(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】植物生育管理システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A01G 9/12 20060101AFI20240827BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20240827BHJP
B25J 5/00 20060101ALN20240827BHJP
【FI】
A01G9/12 Z
A01G7/00 603
B25J5/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505017
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 IL2022050829
(87)【国際公開番号】W WO2023012788
(87)【国際公開日】2023-02-09
(32)【優先日】2021-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519388594
【氏名又は名称】アルッガ エー.アイ.ファーミング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ゲルトナー,イド
(72)【発明者】
【氏名】オル-チェン,ヨアヴ
(72)【発明者】
【氏名】ロテム,ナダヴ
(72)【発明者】
【氏名】ブレヒャー,ガリ
【テーマコード(参考)】
2B023
3C707
【Fターム(参考)】
2B023AF10
3C707AS14
3C707AS22
3C707CS08
3C707CT04
3C707KS31
3C707KS36
3C707KT01
3C707MT06
3C707WA16
(57)【要約】
植物の管理/処理システムが開示され、これはケーブル上に配置された懸架器具に近づいたり離れたりするように、その長手方向軸に沿って往復移動するように構成された少なくとも1つのロボットアームシステムと、少なくとも1つのロボットアームに結合され、そのグリップフィンガの間で懸架器具の1つを把持し操作して、懸架器具に結合された植物の吊り下げ高さ、またはケーブルに沿った懸架器具の位置の少なくとも1つを調整するように構成されたマニピュレータと、少なくとも1つのロボットアームに結合され、ケーブルに吊り下げられた懸架器具の1つの位置を検出し、少なくとも1つのロボットアームが長手方向軸に沿って往復運動して懸架器具を把持し、それを操作するための信号/データを生成するように構成された、少なくとも1つの感知ユニットとを具える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物管理および/または処理システムにおいて、
ロボットアームをその長手方向軸に沿ってケーブル上に配置された懸架器具に近づけたり離したり往復移動させるように構成された少なくとも1つのロボットアームシステムであって、前記ロボットアームの長手方向軸は、少なくとも1つのロボットアームにかかる重力の方向に対してほぼ垂直であり、前記懸架器具の各々は、当該懸架器具に連結された少なくとも1つの植物を支持する、少なくとも1つのロボットアームシステムと、
前記少なくとも1つのロボットアームに結合され、前記懸架器具の1つをそのグリップフィンガの間に受け入れて固定し、前記懸架器具に連結された植物の吊り下げ高さ、または前記懸架器具の前記ケーブルに沿った位置の少なくとも1つを調整するために操作するように構成されたマニピュレータと、
その視野が前記マニピュレータによる前記懸架器具の操作に影響されないように前記少なくとも1つのロボットアームに結合された少なくとも1つの感知ユニットであって、前記ケーブルから吊り下げられた前記懸架器具の1つの位置を検出し、前記少なくとも1つのロボットアームを前記長手方向軸に沿って往復運動させて前記懸架器具を把持し操作させるための信号/データを生成するように構成された、前記少なくとも1つの感知ユニットとを具えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記マニピュレータが、撚り紐/ワイヤの自由端に連結された植物の吊り下げ高さを調整するために、前記懸架器具の一部に巻かれた撚り紐/ワイヤの一部を解放するか、解放された撚り紐/ワイヤの一部を巻き取るように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのロボットアームの高さを制御するように構成された調節可能なマストを含み、前記システムが、前記調節可能なマストによって前記少なくとも1つのロボットアームを上昇させて、前記懸架器具を前記ケーブルから取り外すように構成されている、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
各ロボットアームシステムが、その上をスライド運動するようにそれぞれの水平レールに結合されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
各ロボットアームシステムが、その上をスライド運動するようにそれぞれの垂直レールに結合されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムの2つの対向する側のそれぞれの2本の異なるケーブル上に配置された懸架器具を同時に操作するように構成された2つのロボットアームシステムを含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのロボットアームにヨー回転運動を加えるように構成されたアーム回転ユニットを含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのロボットアームシステムを制御可能に昇降させるように構成されたハサミ式昇降機構を含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのロボットアームを前記ケーブルと実質的に平行に移動させるように構成された可動プラットフォームを含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
アクチュエータおよび/またはケーブルから偶発的に切り離された植物および/または懸架器具をキャッチするように構成されたキャッチャーアセンブリを含む、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記キャッチャーアセンブリと植物および/または懸架器具との係合を検知するように構成された検知装置を備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ロボットアームシステムに結合され、前記ロボットアームシステムのマニピュレータによって操作される懸架器具によって支持される植物の少なくとも一部の重量を示す測定信号/データを生成するように構成された計量機構を含む、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの感知ユニットによって生成された信号/データを受信し、可動プラットフォームを減速または停止させ、および前記懸架器具を操作するための制御信号を応答的に生成するように構成され動作可能な制御ユニットを含む、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記ロボットアームシステムに結合され、前記懸架器具に連結された植物またはその一部の重量を示す荷重/重量データ/信号を生成するように構成された計量機構を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御ユニットが、操作される懸架器具に支持される植物の重量データ/信号を収集、処理、および/または監視し、それによって成長異常が判定された場合に警告を発するように構成され動作可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記マニピュレータからの前記懸架器具の脱落事故を検出するように構成された1以上のセンサを含む、請求項13乃至15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記制御ユニットは、前記マニピュレータからの前記懸架器具の脱落事故の検出時に前記システムを停止させるように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記制御ユニットは、前記計量機構からの荷重/重量データ/信号が前記ロボットアーム上の植物の重量を示しているときに、前記懸架器具を操作するように構成されている、請求項13乃至17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つのロボットアームに結合された補助アームを含み、前記補助アームは、前記ケーブルに接触し、前記少なくとも1つのロボットアームを少なくとも部分的に前記ケーブル上に支持するように構成されている、請求項1乃至18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記補助アームが少なくとも1つのロボットアームにヒンジ結合されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記補助アームが、前記補助アームを前記少なくとも1つのロボットアームの方へ引っ張るように構成された弾性要素によって前記少なくとも1つのロボットアームに結合されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記補助アームが、前記懸架器具が前記少なくとも1つのロボットアームによって操作されるときに、前記ケーブル上の連続的な接触を維持するように構成された伸縮可能な要素を含む、請求項19乃至21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記少なくとも1つの感知ユニットが、前記補助アームに設けられ、前記懸架器具の1つへの近接または接触を示す近接センサおよび/または触覚センサを含む、請求項19乃至22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記グリップフィンガの少なくとも1つは、前記検出された懸架器具の一部を受け入れるように構成された凹部を具え、それによって前記マニピュレータによって前記懸架器具を把持して固定する、請求項1乃至23のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記グリップフィンガの少なくとも1つは、前記検出された懸架器具の一部を受け入れるように構成された1以上の突起を具え、それによって前記マニピュレータによって前記懸架器具を把持して固定する、請求項1乃至24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記グリップフィンガは、検出された懸架器具の一部を受け入れ、それによって前記マニピュレータによって前記懸架器具を把持し固定するように構成された相補的なオス/メス型の把持要素を含む、請求項1乃至25のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記アクチュエータが、前記懸架器具のループに挿入するために移動制御可能なロックピンを含む、請求項1乃至26のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記マニピュレータが、前記懸架器具を中に受け入れ、前記ロックピンの通路上にそのループが配置されたことを示すように構成された1以上のセンサを含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記マニピュレータが、前記懸架器具の上部を前方に押し、前記ロックピンを中心に前記懸架器具を回転させるように構成された制御可能な可動の固定要素を含む、請求項27または28に記載のシステム。
【請求項30】
前記可動の固定要素によって引き起こされる前記懸架器具の下部の動きを止めるように構成された当接構造を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
自動化された植物管理および/または処理の方法であって、
少なくとも1つのロボットアームに結合された少なくとも1つの感知ユニットにより、ケーブルから吊り下げられた懸架器具の位置を検出するステップと、
前記ロボットアームの長手方向軸に沿って、非把持状態のマニピュレータを前記懸架器具に向かって移動させるステップであって、前記懸架器具は、前記懸架器具に連結された少なくとも1つの植物を支持しており、前記ロボットアームの長手方向軸は、前記少なくとも1つのロボットアームにかかる重力の方向に対してほぼ垂直である、ステップと、
前記懸架器具を前記マニピュレータのグリップフィンガ間に受け入れ、前記マニピュレータを、前記懸架器具が前記グリップフィンガ間に固定される把持状態へと変更するステップと、
前記懸架器具に連結された植物の吊り下げ高さ、または前記ケーブルに沿った前記懸架器具の位置の少なくとも一方を調整するために、前記マニピュレータによって前記懸架器具を操作するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
