機械として具体化される。別の方法として、機械100は、別の土工機械、別の作業機械、または同類のものであってもよい。
【0013】
図1に示すように、機械100は、機械100を前進させるための、トラック、ホイール、ローラ、または同類のものなどの接地係合部材102を含む。接地係合部材102は、車体104に取り付けられ、一つまたは複数のエンジン、一つまたは複数の電気モータ、一つまたは複数の電池、および/または一つまたは複数のドライブトレインによって駆動される。車体104は、回転可能な機械本体106および運転者ステーション108を支持する。運転者ステーション108は、機械本体106と車体104との間に位置する回転可能なフレームによって支持され得る機械本体106により支持される、かつ/または機械本体106内に含まれる。運転者ステーション108は、一つまたは複数の運転者インターフェース110(ジョイスティックなどの統合ディスプレイおよび運転者制御装置として示される)を含む。
【0014】
図1に示すように、機械100は、ブーム部材114、スティック部材116、およびバケット118を含む、リンク機構アセンブリ112を含む。リンク機構アセンブリ112は、ハンマドリル、リッパ、または同類のものなど、他のタイプの作業ツールを含み得る。本明細書に記載されるように、機械本体106の移動および/またはリンク機構アセンブリ112の移動(例えば、機械本体106に対して)は、油圧システムを介して制御および/または実施され得る。本明細書に記載するように、油圧システムは、機械100、機械本体106、および/またはリンク機構アセンブリ112の一つまたは複数の機能を制御するための複数の油圧回路を含み得る。こうした機能および/または動作は、ブーム部材114に関連付けられたブームアップまたはブームダウン動作、スティック部材116に関連付けられたスティックインまたはスティックアウト動作、バケット118に関連付けられたバケットインまたはバケットアウト動作、機械本体106に関連付けられたスイング機能、または同類のものを含み得る。こうした機能は、機械の一つまたは複数の動作(例えば、整地動作、掘削動作、材料輸送動作、移動動作、または同類のもの)に関連して行われてもよい。
【0015】
図1に示すように、ブーム部材114は、ブーム部材114の近位端で機械本体106に旋回可能に取り付けられる。ブーム部材114は、油圧システムのブームアクチュエータ120(例えば、油圧シリンダ、空気シリンダ、または同類のものなどの流体作動シリンダ)によって、機械本体106に対して関節接合され得る。スティック部材116の近位端は、ブーム部材114の遠位端でブーム部材114に旋回可能に取り付けられる。スティック部材116は、油圧システムのスティックアクチュエータ122によってブーム部材114に対して関節接合され得る。バケット118の近位端は、スティック部材116の遠位端でスティック部材116に旋回可能に取り付けられる。バケット118は、油圧システムのバケットアクチュエータ124によってスティック部材116に対して関節接合され得る。
【0016】
機械100の油圧システムは、油圧システムの複数の油圧回路(例えば、ブームアクチュエータ120、スティックアクチュエータ122、バケットアクチュエータ124、機械本体106をスイングするための一つまたは複数のスイングアクチュエータ(図示せず)、機械100に移動システム(図示せず)、または同類のものと関連する個別の油圧回路)に、流体(例えば、オイルまたは別のタイプの油圧流体)の流源(例えば、固定流量または可変流量)を提供する一つまたは複数(例えば、複数)の油圧ポンプ126を含み得る。油圧ポンプ126は、油圧ポンプ126の排出端部に流体連結されたメインラインから、一つまたは複数の油圧回路に流体を提供する。本明細書に記載されるように、一つまたは複数の油圧回路を通る流れは、一つまたは複数の油圧回路の個々の回路弁の電気機械的制御を介して制御されてもよい。
【0017】
図1に示すように、機械100は、コントローラ128(例えば、電子制御モジュール(ECM))および複数のセンサ130(本明細書では、それぞれ「センサ(sensor)130」と称され、集合的に「センサ(sensors)130」と総称される)を含み得る。コントローラ128は、機械100の動作を制御および/または監視し得る。例えば、コントローラ128は、センサ130からの信号および/または運転者インターフェース110から受信した運転者入力に基づいて、機械100の動作を制御および/または監視し得る。コントローラ128は、本明細書に記載されるように、油圧システムの制御に関連付けられた動作を実装する、一つまたは複数のメモリおよび一つまたは複数のプロセッサを含み得る。
