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特表2024-531941レジスト剥離液組成物及びそれを用いたパターン形成方法
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  • 特表-レジスト剥離液組成物及びそれを用いたパターン形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】レジスト剥離液組成物及びそれを用いたパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/42 20060101AFI20240827BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G03F7/42
H01L21/30 572B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508056
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 KR2022011069
(87)【国際公開番号】W WO2023018072
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0106146
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0090791
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン・シク
(72)【発明者】
【氏名】カン,ハン・ビョル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン・ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】パン,スン・フン
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ヒョン・ジン
【テーマコード(参考)】
2H196
5F146
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196LA03
5F146MA02
(57)【要約】
本発明の実施形態によれば、レジスト剥離液組成物及びそれを用いたパターン形成方法が提供される。レジスト剥離液組成物は、アンモニウムヒドロキシド系化合物を含むアルカリ化合物と、エタノールと、スルホキシド系化合物を含む極性有機溶媒と、を含む。剥離速度及びレジスト溶解力が向上したレジスト剥離液が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニウムヒドロキシド系化合物を含むアルカリ化合物と、エタノールと、スルホキシド系化合物を含む極性有機溶媒と、を含む、レジスト剥離液組成物。
【請求項2】
前記極性有機溶媒は、ジメチルスルホキシドを含む、請求項1に記載のレジスト剥離液組成物。
【請求項3】
前記アルカリ化合物は、アミン系化合物をさらに含む、請求項1に記載のレジスト剥離液組成物。
【請求項4】
前記アミン系化合物は、アルコキシアルキルアミンを含む、請求項3に記載のレジスト剥離液組成物。
【請求項5】
前記レジスト剥離液組成物の全重量に対して、前記アンモニウムヒドロキシド系化合物0.1~5重量%と、エタノール4~40重量%と、前記極性有機溶媒55~95重量%と、を含む、請求項1に記載のレジスト剥離液組成物。
【請求項6】
前記レジスト剥離液組成物の全重量に対して0.1~5重量%の脱イオン水をさらに含む、請求項5に記載のレジスト剥離液組成物。
【請求項7】
前記アンモニウムヒドロキシド系化合物の含有量と前記脱イオン水の含有量との差は2重量%以下である、請求項6に記載のレジスト剥離液組成物。
【請求項8】
基板上にフォトレジストパターンを形成するステップと、
前記フォトレジストパターンを用いて導電パターンを形成するステップと、
請求項1に記載の前記レジスト剥離液組成物を用いて、前記フォトレジストパターンを除去するステップと、を含む、パターン形成方法。
【請求項9】
前記フォトレジストパターンを除去するステップは、前記レジスト剥離液組成物によって前記フォトレジストパターンの下部から除去することを含む、請求項8に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
前記フォトレジストパターンは、前記基板から順次形成された第1フォトレジストパターンおよび第2フォトレジストパターンを含み、前記レジスト剥離液組成物によって前記第1フォトレジストパターンから除去される、請求項9に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
前記フォトレジストパターンを形成する前に前記基板上に導電層を形成するステップをさらに含む、請求項8に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
