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特表2024-531956通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/84 20060101AFI20240827BHJP
   H01Q 15/14 20060101ALI20240827BHJP
   B60S 1/02 20060101ALI20240827BHJP
   H05B 3/20 20060101ALI20240827BHJP
   H05B 3/86 20060101ALI20240827BHJP
   B60J 1/20 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H05B3/84
H01Q15/14 B
B60S1/02 300
H05B3/20 327
H05B3/86
B60J1/20 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508572
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 KR2022020169
(87)【国際公開番号】W WO2023113412
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0177684
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516149457
【氏名又は名称】韓国機械研究院
【氏名又は名称原語表記】KOREA INSTITUTE OF MACHINERY & MATERIALS
【住所又は居所原語表記】156, Gajeongbuk-ro Yuseong-gu Daejeon 34103 (KR)
(71)【出願人】
【識別番号】518438933
【氏名又は名称】センター フォー アドバンスト メタ-マテリアルズ
【氏名又は名称原語表記】CENTER FOR ADVANCED META-MATERIALS
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100213333
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿山 昌代
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョンドン
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ボンキュン
(72)【発明者】
【氏名】リン ミギョン
(72)【発明者】
【氏名】イ ハクジュ
(72)【発明者】
【氏名】チョン リキョ
【テーマコード(参考)】
3D225
3K034
5J020
【Fターム(参考)】
3D225AA02
3D225AB01
3D225AC11
3D225AD01
3D225AF28
3K034AA02
3K034AA03
3K034AA05
3K034AA06
3K034AA16
3K034BB05
3K034BB08
3K034BB14
3K034EA01
3K034JA06
3K034JA10
5J020AA06
5J020CA01
(57)【要約】
本発明の一実施形態は、5G通信帯域を透過させ、且つ、可視光線帯域で高い透過度を有し、発熱が可能な、通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体を提供する。ここで、構造体は、基板と、パターン部とを含む。パターン部は、基板に設けられ、通信周波数帯域を通過させ、発熱される。パターン部は、基板に全体として設けられる複数のセルを有し、それぞれのセルは、スロットが形成された複数の単位格子を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光に透明な基板と、
前記基板に設けられ、通信周波数帯域を通過させ、発熱されるパターン部とを含み、
前記パターン部は、前記基板に全体として設けられる複数のセルを有し、それぞれの前記セルは、スロットが形成された複数の単位格子を有することを特徴とする、通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体。
【請求項2】
前記単位格子は、正方形で形成され、前記単位格子の一辺の長さは、入射される前記通信周波数の半波長(2/λ)に対応することを特徴とする請求項1に記載の通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体。
【請求項3】
前記パターン部は、金属、透明導電性酸化物、透明導電性ポリマー、グラファイト相を有した炭素構造体のうち、少なくともいずれか1つで形成されることを特徴とする請求項1に記載の通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体。
【請求項4】
