(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】風力タービンの建設及びメンテナンスにおける改善
(51)【国際特許分類】
B66C 23/28 20060101AFI20240827BHJP
F03D 80/50 20160101ALI20240827BHJP
F03D 13/20 20160101ALI20240827BHJP
B66C 23/32 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B66C23/28 A
F03D80/50
F03D13/20
B66C23/32 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510297
(86)(22)【出願日】2022-08-15
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 NO2022050194
(87)【国際公開番号】W WO2023022600
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(32)【優先日】2022-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524062456
【氏名又は名称】ウィンド スパイダー アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハウグオム ペル オラフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァボ ペッター
【テーマコード(参考)】
3F205
3H178
【Fターム(参考)】
3F205AB05
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB79
3H178CC23
3H178DD67Z
3H178DD70X
(57)【要約】
クレーンタワー(200)を風力タービンに沿って延長し、クレーンタワー(200)を組み立て、クレーンタワー(200)を短縮し、風力タービンタワー(100)を建設するために、様々な関連する装置に加えて、方法が説明される。ある実施例において、クレーンタワー(200)は、風力タービンタワー(100)上で支持され、風力タービンタワー(100)に沿って延長され、ここで、クレーンタワー(200)は、その上端に、またはその上端近傍にクレーン(201)を備え、風力タービンタワー(100)には、クレーンタワーを風力タービンタワーに沿って長手方向に延長するために、クレーンタワー(200)を上昇させ、クレーンタワーベースに、またはその近傍に1つまたは複数の延長セクション(30)を挿入し、それらをクレーンタワーに追加するための空間を作り出すリフタを備える装置が設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンタワーに沿ってクレーンタワーを延長する方法であって、
前記風力タービンタワーの少なくとも一部に沿って延長される前記クレーンタワーを設け、前記クレーンタワーは、1つまたは複数のクレーンタワーセクション、及びその上端、またはその上端近傍のクレーンを備え、さらに支持手段及び少なくとも1つのリフタを設けるステップと、
前記クレーンタワーをベース位置に位置付けるステップであって、前記クレーンタワーの下端が、クレーンタワーベースに、またはその近傍に配置される、ステップと、
前記クレーンタワーを、前記クレーンタワーベースから離れるように上昇位置に向けて上昇させるようにリフタを動作させ、それにより、前記クレーンタワーベースに、またはその近傍に、挿入される延長タワーセクションのための空間を作り出すステップと、
前記クレーンタワーを前記上昇位置に位置付け、支持するステップと、
1つまたは複数の前記延長セクションを、前記作り出された空間に配置するステップと、
前記1つまたは複数の延長セクションを、上昇された前記クレーンタワーの下端に追加し、それにより前記クレーンタワーを延長するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
伸長された前記クレーンタワーを前記ベース位置に位置付けることであって、前記伸長されたクレーンタワーの下端が、前記クレーンタワーベースに、またはその近傍に配置される、位置付けることと、
前記伸長されたクレーンタワーを、前記クレーンタワーベースから離れるように上昇位置に向けて上昇させるように前記リフタを動作させ、それにより、前記クレーンタワーベースに、またはその近傍に、挿入されるさらなる延長タワーセクションのための空間を作り出すことと、
前記伸長されたクレーンタワーを前記上昇位置に位置付け、支持することと、
1つまたは複数の前記さらなる延長セクションを、前記風力タービンタワーの周りの領域の前記作り出された空間に配置することと、
前記1つまたは複数のさらなる延長セクションを、上昇された前記クレーンタワーの下端に追加し、それにより前記クレーンタワーをさらに伸長することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記伸長されたクレーンタワーを前記ベース位置に位置付けるステップであって、前記伸長されたクレーンタワーの下端は、前記クレーンタワーベースに、またはその近傍に配置される、ステップと、
前記クレーンを、持ち上げ作業を実施するために前記伸長されたクレーンタワー上で用いるステップと、
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記クレーンタワーは、前記風力タービンタワーの少なくとも一部によって支持される、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項5】
前記クレーンタワーの重量は、少なくとも部分的に前記クレーンタワーベースに伝達される、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項6】
前記クレーンタワーベースは、基礎に支持される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記基礎は、浮体式基礎、着床式洋上基礎、海底支持基礎(ground supported foundation)、及び地盤(ground)のうちの何れか1つまたは複数を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記クレーンタワーの重量は、少なくとも部分的に前記風力タービンタワーに伝達される、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項9】
前記クレーンタワーの重量は、前記クレーンタワーベースを介して少なくとも部分的に前記風力タービンタワーに伝達される、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項10】
前記支持手段は支持フレームを備え、当該方法は、前記風力タービンタワーの一部の周りに少なくとも部分的に円周方向に延在する前記支持フレームを組み立てるために少なくとも2つの部品を接続すること、を含む、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項11】
前記リフタは、前記クレーンタワーを前記ベース位置から前記上昇位置に移動させるために長手方向に進むように配置されるキャリッジを備える、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項12】
前記リフタは、前記風力タービンタワーの一部の周りに少なくとも部分的に円周方向に延在するように配置される、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項13】
前記支持手段は、前記風力タービンタワーの一部の周りに少なくとも部分的に円周方向に延在する支持フレームを備え、前記リフタは、前記支持フレームの外側の周りに少なくとも部分的に円周方向に延在するように配置され、それにより、上昇する前記タワーの下端クレーンタワーセクションは、前記支持フレームの上方を向く面と当接するように配置され、且つ前記キャリッジによって係合され、前記キャリッジは、前記支持フレームに沿って上昇/降下可能である、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項14】
前記支持手段の重量は、前記クレーンタワーベースに少なくとも部分的に伝達される、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項15】
前記クレーンタワーを前記上昇位置で支持することは、前記クレーンタワーを前記支持手段に固定することを含む、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項16】
前記風力タービンタワーは、少なくとも1つの風力タービンタワーセクションを備える、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項17】
