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特表2024-531959燃料元素の崩壊熱の熱量計測定のための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】燃料元素の崩壊熱の熱量計測定のための装置
(51)【国際特許分類】
   G21C 17/06 20060101AFI20240827BHJP
   G21C 19/06 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G21C17/06 080
G21C19/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508916
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2022072500
(87)【国際公開番号】W WO2023017105
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】21191047.6
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524056396
【氏名又は名称】ケルンクラフトヴェルク ゲスゲン-デニケン アーゲー
【氏名又は名称原語表記】KERNKRAFTWERK GOSGEN-DANIKEN AG
【住所又は居所原語表記】Kraftwerkstrasse, 4658 Daniken, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】カウルバルシュ、ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ジャタフ、ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】カルーゾ、ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】オーノット、レオ
(72)【発明者】
【氏名】リーカー、マルセル
(72)【発明者】
【氏名】パピーニ、ダビデ
【テーマコード(参考)】
2G075
【Fターム(参考)】
2G075CA38
2G075DA03
2G075DA05
2G075EA01
2G075FB04
2G075FB07
(57)【要約】
本発明は、燃料元素の崩壊熱の熱量計測定のための装置(1)に関し、該装置(1)は、冷却液プール(3)内の配置のための熱量計容器(2)であって、燃料元素を受けるための垂直の熱量計シャフト(2a)を有する熱量計容器と、冷却液除去管路(5)を有する管路系と、送液ポンプ(12)であって、熱量計シャフト(2a)を通って冷却液の流れを発生させるため及び熱量計シャフト(2a)から冷却液を除去するための送液ポンプと、運転中に熱量計シャフト(2a)から除去された冷却液の量を決定するための通流測定装置(24)と、運転中に熱量計シャフト(2a)に供給された冷却液の温度を決定するための第1温度測定装置(21)と、運転中に熱量計シャフト(2a)から除去された冷却液の温度を決定するための第2温度測定装置(23)と、上方シャフト開口を可逆的に閉鎖するための閉鎖カバー(11)とを有し、該閉鎖カバー(11)は、運転中に上方シャフト開口上で、送液ポンプ(12)によって熱量計シャフト(2a)内に発生させる環境に対する陰圧によって、密閉状態に維持される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料元素の崩壊熱の熱量計測定のための装置(1)であって、前記装置が、
-冷却液プール(3)内の配置のための熱量計容器(2)を有し、前記熱量計容器(2)は、燃料元素を受けるための垂直の熱量計シャフト(2a)と、前記熱量計シャフト(2a)に冷却液を供給するための少なくとも1つの冷却液入口(6、34、40)と、前記熱量計シャフト(2a)から冷却液を除去するための少なくとも1つの冷却液出口(4、38)とを有するものであって、前記熱量計シャフト(2a)が、上端(37)に、前記燃料元素を前記熱量計シャフト(2a)に導入するため及びそこから除去するための上方シャフト開口を有しており、
-管路系を有し、前記管路系は、前記冷却液出口(4、38)に接続された少なくとも1つの冷却液除去管路(5)と、好ましくは前記冷却液入口(6、34、40)に接続された冷却液供給管路(7)とを有しており、
-送液ポンプ(12)を有し、前記送液ポンプは、前記熱量計シャフト(2a)を通って前記燃料元素に沿って冷却液の流れを発生させるため、及び前記冷却液出口(4、38)と前記冷却液除去管路(5)とを経由して前記熱量計シャフト(2a)から冷却液を除去するために、入力側で前記冷却液除去管路(5)に接続されており、
-前記冷却液出口(4、38)にまたは前記冷却液除去管路(5)内に、運転中に前記熱量計シャフト(2a)から除去された冷却液の量を決定するための流量測定装置(24)を有し、
-前記冷却液入口(6、34、40)にまたは-あれば-前記冷却液供給管路(7)内に、運転中に前記熱量計シャフト(2a)に供給された前記冷却液の温度を決定するための第1温度測定装置(21)を有し、
-前記冷却液出口(4、38)にまたは前記冷却液除去管路(5)内に、運転中に前記熱量計シャフト(2a)から除去された前記冷却液の温度を決定するための第2温度測定装置(23)を有し、及び
-前記上方シャフト開口を可逆的に閉鎖するための閉鎖カバー(11)を有し、前記閉鎖カバー(11)は、運転中に前記上方シャフト開口上で、前記送液ポンプ(12)によって前記熱量計シャフト(2a)内に発生させる環境に対する陰圧によって、密閉状態に維持される、装置。
【請求項2】
前記閉鎖カバー(11)の平均密度が990kg/m未満である、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記冷却液出口(4、38)が、前記上方シャフト開口より下の、前記熱量計シャフト(2a)の前記上端(37)に配置される、先行する前記請求項のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記冷却液出口(4、38)を実施するために、前記熱量計シャフト(2a)が、好ましくは、前記上方シャフト開口より下の、前記熱量計シャフト(2a)の前記上端(37)に、出口開口、特に出口ポート(4、38)を有する、先行する前記請求項のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの冷却液入口(6、34)を実施するために、前記熱量計シャフト(2a)が、下端(35)で開いている、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記熱量計シャフト(2a)が、下端に閉じたベース(36)と、前記熱量計容器(2)とを有しており、前記少なくとも1つの冷却液入口(6、34、40)を実施するために、前記冷却液出口(4、38)より下の前記熱量計シャフト(2a)の前記上端(37)に上方入口開口、特に上方入口ポート(40)を有し、及び/または、前記熱量計シャフト(2a)の下端(35)、特に前記閉じたベース(36)に、下方入口開口、特に下方入口ポート(6、34)を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