(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】エタノールをパラキシレン及びオルトキシレンに変換するための方法及びシステムの実施形態
(51)【国際特許分類】
C07C 5/02 20060101AFI20240827BHJP
C07C 15/08 20060101ALI20240827BHJP
C07C 63/26 20060101ALI20240827BHJP
C07C 7/14 20060101ALI20240827BHJP
C07C 51/265 20060101ALI20240827BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240827BHJP
【FI】
C07C5/02
C07C15/08
C07C63/26 C
C07C7/14
C07C51/265
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505263
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 US2022038516
(87)【国際公開番号】W WO2023009619
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501284217
【氏名又は名称】バッテル メモリアル インスティチュート
(71)【出願人】
【識別番号】524036734
【氏名又は名称】ランザテック インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANZATECH, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179866
【氏名又は名称】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】カーティケヤン ケー ラーマサーミ
(72)【発明者】
【氏名】モンド グオ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ラッセル ロジン
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ アンソニー コカル
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AA03
4H006AA04
4H006AB46
4H006AB84
4H006AC11
4H006AC46
4H006AD15
4H006BA16
4H006BA25
4H006BA84
4H006BD32
4H006BD52
4H006BD70
4H006BE20
4H006BE30
4H006BJ50
4H006BS30
4H006DA12
4H039CA11
4H039CB20
(57)【要約】
エタノールをパラキシレンに変換するための方法及びシステムの実施形態が、本明細書に開示される。方法はまた、バイオマス系供給原料からテレフタル酸を生成するための経路を提供する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、m-キシレン、エチルベンゼン、ベンゼン、トルエンなどの、エタノールからキシレンへの変換で典型的に生成される他の芳香族よりも、高い選択性で、p-キシレンを生成する。また、いくつかの実施形態では、方法は、分留してパラ-及びオルト-キシレン生成物を分離するために適切な、オルト/パラキシレン生成物混合物を調製するために、メチルベンズアルデヒドのオルト/パラ混合物を使用する能力を促進し、それによって、テレフタル酸無水物を形成するために使用されてもよいパラ-キシレンの純粋な供給原料、及びフタル酸無水物などの他の目的に使用されてもよいオルト-キシレンの純粋な供給原料を提供する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
エタノールを含む供給物流を酸化条件下で酸化触媒と接触させて、アセトアルデヒドを含む酸化ゾーン溶出物流を形成する工程と、
前記酸化ゾーン溶出物流を二量体化ゾーンに通して、前記酸化ゾーン溶出物流を二量体化条件下で二量体化触媒と接触させて、2-ブテナールを含む二量体化ゾーン溶出物流を生成する工程と、
前記二量体化ゾーン溶出物流を環化ゾーンに通して、前記二量体化ゾーン溶出物流を環化条件下で環化触媒と接触させて、o-メチルベンズアルデヒド及び/又はp-メチルベンズアルデヒドを含む環化ゾーン溶出物流を形成する工程と、
前記環化ゾーン溶出物流を水素化ゾーンに通過して、前記環化ゾーン溶出物流を支持材料上に堆積される第一の第VIII族金属を含む水素化触媒と接触させて、キシレンの非平衡混合物を含む水素化ゾーン溶出物を生成する工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記水素化触媒が、第二の第VIII族金属、改質剤成分、又はそれらの組合せを更に含み、全てが前記支持材料上に堆積され、前記第二の第VIII族金属が、前記第一の第VIII族金属と同一ではない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記改質剤成分が、レニウム、スズ、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの任意の組合せから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記水素化触媒が、前記改質剤成分を含み、前記支持材料が、炭素であり、前記第一の第VIII族金属がパラジウムであり、前記改質剤成分がレニウムである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記支持材料が、炭素材料、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、酸化亜鉛、又はそれらの任意の組合せから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記キシレンの非平衡混合物が、m-キシレン平衡濃度の0重量%~40重量%未満の範囲の量で、m-キシレンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記キシレンの非平衡混合物が、m-キシレン平衡濃度の0重量%~20重量%の範囲の量で、m-キシレンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記キシレンの非平衡混合物が、m-キシレン平衡濃度の0重量%~5重量%の範囲の量で、m-キシレンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記キシレンの非平衡混合物が、m-キシレン平衡濃度の0重量%~1重量%の範囲の量で、m-キシレンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記エタノールが、
(i)セルロース系材料及び/若しくは糖の液相発酵からのエタノール、
(ii)工業的プロセス廃棄物若しくは非廃棄物ガスの気相発酵、内燃エンジン排気煙霧、シンガス、直接空気捕捉、電気分解、CO
2含有ガス、若しくはそれらの任意の組合せからのエタノール、
(iii)セルロース系材料、糖、工業的プロセス廃棄物若しくは非廃棄物ガス、内燃エンジン排気煙霧、ガス化プロセス、シンガス、直接空気捕捉、電気分解、若しくはCO
2含有ガス以外の供給源からのエタノール、又は
(iv)エチレンの水和からのエタノール、
又は(i)、(ii)、(iii)、及び/若しくは(iv)の任意の組合わせである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記工業的プロセスが、鉄金属製品製造、鋼ミル製造、非鉄製品製造、石油精製、電力生成、カーボンブラック生産、紙及びパルプの生産、アンモニア生成、メタノール生成、コークス製造、石油化学生産、炭水化物発酵、セルロース発酵、セメント製造、好気性消化、嫌気性消化、触媒プロセス、天然ガス抽出、油抽出、若しくはそれらの任意の組合せから選択され、並びに/又は前記シンガスが、石炭ガス化、精製残渣のガス化、石油コークスガス化、バイオマスガス化、リグノセルロース系材料ガス化、廃材ガス化、黒液ガス化、天然ガス再生、都市部固体又は液体廃棄物のガス化、燃料ガス化の再利用、下水道又は下水道スラッジガス化、廃水処理ガス化、及び/若しくは工業固体廃棄物ガス化、若しくはそれらの任意の組合せ由来である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
(i)前記二量体化ゾーンにおけるアセトアルデヒドの変換が、15重量%~65重量%の、2-ブテナールを含む生成物反応混合物を提供し、
(ii)前記二量体化ゾーンにおけるアセトアルデヒドの2-ブテナールへの選択性が、57重量%~91重量%の範囲であり、
(iii)前記環化ゾーンにおける2-ブテナールの変換が、70重量%~95重量%の、o-メチルベンズアルデヒド及びp-メチルベンズアルデヒドを含む生成物反応混合物を提供し、
(iv)前記環化ゾーンにおける2-ブテナールからo-メチルベンズアルデヒド及びp-メチルベンズアルデヒドの選択性が、50重量%~95重量%の範囲であり、又は
(v)(i)、(ii)、(iii)、及び/若しくは(iv)の任意の組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記水素化ゾーン溶出物を分留ゾーンに通過することと、o-キシレンを含む流れを、(i)p-キシレンを含む流れ、又は(ii)p-キシレン及びm-キシレンを含む流れから分離することとを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
(i)前記p-キシレンを含む流れ、又は(ii)前記p-キシレン及びm-キシレンを含む流れが、最小量のp-キシレンを含み、前記最小量のp-キシレンが、少なくとも65重量%~少なくとも85重量%の範囲である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(i)前記o-キシレンを含む前記流れを乾燥させることと、(ii)反応条件下で前記o-キシレンを含む流れ内でo-キシレンを反応させて、無水フタル酸を形成することと、又は(i)及び(ii)の両方を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記分留ゾーンに通過する前に、前記水素化ゾーン溶出物を乾燥させることと、及び/又は前記o-キシレンを含む流れを乾燥させることとを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
(i)前記p-キシレンを含む流れ、又は(ii)前記p-キシレン及びm-キシレンを含む流れを、結晶化装置に通過することと、少なくとも99.5重量%のp-キシレンを含む、精製されたp-キシレン流れを回収することとを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記精製されたp-キシレン流れが、少なくとも99.8重量%のp-キシレンを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記精製されたp-キシレン流れからのp-キシレンの少なくとも一部分を、反応条件下で反応させて、テレフタル酸を形成することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記テレフタル酸の少なくとも一部分を、反応条件下でエチレングリコールと反応させて、ポリエチレンテレフタレートを形成することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリエチレンテレフタレートを、1つ以上の製品に形成することを更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
1つ以上の分離及び/又は再利用プロセスを更に含み、前記再利用プロセスが、
(i)前記酸化ゾーン溶出物流の少なくとも一部分を、前記酸化ゾーン溶出物流中のアセトアルデヒドの所定の標的濃度が達成されるまで、前記酸化ゾーンに再利用することと、
(ii)前記二量体化ゾーン溶出物流の少なくとも一部分を、前記二量体化ゾーン溶出物流中の2-ブテナールの所定の標的濃度が達成されるまで、前記二量体化ゾーンに再利用することと、
(iii)前記環化ゾーン溶出物流の少なくとも一部を、前記環化ゾーン溶出物流中のo-メチルベンズアルデヒド及び/若しくはp-メチルベンズアルデヒド所定の標的濃度が達成されるまで、前記環化ゾーンに再利用することと、
(iv)前記水素化ゾーン溶出物の少なくとも一部分を、前記水素化ゾーン溶出物中のキシレンの所定の標的濃度が達成されるまで、前記水素化ゾーンに再利用することと、並びに/又は
(v)工程(i)、(ii)、(iii)、及び/若しくは(iv)の任意の組合せとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
空気下で前記環化触媒を加熱することによって、前記環化触媒を再生することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
装置であって、
酸化反応器と流体連通するガス発酵バイオリアクターと、
二量体化反応器と流体連通する前記酸化反応器と、
環化反応器と流体連通する前記二量体化反応器と、
水素化反応器と流体連通する前記環化反応器と、
第一の分留ゾーンと流体連通する前記水素化反応器と、
第二の分留ゾーンと流体連通する第一の分留ゾーンと、及び
第一の結晶化装置と流体連通する前記第二の分留ゾーンとを備える、装置。
【請求項25】