【0018】
図1に示すように、センサ130は、機械100の様々な構成要素または部分上および/または内部に、異なる位置に配置される。例えば、センサ130は、機械本体106、ブーム部材114、スティック部材116、および/またはバケット118上に位置付けられ得る、一つまたは複数の動きセンサ(例えば、カメラ、加速度計、ジャイロスコープ、慣性測定センサ、速度センサ、位置センサ、または同類のもの)を含み得る。こうした例では、コントローラ128は、センサ130から受信した情報から、機械100の移動、機械本体106の移動、リンク機構アセンブリ112の移動、機械100の位置(例えば、機械100の環境に対する)、機械100の配向、または同類のものを検出および/または決定し得る。例えば、コントローラ128は、センサ130から受信した情報から、接地面、整地線、または同類のものに対するバケット118(例えば、バケット118の歯)の位置を検出および/または決定し得る。
【0019】
追加的に、または代替的に、センサ130は、機械100のアクチュエータ内(例えば、ヘッド端、ロッド端、アクチュエータへのまたはアクチュエータからの流体ライン内、または同類のもの)に含まれる一つまたは複数の圧力センサを含み得る。こうした例では、コントローラ128は、ブームアクチュエータ120、スティックアクチュエータ122、バケットアクチュエータ124、旋回アクチュエータ(図示せず)、移動システム(図示せず)、または同類のものに関連付けられる一つまたは複数の圧力を決定し得る。
【0020】
上述のように、
図1は、一例として提供される。他の例は、
図1に関連して記載されたものと異なってもよい。
【0021】
図2は、本明細書に記載の例示的な油圧システム200の図である。油圧システム200は、第一の油圧ポンプ202aおよび第二の油圧ポンプ202b(油圧ポンプ126に対応し得る)として示される、複数の油圧ポンプを含む。一部の例では、油圧システム200は、三つの油圧ポンプまたは四つの油圧ポンプなどの三つ以上の油圧ポンプを含み得る。油圧システム200は、供給ライン204aおよび204b、メインライン206aおよび206b、ならびに流体リザーバ208aおよび208bを含み得る。供給ライン204aは、流体リザーバ208aおよび第一の油圧ポンプ202aの取込み端に流体連結される。供給ライン204bは、流体リザーバ208bおよび第二の油圧ポンプ202bの取込み端に流体連結される。一部の例では、供給ライン204aおよび供給ライン204bは、同じ流体リザーバを共有してもよい。
【0022】
メインライン206aは、第一の油圧ポンプ202aの放出に、油圧回路210aおよび210dの回路ライン(および/または回路弁)に、ならびに流体リザーバ208aに流体連結される。メインライン206bは、第二の油圧ポンプ202bの放出に、油圧回路210bおよび210cの回路ライン(および/または回路弁)に、ならびに流体リザーバ208bに流体連結される。第一の油圧ポンプ202aは、供給ライン204aを介して、流体リザーバ208aから流体を引き、流体にメインライン206aを通って油圧回路210aおよび210dに流れさせ、流体リザーバ208aに戻らせるように構成される、任意の適切な流体ポンプ機構であってもよい。同様に、第二の油圧ポンプ202bは、供給ライン204bを介して、流体リザーバ208bから流体を引き、流体にメインライン206bを通って油圧回路210bおよび210cに流れさせ、流体リザーバ208bに戻らせるように構成される、任意の適切な流体ポンプ機構であってもよい。
【0023】
