(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】適合された区別を有するフローサイトメトリのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 15/1434 20240101AFI20240827BHJP
G01N 15/14 20240101ALI20240827BHJP
【FI】
G01N15/1434 100
G01N15/14 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508365
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 US2022040121
(87)【国際公開番号】W WO2023018909
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518044332
【氏名又は名称】センチネル モニタリング システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ロング、テリー ディ.
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルシーロ、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】プエント、ウィリアム エイチ.
(57)【要約】
フローサイトメータは、光路に光を放射するように構成された1つ以上の光エミッタと、光路に対してほぼ側方方向のフローセル幅及び光路に対して長手方向のフローセル奥行きを有する矩形フローセルであって、光路は、フローセルにおいて、フローセル幅よりも狭い調査幅を有する、矩形フローセルと、矩形フローセルに隣接して位置決めされた球形リフレクタであって、光路とほぼ直交する反射路に沿って反射光が反射されるように、光路とほぼ直交して位置決めされる反射方向を有する凹反射面を有する球形リフレクタとを含み得る。1つ以上の吸光部材は、反射路の周囲に少なくとも部分的に位置決めされて、反射路に対してある角度の反射光を吸収する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フローサイトメータであって、
光路に光を放射するように構成された1つ以上の光エミッタと、
前記光路に対してほぼ側方方向のフローセル幅及び前記光路に対して長手方向のフローセル奥行きを有する矩形フローセルであって、前記光路は、前記フローセルにおいて、前記フローセル幅よりも狭い調査幅を有する、矩形フローセルと、
前記矩形フローセルに隣接して位置決めされた球形リフレクタであって、前記光路とほぼ直交する反射路に沿って反射光が反射されるように、前記光路とほぼ直交して位置決めされる反射方向を有する凹反射面を有する球形リフレクタと、を備えるフローサイトメータ。
【請求項2】
前記反射路の周囲に少なくとも部分的に位置決めされて、前記反射路に対してある角度の反射光を吸収する1つ以上の吸光部材と、
前記フローセルと射出孔との間に位置決めされて、前記フローセルと射出孔との間に光導管を画定する1つ以上の吸光部材と、
射出孔を少なくとも部分的に画定する1つ以上の吸光部材と、のうちの1つ以上を更に備える、請求項1に記載のフローサイトメータ。
【請求項3】
前記1つ以上の吸光部材は、
前記フローセルから離れて拡張するテーパ形吸光面と、
前記反射路とほぼ平行である平行吸光面と、
前記反射路とほぼ直交する直交吸光面と、
前記フローセルの壁の表面上と、のうちの1つ以上を備える、請求項2に記載のフローサイトメータ。
【請求項4】
射出孔であって、前記反射路が前記射出孔を通過するように位置決めされる射出孔を画定する絞りを更に備え、前記射出孔は、筐体であって、前記射出孔が前記筐体に開口部を画定する筐体と比べてより小さい断面寸法を有する、請求項1に記載のフローサイトメータ。
【請求項5】
前記フローセルの反対側で射出孔から下流に主導管を更に備え、前記主導管は、前記主導管の内面の少なくとも一部を覆う1つ以上の主導管吸光部材を備える、請求項1に記載のフローサイトメータ。
【請求項6】
前記主導管にビームスプリッタを更に備え、1つ以上の吸光部材は、前記射出孔と前記ビームスプリッタとの間に位置決めされて、前記射出孔と前記ビームスプリッタとの間に光導管を画定する、請求項5に記載のフローサイトメータ。
【請求項7】
前記ビームスプリッタから反射された光を受け取るように位置決めされた第1の収集チャネルと、前記ビームスプリッタを通過する光を受け取るように位置決めされた第2の収集チャネルとを更に備え、前記第1の収集チャネル及び第2の収集チャネルのうちの少なくとも一方は、ノッチフィルタを備える、請求項6に記載のフローサイトメータ。
【請求項8】
前記第1の収集チャネル又は前記第2の収集チャネルのうちの少なくとも一方に1つ以上の集光チャネル吸収部材を更に備える、請求項7に記載のフローサイトメータ。
【請求項9】
フローサイトメトリシステムであって、
請求項1に記載のフローサイトメータと、
試料源と、
分析物染色剤組成物を含む分析物染色剤槽であって、前記分析物染色剤組成物は、標的分析物を検出するように構成された色素を含む、分析物染色剤槽と、
対比染色剤組成物を含む対比染色剤槽であって、前記対比染色剤組成物は、非標的分析物を検出するように構成された色素を含む、対比染色剤槽と、を備えるフローサイトメトリシステム。
【請求項10】
キットであって、
請求項1に記載のフローサイトメータと、
第1の蛍光波長を有する分析物染色剤と、
第2の蛍光波長を有する対比染色剤と、を備えるキット。
【請求項11】
試料中の標的分析物を検出する方法であって、
請求項1に記載のフローサイトメータを提供する工程と、
分析物染色剤及び対比染色剤を有する染色試料を提供することであって、分析物染色剤放射波長は、対比染色剤放射波長と区別可能である、工程と、
前記フローサイトメータにおいて光を用いて前記染色試料を調査する工程と、
前記分析物染色剤を有する潜在的な標的を検出する工程と、
前記対比染色剤がないか、又は対比染色剤閾値を下回る前記対比染色剤を有するものとして前記潜在的な標的を決定する工程と、
前記対比染色剤なしで前記分析物染色剤を有するか、又は前記対比染色剤閾値を下回る前記対比染色剤を有する前記検出された潜在的な標的を前記標的分析物として識別する工程と、を備える方法。
【請求項12】
検出プロトコルを実施する工程を更に備え、前記検出プロトコルは、分析物約1個/100mLの検出下限を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1mL/分、5mL/分、20mL/分、50mL/分又は100mL/分の流量で前記染色試料を前記フローセルに通す工程を更に備える、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
対比染色剤の割合の閾値を定義する工程と、
前記対比染色剤の放射が前記対比染色剤の割合の閾値を下回るか否かを決定する工程であって、前記対比染色剤の前記放射が前記対比染色剤の割合の閾値を下回る場合、前記分析物は、存在するか、又は細胞は、生存していると決定され、前記対比染色剤の前記放射が前記対比染色剤の割合の閾値を上回る場合、前記分析物は、存在しないか、又は細胞は、非生存であると決定される、工程と、を更に備える、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
分析物染色剤と対比染色剤との比率の閾値を定義する工程と、
前記分析物染色剤の放射及び前記対比染色剤の放射が、分析物染色剤と対比染色剤との比率を有し、前記分析物染色剤と対比染色剤との比率の閾値を上回るか否かを決定する工程であって、前記比率が前記分析物染色剤と対比染色剤との比率の閾値を上回る場合、前記分析物は、存在するか、又は細胞は、生存していると決定され、前記比率が前記分析物染色剤と対比染色剤との比率の閾値を下回る場合、前記分析物は、存在しないか、又は前記細胞は、非生存であると決定される、工程と、を更に備える、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
対比染色剤と分析物染色剤との比率の閾値を定義する工程と、
前記対比染色剤の放射及び前記分析物染色剤の放射が、対比染色剤と分析物染色剤との比率を有し、前記対比染色剤と分析物染色剤との比率の閾値を下回るか否かを決定する工程であって、前記比率が前記対比染色剤と分析物染色剤との比率の閾値を下回る場合、前記分析物は、存在すると決定されるか、又は細胞は、生存していると決定され、前記比率が前記対比染色剤と分析物染色剤との比率の閾値を上回る場合、前記分析物は、存在しないか、又は前記細胞は、非生存であると決定される、工程と、を更に備える、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
1つ以上の吸光部材を用いて、前記フローサイトメータにおける光の内部反射を阻止する工程を更に備える、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上の光エミッタを用いて、1つ以上の調査光ビームを、前記調査光ビームの前記光路が、前記フローセルにおいて、前記フローセル幅よりも狭い調査幅を有するように、前記矩形フローセルへと放射する工程を更に備え、
前記フローセルの後壁からの方向転換された光は、前記球形リフレクタに向かって移動し、及び前記フローセルを通して且つ前記フローセルの前壁から前記反射路上で反射されて戻る、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記反射路に対してある角度における、フローセル前壁と射出孔との間の光が、前記1つ以上の吸光部材で吸収される工程と、
前記反射路に対してある角度の反射光が、前記1つ以上の吸光部材で吸収される工程と、
光が、前記1つ以上の吸光部材と接触すると、前記射出孔へとまたは前記反射路に沿って反射されない工程と、
光が、前記フローセル壁上の吸光部材を通過しない工程と、
光導管が、前記1つ以上の吸光部材を用いて、前記反射路に対してある角度の光を吸収する工程と、のうちの1つ以上を更に備える、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記反射路に対してある角度における、前記射出孔と主導管におけるビームスプリッタとの間の光が、1つ以上の主導管吸光部材で吸収される工程と、
前記反射路に対してある角度における、前記主導管における反射光が、前記主導管における前記1つ以上の主導管吸光部材で吸収される工程と、
光が、前記主導管における前記1つ以上の主導管吸光部材と接触すると、前記ビームスプリッタへとまたは前記反射路に沿って反射されない工程と、
前記主導管における光導管が、前記主導管における前記1つ以上の主導管吸光部材を用いて、前記反射路に対してある角度の光を吸収する工程と、のうちの1つ以上を更に備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ビームスプリッタ反射路に対してある角度における、前記ビームスプリッタから反射されて第1の収集チャネルへと向けられる光が、前記第1の収集チャネルにおける1つ以上の収集チャネル吸光部材で吸収される工程と、
前記ビームスプリッタ反射路に対してある角度における、前記第1の収集チャネルにおける反射光が、前記第1の収集チャネルにおける前記1つ以上の収集チャネル吸光部材で吸収される工程と、
光が、前記第1の収集チャネルにおける1つ以上の収集チャネル吸光部材と接触すると、前記第1の収集チャネルにおける光学要素へとまたは前記ビームスプリッタ反射路に沿って反射されない工程と、
前記第1の収集チャネルにおける光導管が、前記第1の収集チャネルにおける1つ以上の収集チャネル吸光部材を用いて、前記ビームスプリッタ反射路に対してある角度の光を吸収する工程と、のうちの1つ以上を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ビームスプリッタを通されて、前記反射路に沿って第2の収集チャネルへと向けられる光が、前記第2の収集チャネルにおける1つ以上の収集チャネル吸光部材で吸収される工程と、
前記反射路に対してある角度における、前記第2の収集チャネルにおける反射光が、前記第2の収集チャネルにおける前記1つ以上の収集チャネル吸光部材で吸収される工程と、
光が、前記第2の収集チャネルにおける前記1つ以上の収集チャネル吸光部材と接触すると、前記第2の収集チャネルにおける光学要素へとまたは前記反射路に沿って反射されない工程と、
前記第2の収集チャネルにおける光導管が、前記第2の収集チャネルにおける前記1つ以上の収集チャネル吸光部材を用いて、前記反射路に対してある角度の光を吸収する工程と、のうちの1つ以上を更に備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
試料源から試料を取得する工程と、
分析物染色剤組成物を含む分析物染色剤槽から分析物染色剤を取得する工程であって、前記分析物染色剤組成物は、色素を含む、工程と、
対比染色剤組成物を含む対比染色剤槽から対比染色剤を取得する工程であって、前記対比染色剤組成物は、異なる色素を含む、工程と、
リアクタにおいて前記試料を前記分析物染色剤及び対比染色剤で染色して、前記染色試料を取得する工程と、
光調査のために前記染色試料を前記フローセルに提供する工程と、を更に備える、請求項11に記載の方法。
【請求項24】
分析物染色剤データピークに対して整合フィルタ分析を実施して、標的分析物となる候補であるピークを特定する工程を更に備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
潜在的な標的分析物は、前記整合フィルタリングに基づいて選択され、候補であると特定された前記ピークは、
a)検出閾値範囲内になければならないか、
b)分析物染色剤チャネルは、範囲内であるか、
c)対比染色剤チャネルは、範囲内であるか、又は、
d)分析物染色剤チャネル強度と対比染色剤チャネルとの比率は、範囲内である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記フローサイトメータを有するシステムは、2つの別個の試料を染色するための2つのリアクタを備え、及び両方のリアクタは、入力を前記単一のフローサイトメータに提供し、前記システムは、前記方法が、
第1の染色試料を取得するために、第1の試料が第1のリアクタにおいてある温度まで加熱され、且つ染色される工程と、
前記第1の染色試料が前記第1のリアクタから前記フローサイトメータを通される工程と、
第2の染色試料を取得するために、前記第1の試料が前記フローサイトメータを通されている間、第2のリアクタが、前記温度まで加熱されることによって事前調整された第2の試料を染色している工程と、
前記第1の染色試料が前記フローサイトメータを完全に通された後、前記第2の染色試料が前記第2のリアクタから前記フローサイトメータを通される工程と、
前記第2の染色試料が前記フローサイトメータを通されている間、前記第1のリアクタが、前記温度まで加熱されることによって事前調節された第3の試料を染色している工程と、を備えるように構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項27】
フローサイトメトリシステムであって、
請求項1に記載のフローサイトメータと、
コンピュータシステムであって、
1つ又は複数のプロセッサと、