記熱量計容器(2)と、-少なくとも前記冷却液出口(4、38)と前記第2温度測定装置(23)の間の-前記冷却液除去管路(5)と、あれば、-少なくとも前記冷却液入口(6、34、40)と前記第1温度測定装置(21)の間の-前記冷却液供給管路(7)とが、好ましくは真空断熱によって、断熱されている、先行する前記請求項のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記熱量計容器(2)と、-少なくとも前記冷却液出口(4、38)と前記第2温度測定装置(23)の間の-前記冷却液除去管路(5)と、あれば、-少なくとも前記冷却液入口(6、34、40)と前記第1温度測定装置(21)の間の-前記冷却液供給管路(7)とが、断熱材を有するか、または真空断熱を実施するために、内壁と前記内壁を囲む外壁とを有する二重壁の形態であって、前記内壁と前記外壁の間に空にできる中間空間が形成されている、先行する前記請求項のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記空にできる中間空間に真空を発生させるための第1真空ポンプ装置(15)をさらに有する、請求項8に記載の装置(1)。
【請求項10】
前記管路系が、冷却液リサイクル用管路(10)をさらに有するものであって、前記冷却液リサイクル用管路(10)の上流端が前記送液ポンプ(12)への出力側で接続されており、かつ、前記冷却液リサイクル用管路(10)の下流端を冷却液のリサイクル用のために前記冷却液プール(3)に配置することができる、先行する前記請求項のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項11】
前記熱量計シャフト(2a)に供給され得る前記冷却液の温度を調節するための冷却液温度調節装置(18、20)をさらに有するものであって、前記冷却液温度調節装置(18、20)が、前記冷却液供給管路(7)の上流端に接続された混合用容器(13)または混合用区画を有し、及び、必要であれば、前記混合用容器(13)内または前記混合用区画内で冷却液を再循環させるための再循環ポンプ(14)を有する、先行する前記請求項のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記管路系が、冷却液取込み管路(9)をさらに有するものであって、前記冷却液取込み管路(9)の下流端は、前記混合用容器(13)または前記混合用区画内へと開いており、前記冷却液取込み管路(9)の上流端は、冷却液の吸引のために前記冷却液プール(3)内に配置することができる、請求項11に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記冷却液温度調節装置(18、20)が、前記熱量計シャフト(2a)に供給され得る前記冷却液を加熱または冷却するための少なくとも第1温度制御装置(18)を有するものであって、前記第1温度制御装置(18)が、前記混合用容器(13)または前記混合用区画と前記第1温度測定装置(18)の間の部分において、前記冷却液供給管路(7)内またはその周りに配置される、請求項11または12に記載の装置(1)。
【請求項14】
前記冷却液温度調節装置(18、20)が、前記熱量計シャフト(2a)に供給され得る前記冷却液を加熱または冷却するための第2温度制御装置(20)を有するものであって、加熱または冷却するための前記第2温度制御装置(20)が、加熱または冷却するための前記第1温度制御装置(18)と前記第1温度測定装置(21)の間の部分において、前記冷却液供給管路(7)内またはその周りに配置される、請求項13に記載の装置(1)。
【請求項15】
前記管路系と、-あれば-前記混合用容器(13)または前記混合用区画とを陰圧下で冷却液で充填するための第2真空ポンプ装置(16)をさらに有する、先行する前記請求項のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項16】
前記混合用容器(13)または前記混合用区画内及びそこに接続された前記管路系内に陰圧を発生させるための前記第2真空ポンプ装置(16)が、前記混合用容器(13)または前記混合用区画に直接接続される、請求項15に記載の装置(1)。
【請求項17】
前記管路系が、前記冷却液除去管路(5)と前記冷却液供給管路(7)の間に、遮断できる接続管路(31)を有する、先行する前記請求項のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項18】
前記熱量計容器(2)が、前記熱量計シャフト(2a)を取り囲む鉛遮蔽材(39)を有し、前記鉛遮蔽材が、好ましくは、ガンマ放射線変換手段としての役割をする、先行する前記請求項のいずれか1項に記載の装置(1)。
【請求項19】
前記熱量計容器(2)が、冷却液の経路のために、前記鉛遮蔽材(39)の前記外側で、前記鉛遮蔽材(39)を取り囲む冷却液チャネルを有し、前記冷却液チャネルが前記冷却液入口(34、40)と前記冷却液出口(4、38)の間の流路接続の少なくとも一部を形成する、請求項18に記載の装置(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、燃料元素の崩壊熱の熱量計測定のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
原子力発電所の運転において、使用済燃料元素の取扱いには特別な注意が払われる。各燃料元素は、その元素に指定された炉心における使用期間が終了するとすぐに、まず、いわゆる「使用済燃料プール」へと移送される。使用済燃料元素は、輸送容器、中間貯蔵容器または最終貯蔵容器へと移送できるようになるまで、しばらくの間使用済燃料プール内で崩壊しなければならない。崩壊が必要な理由は、燃料元素はその使用期間を終了して炉心から取り除かれてもしばらくの間大量の熱と放射線-いわゆる「崩壊熱」-を照射し続けるからである。崩壊熱が起こる理由は、核分裂反応が終了しても通常は短命の核分裂生成物が燃料元素にまだ含まれていて、放射性分解をし続けて余熱を発生させるからである。その結果、少なくとも初めのうちは大量の熱が放射されるので、これが輸送容器、中間貯蔵容器または最終貯蔵容器における最適でコンパクトな配置の貯蔵を妨げる。
【0003】
したがって、崩壊熱が十分に静まり上述の輸送容器、中間貯蔵容器または最終貯蔵容器に移送できるようになるまでしばらくの間、使用済燃料元素を使用済燃料プール内で-場合によっては積極的に-冷却する必要がある。もちろん、使用済燃料プール内の滞留時間は十分に長いことが望ましいが、同時に、使用済燃料プール内に必要以上に長く貯蔵され過ぎるのを避けることも望ましい。そのため、放射線量と結びつけた使用済燃料元素の崩壊熱をできるだけ精密に決定することが必要になる。使用済燃料元素の崩壊熱は、概して計算されるが、計算の誤差を決定し、かつ、その計算方法を検証するには、崩壊熱を測定するための経験的実験が必要である。対応する実験装置、特に熱量計の使用によって外縁部がより厳密となり、計算の誤差が決定される。
【0004】
崩壊熱は、もちろん、要求される安全措置、特に使用済燃料元素により照射される放射能に関する安全措置に準拠して測定されなければならない。
【0005】