油圧システム200は、第一のアクチュエータ212a(二つのシリンダとして示される)および第二のアクチュエータ212b(単一のシリンダとして示される)を含む。本明細書で使用される場合、「アクチュエータ」は、単一のアクチュエータまたはアクチュエータのセットを指し得る。第一のアクチュエータ212aは、機械のリンク機構アセンブリの第一のリンク機構部材を制御し得る。例えば、第一のアクチュエータ212aは、機械100のリンク機構アセンブリ112のブーム部材114を制御するブームアクチュエータ120に対応し得る。第二のアクチュエータ212bは、機械の第一のリンク機構部材および作業器具に接続された第二のリンク機構部材を制御してもよい。例えば、第二のアクチュエータ212bは、機械100のリンク機構アセンブリ112のスティック部材116を制御するスティックアクチュエータ122に対応し得る。一部の例では、油圧システム200は、作業器具(例えば、バケット118)を制御するアクチュエータ、機械の旋回を制御するアクチュエータ、または同類のものなどの一つまたは複数の追加のアクチュエータを含み得る。
【0024】
油圧回路210aは、流体リザーバ208a、第一の油圧ポンプ202a、弁214a、および第一のアクチュエータ212aを含み得る。油圧回路210aは、第一のアクチュエータ212aの一次油圧回路(すなわち、第一の一次油圧回路)であり得る。例えば、油圧回路210aは、ブームアクチュエータ120の一次ブーム油圧回路であり得る。油圧回路210cは、流体リザーバ208b、第二の油圧ポンプ202b、弁214c、および第一のアクチュエータ212aを含み得る。油圧回路210cは、第一のアクチュエータ212aの二次油圧回路(すなわち、第一の二次油圧回路)であり得る。例えば、油圧回路210cは、ブームアクチュエータ120の二次ブーム油圧回路であり得る。
【0025】
油圧回路210aおよび油圧回路210cは、協働して、機械の機能と関連付けられ得る第一のアクチュエータ212aの制御(例えば、弁214aおよび214cを介して)を提供し得る。例えば、油圧回路210aおよび油圧回路210cは、協働して、ブームアクチュエータ120の制御を提供し得る。したがって、第一の油圧ポンプ202aおよび第二の油圧ポンプ202bは、それぞれ油圧回路210aおよび油圧回路210cを介して第一のアクチュエータ212aを一緒に制御し得る。
【0026】
油圧回路210bは、流体リザーバ208b、第二の油圧ポンプ202b、弁214b、および第二のアクチュエータ212bを含み得る。油圧回路210bは、第二のアクチュエータ212bの一次油圧回路(すなわち、第二の一次油圧回路)であり得る。例えば、油圧回路210bは、スティックアクチュエータ122の一次スティック油圧回路であってもよい。油圧回路210dは、流体リザーバ208a、第一の油圧ポンプ202a、弁214d、および第二のアクチュエータ212bを含み得る。油圧回路210dは、第二のアクチュエータ212bの二次油圧回路(すなわち、第二の二次油圧回路)であり得る。例えば、油圧回路210dは、スティックアクチュエータ122の二次スティック油圧回路であってもよい。
【0027】
油圧回路210bおよび油圧回路210dは、協働して、機械の機能と関連付けられ得る第二のアクチュエータ212bの制御を提供し得る(例えば、弁214bおよび214dを介して)。例えば、油圧回路210bおよび油圧回路210dは、協働して、スティックアクチュエータ122の制御を提供し得る。したがって、第一の油圧ポンプ202aおよび第二の油圧ポンプ202bは、それぞれ油圧回路210bおよび油圧回路210dを介して第二のアクチュエータ212bを一緒に制御し得る。
【0028】
一部の例では、油圧システム200は、第一の油圧ポンプ202aによって制御される一つまたは複数の追加の油圧回路、および/または第二の油圧ポンプ202bによって制御される一つまたは複数の追加の油圧回路を含み得る。例えば、油圧システム200は、作業器具(例えば、バケット118)の制御のための油圧回路、機械の旋回の制御のための油圧回路、移動システムの制御のための一つまたは複数の油圧回路、または同類のものを含み得る。
【0029】
弁214a、214b、214c、および214dはそれぞれ、それぞれの弁制御装置216a、216b、216c、および216d(例えば、コントローラ128から命令を受信することに基づいて)によって制御することができる、任意の適切に構成された弁であってもよい。例えば、弁214a~214dはスプール弁であってもよい。一例として、弁214a~214dは、(例えば、応答性、性能、サイズ、動作範囲、シリンダタイプ、または同類のものに従って)アクチュエータ212aおよび212bの機能制御用に特に構成される電気機械的構成を有する、個別に構成されたスプール弁であってもよい。