前記複数の単位格子は、互いに離隔配置され、離隔配置された隣接する単位格子は、透明電極により互いに連結されることを特徴とする請求項1に記載の通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体。
【請求項5】
前記パターン部の縁部は、第1の密度で形成され、前記パターン部の中央部は、前記第1の密度よりも小さい第2の密度で形成されることを特徴とする請求項1に記載の通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体。
【請求項6】
前記パターン部の縁部は、第1の厚さで形成され、前記パターン部の中央部は、前記第1の厚さよりも薄い第2の厚さで形成されることを特徴とする請求項1に記載の通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体。
【請求項7】
前記パターン部は、
前記通信周波数帯域を通過させる第1のパターン部と、
発熱される第2のパターン部とを有することを特徴とする請求項1に記載の通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体。
【請求項8】
前記第1のパターン部及び前記第2のパターン部は、互いに異なる物質からなることを特徴とする請求項7に記載の通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体。
【請求項9】
前記第1のパターン部は、前記基板の第1の領域に設けられ、
前記第2のパターン部は、前記第1の領域と区画される前記基板の第2の領域に設けられることを特徴とする請求項8に記載の通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体。
【請求項10】
前記セルは、前記セルの中心を垂直に直交する仮想の垂直軸を基準に非対称に形成されることを特徴とする請求項1に記載の通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体。
【請求項11】
前記複数の単位格子のいずれか1つの単位格子に形成されたスロットは、残りの単位格子に形成されたスロットよりも面積が小さいことを特徴とする請求項1に記載の通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体。
【請求項12】
前記パターン部が不透明な素材で形成される場合、それぞれの前記セルにおいて、前記スロットの面積割合は、70%以上であることを特徴とする請求項1に記載の通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体に関し、より詳しくは、5G通信帯域を透過させ、且つ、可視光線帯域で高い透過度を有し、発熱が可能な、通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、車両は、単に、物資と人力を運送することに加えて、運転手が運転中に音楽を聞いて画像を見られるように、オーディオ装置とビデオ装置を含むことが一般的であり、運転手が目的とする場所までの経路を表示するナビゲーション装置も広く設置されている。
【0003】
最近には、内燃機関車から電気自動車への技術移動が早く発生しており、車両が外部装置又は外部車両と通信する必要性も益々増加している。
【0004】
最大速度が20Gbpsに達する5G通信技術は、超低遅延性と超連結性を通じて、仮想現実、自律走行、モノのインターネット技術などを具現することができ、車両間通信などに5G通信技術を適用しようとする試みがなされており、一例として、5G超高速通信を通じたOTA(Over The Air)技術が脚光を浴びている。
【0005】
しかし、くもりや霜除去のための発熱ガラス用金属線や透明電極がある場合、5G通信電磁波が透過できないという問題点がある。
【発明の概要】
【解決しようとする課題】
【0006】
前記のような問題点を解決するために、本発明が解決しようとする技術的課題は、5G通信帯域を透過させ、且つ、可視光線帯域で高い透過度を有し、発熱が可能な、通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体を提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していない更に他の技術的課題は、下記の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を達成するために、本発明の一実施形態は、可視光に透明な基板と、前記基板に設けられ、通信周波数帯域を通過させ、発熱されるパターン部とを含み、前記パターン部は、前記基板に全体として設けられる複数のセルを有し、それぞれの前記セルは、スロットが形成された複数の単位格子を有することを特徴とする通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体を提供する。
【0009】
前記単位格子は、正方形で形成され、前記単位格子の一辺の長さは、入射される前記通信周波数の半波長(2/λ)に対応する。
【0010】