崩壊熱を測定するために従来提案されてきた装置及び方法は、原則的には実施可能ではあるが、例えば、精度を欠く、問題ある測定方法を使用する、または費用が莫大であるといったデメリットがある。
【0006】
本発明の課題は、したがって、先行技術における既知の装置と比較して改善された、燃料元素の崩壊熱の熱量計測定のための装置を提供することである。
【0007】
請求項1に記載の装置はその課題を解決する。
【発明の概要】
【0008】
発明の概要
燃料元素の崩壊熱の熱量計測定のための装置が提供され、この装置は、
-冷却液プール内の配置のための熱量計容器を有し、該熱量計容器は、燃料元素を受けるための垂直の熱量計シャフトと、該熱量計シャフトに冷却液を供給するための少なくとも1つの冷却液入口と、該熱量計シャフトから冷却液を除去するための少なくとも1つの冷却液出口とを有するものであって、該熱量計シャフトが、上端に、燃料元素を該熱量計シャフトに導入するため及びそこから除去するための上方シャフト開口を有しており、
-管路系を有し、該管路系は、冷却液出口に接続された少なくとも1つの冷却液除去管路と、好ましくは、冷却液入口に接続された冷却液供給管路とを有しており、
-送液ポンプを有し、該送液ポンプは、熱量計シャフトを通って燃料元素に沿って(冷却液入口と冷却液出口の間に)冷却液の流れ、特に、規定された冷却液の流れを発生させるため、及び冷却液出口と冷却液除去管路とを経由して熱量計シャフトから冷却液を除去するために、入力側で冷却液除去管路に接続されており、
-冷却液出口にまたは冷却液除去管路内に、運転中に熱量計シャフトから除去された冷却液の量を決定するための流量測定装置を有し、
-冷却液入口にまたは-あれば-冷却液供給管路内に、運転中に熱量計シャフトに供給された冷却液の温度を決定するための第1温度測定装置を有し、
-冷却液出口にまたは冷却液除去管路内に、運転中に熱量計シャフトから除去された冷却液の温度を決定するための第2温度測定装置を有し、及び
-上方シャフト開口を可逆的に閉鎖するための閉鎖カバーを有し、該閉鎖カバーは、運転中に上方シャフト開口上で、送液ポンプによって熱量計シャフト内に発生させる環境に対する陰圧によって、密閉状態に維持される。
【0009】
有利には、ここで提案される装置は、既知の装置を使用して従来可能であったよりも、特に、計算による使用済燃料元素の崩壊熱の決定の場合において、計算方法のより優れた検証と共に計算誤差のより優れた決定を可能にする。よって、その結果として、使用済燃料元素を取り扱う際の安全性が向上する。
【0010】
熱量計容器は、好ましくは、実質的に円筒形状である。垂直方向に対して直角の断面において、熱量計容器、特に熱量計シャフトは、円形(環状)または矩形、特に正方形の形態であり得る。熱量計シャフトの垂直方向の配置は、一方では実験対象の燃料元素の装填と取外しを容易にする。燃料元素の装填装置は、通常既に冷却液プール(使用済燃料プール)内にあって、熱量計シャフトの装填と取外しに有利に使用され得る。さらにまた、熱量計シャフトの垂直の配向により、自然対流は、通過して流れる冷却液に熱を届けるために有利に利用することができ、その結果熱量計シャフト内で上昇する。ガスポケットまたはガス気泡の蓄積もまた、熱量計シャフトの垂直の配向により、簡単な方法で効果的に防止することができる。そのようなガスの蓄積は、例えば、崩壊熱の消散のための十分な冷却を許容できない程度に減少させたり、妨げたりすることがあり、また、熱量計測定のための装置の測定精度に悪影響を及ぼすこともある。熱量計シャフトの上端の上方シャフト開口を通した取外し及び装填は、特に上述の装填装置を使用すれば、特に簡単である。
【0011】
垂直の熱量計シャフトは、有利に、外部に対する十分な断熱性を有して、その方法で最大限の測定精度を達成する。具体的には、冷却液プール(使用済燃料プール)の周囲媒質からまたはその中への(典型的にはその中への)熱の供給または消散は、こうして、概して十分な程度に防止することができる。熱量計容器は、原則的には任意の所望の方法で断熱され得る。断熱は、特に断熱材料を有していてもよいが、追加的にまたは代替的に真空断熱である。
【0012】
さらに、意図する目的のために最適化された熱量計容器内の冷却液の流れを最適化するために、熱量計容器の内部に追加の冷却液バッフルを提供することも考えられる。装置の正常な運転位置/測定位置においては、熱量計シャフトを通過する冷却液の流れは、概して冷却液入口と冷却液出口の間で、特に、冷却液入口から冷却液出口へと起こる。よって、具体的には、統一的な通過する流体の流れが、好ましくは、複数の領域が形成されたり、特に燃料元素の領域において、そこを通る流れが全くなかったり流れが悪かったりすることなく、保証され得る。
【0013】
冷却液の流れを発生させるための送液ポンプの提案される構成と配置は、すなわち、特に冷却液除去管路へのその流体接続であるが、これは、特に、装置の運転中に、熱量計容器内に僅かな相対的陰圧をこれにより形成する点において有利である。環境に対する陰圧(冷却液プール内の圧力)によって、閉鎖カバーを上方シャフト開口上に可逆的に維持することができるので、その領域において冷却液は全く(または最小限の冷却液しか)流入することができず、これが測定精度を向上させる。同時に、これにより特に安全な運転が可能になるが、その理由は、送液ポンプの出力減少または故障が発生した場合には、熱量計容器内の相対的陰圧が破壊されて閉鎖カバーが自動的に開けられるようになるからである。そしてこれが、熱により誘導される密度差(自然対流)の結果として、熱量計シャフトを通過する受動的な流れを起こすことができ、その結果として、十分な緊急冷却を概して確実にできる。これは、いわゆる「フェイルセーフ」の要求に関して特に有利である。
【0014】
測定の開始時には、上方シャフト開口を可逆的に閉鎖するための閉鎖カバーが、好ましくは適切な手段によって、その可逆的な閉鎖位置へともたらされて、冷却液除去管路に接続された送液ポンプがスイッチオンになって閉鎖カバーを押さえたままにするのに必要な陰圧が形成されるまで、その位置に維持されなければならない。また、送液ポンプがスイッチオンになった後に、閉鎖カバーをその可逆的な閉鎖位置にもたらすことも可能である。原則として、これは、対応する、オペレーターによる手動の取扱い工程によって行うことができるが、本提案の装置の運転開始段階においてその可逆的な閉鎖位置に閉鎖カバーを移動させる閉鎖カバーの閉鎖装置によって、少なくとも部分的に自動化された方法で実施されてもよい。ただし、そのような取扱い工程または閉鎖装置によっては、閉鎖カバーは、その可逆的な閉鎖位置に永久的には維持されないまたは維持されなくなることが留意されるべきである。カバーは、好ましくは専ら送液ポンプによって系に導入される相対的な陰圧によって、その可逆的な閉鎖位置に永久的に維持される(または、されることになる)。この文脈において「永久的に」とは、特に、少なくとも意図する熱量計測定に要求される期間である。
【0015】
閉鎖カバーの平均密度は、990kg/m未満が特に提案される。その場合において、閉鎖カバーの平均密度は十分に低いので、送液ポンプがスイッチオフになるか、機能しないまたは十分に機能しない場合に、閉鎖カバーは、冷却液の流れを発生させるために自動的に開く。これは、冷却液プール(使用済燃料プール)内で典型的に使用される周囲媒質及び/または典型的に使用される冷却液、すなわち、水について特にあてはまる。完全を期すため、水には、原則的には先行技術において既知の、適切な添加物(例、ホウ酸)を任意に追加してもよく、及び/または自然に存在する水と比べて重水の含有量を増やした水を使用してもよいことが留意されるべきである。