前記第一の結晶化装置と流体連通する、第二の結晶化装置を更に備える、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記第一の結晶化装置と流体連通する、触媒液相酸化反応器を更に備える、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記第二の結晶化装置と流体連通する、触媒液相酸化反応器を更に備える、請求項25に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年7月28日に出願され、米国特許第11,325,873号として発行される、米国特許出願第17/387,725号の利益及び優先権を主張するものであり、その全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(政府による支援の謝辞)
本発明は、米国エネルギー省によって授与される、契約DE-AC05-76RL01830に基づく政府支援によって行われた。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【0003】
本開示は、エタノールから、パラ-キシレン(又は、「p-キシレン」)及びオルト-キシレン(又は、「o-キシレン」)を作製するための方法の実施形態、並びに方法に使用されるシステムの実施形態を対象とする。
【0004】
(共同研究契約の当事者)
特許請求される発明は、Battelle Memorial InstituteとLanzaTech, Inc.との間の契約に基づいて発生し、この契約は、特許請求される発明の有効な出願日以前に有効であった。
【背景技術】
【0005】
テレフタル酸は、大量及び高級市場汎用化学物質である。これは、PETとして知られるポリエチレンテレフタレートを作製するために使用される化合物の1つであり、これは、飲料ボトル、包装フィルム、及び繊維を作製するために使用される。テレフタル酸は、現在、ナフサ改質プロセスから生成される、石油由来のp-キシレンから作製される。持続可能なPET製品に対する市場の需要とエンドユーザーの利益とを満たす、石油系p-キシレンが利用不可能となる可能性は、テレフタル酸生産のための持続可能な供給源に対する注目を集めてきた。現在のエタノールからp-キシレンへのプロセスは、過剰な数の触媒ステップを必要とするか、又は低い選択性でp-キシレンを生成し、それによって、資本集約的な分離が必要となる。当該技術分野では、経済的及び再生可能なテレフタル酸生産の、基礎としての役割を果たすことができる、ポリマーグレードのp-キシレンを提供するために、再生可能な供給源のエタノールを使用する、触媒プロセスに対する需要が存在する。
【発明の概要】
【0006】
方法の実施形態が本明細書に開示され、方法は、エタノールを含む供給物流を酸化条件下で酸化触媒と接触させて、アセトアルデヒドを含む酸化ゾーン溶出物流を形成することと、酸化ゾーン溶出物流を二量体化ゾーンに通過し、酸化ゾーン溶出物流を二量体化条件下で二量体化触媒と接触させて、2-ブテナールを含む二量体化ゾーン溶出物流を生成することと、二量体化ゾーン溶出物流を環化ゾーンに通過し、二量体化ゾーン溶出物流を環化条件下で環化触媒と接触させて、o-メチルベンズアルデヒド及び/又はp-メチルベンズアルデヒドを含む環化ゾーン溶出物流を形成することと、並びに環化ゾーン溶出物流を水素化ゾーンに通過し、環化ゾーン溶出物流を支持材料上に堆積される第一の第VIII族金属を含む水素化触媒と接触させて、キシレンの非平衡混合物を含む水素化ゾーン溶出物を生成することとを含む。
【0007】
また、装置の実施形態が本明細書に開示され、装置は、酸化反応器と流体連通するガス発酵バイオリアクターと、二量体化反応器と流体連通する酸化反応器と、環化反応器と流体連通する二量体化反応器と、水素化反応器と流体連通する環化反応器と、第一の分留ゾーンと流体連通する水素化反応器と、第二の分留ゾーンと流体連通する第一の分留ゾーンと、及び第一の結晶化装置と流体連通する第二の分留ゾーンとを備える。
【0008】
本開示の前述の及びその他の、目的及び特徴は、添付図面を参照して進行する、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1A及び1Bは、エタノールをキシレン化合物、例えば、o-キシレン及びp-キシレンに変換するための、代表的な方法の実施形態ステップ及び/又はシステム構成要素を概説する、概略図を提供し、
図1Aは、特定の開示される実施形態で使用される工程及びシステム構成要素を要約する。
【
図1B】
図1Bは、特定の開示される実施形態で使用されるステップを要約する。
【
図2】
図2は、(i)二量体化ゾーンで、アセトアルデヒドから2-ブテナールを生成するための、二量体化ステップと、(ii)二量体化ゾーンで作製される2-ブテナールから、オルト-メチルベンズアルデヒド及びパラ-メチルベンズアルデヒド生成物を生成するための、環化ゾーンを使用する、環化ステップとを使用して、アセトアルデヒドから、オルト-メチルベンズアルデヒド(又は、「o-メチルベンズアルデヒド」)及びパラ-メチルベンズアルデヒド(又は、「p-メチルベンズアルデヒド」)生成物を作製するための、代表的な方法の炭素収率(%)を評価することから得られる結果を示す。
【
図3】
図3は、環化ステップの変換及び選択率(%)を評価することから得られる結果を示し、2-ブテナールが、様々な温度及び圧力で触媒と反応し;バーAは、260℃の温度及び101.35kPa(14.7psig)の圧力を使用した、環化ステップの反応生成物分布を要約し;バーBは、150℃の温度及び689.5kPa(100psig)の圧力を使用した、環化ステップの反応生成物分布を要約し;バーCは、175℃の温度及び1034kPa(150psig)の圧力を使用した、環化ステップの反応生成物分布を要約し;バーDは、200℃の温度及び1034kPa(150psig)の圧力を使用した、環化ステップの反応生成物分布を要約する。
【
図4】
図4は、新鮮及び再生TiO
2触媒を使用して、2-ブテナールを縮合及び環化するための、変換及び総生成物収率の結果を示す。
【
図5】
図5は、新鮮及び再生TiO
2触媒を使用して、2-ブテナールを縮合及び環化することから得られた、生成物分布を示す。
【
図6A】
図6A及び6Bは、2-ブテナールをメチルベンズアルデヒドに縮合及び環化するための、変換及び総生成物収率の結果を示す(
図6A)。
【
図6B】また、異なるヒドロタルサイト系触媒を使用して得られた、対応する生成物分布を示す(
図6B)。
【
図7】
図7は、様々な量のNaを有するMg
4Al
1触媒を使用して、2-ブテナールをメチルベンズアルデヒドに縮合及び環化するための、変換及び総生成物収率の結果を示す。
【
図8】
図8は、Na又はKを有するMg
4Al
1触媒を使用して、2-ブテナールをメチルベンズアルデヒドに縮合及び環化するための、変換及び総生成物収率の結果を示す。
【
図9】
図9は、2-ブテナールからメチルベンズアルデヒドへの変換に対する、Mg
4Al
1触媒再生の効果を評価することから得られる、変換の結果を示す。
【
図10】
図10は、2-ブテナールからメチルベンズアルデヒドへの変換に対する、Mg
4Al
1触媒再生の効果を評価することから得られる、生成物選択性の結果を示す。
【
図11】
図11は、水素化ステップで得られる、変換及び選択性(%)の結果を示し、オルト/パラメチルベンズアルデヒドを含む混合物を、異なる量のPd/Re触媒系(すなわち、2重量%、2.9重量%、5重量%、及び10.6重量%)を使用して、180℃及び6895kPa(1000psig)H
2で6時間、Pd触媒及びRe改質剤成分と反応させた(「DMC」はジメチルシクロヘキサンである)。
【
図12】
図12は、バッチ組合せプロトコルを使用して、水素化ステップで得られる、変換及び選択性(%)の結果を示し、オルト/パラメチルベンズアルデヒドを含む混合物を、異なるPd装填量(すなわち、3重量%、0.75重量%、及び0.25重量%)で、Pd触媒(Re改質剤成分あり及びなしで)と反応させた。
【
図13】
図13は、バッチ組合せプロトコルを使用して、水素化ステップで得られる、変換及び選択性(%)の結果を示し、オルト/パラメチルベンズアルデヒドを含む混合物を、異なるPd:Re比で、Pd触媒及びRe改質剤成分と反応させ、0.1重量%のPdを様々な量のReと共に使用した。
【
図14】
図14は、バッチ組合せプロトコルを使用して、水素化ステップで得られる、変換及び選択性(%)の結果を示し、オルト/パラメチルベンズアルデヒドを含む混合物を、異なるPd:Re比で、Pd触媒及びRe改質剤成分と反応させ、0.25重量%のPdを様々な量のReと共に使用した。
【
図15】
図15は、フロー反応器プロトコルを使用して、水素化ステップで得られる、変換及び選択性(%)の結果を示し、オルト/パラメチルベンズアルデヒドを含む混合物を、炭素支持体上で、Pd触媒及びRe改質剤成分(3重量%のPd及び6重量%のRe)と反応させた。
【
図16】
図16は、フロー反応器プロトコルを使用して、水素化ステップで得られる、変換及び選択性(%)の結果を示し、オルト/パラメチルベンズアルデヒドを含む混合物を、炭素支持体上で、Re改質剤成分なしでPd触媒(0.25重量%)と反応させた。
【
図17】
図17は、フロー反応器プロトコルを使用して、水素化ステップで得られる、変換及び選択性(%)の結果を示し、オルト/パラメチルベンズアルデヒドを含む混合物を、炭素支持体上で、Pd触媒及びRe改質剤成分(0.25重量%のPd及び0.5重量%のRe)と反応させた。
【
図18】
図18は、フロー反応器プロトコルを使用して、水素化ステップで得られる、変換及び選択性(%)の結果を示し、オルト/パラメチルベンズアルデヒドを含む混合物を、炭素支持体上で、Pd触媒及びRe改質剤成分(0.1重量%のPd及び0.2重量%のRe)と反応させた。
【
図19】
図19は、フロー反応器プロトコルを使用して、水素化ステップで得られた変換及び選択性(%)の結果を示し、オルト/パラメチルベンズアルデヒドを含む混合物を、炭素支持体上で、Re改質剤成分なしで、少なくとも600時間、タイムオンストリームで、Pd触媒(0.25重量%)と反応させた。
【
図20】
図20は、フロー反応器プロトコルを使用して、水素化ステップで得られた変換及び選択性(%)の結果を示し、オルト/パラメチルベンズアルデヒドを含む混合物を、炭素支持体上で、少なくとも400時間、タイムオンストリームで、Pd触媒及びRe改質剤成分(0.5重量%のPd及び1重量%のRe)と反応させた。
【発明の詳細な説明】
【0010】
I. 用語の概要
以下の用語及び略語の説明は、本開示をより良く記載し、本開示の実施において当業者に誘導するために提供される。本明細書で使用される場合、文脈が別途明確に指示しない限り、「含む(comprising)」は、「含む(including)」を意味し、単数形「a」又は「an」又は「the」は、複数の参照を含む。用語「又は」は、文脈が別途明確に指示しない限り、記載される代替要素の単一の要素又は2つ以上の要素の組合せを指す。
【0011】
別途説明されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料を、本開示の実施又は試験に使用することができるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。材料、方法、及び実施例は、例示に過ぎず、限定することを意図するものではない。本開示の他の特徴は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかである。
【0012】
別段の支持がない限り、本明細書又は特許請求の範囲で使用される成分、分子量、モル濃度、電圧、容量などの量を表現する全ての数字は、用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、別段の黙示的又は明示的に指示されない限り、又は文脈がより決定的な構造を有すると当業者によって適切に理解されない限り、記載される数値パラメータは、当業者に公知の標準的な試験条件/方法の下で、求められる所望の特性及び/又は検出の制限に依存し得る近似である。実施形態を、考察される先行技術と直接的かつ明示的に区別する場合、実施形態番号は、単語「約」が引用されない限り、近似ではない。
【0013】
開示される方法の例示的な実施形態の動作は、簡便な提示のための特定の連続的な順序で記載されてもよいが、開示される実施形態は、文脈が別途指示しない限り、開示される特定の連続的な順序以外の動作の順序を包含し得ることが、理解されるべきである。例えば、逐次的に記載される動作は、一部の事例では、同時に再構成又は実施されてもよい。更に、1つの特定の実施形態に関連して提供される説明及び開示は、その実施形態に限定されず、任意の開示される実施形態に適用され得る。
【0014】
本明細書に記載される様々な構成要素、パラメータ、動作条件などの代替物があるが、これは、それらの代替物が必ずしも同等であり、及び/又は等しく良好に実行されることを意味するものではない。あるいは、別段の記載がない限り、代替物が好ましい順序で列挙されることを意味するものでもない。
【0015】
本開示の様々な実施形態のレビューを容易にするために、特定の用語の以下の説明が提供される。
【0016】
環化触媒:o-メチルベンズアルデヒド及び/又はp-メチルベンズアルデヒドへの、2-ブテナールの縮合及び環化を促進することができる触媒。
【0017】
環化条件:o-メチルベンズアルデヒド及び/又はp-メチルベンズアルデヒドへの、2-ブテナールの縮合及び環化を促進するように、制御及び/又は修正され得る、温度、圧力、反応時間、重量空間速度、及び/又は環化触媒負荷などの反応条件。
【0018】
環化ゾーン:2-ブテナールを含む二量体化ゾーン溶出物流と環化触媒とを接触させて、o-メチルベンズアルデヒド及び/又はp-メチルベンズアルデヒドを含む環化ゾーン溶出物流を形成するように構成される、システム構成要素を含む反応ゾーン。
【0019】