前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されることに応答して、前記コンピュータシステムに動作を実行させる命令を記憶する1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読媒体と、を備えるコンピュータシステムと、を備え、前記動作は、
試料準備システムに、分析物染色剤及び対比染色剤を有する染色試料を前記フローサイトメータに提供させる工程であって、分析物染色剤放射波長は、対比染色剤放射波長から区別可能である、工程と、
前記フローサイトメータで前記染色試料の調査を行わせて、フローサイトメトリデータを取得する工程と、
前記フローサイトメトリデータから、前記分析物染色剤を有する潜在的な標的を検出する工程と、
前記対比染色剤がないか、又は対比染色剤閾値を下回る前記対比染色剤を有するものとして前記潜在的な標的を決定する工程と、
前記対比染色剤なしで前記分析物染色剤を有するか、又は前記対比染色剤閾値を下回る前記対比染色剤を有する前記検出された潜在的な標的を標的分析物として識別する工程と、を備える、フローサイトメトリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、標的分析物(例えば、生細胞、タンパク質、ビーズ等)と非標的粒子(例えば、非生存細胞、汚染物、標的ではない他の物質)との適合された区別を提供するシステム及び方法を用いたフローサイトメトリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フローサイトメトリは、流量の低い液体が処理される状態で実施されている。典型的には、従来のフローサイトメトリシステムは、約100μL/分で処理することができ、これは、かなり少ない。従来のフローサイトメトリは、多くの場合、光を用いて調査中の試料がフローの中央にあるように、分析フローセルを通るシースフローも使用し、それにより調査光をフローセルの中央に向けることを可能にする。シースフローは、フローセルにおけるレンズ効果及び集束効果を提供することができ、それにより、システムは、ガラス及びフローセル壁の周辺からの外来信号の問題なしでデータを取得することができる。フローサイトメトリは、細胞を低体積流量で識別することができる十分に高い濃度の場合、良好に機能する。
【0003】
しかしながら、フローサイトメトリは、高流量又は高体積調査率で少ない数の検出可能分析物実体(例えば、細胞)を検出する能力に関して不十分である。例えば、流体が細菌(例えば、細胞の一例)等の微生物で汚染であるか否かを決定する場合、濃度限度は、従来のフローサイトメトリよりも低い。例えば、100mL中に1個の検出可能分析物実体がある状態でのフローサイトメトリの適用は、流量が低すぎて分析にあまりに長い時間がかかるため、従来のフローサイトメトリを用いて実現可能ではない。
【0004】
フローサイトメトリは、液体試料が分析のために準備されている状態の研究所設定では有用であったが、技術は、環境水試料又は精製水試料等の液体試料のバイオバーデンの分析についてあまりよく確立されていない。約100μL/分の低流量と低感度との組合せは、標的微生物が希釈濃度である場合、フローサイトメトリを用いたバイオバーデン分析に適さない。バイオバーデン試験の大部分は、従属栄養プレートカウント法を使用することによって分析されており、従属栄養プレートカウント法では、試料は、膜を通して濾過され、次いで、膜は、微生物を成長させるための栄養分が満たされたペトリ皿又は寒天板上に置かれる。これらのプレートは、次いで、37℃で数日間インキュベートされて、元の試料に存在し得る細胞の数万~数百万の細胞をそれぞれ有する細胞コロニー、人間の眼で見ることができ、数えることができるコロニーへの成長及び増殖を促進する。この従来の方法は、比較的単純であるが、極めて長い時間がかかる(例えば、数日)と共に、労力集約的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、精製水又は飲用液等の液体中の低バイオバーデンの分析に有用であり得るフローサイトメトリシステム及び動作方法が必要とされている。標的分析物(例えば、バイオバーデン)の定量化を短時間で特定することができるように、高体積の液体中の低濃度の検出可能な分析物実体又は細胞を検出するためにより高い流量を有し得ることが有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態では、フローサイトメータは、光路に光を放射するように構成された1つ以上の光エミッタを含み得る。フローセル幅を有する矩形フローセルは、フローセル幅が光路に対してほぼ側方方向であり、及びフローセル奥行きが光路に対して長手方向であるように位置決めされる。光路は、フローセルにおいて、フローセル幅よりも狭い調査幅を有する。球形リフレクタは、矩形フローセルに隣接して位置決めされる。球形リフレクタは、光路とほぼ直交する反射路に沿って反射光が反射されるように、光路とほぼ直交して位置決めされる反射方向を有する凹反射面を有する。本フローサイトメータは、反射が射出孔を通過することを阻止する吸光部材を含み得る。幾つかの態様では、本フローサイトメータは、反射路の周囲に少なくとも部分的に位置決めされて、反射路に対してある角度の反射光を吸収する1つ以上の吸光部材、フローセルと射出孔との間に位置決めされて、それらの間に光導管を画定する1つ以上の吸光部材又は射出孔を少なくとも部分的に画定する1つ以上の吸光部材の1つ以上を含み得る。幾つかの態様では、1つ以上の吸光部材は、フローセルから離れて拡張するテーパ形吸光面、反射路とほぼ平行である平行吸光面、反射路とほぼ直交する直交吸光面又はフローセルの壁の表面上の吸光材料の1つ以上を含む。
【0007】
幾つかの実施形態では、フローサイトメータシステムは、実施形態の1つのフローサイトメータを含み得る。本システムは、試料源も含み得る。本システムは、分析物染色剤組成物を含む分析物染色剤槽も含み得、分析物染色剤組成物は、標的分析物を検出するように構成された色素を含む。本システムは、対比染色剤組成物を含む対比染色剤槽も含み得、対比染色剤組成物は、非標的分析物を検出するように構成された色素を含む。本システムは、試料を染色するための1つ又は2つのリアクタと、フローサイトメータを染色試料準備システムに接続する流体経路とを含み得、染色試料準備システムは、試料源に接続される。
【0008】
幾つかの実施形態では、キットは、1つ又は複数の実施形態のフローサイトメータを含み得る。本キットは、第1の蛍光波長を有する分析物染色剤も含み得る。更に、本キットは、第2の蛍光波長を有する対比染色剤を含み得る。
【0009】
幾つかの実施形態では、試料中の標的分析物を検出する方法は、実施形態の1つのフローサイトメータで実施され得る。本方法は、分析物染色剤及び対比染色剤を有する染色試料を提供することを含み得、分析物染色剤放射波長は、対比染色剤放射波長と区別可能である。染色試料は、フローサイトメータを用いて照明調査等によって分析され得る。分析物染色剤を有する潜在的な標的は、データ分析コンピュータで検出され得る。データ分析コンピュータは、対比染色剤がないか、又は対比染色剤閾値を下回る対比染色剤を有するものとして潜在的な標的を特定することもできる。データ分析コンピュータは、対比染色剤なしで分析物染色剤を有するか、又は対比染色剤閾値を下回る対比染色剤を有する検出された潜在的な標的を標的分析物として識別することもできる。
【0010】
幾つかの実施形態では、フローサイトメトリシステムは、実施形態の1つのフローサイトメータを含み得る。システムは、1つ又は複数のプロセッサと、1つ又は複数のプロセッサによって実行されることに応答して、コンピュータシステムに動作を実行させる命令を記憶する1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読媒体とを含むコンピュータシステムも含み得る。動作は、試料準備システムに、分析物染色剤及び対比染色剤を有する染色試料をフローサイトメータに提供させることであって、分析物染色剤放射波長は、対比染色剤放射波長から区別可能である、提供させることと、フローサイトメータで染色試料の調査を行わせて、フローサイトメトリデータを取得することと、フローサイトメトリデータから、分析物染色剤を有する潜在的な標的を検出することと、対比染色剤がないか、又は対比染色剤閾値を下回る対比染色剤を有するものとして潜在的な標的を特定することと、対比染色剤なしで分析物染色剤を有するか、又は対比染色剤閾値を下回る対比染色剤を有する検出された潜在的な標的を標的分析物として識別することとを含み得る。
【0011】
上記の概要は、例示にすぎず、決して限定を意図しない。上述した例示的な態様、実施形態及び特徴に加えて、図面及び以下の詳細な説明を参照することにより、更なる態様、実施形態及び特徴が明らかになるであろう。
【0012】
上記及び以下の情報並びに本開示の他の特徴は、添付図面と併せて解釈される以下の説明及び添付の特許請求の範囲からより詳細に明らかになるであろう。これらの図面が本開示に従って幾つかの実施形態のみを示し、したがって本開示の範囲の限定と見なされるべきではないことを理解して、本開示について添付図面の使用を通して更に具体的且つ詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】フローサイトメトリシステムにおける照明領域の一実施形態を示す上面図である。
【
図1B】フローサイトメトリシステムの追加領域を示す別の水平断面図である。
【
図1C】フローサイトメトリシステムの垂直断面図(例えば、
図1Bと直交する)である。
【
図1D】フローセルの外壁周囲に被覆することができる吸光剤を示す。
【
図1E】フローセル上に吸光剤を有するフローセルの断面である。
【
図2A】本明細書に記載の実施形態のフローサイトメータと、試料源と、2つの別個の染色リアクタを有する染色試料準備システムとを含むフルアッセイシステムの一例を示す。
【
図2B】本明細書に記載の実施形態のフローサイトメータと、試料源と、単一の染色リアクタを有するオンラインシステムのために構成された染色試料準備システムとを含むフルアッセイシステムの一例を示す。
【
図3】緑色チャネルが分析物の染色に使用され得、赤色チャネルが対比染色に使用され得ることを示すデータを含む。
【
図4】許容差内でサイズ及び振幅パラメータ内に標的分析物染色剤信号及びピークを有することによって示されるように生物である信号の一例を示すデータを含む。
【
図5】生存標的分析物ではない(例えば、非生物分子)である信号の一例を示すデータを含む。
【
図7】幾つかの実施形態において本明細書に記載の方法(又はその一部)を実施するように配置され得る計算デバイスの一例(例えば、コンピュータ)を示す。
【
図8A】フローサイトメータプロトコルの試料を染色するためのリアクタを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図中の要素及び構成要素は、本明細書に記載の実施形態の1つ以上に従って配置され得、配置は、当業者により、本明細書で提供される開示に従って変更され得る。
以下の詳細な説明では、本明細書の一部をなす添付図面を参照する。図面では、状況によって別のことが示される場合を除き、同様の記号は、典型的には、同様の構成要素を識別する。詳細な説明、図面及び特許請求の範囲に記載される例示的な実施形態は、限定を意味しない。本明細書に記載の主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され得、他の変更形態がなされ得る。本明細書に概説され、図に示される本開示の態様は、多様な異なる構成で配置、置換、結合、分離及び設計され得、それらの全てが本明細書で明確に企図されることが容易に理解されるであろう。
【0015】
一般に、本発明は、高体積流体中の少数の分析物(例えば、細胞、タンパク質、粒子等)を検出することができるフローサイトメトリシステム及び動作方法に関する。例えば、フローサイトメトリシステムは、5mL/分を超える流れにおいて、液体100mL当たり約1個の検出可能分析物実体(1/100mL)を検出することができる。高体積調査率は、フローサイトメトリシステムは、好ましくは、約1時間以内(例えば、2リアクタシステムを用いて40分)である、より短時間、例えば2時間以内で完全な分析を行うことを可能にし得る。高体積の試料液体を短時間で調査することにより、フローサイトメトリを低濃度試料に使用する経済的実現可能性が可能になる。しかしながら、本明細書に記載のフローサイトメトリ及びシステムは、従来の任意のフローサイトメトリ分析で使用することができる。試料は、未精製であるか又は精製済みであるかを問わず、食品及び飲料から製造組成物、天然液体、種々のタイプの水までの任意のタイプの試料であり得る。別の例は、製造組成物からの分析物の高速放出(例えば、薬物デポからの0次放出)の監視を含み得る。
【0016】
フローサイトメトリシステムは、光(例えば、レーザ、発光ダイオード(LED:light emitting diode)、高輝度発光ダイオード(HLED:high intensity light emitting diode)高輝度放電 - 「HID」、ハロゲン、白熱灯等、並びにこれらの組合せ及びアレイ)調査中、シースフローを使用せずに高流量で分析を実施するように構成され得る。フローセルは、調査光が側壁を通らず、シースフローが使用されないようなサイズ及び形状で構成される。代わりに、調査光(例えば、1つ又は複数の光エミッタ)は、光がフローセルの側部領域を通らずにフローセルの中央領域を通るような位置に置かれる。方向目的のため、光方向は、側方方向が長手方向から直交等の傾斜をなすことができるように長手方向を画定する。光は、ビームであるか、又は他にフローセル幅よりも狭い幅を有するような形状であり得、レーザ又は他のタイプの光エミッタを問わず、レンズ又は他の光学構成要素を使用して光を成形することができる。レーザ調査が本明細書に記載されるが、レンズありの成形HLED等の他の光を調査に使用することも可能であることを認識されたい。
【0017】
更に、従来のフローサイトメトリは、多くの場合、分析されている標的に特異的な標識(例えば、蛍光等の染色剤)を使用し、標識は、本フローサイトメータで使用することができる。例えば、研究所設定では、フローサイトメータは、多くの場合、標識に結合したリガンドのレセプタを有する特定の標的種等の特定のタイプの分析物(例えば、細胞)をタグ付けするために特定の標識を使用する。この標識方法は、標的分析物がわかっており、したがって標的と特異的に結合するように標識を構成することができる場合に機能し得るが、バイオバーデン分析等で分析物タイプが未知である場合、有用ではない。一例は、特定のタイプの分析物をマークするが、他のものをマークしない異なる染色剤を含む。
【0018】
未知のタイプの分析物を有する試料で有用であるために、本フローサイトメトリシステムは、非標的分析物、例えば非生存細胞又は他の望ましくない粒子(例えば、プラスチック、ゴム、金属デブリ)からの区別により、高体積分析を用いて高体積の試料中の広範囲の異なるタイプの分析物(例えば、異なる微生物種の細胞)を検出するのに有用な色素の組合せを使用することもできる。したがって、特定の分析物に高度に特異的な標的化なしで標的分析物(例えば、生細胞)の検出を可能にする色素の組合せが提供される。幾つかの態様では、本明細書で提供される色素の組合せは、標的分析物に結合する標的化部分あり又はなしで、高体積流量で低バイオバーデン(例えば、低濃度の微生物)を検出できるようにする。例えば、色素の組合せは、細胞物質を標識する色素(例えば、DNA色素)と、ひびが入ったか又は他に損なわれた細胞に漏出する対比染色剤等の損なわれた又は死んだ染色細胞のみを含み得る対比染色剤とを含み得る。細胞染色剤(例えば、DNA色素)の存在が検出されることは、細胞を示し、対比染色剤の存在が検出されることは、細胞が死んでいることを示す。DNA染色剤のみの存在が検出される(又は閾値未満で検出される)ことは、細胞が存在し、生きていることを示し得る。対比染色剤のみの存在が検出されることは、対比染色剤を有する物質が生細胞ではないことを示す。分析物染色剤は、分析的を標的とするために使用され得、対比染色剤は、分析物ではない他の物質/粒子を標的とするために使用され得る。本明細書では、細胞が分析物の一例として使用されるが、任意の妥当な物質又は粒子は、試料中の非標的分析物又は非標的物質/粒子から区別される標的分析物であり得ることを認識されたい。