【0030】
第一の油圧ポンプ202aは、動作中、および弁214aおよび214dの構成(例えば、弁の位置の設定に基づく)に従って、流体を油圧回路210aおよび210dへ、それらを通って、および/またはそれらから流れさせる。
図2の例では、弁214aまたは214dの一方の開口への任意の調整は、油圧システム200の物理的特性のために、調製された弁214aまたは214dと関連付けられない油圧回路210aまたは210dを通る流れに影響を与える可能性が高い。第二の油圧ポンプ202bは、動作中、および弁214bおよび214cの構成(例えば、弁の位置の設定に基づく)に従って、流体を油圧回路210bおよび210cへ、それらを通って、および/またはそれらから流れさせる。
図2の例では、弁214bまたは214cの一方の開放への任意の調整は、油圧システム200の物理的特性のために、調整された弁214bまたは214cと関連付けられない油圧回路210bまたは210cを通る流れに影響を与える可能性が高い。
【0031】
本明細書に記載されるように、コントローラ128は、弁制御装置216a~216dに、弁214a~214dの一つまたは複数の構成要素(例えば、スプール、ステム、アクチュエータ、プラグ、開口部、または同類のもの)を構成または位置付けさせ、弁214a~214dの開放を(例えば、それぞれの弁214a~214dの一つまたは複数を流れる通路の領域を増加または減少させることによって)増加および/または減少させるように構成される。より具体的には、コントローラ128は、弁制御装置216a~216dに、開放のサイズを制御するために、またそれに応じて、油圧回路210a~210d全体の流体の流れを制御するように(例えば、油圧流指令、または同類のものに従って)、弁214a~214dのスプールの位置を設定するよう指示してもよい。示されるように、コントローラ128はまた、第一の油圧ポンプ202aおよび第二の油圧ポンプ202bに、油圧回路210a~210dへの流体の流量を増加および/または減少させる(例えば、流体の加圧を増加および/または減少させる)ように構成される。
【0032】
図2に示すように、油圧システム200は、圧力逃がし構成要素218を含み得る。圧力逃がし構成要素218は、圧力が閾値を超える場合、油圧システム200内の圧力を逃がし得る。
【0033】
上述のように、
図2は、一例として提供される。他の例は、
図2に関連して記載されたものと異なる場合がある。
【0034】
図3は、本明細書に記述される例示的な装置および/または例示的な方法が実装され得る、例示的なシステム300の図である。システム300は、油圧システム200の制御を提供し得る。システム300は、コントローラ128を含む。コントローラ128は、上述のように、センサ130および弁制御装置216a~216dに通信可能に接続される。示されるように、弁制御装置216a~216dは、それぞれ弁214a~214dの制御を提供し、弁214a~214dは、上述のように、それぞれ油圧回路210a~210dを通る流体の流れを制御する。
【0035】
コントローラ128は、運転者支援モードが機械100に対して有効であるかどうかを判定するように構成され得る。運転者支援モードでは、コントローラ128は、機械100の一つまたは複数の移動、または機械100の作業器具を自動化して、手動の運転者制御によって可能であろうよりも高い精度の移動を達成し得る。例えば、運転者支援モードは、機械100の掘り込み動作、切断動作、フライス動作、レベリング動作、または同類のものに関連し得る。
【0036】
一例では、運転者支援モードは、機械100によって実行される整地動作用であり得る。例えば、運転者支援モードでは、コントローラ128は、機械100の整地動作中に標的とされる整地線(例えば、整地深度、または同類のもの)の運転者設定の入力を(例えば、運転者インターフェース110を介して)受信し得る。別の例として、運転者支援モードでは、コントローラ128は、機械100の整地動作中に標的とされる整地線を示す動作計画(例えば、命令のセット)を受信(例えば、遠隔装置から)し得る。運転者支援モードが有効化されると、コントローラ128は、作業器具(例えば、バケット118)の位置が整地線からの閾値距離であることを(例えば、センサ130を使用して)検出することに基づいて、運転者支援モードを起動し得る。運転者支援モードが起動されると、コントローラ128は、機械100のリンク機構アセンブリ(例えば、リンク機構アセンブリ112)、作業器具(例えば、バケット118)、または同類のもののうちの一つまたは複数の部材の移動を自動化し得る。例えば、運転者支援モードが起動されると、コントローラ128は、ブーム部材114、スティック部材116、および/またはバケット118の移動を自動化して、バケット118(例えば、バケット118の歯)の位置を整地線に維持し得る。
