(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】改良型弁を備えた換気システム
(51)【国際特許分類】
A61M 16/20 20060101AFI20240827BHJP
A61M 16/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
A61M16/20 D
A61M16/00 305A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513953
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 US2022042531
(87)【国際公開番号】W WO2023034611
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523114268
【氏名又は名称】レッドフォード,ライアン
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100206911
【氏名又は名称】大久保 岳彦
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】レッドフォード,ライアン
(57)【要約】
加圧空気またはガス供給源に接続されるように構成された入口と;患者インターフェースに接続されるように構成された出口と;入口および出口間のインライン弁と;供給源から患者への加圧空気またはガスの流れを制御するための弁を制御するように構成された制御装置とを有しており、弁は、弁本体内に組み込まれた空気またはガスリザーバまたはアキュムレータを含む、呼吸用人工呼吸器システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧空気またはガス供給源に接続されるように構成された入口と;
患者インターフェースに接続されるように構成された出口と;
前記入口および前記出口間のインライン弁と;
前記供給源から前記患者への加圧空気またはガスの流れを制御するための前記弁を制御するように構成された制御装置とを含んでおり、
前記弁は、前記弁本体内に組み込まれた空気またはガスリザーバまたはアキュムレータを含む、呼吸用人工呼吸器システム。
【請求項2】
前記弁は、リニア駆動機構によって制御される弁ゲートを含む、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項3】
前記リニア駆動機構は、サーボ機構である、請求項2に記載の人工呼吸器システム。
【請求項4】
リニア駆動機構は、機械式スクリュードライブまたはボイスコイルドライブである、請求項2に記載の人工呼吸器システム。
【請求項5】
前記患者インターフェースは、マスク、挿管チューブおよび気管切開カニューレからなる群から選択される、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項6】
前記加圧空気またはガス供給源は、空気缶、圧縮器、空気ポンプ、および加圧空気管からなる群から選択される、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項7】
空気またはガスを調節するための加熱器および/または加湿器をさらに含む、請求項1に記載の人工呼吸器システム。
【請求項8】
請求項1に記載の人工呼吸器システムを用意するステップと;
前記人工呼吸器システムを加圧空気の供給源と患者インターフェースとに接続するステップと;
前記人工呼吸器システムへの空気またはガス流を前記空気またはガスリザーバまたはアキュムレータに事前充填することを開始して、前記弁を開閉することによって前記人工呼吸器システムを通る前記ガス流を制御するステップとを含む、呼吸を必要とする患者の呼吸を補助するための方法。
【請求項9】
前記弁は、前記患者の通常の呼吸サイクルに応じて開閉される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記弁は、前記患者の通常の呼吸サイクルよりも優先すべく空気またはガス流を導入するように開閉される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記患者は、ヒト動物である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記患者は、非ヒト動物である、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、呼吸管理システムに関し、より詳細には、機械的な換気システムまたは呼吸管理システム、すなわち、人工呼吸器または呼吸用マスクに関する。本開示は、病気によって呼吸が損なわれている人間または動物の患者に対して呼吸補助を行うのに特別な有用性を有しており、そのような有用性に関連して記載されることになるが、睡眠時無呼吸に苦しんでいる患者の治療のために、または麻酔システムの構成要素として用いるために利用することもできる。
