IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランス・インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特表-生分解性マイクロカプセル 図1
  • 特表-生分解性マイクロカプセル 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】生分解性マイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
   C09K 23/52 20220101AFI20240827BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20240827BHJP
   A61K 47/16 20060101ALI20240827BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240827BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240827BHJP
   B01J 13/14 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
C09K23/52
A61K9/50
A61K47/16
A61K47/42
A61K47/36
B01J13/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505212
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 US2022038330
(87)【国際公開番号】W WO2023009514
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】21187930.9
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519139538
【氏名又は名称】インターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ギャバード、ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】アクロイド、ニールズ
(72)【発明者】
【氏名】ストイカ、ソニア‐パトリシア
(72)【発明者】
【氏名】アンクタン、フローリン
(72)【発明者】
【氏名】カベロ、ペドロ ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ハンター、ロバート アラン
(72)【発明者】
【氏名】レイ、ヤビン
(72)【発明者】
【氏名】ルカ ヴィルシウ、フローリン
(72)【発明者】
【氏名】ポップルウェル、ルイス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウィーランド、ジュリー アン
(72)【発明者】
【氏名】スー、リー
【テーマコード(参考)】
4C076
4D077
4G005
【Fターム(参考)】
4C076AA61
4C076DD53
4C076EE30
4C076EE41
4D077AA02
4D077AA04
4D077AA09
4D077AB08
4D077AB10
4D077AB11
4D077AB12
4D077BA07
4D077DC15X
4D077DD04X
4D077DD46X
4G005AA01
4G005BA01
4G005DB05W
4G005DB16W
4G005DC18Y
4G005DC46Y
4G005DD52Y
4G005EA05
4G005EA07
(57)【要約】
分散剤としての変性エンドウマメタンパク質の存在下でイソシアネートの自己縮合によって形成される壁を有するマイクロカプセルで構成される生分解性コア-シェルマイクロカプセルスラリーが開示される。かかるコア-シェルマイクロカプセルスラリーを含有する消費者製品及びコア-シェルマイクロカプセルスラリーを生成する方法も開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア-シェルマイクロカプセルスラリーであって、
(a)1~100ミクロンの平均直径を有するマイクロカプセルであって、前記マイクロカプセルのコアは、活性物質を含み、及び前記マイクロカプセルのシェルは、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物を含む、マイクロカプセル、
(b)変性エンドウマメタンパク質を含む分散剤、及び
(c)前記スラリーの形成中の乳化工程前に水相に添加されたアラビアゴムを含む親水コロイド
を含むコア-シェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項2】
少なくとも1種のレオロジー改質剤、保存剤、乳化剤又はその組み合わせをさらに含む、請求項1に記載のコア-シェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項3】
前記レオロジー改質剤は、キサンタンガムを含む、請求項2に記載のコア-シェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項4】
前記マイクロカプセルは、OECD301F又はOECD310に従って60日以内に少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%、好ましくはOECD301F又はOECD310に従って60日以内に少なくとも20%の生分解率を有するマイクロカプセルシェルを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のコア-シェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項5】
前記キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物は、前記コア-シェルマイクロカプセルスラリーの0.1重量%~8重量%で存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載のコア-シェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項6】
前記活性物質は、少なくとも1種のフレグランス、プロフレグランス、臭気中和剤又はその組み合わせを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のコア-シェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項7】
前記活性物質は、フレグランスであり、及び前記スラリーは、(a)0.3%若しくは0.25%未満の非カプセル化フレグランス、(b)21s-1のせん断速度で測定される600cps未満若しくは580cps未満の粘度、又は(c)(a)と(b)との組み合わせを有する、請求項6に記載のコア-シェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のコア-シェルマイクロカプセルスラリーを含む消費者製品であって、好ましくは衣類用柔軟剤、衣類用リフレッシャー又は液体洗濯洗剤である消費者製品。
【請求項9】
請求項1に記載のコア-シェルマイクロカプセルスラリーを生成する方法であって、
(a)水相を、
(i)エンドウマメタンパク質を変性することと、
(ii)pHを6未満に調整することと、
(iii)アラビアゴムを親水コロイドとして添加することと
によって調製する工程、
(b)活性物質及びキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物を含む油相を調製する工程、
(c)前記油相を前記水相に乳化させて、スラリーを形成する工程、及び
(d)80℃未満の温度で前記スラリーを硬化させる工程
を含む方法。
【請求項10】
(a)(ii)における前記pHは、4.5~3.5に調整される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(d)における前記スラリーは、63℃~67℃の範囲の温度で硬化される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記活性物質は、少なくとも1種のフレグランス、プロフレグランス、臭気中和剤又はその組み合わせを含む、請求項9又は11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1種のレオロジー改質剤、保存剤、乳化剤又はその組み合わせを添加する工程をさらに含む、請求項9又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記レオロジー改質剤は、工程(c)前に添加され、好ましくは、前記レオロジー改質剤は、キサンタンガムである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物は、前記コア-シェルマイクロカプセル組成物の0.1重量%~8重量%で存在する、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロカプセルで構成される生分解性コア-シェルマイクロカプセルスラリーに関する。より詳細には、マイクロカプセルは、分散剤としての変性エンドウマメタンパク質の存在下でイソシアネートの自己縮合によって形成される壁を有する。かかるコア-シェルマイクロカプセルスラリーを含有する消費者製品及びコア-シェルマイクロカプセルスラリーを生成する方法も開示される。
【背景技術】
【0002】
マイクロカプセルは、遅延及び徐放様式でフレグランス又は他の活性物質を送達、適用又は放出する必要がある様々な用途で使用される。
【0003】
従来のマイクロカプセルは、マイクロカプセルコアに活性物質を封入するポリマーシェルをそれぞれ有する。ポリマーシェルは、通常、界面重合反応、即ち水相と油相との界面で起こる重合によって形成される。これらのマイクロカプセルは、洗濯洗剤などの様々な消費者製品に良好な性能を付与するために開発されている。例えば、米国特許第7,491,687号明細書、米国特許第6,045,835号明細書、米国特許出願公開第2014/0287008号明細書及び国際公開第2015/023961号パンフレットを参照されたい。ポリ尿素マイクロカプセルは、フレグランスの送達のために開発されている。その調製は、壁形成材料間、例えばポリイソシアネートとポリアミンとの重合反応を含む。重合反応中、ポリイソシアネートは、フレグランスアコードに含有される第一級アルコールなどの多くのフレグランス成分と反応することができる。他の壁形成材料のポリアミンもアルデヒドフレグランス成分に対して反応性である。第一級アルコール及びアルデヒドは、多くのフレグランスアコードで一般的な成分である。かかるフレグランスは、従来のマイクロカプセルによる封入に適していない。さらに、高い水溶性を有するフレグランス成分は、従来のカプセル化にも適していない。これらの成分は、マイクロカプセル油コアに封入される代わりに、水相に留まる傾向がある。反応性又は水溶性成分を失うことなく、フレグランス及び他の活性物質をカプセル化することには、課題が残っている。
【0004】
マイクロカプセル組成物に生分解性ポリマーを組み込む方法が記述されている。例えば、米国特許第10,034,819B2号明細書及び米国特許出願公開第2019/0240124A1号明細書は、内部シェル及び外部シェルを有するマイクロカプセルを教示しており、その外部シェルは、ゼラチンなどの第1高分子電解質と、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルガーゴム、キサンタンガム及び植物ゴムなどの第2高分子電解質との複合コアセルベーションによって形成される。
【0005】
同様に、欧州特許第2588066B1号明細書は、タンパク質と、任意選択的に非タンパク質ポリマーとで構成されるコーティング層で調製されたコアセルベート化カプセルを記載している。
【0006】
さらに、欧州特許第2811846B1号明細書は、疎水性物質周囲の界面層としてのタンパク質凝集体の使用を記載している。
【0007】
欧州特許第1855544B8号明細書は、0.5~95重量%のアニオン性多糖と、0.3~12kDaの範囲内の分子量を有する、0.5~95重量%のペプチドとで構成されるマトリックス中への活性成分のカプセル化の使用を教示している。
【0008】
欧州特許第3746217A1号明細書及び国際公開第2020/195132A1号パンフレットは、マイクロカプセルの壁にタンパク質を架橋することによるコア-シェルマイクロカプセルの調製を記載している。
【0009】