前記パターン部は、金属、透明導電性酸化物、透明導電性ポリマー、グラファイト相を有した炭素構造体のうち、少なくともいずれか1つで形成される。
【0011】
前記複数の単位格子は、互いに離隔配置され、離隔配置された隣接する単位格子は、透明電極により互いに連結される。
【0012】
可視光線透過度を確保するため、前記パターン部の縁部は、第1の密度で形成され、前記パターン部の中央部は、前記第1の密度よりも小さい第2の密度で形成される。
【0013】
均一な発熱のため、前記パターン部の縁部は、第1の厚さで形成され、前記パターン部の中央部は、前記第1の厚さよりも薄い第2の厚さで形成される。
【0014】
前記パターン部は、前記通信周波数帯域を通過させる第1のパターン部と、発熱される第2のパターン部とを有する。
【0015】
前記第1のパターン部及び前記第2のパターン部は、互いに異なる物質からなる。
【0016】
前記第1のパターン部は、前記基板の第1の領域に設けられ、前記第2のパターン部は、前記第1の領域と区画される前記基板の第2の領域に設けられる。
【0017】
前記セルは、前記セルの中心を垂直に直交する仮想の垂直軸を基準に非対称に形成される。
【0018】
前記複数の単位格子のいずれか1つの単位格子に形成されたスロットは、残りの単位格子に形成されたスロットよりも面積が小さい。
【0019】
前記パターン部が不透明な素材で形成される場合、それぞれの前記セルにおいて、前記スロットの面積割合は、70%以上である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、パターン部は、中心を垂直に直交する仮想の垂直軸を基準に非対称に形成されるセルを含むように形成され、27.5~28.5GHzの5Gミリメートル波帯域で平均90%以上の透過性能と、70%以上の可視光線透過性能とを有することができる。その上、パターン部は、発熱され、くもり、霜などを効率よく除去することができるので、車両用ウィンドウとして使用可能である。
【0021】
本発明の効果は、前述した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明又は請求範囲に記載された発明の構成から推論可能な全ての効果を含むことと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1a及び図1bは、本発明の一実施形態に係る構造体を示す断面例示図である。
図2図2a乃至図2dは、本発明の一実施形態に係る構造体のパターン部を示す平面例示図である。
図3図3a乃至図3dは、図2a乃至図2dのパターン部の透過度性能を示すグラフである。
図4図4a及び図4bは、本発明の一実施形態に係る構造体のスリットの方向が異なるパターン部及びこの透過度性能を示す図である。
図5図5a及び図5bは、本発明の一実施形態に係る構造体の開口率が増加したパターン部及びこの透過度性能を示す図である。
図6図6a及び図6bは、本発明の一実施形態に係る構造体のパターン部のスリットの変形例を説明するための平面例示図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る構造体の活用例を示す平面例示図である。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る構造体のパターン部の他の例を示す平面例示図である。
図9図9は、本発明の一実施形態に係る構造体のパターン部の更に他の例を示す平面例示図である。
図10図10は、本発明の一実施形態に係る構造体のパターン部の更に他の例を示す平面例示図である。
【発明を実施するための具体的な内容】
【0023】
以下では、添付の図面を参照して、本発明を説明する。しかし、本発明は、様々な他の形態に具現可能であり、そこで、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。また、図面において、本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略しており、明細書全体に亘り、同一の部分に対しては、同一の図面符号を付している。
【0024】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結(接続、接触、結合)」されているとすると、これは、「直接的に連結」されている場合だけではなく、その中間に他の部材を挟んで、「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とすると、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素を更に備えることができるということを意味する。
【0025】
本明細書で使用した用語は、単に、特定の実施形態を説明するために使用されており、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なることを意図しない限り、複数の表現をも含む。本明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとすることであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。