前記風力タービンタワーの既に設置されたタワーセクションの上端の上方に、風力タービンタワーセクションを長手方向に位置付け、配置するように前記クレーンを動作させることと、前記風力タービンタワーセクションを前記上端に接続することと、をさらに含む、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項18】
ナセルの全体または少なくとも一部を、風力タービンタワーセクションの上端の上方に、それに接続するために位置付け、配置するように前記クレーンを動作させること、をさらに含む、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項19】
風力タービンブレードを、ナセルの近傍にそれと接続するために持ち上げるように前記クレーンを動作させること、をさらに含む、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項20】
風力タービンの部品の取り外し及び交換の何れか、または両方のために前記クレーンを動作させること、をさらに含む、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項21】
前記クレーンは、ブレード及び、ナセルの部分または全部のうちの少なくとも1つの取り外し及び交換の何れか、または両方のために動作する、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項22】
風力タービン設置作業、風力タービン改修作業、及び風力タービンメンテナンス作業のうちの少なくとも1つを実施するために前記クレーンを動作させること、をさらに含む、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項23】
前記風力タービンタワーの一部の周りに少なくとも部分的に円周方向に延在する、前記1つまたは複数の延長セクションを組み立てるために少なくとも2つの部品を接続すること、をさらに含む、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項24】
前記1つまたは複数の延長セクションは、前記風力タービンタワーの一部の周りに、長手方向に沿って延在するように配置される円筒状のセクションである、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項25】
前記風力タービンタワーの一部の周りに少なくとも部分的に延在する、前記1つまたは複数のクレーンタワーセクションを組み立てるために少なくとも2つの部品を接続すること、をさらに含む、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項26】
前記1つまたは複数のクレーンタワーセクションは、前記風力タービンタワーの一部の周りに、長手方向に沿って延在するように配置される円筒状のセクションである、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項27】
前記延長タワーセクションを前記クレーンの下端タワーセクションに固定的に接続すること、をさらに含む、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項28】
前記風力タービンタワーは、洋上風力タービンタワーである、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項29】
延長される前記クレーンタワーは予め設置される、先行する請求項の何れかに記載の方法。
【請求項30】
クレーンタワーを組み立てる方法であって、
風力タービンタワーの少なくとも一部に沿って上げられるクレーン、及び少なくとも1つリフタを設けるステップと、
前記クレーンをベース位置に位置付けるステップであって、前記クレーンの下端が、クレーンタワーベースに、またはその近傍に配置される、ステップと、
前記クレーンを、前記クレーンタワーベースから離れるように上昇位置に向けて上昇させるようにリフタを動作させ、それにより、前記クレーンタワーベースに、またはその近傍に、挿入されるクレーンタワーセクションのための空間を作り出すステップと、
前記クレーンを前記上昇位置に位置付け、支持するステップと、
1つまたは複数の前記クレーンタワーセクションを、前記作り出された空間に配置するステップと、
前記1つまたは複数のクレーンタワーセクションを、上昇された前記クレーンの下端に追加するステップと、
前記クレーンを前記1つまたは複数のクレーンタワーセクションに接続するステップと、
を含む方法。
【請求項31】
請求項30に従って組み立てられたクレーンタワーを、風力タービンタワーに沿って延長する方法であって、請求項1のステップを含む方法。
【請求項32】
風力タービンに関する組立作業、改修作業、及びメンテナンス作業のうちの1つを実施することを容易にする装置であって、
風力タービンタワーセクションの周りに少なくとも部分的に円周方向に延在するようにクレーンタワーセクションを形成するための部品と、
前記クレーンタワーセクションの上端に結合され、そこで支持されるように構成されるクレーンをもたらすためのクレーン部品と、
前記風力タービンタワーセクションの周りに少なくとも部分的に円周方向に延在するように延長セクションを形成するための部品と、
前記風力タービンタワーセクションの周りに少なくとも部分的に円周方向に延在するように支持構造物を形成するための部品と、
前記クレーンタワーセクション及び前記クレーンを備えるクレーンタワーを、第1ベース位置から離れるように、または前記第1ベース位置に向けて、前記風力タービンタワーに沿って前進させるリフタを設けるための手段と、
前記クレーンタワーを、第2位置で支持するための手段と、
を備える装置。
【請求項33】
前記クレーンタワーを支持するための手段は、前記クレーンタワーを前記支持構造物に固定するように配置されるロック手段を備える、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記風力タービンタワーセクションの周りに少なくとも部分的に円周方向に延在する前記リフタを形成するための少なくとも2つの部品をさらに備える、請求項32~33の何れかに記載の装置。
【請求項35】
前記リフタを形成するための部品は、前記延長セクションが追加されることを可能とするために、前記クレーンタワーを前記第1ベース位置から離れるように第2位置に向けて移動させるプロセスにおいて、前記支持構造物の外側の周りに延在し、前記支持構造物に沿って長手方向に移動するために移動可能に配置されるリフタを形成するように構成される、請求項32~34の何れかに記載の装置。
【請求項36】
クレーンタワーを、風力タービンタワーの一部に沿って延長する方法であって、前記クレーンタワーを、前記風力タービンタワーに沿ってクレーンタワーベースに対して延長するために1つまたは複数の延長セクションを挿入するステップ、を含む方法。
【請求項37】
伸長されるクレーンタワーを上昇させ、前記延長セクションのための挿入空間を作り出すことと、1つまたは複数の前記延長セクションを前記作り出された空間に挿入することと、前記1つまたは複数の延長セクションを前記クレーンタワーに接続することと、をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記風力タービンタワーは、少なくとも1つの風力タービンタワーセクションを備える、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
風力タービンタワー上で支持されるクレーンタワーを短縮する方法であって、
短縮される前記クレーンタワーを設け、前記クレーンタワーは、2つ以上のクレーンタワーセクション、及びその上端の、または上端近傍のクレーンを備え、さらに少なくとも1つのリフタ及び支持手段を設けるステップと、
前記クレーンタワーの上部を、前記支持手段に固定するステップと、
下側延長セクションを、前記クレーンタワーから取り外すステップと、
前記クレーンタワーの上部を降下させるために前記リフタを動作させるステップと、
を含む方法。
【請求項40】
請求項1~31の何れかの方法を実施することによって得られるクレーンタワー。
【請求項41】
請求項1~31の何れかの方法を実施することによって得られるクレーンタワーまたは延長されたクレーンタワーが設けられる、設置、改修、またはメンテナンス中の風力タービン。
【請求項42】
クレーンタワーを風力タービンタワーに沿って延長するための装置であって、
前記クレーンタワーを、前記風力タービンタワーに沿ってクレーンタワーベースに対して延長するために、1つまたは複数の延長セクションを挿入することを容易にする機器、
を備える装置。
【請求項43】
前記機器は、前記クレーンタワーベースに、またはその近傍に、前記延長セクションのための挿入空間を作り出すよう動作可能である、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記機器は、延長される前記クレーンタワーを、前記クレーンタワーベースから離れるように上昇させ、前記挿入空間を作り出すリフタを備える、請求項42または43に記載の装置。
【請求項45】
前記機器は、支持手段と、前記クレーンタワーを、上昇位置で前記支持手段に固定するためのロック手段とを備える、請求項42~44の何れか1項に記載の装置。
【請求項46】
延長される前記クレーンタワーを備える、請求項42~45の何れかに記載の装置。
【請求項47】