二量体化触媒:2-ブテナールへの、アセトアルデヒドの二量体化を促進することができる触媒。
【0020】
二量体化条件:2-ブテナールへの、アセトアルデヒドの二量体化を促進するように、制御及び/又は修正され得る、温度、圧力、反応時間、重量空間速度、及び/又は触媒負荷などの反応条件。
【0021】
二量体化ゾーン:アセトアルデヒドを含む酸化ゾーン溶出物流と二量体化触媒とを接触させて、2-ブテナールを含む二量体化ゾーン溶出物流を形成するように構成される、システム構成要素を含む反応ゾーン。
【0022】
供給物流:1つ以上のゾーンを通過する流体流。例示的な供給物流は、酸化ゾーンに導入され得る、エタノールを含む流体流である。
【0023】
分留ゾーン:1つの流体構成要素を別の流体構成要素から分留する(例えば、o-キシレンからp-キシレンを分留する)ことができる、システム構成要素を含むゾーン。
【0024】
水素化触媒:キシレン生成物混合物への、o-メチルベンズアルデヒド及び/又はp-メチルベンズアルデヒドの水素化を促進することができる触媒であって、キシレン生成物混合物が、o-キシレン及び/又はp-キシレンの混合物を含む、触媒。特定の実施形態では、キシレン生成物混合物は、キシレンの非平衡混合物である。
【0025】
水素化条件:o-キシレンへの、o-メチルベンズアルデヒドの水素化、及び/又はp-キシレンへの、p-メチルベンズアルデヒドの水素化を促進するように、制御及び/又は修正され得る、温度、圧力、反応時間、及び/又は水素化触媒負荷などの反応条件。
【0026】
水素化ゾーン:o-メチルベンズアルデヒド及び/又はp-メチルベンズアルデヒドを含む環化ゾーン溶出物流を水素化触媒と接触させて、キシレン生成物混合物を含む溶出物流を形成するように構成される、システム構成要素を含む反応ゾーン。特定の実施形態では、キシレン生成物混合物は、キシレンの非平衡混合物である。
【0027】
キシレンの非平衡混合物:キシレン化合物の混合物であって、p-キシレン、o-キシレン、及びメタ-キシレン(又は「m-キシレン」)を含み、混合物中の任意のm-キシレンの濃度が、m-キシレン平衡濃度の50重量%未満である混合物。キシレンの混合物は、8つの炭素原子を含有する他の化合物を含まない。
【0028】
酸化触媒:アセトアルデヒドへの、エタノールの変換を促進するために使用される触媒。
【0029】
酸化条件:アセトアルデヒドへの、エタノールの変換を促進するように、制御及び/又は修正され得る、温度、圧力、反応時間、及び/又は酸化触媒負荷などの反応条件。
【0030】
酸化ゾーン:エタノールを含む供給物流を酸化触媒と接触させて、アセトアルデヒドを含む酸化ゾーン溶出物流を形成するように構成される、システム構成要素を含む反応ゾーン。
【0031】
II. 導入
ポリマーグレードのp-キシレンは、テレフタル酸の製造などの、様々な産業における貴重な製品であり、これは、次に、様々なポリマーを生成するために使用される。これらの産業で使用されるポリマーグレードのp-キシレンは、少なくとも99.95質量%のp-キシレン、又は少なくとも99.97(又は、それ以上)質量%のp-キシレンの、純度を有する必要がある。十分な商業的収率で高純度p-キシレンを得る現在のプロセスは、容器、溶出物流の再利用、及びユーティリティを含む、精製及び異性化作業に多額の投資を必要とし、その全てが、高い資本及び運営費を有する。更に、エタノールからテレフタル酸を生成するための、当該技術分野に存在する方法は、プロセス中に形成されるパラ-メチルベンズアルデヒド生成物を、テレフタル酸に酸化することに依存する。こうした方法は、典型的には、テレフタル酸に酸化される十分な量の材料に到達するために、プロセスで生成されるパラ-メチルベンズアルデヒドの量を増加させる能力に、焦点を当てることを必要とする。これは、典型的には、産業用途に適さない、高価な触媒及び/又は処理パラメータの使用を必要とし得る。
【0032】
本明細書の開示は、m-キシレンなどの大量の望ましくないキシレン生成物の異性化、及びその後の再利用の必要がない、ポリマーグレードのp-キシレンなどの、高純度p-キシレンを提供する方法の実施形態を提供する。更に、本開示は、吸着性分離と比較して安価な、結晶化などの分離技術を使用する方法の実施形態を記載する。更に、開示される方法の実施形態は、エタノールなどの非従来的な供給原料と適合性があり、これは、持続可能な供給源に由来してもよい。いくつかの実施形態では、エタノールの持続可能な供給源は、製鋼所ガスなどの産業廃棄物ガス、又はバイオマス若しくは都市/産業廃棄物のガス化などの、様々な供給源からのシンガスであってもよい。いくつかの実施形態では、エタノールの持続可能な供給源は、CO2を含むガスであってもよい。
【0033】
特定の実施形態では、エタノールからp-キシレンを作製するための方法が開示されており、これは、ポリマーグレードのp-キシレン、及びいくつかの実施形態では、持続可能なベースの供給原料からのテレフタル酸を含む、p-キシレンを生成するための新規な方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、m-キシレン、エチルベンゼン、ベンゼン、トルエンなどの他の芳香族よりも高い選択性を有する、p-キシレンを生成する。本開示の方法は、従来の方法よりも効率的かつ経済的である。また、方法は、分留してp-及びo-キシレン生成物を分離することができる、メチルベンズアルデヒドからのo-キシレン及びp-キシレンの混合物を生成し、それによって、高度にp-キシレンに富む流れを提供してもよい。この流れは、ポリマーグレードのp-キシレン、及び無水フタル酸生成物などの他の目的に使用され得るo-キシレンに富む流れを、経済的に生成するための追加の精製プロセスに、導入されてもよい。新規の方法(例えば、試薬及び/又は反応条件)のパラメータを制御して、望ましくない芳香族(例えば、m-キシレン、トルエン、又はベンゼン)及び/又は飽和環状生成物(例えば、ジメチルシクロヘキサン)などの、望ましくない生成物をほとんど又は全く含まない、p/oメチルベンズアルデヒド混合物、及びp/o-キシレン生成物混合物を、提供してもよい。これらは、本明細書に開示される方法の実施形態を使用して達成され得る改善の、ほんの一部である。
【0034】
III. 方法の実施形態
本開示は、エタノールからp-キシレンを生成するための方法の実施形態を記載する。本開示の方法で使用されるエタノールは、エチレンからの石油由来のエタノール、又は工業廃棄物、若しくは製鋼所ガスなどのオフガス、様々な供給源からのシンガス(例えば、バイオマス、若しくは都市/産業廃棄物のガス化)、若しくはCO2を含むガスなどの、持続可能な供給源由来のエタノールから、得られてもよい。いくつかの実施形態では、本開示の方法を使用して生成されるp-キシレンを使用して、テレフタル酸を生成してもよい。更にいくつかの追加的な実施形態では、方法によって生成されるo-キシレンは、無水フタル酸に更に変換されてもよい。
【0035】
本方法の特定の実施形態では、エタノールを含む供給物流、及び任意選択的に、酸素流又は酸素源を含む流れを、酸化ゾーンで酸化条件下で酸化触媒と接触させて、アセトアルデヒドを含む溶出物流を形成する。酸化ゾーンは、酸化触媒を含有する、反応器又は容器を備えてもよい。あるいは、酸化ゾーンは、反応器又は容器の1つのセクションであってもよい。酸化ゾーンが反応器の1つのセクションである場合、反応器は、以下に記載されるように、1つ以上の反応ゾーンを備えてもよい。酸化触媒は、供給物流が通過して流れる固定床として反応器内に存在してもよく、又は供給物流と同方向に若しくは対向して、流動化して流れる、移動床若しくは粒子として存在してもよい。容器又は反応器は、反応物質を導入するための1つ以上の入口と、生成物及び未反応反応物質を除去するための1つ以上の出口とを備えてもよい。いくつかの実施形態では、エタノールは、空気と混合され、500℃~650℃の範囲の温度で触媒と接触する。Verb Chemie Processとして知られる1つの酸化プロセスは、混合物を酸化容器若しくはゾーンに導入する前に、エタノールを空気と混合することを含み、又はエタノールと空気を別個の流れとして、酸化ゾーン/容器に導入してもよい。こうしたプロセスは、現在の方法で使用してもよい。いくつかの実施形態では、アセトアルデヒドは、脱水素プロセスによって、エタノールから形成されてもよい。こうしたプロセスは、金属酸化物、又は炭素支持材料若しくはゼオライト材料及びCu、Au、Ni、Zn、Mn、Co、V、Ag、Fe、Ce、若しくはCrから選択される金属を含む、触媒を利用する。特定の実施形態では、触媒は、銅及びクロム、並びにメソ多孔質炭素支持材料又はAl2O3支持材料のいずれかを含む触媒から選択される。
【0036】
酸化ゾーンの供給物流は、原料材料のC1ガス発酵由来の、エタノールを含んでもよい。発酵は、セルロース系材料の発酵など原料材料を直接的に、又はバイオマスのガス化を通してシンガスを生成するなど間接的に、使用してもよい。原料材料の例には、セルロース系材料、糖類、工業的プロセス廃棄物ガス又は非廃棄物ガス、燃焼エンジン排気煙霧、例えば、自動車排気煙霧、バイオガス、埋め立てガス、直接空気捕捉、電気分解からのもの、又はそれらの組合せが含まれる。エタノール供給物流を生成するための、ガス発酵の基材及び/又はC1-炭素源は、熱分解、焙焼、又はガス化によって生成される、シンガスであってもよい。換言すれば、廃棄物材料中の炭素は、熱分解、焙焼、又はガス化によって再利用されて、エタノール供給物流を生成するガス発酵中の基材及び/又はC1-炭素源として使用される、シンガスを生成してもよい。ガス発酵中の基材及び/又はC1-炭素源は、メタンを含むガス流であってもよい。
【0037】
特定の実施形態において、供給物流は、工業的プロセスによって生成する排ガス由来のエタノールを含み、工業的プロセスは、製鋼などの鉄金属製品製造、鋼ミル製造、非鉄製品製造、石油精製、電力生産、カーボンブラック生産、紙・パルプ生産、アンモニア生産、メタノール生産、コークス製造、石油化学生産、炭水化物発酵、セルロース発酵、セメント製造、好気性消化、嫌気性消化、触媒プロセス、天然ガス抽出、油抽出、地質学的貯留層、天然ガス、石炭及び石油などの化石資源からのガス、又はそれらの任意の組合せから選択される。工業的プロセス内の特定の処理工程の例には、触媒再生、流動触媒クラッキング、及び触媒再生が含まれる。空気分離及び直接空気捕捉は、他の適切な工業的プロセスである。これらの実施形態では、供給物流中にエタノールを生成するガス発酵のための基材及び/又はC1-炭素源は、それが大気中に排出される前に、任意の公知の方法を使用して、工業的プロセスから捕捉されてもよい。
【0038】
更にいくつかの追加的な実施形態では、供給物流は、合成ガス由来のエタノールを含んでもよく、合成ガスは、シンガスとして知られ、熱分解、焙焼、改質、部分酸化、又はガス化といったプロセスから得られてもよい。ガス化プロセスの例には、石炭のガス化、精製所残渣のガス化、石油コークスのガス化、バイオマスのガス化、リグノセルロース材料のガス化、廃木材のガス化、黒液のガス化、都市固形廃棄物のガス化、都市液状廃棄物のガス化、産業固形廃棄物のガス化、産業液体廃棄物のガス化、廃棄物燃料のガス化、下水のガス化、下水汚泥のガス化、廃水処理からの汚泥のガス化、バイオガスのガス化が含まれる。改質プロセスの例には、水蒸気メタン改質、水蒸気ナフサ改質、天然ガスの改質、バイオガスの改質、埋立地ガスの改質、ナフサ改質、及び乾式メタン改質が含まれる。部分酸化プロセスの例には、熱及び触媒部分酸化プロセス、天然ガスの触媒部分酸化、炭化水素の部分酸化が含まれる。都市固形廃棄物の例には、タイヤ、プラスチック、靴、服、及び織物などに含まれる繊維が含まれる。都市固形廃棄物は、単に、埋立タイプの廃棄物であってもよい。都市固形廃棄物は、選別されてもよく、又は選別されなくてもよい。バイオマスの例には、リグノセルロース材料が含まれてよく、また微生物バイオマスが含まれてもよい。リグノセルロース材料は、農業廃棄物及び森林廃棄物を含んでもよい。
【0039】
基材及び/又はC1-炭素源は、メタンを含むガス流であってもよい。こうしたメタン含有ガスは、フラッキング中などの化石メタンの排出、廃水処理、家畜、農業、及び都市固形廃棄物の埋め立てから得られてもよい。また、メタンは、電気又は熱を生成するために燃焼されてもよく、C1副生成物は、基材又は炭素源として使用されてもよいことも想定される。
【0040】
エタノール及び酢酸などの生成物を生成するためのC1化合物(例えば、CO、CO2、CH4、CH3OHなど)を含むガス流の発酵は、当該技術分野で公知である。発酵プロセスは、バイオリアクター内の液体媒体中で、ガス状C1-含有流を、少なくとも1つのC1-固定細菌と接触させることを含む。一実施形態では、細菌は、クロストリジア属から選択されてもよい。例示的な発酵プロセスとしては、米国特許第8,507,228号、米国特許第8,263,372号、米国特許第8,809,015号、及び米国特許第8,663,949号に記載されており、その関連部分は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
上述のように、いくつかの実施形態では、供給物流は、糖及び/又はセルロース系材料の液体発酵由来の、エタノールを含んでもよい。更に追加的な実施形態では、供給物流は、エチレンの水和からのエタノールを含んでもよい。エタノールはまた、従来のエタノール製造プロセスから生成されてもよく、又は、換言すれば、セルロース系材料、糖、工業的プロセス廃棄物ガス、自動車排気煙霧、若しくはガス化作業からのシンガス以外の供給源からの、エタノールであってもよい。特定の実施形態では、酸化ゾーンは、供給物流のエタノールの少なくとも20重量%、例えば、20重量%~95重量%のエタノール、又は50重量%~90重量%のエタノール、又は70重量%~90重量%のエタノールを、アセトアルデヒドに変換してもよい。酸化ゾーンは、200℃~500℃の温度で動作する。特定の実施形態では、酸化ゾーンは、250℃~400℃で動作する。いくつかの実施形態では、酸化ゾーンは、本開示の利益によって当業者によって認識される、適切な圧力下で、動作してもよい。