【0037】
コントローラ128は、機械100の作業器具(例えば、バケット118)の位置が条件を満たすかどうかを検出するように構成され得る。コントローラ128は、センサ130を使用して作業器具の位置を検出し得る。例えば、コントローラ128は、バケット118に関連付けられた一つまたは複数のセンサ130、スティック部材116に関連付けられた一つまたは複数のセンサ130、ブーム部材114に関連付けられた一つまたは複数のセンサ130、および/または機械100の車体104および/または機械本体106(例えば、シャーシ)に関連付けられた一つまたは複数のセンサ130(例えば、ピッチおよび/またはロール感知用)を使用して、バケット118の位置を検出し得る。
【0038】
条件は、作業器具の位置が、接地面から、機械100から、または同類のものからの閾値距離であることであり得る。一例では、条件は、作業器具の位置が整地線からの閾値距離である(例えば、作業器具が整地線に向かって移動している)ことであり得る。ここで、整地線からの閾値距離は、運転者支援モード(例えば、条件が運転者支援モードに関連する)を起動するために使用される整地線からの異なる閾値距離に基づいてもよい。例えば、整地線からの閾値距離は、運転者支援モードを起動するために使用される整地線からの異なる閾値距離よりも整地線から遠くてもよい。すなわち、作業器具が整地線に向かって移動するとき、コントローラ128は、作業器具の位置が、運転者支援モードを起動する前に条件を満たすことを検出し得る。
【0039】
コントローラ128は、弁214c(例えば、油圧回路210c、すなわち、第一の二次油圧回路を通る流体の流れを制御する)および弁214d(例えば、油圧回路210d、すなわち、第二の二次油圧回路を通る流体の流れを制御する)の閉鎖(例えば、位置に対する調整)を引き起こすように構成され得る。例えば、コントローラ128は、運転者支援モードが有効であると判定することに基づいて、および/または作業器具の位置が条件を満たすことを検出することに基づいて(例えば、作業器具の位置が整地線からの閾値距離であることを検出することに基づいて)、弁214cおよび214dの閉鎖を引き起こし得る。
【0040】
弁214cおよび214dの閉鎖を引き起こすために、コントローラ128は、弁214cに対する第一の流体の流れ設定(例えば、流体の流れ限界)および弁214dに対する第二の流体の流れ設定を決定し得る。第一の流体の流れ設定および第二の流体の流れ設定は、同じ値または異なる値であってもよい。いくつかの実装形態では、第一の流体の流れ設定および第二の流体の流れ設定は、ゼロ値であってもよい(例えば、弁214cおよび弁214dが完全に閉じられることを示す)。別の方法として、第一の流体の流れ設定および第二の流体の流れ設定は、ゼロ値よりも大きくてもよい(例えば、弁214cおよび弁214dが、90%閉じている、80%閉じている、70%閉じている、または同類のものなど、部分的に閉じられていることを示す)。
【0041】
したがって、コントローラ128は、第一の流体の流れ設定に従って油圧回路210cの弁214cの閉鎖を引き起こし、第二の流体の流れ設定に従って油圧回路210dの弁214dの閉鎖を引き起こし得る。例えば、コントローラ128は、第一の流体の流れ設定に関連付けられたコマンドを弁制御装置216cに提供して、弁制御装置216cに、第一の流体の流れ設定に従って弁214cの位置を調節させ、第二の流体の流れ設定に関連付けられたコマンドを弁制御装置216dに提供して、弁制御装置216dに、第二の流体の流れ設定に従って弁214dの位置を調節させてもよい。
【0042】