前記クレーンタワーベースを備える、請求項42~46の何れかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は特に風力タービンの設置、建設及びメンテナンスに関する。
近年の風力タービンは、一般的には、回転ハブに接続されるブレードがその上端で支持されるタワーを備える。ブレードは、タワーの上部で、シャフト及びベアリング装置を介して発電機に結合される。使用中、ブレードは風によって回転され、それは次にシャフトの回転を引き起こし、発電機によって電力が生成されることを可能にする。発電機に加えて、変圧器、並びに制御及び監視システムなどの補助装置が通常設けられる。ナセルと称される上部構造は、通常ベアリングでタワー上に支持され、その結果、ナセルはタワーの垂直軸周りに回転することができ、変化する風向に適応し得る。ブレードは、ナセルに結合される。
【0002】
風力タービンは、200~300kWの小型の陸上風力タービンから、約10MWの今日のより大型のタービンへと発展してきた。スケールの違いは別として、風力タービンの構造については、長年にわたり、大部分は同一の汎用設計が維持されてきた。最近の開発は、15~20MW以下の設置電力を生産する能力のある浮体式風力タービンを含む。
【0003】
今日の風力タービンにおいて、ナセルは通常、組立構造物として構築され、これは、タワー構造物がその完全な高さに組み立てられるときに、タワー構造物の上部に、その後持ち上げられ得る。約10MWの風力タービンは、一般的には約200mのタワー高さを有し、ナセルは、300~400トンであり得る。約200m持ち上げられる300~400トンのナセルは、通常、大型で高価な巻上げ装置を必要とする。この種の持ち上げは、浮体式ベース上の巻上げ装置が波の運動に影響を受け得る浮体式風力タービンの場合において、特に困難となり得る。許容可能な波動状態の時間間隔は、非常に短いことが多い。浮体式風力タービンの設置は、技術的に非常に要求が高く、コストがかかり得る。
【0004】
地上では、風力発電所の開発は、周囲のインフラ及び環境に影響を及ぼし得る。道路で設置現場へアクセスすることは困難である可能性があり、道路網は、風力タービンの構成部品及び重量のあるクレーンの輸送、特に、そのような構成部品が長尺で運びにくい可能性がある場合、特に遠隔地の場合には、適さないであろう。
【0005】
風力タービンのタワー構造物は、円筒状であることが多く、ボルトで共に締結される円筒状のタワーセクションによって設置される。その後、ナセル及びブレードが追加される。タワークライマ(tower climber)装置が、アクセスを提供し、組立プロセスを支援するために採用されてもよい。クライマ装置は、通常、タワーを上昇/降下してもよく、上昇/降下するときに、タワー構造物に沿った必要な位置でタワー構造物のセクションを把持/解除してもよい。クライマは、その後、いくつかのプロジェクトにおいて、それらを技術的に不適切にする、または魅力的でない選択とし得る、技術的な複雑性及び動作限界を伴い得る。
【0006】
多くの設計において、タワー構造物のセクションは上端に向かってテーパ状にされる。それゆえに、建設されるタワーは、下端でより広くされることがあり、上端に向かって徐々に狭くなるようにされることがある。このことは、直径がその長さに沿って変化し、異なる直径が、タワーの異なるセクションに適応される必要があるという点で、著しい困難を引き起こし得る。さらに、異なる風力タービンタワーは、異なるテーパ角度を有する可能性がある。発明者は、風力タービンタワーのテーパ状の構造は、例えば、クライマ装置に基づく様々な解決策に見られ得るような、風力タービンの組立またはメンテナンスのための既存の解決策の有効性が適用されることを妨げるかまたは阻止する可能性がある著しい技術的な困難を引き起こし得ると指摘している。
【0007】
本発明の目標及び目的の中で、従来技術の1つまたは複数の欠点を除去する、または少なくとも緩和することが求められる。
本発明の第1態様によれば、風力タービンタワーに沿ってクレーンタワーを延長する方法が提供され、本方法は、風力タービンタワーの少なくとも一部に沿って延長されるクレーンタワーを設け、クレーンタワーは、1つまたは複数のクレーンタワーセクション、及びその上端、またはその上端近傍のクレーンを備え、さらに支持手段及び少なくとも1つのリフタを設けるステップと、クレーンタワーをベース位置に位置付けるステップであって、クレーンタワーの下端が、クレーンタワーベースに、またはその近傍に配置される、ステップと、クレーンタワーを、クレーンタワーベースから離れるように上昇位置に向けて上昇させるようにリフタを動作させ、それにより、クレーンタワーベースに、またはその近傍に、挿入される延長タワーセクションのための空間を作り出すステップと、クレーンタワーを上昇位置に位置付け、支持するステップと、1つまたは複数の延長セクションを、作り出された空間に配置するステップと、1つまたは複数の延長セクションを、上昇されたクレーンタワーの下端に追加し、それによりクレーンタワーを延長するステップと、を含む。
【0008】
本方法は、本明細書に添付される特許請求の範囲の従属請求項2~29の何れかに記載されるような1つまたは複数のさらなる特徴をさらに含んでもよい。
クレーンタワーベースは、プラットフォーム及びまたは地盤(ground)を含んでもよい。プラットフォームは、基礎または地盤上で支持されてもよい。プラットフォームは、風力タービンタワーに接続されてもよい。基礎は、浮体式基礎であってもよい。基礎は、着床式洋上基礎、浮体式基礎、または海底支持基礎(ground supported foundation)であってもよい。
【0009】
本発明の第2態様によれば、クレーンタワーを組み立てる方法が提供され、本方法は、風力タービンタワーの少なくとも一部に沿って上げられるクレーン、及び少なくとも1つのリフタを設けるステップと、クレーンをベース位置に位置付けるステップであって、クレーンの下端が、クレーンタワーベースに、またはその近傍に配置される、ステップと、クレーンを、クレーンタワーベースから離れるように上昇位置に向けて上昇させるようにリフタを動作させ、それによりクレーンタワーベースに、またはその近傍に挿入されるクレーンタワーセクションのための空間を作り出すステップと、クレーンを上昇位置に位置付け、支持するステップと、1つまたは複数のクレーンタワーセクションを、作り出された空間に配置するステップと、1つまたは複数のクレーンタワーセクションを、上昇されたクレーンの下端に追加するステップと、クレーンを1つまたは複数のクレーンタワーセクションに接続するステップと、を含む。
【0010】
第2態様によって組み立てられたクレーンタワーは、第1態様に記載される方法を実施することによってさらに延長されてもよい。
本発明の第3態様によれば、風力タービンの組立作業、改修作業、及びメンテナンス作業のうちの1つを実施することを容易にする装置が提供され、装置は、風力タービンタワーセクションの周りに少なくとも部分的に円周方向に延在するようにクレーンタワーセクションを形成するための部品と、クレーンタワーセクションの上端に結合され、その上で支持されるように構成されるクレーンをもたらすためのクレーン部品と、風力タービンタワーセクションの周りに少なくとも部分的に円周方向に延在するように延長セクションを形成するための部品と、風力タービンタワーセクションの周りに少なくとも部分的に円周方向に延在するように支持構造物を形成するための部品と、クレーンタワーセクション及びクレーンを備えるクレーンタワーを、第1ベース位置から離れるように、または第1ベース位置に向けて、風力タービンタワーに沿って前進させるリフタを設けるための手段と、クレーンタワーを第2位置で支持するための手段と、を備える。
【0011】
本装置は、本明細書に添付される特許請求の範囲の従属請求項33~35の何れかに記載されるような1つまたは複数のさらなる特徴をさらに含んでもよい。
本発明の第4態様によれば、クレーンタワーを、風力タービンタワーの一部に沿って延長する方法が提供され、本方法は、クレーンタワーを、風力タービンタワーに沿ってクレーンタワーベースに対して延長するために、1つまたは複数の延長セクションを挿入するステップを含む。
【0012】
本方法は、従属請求項37または38の何れかに記載されるような1つまたは複数のさらなる特徴をさらに含んでもよい。
本発明の第5態様によれば、風力タービンタワーの一部の上でクレーンタワーを延長する方法もまた提供され、伸長されるクレーンタワーを上昇させ、1つまたは複数の延長セクションのための挿入空間を作り出すステップと、クレーンタワーを、風力タービンタワーに沿って、クレーンタワーベースに対して延長するために、1つまたは複数の延長セクションを、作り出された空間に挿入するステップと、1つまたは複数の延長セクションをクレーンタワーに接続するステップと、を含む。
【0013】
本発明の第6態様によれば、風力タービンタワー上で支持されるクレーンタワーを短縮する方法が提供され、本方法は、短縮されるクレーンタワーを設け、クレーンタワーは、2つ以上のクレーンタワーセクション、及びその上端の、または上端近傍のクレーンを備え、さらに少なくとも1つのリフタ及び支持手段を設けるステップと、クレーンタワーの上部を、支持手段に固定するステップと、下側延長セクションを、クレーンタワーから取り外すステップと、クレーンタワーの上部を降下させるようにリフタを動作させるステップと、を含む。
【0014】
