(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】温度安定性の高いMEMS共振器
(51)【国際特許分類】
H03H 9/02 20060101AFI20240827BHJP
H03H 3/013 20060101ALI20240827BHJP
H03H 9/24 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H03H9/02 N
H03H3/013
H03H9/24 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510650
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 FI2022050576
(87)【国際公開番号】W WO2023031521
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520071814
【氏名又は名称】キョーセラ テクノロジーズ オーユー
【住所又は居所原語表記】Tietotie 3 02150 Espoo Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】サーレラ ヴィッレ
(72)【発明者】
【氏名】ペルッティラ マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ヤーッコラ アンッティ
(72)【発明者】
【氏名】オヤ アールネ
(72)【発明者】
【氏名】コッピネン パヌ
(72)【発明者】
【氏名】ラウティアイネン アンッティ
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA04
5J108BB05
5J108CC04
5J108CC11
5J108EE03
5J108EE07
5J108GG03
5J108KK01
5J108NA02
(57)【要約】
基板(105)と共振要素(100)と空洞(110)を備えるMEMS共振器(150)。共振要素は空洞によって基板から分離されており、共振要素は単結晶シリコンの層(101)を含む。単結晶シリコンの層には、特定のドーピングプロファイルを得るようにリン原子がドープされる。
【選択図】
図5C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MEMS共振器であって、
基板と;
共振要素と;
キャビティ(空洞)と;
を備え、
前記共振要素は前記キャビティによって前記基板から分離されており、前記共振要素は単結晶シリコンの層を含み、
前記単結晶シリコンの層にはリン原子がドープされており、前記リン原子の濃度n
dopは、
(i)d/t
DEV=0.1において、1.99×10
20cm
-3から2.97×10
20cm
-3の範囲内であり、d/t
DEV=0.9において、1.20×10
20cm
-3から1.78×10
20cm
-3の範囲内であり、
又は、
(ii)d/t
DEV=0.1において、1.20×10
20cm
-3から1.80×10
20cm
-3の範囲内であり、d/t
DEV=0.9において、2.02×10
20cm
-3から2.97×10
20cm
-3の範囲内であり、
又は、
(iii)d/t
DEV=0.1において、2.08×10
20cm
-3から2.97×10
20cm
-3の範囲内であり、d/t
DEV=0.5において、1.20×10
20cm
-3から1.86×10
20cm
-3の範囲内であり、d/t
DEV=0.9において、2.08×10
20cm
-3から2.97×10
20cm
-3の範囲内であり、
ここでdは、前記単結晶シリコンの層内の位置と前記単結晶シリコンの層の上面との間の距離でありt
DEVは前記単結晶シリコン層の厚さである、
MEMS共振器。
【請求項2】
前記共振要素を共振モードに励起するための圧電材料の層を更に含む、請求項1に記載のMEMS共振器。
【請求項3】
前記圧電材料の層の厚さは1μmから2μmの範囲である、請求項2に記載のMEMS共振器。
【請求項4】
前記単結晶シリコンの層の厚さは9μmから17μmの範囲である、請求項1から3のいずれかに記載のMEMS共振器。
【請求項5】
リンドープ単結晶シリコンが、前記共振要素の質量の50%以上を形成する、上記請求項のいずれかに記載のMEMS共振器。
【請求項6】
-30℃から85℃の温度範囲における共振周波数の変動は、温度25℃における共振周波数に対して±30ppm以内である、上記請求項のいずれかに記載のMEMS共振器。
【請求項7】
前記共振要素は、前記単結晶シリコンの層の面内で前記単結晶シリコンの層の<100>結晶軸と実質的に平行な縦長の材料部分を有する、上記請求項のいずれかに記載のMEMS共振器。
【請求項8】
前記共振要素は、長さ伸長共振モード又は曲げ共振モードで共振するように構成される縦長の材料部分を有する、上記請求項のいずれかに記載のMEMS共振器。
【請求項9】
前記リン原子の前記濃度n
dopは、
(i)d/t
DEV=0.1において、2.10×10
20cm
-3から2.86×10
20cm
-3の範囲内であり、d/t
DEV=0.9において、1.26×10
20cm
-3から1.72×10
20cm
-3の範囲内であり、
又は、
(ii)d/t
DEV=0.1において、1.26×10
20cm
-3から1.73×10
20cm
-3の範囲内であり、d/t
DEV=0.9において、2.10×10
20cm
-3から2.86×10
20cm
-3の範囲内であり、
又は、
(iii)d/t
DEV=0.1において、2.17×10
20cm
-3から2.86×10
20cm
-3の範囲内であり、d/t
DEV=0.5において、1.27×10
20cm
-3から1.77×10
20cm
-3の範囲内であり、d/t
DEV=0.9において、2.17×10
20cm
-3から2.86×10
20cm
-3の範囲内である、
上記請求項のいずれかに記載のMEMS共振器。
【請求項10】
前記リン原子の前記濃度n
dopは、
(i)d/t
DEV=0.1において、2.14×10
20cm
-3から2.75×10
20cm
-3の範囲内であり、d/t
DEV=0.9において、1.28×10
20cm
-3から1.70×10
20cm
-3の範囲内であり、
又は、
(ii)d/t
DEV=0.1において、1.28×10
20cm
-3から1.71×10
20cm
-3の範囲内であり、d/t
DEV=0.9において、2.14×10
20cm
-3から2.75×10
20cm
-3の範囲内であり、
又は、
(iii)d/t
DEV=0.1において、2.18×10
20cm
-3から2.75×10
20cm
-3の範囲内であり、d/t
DEV=0.5において、1.28×10
20cm
-3から1.75×10
20cm
-3の範囲内であり、d/t
DEV=0.9において、2.18×10
20cm
-3から2.75×10
20cm
-3の範囲内である、
上記請求項のいずれかに記載のMEMS共振器。
【請求項11】
