(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】充電インレット及び自動車
(51)【国際特許分類】
H01R 13/40 20060101AFI20240827BHJP
H01R 13/03 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H01R13/40 B
H01R13/03 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024507052
(86)(22)【出願日】2022-08-05
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 CN2022110554
(87)【国際公開番号】W WO2023011633
(87)【国際公開日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】202110904550.6
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522388383
【氏名又は名称】長春捷翼汽車科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Changchun JETTY Automotive Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 957, Shunda Road, High-tech Development Zone, Chaoyang District Changchun City, Jilin Province, 130000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チャオ
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE11
5E087FF06
5E087GG12
5E087GG16
5E087MM05
5E087MM12
5E087MM15
5E087QQ04
5E087RR22
5E087RR49
(57)【要約】
本発明は、充電インレット及び自動車を提供し、充電インレット本体(1)と、充電端子(2)と、着脱装置(3)と、フラットケーブル(7)と、を備え、着脱装置は、ケーブルの導体と電気的に接続され、着脱装置は、充電インレット本体に固定して取り付けられ、充電端子に、接続構造(9)が設けられ、充電端子は、接続構造により着脱装置と着脱可能に接続された。充電インレットでは、充電端子が損傷を受けた場合又は充電端子とケーブルとの接触に不具合があった場合、充電端子を前面から取り外し、充電端子を交換した後、再び取り付けるだけで済むが、充電インレットにおける充電端子が損傷を受けた場合、メンテナンス作業が煩雑となるという技術的課題が解決された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電インレット本体と、充電端子と、着脱装置と、フラットケーブルと、を備え、
前記着脱装置は、前記フラットケーブルの導体と電気的に接続され、
前記着脱装置は、前記充電インレット本体に固定して取り付けられ、
前記充電端子に接続構造が設けられ、
前記充電端子は、前記接続構造により前記着脱装置と着脱可能に接続された、ことを特徴とする充電インレット。
【請求項2】
前記充電インレット本体の先端に、収容キャビティが設けられ、
前記着脱装置は、前記収容キャビティの内部に設けられ、
前記充電端子は、前記収容キャビティの開口から挿入され、前記接続構造により前記着脱装置と着脱可能に接続された、
ことを特徴とする請求項1に記載の充電インレット。
【請求項3】
前記着脱装置は、前記接続構造と着脱可能に接続される着脱構造をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の充電インレット。
【請求項4】
前記着脱構造は、前記接続構造と螺着され、その螺着のトルクの範囲が0.1N・m~30N・mである、ことを特徴とする請求項3に記載の充電インレット。
【請求項5】
前記着脱構造は係止爪であり、前記接続構造は係止溝であり、又は、
前記着脱構造は係止溝であり、前記接続構造は係止爪であり、
前記着脱構造と前記接続構造とが係止された接続力の範囲は5N~500Nである、
ことを特徴とする請求項3に記載の充電インレット。
【請求項6】
前記着脱構造と前記接続構造とが係止された接続力の範囲は15N~300Nである、ことを特徴とする請求項5に記載の充電インレット。
【請求項7】
前記着脱装置の数は、2個~36個である、ことを特徴とする請求項1に記載の充電インレット。
【請求項8】
前記着脱装置は、固定端を含み、
前記固定端と前記フラットケーブルの導体との接続方式は、溶接方式、圧着方式、螺着方式または一体成形方式である、
ことを特徴とする請求項1に記載の充電インレット。
【請求項9】
前記溶接方式は、抵抗溶接、摩擦溶接、超音波溶接、アーク溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接、圧力拡散溶接のうちの1つまたは複数を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の充電インレット。
【請求項10】
前記フラットケーブルの導体に、貫通孔が設けられ、
前記固定端は、ボルトおよびナットを含み、
前記ボルトは、前記貫通孔に穿設されて、前記ナットに螺着された、
ことを特徴とする請求項8に記載の充電インレット。
【請求項11】
前記ボルトが前記ナットに螺着されたトルクの範囲が0.1N・m~30N・mである、ことを特徴とする請求項10に記載の充電インレット。
【請求項12】
前記フラットケーブルの導体に、第1ねじ孔が設けられ、
前記固定端は、スタッドを含み、
前記スタッドは、前記第1ねじ孔に螺着された、ことを特徴とする請求項8に記載の充電インレット。
【請求項13】
前記スタッドが前記第1ねじ孔に螺着されたトルクの範囲は、0.1N・m~30N・mである、ことを特徴とする請求項12に記載の充電インレット。
【請求項14】
前記充電インレット本体に、係止溝が設けられ、
前記フラットケーブルは、前記係止溝に穿設されており、