【0019】
色素の組合せ及びフローサイトメータの構成により、100mL当たり検出可能分析物実体1個までの調査感度が可能である。しかしながら、寸法及び流量は、フローセルを広げるか、又はより高流量が達成されるようにフローセルにおける光路により奥行きを持たせること等により、より高流量を達成することができるように変更され得ることを認識されたい。これにより、100mL、200mL、500mL又は最大で1L当たり検出可能分析物実体1個の精度まで可能になり得る。
【0020】
幾つかの実施形態では、フローサイトメトリシステムは、試料中の非生物(例えば、死細胞)、非生物的物質(例えば、生存生物由来ではない)又は不活性物質(例えば、摩耗からの機械粒子)から生物(例えば、生細胞)を広く検出するように構成される。色素の組合せは、非生細胞及び粒子、例えば微視的粒子、例えばステンレス鋼、ガスケット材料、ゴム又は他の材料から区別されるように生細胞を広く標識するように構成される。色素の組合せは、分析物染色剤が対比染色剤から区別可能であることを通して、死細胞又は粒子とは別様に生細胞をマークするように構成される。これにより、10,000個の検出可能粒子から1個の微生物の低い検出下限を可能にし、例えばテフロン(Teflon)(登録商標)から大腸菌(E.coli)を区別できるようにする。しかしながら、20,000個の検出可能粒子、30,000個の検出可能粒子又は最大で50,000個の検出可能粒子から1個の微生物を検出するように変更が可能である。しかしながら、試料中の他の物質/粒子と比べて選択的に染色することができる任意のタイプの分析物を検出標的とし、他の物質/粒子から区別できることを認識されたい。対比染色剤は、分析物染色剤を使用して非標的分析物から標的分析物を区別可能であるようにも構成され得る。例えば、対比染色剤は、標的分析物を染色しなくてもよいか、又は染色された標的分析物を他から特定することができるように弱く/軽く染色され得る。
【0021】
種々のフローサイトメトリシステム及び方法では、信号のあらゆる光子の検出が重要であると標準的に考えられてきた。しかしながら、現在、バイオバーデン分析で試料中のあらゆる光子を検出しようとすることは、適切でないことがわかっている。現在、フローサイトメトリシステムは、取得され、バイオバーデン分析で使用される利用可能な光子の割合を低減するように構成され得る。システムは、ノイズ信号又は価値のない光の影響を低減するためにより低い割合の光子を取得することができる。
【0022】
多くのフローサイトメトリシステムは、粒子検出にミー散乱を使用する。しかしながら、本フローサイトメトリシステムは、ミー散乱分析なしで試料を分析し、いかなる粒子サイジング分析も省くように構成される。本システムは、ミー散乱分析を省き、したがって、粒子サイジングデータは、取得されず、粒子区別に使用されない。粒子サイジングデータ分析の省略は、取得される標識データの交絡を低減することがわかっている。従来、ミー散乱信号が最初に粒子サイズ分析のために分析され、次いで規定の範囲内の粒子サイズが特定されると、システムは、その粒子の標識信号を探した。この戦略は、データ分析では難しいことがわかっている。ここで、本フローサイトメトリシステムは、ミー散乱等の粒子サイジング分析を実施しない。したがって、本フローサイトメトリシステムの態様は、ミー散乱分析を省き、色素組合せからの標識検出分析(例えば、分析物染色剤対対比染色剤)のみを使用する。細胞は、中実球状ではなく、予測可能なミー散乱信号を生成しないため、ミー散乱又は他の粒子サイジング分析の省略が有益であることがわかっている。これにより、本フローサイトメトリシステムは、色素の組合せにおける標識の蛍光検出に依拠することができる。他の粒子は、粒子分析に適さないこともあり、それにより粒子分析並びに関連するデバイス及びシステムを省くことができる。
【0023】
幾つかの態様では、フローサイトメトリシステムは、色素の組合せの蛍光信号分析以外のいかなる分析も使用せず、したがって粒子又は他の分析物がフローセルを通るとき、システムは、任意の標識を励起させ、それにより蛍光を検出することができる。したがって、粒子が標的分析物(例えば、生細胞)であるか否かを調査するには、分析物染色剤及び対比染色剤の少なくとも2つのスペクトル領域を使用するのみで十分である。分析物染色剤(例えば、標的分析物を染色する)及び対比染色剤(例えば、標的分析物を染色しない)の2つの色素系が使用され得るが、追加の色素が使用されて、標的分析物を他の粒子/物質から適合的に区別するように分析を拡張することもできる。幾つかの態様では、色素の組合せセットは、2つの別個の波長範囲の分析物染色剤及び対比染色剤で構成され得る。
【0024】
フローサイトメトリシステムは、食品、飲料、医薬品、生物試料、超純水等の液体のバイオバーデンの特定に適用することができる。例えば、超純水中の微生物は、少数であることが重要であり得る。したがって、試料は、大きい粒子が既に濾過によって除外されているように濾過され得、それによりミー散乱及び粒子サイズ分析の重要性を下げる。分析は、生/生存微生物と死/非生存微生物との間の分析であり得、死んだ微生物が存在し得る(例えば、精製プロセスから)。死んだ微生物は、分析物染色蛍光を用いて依然として識別することができる。これにより、対比染色剤は、生死判別染色剤であり得、対比染色された場合、その細胞は、生存していない。例えば、分析物染色剤(例えば、DNA染色剤)は、ある色を放射することができ、対比染色剤は、異なる色を放射することができるが、黄色、赤、緑、青、紫、オレンジ等の大半の組合せが使用可能である。一例では、色の組合せにより、対比染色剤が細胞に染み込んだか否かを調べることができ、染み込んだ場合、細胞は、生存していない可能性が高い。これにより、システムは、両方の染色剤を有する細胞を、細胞染色剤のみを有する細胞から区別することができる。別の例では、色の組合せにより、分析物染色剤を用いて特定の粒子タイプを標的とし、対比染色剤を用いて異なる粒子タイプを標的とし得る。標的細胞分析物における対比染色が少ないほど、細胞が生きており、生存している可能性が高くなる。分析物染色を有する粒子/物質での対比染色が少ないほど、分析物染色を有するその粒子/物質が標的である可能性が高い。対比染色がより多いことは、通常、細胞が死んでいるか又は非標的分析物が存在することを示す。したがって、対比染色剤は、ほぼ損なわれていない生細胞にあまり染み込まないか、又は標的分析物をあまり染色しないように構成される。
【0025】
一例では、放射色は、1つの色が核酸染色剤又は細胞中の別の物質の染色剤であり、対比染色剤が、細胞膜が損なわれるか又はひび割れするとその細胞に単に浸透して細胞を染色するものであり得るように選択することができる。他の場合、対比染色剤は、細胞の外面のみを染色することができ、それにより信号が低減する。分析物染色剤の例としては、チアゾールオレンジ、ゲルレッド(GelRed)、ヘキスト(Hoechst)、SYBR(様々な色、緑、金)、臭化エチジウム、アクリジンオレンジ等を挙げることができる。対比染色剤の例としては、サーモフィッシャ・サイエンティフィック(ThermoFisher scientific)からのライブ/デッド(Live/Dead)染色剤(種々の色)、ビオチウム(Biotium)からのライブ-オア-ダイ(Live-or-Dye)染色剤、エチジウムモノアジド、DAPI、サイトックスブルー(Sytox Blue)、サイトックスグリーン(Sytox Green)、サイトックスレッド(Sytox Red)、エチジウムホモダイマ-1、ヨウ化プロピジウム、7AAD、PO-Pro-1、YO-Pro-1、アネキシンV(様々な色)、エリスロシンB(EB)等を挙げることができる。染色剤は、標的タンパク質、薬剤又は他の物質の検出等、非細胞用途のために構成することもできる。
【0026】
一例では、分析物染色剤は、第2の波長のピークを有する蛍光応答を有する励起波長のレーザによって励起される、およそ第1の波長の励起ピークを有する緑色信号を作成するために使用され得、励起ピークと放射ピークとの間に小さいスペクトル差が存在し得る。したがって、システムは、幾らかの光を透過し、波長範囲窓(又は異なる色素を用いる場合には他の帯域)内にない光を可能な限りブロックするノッチフィルタ137(
図1B及び
図1C)を含み得る。これは、異なるカラー信号を提供する対比染色剤と比べてかなり低い強度のカラー信号を提供する。色素によって生成されているより多くの蛍光が存在するが、信号が交絡し始めるため、これは、収集される小さいスペクトル領域である。これにより、そのピーク放射前後のエリアのみに直接集中することができ、よりよい品質の情報が与えられる。幾つかの態様では、分析物染色剤の量又は濃度は、対比染色剤よりもかなり低い量又は濃度であり、それにより分析物染色剤の信号が対比染色剤の信号よりも小さいか又は逆の場合も同様である。幾つかの例では、対比染色剤は、赤色であり、基本的に広域スペクトルである赤色チャネルを提供することができる。システムは、分析物染色剤チャネルのスペクトルと比べて大きい特定の波長範囲からの光を全て収集する。これにより、標的分析物(例えば、生存細胞)と非標的分析物(例えば、生存細胞又は粒子)とをよりよく区別することができる。
【0027】
フローサイトメトリシステムは、検出可能な標的分析物(例えば、生存細胞)に染み込むか又は他に標的分析物を染色する対比染色剤の割合を特定するように構成され得る。対比染色剤の割合の閾値を上回る標的分析物が非標的(例えば、非生存細胞)であると示され、対比染色剤の割合の閾値を下回る標識された標的分析物が標的分析物であると示されるように、標的分析物(例えば、生存細胞)と他の物質(例えば、非生存細胞)とを区別するために確立される対比染色剤の割合の閾値が存在し得る。対比染色剤の割合の閾値は、異なる試料又は異なる試験プロトコルで異なる値に定義又は設定され得る。強度の代わりに各信号の面積及び他のデータ分析論も等しく使用され得ることが当業者に明確であるはずである。
【0028】
幾つかの実施形態では、分析物染色剤信号と対比染色剤信号との比率は、区別分析に使用され得る。これにより、特定の範囲内の比率は、標的分析物(例えば、生細胞)として決定され、特定の範囲外の比率は、非標的分析物(例えば、死細胞又は非生物粒子等の他の物質)として決定され得る。比率は、生信号又は対比染色に対する分析物染色の調整された信号から特定することができる。曲線下面積及び/又はピーク強度の比率が次いで使用されて、標的分析物(例えば、生存細胞)と非標的分析物(例えば、非生存細胞)とを区別することができる。
【0029】
幾つかの実施形態では、得られた信号は、処理されて、光信号データの幾つかを省くことができる。分析のために全ての光を取得する代わりに、光信号データの選択的領域が分析のために取得される。この処理は、ノイズを低減しながら、所望の光信号をよりよくすることができる。これにより、非標的分析物(例えば、非生存細胞)からの標的分析物(例えば、生存細胞)の区別を強化することができる。これにより、2つの異なる信号を同時に経験的に最適化することもできる。
【0030】
幾つかの実施形態では、フローサイトメータは、検出器によって収集される背景光が少なくなるように、システムにおける全内部反射(TIR:total internal reflectance)を阻止するように構成され得る。例えば、放射され、壁に衝突する光は、黒体材料等の吸光材料でデバイスの内面を被覆することによって低減され得る。これは、総光を低減し、信号の調整に役立つことができる。したがって、約43度等の角度閾値を上回る角度でフローセル壁を通して放射される光は、光子がカウントされない(記録を提供しない)ように吸収され、反射されない。これは、光のミラー効果を回避し、ガラス、水及び光を放射/反射し得る他の何らかのものからの一般光の収集を回避することができる。収集される光の適合は、分析のためによりよい光を収集するために使用され得る。例えば、例示として、集光の構成により、本明細書に記載のデータ分析に重要な光である光の「ハートカット」を選択的に取得することができると類推され得る。重要でない又は有用でない光は、収集及び/又は吸収による使用から省くことができる。
【0031】
フローサイトメトリ構成要素の構成は、システムが任意の反射光又は非理想的な光の収集を低減するという変更を行った状態で本明細書及び援用される引用文献に記載されている。フローサイトメトリシステムは、一般に、球形リフレクタ(例えば、半球)と結合され、吸光材料で囲まれた矩形内部細胞チャンバ(例えば、フローセルを通る試料の流れと直交する矩形断面プロファイルエリア)を有する矩形フローセルを使用する。形状は、矩形であり、矩形は、完全な矩形であり得るか、又は半径を有する丸められた角等の何らかの変形を有する実質的な矩形であり得る。流れを有するように動作するフローセルの内部チャンバの全体形状は、矩形であり、角は、丸めることが可能であり、完全な直交でなくてもよい。この組合せは、球形リフレクタ(例えば、反射面が球形内部として凹形である)を有する非球形フローセルである。フローセルは、反射光が最小化され、ノイズ信号を低減し得るように、より狭い光ビーム幅を用いて調査され得る。
【0032】
フローサイトメータの構成は、収集される光量を、吸収なしで収集することができる総光の50%未満、総光の40%未満、総光の30%未満、総光の25%未満又は総光の20%未満まで低減することができる。
【0033】
更に、フローサイトメトリシステムは、収集面積のサイズを低減する手段を含み得る。これは、検出器に到達することが可能な光の量を低減する。したがって、絞りが光路に配置されて、収集面積を低減することができる。例えば、絞りは、光信号を抑制して、検出器に届くことができる光の出口部分を低減することができる。例えば、50mm収集システムは、絞りによって出口で25mmまで低減することができる。絞り及び/又は吸光材料は、収集される総光量を低減するのに役立つことができ、それにより生存細胞からの標的放射信号に対する反射からの相対ノイズを低減することができる。
【0034】
図1Aは、フローサイトメトリシステム100における照明領域102の一実施形態を示す上面図である。システム100は、球形リフレクタ106及び光路孔110の絞り108と共に矩形フローセル104(流路は、ページの平面に垂直にページの平面内外に延びる)を示す。フローセル104は、システム100の左側で拡大されて形状及び寸法を示し、例えば、フローセル104は、調査領域112(レーザによる影響を受ける領域)と比べて2200~2400μm幅(W1)であり得る。見てわかるように、調査領域112は、2000μm幅(W2)であるように示されており、これは、フローセル104の幅よりもかなり短い(例えば、200~400μm狭く、調査領域は、高さ50μm(H2)及び奥行き500μm(D2)を有する)。しかしながら、調査光ビームの幅がフローセルの幅よりも小さい場合、調査光ビームに垂直な平面でより狭いフローセル又はより広いフローセルなど、寸法は、調節され得る(例えば、+/-1%、5%、10%、25%、75%等)ことを認識されたい。例えば、光ビーム幅は、フローセル壁に接触することなく、フローセル内にある縁部を有するような形状であり得、例えば光ビームの縁部とフローセル壁との間に少なくとも10μm、20μm、30μm、50μm、75μm、100μm、150μm、200μm又は200μm超のギャップを有し得る。
