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特表2024-531984エナジー・ハーベスタおよびエナジー・ハーベスタを製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】エナジー・ハーベスタおよびエナジー・ハーベスタを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   H10N 10/01 20230101AFI20240827BHJP
   H10N 10/817 20230101ALI20240827BHJP
【FI】
H10N10/01
H10N10/817
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514004
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2022074193
(87)【国際公開番号】W WO2023031269
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】PA202170434
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524077210
【氏名又は名称】テグノロジー、アンパルトゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】TEGNOLOGY APS
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100220630
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】イン、ハオ
(57)【要約】
本発明は、エナジー・ハーベスタを製造するための方法および熱エネルギーを電気エネルギーに変換するためのエナジー・ハーベスタに関する。エナジー・ハーベスタは、導電性で可撓性の基板と、複数の熱電気レッグと、反対側の電極層とを備える。基板を反対側の電極層に接合することは、交互になるN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの直列の電気接続を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エナジー・ハーベスタを製造する方法であって、
基板表面を有する導電性で可撓性の基板を設けるステップと、
各々が基板端部および反対側端部を有する複数の熱電気レッグであって、N型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグを備える複数の熱電気レッグを設けるステップと、
前記複数の熱電気レッグの前記基板端部を前記基板表面上に配列するステップと、
前記複数の熱電気レッグの前記基板端部を前記基板に接合して、隣接する熱電気レッグの複数の対を形成するステップであって、隣接する熱電気レッグの各対は、N型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの前記基板端部を介して前記P型熱電気レッグに電気的に接続されている前記N型熱電気レッグを有する、ステップと、
反対側の電極層表面を有する反対側の電極層を設けるステップと、
前記複数の熱電気レッグの前記反対側端部上に前記反対側の電極層を配列するステップと、
前記複数の熱電気レッグの前記反対側端部を前記反対側の電極層表面に接合するステップと、
前記反対側の電極層をセグメントに分離して、隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの対を電気的に接続し、これにより隣接する熱電気レッグの対の間に直列の電気接続を形成するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記複数の熱電気レッグを前記基板および/または前記反対側の電極層に接合する前記ステップは、ハンダ付けまたは焼結によって実施される、請求項1に記載のエナジー・ハーベスタを製造するための方法。
【請求項3】
前記反対側の電極層をいくつかのセグメントに分離する前記ステップは、前記反対側の電極層を切断することを含む、請求項1または2に記載のエナジー・ハーベスタを製造するための方法。
【請求項4】
前記複数の熱電気レッグを前記基板の前記表面上に配列する前記ステップは、ピック・アンド・プレース・プロセスによって実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載のエナジー・ハーベスタを製造するための方法。
【請求項5】
