(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】乾燥懸濁剤用乾燥懸濁顆粒及びその製造方法並びに用途
(51)【国際特許分類】
A61K 47/36 20060101AFI20240827BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240827BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240827BHJP
A61P 1/14 20060101ALI20240827BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240827BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20240827BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240827BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240827BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240827BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240827BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240827BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20240827BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
A61K47/36
A61P1/00
A61P1/04
A61P1/14
A61P31/04
A61K9/16
A61K47/42
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/26
A61K47/12
A61K31/4439
A61K9/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513128
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 CN2022114705
(87)【国際公開番号】W WO2023025231
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202110990993.1
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523106414
【氏名又は名称】麗珠医薬集団股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】李普成
(72)【発明者】
【氏名】莫雅▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】張象娜
(72)【発明者】
【氏名】胡斯文
(72)【発明者】
【氏名】侯雪梅
(72)【発明者】
【氏名】江暁漫
(72)【発明者】
【氏名】林偉珊
(72)【発明者】
【氏名】韓智慧
(72)【発明者】
【氏名】崔艶南
(72)【発明者】
【氏名】成彩華
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA22
4C076AA31
4C076BB01
4C076CC16
4C076CC32
4C076DD43Z
4C076DD59Z
4C076DD67
4C076EE06
4C076EE16
4C076EE30P
4C076EE32
4C076EE32B
4C076EE36P
4C076EE37
4C076EE38
4C076EE38B
4C076EE42P
4C076FF06
4C076FF35
4C076FF61
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC39
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA23
4C086MA28
4C086MA41
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA10
4C086ZA66
4C086ZA68
4C086ZA69
4C086ZB35
(57)【要約】
本発明は、乾燥懸濁剤用乾燥懸濁顆粒、前記乾燥懸濁顆粒を含む乾燥懸濁剤、及びその製造方法並びに用途に関する。当該乾燥懸濁顆粒は、アニオン性ゲル化剤及びカチオン性ポリマーを含み、そのうち、前記アニオン性ゲル化剤と前記カチオン性ポリマーとの重量比は(0.5~50):1である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン性ゲル化剤及びカチオン性ポリマーを含む乾燥懸濁顆粒であって、
前記アニオン性ゲル化剤と前記カチオン性ポリマーとの重量比は(0.5~50):1、好ましくは(0.8~20):1、更に好ましくは(0.9~10):1、最も好ましくは(1~3):1である、
ことを特徴とする乾燥懸濁顆粒。
【請求項2】
前記アニオン性ゲル化剤は、アラビアガム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩、ペクチン、キサンタンガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、グアーガム、寒天、カラギーナン、タマリンドガム、コンニャクガム、カシアシードガム、トラガカントガム、カラヤガムから選ばれる1種、2種又は複数種である、
ことを特徴とする請求項1に記載の乾燥懸濁顆粒。
【請求項3】
前記カチオン性ポリマーはキトサン又はその誘導体から選ばれ、好ましくは、乾燥懸濁顆粒における前記カチオン性ポリマーの重量パーセントは0.5~5%、好ましくは0.6~4%、更に好ましくは0.8~3.5%、最も好ましくは0.9~3.0%である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の乾燥懸濁顆粒。
【請求項4】
本発明に係る乾燥懸濁顆粒は、粘着剤、崩壊剤、希釈剤及びpH調節剤のうちの1種、2種又は複数種を更に含み、好ましくは、前記粘着剤は、ポリビニルピロリドン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、デンプンから選ばれる1種、2種又は複数種であり、好ましくは、前記崩壊剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋カルボキシメチルデンプンナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、架橋ポリビニルピロリドン、微結晶性セルロース、アルファ化デンプンから選ばれる1種、2種又は複数種であり、好ましくは、前記希釈剤は、キシリトール、マンニトール、スクロース、グルコース、ソルビトール、マルチトール、フルクトースから選ばれる1種、2種又は複数種であり、好ましくは、前記pH調節剤は、有機酸又は無機酸であり、好ましくは、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、グルタミン酸、カフェ酸から選ばれる1種、2種又は複数種である、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の乾燥懸濁顆粒。
【請求項5】
水性媒体において前記乾燥懸濁顆粒により形成される懸濁ゲルのpH値は2.5~7.0の範囲内、好ましくは3.0~5.0の範囲内であり、及び/又は懸濁ゲルの製造時に、本発明に係る乾燥懸濁顆粒に添加する水性分散媒体の量は乾燥懸濁顆粒重量の2倍~50倍である、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の乾燥懸濁顆粒。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の乾燥懸濁顆粒を製造する方法であって、
(1)アニオン性ゲル化剤及びカチオン性ポリマーを、任意選択的な他の補助剤と混合するステップと、
(2)粘着剤溶液を単独で製造するステップと、
(3)湿潤混合物を製造するために、ステップ(2)で得られた粘着剤溶液をステップ(1)で得られた混合物に添加するステップと、
(4)本発明に係る乾燥懸濁顆粒を得るために、ステップ(3)で得られた湿潤混合物を顆粒化するステップと、を含み、
好ましくは、前記他の補助剤は、希釈剤、pH調節剤、崩壊剤などを含み、
好ましくは、ステップ(2)において水及び/又はエタノールを溶剤として使用する、方法。
【請求項7】
請求項1~5の何れか1項に記載の乾燥懸濁顆粒を製造する方法であって、
(1)アニオン性ゲル化剤及びカチオン性ポリマーを、任意選択的な他の補助剤と混合するステップと、
(2)水及び/又はエタノールを湿潤剤として提供するステップと、
(3)湿潤混合物を製造するために、ステップ(2)により提供された湿潤剤をステップ(1)で得られた混合物に添加するステップと、
(4)本発明に係る乾燥懸濁顆粒を得るために、ステップ(3)で得られた湿潤混合物を顆粒化するステップと、を含み、
好ましくは、前記他の補助剤は、希釈剤、pH調節剤、崩壊剤及び/又は粘着剤などを含み、
本発明に係る乾燥懸濁顆粒の製造方法において、好ましくは、ステップ(4)の後、本発明に係る乾燥懸濁顆粒を乾燥するステップ(5)を更に含み、
本発明に係る乾燥懸濁顆粒の製造方法において、好ましくは、ステップ(5)の後、粒状形態の本発明に係る乾燥懸濁顆粒を整粒するステップ(6)を更に含む、方法。
【請求項8】
医薬組成物、特に乾燥懸濁剤であって、
請求項1~5の何れか1項に記載の乾燥懸濁顆粒或いは請求項6又は7の方法により製造される乾燥懸濁顆粒を含み、好ましくは、前記医薬組成物は腸溶性マイクロペレット、特にイラプラゾールを含む腸溶性マイクロペレットを含み、更に好ましくは、前記腸溶性マイクロペレットにおけるイラプラゾールの用量と乾燥懸濁顆粒の用量との質量比は1:200~1000である、
医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物は、好ましくは乾燥懸濁剤であって、
前記医薬組成物に分散媒体を添加した後、得られた懸濁ゲルが最大粘度の75%に達するまでの経過時間は8 min未満、好ましくは7 minであり、好ましくは、得られた懸濁ゲルが最大粘度の90%に達するまでの経過時間は12 min未満、好ましくは11 min未満であり、好ましくは、前記医薬組成物に水性媒体を添加した後、懸濁ゲルを形成する時間は120 s未満、好ましくは90 s未満、更に好ましくは70 s未満、最も好ましくは50 sであり、好ましくは、イラプラゾールを含む腸溶性マイクロペレットを含む場合、前記医薬組成物を分散媒体に添加してpH1.2の溶液を形成した後、1 h以内のイラプラゾール放出率は10%以下であり、及び/又はpH6.8の溶液を形成した後、45 min以内のイラプラゾール放出率は70%以上である、
ことを特徴とする請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