【0026】
以下、添付の図面を参考して、本発明の実施形態を詳しく説明する。
【0027】
図1a及び図1bは、本発明の一実施形態に係る構造体を示す断面例示図である。
【0028】
図1a及び図1bに示しているように、構造体は、基板100と、パターン部200とを含む。
【0029】
基板100は、可視光に透明である。基板100は、ガラス、PC(ポリカーボネート)、CPI(colorless polyimide)、PET(ポリエチレンテレフタルレート)などである。基板100を車両に適用する場合、基板100は、車両ウィンドウ用ガラス基板である。
【0030】
パターン部200は、基板100に全体として設けられる。図1aでのように、基板100が一枚で設けられる場合、パターン部200は、基板100上に設けられる。また、図1bでのように、複数の基板100が積層して設けられる場合、パターン部200は、隣接する基板100の間に設けられる。
【0031】
パターン部200は、通信周波数帯域を通過させ、これにより、構造体が装着された車両では、5G超高速通信が安定して行われる。
【0032】
また、パターン部200は、発熱され、これにより、構造体のくもり、霜などを効率よく除去することができる。
【0033】
以下では、パターン部について、詳しく説明する。
【0034】
図2a乃至図2dは、本発明の一実施形態に係る構造体のパターン部を示す平面例示図であり、図3a乃至図3dは、図2a乃至図2dのパターン部の透過度性能を示すグラフである。
【0035】
図2a乃至図2dは、1つのセル201を基準に示しており、パターン部200は、複数のセル201を有する。セル201は、x軸方向及びy軸方向に配列され、これにより、パターン部200は、基板100に全体として設けられる(図7参照)。
【0036】
まず、図2aを参照して説明すると、セル201は、複数の単位格子210a、210b、210c、210dを有する。単位格子210a、210b、210c、210dは、x軸方向及びy軸方向に配置され、1つのセル201において、複数の単位格子210a、210b、210c、210dは、2×2型をなす。
【0037】
また、それぞれの単位格子210a、210b、210c、210dには、スロット220a、220b220d、220dが形成される。スロット220a、220b、220c、220dは、該当単位格子210a、210b、210c、210dを貫通する部分である。
【0038】
パターン部200は、金属、透明導電性酸化物、透明導電性ポリマー、グラファイト相を有した炭素構造体の少なくともいずれか一つで形成される。ここで、金属は、金属薄膜、銀ナノワイヤ、銅ナノワイヤなどを含む。また、透明導電性酸化物は、ITO(Indium Tin Oxide)、AZO(Aluminum-doped Zinc Oxide)、FTO(Fluorine-doped Tin dioxide)などを含む。また、グラファイト相を有した炭素構造体は、グラフェン、CNT(Carbon Nano Tube)、フラーレン(fullerene)などを含む。
【0039】
スロット220a、220b、220c、220dは、前述した素材が形成されることなく、開口(open)した領域である。
【0040】
以下では、説明の便宜上、セル201において、右上側を第1の四分面、左上側を第2の四分面、左下側を第3の四分面、右下側を第4の四分面と称する。
【0041】
単位格子210a、210b、210c、210dは、各四分面に該当する領域に設けられる。単位格子210a、210b、210c、210dは、正方形から形成され、単位格子210a、210b、210c、210dの一辺の長さ(L)は、入射される通信周波数の半波長(2/λ)に対応する。ここで、入射される通信周波数は、27.5~28.5GHzの5Gミリメートル波帯域である。
【0042】
また、いずれか1つの四分面に設けられる単位格子210aに形成されるスロット220aは、残りの四分面に設けられる単位格子210b、210c、210dに形成されるスロット220b、220c、220dよりも面積が小さい。
【0043】
これにより、セル201は、セル201の中心(C)を垂直に直交する仮想の垂直軸(VL1、 VL2)を基準に非対称に形成される。
【0044】
ここで、相対的に面積が小さいスロット220aが形成される単位格子210aは、特定の四分面に位置されることに限定しない。
【0045】
すなわち、図2bは、図2aのセル201が中心(C)を中心に反時計方向に90°回転した状態を示しており、図2cは、図2bのセル201が中心(C)を中心に反時計方向に90°回転した状態を示しており、図2dは、図2cのセル201が中心(C)を中心に反時計方向に90°回転した状態を示しているが、図2a乃至図2dに示しているように、相対的に面積が小さいスロット220aが形成される単位格子210aは、特定の四分面に限定されることなく配置される。
【0046】