本発明の第7態様によれば、本発明の第1または第2態様による方法によって得られるクレーンが提供される。
本発明の第8態様によれば、本発明の第1または第2態様による方法を実施することによって得られるクレーンタワーまたは延長されたクレーンタワーが設けられる、設置、改修、またはメンテナンス中の風力タービンが、提供される。
【0015】
本発明の第9態様によれば、風力タービンタワー上でクレーンタワーを延長するための装置が提供され、本装置は、クレーンタワーを、風力タービンタワーに沿って、クレーンタワーベースに対して延長するために、1つまたは複数の延長セクションを挿入することを容易にする機器を備える。
【0016】
本装置は、従属請求項43~47の何れかに記載されるような1つまたは複数のさらなる特徴をさらに含んでもよい。
本発明の第10態様によれば、部分的に建設された風力タービンタワー上でクレーンタワーを延長するための装置が提供され、本装置は、クレーンタワーを、風力タービンタワーに沿って、クレーンタワーベースに対して延長するために、1つまたは複数の延長セクションを挿入することを容易にするための機器を備え、機器は、延長されるクレーンタワーを、クレーンタワーベースから離れるように上昇させ、1つまたは複数の延長セクションのための挿入空間を、クレーンタワーベースに、またはその近傍に作り出すリフタを備える。
【0017】
本発明の第11態様によれば、風力タービンタワーを建設する方法が提供され、本方法は、建設中に、風力タービンタワーに沿って延長されるクレーンタワーを設けるステップであって、クレーンタワーは、風力タービンタワーの部分的に建設された一部の上で支持され、クレーンタワーは、1つまたは複数のクレーンタワーセクションと、その上端の、またはその上端近傍のクレーンとを備え、風力タービンタワーの部分的に建設された一部には、少なくとも1つのリフタ及び支持手段を備える装置が備えられる、ステップと、クレーンタワーをベース位置に位置付けるステップであって、クレーンタワーの下端が、そこに、またはその近傍に、クレーンタワーベースに荷重がかかる関係で配置され、クレーンタワーの重量は、クレーンタワーベースを介して、風力タービンタワーの部分的に建設された一部に少なくとも部分的に伝達される、ステップと、クレーンタワーを動作モードで使用し、さらなる風力タービンタワーセクションを、風力タービンタワーの部分的に建設された一部の上端の上方に長手方向に位置付け、配置するようにクレーンを動作させ、さらなる風力タービンタワーセクションを、その上端に接続するステップと、クレーンタワーを、クレーンタワーベースから離れるように上昇位置に向けて上昇させるようにリフタを動作させ、それにより、クレーンタワーベースに、またはその近傍に挿入される延長タワーセクションのための空間を作り出すステップと、クレーンタワーを上昇位置に位置付け、クレーンタワーを支持手段に固定するステップであって、クレーンタワーの重量は、支持手段を介して、また必要に応じてさらにクレーンタワーベースを介して、風力タービンタワーの部分的に建設された一部に少なくとも部分的に伝達される、ステップと、1つまたは複数の延長セクションを、風力タービンタワーの部分的に建設された一部の周りの領域に作り出された空間に配置するステップと、1つまたは複数の延長セクションを上昇されたクレーンタワーの下端に追加し、それにより、クレーンタワーを伸長させる、ステップと、伸長されたクレーンタワーをベース位置に位置付けるステップであって、伸長されたクレーンタワーの下端が、そこに、またはその近傍に、クレーンタワーベースに荷重がかかる関係で配置され、伸長されたクレーンタワーの重量は、クレーンタワーベースを介して、タワーの部分的に建設された一部に少なくとも部分的に伝達される、ステップと、伸長されたクレーンタワーを動作モードで使用し、さらなる風力タービンタワーセクションを、風力タービンタワーの既に接続されたタワーセクションの上端の上方に長手方向に位置付け、配置するようにクレーンを動作させ、さらなる風力タービンタワーセクションを、その上端に接続する、ステップと、を含む。
【0018】
通常、本方法は、伸長されたクレーンタワーを、クレーンタワーベースから離れるように上昇位置へ上昇させるようにリフタを動作させ、それにより、クレーンタワーベースに、またはその近傍に挿入されるさらなる延長セクションのための空間を作り出すことと、伸長されたクレーンタワーを、上昇位置に位置付け、伸長されたクレーンタワーを支持手段に固定することであって、伸長されたクレーンタワーの重量は、支持手段を介して、また必要に応じてクレーンタワーベースを介して、風力タービンタワーの部分的に建設された一部に少なくとも部分的に伝達される、ことと、1つまたは複数のさらなる延長セクションを、風力タービンタワーの部分的に建設された一部の周りの領域に作り出された空間に配置することと、1つまたは複数のさらなる延長セクションを上昇されたクレーンタワーの下端に追加し、それにより、クレーンタワーをさらに伸長させることと、さらに伸長されたクレーンタワーをベース位置に位置付けることであって、さらに伸長されたクレーンタワーの下端が、そこに、またはその近傍に、クレーンタワーベースに荷重がかかる関係で配置され、さらに伸長されたクレーンタワーの重量は、クレーンタワーベースを介して、風力タービンタワーの部分的に建設された一部に少なくとも部分的に伝達される、ことと、さらに伸長されたクレーンタワーを動作モードで使用し、またさらなる風力タービンタワーセクションを、風力タービンタワーの既に接続されたタワーセクションの上端の上方に長手方向に位置付け、配置するようにクレーンを動作させ、またさらなる風力タービンタワーセクションを、その上端に接続することと、をさらに含む。
【0019】
本方法は、1つまたは複数の延長セクションを組み立てるために少なくとも2つの部品を接続することをさらに含んでもよく、これらは、風力タービンタワーの部分的に建設された一部の周りに少なくとも部分的に円周方向に延在してもよい。
【0020】
通常、1つまたは複数の延長セクションは、部分的に建設された風力タービンタワーの周りに、これに沿って長手方向に延在するように配置される円筒状のセクションである。
本方法は、1つまたは複数のクレーンタワーセクションを組み立てるために少なくとも2つの部品を接続することをさらに含んでもよく、これらは、風力タービンタワーの部分的に建設された一部の周りに少なくとも部分的に延在してもよい。
【0021】
通常、1つまたは複数のクレーンタワーセクションは、部分的に建設された風力タービンタワーの周りに、これに沿って長手方向に延在するように配置される円筒状のセクションである。
【0022】
本方法は、1つまたは複数の延長タワーセクションを、クレーンの下端タワーセクションに固定的に接続することを含んでもよい。
支持手段は、支持フレームを備える、または支持フレームであってもよく、本方法は、風力タービンタワーの部分的に建設された一部の周りに少なくとも部分的に円周方向に延在し得る支持フレームを組み立てるために少なくとも2つの部品を接続することを含んでもよい。
【0023】
通常、支持手段は、部分的に建設された風力タービンタワーの周りに、これに沿って延在するように配置される円筒状の支持フレームである。
通常、リフタは、クレーンタワーをベース位置から上昇位置に移動させるために長手方向に進むように配置されるキャリッジを備える。
【0024】
通常、リフタは、風力タービンタワーの部分的に建設された一部の周りに少なくとも部分的に円周方向に延在するように配置される。
支持手段は、通常、風力タービンタワーの部分的に建設された一部の周りに少なくとも部分的に円周方向に延在する支持フレームを備え、リフタは、通常、支持フレームの外側の周りに少なくとも部分的に円周方向に延在するように配置される。上昇するタワーの下端クレーンタワーセクションは、キャリッジの内側面と、支持フレーム外側面との間の環状の領域に配置されてもよい。代替的には、または追加的には、上昇するタワーの下端クレーンタワーセクションは、キャリッジの上方を向く面と当接するように配置されてもよい。下端クレーンタワーセクションは、キャリッジによって係合されてもよく、キャリッジは、支持フレームに沿って上昇/降下可能であってもよい。
【0025】
リフタまたはキャリッジは、1つの風力タービンタワーセクションの端から端の長さに対応する移動距離を有してもよい。1つまたは複数の延長セクションのそれぞれは、通常、風力タービンタワーの1つまたは複数のさらなるセクションと適合する長さ、例えば、およそ等しい長さを有する。このことは、クレーンタワーを、風力タービンタワーに沿って所望の到達距離に延長するために必要とされる持ち上げ、または上昇の繰り返し回数を削減し得る。リフタまたはキャリッジは、クレーンタワーベース、例えばプラットフォームから離れるように、およそ1つの風力タービンタワーセクションの長さより遠くに移動しなくてもよく、またはその長さより遠くに移動する必要は無い。リフタまたはキャリッジは、クレーンタワーベースとキャリッジとの間の距離が、風力タービンタワーセクションの端から端までの長さとおよそ等しくなるように、クレーンタワーベースから離れて移動するように動作可能であってもよい。
【0026】
キャリッジは、ウインチドラムからのウインチラインで吊り上げられ、または降下されてもよい。
部分的に建設されたタワー部分は、クレーンタワーベースを設ける作業プラットフォームを備えてもよい。
【0027】