複数の前記フォトレジストパターンが形成され、前記導電パターンを形成するステップは、隣り合う前記フォトレジストパターンの間に導電物質を充填することを含む、請求項8に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト剥離液組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関する。より詳しくは、剥離性化合物および溶媒を含むレジスト剥離液組成物、並びにそれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造工程、ディスプレイ装置のパネル工程では、フォトレジストを用いる工程が行われる。例えば、基板上にフォトレジスト層を形成し、前記フォトレジスト層を露光及び現像してフォトレジストパターンを形成することができる。
【0003】
前記フォトレジストパターンは、エッチングマスク、配線形成用マスク、イオン注入工程マスクなどの様々なマスクパターンとして使用することができる。前述の工程が行われた後、前記フォトレジストパターン又はマスクパターンは、ストリップ及び/又はアッシング工程によって除去することができる。
【0004】
例えば、フォトレジストに剥離特性を有する化合物を含むストリップ溶液を前記フォトレジストパターン上に供給または噴射し、前記フォトレジストパターンを剥離することができる。
【0005】
前記フォトレジストパターンの剥離効率のためには、前記ストリップ溶液がフォトレジストに含まれた高分子物質に対して十分な溶解性を有することが好ましい。
【0006】
前記ストリップ溶液の溶解性が不足すると、剥離されたフォトレジストの残渣が基板上に残留することがあり、そのため、半導体装置またはディスプレイ装置の信頼性が低下し、製品不良を引き起こすこともある。
【0007】
例えば、特許文献1(韓国公開特許第10-2016-0033855号公報)は、アルカノールアミンを含むレジスト剥離液組成物を開示しているが、前述のように、溶解性不足によりレジスト残渣を生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2016-0033855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一つの課題は、向上した剥離効率及び信頼性を有するレジスト剥離液組成物を提供することである。
【0010】
本発明の一つの課題は、前記レジスト剥離液組成物を用いたパターン形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1.アンモニウムヒドロキシド系化合物を含むアルカリ化合物と、エタノールと、スルホキシド系化合物を含む極性有機溶媒と、を含む、レジスト剥離液組成物。
【0012】
2.前記項目1において、前記極性有機溶媒は、ジメチルスルホキシドを含む、レジスト剥離液組成物。
【0013】
3.前記項目1において、前記アルカリ化合物は、アミン系化合物をさらに含む、レジスト剥離液組成物。
【0014】
4.前記項目3において、前記アミン系化合物は、アルコキシアルキルアミンを含む、レジスト剥離液組成物。
【0015】
5.前記項目1において、前記レジスト剥離液組成物の全重量に対して、
前記アンモニウムヒドロキシド系化合物0.1~5重量%と、エタノール4~40重量%と、前記極性有機溶媒55~95重量%とを含む、レジスト剥離液組成物。
【0016】
6.前記項目5において、前記レジスト剥離液組成物の全重量に対して0.1~5重量%の脱イオン水をさらに含む、レジスト剥離液組成物。
【0017】
7.前記項目6において、前記アンモニウムヒドロキシド系化合物の含有量と前記脱イオン水の含有量との差は2重量%以下である、レジスト剥離液組成物。
【0018】
8.基板上にフォトレジストパターンを形成するステップと、前記フォトレジストパターンを用いて導電パターンを形成するステップと、前述の実施形態による前記レジスト剥離液組成物を用いて前記フォトレジストパターンを除去するステップと、を含む、パターン形成方法。
【0019】
9.前記項目8において、前記フォトレジストパターンを除去するステップは、前記レジスト剥離液組成物によって前記フォトレジストパターンの下部から除去することを含む、パターン形成方法。
【0020】
10.前記項目9において、前記フォトレジストパターンは、前記基板から順次形成された第1フォトレジストパターンおよび第2フォトレジストパターンを含み、前記レジスト剥離液組成物によって前記第1フォトレジストパターンから除去される、パターン形成方法。
【0021】
11.前記項目8において、前記フォトレジストパターンを形成する前に、前記基板上に導電層を形成するステップをさらに含む、パターン形成方法。
【0022】
12.前記項目8において、複数の前記フォトレジストパターンが形成され、前記導電パターンを形成するステップは、隣り合う前記フォトレジストパターンの間に導電物質を充填することを含む、パターン形成方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態によるレジスト剥離液組成物は、アルカリ化合物と、エタノールと、極性有機溶媒と、を含むことができる。エタノールは、前記アルカリ化合物およびフォトレジスト成分の両方に対して向上した溶解度を有する。これにより、前記アルカリ化合物およびフォトレジストとの接触によるフォトレジスト・ストリップ効率を向上させながら、ストリップされたフォトレジスト成分を溶解して除去することができる。したがって、ストリップ工程の後のフォトレジスト残渣の生成を防ぎ、ストリップの速度・効率を向上させることができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記剥離液組成物は、前記極性有機溶媒としてジメチルスルホキシドを含み、フォトレジストの膨潤を効果的に促進してストリップの速度・効率をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】例示的な実施形態によるパターン形成方法の概略断面図である。