コントローラ128は、弁214cおよび214dの閉鎖を引き起こして、油圧回路210a~210dを通る流体の流れの再割り当てを引き起こし得る。いくつかの実装形態では、コントローラ128は、弁214cおよび214dの部分的な閉鎖を引き起こし得る。別の方法として、コントローラ128は、弁214cおよび214dの完全な閉鎖を引き起こしてもよい。例えば、作業器具の位置が条件を満たすことを検出すると、コントローラ128は、弁214cおよび214dが運転者支援モードが起動される時間(例えば、前)までに完全に閉鎖されるように、弁214cおよび214dの閉鎖を引き起こし始めることができる。別の言い方をすると、コントローラ128は、運転者支援モードが起動されると判定することに基づいて、弁214cおよび214dの閉鎖を引き起こし得る。一部の実装形態では、弁214cの部分的な閉鎖の量は、弁214dの部分的な閉鎖の量とは異なってもよい。いくつかの実装形態では、弁214cおよび214dのうちの一方は完全に閉じてもよく、弁214cおよび214dのうちの他方は部分的に閉じてもよい。
【0043】
弁214cおよび214dの閉鎖は、油圧回路210cおよび油圧回路210dをそれぞれ停止するか、または起動を制限し得る。例えば、コントローラ128は、油圧回路210cおよび油圧回路210dを通る流体の流れが存在しなくなる(例えば、油圧回路210cおよび油圧回路210dが停止される)まで、弁214cおよび214dの閉鎖を引き起こし得る。このようにして、コントローラ128は、弁214cおよび214dの閉鎖を引き起こして、第一のアクチュエータ212aを第二の油圧ポンプ202bから分離し、第二のアクチュエータ212bを第一の油圧ポンプ202aから分離し得る。例えば、弁214cおよび214dが閉じられた後(例えば、完全閉鎖)、第一のアクチュエータ212aの制御(例えば、ブームアクチュエータ120)は、第一の油圧ポンプ202aによってのみ提供されてもよく、第二のアクチュエータ212bの制御(例えば、スティックアクチュエータ122)は、第二の油圧ポンプ202bによってのみ提供されてもよく、それによって、例えば、動作油圧回路間のクロストークを最小化または除去することによって、第一のアクチュエータ212aおよび第二のアクチュエータ212bの作動の精度を改善する。
【0044】
コントローラ128は、弁214cおよび214dを(例えば、現在の閉鎖状態に対して)開放を引き起こすように構成されてもよい。例えば、コントローラ128は、運転者支援モードが停止されていると判定することに基づいて、運転者支援モードが無効化されたと判定することに基づいて、および/または作業器具(例えば、バケット118)の位置が異なる条件を満たすことを検出することに基づいて、弁214cおよび214dの開放を引き起こし得る。例えば、異なる条件は、作業器具の位置が、接地面、機械100、または同類のものからの閾値距離であることであり得る。一例では、異なる条件は、作業器具の位置が整地線からの閾値距離であることであり得る。ここで、弁214cおよび214dの開放に使用される整地線からの閾値距離は、上述のように、弁214cおよび214dの閉鎖に使用される整地線からの閾値距離とは異なってもよい。例えば、弁214cおよび214dを解放するための整地線からの閾値距離は、弁214cおよび214dを閉じるための整地線からの閾値距離よりも整地線から遠くてもよい。
【0045】
弁214cおよび214dの開放を引き起こすために、コントローラ128は、上述と同様の様式で、弁214cに対する新しい流体の流れ設定および弁214dに対する新しい流体の流れ設定を決定し得る。弁214cおよび214dに対する新しい流体の流れ設定は、弁214cおよび214dを閉じるために使用される(例えば、それによって油圧回路210cおよび油圧回路210dを起動またはそれらの起動を増加させるために)第一および第二の流体の流れ設定よりも大きくてもよい。一例として、弁214cおよび214dに対する新しい流体の流れ設定は、上述のように、弁214cおよび214dを閉じる前に使用された値であってもよい。コントローラ128は、弁214cに対する新しい流体の流れ設定に関連付けられたコマンドを弁制御装置216cに提供して、弁制御装置216cに、新しい流体の流れ設定に従って弁214cの位置を調節させ、弁214dに対する新しい流体の流れ設定に関連付けられたコマンドを弁制御装置216dに提供して、弁制御装置216dに、新しい流体の流れ設定に従って弁214dの位置を調節させてもよい。
【0046】
上述のように、
図3は、一例として提供される。他の例は、