消化管疾患を治療及び/又は予防する薬物の製造における、請求項1~5の何れか1項に記載の乾燥懸濁剤或いは請求項8又は9の医薬組成物の用途であって、
前記消化管疾患は、胸焼け、炎症性腸疾患、クローン病、過敏性腸症候群、潰瘍性結腸炎、消化性潰瘍、ストレス性潰瘍、出血性消化性潰瘍、十二指腸潰瘍及び十二指腸潰瘍再発、NSAIDに関連する胃潰瘍、成人の活動性良性胃潰瘍、感染性腸炎、結腸炎、胃酸過剰症、消化不良、胃不全麻痺、ゾリンジャー・エリソン症候群、胃食道逆流症(GERD)、ヘリコバクター・ピロリに関連する疾患又はヘリコバクター・ピロリの根絶、あらゆるグレードのびらん性食道炎、短腸症候群、或いは以上の疾患の任意の組み合わせを含む、用途。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔優先権及び関連出願〕
本願は、2021年8月26日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202110990993.1、発明の名称が「乾燥懸濁剤用乾燥懸濁顆粒及びその製造方法並びに用途」である発明特許の優先権を主張する。当該先行出願の全文は、引用により本発明に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、乾燥懸濁剤用乾燥懸濁顆粒、上記乾燥懸濁顆粒を含む乾燥懸濁剤、及びその製造方法並びに用途に関する。
【0003】
〔背景技術〕
プロトンポンプ阻害剤(Proton Pump Inhibitors、PPIs)は、ヒト胃粘膜細胞分泌細管膜上のH+/K+-ATPアーゼ(プロトンポンプ又は酸ポンプとも呼ばれる)を選択的に阻害することができる薬物である。当該H+/K+-ATPアーゼは胃酸分泌を阻害する最終経路であり、これを阻害することにより胃酸分泌を明らかに低下させることができるため、プロトンポンプ阻害剤は、胃と十二指腸潰瘍、胃食道逆流症、外科的吻合部潰瘍及びゾリンジャー・エリソン症候群などを含む胃酸作用により誘発される又は引き起こされる消化管の疾患(即ち、酸関連疾患)の治療に一般的に用いられる。作用機序に基づき、既知のPPIsは、非可逆性PPIsと可逆性PPIs(Reversible PPI、RPPIs)に分けることができる。そのうち、非可逆性PPIsは主にベンゾイミダゾール誘導体であり、壁細胞膜を速やかに通過して強酸性の分泌細管に蓄積し、次にプロトン化してスルフェンアミド系化合物に変換され、後者はH+/K+-ATPアーゼαサブユニット中のシステイン残基上のスルフヒドリル基と共有結合したジスルフィド結合を形成することができ、これによってH+/K+-ATPアーゼを非可逆的に不活性化させ、その酸分泌活性を阻害する(張旋、「プロトンポンプ阻害剤-ラゾール系薬物の特許技術概説」、「特許文献研究2018-医薬製薬」、知的産権出版社、北京、2019.9:p554-567)。現在、世界的に既に市販されているこのような薬物としては、オメプラゾール(Omeprazole)、ランソプラゾール(Lansoprazole)、パントプラゾール(Pantoprozole)、ラベプラゾール(Rabeprazole)、エソメプラゾール(Esomeprazole)、イラプラゾール(Ilaprazole)、デランソプラゾール(Delansoprazole)などがある。
【0004】
他のラゾール系薬物と類似して、イラプラゾールも酸不安定性化合物に属する。但し、イラプラゾールは、従来の他のラゾール系薬物よりも安定性が比較的低い。酸不安定化合物は、酸性媒体において不安定であるが、中性及び塩基性媒体において比較的良好な安定性を有する物質である。これらの化合物は、酸性媒体において速やかに分解/変換されて生物学的に有効な化合物となり得る点で共通している。酸不安定性プロトンポンプ阻害剤は、酸性及び中性媒体において分解/変換に敏感であるため、経口投与に使用される場合、胃酸と接触して、その安定性に影響を与えることを避ける必要がある。当該問題を解決する方法の一つとして、このような薬物の経口投与製剤を腸溶性材料でコーティングして、腸溶性マイクロペレット製剤を製造することである。
【0005】
腸溶性マイクロペレットは通常、直接に投与する方法で投与されるのではなく、投与を容易にするために、更に他の剤形、例えば錠剤、カプセル剤又は乾燥懸濁剤などに製剤化される。乾燥懸濁剤は、難溶性固形薬物と適当な補助剤とから製造された粉末又は粒状物であり、使用前に水を加えて振とうすることにより懸濁液として分散させることができる。乾燥懸濁剤には、経口投与に適した水以外の他の液体分散媒体及び添加剤などを添加して、食感などの性質を改善することができる。懸濁は、機械的方法により適切な液体分散媒体に不溶性固体微顆粒をほぼ均一に分散させるプロセスである。形成された懸濁液中の固体微顆粒は、分散度が大きいため、比較的高い表面自由エネルギーを有し、凝集しやすく、熱力学的に不安定なシステムに属し、懸濁液中の固体顆粒がコロイド顆粒よりも大きく、重力による沈降が起こりやすいため、動力学的に不安定なシステムにも属する。
【0006】
従って、分散媒体、特に水を加えて懸濁液を調製する場合に、乾燥懸濁剤、特にマイクロペレットを含む乾燥懸濁剤の熱力学的及び動力学的特性、例えば、安定的な粘度レベルに達するまでの時間、マイクロペレットなどの固体顆粒が安定的に懸濁されるまでの時間をどのように改善するかは、当該技術分野で直面する問題となる。
【0007】
〔発明の概要〕
驚くべきことに、発明者は、アニオン性ゲル化剤を、キトサン及びその誘導体などのカチオン性ポリマーと組み合わせて乾燥懸濁顆粒に使用することで、このようにして得られた懸濁液を安定的な粘度レベルに速やかに達することができ、且つ調製された懸濁ゲルがマイクロペレットをより長く安定的に懸濁させることができることを見出した。
【0008】
本発明の目的は、アニオン性ゲル化剤及びカチオン性ポリマーを含む本発明に係る乾燥懸濁顆粒によって解決され、特に上記乾燥懸濁顆粒の組成物は、懸濁液/懸濁ゲルの形成後にマイクロペレットを懸濁ゲル中に安定的に懸濁させることができる。従って、本発明に係る乾燥懸濁顆粒によれば、安定的な懸濁ゲルをより速やかに形成する乾燥懸濁剤を提供することができ、また当該乾燥懸濁剤により形成された懸濁ゲル中のマイクロペレットをより長く安定的に懸濁させることができる。
【0009】
従って、一態様において、本発明は、アニオン性ゲル化剤及びカチオン性ポリマーを含む乾燥懸濁剤用乾燥懸濁顆粒を提供し、そのうち、上記アニオン性ゲル化剤と上記カチオン性ポリマーとの重量比は(0.5~50):1である。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、上記アニオン性ゲル化剤と上記カチオン性ポリマーとの重量比は好ましくは(0.8~20):1、更に好ましくは(0.9~10):1、最も好ましくは(1~3):1である。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、上記アニオン性ゲル化剤は、アラビアガム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩、ペクチン、キサンタンガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、グアーガム、寒天、カラギーナン、タマリンドガム、コンニャクガム、カシアシードガム、トラガカントガム、カラヤガムから選ばれる1種、2種又は複数種である。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、上記カチオン性ポリマーはキトサン又はその誘導体から選ばれる。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、乾燥懸濁顆粒における上記カチオン性ポリマーの重量パーセントは0.5~5%、好ましくは0.6~4%、更に好ましくは0.8~3.5%、最も好ましくは0.9~3.0%である。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、本発明に係る乾燥懸濁顆粒は、粘着剤、崩壊剤、希釈剤及びpH調節剤から選ばれる1種、2種又は複数種を更に含む。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、上記粘着剤は、ポリビニルピロリドン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、デンプンから選ばれる1種、2種又は複数種である。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、上記崩壊剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋カルボキシメチルデンプンナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、架橋ポリビニルピロリドン、微結晶性セルロース、アルファ化デンプンから選ばれる1種、2種又は複数種である。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、上記希釈剤は、キシリトール、マンニトール、スクロース、グルコース、ソルビトール、マルチトール、フルクトースから選ばれる1種、2種又は複数種である。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、上記pH調節剤は有機酸又は無機酸、好ましくは、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、グルタミン酸、カフェ酸から選ばれる1種、2種又は複数種である。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、水性媒体において上記乾燥懸濁顆粒により形成される懸濁ゲルのpH値は2.5~7.0の範囲内、好ましくは3.0~5.0の範囲内である。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、懸濁ゲルの製造時に、本発明に係る乾燥懸濁顆粒に添加する水性分散媒体の量は乾燥懸濁顆粒重量の2倍~50倍である。
【0021】
更なる態様において、本発明は、本発明に係る乾燥懸濁顆粒を製造する方法を提供し、
(1)アニオン性ゲル化剤及びカチオン性ポリマーを、任意選択的な他の補助剤と混合するステップと、
(2)粘着剤溶液を単独で製造するステップと、
(3)湿潤混合物を製造するために、ステップ(2)で得られた粘着剤溶液をステップ(1)で得られた混合物に添加するステップと、
(4)本発明に係る乾燥懸濁顆粒を得るために、ステップ(3)で得られた湿潤混合物を顆粒化するステップと、を含む。
【0022】
好ましくは、上記他の補助剤は、希釈剤、pH調節剤、崩壊剤などを含む。
【0023】
好ましくは、ステップ(2)において水及び/又はエタノールを溶剤として使用する。
【0024】
更なる態様において、本発明は、本発明に係る乾燥懸濁顆粒を製造する方法を提供し
(1)アニオン性ゲル化剤及びカチオン性ポリマーを、任意選択的な他の補助剤と混合するステップと、
(2)水及び/又はエタノールを湿潤剤として提供するステップと、
(3)湿潤混合物を製造するために、ステップ(2)により提供された湿潤剤をステップ(1)で得られた混合物に添加するステップと、