図2】例示的な実施形態によるパターン形成方法の概略断面図である。
図3】例示的な実施形態によるパターン形成方法の概略断面図である。
図4】例示的な実施形態によるパターン形成方法の概略断面図である。
図5】例示的な実施形態によるパターン形成方法の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態は、アルカリ化合物と、エタノールと、極性有機溶媒と、を含み、向上したストリップ効率および信頼性を提供するレジスト剥離液組成物を提供する。また、前記レジスト剥離液組成物を用いたパターン形成方法を提供する。
【0027】
以下、実験例及び図面を参照して、本発明の実施形態をより具体的に説明する。ただし、本明細書に添付される実施形態は、本発明の好適な実施形態を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解する一助となる役割を果たすものであるため、本発明は実施形態に記載された事項のみに限定されて解釈されるものではない。
【0028】
<レジスト剥離液組成物>
例示的な実施形態によるレジスト剥離液組成物(以下、「剥離液組成物」と略記することもある。)は、アルカリ化合物と、エタノールと、極性有機溶媒と、を含むことができる。
【0029】
アルカリ化合物
アルカリ化合物は、露光および現像工程によって硬化されたフォトレジストパターンに対してエッチングまたはストリップ特性を有する化合物として使用することができる。例示的な実施形態によれば、前記アルカリ化合物は、前記剥離液組成物の主な剥離製剤として含まれ得る。
【0030】
例えば、前記アルカリ化合物により、硬化されたネガ型のレジスト樹脂内の分子内または分子間の結合を切断することができる。また、剥離工程後の基板またはウエハー上に残留するレジスト残渣を前記アルカリ化合物により除去することができる。
【0031】
例示的な実施形態によれば、前記アルカリ化合物は、アンモニウムヒドロキシド系化合物を含むことができる。例えば、前記アルカリ化合物は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどを含むことができる。これらは単独でまたは2以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、前記アルカリ化合物は、アミン系化合物をさらに含むことができる。前記アミン系化合物は、補助剥離製剤として含まれ、剥離速度または剥離効率をさらに向上させることができる。
【0033】
例えば、前記アミン系化合物は、第一級アミン、第二級アミンまたは第三級アミンを含むことができる。一実施形態では、前記アミン系化合物として、アルコキシアミンまたはアルコキシアルキルアミン、好ましくは、アルコキシアルキルアミンを使用することができる。この場合には、前記アンモニウムヒドロキシド系化合物との整合性およびレジスト残渣の溶解力を向上させることができる。
【0034】
前記アルコキシアルキルアミンの非限定的な例としては、3-メトキシプロピルアミン、3-ブトキシプロピルアミン、3-エトキシプロピルアミン、ビス(2-メトキシエチル)アミンなどが挙げられる。
【0035】
一実施形態では、前記アルカリ化合物または前記アミン系化合物は、ヒドロキシル基含有アミン(例えば、アルカノールアミン又はヒドロキシルアミン)を含まなくてもよい。前記ヒドロキシル基含有アミンは、前記アンモニウムヒドロキシド系化合物のストリップ特性をむしろ阻害することがあり、剥離液組成物のレジスト残渣に対する溶解力を低下させることがある。また、剥離工程中の金属パターン(例えば、銅配線)を酸化または腐食させ、工程信頼性を劣化させることがある。
【0036】
いくつかの実施形態では、前記剥離液組成物の全重量に対して、前記アンモニウムヒドロキシド系化合物の含有量は、約0.1~5重量%であってもよい。前記範囲では、レジスト樹脂に対する十分な剥離力を提供しながら、金属パターンに対する腐食を抑制することができる。
【0037】
好ましくは、アンモニウムヒドロキシ系化合物の含有量は、約0.3~5重量%であってもよい。
【0038】
前記アミン系化合物が含まれる場合、前記剥離液組成物の全重量に対して、前記アミン系化合物の含有量は約1~40重量%、好ましくは約5~30重量%であってもよい。
【0039】
エタノール
例示的な実施形態によれば、前記剥離液組成物はエタノールを含むことができる。エタノールは、前記アンモニウムヒドロキシド系化合物のキャリアまたは共溶媒として提供することができる。また、エタノールは、ネガ型のレジストパターンに吸収され、前記レジストパターンを膨潤させることができる。これにより、前記アンモニウムヒドロキシド系化合物の前記レジストパターンへの浸透力を向上させ、剥離速度および剥離効率を向上させることができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、前記剥離液組成物は、炭素数3以上のアルコール(ROHで表され、Rは炭素数3以上のアルキル基であるアルコールである。)を含まなくてもよい。前記炭素数3以上のアルコールは、硬化されたレジストパターンに対する溶解力を急激に低下させることがある。そのため、基板またはウエハー上のレジスト残渣を生じ、剥離工程の信頼性を全体的に劣化させることがある。