前記複数の熱電気レッグの反対側で前記反対側の電極層の上に絶縁層を配列するステップをさらに含む、請求項1~4のいずれかに記載のエナジー・ハーベスタを製造するための方法。
【請求項6】
前記絶縁層は、熱伝導性ベース層の上に設けられる、請求項5に記載のエナジー・ハーベスタを製造するための方法。
【請求項7】
熱エネルギーを電気エネルギーに変換するためのエナジー・ハーベスタであって、
基板表面を有する導電性で可撓性の基板と、
各々が基板端部および反対側端部を有する複数の熱電気レッグであって、前記基板表面上に配列されハンダ付けまたは焼結によって前記基板表面に接合されており、N型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグを備える、複数の熱電気レッグと、
前記複数の熱電気レッグの前記反対側端部上に配列され、ハンダ付けまたは焼結によって前記複数の熱電気レッグに接合された反対側の電極層と、を備え、
前記基板および前記反対側の電極層に接合することは、交互になるN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの直列の電気接続を提供する、エナジー・ハーベスタ。
【請求項8】
前記基板は可撓性の回路基板、CBを備える、請求項7に記載のエナジー・ハーベスタ。
【請求項9】
前記反対側の電極層は、好ましくは、1μm~500μmの範囲内の厚さを有する導電性フォイルを備える、請求項7または8に記載のエナジー・ハーベスタ。
【請求項10】
交互になるN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの前記直列の電気接続は、
P型熱電気レッグのグループに直列に接続された個々のN型熱電気レッグ、
N型熱電気レッグのグループに直列に接続された個々のP型熱電気レッグ、または
P型熱電気レッグのグループに直列に接続されたN型熱電気レッグのグループを備える、請求項7~9のいずれかに記載のエナジー・ハーベスタ。
【請求項11】
前記複数の熱電気レッグの反対側で前記反対側の電極層上に配列された別の層を備えていない、請求項7~10のいずれかに記載のエナジー・ハーベスタ。
【請求項12】
請求項1~6のいずれかに記載の方法において獲得可能である、請求項7~11のいずれかに記載のエナジー・ハーベスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するエナジー・ハーベスタを製造するための方法、および熱エネルギーを電気エネルギーに変換するエナジー・ハーベスタに関する。
【背景技術】
【0002】
熱電気デバイスは、センサおよび他のモノのインターネット(IoT)デバイスのための実行可能なエネルギー源として着実に牽引力を獲得してきた。熱電気デバイスは、半導体材料で作製された交互になるN素子およびP素子/レッグから形成される。熱電気レッグは、基板上に配置され、別の基板が、熱電気レッグを直列に互いと接続するために頂部に配列される。
【0003】
電流は、ゼーベック効果によって熱電気デバイスによって生成されてよく、この場合、熱電気デバイスにわたる温度差によって、電流が交互になるN素子およびP素子/レッグによって生成されることになる。
【0004】
米国特許第10553773号明細書は、25μm以下の寸法上の厚さを有する可撓性の基板上に互いと電気的に接触してN型熱電気レッグとP型熱電気レッグの対をスパッタ堆積させることによって薄膜ベースの熱電気モジュールを形成することと、形成された薄膜ベースの熱電気モジュールの層に対する作製プロセスの選択に基づいて、形成された薄膜ベースの熱電気モジュールに可撓性および100μm以下の寸法上の厚さを与えることとを含む、薄膜ベースの熱電気モジュールをカプセル化する方法を開示する。方法はまた、形成された薄膜ベースの熱電気モジュールをエラストマーでカプセル化することで、そこに可撓性を与えることも含む。エラストマーカプセル化は、15μm以下の寸法上の厚さを有し、可撓性は、薄膜ベースの熱電気モジュールのアレイが、アレイが熱電気パワーを抽出するように構成されたシステム要素の周りで、完全に包まれ曲げられることを可能にする。
【0005】
特定の用途では、セラミック筐体が、上記で言及した熱電気デバイスをカプセル化してもよい。しかしながら、熱電気デバイスの従来の実装形態は、それと関連付けられた剛性、かさ高さ、サイズおよび高いコストが理由で用途が限定される場合がある。加えて、セラミック筐体および基板の剛性は、熱電気デバイスの可撓性を損なう場合がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、これらの問題を克服し、改善されたエナジー・ハーベスタを提供することであり、これは、従来技術において強調される問題を克服する、または少なくとも軽減する。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、この目的および他の目的は、エナジー・ハーベスタを製造する方法によって達成され、方法は、