前記マニピュレータによって前記懸架器具を操作するステップが、前記少なくとも1つの植物の吊り下げ高さを調節するために、前記懸架器具の一部に巻かれた撚り紐/ワイヤの一部を解放すること、または解放された撚り紐/ワイヤの一部を巻き取るステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも1つのロボットアームによって操作される懸架器具によって支持される植物の各々についての重量測定データ/信号を受信するステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記マニピュレータの高さを調整するステップを含み、前記懸架器具を操作するステップが、前記ケーブルから前記懸架器具を取り外すために前記マニピュレータを上昇させるステップを含む、請求項31乃至33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記懸架器具を操作するステップが、前記懸架器具を前記ケーブルに沿って予め定められた距離だけ変位させるステップを含む、請求項31乃至34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記マニピュレータからの前記懸架器具の偶発的な解放を検出するステップを含む、請求項31乃至35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記マニピュレータからの前記懸架器具の偶発的な解放の検出に応答して、すべての操作を停止するステップ、および/または、警報を発するステップを含む、請求項36に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般に農業用自動化システムに関し、より具体的には、植物の様々な生長管理および/または処理作業を行うためのロボットアームシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
農業用ロボットは、さまざまな方法で農家の生産量を増加させている。ドローンから自律走行トラクター、ロボットアームに至るまで、この技術は多くの革新的な用途に展開されている。これらのロボットは、農家にとって時間がかかり反復的で退屈な作業を自動化することで、農家は全体的な生産収量の向上にもっと集中できるようになる。農業分野で最も一般的なロボットの中には、収穫や摘果、雑草駆除、自律型草刈り、剪定、播種、散布、間伐、また選別や梱包などに使用されるものがある。
【0003】
収穫と摘果は、ロボットが達成できる精度とスピードにより収穫量を向上させ、作物が畑に放置されることによる無駄を減らすことができるため、農業における最も人気のあるロボットアプリケーションの1つである。ただし、農業業界では、生産収量を向上させるためにロボットによる自動化を導入している革新的な方法が他にも数多くある。
【0004】
植物の生育管理プロセスは、金属部品をピッキングして組立ラインに配置するのとは大きく異なる。農業用ロボットアームは、動的な環境でも柔軟性があり、処理中の植物にダメージを与えないような正確さが求められる。例えば、ロボットアームは多くの障害物がある環境を移動して、唐辛子を繊細に掴んで置かなければならない。
【0005】
レイヤリング/レベリングは農業ではごく一般的な作業であり、植物の頭が一定の高さに達したときに行われる。例えば、大規模な栽培施設では、植物(例えば、トマト、キュウリなど)を吊り、支持し、断続的または定期的に下げるために、特別に設計されたフック(本明細書では懸架器具とも呼ばれる)が用いられる。このレイヤリング/レベリングフックは、上側フックと下側フック、これらフック間の中央糸巻き部分、その上に巻いた撚り紐を有する両側フック装置であるが、他の構成を同様に用いることができる。レイヤリング/レベリングフックは、そのフックの1つによってトレリスケーブルに取り付けられ、撚り紐の自由端を植物の一部に繋げて植物を支持する。植物が成長すると、植物による上部への水の分配を緩和し、熟した果実の収穫を容易にするために、巻かれた撚り紐の一部をレイヤリング/レベリングフックから解放して植物を下げる。
【0006】
一般に、この下降は、作業者がフックを掴んで持ち上げ、上側フックをトレリスケーブルから外し、レイヤリング/レベリングフフックを180°回転させ、レイヤリング/レベリングフフックを一定距離(例えば10~30cm程度)横方向にずらし、そしてトレリスケーブルに戻すという手順で行われる。レイヤリング/レベリングフックを180°回転させると、下側フックが上側フックになり、その逆も同様となる。この手順では、フックを半回転させた長さ、例えば20cmほど植物が下がる。植物は通常、1週間に20cmほど成長するので、植物の成長速度に合わせて1週間に1回の頻度で下げる必要がある。さらに、下げることで、収穫者が熟した果実を収穫するために必要な植物の下部に簡単に手が届くようになる。
【0007】
このレイヤリング/レベリング作業では、1ヘクタール当たり約2万株の植物を、毎週1株に数秒を費やすとすると、レイヤリング/レベリング作業にかかるコストは、1ヘクタール当たり約1000ドル/月となり得る。また、農業従事者の数が限られていることも、関連する課題の一つである。適切な人間の労働力が不足すると、日常的なレイヤリング/レベリング作業が立ち行かず、植物の品質が低下し、トレリスケーブルに植物を固定して時々適切な高さに下げなければ植物は曲がったり折れたりする場合があり、また、作業員が果実に手を伸ばすのが困難であれば、落下や収量の低下を引き起こす可能性がある。したがって、手作業への依存を減らし、これらの作業を自動化することが極めて重要である。
【0008】
特許文献から知られている農業自動化ソリューションのいくつかを以下に簡単に説明する。
米国特許公開第2015/173297号には、植物の作物を選択的に収穫する装置が記載されている。この装置はピッキング装置を含み得る。ピッキング装置は中心軸を中心に回転可能であり得る。ピッキング装置は、それぞれ間隔をあけて中心軸から放射状に延び、それぞれが作物の異なる個体をピッキングするように構成された複数のグリッパを含み得る。複数のグリッパの各々は、開位置と閉位置の間で調節可能である。複数のグリッパの各々は、個々の作物の周囲で開くように開位置に構成することができる。複数のグリッパの各々は、ピッキング装置が中心軸を中心に回転されたときに、個々の作物を確実に保持するために閉位置に構成されてもよい。
【0009】
米国特許公開第2015/142250号は、植えられた作物の列の間をセルフナビゲートしながら、農業エリアの季節中の管理タスクを選択的に実行するための自律車両プラットフォームおよびシステムを記載している。自律車両プラットフォームは、2列に植えられた作物の間の空間に挿入可能な幅寸法の車両ベースを有し、この車両ベースは、農地内における選択的施肥、成長ゾーンのマッピング、被覆作物の播種を含む様々なタスクを実行するように構成された季節中のタスク管理構造を有する。
【0010】
米国特許公開第2008/046130号明細書は、複数の装備(implements)を搭載した装備キャディと、細長い搬送構造体と、細長い搬送構造体に沿って移動可能なフィールドロボットとを含む、農業分野で使用するための農業自動化システムを記載している。フィールドロボットは、細長い搬送構造体に沿った移動とは異なる少なくとも1つの方向に移動可能なアームを含む。フィールドロボットは、ツールやセンサなどの少なくとも1つの選択された装備にアームを連結するための装備キャディとインターフェースする。
【0011】
欧州特許公開第3,714,682は、ハイワイヤフックを再配置するための把持装置を開示しており、これはロープに巻き付けるための対向する一対のループと、懸架ワイヤにハイワイヤフックを吊り下げるための、それぞれのフックがそれぞれのループの近傍に位置する一対の懸架フックとを具え、それによって、ハイワイヤフックは、懸架フックの一方で懸架ワイヤにハイワイヤフックを吊り下げることによって、園芸においてハイワイヤ作物を支持するように構成されており、ループに巻かれたロープがハイワイヤ作物の終端を支持し、把持装置が、突起を含む把持機構と、把持機構に結合されたロボットアームと、ロボットアームに作動的に結合された処理ユニットとを具え、処理ユニットは、ハイワイヤフックを再配置するために、突起をループの1つに挿入するようにロボットアームを作動させる。
【発明の概要】
【0012】
当技術分野では、例えば、比較的重い植物に対する植物のレイヤリング/レベリングなどの効率的な生育管理タスクのために構成され、同時に、農業エリア/施設で動作できるような適切な比較的コンパクトな寸法/サイズを有する自動化システムが必要とされている。本出願は、このようなタスクを効率的に行うように構成された農業用自動化植物生育管理/処理システムおよび技術を提供する。ある広範な態様では、植物の一部が吊り下げられている懸架器具(本明細書ではレイヤリング/レベリングフックとも呼ばれる)を操作して、トレリスケーブルに対して植物の吊り下げ部分を下降および/または変位させるように構成されたロボットアームシステムが提供される。ロボットアームシステムは、ケーブルに沿って移動し、トレリスケーブルから吊り下げられた懸架器具を識別し、植物の少なくとも一部を下降させ、または上昇させ、および/または変位させるために懸架器具をトレリスケーブルから取り外すように構成されている。したがって、いくつかの実施形態では、ロボットアームシステムは、特定された懸架器具に接近するためにトレリスケーブルに向かって、またはトレリスケーブルから離れるように往復移動し、植物の少なくとも一部を降下させ、および/またはトレリスケーブルに沿って懸架器具の位置を変位させるために、トレリスケーブルから取り外せるように構成される。
【0013】
いくつかの実施形態では、懸架器具は、その自由端で植物の一部に接続された、巻かれた撚り紐/ワイヤを有する一種のレイヤリング/レベリングダブルフック器具である。このような実施形態では、ロボットアームシステムは、吊り下げられた植物部分を下降させるために、巻かれた撚り紐/ワイヤの一部を解放するように構成されている。この目的のために、ロボットアームシステムは、いくつかの実施形態において、懸架器具を把持し、懸架器具を180°回転させることによって巻かれた撚り紐/ワイヤの一部を解放するように構成された回転可能なグリッパを含む。さらに、トレリスケーブルから懸架器具を取り外すために、いくつかの実施形態では、システムはさらに、トレリスケーブルに対してロボットアームシステムの上昇または下降を制御するように構成されている。
【0014】
あるいは、他の可能な実施形態において、ロボットアームシステムは、特定された懸架器具に接近するためにトレリスケーブルに向かって、またはトレリスケーブルから離れるように往復移動し、植物の少なくとも一部を上昇させ、および/またはトレリスケーブルに沿って懸架器具の位置を変位させるために、トレリスケーブルから懸架器具を取り外すように構成される。このような可能な実施形態では、ロボットアームシステムは、吊り下げられた植物の部分を上昇させるために、解放された撚り紐/ワイヤの一部を巻き取るように構成される。同様に、ロボットアームシステムの回転可能なグリッパは、懸架器具を180°逆回転させることによって、懸架器具を把持し、解放された撚り紐/ワイヤの一部をその上に巻き取るように構成することができる。
【0015】
トレリスケーブルに沿って懸架器具を変位させるために、いくつかの実施形態では、ロボットアームシステムは、グリッパ/マニピュレータをその回転軸を中心に回転運動させるようにさらに構成されている。このようにして、懸架器具が識別されるたびにロボットアームシステムの動きを止め、ロボットアームを識別された懸架器具の方へ移動させてグリッパと係合させ、グリッパで懸架器具を把持し、ロボットアームをわずかに上昇させて懸架器具の上側フックをトレリスケーブルから取り外し、そして、懸架器具がグリッパによって180°回転されて、巻かれた撚り紐の一部を解放した(または、解放された撚り紐の一部を巻いた)後に、ロボットアームは、その回転軸を中心に回転されて、把持された懸架器具をトレリスケーブルに沿って定められた距離だけ変位させることができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、ロボットアームシステムは、把持された懸架器具をトレリスケーブルに沿って規定された距離だけ変位させるために、(懸架器具を保持している)ロボットアームが実質的に水平(すなわち、地面に平行)かつトレリスケーブルに垂直に維持した状態で、トレリスケーブルに沿って移動させることができる。
【0017】
次に、ロボットアームは、懸架器具の現在の上側フック(以前は下側フック)がトレリスケーブルの上方に位置するまでロボットアームをトレリスケーブルの方へ移動させ、ロボットアームを下降させてレイヤリング/レベリング懸架器具/フックに対する把持を解放して、レイヤリング/レベリング懸架器具/フックを現在の上側フックによってトレリスケーブルに戻すことにより、懸架器具を戻してトレリスケーブルから吊り下げることができる。
【0018】
比較的重い植物(例えば、典型的なトマトの株は約10Kgの重量がある)のレイヤリング/レベリングを実行するためには、そのような比較的高重量を持ち上げることができる適切なロボットアームが必要である。しかし、このような高重量のペイロードを対象としたロボットアームは高価であり、通常、農業環境に適合させるには大きすぎて扱いにくい一方、小型のロボットアームやコボット(Cobots)では、このような高重量のペイロードを扱うには限界がある。
【0019】
一般に、ロボットアームのペイロードの限界は、先端から最も遠い関節(通常はグリッパ)が適用できる最大トルクによって決まる。ロボットアームのグリッパに力が作用すると、対応するトルクが一番遠い関節に発生する。さらに、大きなペイロードの処理や持ち上げを目的としたロボットアームは、関節モータを駆動するのに大電流が必要となるため、高電力が必要となり、そのすべてがロボットのコストにつながる。例えば、温室内の典型的なライン幅の場合、ロボットアームの中央にアクチュエータを配置し、植物の重量を約10Kgと仮定すると、持ち上げるのに必要なトルクは約60Nmである。
【0020】
アクチュエータの最大トルクに由来する制限を克服するために、本明細書に開示される実施形態では以下の構成が企図される。