【背景技術】
【0002】
現在のCovid-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミック(世界的流行)は、呼吸障害を持つ患者に対する機械的な換気システムの必要性を強調した。呼吸治療装置は、患者に、対象者の呼吸サイクル中に適切なタイミングで、治療効果のある圧力の清浄な呼吸可能な気体(通常、酸素補給の有無にかかわらず、空気)の供給を行う働きをすることができる。治療効果のある圧力補助は、患者の通常の呼吸の吸気サイクル中は圧力を高く、呼息中は圧力を低くすることができるように、患者の呼吸と同期した方法で実行することができる。治療効果のある圧力補助は、患者の通常の呼吸の呼気サイクルよりも優先すべく実行することもできる。
【0003】
呼吸管理システムは、一般的に、圧縮ガスまたは空気のガスまたは空気流の発生器または供給源と、エアフィルターと、鼻、口またはフルフェイスマスクと、流れ発生器をマスクに接続する空気送出導管と、各種センサーと、マイクロプロセッサベース制御装置とを含む。任意で、マスクの代わりに、気管切開チューブが患者インターフェースとしての役割を果たすこともできる。流れ発生器は、サーボ制御モータと、送風機を形成する羽根車とを含んでもよい。場合によっては、送風機モータのブレーキは、モータおよび羽根車の慣性に打ち勝つように送風機の速度をより急速に低下させるように実行することができる。ブレーキによって、送風機が、慣性があっても患者の呼気と同期させるために低圧条件をより急速に達成することができる。場合によっては、流れ発生器は、モータ速度制御に代わるものとして、患者に送られる圧力を変更するための手段として、発生した空気を大気に放出するように構成することが可能な弁を含むこともできる。センサーは、数ある中でも、例えば圧力トランスデューサ等によって、モータ速度、質量流量および出口圧力を測定する。装置は、任意で、空気送出回路の経路内に加湿器および/または加熱要素を含んでもよい。制御装置は、総合データ検索および表示機能の有無にかかわらないデータ記憶容量を含むことができる。
【0004】
呼吸管理システムは、多くの状態、例えば、呼吸調節の肺、神経筋または筋骨格疾患による呼吸不全の治療に利用することができる。呼吸管理システムは、睡眠呼吸障害(SDB)(軽度の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を含む)、アレルギー誘発上気道閉塞または上気道の初期のウイルス感染に関連する状態に利用することもできる。
【0005】
現在のCovid-19のパンデミックは、呼吸管理システムの現在の供給を拡大させた。病院は、呼吸管理システム、すなわち、人工呼吸器を2人の患者で共有することを強いられた。病院は、従来から利用される装置を従来の人工呼吸器の粗悪な代用品として閉塞性睡眠時無呼吸に適応させるようにもした。
【0006】
また、現在の人工呼吸器は複雑であり、その高額の装置は定期的な監視および調整を必要とし、故障しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在の開示は、現在の最高水準の技術の人工呼吸器の上述およびその他の欠点を克服する単純な低コストの人工呼吸器を提供する。
【0008】
より詳細には、本開示は、コスト、サイズの縮小、重量削減、電力低減、騒音低減および信頼性に関して現在の人工呼吸器に著しく勝る利点を有する人工呼吸器を提供する。本開示のこの人工呼吸器の要所の1つは、内部に空気またはガスリザーバまたはアキュムレータが組み込まれた独自の空気またはガス流弁である。弁への空気またはガスリザーバまたはアキュムレータの組み込みはシステムの構造およびコストを簡素化する一方で、応答時間を向上させることによってより良い患者支援を提供する。従来の人工呼吸器は、比例電磁弁(PSOL弁)やタービンベースの設計を採用しているが、この場合、コア流/圧力調節部材は高コストなマルチパート部材($1,500~$2,000程度)である。また、実際には、従来のPSOL弁のプランジャーのガイドポストの静止摩擦は弁の感度を損なう可能性があり、結果としてヒステリシス効果を生じさせることになる。従来の人工呼吸器の上記およびその他の欠点を克服するために、本開示は、内部に組み込まれた一体型空気またはガスリザーバまたはアキュムレータを有し、基本的に5つの基本部材と基本的に1つの可動部品とからなる、新規の低コストの空気またはガス弁を採用する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態において、本開示の呼吸用人工呼吸器システムは、加圧空気またはガス供給源に接続されるように構成された入口と;患者インターフェースに接続されるように構成された出口と;前記入口および前記出口間のインライン弁と;前記供給源から前記患者への加圧空気またはガスの流れを制御するための前記弁を制御するように構成された制御装置とを含んでおり、前記弁は、前記弁本体内に組み込まれた空気またはガスリザーバまたはアキュムレータを含む。