【0035】
これにより、レーザ(又は他の調査光)は、フローセル104の毛細壁104aを避け、フローセルの中央領域のみを調査領域112として調査する。球形リフレクタ106は、フローセル104の後部にあり、絞り108及び光路孔110は、フローセル104の前部にある。システム100は、典型的には、本発明では第1の吸収体114がある場所に配置される前部リフレクタを省くことができる。球形リフレクタ106は、後部リフレクタであり、したがって定義により後部光のために位置決めされ、それが後部領域で半球形状であることの理由である。第1の吸収体114は、球形リフレクタ106からの光路の周囲に位置付けられ得、第1の吸収体114は、光が第1の吸収体114の光路(例えば、孔)を通り、他の光が吸収されるように円錐形として示されているが、別の形状であり得る。
【0036】
第1の吸収体114は、接触した光(光子)を吸収し、それにより反射を阻止する吸光体として構成される。本明細書に記載の第1の吸収体114及び他の吸収体は、光子を吸収する黒体材料であり得、したがって、照明領域102は、その壁又は表面からのいかなる反射も受けない。
【0037】
照明領域102は、光を光路孔110に向けて集束することを促進する集光レンズ116を含む。したがって、集光レンズ116は、光を集め、その光を射出孔110から出るように向ける。第1の吸収体114は、集光レンズ116に隣接して、光を吸収して反射を阻止することにより、反射光が集光レンズ116に接触することを阻止する。第1の吸収体114は、いかなる非同軸光も集光レンズ116に達することを阻止し、それにより前方散乱光を阻止する。一例では、黒体材料の第1の吸収体114は、アクター(Acktar)黒色被覆(アクター(Acktar)) - VIS、SWIR及びMWIR波長の迷光を抑制するための解決策を提供する光吸収材料及び被覆であり得る。材料は、スーパブラック材料(最も黒い黒)、黒色フォイル及び光機械構成要素の黒化のための直接被覆であり得る。第1の吸収体114は、前方反射光等の反射光をなくすことによって蛍光信号を最適化し、反射光を低減することにより、光は、反射からの損失を有し、信号対雑音比を改善することができる。これは、ノイズ及び背景を除去し、それにより所望の信号がより顕著になり、検出可能で区別可能になる。
【0038】
結果として、信号強度の放射測定分析で利用することができる高品質の信号になる。従来のフローサイトメトリは、2次元空間を有し、2次元空間において、クラウドにおけるデータ処理結果は、信号の分布によってかなり散乱し、システムは、密なクラウドを取得せず、それにより典型的にはかなり散乱したクラウドが生成される。従来のフローサイトメトリとは逆に、本発明は、それほど散乱せず、改良されたクラウドエリアを提供する濃縮領域を取得する。改良された信号応答エリアは、非生存粒子から生存細胞を区別することなど、非標的分析物から標的分析物を区別するのに役立つ。
【0039】
図示のように、調査領域112は、側方方向において毛細壁104a間のフローセル104の幅よりも狭い。調査領域112は、幅約2000μm(2mm)(横断又は横)、厚さ約200~600μm(又は奥行きの場合には深さ)(例えば、約400μm)、高さ約20~90μm(例えば、50μm)又はそれらの値の+/-1%、5%、10%、25%、75%等であり得る。これは、典型的なフローサイトメトリよりもかなり大きい調査領域112を提供する。この大きい調査領域は、より高水準の処理を可能にし、より高水準の処理は、約5mL/分の高流量であり得、100mLを短時間で分析することができる。例えば、システムは、20分間動作して、100mLの試料を調査することができる。これにより、シースフローなしで1mL/分を超える流量において試料を分析することができる。シースフローを省くことにより、必要とされるサプライ、無駄、システムの複雑性及び他の問題が大幅に縮小する。シースフローの省略は、毛細壁104aがレーザ光を受け取らず、光を反射しないか、又は他に試料中の任意の標識された物質からの信号品質に悪影響を及ぼさないように、調査領域112をフローセル104よりも小さくすることによって実施され得る。流れの縁部は、調査されないが、調査領域112の面積が大きいこと及び高流量によって正確な検出が可能になる。これは、角又は毛細壁104aからのいかなる反射もなくし、システムにおける光ストレス又は背景光ノイズを低減する。例えば、調査領域112は、毛細壁104aから約100μm内側であり得るか、又は少なくとも10μm、20μm、30μm、50μm、75μm、150μm、200μm若しくは200μm超のギャップが最も近い壁104aと調査領域との間に存在し得る。
【0040】
幾つかの場合、調査領域112の厚さを低減して、フローエリアを低減することができ、それにより流量を低減することができる。しかしながら、調査領域112の幅は、依然として広いが、フローセル104の幅よりも狭い。
【0041】
一例として、システムは、励起光と比べて、測定される光の量を低減する。レーザは、1016~1017個の光子で光を発し得るが、本明細書に記載のシステムは、約102~103個の光子を受け取り、これは、大幅な低減である。したがって、黒化された表面は、光の反射を阻止し、それにより信号の低下を阻止する。
【0042】
図1Aは、射出孔110から下流にある励起ブロックフィルタ124も示し、本明細書に記載されるように、射出孔110を通る光は、濾波される。ブロックフィルタ124は、いかなる励起迷光も検出路を下って検出器に到達しないようにする。
【0043】
図1Aは、フローサイトメトリシステム100が染色剤の直交光活性化を使用することも示し、レーザ光方向は、集光方向から約90度である。
図1Aは、フローセル104の片側にレーザエミッタ120を示し、エミッタ120とは逆のフローセル104の逆側にパススルーコレクタ122(例えば、黒化された吸光部材で被覆される)を示す。この配置は、集光レンズ116及び射出孔110を通る放射光路に対して約90度のレーザ路を有する。この構成は、同軸調査レーザ及び蛍光放射が同軸である粒子サイジングでのミー散乱の使用を省く点で適している。収集路から約90度である励起路で効率が改善することがわかっている。直交配置の概説は、具体的な参照により本明細書に援用される米国特許第4,745,285号明細書に見出すことができる。
【0044】
パススルーコレクタ122は、フローセル104を通るあらゆるレーザ光(光子)を吸収し、減殺するように構成される。図示のように、パススルーコレクタ122は、円錐形状である。しかしながら、パススルーコレクタは、平坦若しくは円形であり得、且つ黒体材料(吸収剤)で被覆され得るか、黒体材料(吸収剤)で被覆された内部を有する他の形状を有し得るか、又は当業者によって利用される他の励起光軽減法であり得る。
【0045】
図1Bは、フローサイトメトリシステム100の追加の領域を示す別の水平断面図である。フローセル104、球形リフレクタ106、絞り108、射出孔110、第1の吸収体114、レンズ116、レーザエミッタ120及びレーザパススルーコレクタ122は、
図1Aに示されている。更に、
図1Bは、ビームスプリッタ136によって隔てられた2つのみの収集チャネル130、132を示すが、図示のように追加のチャネル領域134を用いるなど、より多くの収集チャネルがあり得る。しかしながら、任意の数の収集チャネルが使用され得る。収集チャネルの数は、染色剤組合せセット内の異なる染色剤の数よりも少ないか、多いか又は同じであり得る。2つの収集チャネル130、132は、ビームスプリッタ136に起因して異なる波長の光を通過させる。例えば、ビームスプリッタ136は、赤色光から緑色光を分ける。ビームスプリッタは、赤色スペクトルから緑色スペクトルを選択的に分離する、本明細書に記載のようなフィルタであり得る。ビームスプリッタ136は、光路に対して約45度であり得、緑色光は、第1の収集チャネル130に反射され、赤色光は、第2の収集チャネル132に進む。第1のチャネル検出器130a及び第2のチャネル検出器132aが示されている。
【0046】
レーザエミッタ120は、可動ミラー120bを通してレーザ発生器120aに結合されて示されている。
第1の収集チャネル130は、帯域幅を510~535nm等まで低減するノッチフィルタ137を含む。ノッチフィルタ137からの濾波光は、第1のチャネルレンズ138を通る。第1のチャネル吸収体139(黒体吸光体)は、ノッチフィルタ137から下流にあり、第1のチャネルレンズ138の前及び任意選択的に周囲にある。第2のチャネル132は、この実施形態では、ノッチフィルタ又は同様のスペクトル制約フィルタ要素を省くが、第2のチャネルレンズ135及び第2のチャネル吸収体133(黒体吸光体)を含む。
【0047】
図1Cは、フローサイトメトリシステム100の垂直断面図(例えば、
図1Bと直交する)である。ここで、試料経路104bは、フローセル104がページの平面に沿って引き延ばされた状態で示されている。ここで、第1の吸収体114の形状は、フローセル104から絞り108まで照明領域102を包含するように拡大されている。ここで、第1の吸収体114は、照明領域の壁内部領域を覆い、したがって、非同軸光又は角度光は、反射せずに第1の吸収体114に衝突する。第1の吸収体114は、断面で示されているが、光路は、クリアであり、射出孔110は、黒体材料なしでクリアであるように領域の周囲を被覆することができる。図示のように、第1の吸収体114は、テーパ形領域114a、縦領域114b及び横領域114cの一部間に射出孔110を形成する横領域114cを含む。しかしながら、他の形状を第1の吸収体114に使用して、照明領域102の内面を覆い、反射を阻止し得る。ここで、射出孔110は、約25mmであるが、20~30mm幅、15~40mm幅又は10~50mm幅であり得る。
【0048】
更に、
図1Cは、第1の吸収体114及び射出孔110から下流にある第2の吸収体140(黒体吸光体)を示す。射出孔110から下流のシステム100の領域は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に吸光材料で被覆された第2の吸収体140で被覆された側壁144を有する主チャネル142である。
【0049】
図1D及び
図1Eも、約43度等の角度閾値を上回る角度でフローセル壁を通して光が放射、吸収され、光子がカウントされないように反射されないフローセルのエリアをカプセル化するフローセル104の外壁の周囲を被覆することができる第3の吸収体104cを示す。
図1Dは、フローセル104が、光が領域から逃げることを阻止するために、吸光体104c(例えば、第3の吸光体)を領域の幾つかに有し得ることも示す。第3の吸光体104cは、第1の吸光体114と同じ領域における黒体であり得、同じ材料であり得、連続した皮膜又は別個の皮膜であり得る。第3の吸光体104cは、フローセル104に隣接するか又はフローセル104の周囲にあるフローセルホルダに配置され、フローセル壁104からのいかなる反射又は屈折も阻止する。第3の吸光体104cは、デバイスの一部又はフローセル104の一部であり得、それにより、調査領域112周囲の領域は、黒塗りされ、非反射性であり得る。
【0050】
図1Eは、フローセル壁104a上に第3の吸光体104cを有するフローセル104の断面を示す。2つの第3の吸光体104c間のフローセル壁104aの開放領域は、フローサイトメトリの動作のために光を通す。図示のように、定義された角度よりも大きい光は、第3の吸収体104cによって吸収される。励起ビームによって画定される調査ボリュームは、参考尺のために示されているが、第3の吸光体104cの両方の領域間の寸法は、励起ビームによって画定される調査ボリュームと概ね同じ高さまで下がるように変更され得る。したがって、吸収され、フローセルから出ることが阻止される光ビームの角度は、動作及びデータ分析の必要に応じて又は所望のようにより多くの光又はより少ない光に適合するように変更することができる。光の角度は、約43°のTIR角度であり得る。これは、第3の吸光体104cの2つの領域間に好ましい発光ゾーン174を提供する。フローセルの内壁も吸光材料で被覆され得るか、又はフローセルの内壁及び外壁の両方が被覆され得ることに留意されたい。TIRは、全内部反射が生じる角度であり得る。図示のように、フローセルのクリアエリアは、励起ビームの上下にフローセルのTIR角度まで延在する。第3の吸光体104cのマスキングされたセクションが存在し得る。
【0051】
幾つかの実施形態では、フローセル光学窓の長さは、好ましい発光ゾーン174の長さのみであるように短縮することができ、その場合、フローセルは、吸光材料の幾つかの領域を含み得るか、又はフローセルが望ましくない角度の光放射を有するほど長くない場合、吸光材料を省き得る。即ち、フローセル長(例えば、成形光による調査ボリュームの高さ)は、好ましい発光ゾーン174の高さと同じであり得る。好ましい発光ゾーン174の高さは、調査ゾーンの全高に光ビーム軸176の上下のTIR各度(約43°)高さ178未満の距離を加えたものであり得る。一例では、フローセルの幅が3,500μmである場合、好ましい発光ゾーン174は、高さ約6,578μmを有し得る。しかしながら、これらの寸法は、必要に応じて変更することができる(例えば、+/-1%、5%、10%、25%、75%等)。好ましい発光ゾーン174は、所望の高さを有し得る。発光ゾーン174は、第3の吸光体104c又は他の遮光部材の使用により、本明細書に記載のような寸法にされ得ることに留意されたい。
【0052】
更に、寸法の幾つか、例えば主チャネル142の寸法に対する射出孔110の直径は、変えるか又は変更できることを認識されたい。主チャネル142は、射出孔110よりも大きい寸法であり得、例えば50nm対25nm、25nm対20nm又は更に25nm対23nmであり得る。主チャネル142の直径対射出孔110の直径の比率は、可変である。射出孔110は、主チャネル142に対するピンホールとして機能し得る。
【0053】
幾つかの実施形態では、球形リフレクタ106は、半球である。幾つかの態様では、球形リフレクタ106は、パラボラリフレクタではない。これに拘束されないが、半球としての球形リフレクタ106は、矩形フローセル104と共に、他のリフレクタ、例えば楕円形又はパラボラリフレクタと比べて、射出孔110を通る柱状「ハートカット」光を強化するという利点を提供すると考えられる。背景光よりも所望の光を優先的に反射するように調整された他のリフレクタの概念が本明細書で企図される。
【0054】
幾つかの実施形態では、フローサイトメトリシステムは、染色剤組合せセットを用いて最適化される。システムは、信号が光電子増倍管(PMT:photomultiplier tube)に到達すると、収集光学系及び信号の増幅の構成であるように分析物染色剤及び対比染色剤を用いて最適化され、調整されている。最適化は、アルゴリズムを使用した簡単な区別論理を提供する。
【0055】