図3に関連して記載されたものと異なってもよい。
【0047】
図4は、油圧システムの電気制御に関連付けられた例示的なプロセス400のフローチャートである。
図4の一つまたは複数のプロセスのブロックは、コントローラ(例えば、コントローラ128)によって実施されてもよい。追加的に、または別の方法として、
図4の一つまたは複数のプロセスのブロックは、機械100の内部または外部にある別の装置または構成要素など、コントローラとは別個の、またはコントローラを含む別の装置または装置のグループによって実施されてもよい。
【0048】
図4に示すように、プロセス400は、作業器具を有する機械に対して運転者支援モードが有効であると判定することを含み得る(ブロック410)。例えば、コントローラ(例えば、プロセッサ、メモリ、ストレージコンポーネント、または同類のものを使用する)は、作業器具を有する機械に対して運転者支援モードが有効であると判定し得る。機械は、上述のように、第一のアクチュエータによって制御される第一のリンク機構部材と、第一のリンク機構部材および第二のアクチュエータによって制御される作業器具に接続された第二のリンク機構部材とを含み得る。作業器具はバケットであってもよく、第一のリンク機構部材はブーム部材であってもよく、第二のリンク機構部材はスティック部材であってもよい。機械は、上述のように、第一のアクチュエータを含む第一の一次油圧回路および第一の二次油圧回路、ならびに第二のアクチュエータを含む第二の一次油圧回路および第二の二次油圧回路を含み得る。機械は、流体を第一の一次油圧回路および第二の二次油圧回路を通して流すように構成される第一のポンプと、流体を第二の一次油圧回路および第一の二次油圧回路を通して流すように構成される第二のポンプとを含み得る。
【0049】
運転者支援モードは、整地動作、レベリング動作、または掘り込み動作用であり得る。運転者支援モードは、第一のリンク機構部材、第二のリンク機構部材、または作業器具のうちの一つまたは複数の移動を自動化し得る。
【0050】
図4にさらに示すように、プロセス400は、作業器具の位置が運転者支援モードに関連する条件を満たすことを検出することを含み得る(ブロック420)。例えば、コントローラ(例えば、プロセッサ、メモリ、入力構成要素、こまたは同類のものを使用して)は、上述のように、作業器具の位置が運転者支援モードに関連する条件を満たすことを検出し得る。作業器具の位置は、バケット、スティック部材、またはブーム部材のうちの一つまたは複数に関連付けられた一つまたは複数のセンサを使用して検出され得る。
【0051】
条件は、作業器具の位置が整地線から閾値距離であることであり得る。整地線は、機械の運転者設定または機械の動作計画に従ってもよい。整地線からの閾値距離は、運転者支援モードを起動するために使用される整地線からの異なる閾値距離よりも整地線から遠くてもよい。
【0052】
図4にさらに示すように、プロセス400は、運転者支援モードが有効であると判定すること、および作業器具の位置が条件を満たすことを検出することに基づいて、第一の二次油圧回路を通る流体の流れを制御する第一の弁および第二の二次油圧回路を通る流体の流れを制御する第二の弁の閉鎖を引き起こすこと(ブロック430)を含み得る。例えば、コントローラ(例えば、プロセッサ、メモリ、通信インターフェース、または同類のものを使用する)は、上述のように、第一の二次油圧回路を通る流体の流れを制御する第一の弁と、第二の二次油圧回路を通る流体の流れを制御する第二の弁との閉鎖を引き起こし得る。コントローラは、第一の弁および第二の弁の完全な閉鎖または部分的な閉鎖を引き起こしてもよい。第一の弁および第二の弁の閉鎖を引き起こすことは、第一のアクチュエータを第二のポンプから分離し、第二のアクチュエータを第一のポンプから分離し得る。
【0053】
第一の弁および第二の弁の閉鎖を引き起こすことは、第一の弁に対する第一の流体の流れ設定および第二の弁に対する第二の流体の流れ設定を決定することと、第一の流体の流れ設定に従って第一の弁の閉鎖を引き起こすことと、第二の流体の流れ設定に従って第二の弁を閉鎖を引き起こすことと、を含み得る。プロセス400は、作業器具の位置が異なる条件を満たすことを検出することと、作業器具の位置が異なる条件を満たすことを検出することに基づいて、第一の弁および第二の弁の開放を引き起こすことと、を含み得る。