(4)本発明に係る乾燥懸濁顆粒を得るために、ステップ(3)で得られた湿潤混合物を顆粒化するステップと、を含む。
【0025】
好ましくは、上記他の補助剤は、希釈剤、pH調節剤、崩壊剤及び/又は粘着剤などを含む。
【0026】
本発明に係る乾燥懸濁顆粒の製造方法において、好ましくは、ステップ(4)の後、本発明に係る乾燥懸濁顆粒を乾燥するステップ(5)を更に含む。
【0027】
本発明に係る乾燥懸濁顆粒の製造方法において、好ましくは、ステップ(5)の後、粒状形態の本発明に係る乾燥懸濁顆粒を整粒するステップ(6)を更に含む。
【0028】
別の態様において、本発明は、本発明に係る乾燥懸濁顆粒を含む医薬組成物、特に乾燥懸濁剤を更に提供する。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、本発明は、本発明に係る乾燥懸濁顆粒及び腸溶性マイクロペレット、特にイラプラゾールを含む腸溶性マイクロペレットを含む、医薬組成物、特に乾燥懸濁剤を更に提供する。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、本発明に係る医薬組成物において、上記腸溶性マイクロペレットにおけるイラプラゾールの用量と乾燥懸濁顆粒の用量との質量比は1:200~1000である。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、本発明に係る医薬組成物、好ましくは乾燥懸濁剤に分散媒体を添加した後、得られた懸濁ゲルが最大粘度の75%に達するまでの経過時間は8 min未満、好ましくは7 minである。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、本発明に係る医薬組成物、好ましくは乾燥懸濁剤に分散媒体を添加した後、得られた懸濁ゲルが最大粘度の90%に達するまでの経過時間は12 min未満、好ましくは11 min未満である。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、本発明に係る医薬組成物、好ましくは乾燥懸濁剤に水性媒体を添加した後、懸濁ゲルを形成する時間は120 s未満、好ましくは90 s未満、更に好ましくは70 s未満、最も好ましくは50 s未満である。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、本発明に係る医薬組成物、好ましくは乾燥懸濁剤を分散媒体に添加してpH1.2の溶液を形成した後、1 h以内のイラプラゾール放出率は10%以下である。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、本発明に係る医薬組成物、好ましくは乾燥懸濁剤を分散媒体に添加してpH6.8の溶液を形成した後、45 min以内のイラプラゾール放出率は70%以上である。
【0036】
既に行われた動物実験の研究において、発明者は、本発明に係る腸溶性マイクロペレットを含む製剤、特に乾燥懸濁剤が消化管疾患の治療及び/又は予防において有益な効果を示すことを見出した。上記消化管疾患は主に、胸焼け、炎症性腸疾患、クローン病、過敏性腸症候群、潰瘍性結腸炎、消化性潰瘍、ストレス性潰瘍、出血性消化性潰瘍、十二指腸潰瘍及び十二指腸潰瘍再発、NSAIDに関連する胃潰瘍、成人の活動性良性胃潰瘍、感染性腸炎、結腸炎、胃酸過剰症、消化不良、胃不全麻痺、ゾリンジャー・エリソン症候群、胃食道逆流症(GERD)、ヘリコバクター・ピロリに関連する疾患又はヘリコバクター・ピロリの根絶、あらゆるグレードのびらん性食道炎、短腸症候群、或いは以上の疾患の任意の組み合わせを含む。
【0037】
従って、本発明の一態様によれば、本発明は、消化管疾患を治療及び/又は予防する方法を提供する。当該方法は、治療及び/又は予防有効量の本発明に係る乾燥懸濁剤を、この治療及び/又は予防を必要とする患者に投与するステップを含む。そのうち、当該方法を用いて治療及び/又は予防できる消化管疾患は、胸焼け、炎症性腸疾患、クローン病、過敏性腸症候群、潰瘍性結腸炎、消化性潰瘍、ストレス性潰瘍、出血性消化性潰瘍、十二指腸潰瘍及び十二指腸潰瘍再発、NSAIDに関連する胃潰瘍、成人の活動性良性胃潰瘍、感染性腸炎、結腸炎、胃酸過剰症、消化不良、胃不全麻痺、ゾリンジャー・エリソン症候群、胃食道逆流症(GERD)、ヘリコバクター・ピロリに関連する疾患又はヘリコバクター・ピロリの根絶、あらゆるグレードのびらん性食道炎、短腸症候群、或いは以上の疾患の任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0038】
従って、本発明の別の態様によれば、本発明は、消化管疾患を治療及び/又は予防する薬物の製造における本発明に係る乾燥懸濁剤の用途を提供し、上記消化管疾患は、胸焼け、炎症性腸疾患、クローン病、過敏性腸症候群、潰瘍性結腸炎、消化性潰瘍、ストレス性潰瘍、出血性消化性潰瘍、十二指腸潰瘍及び十二指腸潰瘍再発、NSAIDに関連する胃潰瘍、成人の活動性良性胃潰瘍、感染性腸炎、結腸炎、胃酸過剰症、消化不良、胃不全麻痺、ゾリンジャー・エリソン症候群、胃食道逆流症(GERD)、ヘリコバクター・ピロリに関連する疾患又はヘリコバクター・ピロリの根絶、あらゆるグレードのびらん性食道炎、短腸症候群、或いは以上の疾患の任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0039】
更に、本発明に係る乾燥懸濁剤が消化管疾患を治療及び/又は予防する薬物の製造に使用される場合、上記消化管疾患は、十二指腸潰瘍及び潰瘍再発、胃潰瘍、胃食道逆流症(GERD)、ヘリコバクター・ピロリに関連する疾患を含むが、これらに限定されず、或いは、上記薬物はヘリコバクター・ピロリの根絶に使用することができ、また非ステロイド性抗炎症薬による消化性潰瘍疾患、抗血小板凝集薬(クロピドグレル、プラスグレル、チカグレロルを含むが、これらに限定されない)などによる胃腸出血及び関連する潰瘍を予防することができる。
【0040】
〔図面の簡単な説明〕
〔
図1〕本発明に係る乾燥懸濁顆粒I~III及び従来技術の乾燥懸濁顆粒IV、比較例の乾燥懸濁顆粒Vが、分散媒体としての水を添加した後に最大パーセント粘度に達するまでの時間を示す。
【0041】
〔
図2〕本発明に係る乾燥懸濁顆粒I~III及び従来技術の乾燥懸濁顆粒IVに異なるマイクロペレットを添加して製造した乾燥懸濁剤が、15 mLのメスシリンダーにおいて測定される、0~5 mL体積内のマイクロペレット懸濁-沈降時間を示す。
【0042】
〔
図3〕本発明に係る乾燥懸濁顆粒I~III及び従来技術の乾燥懸濁顆粒IVに異なるマイクロペレットを添加して製造した乾燥懸濁剤が、15 mLのメスシリンダーにおいて測定される、5~10 mL体積内のマイクロペレット懸濁-沈降時間を示す。
【0043】
〔
図4〕本発明に係る乾燥懸濁顆粒I~III及び従来技術の乾燥懸濁顆粒IVに異なるマイクロペレットを添加して製造した乾燥懸濁剤が、15 mLのメスシリンダーにおいて測定される、10~15 mL体積内のマイクロペレット懸濁-沈降時間を示す。
【0044】
〔本発明の有益な効果〕
従来技術と比較して、本発明に係る乾燥懸濁顆粒及びそれを含む乾燥懸濁剤は、水性媒体中で速やかに分散して安定的な懸濁ゲルを形成し、且つマイクロペレットが同時に存在する場合、懸濁マイクロペレットを含む均一で安定的な分散系を得ることができ、このようにして得られた溶液/ゲルは、従来技術の乾燥懸濁顆粒及び乾燥懸濁剤よりも短い時間内で安定した粘度に達することができ、そしてマイクロペレットの安定した懸濁状態をより長く維持することができる。
【0045】
酸不安定的なプロトンポンプ阻害剤、特にイラプラゾールの場合、本発明に係る乾燥懸濁剤により得られた懸濁液は、その溶出性を更に向上させることができる。
【0046】
〔発明を実施するための形態〕
本発明に係る一好ましい実施形態において、本発明に係る乾燥懸濁製剤は、腸溶性マイクロペレット、好ましくはイラプラゾール腸溶性マイクロペレット及び本発明に係る乾燥懸濁顆粒を含む。本発明に係る乾燥懸濁剤は、下記の成分を重量部で含んでもよいが、これらに限定されない。
【0047】
腸溶性マイクロペレット 1~30、
ゲル化剤 0.1~15、
粘着剤 0.1~20、
崩壊剤 0.1~15、
希釈剤 1~90、
pH調節剤 0.02~6、
カチオン性ポリマー 0.1~15。
【0048】
腸溶性マイクロペレットの場合、本発明に係る各態様において、従来技術のマイクロペレットを使用してもよく、好ましくは下記の実施形態の腸溶性マイクロペレットを使用してもよい。
【0049】
本発明によれば、腸溶性マイクロペレットの第1実施形態において、当該腸溶性マイクロペレットは、内側から外側へ順にペレットコア、第1隔離層、第2隔離層及び腸溶層を含み、そのうち、ペレットコアは、イラプラゾール及び/又はイラプラゾールの薬学的に許容される塩と第1補助剤とを含み、上記腸溶性マイクロペレットは、第1隔離層に水不溶性塩基性化合物が含まれ、上記第1補助剤とイラプラゾール及び/又はイラプラゾールの薬学的に許容される塩との重量比が0.2~5:1であることを特徴とする。
【0050】
本発明によれば、腸溶性マイクロペレットの第2実施形態において、当該腸溶性マイクロペレットは、内側から外側へ順にペレットコア、第1隔離層、第2隔離層及び腸溶層を含み、そのうち、ペレットコアは、イラプラゾール及び/又はイラプラゾールの薬学的に許容される塩と第1補助剤とを含み、上記腸溶性マイクロペレットは、第1隔離層に水不溶性塩基性化合物が含まれ、第1補助剤が水不溶性塩基性化合物であり、そのうち第1隔離層に含まれる水不溶性塩基性化合物と第1補助剤の水不溶性塩基性化合物は相同又は相異であってもよいことを特徴とする。
【0051】
本発明によれば、腸溶性マイクロペレットの第3実施形態において、当該腸溶性マイクロペレットは、内側から外側へ順にペレットコア、第1隔離層、第2隔離層及び腸溶層を含み、そのうち、ペレットコアは、イラプラゾール及び/又はイラプラゾールの薬学的に許容される塩と第1補助剤とを含み、上記腸溶性マイクロペレットは、イラプラゾール及び/又はイラプラゾールの薬学的に許容される塩の粒径D90≦100 μm、また第2隔離層に塩基性物質が含まれていないことを特徴とする。
【0052】
好ましくは、本発明に係る腸溶性マイクロペレットは、腸溶層の外側に保護層が更に設けられている。
【0053】
好ましくは、本発明に係る腸溶性マイクロペレットにおいて、ペレットコアと第1隔離層との間に他の層が存在しない。
【0054】
好ましくは、本発明に係る腸溶性マイクロペレットにおいて、第2隔離層と腸溶層との間に他の層が存在しない。
【0055】
好ましくは、本発明に係る腸溶性マイクロペレットにおいて、第1隔離層と第2隔離層との間に他の層が存在しない。
【0056】
好ましくは、本発明に係る腸溶性マイクロペレットにおける第1補助剤は塩基性化合物、好ましくは水不溶性塩基性化合物、更に好ましくは水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムから選ばれる。
【0057】
好ましくは、イラプラゾールの薬学的に許容される塩は、例えばイラプラゾールナトリウム、イラプラゾールマグネシウム、イラプラゾール亜鉛、イラプラゾールカリウム、イラプラゾールリチウム又はイラプラゾールカルシウムなどであってもよい。ここで、当業者は、必要に応じて適切な塩を選択することができる。