【0016】
崩壊熱の熱量計測定は、実質的には、装置を通って流れる(及びそうすることで燃料元素も通過して流れる)冷却液の温度の上昇を決定することによって行われ、この温度の上昇は、冷却液の流量に関連して設定されている。この測定原理は先行技術においてそのようなものとして知られている。冷却液の流量は、冷却液出口の及び/または冷却液除去管路内の少なくとも1つの流量測定装置によって決定され得る。例えば、コリオリ流量計のような、先行技術において既知の任意の流量計が原則的にはここで使用できる。そのような(コリオリ)流量計は市販されており、意図する目的に適切であることが分かっている。装置を通過してゆく冷却液の温度の上昇は、少なくとも2つの温度測定装置を使用する温度差測定によって決定され、その一方は冷却液出口にまたは冷却液除去管路内に(または冷却液除去管路の端部に)配置され、その他方は冷却液入口または-あれば-冷却液供給管路内に(または冷却液供給管路の端部に)配置される。送液ポンプの機械力の結果として、一定の熱出力が冷却液に導入されることが留意されるべきである。したがって、冷却液に起因して冷却液に入力される熱エネルギーがその後の熱量計測定または計算において考慮されれば有利である。冷却液除去管路に接続された送液ポンプは概して一定の速度で運転されるので、先行する厳格な校正測定によって良好な精度決定が可能である。適切な温度測定センサが同様に、先行技術においてそのようなものとして原理的に知られている。2つの測定点の間の相対的温度差がここでは特に重要であり、絶対温度はそれほど重要ではない。したがって、重要なことは、本件の温度測定装置が、好ましくは温度差の特に精密な測定を許容し、その精度が温度測定装置の事前の校正によっても、任意に増大させることもできるということである。特に適切な温度測定装置は市販の水晶振動子温度測定プローブであり、これは、意図する応用のためには特に有利であることが分かっている。
【0017】
追加的または代替的に、装置の測定精度は、ガンマ放射線を熱エネルギーに変換するためのガンマ放射線変換手段(例えば、鉛遮蔽材)の提供によって、向上させることができる。ガンマ放射線変換手段は、好ましくは、熱量計容器内に配置されて、運転中に熱量計シャフト内で受ける燃料元素に隣接するか、または、運転中に熱量計シャフト内で受ける燃料元素を少なくともいくつかの領域において取り囲んで配置される。このようにして、ガンマ崩壊熱は本提案の熱量計測定によっても決定することができ、これは有利である。
【0018】
装置において、冷却液出口が、上方シャフト開口より下の、熱量計シャフトの上端に配置されることがさらに提案される。これが、熱量計シャフトを通過する流れの誘導を実現し、内部で不安定な密度の層形成を起こして、これにより順に測定エラーの増大をもたらすことが防止できる。その理由は、この構成においては、冷却液の自然対流の流れ(燃料元素の崩壊熱による加熱)の主方向と、送液ポンプによって誘発される流れの主方向とが一致するからである。冷却液出口は、ここでは、横方向の開口(例えば、円形の断面、スロット様の断面またはその他の断面を有するもの)によって、実施され得る。任意に、複数の開口も提供されてもよい。冷却液出口を直線状または(部分的な)環形状の曲線状に実施することも考えられる。
【0019】
少なくとも1つの冷却液入口が、熱量計容器に横方向に形成された少なくとも1つの開口、及び/または、あてはまる場合には、熱量計シャフトのベースに形成された開口を有することがさらに提案される。同様に、冷却液出口が熱量計容器に横方向に形成された少なくとも1つの開口を有していてもよい。冷却液入口及び/または冷却液出口は、熱量計容器にまたは熱量計シャフトのベースに横方向に形成された開口と流体接続にあるホースフランジまたはホース取付領域をさらに有していてもよい。複数のそのような接続もまた考えられる。冷却液入口及び/または冷却液出口は、主として回転対称の冷却液の送込みまたは取出しを実現するための、少なくとも部分的に環形状の少なくとも1つのパイプマニホールドも、任意に有していてもよい。
【0020】
装置は、冷却液出口を実施するために、熱量計シャフトが、好ましくは、上方シャフト開口より下の、熱量計シャフトの上端に、出口開口、特に出口ポートを有するように特に構成することができる。このようにして、熱量計シャフトの全長のかなり大部分が熱量計測定のために使用することができる。こうして、測定エラーを減らすことができる。しかも、熱量計容器が受け得る燃料元素の最大長さに対する熱量計容器の長さを特に短くコンパクトにすることができる。装置、特に熱量計容器をそのような可能な限り最小限のサイズにすることは、スペースの面だけでなく、測定精度の面からも-とりわけ、より低い熱損失とより低い熱入力という理由で-有利なことが明らかである。
【0021】
少なくとも1つの冷却液入口を実施するために、熱量計容器、または熱量計シャフトが、底部で開いている、すなわち、開いた下端または下端の下方開口を有することがさらに提案される。その場合において、開いた下端または下端の下方開口が冷却液入口となる。そのような構成は、装置の、いわゆる「フェイルセーフ」設計に関して特に有利であり得る。送液ポンプの故障の場合に、熱量計容器内の相対的陰圧が下がると、これが順に、閉鎖カバーを自動的に開かせて、受動的な、熱により誘導される対流性の流れを熱量計シャフト内に発生させることができる。そして、十分な(緊急)冷却が概して達成されて、熱崩壊熱の結果としての燃料元素の過熱を効果的に防止する。少なくともこれが、一定期間について及び/またはすでに中間的に保存されて部分的に崩壊した燃料元素にあてはまる。
【0022】
また、熱量計シャフトが、下端に閉じたベースを有するように、装置を構成することも考えられる。この構成において、冷却液入口は-上述のとおり-熱量計容器に好ましくは横方向に形成される少なくとも1つの開口を有していてもよい。具体的には、装置は-特に熱量計シャフトが閉じたベースを下端に有する場合において-少なくとも1つの冷却液入口を実施するために、少なくとも1つの上方入口開口、特に上方入口ポートを有していてもよい。上方入口開口、特に上方入口ポートは、冷却液出口より下に好ましくは配置される。追加的または代替的に、装置は、熱量計シャフトの下端に、特に閉じたベースに、少なくとも1つの下方入口開口、特に下方入口ポートを有していてもよい。そのような構造設計により、特に、温度制御可能なまたは温度制御された冷却液を供給することが可能である。例えば、冷却液の温度は、冷却液プール(使用済燃料プール)内の流体の残量に対して相対的に上昇または低下していたりすることがある。予備的な温度制御により、特に、さらに改良された測定精度が可能である。しかも、任意に、冷却液をより具体的な方法で、特に、ガンマ放射線変換手段を通過させて誘導して、例えば、ガンマ放射線に関する崩壊熱の熱量計測定も可能にしたり、またはそのような測定の測定精度を向上し得るようにすることも可能である。
【0023】