前記係止溝は、前記フラットケーブルが前記スタッドの軸方向に沿って移動することを阻止するように構成された、
ことを特徴とする請求項12に記載の充電インレット。
【請求項15】
前記充電インレット本体に、線出口が設けられ、
前記フラットケーブルが前記線出口を介して前記充電インレット本体に穿設されている、ことを特徴とする請求項14に記載の充電インレット。
【請求項16】
前記線出口は、前記充電インレット本体の側方方向に向かって設けられた、ことを特徴とする請求項15に記載の充電インレット。
【請求項17】
前記線出口が向かう方向は、前記充電インレット本体の側方方向とは角度をなす、ことを特徴とする請求項15に記載の充電インレット。
【請求項18】
前記フラットケーブルと前記充電インレット本体の間には、ガスケットが設けられた、ことを特徴とする請求項1に記載の充電インレット。
【請求項19】
前記充電端子の後端に、取外部が設けられ、
前記取外部の断面形状がフラット形状または多角形である、
ことを特徴とする請求項1に記載の充電インレット。
【請求項20】
前記充電インレット本体は、固定部をさらに含み、
前記固定部により、前記フラットケーブルが前記充電インレット本体に固定接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の充電インレット。
【請求項21】
前記充電インレット本体に、第2ねじ孔が設けられ、
前記固定部に、接続孔が設けられ、
前記固定部はねじをさらに含み、
前記ねじが前記接続孔を貫通して前記第2ねじ孔に螺着されたことで、前記固定部が前記充電インレット本体に固定接続される、
ことを特徴とする請求項20に記載の充電インレット。
【請求項22】
前記充電端子の数は、2個~36個である、ことを特徴とする請求項1に記載の充電インレット。
【請求項23】
前記フラットケーブルの材質は、銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金のうちのいずれか一つである、ことを特徴とする請求項1に記載の充電インレット。
【請求項24】
前記充電インレット本体に、温度センサ及び制御盤が設けられ、
前記温度センサは、データ線によって前記制御盤と電気的に接続された、ことを特徴とする請求項1に記載の充電インレット。
【請求項25】
前記温度センサは、前記フラットケーブルの導体に接触して接続された、ことを特徴とする請求項24に記載の充電インレット。
【請求項26】
前記温度センサは、前記フラットケーブルの導体と一体成形された、ことを特徴とする請求項25に記載の充電インレット。
【請求項27】
前記制御盤は、回路基板であり、
前記回路基板に、制御論理回路が内蔵された、ことを特徴とする請求項24に記載の充電インレット。
【請求項28】
前記温度センサは、NTC温度センサまたはPTC温度センサである、ことを特徴とする請求項24に記載の充電インレット。
【請求項29】
前記温度センサは、前記着脱装置に設けられた、ことを特徴とする請求項24に記載の充電インレット。
【請求項30】
前記充電端子における前記接続構造の断面積は、前記着脱装置の断面積よりも小さく、又は、等しい、ことを特徴とする請求項1に記載の充電インレット。
【請求項31】
前記充電端子に、第1メッキ層が設けられた、ことを特徴とする請求項1に記載の充電インレット。
【請求項32】
前記第1メッキ層の材質は、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、亜鉛、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀及び銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む、ことを特徴とする請求項31に記載の充電インレット。
【請求項33】
前記着脱装置の表面に、第2メッキ層が設けられた、ことを特徴とする請求項1に記載の充電インレット。
【請求項34】
前記第2メッキ層の材質は、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、亜鉛、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀及び銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む、ことを特徴とする請求項33に記載の充電インレット。
【請求項35】
前記充電端子に、第1メッキ層が設けられ、
前記着脱装置の表面に、第2メッキ層が設けられ、
前記第2メッキ層と前記第1メッキ層の材質が異なる、ことを特徴とする請求項1に記載の充電インレット。
【請求項36】
前記フラットケーブルの少なくとも一部に、第3メッキ層が設けられ、
前記第3メッキ層の材質は、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、亜鉛、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀及び銀金ジルコニウム合金のうちの1種または複数種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の充電インレット。
【請求項37】
請求項1~36のいずれか1項に記載の充電インレットを備えた、ことを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年8月6日に提出された、出願番号202110904550.6、発明名称が「充電インレット及び自動車」である中国特許出願の優先権を主張しており、当該特許出願の全ての内容がここに取り込まれる。
【0002】
本発明は、電気接続素子の接続の技術分野に関し、特に、充電インレット及び自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー車に向けた新エネルギーバッテリーは、充電システムによってエネルギーの補足が行われる。充電システムにおける充電インレットには、充電端子及びケーブルが含まれることが一般的である。充電端子とケーブルは、充電インレットの内部において接続され、充電端子が充電インレット本体に固定され、ケーブルがリアカバーを貫通している。挿抜回数が多すぎたり、回路が短絡されたりすることにより、充電インレットにおける一部の充電端子は、損傷を受けることがある。充電端子をメンテナンス・交換する場合、まず、充電インレットにおけるケーブルの全てを、車体から取外した後、充電インレットのリアカバーを取外し、固定クリップを外してから、ケーブルに接続された充電端子を取り出す必要がある。