【0041】
いくつかの実施形態では、前記剥離液組成物はメタノールを含まなくてもよい。メタノールは、例えば70℃以上の温度で行われる剥離工程の際に揮発して除去され得る。そのため、剥離工程の経時安定性および信頼性が低下することがある。
【0042】
一実施形態では、エタノールを除くアルコール(メタノールまたはROHで表され、Rは炭素数3以上のアルキル基であるアルコールである。)は、たとえ含まれても、エタノールと比較して微量で含まれ得る。例えば、前記エタノールを除くアルコールは、エタノールの重量に対して1/2以下で含まれ得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、前記剥離液組成物の全重量中のエタノールの含有量は、約4~40重量%であってもよい。前記範囲では、レジスト樹脂に対する十分な剥離力を提供しながら、金属パターンに対する腐食を抑制することができる。
【0044】
好ましい一実施形態では、エタノールの含有量は約10~30重量%であってもよい。
【0045】
溶媒
極性有機溶媒は、前記アルカリ化合物を溶解させながら、硬化されたレジストパターンを膨潤させることができる。前述の溶解性および膨潤性を考慮して、前記極性有機溶媒は硫黄含有有機溶媒を含むことができ、好ましくはスルホキシド系溶媒を含むことができる。
【0046】
例示的な実施形態によれば、60℃または70℃以上の温度で行われる高温剥離工程における安定した剥離安定性の提供およびアルカリ化合物の溶解性を考慮して、ジメチルスルホキシド(DMSO)を前記極性有機溶媒として用いることができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、前記剥離液組成物は、水溶性有機溶媒をさらに含むことができ、前記水溶性有機溶媒は、前記極性有機溶媒とは異なる化合物を含むことができる。
【0048】
前記水溶性有機溶媒を添加することにより、例えば、水和されたアルカリ化合物の溶解性を向上させることができ、またレジストパターンの膨潤をより促進することができる。
【0049】
例えば、前記水溶性有機溶媒は、グリコール系溶媒及び/又はラクタム系溶媒を含むことができる。前記グリコール系溶媒の例としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(=ブチルジグリコール)、プロピレングリコールなどが挙げられる。
【0050】
前記ラクタム系溶媒の例としては、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-プロピル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシメチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドンなどが挙げられる。
【0051】
例えば、前記剥離液組成物の全重量に対して、前記極性有機溶媒は約55~95重量%の含有量で含まれ得る。好ましくは、前記極性有機溶媒の含有量は、約60~90重量%であってもよい。前記範囲では、レジストパターンの十分な膨潤およびアルカリ化合物の溶解性を確保することができる。
【0052】
前記水溶性有機溶媒を含む場合、前記水溶性有機溶媒の含有量は、前記剥離液組成物の全重量に対して約5~30重量%、好ましくは約10~20重量%であってもよい。
【0053】
その他の添加成分
いくつかの実施形態では、前記剥離液組成物は脱イオン水をさらに含むことができる。例えば、脱イオン水は、前記アンモニウムヒドロキシド系化合物の水和物を形成し、前記アンモチウムヒドロキシド系化合物の溶解性および分散特性を向上させることができる。
【0054】
前述のように、脱イオン水は、前記アンモニウムヒドロキシド系化合物の含有量に実質的に対応する当量で含まれ得る。例示的な実施形態によれば、脱イオン水の含有量は、剥離液組成物の全重量に対して約5重量%以下、例えば約0.1~5重量%であってもよい。
【0055】
脱イオン水は、前記アンモニウムヒドロキシド系化合物の含有量によって変わり得る。一実施形態では、脱イオン水の含有量と前記アンモニウムヒドロキシド系化合物の含有量との差は、2重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%、さらに好ましくは0.1重量%以下であってもよい。
【0056】
一実施形態では、脱イオン水の含有量は、前記アンモニウムヒドロキシド系化合物の含有量と実質的に同じであってもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、前記剥離液組成物の前述の効果を阻害しない範囲で添加剤を含んでもよい。前記添加剤の非限定的な例としては、ストリップ工程の分野で公知の界面活性剤、防食剤などが挙げられる。例えば、前記添加剤は、前記剥離液組成物の全重量に対して約1重量%未満で含まれ得る。
【0058】
本発明の実施形態によれば、前述の剥離液組成物を用いたパターン形成方法を提供する。
【0059】