【0010】
1つの好ましい実施形態において、前記弁は、リニア駆動機構、好ましくはサーボ機構、機械式スクリュードライブまたはボイスコイルドライブによって制御される弁ゲートを含む。
【0011】
患者インターフェースは、マスク、挿管チューブおよび気管切開カニューレからなる群から選択することができ、加圧空気またはガス供給源は、空気缶、圧縮器、空気ポンプおよび加圧空気管からなる群から選択することができる。
【0012】
本開示は、呼吸を必要とする患者の呼吸を補助するための方法であって、上記したような人工呼吸器システムを用意するステップと;前記人工呼吸器システムを加圧空気の供給源と患者インターフェースとに接続するステップと;前記人工呼吸器システムへの空気またはガス流を前記空気またはガスリザーバまたはアキュムレータに事前充填することを開始して、前記弁を開閉することによって前記人工呼吸器システムを通る前記ガス流を制御するステップとを含む前記方法も提供する。
【0013】
本開示の別の実施形態において、前記人工呼吸器システムは、空気またはガスを調節するための加熱器および/または加湿器を含む。
【0014】
前記弁は前記患者の通常の呼吸サイクルに応じて開閉してもよく、または、前記弁は前記患者の通常の呼吸サイクルよりも優先すべく空気またはガス流を導入するように開閉してもよい。
【0015】
前記患者は、ヒト動物;または非ヒト動物であってもよい。
【0016】
本開示のさらなる特徴および利点は、添付の図面を併用して、以下の説明から理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示に従った、患者に接続して示された小型の換気装置を組み込んでいる人工呼吸器システムの概略図である
【
図2】本開示に従って作られた小型の換気装置の斜視図である。
【
図3】本開示の好ましい実施形態に従った、小型の換気装置の弁構成要素の機能要素図の断面図である。
【
図4】本開示に従った、小型の換気装置の弁構成要素の機能要素断面図である。
【
図5】本開示に従った、小型の換気装置の弁構成要素の機能要素断面図である。
【
図6】本開示の弁構成要素の力とモーメントの平衡を示す図である。
【
図8】本開示の小型の換気装置による動作を示すフロー図である。
【
図9】9A~9Cは本開示に従って内部に誘発された空気流のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の詳細な説明において、用語「空気」と「ガス」、および用語「呼吸用マスク」と「人工呼吸器」は、それぞれ、言い換え可能で用いられる。
【0019】
本開示のこの呼吸治療装置は、患者の自然な周期的な呼吸サイクルまたはプログラムされた呼吸サイクルのいずれかに基づいた間欠的な時間間隔で患者に補充空気または酸素を提供する。
【0020】
図1を参照すると、呼吸用人工呼吸器システム10は、加圧ガス供給源14に接続された換気制御装置12を含む。加圧ガス供給源は、加圧空気または空気・酸素ガス缶、図示するような圧縮機または空気ポンプ、あるいは加圧空気管であってもよい。以下に詳述する換気制御装置12は、患者22によって装着された鼻またはフルフェイスマスク18のような患者インターフェースに固定されたガス供給管16を通して、患者への加圧ガス流を可能にする。あるいは、患者インターフェース18は、挿管チューブまたは気管切開カニューレを含んでもよい。システムを完成させるのは、患者からの吸気および/または呼気を感知して測定するカプノグラフィーモニター24と、コマンド入力モニター26である。カプノグラフィーモニター24およびコマンド入力モニター26は、従来のものであり、本開示の理解のためにさらに説明する必要はない。
【0021】
本開示の人工呼吸器システム10の中心は、後述する一体型ガスまたは空気リザーバまたはアキュムレータを有するガスまたは空気流量制御弁28である。
【0022】
次に、
図3~5を参照すると、ガスまたは空気流量制御弁28は、ガスまたは空気流量制御弁28の能動素子を収容する弁ハウジング40を含む。ガス供給入口42は負のX軸面に、ガス供給源出口44は正のX軸面に示される。あるいは、ハウジング40はガスリザーバまたはアキュムレータ46を形成する。ガス供給入口42は、標準の病院の酸素供給源、あるいは、任意のガス供給源、例えば、ガス缶または圧縮機と連結することができる。