ウインチドラムは、作業プラットフォームに位置してもよい。ウインチラインは、支持フレーム上の吊り部材を通過してもよい。
クレーンタワーを支持手段に固定するステップは、上昇されたクレーンタワーを支持フレームに固定することによって実施されてもよい。
【0028】
風力タービンタワーは、洋上風力タービンタワーであってもよい。
クレーンタワーセクションには、クレーンタワーと風力タービンタワーとの間に横方向のスタンドオフをもたらすために、風力タービンタワーの外表面に当接するように半径方向に延出する1つまたは複数の径方向スタンドオフアームが設けられてもよい。
【0029】
本発明の第12態様によれば、風力タービンタワーの組立を容易にするための装置が提供され、装置は、風力タービンタワーセクションの周りに少なくとも部分的に円周方向に延在するようにクレーンタワーセクションを形成するための少なくとも2つの部品と、クレーンタワーセクションの上端に結合され、その上で支持されるように構成されるクレーンをもたらすためのクレーン部品と、風力タービンタワーセクションの周りに少なくとも部分的に円周方向に延在するように延長セクションを形成するための少なくとも2つの部品と、風力タービンタワーセクションの周りに少なくとも部分的に円周方向に延在するように支持構造物を形成するための少なくとも2つの部品と、クレーンタワーを伸長するためにクレーンタワーをタワー上に配置するための手段と、クレーンタワーセクション及びクレーンを含むクレーンタワーを、第1ベース位置から離れるように、風力タービンタワーの部分的に建設された一部に沿って第2位置に向けて前進させるリフタを設けるための手段と、支持手段、及びクレーンタワーを第2位置で固定するために、クレーンタワーを支持手段に第2位置で固定するためのロック手段と、を備える。
【0030】
本装置は、リフタを動作させるための、ウインチワイヤを備えるウインチをさらに備えてもよい。
延長セクションを形成するための部品は、円筒状の延長セクションを形成するための部品を含んでもよく、クレーンタワーセクションを形成するための部品は、円筒状のクレーンタワーセクションを形成するための部品を含んでもよく、支持構造物を形成するための部品は、円筒状の支持構造物を形成するための部品を含んでもよい。
【0031】
延長セクションまたはクレーンタワーセクションを形成するための部品は、1つまたは複数の延長セクション、またはさらなる延長セクションをクレーンタワーに追加するプロセスにおいて、支持構造物の外側の周りに少なくとも部分的に延在し、支持構造物に沿った長手方向の移動のために移動可能に配置されるように、延長セクションまたはクレーンタワーセクションを形成するために組み立てられるよう、配置されてもよい。
【0032】
本装置は、風力タービンタワーセクションの周りに少なくとも部分的に円周方向に延在するようにリフタを形成するための少なくとも2つの部品をさらに備えてもよい。
リフタを形成するための部品は、延長セクションが追加されることを可能にするために、クレーンタワーを第1ベース位置から離れるように第2位置へ向けて移動させるプロセスにおいて、支持構造物の外側の周りに延在し、支持構造物に沿った長手方向の移動のために移動可能に配置されるようなリフタを形成するように構成される。
【0033】
本発明の第13態様によれば、風力タービンタワーの部分的に建設された一部の上でクレーンタワーを延長する方法が提供され、本方法は、クレーンタワーを、建設中に、風力タービンタワーに沿って、クレーンタワーベースに対して延長するために、1つまたは複数の延長セクションを挿入するステップを含む。好ましくは、延長セクションは、クレーンタワーベースに、またはその近傍に挿入される。
【0034】
通常、本方法は、伸長されるクレーンタワーを上昇させ、延長セクションのための挿入空間を作り出すことと、作り出された空間に1つまたは複数の延長セクションを挿入することと、1つまたは複数の延長セクションをクレーンタワーに接続することと、をさらに含む。
【0035】
本発明の第14態様によれば、部分的に建設された風力タービンタワー上でクレーンタワーを延長するための装置が提供され、本装置は、クレーンタワーを、建設中に、風力タービンタワーに沿って、クレーンタワーベースに対して延長するように、好ましくは、クレーンタワーベースに、またはその近傍に、1つまたは複数の延長セクションを挿入することを容易にするための機器を備える。
【0036】
通常、機器は、延長セクションのための挿入空間を作り出すよう動作可能である。また、通常、挿入空間は、風力タービンの部分的に建設された一部の周りの領域に作り出される。通常、挿入空間は、クレーンタワーベースに、またはその近傍にある。
【0037】
通常、機器は、延長されるクレーンタワーを、クレーンタワーベースから離れるように上昇位置に上昇させ、挿入空間を作り出すリフタを備える。
通常、機器は、支持手段、及びクレーンタワーを、上昇位置で支持手段に固定するためのロック手段を備える。
【0038】
リフタは、上昇位置で、固定されたクレーンタワーから係脱可能にされてもよい。
本装置は、延長されるクレーンタワーを備えてもよい。
本装置は、クレータワーベースを備えてもよい。
【0039】
通常、クレーンタワーベースは、プラットフォームであるか、またはプラットフォームを備える。
風力タービンタワーは、浮体式風力タービンであってもよい。風力タービンタワーは、本明細書の他のどこかに記載されるような風力タービンタワーであってもよい。
【0040】
本発明の第15態様によれば、部分的に建設された風力タービンタワー上で支持されるクレーンタワー、及びクレーンタワーを延長するための1つまたは複数の延長セクションを備えるシステムが提供される。
【0041】
本発明の第16態様によれば、部分的に建設された風力タービンタワーのクレーンタワーベース上に配置され、支持される装置を備えるシステムが提供され、装置は、クレーンタワーを、建設中に、風力タービンタワーに沿って、クレーンタワーベースに対して延長するように動作可能である。
【0042】
本発明の様々な態様の何れかは、本明細書に記載されていれば、本発明のあらゆる他の態様と関連して記載されるようなさらなる特徴を含んでもよい。従って、上述の様々な態様の方法、装置、クレーン、風力タービンタワー、及び/またはシステムは、あらゆる他の態様の方法、装置、クレーン、風力タービンタワー、及び/またはシステムと関連して記載されるようなさらなる特徴またはステップをさらに含んでもよい。あらゆる態様の装置、クレーン、風力タービンタワー、またはシステムは、あらゆる方法のあらゆるステップのものに対応する特徴をさらに含んでもよく、逆もまた同様である。
【0043】
特に、上述の様々な態様の何れかの方法、装置、クレーン、風力タービンタワー、及び/またはシステムに関連して述べられるクレーンタワーベースは、プラットフォーム及び/または地盤を含んでもよい。プラットフォームは、基礎または地盤上で支持されてもよい。プラットフォームは、風力タービンタワーと接続されてもよい。基礎は浮体式基礎であってもよい。基礎は、着床式洋上基礎、浮体式基礎、または海底支持基礎であってもよい。
【0044】
本発明の様々な態様の実施形態は、本明細書の全体を通して明らかとなるような様々な方法において有利であろう。
ここで、単なる例として、添付の図面を参照して本発明の実施形態が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】完全に建設された風力タービンの正面図である。
【
図3】本発明の実施形態による、風力タービンタワーを建設するための装置を設置するプロセスにおける、風力タービンタワーの根元部の斜視図である。
【
図4】風力タービンタワーを建設するための装置を設置するプロセスにおける、さらなる設置段階での風力タービンタワーの根元部の斜視図である。
【
図5】
図4における領域Dのクローズアップ図である。
【
図6】
図4における領域Aのクローズアップ図である。
【
図7】風力タービンタワーの根元部の周りに延在する、
図4に描写される設置された装置の上昇手段の支持フレームの一部の斜視図である。
【
図8】風力タービンの根元部の上端を、
図7の支持フレーム上の延出可能な把持要素と共に示す、
図4における領域Bをクローズアップした斜視図である。
【
図9】延出可能な把持要素のうちの1つをクローズアップして示す
図8の領域Cの図である。
【
図10】風力タービンタワーを建設するための装置を設置するプロセスにおける、またさらなる設置段階での風力タービンタワーの根元部の斜視図である。
【
図11】
図10における設置段階である装置のクレーンタワーのタワーセクションの一部の斜視図である。
【
図12】
図10の領域Aのクローズアップ図であり、クレーンタワーのタワーセクション上のスタンドオフローラ(stand-off rollers)を含む詳細を示す。
【
図13】
図10の領域Bのクローズアップ図であり、上昇手段のリフタを動作させるためのウインチケーブル接続点を含む詳細を示す。
【
図14】
図12の領域Cのクローズアップ図であり、スタンドオフローラのうちの1つのさらなる詳細を示す。
【
図15】
図11の領域Dのクローズアップ図であり、上昇手段の把持要素との係合を容易にするためのクレーンタワーセクションの一部の上端の周りに延在する構造を示す。
【
図16】
図10の風力タービンタワーの根元部の側面図であり、装置は、風力タービンタワーのさらなる組立に備えた状態で設置されている。