・タスクを実行するロボットアームの重量支持要素は、ペイロードとその動作中に作用する曲げ力に耐えることができる剛性ビームとして構成される。
・システム構造に作用する応力を低減するために、ロボットアームは、レイヤリング/レベリング懸架器具/フックを持ち上げているときにトレリスケーブルに寄りかかるように構成することができ、それによって動作中にトレリスケーブルでロボットアームを支持することができる。
・グリップフィンガは、以下の少なくとも1つの把持方法を実施するように構成することができる。
・主たる把持方法として利用可能なオス/メス型グリッピング。ここで、懸架器具/フックはグリップフィンガ間に捕捉/把持され、したがって、懸架器具/フックが滑り落ちることがないように、二次的/付加的な方法として利用可能なグリッピングのための摩擦力が利用される。
・閉じること、例えば、懸架器具/フックのスリップを防止するように構成された、パターン化された取り付け/把持面を利用する。
・強制閉鎖、すなわち摩擦力を利用した閉鎖を主な把持方法として使用し、形(例えば、パターン付きアタッチメント)による閉鎖を懸架器具/フックが滑り落ちることがないようにする二次的/付加的な方法として使用することができ、例えばグリッパの「フィンガ」間で懸架器具/フックを締め付けて、摩擦が滑りを防ぐようにする(ゴムを使用すると増大できる)。
【0021】
本明細書で開示する実施形態では、これらの把持方法の任意の組み合わせを実施することができる。
【0022】
前述のように、コボットや小型ロボットアームに使用される回転ジョイントは、限られたトルクレベルしか提供できず、その結果、可搬重量も限られる。本明細書で開示される実施形態は、植物の重量(例えば、10Kg)を持ち上げて保持することができる伸縮マストまたは一種のハサミ式昇降(リフト)機構を利用し、これは他の農業作業(例えば、受粉)に利用することができる。ロボットアームは、スクリュ駆動のベースレールを利用して十分な垂直力を提供し、モータのデューティ/負荷サイクルを低減するセルフロックオプションを利用することができる。このように、ロボットアームシステムの設計は、植物の重量がロボットアームの垂直自由度(いくつかの実施形態ではスクリュベースのアクチュエータ)によってのみ支えられるようにする必要がある。提案された設計により、意図された以外の作動が、植物の重量に対して、それに垂直な方向にしか生じないことが保証される。同様に、可能な実施形態では、トレリスケーブルに向かう/離れるロボットアームの往復運動に空気圧リニアアクチュエータが用いられる。
【0023】
ある態様では、本明細書に開示された主題は自動化された植物管理および/または処理システムに関する。このシステムは、少なくとも1つのロボットアームシステムであって、そのロボットアームをその長手方向軸に沿って、ケーブル上に配置された懸架器具に対して往復移動させるように構成され、各懸架器具は、懸架器具に結合された少なくとも1つの植物を支持する、少なくとも1つのロボットアームシステムと、当該少なくとも1つのロボットアームに結合され、そのグリップフィンガ間に前記懸架器具の1つを受け入れて固定し、前記懸架器具に結合された植物の吊り下げ高さ、または前記ケーブルに沿った前記懸架器具の位置の少なくとも1つを調整するように構成されたマニピュレータ/グリッパと、前記マニピュレータによる前記懸架器具の操作によってその視野が影響を受けないように、前記少なくとも1つのロボットアームに結合された少なくとも1つの感知ユニットとを含む。少なくとも1つの感知ユニットは、ケーブルから吊り下げられた懸架器具の1つの位置を検出し、少なくとも1つのロボットアームに前記長手方向軸に沿って往復運動させて懸架器具を把持し操作するための信号/データを生成するように構成される。
【0024】
ロボットアームの長手方向軸は、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのロボットアームが受ける重力の方向に対して垂直で、実質的に水平(すなわち、地面に平行)であり、すなわち、ロボットアームの長手方向軸は実質的に水平/地面に平行である。マニピュレータ/グリッパのグリップフィンガの少なくとも1つは、グリップフィンガ間に懸架器具を捕捉し固定するために、ロボットアームの長手方向軸に対して実質的に垂直に移動するように構成することができる。
【0025】
任意で、ただしいくつかの実施形態では好適には、懸架器具のそれぞれは、巻かれた撚り紐/ワイヤを含む。このようにして、それぞれの植物は、巻かれた撚り紐/ワイヤの自由端でそれぞれの懸架器具に結合することができる。グリッパは、それぞれの植物の吊り下げ高さを調整するために、巻かれた撚り紐/ワイヤの一部を解放するように、または解放された撚り紐/ワイヤの一部を巻き取るように構成され得る。システムは、いくつかの実施形態では、グリッパを回転させるように構成されたグリッパ回転ユニットを具える。グリッパは、検出された懸架器具を把持し、グリッパ回転ユニットによって回転させ、巻かれたワイヤ/撚り紐の一部を解放するか、解放されたワイヤ/撚り紐の一部を巻き取るように構成することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、各ロボットアームシステムは、それぞれの水平レールにその上をスライド運動するように結合されている。代替的または追加的に、各ロボットアームシステムは、それぞれの垂直レールにその上をスライド運動するように結合されている。このシステムは、いくつかの実施形態では、当該システムの対向する2つの側のそれぞれの2つの異なるケーブル上に配置された懸架器具を同時に操作するように構成された2つのロボットアームシステムを具える。
【0027】
システムは、いくつかの実施形態では、ロボットアームの高さを制御するための調節可能なマスト、またはハサミ式昇降機構を具える。したがって、懸架器具の操作は、調節可能なマストによってロボットアームを上昇させるか、懸架器具の上側フックをケーブルから切り離すためのハサミ式昇降機構によって行うことができる。この目的のために、調節可能なマストに伸縮式マスト装置を設けることができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータを用いて、調節可能なマストの長手方向軸に実質的に垂直に、懸架器具に対する少なくとも1つのロボットアームの往復運動を制御可能に生じさせる。
【0028】
システムは、少なくとも1つのロボットアームにヨー回転運動を加えるように構成されたアーム回転ユニットを含み得る。したがって、懸架器具の操作は、懸架器具をケーブルから取り外し、アーム回転ユニットで少なくとも1つのロボットアームを回転させ、懸架器具をケーブル上で以前の位置からある距離だけ離すことを含むことができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、システムは、少なくとも1つのロボットアームをケーブルと実質的に平行に移動させるための可動プラットフォームを含む。したがって、懸架器具の操作は、可動プラットフォームをケーブルに沿って適宜移動させることにより、懸架器具をケーブルに沿って所定の距離変位させることを含み得る。少なくとも1つの感知ユニットによって生成された信号/データを、可動プラットフォームの動きを減速および/または停止させるために使用することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、システムは、アクチュエータおよび/またはケーブルから誤って切り離された植物および/または懸架器具をキャッチするように構成されたキャッチャーアセンブリを含む。このシステムは、キャッチャーアセンブリと植物および/または懸架器具との係合を検知するように構成された感知装置をさらに含み得る。可能な実施形態では、ロボットアームシステムに結合され、懸架器具に結合された植物またはその一部の重量を示す荷重/重量データ/信号を生成するように構成された計量機構を含む。この計量機構は、ロボットアームシステムのマニピュレータによって操作される懸架器具によって支持される植物の少なくとも一部の重量を示す測定信号/データを生成するために使用することができる。それに応じて制御ユニットは、ロボットアームシステムおよび/またはそのマニピュレータ/グリッパによって懸架器具が操作する植物の重量データ/信号を収集し、処理し、および/または監視し、それによって成長異常が判定された場合に警告を発するように構成され、動作可能であり得る。
【0031】
システムは、いくつかの実施形態では、マニピュレータからの懸架器具の偶発的な解放を検出するように構成された1以上のセンサを含む。制御ユニットは、マニピュレータから懸架器具が外れた事故を検出すると、システムを停止するように構成することができる。任意で、しかしいくつかの実施形態において好ましくは、制御ユニットは、計量機構からの荷重/重量データ/信号がロボットアーム上の植物の重量を示しているときはいつでも、懸架器具を操作するように構成される。
【0032】
システムは、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの感知ユニットによって生成された信号/データを受信し、それに応じて可動プラットフォームを減速または停止させ、懸架器具を操作するための制御信号を生成するように構成され動作可能な制御ユニットを含む。少なくとも1つの感知ユニットは、ケーブル上の少なくとも1つの懸架器具の位置を示す画像データ/信号を生成するように構成されたイメージャを含み得る。制御ユニットは、イメージャによって生成された画像データ/信号を処理および分析し、それに基づいて、検出された懸架器具を操作するための制御信号を生成するように構成され動作可能であり得る。任意で、しかしいくつかの実施形態において好ましくは、少なくとも1つの感知ユニットは、少なくとも1つのロボットアームが懸架器具の1つに近接していること、および/または接触していることを示す信号/データを生成するように構成された、近接センサおよび/または接触センサおよび/または光学/イメージャセンサを具える。
【0033】
いくつかの実施形態では、補助アームを、1以上のロボットアームに結合することができる。補助アームは、ケーブルに接触し、少なくとも1つのロボットアームを少なくとも部分的にケーブル上に支持するように構成され得る。補助アームは、少なくとも1つのロボットアームにヒンジ結合することができる。補助アームは、補助アームを少なくとも1つのロボットアームに向かって引っ張るように構成された弾性要素によって、少なくとも1つのロボットアームにさらに結合されてもよい。任意で、補助アームは、懸架器具が少なくとも1つのロボットアームによって操作されるときに、ケーブル上に連続的な接触を維持するように構成された伸縮自在の部品を具える。可能な実施形態では、少なくとも1つの感知ユニットは、懸架器具の1つへの近接または接触を示すために補助アームに設けられた、近接および/または触覚および/または光学/イメージャセンサを具える。
【0034】
グリッパは、懸架器具を把持するように構成された少なくとも2つのグリップフィンガを利用することができる。任意で、グリップフィンガの少なくとも1つは、検出された懸架器具を把持または解放するために、他のグリップフィンガに対して移動制御可能である。グリップフィンガの少なくとも1つは、検出された懸架器具の一部を受容するように構成された凹部を有し、それによってグリッパで懸架器具を把持し固定することができる。いくつかの実施形態では、グリップフィンガの少なくとも1つは、検出された懸架器具の一部を受容するように構成された1つまたは複数の突起を有し、それによってグリッパで懸架器具を把持し固定する。グリップフィンガは、検出された懸架器具の一部を受け入れるように構成された相補的なオス/メス型把持要素を有し、それによってグリッパで懸架器具を把持し固定するようにしてもよい。
【0035】
アクチュエータは、いくつかの実施形態では、懸架器具のループに挿入するために移動制御可能なロックピンを具える。マニピュレータは、懸架器具の受け入れや、ロックピンの通路上のループの配置を示すように構成された1つ以上のセンサを含むことができる。マニピュレータは、可能な実施形態では、懸架器具の上部を前方に押してロックピンを中心に回転させるように構成された移動制御可能な可動固定要素を具える。システムは、可動固定要素に起因する懸架器具下部の動きを止めるように構成された当接構造を含むことができる。
【0036】
本明細書で開示される主題の別の態様は、自動化された植物管理および/または処理のための方法に関する。この方法は、少なくとも1つのロボットアームに結合された少なくとも1つの感知ユニットによって、ケーブルから吊り下げられた懸架器具の位置を検出するステップと、前記ロボットアームの長手方向軸(例えば、前記長手方向軸は、前記少なくとも1つのロボットアームにかかる重力の方向に対して実質的に垂直である)に沿ってグリッパ装置を非グリップ状態で前記懸架器具に向かって移動させるステップであって、ここで前記懸架器具は、前記懸架器具に結合された少なくとも1つの植物を支持している、ステップと、前記懸架器具をマニピュレータのグリップフィンガ間に受け入れ、前記グリッパ装置をグリップ状態に変更するステップであって、これは例えば前記グリッパ装置の少なくとも1つのグリップフィンガを、前記ロボットアームの前記長手方向軸に対して実質的に垂直に動かすことにより、例えば前記懸架器具をその中に保持し固定することによる、ステップと、前記グリッパ装置により前記懸架器具を操作して、前記懸架器具に結合された植物の吊り下げ高さ、または前記ケーブルに沿った前記懸架器具の位置の少なくとも1つを調整するステップとを含む。
【0037】
グリッパによる懸架器具の操作は、少なくとも1つの植物の吊り下げ高さを調整するために、懸架器具の一部に巻かれた撚り紐/ワイヤの一部を解放するステップ、または解放された撚り紐/ワイヤの一部を巻き取るステップを含み得る。懸架器具の操作は、グリッパ装置によって懸架器具を回転させるステップを含み得る。