図1図5は、例示的な実施形態によるパターン形成方法の概略断面図である。
【0060】
図1を参照すると、基板100上にフォトレジスト膜120を形成することができる。基板100は、例えばシリコンウエハーのような半導体基板を含むことができる。
【0061】
フォトレジスト膜120は、例えば、ネガ型のフォトレジスト組成物を塗布および乾燥して形成することができる。いくつかの実施形態では、複数のコーティング工程により第1フォトレジスト膜122及び第2フォトレジスト膜124を基板100上に順次形成することができる。これにより、厚膜構造のフォトレジスト膜120を容易に形成することができる。
【0062】
一実施形態では、第1及び第2フォトレジスト膜122,124は、実質的に一体的に形成することができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、フォトレジスト膜120と基板100との間には、導電膜110をさらに形成してもよい。
【0064】
図2を参照すると、マスク50を用いて、フォトレジスト膜120に対して露光工程(例えば、UV露光)を行うことができる。前記露光工程により、露光部に相当するフォトレジスト膜120部分を架橋・硬化することができる。
【0065】
図3を参照すると、現像液を用いて、フォトレジスト膜120の非露光部を除去することができる。これにより、フォトレジスト膜120の露光部が基板100または導電膜110上に残留し、フォトレジストパターン125を形成することができる。フォトレジストパターン125は、基板100または導電膜110上に順次積層された第1フォトレジストパターン123および第2フォトレジストパターン127を含むことができる。
【0066】
その後、前記非露光部が除去された空間に金属物質を充填して配線パターン130を形成することができる。例えば、前記金属物質は、めっき工程、またはスパッタリング工程、化学気相蒸着工程、原子層蒸着工程などの蒸着工程により形成することができる。
【0067】
図4を参照すると、前述の例示的な実施形態による剥離液組成物を供給または噴射して、フォトレジストパターン125を除去することができる。
【0068】
例示的な実施形態によれば、前記剥離液組成物を使用することにより、フォトレジストパターン125の下部(例えば、第1フォトレジストパターン123)から剥離またはエッチングを開始することができる。前述のように、エタノールをアルカリ化合物およびDMSOのような極性有機溶媒と共に使用して、揮発による損失なしに前記アルカリ化合物を迅速にレジストパターンと接触させることができ、除去されたレジスト成分を迅速に溶解させることができる。
【0069】
これにより、フォトレジストパターン125の下部から十分に膨潤させて除去することができ、リフトオフ(lift-off)方式のストリップ工程を実現することができる。
【0070】
図5を参照すると、前述の剥離工程を継続してフォトレジストパターン125を実質的に除去することができる。前述の剥離液組成物は、向上したレジスト溶解力を有するので、導電層110または配線パターン130上にレジスト残渣を実質的に残すことなく剥離工程を行うことができる。
【0071】
また、図4で説明したように、リフトオフ方式で剥離工程を行うことにより、下部フォトレジスト膜の残渣なしに、実質的に完全にフォトレジストパターン125を除去することができる。
【0072】
前述のように、フォトレジストパターン125は、金属配線を充填するための隔壁として提供することができる。一実施形態では、フォトレジストパターン125は、導電層110をエッチングするためのエッチングマスクとして提供することもできる。フォトレジストパターン125を利用したエッチング工程の後、前述のように剥離工程を行うこともできる。
【0073】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、これらの実施例は単に本発明を例示するものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を制限するものではなく、本発明の範疇及び技術思想の範囲で実施例に対する様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変形及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【実施例
【0074】
実施例及び比較例
下記表1に示す組成および重量部に基づいて、実施例及び比較例によるレジスト剥離液組成物を調製した。
【0075】
【表1-1】
【0076】
【表1-2】
【0077】
【表1-3】
【0078】
表1に示す化合物は以下の通りである。
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド
ETMAH:エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド
BTMAH:ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド
THEMAH:トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシド
MOPA:3-メトキシプロピルアミン
BOPA:3-ブトキシプロピルアミン
BMEA:ビス(2-メトキシエチル)アミン
EtOH:エタノール
MeOH:メタノール