【0042】
次に、アセトアルデヒドを含む酸化ゾーンからの溶出物流を、二量体化触媒と接触させて、2-ブテナールを含む溶出物流を生成する。これは、アセトアルデヒドを含む溶出物流を、酸化ゾーンから二量体化ゾーンに通過することを更に含む。二量体化ゾーンは、酸化ゾーンを収容する別個の反応器若しくは容器、又は反応器若しくは容器の別個のセクションを備えてもよい。二量体化触媒は、アセトアルデヒド流が通過して流れる固定床として反応器内に存在してもよく、又はアセトアルデヒド流と同方向に若しくは対向して、流動化して流れる、粒子として存在してもよい。容器又は反応器は、反応物質を導入するための1つ以上の入口と、生成物及び未反応反応物質を除去するための1つ以上の出口とを備えてもよい。二量体化ゾーンが酸化ゾーンと同一の反応器又は容器内に収容される場合、酸化ゾーンからの溶出物は、二量体化ゾーンに直接通過してもよい。二量体化ゾーンは、二量体化条件下で動作する。二量体化条件は、150℃~310℃、例えば、160℃~300℃、又は180℃~300℃の範囲の反応温度を含んでもよく、689.5kPa(100psig)~1034kPa(150psig)、例えば、689.5kPa(100psig)、758kPa(110psig)、又は1034kPa(150psig)の範囲の圧力で実施してもよい。いくつかの実施形態では、二量体化触媒は、MnO、MgO、ZnO、ZrO2、TiO2、又はそれらの任意の組合せなどの、酸化物材料を含む触媒である。いくつかの実施形態では、触媒は、アルミナ支持体(例えば、Al2O3)などの支持材料を、更に含んでもよい。特定の実施形態では、触媒は、MnO-ZnO-ZrO2、MgO-Al2O3、ZnO-ZrO2(10:1)、ZnO-ZrO2(2:1)、又はTiO2から選択される。特定の実施形態では、二量体化ゾーンは、酸化ゾーンによって生成される溶出物のアセトアルデヒドの少なくとも15重量%、例えば、15重量%~65重量%以上のアセトアルデヒド、又は20重量%~65重量%のアセトアルデヒド、又は32重量%~65重量%、又は59重量%~65重量%以上のアセトアルデヒドを、2-ブテナールを含む生成物混合物に変換してもよい。いくつかの実施形態では、生成物混合物の58重量%以上、例えば、68重量%~91重量%、又は77重量%~91重量%、又は81重量%~91重量%、又は84重量%~91重量%、又は88重量%~91重量%などが、2-ブテナールであってもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、2-ブテナールを含む溶出物流を環化触媒に曝露して、o-メチルベンズアルデヒド及び/又はp-メチルベンズアルデヒドの混合物を含む溶出物流を生成することは、2-ブテナールを含む溶出物流を、環化ゾーン内の環化触媒と接触させることを含んでもよい。これは、2-ブテナールを含む溶出物流を、二量体化ゾーンから環化ゾーンに通過することを更に含む。環化ゾーンは、二量体化ゾーン又は酸化ゾーンに二量体化ゾーンを加えたものを収容する別個の反応器若しくは容器、又は反応器若しくは容器の別個のセクションを備えてもよい。環化触媒は、2-ブテナール流が通過して流れる固定床として反応器内に存在してもよく、又はアセトアルデヒド流と同方向に若しくは対向して、流動化して流れる、粒子として存在してもよい。容器又は反応器は、反応物質を導入するための1つ以上の入口と、生成物及び未反応反応物質を除去するための1つ以上の出口とを備えてもよい。環化ゾーンが二量体化ゾーンと同一の反応器又は容器内に収容される場合、二量体化ゾーンからの溶出物は、環化ゾーンに直接通過してもよい。環化ゾーンは、環化条件下で動作してもよい。環化条件は、250℃以上、例えば、250℃~350℃、又は250℃~325℃、又は275℃~300℃などの範囲の反応温度を使用することを含んでもよい。特定の実施形態では、環化ステップは、大気圧101.35kPa(14.7psig)~1034kPa(150psig)、例えば、大気圧~689.5kPa(100psig)の範囲の圧力で実施してもよい。いくつかの実施形態では、0.2時間-1~0.25時間-1、例えば、0.2時間-1~0.23時間-1、又は0.2時間-1~0.22時間-1の範囲の重量空間速度(又は「WHSV」)が使用される。特定の実施形態では、環化ゾーンは、150℃及び689.5kPa(100psig)、又は260℃及び101.35kPa(14.7psig)、又は175℃及び1034kPa(150psig)、又は200℃及び1034kPa(150psig)、又は300℃及び101.35kPa(14.7psig)で動作してもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、環化触媒は、例えば、Ti若しくはZrなどのIV族金属(新しいIUPAC分類で、第4族としても知られる)、又はMgなどのII族金属(新しいIUPAC分類で、第2族としても知られる)を含む金属酸化物触媒などの、金属酸化物触媒である。いくつかの独立した実施形態では、環化触媒は、アルミナ支持体(例えば、Al2O3)、SrO、CaO、MgO、La2O3、SiO2、SiO2-Al2O3、TiO2-Al2O3、又は所望の金属酸化物が分散若しくは堆積される、H-モルデナイト若しくはファウジャサイトなどのゼオライト支持体などの、固体支持体を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、環化触媒は、TiO2、又はMgO及びAl2O3を含むヒドロタルサイト触媒から選択される。特定の実施形態では、ヒドロタルサイト触媒は、MgxAlyの式を有してもよく、式中、「Mg」はMgOを表し、「Al」はAl2O3を表し、xは1~4の範囲であり、yは典型的には1である。いくつかのこのような実施形態では、ヒドロタルサイト触媒は、Mg2Al1、Mg3Al1、又はMg4Al1であってもよい。いくつかの実施形態では、ヒドロタルサイト触媒は、Na又はKなどの、アルカリ金属を含むように修飾されてもよい。触媒に含まれるアルカリ金属の量は、0重量%超~20重量%以上、例えば、0重量%超~20重量%、又は0重量%超~10重量%、又は0重量%超~5重量%超の範囲であってもよい。特定の実施形態では、環化ゾーンで使用される触媒は、TiO2、Mg4Al1、Mg3Al1、Mg2Al1、5重量%若しくは10重量%若しくは20重量%のNaを含むMg4Al1、又は5重量%のKを含むMg4Al1から選択されてもよい。特定の実施形態では、環化ゾーンは、二量体化ゾーンによって生成される溶出物の2-ブテナールの少なくとも50重量%を、例えば、50重量%~95重量%以上の2-ブテナールを、又は75重量%~95重量%の2-ブテナールを、又は80重量%~95重量%の2-ブテナールを、o-メチルベンズアルデヒド及びp-メチルベンズアルデヒドを含む、生成物混合物に変換してもよい。特定の実施形態では、二量体化ステップは、o-メチルベンズアルデヒド及びp-メチルベンズアルデヒドを含むが、メタ-メチルベンズアルデヒド(又は、「m-メチルベンズアルデヒド」)を含まない、生成物混合物を提供する。いくつかのこうした実施形態では、反応混合物は、微量(例えば、合計20重量%未満)の他の化合物、例えば、より高級なアルデヒド(例えば、2,4,6-オクタトリエナール)、ベンズアルデヒド、又は水素化生成物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、反応混合物は、反応混合物の0%超~20%、0%超~15%、又は0%超~10%の範囲の量でのみ、他の化合物(例えば、より高級なアルデヒド、ベンズアルデヒド、及び/又は水素化生成物)を含んでもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、o-メチルベンズアルデヒド及び/又はp-メチルベンズアルデヒドを含む溶出物流を、水素化ゾーン内の水素化触媒と接触させて、キシレン生成物混合物を含む溶出物を生成する。これは、o-メチルベンズアルデヒド及び/又はp-メチルベンズアルデヒド混合物を含む溶出物流を、環化ゾーンから水素化ゾーンに通過することを含む。水素化ゾーンは、水素化触媒がその中に含有される、反応器又は容器を備える。特定の実施形態では、水素化ゾーンは、1つ以上の入口及び出口を備え、触媒を含有するように構成される、フローベース処理に適切な反応器容器を備える。水素化ゾーンは、水素化ゾーン又は水素化ゾーンに前のゾーンのいずれか若しくは全てを加えたものを収容する別個の反応器若しくは容器、又は反応器若しくは容器の別個のセクションを備えてもよい。水素化触媒は、環化ゾーン溶出物流が通過して流れる固定床として反応器内に存在してもよく、又は環化ゾーン溶出物流と同方向に若しくは対向して、流動化して流れる、粒子として存在してもよい。容器又は反応器は、反応物質を導入するための1つ以上の入口と、生成物及び未反応反応物質を除去するための1つ以上の出口とを備えてもよい。水素化ゾーンが環化ゾーンと同一の反応器又は容器内に収容される場合、環化ゾーンからの溶出物は、水素化ゾーンに直接通過してもよい。水素化ゾーンは、水素化条件下で動作してもよい。水素化条件は、水素化ゾーンを、100℃超~200℃未満、例えば、110℃~190℃、又は120℃~180℃、又は125℃~175℃の範囲の温度で動作させることを含んでもよい。特定の実施形態では、温度は、125℃、130℃、140℃、150℃、160℃、170℃、若しくは180℃、又は125℃~180℃の間の任意の温度である。いくつかの実施形態では、水素化条件は、344.7kPa(50psig)超~1378.9kPa(2000psig)未満、例えば、689.5kPa(100psig)~10342kPa(1500psig)、又は1378.9kPa(200psig)~6894.7kPa(1000psig)、又は3447.4kPa(500psig)~5515.8kPa(800psig)の範囲の圧力で、水素化ゾーンを動作させることを含んでもよい。特定の実施形態では、圧力は、689.5kPa(100psig)、1034kPa(150psig)、1378.9kPa(200psig)、1723.7kPa(250psig)、2068.4kPa(300psig)、2413.2kPa(350psig)、2757.9kPa(400psig)、3102.6kPa(450psig)、3447.4kPa(500psig)、3792kPa(550psig)、4136.8kPa(600psig)、4481.6kPa(650psig)、4826.3kPa(700psig)、5171.1kPa(750psig)、5515.8kPa(800psig)、5860.5kPa(850psig)、6205.3kPa(900psig)、6550kPa(950psig)、又は6894.7kPa(1000psig)である。特定の実施形態では、水素化ゾーンは、125℃及び689.5kPa(100psig)、150℃及び3447.4kPa(500psig)、150℃及び6894.7kPa(1000psig)、又は180℃及び6894.7kPa(1000psig)で動作する。特定の実施形態では、水素化ゾーンは、125℃~175℃以下の範囲の温度、及び689.5kPa(100psig)~5515.8kPa(800psig)以下の範囲の圧力で動作する。
【0046】
いくつかの実施形態では、水素化条件は、水素化ゾーンを、上記の温度及び/又は圧力のいずれかで、o-メチルベンズアルデヒド及び/又はp-メチルベンズアルデヒドの全て、又は実質的に全てを、対応するキシレン生成物混合物に変換するのに十分な時間動作させることを、含んでもよい。こうした実施形態では、「実質的に全て」とは、o-メチルベンズアルデヒド及び/又はp-メチルベンズアルデヒドを含む溶出物の、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも93重量%、又は少なくとも94重量%、又は少なくとも95重量%、又は少なくとも96重量%、又は少なくとも97重量%、又は少なくとも98重量%、又は少なくとも99重量%を意味する。いくつかの実施形態では、期間は、数分から、プロセスが停止されるか、又は触媒効率が50%減少する時間量までの範囲である。いくつかの実施形態では、期間は、30分~600時間以上、例えば、1時間~600時間(若しくは、それ以上)、又は3時間~600時間(若しくは、それ以上)、又は6時間~600時間(若しくは、それ以上)の範囲であってもよい。特定の実施形態では、期間は、30分、1時間、6時間、400時間、及び600時間であってもよい。特定の実施形態では、水素化ゾーンは、環化ゾーンによって生成される混合物の、o-メチルベンズアルデヒド及びp-メチルベンズアルデヒドの混合物の少なくとも85重量%、例えば、o-メチルベンズアルデヒド及びp-メチルベンズアルデヒドの混合物の85重量%~100重量%、又はo-メチルベンズアルデヒド及びp-メチルベンズアルデヒドの混合物の90重量%~100重量%、又はo-メチルベンズアルデヒド及びp-メチルベンズアルデヒドの混合物の95重量%~100重量%を、キシレン生成物混合物に変換してもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、水素化触媒は、第VIII族(新しいIUPAC分類で、第8族、第9族、又は第10族としても知られる)の金属及び支持材料を含む。特定の実施形態では、水素化触媒の第VIII族金属は、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、又はそれらの組合せから選択される。特定の実施形態では、第VIII族金属は、パラジウム、白金、又はルテニウムである。代表的な実施形態では、第VIII族金属は、パラジウムである。水素化触媒の支持材料は、炭素、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、酸化亜鉛、又はそれらの組合せから選択されてもよい。