基板表面を有する導電性で可撓性の基板を設けるステップと、
各々が基板端部および反対側端部を有する複数の熱電気レッグであって、N型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグを備える複数の熱電気レッグを設けるステップと、
複数の熱電気レッグの基板端部を基板表面上に配列するステップと、
複数の熱電気レッグの基板端部を基板に接合して、隣接する熱電気レッグの複数の対を形成するステップであって、隣接する熱電気レッグの各対は、N型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの基板端部を介してP型熱電気レッグに電気的に接続されているN型熱電気レッグを有する、ステップと、
反対側の電極層表面を有する反対側の電極層を設けるステップと、
複数の熱電気レッグの反対側端部上に反対側の電極層を配列するステップと、
複数の熱電気レッグの反対側端部を反対側の電極層表面に接合するステップと、
反対側の電極層をいくつかのセグメントに分離して、隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの対を電気的に接続し、これにより隣接する熱電気レッグの対の間に直列の電気接続を形成するステップとを含む。
【0008】
その結果、エナジー・ハーベスタを製造するための簡素で効率的な方法が達成される。簡素な製造方法は、エナジー・ハーベスタの製造が、電子機器産業において使用される製造施設と適合できるようにし、したがって、エナジー・ハーベスタの生産における拡大を促進し、エナジー・ハーベスタのより安価な製造を促進することを可能にする。
【0009】
この方法において製造されるエナジー・ハーベスタは、隣接するN型熱電気レッグとP型熱電気レッグの直列に接続された対を備える。よって、エナジー・ハーベスタは、一連の交互になるN型熱電気レッグとP型熱電気レッグとを有するようにみなされてよい。一般に、N型熱電気レッグの基板端部は、P型熱電気レッグの基板端部に電気的に接続され、N型熱電気レッグの反対側端部は、その基板端部を介してN型熱電気レッグが電気的に接続されているもの以外の、別のP型熱電気レッグの反対側端部に電気的に接続される。
【0010】
エナジー・ハーベスタにおいて、複数の熱電気レッグは、N型熱電気レッグの基板端部が、P型熱電気レッグの基板端部に電気的に接続された状態で基板表面に配列され、電気的に接続されたN型熱電気レッグとP型熱電気レッグは、隣接する熱電気レッグの対である、例えば、隣接するN型熱電気レッグと、P型熱電気レッグの対であるとみなされる。これに対応して、熱電気レッグの反対側端部を介してP型熱電気レッグに電気的に接続されたN型熱電気レッグも同様に、隣接する電気レッグの対である、例えば、隣接するN型熱電気レッグと、P型熱電気レッグの対であるとみなされる。本文脈において、隣接する熱電気レッグの対は、熱電気レッグの端部に関連して記載されてよい。よって、隣接する熱電気レッグの対は、隣接する熱電気レッグの基板端部の対であってよい、または隣接する熱電気レッグの対は、隣接する熱電気レッグの反対側端部の対であってもよい。隣接する熱電気レッグの対が、熱電気レッグの関連する端部を特定せずに言及された場合、その端部は、基板端部または反対側端部のいずれかであってよく、関連する端部は、文脈から明白である。
【0011】
一般に、隣接する熱電気レッグの対のN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグは、互いに隣接している。しかしながら、N型熱電気レッグは、熱電気レッグの端部間の電気接続は熱電気レッグが隣接する熱電気レッグの対であるべきと規定するため、隣接する熱電気レッグの対を表すためにP型熱電気レッグに隣接するように限定されていない。
【0012】
反対側の電極層が、複数の隣接する熱電気レッグの反対側端部上に配列され、続いて複数の熱電気レッグの反対側端部が、反対側の電極層表面に接合される。複数の熱電気レッグの基板端部は、基板表面に配列され、これにより、複数の熱電気レッグの反対側端部は、基板表面から延びて、反対側の電極層が、複数の熱電気レッグの反対側端部上に配列されることを可能にするようにみなすことができる。一般に、反対側の電極層は、反対側の電極層が、隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグのいくつかの対の上に配列されるのに十分なサイズを有する。例えば、反対側の電極層は、エナジー・ハーベスタの全ての熱電気レッグ上に配列され得ることで、方法は、例えば、単一のエナジー・ハーベスタのために単一の反対側の電極層を利用することになる。しかしながら、方法は、1つのエナジー・ハーベスタのための2つ以上の反対側の電極層を利用する場合もあることも企図されており、この場合、各反対側の電極層は、複数の隣接する熱電気レッグの反対側端部上で反対側の電極層の上に配列される。