米国特許第10,166,196B2号明細書は、一次シェル及び外部シェルで構成される一次マイクロカプセルの凝集を開示しており、その外部シェルは、一次シェルであり、外部シェルは、第1タンパク質、例えばエンドウマメ又はダイズタンパク質と、第2ポリマー、例えば寒天、ジェランガム、アラビアゴム、カゼイン、穀類プロラミン、ペクチン、アルジネート、カラゲナン、キサンタンガム、アブラナタンパク質、ジウタンガム、ローカストビーンガム又はウェランガムとの複合コアセルベーション反応の生成物である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、これらの既存の解決策には依然として制限があり、上記の問題をどのように克服するかが適切に教示されていない。したがって、持続可能且つ生分解性である成分を有する活性物質を封入するのに適したマイクロカプセル組成物を開発することが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、特に、コア-シェルマイクロカプセルスラリーであって、(a)1~100ミクロンの平均直径を有するマイクロカプセルであって、マイクロカプセルのコアは、活性物質(例えば、少なくとも1種のフレグランス、プロフレグランス、臭気中和剤又はその組み合わせ)を含み、及びマイクロカプセルのシェルは、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物を含む、マイクロカプセル、(b)変性エンドウマメタンパク質を含む分散剤、及び(c)スラリーの形成中の乳化工程前に水相に添加されるアラビアゴムを含む親水コロイドで構成されるコア-シェルマイクロカプセルスラリーに基づく。
【0012】
このように、一部の態様では、コア-シェルマイクロカプセルスラリーは、少なくとも1種のレオロジー改質剤(例えば、キサンタンガム)、保存剤、乳化剤又はその組み合わせをさらに含む。他の態様では、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物は、コア-シェルマイクロカプセルスラリーの0.1~8重量%で存在する。さらなる態様では、マイクロカプセルのマイクロカプセルシェルは、OECD301F又はOECD310に従って60日以内に少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%、好ましくはOECD301F又はOECD310に従って60日以内に少なくとも20%の生分解率を有する。さらに他の態様では、活性物質は、フレグランスであり、及びスラリーは、(a)0.3%若しくは0.25%未満の非カプセル化フレグランス、(b)21s-1のせん断速度で測定された600cps未満若しくは580cps未満の粘度、又は(c)(a)と(b)との組み合わせを有する。本開示は、消費者製品、例えば衣類用柔軟剤、衣類用リフレッシャー、液体洗濯洗剤、粉末洗濯洗剤、パーソナル洗浄液(パーソナルウォッシュ)、ヘアコンディショナー、シャンプー、ボディーローション、脱臭剤、制汗剤も提供するか、又はファインフレグランスも提供される。
【0013】
本開示は、コア-シェルマイクロカプセルスラリーを、(a)水相を、(i)エンドウマメタンパク質を変性することと、(ii)pHを6未満(例えば、4.5~3.5)に調整することと、(iii)親水コロイドとしてアラビアゴムを添加することとによって調製する工程、(b)活性物質(例えば、少なくとも1種のフレグランス、プロフレグランス、臭気中和剤又はその組み合わせ)及びキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物を含む油相を調製する工程、(c)油相を水相に乳化させて、スラリーを形成する工程、及び(d)80℃未満の温度(例えば、63℃~67℃の範囲)でスラリーを硬化させる工程によって生成する方法も包含する。一部の態様では、この方法は、少なくとも1種のレオロジー改質剤、保存剤、乳化剤又はその組み合わせの添加をさらに含む。他の態様では、レオロジー改質剤(例えば、キサンタンガム)は、工程(c)前に添加される。さらなる態様では、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物は、コア-シェルマイクロカプセル組成物の重量に基づいて0.1%~8%のレベルで存在する。
【0014】
本明細書及び特許請求の範囲で言及されるすべての部、パーセンテージ及び比率は、別段の指定がない限り重量による。
【0015】
本明細書に開示される値及び寸法は、記載の正確な数値に厳密に限定されると理解すべきではない。代わりに、別段の指定がない限り、かかる各値は、記載の値と、その値の周辺の機能的に等しい範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「50%」と開示される値は、「約50%」又は代わりに例えばその値の約±2%、±5%、±10%若しくは±15%を意味することが意図される。
【0016】
本開示の1つ以上の態様の詳細が以下の本明細書に記述される。本明細書に記載の態様及び実施形態のそれぞれは、その実施形態又は態様に関連して明示的又は明確に除外されない限り、共に使用され得る。本開示のこれら及び他の特徴、目的及び利点は、添付の特許請求の範囲と共に詳細な説明及び図面から当業者に明らかになるであろう。
【0017】
本明細書は、本発明を詳細に指摘し、明確に特許請求する特許請求の範囲で完結するが、本発明は、添付の図面の以下の説明からよりよく理解されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】硬化pH5を達成するために硬化前にクエン酸が添加される、国際公開第2020/131875A2号パンフレットの実施例7による乳清タンパク質、本明細書に記載の実施例2によるエンドウマメタンパク質及び本明細書の実施例3に記載の、最適化された硬化温度及びpHを用いたエンドウマメタンパク質で調製されたカプセルのカプセル破断実験で作成された力の曲線を示す。この分析から、カプセル壁の特性は、タンパク質の選択により、より重要なことには、カプセル形成反応の硬化プロファイル及びpHを最適化することによって改良され得ることが示された。
【0019】
図2】実施例9に記載のマイクロカプセルに封入された場合のベースプローブフレグランスにおけるエチルバニリンの安定な性能を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
【0021】
本明細書で使用される「1つ(a)」又は「1つ(an)」などの冠詞は、請求項で使用される場合、請求項に記載又は記述されるものの1つ以上を意味すると理解される。
【0022】
本明細書で使用される「カプセル」及び「マイクロカプセル」という用語は、区別なく使用される。
【0023】
本明細書で使用される「含む」、「含まれる」、「含んでいる」という用語は、「包含する」、「包含される」、「包含している」又は「含有する」、「含有される」、「含有している」と同義であり、その文法的異形は、包括的又はオープンエンドであり、追加の記載されていない数、要素又は方法工程を除外しない。「含む」、「含まれる」及び「含んでいる」、「包含する」、「包含される」、「包含している」、「含有する」、「含有される」、「含有している」及びその文法的異形は、「~からなる」という用語も包含する。
【0024】
本明細書で使用される、「g」、「mg」及び「μg」という用語は、それぞれ「グラム」、「ミリグラム」及び「マイクログラム」を意味する。「L」及び「mL」という用語は、それぞれ「リットル」及び「ミリリットル」を意味する。
【0025】
マイクロカプセルスラリー
イソシアネート、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物は、水と反応して第1級アミンを形成した場合、エンドウマメタンパク質(分散剤として)の存在下で自己縮合し、活性物質のカプセル化に適した壁物質を形成するであろうことが現在判明している。注目すべきことに、イソシアネートは、タンパク質と架橋しない。むしろ、エンドウマメタンパク質が足場として機能して、イソシアネートの自己縮合反応を促進し、活性物質をカプセル化する壁ポリマーが形成されると思われる。さらに、乳化前のアラビアゴムの添加によって水相へのエンドウマメタンパク質の溶解が促進され、それによりその凝集が予防される。
【0026】
したがって、本開示は、マイクロカプセルのコアが活性物質を含み、及びマイクロカプセルのシェルがキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物の自己縮合によって形成されるマイクロカプセル、分散剤としての変性エンドウマメタンパク質及び親水コロイドとしてのアラビアゴムで構成されるコア-シェルマイクロカプセルスラリーを提供する。かかるマイクロカプセルスラリーは、衣類用柔軟剤などの消費者製品でフレグランスを送達することができる有効な送達系であることが分かっている。さらに、マイクロカプセルスラリー送達系は、広範囲の消費者用途、例えばシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアリンス、ヘアリフレッシャーなどのパーソナルケア製品;固形石鹸、ボディーソープ、パーソナルクリーナー及びサニタイザーなどのパーソナルウォッシュ;衣類ケア、例えば衣類用リフレッシャー、柔軟剤及びシート状柔軟剤、アイロン掛けのための水、工業用クリーナー、1回量カプセルなどの液体及び粉末洗剤、リンスコンディショナー及びセントブースター製品;ファインフレグランス、例えばボディーミスト及びオードトワレ製品;脱臭剤;ロールオン製品及びエアロゾル製品における有用性も見出される。
【0027】
「マイクロカプセル」及び「カプセル」という用語は、本明細書で区別なく使用される。本開示のコア-シェルマイクロカプセルのマイクロカプセル壁は、水の存在下で自己縮合する単一タイプの壁ポリマー、特にイソシアネートで構成される。この点に関して、コア-シェルマイクロカプセルの壁は、1種以上のイソシアネートからなるか又はそれから本質的になる単一タイプの壁ポリマーから形成される。この点に関して、その壁は、好ましくは、架橋剤、例えばカルボニル、アミン、ポリアミン又は多価アルコール架橋剤の添加によって形成されず、したがって好ましくは外因性の架橋剤を欠いている。
【0028】
イソシアネート。「イソシアネート」、「多官能性イソシアネート」及び「ポリイソシアネート」という用語は、すべて2つ以上のイソシアネート(-NCO)基を有する化合物を意味する。適切なイソシアネートとしては、例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素化MDI(H12MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシロールジイソシアネート(TMXDI)、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジ及びテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、任意選択的に混合物でのトリレンジイソシアネート(TDI)の異性体、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、1-イソシアナトメチル-3-イソシアナト-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン、塩素化及び臭素化ジイソシアネート、リン含有ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトフェニルパーフルオロエタン、テトラメトキシブタン1,4-ジイソシアネート、ブタン1,4-ジイソシアネート、ヘキサン1,6-ジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、フタル酸ビスイソシアナトエチルエステル、また反応性ハロゲン原子を有するポリイソシアネート、例えば1-クロロメチルフェニル2,4-ジイソシアネート、1-ブロモメチルフェニル2,6-ジイソシアネート及び3,3-ビスクロロメチルエーテル4,4’-ジフェニルジイソシアネートが挙げられる。硫黄含有ポリイソシアネートは、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをチオジグリコール又はジヒドロキシジヘキシルスルフィドと反応させることによって得られる。他の適切なジイソシアネートは、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトブタン、1,2-ジイソシアナトドデカン、二量体脂肪酸ジイソシアネート又はその組み合わせである。
【0029】