【0058】
好ましくは、本発明に係る腸溶性マイクロペレットのペレットコアは界面活性剤を更に含む。好ましくは、上記界面活性剤はTween 80又はドデシル硫酸ナトリウムである。
【0059】
好ましくは、第1隔離層中の水不溶性塩基性化合物とイラプラゾール及び/又はその薬学的に許容される塩との重量比は0.2~5:1、好ましくは0.25~4:1、更に好ましくは0.3~3:1、特に好ましくは0.5~2:1、最も好ましくは0.8~1.2:1であり、例えば1:1である。
【0060】
好ましくは、第2隔離層には、マイクロペレットの接着を防止することができる水不溶性不活性物質が含まれ、それと粘着剤との用量が重量比で1~8:1.5~10、又は1~10:1~20、又は4~26:7~44の範囲内である。
【0061】
好ましくは、イラプラゾール及び/又はイラプラゾールの薬学的に許容される塩の粒径D90は、0 μm(範囲を構成する際、当該端点値を含まない)、10 μm、20 μm、30 μm、40 μm、50 μm、60 μm、70 μm、80 μm、90 μm、100 μmの何れか2つの端点間から選ばれる範囲であってもよい。
【0062】
腸溶性マイクロペレットのペレットコアについて、
本発明に係る腸溶性マイクロペレットのペレットコア(又は薬剤含有ペレットとも呼ばれる)は、完全に活性なペレットコア又は薬剤担持層で被覆したブランクマイクロペレットコアであってもよい。本明細書において、「完全に活性なペレットコア」という用語は、イラプラゾール及び/又はイラプラゾールの薬学的に許容される塩と、第1補助剤及び1種又は複数種の他の薬用可能な賦形剤と、を含むペレットコアを指し、そのうち、活性成分とするイラプラゾール及び/又はイラプラゾールの薬学的に許容される塩は、単独で又は他の任意の成分と共に他の層を形成せず、他の成分(上記第1補助剤及び1種又は複数種の他の薬用可能な賦形剤など)に分散され、薬剤担持層で被覆したブランクマイクロペレットコアにおいて、薬剤担持層は、イラプラゾール及び/又はイラプラゾールの薬学的に許容される塩と、第1補助剤及び任意選択的な賦形剤と、を含む。
【0063】
ペレットコア中のイラプラゾール及び/又はその薬学的に許容される塩が、第1隔離層に含まれる水不溶性塩基性化合物の作用のみで、十分な保存安定性を達成することができない場合、ペレットコアに加えられる第1補助剤はその保存安定性を向上させることができる。
【0064】
ペレットコア中の第1補助剤は、酸不安定性化合物の安定性を向上させるために、従来技術で使用される従来の補助剤であってもよい。好ましくは、第1補助剤は、水不溶性塩基性化合物及び水溶性塩基性化合物を含む塩基性化合物である。本発明によれば、好ましくは、水不溶性塩基性化合物をペレットコア中の第1補助剤として使用し、更に好ましくは、ペレットコアに含まれる水不溶性塩基性化合物を、隔離層に含まれる水不溶性塩基性化合物と同じにすることで、隔離層によるpHの緩衝作用を更に高めることができる。本発明に係る実施形態において、水不溶性塩基性化合物は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムから選ばれる1種又は複数種であってもよいが、これらに限定されない。好ましくは、塩基性化合物とイラプラゾール及び/又はその薬学的に許容される塩との重量比は0.2~5:1、好ましくは0.25~4:1、更に好ましくは0.3~3:1、特に好ましくは0.5~2:1、最も好ましくは0.8~1.2:1であり、例えば1:1である。
【0065】
本発明によれば、ペレットコアには界面活性剤を更に含んでもよい。本発明に係る実施例の結果から、界面活性剤は、腸溶性マイクロペレット及びその製剤におけるイラプラゾール及び/又はその薬学的に許容される塩の溶出性を向上させることで、それらの生物学的利用能を効果的に改善することができることが実証された。本発明に係る実施例において、ペレットコアに含まれる界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤及び両性イオン界面活性剤から選ばれてもよい。好ましくは、非イオン性界面活性剤はポリエチレングリコール系、ポリオール系(例えばTween 80)などから選ばれてもよく、アニオン界面活性剤はドデシル硫酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩などから選ばれてもよく、両性イオン界面活性剤はリン酸エステル系から選ばれてもよい。
【0066】
本発明によれば、イラプラゾール及び/又はその薬学的に許容される塩の粒径は、腸溶性マイクロペレットの溶出性及び/又は薬剤担持量に影響を与えることができる。本発明に係る好ましい実施形態において、イラプラゾール及び/又はその薬学的に許容される塩の粒径は、粒径D90≦100 μmであってもよく、この場合では、腸溶性マイクロペレットは良好な溶出性を有し、更に腸溶性マイクロペレットにより製造される腸溶性マイクロペレット製剤の生物学的利用能を高めることができる。更に好ましくは、イラプラゾール及び/又はその薬学的に許容される塩の粒径D90は、10 μm、20 μm、30 μm、40 μm、50 μm、60 μm、70 μm、80 μm、90 μm、100 μmの何れか2つの端点間から選ばれる範囲であってもよく、特にD90≦50 μmで、それにより薬剤担持量を向上させることができる。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、上記ブランクマイクロペレットコアは、従来技術で一般的に使用されるブランクマイクロペレットコアである。本発明に係る実施形態において、ブランクマイクロペレットコアは、微結晶性セルロースペレットコア、スクロースペレットコア又はマンニトールペレットコアから選ばれてもよいが、これらに限定されず、その粒径は50~500 μmであってもよく、好ましくは100~400 μm、更に好ましくは250~350 μm、最も好ましくは約300 μmである。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、上記の薬剤担持層は粘着剤を更に含んでもよい。粘着剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、シロップ及びデンプンから選ばれる1種又は複数種であってもよいが、これらに限定されない。本発明に係る実施形態において、粘着剤は、ヒドロキシプロピルセルロース-SSL(例えば、Nissoからの市販シリーズ)、ヒプロメロースE5、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルアルコール、メチルセルロース及びポリエチレングリコールから選ばれる1種又は複数種であってもよい。
腸溶性マイクロペレットの隔離層について、
腸溶性マイクロペレットの隔離層の基本的な機能は、コーティングプロセス又は保存プロセスにおけるイラプラゾール及び/又はその薬学的に許容される塩の分解又は変色を防止するために、塩基性環境にあるペレットコアを、遊離カルボキシ基を含有する腸溶層から隔離することである。発明者は、イラプラゾール腸溶性マイクロペレット及びその製剤の研究において、従来技術における常軌の製造方法(例えば、ペレットコアに緊密に隣接する隔離層の製造時)で一般的に使用される、マイクロペレットの接着を防止することができる水不溶性不活性物質(タルク粉末、シリカ、二酸化チタン、ステアリン酸マグネシウムなど)及び/又は水溶性塩基性化合物、並びに腸溶層に緊密に隣接する隔離層の製造時に一般的に使用される塩基性化合物は、腸溶性マイクロペレット及びその製剤の安定性及び/又は耐酸性を低下させ、特に、イラプラゾールなどの安定性の比較的低い酸不安定性化合物の場合、その腸溶性マイクロペレット及びその製剤の安定性と耐酸性の両方の要件を同時に達成することができないことを見出した。本明細書において、「緊密に隣接する」という用語は、腸溶性マイクロペレットのペレットコアとそのコーティング又は被覆層との間に、或いは、2つの層の間に、他の層が存在しないことを意味する。
【0069】
当該技術問題が生じる原因の一つとして、発明者は、ペレットコアに緊密に隣接する隔離層(本発明に係る第1隔離層に対応する)に含まれる、マイクロペレットの接着を防止することができる水不溶性不活性物質とペレットコアに含まれる酸不安定性化合物との間の相溶性が、酸不安定性化合物に応じて安定性も異なり、即ち、従来技術により製造される腸溶性マイクロペレット及びその製剤において、ペレットコアに含まれる酸不安定性化合物(イラプラゾールなど)の安定性が低い場合、ペレットコアに緊密に隣接する隔離層に含まれる、マイクロペレットの接着を防止することができる水不溶性不活性物質(タルク粉末など)と酸不安定性化合物との相溶性も低下することが試験によって実証され、その通り考えられている(これに限定されない)。従って、ペレットコア及び/又は隔離層に含まれる、安定剤とする塩基性化合物の保護においても、依然として加速試験結果における関連物質(即ち不純物)が明らかに増加し、それにより腸溶性マイクロペレット製剤の安定性を低下させる。これは、従来技術により製造される腸溶性マイクロペレット及びその製剤に適用できる酸不安定性化合物の範囲をある程度制限し、即ち、従来技術により製造される腸溶性マイクロペレット及びその製剤の配合法又は組成は、安定性の比較的低いイラプラゾール及び/又はその薬学的に許容される塩に良好に適用できない。また、ペレットコアに緊密に隣接する隔離層(本発明に係る第1隔離層に対応する)に水溶性塩基性化合物が含まれる場合、長期間の高温高湿条件で、腸溶性マイクロペレットの隔離層は遊離水を吸い込んで水溶性塩基性化合物を溶解させることで、腸溶層に緊密に隣接する隔離層の塩基性が上昇して塩基性が現れ、酸性媒体で腸溶層に水が浸透する場合、腸溶層を事前に溶解させることで、腸溶性マイクロペレット及びその製剤の耐酸性が低下する。腸溶層に緊密に隣接する隔離層に塩基性が現れるため、腸溶層を事前に溶解させる原理は、腸溶層に緊密に隣接する隔離層(本発明に係る第2隔離層に対応する)に塩基性化合物が含まれる場合にも適用される。
【0070】
従って、本発明によれば、腸溶性マイクロペレットは、不活性物質を含む少なくとも2つの隔離層を含み、即ち、少なくともペレットコアに近接してペレットコアに緊密に隣接する第1隔離層及び第1隔離層よりもペレットコアから離れるか、又は腸溶層に緊密に隣接する第2隔離層を含み、そのうち、第1隔離層は水不溶性塩基性化合物を含み、水溶性塩基性化合物及びマイクロペレットの接着を防止することができる水不溶性不活性物質を含まず、第2隔離層は塩基性化合物を含まない。腸溶性マイクロペレットが3つ以上の隔離層を含む場合、第1隔離層と第2隔離層との間に位置する他の隔離層は、本発明に係る第1隔離層又は第2隔離層の定義に従う隔離層であってもよく、従来技術で一般的に使用される隔離層であってもよい。
【0071】
本発明によれば、水不溶性塩基性化合物は、酸不安定性化合物の安定性を向上させるために、従来技術で一般的に使用される水不溶性塩基性化合物であってもよい。本発明に係る実施形態において、水不溶性塩基性化合物は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムから選ばれる1種又は複数種であってもよいが、これらに限定されない。
【0072】