特定の実施形態では、支持材料は、炭素材料、シリカ、アルミナ(例えば、Al2O3)、チタニア(例えば、TiO2)、ジルコニア(例えば、ZrO2)、酸化ニオブ(例えば、Nb2O5)、低酸性ゼオライト(例えば、ZSM-5)、又は炭素支持体である(炭素支持体は、Ingevityによって販売される商標名Nuchar(登録商標)の炭素支持固体、Hyperion Catalysis Internationalによって販売されるHyperion 07C又はHyperion 02C支持体、Cabot Noritによって販売されるROX HF又はDARCO(登録商標)-LS支持体、Jacobi、CECA、又はPICAによって販売される炭素支持体から選択される)。第VIII族金属は、典型的には、当業者に公知の手段によって、かつ本開示の利益によって、支持材料上に堆積され、本明細書に開示される反応条件下で、支持体上に金属形態で存在する。特定の実施形態では、支持材料は、炭素、Al2O3、TiO2、又はZrO2である。いくつかの実施形態では、支持材料は、実質的に非酸性であってもよい。支持材料の酸性は、吸着ピリジンのフーリエ変換赤外線(FTIR)分析を使用して、支持材料の酸性部位の表面濃度を決定することによって、測定してもよい。触媒の総重量当たりの金属の量として表される、触媒に使用される第VIII族金属の量は、0.1重量%~3重量%、例えば、0.5重量%~2.5重量%、又は0.75重量%~2重量%、又は1重量%~2重量%の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、使用される第VIII族金属の量は、触媒の総重量当たり、0.75重量%~3重量%、例えば、1.5重量%~3重量%の範囲であってもよい。いくつかの他の実施形態では、使用される第VIII族金属の量は、触媒の総重量当たり、0重量%超~0.75重量%未満、例えば、0重量%超~0.5重量%、又は0重量%超~0.25重量%、又は0重量%超~0.2重量%、又は0重量%超~0.15重量%、又は0重量%超~0.1重量%の範囲であってもよい。特定の実施形態では、第VIII族金属の量は、触媒の総重量当たり、0.1重量%、0.25重量%、0.5重量%、0.75重量%、1.5重量%、又は3重量%から選択される量で、使用されてもよい。独立した実施形態では、水素化触媒は、支持材料なしで、ラネーニッケルを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、水素化触媒は、改質剤成分を更に含んでもよい。改質剤成分は、触媒の特性を改質するために金属触媒と組合せて使用される元素、典型的には、金属であってもよい。いくつかの実施形態では、改質剤成分は、支持材料上に金属触媒の安定化及び/又は酸性部位の低減を容易にしてもよい。特定の実施形態では、改質剤成分は、水素化触媒の支持体上に堆積される金属である。いくつかの実施形態では、改質剤成分は、第VII族金属(新しいIUPAC分類で、第7族としても知られる)、又は第IV族金属(新しいIUPAC分類で、第14族としても知られる)、第I族金属(新しいIUPAC分類で、第1族及び/又はアルカリ金属としても知られる)、第II族金属(新しいIUPAC分類で、第2族及び/又はアルカリ土類金属としても知られる)、又はそれらの組合せを含んでもよい。特定の実施形態では、改質剤成分は、レニウム、スズ、又はそれらの組合せを含んでもよい。触媒の総重量当たりの金属の量として表される、触媒に使用される改質剤成分の量は、0重量%~6重量%、例えば、0.1重量%~6重量%、又は0.2重量%~4重量%、又は0.5重量%~3重量%、又は1.5重量%~2重量%の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、触媒に使用される改質剤成分の量は、総触媒当たりの改質剤成分の量として表される、3重量%~6重量%、例えば、5重量%~6重量%の範囲であってもよい。いくつかの他の実施形態では、触媒に使用される改質剤成分の量は、総触媒当たりの改質剤成分の量として表される、0.1重量%~1重量%、例えば、0.1重量%~0.5重量%、又は0.1重量%~0.2重量%の範囲であってもよい。特定の実施形態では、触媒上に存在する改質剤成分の量は、総触媒当たりの改質剤成分の量として表される、0.1重量%、0.2重量%、0.5重量%、1重量%、1.5重量%、5重量%、又は6重量%から選択される。特定の実施形態では、水素化ゾーンは、溶媒を更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、溶媒は、ドデカン、デカン、及びジオキサンなどの、炭化水素溶媒であってもよい。
【0049】
代表的な実施形態では、水素化触媒は、第VIII族金属、支持体、及び改質剤成分を含む。更に他の実施形態では、水素化触媒は、第VIII族金属及び支持体を含む。特定の実施形態では、水素化触媒は、第VIII族金属及び支持体からなる。更に別の特定の実施形態では、水素化触媒は、第VIII族金属、支持体、及び改質剤成分からなる。独立した実施形態では、水素化触媒は、ラネーニッケルからなる。水素化触媒の成分は、任意の順序で、又は任意の組合せで、逐次的に添加されてもよく、それらは全て同時に一緒に含まれてもよい。代表的な実施形態では、水素化触媒には、パラジウム、炭素材料、及びレニウム、又はパラジウム、Al2O3、及びレニウム、又はパラジウム、TiO2、及びレニウム、又はパラジウム、ZrO2、及びレニウム、白金、炭素材料、及びレニウム、又は白金、Al2O3、及びレニウム、又は白金、TiO2、及びレニウム、又は白金、ZrO2、及びレニウム、又はルテニウム、炭素材料、及びレニウム、又はルテニウム、Al2O3、及びレニウム、又はルテニウム、TiO2、及びレニウム、又はルテニウム、ZrO2、及びレニウムが含まれる。更に他の代表的な実施形態では、水素化触媒には、パラジウム及びAl2O3、又はパラジウム及びZrO2、又はパラジウム及びTiO2、又はパラジウム及び炭素、又は白金及びAl2O3、又は白金及びZrO2、又は白金及びTiO2、又は白金及び炭素、又はルテニウム及びAl2O3、又はルテニウム及びZrO2、又はルテニウム及びTiO2、又はルテニウム及び炭素が含まれる。いくつかの実施形態では、方法は、0.1重量%~3重量%の触媒を使用することを含んでもよい。特定の実施形態では、このような量は、(i)第VIII族金属、支持材料、及び存在する場合には任意の改質剤成分の、総量に対応し、かつ供給物に対するものであるか、又は(ii)支持材料を含まないラネーニッケルを使用する実施形態など、供給物に対する金属の総量に対応する。特定の実施形態では、2重量%の触媒が使用される。特定の代表的な実施形態では、水素化触媒は、炭素支持材料上に、3重量%のPd及び6重量%のReの混合物を含む。更に他の実施形態では、水素化触媒には、炭素支持材料上に1.5重量%のPd及び3重量%のRe、又は炭素支持材料上に0.5重量%のPd及び1重量%のRe、又は炭素支持材料上に0.1重量%のPd及び2重量%のRe、又は炭素支持材料上に0.25重量%のPd及び5重量%のRe、又は炭素支持材料上に0.25重量%のPd及び0.5重量%Re、又は炭素支持材料上に0.25重量%のPd及び1.5重量%Re、又は炭素支持材料上に0.25重量%のPd及び6重量%のRe、又は炭素支持材料上に0.1重量%のPd及び0.5重量%のRe、又は炭素支持材料上に0.1重量%のPd及び1.5重量%のRe、又は炭素支持材料上に0.1重量%のPd及び6重量%のRe、又は炭素支持材料上に0.75重量%のPd及び5重量%のRe、及びAl2O3上に3重量%のPd及び6重量%のRe、又はAl2O3上に1.5重量%のPd及び3重量%のRe、又はAl2O3上に0.75重量%のPd及び5重量%のRe、又Al2O3上に1.5重量%のPd、又はZrO2上に1.5重量%のPd、又は炭素材料上に0.25重量%のPdが含まれる。
【0050】
いくつかの特定の実施形態では、水素化ゾーン溶出物中のキシレン生成物混合物は、少なくとも85重量%のo-キシレン及び/又はp-キシレンを含む混合物を含む。水素化ゾーン溶出物中のキシレン生成物混合物の残部は、トルエン、ベンゼン、m-キシレン、エチルベンゼン、及び/又はジメチルシクロヘキサンなどの飽和芳香族化合物を含んでもよい。水素化ゾーン溶出物は、典型的には、平衡量のエチルベンゼンを含まない。いくつかの特定の実施形態では、キシレン生成物混合物は、o-キシレン及びp-キシレンから本質的になり、本質的になるとは、キシレン生成物混合物が、o-キシレン及び/又はp-キシレンの異性化バージョン(例えば、m-キシレン)、飽和芳香族化合物(例えば、ジメチルシクロヘキサン)、及び/又はクラッキングした芳香族化合物(例えば、トルエン又はベンゼン)を実質的に含まず、それによって、任意のこうした生成物の量が、独立して15重量%未満となり、又はこうした生成物の量が、合計で30重量%未満となることを意味する。水素化ゾーン溶出物中に存在する成分の量は、本開示の利益によって当業者によって認識可能な、標準化される技術及び方法を使用して、決定してもよい。1つの例示的な方法は、外部標準で較正される火炎イオン化検出と連結されるガスクロマトグラフィーであり、化合物は質量分析によって特定される。いくつかの実施形態では、キシレン生成物混合物は、o-キシレン及び/又はp-キシレンを含んでもよく、実質的にm-キシレンを含まない。独立した実施形態では、キシレン生成物混合物は、o-キシレン及びp-キシレンからなる。
【0051】
いくつかの実施形態では、キシレン生成物混合物は、65重量%~100重量%、例えば、少なくとも65重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも85重量%の範囲の濃度の、p-キシレンを含む。こうした実施形態では、任意の残りの重量残部は、o-キシレン、又はo-キシレンと微量(例えば、合計5重量%未満)の他の芳香族(例えば、m-キシレン、ベンゼン、又はトルエン)若しくは飽和芳香族(例えば、ジメチルシクロヘキサン)との混合物であってもよい。いくつかの実施形態では、p-キシレン濃度は、65重量%~99重量%、又は70重量%~99重量%、又は75重量%~99重量%、又は80重量%~99重量%、又は85重量%~99重量%の範囲である。いくつかの他の実施形態では、キシレン生成物混合物は、o-キシレン、p-キシレン、及びm-キシレンを含む。こうした実施形態では、キシレン生成物混合物は、3つの異なるキシレン生成物の非平衡混合物を含む。こうした非平衡混合物では、m-キシレンは、m-キシレン平衡濃度の50重量%未満の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、m-メチルベンズアルデヒドへの任意の異性化が行われ、任意のそのようなm-メチルベンズアルデヒドがm-キシレンに変換される場合、結果として得られるm-キシレンの量は、m-キシレン平衡濃度の50%未満である。いくつかの実施形態では、m-キシレンが存在する場合、m-キシレンは、m-キシレン平衡濃度の、0重量%超~最大49重量%、例えば、m-キシレン平衡濃度の、0重量%超~最大45重量%、又は0重量%超~40重量%、又は0重量%超~35重量%、0重量%超~30重量%、0重量%超~20重量%、0重量%超~10重量%、0重量%超~5重量%、又は0重量%超~1重量%の範囲の濃度で存在する。
【0052】
いくつかの実施形態では、方法は、精製されたp-キシレンをテレフタル酸に変換することを更に含んでもよい。精製されたp-キシレンは、本開示の利益によって当業者によって認識されるであろう酸化条件下で、テレフタル酸に変換されてもよい。いくつかの実施形態では、この変換は、マンガン又は酢酸コバルト触媒を有する酢酸を使用して、空気中で行われてもよい。更に追加的な実施形態では、方法は、テレフタル酸をポリエチレンテレフタレート(PET)に変換することを更に含んでもよい。こうした実施形態では、方法は、エステル化反応器又は容器内で、テレフタル酸をエチレングリコールと組合せることを含んでもよく、これは、206.8kPa(30psig)~344.7kPa(50psig)の圧力、及び230℃~260℃の範囲の温度など、本開示の利益によって当業者に既知の条件下で動作してもよい。方法中に生成される蒸気(例えば、水/水蒸気、及びグリコール)は、還流カラム又は蒸留カラムに通気され、回収されて、エステル化容器/反応器又はゾーン(グリコール副生成物の場合)に戻るか、又は廃棄され(水蒸気凝縮から生成される凝縮水の場合)てもよい。モノマーは、この工程、すなわち、ビス-(2-ヒドロキシエチル)-テレフタレート(又は、「BHET」)から生成され、これは、第二のエステル化及び/又は重合反応器又はゾーンに送達されてもよく、BHETは、PETに重合される。
【0053】
いくつかの実施形態では、方法は、キシレン生成物混合物の任意のo-キシレンを、無水フタル酸に変換することを更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、o-キシレンを無水フタル酸に変換することは、本開示の利益によって当業者に公知の酸化条件で、o-キシレンを処理することを含んでもよい。o-キシレンは、キシレン生成物混合物を含む溶出物中に存在する場合、酸化条件で処理してもよく、又はo-キシレンを含む流れは、キシレン生成物混合物を含む溶出物から最初に分離してもよい。o-キシレンの流れがキシレン生成物混合物を含む水素化ゾーン溶出物から分離される実施形態では、水素化ゾーン溶出物は、分留ゾーンに通過し、o-キシレンの流れは、水素化ゾーン溶出物から単離される。分留ゾーンは、分離カラム、又はキシレン生成物混合物を含む水素化ゾーン溶出物が通過する分留に適した、他の構成要素を備えてもよい。本明細書で企図される、この工程及び/又は他の分留工程に適した分留技術を、以下でより詳細に記載する。いくつかの実施形態では、方法は、キシレン生成物混合物を含む溶出物を乾燥させることを、更に含んでもよい。いくつかのこうした実施形態では、水素化ゾーン溶出物は、分留ゾーンに通過する前に乾燥されてもよい。いくつかの追加的な実施形態では、方法は、o-キシレンの流れを乾燥することを、更に含んでもよい。いくつかの実施形態では、方法は、キシレン生成物混合物を含む水素化ゾーン溶出物、及びo-キシレンの流れの両方を乾燥させることを、更に含んでもよい。