例えば、装置は、ガンマ放射線変換手段-例えば、鉛遮蔽材-を有していてもよく、これは、運転中に熱量計シャフトが受ける燃料元素を少なくともいくつかの領域において取り囲む、特に、包むように配置される。この構成において、少なくとも1つの冷却液入口を実施するために、装置は、少なくとも1つの上方入口開口を有していてもよく、そこから冷却液が、熱量計容器頂部から内部に導入されて、燃料元素を包むガンマ放射線変換手段の外側(であるが熱量計容器の外殻の内部)で熱量計シャフトのベースに向かう方向に下向きに誘導される。そこから、冷却液は、熱量計シャフト内を-燃料元素に沿って-ガンマ放射線変換手段の内側または内部の冷却液出口に向かう方向に上向きに流れることができる。その際、冷却液が、ガンマ放射線変換手段の外側の下向きの経路でガンマ放射線によって発生した熱を吸収し、また、ガンマ放射線変換手段の内部の上向きの経路では、燃料元素により直接に放射される熱出力を吸収する。また、少なくとも1つの冷却液入口を実施するために、装置が、熱量計シャフトの下端、特に閉じたベースにおいて、少なくとも1つの下方入口開口、特に下方入口ポートを有して、そこから冷却液が、燃料元素を包むガンマ放射線変換手段の外側と放射線変換手段の内部の両方に沿って、冷却液出口に向かう方向に、燃料元素に沿って上向きに流れた後、そこで、熱量計容器を経由して、再び取り除かれることも考えられる。この構成においても、ガンマ放射線によって発生した熱と燃料元素により直接に放射される熱出力の両方が、冷却液が流れて通過するにしたがって冷却液によって吸収される。
【0024】
すでに上述したとおり、熱量計容器と、-少なくとも冷却液出口と第2温度測定装置の間の-冷却液除去管路と、あれば、-少なくとも冷却液入口と第1温度測定装置の間の-冷却液供給管路とが、断熱されるか断熱材を有するように装置を構成することがさらに提供されてもよい。そのように設計することで、装置の測定精度を有意に向上させることができる。原則的には、任意の所望の断熱手段が可能であり、例えば、ソリッドフォームの形態の断熱手段、発砲断熱手段等が挙げられる。追加的または代替的に、真空断熱が提供されてもよい。真空断熱の追加的または代替的使用は、概して(提供され得る装置及びその運転中にも関する)出費の増加を招くが、そのような増加した出費も典型的には向上した測定精度によって正当化され得る。特にこの文脈において、冷却液除去管路及び冷却液供給管路は、概して長さが比較的長く、これに加えて断面が比較的小さいので、それらの管路(「熱源」)における冷却液の体積に対する表面積(ここを経由して熱が吸収または放射され得る)の割合が特に高くなることが留意されるべきである。したがって、これは測定精度の実質的な障害をもたらし得るので、適切な措置、特に本明細書中に提案される断熱措置等によって、有用に対処されるべきである。
【0025】
真空断熱を実施するために、熱量計容器と、-少なくとも冷却液出口と第2温度測定装置の間の-冷却液除去管路と、あれば、-少なくとも冷却液入口と第1温度測定装置の間の-冷却液供給管路とが、内壁と内壁を囲む外壁とを有する二重壁の形態のものとして、この内壁と外壁の間に、空にできる(evakuierbarer)中間空間が形成されるように提供されてもよい。装置は、空にできる(evakuierbaren)中間空間に真空を発生させるための少なくとも第1真空ポンプ装置を有することがさらに提案される。このようにして、少なくとも測定が行われれている間、規定された圧力範囲で真空がもたらされ及び/または維持され得る。その結果、一方では、特に優れた断熱作用が可能である。また他方では、対象の管路への残留熱エネルギー入力または対象の管路からの熱エネルギー放射があれば、比較的精密に特定可能な規模とすることも可能である。その結果として、特に、対応する修正を計算によって適用することができるので、得られる測定精度を簡単な方法で向上させることができる、ということが可能である。
【0026】
本提案の装置のさらに有利な実施形態によれば、管路系は、冷却液リサイクル用管路をさらに有していてもよく、冷却液リサイクル用管路の上流端を送液ポンプへの出力側で接続し、冷却液リサイクル用管路の下流端を冷却液のリサイクルのために冷却液プール内に配置してもよい。閉回路がこうして、特に、例えば冷却液プール(使用済燃料プール)から除去された冷却液が、崩壊熱の熱量計測定のために使用された後に再び冷却液プール(使用済燃料プール)へと送り戻すことができるという点において簡単な方法で、形成される。その結果、形成されるまたは処理され得る排液の量を概して有意に減らすことができる。これは、環境と経済の両方の観点から特に有利である。
【0027】
さらに有利な実施形態によれば、本提案の装置は、熱量計シャフトに供給され得る冷却液の温度を調節するための冷却液温度調節装置をさらに有していてもよい。冷却液温度調節装置は、冷却液供給管路の上流端に接続された混合用容器または混合用区画を有していてもよく、及び、必要であれば、混合用容器内または混合用区画内で冷却液を再循環させるための再循環ポンプを有していてもよい。そのような方法で冷却液の温度の予備的調節をすることによって、熱量計測定の測定精度が概してまたさらに大きく向上し得る。具体的には、温度を適切に調節することにより、冷却液からの熱の放射、または冷却液への熱の入力を効果的に減らすことができるので、これが測定精度にも同様に良い影響を与え得る。
【0028】
管路系が冷却液取込み管路をさらに有していてもよいことがさらに提案され、冷却液取込み管路の下流端は、混合用容器または混合用区画内へと開いており、冷却液取込み管路の上流端は、冷却液の吸引のために冷却液プール内に配置されていてもよい。この措置の結果としてもまた、既に上述した通り、生産されるまたは処理され得る排液の量を減らすことができる。しかも、冷却液温度調節装置がある場合、そのための技術的出費を本提案の構成によって減らしたり、または任意に完全になくすことすらできる。
【0029】
冷却液温度調節装置は、熱量計シャフトに供給され得る冷却液を加熱または冷却するための少なくとも第1温度制御装置を有することがさらに提案される。第1温度制御装置は、混合用容器または混合用区画と第1測定装置の間の部分において、冷却液供給管路内またはその周りに配置される。そのような構造も、熱量計測定の実現可能な測定精度に関して有利と認められ得る。
【0030】
冷却液温度調節装置が熱量計シャフトに供給され得る冷却液を加熱または冷却するための第2温度制御装置を有する装置の場合において、該加熱または冷却するための第2温度制御装置は、加熱または冷却するための第1温度制御装置と第1温度測定装置の間の部分において、冷却液供給管路内またはその周りに配置されることがさらに提案される。このようにして、一方では、冷却液の温度を制御する際の精度を向上させることができる。また他方では、各温度制御装置に要求される温度制御工程をより小規模にすることができるので、このようにして任意に温度制御装置を技術的により複雑でない設計とすることも可能になる。分担は、(2つの実質的に等しい温度制御工程に)対称的に、または非対称的に行ってよく、例えば、第1温度制御装置が、流れの方向に見た場合に、意図する温度制御の大部分を実行し、第2温度制御装置が割合的に少ない温度制御工程を実行するが、任意に(特に第1温度制御工程と比べて)温度制御の精度を向上させて行う、というようにしてもよい。
【0031】
装置が、管路系と、-あれば-混合用容器または混合用区画とを陰圧下で冷却液で充填するための第2真空ポンプ装置を有することがさらに提案される。そのような構造は、装置を運転位置/測定位置にもたらすことを容易にすることができる。そのような真空ポンプ装置は、例えば、測定が長時間になった結果として起こり得る、下降する冷却液レベルへの再充填にも任意に使用することができる。