【0038】
この方法は、グリッパの高さを調整するステップを含み得る。懸架器具の操作は、懸架器具をケーブルから取り外すためにグリッパを上昇させるステップを含み得る。懸架器具の操作は、いくつかの実施形態では、懸架器具をケーブルに沿って所定の距離変位させるステップを含む。
【0039】
本方法は、いくつかの実施形態では、ケーブル上に配置された1つまたは複数の更なる懸架器具を検出し操作するために、グリッパ装置をケーブルに沿って移動させるステップを含む。可能な実施形態では、本方法は、少なくとも1つの感知ユニットから信号/データを受信して処理するステップと、信号/データが懸架器具に接近していることを示す場合に、懸架器具を操作するためにグリッパ装置の移動を応答的に減速または停止するステップとを含む。
【0040】
本方法は、少なくとも1つのロボットアームによって操作される懸架器具に支持される植物の各々について、重量測定データ/信号を受信するステップを含み得る。本方法は、可能な実施形態では、マニピュレータからの懸架器具の偶発的な解放を検出するステップを含む。任意で、マニピュレータからの懸架器具の偶発的な解放の検知に応答して、システムのすべての動作が停止され、および/または警告が発せられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本明細書で開示される主題をよりよく理解し、実際にどのように実施され得るかを例示するために、添付の図面を参照しながら、非限定的な例としてのみ実施形態を説明する。
【
図1】
図1Aおよび
図1Bは、いくつかの可能な実施形態によるロボットアームシステムを概略的に示す図であり、
図1Aはロボットアームの全体図であり、
図1Bは可動プラットフォームに担持されるロボットアームシステムを示す図である。
【
図2】
図2は、いくつかの可能な実施形態によるロボットアームの構成要素を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、いくつかの可能な実施形態によるロボットアームシステムの制御方式を概略的に示す図である。
【
図4】
図4は、他の可能な実施形態によるロボットアームシステムを概略的に示す図である。
【
図5】
図5は、他の可能な実施形態によるロボットアームの上面図である。
【
図6】
図6は、摩擦付与要素を有するいくつかの可能な実施形態によるロボットアームのグリッパを概略的に示す図である。
【
図7】
図7は、グリップ溝を有するいくつかの可能な実施形態によるロボットアームの別のグリッパ構成を概略的に示す図である。
【
図8】
図8は、グリップ突起を有するいくつかの可能な実施形態によるロボットアームの別のグリッパ構成を概略的に示す図である。
【
図9】
図9Aおよび
図9Bは、オス/メス構成を有するいくつかの可能な実施形態によるロボットアームのグリッパ構成を概略的に示す図である。
【
図10】
図10Aおよび
図10Bは、いくつかの可能な実施形態によるロボットアームの動作を概略的に示すフローチャートである。
【
図12】
図12A~
図12Dは、いくつかの可能な実施形態によるロボットアームシステムおよびそのマニピュレータを概略的に示す図であり、
図12Aはロボットアームシステムおよびそのマニピュレータの斜視図であり、
図12Bは懸架器具がマニピュレータにロックされた状態のロボットアームシステムの側面図であり、
図12Cは懸架器具がマニピュレータにロックされ固定化された状態のロボットアームシステムの側面図であり、
図12Dはいくつかの可能な実施形態によるロボットアーム管理手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の様々な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明するが、これらはあらゆる観点において例示に過ぎず、いかなる形でも限定ではないとみなされるべきである。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実装のすべての特徴が明細書に記載されているわけではない。図面に示す要素は、必ずしも縮尺通りではなく、また正しい比例関係にあるわけではなく、これらは重要ではない。その代わりに、当業者がその原理を理解すれば、その発明を作成し使用できるように、発明の原理を明確に説明することに重点が置かれている。本発明は、本明細書に記載された本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態および実施形態で提供されてもよい。
【0043】
図1Aに、いくつかの可能な実施形態による農業用自動植物生育管理/処置システム100を概略的に示す。システム100は、「農業エリア」における植物の生育管理(例えば、レイヤリング/レベリング)に関連する様々なタスクを実行するように構成され得る。本明細書において、「農業エリア」という用語は、農地や、農業用ハウス、温室などの植物栽培施設を含めて広く解釈されるべきものである。
【0044】
図示のように、植物Pの一部は、巻かれたワイヤ/ケーブル/撚り紐/スプール47によって、この非限定的な図では、ダブルフックのレイヤリング/レベリング構造/装置である懸架器具15に取り付けられている。懸架器具15は、その上側フック15tによってケーブル14(典型的にはトレリスケーブル)から吊り下げられており、一方、その下側フック15bは緩んだ状態に維持され、その結果、植物Pは、植物Pを地面(
図3の73)から一定の高さで維持/保持および支持する巻かれた撚り紐/ワイヤを介して、懸架器具15によってケーブル14から吊り下げられる。通常、このようなケーブル14は、その上に配置された懸架器具15のような複数の懸架器具を有するが、理解を容易にするため、
図1Aではこのような器具15を1つだけ示す。
【0045】
図示のように、植物Pは、懸架器具15に吊り下げ用の撚り紐/ワイヤ47を介して取り付けられており、これは典型的には、懸架器具15の中央部分に巻かれ、植物Pの少なくとも一部に連結されており、したがって、
図4を参照してさらに後述するように、植物Pを地面(73)から一定の吊り下げ高さで支持することができる。実際には、植物は吊り下げ用の撚り紐/ワイヤ47に全長に沿って巻きつけられるか、クリップ留めされる。
【0046】
システム100は、それぞれの懸架器具15によって植物Pが吊り下げられているケーブル14と実質的に平行に(沿って)移動できるロボットアーム13を含む。より具体的には、ロボットアーム13は、ロボットアーム13の長手方向軸が実質的に水平(すなわち、地面73に平行)かつケーブル14に対して実質的に垂直になるように、ケーブル14に沿って規定された経路/軸に沿って移動制御することができる(g1)。
【0047】
ロボットアーム13はまた、懸架器具15および/またはケーブル14に対して往復移動し(g4)、すなわち、ロボットアーム13の長手方向軸13xに沿って、ケーブル14に向かうかケーブル14から離れるように移動し、それによって、懸架器具15を操作するためにロボットアーム13が懸架器具15に到達できるように構成されている。この目的のために、ロボットアーム13は、ロボットアーム13の、ケーブルに向かう、およびケーブル14から離れる往復運動を可能にするように適合されたアクチュエータ13a(例えば、ねじ駆動ベースレール、電気リニアアクチュエータ、空気圧アクチュエータなどのリニアアクチュエータ)と関連付けられるか、アクチュエータ13aに結合され得る。アクチュエータ13aはさらに、ロボットアーム13が懸架器具15を操作できるように、そこに加えられるトルク(例えば、約40~60Nm)に耐えられるように適合されている。
【0048】
ロボットアームの可搬重量の限界、すなわちロボットアームが持ち上げることができる重量は、一般的にロボットアームの先端から最も遠い関節によって決まることに留意する必要がある。具体的には、システム100では、ロボットアーム13が懸架器具15を操作する際、ロボットアーム13の先端/端部(遠位端)に力が作用する。この力は、懸架器具15が一般に担持しているペイロードの重量、すなわち植物Pの重量に比例する。ロボットアーム13に作用する間、この力はアクチュエータ13aに対応するトルクを加え、本明細書に開示する実施形態では、これは関節機構を利用せず、リニアまたは空気圧アクチュエータを利用する。
【0049】
例えば、典型的なトマトの株の重量は約10Kgで、アクチュエータ13aには約45~65Nmのトルクがかかる。したがって、図示された実施形態では、アクチュエータ13aによって影響される往復運動は、吊り下げられた植物によって加えられる重力の方向に対して実質的に垂直であり、それによって、グリップ端(13g)に作用する実質的な負荷の下でロボットアーム13の比較的大きな伸長が可能である。こうすることで、ロボットアームは比較的大きなトルクに耐えることができ、ロボットアーム13を作動させて、比較的低い電力要求で懸架器具を操作することが可能になる。
【0050】
システム100はまた、ロボットアーム13に結合/取り付けられた少なくとも1つの感知ユニットS(例えば、カメラ/イメージャ、近接センサ、触覚センサなど、またはそれらの任意の組み合わせ)を含む。感知ユニットSは、ロボットアーム13がケーブル14と実質的に平行に/ケーブル14に沿って移動する際に、ケーブル14から吊り下げられた懸架器具15の位置を検知するように構成されている。ケーブル14上のある懸架器具15を検知すると、感知ユニットSは、ロボットアーム13を検知された懸架器具15の前で停止させ、懸架器具15に対して往復移動させて操作させるための信号/データを生成する。
【0051】
システム100はまた、ロボットアーム13に回転可能に取り付け/結合されたグリッパ/マニピュレータ13gを含み、それによってロボットアーム13は懸架器具15を操作する。特に、グリッパ13gは、地面(73)に対する植物Pの吊り下げ高さ、および/またはケーブル14に沿った懸架器具15の位置を調整/変更するために、ケーブル14から吊り下げられた懸架器具15の1つ(検出されたもの)を操作するように構成されている。
【0052】
この特定の非限定的な例では、システム100は、特定の単一列の植物Pに関連するケーブル14に沿って移動/動作する(g1)。しかし、農地/温室は、多くの列の植物と、各列の植物に対応する別個のケーブルを含み得ることに留意すべきである。本明細書で開示するシステム100は、このような列の間、すなわち、ロボットの両側にある2本のケーブル間を移動するように構成することができる。具体的には、ケーブル14の終端に達すると、システムは次の列へと進む。このため、いくつかの実施形態では、感知ユニットSは、システム100がケーブル14の端に達したときを判断するために、ケーブル14を検知するように構成されている。したがって、システム100がケーブル14の端に到達すると、次の植物の列で動作するために移動することができる。
【0053】
図10Aを参照すると、いくつかの可能な実施形態による、植物の生育を管理/処理するためのプロセス200の一般化されたフローチャートを示す。プロセス200は、ロボットアームシステムをケーブルに沿って、それぞれの懸架器具によって植物が吊り下げられているケーブルと平行(S1)に移動させるステップを含む。上述したように、ロボットアームシステム(100)は、懸架器具(15)に対して(近づいたり離れたりする)往復移動制御可能である。
【0054】
プロセス200はさらに、ロボットアームがケーブルに実質的に平行に/沿って移動する際に、ケーブル(14)から吊り下げられている懸架器具のうちの1つの位置を検出するステップ(S2)と、ロボットアームを懸架器具に対して往復運動させて操作させるための信号/データを生成するステップ(S3)とを含む。ロボットアームがケーブルの端に到達すると(S4)、次の列の植物に移動することができるが(S5)、そうでなくケーブルの端に到達していない場合は、ケーブルに沿って移動し続け(S1)、吊り下げられたさらなる懸架器具を操作する(もしあれば/検出された場合)。
【0055】
図1Bを参照すると、いくつかの可能な実施形態による農業用自動植物生育管理システム10が概略的に示されている。システム10は、ケーブル14(例えば、トレリスケーブル)と実質的に平行な経路/トレイル(またはレール)16に沿って移動するように構成され動作可能な自律可動プラットフォーム11を含む。ケーブル14には、ケーブル14に沿って配置された複数の懸架器具15が取り付けられている。各懸架器具15は、対応する懸架器具15を介してケーブル14から吊り下げられる対応する植物(図示せず)に関連付けられ得る。自律可動プラットフォーム11は、植えられた作物の典型的な2つの列の間を移動できるような寸法に作られている。特に、ケーブル14に向かう/離れるロボットアーム13の直線動作は、その動作が隣接して配置された/平行なケーブル(図示せず)から吊り下げられた植物に干渉/害さないことを保証する。
【0056】
自律可動プラットフォーム11は、ベースプラットフォーム11cと、ベースプラットフォーム11cに動作可能に連結された複数の地面係合ホイール11wとを具え得る。地面係合ホイール11wは、自律可動プラットフォーム11が、異なる耕作方法(例えば、不耕起、低耕起、帯状耕起、および従来の耕起)によって生じる様々な表面状態にわたって、および異なる作物タイプの異なる土壌タイプで、効果的に動作できるようにする様々なタイプの車輪を含むことができる。いくつかの実施形態では、地面係合ホイール11wは、地面(73)、またはケーブル14に沿って通るレール(例えば、パイプレール)システムに直接係合するように構成されている。
【0057】