図3aは、図2aのセル201の透過度を示しており、図3bは、図2bのセルの透過度を示しており、図3cは、図2cのセルの透過度を示しており、図3dは、図2dのセルの透過度を示している。
【0047】
図2a及び図2cと、図3a及び図3cを参照すると、スロット220aがy軸方向に延設される場合は、27.5~28.5GHzの5Gミリメートル波帯域において、X偏光(Txx)は、90%以上が透過され、Y偏光(Tyy)は、85%以上が透過され、X偏光(Txx)及びY偏光(Tyy)の平均が90%以上となることが分かる。
【0048】
また、図2b及び図2dと、図3b及び図3dを参照すると、スロット220aがx軸方向に延設される場合は、27.5~28.5GHzの5Gミリメートル波帯域において、Y偏光(Tyy)は、90%以上が透過され、X偏光(Txx)は、85%以上が透過され、X偏光(Txx)及びY偏光(Tyy)の平均が90%以上となることが分かる。
【0049】
すなわち、最も小さいスロット220aがいずれの四分面に位置しても、27.5~28.5GHzの5Gミリメートル波帯域において、平均して90%以上が透過されることが分かる。
【0050】
また、相対的に小さいスロット220aの形状も、特定して限定されるものではない。図4a及び図4bは、本発明の一実施形態に係る構造体のスリットの方向が異なるパターン部及びこの透過度性能を示しているが、図2aでは、第1の四分面に配置された単位格子210aのスロット220aが、y軸方向に延設されたことに対して、図4aでは、第1の四分面に配置された単位格子210aのスロット220aが、x軸方向に延設される。このような場合にも、27.5~28.5GHzの5Gミリメートル波帯域において、Y偏光(Tyy)は、90%以上が透過され、X偏光(Txx)は、85%以上が透過され、X偏光(Txx)及びY偏光(Tyy)の平均が90%以上となることが分かる。
【0051】
一方、図2a乃至図2dのセル201において、スロットの面積割合、すなわち、開口率は、72.6%であるが、開口率が増加すると、透過度性能が向上する。
【0052】
図5a及び図5bは、本発明の一実施形態に係る構造体の開口率が増加したパターン部及びこの透過度性能を示しているが、図5aのセル201の開口率は、81.6%である。
【0053】
図5a及び図5bに示しているように、最も小さいスロット220aの幅が広がって開口率が増加することになると、27.5~28.5GHzの5Gミリメートル波帯域において、X偏光(Txx)は、90%以上が透過され、Y偏光(Tyy)は、87%以上が透過されて、平均透過率が改善していることが分かる。
【0054】
本発明によるセル201は、パターン部200の総開口率が70%以上であるのが望ましい。 そこで、セル201が不透明な金属素材で形成される場合でも、パターン部200は、70%以上の可視光線透過度を有することができるので、車両用ウィンドウとして使用可能である。
【0055】
図6a及び図6bは、本発明の一実施形態に係る構造体のパターン部のスリットの変形例を説明するための平面例示図である。
【0056】
図6aに示しているように、相対的にサイズが最も小さいスロット220aは、前述したようにx軸方向に延在する形状、又は、y軸方向に延在する形状に限定されず、θ分傾く形状に形成されることもできる。このようになると、X偏光及びY偏光値の差が減ることになる。特に、θが45°になると、X偏光及びY偏光値は、同一である。
【0057】
また、相対的にサイズが大きい残りのスロット220b、220c、220dは、いずれも同一の形状及びサイズに形成されるか(図6a参照)、又は、形状及びサイズが互いに異なって形成されることもできる(図6b参照)。
【0058】
図7は、本発明の一実施形態に係る構造体の活用例を示す平面例示図である。
【0059】
図7に示しているように、セル201a、201b、201c、201dは、複数が互いに隣接して連結されるように配列される。各セル201a、201b、201c、201dは、相対的にサイズが最も小さいスロット220aがいずれも同一の位置(図7を基準にすると、第1の四分面)をなすようにする状態で配置される。このようになると、いずれか1つのスロット220aを基準に、周囲には相対的に開口度が大きいスロット210eが配置され,スロット220aを取り囲むことができる。
【0060】
また、複数のセル201a、201b、201c、201dが互いに連結されるように配列されることで、少なくともいずれか1つのセルに電流が与えられると、全てのセル201a、201b、201c、201dが発熱することができる。
【0061】
図8は、本発明の一実施形態に係る構造体のパターン部の他の例を示す平面例示図である。
【0062】
図8に示しているように、複数の単位格子210a、210b、210c、210dは、互いに離隔して配置される。また、パターン部200は、更に、複数の透明電極230a、230b、230c、230dを有し、透明電極は、離隔配置されたそれぞれの単位格子を互いに連結する。
【0063】
このために、各透明電極230a、230b、230c、230dは、隣接する単位格子210a、210b、210c、210dの間の空間240に設けられ、図示しているように、空間240の一部に形成されることができる。