【0054】
分留は、化学物質を分離するための多くの産業プラントにおける多くのプロセスに、一般的に使用される方法である。本開示では、第一の分留ゾーンを使用して、ジメチルシクロヘキサンなどの飽和環状化合物、及びいくつかのより軽い化合物を、C8芳香族流れから分離してもよい。他の技術とは異なり、本開示の方法の実施形態は、大量のC9芳香族を生成しないため、C9芳香族をC8芳香族から分離するための大きく高価な分留カラムである、典型的には「キシレンカラム」として知られる分留カラムは、必要ではない。第一の分留ゾーンの分留カラムは、C9芳香族は評価可能な量で存在せず、C8芳香族から分離される必要がないため、理論段階がはるかに小さい。第一の分留ゾーンの資本コスト及び運転コストの両方を含む、全体的なコストは、C9芳香族をC8芳香族から分離する必要があるシステムと比較して、劇的に低減される。
【0055】
次いで、第一の分留ゾーンからのC8芳香族は、第二の分留ゾーンを通過する。このようなC8芳香族の沸点は、約136℃~約144℃の、非常に狭い8℃の範囲内に収まるため、存在する場合、従来の分留蒸留技術を使用して、異なるキシレン異性体及びエチルベンゼンを分離することは、多くの場合、効率的かつ経済的に困難である(表1を参照のこと)。p-キシレン及びエチルベンゼンの沸点は、約2℃離れており、p-キシレン及びm-キシレンの沸点は、約1℃離れるに過ぎない。結果として、効果的かつ満足のいくキシレン分離を提供するために、大型の機器、大幅なエネルギー消費、及びかなりの再利用が、典型的に必要とされる。
【表1】
【0056】
しかしながら、キシレンの非平衡混合物を有する固有の水素化ゾーン溶出物、特に、平衡量よりも低いm-キシレンを有する固有の水素化ゾーン溶出物に起因して、第二の分留ゾーンにおける分留は、より安価な機器によって成功裏に達成されてもよい。水素化ゾーン溶出物中のm-キシレンの量は、m-キシレンの平衡量ではなく、多くの実施形態では、m-キシレンの平衡量よりも実質的に小さいため、装置は、p-キシレンとm-キシレンを分離する必要はない。例えば、トルエンをキシレンとベンゼン生成物へ変換するための平衡反応は、通常、-23.2℃で64mol%~276.9℃で51mol%、例えば、-23.2℃で62mol%~276.9℃で53mol%、又は-23.2℃で60mol%~276.9℃で55mol%、又は-23.2℃で58mol%~276.9℃で56mol%の量で、m-キシレンを提供することが許容される。対照的に、本開示の方法で得られた水素化ゾーン溶出物は、m-キシレン平衡濃度の、50重量%未満、例えば、m-キシレン平衡濃度の、0重量%超~最大49重量%、又は0重量%超~最大45重量%、又は0重量%~40重量%、又は0重量%超~35重量%、0重量%超~30重量%、0重量%超~20重量%、0重量%超~10重量%、0重量%超~5重量%、又は0重量%超~1重量%を含んでもよい。
【0057】
更に、第二の分留ゾーンから純粋なp-キシレン流を達成する必要はなく、第二の分留ゾーンの1つの溶出物は、p-キシレン、o-キシレンに富み、及び微量のm-キシレンを含む、混合キシレン流を含有してもよい。本開示の成功のために第二の分留ゾーンからの部分的な分離が許容可能である場合、更なるコスト削減が達成される。一実施形態では、第二の分留ゾーンは、頂部において化学グレードのo-キシレンを達成するように設計され、それが達成されると、全ての構成要素の残りは、底部で除去されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、第二の分留ゾーンからの第二の溶出物は、99重量%のo-キシレンに富む流れを含有してもよく、これは、本明細書で論じるように、収集され、他の使用のために通過されてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、第二の分留ゾーンからの混合キシレン蒸気は、結晶化装置を通過する。結晶化装置を使用して、混合キシレン流をポリマーグレードのp-キシレンに精製してもよい。いくつかの実施形態では、結晶化装置への混合キシレン流供給物流は、70重量%未満のp-キシレンを含んでもよく、これは、許容可能な回収で、ポリマーグレードのp-キシレンを生成するために、結晶化装置の1つ以上の段階から利益を得てもよい。一実施形態では、分留から生じる混合キシレン流は、70重量%以上のp-キシレンであり、これは、単段階結晶化装置を使用して、ポリマーグレードのp-キシレンの許容可能な回収を提供してもよい。いくつかの実施形態では、99.5重量%の、又は99.8重量%の、p-キシレンを得てもよい。特定の実施形態では、少なくとも99.5重量%の、又は少なくとも99.8重量%の、p-キシレンが得られる。
【0059】
結晶化装置は、異なる温度での、C8芳香族成分の凝固点と可溶性との間の差を利用する。そのより高い凝固点では、p-キシレンは、通常、固体として分離され、一方で、他の成分は、p-キシレン枯渇濾液中に回収される。結晶化は、ポリマーグレードの純度のp-キシレンをもたらし、これは、典型的には、p-キシレンのテレフタル酸への商業的変換に必要である。適切な結晶化プロセスは、米国特許第4,120,911号、及び米国特許3,662,013号に記載されており、その関連部分は、参照により本明細書に組み込まれ、また、かかる方法で使用される構成要素は市販されている。
【0060】
いくつかの実施形態では、サイズ及びユーティリティコストが低減される、第一及び第二の分留ゾーンは、1つ以上の結晶化装置と組合わされて、本開示の水素化ゾーン溶出物の組成物によってもたらされる固有の利点を利用する、ポリマーグレードのp-キシレンを達成するための、本開示の方法と共に使用され得る、費用効果の高いアプローチである。
【0061】
記載される実施形態のいずれか又は全てでは、方法は、方法中に生成される溶出物から未反応反応物質を分離することと、未反応反応物質を、それが得られたゾーン及び/又は上流ゾーンに再利用することとを更に含んでもよい(「上流」は、未反応反応物質が得られたゾーンに対して、1つ以上の以前のゾーンを示すことが意図される)。単に一実施例として、未反応エタノールは、任意の未反応エタノールを酸化ゾーンの中へと、酸化ゾーンの反応器若しくは容器の独立した入口を介して通過し戻すことによって、又は未反応エタノールを供給物流と再組合せし、反応器若しくは容器の供給物流入口の中へと混合物を添加することによって、酸化ゾーンから再利用してもよい。こうした再利用を使用して、酸化ゾーンによって生成されるアセトアルデヒドの収率を増加させてもよい。更に他の実施形態では、二量体化ゾーンからの任意の未反応のアセトアルデヒドは、二量体化ゾーンから生成される溶出物中の2-ブテナールの量を増加させるように、二量体化ゾーンに戻して再利用されてもよい。こうした実施形態では、未反応のアセトアルデヒドは、そのゾーンの反応器若しくは容器の独立した入口を介して、又は酸化ゾーンによって生成されるアセトアルデヒドを含む溶出物と再組合せすることによって、二量体化ゾーンに戻して再利用されてもよい。更にいくつかの追加的実施形態では、環化ゾーンからの任意の未反応の2-ブテナールは、環化ゾーンによって生成されるo-メチルベンズアルデヒド及びp-メチルベンズアルデヒドの量を増加させるように、環化ゾーンに戻して再利用されてもよい。こうした実施形態では、未反応の2-ブテナールは、そのゾーンの反応器又は容器の独立した入口を介して、又は二量体化ゾーンによって生成される2-ブテナールを含む溶出物と再組合せすることによって、環化ゾーンに戻して再利用されてもよい。更にいくつかの追加的実施形態では、水素化ゾーンからの任意の未反応のo-メチルベンズアルデヒド及び/又はp-メチルベンズアルデヒドは、水素化ゾーンによって生成されるキシレン生成物混合物中のp-キシレン及び/又はo-キシレンの量を増加させるように、水素化ゾーン戻して再利用されてもよい。こうした実施形態では、未反応のo-メチルベンズアルデヒド及び/又はp-メチルベンズアルデヒドは、そのゾーンの反応器若しくは容器の独立した入口を介して、又は環化ゾーンによって生成されるo-メチルベンズアルデヒド及びp-メチルベンズアルデヒドを含む溶出物と再組合せすることによって、水素化ゾーン戻して再利用されてもよい。これらの再利用の実施形態の、任意の組合せを使用してもよい。
【0062】
代表的な方法及びシステム実施形態の工程及び構成要素が、
図1Aに概略的に要約される。更なる実施形態の代表的な方法工程が、
図1Bに概略的に要約される。例として、
図1Aは、本開示の一実施形態のフロースキームを示す。ライン104のシンガス又は工業ガス、及び任意選択的に、ライン102の水素は、液体栄養培地中に少なくとも1つのC1-固定細菌を含む、少なくとも1つのガス発酵バイオリアクターを有する、ガス発酵ゾーン100に通過し、エタノールを含むガス発酵ゾーン溶出物106を生成する。エタノールを含むガス発酵ゾーン溶出物106は、酸化ゾーン110に通過し、酸化条件下で酸化触媒と接触させ、アセトアルデヒドを含む酸化ゾーン溶出物108を生成し、次いで、二量体化ゾーン120に通過し、二量体化条件下で二量体化触媒と接触させ、2-ブテナールを含む二量体化ゾーン溶出物112を生成する。二量体化ゾーン溶出物112は、環化ゾーン130に通過し、環化条件下で環化触媒と接触させ、o-メチルベンズアルデヒド及び/又はp-メチルベンズアルデヒドを含む環化ゾーン溶出物114を生成し、次いで、水素化ゾーン140に通過し、水素化条件下で、第一の第VIII族金属(IUPAC 8、9、及び10)を含み、任意選択的に支持材料上に堆積された水素化触媒を接触させ、キシレンの非平衡混合物を含むキシレン生成物混合物を含む水素化ゾーン溶出物116を生成する。
【0063】
水素化ゾーン溶出物116は、第一の分留ゾーン150に通過し、そこで、ベンゼン濃縮流れが頂部流118内で除去され、ジメチルシコヘキサン(dimethylcycohexane)濃縮流れが残油流122内で除去される。水素化ゾーン溶出物116の残りは、流れ124内で除去され、第二の分留ゾーン160に通過する。ベンゼンの量は、流れ124が第一の分留ゾーンから除去される点に影響を与え得るため、
図1Aは、一般的な場所を示し、それ自体の側留油を示さない。化学グレードの純度のo-キシレン流126は、残油流として第二の分留ゾーンから除去され、p-キシレン、o-キシレン、及び微量m-キシレンを含むキシレン生成物流128は、オーバーヘッド流として第二の分留ゾーンから除去される。
【0064】
キシレン生成物流128は、結晶化装置170に通過する。キシレン生成物流128の組成に応じて、結晶化装置170は、p-キシレン生成物流134がポリマーグレードの純度基準を満たすのに十分な高純度を有するように、制御されてもよい。o-キシレン濾液流132は、o-キシレン濾液流132が第二の分留ゾーンからの流れ126と組合される時、組合される流れが依然としてo-キシレンの化学的グレードの純度レベルを満たすように、十分に低い含有量のp-キシレンを有する。ポリマーグレードの純度のp-キシレンの流れである、p-キシレン生成物流134は、プロセスの最終的な所望の生成物の流れであってもよい。更に、示されるように、p-キシレン生成物流は、
図1Aに示されるように、再利用炭素の供給源由来であってもよい。任意選択的に、以下で論じるp-キシレン生成物流134又はp-キシレン生成物流138は、p-キシレンのテレフタル酸への変換のために、触媒液相酸化反応器190に通過してもよく、その後、流れ144内で除去される。
【0065】
図1Aに示されるのは、任意選択的な、第二の結晶化装置180である。キシレン生成物流128が、70重量%未満のp-キシレンを含有する場合、第二の結晶化装置180が使用されてもよい。この実施形態では、結晶化装置170からのp-キシレン生成物流134は、第二の結晶化装置180を通過して、ポリマーグレードのp-キシレンを有するp-キシレン生成物流138と、o-キシレン流136であって、流れ132と組合わせて組合わせ流れ137を形成し、更に流れ126と組合わされる後、結果として生じる組合わせ流れ142が、依然としてo-キシレンの化学グレードの純度レベルを満たすように、十分に低い量のp-キシレンを有する、o-キシレン流とを生成する。
【0066】
図1Aよって図示される、フロースキームの他の利益は、使用される結晶化装置が、ポリマーグレードのp-キシレンの従来の製造で使用される結晶化装置よりも遥かに小さいことである。小型結晶化装置は、再利用炭素から、又は持続可能な供給源から得られる、精製されたポリマーグレードのp-キシレンを確証する能力を、容易にしてもよい。エタノールを生成するためのガス発酵のためのC1基質の、いくつかの再利用炭素又は持続可能な供給源は、p-キシレンが持続可能であるか又は再利用炭素由来であることを、確証及び証明するのに有用であるガス発酵のための、C1基質供給と整合したスケールでの、p-キシレンの精製を通して、ガス発酵によるエタノールの生成からプロセスを実行する能力を提供する、小スケールでのC1基質及び小スケールの結晶化剤を提供する。
【0067】