自律可動プラットフォーム11は、ベースプラットフォーム11cに固定的に結合され、少なくとも1つの地面係合ホイール11wに動作可能に結合された少なくとも1つのパワートレイン/ユニット11pを有し得る。一実施形態では、ディーゼルまたはガソリンを燃料とするエンジンをパワートレインの主動力源とすることができる。別の実施形態では、バッテリおよび/または電力網をパワートレインの主電源とすることができる。さらに別の実施形態では、従来のエンジンをバッテリと組み合わせ、ハイブリッド動力システムを構築することができる。
【0058】
自律可動プラットフォーム11はまた動力ユニット11pに結合された制御システム/ユニット17を含み得る。制御ユニット17は、
図3を参照して以下にさらに詳しく説明するように、自律可動プラットフォーム11を操作するように構成され動作可能である。
システム10は、ロボットアーム13を含み、このロボットアームは、自律可動プラットフォーム11によってケーブル14と実質的に平行に/ケーブル14に沿って移動され、ケーブル14から複数の植物が懸架器具15によって吊り下げられる。前述のように、ロボットアーム13は、ケーブル14に配置された懸架器具15に対して制御可能に往復移動し、懸架器具15を操作して植物の一部の吊り下げ高さを調整し、および/またはケーブル14に沿って移動させるように構成されている。
【0059】
ロボットアーム13は、調節可能なマストユニット12(例えば、伸縮マスト)に回転可能に結合され、調節可能なマストユニット12の軸に実質的に垂直な平面内で回転可能であり、したがって、ロボットアーム13は調節可能なマストユニット12の長軸を中心に/周りで回転可能である。調節可能なマストユニット12は、自律可動プラットフォーム11に固定的に取り付けられる。調節可能なマストユニット12は、いくつかの実施形態では、ロボットアーム13がケーブル14から吊り下げられた懸架器具15を操作できるように、ロボットアーム13を地面(73)からの所望の高さ、すなわち懸架器具15の高さまで持ってくるように構成されており、この高さはケーブル14の高さの変化によって変化し得る。
【0060】
この特定の非限定的な例では、ロボットアーム13はアクチュエータ13aによって調節可能なマストユニット12に結合されている。アクチュエータ13aは、調節可能なマストユニット12の長手方向軸を中心にロボットアーム13を回転させるための第1の回転ユニット(例えば、モータ軸)に取り付けることができる。
【0061】
図2を参照すると、ロボットアーム13の拡大図を示す。図示されているように、ロボットアーム13は、可能な実施形態では、調節可能なマストユニット12に対して実質的に垂直な平面内、すなわち調節可能なマストユニット12の細軸を中心に/周りでロボットアーム13の回転を提供/可能にするように構成された第1の回転ユニット13q(例えば、回転ジョイント)を介して、調節可能なマストユニット12(例えば、伸縮マスト)に取り付けられている。
【0062】
前述したように、ロボットアーム13は、検出された懸架器具15に対して往復運動し、懸架器具15を操作するために懸架器具15に到達するように構成されている。これは、回転ユニット13q上に配置され、そこに固定的/剛性的に取り付けられるアクチュエータ13a(例えば、ネジ駆動ベースレール、電動リニア、空気圧など)によって達成される。このアクチュエータ13aは、懸架器具15および/またはケーブル14に近づいたり遠ざかるロボットアーム13の往復運動を可能にする。
【0063】
ロボットアーム13は、いくつかの実施形態では、それに結合され、ロボットアーム13を前記ケーブルに実質的に平行に/沿って移動させながら、ケーブル14から吊り下げられた懸架器具15の位置を検出するように構成された感知ユニット22を具える。感知ユニット22は、ロボットアーム13を懸架器具15に対して往復運動させ、それを操作するために、ケーブル14上の懸架器具15を検出した際に信号/データを生成するように構成され得る。これらの信号/データは制御ユニット(17)に伝達され、制御ユニットはこれらの信号を受信して処理し、以下にさらに説明するように、それに応じてロボットアーム13を操作する。
【0064】
代替的または追加的に、ロボットアーム13は、ロボットアーム13を前記懸架器具15に対して(向かって/離れて)往復運動させ、それを操作するための光学データ信号を生成する光学ユニット21(例えば、イメージャ/カメラ)を含み得る。したがって、可能な実施形態では、懸架器具15の検出は、ケーブル14上の懸架器具15の位置を特定するように構成された光学ユニット21のみを使用して(例えば、画像処理技術を利用して)行われる。他の可能な実施形態では、懸架器具15の検出は、懸架器具の存在を感知し、それを示すデータ/信号を生成するように構成された一種の近接(または触覚または光学/イメージャ)センサであり得る感知ユニット22のみを使用して実施される。
【0065】
さらに他の可能な実施形態では、光学ユニット21と感知ユニット22の両方が、ケーブル14上に配置された懸架器具15の検知に使用される。例えば、限定しないが可能な実施形態では、光学ユニット21は、その視野(FOV)に懸架器具15が入るたびに初期表示を生成し、ロボットアーム13が懸架器具15に近づいていることをシステムに知らせるのに利用され、ロボットアーム13が懸架器具15の近くに位置した(または接触した)ことを感知ユニット22からの信号/データが示すまで、ケーブル14に沿ったシステム10の動きが減速されるべきである。この構成では、感知ユニット22からの信号/データを使用して、ロボットアーム13のグリッパ13gが懸架器具15の前に位置するまで、ケーブル14に沿ったシステム10の動きをさらに減速させ、最終的に停止させることができる。光学ユニット21によって生成された信号/データを用いて、グリッパ13gで把持するために、ロボットアーム13を懸架器具15に向けて誘導し、および/またはロボットアーム13が搭載された調節可能なマストユニット12によってロボットアーム13の高さを調節することができる。
【0066】
さらに他の可能な実施形態では、感知ユニット22は、懸架器具15の近接を感知(または接触)するたびに、ロボットアーム13が懸架器具15に近づいており、光学ユニット21からの信号/データが、ロボットアーム13が懸架器具15の前に位置して、ケーブル15に沿ったシステム10の動きを停止させるべきであることを示すまで、ケーブル14に沿ったシステム10の動きを減速させるべきであることをシステムに知らせるために初期表示を生成するために使用される。この構成では、感知ユニット22からの信号/データを使用して、ロボットアーム13のグリッパ13gが懸架器具15の前に位置するまで、ケーブル14に沿ったシステム10の動きをさらに減速させ、最終的に停止させることもできる。同様に、光学ユニット21によって生成された更なる信号/データは、グリッパ13gによって把持するためにロボットアーム13を懸架器具15に向けて誘導するため、および/または調整マストユニット12によってロボットアーム13の高さを調整するために使用することができる。
【0067】
前述のように、ロボットアーム13は、一方の端部に回転自在に取り付けられたグリッパ13gを具え、ケーブル14上の懸架器具15の1つを(検出されると)操作するように構成されている。グリッパ13gは、第2の回転ユニット/アクチュエータ13rを介してロボットアーム13に結合/取り付けられており、この第2の回転ユニット/アクチュエータ13rは、ロボットアーム13に取り付けられ、グリッパ13gを担持し、ロボットアーム13の長軸に対してほぼ垂直な平面内でグリッパ13gを回転させることができるように構成されている。すなわち、第2の回転ユニット/アクチュエータ13rは、ロボットアーム13の長軸13xを中心に/周りでグリッパ13gを回転させるように構成されている。
【0068】
本明細書に開示される実施形態では、回転ユニット/アクチュエータ13rは、ロボットアーム13の長軸13xまたはロボットアーム13の長軸13xに実質的に平行な軸を中心に、グリッパ/マニピュレータ13gを回転させるように構成される。任意で、しかしいくつかの実施形態では好ましくは、グリッパ/マニピュレータ13gの回転軸とロボットアーム13の長軸13xは共に、地面(73)およびケーブル(14)に対して実質的に垂直な平面内にある。
【0069】
図6~
図8、
図9Aおよび
図9Bを参照して後述するように、グリッパ13gは、爪状構造を形成するように構成され得る。グリッパ13gは、懸架器具15をそのグリップフィンガ/部材の間に受け入れて操作するように構成されている。このため、グリッパ13gは動作時に、把持状態(閉状態)と非把持状態(開状態)との間で移行可能である。より具体的には、ケーブル14上に配置された懸架器具15を検出すると、グリッパ13gはロボットアーム13によって開いた状態で懸架器具15に向かって動かされ、そのグリップフィンガ/部材間に懸架器具を受け入れる。懸架器具15がグリップフィンガ/部材の間に入ると、グリッパ13gは、懸架器具15をそのグリップフィンガ/部材の間に固定的に把持するために閉状態に変更され、その操作が可能になる。
【0070】
図3を参照すると、いくつかの可能な実施形態による農業用自動化植物生育管理/処置システム10の制御スキームが概略的に示されている。システム10は、感知ユニット22、および/またはカメラ21と信号/データ通信する制御システム(CTRL)17を含み得る。制御システム17は、感知ユニット22からデータ/信号(s2)を受信し、および/またはカメラ21から光学データ/信号(s1)を受信するように構成される。
【0071】
制御システム17はまた、これらのデータ/信号を処理し、1以上のホイール11wを回転させるエンジン18(c1)と、調節可能なマストユニット12の高さひいてはそこに搭載されたロボットアーム13の高さを調節させる昇降アクチュエータ19(c2)と、調節可能なマストユニット12の長手方向軸を中心にロボットアーム13を回転させるための第1の回転ユニット13q(c3)と、グリッパ13gをケーブル14に対して前後に往復移動させるためのアクチュエータ13a(c4)と、グリッパ13gを回転させ、それによって懸架器具15’(
図1、
図2、および
図4~
図8では15)を操作するための第2の回転ユニット/アクチュエータ13r(c5)と、グリップフィンガ/部材を閉状態と開状態との間で変更するためのグリッパ13g(c6)と、を動作/作動させるための制御信号c1~c6を生成するように構成されている。したがって、エンジン18、昇降アクチュエータ19、第1の回転ユニット13q、アクチュエータ13a、第2の回転ユニット/アクチュエータ13r、およびグリッパ13gは、制御システム17からの制御信号c1~c6に応答する。
【0072】
システム10は、システム10の様々な部分の動作プロファイルによって定義される、g1~g6で示される複数の運動自由度を有する。より具体的には、システム10は、自律可動プラットフォーム11の自由度g1、調節可能なマストユニット12の自由度g2、ロボットアーム13の追加の3自由度g3~g5、およびグリッパ13gのグリップフィンガ/部材の自由度g6を有する。特に、動力ユニット18は、システム10がケーブル14(g1)と実質的に平行に/沿って移動できるように、自律可動プラットフォーム11の地面係合ホイール11wに機械的に結合されている。調節可能なマストユニット12(例えば、伸縮マスト)は、自律可動プラットフォーム11に取り付けられ、昇降アクチュエータ19によって駆動され、調節可能なマストユニット12がその高さを変化させること、すなわちその長軸(g2)に沿って伸縮することが可能である。ロボットアーム13は、調節可能なマストユニット12に取り付けられ、第1の回転ユニット13q(例えば、回転ジョイント)によってそこに結合され、これにより、ロボットアーム13が調節可能なマストユニット12に対して実質的に垂直な平面内で回転することができ、その長軸(g3)を中心に/周りで回転することができる。ロボットアーム13はまた、アクチュエータ13a(例えば、ねじ駆動式ベースレール、電気式リニア、空気圧式など)に連結されており、ケーブル14に対して往復運動(g4)、すなわち、ケーブル14に向かって、およびケーブル14から離れるように動くことができる。グリッパ13gは、ロボットアーム13に実質的に垂直な平面内で、ロボットアーム13の長軸を中心に/周りで、グリッパ13gの制御可能な回転を可能にするように構成された第2の回転ユニット/アクチュエータ13rを介してロボットアーム13に結合され/取り付けられる。
【0073】
いくつかの実施形態では、ロボットアーム13は調節可能なマストユニット12に固定的に取り付けられ、すなわち、ロボットアーム13を調節可能なマストユニット12に対して長軸を中心に/周りで回転させるための第1の回転ユニット13q(例えば、回転ジョイント)を使用することなく、調節可能なマストユニット12に固定的に取り付けられる。このような実施形態では、懸架器具15に対するグリッパ13gの位置の調整は、自律可動プラットフォーム11の移動(g1)、調節可能なマストユニット12によるロボットアーム13の昇降(g2)、及びロボットアーム13の回転運動g3を伴わない懸架器具15に向かう/離れるロボットアーム13の往復運動(g4)によって達成される。
【0074】
これらの運動自由度g1~g6により、システム10は植物生育管理/処理の様々な割り当て/タスク(例えば、レイヤリング/レベリング)を実行することができる。当業者には理解されるように、この構成は、システム10に、他の可能な植物処理タスク(すべての植物および当該植物の様々な部分に到達する)をサポートするように適合させることができる一般的な自由度g1、g2およびg3を提供し、一方で自由度g4、g5およびg6は、より特定の植物処理タスク(例えば、受粉、収穫など)のために適合させることができる。したがって、このシステム10の設計は、経済的に非常に効率的である。
【0075】