他の適切な市販のイソシアネートは、n平均が0.7である、LUPRANATE(登録商標)M20(PMDI,BASFから市販されており、31.5重量%のイソシアネート基「NCO」を含有する);ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする脂肪族水分散性イソシアネートである、BAYHYDUR(登録商標)N304及びBAYHYDUR(登録商標)N305;ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする低粘度、多官能性脂肪族イソシアネートである、DESMODUR(登録商標)N3600、DESMODUR(登録商標)N3700及びDESMODUR(登録商標)N3900;ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする脂肪族イソシアネートである、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA)から市販のDESMODUR(登録商標)3600及びDESMODUR(登録商標)N100;n平均が0.7である、PAPI(登録商標)27(340の平均分子量を有し、且つ31.4重量%のNCOを含有する、Dow Chemicalから市販のPMDI);n平均が0.8である、MONDUR(登録商標)MR(Bayerから市販されている、31重量%以上のNCOを含有するPMDI);n平均が0.8である、MONDUR(登録商標)MR Light(Bayerから市販されている、31.8重量%のNCOを含有するPMDI);n平均が1.0である、MONDUR(登録商標)489(30~31.4重量%のNCOを含有する、Bayerから市販のPMDI);ポリ[(フェニルイソシアネート)-co-ホルムアルデヒド](Aldrich Chemical,Milwaukee,WI)、他のイソシアネートモノマー、例えばDESMODUR(登録商標)N3200(Bayerから市販のポリ(ヘキサメチレンジイソシアネート))及びTAKENATE(登録商標)D110N(Mitsui Chemicals corporation,Rye Brook,NYから市販のキシレンジイソシアネート付加物ポリマー、11.5重量%のNCOを含有)、DESMODUR(登録商標)L75(Bayerから市販のトルエンジイソシアネートをベースとするイソシアネート)及びDESMODUR(登録商標)IL(Bayerから市販のトルエンジイソシアネートをベースとする別のイソシアネート)の商品名で販売されている。
【0030】
一部の態様では、本開示のカプセルの製造に使用されるイソシアネートは、単一のイソシアネートである。他の態様では、そのイソシアネートは、イソシアネートの組み合わせである。一部の態様では、イソシアネートの組み合わせは、脂肪族イソシアネート及び芳香族イソシアネートを含む。特に、イソシアネートの組み合わせは、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットと、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である。特定の態様では、イソシアネートは脂肪族イソシアネート又は芳香族イソシアネートを含有しない、脂肪族イソシアネートの組み合わせである。換言すると、これらの態様では、芳香族イソシアネートは、カプセルの壁を製造するために使用されない。キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物の本開示の特定の態様に従い、その壁は、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物である単一イソシアネートから形成される。
【0031】
特定の適切なイソシアネートの平均分子量は、250~1000Da、好ましくは275~500Daと様々である。一般に、イソシアネート濃度の範囲は、すべてカプセル送達系の重量に基づいて0.1%~10%、好ましくは0.1%~8%、より好ましくは0.2%~5%、さらにより好ましくは1.5%~3.5%又は0.1%~5%で様々である。理想的には、そのイソシアネートは、生分解性コア-シェルマイクロカプセル組成物の1重量%未満(例えば、0.99重量%、0.98重量%、0.97重量%、0.96重量%、0.95重量%、0.94重量%、0.93重量%、0.92重量%、0.91重量%、0.90重量%、0.85重量%、0.80重量%、0.70重量%、0.60重量%、0.50重量%、0.4重量%、0.3重量%、0.2重量%又は0.1重量%)のレベルで存在する。
【0032】
マイクロカプセル形成助剤。大部分のマイクロカプセル形成助剤は、分散剤(即ち乳化剤又は界面活性剤)として使用される。それらは、封入されるべきナノ又はミクロサイズの油滴を含有する安定なエマルジョンの形成を促進する。さらに、マイクロカプセル形成助剤は、カプセルを安定化し、且つ/又は標的領域へのその沈着若しくは環境への放出によってマイクロカプセルの性能を向上させる。性能は、洗濯作業で摩擦前及び摩擦後の段階など、使用者の経験の様々な接触ポイント中のフレグランス放出の強度によって測定される。摩擦前の段階は、衣類にマイクロカプセルが付着されている段階、例えばマイクロカプセルを含有する衣類用柔軟剤が洗浄サイクル中に使用された後である。摩後段階は、マイクロカプセルが付着された後であり、且つマイクロカプセルは、摩擦又は他の類似のメカニズムによって破壊されている。
【0033】
これらのマイクロカプセル形成助剤の量は、マイクロカプセルの約0.1重量%~約40重量%、より好ましくは0.1重量%~約10重量%又はより好ましくは0.1重量%~5重量%のいずれかである。
【0034】
マイクロカプセル形成助剤の例は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(スチレンスルホネート)、カルボキシメチルセルロース、ナフタレンスルホネート縮合物のナトリウム塩、エチレンと無水マレイン酸のコポリマー、アルジネート、ヒアルロン酸、ポリ(アクリル酸)、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸とアクリルアミドのコポリマー、アクリルアミドとアクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドのコポリマー、(アクリル酸、アクリルアミド及びアクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド)のターポリマー、部分的若しくは完全に加水分解されたポリ酢酸ビニルポリマー(即ちポリビニルアルコール)又はその組み合わせである。
【0035】
他のマイクロカプセル形成助剤としては、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸、アルキルイソチオン酸、アルキルカルボン酸、アルキルスルホコハク酸、アルキルスクシナメートの水溶性塩、アルキル硫酸塩、例えばドデシル硫酸ナトリウム、アルキルサルコシネート、タンパク質加水分解産物のアルキル誘導体、アシルアスパラギン酸塩、アルキル若しくはアルキルエーテル若しくはアルキルアリールエーテルリン酸エステル、硫酸ドデシルナトリウム、リン脂質又はレシチン又は石鹸、ステアリン酸ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウム、オレイン酸ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウム又はパルミチン酸ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウム、アルキルアリールスルホン酸塩、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリ(スチレンスルホン酸)ナトリウム塩、イソブチレン無水マレイン酸コポリマー、アルギン酸ナトリウム、セルロース硫酸塩及びペクチン、イソブチレン無水マレイン酸コポリマー、アラビアゴム、カラゲナン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン酸、トラガカントゴム、アーモンドガム及び寒天;半合成ポリマー、例えば硫酸化セルロース、硫酸化メチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、リン酸化デンプン、リグニンスルホン酸;及び合成ポリマー、例えば無水マレイン酸コポリマー(その加水分解産物を含む)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸ブチルアクリレートコポリマー又はクロトン酸ホモポリマー及びコポリマー、ビニルベンゼンスルホン酸又は2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー及びコポリマー、かかるポリマー及びコポリマーの部分アミド若しくは部分エステル、カルボキシ修飾ポリビニルアルコール、スルホン酸修飾ポリビニルアルコール及びリン酸修飾ポリビニルアルコール、リン酸化若しくは硫酸化トリスチリルフェノールエトキシレートが挙げられる。
【0036】
市販の界面活性剤としては、限定されないが、商品名MORWET(登録商標)D425で販売されているスルホン化ナフタレン-ホルムアルデヒド縮合物(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩のホルムアルデヒド縮合物、Akzo Nobel,Fort Worth,TX);商品名MOWIOL(登録商標)で販売される部分加水分解ポリビニルアルコール、例えばMOWIOL(登録商標)3-83(Air Products)、又はSELVOL(登録商標)203(Sekisui)、又はUltalux FP、Ultalux FA、Ultalux AD、OKS-8089(Sourus)などのポリビニルアルコール;商品名PLURONIC(登録商標)、SYNPERONIC(登録商標)又はPLURACARE(登録商標)材料(BASF)で販売される、エチレンオキシド-プロピレンオキシドブロックコポリマー又はポロキサマー;商品名FLEXAN(登録商標)II(Akzo Nobel)で販売されるスルホン化ポリスチレン;商品名ZEMAC(登録商標)(Vertellus Specialties Inc.)で販売されるエチレン無水マレイン酸ポリマー;商品名SALCARE(登録商標)SC60(BASF)で販売されるアクリルアミドとアクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドのコポリマー;及びポリクオタニウム11(「PQ11」;ビニルピロリドンと四級化ジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー;Luviquat PQ11 AT 1としてBASFによって販売されている)などのポリクオタニウムシリーズが挙げられる。界面活性剤MOWIOL(登録商標)3-83は、粘度2~4mPa・S(例えば、3mPa・S)、加水分解度80~85%(例えば、83%)、エステル値170~210mg KOH/g(例えば、190mg KOH/g)及び残留する非加水分解アセチル含有率13~18%(例えば、15%)を有する。特定の態様では、界面活性剤又は乳化剤は、スルホン化ポリスチレン、例えば商品名FLEXAN(登録商標)IIで販売される高分子量ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩である。
【0037】
他の態様では、カプセル形成助剤は、凝集、沈降及びクリーミングに対するスラリーのコロイド安定性を向上させる、親水コロイドなどの加工助剤である。本開示に従い、親水コロイドは、スラリーの形成中の乳化段階前に水相に添加される。「親水コロイド」という用語は、アニオン性、カチオン性、双性イオン性又は非イオン性の特性を有する水溶性又は水分散性ポリマーの広範なクラスを意味する。本開示で有用な親水コロイドとしては、限定されないが、炭水化物ポリマー、例えばデンプン、修飾デンプン、デキストリン、マルトデキストリン及びセルロース誘導体並びにその四級化形態;天然ゴム、例えばアルギン酸エステル、カラゲナン、キサンタン、寒天、ペクチン、ペクチン酸、アラビアゴム、トラガカントゴム及びカラヤゴム、ガーゴム及び四級化ガーゴム;ゼラチン、タンパク質加水分解産物及びその四級化形態;合成ポリマー及びコポリマー、例えばポリ(ビニルピロリドン-co-酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール-co-酢酸ビニル)、ポリ((メタ)アクリル酸)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(アルキル(メタ)アクリレート-co-(メタ)アクリル酸)、ポリ(アクリル酸-co-マレイン酸)コポリマー、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルエーテル-co-無水マレイン酸)等、並びにポリ(エチレンイミン)、ポリ((メタ)アクリルアミド)、ポリ(アルキレンオキシド-co-ジメチルシロキサン)、ポリ(アミノジメチルシロキサン)、Ultrez 20(アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー)、商品名CARBOPOL(登録商標)Ultrez 30で販売される、シクロヘキサン及び酢酸エチル共溶媒系中で重合されたアクリル酸の架橋ホモポリマー、商品名ACULYN(登録商標)Excel(アクリレートコポリマー)で販売されるアクリレートコポリマー、商品名CARBOPOL(登録商標)981(Carbomer)で販売される架橋ポリアクリル酸ポリマー等、及びその四級化形態が挙げられる。特定の態様では、マイクロカプセルスラリーは、親水コロイドとしてのアラビアゴムの存在下で調製される。