前記共振要素は2層の単結晶シリコンを有する、上記請求項のいずれかに記載のMEMS共振器。
【請求項12】
前記共振要素は単結晶シリコンの層を2層含み、前記2層のうちの一方は、前記選択肢(i)、(ii)、(iii)のうちの1つに従ってリン原子がドープされ、前記2層のうちの他方も、前記選択肢(i)、(ii)、(iii)のうちの1つに従ってリン原子がドープされる、上記請求項のいずれかに記載のMEMS共振器。
【請求項13】
前記共振要素は、ケイ素及びリンを含む化合物の析出物を含まない、上記請求項のいずれかに記載のMEMS共振器。
【請求項14】
前記単結晶シリコンの層は、熱拡散ドーピングを用いてリン原子がドープされる、上記請求項のいずれかに記載のMEMS共振器。
【請求項15】
前記リン原子の前記濃度n
dopは、d/t
DEVが0.85から0.95の範囲において局所最大濃度を呈する、上記請求項のいずれかに記載のMEMS共振器。
【請求項16】
前記共振要素は単結晶シリコンの層を2層含み、前記2層のうちの第1の層の<100>結晶軸と、前記2層のうちの第2の層の<100>結晶軸とは、それぞれの層の面内で互いに実質的に平行に整列している、上記請求項のいずれかに記載のMEMS共振器。
【請求項17】
上記請求項のいずれかに記載のMEMS共振器を製造する方法であって、
スターティングウェハー基板を取ることと;
前記共振要素と前記キャビティを作成するプロセスを実行することと;
を含み、前記単結晶シリコンの層が熱拡散ドーピングを用いてドープされる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、微小電気機械システム(MEMS)共振器(レゾネータ)に関する。
【0002】
【発明の背景】
【0003】
このセクションは、有用な背景情報を説明するが、ここで説明されている技術が技術水準を示していることを認めている訳ではないことに注意されたい。
【0004】
水晶共振器と同等の機能を持ちながら、チップサイズの小型化、低コスト化、衝撃や振動に対する堅牢性の向上を実現する、MEMS(Micro Electro Mechanical System,微小電気機械システム)共振器が開発されている。MEMS共振器の製造には、ウェハー加工技術が用いられている。ダイシングする前の1つのMEMS共振器ウェハーは、ウェハーサイズ、共振器の寸法、レイアウトによるが、10,000~500,000個の共振器を含むことがある。周波数基準分野に使用されるシリコンMEMS共振器などのMEMS共振器の主要な性能パラメータには、動作温度範囲における共振周波数の変動が小さいこと、等価直列抵抗(ESR)が低いこと、共振周波数の長期安定性が良好であること(経年変化が小さいこと)などがある。
【摘要】
【0005】
本発明の特定の実施形態の目的は、所望の特性を有するMEMS共振器を提供すること、又は、少なくとも既存の技術に代わるものを提供することである。
【0006】
特定の実施形態の特定の目的は、動作温度範囲における共振周波数の変動を低減することである。
【0007】
本発明の第1の捉え方によれば、次のようなMEMS(微小電気機械システム)共振器が提供される。このMEMS共振器は、
基板と;
共振要素と;
キャビティ(空洞)と;
を備え、
前記共振要素は前記キャビティによって前記基板から分離されており、前記共振要素は単結晶シリコンの層を含み、
前記単結晶シリコンの層にはリン原子がドープされており、前記リン原子の濃度ndopは、
(i)d/tDEV=0.1において、1.99×1020cm-3から2.97×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、1.20×1020cm-3から1.78×1020cm-3の範囲内であり、
又は、
(ii)d/tDEV=0.1において、1.20×1020cm-3から1.80×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、2.02×1020cm-3から2.97×1020cm-3の範囲内であり、
又は、
(iii)d/tDEV=0.1において、2.08×1020cm-3から2.97×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.5において、1.20×1020cm-3から1.86×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、2.08×1020cm-3から2.97×1020cm-3の範囲内であり、
ここでdは、前記単結晶シリコンの層内の位置と前記単結晶シリコンの層の上面との間の距離でありtDEVは前記単結晶シリコン層の厚さである。
【0008】
実施形態によっては、前記共振器又は前記共振要素は、前記共振要素を共振モードに励起するための圧電材料の層を更に含む。
【0009】
実施形態によっては、前記圧電材料の層は前記単結晶シリコンの層の上に存在する。実施形態によっては、前記共振要素は、前記圧電材料の層の上に上部電極層を有する。実施形態によっては、前記上部電極層は、リンをドープした単結晶シリコン(リンドープ単結晶シリコン)を有する。実施形態によっては、前記共振要素は、前記圧電材料の層の両側に、リンドープ単結晶シリコンの層を有する。前記上部電極層におけるドーピング濃度は、上記の選択肢(i)、(ii)、(iii)のいずれかであってもよい。前記上部電極層におけるドーピング濃度及び/又はプロファイルは、前記圧電体層の反対側のリンドープ単結晶シリコン層におけるドーピング濃度及び/又はプロファイルと比較して、同じであっても異なっていてもよい。
【0010】
実施形態によっては、前記圧電材料の層の厚さは、前記共振要素を共振モードに励起するために、0.5μmから3μmの範囲内であり、例えば1μmから2μmの範囲内である。
【0011】
実施形態によっては、前記単結晶シリコンの層の厚さは、2μmから40μmの範囲内であり、例えば5μmから20μmの範囲内であり、又は9μmから17μmの範囲内である。
【0012】
実施形態によっては、リンドープ単結晶シリコンが、前記共振要素の質量の50%以上を形成する。
【0013】
実施形態によっては、-30℃から85℃の温度範囲における共振周波数の変動は、温度25℃における前記共振周波数に対して±30ppm以内である。
【0014】
実施形態によっては、前記共振要素は、前記単結晶シリコン層の面内で前記単結晶シリコン層の<100>結晶軸と実質的に平行な縦長の材料部分を有する。
【0015】
実施形態によっては、前記共振要素は、長さ伸長共振モード又は曲げ共振モードで共振する縦長の材料部分を有する。
【0016】