【0023】
図3および4に関して後述する弁ゲート48は、X軸に沿ったその位置に基づいて供給源流量、Q供給源(t)を制御する。負のZ表面上の面は、弁ハウジング摺動面50上をX軸に沿って摺動する。ゲートの正のX軸上の弁ゲート面と弁ハウジングシール面52の間の距離δは、弁ハウジングシール面と正のX軸上の弁ゲートY-Z面の間に抵抗チャネルを形成することによって流動抵抗を決定する。
【0024】
特に
図5および7を参照すると、ガスまたは空気流量制御弁28は、X軸に沿ってその位置を設定している弁摺動面50のX軸に沿って摺動するように構成された弁ゲート48を含む。ガスまたは空気流量制御弁28は、PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)またはPMN(ニオブ酸鉛マグネシウム)等の電歪材料、磁歪材料から形成されるサーボ機構、あるいはボイスコイルドライブの機械式スクリュードライブまたはその他のリニア駆動機構等のリニアアクチュエータ54も含む。その長さと、結果として生じるゲート弁位置は、所望の供給源流量Q
供給源(t)または供給源流量圧力P
供給源(t)に基づいた閉ループ制御の下で制御される。弁ゲート48は、開ループ制御の下で駆動することもできる。
【0025】
負のX方向の前負荷力が、スプリングアセンブリ56によって弁ゲート48に印加される。
【0026】
止めねじ50は弁ゲート48をX方向に駆動し、スプリングアセンブリ前負荷力と弁ゲート48の初期位置の両方をX軸に沿って設定する。
【0027】
スプリングプランジャー58は、弁ゲート48に負のZ方向の前負荷を与える。これは、弁ゲート48と弁ハウジング摺動面58の間の気密シールを継続的に維持するためである。
【0028】
ガスケット60は、弁ハウジングのX-Z面と弁ゲート48の間の気密シールを維持する。
【0029】
再び
図2を参照すると、換気制御装置12は、ガスまたは空気流量制御弁28に接続される空気またはガス入力ポート30を含む。制御弁28は、吸気流接続部34を含むポートに接続される出口32と、さらに呼気流弁38に接続される呼気流ポート36とを有する。呼気流弁38は、大気に放出されてもよく、または二酸化炭素を洗浄してガス入力ポート30を通してリサイクルするように接続されてもよい。システムは、患者の呼吸を感知するための呼気流センサーまたは呼吸センサー40と、弁28を始動させるためのセンサーからの接続部も含む。センサーは、空気流量センサー、温度センサー、音センサー、二酸化炭素センサー、あるいは、患者の胸部の動きを検出するための運動またはひずみセンサーを含むことができる。
【0030】
弁カバー62は、弁ハウジングのX-Z面を、1つは正のY軸上で、1つは負のY軸上で取り囲む。これらのカバーは、弁ハウジング40と大気間の気密シールを形成する。
【0031】
再び
図4~6を参照すると、
図4の左側には、閉位置δ=0の弁が示されており、弁流動抵抗R
弁(0)は無限である。
図4は、X軸に沿って負の方向に距離δだけ移動したゲートを有する弁アセンブリを示す。その結果、弁抵抗はもはや無限ではなく、ガスは、図示のように、リザーバからガス供給源に流れる。
【0032】
弁流動抵抗、R弁(δ)は以下のように計算される。
供給源流量、Q供給源(t)は方程式3に支配される。
リザーバ圧力、Pリザーバ(t)
出口圧力、P出口(t)
供給源流量、Q供給源(t)
弁高さ、H弁
Y軸に沿った弁深さ、D弁
弁ハウジングシール面からの弁ゲート距離、δ
A抵抗(δ)=抵抗チャネル断面 方程式1)
=D弁δ
ガス動的粘度、η(質量/(距離-時間))
R弁(δ)=抵抗チャネルによる弁流動抵抗
=(8η/π)H弁/A抵抗(δ)2 方程式2)
そして、供給源流量は、以下の関係によって決定することができる。
Q供給源(t)=(Pリザーバ(t)-P出口(t))/R弁(δ) 方程式3)
【0033】
平均供給源流量Q供給源(t)は有効供給流量Q供給(t)を超えないが、Q供給源(t)のピーク流量はそれを超える、弁ハウジング内のガスリザーバ領域が要求される。この違いは、リザーバ内に保存されるガスから生じる。
【0034】
汎用弁ゲートの力とモーメントの平衡が
図5に示される。力平衡とモーメント平衡の両方の支配方程式は、方程式4~12で示される。
P
リザーバ=リザーバ圧力
θ=弁ゲート角度
W=弁ゲート幅
H=弁ゲート高さ
H
弁=H/Cosθ 方程式4)
D
弁=弁ゲート深さ
L
1,L
2およびL
3=スプリング距離
c
摩擦=くさび摩擦係数
Z
アクチュエータ=Z=0からのアクチュエータ距離