【0038】
カプセル形成助剤は、カプセル形成を促進するために、処理中にカルボキシメチルセルロース(「CMC」)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルキルナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合物及び/又は界面活性剤と併せて使用することもできる。カプセル形成助剤と併せて使用され得る界面活性剤の例としては、限定されないが、塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC)、ポロキサマー、例えば商品名PLURONIC(登録商標)(例えば、PLURONIC(登録商標)F127)、PLURAFAC(登録商標)(例えば、PLURAFAC(登録商標)F127)で販売されるポロキサマー)又は商品名Q-NATURALE(登録商標)(National Starch Food Innovation)で販売されるMiranet-N、サポニン;又はセヤル若しくはセネガルなどのアラビアゴムが挙げられる。
【0039】
特定の態様では、CMCポリマーは、約90,000~1,500,000ダルトン、好ましくは約250,000~750,000ダルトン、より好ましくは400,000~750,000ダルトンの分子量範囲を有する。CMCポリマーは、約0.1~約3、好ましくは約0.65~約1.4及びより好ましくは約0.8~約1.0.の置換度を有する。CMCポリマーは、約0.1~約2%及び好ましくは約0.3~約0.7%のレベルでカプセルスラリー中に存在する。他の態様では、本発明で使用されるポリビニルピロリドンは、水溶性ポリマーであり、1,000~10,000,000の分子量を有する。適切なポリビニルピロリドンは、ポリビニルピロリドンK12、K15、K17、K25、K30、K60、K90又はその組み合わせである。ポリビニルピロリドンの量は、カプセル送達系の2~50重量%、5~30重量%又は10~25重量%である。市販のアルキルナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合物としては、Akzo Nobel,Fort Worth,TXによるナフタレンスルホン酸のナトリウム塩縮合物である、MORWET(登録商標)D-425が挙げられる。
【0040】
一部の態様では、食品グレードの分散剤が使用される。「食品グレードの分散剤」とは、食品におけるヒトの摂取に適合する品質を有する分散剤を意味する。それらは天然又は非天然物であり得る。天然生成物又は界面活性剤とは、天然に存在し、且つ天然由来の生成物を意味する。天然生成物/界面活性剤としては、塩で処理され得るか、脱塩され得るか、脱油され得るか、分留され得るか又は天然酵素若しくは微生物を用いて修飾され得るその誘導体が挙げられる。一方、非天然界面活性剤は、酵素修飾を伴わない化学プロセスによって化学的に合成された界面活性剤である。
【0041】
天然の分散剤としては、キラヤサポニン、レシチン、アラビアゴム、ペクチン、カラゲナン、キトサン、コンドロイチン硫酸、修飾セルロース、セルロースガム、修飾デンプン、乳清タンパク質、エンドウマメタンパク質、卵白タンパク質、絹タンパク質、魚介ゼラチン、ブタ若しくはウシ由来のタンパク質、エステルガム、脂肪酸又はその組み合わせが挙げられる。特定の態様では、マイクロカプセル組成物は、分散剤としての変性タンパク質、例えば変性エンドウマメタンパク質の存在下で調製される。
【0042】
植物貯蔵タンパク質は、種々の植物組織に蓄積し、且つ金属イオン及びアミノ酸の生物学的貯蔵として機能するタンパク質である。植物貯蔵タンパク質は、2つのクラス:種子又は穀粒貯蔵タンパク質及び植物性の貯蔵タンパク質に分けることができる。種子又は穀粒貯蔵タンパク質は、種子/穀粒の発育の後期中に種子/穀粒において高レベルに蓄積する、1セットのタンパク質であるのに対して、植物性の貯蔵タンパク質は、葉、茎及び植物種に応じて塊茎などの植物性組織中に蓄積するタンパク質である。発芽中、種子/穀粒貯蔵タンパク質は、分解し、得られたアミノ酸は、栄養源として発育中の実生によって使用される。一部の態様では、マイクロカプセルの製造に使用される分散剤は、マメ科貯蔵タンパク質、特にダイズ、ルピナス、エンドウマメ、ヒヨコマメ、アルファルファ、ソラマメ、レンズマメ、インゲンマメ又はその組み合わせから抽出されるタンパク質である。好ましくは、変性タンパク質は、変性エンドウマメタンパク質、特に変性エンドウマメタンパク質の分離物である。
【0043】
特に、変性エンドウマメタンパク質は、エンドウマメタンパク質分離物、エンドウマメタンパク質濃縮物又はその組み合わせを含むことが意図される。エンドウマメタンパク質分離物及び濃縮物は、一般に、数種のタンパク質で構成されると理解される。例えば、エンドウマメタンパク質分離物及び濃縮物は、レグミン、ビシリン及びコンビシリンタンパク質を含み得る。「エンドウマメタンパク質」という用語は、部分若しくは完全修飾又は変性エンドウマメタンパク質を含むことも意図される。個々の貯蔵ポリペプチド(例えば、レグミン、ビシリン又はコンビシリン)は、本発明のマイクロカプセルの製造に使用することもできる。個々のタンパク質は、均一に又はほぼ均一に、例えば純度90%、92%、95%、97%、98%又は99%に分離及び任意選択的に精製され得る。
【0044】
理想的には、本開示のエンドウマメタンパク質は、好ましくは、エンドウマメタンパク質のゲル化を起こすことなく変性される。タンパク質変性の例示的な条件としては、限定されないが、熱若しくは冷却、pH変化への曝露、洗剤、尿素若しくは他のカオトロピック剤などの変性剤又はせん断力などの機械的応力への曝露が挙げられる。一部の態様では、エンドウマメタンパク質は、部分変性され、例えば50%、60%、70%、80%又は85%(w/w)変性される。他の態様では、エンドウマメタンパク質は、実質的又は完全に変性され、例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%(w/w)変性される。例えば、8%エンドウマメ貯蔵タンパク質溶液(w/v)が使用された場合、その溶液は、80℃~90℃の温度で20~30分間(又は好ましくは85℃で25分間)処理され、実質的に変性されたエンドウマメ貯蔵タンパク質が得られる。したがって、所望の変性度に応じて、より長い時間及びより短い時間も用いられ得ることが理解されるであろう。
【0045】
特に、本発明の生分解性マイクロカプセルの製造で使用される変性タンパク質の提供において特にカオトロピック剤が有用であることが判明している。当技術分野で従来の通りに、カオトロピック剤は、水溶液中で水素結合を破壊し、それによりエントロピーが増加する化合物である。一般に、これは、タンパク質の立体構造に必須である疎水効果を低減する。カオトロープは、ホールワーススケール(Hallsworth Scale)で正のカオトロピック値、即ちkJ kg-1モルを有すると定義することができる。カオトロピック値の例は、例えば、CaCl2+92.2kJ kg-1、MgCl2kJ kg-1+54.0、ブタノール+37.4kJ kg-1、塩酸グアニジン+31.9kJ kg-1及び尿素+16.6kJ kg-1である。特定の態様では、カオトロピック剤はグアニジニウム塩、例えば硫酸グアニジニウム、炭酸グアニジニウム、硝酸グアニジニウム又は塩化グアニジニウムである。特に態様では、エンドウマメタンパク質は、炭酸グアニジンで部分的又は完全に変性される。
【0046】
天然分散剤の他に、非天然分散剤が、本開示のマイクロカプセルの製造に使用される。非天然分散剤としては、N-ラウロイル-L-アルギニンエチルエステル、ソルビタンエステル、ポリエトキシ化ソルビタンエステル、ポリグリセリルエステル、脂肪酸エステル又はその組み合わせが挙げられる。
【0047】
他の食品安全性分散剤も本開示のマイクロカプセルで使用することができる。実施例としては、アンモニウムホスファチド、モノ及びジグリセリドの酢酸エステル(Acetem)、脂肪酸のモノ及びジグリセリドの乳酸エステル(Lactem)、脂肪酸のモノ及びジグリセリドのクエン酸エステル(Citrem)、脂肪酸のモノ及びジグリセリドのモノ及びジアセチル酒石酸エステル(Datem)、脂肪酸のモノグリセリドのコハク酸エステル(SMG)、エトキシ化モノグリセリド、脂肪酸のショ糖エステル、スクログリセリド、ポリリシノール酸ポリグリセロール、脂肪酸のプロパン-1,2-ジオールエステル、脂肪酸のモノ若しくはジグリセリドと相互作用された熱酸化ダイズ油、ステアロイル乳酸ナトリウム(SSL)、ステアロイル乳酸ナトリウム(CSL)、酒石酸ステアリル、エステル交換ヒマシ油酸のポリグリセロールエステル(E476)、ステアロイル乳酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン化水素化ヒマシ油(例えば、商品名CREMO-PHOR(登録商標))で販売される商品など)、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー(例えば、商品名PLURONIC(登録商標)で販売される)、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル及びポリオキシエチレンステアリン酸エステルが挙げられる。
【0048】
カプセル化方法。本明細書で実証されるように、水と反応して第1級アミンを形成した場合、イソシアネートは、分散剤としてのエンドウマメタンパク質の存在下で自己縮合し、コア-シェルマイクロカプセル中の活性物質のカプセル化に適した壁材料を形成する。理論によって束縛されないが、エンドウマメタンパク質は、イソシアネートの自己縮合を促進する足場を提供すると仮定される。有利には、エンドウマメタンパク質を含有することにより、使用されるイソシアネートのレベルが低減され、コア-シェルマイクロカプセルの持続可能性及び生分解性が向上する。さらに、エマルジョンのpHを6未満に調整し、且つ/又は80℃未満の温度でマイクロカプセルスラリーを硬化させることにより、良好な乾燥性能、低変色及び/又は凝集若しくは凝塊の低減などの望ましいマイクロカプセル特性を達成することができる。
【0049】
したがって、本開示は、生分解性である、コア-シェルマイクロカプセルスラリーを生成する方法を提供する。マイクロカプセルシェルの全体として及び/又はマイクロカプセルシェルのポリマー(例えば、生分解性ポリマー又はプレポリマー)などの材料に関して、本明細書で使用される「生分解性」は、現実の若しくは認められた健康及び/又は環境問題を有さず、且つ物理的、化学的、熱的、微生物、細菌、生物学的及び/又は紫外線若しくは光分解を受けることができ且つ/又は受ける。理想的には、マイクロカプセルシェル及び/又はポリマーは、マイクロカプセルシェル及び/又はポリマーが以下の試験:経済協力開発機構(OECD)、国際標準化機構(ISO)及び米国試験材料協会(ASTM)試験から入手可能な水性培地における、例えば、限定されないが、OECD 301F若しくは310(易生分解性)、OECD 302(本質的分解性)、ISO 17556(固体刺激研究)、ISO 14851(淡水刺激研究)、ISO 18830(海底堆積物刺激研究)、OECD 307(土壌刺激研究)、OECD 308(堆積物刺激研究)及びOECD 309(水刺激研究)などの呼吸生分解方法の1つ以上に合格した場合に「生分解性」であると見なされる。好ましくは、マイクロカプセルは、水生培地における呼吸生分解法、OECD 301F又はOECD 310を用いて決定されるように容易に生分解可能である。より好ましくは、シェル及び/又はポリマーがOECD301F又はOECD310試験に従って60日以内に少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は98%の生分解率又は最も好ましくはOECD301F試験に従って60日以内に少なくとも20%の生分解率を有する場合、マイクロカプセルのシェル及び/又はポリマーは、生分解性である。
【0050】
一般に、本開示は、生分解性コア-シェルマイクロカプセルスラリーを生成する方法であって、変性エンドウマメタンパク質の存在下において、イソシアネートからなる壁材料を重合する工程を含み、そのイソシアネートは、生分解性コア-シェルマイクロカプセルスラリーの1重量%未満のレベルで存在する、方法を提供する。本開示の目的では、重合工程は、イソシアネートが求電子剤及び求核剤の両方としての役割を果たす自己縮合反応である。
【0051】
より詳細には、本開示は、コア-シェルマイクロカプセルスラリーを、(a)水相を、(i)エンドウマメタンパク質を炭酸グアニジンと組み合わせて、エンドウマメタンパク質を変性することと、(ii)pHを6未満に調整することと、(iii)アラビアゴムを親水コロイドとして添加することとによって調製する工程、(b)活性物質及びキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物で構成される油相を調製する工程であって、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物は、好ましくは、コア-シェルマイクロカプセルスラリーの重量に基づいて0.1%~8%のレベルで存在する、工程、(c)油相を水相に乳化させて、スラリーを形成する工程、及び(d)スラリーを80℃未満の温度で所定の期間にわたって硬化させる工程によって製造する方法を提供する。