【
図17】
図16の風力タービンタワーの根元部の側面図であり、装置のクレーンタワーのクレーンは、風力タービンタワーの建設中に、風力タービンタワーを延長するために、風力タービンタワーの根元部の上端の上方に、そこに接続するためのさらなる風力タービンタワーセクションを配置する。
【
図18】建設中の風力タービンタワーの側面図であり、
図17のさらなるセクションが接続されており、クレーンタワーを、装置の上昇手段を用いて風力タービンタワーに沿って上方に持ち上げた後である。
【
図19】建設中の
図18の風力タービンタワーの側面図であり、上昇手段のリフトを降下させた後であり、クレーンタワーの延長セクションの要素を風力タービンタワーの周りで、上昇されたクレーンタワーの下端の下方に配置した後である。
【
図20】
図18の領域Bのクローズアップ図であり、上昇位置における、上昇手段のリフタ及び上昇されたタワーセクションを示す。
【
図21】
図19において風力タービンタワーの周りに設けられるクレーンタワーの延長セクションの一部の斜視図である。
【
図22】上述の図の設置された装置に見られるような、上昇手段の支持フレームの周り、風力タービンタワーの根元部の周りに延在するリフタのキャリッジの一部である。
【
図23】
図19の段階から後の段階で建設中の風力タービンの側面図であり、風力タービンタワーのまたさらなるタワーセクションを、風力タービンタワーの設置された一部の上端の上方に配置し、またさらなるタワーセクションをそこに接続した後であり、クレーンタワーを、風力タービンタワーの設置された一部に沿って上方に持ち上げた後である。
【
図24】
図23の段階で建設中の風力タービンタワーの、
図23の線分D-Dに沿った側断面図である。
【
図25】クレーンタワーを上昇位置に固定または保持するためのクレーンタワーのタワーセクションに固定係合する上昇手段の係合部のクローズアップである。
【
図26】
図23の段階で建設中の風力タービンタワーの斜視図である。
【
図27】装置を含む建設中のタワーの
図23の線分C-Cに沿った断面図である。
【
図28】建設中の風力タービンの側面図であり、半径方向に根元部の周りに延在するプラットフォーム上で風力タービンの根元部に支持されるクレーンタワーを延長するために、クレーンタワーのさらなる延長セクションが接続されて挿入された後であり、風力タービンタワーは、クレーンタワーを用いて組み立てられており、ナセルは、風力タービンタワーの上端に接続されており、ロータブレードは、ナセルと接続するようにブレードを配置するために上方に持ち上げられている。
【
図29】
図28の段階で建設中の風力タービンの斜視図である。
【
図30】
図28の領域Aのクローズアップ図であり、平衡おもりであるリフティングヨークへのブレードの結合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
まず
図1及び2を参照すると、完全に建設された風力タービン1が示されている。風力タービン1は、基礎8及び下側タワーセクション2を備える根元部101を備えるタービンタワー100を備える。基礎8は、例えば、風力タービンが浮体式風力タービン、海底固定の風力タービン、または陸上風力タービンであるかどうかによって形状が異なり得る。本例は、根元部101が、水面(図示無し)を通って延在している浮体式風力タービン1の例示を目的とする。基礎8の少なくとも下側部分は水中にあり、下側タワーセクション2は、海面から上方に垂直に延出する。以下にさらに説明されるような風力タービン1の建設は、最初に根元部101を設置することを含む。
【0047】
風力タービン1の残りは、その後、根元部101上で支持される装置を用いて建設される。
図1及び2に認識され得るように、風力タービンタワー100は、基礎8から上方向に、タワーセクション2、さらなるタワーセクション3、及びまたさらなるタワーセクション4を備える。この例においては、基礎8を数に入れずに、ちょうど3つのタワーセクションが設けられる。タワーセクション2,3,4は、連結ジョイント29で一方と他方とを端と端とで接続する細長い円錐台形のテーパ状のセクションである。基礎8の間の結果としてもたらされるタワー100は、徐々に細くなり、つまり上端に向かって外径が小さくなる。
【0048】
ナセル6は、風力タービンタワー100の上端に配置される。3つのブレード7は、使用中に通常水平または略水平の回転軸を備えるナセル6上でハブ45に接続される。ブレード7は、接続点で、ハブの周りに等しい角度間隔で間隔を空けて接続する。ブレード7は、ナセル6のハブから離れるように半径方向に延在する。一組のブレード7は、軸を回転させ、ナセル6内の発電機を駆動するために回転軸周りに回転する。
【0049】
風力タービン1の建設が、ここで説明される。風力タービン1の建設は、風力タービンタワー100の根元部101上に設置され、そこで支持される、またクレーンタワー200の上端で支持されるクレーン201を備える装置によって容易にされる。クレーンタワー200’は、風力タービンタワーが組み立てられる段階において、風力タービンタワー100に沿って延長され得る。装置は、クレーンタワー及び延長されたクレーンタワーのためのプラットフォーム10の形をしたベースを、部分的に建設された風力タービンタワー100の根元部101上に備える。装置はまた、クレーンタワー200を、風力タービンタワー100に沿って上昇位置へ上方に持ち上げるためのリフタを備え、プラットフォームと上昇されたクレーンタワー200との間にクレーンタワー延長セクション30を挿入し、延長セクション30をクレーンタワーに追加するための挿入空間を作り出す上昇手段300も備える。一旦追加されると、ベースプラットフォーム10から到達できる延長されたタワー200’の到達距離はより大きくなり、その結果、クレーン201が、風力タービンタワーへのさらなる風力タービンタワーセクションの組立を支援するために採用され得る。
【0050】
風力タービン1の建設は、それゆえに、いくつかの段階、
i. 根元部101を設ける、
ii. 上昇手段300を、根元部101上に設置する(
図3~9)、
iii. 第1長さ(後により長い長さに延長される)のクレーンタワー200を設置し、クレーン201を、クレーンタワー200のその上端にもたらし、クレーンタワーセクション20が根元部の周りに円周方向に延在した状態で、クレーンタワー200は、根元部101のプラットフォーム上で支持される(
図10~16)、
iv.クレーンタワー200を延長し、延長されたクレーンタワー200’は、第1長さよりも長い第2長さを有し、クレーン201を用いて1つまたは複数のさらなる風力タービンタワーセクション3,4を風力タービンタワー100に追加し、上昇手段300は、クレーンタワー200を上昇させ、延長セクション30,40がクレーンタワー200に追加されることを可能にするために用いられる(
図17~27)、
v.クレーン201を用いて、一旦クレーンタワー200が完全に延長されると、根元部101のプラットフォーム10から、完全な長さの風力タービンタワー100の上側タワーセクションの上端まで延出する長さを有し、ナセル6を、風力タービンタワー100の上端へ、そこに接続するために持ち上げ、さらに風力タービンブレード7を1つずつ持ち上げ、その持ち上げられたブレード7を、ナセル6に接続するためにその近傍に配置する(
図28~30)、
を含むと考えられ得る。
【0051】
クレーン201はまた、既に建設された風力タービンに関する改修及びメンテナンス作業にも用いられ得る。そのような場合において、ステップi.~iv.は、クレーンタワーを風力タービンタワーに沿って延長するために実施されるが、それは既に建設されているので、さらなる風力タービンタワーセクションが風力タービンタワー100に追加されることはない。一旦クレーン201が所望の高さに上げられると、クレーン201は、例えば、1つまたは複数のブレードまたはナセルの部品を取り外し、取り換えるために用いられ得る。
【0052】
風力タービン1が建設された後、完全に延長されたクレーンタワー200’’は、クレーンタワー200の下側クレーンタワー延長セクション40を分離して取り外す間、クレーンタワー200’’を適切な位置に保持するために、上昇手段300を用いることによって分解され、それにより、クレーンタワーを短縮し、短縮されたクレーンタワー200’を、上昇位置から降下位置へ支持して降下させ、クレーンタワー200’を、上昇手段300を用いて適切な位置に保持し、次の延長セクション30を分離して取り外し、クレーンタワー200をさらに降下させる、などする。
【0053】
クレーンタワー200は、プラットフォーム10と延長されるクレーンタワーとの間に作り出された空間に、延長セクションを、時々挿入し、追加することによって、またクレーンタワーの必要な操作をもたらすようにプラットフォームまたは根元部上に設置され、延長セクションを挿入、追加するための空間を作り出す機器を用いることによって建設されるので、クレーンタワーは、円筒状のタワー骨組みが、組み立てられるさらなる風力タービンタワーセクション3,4及びジョイント29から間隔が空けられて、それらのさらなるセクション3,4と荷重がかかる関係で係合する必要無く、上方に持ち上げられ得る。従って、最初に設置された根元部上のプラットフォームまたは規定されたベース位置から「ボトムアップ」でクレーンタワー200を構築する建設技術は、風力タービンタワー100のタワーセクション3,4がテーパ状である場合の利用に適し得る。一般的には、全ての風力タービンの型に関して都合が良いが、特に洋上のものにとって都合が良いであろう。