前述のように、グリッパ13gはケーブル14上の懸架器具を操作できるように構成されている。このような懸架器具の操作には、対応する懸架器具に取り付けられた特定の植物の吊り下げ高さを調整/変動させること、および/またはケーブル14に沿って懸架器具を再配置することが含まれる。より具体的には、操作には、特に、懸架器具15を把持するステップと、ケーブル14から取り外すステップと、懸架器具を回転させて巻かれた撚り紐/ワイヤの一部を解放するステップと(または解放された撚り紐/ワイヤの一部を巻き取るステップと)、懸架器具15をケーブル14上の異なる/変位された(または同じ)場所に配置するステップとが含まれる。
【0076】
あるいは、
図3に示されるように、可能な実施形態では、懸架器具15’は、撚り紐/ワイヤ47が巻かれたドラム15pを有する一種のフック装置であり得る。このような実施形態では、グリッパ13gは、懸架器具15’を操作して、巻かれた撚り紐/ワイヤ47のある所定の部分をドラム15pから解放するように構成される。例えば、システム10は、ストッパアーム15qがドラム15pとの係合を解除し、それによって、吊り下げられた植物(図示せず)によって加えられる重力によって、巻かれた撚り紐/ワイヤ47の所定の部分の解放を引き起こすように構成することができる。あるいは、可能な実施形態では、グリッパ13gは、巻かれた撚り紐/ワイヤ47の所定の部分を解放するために、ドラム15pを決められた方向に回転させるように構成される。同様に、グリッパ13gは、解放された撚り紐/ワイヤ47の所定の部分をドラム15pに巻き戻すために、ドラム15pを逆方向に回転させるように構成することができる。
【0077】
図3にも見られるように、可能な実施形態では、光学ユニット(イメージャ)21およびロボットアーム13の長軸13xは、地面に対して実質的に垂直な平面、すなわちケーブル14および/または可動プラットフォーム11の移動方向g1に対して実質的に垂直な平面内にある。この具体的かつ非限定的な例では、光学ユニット(イメージャ)21は、マニピュレータ/グリッパ13gとともにケーブル14に向かって/ケーブル14から離れる方向に往復運動するようにロボットアーム13に取り付けられるが、同様に、ロボットアームシステム13の往復運動の影響を受けないシステムの他の部分(例えば、アクチュエータ13a)に取り付けられてもよい。
【0078】
一般的に、可能な実施形態では、光学ユニット(イメージャ)21は、ロボットアーム13の長軸13xから一定の距離でロボットアーム13に固定的に取り付けられる。任意だが、好ましくはいくつかの実施形態では、光学ユニット(イメージャ)21の位置は、ロボットアーム13の長軸13xに対して固定され変化しないように維持され、それらの相対位置および角度は固定され既知であり、すなわち、可能な実施形態では、ロボットアーム13の長軸13xは必ずしも接地面73に平行でなくてもよい。こうすることで、マニピュレータ/グリッパ13g、ケーブル14、懸架器具15/15’上の光学ユニット(イメージャ)21の視野(FOV)は、システム10の動作中、実質的に変化しないように維持される。
【0079】
図10Bを参照すると、いくつかの可能な実施形態による植物の生育を管理するプロセス210の詳細なフローチャートが示されている。工程210は、ロボットアームシステム(10)を、ケーブル(14)に沿って、植物(P)がそれぞれの懸架器具(15)によって吊り下げられているケーブルと平行(Q1)に移動させることを含む。この方法はさらに、ケーブルに沿って懸架器具(Q2)を検出することを含む。検出すると、ロボットアーム(13)は懸架器具(15)に向かって前進および/または上下に移動し(Q3)、グリップフィンガ/部材を把持状態にセットすることにより、グリッパ(13g)が懸架器具を把持するように状態変更(Q4)される。
【0080】
工程210はさらに、調節可能なマストユニット(12)によってロボットアームを上昇させ(Q5)、それによって懸架器具(15)をケーブル(14)から取り外し、ロボットアーム(13)をケーブル(14)から離して後方に移動させること(Q6)を含む。工程210は、ロボットアームの長手方向軸を中心にグリッパ(13g)を選択された回転角度(例えば180゜、または180゜回転を数回)回転させることによって懸架器具を回転させ(Q7)、それによって巻かれた(解放された)撚り紐/ワイヤ(47)の一部を解放し(または巻き取り)、吊り下げられた植物(P)の高さを下げることをさらに含む。
【0081】
工程210は、ケーブル(14)に沿って懸架器具(15)を所定距離変位させるために、(懸架器具15を保持しながら)ロボットアームを、ケーブルに沿ったロボットアームの通常の移動方向とはほぼ反対の方向に、またはケーブルに沿ったロボットアームの通常の移動方向に、調節可能なマストユニット(12)の長手方向軸を中心に回転/操縦すること(Q8)を更に含み得る。代替的に、しかしいくつかの実施形態において好ましくは、例えば、システム10がg3の運動自由度なし、すなわち回転ユニット13qなしで実装される場合に、工程210のステップQ8は、ロボットアーム(13)がケーブル(14)に沿って懸架器具(15)を保持しながら、ケーブルに沿ったロボットアームの通常の移動方向とほぼ反対の方向、またはケーブルに沿ったロボットアームの通常の移動方向に、ケーブル(14)に沿って懸架器具(15)を所定距離変位させるために、ケーブルと平行(g1)にロボットアームシステム(10)を移動させることを含み得る。
【0082】
工程210はさらに、ロボットアーム(13)をケーブル(14)に向かって前進させること(Q9)と、調節可能なマストユニット(12)によってロボットアームを下降させること(Q10)を含む。工程210は、ケーブル(14)上の選択された位置で懸架器具(Q11)をケーブル上に解放することをさらに含み、前記選択された位置は、ケーブル(14)に沿ったロボットアームの通常の移動方向とは反対の方向、またはケーブルに沿ったロボットアームの通常の移動方向に、懸架器具(15)の以前の位置から変位している。工程210はさらに、ロボットアーム(13)を後方に移動させること(Q12)、すなわちケーブルから離すことを含む。任意で、ステップQ8でロボットアーム13が調整可能マストの長手方向軸を中心に回転されている場合、ロボットアーム(13)をケーブル(14)に対して実質的に垂直な初期角度位を逆回転させる(破線のボックスQ13で示す任意ステップ)。
【0083】
次に、ロボットアーム(13)がケーブル/植物の列の端に達した場合(Q14)、次の列に移動することができ(Q15)、そうでない場合は、そこから配置された(もしあれば/検出された)さらなる懸架器具(15)を検出して操作するためにケーブルに沿って移動し続ける(Q1)。
【0084】
一般に、農場および/または温室内の各ケーブル/トレリスケーブル(ケーブル14など)には、ケーブルに沿って配置された対応する懸架器具(15)によって多くの(数百の)植物が吊り下げられている。このような要件を満たすため、この種のケーブルは通常、そのような重量を支えることができる強靭なものであり、通常、数メートルごとに支持されている。したがって、ケーブルのこれらの物理的特性を利用して、システムのアクチュエータの少なくとも1つ、例えばアクチュエータ13aに誘導されるトルクを減少させることができる。
【0085】
これに関連して、
図4および
図5を参照すると、本開示のいくつかの他の可能な実施形態による農業用自動植物生育管理システム10’が概略的に示されている。農業用自動植物生育管理システム10’は、
図1B~
図3を参照して本書で上述したシステム10と実質的に同様であり、したがって、システム10および10’で同一または類似の要素を指定するために同じ参照番号が使用される。
【0086】
農業用自動植物生育管理システム10’において、ロボットアーム13はさらに、ジョイント43aを介して回転可能に結合された補助アーム43と、任意で、感知ユニット22および/または光学ユニット21に加えて、またはその代わりに、補助アーム43に結合された感知ユニット41とを具える。補助アーム43は、ロボットアーム13に対して前方かつ横方向にずれた位置、すなわちグリッパ13gをわずかに前方に超えた位置で、かつケーブル14に沿ったロボットアーム13の移動方向とは反対方向に横方向にずれた位置で、ケーブル14に寄りかかるように構成されている。補助アーム43は、補助アーム43に対してわずかに傾いておりケーブル14と係合/相互作用する前方部分43fを有し、ロボットアーム13がケーブル14に沿って移動する際、および懸架器具15を操作している間、前方部分43fがケーブル14に支持されるようになっている。
【0087】
いくつかの可能な実施形態では、ジョイント43aはロボットアーム13に直接結合され、補助アーム43は、ロボットアーム13が懸架器具15を操作するために懸架器具15に届くように懸架器具15に対して往復移動(g4)するとき、補助アーム43がロボットアーム13の移動に従って伸縮し、それによってケーブル14との連続的な接触を維持するように、調節可能/伸縮可能なアームとして(すなわち、伸び縮み可能に)構成されている。
【0088】
この特定の非限定的な実施例では、ジョイント43aはロボットアーム13のアクチュエータ13aに固定的に取り付けられており、ロボットアーム13が懸架器具に向かって往復運動したり、懸架器具から離れたりするときに、補助アーム43は実質的に静止したままである。ジョイント43aは、ジョイント43aによって画定されるロボットアーム13の長軸に実質的に垂直な回転軸を中心として補助アーム43が回転運動できるように適合されている。より具体的には、補助アーム43は回転軸を中心に角方向/円周方向に移動可能であり、それによって補助アーム43とロボットアーム13の間の角度θが変化する。
図5によく示されるように、そのような運動自由度がシステム10に実装されている場合、補助アーム43は、調節可能なマストユニット12の長軸によって定義される回転軸(g3)を中心に、ロボットアーム13と一緒に回転することができる。
【0089】
幾つかの実施形態では、補助アーム43は、ロボットアーム13がケーブル14に沿って移動/作動する際に、ロボットアーム13の後ろに遅れ/追従し、それによってロボットアーム13が懸架器具15を操作する際に懸架器具15との物理的接触が防止される。
運用時に、補助アーム43の前方部分43fは、植物生育管理システム10’がケーブル14に沿って動かされるときに、その感知ユニット21、41および/または22のうちの1つまたは複数が、ロボットアームが懸架器具15のうちの1つに近接位置し、検出された懸架器具15の前にグリッパ13gを位置させるためにケーブルに沿ったシステム10の移動を減速および停止させるべきであることを示すまで、ケーブル14上を、ケーブル14に沿ってスライドする。感知ユニット42と光学ユニット21は、上述した検知および運動制御スキームのいずれかを実装するために使用することができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、補助アーム43に結合された感知ユニット41を用いて、グリッパ13gに結合された感知ユニット22の代わりに、またはそれに加えて、これらの検出および運動制御スキームを実装することもできる。あるいは、いくつかの実施形態では、補助アーム43に結合された感知ユニット41は、ロボットアーム13が懸架器具15の1つの近くに位置し、ケーブルに沿ったシステム10の移動が減速または停止されるべきことを示す信号/データを生成するように構成された近接(または触覚または光学/イメージャ)センサである。光学ユニット21からのデータ/信号は、グリッパ13gを懸架器具15の前に配置するために、ケーブル14に沿ってシステム10’の位置を調整するために使用することができる。
【0091】
ケーブル14上の特定の懸架器具15を検出すると、補助アーム43がその前方部分43fによってケーブル14上を支持可能にスライドするため、ロボットアーム13が、懸架器具15を持ち上げてケーブル14から取り外すために、懸架器具15を把持するように作動する。ロボットアーム13が懸架器具15を持ち上げる際に、補助アーム43がケーブル14に寄りかかることで、吊り下げられている植物の荷重が、調節可能なマストユニット12とケーブル14によって支持される補助アーム43との間で分割され、懸架器具15の操作中に、アクチュエータ13aおよび第2の回転ユニット/アクチュエータ13rに作用するトルクが減少する。
【0092】
ロボットアーム13が調節可能なマストユニット12によって上昇され、懸架器具15をケーブル14から切り離すと、補助アーム43に力f1がかかり、補助アーム43がケーブル14から切り離される場合があることを理解されたい。補助アーム43がケーブル14に接触した状態を維持するために、補助アーム43とロボットアーム13またはそのアクチュエータ13aは、弾性要素44(例えば、バネ)によって動作可能に連結/接続されており、ロボットアーム13は、弾性要素44の張力に抗して補助アーム43に向かって、または補助アーム43から離れる方向に移動可能である。弾性要素44は、力f1の方向とは反対方向の成分を持つ「補償」力f2を発生させる。これにより、補助アーム43がケーブル14に発生させる力が維持され、ロボットアーム13が補助アーム43に近づいたり遠ざかったりする際に、補助アーム43がケーブル14に寄りかかるようになる。
【0093】
弾性要素44は、角度θが小さいとき、すなわちロボットアーム13がその最大の所望の高さまで上昇し、したがってロボットアーム13と補助アーム43の間の角度θが小さくなっても、弾性要素44が補助アーム43をケーブル14と接触した状態を維持するのに十分な力f2を発揮するように構成され得る。任意で、ジョイント43aは、調節可能なマストユニット12、または懸架器具15を操作するときに前後に動かないロボットアーム13の他の部分のいずれかに結合される。追加的または代替的に、補助アーム43は、その前方部分43fのケーブル14上への連続的な接触を維持し、ケーブル14によるロボットアーム13に対する弦の力(string force)の作用および/またはシステムの損傷を防ぐために、その長さを操作可能に調節するように構成された伸縮可能な構成要素(図示せず)を含む。