【0032】
本提案の装置において、混合用容器または混合用区画内及びそこに接続された管路系内に陰圧を発生させるための第2真空ポンプ装置は、混合用容器または混合用区画に直接接続されることがさらに提案される。その結果、混合用容器または混合用区画内の充填レベルに対して特に高い制御精度、または、特に、混合用容器または混合用区画の急速充填を実現することができる。
【0033】
装置において、管路系は、冷却液除去管路と冷却液供給管路の間に、遮断できる接続管路を有することがさらに提案される。そのような遮断できる接続管路によって、特に、これから行われる測定の開始時に、装置の充填を容易にするまたは加速することができる。遮断できる接続管路は、任意に、冷却液回路の(部分的)短絡回路の実現に使用されてもよく、これにより、例えば、特に温度測定装置/温度測定センサの効率的な校正が可能になる。接続管路を遮断する能力は、例えば、適切な遮断バルブによって実現できる。遮断バルブは、手動で調節できてもよく、または制御バルブの形態であってもよい。手動でも調節され得る(特に手動で無効化できる)制御バルブも、もちろん考えられる。
【0034】
熱量計容器は、熱量計シャフトを取り囲む鉛遮蔽材を有することがさらに提案される。そのような鉛遮蔽材は、既に上述した通り、熱ガンマ放射線変換手段として使用され得る。そのような構造で特に可能であるのが、ガンマ放射線の発生による崩壊熱も十分な精度及び/または十分な程度で決定できるということである。
【0035】
冷却液の経路のために、熱量計容器は、鉛遮蔽材/ガンマ放射線変換手段の外側で、鉛遮蔽材/ガンマ放射線変換手段を取り囲み、かつ、冷却液入口と冷却液出口の間に熱量計容器を通る流路接続の少なくとも一部を形成する、冷却液チャネルを有することがさらに提供され得る。冷却液チャネルは、例えば、鉛遮蔽材/ガンマ放射線変換手段の外側と熱量計容器の外殻の内側の間の中間空間によって形成されてもよい。この構成において、装置は-すでに上述した通り-特に、上方入口開口を有していてもよく、これは、好ましくは、冷却液出口より下に配置される。上方入口開口から、冷却液が熱量計容器頂部から内部に導入されて、燃料元素を包む鉛遮蔽材/ガンマ放射線変換手段の外側(であるが熱量計容器の外殻の内部)で熱量計シャフトの(好ましくは、閉じた)ベースに向かう方向に、冷却液チャネルを通って下向きに誘導され得る。そこから、冷却液は、熱量計シャフト内を-燃料元素に沿って-鉛遮蔽材/ガンマ放射線変換手段の内側または内部の冷却液出口に向かう方向に、上向きに流れることができる。このようにして、冷却液は、鉛のケーシング/ガンマ放射線変換手段から冷却液に、できる限り効率の良い熱エネルギー入力が起こり得るような方法で有利に誘導され得るので、測定対象の燃料元素の崩壊熱をあらゆる面から測定の範囲内で考慮することができる。その結果、本提案の装置の測定精度がさらにまた向上され得る。
【0036】
図面の説明
本発明のさらに有利な側面が、図面を参照した本発明の代表的な実施形態の以下の説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、燃料元素の崩壊熱の熱量計測定のための本発明に従う装置の代表的な実施形態の、模式化し簡略化した回路図を示す。
図2図2は、測定器械類を説明するための図1に示す装置の詳細を示す。
図3図3は、運転位置にある図1に示す装置を示す。
図4図4は、充填位置にある図1に示す装置を示す。
図5図5は、排出位置にある図1に示す装置を示す。
図6図6は、模式的側面図において、第1の可能な接続位置にある熱量計容器の代表的な実施形態を示す。
図7図7は、模式的側面図において、第2の可能な接続位置にある図6に示す熱量計容器の代表的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
詳細な例示的実施形態
図1は、簡略化し模式化した形式で、燃料元素の崩壊熱の熱量計測定のための本発明に従う装置1の代表的な実施形態の回路図を示すものである。装置1は、垂直の熱量計シャフト2aを有する熱量計容器2を有し、これが、熱量計シャフト2a内へと導入される燃料元素(図示せず)の崩壊熱の測定の目的のために、冷却液プール3内、例えば燃料元素用湿式貯蔵施設の使用済燃料プールまたは冷却液プール内に配置されている。熱量計容器2は、好ましくは、実質的に円筒形状である。垂直方向に対して直角の断面において、熱量計容器2、特に、熱量計シャフト2aは、円形(環状)または矩形、特に正方形の形態であり得る。熱量計シャフト2aは、上端37に、燃料元素を熱量計シャフト2aに導入するため及びそこから除去するための上方シャフト開口を有する。熱量計シャフト2aは、追加的に、上方シャフト開口を可逆的に閉鎖するための閉鎖カバー11を有する。熱量計容器2は、冷却液プール3の装填領域の下方部分に、熱量計シャフト2aの上端と冷却液プール3の水面の間の距離が測定対象の燃料元素の長さよりも大きい、十分な深さで位置しているので、燃料元素は、上方シャフト開口を経由して熱量計シャフト2a内へと導入されるまたは熱量計シャフト2aから除去される場合、常に冷却液で完全に覆われる。熱量計シャフト2aの上端と冷却液プール3の水面の間の距離は、例えば、7mであり得る。
【0039】
熱量計容器2は、冷却液除去管路5を経由し及び冷却液供給管路7を経由して測定局ユニット8と、熱量計シャフト2aの上端の冷却液出口4に接続されている冷却液除去管路5と、熱量計シャフト2aの下端の冷却液入口6に接続されている冷却液供給管路7と流体接続されている。冷却液リサイクル用管路9と冷却液取込み管路10の形態の流体接続が、冷却液プール3と測定局ユニット8の間にさらに提供されている。図1から明らかなとおり、測定局ユニット8が、冷却液プール3の外部に配置されている。
【0040】
明確性の理由のため、測定局ユニット8の構造が図1には部分的にのみ示される。さらに詳細が図2に図示される。ただし、ここに示す装置1の代表的な実施形態において、図1に示す測定局ユニット8は、同一の器械類を有し、それ以外も、図2に示す測定局ユニット8と同じ構造である。また、装置1の異なる運転状態を模式化して示す図3図4及び図5も同様である。
【0041】
この代表的な実施形態において、測定局ユニット8は、伝熱媒体として使用される冷却液を運搬する役割をする全ての構成要素と、燃料元素の崩壊熱を測定するために必要な全ての構成要素を有している。したがって、センサまたはその他の電気的に作動する構成要素が冷却液プール3内の水中に配置されることを要しない。また、測定装置/センサが高い放射線量に暴露されることも避けられる。
【0042】
熱媒体としての役割をする冷却液-ここでは実質的に水である-は、遠心ポンプの形態の送液ポンプ12を経由して運搬される。ここに示す代表的な実施形態において、送液ポンプ12は、周波数変換器による速度制御を備えている。運転中に、冷却液が、冷却液除去管路5を経由して送液ポンプ12によって熱量計シャフト2aから吸引される。吸引された冷却液は、冷却液リサイクル用管路9を経由して送液ポンプ12の出力側で冷却液プール3内へと送り戻される。
【0043】