P
リザーバ=リザーバガス圧
F
圧力X=X方向のチャンバ圧からの力
=-P
リザーバHD 方程式5)
F
圧力Z=Z方向のチャンバ圧からの力
=-P
リザーバ(WD+Htanθ D/2) 方程式6)
F
プランジャー=Z方向のスプリングプランジャーからの力
P
レジスタ(Z)=フローレジスタ壁に沿った圧力
≒P
リザーバ(Z/H) 方程式7)
F
Pレジスタ=流れによる圧力からのレジスタ壁上の力
=(P
リザーバ/2)D
弁H
弁 方程式8)
F
スプリング=前負荷スプリングによって印加される力
F
アクチュエータ=位置決めアクチュエータによって印加される力
Z力平衡
F
Z=F
プランジャー+F
圧力Z+3F
スプリングSinθ 方程式9)
F
摩擦=X方向の摩擦力
=F
Zc
摩擦 方程式10)
X力平衡
(3F
スプリング+F
Pレジスタ)Cosθ=F
圧力X+F
アクチュエータ 方程式11)
Y軸に関するモーメント平衡
F
スプリング(L
1+L
2+L
3)Cosθ
2+F
Pレジスタ((2/3)H/Cosθ)Cosθ
2=F
圧力XH/2+F
アクチュエータZ
アクチュエータ 方程式12)
【0035】
また、
図7を参照すると、弁アセンブリ28は、流動抵抗R
弁(δ)を変化させることによって供給源ガス流を制御する。これは、アクチュエータ54の長さΔXを変更することによって達成され、弁ゲート48および弁ハウジングシール面52間の対応する隙間をX軸に沿ってδだけ弁ゲート48を移動させることになる。リザーバ圧力P
リザーバ(t)は、監視され、方程式3によって概説されるように、Q
供給源(t)を制御する所要のΔXコマンドを計算するために圧力センサー70によって利用される。
【0036】
ガスは、時間tの関数である供給源流量Q供給源(t)を測定する流量センサーを通ってガス供給入口42に一直線に流れる。この流量測定は、方程式3によって概説されるように、Q供給源(t)を制御する所要のΔXコマンドを計算するためにガス供給源制御装置およびセンサー/ユーザーインターフェースによって利用される。
【0037】
従来の人工呼吸器の場合と同じように、入口ガスまたは流量は加湿および/または加熱を必要とする可能性がある。これは、制御装置から、リザーバ46と連通し、水蒸気を添加する加湿・加熱モジュール72へのコマンドによって達成され、水の加熱とその後の蒸発、水の圧電噴霧、または水をガス流に添加するその他の従来方法のいずれかによって、ガス流に湿度を添加する。ガスは、このモジュールによってガスが流れるときに加熱することもできる。
【0038】
ガスは、時間tの関数であるガス相対湿度RH(t)を測定する相対湿度センサーを通って流れる。この測定は、時間の関数としての所望のRHコマンドRHコマンド(t)を生成するために制御装置によって利用される。
【0039】
温度・圧力供給源モジュールは、ガス温度T(t)を測定する。この温度測定は、ガス温度を制御するための加湿・加熱モジュールへの加熱コマンドTコマンド(t)を計算するために、制御装置およびセンサー/ユーザーインターフェースによって利用される。
【0040】
温度・圧力供給源モジュールは、ガス出口圧力P出口(t)も測定することができる。この圧力は、方程式3によって概説されるように、Q供給源(t)を制御する所要のΔXコマンドを計算するために、制御装置およびセンサー/ユーザーインターフェースによって利用される。温度・圧力モジュールの出口は、加圧鼻腔人工呼吸器あるいはマスク、カニューレまたは挿管チューブ等のその他の患者呼吸装置で終了するガス供給管と連結する。
【0041】
ガス供給源制御装置およびセンサー/ユーザーインターフェースは、ガス供給源流量Q供給源(t)、圧力P出口(t)、温度T(t)および相対湿度RH(t)を制御するために必要なセンサーインターフェースを含む。センサーインターフェースは、アクチュエータコマンドΔX(t)、温度コマンドTコマンド(t)および相対湿度コマンドRHコマンド(t)を生成する。センサーインターフェースは、ガス供給源流量Q供給源(t)、圧力P出口(t)、T(t)およびRH(t)に関するユーザー定義コマンドセットを受信する、ユーザーコマンド入力装置および状態モニターとも連結する。ガス供給源制御装置およびセンサー/ユーザーインターフェースは、ユーザーコマンド入力装置および状態モニターにセンサー信号も提供する。
【0042】
ユーザーコマンド入力装置および状態モニターによって、ユーザーがガス供給源流量Q供給源(t)、圧力P出口(t)、T(t)およびRH(t)のためのコマンドを生成することができる。ユーザーコマンド入力装置および状態モニターは、センサー信号も表示する。この装置は、有線または無線方式で加圧鼻腔人工呼吸器アセンブリと通信するiPad(登録商標)のようなインターフェースであってもよい。