【0054】
図4は、プロセス400の例示的なブロックを示すが、一部の実装形態では、プロセス400は、
図4に描写したものよりも、追加のブロック、より少ないブロック、異なるブロック、または異なる配置のブロックを含み得る。追加的に、または代替的に、プロセス400のブロックのうちの二つ以上が並列に実行され得る。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本明細書に記載の油圧システム用のコントローラは、油圧システムを利用する任意の機械と共に使用することができる。例えば、コントローラは、油圧システムを利用して機械および/または機械の構成要素を制御する機械と共に使用され得る。特に、コントローラは、複数のポンプを利用して複数のアクチュエータの制御を提供する油圧システムを制御するのに有用である。例えば、油圧システムでは、第一のアクチュエータの制御は、第一のポンプによって制御される第一の一次油圧回路および第二のポンプによって制御される第一の二次油圧回路を介して提供され得る。例を続けると、油圧システムでは、第二のアクチュエータの制御は、第二のポンプによって制御される第二の一次油圧回路を介して、および第一のポンプによって制御される第二の二次油圧回路を介して提供され得る。油圧システムのこの構成は、アクチュエータの精度を低減する流体の流れのクロストークをもたらし得る。
【0056】
コントローラは、複数の油圧回路を通る流れを再配分するための一つまたは複数の基準が満たされていると判定し得る。例えば、基準は、上述のように、運転者支援モードが有効であるかどうか、および/または作業器具の位置が条件を満たすかどうかであり得る。基準が満たされていると判定することに基づいて、コントローラは、二次油圧回路を制御する弁の(例えば、完全にまたは部分的に)閉鎖を引き起こし得る。弁の閉鎖は、第一のアクチュエータを第二のポンプから分離してもよく(例えば、第二のポンプが第二の二次油圧回路を介して第一のアクチュエータの制御を提供しないように)、第二のアクチュエータを第一のポンプから分離してもよい(例えば、第一のポンプが第一の二次油圧回路を介して第二のアクチュエータの制御を提供しないように)。このようにして、第一のアクチュエータおよび第二のアクチュエータは、より高い精度で制御することができ、これは、高度な精度を必要とする動作(例えば、ユーザ支援モードが起動されたときに実施されるショベルの整地動作)に有用である。
【0057】
前述の開示は、例示および説明を提供するが、網羅的であることを意図しておらず、または当該実装形態を開示される正確な形態に限定することを意図するものではない。修正および変形は、上記開示に照らして行われ得、実装形態の実施から取得され得る。さらに、前述の開示が一つまたは複数の実装形態を組み合わせることができない理由を明確に示さない限り、本明細書に記載される実装形態のいずれかを組み合わせることができる。特徴の特定の組み合わせが特許請求の範囲に記載され、かつ/または本明細書に開示されるが、これらの組み合わせは、さまざまな実装形態の開示を限定することを意図しない。以下に列挙される各従属請求項は、一つの請求項のみに直接従属し得るが、さまざまな実装形態の開示は、一連の請求項内の他の全ての請求項と組み合わせて、各従属請求項を含む。
【0058】
本明細書で使用される「a(一つの)」、「an(一つの)」および「set(セット)」は、一つまたは複数の品目を含むことが意図されており、「one or more(一つまたは複数)」と交換可能に使用され得る。さらに、本明細書で使用される場合、冠詞「the」は、冠詞「the」に関連して参照される一つまたは複数の項目を含むことが意図されており、「the one or more(一つまたは複数)」と交換可能に使用することができる。さらに、「based on(に基づく)」という語句は、別段の明示がない限り、「based, at least in part, on(少なくとも部分的に基づく)」を意味することを意図する。また、本明細書で使用される場合、用語「or(または)」は、一連の使用時に包括的であることが意図され、別段の明示的な記載がない限り(例えば、「either(いずれか)」または「only one of(いずれか一つ)」と組み合わせて使用される場合)、「and/or(および/または)」と互換的に使用され得る。
【国際調査報告】