【0052】
一部の態様に従い、上記の方法の水相は、6以下、より好ましくは5.5未満のpHに調整される。理想的には、水相のpHは、2~6、3~5.5、好ましくは3.5~4.5又は最も好ましくは5.8~4.2の範囲のpHに調整される。
【0053】
他の態様に従い、上記の方法により製造されるマイクロカプセルは、80℃未満又は好ましくは70℃未満の温度で硬化される。理想的には、スラリーは、15~80℃(例えば、55~65℃、又は55~70℃、又は55~80℃)の範囲の温度で、1分間~10時間(例えば、0.1時間~5時間、0.2時間~4時間及び0.5時間~3時間)硬化される。好ましくは、マイクロカプセルスラリーは、67~63℃の温度で又はより好ましくは65℃で硬化される。
【0054】
マイクロカプセルの性質に応じて、スラリーは、0.5~2℃/分(例えば、1~5℃/分、2~8℃/分及び2~10℃/分)の線形速度で1~60分間(例えば、1~30分間)の期間にわたって、標的硬化温度に硬化され得る。以下の加熱方法:例えば油による伝導、赤外及びマイクロ波による蒸気放出、加熱空気による対流、蒸気注入及び当業者によって公知の他の方法が使用され得る。本明細書で使用される、標的硬化温度とは、浸出を遅らせるためにカプセルスラリーが硬化される、最低温度(摂氏温度)を意味する。
【0055】
本開示の態様では、かかる方法によって製造されるマイクロカプセルは、直径0.1~1000ミクロン(即ちμm)の範囲(例えば、0.5~500ミクロン、1~200ミクロン、1~100ミクロン、2~50ミクロン、5~25ミクロン及び1~10ミクロン)の平均粒径を一般に有する。本発明の方法によって製造されるマイクロカプセルは、単一のマイクロカプセル(即ち凝集していない)であり、狭い、広い又は多峰性のサイズ分布を有し得る。
【0056】
活性物質。本開示のマイクロカプセルスラリーは、その中に封入された1種以上の活性物質を有する。非限定的な例としては、国際公開第2016/049456号パンフレットに記載の物質が挙げられる。これらの活性物質としては、フレグランス、プロフレグランス、香味、臭気中和剤、ビタミン又はその誘導体、抗炎症剤、殺菌剤、麻酔剤、鎮痛剤、抗菌活性、抗ウイルス剤、抗感染薬、抗ざ瘡剤、皮膚美白剤、昆虫忌避剤、動物忌避剤、虫忌避剤、皮膚軟化剤、皮膚加湿剤、皺コントロール剤、UV保護剤、衣類用柔軟剤活性剤、硬質表面クリーニング活性剤、皮膚若しくは毛髪コンディショニング剤、難燃剤、帯電防止剤、味覚修飾物質、細胞、生菌、酸化防止剤、セルフタンニング剤、ジヒドロキシアセトン、冷却剤、センセート、悪臭反応性物質、美容的活性剤又はその組み合わせが挙げられる。美容的作用剤としては、ビタミン、サンフィルター及び日焼け止め、抗加齢剤、しわ防止剤、酸化防止剤、リフティング剤、引き締め剤、アンチスポット剤、赤み防止剤、希釈剤、排出剤、モイスチャーライザー、鎮静剤、スクラブ剤又は剥離剤、マット仕上げ剤、皮脂調整剤、皮膚美白作用物質、セルフタンニング作用剤、タンニング促進剤又はその組み合わせが挙げられる。上記に挙げる作用物質に加えて、本発明の製品は、染料、着色剤又は顔料、天然に得られた抽出物(例えば、パプリカ抽出物及び黒人参抽出物)及びアルミニウムレーキも含有し得る。注目すべきことには、本開示のマイクロカプセルは、天然抽出物及び/又は精油の封入に使用される。特定の態様では、マイクロカプセルスラリーは、0.3%未満又は0.25%未満の非カプセル化フレグランスを有する。
【0057】
レオロジー改質剤。1種以上のレオロジー改質剤又は粘度調整剤を、組成物の所望の粘度を達成するために添加することができ、その結果、マイクロカプセルは、スラリーに長期間分散される。カプセル製造中、レオロジー改質剤が好ましくは水相及び油相の乳化前に添加され、通常、本開示の組成物のマイクロカプセルスラリー中に且つマイクロカプセルのマイクロカプセル壁の外に均一に分散する。適切なレオロジー改質剤としては、アクリレートコポリマー、カチオン性アクリルアミドコポリマー、多糖類又はその組み合わせが挙げられる。好ましくは、スラリーへのレオロジー改質剤の添加により、21s-1のせん断速度で測定される600cps未満又は580cps未満の粘度を有するスラリーが提供される。
【0058】
市販のアクリレートコポリマーとしては、商品名ACULYN(登録商標)(Dow Chemical Company)のコポリマー、例えばACULYN(登録商標)22(アクリレートとステアレス-20メタクリレートのコポリマー)、ACULYN(登録商標)28(アクリレートとベヘネス-25メタクリレートとのコポリマー)、ACULYN(登録商標)33(アクリル酸とアクリレートのコポリマー)、ACULYN(登録商標)38(アクリレートとネオデカン酸ビニルのクロスポリマー)及びACULYN(登録商標)88(アクリレートとステアレス-20メタクリレートのクロスポリマー)が挙げられる。乳化重合によってアクリル酸及びアクリレートコモノマーから合成される、ACULYN(登録商標)33、アルカリ可溶性アニオン性アクリルポリマーエマルジョン(ASE)などのアニオン性アクリレートコポリマーが、特に有用なアクリレートコポリマーである。商品名CARBOPOL(登録商標)で販売されるアクリレートコポリマーも本発明での使用に適している。その例は、CARBOPOL(登録商標)ETD2020ポリマー(アクリレートとC10~C30アルキルアクリレートのクロスポリマー)、CARBOPOL(登録商標)ETD2691及びCARBOPOL(登録商標)ETD2623(架橋アクリレートコポリマー)である。
【0059】
多糖類は、レオロジー改質剤として適切な作用物質の別のクラスである。特定の態様では、レオロジー改質剤として有用な多糖類としては、デンプン、ペクチン及びアルギニン、ガーゴム、イナゴマメゴム及びキサンタンガムなどの植物ゴム、例えばCP Kelco,Atlanta,GAから市販の商品名KELTROL(登録商標)T(80メッシュ食品グレード)で販売されるキサンタンガムが挙げられる。好ましくは、少なくとも1種のレオロジー改質剤は、キサンタンガムである。
【0060】
特定の態様では、本開示のマイクロカプセルは、活性物質としてフレグランスを含み、スラリーは、(a)0.3%若しくは0.25%未満の非カプセル化フレグランス、(b)21s-1のせん断速度で測定される600cps未満若しくは580cps未満の粘度、又は(c)(a)と(b)との組み合わせを有する。
【0061】
補助コア材料。活性物質に加えて、本開示は、カプセル壁によって封入されたコア中の溶媒、皮膚軟化剤及びコア改質材料などの補助材料の組み込みも提供する。他の補助材料は、ナノスケールの固体粒状材料、ポリマーコア改質剤、溶解性改質剤、密度改質剤、安定剤、湿潤剤、粘度調整剤、pH調整剤又はその組み合わせである。これらの改質剤は、送達系におけるカプセルの壁若しくはコア中又はカプセルの外側に存在し得る。好ましくは、それらは、コア改質剤としてコアにある。
【0062】
その1種以上の補助材料は、カプセルの0.01重量%~25重量%(例えば、0.5重量%~10重量%)の量で添加され得る。
【0063】
補助材料の適切な例としては、国際公開第2016/049456号パンフレット及び米国特許出願公開第2016/0158121号明細書に記載の材料が挙げられる。
【0064】
付着助剤。カプセルの0.01重量%~25重量%、より好ましくは5重量%~20重量%のカプセル付着助剤が含まれ得る。カプセル付着助剤は、カプセルの製造中に添加され得るか又はカプセルが製造された後に添加され得る。
【0065】
これらの付着助剤は、衣類、毛髪又は皮膚などの表面へのカプセルの付着を助けるために使用される。これらの助剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性の水溶性ポリマーが挙げられる。適切な付着助剤としては、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-46、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-53、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-68、ポリクオタニウム-69、ポリクオタニウム-73、ポリクオタニウム-74、ポリクオタニウム-77、ポリクオタニウム-78、ポリクオタニウム-79、ポリクオタニウム-80、ポリクオタニウム-81、ポリクオタニウム-82、ポリクオタニウム-86、ポリクオタニウム-88、ポリクオタニウム-101、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン及びビニホルムアミドコポリマー、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー、メタクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミドコポリマー、ポリエチレングルコール及びテレフタレート、ポリエステルから誘導される単位を含むポリマー、ジカルボン酸及びポリオールから誘導可能なポリマー又はその組み合わせが挙げられる。他の適切な付着助剤としては、国際公開第2016/049456号パンフレットの13~27ページに記載の助剤が挙げられる。他の付着助剤は、米国特許出願公開第2013/0330292号明細書、米国特許出願公開第2013/0337023号明細書及び米国特許出願公開第2014/0017278号明細書に記載されている。
【0066】
保存剤。特定の期間、損傷又は不注意による微生物の増殖を防ぐために、1種以上の保存剤がマイクロカプセルスラリーに添加され得、それにより有効期間が延長される。保存剤は、マイクロカプセルスラリーに損傷を生じさせない有機保存剤であり得る。適切な水溶性保存剤としては、有機硫黄化合物、ハロゲン化化合物、環状有機窒素化合物、低分子量アルデヒド、パラベン、プロパンジオール材料、イソチアゾリノン、第4級化合物、ベンゾエートが挙げられ、例としては、低分子量アルコール、デヒドロ酢酸、フェニル及びフェノキシ化合物又はその組み合わせが挙げられる。
【0067】
市販の水溶性保存剤の非限定的な例は、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン約77%と2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン23%の混合物である。他の抗菌性保存剤としては、Rohm&Haasの商品名KATHON(登録商標)CGの1.5%水溶液;Henkelの商品名BRONIDOX L(登録商標)で市販の5-ブロモ;Inorexの商品名BRONOPOL(登録商標)で市販の2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール;1,1’-ヘキサメチレンビス(5-(p-クロロフェニル)ビグアニド)及びその塩、例えば酢酸塩及びジグルコン酸塩;Ronzaから商品名GLYDANT PLUS(登録商標)で市販の1,3-ビス(ヒドロキシ);グルタルアルデヒド;ICIポリアミノプロピルビグアニド;デヒドロ酢酸;及び商品名PROXEL(登録商標)GXLで販売される1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンが挙げられる。
【0068】
マイクロカプセル送達系配合物。マイクロカプセルスラリーは、消費者製品で使用されるカプセル送達系(例えば、マイクロカプセル組成物)中に配合され得る。
【0069】
カプセル送達系は、外部溶媒(例えば、水、エタノール又はその組み合わせ)中に懸濁されたマイクロカプセルスラリーであり得、カプセルは、カプセル送達系の0.1重量%~80重量%(例えば、70~75重量%、40~55重量%、50~90重量%、1重量%~65重量%及び5重量%~45重量%)のレベルで存在する。
【0070】
カプセルの代わりに又はそれに加えて、本開示に従って調製されるそのスラリーが続いて精製される。米国特許出願公開第2014/0017287号明細書を参照されたい。中性pHが得られるまでカプセルスラリーを水で洗浄することにより、精製を達成することができる。
【0071】
追加の成分。カプセル送達系は、任意選択的に、ポリマー補助送達組成物(米国特許第8,187,580号明細書を参照されたい)、繊維補助送達組成物(米国特許出願公開第2010/0305021号明細書を参照されたい)、シクロデキストリンのホストゲスト複合体(米国特許第6,287,603号明細書及び米国特許出願公開第2002/0019369号明細書)、プロフレグランス(国際公開第2000/072816号パンフレット及び欧州特許第0922084号明細書)又はその組み合わせなど、1種以上の他の送達系を含有し得る。カプセル送達系は、本開示の異なるカプセル並びにアミノプラスト、ヒドロゲル、ゾル-ゲル、ポリ尿素/ポリウレタンカプセル及びメラミンホルムアルデヒドカプセルなど、1種以上(例えば、2、3、4、5又は6種以上)の異なるカプセルも含有し得る。組み込むことができるさらなる例示的な送達系は、コアセルベートカプセル(国際公開第2004/022221号パンフレットを参照されたい)及びシクロデキストリン送達系(国際公開第2013/109798号パンフレット及び米国特許出願公開第2011/03085560号明細書を参照されたい)である。