【0004】
充電端子が圧着接続又は溶接接続の方式によってケーブルに接続されたことが一般的であるため、損傷を受けた電気接続装置を切り落す必要がある。また、ケーブルの長さは、修理用の余裕がないように設定されたので、ケーブルの交換も必要となる可能性がある。その場合、充電インレットをメンテナンスするには、ケーブル全体の外装やテープを全部、剥がす必要があるので、相当な工数がかかり、取り外されるべき部品の数も多い。そのため、充電インレットを丸ごと交換するように選択する場合も数多く、アフターサービスのメンテナンスのコストが高いものである。そのため、従来技術における上記問題を解決できる新しい方案が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、充電インレットにおける充電端子が損傷を受けた場合、充電端子を交換することが困難であったという問題を解決するために、充電インレット及び自動車を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、以下の技術案によって実現されてもよい。
【0007】
本発明は、充電インレットであって、充電インレット本体と、充電端子と、着脱装置と、フラットケーブルと、を備え、前記着脱装置は、前記フラットケーブルの導体と電気的に接続され、前記着脱装置は、前記充電インレット本体に固定して取り付けられ、前記充電端子には、接続構造が設けられ、前記充電端子は、前記接続構造により前記着脱装置と着脱可能に接続された充電インレットを提供する。
【0008】
一の方面では、前記充電インレット本体の先端に、収容キャビティが設けられ、前記着脱装置は、前記収容キャビティの内部に設けられ、前記充電端子は、前記収容キャビティの開口から挿入されて、前記接続構造により前記着脱装置と着脱可能に接続された。
【0009】
他の方面では、前記着脱装置は、固定端を含み、前記固定端と前記フラットケーブルの導体との接続方式は、溶接方式、圧着方式、螺着方式または一体成形方式である。
【0010】
他の方面では、前記溶接方式は、抵抗溶接、摩擦溶接、超音波溶接、アーク溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接、圧力拡散溶接のうちの1つまたは複数を含む。
【0011】
他の方面では、前記フラットケーブルの導体に、貫通孔が設けられ、前記固定端は、ボルトおよびナットを含み、前記ボルトは、前記貫通孔に穿設されて、前記ナットに螺着された。
【0012】
他の方面では、前記ボルトが前記ナットに螺着されたトルクの範囲が0.1N・m~30N・mである。
【0013】
他の方面では、前記フラットケーブルの導体に、第1ねじ孔が設けられ、前記固定端は、スタッドを含み、前記スタッドは、前記第1ねじ孔に螺着された。
【0014】
他の方面では、前記スタッドが前記第1ねじ孔に螺着されたトルクの範囲が0.1N・m~30N・mである。
【0015】
他の方面では、前記着脱装置の数は、2個~36個である。
【0016】
他の方面では、前記充電インレット本体に、係止溝が設けられ、前記フラットケーブルは、前記係止溝に穿設されており、前記係止溝は、前記フラットケーブルが前記スタッドの軸方向に沿って移動することを阻止するように構成された。
【0017】
他の方面では、前記係止溝に、線出口が設けられ、前記フラットケーブルが前記線出口を介して前記係止溝に穿設されている。
【0018】
他の方面では、前記線出口は、前記充電インレット本体の側方方向に向かって設けられた。
【0019】
他の方面では、前記線出口が向かう方向は、前記充電インレット本体の側方方向とは一定の角度をなす。
【0020】
他の方面では、前記フラットケーブルと前記充電インレット本体の間には、ガスケットが設けられた。
【0021】
他の方面では、前記充電端子の後端に、取外部が設けられ、前記取外部の断面形状がフラット形状または多角形である。
【0022】
他の方面では、前記着脱装置は、前記接続構造と着脱可能に接続されるための着脱構造をさらに含む。
【0023】
他の方面では、前記着脱構造は、前記接続構造と螺着され、その螺着のトルクの範囲が0.1N・m~30N・mである。
【0024】
他の方面では、前記着脱構造は係止爪であり、前記接続構造は係止溝であり、又は、前記着脱構造は係止溝であり、前記接続構造は係止爪であり、前記着脱構造と前記接続構造とが係止された接続力の範囲は5N~500Nである。
【0025】
他の方面では、前記着脱構造と前記接続構造とが係止された接続力の範囲は15N~300Nである。
【0026】
他の方面では、前記充電インレット本体は、固定部をさらに含み、前記固定部が前記フラットケーブルを前記充電インレット本体に固定して接続する。
【0027】
他の方面では、前記充電インレット本体には、第2ねじ孔が設けられ、前記固定部には、接続孔が設けられ、前記固定部はねじをさらに含み、前記ねじが前記接続孔を貫通して前記第2ねじ孔に螺着されたことで、前記固定部を前記充電インレット本体に固定して接続する。
【0028】
他の方面では、前記充電端子の数は、2個~36個である。
【0029】
他の方面では、前記フラットケーブルの材質は、銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金のうちのいずれか一つである。
【0030】
他の方面では、前記充電インレット本体に、温度センサ及び制御盤が設けられ、前記温度センサは、データ線によって前記制御盤と電気的に接続された。
【0031】
他の方面では、前記温度センサは、前記フラットケーブルの導体に接触して接続された。
【0032】
他の方面では、前記温度センサは、前記フラットケーブルの導体と一体成形された。
【0033】
他の方面では、前記制御盤は回路基板であり、前記回路基板には、制御論理回路が内蔵された。
【0034】
他の方面では、前記温度センサは、NTC温度センサまたはPTC温度センサである。
【0035】
他の方面では、前記温度センサは、前記着脱装置に設けられた。
【0036】
他の方面では、前記充電端子の前記接続構造の断面積は、前記着脱装置の断面積よりも小さく、又は、等しい。
【0037】