圧電体層に関連する負の温度係数は、熱的に安定なシリコンMEMS共振器を実現することを困難にするので、本発明の実施形態は、圧電体層を有するシリコンMEMS共振器に特に有用である。スパッタリングによる圧電体層の堆積の容易さや、圧電体層を横切る大きすぎる電気シャント容量(これはMEMS共振器の性能指数(Figure of Merit,FOM)を低下させる傾向を有する)の回避を考慮すると、圧電体層の有利な厚さは0.5μmから3μmの範囲であり、例えば1μmから2μmである。0.5μmから3μmの範囲の厚さの圧電体層では、単結晶シリコン層の厚さは好ましくは2μmから40μmの範囲である。より好ましくは、1μmから2μmの範囲の厚さの圧電体層に対して、単結晶シリコン層の厚さは5μmから20μmの範囲である。更に好ましくは、1μmから2μmの範囲の厚さの圧電体層に対して、単結晶シリコン層の厚さは9μmから17μmの範囲にある。ドープされた単結晶シリコン層の厚さは、単結晶シリコン層と圧電体層を有する熱的に安定な(複合)MEMS共振器を実現するために、圧電体層の厚さに比べて十分に厚い必要がある。共振要素の材料層を貫通するトレンチの高アスペクト比の深い反応性エッチングの容易さを考慮すると、又は、単結晶シリコン層の厚さが増加するにつれて減少する電気機械結合の強さを考慮すると、上に述べた単結晶シリコン層の厚さは、厚すぎるものではない。しかし、実施形態によっては、単結晶のリンのドーピングは、単結晶シリコン層の上記の厚さでは困難になる。単結晶シリコンの(平均の)リンのドープレベルは、熱補償のために十分に大きくする必要があるが、局所的なリンのドープレベルはあまり大きくすべきではない。これは、例えば、シリコンとリンの望ましくない化合物(SiPなど)の析出や、それに伴うプロセスのばらつきの増加及び歩留まりの低下を回避し、過度に長い高温アニールを回避するためである。本発明によるリンのドーピングプロファイル(深さ方向の濃度分布)は、これらの問題を解決し、-30℃から85℃の温度範囲における共振周波数の変動が、温度25℃における前記共振周波数に対して±30ppm以内(あるいはそれ以下、たとえば±10ppm以内)である、熱的に安定な(化合物)MEMS共振器をもたらす。本発明によるリンのドーピングプロファイルは、キャビティに面する単結晶シリコン層の表面近傍への過剰な不純物ドーピングによって特に応力緩和効果が生じやすいキャビティSOIウェハーに形成されたMEMS共振器にも適している。例示的な実施形態では、リン不純物原子は、ウェハー面に垂直なシリコンウェハー表面(ドーピング面)から単結晶シリコンに導入される。従って、リンのドーピング濃度は、ウェハー面に垂直な方向においてのみ変化する。すなわちドーピング濃度は、ドーピング面からの距離の関数として変化する。シリコンデバイス層の厚さは、例えば、シリコンのイオンビームトリミングを使用してシリコンデバイス層の厚さのばらつきを低減することにより、正確に制御することができる。このため、本発明によるMEMS共振器では、プロセスのばらつき(ウェハー内の位置による周波数対温度特性のばらつきや共振周波数の値のばらつきなど)を低いレベルに維持することができる。周波数対温度特性のばらつきを更に低減するために、共振要素の形状や共振モード、単結晶シリコン層内の結晶軸の方向を、リンのドーピングプロファイルや、単結晶シリコン層及び圧電体層の厚さと、並行してデザインしてもよい。
【0017】
実施形態によっては、前記共振要素は、リン原子がドープされた単結晶シリコンの層を含み、前記リン原子の濃度ndopは、前記第1の捉え方の式(i)又は(ii)又は(iii)に従い、前記共振器は、前記共振要素を共振モードに励起するための圧電材料の層を更に含み、前記圧電材料の層の厚さは、1μmから2μmの範囲内であり、前記単結晶シリコンの層の厚さは、9μmから17μmの範囲内である。
【0018】
実施形態によっては、前記共振要素は、リン原子がドープされた単結晶シリコンの層を含み、前記リン原子はウェハー面に垂直なシリコンウェハー表面から前記単結晶シリコンに導入されたものであり、前記リン原子の濃度ndopは、前記第1の捉え方の式(i)又は(ii)又は(iii)に従い、前記共振器は、前記共振要素を共振モードに励起するための圧電材料の層を更に含み、前記圧電材料の層の厚さは、1μmから2μmの範囲内であり、前記単結晶シリコンの層の厚さは、9μmから17μmの範囲内である。
【0019】
実施形態によっては、前記共振要素は、リン原子がドープされた単結晶シリコンの層を含み、前記リン原子はウェハー面に垂直なシリコンウェハー表面から前記単結晶シリコンに導入されたものであり、前記リン原子の濃度ndopは、前記第1の捉え方の式(i)又は(ii)又は(iii)に従い、前記共振器は、前記共振要素を共振モードに励起するための圧電材料の層を更に含み、前記圧電材料の層の厚さは、1μmから2μmの範囲内であり、前記単結晶シリコンの層の厚さは、9μmから17μmの範囲内であり、-30℃から85℃の温度範囲における共振周波数の変動が、温度25℃における前記共振周波数に対して±30ppm以内である。
【0020】
実施形態によっては、前記共振要素は、リン原子がドープされた単結晶シリコンの層を含み、前記リン原子の濃度ndopは、前記第1の捉え方の式(i)又は(ii)又は(iii)に従い、前記共振器は、前記共振要素を共振モードに励起するための圧電材料の層を更に含み、前記圧電材料の層の厚さは、1μmから2μmの範囲内であり、前記単結晶シリコンの層の厚さは、9μmから17μmの範囲内であり、前記共振要素は、前記単結晶シリコン層の面内で前記単結晶シリコン層の<100>結晶軸と実質的に平行な縦長の材料部分を有し、前記縦長の材料部分は、長さ伸長共振モード又は曲げ共振モードで共振するように構成される。
【0021】
実施形態によっては、前記共振要素は、リン原子がドープされた単結晶シリコンの層を含み、前記リン原子はウェハー面に垂直なシリコンウェハー表面から前記単結晶シリコンに導入されたものであり、前記リン原子の濃度ndopは、前記第1の捉え方の式(i)又は(ii)又は(iii)に従い、前記共振器は、前記共振要素を共振モードに励起するための圧電材料の層を更に含み、前記圧電材料の層の厚さは、1μmから2μmの範囲内であり、前記単結晶シリコンの層の厚さは、9μmから17μmの範囲内であり、前記共振要素は、前記単結晶シリコン層の面内で前記単結晶シリコン層の<100>結晶軸と実質的に平行な縦長の材料部分を有し、前記縦長の材料部分は、長さ伸長共振モード又は曲げ共振モードで共振するように構成される。
【0022】
実施形態によっては、前記共振要素は、リン原子がドープされた単結晶シリコンの層を含み、前記リン原子はウェハー面に垂直なシリコンウェハー表面から前記単結晶シリコンに導入されたものであり、前記リン原子の濃度ndopは、前記第1の捉え方の式(i)又は(ii)又は(iii)に従い、前記共振器は、前記共振要素を共振モードに励起するための圧電材料の層を更に含み、前記圧電材料の層の厚さは、1μmから2μmの範囲内であり、前記単結晶シリコンの層の厚さは、9μmから17μmの範囲内であり、前記共振要素は、前記単結晶シリコン層の面内で前記単結晶シリコン層の<100>結晶軸と実質的に平行な縦長の材料部分を有し、前記縦長の材料部分は、長さ伸長共振モード又は曲げ共振モードで共振するように構成され、-30℃から85℃の温度範囲における共振周波数の変動が、温度25℃における前記共振周波数に対して±30ppm以内である。
【0023】
ある好ましい実施形態では、前記リン原子の前記濃度ndopは、