【0013】
複数の熱電気レッグの反対側端部を反対側の電極層表面に接合した後、反対側の電極層は、例えばいくつかのセグメントなどのセグメントに分離されて、隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの対を電気的に接続し、これにより隣接する熱電気レッグの対の間に直列の電気接続を形成する。本文脈において、セグメントは、隣接するN型熱電気レッグとP型熱電気レッグの単一の対を備える。これにより、N型熱電気レッグの反対側端部は、P型熱電気レッグの反対側端部に電気的に接続される。反対側の電極層をセグメントに分離するステップは、任意の処置を利用して行われてよいが、反対側の電極層をセグメントに分離するステップは一般に、材料を除去することを伴う。よって、材料を除去することによって、反対側の電極層を介する電気接続は、反対側の電極層の材料の除去のために阻止される。反対側の電極層を複数の隣接する熱電気レッグの反対側端部上に配列し、続いて接合することと、反対側の電極層をセグメントに分離するステップとの組み合わせは、とりわけ電極材料の個々の部分が、電気的に接続されるべきN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの反対側端部上に配置されるべきであるプロセスと比べて、エナジー・ハーベスタの大きく簡素化された製造を提供する。例えば、複数の熱電気レッグの反対側端部は、基板表面上での隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの対の形成に関してN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグが基板層上にどのように配列されるかを考慮することなく、単一の作業において、例えば、ハンダ付けまたは焼結によって、反対側の電極層表面に接合することができるため、より強固な製造プロセスが提供される。
【0014】
反対側の電極層をセグメントに分離して、隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの対を電気的に接続するステップは、隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの対を基板表面上に配置する知識に基づいてよい。N型熱電気レッグは、基板表面上のどこかに位置するP型熱電気レッグに電気的に接続されてよい。例えば、反対側の電極層を複数の熱電気レッグの反対側端部上に配列し、複数の熱電気レッグの反対側端部を反対側の電極層表面に接合した後、反対側の電極層は、隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの対を基板表面上に配置する知識に基づいて切断されて、隣接する熱電気レッグの対を直列に電気的に接続してよい。よって、方法は、隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの対のN型熱電気レッグが、基板表面上で隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの対のP型熱電気レッグに隣接することを必要とするようにとりわけ限定されるものではない。これにより、反対側の電極層を切断して反対側の電極層をセグメントに分離し、隣接する熱電気レッグの対の間の直列の電気接続を形成するステップは、直列の電気接続が、接続材料の個々の部分を用いて作製される場合より順応性がある。
【0015】
隣接する熱電気レッグの対の間に形成される直列の電気接続は、1つのP型熱電気レッグを1つのN型熱電気レッグに直列に接続することに限定されず、詳細には、1つのP型熱電気レッグは、2つ以上のN型熱電気レッグと直列に接続されてもよい、または1つのN型熱電気レッグが、2つ以上のP型熱電気レッグと直列に接続されてもよい。これに対応して、例えば2~10のグループなどの、N型熱電気レッグのグループが、同じサイズのP型熱電気レッグのグループに直列に接続されてもよい、および逆もまた同様である。