他の方面では、前記充電端子には、第1メッキ層が設けられた。
【0038】
他の方面では、前記第1メッキ層の材質は、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、亜鉛、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀及び銀金ジルコニウム合金のうち1種または複数種を含む。
【0039】
他の方面では、前記着脱装置の表面には、第2メッキ層が設けられた。
【0040】
他の方面では、前記第2メッキ層の材質は、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、亜鉛、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀及び銀金ジルコニウム合金のうち1種または複数種を含む。
【0041】
他の方面では、前記第2メッキ層と前記第1メッキ層の材質が異なる。
【0042】
他の方面では、前記フラットケーブルの少なくとも一部に、第3メッキ層が設けられ、前記第3メッキ層の材質は、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、亜鉛、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀及び銀金ジルコニウム合金のうち1種または複数種を含む。
【0043】
本発明は、上記充電インレットを備えた自動車をさらに提供する。
【発明の効果】
【0044】
本発明は、以下のような特徴及び利点を有する。
当該充電インレットでは、充電端子が損傷を受けた場合又は充電端子とケーブルとの接触に不具合があった場合、充電端子を前面から取り外し、電気接続装置及びケーブルを充電インレットから取り外して、電気接続装置を交換した後、再び取り付けるだけで済むが、充電インレットを丸ごと取り外す必要がなく、ケーブルの交換も不要となるため、充電インレットにおける電気接続装置が損傷を受けた場合、メンテナンス作業が煩雑となるという技術的課題が解決された。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下は、実施例の説明に必要な添付図面を簡単に紹介するが、明らかなことに、以下の説明における添付図面は、本発明における幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力を払わずに、それらの添付図面に基づいて他の添付図面をさらに取得することができるものである。
【
図1】本発明の実施例における充電インレット本体の側視図である。
【
図3】本発明の実施例における充電端子の構造模式図である。
【
図4】本発明の実施例における充電端子の正面図である。
【
図5】本発明の実施例における充電端子の右側面図である。
【
図6】本発明の実施例におけるフラットケーブルの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下は、本発明における実施例の添付図面を組み合わせながら、本発明における実施例の技術案を明確かつ完全に記述するが、明らかなことに、記述している実施例は本発明における一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例を基にして、当業者は、創造的な労力を払わずに取得した全ての他の実施例がいずれも、本発明の保護範囲に入っている。
【0047】
本発明は、充電インレットを提供し、
図1および
図2に示されるように、充電インレット本体1と、充電端子2と、着脱装置3と、フラットケーブル7と、を備え、前記着脱装置3は、前記フラットケーブル7の導体と電気的に接続され、前記着脱装置3は、前記充電インレット本体1に固定して取り付けられ、前記充電端子2に接続構造9が設けられ、前記充電端子2は、前記接続構造9によって前記着脱装置3と着脱可能に接続された。
【0048】
従来の充電インレットでは、充電端子2は、充電インレット本体1との挿抜がよく行われる部材であり、充電電流を導通するための重要な部品でもある。長期的に亘る使用過程において、挿抜操作が頻繁的に行われるので、充電端子2には、変形現象が発生したり、メッキ層が破壊されたりすることがあり、それに加えて、電流が大きすぎると、充電端子2はスパークされて溶けてしまうこともあり、その場合、充電端子2の導電機能が発揮できなくなる。また、充電端子2が外界環境に曝されると、環境中の水または塩によって腐食されるので、充電端子2の電気的性能が要求を満たさなくなる場合もある。そのため、充電インレットの全体からすると、充電端子2は、最も損傷を受けやすい部品である。ただし、現在の充電インレットのほとんどは、充電端子2が充電インレット本体1に固定して取り付けられるとともに、ケーブルと溶接接続されたため、充電端子2が損傷を受けた場合、充電端子2及びケーブル21を全部、充電インレット本体1から取り外して交換を行う必要があり、ひどい場合には、充電インレット本体1を丸ごと交換する必要がある。よって、メンテナンス作業が煩雑なものとなり、メンテナンス工事には相当な工数がかかり、メンテナンスコストが高くなり、現時点で、充電自動車業界の発展を制約する主な問題の一つともなる。
【0049】
本発明が提供する充電インレットでは、充電端子2が損傷を受けた場合、充電端子2を充電インレット本体1から取り外して、充電端子2を交換した後、再び取り付けるだけで済むが、充電インレット本体1を丸ごと取り外す必要がなく、ケーブルを交換することも不要となるため、充電インレット本体1における充電端子2が損傷を受けた場合、メンテナンス作業が煩雑となるという技術的課題が解決された。
【0050】
一の実施例では、前記充電インレット本体1の先端に、収容キャビティが設けられ、前記着脱装置3は、前記収容キャビティの底部に設けられ、前記充電端子2は、前記収容キャビティの開口から挿入されて、前記接続構造9を介して、前記着脱装置3と着脱可能に接続された。
【0051】
他の実施例では、前記着脱装置3は、固定端31を含み、前記固定端31と前記フラットケーブル7の導体とは、溶接方式、圧着方式、螺着方式または一体成形方式によって接続された。溶接方式では、着脱装置3とフラットケーブル7との接続をより強固にさせることができる。螺着方式では、着脱装置3をより容易に着脱させることができ、この場合、他の部材に影響を与えることなく、着脱装置3を個別的に取り外すことができるようになる。