【0072】
上述のいずれかの化合物、ポリマー又は作用物質は、上記に示される化合物、ポリマー又はその塩、前駆物質含水化合物若しくは溶媒和化合物であり得る。
【0073】
特定の化合物、ポリマー及び作用物質は、それぞれがR若しくはS立体配置又はその組み合わせであり得る、1つ以上の立体中心を有する。さらに、一部の化合物、ポリマー又は作用物質は、E(トランス)若しくはZ(シス)立体配置又はその組み合わせで各二重結合が存在する1つ以上の二重結合を有する。その化合物、ポリマー及び作用物質は、すべての可能性のある配置の立体異性、位置異性、ジアステレオ異性、鏡像異性及びエピ異性形態並びにその組み合わせを含む。したがって、本明細書で使用されるリシンとしては、L-リシン、D-リシン、L-リシン一塩酸塩、D-リシン一塩酸塩、リシン炭酸塩等が挙げられる。同様に、アルギニンとしては、L-アルギニン、D-アルギニン、L-アルギニン一塩酸塩、D-アルギニン一塩酸塩、アルギニン炭酸塩、アルギニン一水和物等が挙げられる。グアニジンとしては、塩酸グアニジン、炭酸グアニジン、チオシアン酸グアニジン及びその含水化合物を含む他のグアニジン塩が挙げられる。オルニチンとしては、L-オルニチン及びその塩/含水化合物(例えば、一塩酸塩)及びD-オルニチン及びその塩/含水化合物(例えば、一塩酸塩)が挙げられる。
【0074】
用途。本開示の送達系は、限定されることなく、以下の製品における使用に十分に適している:
a)家庭用品
i.本開示で使用することができる液体又は粉末洗濯洗剤は、米国特許第5,929,022号明細書、米国特許第5,916,862号明細書、米国特許第5,731,278号明細書、米国特許第5,565,145号明細書、米国特許第5,470,507、米国特許第5,466,802号明細書、米国特許第5、460,752号明細書、米国特許第5,458,810号明細書、米国特許第5,458,809号明細書、米国特許第5,288,431号明細書、米国特許第5,194,639号明細書、米国特許第4,968,451号明細書、米国特許第4,597,898号明細書、米国特許第4,561,998号明細書、米国特許第4,550,862号明細書、米国特許第4,537,707号明細書、米国特許第4,537,706号明細書、米国特許第4,515,705号明細書、米国特許第4,446,042号明細書及び米国特許第4,318,818号明細書に記載の系を含む。
ii.欧州特許第1431382A1号明細書、米国特許出願公開第2013/0219996A1号明細書、米国特許出願公開第2013/0284637A1号明細書及び米国特許第6,492,315号明細書に記載のものなど、1回量パウチ、タブレット及びカプセル。これらの1回量配合物は、高濃度の機能性材料(例えば、衣類用柔軟剤及び洗浄剤活性物質5~100%)、フレグランス(例えば、0.5~100%、0.5~40%及び0.5~15%)及び香味(例えば、0.1~100%、0.1~40%及び1~20%)を含有し得る。それらは水を含有せず、30%未満と少ない水含有率(例えば、20%未満、10%未満及び5%未満)に制限される。
iii.米国特許第7,867,968号明細書、米国特許第7,871,976号明細書、米国特許第8,333,289号明細書、米国特許出願公開第2007/0269651A1号明細書及び米国特許出願公開第2014/0107010A1号明細書に記載のものなど、セントブースター(Scent Booster)。
iv.米国特許第6,335,315号明細書、米国特許第5,674,832号明細書、米国特許第5,759,990号明細書、米国特許第5,877,145号明細書、米国特許第5,574,179号明細書、米国特許第5,562,849号明細書、米国特許第5,545,350号明細書、米国特許第5,545,340号明細書、米国特許第5,411,671号明細書、米国特許第5,403,499号明細書、米国特許第5,288,417号明細書、米国特許第4,767,547及び米国特許第4,424,134号明細書に記載のものなど、リンスコンディショナーなどの衣類ケア製品(1~30重量%の衣類コンディショニング活性物質を含有する)、衣類液体コンディショナー(1~30重量%の衣類コンディショニング活性物質を含有する)、回転乾燥機シート、衣類用リフレッシャー、衣類用リフレッシャースプレー、アイロン掛け用液及び衣類用柔軟剤系。
【0075】
液体衣類用柔軟剤/フレッシュナーは、好ましくは、1~30%(例えば、4~20%、4%~10%及び8%~15%)の濃度で存在する少なくとも1種の衣類軟化剤を含有する。活性物質と衣類軟化剤との比は1:500~1:2(例えば、1:250~1:4及び1:100~1:8)であり得る。例証として、衣類軟化剤が衣類用柔軟剤の5重量%である場合、活性物質は、0.01~2.5%、好ましくは0.02~1.25%及びより好ましくは0.1~0.63%である。別の例として、衣類軟化剤が衣類用柔軟剤の20重量%である場合、活性物質は、0.04~10%、好ましくは0.08~5%及びより好ましくは0.4~2.5%である。活性物質は、フレグランス、悪臭中和剤又はその組み合わせである。液体衣類用柔軟剤は、カプセルを0.15~15%(例えば、0.5~10%、0.7~5%及び1~3%)有し得る。これらのレベルでカプセルを含む場合、軟化剤中の純粋なオイル等価物(NOE)は、0.05~5%(例えば、0.15~3.2%、0.25~2%及び0.3~1%)である。
【0076】
適切な衣類軟化剤としては、カチオン性界面活性剤が挙げられる。非限定的な例は、第4級アンモニウム化合物、例えばアルキル化第4級アンモニウム化合物、環式若しくは環状第4級アンモニウム化合物、芳香族第4級アンモニウム化合物、第4級ジアンモニウム化合物、アルコキシル化第4級アンモニウム化合物、アミドアミン第4級アンモニウム化合物、エステル第4級アンモニウム化合物又はその組み合わせである。衣類軟化組成物及びその成分は、一般に、米国特許出願公開第2004/0204337号明細書及び米国特許出願公開第2003/0060390号明細書に記載されている。適切な軟化剤としては、Evonik Industriesから市販の商品名REWOQUAT(登録商標)WE18で販売されるエステルクワット及びStepan Corporationから市販のSTEPANTEX(登録商標)SP-90が挙げられる。
【0077】
v.米国特許第6,069,122号明細書及び米国特許第5,990,065明細書に記載の洗剤など、液体食器洗剤。
vi.米国特許第6,020,294号明細書、米国特許第6,017,871号明細書、米国特許第5,968,881号明細書、米国特許第5,962,386号明細書、米国特許第5,939,373号明細書、米国特許第5,914,307号明細書、米国特許第5,902,781号明細書、米国特許第5,705,464号明細書、米国特許第5,703,034号明細書、米国特許第5,703,030号明細書、米国特許第5,679,630号明細書、米国特許第5,597,936号明細書、米国特許第5,581,005号明細書、米国特許第5,559,261号明細書、米国特許第4,515,705、米国特許第5,169,552号明細書及び米国特許第4,714,562号明細書に記載の洗剤など、自動食洗器洗剤。
vii.バケツ希釈可能なクリーナー、トイレ用クリーナー、浴室用クリーナー及びトイレットペーパーなどの汎用クリーナー。
viii.ラグ脱臭剤、ロウソク(香料入りロウソクなど)、室内脱臭剤、床用クリーナー、消毒剤、窓用クリーナー、ゴミ袋/ゴミ箱のライナー、エアフレッシュナー(車用脱臭剤、スプレー、香料入りオイルのエアフレッシュナー、自動スプレーのエアフレッシュナー及び中和ビーズなど)、湿気吸収体、家庭用品(ペーパータオル及び使い捨ての布巾)及び防虫剤/捕集装置/ケークを含む、他の製品。
【0078】
b)ベビーケア製品。適切な例としては、おむつかぶれクリーム/バーム、ベビーパウダー。
c)ベビーケア用品。適切な例としては、おむつ、よだれ掛け及びワイプ。
d)口腔管理製品。口腔ケア製品(口腔管理のために使用される本開示による調製食品の例として)は、一般に、磨耗系(磨耗又は研磨剤)、例えばケイ酸、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化アルミニウム及び/又はヒドロキシアパタイト、界面活性物質、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルサルコシンナトリウム及び/又はコカミドプロピルベタイン、湿潤剤、例えばグリセロール及び/又はソルビトール、増粘剤、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングルコール、カラゲナン及び/又はLaponite(登録商標)、甘味料、例えばサッカリン、不快な味覚に対する味覚中和剤、さらに通常不快ではない味覚の味覚中和剤、味覚調節物質(例えば、イノシトールリン酸、ヌクレオチド、例えばグアノシン一リン酸、モノリン酸アデノシン又は他の物質、例えばグルタミン酸ナトリウム又は2-フェノキシプロピオン酸)、冷却活性成分、例えばメントール誘導体(例えば、L-メンチルラクテート、L-メンチルアルキルカーボネート、メントンケタール、メタンカルボン酸アミド)、2,2,2-トリアルキル酢酸アミド(例えば、2,2-ジイソプロピルプロピオン酸メチルアミド)、イシリン及びイシリン誘導体、安定剤及び活性成分、例えばフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズ(II)、第4級フッ化アンモニウム、クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛、ピロリン酸スズ、塩化スズ(II)、種々のピロリン酸塩の組み合わせ、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸カリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、塩化ストロンチウム、過酸化水素、着香料及び/又は重炭酸ナトリウム又は味覚調節物質。
i.練り歯磨き。例示的な配合物は以下の通りである:リン酸カルシウム40~55%、カルボキシメチルセルロース0.8~1.2%、ラウリル硫酸ナトリウム1.5~2.5%、グリセロール20~30%、サッカリン0.1~0.3%、香味オイル1~2.5%及び100%にするのに十分な量の水。配合物を調製する一般的な手順は、上記の配合に従ってブレンダーによって混合して、練り歯磨きを提供する工程、(ii)本開示の組成物を添加し、均一になるまで得られた混合物をブレンドする工程、を含む。
ii.他の口腔管理製品としては:歯磨き粉、デンタルフロス、歯ブラシ、口腔洗浄液、歯のホワイトニング剤及び義歯接着剤が挙げられる。
e)ヘルスケア用品。適切な例としては、マスク及び香りのある/香料付きコンドーム。
f)女性用生理用品。適切な例としては、タンポン、生理用ナプキン及びワイプ並びにパンティーライナー。
g)パーソナルケア製品:化粧品又は医薬製剤、例えば「油中水」(W/O)型エマルジョン、「水中油」(O/W)型エマルジョン又は例えば水中油中水(W/O/W)型のマルチプルエマルションとして、PITエマルジョンとして、ピッカリングエマルジョン、マイクロエマルジョン又はナノエマルジョンが挙げられ;「水中油」(O/W)型のエマルジョン又は水中油中水(W/O/W)型のエマルジョンが特に好ましい。さらに具体的には、パーソナルクリーナー(固形石鹸、ボディーウォッシュ及びシャワージェル)、シャワーコンディショナー、日焼け止め及び入れ墨の色保護(スプレー、ローション及びスティック)、昆虫忌避剤、ハンドサニタイザー、抗炎症剤(バーム、軟膏及びスプレーなど)、抗菌性軟膏及びクリーム及びセンセートである。他の適切な例としては、脱臭剤及び制汗剤、例えばエアロゾル及びポンプスプレー制汗剤、スティック制汗剤、ロールオン制汗剤、エマルジョンスプレー制汗剤、透明エマルジョンスティック制汗剤、軟らかい固形の制汗剤、エマルジョンロールオン制汗剤、透明エマルジョンスティック制汗剤、不透明エマルジョンスティック制汗剤、透明ゲル制汗剤、透明スティック脱臭剤、ゲル脱臭剤、スプレー脱臭剤、ロールオン及びクリーム脱臭剤が挙げられる。
【0079】
他の適切な例としては、ワックスベースの脱臭剤が挙げられる。例示的な配合物は以下の通りである:パラフィンワックス10~20%、炭化水素ワックス5~10%、白色ワセリン10~15%、アセチル化ラノリンアルコール2~4%、アジピン酸ジイソプロピル4~8%、鉱油40~60%及び保存剤(必要に応じて)。配合物は、(i)上記の成分を混合し、(ii)融解するまで、得られた組成物を75℃に加熱し、(iii)攪拌しながら、75℃の温度を維持すると同時に、フレグランスを含有する4%極低温粉砕ポリマーを添加し、(iv)本開示の組成物を配合物に添加する間に、均一な懸濁液が確実に得られるまで、得られた混合物を攪拌することによって調製される。