本発明によれば、マイクロペレットの接着を防止することができる水不溶性不活性物質は、薬剤学に一般的な1種又は複数種の潤滑剤、流動促進剤及び粘着防止剤(即ち付着防止剤、以下も同様)から選ばれる1種又は複数種であってもよい。本発明に係る実施形態において、マイクロペレットの接着を防止することができる水不溶性不活性物質は、シリカ、ケイ酸カルシウム、コロイドシリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムカルシウム、ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、タルク粉末及び二酸化チタンなどから選ばれてもよいが、これらに限定されない。本発明に係るイラプラゾール腸溶性マイクロペレットの一実施形態において、腸溶性マイクロペレットの第1隔離層には、タルク粉末、シリカ、二酸化チタン及びステアリン酸マグネシウムのうちの1種又は複数種の、マイクロペレットの接着を防止することができる水不溶性不活性物質が含まれない。
【0073】
本発明に係る好ましい実施形態において、第1隔離層は主に水不溶性塩基性化合物及び粘着剤で構成され、また第2隔離層は主にマイクロペレットの接着を防止することができる水不溶性不活性物質及び粘着剤で構成される。本発明によれば、第1隔離層に含まれる水不溶性塩基性化合物及び粘着剤の用量又は第2隔離層に含まれるマイクロペレットの接着を防止することができる水不溶性不活性物質及び粘着剤の用量を調節することで、腸溶性マイクロペレット製剤の溶出性に影響を与え、更にその生物学的利用能に影響を与えることができる。例えば、本発明に係るイラプラゾール腸溶性マイクロペレットの好ましい実施形態において、各成分の配合比率は、以下の通りであり得る、イラプラゾールの用量が5~15重量部である場合、第1隔離層に5~36重量部の粘着剤、5~36重量部の水不溶性塩基性化合物を含み、第2隔離層に4~26重量部の粘着剤、7~44重量部のマイクロペレットの接着を防止することができる水不溶性不活性物質を含む。
【0074】
上記粘着剤は、従来技術による隔離層で一般的に使用される粘着剤である。本発明によれば、粘着剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、シロップ及びデンプンなどの、薬学的に認定された水溶性不活性化合物又はコーティング膜として使用されるポリマーから選ばれる1種又は複数種であってもよい。
【0075】
腸溶性マイクロペレットの腸溶層について、
従来技術の腸溶性マイクロペレット製剤で一般的に使用される腸溶層は本発明にも適用され、例えばCN87103285A(US4786505の中国同族)には、腸溶層に関連する詳しい説明が記載されている。発明者は、これを参照して、上記文献中の腸溶層に関連する内容及びそのうち引用された全ての文献の関連内容を本願に組み込んだ。
【0076】
本発明によれば、腸溶層は、アクリル樹脂系、カルボキシメチルエチルセルロースなどのセルロース系、オパドライなどの腸溶性コーティング材料、並びに可塑剤、粘着防止剤、潤滑剤から選ばれる任意選択的な1種又は複数種の添加剤からなる群より選ばれる1種又は複数種の物質を含んでもよい。本発明に係る実施形態において、腸溶層は、アクリル樹脂系腸溶性コーティング材料、可塑剤(ポリエチレングリコール、三酢酸グリセリル、クエン酸トリエチル、フタル酸エステルなど)、粘着防止剤(タルク粉末、モノステアリン酸グリセリルなど)を含んでもよい。そのうち、アクリル樹脂系腸溶性コーティング材料は、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸共重合体の溶液又は分散液L30D55、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ酢酸フタル酸エチレン、シェラックから選ばれる1種又は複数種である。本発明に係るイラプラゾール腸溶性マイクロペレットの好ましい実施形態において、腸溶層に含まれる腸溶性コーティング材料とイラプラゾール及び/又はその薬学的に許容される塩との重量比は2~20:1である。本発明に係るイラプラゾール腸溶性マイクロペレットの好ましい実施形態において、可塑剤とイラプラゾール及び/又はその薬学的に許容される塩との重量比は0.6~6:1、好ましくは0.8~4:1、更に好ましくは1~2:1である。
【0077】
腸溶性マイクロペレットの保護層について、
本発明によれば、腸溶性マイクロペレットの腸溶層の外側に保護層が更に設けられてもよく、好ましくは保護層は腸溶層に緊密に隣接する。上記保護層は、製剤に製造される前の放置プロセス、又は製剤に製造される製造プロセス、又は製剤に製造された後の放置プロセスにおいて、各半製品/製品の間に生じ得る接着を防止することができる。また、保護層を設けることにより、腸溶性マイクロペレットの溶出性を効率的に向上させることで、その製造された腸溶性マイクロペレット製剤の生物学的利用能を向上させることもできる。
【0078】
本発明に係る実施形態において、保護層は粘着剤及び粘着防止剤を含んでもよい。粘着剤は、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース及びポリエチレングリコールから選ばれる1種又は複数種であってもよい。粘着防止剤は、タルク粉末、ステアリン酸マグネシウム、二酸化チタン及びシリカから選ばれる1種又は複数種であってもよい。
【0079】
本発明によれば、保護層中の粘着防止剤の用量を増加させることで、腸溶性マイクロペレットの耐酸性を向上させることができる。本発明に係るイラプラゾール腸溶性マイクロペレットの好ましい実施形態において、イラプラゾール及び/又はその薬学的に許容される塩が5~15重量部である場合、粘着防止剤の用量は0.5~5重量部である。
【0080】
本発明に係る第4方面によれば、本発明は、少なくとも1)イラプラゾール及び/又はイラプラゾールの薬学的に許容される塩と第1補助剤と、を含むペレットコアを製造するステップと、2)第1隔離層を被覆した後に第2隔離層を被覆するステップと、及び3)腸溶層を被覆するステップと、を含む腸溶性マイクロペレットの製造方法を提供する。
【0081】
好ましくは、ステップ2)は、水不溶性塩基性化合物を含むと共に水溶性塩基性化合物及びマイクロペレットの接着を防止することができる水不溶性不活性物質を含まない第1懸濁液を製造し、且つステップ1)で得られたペレットを第1懸濁液で被覆することと、塩基性化合物を含まない第2懸濁液を製造し、且つ第2隔離層、好ましくは腸溶層に緊密に隣接する第2隔離層を第2懸濁液で被覆することと、を含む。
【0082】
好ましくは、ステップ1)において、上記第1補助剤及び上記第1隔離層に含まれる水不溶性塩基性化合物が共に作用することで、イラプラゾール及び/又はイラプラゾールの薬学的に許容される塩の保存安定性を達成する。
【0083】
好ましくは、腸溶性マイクロペレットの製造方法は、4)保護層を被覆するステップを更に含む。
【0084】
本発明に係る実施形態において、腸溶性マイクロペレットの製造方法は、下記ステップの1つ又は複数を含んでもよい。
【0085】
1)例えば流動床法により、ブランクマイクロペレットコアを薬剤担持層で被覆してペレットコアを製造し、薬剤担持層は、イラプラゾール及び/又はイラプラゾールの薬学的に許容される塩、第1補助剤とする塩基性化合物及び粘着剤を含む。
【0086】
2)例えば流動床法により、内側から外側へ、ステップ1)で得られたペレットコアを少なくとも第1懸濁液及び第2懸濁液でそれぞれ被覆して隔離ペレットを製造し、そのうち、第1懸濁液は水不溶性塩基性化合物を含むが、水溶性塩基性化合物及びマイクロペレットの接着を防止することができる水不溶性不活性物質を含まず、第1隔離層を形成し、第2懸濁液は塩基性化合物を含まず、第2隔離層を形成する。
【0087】
3)腸溶性コーティング材料並びに可塑剤、粘着防止剤、潤滑剤及び乳化剤から選ばれる1種又は複数種は腸溶層懸濁液に製造され、例えば流動床法により、ステップ2)で得られた隔離ペレットを腸溶層懸濁液で被覆し、腸溶性マイクロペレットを製造する。
【0088】
好ましくは、上記腸溶性マイクロペレットの製造方法は、4)ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース及びポリエチレングリコールから選ばれる1種又は複数種の粘着剤を精製水に加えて保護層コーティング液を製造し、例えば流動床法により、ステップ3)で得られた腸溶性マイクロペレットを保護層コーティング液で被覆し、保護層を有する腸溶性マイクロペレットを製造するステップを更に含んでもよい。
【0089】
以下、乾燥懸濁剤を例として、本発明に係る腸溶性マイクロペレット及びそれらを含む乾燥懸濁剤の製造方法並びに性質テストの実験を説明する。
【0090】
実施例
実施例1:マイクロペレットの製造
まず、本実施例において、イラプラゾール及び/又はその薬学的に許容される塩を例として、本発明に係る腸溶性マイクロペレットA、D及びEを製造する。
【0091】
(一)マイクロペレットの各組成層の製造処方:
1.1 薬剤含有ペレット(即ち、ペレットコアW)の製造及びその薬剤適用率
(1)150 gのヒドロキシプロピルセルロース-SSL、4gのポリソルベート80を秤量し、3000 gの精製水に溶解し、ヒドロキシプロピルセルロース粘着剤溶液を得て、次に100 gの水酸化マグネシウムを粘着剤溶液に加え、高せん断分散により10000 rpmで5 min分散させ、次にD90粒径が46.8 μmの、100 gのイラプラゾールを水酸化マグネシウム含有の粘着剤溶液に分散させ、10000 rpmで高せん断により均一に分散させ、GLATT GPCG-1流動床によりイラプラゾール懸濁液を100 gのスクロースペレットコアに噴射し、薬剤含有ペレットW1を製造した。
【0092】
流動床のプロセスパラメータは以下の通りであった。
【0093】
【0094】
そのうち、薬剤含有ペレットW1の薬剤適用率=(薬剤含有ペレットの実際含有量)/(薬剤含有ペレットの理論含有量)×100%=95.6%
(2)180 gのポリビニルピロリドンK30、6 gのポリソルベート80を秤量し、3000 gの精製水に溶解し、その中に50 gの酸化マグネシウムを加え、10000 rpmで高せん断により均一に分散させ、酸化マグネシウム含有の粘着剤を得た。次に150 gのイラプラゾールを酸化マグネシウム含有の粘着剤に分散させ、10000 rpmで高せん断により均一に分散させ、GLATT GPCG-1流動床によりイラプラゾール懸濁液を100 gのマンニトールペレットコアに噴射し、薬剤含有ペレットW4を製造した。
【0095】
そのうち、流動床のプロセスパラメータは以下の通りであった。
【0096】
【0097】
そのうち、薬剤含有ペレットW4の薬剤適用率=(薬剤含有ペレットの実際含有量)/(薬剤含有ペレットの理論含有量)×100%=93.3%
(3)80 gのヒプロメロースE5、6 gのポリソルベート80を秤量し、1600 gの精製水に溶解し、50 gの水酸化マグネシウムを加え、10000 rpmで高せん断により均一に分散させ、水酸化マグネシウム含有の粘着剤を得た。次に150 gのイラプラゾールを水酸化マグネシウム含有の粘着剤に分散させ、10000 rpmで高せん断により均一に分散させ、GLATT GPCG-1流動床によりイラプラゾール薬物懸濁液を150 gのスクロースペレットコアに噴射し、薬剤含有ペレットW5を製造した。