【0052】
一の実施例では、前記溶接方式は、抵抗溶接、摩擦溶接、超音波溶接、アーク溶接、レーザー溶接、電子ビーム溶接、圧力拡散溶接のうちの1つまたは複数を含む。
【0053】
超音波溶接方式とは、高周波振動波を2つの溶接対象となる物体の表面へ伝達して、加圧される場合、2つの物体の表面を互いに摩擦させて分子層間の融合を形成することである。
【0054】
抵抗溶接方式とは、強い電流が電極とワークの間の接触点を流れることにより、接触抵抗が熱量を発して溶接を実現させる方法である。
【0055】
アーク溶接方式とは、アークを熱源として、空気放電という物理的現象により、電気エネルギーを溶接に必要な熱エネルギーおよび機械エネルギーに変換して、金属を接続するという目的を達成させることであり、主な方法として、被覆アーク溶接、サブマージアーク溶接、ガスシールド溶接などがある。
【0056】
圧力溶接方式とは、半田部材に対して圧力を印加することによって、接合面を緊密に接触させてある程度の塑性変形を発生させて溶接を完成する方法である。
【0057】
電子ビーム溶接方式とは、加速され集光された電子ビームが真空または非真空中に置かれた溶接面に衝撃することによって、溶接されるワークを溶かして溶接を実現させる方法である。
【0058】
レーザー溶接方式とは、高エネルギー密度なレーザビームを熱源とする高効率な精密溶接方法によって一体成形させる方法である。
【0059】
摩擦溶接方式とは、ワークの接触面上の摩擦によって生じた熱量を熱源として、ワークを圧力による作用で塑性変形させて溶接する方法である。
【0060】
前記フラットケーブルの導体に貫通孔が設けられ、前記固定端31は、ボルトおよびナット6を含み、
図6に示されるように、前記ボルトは、前記貫通孔に穿設されて、前記ナット6に螺着された。
【0061】
好適な実施形態では、前記ボルトが前記ナット6に螺着されたトルクの範囲が0.1N・m~30N・mである。
【0062】
ボルトが前記ナット6に螺着されたトルクの範囲による、充電端子2とフラットケーブル7との電気的接続性能への影響を検証するために、発明者は、同一の充電端子2、フラットケーブル7、ボルトおよびナット6に対して、異なるトルクで、それらを締結する。そして、充電端子2とフラットケーブル7との接触抵抗、および、振動試験が行われたボルトと前記ナット6との接続状況をそれぞれ、測定する。試験結果を表1に示す。
【0063】
充電端子2とフラットケーブル7との接触抵抗に対する測定方法は、以下の通りである。精密抵抗測定器を用いて、その精密抵抗測定器の測定端の一端を充電端子2に、他端をフラットケーブル7に置いてから、精密抵抗測定器における接触抵抗の読み値を読み取る。ここで、測定するたびに、精密抵抗測定器の測定端を同一の位置に置くこととなる。本実施例では、接触抵抗が1mΩよりも大きくものを不合格なものとする。
【0064】
振動試験とは、接続後の試料を振動試験台に置き、振動循環を300回行った後、ボルトと前記ナット6との接続が抜ける現象があったか否かを観察する。ここで、1回の振動循環では、6つの方向での振動を必要とし、周波数が100Hzで、一方向加速度が40m/s2である。本実施例では、ボルトと前記ナット6との接続が抜ける場合を不合格とする。
【0065】
【0066】
上記表1から分かるように、ボルトがナット6にが螺着されたトルクの値が0.1N・mよりも小さい場合、充電端子2とフラットケーブル7との接触抵抗値が不合格なものになり、且つ、振動試験を経て、ボルトとナット6との接続が抜けた。そのため、発明者は、ボルトがナット6にが螺着されたトルクの範囲の最小値を0.1N・mにする。ボルトがナット6にが螺着されたトルクの値が30N・mよりも大きい場合であっても、接触抵抗は、それ以上低下していくことが不可能である。そのため、発明者は、ボルトが前記ナット6に螺着されたトルクの範囲を、0.1N・m~30N・mにする。
【0067】
好適な実施形態では、前記フラットケーブル7の導体に、第1ねじ孔が設けられ、前記固定端31は、スタッドを含み、前記スタッドは、前記第1ねじ孔に螺着された。それにより、フラットケーブル7およびスタッドの迅速な交換が実現された。
【0068】
前記スタッドが前記第1ねじ孔に螺着されたトルクの範囲は、0.1N・m~30N・mである。
【0069】
スタッドが前記第1ねじ孔に螺着されたトルクの範囲による、スタッドと前記第1ねじ孔との電気的接続性能への影響を検証するために、発明者は、同一の充電端子2、スタッドおよび第1ね孔を採用して、異なるトルクで、それらを締結する。そして、スタッドと前記第1ねじ孔との接触抵抗、および、振動試験が行われたスタッドと前記第1ねじ孔との接続状況をそれぞれ、測定する。試験結果を表1に示す。
【0070】
スタッドと前記第1ねじ孔との接触抵抗の測定方法は、以下の通りである。精密抵抗測定器を用いて、その精密抵抗測定器の測定端の一端をスタッドに、他端を第1ねじ孔の隣に置いて、精密抵抗測定器における接触抵抗の読み値を読み取る。ここで、測定するたびに、精密抵抗測定器の測定端を同一の位置に置くこととなる。本実施例では、接触抵抗が1mΩよりも大きくなる状況を不合格なものとする。
【0071】
振動試験とは、接続後の試料を振動試験台に置き、振動循環を300回行った後、第1ねじ孔が抜けた現象があったか否かを観察する。ここで、1回の振動循環では、6つの方向での振動を必要とし、周波数が100Hzで、一方向加速度が40m/s2である。本実施例では、第1ねじ孔が抜けた状況を不合格とする。
【0072】
【0073】
上記表2から分かるように、スタッドが第1ねじ孔に螺着されたトルクの値が0.1N・mよりも小さい場合、スタッドと第1ねじ孔との接触抵抗値が不合格なものになり、且つ、振動試験を経て、スタッドは、第1ねじ孔との接続が抜けた。そのため、発明者は、スタッドが第1ねじ孔に螺着されたトルクの範囲の最小値を0.1N・mにする。スタッドが第1ねじ孔に螺着されたトルクの値が30N・mよりも大きい場合であっても、接触抵抗は、それ以上低下していくことが不可能である。そのため、発明者は、スタッドが第1ねじ孔に螺着されたトルクの範囲を、0.1N・m~30Nm・mにする。
【0074】