IPA:イソプロピルアルコール
IBA:イソブチルアルコール
DMSO:ジメチルスルホキシド
DPSO:ジフェニルスルホキシド
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
PG:プロピレングリコール
HA:ヒドロキシルアミン
MEA:モノエタノールアミン
AEEA:N-(2-アミノエチル)エタノールアミン
PDA:プロピレンジアミン
TPA:トリプロピルアミン
【0079】
〔実験例1〕
1)レジスト剥離力の評価
シリコンウエハーの上部に、物理気相蒸着(PVD)工程によって銅層を形成した。前記銅層上に、図2で説明したように、ネガ型のフォトレジスト層を二重コーティングして、合計250μm厚のレジスト層を形成した。UV硬化及び現像の後、フォトレジスト層が除去された非露光部領域に、銅パターンを電解めっきにより形成して試験サンプルを作製した。
【0080】
作製したサンプルを3cm×3cmに切断し、実施例及び比較例の剥離液組成物を70℃の温度に一定に保った後、前記サンプルを浸漬し、組成物を300rpmで攪拌して、以下の基準に従って剥離力を評価した。
【0081】
<剥離力の評価基準>
◎:レジスト剥離時間が10分未満
○:レジスト剥離時間が10分~15分
△:レジスト剥離時間が15分以上~20分未満
X:レジスト剥離時間が20分以上
【0082】
2)レジスト溶解力の評価
剥離力の評価のために作製したサンプルを、70℃の温度に一定に保った実施例及び比較例の剥離液組成物に浸漬し、300rpmで15分間撹拌した。溶液中の残量のレジストをろ紙でろ過した後、ろ紙における残量のレジストの有無を目視及び光学顕微鏡で観察し、以下の基準に従って溶解力を評価した。
【0083】
<溶解力の評価基準>
○:目視及び光学顕微鏡によって、残量が観察されない
△:目視によっては残量が観察されないが、光学顕微鏡によっては観察される
X:目視によって残量が観察される
【0084】
3)金属腐食の評価
剥離力の評価のために作製したサンプルを、70℃の温度に一定に保った実施例及び比較例の剥離液組成物に30分間浸漬した。その後、走査電子顕微鏡(SEM、Hitach S-4700)を用いてPVD銅層および電解メッキ銅パターンの表面の腐食を以下の基準に従って評価した。
【0085】
<剥離力の評価基準>
◎:表面の腐食が観察されない
○:一部の微細な腐食が観察される
△:局所的に腐食が観察される
X:全表面にわたって腐食が観察される
【0086】
評価の結果を下記表2に示す。
【0087】
【表2-1】
【0088】
【表2-2】
【0089】
表1を参照すると、実施例1~15の組成物は、アンモニウムヒドロキシ系化合物、エタノールおよびDMSOを所定の含有量で含み、向上した剥離速度、レジスト溶解力および腐食防止特性を提供した。
【0090】
実施例16~22の組成物は、ヒドロキシル基を含まないアミン系化合物をさらに含み、全体としてレジスト溶解力を低下させることなく向上した剥離速度を提供した。
【0091】
比較例を参照すると、アンモニウムヒドロキシド又はエタノールが欠けている組成物は、実施例と比較して顕著に低下した剥離速度およびレジスト溶解力を提供した。
【0092】
比較例5及び6では、炭素数3以上のアルコールが適用され、剥離速度の低下とともにレジストの溶解力不足により、残留レジストの再吸着が発生した。
【0093】
比較例7及び8では、アルコールを省略し、グリコール系溶媒を添加したが、レジストの上部から剥離が進められ、残留レジストの再吸着が発生した。
【0094】
比較例9では、ヒドロキシ基を含むアルカリ化合物を添加したが、剥離速度の低下とともにレジストの溶解力不足により、残留レジストの再吸着が発生した。
【0095】
比較例10では、スルホキシド系極性有機溶媒を省略し、レジスト溶解力が低下した。
【0096】
〔実験例2〕剥離力の維持の評価
実施例5、実施例18及び比較例4の剥離液組成物を調製し、65℃、70℃に昇温して1、2、3時間保存した後、前述のようにレジスト剥離力および溶解力を評価した。
【0097】
評価の結果を下記表3及び表4に示す。
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】
【0100】
表3及び表4を参照すると、メタノールを使用した比較例4の場合には、初期剥離力、溶解力は維持されたが、高温工程の条件で揮発して、経時に伴い急激に剥離力および溶解力が低下した。
【符号の説明】
【0101】
100:基板
110:導電膜
120:フォトレジスト膜
122:第1フォトレジスト膜
124:第2フォトレジスト膜
123:第1フォトレジストパターン
125:フォトレジストパターン
127:第2フォトレジストパターン
130:配線パターン
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
<剥離力の評価基準>
◎:レジスト剥離時間が10分未満
○:レジスト剥離時間が10分~15分未満
△:レジスト剥離時間が15分~20分未満
X:レジスト剥離時間が20分以上
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
金属腐食の評価基準>
◎:表面の腐食が観察されない
○:一部の微細な腐食が観察される
△:局所的に腐食が観察される
X:全表面にわたって腐食が観察される
【国際調査報告】