システムは、本明細書に記載のフローサイトメトリに使用することができる。試料は、37℃まで加熱され得、分析物染色剤が添加され、これは、利用される染色剤からの最適化蛍光に必要であり得るように、約pH7.5以上のpH値のバッファーと共に添加することができる。分析物染色剤は、バイオバーデン染色を提供するが、非結合染色剤からの背景蛍光の生成を最小に抑えるために、可能な限り低濃度で添加される。濃度の低減は、分析されるデータ信号の鮮明さを増大させ、信号対雑音比に役立つ。濃度が低いほど、背景光子が少なく、信号の交絡の低減に役立つ。対比染色剤も添加され、次いで標識された試料が分析され、これは、約20分で行うことができる。これらの染色剤は、
図2A及び
図2Bに示される槽から手動で又は自動的に添加することができる。槽は、図示されていない導管を通して試料槽に接続することができる。コントローラ、例えば本明細書に記載のコンピュータ又は計算システム600が使用されて、試料及び染色剤の混合から、ポンプ(図示せず)を用いたフローセルを通る圧送、レーザの制御及び異なる信号の検出器からのデータの収集までのフローサイトメータシステム機能を制御することができる。その場合、コントローラは、データを分析し、対比染色剤がないか又は対比染色剤特定の閾値を下回る蛍光ヒットをカウントし、特定の閾値を上回る対比染色剤を有する蛍光ヒットのカウントを省くことにより、非標的分析物(例えば、非生存細胞)及び他の粒子から標的分析物(例えば、生存細胞)を区別するように構成され得る。コントローラは、温度制御、温度測定、流れ制御等からデータ分析までの動作の全ての態様を制御することができる。
【0056】
使用中、人間のオペレータ又は自動オペレータは、試料を有する試料瓶をフローサイトメータの入力に置くことができる。コントローラは、熱管理、タイミング管理、染色剤の導入、圧送速度及び全ての流体工学を制御することができ、これは、完全に自動化され得る。更に、コントローラは、試料間でフローセル及び試料槽を衛生化することができ、したがって試薬、バッファー又は他の何らかのものが試料間で持ち越されない。
【0057】
図2A及び
図2Bは、図では分析モジュールとして識別されているフローサイトメータを含むフルシステムの例を示す。フルシステムは、試料瓶オートサンプラ、熱試料制御、リアクタ、槽、ポンプ、弁、試料コントローラ及び他の構成要素を示す。
【0058】
低速サイトメトリシステム200は、
図2Aに示されるように2つのリアクタ202を含み得る。第1のサイクルでは、1つのリアクタ202は、染色剤(例えば、染色剤204、対比染色剤204a、50mL)を用いた試料224の20分インキュベーションで処理され、次いで、染色試料212は、調査のために分析モジュール206(例えば、フローセルを有する)に提供され、これには約20分かかる。これは、初期染色試料212をフローサイトメータ208により処理させるのに約40分を提供する。1つのリアクタ202のみがある場合、核染色試料212に40分のターンアラウンドがある。しかし、ここで、第2のリアクタ202を用いて、あるリアクタ202が染色試料212を分析モジュール206に圧送している間(図示せず)、第2のリアクタ202は、洗浄され、準備され、染色剤204、対比染色剤204a、バッファー204b(1L)又は洗剤204c(1L)と共に別の試料224を充填される。次いで、第1の染色試料212が分析モジュール206を通して処理されると(例えば、20分)、分析モジュール206を通して第2の染色試料212を即座に処理することができる。これは、2つの染色試料212を第1の2つの試料について60分で完全に処理することを可能にする。なお、第2の染色試料212は、第1の染色試料212が行われた後に20分で行われる。しかしながら、第2の染色試料212(第1の試料後の20分)及び第3の染色試料(20分)の両方で合計わずか40分であり、次いで順番に次の染色試料112の各々について20分後に行われる。しかしながら、染色試料212の処理は、20分毎に終わる。これは、特に3つ以上の試料224又はより多数の試料(例えば、10個以上)に対処する場合、大きい時間の短縮である。
【0059】
したがって、ある染色試料212がフローサイトメータ208を通して処理されている間、次の試料224は、他のリアクタ202内にあり、染色剤204又は対比染色剤204aで染色されている。これにより、1つの分析モジュール206が動作し、2つのリアクタ202から供給され得、自動システム200からのスループットを最大化することができる。
【0060】
リアクタ202は、システムの健全性と、試料液の欠如、漏出又は他の機能を含む信頼性の高い動作とを監視するための圧力トランスデューサ(PT:pressure transducer)216を含む。試薬は、上部アクセスライン218から入力することができ、試料の入口及び出口は、下部アクセスライン220である。分配弁222は、試料224、洗浄溶液(クリーナ204c)、衛生化溶液、空気204e又は他の流体をリアクタ202に提供するための流体アクセスを制御する。リアクタ202からの出口226は、分配弁222に戻り、染色試料又は廃棄物228、洗浄溶液204c、衛生化溶液、試料収集240等のために適切な場所、例えばフローサイトメータ208に輸送される。
【0061】
リアクタ202は、ポンプとして可動ピストン230(例えば、
図8A~
図8Cを参照されたい)を含む。リアクタ202は、シリンジポンプ機能と同時にインキュベーション及びアッセイ処理を行うように構成される。したがって、リアクタ202は、ポンプとして機能する。リアクタピストン230の動きは、試料224を吸引し、染色試料212を吸い出す。圧力トランスデューサ216は、圧力を監視して、動作がパラメータ内であることを確実にし、詰まりの存在、流体の欠如又は他の問題を識別することができる。これにより、リアクタ202内のピストン230は、染色試料212をフローサイトメータ208に押し入れることができる。したがって、リアクタ202は、反応容器と、染色(例えば、染色剤204、対比染色剤204a)のために試料224をリアクタ202内に引き込み、染色試料212を押し出してフローサイトメータ208のフローセル104に通すポンプとの二重機能を有する。
【0062】
幾つかの実施形態では、自動システムは、本明細書に示されるピストンリアクタを使用せずに方法を実施するように動作することができ、その場合、槽、リアクタ及びフローサイトメータ間で液体を移動させるために任意のタイプの圧送及び導管システムを使用する任意のタイプのリアクタが使用され得る。したがって、
図2Aに示される一方又は両方のリアクタは、異なるタイプのリアクタ(例えば、異なるリアクタシステム)で置換され得、システムを通して液体、試薬、クリーナ、試料及び染色試料を移動させるために任意の数又はタイプのポンプ、弁又は分配器が使用され得る。幾つかの態様では、リアクタの1つ又は複数は、定量リアクタである。幾つかの態様では、1つ又は複数リアクタは、可変量リアクタである。幾つかの態様では、1つ又は複数のポンプ、例えば真空ポンプ又は流体ポンプは、試薬槽、リアクタ及びフローサイトメータに対する液体の移動に使用され得、流れの調整に任意の数の弁が使用され得る。幾つかの態様では、真空ポンプが使用されて、リアクタに試料及び/又は染色剤を充填することができ、次いで流体ポンプが使用されて、染色試料をフローサイトメータに流す。真空ポンプ及び流体ポンプは、液体の移動を促進するように任意の場所に配置することができる。
【0063】
一例では、リアクタは、反応チャンバが一定量を提供するために中実キャップを含み得、真空ポンプがピストン/キャップに接続されて、反応チャンバに試薬、試料又はクリーナを充填することを促進する。フローサイトメータ208の下流にある流体ギアポンプが使用されて、流体経路を通して染色試料をフローサイトメータ208に引き込むこともできる。しかしながら、本発明に到達するために、リアクタシステムの教示下において、機器のタイプ又はその配置等、システムに対する他の変更形態が採用され得ることを認識されたい。
【0064】
リアクタ202はまた、ピストンのための駆動装置(図示せず)と、反応202のチャンバ内で試薬の混合を行うためにリアクタ202を振動させる、非対称混合のための駆動装置(図示せず)とを含む。ピストン230のためのプーリ駆動装置が使用され得、他の駆動装置は、混合のためにリアクタ202を振動させるため、重力に対して非対称(カム式)であり得る。
【0065】
染色染料204(対比染色剤204)は、シリンジポンプ(SYR)232及び分配弁222等の計量システムの制御下で提供することができる。したがって、分析物染色剤204、対比染色剤204a、クリーナ204c、洗浄流体(WFCC)204d及びバッファー204bは、図示のように、トップダウン注入で上部ライン218からピストン230を通してリアクタ202に提供することができ、それにより分配流体との試料の接触を最小限に抑えることができる。
【0066】
図1Aは、試料224を取るように構成された自動試料瓶分配器252を有するアッセイシステム250も示し、試料224は、システム200の入口254に渡され、熱試料制御機構256を通ることができ、次いで分配弁220を通り、本明細書に記載のように染色剤204及び/又は対比染色剤204aを用いて処理するためにリアクタ202の1つに輸送される。
【0067】
図2Bは、自動試料瓶分配器252を省き、1つのリアクタ202のみを含むシステム200aの一実施形態を示す。この実施形態は、流体供給から順次サンプリングするオンライン版である。染色試料212の各動作は、約40分の実行時間を有する。
【0068】
一実施形態では、システムは、分析モジュールとして示されるフローサイトメータと、手動又は駆動式を問わずポンプとを含み得る。ポンプは、次いで、染色試料を受け取り、分析調査のためにフローセルに圧送することができる。
【0069】
システムは、試料瓶を識別するためのバーコードシステムを含み得、それにより各試料の生産物流管理を可能にする。使用された試料瓶は、廃棄物コンテナ(図示せず)に排出される。
【0070】
自動試料瓶分配器252を有するシステムは、順次瓶がサンプリングされるにつれて、自動且つ無人で動作することができるが、オートサンプラにおけるSTATサンプリングアクセスドアは、ユーザがドアを持ち上げ、ある試料瓶をシステム内の他の試料瓶よりも先に手動で投入することにより、特定の試料を早めに処理できるようにする。
【0071】
リアクタ200(例えば、RXTR)は、性能改善のために構成される。熱試料制御機構256は、シェルと、試料224の加熱又は冷却を問わず、出口226において正しい37℃であるように50mL/分まで5℃~95℃で試料の温度を調整するチューブ熱交換器との一実装形態である。リアクタ202へのラインは、試料224及び染色剤(204、204a)が、37℃(例えば、生理的温度)である動作温度であることを示す。ライン220は、リアクタ202から分析モジュール206への経路を示す。
【0072】
システム202aは、最大で50mL/分で試料224を充填し、リアクタ200に100mLを迅速に充填し終えることができ、熱平衡が必要ないため、試薬を添加して反応を即座に開始することができる。熱試料制御システム256は、コントローラ(例えば、600)の制御下で利益をもたらし、試薬及び意図される試料粒子に必要とされる適切な温度で試料をリアクタ202に提供する。
【0073】
リアクタへの及びリアクタからのライン270は、洗浄流体204cからリアクタ200内のピストン230への洗浄流れを示す。ピストン230は、
図8A~
図8Cに示されるように、洗浄流体204c等の流体をピストン230のシール234間のポート236に注ぎ、
図8Bに示されるようにシール234を洗浄し、潤滑化できるようにする二重シール234設計で構成される。2つのシール234間のポート236は、2つのシール234間を通る洗浄流体204c、潤滑剤又は他の液体240bを提供する。洗浄流体204c又は染色流体は、汚染及びシール234への蓄積を防ぐために通すことができる。それは、シール234から形成され得る微粒子も洗浄する。ポート236は、入口又は出口であり得、第1のポートの逆である逆側に別のポートがある。1つのポート236は、入口であり、1つのポートは、出口である。ピストンヘッド230aは、試薬流体(例えば、染色剤204、対比染色剤204a)をリアクタチャンバ内の試料222に提供するための流体導管238を含む。
【0074】
既に反応温度であり、同様に既に反応温度である染色剤204、204a中の色素と即座に反応する試料224をリアクタ202に充填する能力は、プロトコル中の時間を短縮する。試料の温度を事前調整することは、開始から終了までのプロトコル全体から最大で15~20分の時間を短縮し得る。
【0075】
リアクタは、流体接触エリア全体で高研磨表面仕上げを有する本体を含み得る。したがって、ポートは、潤滑剤をシールに提供して、シールの長寿命性を強化する。潤滑剤は、リアクタから汚染物をなくすこともできる。
【0076】
幾つかの実施形態では、フローサイトメータ(100)は、光路に光を放射するように構成された1つ以上の光エミッタ(120)を含み得る。フローサイトメータ(100)は、光路に対してほぼ側方方向のフローセル幅(W1)及び光路に対して長手方向のフローセル奥行きを有する矩形フローセル(104)を含み得る。光路は、フローセル(104)において、フローセル幅(W1)よりも狭い調査幅(W2)を有する。球形リフレクタ(106)は、矩形フローセル(104)に隣接して位置決めされ、反射光が光路とほぼ直交する反射路に沿って反射されるように、光路とほぼ直交して位置決めされる反射方向を有する凹反射面を有する。照明領域102は、反射路の周囲に少なくとも部分的に位置決めされて、反射路に対してある角度の反射光を吸収する1つ以上の吸光部材(114)を含む。各吸光部材(114)は、フローセル(104)から離れて拡張するテーパ形吸光面(114a)、反射路とほぼ平行である平行吸光面(114b)、反射路とほぼ直交する直交吸光面(114c)又はフローセルの壁の表面上のフローセル吸収表面(104c)の1つ以上を含む。任意選択的に、各吸光部材(114)は、吸光内壁を有する光導管を形成する。
【0077】
フローサイトメータ(100)は、反射路が射出孔(110)を通過するように位置決めされる射出孔(110)を画定する絞り(108)を含み得る。射出孔(110)は、射出孔が開口部を画定する筐体(例えば、絞り等)に比べて小さい断面寸法を有することができる。幾つかの態様では、射出孔(110)は、50mm未満、25mm未満又は15mm未満の寸法を有する。
【0078】
フローサイトメータ(100)は、フローセル(104)と射出孔(110)との間に位置決めされて、それらの間に光導管を画定する1つ以上の吸光部材(114)を含み得る。幾つかの態様では、1つ以上の吸光部材(114)は、射出孔(110)を少なくとも部分的に画定する。
【0079】
幾つかの実施形態では、主導管(142)は、射出孔(110)から下流にあり、下流は、射出孔を通過して主導管に入る反射光路を参照する。主導管(142)は、主導管(142)の内面の少なくとも一部を覆う1つ以上の吸光部材(114)を含み得る。
【0080】
幾つかの実施形態では、ビームスプリッタ(136)は、主導管(142)に配置される。吸光部材(14)は、射出孔(110)とビームスプリッタ(136)との間に位置決めされて、それらの間に光導管を画定する。
【0081】
フローサイトメータ(100)は、ビームスプリッタ(136)から反射された光を受け取るように位置決めされた第1の収集チャネル(130)と、ビームスプリッタ(136)を通過する光を受け取るように位置決めされた第2の収集チャネル(132)とを含み得る。第1の収集チャネル(130)又は第2の収集チャネル(132)の少なくとも一方は、ノッチフィルタ(137)を含む。幾つかの態様では、第1の収集チャネル(130)及び第2の収集チャネル(132)の少なくとも一方において、1つ以上の吸光部材(133/139)がある。