(i)d/tDEV=0.1において、2.10×1020cm-3から2.86×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、1.26×1020cm-3から1.72×1020cm-3の範囲内であり、
又は、
(ii)d/tDEV=0.1において、1.26×1020cm-3から1.73×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、2.10×1020cm-3から2.86×1020cm-3の範囲内であり、
又は、
(iii)d/tDEV=0.1において、2.17×1020cm-3から2.86×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.5において、1.27×1020cm-3から1.77×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、2.17×1020cm-3から2.86×1020cm-3の範囲内である。
【0024】
ある更に好ましい実施形態では、前記リン原子の前記濃度ndopは、
(i)d/tDEV=0.1において、2.14×1020cm-3から2.75×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、1.28×1020cm-3から1.70×1020cm-3の範囲内であり、
又は、
(ii)d/tDEV=0.1において、1.28×1020cm-3から1.71×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、2.14×1020cm-3から2.75×1020cm-3の範囲内であり、
又は、
(iii)d/tDEV=0.1において、2.18×1020cm-3から2.75×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.5において、1.28×1020cm-3から1.75×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、2.18×1020cm-3から2.75×1020cm-3の範囲内である。
【0025】
実施形態によっては、前記共振要素は2層の単結晶シリコンを有する。
【0026】
実施形態によっては、前記共振要素は単結晶シリコンの層を2層含み、前記2層のうちの一方は、前記選択肢(i)、(ii)、(iii)のうちの1つに従ってリン原子がドープされ、前記2層のうちの他方も、前記選択肢(i)、(ii)、(iii)のうちの1つに従ってリン原子がドープされる。
【0027】
実施形態によっては、前記共振要素は、ケイ素及びリンを含む化合物の析出物を含まない。
【0028】
実施形態によっては、前記単結晶シリコンの層は、熱拡散ドーピングを用いてリン原子がドープされる。
【0029】
実施形態によっては、前記リン原子の前記濃度ndopは、d/tDEVが0.85から0.95の範囲において局所最大濃度を呈する。
【0030】
実施形態によっては、前記共振要素は単結晶シリコンの層を2層含み、前記2層のうちの第1の層の<100>結晶軸と、前記2層のうちの第2の層の<100>結晶軸とは、それぞれの層の面内で互いに実質的に平行に整列している。
【0031】
本発明の第2の捉え方によれば、上記のMEMS共振器を製造する方法が提供される。この方法は、
スターティングウェハー基板を取ることと;
前記共振要素と前記キャビティを作成するプロセスを実行することと;
を含み、
前記単結晶シリコンの層が熱拡散ドーピングを用いてドープされる。
【0032】
様々な捉え方や実施形態を紹介してきたが、これらは発明の範囲を限定するために提示されたものではない。これらの実施形態や後述の実施形態は、本発明の実施にあたり使用され得る特定の態様やステップを説明するために用いられるにすぎない。いくつかの実施形態は他の実施形態にも適用可能であることが理解されるべきである。紹介する実施形態は適宜組み合わせ可能でありうる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
次に、本発明を、添付図面を参照しながら例示的にのみ説明する。
図1は、ある実施形態によるMEMS共振器の略断面図である。
図2A-2Cは、ある実施形態における、
図1に示すタイプのMEMSレゾネータの製造工程を示す。
図3は、ある実施形態における、不純物(ドーパント)の濃度の変化を示す。
図4A-4Cは、ある実施形態に従う、更なる製造工程を示す。
図5A-5Fは、代替的な製造方法を示す。
図6は、ある実施形態における、ドーパント濃度を距離の関数として示す。
図7A-7Dは、ある実施形態に従う、ある製造工程を示す。
図8-10は、ある実施形態における、ドーパントの濃度を示す。
図11に、ある実施形態に従うMEMS共振器のレイアウトを示す。
図12A-12Cは、ある実施形態に従う、
図11のMEMSレゾネータの更なる特徴を示す。
図13A-13Bは、ある実施形態に従うMEMSレゾネータの共振周波数の温度変動を示す。
図14A-14Bは、ある実施形態に従う別のMEMS共振器を示す。
図15A-15Cは、ある実施形態に従うMEMS共振器の更なる実施形態を示す。
【詳細説明】
【0034】
本発明の実施形態は、共振器の共振周波数の温度変化を大幅に低減する(すなわち熱安定性を高める)、シリコンMEMS共振器のリンのドーピングプロファイルを開示する。ある実施形態による共振器は、ATカット水晶共振器と同等以上の熱安定性を有する。本発明の実施形態は他の利点も有する。本発明の実施形態によるリンドーパント濃度は、リンとシリコンの望ましくない化合物(SiPなど)の析出が最小となるような濃度である。また、リンのドーピングプロファイルは、費用対効果の高い大量生産に適したアニール時間を用いて、比較的低いアニール温度で達成される。
【0035】
本発明のある実施形態による、温度安定性の高いMEMS共振器の構造は、単結晶シリコン層と、圧電体層と、導電性の上部電極層とを有する。実施形態によっては、このような共振器150の断面は
図1に示したようなものになる。図面には層101~105が示されている。これらは次のようなものである。
・ 層101: ドープされた単結晶シリコン層(デバイス層ともいう)。リンがドープされた単結晶シリコンは、共振要素100の質量の50%以上を形成する。 実施形態によっては、ドープシリコン層は下部電極層として機能する。
・ 層102: 圧電体層。この層の材料は、AlN、ZnO、ScドープAlN(Sc
xAl
1-xN,x<0.5)、又は他の圧電性結晶化合物である。共振器の電気機械変換(Transduction)は、圧電体層に対する交流電界の印加に基づいている。
・ 層103: 上部電極層。圧電体層の上面の上には上部電極層がある。この層の材料は、Al、Mo、Au、合金、又は縮退ドープされたポリシリコン、又は縮退ドープされた単結晶シリコン、又は導電性である他の適切な材料である。
・ 層104: 埋め込まれた酸化シリコン層。この層は、ドープされた単結晶層101とハンドル層105との間にガルバニック絶縁を提供する。
・ 層105:(単結晶)シリコンハンドル層(又は他の材料から作られたハンドル層)であり、基板とも呼ばれる。