一実施形態では、前記着脱装置の数は、2個~36個である。充電端子2の数は同様2個~36個である。即ち、充電端子2を全部、着脱可能な機構として設置してもよい。よって、いずれかの充電端子2が損傷を受けた場合、迅速な交換が可能となり、メンテナンスにかかる時間が節約され、メンテナンスコストが低減された。
【0075】
好適な実施形態では、前記充電インレット本体に、係止溝が設けられ、前記フラットケーブル7は、前記係止溝に穿設されており、前記係止溝は、前記フラットケーブル7が前記スタッドの軸方向に沿って移動することを阻止するように構成された。
【0076】
一の実施例では、充電インレット本体1に、線出口11が設けられ、フラットケーブル7が線出口11を介して充電インレット本体1に穿設されている。それにより、フラットケーブル7の挿抜や組立を容易にするとともに、フラットケーブル7が取り付けられた位置を封止して、充電インレット本体1の防水性を確保することができ、操作がさらに便利なものとなり、組立効率が向上した。
【0077】
線出口11は、フラットケーブル7の引出し位置および引出し方向を限定することができる。一実施形態では、線出口11は、前記充電インレット本体1の側方方向に向かって設けられた。線出口11は、上下方向に設けられ、フラットケーブル7は、上下方向に引き出される。しかも、フラットケーブル7が折り曲げられることができる。一実施形態では、線出口11は、水平方向に設けられ、フラットケーブル7は、水平方向に引き出される。しかも、フラットケーブル7が折り曲げられてもできる。さらに、充電インレット本体1に、少なくとも2組の線出口11が設けられ、一方の組の線出口11が上下方向に設けられ、他方の組の線出口11が水平方向に設けられ、使用時、そのうちのいずれか1組を選択してフラットケーブル7を配置することで、フラットケーブル7の引出し方向を取付環境とマッチングさせることができる。
【0078】
一実施形態では、前記線出口11が向かう方向は、前記充電インレット本体1の前後方向とは一定の角度をなす。充電インレット本体1の取付環境において、充電インレット本体1のフラットケーブル7の引き出し方向は、必ずしも充電インレット本体1の後方または側方にあるとは限らず、充電インレット本体1の軸方向と一定の角度をなしてもよい。線出口11が向かう方向は、取付環境においてフラットケーブル7に対して求められる引出し方向に直接に設定されてもよい。よって、フラットケーブル7を再び折り曲げることが避けられ、取付時にも直接に取り付けることが可能であり、フラットケーブル7の高硬度に起因して折り曲げて取り付けることができないのも避けられる。
【0079】
好適な実施形態では、前記フラットケーブル7と前記充電インレット本体1の間には、ガスケット4が設けられた。よって、
図1に示されるように、水または塵埃が充電インレット本体1内に入り込むことが効果的に避けられる。
【0080】
好適な実施形態では、前記充電端子2の後端に、取外部8が設けられ、
図3および
図5に示されるように、前記取外部8の断面形状がフラット形状または多角形である。
【0081】
一の実施例では、前記着脱装置は、前記接続構造9と着脱可能に接続されるための着脱構造をさらに含む。着脱構造は、一端が着脱装置における固定端31に接続され、他端が接続構造9と着脱可能に接続される。
【0082】
好適な実施形態では、前記着脱装置は、着脱構造をさらに含み、前記着脱構造が前記接続構造9と螺着された。具体的な螺着方式として、様々な方式がある。例えば、着脱構造は、雄ネジを有し、接続構造9は、雌ネジを有し、
図4に示されるように、接続構造9は、着脱構造の外に嵌合されて、螺着されてもよい。或いは、着脱構造は雌ねじを有し、接続構造9は雄ねじを有し、接続構造9は、着脱構造の内に入って螺着される。よって、充電端子2が損傷を受けて交換される必要がある場合、直接に容易に取り外して、新しい充電端子2に交換することができる。
【0083】
着脱構造は、前記接続構造9と螺着された場合のトルクの範囲が0.1N・m~30N・mである。
【0084】
着脱構造が前記接続構造9に螺着されたトルクの範囲による、着脱構造と前記接続構造9との電気的接続性能への影響を検証するために、発明者は、同一の着脱構造と前記接続構造9を採用して、異なるトルクで、それらを締結する。そして、着脱構造と前記接続構造9との接触抵抗、および、振動試験が行われた着脱構造と前記接続構造9との接続状況をそれぞれ、測定する。試験結果を表3に示す。
【0085】
着脱構造と前記接続構造9との接触抵抗の測定方法は、以下の通りである。精密抵抗測定器を用いて、その精密抵抗測定器の測定端の両端を、それぞれ、着脱構造と前記接続構造9に設置してから、精密抵抗測定器における接触抵抗の読み値を読み取る。ここで、測定するたびに、精密抵抗測定器の測定端を同一の位置に置くこととなる。本実施例では、接触抵抗が1mΩよりも大きくなる状況を不合格なものとする。
【0086】
振動試験とは、接続後の試料を振動試験台に置き、振動循環を300回行った後、着脱構造と前記接続構造9との接続が抜けた現象があったか否かを観察する。ここで、1回の振動循環では、6つの方向での振動を必要とし、周波数が100Hzで、一方向加速度が40m/s2である。本実施例では、着脱構造と前記接続構造9との接続が抜けた状況を不合格とする。
【0087】
【0088】
上記表3から分かるように、着脱構造が前記接続構造9に螺着されたトルクの値が0.1N・mよりも小さい場合、着脱構造と前記接続構造9との接触抵抗値が不合格なものになり、且つ、振動試験を経て、着脱構造と前記接続構造9の接続が抜けた。そのため、発明者は、着脱構造が前記接続構造9に螺着されたトルクの範囲の最小値を0.1N・mにする。着脱構造が前記接続構造9に螺着されたトルクの値が30N・mよりも大きい場合であっても、接触抵抗は、それ以上低下していくことが不可能であるので、発明者は、着脱構造が前記接続構造9に螺着されたトルクの範囲を0.1N・m~30N・mにする。
【0089】
一の実施例では、前記着脱構造は係止爪であり、前記接続構造9は係止溝であり、又は、前記着脱構造は係止溝であり、前記接続構造9は係止爪であり、前記着脱構造と前記接続構造9とが係止された接続力の範囲は5N~500Nである。
【0090】
着脱構造と前記接続構造9とが係止された接続力による導電率への影響を測定するために、発明者は、同じ形状および同じ膨張収縮スリット幅を有する、着脱構造と前記接続構造9のペアを10対選定して測定した。測定の結果を表2に示す。
【0091】
【0092】