本明細書に開示される方法の実施形態から得られた製品は、製造物品などの、追加の製品を作製するための、様々な用途及び技術で使用してもよい。いくつかの実施形態では、本開示の方法の実施形態に従って作製されるPETは、容器(ボトル、瓶、缶、冷却器など)、包装材料(食品容器、保管容器など)、繊維(例えば、織物(fabric)及び織物(textile)で使用するための糸(thread)及び糸(yarn))、及びフィルム(包装材料、ライナー、食品ラップなど)などの、様々なPETベースの製品又は物品に変換されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるPET材料は、PET処理に適切な成形技術を使用して、このような製品に変換されてもよい。いくつかの実施形態では、PETは、押出成形又は射出ブロー成形プロセスを使用して、製品にブロー成形してもよい。押出ブロー成形では、PET材料のパリソンが型内に配置され、高温空気がパリソンに吹き込まれて型の形態に膨張する。物体は冷却され、型が開かれ、物体が排出される。射出ブロー成形では、PET材料は、加熱される空洞内にコアピン上に射出成形される。中空成形は、部品の外側形状を形成し、予備成形物の内側を成形するコアロッドに基づく。予備成形型が開かれ、圧縮空気が予備成形型に注入され、物体が吹き付けられ、冷却され、次いで排出される。いくつかの他の実施形態では、物体は、熱成形技術を使用して、PET材料から作製してもよく、PET材料のシートは、その融点を下回る温度に加熱されて、ガラス状又は軟質の状態を達成し、その後、型の形状に延伸される。次いで、材料は、ダイで切断されて、所望の形成される物体を提供する。更に追加的な実施形態では、溶融紡糸技術を使用して、PET繊維を作製してもよく、PET材料(チップ、顆粒、又はこれに類するものの形態)は溶融されて溶液を形成し、その後、紡糸口金の穴を通して押出され、その後、材料の繊維は引延(延伸)されて、所望の直径の繊維を提供する。
【0068】
IV. 様々な実施形態の概要
方法の実施形態が本明細書に開示され、方法は、エタノールを含む供給物流を酸化条件下で酸化触媒と接触させて、アセトアルデヒドを含む酸化ゾーン溶出物流を形成することと、前記酸化ゾーン溶出物流を二量体化ゾーンに通過し、前記酸化ゾーン溶出物流を二量体化条件下で二量体化触媒と接触させて、2-ブテナールを含む二量体化ゾーン溶出物流を生成することと、前記二量体化ゾーン溶出物流を環化ゾーンに通過し、前記二量体化ゾーン溶出物流を環化条件下で環化触媒と接触させて、o-メチルベンズアルデヒド及び/又はp-メチルベンズアルデヒドを含む環化ゾーン溶出物流を形成することと、並びに前記環化ゾーン溶出物流を水素化ゾーンに通過し、前記環化ゾーン溶出物流を、支持材料上に堆積される第一の第VIII族金属を含む水素化触媒と接触させて、キシレンの非平衡混合物を含む水素化ゾーン溶出物を生成することとを含む。
【0069】
方法のいずれか又は全ての実施形態では、水素化触媒は、第二の第VIII族金属、改質剤成分、又はそれらの組合せを更に含み、全てが支持材料上に堆積され、第二の第VIII族金属が、第一の第VIII族金属と同一ではない。
【0070】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記改質剤成分は、レニウム、スズ、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの任意の組合せから選択される。
【0071】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記水素化触媒は、前記改質剤成分を含み、前記支持材料は炭素であり、前記第一の第VIII族金属はパラジウムであり、前記改質剤成分はレニウムである。
【0072】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記支持材料は、炭素材料、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、ジルコニア、ゼオライト、酸化亜鉛、又はそれらの任意の組合せから選択される。
【0073】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記キシレンの非平衡混合物は、m-キシレン平衡濃度の0重量%~40重量%未満の範囲の量で、m-キシレンを含む。
【0074】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記キシレンの非平衡混合物は、m-キシレン平衡濃度の0重量%~20重量%の範囲の量で、m-キシレンを含む。
【0075】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記キシレンの非平衡混合物は、m-キシレン平衡濃度の0重量%~5重量%の範囲の量で、m-キシレンを含む。
【0076】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記キシレンの非平衡混合物は、m-キシレン平衡濃度の0重量%~1重量%の範囲の量で、m-キシレンを含む。
【0077】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記エタノールは、(i)セルロース系材料及び/若しくは糖の液相発酵からのエタノール、(ii)工業的プロセス廃棄物若しくは非廃棄物ガスの気相発酵、内燃エンジン排気煙霧、シンガス、直接空気捕捉、電気分解、CO2含有ガス、若しくはその任意の組合せからのエタノール、(iii)セルロース系材料、糖、工業的プロセス廃棄物若しくは非廃棄物ガス、内燃エンジン排気煙霧、ガス化プロセス、シンガス、直接空気捕捉、電気分解、若しくはCO2含有ガス以外の供給源からのエタノール、又は(iv)エチレンの水和からのエタノール、又は(i)、(ii)、(iii)、及び/若しくは(iv)の任意の組合せである。
【0078】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記工業的プロセスは、鉄金属製品製造、鋼ミル製造、非鉄製品製造、石油精製、電力生成、カーボンブラック生産、紙及びパルプの生産、アンモニア生成、メタノール生成、コークス製造、石油化学生産、炭水化物発酵、セルロース発酵、セメント製造、好気性消化、嫌気性消化、触媒プロセス、天然ガス抽出、油抽出、若しくはそれらの任意の組合せから選択され、並びに/又は前記シンガスは、石炭ガス化、精製残渣のガス化、石油コークスガス化、バイオマスガス化、リグノセルロース物質ガス化、廃材ガス化、黒液ガス化、天然ガス改質、都市部固体又は液体廃棄物のガス化、燃料ガス化の再利用、下水道又は下水道スラッジガス化、廃水処理ガス化、及び/若しくは工業固体廃棄物ガス化、若しくはそれらの任意の組合せ由来である。
【0079】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記二量体化ゾーンでのアセトアルデヒドの前記変換が、15重量%~65重量%の2-ブテナールを含む生成物反応混合物を提供し、前記二量体化ゾーンでのアセトアルデヒドの2-ブテナールへの選択性が、57重量%~91重量%の範囲であり、前記環化ゾーンでの2-ブテナールの前記変換が、70重量%~95重量%のo-メチルベンズアルデヒド及びp-メチルベンズアルデヒドを含む生成物反応混合物を提供し、前記環化ゾーンでの2-ブテナールのo-メチルベンズアルデヒド及びp-メチルベンズアルデヒドへの選択性が、50重量%~95重量%の範囲であり、又は前述のいずれかの任意の組合せである。
【0080】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記方法は、前記水素化ゾーン溶出物を分留ゾーンに通過することと、o-キシレンを含む流れを、(i)p-キシレンを含む流れ、又は(ii)p-キシレン及びm-キシレンを含む流れから分離することとを更に含む。
【0081】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、(i)前記p-キシレンを含む流れ、又は(ii)前記p-キシレン及びm-キシレンを含む流れが、最小量のp-キシレンを含み、前記p-キシレンの最小量は、少なくとも65重量%~少なくとも85重量%の範囲である。
【0082】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記方法は、(i)前記o-キシレンを含む流れを乾燥させることと、(ii)反応条件下で前記o-キシレンを含む流れ内でo-キシレンを反応させて、無水フタル酸を形成することと、又は(i)及び(ii)の両方とを更に含む。
【0083】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記方法は、分留ゾーンに通過する前に、前記水素化ゾーン溶出物を乾燥させることと、及び/又は前記o-キシレンを含む流れを乾燥させることを更に含む。
【0084】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記方法は、(i)前記p-キシレンを含む流れ、又は(ii)前記p-キシレン及びm-キシレンを含む流れを、結晶化装置に通過することと、少なくとも99.5重量%のp-キシレンを含む、精製されたp-キシレン流れを回収することとを更に含む。
【0085】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記精製されたp-キシレン流は、少なくとも99.8重量%のp-キシレンを含む。
【0086】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記方法は、前記精製されたp-キシレン流れからのp-キシレンの少なくとも一部分を、反応条件下で反応させて、テレフタル酸を形成することを更に含む。
【0087】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記方法は、テレフタル酸の少なくとも一部分を、反応条件下でエチレングリコールと反応させて、ポリエチレンテレフタレートを形成することを更に含む。
【0088】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記方法は、前記ポリエチレンテレフタレートを、1つ以上の製品に形成することを更に含む。
【0089】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記方法は、1つ以上の分離及び/又は再利用プロセスを更に含み、前記再利用プロセスは、(i)前記酸化ゾーン溶出物流の少なくとも一部分を、前記酸化ゾーン溶出物流中のアセトアルデヒドの所定の標的濃度が達成されるまで、前記酸化ゾーンに再利用することと、(ii)前記二量体化ゾーン溶出物流の少なくとも一部分を、前記二量体化ゾーン溶出物流中の2-ブテナールの所定の標的濃度が達成されるまで、前記二量体化ゾーンに再利用することと、(iii)前記環化ゾーン溶出物流の少なくとも一部分を、前記環化ゾーン溶出物流中のo-メチルベンズアルデヒド及び/若しくはp-メチルベンズアルデヒドの所定の標的濃度が達成されるまで、前記環化ゾーンに再利用することと、(iv)前記水素化ゾーン溶出物の少なくとも一部分を、前記水素化ゾーン溶出物中のキシレンの所定の標的濃度が達成されるまで、前記水素化ゾーンに再利用することと、 並びに/又は(v)プロセス(i)、(ii)、(iii) 及び/若しくは(iv)の任意の組合せから選択される。
【0090】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記方法は、空気下で前記環化触媒を加熱することによって、前記環化触媒を再生することを更に含む。
【0091】
また、装置の実施形態が本明細書に開示され、前記装置は、酸化反応器と流体連通するガス発酵バイオリアクターと、二量体化反応器と流体連通する前記酸化反応器と、環化反応器と流体連通する前記二量体化反応器と、水素化反応器と流体連通する前記環化反応器と、第一の分留ゾーンと流体連通する前記水素化反応器と、第二の分留ゾーンと流体連通する前記第一の分留ゾーンと、及び第一の結晶化装置と流体連通する前記第二の分留ゾーンとを備える。
【0092】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記装置は、第一の結晶化装置と流体連通する第二の結晶化装置を更に備える。
【0093】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記装置は、第一の結晶化装置と流体連通する触媒液相酸化反応器を更に備える。
【0094】
上記の実施形態のいずれか又は全てでは、前記装置は、第二の結晶化装置と流体連通過する触媒液相酸化反応器を更に備える。
【0095】
V. 実施例
実施例9~15で使用されるバッチハイスループット方法の一般的手順:粉末触媒を2mLのガラス反応バイアルに秤量し、それを各3回行った。48個のバイアルを1つのハイスループットプレート上に組立て、次いで、これを密封し、5%H2/N2還元ガス下で還元し、2℃/分で300℃に上昇させ、4時間保持した。密封された反応器をフロースルーN2パージボックスに移し、ここでこれを密封解除し、各バイアルを、12.5重量%のo-メチルベンズアルデヒド、12.5重量%のp-メチルベンズアルデヒド、及び残りはドデカン溶媒の組成で、1.75mLの反応物質溶液で充填した。反応器を再密封し、パージボックスから取り出し、自動バッチ反応器のセットアップに接続した。実行動作は、所望の圧力に達するまで純粋なH2を流す前に、3サイクルの100psi H2反応器加圧で開始し、ライン内の空気をパージした。反応器を単離し、48個の個々のバイアルがヘッドスペースを共有するように、全てのラインを密封した。反応器を、600RPMの円形運動で振盪しながら、4℃/分で加熱し、物質移動を促進した。目標温度に到達し、次いで実験の長さを保持した後、反応器を室温まで冷却し、圧力を解放した。GC-FID分析を使用して、生成物を定量した。
実施例1
【0096】
この実施例では、本明細書に記載される二量体化ゾーンで行われる、代表的な二量体化反応を評価した。この特定の実施例で使用される供給組成物は、エタノール由来のアセトアルデヒドであった。特定の実施例の結果が、
図2に示される。また、特定の実施例からのデータを、表2に提供する。
【表2】
実施例2
【0097】