【0082】
フローサイトメータ(100)は、フローセルが球形リフレクタ(106)と集光レンズとの間にあるように、フローセル(104)に隣接する集光レンズ(116)を含み得る。球形リフレクタ(106)は、後部リフレクタであり得、フローサイトメータ(100)は、前部リフレクタがなく、その場合、吸収体(114)は、任意の前部リフレクタに取って代わる。
【0083】
幾つかの実施形態では、フローサイトメータ(100)は、種々の構成要素を含むシステム(200、200a)を含み得るか又はそれに含まれ得る。構成要素は、試料(224)を染色(204、204a)のために提供する試料槽又は試料収集システム(250)を含み得る。構成要素は、分析物染色剤組成物を含む分析物染色槽(204)を含み得、分析物染色剤組成物は、標的分析物を検出するように構成された色素を含む。構成要素は、対比染色剤組成物を含む対比染色剤槽(204a)を含み得、対比染色剤組成物は、非標的分析物を検出するように構成された色素を含む。
【0084】
フローサイトメータ(100/208)又はシステム(200、200a)は、試料槽、分析物染色剤槽(204)及び対比染色剤槽(204a)並びにフローサイトメータ(100/208)の分析モジュール206内のフローセル(104)と動作可能に結合された1つ以上のポンプ(110)を含み得る(例えば、試料224を供給するライン220は、試料槽であり得、自動試料瓶分配器252内の試料は、槽でもあり得る)。各ポンプ(110)は、少なくとも1mL/分、5mL/分、20mL/分、50mL/分又は100mL/分の流量のために構成される。
【0085】
幾つかの実施形態では、フローサイトメータ(100/208)は、以下の1つ以上がない:シースフローがフローセルで生じないようにシースフロー槽及び/若しくはシースフローポンプ又は粒子サイジングシステム。
【0086】
幾つかの実施形態では、キットは、実施形態の1つのフローサイトメータ(100/208)を含み得る。キットは、第1の蛍光波長を有する分析物染色剤(204)も含み得る。キットは、第2の蛍光波長を有する対比染色剤(204a)も含み得る。
【0087】
幾つかの実施形態では、試料中の標的分析物を検出する方法が提供され、方法は、コントローラ(例えば、計算デバイス600、計算システム等)の動作下で実施され得る。標的分析物検出方法は、実施形態の1つのフローサイトメータ(100/208)で実施され得る。分析物染色剤及び対比染色剤を有する試料がフローサイトメータ(100/208)に提供され得る。分析物染色剤放射波長は、対比染色剤放射波長と区別可能であり、これらは、検出することができ、コントローラによって処理することができる。コントローラは、フローサイトメータ(100/208)による染色試料の光調査を使用することにより、試料を分析することができる。コントローラは、フローサイトメータ(100/208)からの染色試料の試料データを分析し、分析物染色剤を有する潜在的な標的を検出することができる。コントローラは、データ分析コンピュータでもあり得、対比染色剤がないもの又は対比染色剤閾値を下回る対比染色剤を有するものとして潜在的な標的を特定するために使用され得る。コントローラは、次いで、対比染色剤なしで分析物染色剤を有するか、又は対比染色剤閾値を下回る対比染色剤を有する検出された潜在的な標的を標的分析物として識別するために使用され得る。しかしながら、コントローラ及びデータ分析コンピュータは、別個のコンピュータデバイス(600)であり得る。コントローラは、システムの任意の構成要素と動作可能に通信して、その構成要素の動作制御、データ受信及び任意選択的に任意の構成要素の動作の変更を行うことができる。
【0088】
幾つかの実施形態では、フローサイトメータは、100mL当たり約1個の分析物の検出下限を有し、検出下限は、50mL~150mL当たり、75mL~125mL当たり又は90mL~120mL当たり1個の分析物の範囲であり得る。フローサイトメータ内の吸光特徴を用いて、この範囲外の検出下限を得ることができる。方法は、少なくとも1mL/分、5mL/分、20mL/分、50mL/分又は100mL/分の流量で試料をフローセルに通すことを含み得、これは、より低い検出下限にも寄与し得る。
【0089】
幾つかの実施形態では、分析物染色剤は、核酸の染色に特異的であり、対比染色剤は、非生存細胞に浸透することが可能である。幾つかの態様では、試料は、食品試料、飲料試料、環境試料又は精製水試料から選択される。幾つかの態様では、方法は、フィルタ又はスプリッタ等を用いて、分析物染色剤又は対比染色剤からの光放射の波長範囲をブロックすることを含む。
【0090】
幾つかの実施形態では、方法は、対比染色剤の割合の閾値を定義することを含む。次いで、方法は、対比染色剤の放射が対比染色剤の割合の閾値を下回るか否かを決定することを含み得る。対比染色剤の放射が対比染色剤の割合の閾値を下回る場合、分析物は、存在するか、又は細胞は、生存していると決定される。対比染色剤の放射が対比染色剤の割合の閾値を上回る場合、分析物は、存在しないか、又は細胞は、非生存であると決定される。
【0091】
幾つかの実施形態では、方法は、分析物染色剤と対比染色剤との比率の閾値を定義することを含み得る。次いで、方法は、分析物染色剤の放射及び対比染色剤の放射が分析物染色剤と対比染色剤との比率の閾値を上回る、分析物染色剤と対比染色剤との比率を有するか否かを決定することを含み得る。比率が分析物染色剤と対比染色剤との比率の閾値を上回る場合、分析物は、存在するか、又は細胞は、生存していると決定される。比率が分析物染色剤と対比染色剤との比率の閾値を下回る場合、分析物は、存在しないか、又は細胞は、非生存であると決定される。
【0092】
幾つかの実施形態では、方法は、対比染色剤と分析物染色剤との比率の閾値を定義することを含み得る。次いで、方法は、対比染色剤の放射及び分析物染色剤の放射が、対比染色剤と分析物染色剤との比率の閾値を下回る、対比染色剤と分析物染色剤との比率を有するか否かを決定することを含み得る。比率が対比染色剤と分析物染色剤との比率の閾値を下回る場合、分析物は、存在すると決定されるか、又は細胞は、生存していると決定される。比率が対比染色剤と分析物染色剤との比率の閾値を上回る場合、分析物は、存在しないか、又は細胞は、非生存であると決定される。
【0093】
幾つかの実施形態では、方法は、1つ以上の吸光部材で光の内部反射を阻止することを含み得る。反射の阻止は、フローサイトメータにおける吸光部材の任意の1つ若しくは複数又は全てを用いて行うことができる。
【0094】
幾つかの実施形態では、方法は、調査光ビームの光路が、フローセルにおいて、フローセル幅よりも狭い調査幅を有するように、1つ以上の光エミッタを用いて1つ以上の調査光ビームを矩形フローセルに放射することを含み得る。フローセルの後壁からの方向転換された光は、球形リフレクタに向かって移動し、及びフローセルを通して且つフローセルの前壁から反射路上で反射されて戻る。
【0095】
幾つかの実施形態では、方法は、反射路に対してある角度における、フローセル前壁と射出孔との間の光が1つ以上の吸光部材で吸収されることを含み得る。幾つかの態様では、反射路に対してある角度の反射光は、1つ以上の吸光部材で吸収される。幾つかの態様では、光は、1つ以上の吸光部材と接触すると、射出孔内に又は反射路に沿って反射されない。幾つかの態様では、光は、フローセル壁上の吸光部材を通過しない。幾つかの態様では、光導管は、1つ以上の吸光部材を用いて、反射路に対してある角度の光を吸収する。
【0096】
幾つかの実施形態では、光が照明領域から出ることを可能にするように光路が延びる射出孔は、絞りによって画定される光アパーチャである。したがって、射出孔は、開口部を画定する筐体からのものであり得る。反射路上の光は、射出孔を通して主導管に入る。幾つかの態様では、反射路に対してある角度における、射出孔と主導管内のビームスプリッタとの間の光は、1つ以上の吸光部材で吸収される。反射路に対してある角度における、主導管内の反射光は、主導管内の1つ以上の吸光部材で吸収される。光は、主導管内の1つ以上の吸光部材と接触すると、ビームスプリッタ内に又は反射路に沿って反射されない。主導管内の光導管は、主導管内の1つ以上の吸光部材を用いて、反射路に対してある角度の光を吸収する。
【0097】
幾つかの実施形態では、1つ又は複数のビームスプリッタを使用して、反射光を2つ以上の収集チャネルに分けることができる。ビームスプリッタ反射路に対してある角度における、ビームスプリッタから反射されて第1の収集チャネルに向けられる光は、第1の収集チャネル内の1つ以上の吸光部材で吸収される。ビームスプリッタ反射路に対してある角度における、第1の収集チャネル内の反射光は、第1の収集チャネル内の1つ以上の吸光部材で吸収される。光は、第1の収集チャネル内の1つ以上の吸光部材と接触すると、第1の収集チャネルにおける光学要素内に又はビームスプリッタ反射路に沿って反射されない。第1の収集チャネルにおける光導管は、第1の収集チャネル内の1つ以上の吸光部材を用いて、ビームスプリッタ反射路に対してある角度の光を吸収する。反射路に対してある角度における、ビームスプリッタを通されて、反射路に沿って第2の収集チャネルに向けられる光は、第2の収集チャネル内の1つ以上の吸光部材で吸収される。反射路に対してある角度における、第2の収集チャネル内の反射光は、第2の収集チャネル内の1つ以上の吸光部材で吸収される。光は、第2の収集チャネル内の1つ以上の吸光部材と接触すると、第2の収集チャネルにおける光学要素内に又は反射路に沿って反射されない。第2の収集チャネルにおける光導管は、第2の収集チャネル内の1つ以上の吸光部材を用いて、反射路に対してある角度の光を吸収する。
【0098】
幾つかの実施形態では、集光レンズは、光を反射路に沿って向ける。
幾つかの実施形態では、方法は、試料槽、試料瓶、試料入力又は他の試料源から試料を取得することを含み得る。分析物染色剤は、分析物染色剤組成物を含む分析物染色剤槽から取得され得、分析物染色剤組成物は、色素を含む。対比染色剤は、対比染色剤組成物を含む対比染色剤槽から取得され得、対比染色剤組成物は、色素を含む。試料は、リアクタにおいて分析物染色剤及び/又は対比染色剤で染色され得る。染色試料は、光調査のためにフローセルに提供することができる。染色試料は、少なくとも1mL/分、5mL/分、20mL/分、50mL/分又は100mL/分の流量でフローセルを通して流れることができる。
【0099】
幾つかの実施形態では、データ分析コンピュータ(例えば、コントローラ)は、標的分析物の存在を識別するために、フローサイトメータからのデータを分析するように構成され得る。データ分析コンピュータは、分析物染色剤データピークに対して整合フィルタ分析を実施して、標的分析物であると見なされるピークを特定するように構成され得る。整合フィルタ分析は、生データを通して整合フィルタを適用して形状整合情報を分離すること、識別された「ピーク」に閾値論理を適用すること、ピークが、指定された記録の最小/最大数の検出閾値を上回る場合にピークが識別されること、両方のチャネル(分析物染色剤及び対非染色剤)のピーク生信号強度を取得すること、閾値を上回る記録の数を取得すること、両方のチャネルのピーク強度を取得すること、区別論理を少なくとも2つのチャネルに適用すること、分析物染色剤チャネルが最小/最大強度範囲(Ch1 FLF1)内にあるか否かが決定されること、対比染色剤チャネルが最小/最大強度範囲(Ch2 FLF1)内にあるか否かが決定されること、分析物染色剤チャネル強度と対比染色剤チャネル強度との比率が特定されること(Ch2 FLF2)を含む。
【0100】
幾つかの実施形態では、潜在的な標的分析物は、次いで、整合フィルタリングに基づいて選択される。例えば、ピークは、検出閾値範囲内になければならず、分析物染色剤チャネルは、範囲内にあり、対比染色剤チャネルは、範囲内にあり、及び/又は分析物染色剤チャネル強度と対比染色剤チャネルとの比率は、範囲内にある。
【0101】
幾つかの実施形態では、フローサイトメータ又は染色試料を提供するシステムは、本明細書に記載のように構成され得る。システムは、2つの別個の試料を染色するために2つのリアクタを有することができ、及び両方のリアクタは、入力を単一のフローサイトメータに提供する。システムは、第1の試料が第1のリアクタで加熱、染色され、第1の試料が第1のリアクタから出てフローサイトメータを通され、第1の試料がフローサイトメータを通されている間、第2のリアクタが、事前調整された第2の試料を染色しており、第1の試料がフローサイトメータを完全に通り抜けた後、第2の試料が第2のリアクタから出てフローサイトメータを通され、第2の試料がフローサイトメータを通されている間、第1のリアクタが、事前調整された第3の試料を染色しているように構成され、方法は、染色ステップ及びフローサイトメータへの圧送ステップにおいて第1のリアクタと第2のリアクタとを交互にすることによって継続する。
【0102】
フローサイトメータ又は染色試料を提供するシステムで実施される、本明細書に記載の方法は、コントローラの制御下であり得る。コントローラは、本明細書に記載の方法ステップを実施するためのコンピュータ実行可能命令を有する非一時的メモリを含み得る。データ分析方法は、データ分析コンピュータで実施され得、データ分析コンピュータは、コントローラからの同じ又は異なる計算システムであり得る。
【実施例】
【0103】
実験は、細菌細胞5個の標的最大を有する単一の100mL試料の分析を含み得る。100mLの分析は、20分のランにわたって行われ、データ収集は、625万個の記録を含み、各記録にはノイズ帯域があるか又は信号がある。一例では、粒子がフローサイトメータによって検出され、3記録長であり、ノイズを有した。
【0104】
データは、生データとしてピックアップすることができ、分析を使用して、生存細胞である信号を見つけて検証し、無視する信号を決定する。プロトコルは、整合フィルタをデータに対して実行して、既知の生存粒子データピークと整合するデータピークの識別を取得する。整合フィルタは、識別可能な細菌、他の微生物又は他の標的分析物(例えば、標識されたウイルス、活性成分、非生物的汚染物等)の既知のデータピーク形状と、対応するデータピーク形状とを識別する形状分析であり得る。分析物染色剤データ信号は、整合フィルタに使用される。分析物データ信号ピーク信号が生存細胞の可能性があるものとして識別されると、更なる分析を行うことができる。機械学習は、分析物ピーク対非標的ピークを学習するために使用され得、次いでデータから分析物ピークを選択するために使用され得る。
【0105】
プロトコルは、整合が各記録ヒットの大きさ、ヒットの最小数又は各記録ヒットの形状について異なる基準を有するような、整合フィルタを用いた形状発見動作を含み得る。データは、ベースラインを超える最小振幅を有するように分析することができ、したがってピークが小さすぎる場合、システムは、そのピークを生存細胞ではないと決定する。分析は、大きすぎるピークを不適格とするために使用され得る最大振幅を有し得る。ピークが大きすぎる場合、そのピークが標的バイオバーデンであるには大きすぎる、ガスケットから剥がれた何らかのものであることを示し得、その場合、生存細胞として不適格になる。放射蛍光信号がPMTを飽和させる場合、それは、PMTが1マイクロ秒間ブラインドになったことも示し、それにより、ピークは、生存細胞に不適格となり得る。これらのパラメータは、更なる分析にいずれのピークが適格であるかを決定するために使用される。
【0106】