表4から分かるように、接続力が5Nよりも小さく、又は、500Nよりも大きい場合、導電率が明らかに低下し、実際な要求を満たすことができない。接続力が5Nよりも大きく、且つ、500Nよりも小さい場合、導電性能が良好である。接続力が15Nよりも大きく、且つ、300Nよりも小さい場合、導電性能が同様に優れている。しかし、接続力が300Nよりも大きい場合、導電率の増加が目立たなくて、加工処理が困難となる。そのため、発明者は、接続力が15N~300Nであることが好ましいと確認した。
【0093】
好適な実施形態では、前記充電インレット本体1は、固定部をさらに含み、前記固定部が前記フラットケーブル7を前記充電インレット本体に固定して接続する。
【0094】
具体的には、前記充電インレット本体1に、第2ねじ孔が設けられ、前記固定部に、接続孔が設けられ、前記固定部はねじをさらに含み、前記ねじが前記接続孔を貫通して前記第2ねじ孔に螺着されたことで、前記固定部を前記充電インレット本体1に固定して接続する。即ち、フラットケーブル7が着脱装置3と接続された後、固定部によってさらに固定してもよい。具体的には、フラットケーブル7の一部は、固定部と充電インレット本体1とによって充電インレット本体1に挟まれて固定されるようにしてもよい。
【0095】
一の実施例では、前記フラットケーブル7の材質は、銅または銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金の一種である。電気自動車のケーブルとして、高電圧や大電流の場合に備えて、電流を伝導するための大線径の導線が用いられる必要がある。銅材質の導体材料は、良好な導電性能及び延性を有するため、フラットケーブル7の導体材料として好適なものである。しかし、銅価格が日増しに高くなるにつれて、導線の材料として、銅材が用いられると、コストも高くなるに決まっている。そのため、コスト削減のために、金属銅の代替品を探し始めた。地殻における金属アルミニウムの含有量は約7.73%である。精製技術の最適化により、金属アルミニウムの価格は比較的に低くなる。しかも、アルミニウムは、重量が銅よりも軽く、導電率が銅に次ぐものであるため、電気接続の分野では、アルミニウムは一部の銅の代替品として用いられてもよい。そのため、自動車の電気接続の分野において、銅の代わりに、アルミニウムが用いられるという発展の傾向がある。
【0096】
前記充電インレット本体1に、温度センサ及び制御盤が設けられ、前記温度センサは、データ線によって前記制御盤と電気的に接続された。
【0097】
さらに、前記温度センサは、前記フラットケーブル7の導体に接触して接続された。
【0098】
或いは、前記温度センサは、前記着脱装置3に設けられた。
【0099】
さらに、前記温度センサは、前記フラットケーブル7の導体と一体成形された。一体成形の設計を採用することにより、取付けで更に便利となり、測定された温度値もさらに正確なものとなる。
【0100】
温度センサは、温度信号を制御盤に伝送することにより、フラットケーブル7又は着脱装置3の導体の温度を監視することが可能にして、温度が高すぎることによる損傷が避けられる。また、温度センサは、フラットケーブル7の導体と直接に接続され、フラットケーブル7の導体の温度値をリアルタイムに取得して、制御盤に伝送してもよい。制御盤は、充電電流を調整することで、フラットケーブル7の導体または着脱装置3の温度値を制御する。それにより、フラットケーブル7の導体に対する温度の測定精度が、理論的絶対値に近くまたは同等するほどのものとなり、検出精度が極めて高く、迅速な出力能力も有する。
【0101】
さらに、制御盤は、回路基板であり、回路基板に制御論理回路が内蔵された。当該制御論理回路によれば、温度センサによって検出された温度が定められた温度よりも高いとき、制御盤は、アラーム情報を発行することにより、温度をリアルタイムに監視することが可能である。温度センサによって検出された温度が定められた温度よりも所定値高くなったとき、制御盤は、充電システムが自動で遮断されるように制御し、温度が高すぎることによる危険が避けられる。
【0102】
具体的に、温度センサは、NTC温度センサまたはPTC温度センサであってよい。その2種類の温度センサが用いられると、以下のような利点が考えられる。体積が小さいので、他の温度計によって測定できない隙間まで測定できるようになる。使用が便利なもので、抵抗値が0.1Ω~100kΩの範囲から任意に選択されたものであることが可能である。複雑な形状を有するものに加工されやすく、大量生産が可能となり、安定性が良く、過負荷能力が強いので、変換アダプタのような、小体積および安定した性能が求められる製品に適する。
【0103】
前記充電端子2の接続構造9の断面積は、前記着脱装置3の断面積よりも小さく、又は、等しいようにすることによって、接続された箇所における電気抵抗の抵抗値が大きすぎないようにすることができる。
【0104】
銅は、活性金属として、使用中に酸素や水との酸化反応を起こしてしまうため、メッキ層として、一つまたは1つ以上の不活性金属が用いられる必要があり、それで、端子の使用寿命を延ばすことができる。また、挿抜がよく行われる金属接点についても、同様に、耐摩耗性が優れた金属をメッキ層とする必要がある。よって、接点の使用寿命を大幅に伸ばすことができる。そして、接点には、良好な導電性能も求められるため、上述した金属の導電性も安定性も、銅または銅合金よりも優れているので、端子に更に良好な電気的性能をもたらさせるともに、使用寿命も更に長く延ばすことができる。
【0105】
一の実施例では、前記充電端子2に、第1メッキ層が設けられた。
【0106】
前記第1メッキ層の材質は、金、銀、ニッケル、錫、亜鉛、錫鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀及び銀金ジルコニウム合金のうち1種または複数種を含む。
【0107】
充電端子2は、使用中に酸素や水と酸化反応を起こしてしまうため、メッキ層として、一つまたは1つ以上の不活性金属が用いられる必要があり、それで、端子の使用寿命を延ばすことができる。また、挿抜がよく行われる金属接点についても、同様に、耐摩耗性が優れた金属をメッキ層とする必要がある。よって、接点の使用寿命を大幅に伸ばすことができる。そして、接点には、良好な導電性能も求められるため、上述した金属の導電性も安定性も、銅または銅合金よりも優れているので、端子に更に良好な電気的性能をもたらさせるとともに、使用寿命も更に長く延ばすことができる。