送液ポンプ12の運転中に、閉鎖カバー11が閉じられると熱量計シャフト2a内で僅かな陰圧が発生し、この陰圧が閉鎖カバー11を装置1(図3も参照)の運転状態においてその可逆的な閉鎖位置に維持する。したがって、熱量計シャフト2a内で発生した陰圧が、冷却液供給管路7を通って熱量計シャフト2a内へと流体の吸引をもたらす。冷却液供給管路7が、順に冷却液を測定局ユニット8に備えられて指定された充填レベルまで冷却液で満たされた混合用容器13から吸引する。混合用容器13が、冷却液取込み管路10を経由して冷却液容器3から冷却液を得る。
【0044】
再循環ポンプ14は、混合用容器13に流体的に接続されている。再循環ポンプ14が混合用容器13内で冷却液を完全に混合する役割をして、熱の層の形成が混合用容器13内で起こらないようにする。ここに示す代表的な実施形態において、再循環ポンプ14も同様に遠心ポンプの形態であり、周波数変換器による速度制御を備えている。
【0045】
第1及び第2真空ポンプ装置15、16が、測定局ユニット8内にさらに提供される。第1真空ポンプ装置15は、互いに隣接して形成される熱量計容器2の内壁及び外壁と、いくつかの領域では二重壁の形態である、冷却液除去管路5及び冷却液供給管路7(それぞれ図1図5において二重線で示す)の対応する内壁及び外壁との間の、中間空間を空にする役割をする。真空は、そのように形成されると、熱量計容器2の真空断熱と、冷却液除去管路5及び冷却液供給管路7の二重壁領域の真空断熱をもたらす。その結果、冷却液除去管路5内、冷却液供給管路7内、及び熱量計容器2の内部に位置する冷却液と、冷却液プール3内の取り囲む媒体(冷却液、ここでは実質的に水)との間の熱交換が、高い断熱品質によって効果的に減少する。有利には、熱量計測定の精度が、こうして有意に向上され得る。これに関連して、測定局ユニット8の外部に位置する、冷却液除去管路5の部品と冷却液供給管路7の部品は、非常に長いものなので、これに加えて、液体媒体(冷却液プール3内の水)との外部接触の結果として、高い熱入力または高い熱損失を示す可能性があり得ることが留意されるべきである。熱量計容器2も同様である。
【0046】
燃料元素が熱量計シャフト2a内へと導入された後、測定の開始時に上方シャフト開口が閉鎖カバー11で閉鎖される。その目的のために、閉鎖カバー11は、送液ポンプ12によって誘発された陰圧の結果としてその可逆的な閉鎖位置に維持される前に、道具(ここでは詳細に示さない)によってその可逆的な閉鎖位置にもたらされなければならない。閉鎖カバー11は、990kg/cm未満の平均密度を有するように構成されている。その結果、カバーは、取囲む媒体(冷却液プール3内の水)よりも密度が低い。送液ポンプ12が機能しない場合(または送液ポンプがスイッチオフの場合)は、閉鎖カバー11は、したがって、上方シャフト開口のその閉鎖位置から自動的に持ち上がる(閉鎖カバー11が浮かび上がる)ので、熱量計シャフト2aが冷却液プール3の方に向かって開く。次いで、自然対流によって熱量計シャフト2a内の燃料元素の自動冷却が起こり、これが、フェイルセーフの観点から特に望ましい。
【0047】
崩壊熱の熱量計測定は、実質的には、熱量計容器を通って燃料元素に沿って流れる間の冷却液の温度の上昇であって、冷却液の流量に関連して設定される温度の上昇を決定することによって行われる。この測定原理は先行技術においてそのようなものとして知られている。冷却液の温度の上昇は、冷却液入口6でまたは冷却液供給管路7内で第1温度測定装置21によって、及び冷却液出口4で第2温度測定装置23によって、検出される。流量は、冷却液出口4で及び/または冷却液除去管路5内で少なくとも1つの流量測定装置24によって決定されてもよい。
【0048】
実際の熱量計測定を行うために、さらに測定装置/センサ及び装置が追加的に測定局ユニット8内に提供される。したがって、装置1の測定精度を向上させるために、熱量計シャフト2aに供給され得る冷却液を加熱または冷却するための温度制御装置18、20が提供され、それによって、冷却液供給管路7を経由して熱量計シャフト2aに冷却液が供給される前に、良く規定された方法で冷却液の温度が(予め)制御され得る。これらの温度制御装置18、20の基本的な配置を図1及び図2に示す。測定位置において装置1を通過する対応する冷却液の流れも追加的に図3から明らかである。混合用容器13から除去された冷却液は、まず、第1運転前温度測定装置17に供給される。第1運転前温度測定装置17の測定値(及び目標温度値)に基づいて、冷却液が、第1温度制御装置18内で加熱または冷却によってより高温または低温にされる。そのように加熱または冷却された冷却液の温度が第2運転前温度測定装置19内で測定される。第2運転前温度の測定値に基づいて、さらに冷却液の加熱または冷却が第2温度制御装置20内で行われる。冷却液の温度は、概して規模の大きい方の温度制御工程が第1温度制御装置18内で起こり、規模は小さいが温度制御の精度はより高い温度制御工程が第2温度制御装置20内で起こるように制御される。手順は、概して第1温度制御装置18と第2温度制御装置20が「同一方向に温度を制御する」、すなわち、両方とも加熱するか両方とも冷却するかのいずれかであるが、温度制御が異なる方向、すなわち、例えば、第1温度制御装置18が冷却液を冷却して第2温度制御装置20が冷却液を加熱する(またはその逆)ようにすることもまた、十分に考えられる。さらに測定器械類(ここでは図示しない)が、第1温度制御装置18が機能していること、及び第2温度制御装置20が機能していることをチェックするために使用され得る。
【0049】
第2温度制御装置20によって温度が制御されている冷却液が実際の冷却液供給管路7に供給される前に、冷却液が再び、具体的には、その温度については第1温度測定装置21によって測定される一方、-すでに上述した通り-その流量については第1流量測定装置22によって測定される。なお、まず温度測定を行ってから流量測定を行うことも、ここに示した通りまず流量測定を行ってから温度測定を行うことも可能である。
【0050】
さらにまた、冷却液が冷却液供給管路7と、熱量計シャフト2a(これは熱量計シャフト2a内の燃料元素の崩壊熱によって主に加熱される)と冷却液除去管路5とを経由して流れ戻った後に、流れ戻った冷却液が、その温度について第2温度測定装置23によって及びその流量について第2流量測定装置24によって、再び測定される。
【0051】
冷却液の温度の上昇は、第1温度測定装置21と第2温度測定装置23の測定値の差から決定することができる。熱量計シャフト2aにおける燃料元素の熱、したがって崩壊熱は、順に、温度差と冷却液の流量の商から決定することができる。
【0052】
第1流量測定装置22及び第2流量測定装置24で測定された流量は等しいはずである。流量が両者で異なるならば、これは熱量計シャフト2aが閉鎖カバー11によって正しく閉鎖されていないことを示しているか、またはどこかで液漏れが発生していることを示している。その場合、測定は信頼性なしと格付けされて、通常は捨てられることになる。
【0053】
圧力差測定装置25が冷却液除去管路5と冷却液供給管路7の間にさらに提供される。冷却液管路5、7及び熱量計シャフト2aにおける水圧損失は、圧力差測定装置25によって決定することができる。水圧損失の消散は、最初は追加の熱エネルギーとして現れるので、これにより、第1温度測定装置21と第2温度測定装置23の間の測定された温度差が高すぎる。圧力差測定装置25によって、この影響因子を計算で修正することができるので、測定精度を向上させることができる。
【0054】