例えば、反対側の電極層をセグメントに分離して、隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの対を電気的に接続し、これにより隣接する熱電気レッグの対の間の直列の電気接続を形成するステップは、1つのP型熱電気レッグが、例えば、2~10、例えば、2、3、4、5、6、7、8または9個のN型熱電気レッグなどの複数のN型熱電気レッグと直列に接続されるように、または1つのN型熱電気レッグが、例えば、2~10、例えば、2、3、4、5、6、7、8または9個のN型熱電気レッグなどの複数のP型熱電気レッグと直列に接続されるように、または2~10のグループ、例えば、2、3、4、5、6、7、8または9個のN型熱電気レッグのグループが、P型熱電気レッグのグループと直列に接続される、2~10のグループ、例えば、同様に2、3、4、5、6、7、8または9個のP型熱電気レッグと直列に接続されるように、とりわけ、反対側の電極層を切断することによって実行されてよい。1つのN型熱電気レッグが、複数のP型熱電気レッグと直列に接続される場合、または1つのP型熱電気レッグが複数のN型熱電気レッグと直列に接続される場合、またはP型熱電気レッグのグループが、N型熱電気レッグのグループに直列に接続される場合、N型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグはなおも、本文脈において、隣接するN型熱電気レッグと、P型熱電気レッグの対であるとみなされる。1つのN型熱電気レッグが、複数のP型熱電気レッグと直列に接続される場合、または1つのP型熱電気レッグが複数のN型熱電気レッグと直列に接続される場合、エナジー・ハーベスタのためのN型熱電気レッグの数およびP型熱電気レッグの数は、N型熱電気レッグ対P型熱電気レッグの比および/またはP型熱電気レッグ対N型熱電気レッグの比に一致するように選択されてよい。N型熱電気レッグとP型熱電気レッグとの間の直列接続のために、熱電気レッグと反対側の層との間の接続が破壊されて、その結果電流が、エナジー・ハーベスタを通って流れることができないというリスクが存在する。しかしながら、1つのN型熱電気レッグもしくはN型電気レッグのグループが、複数のP型熱電気レッグと直列に接続される場合、または1つのP型熱電気レッグもしくはP型熱電気レッグのグループが、複数のN型熱電気レッグと直列に接続される場合、熱電気レッグと反対側の電極層との間の接続が失われたことによるエナジー・ハーベスタの故障のリスクは大幅に低減される。これは、エナジー・ハーベスタが反対側の電極層上に別の層を利用しない場合に、特に関連する。よって、エナジー・ハーベスタの一例では、交互になるN型熱電気レッグとP型熱電気レッグの直列の電気接続は、P型熱電気レッグのグループに直列に接続された個々のN型熱電気レッグ、N型熱電気レッグのグループに直列に接続された個々のP型熱電気レッグ、またはP型熱電気レッグのグループに直列に接続されたN型熱電気レッグのグループを備えており、エナジー・ハーベスタは、複数の熱電気レッグの反対側で反対側の電極層の上に配列された別の層は備えていない。N型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグのいずれか、またはその両方のグループは、熱電気レッグのそれぞれのタイプの2~10、例えば4つを備えてよい。開示のエナジー・ハーベスタが、N型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグのいずれか、またはその両方のグループを含む直列の電気接続を含む場合、反対側の電極層をセグメントに分離して隣接するN型熱電気レッグとP型熱電気レッグの対を電気的に接続するステップは、反対側の電極層を切断することによって有利に実行される。例えば、ピック・アンド・プレース・プロセスにおいて準備されるような、N型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグを基板内に配置する知識から、切断は、意図される個々の熱電気レッグまたは熱電気レッグのグループの間に直列の電気接続を形成するために実行されてよく、これにより簡素化されたプロセスを提供する。
【0016】
複数の熱電気レッグの基板表面の頂部での配列は、非常に多くの方法で実施されてよい。好ましくは、複数のN型熱電気レッグおよび複数のP型熱電気レッグは、大きな構成要素として設けられる。大きな構成要素として熱電気レッグを設けることは、熱電気レッグが、持ち上げられ、基板上の所望の場所に配置されることを可能にする。熱電気レッグは、人によって手動で、または例えばピック・アンド・プレース・プロセスを利用して構成要素を持ち上げ配置するように構成された機械によって自動的に配置されてよい。N型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグが自動式機械を使用して配列された場合、自動式機械は一般に、N型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの位置をマッピングし、その基板端部が、例えば、隣接する熱電気レッグの対に対して、どのように接続されるかをマッピングすることになる。N型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグのマッピングされた位置はその後、反対側の電極層をセグメントに分離するステップにおいて使用され得る。例えば、ピック・アンド・プレース・プロセスは、反対側の電極層の、例えばレーザ切断などの切断と共に使用されてよい。