【0108】
さらに、前記着脱装置の表面に、第2メッキ層が設けられた。
【0109】
好ましくは、前記第2メッキ層の材質は、金、銀、ニッケル、錫、亜鉛、錫鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀及び銀金ジルコニウム合金のうち1種または複数種を含む。
【0110】
異なるメッキ層材質による充電端子2の全体的性能への影響を検証するために、発明者は、同じ仕様や材質を有するが、異なるメッキ層材質が用いられた充電端子2の試料に対して、同じ仕様の相手側プラグインを用いて、挿抜回数及び耐腐食性時間に関する一連のテストを行った。選定された材料および他の汎用的な電気的メッキ材料のそれぞれのメリット及びデメリットを証明するために、発明者は、同様に、錫、ニッケル、亜鉛も実験用のメッキ層材質として選択した。実験結果を以下の表5に示す。
【0111】
下表5における挿抜回数に関するテストは以下のように行われる。充電端子2をそれぞれ、実験台に固定して、機械装置により、端子に挿抜動作をシミュレーションさせ、且つ、100回の挿抜が行われたたびに、一旦停止し、充電端子2の表面におけるメッキ層の破壊状況を観察し、端子の表面におけるメッキ層に擦過傷が現われて端子そのものの材質が露出すると、実験を終了させて、そのときの挿抜回数を記録した。本実施例では、挿抜回数が8000回よりも小さい場合を不合格とする。
【0112】
表5における耐腐食性時間に関するテストは以下のように行われる。充電端子2を塩水噴霧試験箱内に置いて、端子における各位置に対して塩水噴霧を行い、20時間おきに充電端子2を取り出して表面の腐食状況を観察する。そのような一系列の操作を1サイクルとする。そして、端子の表面における腐食面積が総面積の10%超過となったと、テストを終了させて、そのときのサイクル数を記録する。本実施例では、サイクル数が80回よりも小さい場合を不合格とする。
【0113】
下表5からも分かるように、充電端子2のメッキ層材質は、汎用的な金属錫、ニッケルまたは亜鉛である場合、その実験の結果が選定された他の金属の場合よりもはるかに劣る。ニッケルのメッキ層は、挿抜回数に関するテストに合格したが、合格基準よりもあまり多く超えるものではなく、しかも、塩水噴霧実験には、不合格なものとなった。これに対して、選定された他の金属の実験結果は、標準値よりも大きく超えたので、性能の観点では、比較的安定したことが明らかになった。そのため、発明者は、メッキ層の材質として、金、銀、銀アンチモン合金、グラファイト銀、グラフェン銀、パラジウムニッケル合金、錫鉛合金および銀金ジルコニウム合金から1種または複数種を選択した。
【0114】
【0115】
前記第2メッキ層と前記第1メッキ層の材質が異なる。異なるメッキ層の間は、必要に応じて異なるメッキ材質の組合を選択されてもよい。例えば、必要に応じて、導電率が更に高いとなるメッキ材質の組合せを選択してもよいし、耐腐食効果が更に良好な組合せを選択してもよいし、様々な要素を総合的に考慮したうえで、実際な作業環境に最も適する組合せを選択してもよい。
【0116】
一の実施例では、前記フラットケーブル7の少なくとも一部に、第3メッキ層が設けられ、前記第3メッキ層の材質は、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、亜鉛、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀及び銀金ジルコニウム合金のうち1種または複数種を含む。
【0117】
異なるメッキ層材質によるフラットケーブル7の性能への影響を検証するために、発明者は、同じ仕様や材質を有するが、異なるメッキ層材質が用いられたフラットケーブル7の試料を選択してテストを行った。選定された材料および他の汎用的な電気的メッキ材料のそれぞれのメリット及びデメリットを証明するために、発明者は、同様に、錫、ニッケル、亜鉛を実験用のメッキ層材質として選択した。実験結果を以下の表6に示す。
【0118】
下表6における耐腐食性時間のテストは以下のように行われる。フラットケーブル7を塩水噴霧試験箱内に置いて、端子における各位置に対して塩水噴霧を行い、20時間おきに充電端子2を取り出して表面の腐食状況を観察する。そのような一系列の操作を1サイクルとする。そして、端子の表面における腐食面積が総面積の10%超過となったときに、テストを終了させて、そのときの操作のサイクル数を記録する。本実施例では、サイクル数が80回よりも小さい状況を不合格とする。
【0119】
下表6からも分かるように、フラットケーブル7のメッキ層材質は、汎用的な金属錫、ニッケル、亜鉛である場合、その実験の結果が選定された他の金属の場合よりもはるかに劣る。これに対して、選定された他の金属の実験結果は、標準値よりも大きく超えたので、性能の観点では、比較的安定したことが明らかになった。そのため、発明者は、メッキ層の材質として、金、銀、銀アンチモン合金、グラファイト銀、グラフェン銀、パラジウムニッケル合金、錫鉛合金および銀金ジルコニウム合金から1種または複数種を選択した。
【0120】
【0121】
本発明は、上述したような充電インレットを備えた自動車をさらに開示している。当該充電インレットは、生産・製造過程が簡単で、加工が容易なものであるため、充電インレットの加工工数が大幅に低減される。また、自動車の使用過程において、充電インレットでは、電気接続装置のみが損傷を受けた場合、充電インレット及び使用済ケーブルを丸ごと取り外す必要がなく、充電端子2のみを取り外すだけで済むので、メンテナンス工程が簡単で操作されやすく、かかる工数が少なくて、メンテナンスコストが低い。本発明に開示の自動車のコスト及びメンテナンス費用が大幅に低減された。
【0122】
以上に説明の内容は、本発明の幾つかの実施例に過ぎない。当業者は、出願文書に開示の内容に基づき、本発明の精神や範囲から逸脱しない限り、本発明の実施例に対する種々の変更や変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0123】
1 充電インレット本体
2 充電端子
3 着脱装置
31 固定端
4 ガスケット
5 係止溝
6 ナット
7 フラットケーブル
8 取外部
9 接続構造
11 線出口
【国際調査報告】