【0054】
次に、
図3~9に目を向けると、上昇手段300を設置する方法がここでさらに説明される。上昇手段300は、この例において、ウインチ15によって動作可能なキャリッジ11の形であるリフタを備える。風力タービンタワー100の根元部101は、風力タービンタワーの基礎8及び長手方向に延在するセクション2を備え、これらは設置現場に予め設置される。根元部101には、根元部上のプラットフォーム10の形で、クレーンタワーのためのベースが設けられる。プラットフォーム10は、根元部101の周りに円周方向に延在する。プラットフォーム10は、風力タービンタワーセクション2の外表面に対して半径方向外側に延在する。プラットフォーム10は、オペレータのための作業デッキまたは床を有する。プラットフォーム10は、根元部の所望の位置に強固に固定的に取り付けられる。
【0055】
キャリッジ11は、プラットフォーム10上に配置される。プラットフォーム10は、さらに以下で説明されるように、キャリッジ11が所定の使用モードにおいて載置される支持部または台座を有する。ウインチ15もまたプラットフォーム10に配置される。キャリッジ11は、風力タービンタワーのタワーセクション2の周りにリング状に延在するフレームを有する。キャリッジ11は、支持フレームのフレーム部品を互いに接続することによって組み立てられる。キャリッジ11は、プラットフォーム10から離れるように上方に、且つ/または根元部101のタワーセクション2に沿ってプラットフォーム10に向かって下方に移動可能に配置される。
【0056】
上昇手段300は、風力タービンタワーの根元部のタワーセクション2の周りに延在する上昇支持フレーム13の形の支持手段をさらに備える。上昇支持フレーム13の部品は、キャリッジ11のフレームの内側とタワーセクション2の外表面との間の環状の空間に配置される。部品は、円筒状で、風力タービンタワーセクション2の周りに円周方向に延在する支持フレーム13を得るために接続される。上昇支持フレーム13は、タワーセクション2に沿って長手方向に延在する。キャリッジ11もまた、上昇支持フレーム13の周りに延在するように配置される。上昇支持フレーム13は、プラットフォーム上に固定的に設けられ、プラットフォーム10は、風力タービンタワーの根元部に固定的に設けられる。それゆえに、キャリッジ11は、上昇支持フレーム13に沿って、上方/下方に移動可能である。
【0057】
上昇支持フレーム13は、プラットフォーム10から上方に延在する直線状でテーパの無い円筒状のフレームであり、一方、タワーセクション2は、上端に向かって次第に細くなる。
【0058】
支持フレーム13の上端に、その上に等角度間隔で、フレームの周りの異なる位置に円周方向に配置される、延出可能部材18を備える係合装置19を備えるロック手段が設けられる。延出可能部材18は、クレーンタワーを支持フレーム13上で一時的に支持し、上昇位置のクレーンタワーと支持フレームとの間の動きを固定することを可能とするように、(以下でさらに説明される)上昇されたクレーンタワーのクレーンタワーセクションの対応する構造または部材と係合するためにハウジングから外側に延出するよう動作可能である。
【0059】
支持フレーム13の上端にはまた、それぞれのウインチ15からのケーブル15wを受け入れるためのガイド17も設けられる。それぞれのウインチ15のケーブル15wは、ウインチ15から支持フレーム13の内側に沿って上方へ、ガイド17を越えて外側へ、さらに支持フレーム13の外側に沿ってキャリッジ11へ下方に延在し、ここでケーブル15wの端部は、キャリッジ11上の締結突起14に取り付けられる。3つのウインチ15は、プラットフォーム10上に固定的に設置され、ウインチ15からのケーブル15wは、3つの下側ガイドの下を通過し、上昇して3つのガイド17を通過し、キャリッジ11上の対応する3つの突起14に接続する。それゆえに、ウインチ15を用いて、矢印Aによって示される方向にケーブルを引き込むことによって、それぞれのウインチ15からのケーブル15wは、支持フレーム13に沿ってキャリッジ11を上方に引き寄せるように作用する。3つのウインチ15は、もし1つが破断した場合に、大荷重に耐え、力を分散し、冗長性をもたらすために役立ち得る。
【0060】
次に
図10~16に目を向けると、クレーンが風力タービンタワーを組み立てる作業のために用いられる前に、クレーンタワー200を初期位置に設け、配置するステップがここで説明される。クレーンタワー200は、クレーン201及びクレーンタワーセクション20を備える。クレーンタワーセクション20の部品は、風力タービンタワーの周りに配置され、互いに連結される。クレーンタワーセクション20は、風力タービンタワーのタワーセクション2に並行して延在する細長い円筒状のフレームの形状をなしている。フレームは、真直な円筒である。クレーンタワーセクション20は、既に組み立てられた上昇手段300の支持フレーム13の周りに延在するように配置される。クレーン201は、クレーンタワーセクション20の上端に接続されるクレーンベース22を備える。クレーンタワーセクション20の下端は、キャリッジ11上で支持される。クレーン201を含むクレーンタワー200の重量は、タワーセクション20及びキャリッジ11を介して、またプラットフォーム10を介して、風力タービンタワーの根元部101に支持され、伝達される。クレーンタワーセクション20の円筒状のフレームは、同様にプラットフォーム10上に支持載置されるキャリッジ11の支持フレームと直径が一致する。クレーンタワーの重量によって与えられる力は、それゆえに、タワーセクション20とキャリッジ11との一致するフレーム、プラットフォーム10を介して根元部101へ直接下方に垂直に伝達可能であり、クレーンタワー200の強固な、材料効率の良い構造をもたらし得る。この配置において、クレーンタワー200は、ベース位置に配置され、クレーンは、部分的に建設された風力タービンタワーにさらなる風力タービンタワーセクションを追加するための動作モードで動作可能である。
【0061】
クレーン201は、クレーンベース22に枢動可能に連結されるA型フレームまたは逆U型またはV型フレームを備える。クレーンベースはリング状であり、クレーンタワーセクション20の直径と対応する直径の開口を有する。開口は、部分的に建設された風力タービンタワーの上端へのアクセスを可能にする。ブーム24は、クレーンベース22の何れかの側で上方に立ち上がる脚と、開口の上に橋を架け、クレーンワイヤ26wのための上側ガイド27を配置するための、脚の上端の間の横梁と、を備える。ブーム24は、クレーンベース22と、ブーム24の脚24a,24bとの間で作用する直線状の油圧アクチュエータシリンダ23の制御下で、水平軸X周りに枢動するように配置される。クレーン201はまた、クレーンベース22の垂直軸周りにも回動可能である。
【0062】
クレーンウインチ26は、プラットフォーム10上に設けられ、クレーンウインチ26からのワイヤ26wは、クレーン201のクレーンベース22から半径方向外側に延出するアーム上のガイド25に通され、荷重28を、ブーム24から、上側ガイド27を越えるワイヤ26wに吊るすために、ガイド25から前方上方へ、ブーム24上の上側ガイド27を越えて通される。ブーム24は、クレーンベース22から上方に、風力タービンタワーに追加されるさらなるタワーセクション3,4の長さを超える到達距離を有するように構成される。このようにして、ブーム24は、部分的に建設されたタワーの上端の上方で直立方向に追加される必要のあるさらなるタワーセクション3,4を吊るすことができ、ワイヤ26wを繰り出すことによって、タワーセクション3,4を、開口を通して上端上に降下させ得る。
【0063】
クレーンベース22には、クレーンベース22の内周周りに分散された位置で半径方向内側に突出するスタンドオフ部材41が設けられる。他の変形例において、スタンドオフ部材41は、代替的に、または追加的に、クレーンタワーのクレーンタワーセクション20,30,40上に設けられる。スタンドオフ部材41は、風力タービンタワー100に対してクレーンタワー200を中心にすることを容易にし得る。それらは、建設中に逆の力(adverse forces)が生じた場合に、クレーンタワー200と風力タービンタワー100との間にスタンドオフをもたらし得る。それらは、建設中の風力タービンタワーに対するクレーンタワー200の適切な位置決めを容易にすることができ、これは、さらなる延長タワーセクション30,40をクレーンタワー200に、さらなるタワーセクション3,4を風力タービンタワー100に組み立て、接続するとき、クレーンタワー200の位置決めに役立ち得る。スタンドオフ部材41はそれぞれ、風力タービンタワーの外表面とクレーンタワーとの間の変動する距離に適応するために、内側に枢動するように付勢されるばね負荷式のアームを備え、その距離は、上方のテーパにより風力タービンタワーの上端に向かって変化し、大きくなり得る。スタンドオフ部材41はそれぞれ、建設中に、風力タービンタワーの設置された一部の外表面に接触するためのアームの端に、ローラ輪42を備える。クレーンタワー200が、風力タービンタワー100に沿って上昇位置まで上方に持ち上がるにつれて、ローラ輪42は、風力タービンタワーの外表面上を転動する。