圧力測定センサ26が、流れの方向に見て送液ポンプ12のすぐ上流にさらに提供され、この圧力測定センサが送液ポンプ12の取込み圧力をモニタリングする役割をする。対応する陰圧が、熱量計シャフト2a上で閉鎖カバー11が正しい位置に置かれているとの信号を発する。
【0055】
また、混合用容器13内の冷却液の充填レベルは、充填レベル測定装置27によってチェックされる。充填レベルが下がった場合は、第2真空ポンプ装置16をスイッチオンにして取込みバルブ28を開くことによって、追加の冷却液を冷却液プール3から冷却液取込み管路10を経由して混合用容器13内に吸引することができる。対照的に、充填レベルが高すぎる場合は、放出バルブ29(環境気圧への接続)を開くことによって、混合用容器13内の充填レベルを下げることができる。
【0056】
図3に図示する測定位置において、冷却液除去管路5と冷却液供給管路7とを流体的に互いに接続または互いから分離する、遮断できる接続管路30内の遮断バルブ31が閉じている(図3も参照)。さらにまた、測定位置(図3も参照)において、第1真空ポンプ装置15がスイッチオンにされて、空化バルブ32を経由して冷却液除去管路5、冷却液供給管路7及び熱量計シャフト2aの二重壁の空にできる中間空間に接続されているので、そこに断熱真空が作られて維持される。
【0057】
図3は、測定位置とともに、測定運転中にその位置を満たす冷却液の流れの方向と、測定位置における様々な測定装置、温度制御装置及びその他の装置を通過して流れが起こる順序を示し、図4は、充填位置または充填モードにおける本発明に従う装置1を模式化して示す。充填位置において、第1真空ポンプ装置15がスイッチオンにされて空化バルブ32が開くと、冷却液除去管路5、冷却液供給管路7及び熱量計シャフト2aの空にできる中間空間に断熱する真空が作られる。
【0058】
さらにまた、第2真空ポンプ装置16がスイッチオンになると、取込みバルブ28が開く。その結果、混合用容器13内の充填レベルは、最初はまだ空であるが、要求される高さまで上げることができる。
【0059】
充填モードの開始時において、熱量計シャフト2aの閉鎖カバー11は、最初はまだ開いているが、送液ポンプ12がスイッチオフにされると、遮断できる接続管路30の遮断バルブ31が開く。その結果、混合用容器13が、全ての管路を経由して、すなわち、冷却液除去管路5、冷却液供給管路7、冷却液リサイクル用管路9及び冷却液取込み管路10を経由して、冷却液で一杯になる。対象の管路が、こうして効果的に通流される。さらにまた、混合用容器13内に既に存在する冷却液を再循環して混合用容器13における温度勾配を回避するために、再循環ポンプ14がスイッチオンにされる。
【0060】
図3に示す測定運転への切替えは、熱量計シャフト2aの閉鎖カバー11を閉じ、遮断できる接続管路30の遮断バルブ31を閉じ、そして送液ポンプ12をスイッチオンにすることによって行う。また、いったん混合用容器13内で十分な充填レベルに到達すると、取込みバルブ28が閉じられて、第2真空ポンプ装置16がスイッチオフになる。
【0061】
装置は、例えば、燃料元素の崩壊熱の測定の完了時に、図5に示す回路図に従ってスイッチオフになる。その目的のため、第1真空ポンプ装置15と第2真空ポンプ装置16とがスイッチオフになると、空化バルブ32と取込みバルブ18とが閉じられて、通気バルブ33、放出バルブ29及び遮断できる接続管路30の遮断バルブ31が開かれる。また、再循環ポンプ14と送液ポンプ12とがスイッチオフになる。その結果、冷却液は、全ての管路、すなわち、冷却液除去管路5、冷却液供給管路7、冷却液リサイクル用管路9及び冷却液取込み管路10を経由して、冷却液プール3へと流れ戻る。送液ポンプ12がスイッチオフであるため、熱量計シャフト2a内の陰圧が破壊されて閉鎖カバー11が自動的に開く。
【0062】
図6及び図7は、それぞれ、本発明に従う装置1の具体的な代表的実施形態において、冷却液がどのように熱量計容器2を通って流れることができるのかを示す異なる変形である。いずれの変形においても、閉鎖カバー11は、熱量計シャフト2aのシャフト開口上の閉鎖位置にある。
【0063】
図6によれば、冷却液は、熱量計容器2の下端35の下方入口ポート34、このポートは熱量計シャフト2aのベース36を通るさもなければ閉じられている冷却液入口6を形成するポートであるが、を経由して冷却液供給管路7によって供給される。熱量計シャフト2aの上端37には、冷却液の除去のための冷却液出口4としての役割をする出口ポート38が提供される。図6に示す通り、冷却液出口4は、冷却液の、主として回転対称の取出しを達成するために、少なくとも部分的に環形状のパイプマニホールド4aを追加的に有している。
【0064】
熱量計シャフト2a内に、熱量計容器2に受けられる燃料元素をその装填状態で取り囲み、ガンマ放射線変換手段として機能する鉛遮蔽材39がさらに提供される。この代表的な実施形態において、鉛遮蔽材39の厚さはおよそ2cmである。その結果、燃料元素によって照射されたガンマ放射線のかなりの部分が吸収されて熱に変換される。運転中に、熱量計容器2の下端35で入口ポート34を経由して導入された冷却液は、燃料元素に沿ってパイプマニホールド4aに向かう方向に、鉛遮蔽材39の外側と鉛遮蔽材39の内部の両方に沿って流れて、そこから、再び出口ポート38を経由して熱量計容器2から除去される。その結果、ガンマ放射線によって発生した熱と燃料元素により直接に放射される熱出力の両方が、冷却液が流れて通過するにつれて冷却液によって吸収される。したがって、照射された燃料元素のガンマ崩壊熱もまた、装置1の熱量計測定へと組み込まれる。
【0065】
図7は、冷却液が熱量計シャフト2aを通ってどのように流れることができるかの代替的な変形を示す。冷却液供給管路7によって供給された冷却液は、ここでは冷却液入口6としての役割をする上方入口ポート40を経由して熱量計シャフト2aに流れ込む。上方入口ポート40は、出口ポート38に隣接して配置されるが、そこから下向きに移動される。冷却液出口4と同様に、上方入口ポート40によって実施される冷却液入口6もまた、冷却液の主に回転対称の送込みを達成するために、少なくとも部分的に環形状のパイプマニホールド6aを有している。矢印で示す通り、冷却液は、まず、上方取込みポート40またはパイプマニホールド6aから下向きに、鉛遮蔽材39の外側に沿って流れる。熱量計シャフト2aの下端35で、冷却液は、閉じたベース36によって方向転換されて、そこからは鉛遮蔽材39の内部を燃料元素に沿って出口ポート38に向かう方向に、上向きに流れる。冷却液の流れの方向がそのように選択されているので、(上方入口ポート40から閉じたベース36の方向に向かう)下向きに向けられた流路と(下方ベース36から出口ポート38の方向に向かう)上向きに向けられた流路が、鉛遮蔽材39によって互いから分離される。この変形においても、ガンマ放射線によって発生した熱と燃料元素により直接に放射される熱出力の両方が、冷却液が流れて通過するにつれて冷却液によって吸収される。ただし、図7において選択された流れの配置により、鉛遮蔽材39のより良好な熱消散を達成することができるので、このようにして、測定精度を向上させることができる。
【0066】
図6及び図7に従う熱量計容器2は、下方入口ポート34と上方取込みポート40の両方を有しているので、上述した流れの配置の両方をこの熱量計容器2で有利に実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】