【0094】
図4に示すように、植物Pは、懸架器具15の中央部分15sに巻かれたワイヤ/撚り紐47を介して懸架器具15に接続されている。
図4の懸架器具15は、上側フック15tと、下側フック15bと、上側フック15tと下側フック15bの間に位置するワイヤ/撚り紐巻き取り部15sとを具える。懸架器具15がロボットアーム13によって操作され、180°の角度だけ回転されると、上側フック15tが下側フック15bになり(その逆も同様)、懸架器具15から巻かれたワイヤ47の追加部分が解放され、それによって地面に対する植物Pの高さが減少する。
【0095】
可能な実施形態では、ロボットアームシステム10/10’は、懸架器具15を操作して、懸架器具15から解放された撚り紐/ワイヤ47の一部を巻き取り、それによって地面に対する植物Pの高さを上昇させように構成される。一般に、ワイヤ/撚り紐47は、時計回りまたは反時計回りに懸架器具15の巻き取り部15sに巻かれており、制御ユニット17は、光学ユニット21から受信した画像データを処理して、撚り紐/ワイヤ47が懸架器具15の巻き取り部15s上に巻かれた様式に応じて、グリッパ13gの回転方向(時計回りまたは反時計回り)を決定するように構成され得る。
【0096】
図5に示すように、補助アーム43は、可能な実施形態では、その前方部分43fを所定の水平距離(例えばl/2未満)に位置させるようにロボットアーム13に対して角度付けられており、ここでl/2はロボットアームシステムによってケーブル14上の各懸架器具15に適用される水平方向変位(例えば20cm未満であり、すなわちlは約40cmである)であるので、懸架器具15は、次の懸架器具により近い約20cmの距離に変位され、ここでlは、ケーブル14から吊り下げられた2つの連続する懸架器具15間の平均距離である。このようにして、ロボットアーム13を、先に変位させた懸架器具15と次に変位させる懸架器具15との間に配置し、補助アーム43のためのスペースと、連続する懸架器具15の間を移動して、次の懸架器具15の位置を検出するための距離を残すことができる。
【0097】
さらに、補助アーム43の形状は、いくつかの実施形態では、グリッパ13gがケーブル14から切り離された後、補助アーム43にぶつかることなく懸架器具15を回転させるのに十分な操作スペースを提供するように構成されている。
【0098】
本開示のいくつかの可能な実施形態によるグリッパアセンブリ13gを概略的に示す
図6を参照する。グリッパアセンブリ13gは、間隔をあけて配置された一対のグリップフィンガ/部材61および62を含む。このように離間したグリップフィンガ/部材61と62の配置により、グリップフィンガ/グリップ部材61、62の間には、懸架器具15を間に受け入れるための隙間gが画定される。グリップフィンガ/部材61および62(または一般にそれらの少なくとも1つ)は、懸架器具15を捕捉/牽引/把持するために、グリップ部材61および62(またはそれらの少なくとも1つ)の一方を他方に向けて移動させることにより、グリッパ13gの非把持状態と把持状態との間でシフト可能であり、グリップ部材61および62(またはそれらの少なくとも1つ)の一方を他方から離して移動させることにより、懸架器具を解放する。グリップ部材61および62(またはその少なくとも一方)の一方から他方への移動は、リニアアクチュエータ(図示せず)によって行うことができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、グリッパ13gのグリップフィンガ/部材61、62の一方または両方は、グリッパ13gの開状態においてその間に開口角度を形成し、閉状態においてグリップフィンガ/部材61、62を平行な構造に(すなわち、一方が他方に対して相対的に)するように角運動するように構成される。
【0100】
図6に示すように、いくつかの実施形態では、グリップフィンガ/部材62は、グリッパアセンブリ13gに移動制御可能に取り付けられた保持部材62aに取り付け/結合されている。保持フィンガ/部材62aが、ロボットアーム13の長軸に実質的に垂直な軸に沿って移動可能に構成されており、それによってグリッパアセンブリ13gを開いた状態(非把持状態)と閉じた状態(把持状態)との間(またはその逆)で変化させるために、グリップ部材/フィンガ62をグリップ部材/フィンガ61に近づけたり遠ざけたりする。
【0101】
図6には図示しないが、任意に、そしていくつかの実施形態では好ましくは、グリップ部材/フィンガ61はまた、両方のグリップ部材61および62が互いに近づいたり離れたりできるように、保持部材62aと同様である対応する保持部材に関連付けられ/それに取り付けられてもよい。
【0102】
図7~8および
図9A~9Bを参照すると、いくつかの可能な実施形態によるグリッパアセンブリ13gの異なる構成が概略的に示されている。
図7は、グリッパアセンブリ13gの構成を示す図であり、グリッパ部材/フィンガ61は、懸架器具15の少なくとも一部が凹部61g内に収まるように、懸架器具15をその中に受け入れるのに適合した所定のプロファイル/形状を有する凹部/リム/ソケット61gを含む。
【0103】
より具体的には、グリッパアセンブリ13gがその把持状態にあるとき、すなわち、グリップ部材/フィンガ61および62(またはそれらの少なくとも一方)が互いに向かって移動したとき、懸架器具15は凹部/リム/ソケット61g内に受容されて、グリップ部材61および62の間に固定的に把持/捕捉され固定され、それにより、操作される間(例えば、ケーブルから持ち上げられ、および/または回転される間)、ずれる/滑り落ちるのが防止される。
【0104】
図8と
図9は、懸架器具15に対するグリッパの不正確な位置決めを許容するグリッパの設計を示しており、それによってシステム、すなわち制御ユニット17および/またはセンサ/イメージャの検出要件が低減/緩和される。
【0105】
図8は、グリッパアセンブリ13gのオス/メス構成を示す図であり、ここでグリッパ部材61は、間隔をあけて配置された突起/フィンガ/ピン状部材61pの配列(例えば、二次元アレイ)を含む。このような配置により、懸架器具15は、突起/フィンガ/ピン状部材61pの少なくとも一部の間に嵌め込んで固定することができる。
【0106】
もう一方のグリップ部材/フィンガ62(図示せず)は、グリッパアセンブリ13gが把持状態に変更されたときに、グリップフィンガ/部材61のフィンガ/ピン状部材61pがグリップフィンガ/部材62の穴/ソケット内にぴったりと収まり、それによって懸架器具15をその間に挟み込み/捕捉し、固定するように構成された相補的な穴/ソケットの対応する配置を有してもよい。
【0107】
図9Aおよび
図9Bは、グリップフィンガ/部材61が、選択された体積形状(例えば、プリズム形状)を有する複数の突出要素91をそれぞれ含むグリッパアセンブリ13gの別のオス/メス構成を概略的に示す。グリッパアセンブリ13gの把持状態において、懸架器具15が突出要素91の間に挟み込まれ/捕捉され、固定されるように、他方のグリップフィンガ/部材62は、それぞれが対応する突出要素91を受け入れるように適合された複数の相補的なソケット/キャビティ92を含む。
【0108】
図11A~
図11Dは、いくつかの可能な実施形態による植物生育管理/処置システム40を概略的に示す図である。システム40は、
図1~
図10を参照して本書で説明したシステム10/100で実行されるのとほぼ同じタスクを実行するように構成されているが、その構成の違いに由来していくつかの変更点がある。したがって、
図11Aから
図11Dでは、本書で説明したように、同一または類似の機能および/または特徴を有する構成要素のいくつかを指定するために、同じ参照番号が使用されている。
【0109】
図11Aを参照すると、植物生育管理/処置システム40は、そのロボットアームシステム13を昇降させるためにハサミ式昇降機構42を利用する。システム40のロボットアームシステム13の動きは異なるように構成され、いくつかの実施形態では昇降機構42の長軸を中心とした回転は任意であり、この特定の実施例では全く必要なくなっている。代わりに、この特定の非限定的な例では、1以上のロボットアームシステム13が、昇降機構42の上端に取り付けられた支持プラットフォーム45上に配置されている。1以上のロボットアームシステム13のそれぞれは、それぞれの異なる(トレリス)ケーブル(14)から吊り下げられた懸架器具(15)を検出し、操作するように構成される。
【0110】
この構成では、システム40が異なるケーブル(14)に異なる高さや位置で吊り下げられた懸架器具(15)を検出し操作できるようにするために、各ロボットアーム13に運動自由度を追加する必要がある。本明細書で開示した他の実施形態と同様に、可動プラットフォーム11が前後移動(f1、例えばレールに沿って移動)可能に構成され、昇降機構42は上下移動(f2)可能に構成される。ただし、この特定の実施形態における昇降機構42は異なる作動機構を利用しており、アクチュエータ42aは、それによって操作されるケーブル(14)および/または懸架器具(15)に対するロボットアーム13の高さを調節するために、レール11f上でハサミ式昇降機のスライド端部42sを動かす。
【0111】
図11Aの具体例では、2つのロボットアームシステム13が支持プラットフォーム45に取り付けられている。したがって、支持プラットフォーム45は、それぞれの制御可能なアクチュエータ45aを使用して、ロボットアームシステム13を水平スライド運動(f4)させるように構成された2つのそれぞれの水平レール46hを具える。いくつかの実施形態では、各ロボットアームシステム13は、それぞれのアクチュエータ46tを使用して、その上を垂直スライド運動(f3)するように、垂直支持体46vに取り付けられている。具体的には、各垂直支持体46vは、スライド運動できるようにそれぞれの水平レール46hに移動可能に取り付けられ、各ロボットアームシステム13は、それぞれの垂直支持体46v上でスライド運動できるように移動可能に結合され得る。こうすることで、各ロボットアームシステム13のy-z平面内の空間位置を制御ユニット17によって正確に制御することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、各ロボットアームシステム13は、ロボットアームシステム13のバランスをとるとともに、懸架器具が操作されるときに作用するモーメント(f6)を実質的に打ち消す/最小化するように構成された、それぞれのバランスビーム46bを具えてもよい。いくつかの実施形態では、バランスビーム46bは、例えば、それぞれの1つまたは複数の支持ビーム(図示せず)を介して、その端部で支持プラットフォーム15に機械的に結合される。したがって、垂直支持体46vは、水平レール46hとバランスビーム46bに沿ってその先端がスライド運動するように構成され得る。
【0113】
次に
図11Bを参照すると、可能な実施形態において、各ロボットアームシステム13は、それに機械的に結合された植物キャッチャーアセンブリ48を含む。植物キャッチャーアセンブリ48は、ロボットアームシステム13が水平レール46hに沿って摺動するときにy-z平面内で動かされ、さらにロボットアーム13がそのグリッパ/マニピュレータ13gを懸架器具に向かって/離れて(f5)往復移動させるときにロボットアーム13のx軸/長軸に沿って動かされる。
【0114】
植物キャッチャーアセンブリ48は、それぞれのロボットアーム13のグリッパ/マニピュレータ13gの下方および前方に配置された複数の捕捉フィンガ48dを具える。この特定の非限定的な例では、捕捉フィンガ48dは、ロボットアームシステム13から下方に延びた「U」字型支持部48uから前方に延在するロッド48cから延びている。捕捉フィンガ48dは、懸架器具(15)へのグリップが不注意で失われると、ロボットアームシステム13に操作されている懸架器具(15)の植物をキャッチして保持するように構成され、それによって、不注意に放された懸架器具に連結された植物のダメージを防止する。
【0115】
可能な実施形態では、捕捉フィンガ48dは、回転軸48xを中心とした角運動のために「U」字形支持体48uに回転可能に結合されたパーム構造48bから前方および上方に延びる。図示のように、パーム構造48bはさらに、「U」字型支持体48uの側壁に固定的に取り付けられた連結ロッド48rに連結されている。いくつかの実施形態では、パーム構造48bは、懸架器具が不注意に解放されると、捕捉フィンガ48dによる落下植物の捕捉を検出し、それを示す対応する警告信号/データを制御システム17に発行するように構成された荷重センサ48sを介して連結ロッド48rに連結されている。明らかに、このキャッチャーアセンブリ48は、ワイヤ/ケーブルおよび/または他の同様の障害物が、例えばシステム動作における予期せぬ干渉などに巻き込まれたときにも、同様に警告を発することができる。
【0116】
図11Cは、支持プラットフォーム45と、それに移動可能に結合されたロボットアームシステム13の拡大図である。例示されるように、いくつかの実施形態では、空気圧アクチュエータ13aが、懸架器具(15)に向かう/離れるようにグリッパ13gを往復移動させるために使用される。この特定の非限定的な例では、グリッパ13gとそのアクチュエータ13rは、支持フレーム49bに固定的に結合されている。この非限定的な例では、支持フレーム49bはロボットアームシステム13に固定的に結合された支持プレート49に結合されているが、可能な実施形態では、支持フレーム49bは同様にロボットアーム13に直接取り付けられてもよい。
【0117】