この実施例では、本明細書に記載される環化ゾーンで行われる、代表的な環化反応を評価した。この特定の実施例で使用される供給組成物は、2-ブテナールであった。特定の実施例からの結果が、
図3に示される。
図4はまた、TiO
2触媒を使用して、300℃での縮合反応中に得られた、2-ブテナール変換及び対応する総生成物収率の両方が得られた、実施例の結果を示す。この例では、TiO
2触媒表面積は60m
2/gであり、反応温度は300℃であり(大気圧で実施)、WHSVは0.2時間
-1であった。非常に高い2-ブテナール変換(約95%)を、新鮮なTiO
2触媒で達成した。いくつかの実施例では、オンストリーム時間に伴う変換の減少は、触媒の不活性化を示唆した。いくつかの実施例では、変換は、約95%から約70%に減少したが、全生成物の収率は、一定のままであった(約25%)。いくつかの実施例では、GC-MSによって検出される生成物は、2,4,6オクタトリエナール、o-メチルベンズアルデヒド及びp-メチルベンズアルデヒド、o-キシレン、並びにベンズアルデヒドを含んだ。単一の理論に限定されるものではないが、いくつかの実施例で得られる低炭素残部は、GC-MSでは検出できない長鎖オリゴマー生成物の形成に起因すると現在考えられる。TiO
2触媒の効果的な再生も、実証された-
図4参照のこと。2-ブテナール変換は、新鮮な触媒で得られたものと、非常に類似していた。しかしながら、生成物の収率は約15%であり、これは、再生触媒が類似の2-ブテナール変換を提供するが、それはまた長鎖オリゴマー生成物の形成にも有利であることを示唆すると、現在考えられる。いくつかの実施例では、再生後に得られたTiO
2触媒は、オンストリーム時間後に更に不活性化されるが、生成物の総収率は、有意に変化しなかった。
【0098】
2-ブテナール縮合/環化ステップの実施例中に得られた、生成物分布収率の結果が、
図5に示される。C4、2-ブテナールの縮合及び環化により、p-メチルベンズアルデヒド及びo-メチルベンズアルデヒドなどの、環状C8生成物、並びに2,4,6オクタトリエナールなどの、非環状C8生成物を得た。これらの生成物のうち、o-メチルベンズアルデヒドを、主要生成物として得た。生成物分布の非常に類似した傾向は、新鮮な触媒と再生される触媒の両方をで得られたが、新鮮な触媒の場合、全体的な収率は高かった。単一の理論に限定されるものではないが、o-キシレンの形成は、対応するベンジルアルコールへのo-メチルベンズアルデヒド還元、続いてヒドロデオキシ化に起因し得ると、現在考えられる。TiO
2触媒中に存在するブレンステッド酸性は、より高い温度で、ヒドロデオキシ化を触媒し得る。
実施例3
【0099】
この実施例では、異なるヒドロタルサイト系触媒を、2-ブテナールの縮合について評価した。異なるプロセス条件で、これらの触媒から得られた結果が、
図6A及び6Bに示される。これらの実施例では、反応条件は、300℃の温度、大気圧、及び0.23時間
-1のWHSVであった。全てのヒドロタルサイト触媒(MgO/Al
2O
3)は、
図6Aに示される、2-ブテナールへのより高い変換によって証明されるように、MgO触媒と比較して高い活性を示した。MgO触媒で達成される変換は、約10%のみであったが、ヒドロタルサイト系触媒は、約50%の変換を示した。これらの触媒で得られた総生成物収率は約35%であり、これらの触媒を使用した、良好な炭素残部を更に示唆する。したがって、ヒドロタルサイト触媒は、TiO
2触媒と比較して低い変換を提供するが、望ましくない長鎖オリゴマー生成物の形成を防止することができるとも考えられる。
図6Aはまた、ヒドロタルサイト触媒中のAl含有量の効果と、2-ブテナール縮合の対応する活性との間の、相関関係を示す。Mg
4Al
1触媒は、MgO触媒と比較して変換の3倍の増加を示したが、Al含有量の更なる増加(すなわち、Mg
4Al
1→Mg
3Al
1→Mg
2Al
1)は、より高いAl含有量を有する実施例で、変換及び生成物収率の両方が類似していたため、大きな影響を示さなかった。
図6Bは、異なる触媒で得られた、対応する生成物分布を示す。
図6Bでの生成物には、2,4,6オクタトリエナール、2-メチルベンズアルデヒド(又は、o-メチルベンズアルデヒド)、2-メチルベンジルアルコール、4-メチルベンズアルデヒド(又は、p-メチルベンズアルデヒド)、4-メチルベンジルアルコール、及びベンズアルデヒドが含まれた。
実施例4
【0100】
この実施例では、異なる量の含浸Naを含むヒドロタルサイト系触媒を、2-ブテナールの縮合について評価した。Mg
4Al
1+x%Na(x=0~20%)を、異なる量のNaでMg
4Al
1触媒を含浸させることによって調製した。
図7は、様々なNa量を含有するMg
4Al
1触媒で得られた、生成物の変換及び収率を示す。この実施例では、反応条件は、大気圧で300℃の温度、及び0.23時間
-1のWHSVであった。異なる量のNaの組み込みは、2-ブテナールの変換に有意な影響を及ぼさなかったが、全体的な生成物収率は、Na含有量の増加と共に最大10重量%まで増加した。
実施例5
【0101】
この実施例では、5重量%の装填で異なるアルカリ金属を含有するMg
4Al
1触媒を使用して、2-ブテナールの縮合を調査した。
図8は、Mg
4Al
1+5重量%M(式中、Mは、Na又はKである)触媒対Mg
4Al
1のみを含有する触媒で得られた、変換及び収率を示す。反応条件は、大気圧で300℃の温度、及び0.22時間
-1のWHSVであった。アルカリ金属を含有する触媒は、純粋なMg
4Al
1触媒と比較して、変換及び生成物収率の両方が増加し、KがNaよりも活性であることを示した。
実施例6
【0102】
この実施例では、性能に対する、Mg
4Al
1触媒再生の効果を評価した。
図9は、Mg
4Al
1触媒の再生、及び触媒性能に対するその効果を示す。反応条件は、大気圧で300℃の温度、及び0.22時間
-1のWHSVであった。触媒活性が2-ブテナールの80%変換まで減少した後、触媒を空気下で550℃で2時間再生した。
図9に示されるように、触媒活性は、両方の2-ブテナール変換生成物収率が、新鮮な触媒の収率と非常に類似していたため、第一の再生後に回復した。第一の再生触媒を、変換が約70%に低下するまで、2-ブテナールの縮合について再び試験した。触媒を上記の条件下で再び再生し、その変換及び生成物収率を、新鮮な触媒とほぼ同一の性能に再び回復させた。第二の再生触媒を、変換が約80%に低下するまで、2-ブテナールの縮合について再び試験した。触媒を上記の条件下で3回目の再生をし、その変換及び生成物収率を、新鮮な触媒とほぼ同一の性能に再び回復させた。3回の再生を使用して、触媒寿命を、400時間を超えて延長した。
図10は、生成物選択性が、再生触媒でわずかに改善されることを示す。
実施例7
【0103】
この実施例では、本明細書に記載される水素化ゾーンで行われる、環化反応を評価した。バッチ反応を、以下の反応条件を使用して行った:180℃、6894.7kPa(1000psig)H
2、及び6時間の反応時間。炭素支持材料上に異なる触媒装填物、すなわち、3重量%のPd/6重量%のRe触媒混合物の、2重量%、2.9重量%、5重量%、及び10.6重量%(触媒の総重量当たりの金属の量として表される)を使用した。結果が、
図11に示される。
実施例8
【0104】
この実施例では、本明細書に記載される水素化ゾーンで行われる、水素化反応における使用のために、異なる触媒を評価した。この特定の実施例で使用される供給物組成物は、ドデカン中の、50%のp-メチルベンズアルデヒド及び50%のo-メチルベンズアルデヒドの混合物であった。供給物対溶媒比は、1~4であった。反応温度は150℃であり、反応圧力は3447.4kPa(500psig)であった。反応物を、30分間実行した。8つの異なる水素化触媒組成物を使用して得られた変換速度及び炭素収率が、表3に示される。
【表3】
実施例9
【0105】
この実施例では、供給物の2重量%で存在する触媒と、3重量%のPd、6重量%のRe/Hyperion Cを使用して、組合せバッチプロセスを評価した。温度、圧力、及び反応時間を評価し、結果を表4に示す。
【表4】
実施例10
【0106】
この実施例では、組合せバッチプロセスを、様々な炭素支持材料上で、3重量%のPd、6重量%のReを使用して評価した。反応は、125℃、689.5kPa(100psig)H
2、0.5時間の反応時間、及び総供給物の2重量%の触媒濃度を含む反応条件を使用して、実行した。これらの条件下での異なる炭素支持材料の結果を、表5に示す。
【表5】
実施例11
【0107】
この例では、組合せバッチプロセスを、異なる金属酸化物支持材料(Al
2O
3、ZrO2、及びTiO
2)上で、異なる第VIII族金属(Pd、Pt、及びRu)を使用して評価した。反応は、150℃、4136.8kPa(600psig)H
2、0.5時間の反応時間、及び総供給物の2重量%の触媒濃度の反応条件を使用して、実行された。これらの条件下での、異なる第VIII族金属及び支持材料の結果を、表6に示す。
【表6】
実施例12
【0108】
この実施例では、組合せバッチプロセスを、様々なタイプの支持材料上で、3重量%のPd及び6重量%のReを使用して評価した。反応は、150℃、3447.4kPa(500psig)H
2の反応条件、0.5時間の反応時間、及び総供給物の2重量%の触媒濃度を使用して、実行された。これらの条件下での、異なる炭素支持材料の結果を表7に示す。
【表7】
実施例13
【0109】
この実施例では、組合せバッチプロセスを、Reあり及びなしで、3重量%のPd、0.75重量%のPd、及び0.25重量%のPdを使用して評価した。反応は、125℃、1723.7kPa(250psig)H
2、及び30分の反応時間を含む反応条件を使用して、総供給物の2.8重量%の触媒充填量で、実行した。この実施例の結果は、
図12に示される。
実施例14
【0110】
この実施例では、組合せバッチプロセスを、0.1重量%のPd、及び様々な量のRe(0.25重量%、1.5重量%、及び6重量%)を使用して評価した。反応は、125℃、1723.7kPa(250psig)H
2、及び30分の反応時間を含む反応条件を使用して、総供給物の2.8重量%の触媒充填量で、実行した。この実施例の結果は、
図13に示される。
実施例15
【0111】
この実施例では、組合せバッチプロセスを、0.25重量%のPd、及び様々な量のRe(0.25重量%、1.5重量%、及び6重量%)を使用して評価した。反応は、125℃、1723.7kPa(250psig)H
2、及び30分の反応時間を含む反応条件を使用して、総供給物の2.8重量%の触媒充填量で、実行した。この実施例の結果は、
図14に示される。
実施例16
【0112】
この実施例では、フロー反応器を使用して、Pd、Re、及びアルミナ支持材料(BASF-AL3945)を含む、水素化触媒の性能を評価した。触媒は、3重量%のPd及び6重量%のReを含んだ。反応は、180℃、3102.6kPa(450psig)H
2を含む反応条件を使用して、1.59時間
-1のWHSVで、120時間超のオンストリーム時間にわたって、実行した。この実施例の結果は、
図15に示される。
実施例17
【0113】
この実施例では、フロー反応器を使用して、炭素支持材料(すなわち、Hyp07C)上に0.25重量%のPdを含む、水素化触媒の性能を評価した。反応は、180℃、3102.6kPa(450psig)H
2を含む反応条件を使用して、1.32時間
-1のWHSVで、200時間超のオンストリーム時間にわたって、実行した。この実施例の結果は、
図16に示される。
実施例18
【0114】
この実施例では、フロー反応器を使用して、Pd、Re、及び炭素支持材料(すなわち、Hyp07C)を含む、水素化触媒の性能を評価した。触媒は、0.25w%のPd及び0.5w%のReを含んだ。反応は、180℃、3102.6kPa(450psig)H
2を含む反応条件を使用して、1.32時間
-1のWHSVで、250時間超のオンストリーム時間にわたって、実行した。この実施例の結果は、
図17に示される。
実施例19
【0115】
この実施例では、フロー反応器を使用して、Pd、Re、及び炭素支持材料(すなわち、Hyp07C)を含む、水素化触媒の性能を評価した。触媒は、0.1w%のPd及び0.2w%のReを含んだ。反応を、180℃、6894.8kPa(1000psig)H
2を含む反応条件を使用して、2.32時間
-1のWHSVで、200時間超のオンストリーム時間にわたって、実行した。この実施例の結果は、
図18に示される。
実施例20
【0116】
この実施例では、フロー反応器を使用して、炭素支持材料(すなわち、Hyp07C)上に0.25重量%のPdを含む、水素化触媒の性能を評価した。反応を、180℃、3102.6kPa(450psig)H
2を含む反応条件を使用して、1.32時間
-1のWHSVで、600時間超のオンストリーム時間にわたって、実行した。この実施例の結果は、
図19に示される。
実施例21
【0117】
この実施例では、フロー反応器を使用して、Pd、Re、及びアルミナ支持材料(BASF-AL3945)を含む、水素化触媒の性能を評価した。触媒は、0.5重量%のPd及び1重量%のReを含んだ。反応を、180℃、3102.6kPa(450psig)H
2を含む反応条件を使用して、1.32時間
-1のWHSVで、400時間超のオンストリーム時間にわたって、実行した。この実施例の結果は、
図20に示される。
【0118】
本開示の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考慮すると、例示される実施形態は好ましい例に過ぎず、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことが、認識されるべきである。むしろ、範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義される。従って、本発明として、これらの特許請求の範囲及び精神の範囲内にあるもの全てを特許請求する。
【国際調査報告】