【0080】
他の適切な例としては、グルコール/石鹸タイプの脱臭剤が挙げられる。例示的な配合物は以下の通りである:プロピレングリコール60~70%、ステアリン酸ナトリウム5~10%、蒸留水20~30%及びCiba-Geigy Chemical Company製の2,4,4-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル0.01~0.5%。ステアリン酸ナトリウムが溶解するまで、攪拌しながら成分を合わせ、75℃に加熱する。得られた混合物を40℃に冷却し、本開示の組成物を添加する。
【0081】
h)ボディーローション、顔用ローション及びハンドローション、ボディーパウダー及び足用パウダー、洗面用化粧品、ボディースプレー、エアロゾル又は非エアロゾルボディースプレー(国際公開第2014/014705号パンフレット及び国際公開第2016/205023号パンフレット)、髭剃り用クリーム及び男性用身だしなみ用品、入浴剤及び角質除去スクラブ。他の適切な例としては、パーソナルケア用品、例えば顔用ティッシュ及びクレンジングワイプが挙げられる。
i)ヘアケア製品。適切な例としては:シャンプー(液体及び乾燥粉末)、ヘアコンディショナー(例えば、洗い流しコンディショナー、洗い流さないコンディショナー及びクレンジングコンディショナー)、ヘアリンス、ヘアリフレッシャー、毛髪用香料、縮毛矯正製品、ヘアスタイリング製品、毛髪固定及びスタイリング助剤、ヘアコーミングクリーム、ヘアワックス、ヘアフォーム、ヘアジェル、フロンガスを使用しないポンプスプレー、毛髪ブリーチ剤、染料及び着色剤、パーマ剤及びヘアワイプが挙げられる。
【0082】
j)肌や髪の手入れ。適切な例としては、ファインフレグランス-アルコール。アルコール性ファインフレグランスにフレグランスカプセルを組み込む組成物及び方法が米国特許第4,428,869号明細書に記載されている。アルコール性ファインフレグランスは、以下の:エタノール(1~99%)、水(0~99%)、懸濁助剤、限定されないが、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、シリカ、微結晶性セルロース、カラゲナン、プロピレングリコールアルジネート、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム又はキサンタンガム(0.1~1%)などを含有し得、任意選択的に乳化剤又は皮膚軟化剤、例えば上記のものなどが含まれ得る。他の適切な例としては、固形香料、口紅/リップクリーム、化粧落とし、スキンケア化粧品、例えばファンデーション、パック、日焼け止め、スキンローション、ミルキーローション、スキンクリーム、皮膚軟化剤、美白化粧品、メーキャップ化粧品、例えばマニキュア、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ、液体ファンデーション、パウダーファンデーション、口紅及び頬紅が挙げられる。
k)香り付けされた紙箱、香り付けされた紙プラスチックボトル/ボックスなどの消費者製品の包装。
l)ペットケア製品。適切な例としては、キャットリター、ノミ及びマダニ処理製品、ペットグルーミング用品、ペット用シャンプー、ペットのおもちゃ、おやつ及びチュアブル、ペットのトレーニングパッド並びにペットキャリー及びクレートが挙げられる。
m)お菓子。適切な例としては、チョコレート、チョコレートバー製品、棒状の他の製品、フルーツグミ、ハード及びソフトキャラメル並びにチューイングガムが挙げられる。ガムは、以下の配合物:ガムベース(天然ラテックスチクルガム、最近のチューイングガムベースは、現在、エラストマー、例えばポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリエチレン、(低又は中分子量)ポリイソブテン(PIB)、ポリブタジエン、イソブテン-イソプレンコポリマー(ブチルゴム)、ポリビニルエチルエーテル(PVE)、ポリビニルブチルエーテル、ビニルエステルとビニルエーテルのコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー(スチレン-ブタジエンゴム、SBR)又はビニルエラストマー、例えば酢酸ビニル/ラウリン酸ビニル、酢酸ビニル/ステアリン酸ビニル又はエチレン/酢酸ビニルをベースとするビニルエラストマー並びに記載のエラストマーの組み合わせ(欧州特許第0242325号明細書、米国特許第4,518,615号明細書、米国特許第5,093,136号明細書、米国特許第5,266,336号明細書、米国特許第5,601,858号明細書又は米国特許第6,986,709号明細書を参照されたい)20~25%、粉末砂糖45~50%、グルコース15~17%、デンプンシロップ剤10~13%、可塑剤0.1%及び香味0.8~1.2%を含み得る。ガム配合物の成分は、上述の配合に従ってニーダーによって混錬され、チューイングガムが提供される。次いで、カプセル化された香味又はセンセートを添加し、均一になるまでブレンドされる。他の適切な例としては、ブレスフレッシュナー、口腔で溶けるストリップ、かみ砕けるチュキャンディ及びハードキャンディが挙げられる。
n)焼き菓子製品は、パン、乾燥ビスケット、ケーキ及び他のクッキーを含み得る。
o)スナック食品は、ベークト若しくはフライドポテト又はフライドポテトチップス又はジャガイモ生地製品、パン生地製品及びトウモロコシ若しくはラッカセイ-ベースの押出し物を含む。適切な例としては、ジャガイモ、トーティーヤ、野菜又は複数の穀物のチップス、ポップコーン、プレッツェル及び押出されたスタックが挙げられる。
p)シリアル製品は、朝食用シリアル、ムースリバー及び予め調理された完成されたコメ製品を含み得る。
q)アルコール及び非アルコール飲料は、コーヒー、お茶、ワイン、ワインを含有する飲料、ビール、ビールを含有する飲料、リキュール、シュナップス、ブランデー、果物を含有するソーダ、アイソトニック飲料、ソフトドリンク、ネクター、果物及び野菜ジュース並びに果物又は野菜調製食品を含み得;インスタント飲料は、インスタントココア飲料、インスタントお茶飲料及びインスタントコーヒー飲料を含み得る。適切な例としては、開けて直ちに飲める液体飲料、液体飲料濃縮物、粉末飲料、コーヒー(インスタントのカプチーノなど)、お茶及びアルコール飲料が挙げられる。
r)スパイスブレンド及び消費者調理食品。適切な例としては、粉末グレービー、ソースミックス、調味料及び醗酵製品が挙げられる。
s)温めれば直ちに食べられる食品:直ちに食べられる食事及びスープは、粉末状スープ、インスタントスープ、予備調理済みスープを含み得る。適切な例としては、スープ、ソース、シチュー及び冷凍アントレが挙げられる。
t)乳製品。ミルク製品は、ミルク飲料、アイスミルク、ヨーグルト、クリームチーズ、ソフトチーズ、ハードチーズ、粉末状ミルク、乳清、バター、バターミルク及び部分的若しくは完全に加水分解されたミルクタンパク質含有製品又は風味付けされたミルク飲料を含み得る。適切な例としては、ヨーグルト、アイスクリーム及びチーズが挙げられる。
u)ダイズタンパク質又は他のダイズ留分は、豆乳及びそれから製造される製品、ダイズレシチン含有調製食品、豆腐若しくはテンペなどの発酵製品又はそれから製造される製品、豆腐及び醤油を含み得る。
v)肉製品は、ハム、新鮮若しくは生のソーセージ調製食品及び味付けされた若しくは漬けられた新鮮な又は塩漬け肉を含み得る。
w)卵又は卵製品は、乾燥された卵、卵白又は卵黄を含み得る。
x)オイルベースの製品又はそのエマルジョンは、マヨネーズ、レムラードソース、ドレッシング及び味付け調製食品を含み得る。
y)果物の調製食品は、ジャム、シャーベット、フルーツソース及びフルーツフィリングを含み得;野菜調製食品は、ケチャップ、ソース、乾燥野菜、急速冷凍野菜、調理済み野菜、酢に漬けた野菜及び保存野菜を含み得る。
z)風味付けされたペットフード。
【0083】
本発明は、以下の非限定的な例によってより詳細に説明される。さらなる詳細なく、当業者は、本明細書における記述に基づいて本発明をその最大限まで利用することができると考えられる。
【実施例
【0084】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するために提供され、本発明の多くの変形形態がその趣旨又は範囲から逸脱することなく可能であるため、本発明を限定するものとして解釈すべきではない。
【0085】
実施例1:参照マイクロカプセルの合成
米国特許出願公開第2012/0093899号明細書の実施例1に記載のように、メラミンホルムアルデヒドカプセルが製造された。簡潔には、80重量部のHelionフレグランス(International Flavors&Fragrance Inc.,Union Beach,NJ)を、20重量部の、Stepan Corp.(Chicago,IL)によって商品名NEOBEE(登録商標)M-5で販売されるカプリル/カプリン酸トリグリセリド溶媒と混合し、それによりフレグランス/溶媒組成物が形成された。フレグランス/溶媒組成物の液滴をカプセル化するためにポリマー壁を作製することによって非被覆カプセルを製造した。アクリルアミドとアクリル酸のコポリマー(商品名ALCAPSOL(登録商標)200で販売される)を最初に水中にメチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂(商品名CYMEL(登録商標)385で販売)と共に分散させた。これらの2つの成分を酸性条件下で少なくとも1時間反応させた。
【0086】
次いで、フレグランス/溶媒組成物を壁ポリマー溶液に添加し、所望のサイズの液滴がせん断均質化によって達成された。マイクロカプセルスラリーのために、フレグランス/溶媒組成物周囲のポリマー層の硬化が125℃で行われた。室温に冷却した後、エチレン尿素をマイクロカプセルスラリーに添加した。さらに、レオロジー改質剤及び保存剤を添加した。NaOHを用いて、pHを調整した。スラリーの成分を表1に示す。スラリーは、全フレグランス添加率28.0%を含有した。
【0087】
【表1】
【0088】
実施例2:エンドウマメタンパク質、修飾デンプン/ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩の存在下でのイソシアネートカプセルの製造
【0089】
20重量部の、Stepan Corp.(Chicago,IL)によって商品名NEOBEE(登録商標)M-5で販売されるカプリル/カプリン酸トリグリセリド溶媒と、80重量部のHelionフレグランスを混合することによって油相が調製され、それによりフレグランス/溶媒組成物が形成された。
【0090】
水中にエンドウマメタンパク質粉末(15.4重量%)を分散させることによって水相を調製した。変性剤として炭酸グアニジンを添加し、クエン酸を用いてpHを5に調整した。これらの成分を15分間反応させた。
【0091】
次いで、商品名PURITY GUM(登録商標)Ultra(Ingredion,Westchester,IL)で販売される修飾デンプンと、商品名FLEXAN(登録商標)IIで販売される高分子量ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩とを乳化剤として水相に添加し、混合物を15分間反応させた。Tanal-02(高分子量汎用加水分解性タンニン;Ajinomoto Natural Specialties,Tokyo,Japan)を続いて、水相に添加した。
【0092】
ポリイソシアネート(商品名TAKENATE(登録商標)D110Nで市販されているキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、Mitsue Chemicals Inc.,Japan)を油相に5重量%で添加した。次いで、せん断速度7400毎分回転数(「RPM」)で3分間、油相を水相中に乳化させ、水中油型エマルジョンを形成した。マイクロカプセルスラリーを得るため、フレグランス/溶媒組成物液滴周囲のポリマー層の硬化が55℃で3.5時間及び80℃で30分間行われた。続いて、レオロジー改質剤及び保存剤を添加した。スラリーの成分を表2に示す。スラリーは、全フレグランス添加率31.2%を含有した。
【0093】
【表2】
【0094】
実施例3:pH4及び硬化温度65℃でのエンドウマメタンパク質、修飾デンプン/ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩の存在下のイソシアネートカプセルの製造
実施例2の基本手順を以下の変更を加えて行った:水相のpHを、5ではなく、4に調整し、硬化を65℃で4時間行った。スラリーの成分を表3に示す。スラリーは、31.2%の全フレグランス添加率を含んでいた。
【0095】
【表3】
【0096】
実施例4:エンドウマメタンパク質のレベルを低減した、カプセルの製造
エンドウマメタンパク質の濃度を低減して、実施例3の基本手順を行った。スラリーの成分を表4に示す。スラリーは、全フレグランス添加率31.2%を含有した。
【0097】
【表4】
【0098】