ここに開示された前の実施形態と同様に、光学ユニット(イメージャ)21が、マニピュレータ/グリッパ13gの回転運動の影響を実質的に受けないロボットアームシステム13の部分、例えばアクチュエータ13rに取り付けられる。特に、本書に開示される実施形態では、光学ユニット(イメージャ)21とロボットアーム13の長手方向軸13xは、地面に対して垂直な平面内、すなわちケーブル(14)に対して実質的に垂直な平面内にある。ただし、上述したように、光学ユニット(イメージャ)21とロボットアーム13の長手方向軸13xとの間の相対位置および角度が固定/既知かつ不変に維持される限り、ロボットアーム13の長手方向軸13xは必ずしも水平/地面と平行に維持される必要はない。
【0118】
図11Dは、いくつかの可能な実施形態によるロボットアームシステム13の拡大図であり、処理される植物を計量するために、ロボットアームシステム13において計量機構が使用される。この実施形態では、支持フレーム49bはピボット49xによって支持プレート49に可動に結合され、それによって支持フレーム49bとそれに結合されたマニピュレータ/グリッパ13gのその周囲での角度運動が可能になる。マニピュレータ/グリッパ13gにかかる荷重を測定するために、支持フレーム49bと支持プレート49との間に1以上のセンサ要素49s(例えば、ゲージセンサ、荷重センサ、圧力センサなど)を設置することができる。また、支持フレーム49bの上に(すなわち、処理される植物にかかる重力とは反対方向に)反力を加えるために、1つ以上の弾性要素(例えば、バネ49t)を用いてもよい。この具体例では、弾性要素49tは、支持フレーム49bのロッド49rに取り付けるために、植物キャッチャーアセンブリ48の「U」字形支持体48uに結合されたロッド48dとの間に設置されることが例示されているが、支持フレーム49bと支持プレート49および/またはロボットアーム13との間の任意の適切な位置に同様に設置されてもよい。
【0119】
いくつかの実施形態では、マニピュレータ/グリッパ13gは、グリップフィンガ/部材61、62の上方に位置し、例えば、懸架器具の全回転が実施され、グリッパ/マニピュレータ13gによって保持される懸架器具15の把持領域ではるかに大きなモーメントが生じた場合に、マニピュレータ/グリッパ13gのフィンガ61、62内での懸架器具(15)の回転運動を防止するように構成されたストッパ要素13eを具える。
【0120】
このように、可能な実施形態では、制御システム(17)は、それによって処理される各植物の重量測定を行うように構成することができ、任意で、それに基づいて各植物の成長および成熟を個別に監視することもできる。制御ユニット(17)は、監視対象の植物の1つまたは複数について測定された重量が、例えば、特定の植物の予想される成長曲線/成長率に関して許容範囲内にない場合に警告を発するようにさらに構成されてもよい。
【0121】
図12A~12Cは、いくつかの可能な実施形態によるロボットアームシステム13とそのマニピュレータ13gの可能な構成を概略的に示す。この実施形態では、マニピュレータ13gのフィンガ61、62は平行プレートによって実装され、それぞれが前方および側方に先細りのエッジを有し、それによって間に懸架器具15の一部を受け入れるように構成された先細りの開口部66を形成する。この構成により、マニピュレータ13gを懸架器具15の方向に案内し、その上部または下部を捕捉し、マニピュレータ13gのロックピン77の方へ誘導することができる。
【0122】
フィンガ61、62の少なくとも一方は、その間に懸架器具15の上部または下部のループ部分を把持するために、他方に対して制御可能に移動可能であり得る。任意で、しかしいくつかの実施形態では好ましくは、フィンガ61、62は、その間に一定の間隙を保つようにロボットアーム13に固定的に結合される。この実施形態のマニピュレータ13gは、そのフィンガ61、62の1つ以上にセンサ81、82を用いて、懸架器具15の上側または下側のループ部分がその間にあることを感知する。この特定の非限定的な例では、2つのセンサ(例えば、近接センサ、接触センサ、光センサ)81、82がフィンガ61に設置され、ロックピン77とそのアクチュエータが他方のフィンガ62に設置される。
【0123】
システムの制御ユニット(17)は、センサ81、82によって生成された信号/データを受信して処理し、そこから、フィンガ61、62の間およびフィンガ62のピン開口部上に懸架器具15の上側ループ部分または下側ループ部分を受け取ったかを判断するように構成され得る。懸架器具15の上側ループ部分または下側ループ部分がフィンガ61、62間のピン開口部上に適切に位置していると判断すると、制御ユニット(17)は、ロックピン77を対向配置されたフィンガ61に形成されたそれぞれの開口部に押し込み、それによって懸架器具15をフィンガ61、62間でロックするように制御信号を生成する。
【0124】
次に
図12B、12Cを参照すると、いくつかの実施形態では、マニピュレータ13gは、ロックピン77によって(アクチュエータ77aによって)ロックされた後、ロックピン77を中心とする懸架器具15の角運動を防止するために、(アクチュエータ78aによって)懸架器具15の上部の方へ移動するように構成された移動制御可能な固定要素78iを有する固定機構78を含んでいる。この目的のために、いくつかの実施形態では、マニピュレータ13gは、マニピュレータ13gの底部に固定的に結合され、ロックピン77によってロックされたループ部分の下方に延びる懸架器具15の部分に当接するように構成された底部当接(ストッパ)構造79を具える。
図12Cに見られるように、固定要素78iが懸架器具の方へ移動し、その上部を前方に押すと、懸架器具のロックピン77より下にある部分が、底部当接構造79との接触が確立されるまで後方に押される。
【0125】
この状態で、懸架器具はフィンガ61、62の間にロックされ、固定要素78iと当接構造79によって固定されるため、ロックピン77を中心とした回転運動が防止される。ロックピン77、固定要素78iおよび当接構造79によって懸架器具15をロックし固定した後に、マニピュレータ13gを1または複数回180°回転させて、撚り紐47を解放/巻き取ることができる。
【0126】
計量機構をロボットアームシステム13に結合して、マニピュレータ13gによる懸架器具15の把持を示す信号/データを生成することができる。この実施形態では、マニピュレータ13gとそのアクチュエータ13rは、ピボット49xでロボットアーム13にヒンジ結合されており、そこを中心にわずかに回転運動する。荷重/圧力/ひずみセンサ49sが、弾性要素(例えば、ねじりバネ49t)によってマニピュレータ13gの一部(例えば、ベース本体)をロボットアーム13に接続するために使用される。したがって、マニピュレータ13gによる懸架器具15の操作の前に、弾性要素49tによって加えられる力により、荷重/圧力/ひずみセンサ49sによって一定の荷重が測定される。
【0127】
マニピュレータ13gで懸架器具15をロックして固定し、ロボットアーム13を持ち上げてケーブル(14)から懸架器具15を外すと、荷重/圧力/ひずみセンサ49sは、さらに懸架器具15の撚り紐47に取り付けられた植物P(またはその一部)の重量を測定する。すなわち、ロボットアームシステム13は、このようにして、マニピュレータ13gによって操作される懸架器具15の各植物Pの重量を測定することができる。いくつかの実施形態では、荷重/圧力/ひずみセンサ49sによって測定された各植物Pの重さは、植物の成長および/または使用される生育管理システム(例えば、灌漑)の異常を検出するために、経時的に記録され監視される。
【0128】
可能な実施形態では、本書に開示された植物管理システムの利用を容易にし改善するように適合された特別に設計された懸架器具15が、扱われる植物(P)を支持するために使用される。例えば、いくつかの実施形態では、懸架器具15の長さが、所望の長さの撚り紐47を放出するためにマニピュレータ13gが各懸架器具15の半回転(180°)操作を数回行えるようにするため、および植物(P)の重量によってロボットアーム13にかかるモーメントを実質的に低減するために、例えば9~11cmの比較的短い長さを有する懸架器具を提供するように短縮される。いくつかの実施形態では、懸架器具15は、懸架器具15の把持部分を素早く検出するように構成された特別なマーキング15m(例えば、色および/または彫りパターン/マーカー)を含む。任意で、(トレリス)ケーブル(14)に接触しながら懸架器具15を操作できるようにするために、懸架器具15の端部に連結用の湾曲延長部15eが設けられ、その結果植物の重量の負荷の一部がケーブル(14)上に維持され、ロボットアーム13および/またはそのマニピュレータ13gにかかる負荷が軽減される。追加的または代替的に、懸架器具15は、マニピュレータ13gによる捕捉と操作を容易にするために、懸架器具15と巻かれた撚り紐から外側に突出した湾曲した中央把持部分15gを設けて構成される。
【0129】
図12Dは、いくつかの可能な実施形態による植物の処理/管理プロセス90のフローチャートを示す。プロセス90は、システムの制御ユニット(17)のハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネントによって実装することができる。プロセス90は、光学センサ(21、例えば、イメージャ)からの測定信号/データに基づいて、マニピュレータ(13g)を懸架器具(フック、15)に誘導するステップ(G1)から開始され得る。マニピュレータ(13g)のフィンガ(61および/または62)に設けられた1つまたは複数のセンサ(81、82)によって生成された測定データ/信号を使用して、懸架器具(15)の受け入れと、ロックピン(77)の開口部へのループの1つが配置されたことが検出される(G2)。この状態で、マニピュレータ(13g)に配置された懸架器具(15)のループにロックピン(77)を押し込むことにより、懸架器具(15)をマニピュレータ(13g)にロック(G3)することができる。
【0130】
次に、ロボットアームシステム(13)を持ち上げて、懸架器具(15)をケーブル(14)から外す(G4)。この状態で、植物(P)の重量を示す測定データ/信号を収集するために、(例えば、荷重/圧力/ひずみセンサ49sを使用して)撚り紐(47)を介して懸架器具(15)に連結された植物(P)の重量/荷重測定を実施することができる(G5)。測定された荷重/重量データ/信号を処理して、許容範囲内かどうかが判断することができる(G6)。このステップは、連結された植物(P)の追加重量が実際にロボットアーム(13)にかかっているかの判定に使用することができ、もしそうであれば、測定された荷重/重量信号/データが植物の成長および/またはその処理/管理システム(例えば灌漑、施肥、排水など)に関する異常を示すかどうかをさらに判定するために使用することができる。
【0131】
測定された荷重/重量信号/データが、連結された植物(P)の追加重量を示す場合、懸架器具(15)を操作して、懸架器具(15)をケーブル(14)に戻すことができる(G7)。次にプロセス90は、次の懸架器具(15)が検出されるまでシステムを移動させ(G8)、それを操作するために上記のステップ(G1~G7)を実行する。測定荷重/重量信号/データが、連結された植物(P)の追加重量を示していない場合、キャッチャーアセンブリ(48)のセンサ(48s)からの測定データ/信号を使用して、懸架器具がマニピュレータ(13g)から不注意に解放されたかどうかを判断する(G9)。キャッチャーアセンブリ(48)のセンサ(48s)からの測定データ/信号が、キャッチャーアセンブリ(48)に加えられた突然の過剰な荷重/重量を示している場合、プロセス90は停止され(G11)、制御ユニット(17)によってユーザの介入が必要であることを示す警告を発することができる。
【0132】
キャッチャーアセンブリ(48)のセンサ(48s)からの測定データ/信号が、突然の過剰な荷重/重量の印加を示している場合、マニピュレータ(13g)のロックを解除して、マニピュレータ(13g)を懸架器具から離し(G10)、プロセス90(G1)を再開することができる(G1)。
【0133】
しかしながら、可能な実施形態では、キャッチャーアセンブリ(48)のセンサ(48s)からの測定データ/信号、および/または荷重/圧力/ひずみセンサ49sからの測定データ/信号が、懸架器具(15)の偶発的な解放を検出するために、連続的/周期的かつ独立して監視されることに留意されたい。したがって、キャッチャーアセンブリ(48)のセンサ(48s)からの測定データ/信号が、植物/懸架器具がキャッチャーアセンブリ(48)によって捕捉されたことを示すとき、および/または、荷重/圧力/ひずみセンサ49sからの測定データ/信号が、マニピュレータからの懸架器具(15)の突然の解放、すなわち、荷重/圧力/ひずみセンサ49sによって重量の急激な低下が測定されたときに、プロセス90のどの段階でもステップG11を実行してシステムを停止することができる。
【0134】
上、下、前、後/後ろ、右、左などの用語や、オブジェクトやシステム構成要素の向きに関する同様の形容詞は、図が紙面上に配置される方法を示すものであり、実際の用途で本装置を使用できる向きを限定するものではない。また、本開示を通じて、プロセスまたは方法が示され、または記載されている場合、あるステップが最初に実行される他のステップに依存することが文脈から明らかでない限り、方法のステップは、任意の順序で、または同時に実行されてもよいことを理解されたい。
【0135】
上述し、関連する図に示すように、本開示は、農業用自動植物生育管理/処理システムおよび関連する方法を提供する。本発明の特定の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、特に前述の教示に照らして、当業者であれば変更が可能であることが理解されるであろう。当業者には理解されるように、本発明は、特許請求の範囲を逸脱することなく、上述した技術から1以上の技術を採用して、非常に多様な方法で実施することができる。
【国際調査報告】