【0036】
共振器150は共振要素100を有する。共振要素100は共振器の振動エネルギーを含む。(ただし、共振要素の周囲の構造物へのエネルギーのわずかな漏れは別である。)共振要素100は、層101(ドープ単結晶シリコン層)、102(圧電体層)、103(上部電極層)内に材料部分を有する。共振要素100内の圧電体層102の材料部分は、共振要素100を共振モードに励起するために使用され得る圧電アクチュエータを形成する。キャビティ(空洞)110が、共振要素100の下面をハンドル層105から分離している。
【0037】
実施形態によっては、キャビティ110の横方向の寸法は、100mから800mの範囲である。キャビティ110の深さは、0.5mから200mの範囲であり、例えば2μmから50μmの範囲である。
【0038】
実施形態によっては、単結晶シリコン層101の厚さは、好ましくは2μmから40μmの範囲であり、より好ましくは5μmから20μmの範囲であり、更に好ましくは9μmから17μmの範囲である。
【0039】
実施形態によっては、圧電体層102の厚さは0.5μmから3μmの範囲であり、例えば1μmから2μmの範囲である。
【0040】
実施形態によっては、上部電極層103の厚さは0.15μmから0.4μmであり、例えば0.05μmから1μmの範囲である。実施形態によっては、上部電極層103の材料は縮退ドープされた単結晶シリコンであり、層103の厚さは2μmから40μmの範囲、例えば5μmから20μmである。
【0041】
実施形態によっては、
図2Aに示されるキャビティSOI(Cavity-SOI,CSOI)ウェハーが、MEMS共振器150の製造のためのスターティングウェハー基板である。キャビティSOIウェハーは、単結晶シリコンハンドル層105に形成されたキャビティ110、シリコンハンドル層105の上面に形成された酸化シリコン層104、酸化シリコン層104に接合された単結晶シリコンデバイス層101を含む。実施形態によっては、
図2Bに示されるように、n型ドーピング用のリンを含むPSGガラス120の膜が、POCl
3炉内でキャビティSOIウェハーの上面に堆積される。実施形態によっては、蒸着時間は30分から200分の範囲であり、温度は1000℃から1100℃の範囲である。PSG蒸着の後、例えば、1000℃から1100℃の範囲の温度で、120分から600分の範囲の時間にわたって行われるドライブインプロセスステップによって、リンが単結晶シリコンデバイス層101に拡散される。有利な実施形態では、PSG層120は、フッ化水素酸を含むウェットエッチング液によって除去される。その後、例えば1100℃から1220℃の範囲の温度でアニールする間に、リンドーパントをデバイス層101に拡散させる。アニール中、リンドーパントは、
図2Cに示されるように、単結晶シリコンデバイス層101の上面層からデバイス層101の底部に向かって拡散する。(
図2Cにおいて、dは上面層からの距離を示す。)厚さ11umのデバイス層101を用いた例示的なケースでは、アニールには10時間から45時間かかる。厚さ5umのデバイス層101を用いる他の実施形態では、アニールには2時間から10時間かかるだろう。厚さ15umのデバイス層101を用いた本発明の他の実施形態では、アニールには19時間から84時間を要するだろう。
【0042】
アニール中のデバイス層101内のリンドーパントの濃度変化を
図3に示す。短いアニールステップの後、リンドーパント濃度の勾配は比較的高いままである。長いアニールの後、ドーパント濃度はより均一になる。
【0043】
実施形態によっては、リンドーパントのアニールに続いて、1050℃から1150℃の範囲の温度で、5時間から15時間の範囲の時間で湿式酸化を行う。その後、フッ化水素酸を含む湿式エッチング液によって酸化物を除去してもよい。
【0044】
実施形態によっては、リンドーパントのアニールに続いて、デバイス層の表面層を浅くエッチングする。これは、シリコンの単結晶層構造中のドーパント濃度が高すぎる領域を除去するためである。エッチングの深さは、50nmから500nmの範囲としてもよい。
【0045】
実施形態によっては、単結晶シリコン層101へのリンのドーピングは、スピンオンリン添加ガラスなどの固体ドーピング材料から出発する熱拡散ドーピングによって行われる。
【0046】
実施形態によっては、製造方法の次のステップは、
図4Aに示されるように、キャビティSOIウェハーの上面に、AlN又はScドープAlNなどの圧電体層102又は別の圧電材料を堆積することである。実施形態によっては、次に、
図4Bに示されるように、電極層103が堆積される。電極層の材料は、金、アルミニウム、モリブデン、タングステン、(ドープされた)ポリシリコンのいずれかであってもよく、又は他の導電性材料であってもよい。実施形態によっては、次に、共振要素100を形成する材料層(単結晶シリコンデバイス層101、圧電体層102、上部電極層103)を貫通する垂直トレンチ111を、例えば深反応性イオンエッチングを用いてエッチングし、
図4Cに示されるようにMEMS共振要素100のレイアウトをパターニングする。
【0047】
ある代替実施形態では、共振器の製造は、スターティングウェハーとしてシリコンオンインシュレータ(SOI)ウェハーを使用する。
図5A~Fは、SOIウェハー上に共振要素100を作製するために使用され得る例示的な製造ステップを示す。
図5Aは、ハンドル層(符号205)の上に酸化シリコン層(符号204)を示し、酸化シリコン層204の上に単結晶デバイス層101を示す。SOIウェハーの単結晶デバイス層101のドーピングは、CSOIウェハーの場合と同様に進行する。
図5Bに示されるように、デバイス層上にPSG層120を堆積し、ドライブインプロセス工程によって、リン原子をデバイス層の内部に拡散させる。その後、
図5Cに示すように、PSG層を除去し、SOIウェハーをアニールして、リン原子をデバイス層101に深く拡散させる。同じデバイス層厚のSOIウェハーとキャビティSOIウェハーをドーピングするために、実質的に同じプロセスパラメータ(すなわち、ドライブインとアニールの温度対時間プロファイル)を使用することができる。
図5Dに示されるように、圧電体層102と上部電極層103が堆積される。
図5Eに示される垂直トレンチ111のエッチングは、共振要素100の横方向寸法を定義する。次に、
図5Fに示されるように、共振要素100の下にキャビティ110を形成し、それによってハンドル層205から切り離すために、例えばHFベーパーエッチングが使用される。
【0048】
実施形態によっては、リンドーパントの濃度は、
図6に示されるように、単結晶シリコン層101の上面からの距離に応じて変化する。
図6の縦軸は、二次イオン質量分析(SIMS)装置で測定された、1立方センチメートル当たりのリン原子数という単位でのリンドーパントの絶対濃度n
dopである。
図6の横軸は相対深度d
RELである。相対深度d
RELは、単結晶シリコン層101の上面からの距離dを、単結晶シリコン層101の厚さt
DEVで割ったものである。すなわち、d
REL=d/t
DEV.