【0043】
ガス供給管は、標準の酸素管であってもよい。ガス供給管は、ガス供給源から加圧鼻腔人工呼吸器アセンブリへの移動時にガス熱損失を最小化するために絶縁することもできる。ガス供給管は、ガス温度を維持するために発熱体を組み込むこともでき、加圧鼻腔人工呼吸器アセンブリに電力を供給し、加圧鼻腔人工呼吸器アセンブリからのセンサーデータを受信するために電力データワイヤーセットを組み込むこともできる。ガス供給管は既知の流動抵抗RGSLを有するので、加圧鼻腔人工呼吸器ガスポートの入口地点の圧力P供給源(t)は、既知のQ供給源(t)、P出口(t)およびRGSLの結果として方程式P供給源(t)=P出口(t)-Q供給源(t)RGSLによって計算することができる。
【0044】
追加センサーは、ガス供給源アセンブリを制御するための入力を提供することができる。これらは、加圧鼻腔人工呼吸器アセンブリ空気チャンバ、システムのような胸腔の動きを通して呼吸数や一回呼吸量を監視するインピーダンスベース装置からサンプリングされた、空気チャンバ圧Pチャンバ(t)、空気チャンバ温度TAC、空気チャンバ相対湿度RHAC、ETCO2(呼気終末二酸化炭素分圧)および/またはO2測定値を含むが、これに限定されるものではない。
【0045】
図8を参照すると、全動作は以下の通りである。ガス供給源14は、弁28を開放して患者22に患者の呼吸を支援するのに必要な頻度、流量および圧力でガスを供給する換気制御装置12に加圧ガスを供給する。弁28に組み込まれた空気またはガスリザーバ46への加圧ガスまたは空気の供給が存在することによって、患者22への加圧空気またはガスの送出が基本的に弁の開放と同時に進行する。空気またはガスリザーバ48は、患者が息を吐いているときに再充填される。
【0046】
本開示の結果として得られる人工呼吸器システムは、従来の換気装置と比べて、低コストで比較的単純な装置であって、堅牢で好都合に小型かつ軽量で、患者の要求に応えるのが非常に速いものである。
【0047】
図9A~9Cは、患者の3回の上昇時間(圧支持)を示す流量および圧力波形である。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧空気またはガス供給源に接続されるように構成された入口と;
患者インターフェースに接続されるように構成された出口と;
前記入口および前記出口間のインライン弁と;
前記供給源から前記患者への加圧空気またはガスの流れを制御するための前記弁を制御するように構成された制御装置とを含んでおり、
前記弁は、リニア駆動サーボ機構によって制御される弁ゲートを含み、前記弁本体内に組み込まれた空気またはガスリザーバまたはアキュムレータを含む、呼吸用人工呼吸器システム。
【請求項2】
リニア駆動機構は、機械式スクリュードライブまたはボイスコイルドライブである、請求項1に記載の呼吸用人工呼吸器システム。
【請求項3】
前記患者インターフェースは、マスク、挿管チューブおよび気管切開カニューレからなる群から選択される、請求項1に記載の呼吸用人工呼吸器システム。
【請求項4】
前記加圧空気またはガス供給源は、空気缶、圧縮器、空気ポンプ、および加圧空気管からなる群から選択される、請求項1に記載の呼吸用人工呼吸器システム。
【請求項5】
空気またはガスを調節するための加熱器および加湿器のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の呼吸用人工呼吸器システム。
【請求項6】
請求項1に記載の呼吸用人工呼吸器システムを用意するステップと;
前記呼吸用人工呼吸器システムを加圧空気の供給源と患者インターフェースとに接続するステップと;
前記呼吸用人工呼吸器システムへの空気またはガス流を前記空気またはガスリザーバまたはアキュムレータに事前充填することを開始して、前記弁を開閉することによって前記人工呼吸器システムを通る前記ガス流を制御するステップとを含む、呼吸を必要とする患者の呼吸を補助するための方法。
【請求項7】
前記弁は、前記患者の通常の呼吸サイクルに応じて開閉される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記弁は、前記患者の通常の呼吸サイクルよりも優先すべく空気またはガス流を導入するように開閉される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記患者は、ヒト動物である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記患者は、非ヒト動物である、請求項6に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】