【0098】
そのうち、流動床のプロセスパラメータは以下の通りであった。
【0099】
【0100】
そのうち、薬剤含有ペレットW5の薬剤適用率=(薬剤含有ペレットの実際含有量)/(薬剤含有ペレットの理論含有量)×100%=94.1%
1.2 隔離層(G)の製造
23 gのヒドロキシプロピルセルロース-SSLを秤量し、460 gの精製水に溶解し、次に23 gの炭酸マグネシウムを加え、10000 rpmで高せん断により均一に分散させ、第1層の隔離層処方を製造した。17.2 gのヒドロキシプロピルセルロース-SSLを秤量し、344 gの精製水に溶解し、28.8 gのタルク粉末を加え、10000 rpmで高せん断により均一に分散させ、第2層の隔離層処方を製造した。GLATT GPCG-1流動床により、2層の隔離懸濁液を90 gの相応するペレットコアに順次噴射した。
【0101】
そのうち、流動床のプロセスパラメータは以下の通りであった。
【0102】
【0103】
1.3 腸溶層(C)の製造
腸溶層処方C(単位:g)
【0104】
【0105】
製造プロセス:
20.1 gのクエン酸トリエチルを秤量し、447.6 gの精製水に溶解し、3.4 gのタルク粉末を加え、10000 rpmで高せん断により均一に分散させ、次に223.8 gのオイドラギットL30D-55と45 min撹拌して使用に備え、GLATT GPCG-1流動床により、腸溶性コーティング溶液を隔離マイクロペレットに噴射した。
【0106】
具体的なプロセスパラメータは以下の通りであった。
【0107】
【0108】
1.4 保護層(B)の製造
1)保護層処方B1(単位:g)
【0109】
【0110】
製造プロセス:
処方量2.5 gのヒプロメロースE5を秤量し、50 gの精製水に溶解し、次に1.2 gのステアリン酸マグネシウムを加え、5000 rpmで高せん断により均一に分散させ、保護層コーティング溶液を製造した。GLATT GPCG-1流動床により、保護層コーティング溶液を腸溶性マイクロペレットに噴射した。
【0111】
具体的なプロセスパラメータは以下の通りであった。
【0112】
【0113】
2)保護層処方B4(単位:g)
【0114】
【0115】
製造プロセス:
処方量2.5 gのヒドロキシプロピルセルロース-SSLを秤量し、50 gの精製水に溶解し、次に1.2 gのタルク粉末を加え、5000 rpmで高せん断により均一に分散させ、保護層コーティング溶液を製造した。GLATT GPCG-1流動床により、保護層コーティング溶液を腸溶性マイクロペレットに噴射した。
【0116】
具体的なプロセスパラメータは上記保護層処方B1を参照した。
【0117】
3)保護層処方B5(単位:g)
【0118】
【0119】
製造プロセス:
処方量2.5 gのヒドロキシプロピルセルロース-SSLを秤量し、50 gの精製水に溶解し、次に1.2 gの二酸化チタンを加え、5000 rpmで高せん断により均一に分散させ、保護層コーティング溶液を製造した。GLATT GPCG-1流動床により、保護層コーティング溶液を腸溶性マイクロペレットに噴射した。
【0120】
具体的なプロセスパラメータは上記保護層処方B1を参照した。
【0121】
(二)腸溶性マイクロペレットの製造:
本実施例第(一)節で挙げた腸溶性マイクロペレットの各組成層の処方に従って、下記の表1に示す本発明に係る腸溶性マイクロペレットA、D及びEを製造した。
【0122】
【0123】
そのうち、Wx薬剤含有ペレットの薬剤適用率=(薬剤含有ペレットの実際含有量)/(薬剤含有ペレットの理論含有量)×100%
実施例2 マイクロペレット乾燥懸濁剤の製造
この実施例において、まず乾燥懸濁顆粒を製造し、次に異なるマイクロペレットを添加することによって、マイクロペレット含有の乾燥懸濁剤を製造した。
【0124】
2.1 乾燥懸濁剤A-Iの製造
1)乾燥懸濁顆粒の製造
【0125】
【0126】
製造方法:10 gのヒドロキシプロピルセルロースLFを秤量し、190 gの精製水に溶解し、処方量のカラギーナン、クロスポビドン、キトサン、マンニトール、グルコース、リンゴ酸を秤量してHLSH2-6湿式混合造粒機に入れ、400 rpmで4 min撹拌しながら混合し、次にヒドロキシプロピルセルロースLFをミキサーに加え、3 minを撹拌し続け、800 rpmでせん断を開始し、1 min後に排出し、湿潤顆粒を製造し、湿潤顆粒を乾燥し、次に1.2 mmの篩にかけて整粒した。乾燥懸濁顆粒Iを得た。
【0127】
2)乾燥懸濁剤の製造
94.5 mgのイラプラゾール腸溶性マイクロペレットA及び1.5 gの上記乾燥懸濁顆粒を混合して乾燥懸濁剤A-Iを得た。
【0128】
2.2 乾燥懸濁剤D-IIの製造
1)乾燥懸濁顆粒の製造
【0129】
【0130】
製造方法:処方量のアラビアガム、アルギン酸ナトリウム、ヒプロメロースE5、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、マンニトール、スクロース、クエン酸、キトサンを秤量してHLSH2-6湿式混合造粒機に入れ、400 rpmで5 min撹拌しながら混合し、次に撹拌しながら精製水を徐々に加え、5 min撹拌し続け、700 rpmで1 minせん断を開始し、湿潤顆粒を製造し、排出し、乾燥し、1.0 mmの篩にかけて整粒した。乾燥懸濁顆粒IIを得た。
【0131】
2)乾燥懸濁剤の製造
67.4 mgのイラプラゾール腸溶性マイクロペレットD及び2.5 gの上記乾燥懸濁顆粒を混合し、瓶詰めして仕様5 mgのイラプラゾール腸溶性乾燥懸濁剤D-IIを得た。
【0132】
2.3 乾燥懸濁剤E-IIIの製造
1)乾燥懸濁顆粒IIIの製造
【0133】
【0134】
製造方法:10 gのポリビニルピロリドンK30を秤量し、190 gの精製水に溶解し、処方量のペクチン、アルギン酸ナトリウム、クロスポビドン、マルトース、キシリトール、アスコルビン酸、キトサンを秤量してHLSH2-6湿式混合造粒機に入れ、400 rpmで4 min撹拌しながら混合し、次にポリビニルピロリドン溶液をミキサーに加え、4 min撹拌し続け、800 rpmでせん断を開始し、1 min後に排出し、湿潤顆粒を製造し、湿潤顆粒を乾燥し、次に1.2 mmの篩にかけて整粒した。乾燥懸濁顆粒IIIを得た。
【0135】
2)乾燥懸濁剤の製造
60.5 mgのイラプラゾール腸溶性マイクロペレットE及び2.0 gの上記乾燥懸濁顆粒を混合し、瓶詰めし、仕様5 mgのイラプラゾール腸溶性乾燥懸濁剤E-IIIを得た。
【0136】
2.4 乾燥懸濁剤A-VIの製造
1)乾燥懸濁顆粒VIの製造
【0137】
【0138】
製造方法:8 gのヒドロキシプロピルメチルセルロースE5を秤量し、220 gの精製水に溶解し、処方量のキサンタンガム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、キトサン、マンニトール、スクロース、クエン酸を秤量してHLSH2-6湿式混合造粒機に入れ、400 rpmで4 min撹拌しながら混合し、次にヒドロキシプロピルメチルセルロースE5溶液をミキサーに加え、3 min撹拌し続け、1000 rpmでせん断を開始し、1 min後に排出し、湿潤顆粒を製造し、湿潤顆粒を乾燥し、次に1.2 mmの篩にかけて整粒した。乾燥懸濁顆粒VIを得た。
【0139】
2)乾燥懸濁剤の製造
94.5 mgのイラプラゾール腸溶性ペレットマイクロペレットA及び1.6 gの上記乾燥懸濁顆粒を混合し、瓶詰めし、仕様5 mgのイラプラゾール腸溶性乾燥懸濁剤A-VIを得た。
【0140】
2.5 乾燥懸濁剤A-VIIの製造
1)乾燥懸濁顆粒VIIの製造
【0141】
【0142】
製造方法:18 gのヒドロキシプロピルメチルセルロースVLVを秤量し、280 gの精製水に溶解し、処方量のキサンタンガム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、キトサン、マンニトール、スクロース、クエン酸を秤量してしてHLSH2-6湿式混合造粒機に入れ、400 rpmで4 min撹拌しながら混合し、次にヒドロキシプロピルメチルセルロースVLV溶液をミキサーに加え、3 min撹拌し続け、800 rpmでせん断を開始し、1 min後に排出し、湿潤顆粒を製造し、湿潤顆粒を乾燥し、次に1.2 mmの篩にかけて整粒した。得乾燥懸濁顆粒VII。
【0143】
2)乾燥懸濁剤の製造
94.5 mgのイラプラゾール腸溶性ペレットマイクロペレットA及び2.0 gの上記乾燥懸濁顆粒を混合し、瓶詰めし、仕様5 mgのイラプラゾール腸溶性乾燥懸濁剤A-VIIを得た。
【0144】
2.6 乾燥懸濁剤A-VIIIの製造
1)乾燥懸濁顆粒VIIIの製造
【0145】
【0146】
製造方法:18 gのヒドロキシプロピルメチルセルロースVLVを秤量し、280 gの精製水に溶解し、処方量のキサンタンガム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、キトサン、マンニトール、スクロース、クエン酸を秤量してしてHLSH2-6湿式混合造粒機に入れ、400 rpmで4 min撹拌しながら混合し、次にヒドロキシプロピルメチルセルロースVLV溶液をミキサーに加え、3 min撹拌し続け、800 rpmでせん断を開始し、1 min後に排出し、湿潤顆粒を製造し、湿潤顆粒を乾燥し、次に1.2 mmの篩にかけて整粒した。乾燥懸濁顆粒VIIIを得た。
【0147】
2)乾燥懸濁剤の製造
94.5 mgのイラプラゾール腸溶性ペレットマイクロペレットA及び1.8gの上記乾燥懸濁顆粒を混合し、瓶詰めし、仕様5 mgのイラプラゾール腸溶性乾燥懸濁剤A-VIIIを得た。
【0148】
2.7 乾燥懸濁剤A-IXの製造
1)乾燥懸濁顆粒IXの製造
【0149】
【0150】
製造方法:20gのヒドロキシプロピルメチルセルロースVLVを秤量し、300gの精製水に溶解し、処方量のキサンタンガム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、キトサン、マンニトール、スクロース、クエン酸を秤量してしてHLSH2-6湿式混合造粒機に入れ、400 rpmで4 min撹拌しながら混合し、次にヒドロキシプロピルメチルセルロースVLV溶液をミキサーに加え、3 min撹拌し続け、800 rpmでせん断を開始し、1 min後に排出し、湿潤顆粒を製造し、湿潤顆粒を乾燥し、次に1.2 mmの篩にかけて整粒した。乾燥懸濁顆粒IXを得た。
【0151】
2)乾燥懸濁剤の製造
94.5 mgのイラプラゾール腸溶性ペレットマイクロペレットA及び1.8gの上記乾燥懸濁顆粒を混合し、瓶詰めし、仕様5 mgのイラプラゾール腸溶性乾燥懸濁剤A-IXを得た。
【0152】
2.8 比較例の乾燥懸濁剤の製造
1)比較用乾燥懸濁顆粒Vの処方(単位:g)
【0153】
【0154】
製造方法:キサンタンガム、キトサン、CCNA及びアスパルテームを均一に混合した後、乾式造粒機に入れて造粒した。プロセスパラメータは、ピンチロール間距離0.2 mm、送り速度30 rpm、ピンチロール回転速度5 rpm、整粒回転速度10 rpmであった。造粒終了後、粒径を0.5~0.7 mmの間に制御するように、篩にかけて整粒した。乾燥懸濁顆粒Vを得た。
【0155】
2)乾燥懸濁剤の製造