【0064】
ここで
図17~27に目を向けると、クレーンの長さを根元部から上方に延長するステップ、1つまたは複数のさらなるタワーセクションを風力タービンタワーに追加するためにクレーンを用いるステップ、プラットフォーム10からの延長された到達距離を得るために、クレーンタワーを上昇させ、クレーンタワーのさらなる支持セクションがクレーンタワーに追加されることを可能にする上昇手段を用いるステップ、がここでさらに説明される。
【0065】
クレーン201は、部分的に建設された風力タービンタワーのタワーセクション2の上端の上方で、さらなるタワーセクション3をワイヤ26wに吊るすための動作モードでまず用いられる。一旦配置されると、タワーセクション2,3は、端と端を互いに接続され、それにより、風力タービンタワーを伸長させる。
【0066】
次に、クレーン201をさらなるタワーセクション3の上端に配置し、またさらなるタワーセクション4を風力タービンタワーに接続することが求められる。この目的のために、クレーンタワー延長セクションを、プラットフォーム10かまたはその近傍で根元部101の周りに作り出された空間に挿入し、タワー延長セクション30を接続することによって、クレーンタワー200が延長される。
【0067】
上昇手段300が次に用いられる。より具体的には、キャリッジ11が、上昇支持フレーム13に沿って、また風力タービンタワーの根元部101のタワーセクション2に沿って、上方に移動されるように、(ウインチ15によって)動作される。キャリッジ11は、ウインチ15を駆動してウインチケーブル15wを引き込むことによって動作される。延長されるクレーンタワー200は、キャリッジ11上で、直線的に軸方向上方に運ばれ、移動される。移動の最後に、クレーンタワー200は上昇位置に就き、ロック手段の係合部材19は、クレーンタワーを上昇支持フレーム13に固定するために動作され、それにより、先端部材18は、クレーンタワーセクション20の部品21の円周方向の溝構造31に係合する。係合部材19の動作によって、先端18は溝構造31へ付勢され、上昇されたクレーンタワー200は、上昇手段300の上昇支持フレーム13に対して固定的に保持される。係合によって適切な位置に保持される一方で、キャリッジ11がタワーから取り外され、ウインチ15の動作によってプラットフォームへ下方に戻される。キャリッジ11がプラットフォーム10上に再度載置されるとき、キャリッジ11と上昇位置におけるクレーンタワーとの間に空間が作り出される。
【0068】
クレーンタワー200の延長セクション30が次に組み立てられる。延長セクション30の部品21’は、風力タービンタワー100のタワーセクション2の周りに作り出された空間に配置され、共に結合される。延長セクション30は、風力タービンタワーのタワーセクション2に沿って延在する細長い円筒状のフレームの形をしている。フレームは、真直な円筒である。延長セクション30は、既に組み立てられた上昇手段300の上昇支持フレーム13の周りにまた延在するように配置される。延長セクション30の下端は、プラットフォーム10上に載置されるキャリッジ11上で支持されるように配置される。
【0069】
延長セクション30の上端が、上昇位置におけるクレーンタワーのクレーンタワーセクション20の下端と端と端で結合される。延長セクション30の下端は、キャリッジ11上で支持される。このようにして、クレーンタワー200へのさらなる延長セクション30の追加は、部分的に建設された風力タービンタワー100に沿ってクレーンタワー200の長さを延長する。延長セクション30が追加された後で、クレーンタワーのさらなる延長を可能にするために、係合部材19はクレーンタワーから係脱され、クレーンタワーを上昇フレーム13から解除する。例えば、設置される風力タービンの風力タービンタワーセクションまたは他の部品の持ち上げの間に、クレーン201によって伝えられる力、及びそこから吊るされる荷重は、端と端が接続されたクレーンタワーセクション20、延長セクション30、キャリッジ11、及びプラットフォーム10を介して風力タービンタワー100の根元部101に伝達され、直接支持される。風力タービンタワー100へのさらなる耐荷重接続は必要とされない。
【0070】
クレーン201は、次に、
図19に見られるように、またさらなるタワー要素4を、風力タービンタワー100の既に設置されたタワーセクション3の上端の上方で吊るし、配置するために用いられる。またさらなる風力タービンタワーセクション4が、タワーセクション3に対して上述されたものと同様に設置される。
【0071】
次に、
図23に見られるように、またさらなるタワーセクション4が、部分的に建設された風力タービンタワー100の端の上に接続され、それによりそれをさらに延長した後で、上昇手段300、特にキャリッジ11及び係合部材19は、伸長されたクレーンタワー200’を上昇位置まで上昇させるために再度採用される。上昇位置において、クレーンベース22は、クレーン201がさらなるタワーセクション4の上端にアクセスできるように、またさらなる風力タービンタワーセクション4の上部の近傍に配置される。さらなるクレーン延長セクション40をクレーンタワー200’とプラットフォーム10との間に作り出された空間に挿入するために、挿入空間が、風力タービンタワーの根元部のタワーセクション2の周りに作り出される。上昇支持フレーム13上の係合部材19は、伸長されたクレーンタワー200’を上昇位置に保持するために延長タワーセクション30に係合し、一方、さらなる延長セクション40は、風力タービンタワーのセクション2の周りに配置され、クレーンタワーの以前の延長セクション30に関連して上述されたものと同様に接続される。
【0072】
図28~30に目を向けると、クレーンタワー200’’は、風力タービンタワー4の上端にアクセスするように配置されたクレーン201を有して完全に延長される。風力タービンタワー100は、完全な長さに組み立てられる。クレーンタワーが、ベースを有するプラットフォームから風力タービンタワーの上端に、風力タービンタワー100に沿って完全な到達距離に達するように、クレーン延長セクション30及びさらなるクレーン延長セクション40が組み込まれる。クレーンタワー200は、延長セクション30,40、キャリッジ11及びプラットフォーム10を介して、風力タービンタワー100の根元部101に支持される。
【0073】
この配置において、使用モードにおけるクレーン201は、次に風力タービン1のさらなる部品、特にナセル6及びブレード7の持ち上げ、及び組立のために用いられる。ナセル6は、ブーム24の脚の間の空間で、風力タービンタワーの上端上の回転可能なベースに設置される。ブレード7は、クレーン201のクレーンワイヤ26wで、タワーの上部に吊り上げられる。
【0074】
クレーンワイヤ26wの端は、ブーム24から垂直に吊るされるロッド39に接続され、ロッド39は次に、ロッド39と直交する、つまり水平に延在する吊りビーム37に接続される。風力タービンブレード7は、マウント36を介して吊りビーム37の一端に結合され、タービンブレード7の長手方向軸が、ビーム37の長手方向の水平軸に対して水平になるように、水平な姿勢を得る。ビーム37の他端は、平衡おもり38によって釣り合うようにされる。ブレード7はそれゆえに、ブーム24から吊るされるワイヤ36wの長さを巻き取ることによって、ブレード7の接続端のハブ45への接続のために適切な向きで、ナセル6のハブ45の近傍へ移動され、配置され得る。クレーンは、クレーンベース22上で、垂直軸Y周りに回動可能にされ得る。
【0075】
ブレード7が全て接続された後、クレーン201及びクレーンタワー200’’は、クレーンタワーを延長し、上昇させるためのステップを逆順で実行することによって、降下され、分解される。それゆえに、クレーンタワー200’’は、下側延長セクション40の取り外しによって短縮されて降下され、一方、延長セクション40が取り外されたクレーンタワー200’’の残りは、係合部材19によって上昇支持フレーム13に適切な位置で支持され、固定される。クレーンブーム24は、クレーンベース22の開口が妨げられないままであるように配置され、開口を通って延出する風力タービンでクレーンタワーを降下させることを可能にする。上昇手段300及びプラットフォーム10は、風力タービンタワーの根元部101から取り外され、
図1及び2に示されるような完全に建設された風力タービン1が得られる。
【0076】
クレーン201及びクレーンタワー200は、1つまたは複数のブレード7を取り外す、及び/もしくは交換する、またはナセル6の全体もしくは一部、例えばギアまたは発電機を取り外す、及び/もしくは交換するなどの様々な改修及びメンテナンス作業を実施するために用いられ得る。このような場合において、クレーンタワー200は、既存の風力タービンタワーに沿って設置され、伸長される。クレーン201が所望の高さに到達したとき、所望の持ち上げ作業が、延長されたクレーンタワー200上のクレーン201を用いることによって実施され得る。
【0077】
いくつかの変形例において、組立プロセスは、プラットフォーム、支持手段、及びリフタが取り付けられたタワーセクションを備えるユニットを、基礎の上に持ち上げ、設置することから始まる。クレーンは、その後リフタの上に配置される。
【0078】
様々な変形及び改良が、本明細書に記載される本発明の範囲を逸脱することなくなされてもよい。
【国際調査報告】