一例では、システムは、43個の生存ヒット(信号)と、短すぎる不十分な強度及び/又は面積を有するか、又は他に生存細胞であるには不適格である397個の他の信号とを見つけた。細胞染色剤チャネルにおいて粒子事象であると決定された信号が合計で440個あったが、43個のみが生存粒子として有効であった。各細胞染色ピークと、対応する対比染色ピークとの比較は、対比染色信号の全ピークの割合が閾値を下回る場合等、信号が生存細胞のものであるか否かの指示を提供する。
【0107】
一例では、信号ピーク高さは、150記録単位であり得、弁別器は、ピークを生存細胞の可能性があるものとする100単位に設定される。信号ピーク幅は、生存細胞ではないピークを特定するために使用される最小閾値を有し得、したがって、対応するピークは、不適格とされ得る。
【0108】
次いで、選択された43個の有効ヒットを分析して、いずれのヒットが生存細胞であるか又は生存細胞ではないか(例えば、生物又は非生物)を決定することができる。FLF1チャネルは、サイズ区別のためのものであり得る。FLF2チャネルは、そのスペクトル信号チャネル対他のチャネルの比率であり、例えば、チャネル1は、参照チャネルであり、チャネル2は、対比チャネルである。係数は、等しく加重されるなど、異なる係数によって加重され得る。しかしながら、加重は、対比染色剤チャネル(赤色)対分析物染色剤チャネル(緑色)で200%であり得る。FLF1及びFLF2チャネルパラメータは、必要に応じて可変である。
【0109】
信号のベースラインは、動的であり得、したがって、ベースラインは、色素を用いたラン及びシステムとの対話に応じて移動するため、データを追跡することができる。したがって、動的ベースラインの使用は、最適なデータ分析感度に役立つことができる。動的ベースラインは、ある時間期間にわたるベースラインの分布及び分布の統計的に有意な部分を任意の特定の分析又は比較のベースラインとして選択することによって取得することができる。
【0110】
図3に示されるように、緑色チャネルは、分析物染色剤に使用され得、赤色チャネルは、対比染色剤に使用され得る。分析物染色剤色素を用いる用途では、分析は、生細胞を探すが、システムは、2つ以上のチャネルに2つ以上の分析物染色剤を使用することもできる。システムを採用して赤色の細胞(例えば、対比染色剤)のみを探すこともできる。更に、システムは、信号の組合せを使用し、それらを一緒に合算することができる。
図3のデータは、15個の生物を有する100mLを用いた細菌試料ランを示し、上部データ点は、緑色染色剤に関するものであり、下部データ点は、赤色染色剤(例えば、対比染色剤)に関するものである。
【0111】
図4は、標的分析物及び対比染色サイズに適したスペクトルプロファイルであると決定された許容差内において、サイズ及び振幅パラメータ内の標的分析物染色剤信号及びピークを有することによって示されるように生物である信号の一例を示す。ピーク強度は、標的分析物染色サイズ及び生存標的分析物(例えば、生存細胞)を区別するために適したスペクトルプロファイルであると決定されたピーク強度と相関して適切であると決定された最大許容差未満である。
図4は、2%赤色を有する生物を示す。
【0112】
図5は、標的分析物染色サイズ及び生存標的分析物(例えば、生存細胞)を区別するために適したスペクトルプロファイルであると決定されたピーク強度と相関して適切であると決定された最大許容差を対比染色剤ピーク(例えば、赤色)が超えることに起因して、生存標的分析物ではない(例えば、非生物粒子である)信号の一例を示す。
図5は、赤色チャネルの強度及び生細菌ではない117%である比率に起因して、非生物が区別されたことを示す。
【0113】
図6は、整合フィルタ例のグラフを示す。整合フィルタ方法は、以下のように実施され得る:
生データを通して整合フィルタを適用して形状整合情報を分離する。
【0114】
識別された「ピーク」に閾値論理を適用する。
ピークが、指定された記録の最小/最大数の検出閾値を上回る場合にピークが識別される。
【0115】
両方のチャネル(分析物染色剤及び対非染色剤)のピーク生信号強度を取得する。
閾値を上回る記録の数を取得する。
両方のチャネルのピーク強度を取得する。
【0116】
区別論理を適用する(2チャネル例)。
生物チャネルが最小/最大強度範囲(Ch1 FLF1)内にあるか否かが決定される。
【0117】
非生物チャネルが最小/最大強度範囲(Ch2 FLF1)内にあるか否かが決定される。
生物チャネル強度対非生物チャネル強度の比率が特定される(Ch2 FLF2)。
【0118】
次いで、潜在的な生存粒子が整合フィルタリングに基づいて選択され、潜在的な生存粒子において、ピークは、
検出閾値範囲内になければならず、
生物チャネルは、範囲内であり、
非生物チャネルは、範囲内であり、及び/又は
生物チャネル強度対非生物チャネルの比率は、範囲内である。
【0119】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載のデータ及び分析パラメータ並びに標的分析物が生存細胞であるか否かの結果決定は、人工知能システムをトレーニングするための入力データとして使用され得る。データは、エンコーダ又は他のニューラルネットワークを通して入力され、処理されて、潜在的なデータを生成することができ、潜在的なデータは、次いで、復号化されて出力データになり得る。出力データは、粒子が生存細胞であるか否かの生成された予測決定であり得る。次いで、トレーニングされた人工知能システムが使用されて、いずれのデータが生存細胞を識別するか、及びいずれのデータが生存細胞を示さないかを特定することができる。これにより、トレーニングされた人工知能システムは、データ分析を実施し、トレーニングデータ及び実データからの結果に基づいて、いずれの粒子が生存粒子であるかを決定することができる。したがって、生存細胞を他の粒子から区別する方法は、本明細書に記載のように実施され、人工知能システムに適用され得る。
【0120】
当業者であれば、本明細書に開示されるプロセス及び方法に関して、プロセス及び方法で実施される機能が異なる順序で実施され得ることを理解するであろう。更に、概説したステップ及び動作は、単に例として提供され、ステップ及び動作の一部は、任意選択的であり得るか、開示される実施形態の本質から逸脱することなく組み合わされてより少ないステップ及び動作にされ得るか、又は追加のステップ及び動作に拡張され得る。
【0121】
一実施形態では、本方法は、計算システムで実施される態様を含み得る。したがって、計算システムは、方法を実施するためのコンピュータ実行可能命令を有するメモリデバイスを含み得る。コンピュータ実行可能命令は、請求項のいずれかの方法のいずれかを実施するための1つ又は複数のアルゴリズムを含むコンピュータプログラム製品の一部であり得る。
【0122】
一実施形態では、本明細書に記載の動作、プロセス又は方法のいずれかは、コンピュータ可読媒体に記憶され、1つ又は複数のプロセッサによって実行可能なコンピュータ可読命令の実行に応答して実施され得るか又は実施させられ得る。コンピュータ可読命令は、デスクトップ計算システムからポータブル計算システム、タブレット計算システム、ハンドヘルド計算システム及びネットワーク要素並びに/又は任意の他の計算デバイスまでの広範囲の計算システムのプロセッサによって実行され得る。コンピュータ可読媒体は、非一時的である。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ/プロセッサによって物理的媒体から物理的に読み取り可能であるように、記憶されたコンピュータ可読命令を有する物理的媒体である。
【0123】
本明細書に記載のプロセス及び/若しくはシステム並びに/又は他の技術が行われ得る種々の手段があり(例えば、ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェア)、好ましい手段は、プロセス及び/若しくはシステム並びに/又は他の技術が展開される状況に伴って変わり得る。例えば、速度及び正確性が最重要であると実施者が決定する場合、実施者は、主にハードウェア及び/又はファームウェア手段を選択し得るか、柔軟性が最重要である場合、実施者は、主にソフトウェア実施を選択し得るか、又はここでも代替的に、実施者は、ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの何らかの組合せを選択し得る。
【0124】
本明細書に記載の種々の動作は、個々に及び/又は集合的に、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの任意の組合せによって仮想的に実施され得る。一実施形態では、本明細書に記載の主題の幾つかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)又は他の集積フォーマットを介して実施され得る。しかしながら、本明細書に開示される実施形態の幾つかの態様は、全体的に又は部分的に、1つ若しくは複数のコンピュータで実行される1つ若しくは複数のコンピュータプログラムとして(例えば、1つ若しくは複数のコンピュータシステムで実行される1つ若しくは複数のプログラムとして)、1つ若しくは複数のプロセッサで実行される1つ若しくは複数のプログラムとして(例えば、1つ若しくは複数のマイクロプロセッサで実行される1つ若しくは複数のプログラムとして)、ファームウェアとして又はそれらのほぼあらゆる組合せとして集積回路で等しく実施され得、回路を設計すること並びに/或いはソフトウェア及び/又はファームウェアのコードを記述することが本開示に照らして可能である。加えて、本明細書に記載の主題のメカニズムは、多様な形態のプログラム製品として配布することができ、本明細書に記載の主題の例示的な実施形態は、実際に配布を実行するために使用される特定のタイプの信号伝達媒体を問わずに適用される。物理的な信号伝達媒体の例としては、限定されないが、記録可能なタイプの媒体、例えばフロッピーディスク(登録商標)、ハードディスクドライブ(HDD:hard disk drive)、コンパクトディスク(CD:compact disc)、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disc)、デジタルテープ、コンピュータメモリ又は一時的若しくは伝送ではない任意の他の物理的媒体がある。コンピュータ可読命令を有する物理的媒体の例は、デジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、有線通信リンク、無線通信リンク等)等の一時的又は伝送型媒体を除く。
【0125】
本明細書に記載のようにデバイス及び/又はプロセスを説明することは、一般的であり、したがってエンジニアリング実施を使用して、そのような記載のデバイス及び/又はプロセスをデータ処理システムに統合する。即ち、本明細書に記載のデバイス及び/又はプロセスの少なくとも一部は、妥当な量の経験を介してデータ処理システムに統合することができる。典型的なデータ処理システムは、一般に、システムユニット筐体、ビデオディスプレイデバイス、不揮発性及び揮発性メモリ等のメモリ、マイクロプロセッサ及びデジタル信号プロセッサ等のプロセッサ、オペレーティングシステム、ドライブ、グラフィカルユーザインタフェース及びアプリケーションプログラム等の計算エンティティ、タッチパッド又はスクリーン等の1つ又は複数の対話デバイス及び/又はフィードバックループ及び制御モータ(例えば、位置及び/又は速度を感知するためのフィードバック、構成要素及び/又は量を移動及び/又は調節するための制御モータ)を含む制御システムの1つ又は複数を含む。典型的なデータ処理システムは、任意の適した市販の構成要素、例えばデータ計算/通信及び/又はネットワーク計算/通信システムで一般に見られるものを利用して実施され得る。
【0126】
本明細書に記載の主題は、異なる他の構成要素内に含まれるか又はそれと接続された異なる構成要素を示すことがある。そのような図示のアーキテクチャは、単なる例示であり、実際には、同じ機能を達成する他の多くのアーキテクチャが実施され得る。概念的な意味では、所望の機能が達成されるように、同じ機能を達成する任意の構成の構成要素が効果的に「関連付けられる」。したがって、本明細書では、特定の機能を達成するために結合された任意の2つの構成要素は、アーキテクチャ又は中間構成要素を問わず、所望の機能が達成されるように互いに「関連付けられている」とものとして見ることができる。同様に、そうして関連付けられた任意の2つの構成要素は、所望の機能を達成するために互いに「動作可能に接続」又は「動作可能に結合」されているものとして見ることができ、そうして関連付けることが可能な任意の2つの構成要素は、所望の機能を達成するために互いに「動作可能に結合可能」であるものとして見ることもできる。動作可能に結合可能な具体例としては、限定されないが、物理的に嵌合可能及び/若しくは物理的に相互作用可能な構成要素、無線で相互作用可能及び/若しくは無線で相互作用する構成要素並びに/又は論理的に相互作用し且つ/若しくは論理的に相互作用可能な構成要素がある。
【0127】
図7は、幾つかの実施形態において本明細書に記載の方法(又はその一部)を実行するように配置され得る一例の計算デバイス600(例えば、コンピュータ)を示す。非常に基本的な構成602では、計算デバイス600は、一般に、1つ又は複数のプロセッサ604及びシステムメモリ606を含む。メモリバス608は、プロセッサ604とシステムメモリ606との間の通信に使用され得る。
【0128】
所望の構成に応じて、プロセッサ604は、限定されないが、マイクロプロセッサ(μP:microprocessor)、マイクロコントローラ(μC:microcontroller)、デジタル信号プロセッサ(DSP)又はそれらの任意の組合せを含む任意のタイプであり得る。プロセッサ604は、1つ又は複数のレベルキャッシング、例えばレベル1キャッシュ610及びレベル2キャッシュ612、プロセッサコア614及びレジスタ616を含み得る。一例のプロセッサコア614は、算術論理ユニット(ALU:arithmetic logic unit)、浮動小数点ユニット(FPU:floating point unit)、デジタル信号処理コア(DSPコア)又はそれらの任意の組合せを含み得る。一例のメモリコントローラ618は、プロセッサ604と併用され得るか、又は幾つかの実装形態では、メモリコントローラ618は、プロセッサ604の内部部品であり得る。
【0129】
所望の構成に応じて、システムメモリ606は、限定されないが、揮発性メモリ(RAM等)、不揮発性メモリ(ROM、フラッシュメモリ等)又はそれらの任意の組合せを含む任意のタイプであり得る。システムメモリ606は、オペレーティングシステム620、1つ又は複数のアプリケーション622及びプログラムデータ624を含み得る。アプリケーション622は、本明細書に記載の方法に関して説明したものを含め、本明細書に記載されるような動作を実行するように構成された決定アプリケーション626を含み得る。決定アプリケーション626は、圧力、流量及び/又は温度等のデータを取得し、次いで圧力、流量及び/又は温度を変更するためのシステムへの変更を決定することができる。
【0130】