60.5 mgのイラプラゾール腸溶性マイクロペレットE及び2.0 gの上記乾燥懸濁顆粒Vを混合し、瓶詰めし、仕様5 mgのイラプラゾール腸溶性乾燥懸濁剤E-Vを得た。
【0156】
実施例3 乾燥懸濁顆粒の性能測定
3.1 乾燥懸濁顆粒の粘度測定
3.1.1 本発明に係る乾燥懸濁顆粒I
1.5 gを15 mLの水に加え、60 s撹拌し、校正されたpH計を用いてpHが3.9であると測定され、次に懸濁ゲルの粘度を連続的に測定した。
【0157】
3.1.2 本発明に係る乾燥懸濁顆粒II
2.5 gを25 mLの水に加え、60 s撹拌し、校正されたpH計を用いてpHが3.8であると測定され、次に懸濁ゲルの粘度を連続的に測定した。
【0158】
3.1.3 本発明に係る乾燥懸濁顆粒III
2.0 gを20 mLの水に加え、60 s撹拌し、校正されたpH計を用いてpHが4.0であると測定され、次に懸濁ゲルの粘度を連続的に測定した。
【0159】
3.1.4 本発明に係る乾燥懸濁顆粒VI
2.0 gを20 mLの水に加え、60 s撹拌し、校正されたpH計を用いてpHが4.0であると測定され、次に懸濁ゲルの粘度を連続的に測定した。
【0160】
3.1.5 本発明に係る乾燥懸濁顆粒VII
2.0 gを20 mLの水に加え、60 s撹拌し、校正されたpH計を用いてpHが3.9であると測定され、次に懸濁ゲルの粘度を連続的に測定した。
【0161】
3.1.6 本発明に係る乾燥懸濁顆粒VIII
2.0 gを20 mLの水に加え、60 s撹拌し、校正されたpH計を用いてpHが3.9であると測定され、次に懸濁ゲルの粘度を連続的に測定した。
【0162】
3.1.7 本発明に係る乾燥懸濁顆粒IX
2.0 gを20 mLの水に加え、60 s撹拌し、校正されたpH計を用いてpHが4.0であると測定され、次に懸濁ゲルの粘度を連続的に測定した。
【0163】
3.1.8 比較例の乾燥懸濁顆粒IV
従来技術のサンプルであり、AstraZenecaからのNEXIUM(登録商標)(ORAL SUSPENSION、仕様40 mg)を使用し、エソメプラゾールマグネシウムを含む腸溶性マイクロペレットを製品の顆粒から除去し、残りの粉末に15 mLの精製水を加え、60 s撹拌し、次に懸濁ゲルの粘度を連続的に測定した。
【0164】
3.1.9 比較例の乾燥懸濁顆粒V
2.0 gを20 mLの水に加え、60 s撹拌し、校正されたpH計を用いてpHが8.0であると測定され、次に懸濁ゲルの粘度を連続的に測定した。
【0165】
設備:BROOKFIELD DV2T粘度計、少量のサンプルアダプタSSA、MV1Y旗形インペラブレードローター。
【0166】
上記乾燥懸濁顆粒の粘度測定の結果を下記の表2と
図1に示す。
【0167】
【0168】
表2及び
図1から分かるように、従来技術の乾燥懸濁顆粒IVと比較して、本発明に係る乾燥懸濁顆粒I~III及びVI~VIIIはより速やかに最大粘度に達することができる一方、比較用乾燥懸濁顆粒Vはキトサンの用量が大きいため、乾燥懸濁顆粒を水に加えた後、最大粘度に達するまでの時間が明らかに長くなり、且つ比較用乾燥懸濁顆粒Vを水に加えた後、塩基性を呈するため、イラプラゾール腸溶性ペレットの腸溶性コーティングを溶解させた。
【0169】
3.2 イラプラゾールマイクロペレットが乾燥懸濁剤に懸濁状態を保つのに必要な時間に関する試験
(1)実施例2.1の乾燥懸濁剤A-Iに15 mLの水を加え、等速で撹拌し、30 s後に計時を開始し、腸溶性マイクロペレットが完全に懸濁するのに必要な時間を観察した。
(2)実施例2.2の乾燥懸濁剤D-IIに25 mLの水を加え、等速で撹拌し、30 s後に計時を開始し、腸溶性マイクロペレットが完全に懸濁するのに必要な時間を観察した。
(3)実施例2.3の乾燥懸濁剤E-IIIに20 mLの水を加え、等速で撹拌し、30 s後に計時を開始し、腸溶性マイクロペレットが完全に懸濁するのに必要な時間を観察した。
(4)AstraZenecaのNEXIUM(登録商標)(ORAL SUSPENSION、仕様40 mg)に15 mLの精製水を加え、等速で撹拌し、30 s後に計時を開始し、腸溶性マイクロペレットが完全に懸濁するのに必要な時間を観察した。
(5)実施例2.4の比較用乾燥懸濁剤E-Vに20 mLの水を加え、等速で撹拌し、30 s後に計時を開始し、腸溶性マイクロペレットが完全に懸濁するのに必要な時間を観察した。
【0170】
上記試験結果を下記の表3に示す。
【0171】
【0172】
表3から分かるように、本発明に係る乾燥懸濁剤A-I、D-II及びE-IIIは何れも、従来技術よりも更に短い時間内で懸濁ゲルを形成することができ、乾燥懸濁顆粒のマイクロペレットが比較例の乾燥懸濁剤E-Vに懸濁状態を保つのに必要な時間は735 sに達し、ゲル強度が強すぎるため、懸濁速度に影響を与えた。
【0173】
3.3 懸濁ゲル中のマイクロペレットの懸濁-沈降時間
(1)1.5 gの本発明に係る乾燥懸濁顆粒Iに100個のイラプラゾール腸溶性マイクロペレットAを加え、15 mLの水を加え、腸溶性マイクロペレットが完全に懸濁するまで150 s撹拌し、次に15 mLのメスシリンダーに注入し、0~5 mL、5~10 mL、10~15 mLの測定範囲内の腸溶性マイクロペレットの数をカウントし、1 h毎に1回、12 h連続的に計算した。同時に10セットの試験を行った。0~5 mL、5~10 mL、10~15 mLの測定範囲内のマイクロペレットの平均比率を計算した(
図2~4の乾燥懸濁顆粒Iの曲線を参照)。
【0174】
(2)1.5 gの本発明に係る乾燥懸濁顆粒IIに100個のイラプラゾール腸溶性マイクロペレットDを加え、15 mLの水を加え、マイクロペレットが完全に懸濁するまで150 s撹拌し、次に15 mLのメスシリンダーに注入し、0~5 mL、5~10 mL、10~15 mLの測定範囲内の腸溶性マイクロペレットの数をカウントし、1 h毎に1回、12 h連続的に計算した。同時に10セットの試験を行った。0~5 mL、5~10 mL、10~15 mLの測定範囲内のマイクロペレットの平均比率を計算した(
図2~4の乾燥懸濁顆粒IIの曲線を参照)。
【0175】
(3)1.5 gの本発明に係る乾燥懸濁顆粒IIIに100個のイラプラゾール腸溶性マイクロペレットEを加え、15 mLの水を加え、マイクロペレットが完全に懸濁するまで150 s撹拌し、次に15 mLのメスシリンダーに注入し、0~5 mL、5~10 mL、10~15 mLの測定範囲内の腸溶性マイクロペレットの数をカウントし、1 h毎に1回、12 h連続的に計算した。同時に10セットの試験を行った。0~5 mL、5~10 mL、10~15 mLの測定範囲内のマイクロペレットの平均比率を計算した(
図2~4の乾燥懸濁顆粒IIIの曲線を参照)。
【0176】
(4)従来技術の製品を乾燥懸濁顆粒IVとして、即ち、AstraZenecaからのNEXIUM(登録商標)(ORAL SUSPENSION、仕様40 mg)を使用し、エソメプラゾールマグネシウムを含む腸溶性マイクロペレットを製品の乾燥懸濁顆粒から全て除去し、次に100個のエソメプラゾールマグネシウム腸溶性マイクロペレットを当該顆粒に加え、15 mLの水を加え、マイクロペレットが完全に懸濁するまで150 s撹拌し、次に15 mLのメスシリンダーに注入し、0~5 mL、5~10 mL、10~15 mLの測定範囲内の腸溶性マイクロペレットの数をカウントし、1 h毎に1回、12 h連続的に計算した。同時に10セットの試験を行った。0~5 mL、5~10 mL、10~15 mLの測定範囲内のマイクロペレットの比率を計算した(
図2~4の従来技術NEXIUMの乾燥懸濁顆粒IVの曲線を参照)。
【0177】
(5)1.5 gの本発明に係る乾燥懸濁顆粒IにAstraZenecaからのNEXIUM(登録商標)(ORAL SUSPENSION)におけるエソメプラゾールマグネシウムの腸溶性マイクロペレット100個を加え、15 mLの水を加え、腸溶性マイクロペレットが完全に懸濁するまで150 s撹拌し、次に15 mLのメスシリンダーに注入し、0~5 mL、5~10 mL、10~15 mLの測定範囲内の腸溶性マイクロペレットの数をカウントし、1 h毎に1回、12 h連続的に計算した。同時に10セットの試験を行った。0~5 mL、5~10 mL、10~15 mLの測定範囲内のマイクロペレットの平均比率を計算した(
図2~4の乾燥懸濁顆粒Iaの曲線を参照)。
【0178】
(6)1.5 gの本発明に係る乾燥懸濁顆粒IIに日本旭化成Celphere CP-507からの微結晶性セルロースブランクペレットコア(粒径範囲が500 μm~700 μm)100個を加え、15 mLの水を加え、腸溶性マイクロペレットが完全に懸濁するまで150 s撹拌し、次に15 mLのメスシリンダーに注入し、0~5 mL、5~10 mL、10~15 mLの測定範囲内の腸溶性マイクロペレットの数をカウントし、1 h毎に1回、12 h連続的に計算した。同時に10セットの試験を行った。0~5 mL、5~10 mL、10~15 mLの測定範囲内のマイクロペレットの平均比率を計算した(
図2~4の乾燥懸濁顆粒IIaの曲線を参照)。
【0179】
上記試験の結果を
図2~
図4に示す。結果から、0~5 mLの測定範囲内で、従来技術の乾燥懸濁顆粒IVにより形成される懸濁剤中の腸溶性マイクロペレットの比率は、本発明に係る乾燥懸濁顆粒I又はII又はIIIにより形成される懸濁剤中の腸溶性マイクロペレットの比率より大きく、且つ時間の経過に伴って、乾燥懸濁顆粒IVにより形成される懸濁剤中の腸溶性マイクロペレットの比率の増加が比較的明らかであることを示した。これに対して、10~15 mLの測定範囲内で、乾燥懸濁顆粒IVにより形成される懸濁剤中の腸溶性マイクロペレットの比率は、乾燥懸濁顆粒I又はII又はIII懸濁剤中の腸溶性マイクロペレットの比率より小さく、且つ時間の経過に伴って、乾燥懸濁顆粒IVにより形成される懸濁剤中の腸溶性マイクロペレットの比率がますます小さくなる。これらの事実は、本発明に係る乾燥懸濁顆粒により製造された懸濁剤/懸濁ゲルが腸溶性マイクロペレットを沈降せずに、より長く懸濁させることを示した。
【0180】
3.4 異なる乾燥懸濁剤中のイラプラゾール腸溶性マイクロペレットの耐酸性測定
下記の測定方法を参照し、本発明に係る乾燥懸濁剤及び比較例の乾燥懸濁剤中のイラプラゾール腸溶性マイクロペレットの耐酸性を測定し、結果を下記の表4に示す。
【0181】
測定方法:腸溶性マイクロペレットを含む乾燥懸濁剤を取り、0.1 mol/Lの塩酸溶液(濃塩酸9.0 mLに、1000 mLになるまで水を加えた)を溶出媒体として、回転速度が1分間毎に100回転、120分間経過時に溶出カップを取り出し、吸引ろ過装置を用いて溶液をろ過し、残りのマイクロペレットを50 mLのメスフラスコに収集し、0.05 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液20 mLを加え、振とう器において(250回転/分間)で20分間振とうし、30 mLのメタノールを加えて10分間超音波処理し、目盛りまで水で希釈し、均一に振とうし、遠心分離し、上清を取った。マイクロペレット中の残りの薬物含有量、即ちサンプルの耐酸性を測定した。
【0182】
【0183】
3.5 異なる乾燥懸濁剤中のイラプラゾール腸溶性マイクロペレットの溶出性測定