図6のデータによって示される例示的な実施形態では、厚さt
DEV=11μmである。データによれば、一般的な傾向として、リンドーパント濃度は距離とともに(単調に)減少する。すなわち単結晶シリコン層101の奥に入るにつれて減少する。単結晶シリコン層101の上面近傍、d
REL=0.1では、リンドーパント濃度n
dopは2.48×10
20cm
-3である。一方、単結晶シリコン層101の下面付近、d
REL=0.9では、リンドーパント濃度n
dopは1.49×10
20cm
-3である。d
REL=0.1における濃度はd
REL=0.9における濃度より66%高い。
【0049】
図6に従うドーピングプロファイルを有する厚さ10.9±0.2μmのデバイス層のシート抵抗の測定値は0.48±0.01オーム/平方で、これは平均シリコン抵抗率0.52±0.02mオームcmに相当する。
【0050】
図11~
図13を参照して後述するように、本発明の実施形態に従うリンドーパント分布は、シリコンMEMS共振器の熱安定性を、最先端の水晶共振器と同じレベルまで向上させる。
【0051】
実質的に同じリンドーパント分布は、本発明の様々な実施形態におけるシリコンMEMS共振器について、クオールレベルの熱安定性をもたらす。共振器の共振モードは、例えば長さ伸長(length-extensional)モード、屈曲(flexural)モード、バルク音響(bulk-acoustic)モード、又はねじり(torsional)モードであってもよい。また、共振器の形状は、モードに応じて異なるものであってもよい。共振運動中の主運動は、面内(in-plain)又は面外(out-of-plane)で生じてもよい。ここで用語「面」は、デバイス層101の面を指す。また、共振器の公称周波数は、1MHz~200MHzなどのMHz範囲であってもよく、又は30kHz~1000kHzなどのkHz範囲であってもよく、例えば32kHzであってもよい。デバイス層101、圧電体層102、及び上部電極層103の厚さは、実装に応じて変わってもよい。
【0052】
実施形態によっては、リンのドーパント濃度ndopは、好ましくは、d/tDEV=0.1において、1.99×1020cm-3から2.97×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、1.20×1020cm-3から1.78×1020cm-3の範囲内である。ndopは、より好ましくは、d/tDEV=0.1において、2.10×1020cm-3から2.86×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、1.26×1020cm-3から1.72×1020cm-3の範囲内である。ndopは、更により好ましくは、d/tDEV=0.1において、2.14×1020cm-3から2.75×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、1.28×1020cm-3から1.70×1020cm-3の範囲内である。
【0053】
なお、共振要素100の外側のシリコン層のドーピングは、MEMS共振器の共振周波数に影響を与えないため、本開示におけるリンのドーピング濃度の値は、明示されていなくても、常に共振要素100内のリン濃度を指すことに留意されたい。
【0054】
特定の代替実施形態では、いわゆる接合前ドーピング法(Doping-Before-Bonding Method)において、(未加工の)単結晶シリコンウェハー301が、MEMS共振器の製造のためのスターティングウェハー基板である。
図7Aに示すように、POCl
3 炉でシリコンウェハー301上にPSGガラス320の膜を堆積させる。ドライブイン工程で、シリコンウェハー301の表面層321にリンのドーパントを拡散させる。PSG層320はその後、エッチングにより除去されてもよい。
図7Bに示されるように、1100℃から1220℃の範囲の温度でアニールし、リンドーパントを表面層321からウェハーのより深い層に拡散させる。実施形態によっては、シリコンウェハー301の表面層321の一部は、その後、エッチングによって除去される。エッチングの深さは、50nmから500nmであってもよい。
【0055】
ドープされたシリコンウェハー301は、その後、シリコン(ハンドル)ウェハーに接合される。実施形態によっては、ハンドルウェハー305は、
図7Cの例示的な実施形態に示されるように、キャビティ310を有する(キャビティウェハー)。この例では、ドープされたシリコンウェハー301は、シリコンウェハー301のオリジナルの表面層321と、ハンドルウェハー305上の酸化シリコン層304との間に接合界面が形成されるように、ハンドルウェハー305に接合される。その後、接合ウェハー対の一部となったドープシリコンウェハー301の(ドープされていない)裏面が、例えば研削及び研磨によって除去され、ドープシリコンウェハー301の残りの(ドープされた)表面側が、設計された厚さを有する(共振器150の)デバイス層101となる。共振器の製造は、
図4A~Cを用いて上述したように進めてもよい。
【0056】
図7Dに示す実施形態では、ドープシリコンウェハー301は、酸化シリコン層334を有するシリコンハンドルウェハー335に接合される。次に、接合ウェハー対の一部となったドープシリコンウェハー301の(ドープされていない)裏面が、例えば研削及び研磨によって除去され、ドープシリコンウェハー301の残りの(ドープされた)表面側が、設計された厚さを有する(共振器150の)デバイス層101となる。共振器の製造は、
図5D~Fを用いて上述したように進めてもよい。
(
図7A~Dに図示した)接合前ドーピング法を用いる実施形態によっては、デバイス層301内のリンドーパント濃度(n
dop)は、(接合されたウェハー対の)デバイス層301内の上面322から、(ハンドル)層に面する面321に向かって増加する。(ハンドル層は、キャビティウェハー305又はシリコンウェハー335によって形成される。)この濃度の様子は
図8に示されている。
【0057】
ある実施形態では、
図9に示されるように、リンドーパントの濃度は、単結晶シリコン層301の上面からの距離に応じて変化する。
図9の縦軸は、二次イオン質量分析計(SIMS)で測定されたリンドーパントの絶対濃度n
dopである。
図9の横軸は相対深度d
RELである。相対深度d
RELは、単結晶シリコン層301の上面からの距離dを、単結晶シリコン層301の厚さt
DEVで割ったものである。すなわち、d
REL=d/t
DEVである。
図9のデータによって示される例示的な実施形態では、厚さt
DEV=10.5μmである。
【0058】
このデータによれば、単結晶シリコン層301の上面及び下面に近い領域を除けば、リンのドーパント濃度は、距離dに応じて(単調に)増加する。すなわち、単結晶シリコン層301の奥に入るにつれて増加する。単結晶シリコン層301の上面近傍、dREL=0.1では、リンドーパント濃度ndopは1.71×1020cm-3である。一方、単結晶シリコン層301の下面付近、dREL=0.9では、リンドーパント濃度ndopは2.12×1020cm-3である。dREL=0.9における濃度はdREL=0.1における濃度より24%高い。
【0059】
実施形態によっては、接合前ドーピング法を用いて作製されたMEMS共振器において、単結晶シリコン層301の下面近傍にリンドーパント濃度の最大値が存在する。濃度が最大となる位置は、
図9のデータに例示されるように、距離d
RELが0.85から0.95である範囲にあってもよい。
【0060】
接合前ドーピング法を利用するいくつかの実施形態がある。
図9に示されるものと実質的に同じリンドーパント分布が、シリコンMEMS共振器に対して、クォーツレベルの熱安定性をもたらす。
【0061】
共振器の共振モードは、例えば長さ伸長モード、屈曲モード、バルク音響モード、又はねじりモードであってもよい。また、共振器の形状は、モードに応じて異なるものであってもよい。共振運動中の主運動は、面内(in-plain)又は面外(out-of-plane)で生じてもよい。ここで用語「面」は、デバイス層301の面を指す。また、共振器の公称周波数は、1MHz~200MHzなどのMHz範囲であってもよく、又は30kHz~1000kHzなどのkHz範囲であってもよく、例えば32kHzであってもよい。デバイス層101、圧電体層102、及び上部電極層103の厚さは、実装に応じて変わってもよい。