計算デバイス600は、基本構成602と、任意の必要とされるデバイス及びインタフェースとの間の通信を促進するために追加の特徴又は機能及び追加のインタフェースを有し得る。例えば、バス/インタフェースコントローラ630が使用されて、ストレージインタフェースバス634を介して基本構成602と1つ又は複数のデータ記憶装置632との間の通信を促進し得る。データ記憶装置632は、リムーバブル記憶装置636、非リムーバブル記憶装置638又はそれらの組合せであり得る。リムーバブル記憶装置及び非リムーバブル記憶装置の例としては、数例を挙げれば、フレキシブルディスクドライブ及びハードディスクドライブ(HDD)等の磁気ディスクデバイス、コンパクトディスク(CD)ドライブ又はデジタル多用途ディスク(DVD)ドライブ等の光ディスクドライブ、固体状態ドライブ(SSD:solid state drive)及びテープドライブがある。コンピュータ記憶媒体の例としては、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータ等の情報を記憶する任意の方法又は技術で実施される揮発性及び不揮発性、リムーバブル及び非リムーバブル媒体があり得る。
【0131】
システムメモリ606、リムーバブル記憶装置636及び非リムーバブル記憶装置638は、コンピュータ記憶媒体の例である。コンピュータ記憶媒体は、限定されないが、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)若しくは他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ若しくは他の磁気記憶装置又は所望の情報の記憶に使用され得、計算デバイス600がアクセスし得る任意の他の媒体を含む。任意のそのようなコンピュータ記憶媒体は、計算デバイス600の一部であり得る。
【0132】
計算デバイス600は、バス/インタフェースコントローラ630を介して種々のインタフェースデバイス(例えば、出力デバイス642、周辺機器インタフェース644及び通信デバイス646)から基本構成602への通信を促進するインタフェースバス640も含み得る。出力デバイス642の例としては、グラフィックス処理ユニット648及びオーディオ処理ユニット650があり、これらは、1つ又は複数のA/Vポート652を介してディスプレイ又はスピーカ等の種々の外部デバイスと通信するように構成され得る。周辺機器インタフェース644の例としては、シリアルインタフェースコントローラ654又はパラレルインタフェースコントローラ656があり、これらは、1つ又は複数のI/Oポート658を介して入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、ペン、音声入力デバイス、タッチ入力デバイス等)又は他の周辺機器(例えば、プリンタ、スキャナ等)等の外部デバイスと通信するように構成され得る。通信デバイス646の一例としては、ネットワークコントローラ660があり、ネットワークコントローラ660は、1つ又は複数の通信ポート664を介したネットワーク通信リンクを経由した1つ又は複数の他の計算デバイス662との通信を促進するように構成され得る。
【0133】
ネットワーク通信リンクは、通信媒体の一例であり得る。通信媒体は、一般に、搬送波又は他の輸送機構等の変調データ信号内のコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータによって具現化され得、任意の情報伝送媒体を含み得る。「変調データ信号」は、特徴セットの1つ又は複数を有し、情報を信号に符号化するように変更された信号であり得る。限定ではなく、例として、通信媒体は、有線ネットワーク又は直接有線接続等の有線媒体及び音響、無線周波(RF:radio frequency)、マイクロ波、赤外線(IR:infrared)及び他の無線媒体等の無線媒体を含み得る。本明細書で使用されるコンピュータ可読媒体という用語は、記憶媒体及び通信媒体の両方を含み得る。
【0134】
計算デバイス600は、携帯電話、個人情報端末(PDA:personal data assistant)、パーソナルメディアプレーヤデバイス、無線ウェブウォッチデバイス、パーソナルヘッドセットデバイス、特定用途向けデバイス又は上記の機能のいずれかを含むハイブリッドデバイス等、フォームファクタが小さいポータブル(又はモバイル)電子デバイスの一部として実施され得る。計算デバイス600は、ラップトップコンピュータ及び非ラップトップコンピュータ構成の両方を含むパーソナルコンピュータとして実施され得る。計算デバイス600は、任意のタイプのネットワーク計算デバイスでもあり得る。計算デバイス600は、本明細書に記載のように自動システムでもあり得る。
【0135】
本明細書に記載の実施形態は、種々のコンピュータハードウェア又はソフトウェアモジュールを含む専用又は汎用コンピュータの使用を含み得る。
本発明の範囲内の実施形態は、コンピュータ実行可能命令又はそれに記憶されたデータ構造を運ぶか又は有するコンピュータ可読媒体も含む。そのようなコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用コンピュータによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体であり得る。限定ではなく、例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM若しくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置又はコンピュータ実行可能命令若しくはデータ構造の形態の所望のプログラムコード手段の搬送若しくは記憶に使用することができ、汎用又は専用コンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体を含み得る。情報がネットワーク又は別の通信接続(ハードワイヤード、無線又はハードワイヤード若しくは無線の組合せのいずれか)を経由してコンピュータに転送又は提供される場合、コンピュータは、接続をコンピュータ可読媒体として適宜見る。したがって、任意のそのような接続は、コンピュータ可読媒体と適宜呼ばれる。上記の組合せもコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0136】
コンピュータ実行可能命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は専用処理デバイスに特定の機能又は機能群を実行させる命令及びデータを含む。主題は、構造的特徴及び/又は方法論的動作に特有の言語で説明されたが、添付の特許請求の範囲に規定された主題は、必ずしも上述した特定の特徴又は動作に限定されないことを理解されたい。むしろ、上述した特定の特徴及び動作は、特許請求の範囲を実施する形態の一例として開示されている。
【0137】
幾つかの実施形態では、コンピュータプログラム製品は、プロセッサによって実行されると、方法を実施させるコンピュータ実行可能命令を有する非一時的有形メモリデバイスを含み得、方法は、物体の物体データ及び状態の状態データを有するデータセットを提供することと、データセットの物体データを処理して、物体エンコーダを用いて潜在物体データ及び潜在物体-状態データを取得することと、データセットの状態データを処理して、状態エンコーダを用いて潜在状態データ及び潜在状態-物体データを取得することと、物体デコーダを用いて潜在物体データ及び潜在物体-状態データを処理して、生成された物体データを取得することと、状態デコーダを用いて潜在状態データ及び潜在状態-物体データを処理して、生成された状態データを取得することと、潜在物体-状態データを潜在状態データと比較して差を特定することと、弁別器を用いて潜在物体データ及び潜在状態データ並びに潜在物体-状態データ又は潜在状態-物体データの一方を処理して、弁別器値を取得することと、生成された物体データ、生成された状態データ及び潜在物体-状態データと潜在状態-物体データとの間の差に基づいて、生成された物体データから選択された物体を選択することと、物体の物理的形態の検証についての推奨と共に、選択された物体を報告において提供することとを含み得る。非一時的な有形メモリデバイスは、本明細書に記載の方法又は方法ステップのいずれかの他の実行可能命令を有することもできる。命令は、分子の合成及び/又は分子を検証する実験プロトコル等の非計算タスクを実行する命令でもあり得る。他の実行可能命令が提供され得る。
【0138】
本開示は、本願に記載の特定の実施形態に限定されるべきではなく、本願に記載の特定の実施形態は、種々の態様の例示として意図される。当業者に明らかになるように、趣旨及び範囲から逸脱することなく多くの変更形態及び変形形態がなされ得る。本明細書に列記されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に均等な方法及び装置は、上記の説明から当業者に明らかになるであろう。そのような変更形態及び変形形態は、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。本開示は、添付の特許請求の範囲が権利を有する全範囲の均等物と共に、そのような特許請求の範囲の表現によってのみ限定されるべきである。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物又は生物系に限定されず、当然のことながら可変であることを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定を意図しないことも理解されたい。
【0139】
本明細書におけるほぼあらゆる複数及び/又は単数の用語の使用に関して、当業者は、状況及び/又は用途に適切であるように、複数から単数に且つ/又は単数から複数に言い換えることができる。明確にするために、本明細書において種々の単数/複数の置換が明示的に記載されることもある。
【0140】
一般に、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、一般に、「オープンな」用語として意図されることが当業者に理解されるであろう(例えば、「含んでいる」という用語は、「含むが、限定されない」として解釈されるべきであり、「有する」という用語は、「少なくとも~を有する」として解釈されるべきであり、「含む」という用語は、「含むが、限定されない」として解釈されるべきであるなど)。更に、導入される請求項の記載事項で特定の数が意図される場合、かかる意図は、その請求項に明確に記載され、そのような記載がない場合、かかる意図は、存在しないことが当業者に理解されるであろう。例えば、理解を促進するものとして、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の記載事項を導入するために、「1つ以上」及び「1つ又は複数」という導入句を含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という不定冠詞によって請求項の記載事項を導入した場合、同一の請求項内に「1つ又は複数」又は「1つ以上」といった導入句と、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という不定冠詞との両方が含まれる場合でも、かかる導入された請求項の記載事項を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つのみ含む請求項に限定されると示唆されるものと解釈されるべきではない(例えば、「1つの(a)」及び/又は「1つの(an)」は、一般的に、「1つ以上」又は「1つ又は複数」を意味するものと解釈されるべきである)。定冠詞を使用して請求項の記載事項を導入する場合にも同様のことが当てはまる。加えて、導入された請求項の記載事項で特定の数が明示されている場合でも、かかる記載は、一般的に、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが当業者に認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、一般的に少なくとも2つの記載事項又は2つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B及びC等の1つ以上」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図される(例えば、「A、B及びCの1つ以上を有するシステム」は、限定されないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとの両方、AとCとの両方、BとCとの両方及び/又はAと、Bと、Cとの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B又はC等の1つ以上」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図される(例えば、「A、B又はCの1つ以上を有するシステム」は、限定されないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBとの両方、AとCとの両方、BとCとの両方及び/又はAと、Bと、Cとの全てなどを有するシステムを含む)。更に、一般的に、2つ又は3つ以上の選択的な用語を表すあらゆる選言的な語及び/又は句は、説明、特許請求の範囲又は図面を問わず、それら用語の1つ、それらの用語のいずれか又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが当業者に理解されるであろう。例えば、「A又はB」という句は、一般的に、「A」若しくは「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されるであろう。
【0141】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して記載される場合、当業者は、本開示がそれによりマーカッシュ群の任意の個々のメンバ又はメンバの部分群に関しても記載されることを認識するであろう。
【0142】
当業者に理解されるように、あらゆる目的のため、書面での説明の提供等に関して、本明細書に開示される全ての範囲は、あらゆる可能な全ての部分範囲及びその部分範囲の組合せも包含する。任意の列記された範囲は、同じ範囲を少なくとも等しい2分割、3分割、4分割、5分割、10分割等に分けられることを十分に記述し、可能にするものとして容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、下三分の一、中三分の一及び上三分の一等に容易に分けることができる。同様に当業者によって理解されるように、「最大で」、「少なくとも」等の全ての用語は、記載された数を含み、先に考察したように続けて部分範囲に分けることができる範囲を指す。最後に、当業者に理解されるように、範囲は、個々の各メンバを含む。したがって、例えば、1~3個の細胞を有する群は、1個、2個又は3個の細胞を有する群を指す。同様に、1~5個の細胞を有する群は、1個、2、3個、4個又は5個の細胞を有する群を指す等である。
【0143】
上記から、本開示の種々の実施形態が本明細書で例示のために記載され、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく種々の変更形態がなされ得ることが理解されるであろう。したがって、本明細書に開示される種々の実施形態は、限定を意図せず、真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【0144】
本明細書に記載される全ての引用文献は、全体的に具体的な参照により本明細書に引用される:米国特許第4,745,285号明細書、米国特許第6,184,990号明細書及び米国特許出願第2017/0038299号明細書。
【国際調査報告】