【0017】
熱電気レッグを基板および/または頂部電極に接合するステップは、基板および/または頂部電極上に接合剤を設けることによって達成されてよい。接合剤は、例えば、接合剤を基板および/または頂部電極の上に配置し、その後接合剤と熱電気レッグを接触させることによって、熱電気レッグより前に、基板および/または頂部電極の上に配置されてよい。接合剤は、例えば、熱電気レッグを基板および/または頂部電極の上に配置し、その後接合剤で接合することによって、熱電気レッグより後に、基板および/または頂部電極の上に配置されてもよい。接合剤は、接着剤、ハンダ、または接合が焼結によって達成されることを可能にする焼結剤であってよい。あるいは、接合は、溶接によって達成されてもよい。
【0018】
基板は、その上に複数の接合領域を備えてよい。接合領域は、基板上に接合剤を堆積させることによって形成されてよい。接合領域は、基板をエッチングすることによって形成されてよい、例えば、基板は、真下に絶縁ベース層を有する伝導性表面を備えてよく、よって、伝導性表面をエッチングすることによって接合領域が形成されてよい。接合領域は、プリント回路基板から知られるような、プリントによって形成されてもよい。各接合領域は、1つのN型熱電気レッグおよび1つの隣接するP型熱電気レッグを受け入れるように構成されており、よって、N型熱電気レッグとP型熱電気レッグの隣接する対を各接合領域上に形成する。接合領域は、導電性であり、その結果、1つのN型熱電気レッグおよび1つのP型熱電気レッグが接合領域上に配列されたとき、N型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの電気的に接続された隣接する対が、接合領域上に形成される。好ましい一実施形態では、基板上の接合領域の数は、4~1000の範囲内であり、好ましくは60~80の範囲内である。
【0019】
隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの対の間に直列の電気接続を形成することは、反対側の電極層をいくつかのセグメントに分離して、隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの対を直列に互いと電気的に接続することによって実施されてよい。セグメントは、隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの異なる対の間を橋渡しして、それらを直列に互いと接続してよい。反対側の電極層のセグメントは好ましくは、熱電気レッグの第1の隣接する対のN型熱電気レッグから熱電気レッグの第2の隣接する対のP型熱電気レッグまで延びるように配列される。反対側の電極層を異なるセグメントに分離することは、熱電気レッグに接合される前に実施されても、接合された後に実施されてもよく、好ましくは、取り扱う必要がある部品の数を減少させるために接合後に実施される。直列の電気接続の形成、例えば、反対側の電極層をセグメントに分離するステップは、反対側の電極層を切断する、エッチングする、溶解させることによって実施されてよい。
【0020】
隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの対の間の直列の電気接続は、熱電気レッグの第1の隣接する対のN型熱電気レッグを熱電気レッグの第2の隣接する対のP型熱電気レッグに電気的に接続することによって形成されてよい。
【0021】
一実施形態において、複数の熱電気レッグを基板および/または反対側の電極層に接合するステップは、ハンダ付け、焼結または溶接によって実施される。ハンダ付けおよび焼結は、電子部品の生産において広く使用される技術であり、よって、本発明によるエナジー・ハーベスタと、電子部品において使用される既存の生産技術との間の適合性をさらに高める。ハンダ付けおよび焼結は、反対側の電極層をセグメントに分離するために反対側の電極層の切断と組み合わされたとき、この組み合わせは、簡素化されたプロセスを提供するため、とりわけ有利である。
【0022】