【0064】
複数の単位格子210a、210b、210c、210dが互いに離隔配置されることで、可視光線の透過度は、更に向上する。また、透明電極230a、230b、230c、230dにより、単位格子210a、210b、210c、210dが連結されることで、電流を印加すると、発熱することができる。
【0065】
図9は、本発明の一実施形態に係る構造体のパターン部の更に他の例を示す平面例示図である。
【0066】
図9に示しているように、パターン部200は、縁部251及び中央部252に分けられる。ここで、縁部251は、パターン部200の縁に該当する部分であり、中央部252は、パターン部200の中央に該当する部分である。
【0067】
本発明において、パターン部200の開口率は、以下の式(1)で表され、パターン部200の密度は、以下の式(2)で表される。
【0068】
開口率(%)=(スロットの広さ/基板の広さ)×100 --- 式(1)
【0069】
パターン部密度(%)=(パターン部が占める広さ/基板の広さ)×100 --- 式(2)
【0070】
また、縁部251は、第1の密度で形成され、中央部252は、第1の密度よりも小さい第2密度で形成される。
【0071】
前述したように、本発明では、パターン部200の総開口率は、70%以上であるのが望ましいが、パターン部200を形成する素材が、基板100を全体としてまんべんなく覆った場合を100%とすると、中央部252の第2の密度は、30%以下であり、縁部251の第1の密度は、30%超である。すなわち、パターン部200の密度は、縁部251が密であり、中央部252が疎である。これにより、構造体の中央部で相対的に高い可視光線透過度が確保され、構造体が車両用ウィンドウに適用されたとき、安全性を確保することができる。
【0072】
又は、縁部251は、第1の厚さで形成され、中央部252は、第1の厚さよりも薄い第2の厚さで形成される。これにより、更に均一な発熱が可能であり、構造体が車両用ウィンドウに適用されたとき、安全性を確保することができる。
【0073】
縁部251及び中央部252は、特定の位置、形状、又は面積に限定されるものではなく、互いに相対的な概念であり、構造体の面積、形状などにより適切に定義される。
【0074】
図10は、本発明の一実施形態に係る構造体のパターン部の更に他の例を示す平面例示図である。
【0075】
図10に示しているように、パターン部200は、第1のパターン部200aと、第2のパターン部200bとを有する。
【0076】
また、第1のパターン部200aは、基板100の第1の領域261に設けられ、第2のパターン部200bは、第1の領域261と区画される第2の領域262に設けられる。
【0077】
本実施形態では、第1のパターン部200a及び第2のパターン部200bがそれぞれ異なる機能を有する。すなわち、第1のパターン部200aは、通信周波数帯域を通過させ、第2のパターン部200bは、発熱される。
【0078】
構造体が車両用ウィンドウに適用された場合を考えると、第1の領域261は、構造体の上側領域であるのが望ましく、そこで、通信周波数帯域は、構造体の上側領域で安定して透過されることができる。
【0079】
また、第2の領域262は、構造体の残りの領域であり、主に運転手を始めとした車両乗員の視野がとどまる領域である。そこで、第2の領域262は、第1の領域261よりも広い領域となり、発熱されて、くもり、霜などを効率よく除去することで、視野を確保することができる。
【0080】
第1のパターン部200a及び第2のパターン部200bは、互いに異なる物質からなる。
【0081】
例えば、パターン部がグラフェン又はITOで形成されることよりも、パターン部が金属素材で形成される方が、通信周波数帯域の透過度が優れた場合は、第1のパターン部200aは、金属素材で形成され、第2のパターン部200bは、グラフェン又はITOのように透明な素材から形成されて、可視光線透過率が高くなるようにすることができる。
【0082】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更せず、他の具体的な形態に容易に変形できるということを理解するだろう。そのため、以上で述べた実施形態は、全ての面で例示に過ぎず、限定的ではないことと理解すべきである。例えば、単一型として説明されている各構成要素は、分散して実施することもでき、同様に、分散したことと説明されている構成要素も、結合した形態で実施することができる。
【0083】
本発明の範囲は、後述する請求範囲により表され、請求範囲の意味及び範囲、そして、その均等概念から導出される全ての変更又は変形した形態が、本発明の範囲に含まれることと解析されるべきである。
【産業上利用可能性】
【0084】
本発明は、構造体に関し、より詳しくは、5G通信帯域を透過させ、且つ、可視光線帯域で高い透過度を有し、発熱が可能な、通信周波数帯域を透過させる透明発熱構造体に関する。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】