【0062】
本発明者らは、接合前ドーピング法を用いて、様々なリンドーパント分布におけるシリコンMEMS共振子の熱安定性について、いくつかの実験を行った。これらの実験の知見は、以下のように要約することができる。実施形態によっては、リンのドーパント濃度ndopは、好ましくは、d/tDEV=0.1において、1.20×1020cm-3から1.80×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、2.02×1020cm-3から2.97×1020cm-3の範囲内である。ndopは、より好ましくは、d/tDEV=0.1において、1.26×1020cm-3から1.73×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、2.10×1020cm-3から2.86×1020cm-3の範囲内である。ndopは、更により好ましくは、d/tDEV=0.1において、1.28×1020cm-3から1.71×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、2.14×1020cm-3から2.75×1020cm-3の範囲内である。
【0063】
両面ドーピング法(Double-Sided-Doping Method)を利用する或る代替実施形態では、シリコンの単結晶デバイス層は、当該デバイス層を形成するシリコンウェハーがハンドル層に接合される前と後の両方でドーピングされる。第1のドーピングでは、
図7A~Dを参照して接合前ドーピング法に関連して説明したように、リンのドーパントがデバイス層に導入される。第2のドーピングでは、
図2A~C及び
図5A~Cを参照してキャビティSOI及びSOIウェハーのドーピングに関連して説明したように、リンドーパントがデバイス層に導入される。両面ドーピング法では、リンドーパント濃度のプロファイルは、
図10に示すように、相対深さd
RELの関数として変化する。
【0064】
単結晶シリコン層101、301の上面から下面に向かって移動するとき、すなわち距離dが0からt
DEVへと増加するとき、リンドーパント濃度ははじめ減少し、d
minで示されるある距離で最小となる。その後、シリコン層101、301の下面に移動するに従ってリンドーパント濃度は再び増加する。しかし実施形態によっては、下面及び上面付近では、リン濃度のこの一般的な挙動が僅かに異なる場合がある。特に、実施形態によっては、d/t
DEVがだいたい0.9という浅い位置でリン濃度が最大値を示す場合がある。これは、
図9のデータが示す挙動と同様である。
【0065】
両面ドーピング法を用いた或る実施形態において、2つのドーピングステップのドーピングプロセスパラメータ(PSG層の厚さ、ドライブイン時間、アニール時間など)は実質的に同一である。この場合、ドーパント濃度はデバイス層のほぼ中央(dminが約0.5tDEV)で最小値となる。このような「対称的な」両面ドーピングによれば、比較的短いアニール時間で、比較的厚いデバイス層を持つ共振器を強力にドープすることが可能になる。共振要素のデバイス層の厚みを増加させることにより、より大きな振動エネルギーに到達することが可能となり、ひいては共振器を使用した発振回路のノイズ特性を改善することができる。熱的に安定なシリコンMEMS共振器の例示的なケースでは、デバイス層101の厚さは22μmであり、対称的な両面リンドーピングの2つのアニール工程には、それぞれ10時間から45時間を要しうる。熱的に安定なシリコンMEMS共振器の別の例示的なケースでは、デバイス層101の厚さは10μmであり、対称的な両面リンドーピングの2つのアニール工程は、それぞれ2時間から10時間を要しうる。厚さ30μmのデバイス層101を有する更に別の例示的なケースでは、2つのアニール工程にそれぞれ19時間から84時間を要しうる。
【0066】
実施形態によっては、リンのドーパント濃度ndopは、好ましくは、d/tDEV=0.1において、2.08×1020cm-3から2.97×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.5において、1.20×1020cm-3から1.86×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、2.08×1020cm-3から2.97×1020cm-3の範囲内である。ndopは、より好ましくは、d/tDEV=0.1において、2.17×1020cm-3から2.86×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.5において、1.27×1020cm-3から1.77×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、2.17×1020cm-3から2.86×1020cm-3の範囲内である。ndopは、更により好ましくは、d/tDEV=0.1において、2.18×1020cm-3から2.75×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.5において、1.28×1020cm-3から1.75×1020cm-3の範囲内であり、d/tDEV=0.9において、2.18×1020cm-3から2.75×1020cm-3の範囲内である。
【0067】
温度安定性の高いMEMS共振器150の例示的なレイアウトを
図11に示す。この図は、共振要素100を含む長さ伸長モード(length-extensional-mode)共振器を示している。材料層101、102、103を貫通する垂直トレンチ511が共振要素100の横方向寸法を規定する。共振要素100は、複数の(ここでは5つの)縦長の共振器サブ要素501で形成されている。これらのサブ要素501は、遠位端部分を除き、垂直トレンチ512によって隣接するサブ要素501から分離されている。これらの遠位端部分は、結合要素502によって相互に結合されている。
【0068】
共振要素100は、縦長のサブ要素501の長手方向軸(y方向)に沿った運動が優勢な、単一の集団的な長さ伸長共振モードで振動する。共振要素100は、長さ伸長共振モードの節点位置(526、527)に固定された(そして他端においてそれぞれの1つ又は複数の支持構造に固定された)懸架要素(521、522)を用いて繋留される。懸架要素(521、522)は、x方向に沿った機械的柔軟性を提供するべく、y方向に縦長の材料部分を有する。これは、共振器材料スタック(層101、102、103)内の機械的応力を緩和するためである。
【0069】
実施形態によっては、温度による共振周波数の変動をできるだけ小さくするために、サブ要素501の長手方向軸(y方向)は、要素層101内の単結晶シリコンの<100>結晶軸に実質的に整列される。
【0070】
図12A-Cは、
図11のMEMS共振器の更なる特徴を示す。
図12Aには、y方向の対称軸に沿った断面AA'が図示されている。本実施形態において、下部電極層として使用されるドープ単結晶シリコン層101に電気的接続を行うために、コンタクトパッド621が設けられる。圧電体層102の開口部630は、圧電体層102を通る電気的相互接続のための経路を提供するために形成される。コンタクトパッド622は上部電極層103との電気的接続のために設けられる。上部電極103は、2つの電極間にガルバニック絶縁を形成するために、いくつかの領域631、632で除去されている。機械的共振運動を励起するために、面内長さ伸長共振要素100の共振周波数の交流電圧がコンタクトパッド621、622に接続される。これにより圧電膜102に交流電界が形成され、圧電膜の面内に力が発生して共振運動が励起される。
【0071】
図11の共振器の断面BB'を
図12Bに示す。この断面では、トレンチ512が5つの共振器サブ要素501を分離している。
【0072】
図11の共振器の断面CC'を
図12Cに示す。この断面において、5つの共振器サブ要素501とそれらの結合要素502は、単一の材料部分を形成している。
【0073】
本発明の実施形態により、MEMS共振器の共振周波数の温度変化が大幅に低減される。この点を説明するために、
図13Aは、-30℃から85℃の温度範囲で温度を変化させたときの、24MHzの長さ伸長モード共振子の共振周波数の測定値を表している。