ハンダ付けは好ましくは、エナジー・ハーベスタが230℃を下回る温度に使用されることになっている状況における接合技術として使用される。焼結は好ましくは、エナジー・ハーベスタが、230℃を上回る温度に使用されることになっている状況における接合技術として使用される。焼結は、銀焼結であってもよい。
【0023】
ハンダ付けまたは焼結は、ハンダパッドを基板上に形成することによって実施されてよく、各ハンダ付けパッドは、1つのN型熱電気レッグおよび1つのP型熱電気レッグを受け入れるように構成されている。ハンダパッドは、任意の所望の形状で形成されてよい。ハンダパッドは、上から基板を見たときに基板上に略矩形または略楕円形状で形成されてよい。ハンダパッドは、0.5mm~20mmの範囲内、好ましくは、2mm~10mmの範囲内の幅と、0.5mm~10mmの範囲内、好ましくは1~5mmの範囲内の長さを有する略矩形形状で形成されてもよい。ハンダパッドは、基板上の接合領域として機能してもよい。
【0024】
一実施形態において、隣接する熱電気レッグの対の間に直列の電気接続を形成するステップは、反対側の電極層を切断することを含む。その結果、反対側の電極層の形成は、容易に利用可能な方法によって実施される。切断は、レーザ切断またはブレード切断によって実施されてよい。
【0025】
反対側の電極層の切断は、反対側の電極層が熱電気レッグ上に配列される前に実施されてよい。しかしながら、好ましくは、反対側の電極層は、熱電気レッグの反対側端部上に配列され、これを覆い、その後続いて、熱電気レッグに接合され、最後に切断されて、複数の熱電気レッグを直列に互いと電気的に接続する。反対側の電極層は、直列に基板上に形成された熱電気レッグの対を電気的に接続するように機能する。
【0026】
一実施形態において、複数の熱電気レッグを基板の頂部に配列するステップは、ピック・アンド・プレース・プロセスによって実施される。ピック・アンド・プレース・プロセスおよびピック・アンド・プレース機械は、電子機器産業において広く利用されており、よって、エナジー・ハーベスタと、電子機器産業に既に存在している機械プロセスとの適合性をさらに促進する。エナジー・ハーベスタの生産のために、ピック・アンド・プレース・プロセスは、表面実装デバイスのみが本発明によるエナジー・ハーベスタを作り出すのに必要とされるため、とりわけ有利であり得る。本発明によるエナジー・ハーベスタは、基板上に層で組み立てられてよく、層の組み立ては、ピック・アンド・プレース・プロセスおよびピック・アンド・プレース機械と適合可能である。これは、電気構成要素を配置するのに基板を貫通する穴が必要とされるより従来式のスルーホール技術とは対照的であり、この場合、表面実装デバイスを基板の頂部に配置するだけで十分である。
【0027】
反対側の電極層を複数の熱電気レッグの反対側端部に接合し、続いて、切断によって反対側の電極層をセグメントに分離して、隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの対を電気的に接続することの組み合わせは、この組み合わせが、エナジー・ハーベスタの製造を大いに簡素化するため、複数の熱電気レッグの基板端部を基板表面上に配列するためのピック・アンド・プレース・プロセスとも組み合わされたときにとりわけ有利である。
【0028】
一実施形態において、方法は、複数の熱電気レッグの反対側で反対側の電極層の上に絶縁層を配列するステップをさらに含む。反対側の電極層の上に絶縁層を設けることは、予測しない短絡が起こらないことを保証する。反対側の電極層上の絶縁層はまた、頂部層と呼ばれる場合がある。しかしながら、複数の熱電気レッグの反対側で反対側の電極層の上に別の層が配列されないことが好ましい。反対側の電極層の上に別の層が配列されない場合、反対側の電極層はまた、熱受け取り表面と呼ばれる場合がある。熱受け取り表面は、熱源に向いているエナジー・ハーベスタの表面であり、エナジー・ハーベスタの基板は、任意の熱源から離れるように向くことで、エナジー・ハーベスタは、反対側の電極層と基板との間の熱勾配から電気を生成することができる。
【0029】
一実施形態において、絶縁層は、熱伝導性ベース層の上に設けられる。熱伝導性ベース層は、外部環境への優れた熱接続を保証し、よって、エナジー・ハーベスタにわたる温度差の可能な上昇を促進する。熱伝導性ベース層は、グラファイトまたは高い熱伝導性を有する他の材料であってもよい。さらに、熱伝導性ベース層は、反対側の電極層が、エナジー・ハーベスタの温暖側として機能し、基板が、エナジー・ハーベスタの低温側として機能することを促進してもよい。
【0030】
絶縁層は、スプレー層として熱伝導性ベース層上に設けられてもよい。絶縁層は、窒化ホウ素スプレーとして熱伝導性ベース層の上に設けられてもよい。
【0031】