溶出性及び放出度の測定方法を参照(一般方法は『中国薬局方』2015年版四部通則0931第2法の方法1を参照)し、本発明に係る乾燥懸濁剤及び比較例の乾燥懸濁剤中のイラプラゾール腸溶性マイクロペレットの溶出性を測定し、結果を下記の表5に示す。
【0184】
測定方法:
測定待ちのサンプルを取り、0.1 mol/Lの塩酸溶液(塩酸9.0 mLに、1000 mLになるまで水を加えた)300 mLを溶出媒体として、回転速度が1分間毎に100回転、従来の方法に従って、120分間経過時に37±0.5℃に予熱した0.086 mol/Lのリン酸水素二ナトリウム溶液(30.8 gのリン酸水素二ナトリウム及び7 gのTween 80に、1000 mLになるまで水を加えた)700 mLを各溶出カップに加え、均一に混合し、回転速度を変えずに『中国薬局方』に従って操作し、45分間経過時にサンプリングした。
【0185】
試験品溶液:適量な溶出液を量り、ろ過し、追加のろ液5 mLを精密に量り、直ちに0.15 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液1 mLを精密に加え、均一に振とうし、ろ過し、追加のろ液を試験品溶液とした。
【0186】
対照品溶液:イラプラゾール対照品約10 mgを精密に秤量し、20 mLのメスフラスコに入れ、適量のアセトニトリルを加えて溶解させ、アセトニトリルで目盛りに希釈し、均一に振とうし、1 mLを精密に量って100 mLのメスフラスコに入れ、リン酸塩緩衝液(pH6.8)(0.086 mol/Lのリン酸水素二ナトリウム溶液700 mL及び0.1 mol/L塩酸溶液300 mLを均一に混合して得られた)で目盛りに希釈し、均一に振とうし、5 mLを精密に量って、即ちに0.05 mol/Lの水酸化ナトリウム溶液1 mLを精密に加え、均一に振とうし、ろ過し、追加のろ液を対照品溶液とした。
【0187】
【0188】
前述したように、乾燥懸濁剤E-Vは比較例の処方を用いて、製造した懸濁製剤の耐酸性が本発明の懸濁製剤に相当するが、溶出性が明らかに遅くなり、キトサンの用量が高いため、ゲル強度が大き過ぎて、マイクロペレットの溶出性に影響を与えた。
【0189】
以上から分かるように、本発明に係るイラプラゾール乾燥懸濁剤において、アニオン性ゲル化剤とカチオン性ポリマー(特に、キトサン及びその誘導体)とを組み合わせて使用することで、懸濁液は安定した粘度レベルに速やかに達することができ、製造された懸濁ゲルは腸溶性マイクロペレットをより長く安定的に懸濁させることができる。更に、酸不安定的なプロトンポンプ阻害剤、特にイラプラゾールの場合は、その溶出性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0190】
【
図1】本発明に係る乾燥懸濁顆粒I~III及び従来技術の乾燥懸濁顆粒IV、比較例の乾燥懸濁顆粒Vが、分散媒体としての水を添加した後に最大パーセント粘度に達するまでの時間を示す。
【
図2】本発明に係る乾燥懸濁顆粒I~III及び従来技術の乾燥懸濁顆粒IVに異なるマイクロペレットを添加して製造した乾燥懸濁剤が、15 mLのメスシリンダーにおいて測定される、0~5 mL体積内のマイクロペレット懸濁-沈降時間を示す。
【
図3】本発明に係る乾燥懸濁顆粒I~III及び従来技術の乾燥懸濁顆粒IVに異なるマイクロペレットを添加して製造した乾燥懸濁剤が、15 mLのメスシリンダーにおいて測定される、5~10 mL体積内のマイクロペレット懸濁-沈降時間を示す。
【
図4】本発明に係る乾燥懸濁顆粒I~III及び従来技術の乾燥懸濁顆粒IVに異なるマイクロペレットを添加して製造した乾燥懸濁剤が、15 mLのメスシリンダーにおいて測定される、10~15 mL体積内のマイクロペレット懸濁-沈降時間を示す。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン性ゲル化剤及びカチオン性ポリマーを含む乾燥懸濁顆粒であって、
前記アニオン性ゲル化剤と前記カチオン性ポリマーとの重量比は(0.5~50):1、好ましくは(0.8~20):1、更に好ましくは(0.9~10):1、最も好ましくは(1~3):1である、
ことを特徴とする乾燥懸濁顆粒。
【請求項2】
前記アニオン性ゲル化剤は、アラビアガム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩、ペクチン、キサンタンガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、グアーガム、寒天、カラギーナン、タマリンドガム、コンニャクガム、カシアシードガム、トラガカントガム、カラヤガムから選ばれる1種、2種又は複数種である、
ことを特徴とする請求項1に記載の乾燥懸濁顆粒。
【請求項3】
前記カチオン性ポリマーはキトサン又はその誘導体から選ばれ、好ましくは、乾燥懸濁顆粒における前記カチオン性ポリマーの重量パーセントは0.5~5%、好ましくは0.6~4%、更に好ましくは0.8~3.5%、最も好ましくは0.9~3.0%である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の乾燥懸濁顆粒。
【請求項4】
本発明に係る乾燥懸濁顆粒は、粘着剤、崩壊剤、希釈剤及びpH調節剤のうちの1種、2種又は複数種を更に含み、好ましくは、前記粘着剤は、ポリビニルピロリドン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、デンプンから選ばれる1種、2種又は複数種であり、好ましくは、前記崩壊剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋カルボキシメチルデンプンナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、架橋ポリビニルピロリドン、微結晶性セルロース、アルファ化デンプンから選ばれる1種、2種又は複数種であり、好ましくは、前記希釈剤は、キシリトール、マンニトール、スクロース、グルコース、ソルビトール、マルチトール、フルクトースから選ばれる1種、2種又は複数種であり、好ましくは、前記pH調節剤は、有機酸又は無機酸であり、好ましくは、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、グルタミン酸、カフェ酸から選ばれる1種、2種又は複数種である、
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の乾燥懸濁顆粒。
【請求項5】
水性媒体において前記乾燥懸濁顆粒により形成される懸濁ゲルのpH値は2.5~7.0の範囲内、好ましくは3.0~5.0の範囲内であり、及び/又は懸濁ゲルの製造時に、本発明に係る乾燥懸濁顆粒に添加する水性分散媒体の量は乾燥懸濁顆粒重量の2倍~50倍である、
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の乾燥懸濁顆粒。
【請求項6】
請求項1
又は2に記載の乾燥懸濁顆粒を製造する方法であって、
(1)アニオン性ゲル化剤及びカチオン性ポリマーを、任意選択的な他の補助剤と混合するステップと、
(2)粘着剤溶液を単独で製造するステップと、
(3)湿潤混合物を製造するために、ステップ(2)で得られた粘着剤溶液をステップ(1)で得られた混合物に添加するステップと、
(4)本発明に係る乾燥懸濁顆粒を得るために、ステップ(3)で得られた湿潤混合物を顆粒化するステップと、を含み、
好ましくは、前記他の補助剤は、希釈剤、pH調節剤、崩壊剤などを含み、
好ましくは、ステップ(2)において水及び/又はエタノールを溶剤として使用する、方法。
【請求項7】
請求項1
又は2に記載の乾燥懸濁顆粒を製造する方法であって、
(1)アニオン性ゲル化剤及びカチオン性ポリマーを、任意選択的な他の補助剤と混合するステップと、
(2)水及び/又はエタノールを湿潤剤として提供するステップと、
(3)湿潤混合物を製造するために、ステップ(2)により提供された湿潤剤をステップ(1)で得られた混合物に添加するステップと、
(4)本発明に係る乾燥懸濁顆粒を得るために、ステップ(3)で得られた湿潤混合物を顆粒化するステップと、を含み、
好ましくは、前記他の補助剤は、希釈剤、pH調節剤、崩壊剤及び/又は粘着剤などを含み、
本発明に係る乾燥懸濁顆粒の製造方法において、好ましくは、ステップ(4)の後、本発明に係る乾燥懸濁顆粒を乾燥するステップ(5)を更に含み、
本発明に係る乾燥懸濁顆粒の製造方法において、好ましくは、ステップ(5)の後、粒状形態の本発明に係る乾燥懸濁顆粒を整粒するステップ(6)を更に含む、方法。
【請求項8】
医薬組成物、特に乾燥懸濁剤であって、
請求項1
又は2に記載の乾燥懸濁顆
粒を含み、好ましくは、前記医薬組成物は腸溶性マイクロペレット、特にイラプラゾールを含む腸溶性マイクロペレットを含み、更に好ましくは、前記腸溶性マイクロペレットにおけるイラプラゾールの用量と乾燥懸濁顆粒の用量との質量比は1:200~1000である、
医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物は、好ましくは乾燥懸濁剤であって、
前記医薬組成物に分散媒体を添加した後、得られた懸濁ゲルが最大粘度の75%に達するまでの経過時間は8 min未満、好ましくは7 minであり、好ましくは、得られた懸濁ゲルが最大粘度の90%に達するまでの経過時間は12 min未満、好ましくは11 min未満であり、好ましくは、前記医薬組成物に水性媒体を添加した後、懸濁ゲルを形成する時間は120 s未満、好ましくは90 s未満、更に好ましくは70 s未満、最も好ましくは50 sであり、好ましくは、イラプラゾールを含む腸溶性マイクロペレットを含む場合、前記医薬組成物を分散媒体に添加してpH1.2の溶液を形成した後、1 h以内のイラプラゾール放出率は10%以下であり、及び/又はpH6.8の溶液を形成した後、45 min以内のイラプラゾール放出率は70%以上である、
ことを特徴とする請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
消化管疾患を治療及び/又は予防する薬物の製造における、請求項1
又は2に記載の乾燥懸濁
剤の用途であって、
前記消化管疾患は、胸焼け、炎症性腸疾患、クローン病、過敏性腸症候群、潰瘍性結腸炎、消化性潰瘍、ストレス性潰瘍、出血性消化性潰瘍、十二指腸潰瘍及び十二指腸潰瘍再発、NSAIDに関連する胃潰瘍、成人の活動性良性胃潰瘍、感染性腸炎、結腸炎、胃酸過剰症、消化不良、胃不全麻痺、ゾリンジャー・エリソン症候群、胃食道逆流症(GERD)、ヘリコバクター・ピロリに関連する疾患又はヘリコバクター・ピロリの根絶、あらゆるグレードのびらん性食道炎、短腸症候群、或いは以上の疾患の任意の組み合わせを含む、用途。
【請求項11】
消化管疾患を治療及び/又は予防する薬物の製造における、請求項8の医薬組成物の用途であって、
前記消化管疾患は、胸焼け、炎症性腸疾患、クローン病、過敏性腸症候群、潰瘍性結腸炎、消化性潰瘍、ストレス性潰瘍、出血性消化性潰瘍、十二指腸潰瘍及び十二指腸潰瘍再発、NSAIDに関連する胃潰瘍、成人の活動性良性胃潰瘍、感染性腸炎、結腸炎、胃酸過剰症、消化不良、胃不全麻痺、ゾリンジャー・エリソン症候群、胃食道逆流症(GERD)、ヘリコバクター・ピロリに関連する疾患又はヘリコバクター・ピロリの根絶、あらゆるグレードのびらん性食道炎、短腸症候群、或いは以上の疾患の任意の組み合わせを含む、用途。
【国際調査報告】