図13Aの縦軸は、温度30℃における共振子の周波数に対する、特定の共振子の周波数の差を表している。周波数差の単位は、温度30℃での周波数に対する百万分率(ppm)である。
図13Aのデータは、-30℃から85℃の温度範囲における共振周波数の変動が、-7.5ppmから+2.5ppmの範囲にあることを示している。
図13Aのデータは、
図11及び
図12A~Cの図に実質的に従った設計を有し、リンのドーピング濃度プロファイルが
図6に図示されたドーピングプロファイルと実質的に同一である、相互接続された長さ伸長共振子のものである。
【0074】
図13Bは、リンのドーピングに接合前ドーピング法を用いた、24MHzの長さ伸長モード共振子の共振周波数の測定値を示す。
【0075】
図13Bの縦軸は、ある共振子の温度25℃での周波数に対する当該共振子の周波数差を表している。周波数差の単位は、温度25℃での周波数に対する百万分率(ppm)である。
図13Bのデータは、2つの特定の共振子サンプルについて、温度が25℃から85℃に上昇すると、共振周波数が約20ppm低下することを示している。
図13Bのデータは、
図11及び
図12A~Cの図に実質的に従った設計を有し、リンのドーピング濃度プロファイルが
図9に図示されたドーピングプロファイルと実質的に同一である、相互接続された長さ伸長共振子のものである。
【0076】
同様の結果は、
図10を参照して上に説明したリンドーピングプロファイルを持つMEMS共振器でも得られる。
【0077】
本発明によるリンドーピングプロファイルを有する熱的に安定なシリコンMEMS共振器の有利な実施形態では、-30℃から85℃の温度範囲における共振周波数の変動は、温度25℃におけるその共振周波数に対して±30ppm以内である。本発明によるリンドーピングプロファイルを有する熱的に安定なシリコンMEMS共振器の有利な実施形態では、-30℃から85℃の温度範囲における共振周波数の変動は、温度25℃におけるその共振周波数に対して±10ppm以内である。
【0078】
本発明による、熱的に安定なMEMS共振器150の別の実施形態を
図14A-Bに示す。この共振器は、面外モード(out-of-plane mode)で振動する屈曲モード(flexural-mode)共振器である。
図14Aに示されるように、材料層101、102、及び103を貫通する垂直トレンチ111は、材料層101、102、及び103の平面に垂直な(すなわち、z方向に沿った、面外)運動が支配的な共振モードで振動する、梁型共振要素100の横方向寸法を規定する。実施形態によっては、温度による共振周波数の変動を最小化するために、梁型共振要素100の長手方向軸(y方向)は、要素層101内の単結晶シリコンの<100>結晶軸に実質的に整列される。
【0079】
図14Bは、y方向に沿う断面AA'に沿って、
図14Aの共振器のさらなる特徴を示している。本実施形態において、下部電極層として使用されるドープ単結晶シリコン層101に電気的接続を行うために、コンタクトパッド621が設けられる。圧電体層102の開口部630は、圧電体層102を通る電気的相互接続のための経路を提供するために形成される。コンタクトパッド622は上部電極層103との電気的接続のために設けられる。上部電極は、2つの電極間にガルバニック絶縁を形成するために、いくつかの領域632で除去されている。
【0080】
本発明による、熱的に安定なMEMS共振器150の別の実施形態を
図15A-Cに示す。この共振器は、先の1つ又は複数の実施形態に従う濃度分布でリン原子がドープされた2つの単結晶層101及び803を有する。好ましい実施形態では、単結晶シリコン層101又は803の少なくとも一方におけるリンのドーピング濃度は、シリコン層の中の位置d
REL=0.1及びd
REL=0.9において、上に示された好ましい濃度範囲のいずれかに従う濃度プロファイル有する。より好ましい実施形態では、単結晶シリコン層101及び803の両方において、シリコン層の中の位置d
REL=0.1及びd
REL=0.9におけるリンのドーピング濃度は、上に示された好ましい濃度範囲のいずれかに従う。ドープシリコン層101を下部電極層として使用し、ドープシリコン層803を上部電極として使用してもよい。実施形態によっては、層803の厚さは2μm~20μmの範囲である。実施形態によっては、リンドープ単結晶シリコン(すなわち層101と層803)は、共振要素100の質量の50%以上を形成する。層101及び803をドーピングするために使用される方法には、
図2A~C及び
図5A~Fを用いて説明した、CSOI又はSOIスターティングウェハーのドーピング法や、
図7A~Dを用いて説明した接合前ドーピング法、
図10を用いて説明した両面ドーピング法が含まれる。
【0081】
図15Aの共振器の断面AA'が
図15Cに図示され、
図15Aの共振器の断面CC'が
図15Bに図示されている。実施形態によっては、
図15B及び
図15Cに示されるように、圧電体層102とシリコン層803との間に中間材料層102'が設けられる。この層102'は、シリコン層803を圧電体層102に接合するために使用されてもよい。実施形態によっては、共振要素上に、例えば共振器の共振周波数を微調整するために使用できる材料層803'(
図15A及び
図15Bに示されるようなパターンであるか、又は均一な層)が存在する。材料層803'の厚さは、0.1μmから0.4μmの範囲であってもよい。
【0082】
図15Aに示す実施形態では、共振要素100のレイアウトは、長さ伸長モード共振器のレイアウトに対応している。共振要素100は、長手方向の沿った(y方向に沿った)運動が優勢な共振モードで振動する。材料層(101、102、102'、803)を貫通する垂直トレンチ111は、共振要素100の横方向寸法を規定する。共振要素100は、長さ伸長共振モードの節点位置で共振要素100に固定された懸架要素(821、822)を用いて繋留される。懸架要素(821、822)の他端は1つ又は複数の支持構造に固定されている。
【0083】
図15Cは、x方向に沿った断面AA'における共振器のさらなる特徴を示している。本実施形態において、下部電極層として使用されるドープ単結晶シリコン層101に電気的接続を行うために、コンタクトパッド621が設けられる。圧電体層102、中間層102'、及び上部電極層803を貫通する開口部630は、下部電極101への通路を提供するために形成される。コンタクトパッド622は上部電極層803との電気的接続のために設けられる。上部電極(単結晶シリコン)層803には、中間層102'まで延びるトレンチ632がパターン形成され、電気(相互)接続間のガルバニック絶縁を実現している。(
図15Cに示す実施形態では、中間層102'は電気絶縁性であると仮定する)。
【0084】
実施形態によっては、共振周波数の温度による変動をなるべく小さくするために、単結晶シリコン層101及び803の結晶方向並びに共振要素100のレイアウトは、(下の)シリコン層101内の単結晶シリコンの<100>結晶軸と、(上の)シリコン層803内の単結晶シリコンの<100>結晶軸と、共振要素100の長手方向軸(y方向及び共振要素の縦長の材料部分の方向)とが全て互いに実質的に平行に整列される。
【0085】
請求項に係る発明の技術的範囲及び解釈を制限することなく、本明細書に開示された例示的な実施形態の1つ又は複数の技術的効果を以下に列挙する。技術的効果の1つは、シリコンMEMS共振器の共振周波数の温度変化が小さいことである(すなわち、良好な熱安定性である)。別の技術的効果は、リンのドーピングプロファイルが、費用対効果の高い大量生産に適したアニール時間を用いて、比較的低いアニール温度で達成されることである。
【0086】
上の説明は、本発明の特定の実装形態および実施形態の非限定的な例によって、本発明を実施するために本発明者らが現在考えている最良の形態の完全かつ有益な説明を提供したものである。しかしながら、当業者には明らかであるように、上述の実施形態の詳細は本発明を限定するものではなく、本発明の特徴から逸脱することなく同等の手段を用いて、他の実施形態に実装することができる。
【0087】
さらに、以上に開示した本発明の実施形態の特徴は、対応する他の特徴を用いることなく用いられてもよい。然るに、以上の説明は、本発明の原理を説明するための例に過ぎず、それを限定するものではないと捉えるべきである。よって、本発明の範囲は添付の特許請求のみによって制限されるものである。
【国際調査報告】