実施例5:pH条件を下げた、カプセルの製造
実施例3の基本手順を実施したが、pHを4から3に下げた。スラリーの成分を表5に示す。スラリーは、全フレグランス添加率30.3%を含有した。
【0099】
【表5】
【0100】
実施例6:pHが下げられたカプセルの製造(リン酸)
【0101】
pHを下げるために、クエン酸の代わりにリン酸を用いて、実施例3の基本手順を実施した。スラリーの成分を表6に示す。スラリーは、全フレグランス添加率32.2%を含有した。
【0102】
【表6】
【0103】
実施例7:フレグランス添加率を増加した、カプセルの製造
水の量を低減して、実施例3の基本手順に従った。スラリーの成分を表7に示す。スラリーは、全フレグランス添加率34.6%.を含有した。
【0104】
【表7】
【0105】
実施例8:より高い濃度の界面活性剤を用いたカプセルの製造
【0106】
より多くの量の界面活性剤溶液を用いて、実施例3の基本手順に従った。スラリーの成分を表8に示す。スラリーは、全フレグランス添加率28.6%.を含有した。
【0107】
【表8】
【0108】
実施例9:エンドウマメタンパク質及びアラビアゴムで製造されたカプセル
【0109】
20重量部の、Stepan(Chicago,IL)によって商品名NEOBEE(登録商標)M-5で販売されるカプリル/カプリン酸トリグリセリド溶媒と、80重量部のHelionフレグランスとを混合することによって油相が調製され、それによりフレグランス/溶媒組成物が形成された。
【0110】
水124グラム中にエンドウマメタンパク質粉末12.43グラムを分散させることによって水相を調製し、25%水酸化ナトリウム0.3グラムを使用してpHを9~9.5に調整した。エンドウマメタンパク質分離物(Liu,et al.(2010)Food Res.Internatl.43:489-495)の溶解を促進し、且つ凝集を阻害するために、Arabic Instant AA(Nexira,Somerville,NJ;10%溶液)85グラムが親水コロイドとして含まれた。混合物を7400rpmで20秒間にわたって高せん断した。商品名FLEXAN(登録商標)II(10%溶液15グラム)で販売される高分子量ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩を添加し、混合物を7400rpmで20秒間にわたって高せん断した。別個のビーカーにおいて、クエン酸の50%溶液31グラムを使用して炭酸グアニジン溶液(20%)38グラムをpH4に調整し、その溶液を発泡させた。クエン酸グアニジンをタンパク質ミックスに添加し、室温で15分間反応させた。続いて、キサンタンガムの1%溶液48グラムを水相に添加し、続いてTanal-02の30%溶液10グラムを添加した。
【0111】
ポリイソシアネート(商品名TAKENATE(登録商標)D110Nで市販のキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物、Mitsue Chemicals Inc.,Japan)を5重量%で油相に添加した。次いで、7400rpmのせん断速度下で3分間にわたって油相を水相中に乳化させて、水中油型エマルジョンが形成された。
【0112】
マイクロカプセルスラリーを得るために、フレグランス/溶媒組成物液滴周囲のポリマー層の硬化が65℃で4時間行われた。さらに、保存剤を添加した。スラリーの成分を表9に示す。スラリーは、全フレグランス添加率31.2%を含有した。
【0113】
【表9】
【0114】
アラビアゴムなしで同一のカプセルを製造した。しかしながら、アラビアゴムなしではエマルジョンが完全に失敗し、カプセルが形成しなかった。したがって、ポリイソシアネート及びエンドウマメタンパク質を含むカプセルは、アラビアゴムの非存在下で形成することができなかった。
【0115】
実施例10:マイクロカプセルを含有する衣類コンディショナー試料
【0116】
配合物中にホールを10%有する非不レングランスのモデル衣類コンディショナーを使用して、水及びカプセルを添加することを可能にした。実施例1~3に記載のマイクロカプセルを水とプレミックスし、次いでモデル衣類コンディショナーに添加した。300rpmでオーバーヘッド撹拌機を使用して試料を均質化した。完成した衣類コンディショナー試料は純粋なオイル等価物0.2%を含有し、その結果、実施例2及び3におけるマイクロカプセルについて0.65重量%のカプセル化フレグランス及び実施例1における対照マイクロカプセルについて0.72重量%のカプセル化フレグランスとなった。
【0117】
上記の参照用量のマイクロカプセルを含有する完成衣類コンディショナー35グラムを前面挿入式Miele Professional PW6065 Vario洗濯機に添加した。洗濯容量は、評価のための大きいタオル8枚、Tシャツ2枚、枕カバー2枚、布巾2枚及びミニタオル2枚などの洗濯物2.2kgを含有した。洗濯温度は40℃に設定し、主な洗浄には水15.5Lを使用し、すすぎ2回に合計34Lの水を使用した。合計選択サイクルは60分であった。一部のタオルを湿気評価のために取って置き、残りは乾燥評価のために室温でライン乾燥させた。
【0118】
強度スケール0~5(0は、「性能なし」であり、5は、「強い性能」である)を使用して、数人の専門家により、ランダムに選択された湿った試料を評価した。各試料がランダムに割り当てられた数を有するように、評価は「盲検」で実施した。湿気評価の翌日に、乾燥評価を実施し、同じ強度スケール0~5を用いて同じ専門家によって実施した。感覚スコアを前後に記録し、ランダムに選択された布(別々のポリエチレン袋に含有される)のそれぞれを穏やかに扱った。これらの分析の結果を表10に示す。
【0119】
低pH及び低い硬化温度を用いたエンドウマメタンパク質/イソシアネートカプセルである、実施例3は、高メラミンホルムアルデヒドカプセル(実施例1)と、高pH及び高い硬化温度を用いたエンドウマメタンパク質/イソシアネートカプセル(実施例2)の両方よりも、乾燥評価中に(取り扱い後)、強いフレグランスのバーストが提供されることによってよりよく機能する。さらに、実施例3のカプセルは、実施例2のカプセルと比べて、相対的に弱いにもかかわらず、布上の湿った段階を切り抜けることを実証している。さらに、実施例3のカプセルは、実施例1及び2のカプセルと比べた場合に向上した加工性を有し、凝集塊の形成がなく、スラリーの色が向上する。
【0120】
【表10】
【0121】
実施例11:異なるカプセルの分析評価
実施例1、3、4、5、6及び9で製造されたマイクロカプセルのフレグランス添加率、カプセル化効率、遊離オイル、粘度及びサイズなどの特徴が決定された。これらの分析の結果を表11に示す。
【0122】
【表11】
【0123】
さらに、国際公開第2020/131875A2号パンフレットの実施例7に従って製造された乳清カプセル又は実施例2に従って製造されたカプセルと比較して、実施例9で製造されたカプセルについて、壁の強度が決定された。図1に示すこの分析から、タンパク質の選択は、カプセルの壁の強度及び柔軟性に対して影響が少ないことが示される。pH及び硬化プロファイルは、壁の柔軟性(変形)を維持すると同時に、壁の強度に対して強い影響を有する。この組み合わせにより、最小限の湿度性能が可能となるが、乾燥段階での最小限の摩擦で非常に強いバーストが可能となる。壁の強度は、非常に弱く、最小限のエネルギーで壁を破壊するが、その柔軟性は、EU洗濯機の洗浄サイクル及び布上の湿気段階を耐えるのに十分である。乳清カプセル又はメラミンホルムアルデヒドカプセルと比べて、イソシアネート/エンドウマメタンパク質ベースのカプセルが比較的弱いとしても、イソシアネート/エンドウマメタンパク質ベースのカプセルは、製品において良好な安定性を有し、スラリーの加工性が維持される。
【0124】
実施例12:悪臭吸収能力
【0125】
本明細書に開示されるカプセルの悪臭吸収能力を試験するために、ジエチルフタレート及びStepan Corp.(Chicago,IL)によって商品名NEOBEE(登録商標)M-5で販売されるカプリル/カプリン酸トリグリセリド溶媒を、実施例1(メラミンホルムアルデヒド)及び実施例9(エンドウマメタンパク質及びアラビアゴムで製造されたイソシアネートカプセル)に示される方法に従ってカプセル化し、無臭のカプセルを形成した。
【0126】
カプセルを悪臭に曝露し、ヘッドスペース分析によって悪臭濃度の低減を測定した。さらに具体的には、1.5%悪臭溶液100グラムを広口瓶に入れ、30分間平衡化した。タオルの「X」とマークした側を舌圧子で5回こすることにより、タオルを「活性化」させた。「X」側の「活性化された」タオルを、セプタム注入蓋を備えた第2広口瓶(16オンス)に入れた。100mL気密シリンジを使用して、悪臭蒸気100mLを、タオル試料を収容する第2広口瓶に移した。タオル試料を1.5時間保管し、続いて流量150ml/分でSKCポンプを使用して、tenaxチューブに10分間サンプリングして、ヘッドスペースを分析した。
【0127】
この分析結果(表12)は、エンドウマメタンパク質及びアラビアゴムで製造されたイソシアネートカプセルが、メラミンホルムアルデヒドカプセルと同等の悪臭吸収能力を有することを示す。
【0128】
【表12】
【0129】
実施例13:高濃度の天然成分を含有するオイルで製造されたカプセル
【0130】
天然フレグランス(即ち植物由来の抽出物又は蒸留生成物)又は天然由来のフレグランス(即ち化学修飾された天然フレグランス)を組み込んだカプセルの性能も評価された(表13)。これらのカプセルは、実施例9に記載の方法に従って製造された。
【0131】
【表13】
【0132】
衣類コンディショナー中で37℃において貯蔵した後、実施例9に記載の方法に従って製造されたカプセルからのグレグランスの漏出を評価した。この分析結果(表14)から、多量の天然抽出物及び精油を含有するオイルの安定なカプセル化が示される。
【0133】
実施例9に記載の方法に従って製造されたイソシアネートカプセルの性能を、湿った段階、乾燥前段階、乾燥GH段階及び乾燥後段階でメラミンホルムアルデヒドカプセル(実施例1)と比較した。フレグランス強度を0~5の尺度で決定し、0は、性能なしであり、5は、最高である。強度及び快不快を調香師及び香水デザインマネージャーによって評価した。
【0134】
【表14】
【0135】
香水デザインマネージャー及び調香師での専門家の評価から、高レベルの天然物を含有するオイルに関する実施例9に記載の方法によって製造されたカプセルに対して、快不快は安定であることが示された(表14)。比較すると、メラミンホルムアルデヒドカプセルは、製品において良好なカプセル化又は経時的に安定な性能を示さなかった。
【0136】
本明細書に開示される寸法及び値は、記載の正確な値に厳密に限定されると理解すべきではない。代わりに、別段の指定がない限り、かかる各寸法は、記載の値と、その値の周辺の機能的に等しい範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示される寸法は、「約40mm」を意味すると意図される。
【0137】
相互参照されるか又は関連する特許又は出願及び本出願がその優先権又は利益を主張するいずれかの特許出願又は特許など、本明細書に記載のすべての文献は、明確に除外されるか又は特に限定されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、本明細書に開示若しくは特許請求される本発明に関する先行技術であること又はそれが単独で若しくはいずれかの他の1つ若しくは複数の参考文献との組み合わせでかかる発明を教示、示唆若しくは開示することを承認するものではない。さらに、本明細書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれる文献の同じ用語の意味又は定義と矛盾する限り、本明細書のその用語に割り当てられる意味又は定義が優先されるものとする。
【0138】
本発明の特定の実施形態が例証され、説明されているが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、種々の他の変更形態及び修正形態がなされ得ることが当業者に明らかであろう。したがって、本開示の範囲内のかかるすべての変更形態及び修正形態を添付の特許請求の範囲に包含することが意図される。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア-シェルマイクロカプセルスラリーであって、
(a)マイクロカプセルであって、前記マイクロカプセルのコアは、活性物質を含み、及び前記マイクロカプセルのシェルは、ポリイソシアネートの自己縮合によって形成され 、マイクロカプセル、
(b)変性エンドウマメタンパク質を含む分散剤、及び
(c)前記スラリーの形成中の乳化工程前に水相に添加されたアラビアゴムを含む親水コロイド
を含むコア-シェルマイクロカプセルスラリー。
【請求項11】
(d)における前記スラリーは、63℃~67℃の範囲の温度で硬化される、請求項 記載の方法。
【請求項15】
前記ポリイソシアネートは、前記コア-シェルマイクロカプセル組成物の0.1重量%~8重量%で存在する、請求項9に記載の方法。
【国際調査報告】