本発明の第2の態様によれば、本発明の目的は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するためのエナジー・ハーベスタによって達成され、エナジー・ハーベスタは、
基板表面を有する導電性で可撓性の基板と、
各々が基板端部および反対側端部を有する複数の熱電気レッグであって、基板表面上に配列されハンダ付けまたは焼結によって基板表面に接合されており、N型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグを備える、複数の熱電気レッグと、
複数の熱電気レッグの反対側端部上に配列され、ハンダ付けまたは焼結によって複数の熱電気レッグに接合された反対側の電極層とを備え、
基板および反対側の電極層に接合することは、交互になるN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの直列の電気接続を提供する。
【0032】
反対側の電極層はまた、熱受け取り表面と呼ばれてもよい。反対側の電極層は、別の層を備えていないことが好ましい。
【0033】
基板は、金属フォイルあるいは紙またはプラスチックの金属被覆シートから作製されてよい。基板は、複数の材料および/または層を備えてよい。基板は、電極が置かれる頂部に非伝導性の可撓性ベースを備えてよい。あるいは、基板は、伝導性の層で被覆されたベース層を備えてもよく、この場合、伝導性の層は、所望の電気接続を形成するためにエッチングで除去されてよい。好ましくは、基板は、複数の熱電気レッグが基板に接合されることを可能にするための複数の接合領域を備える。複数の接合領域は、電極として形成されてよく、この場合、電極は、同じ電極の上に配列された熱電気レッグを電気的に接続するように構成される。基板は、任意の所望の形状で形成されてよく、例えば、上から基板を見たときに略矩形または略楕円形状を有するように形成されてよい。基板はボックス形状で形成されてよい。基板のボックス形状は、任意の所望の寸法で形成されてよい。好ましい一実施形態では、ボックス形状は、0.1mm~2mmの範囲内の高さ、20mm~30mmの範囲内の幅、および20mm~30mmの範囲内の長さで形成される。基板が小さな設置面積を有することは、例えば、到達するのが難しくスペースが制限された領域での使用など、広範な種類の用途のためにエナジー・ハーベスタの利用を促進させてよく、エナジー・ハーベスタはさらには、回路内に統合された構成要素として配列されてもよい。エナジー・ハーベスタの使用中、基板は、エナジー・ハーベスタの低温側として機能するように構成される。
【0034】
熱電気レッグの材料は、熱の差を電流に変換することが可能な任意の熱電気材料から選択されてよい。熱電気レッグの材料は、エナジー・ハーベスタの用途に応じて選択されてよい。P型熱電気レッグは、以下の熱電気材料、MgSb、ZnSb、ZnSb、BiTe、PbTeおよびSiGeのうちの1つまたは複数を含んでよい。N型熱電気レッグは、以下の熱電気材料、MgSb、BiTe、PbTe、SiGeおよびMgSiSnのうちの1つまたは複数を含んでよい。熱電気レッグは、好ましくは矩形の柱として形成される。しかしながら、熱電気レッグは、任意の所望の断面を有する柱として形成されてもよい。熱電気レッグは、0.5mm~5mmの範囲内の幅、0.5mm~5mmの範囲内の長さ、および0.5mm~100mmの範囲内の高さを有するボックス形状の柱として形成されてもよい。基板上に配列される熱電気レッグの数は、エナジー・ハーベスタの所望の用途およびパワー出力に応じて選択されてよい。好ましい一実施形態では、60~80のN型熱電気レッグと60~80のP型熱電気レッグが基板上に配列される。
【0035】
熱電気レッグは、複数の層を備えてよい。好ましい一実施形態では、熱電気レッグは、熱電気レッグを基板に電気的に接続するための第1の電極と、第1の電極と熱電気層との間の拡散障壁として機能する第1の障壁層と、熱電気レッグにわたる温度差の結果として電流を生成するための熱電気層と、第2の電極と熱電気層との間の拡散障壁として機能する第2の障壁層と、熱電気レッグを反対側の電極層に電気的に接続するための第2の電極とを備える。熱電気レッグの電極は、AgまたはAuから作製されてよい。障壁層は、Ti、CrN、MoまたはNiから作製されてよい。電極および/または障壁層は、物理的蒸着または他の同様のスパッタリング技術によって熱電気層の上に形成されてよく、好ましくは、電極および/または障壁層は、クリーン・ルーム以外ではスパッタリングによって形成される。
【0036】
反対側の電極層は、金属フォイルもしくは紙またはプラスチックの金属被覆シートから作製されてよい。反対側の電極層は、複数の材料および/または層を備えてよい。反対側の電極層は、その電極が置かれる非伝導性の可撓性ベースを備えてよい。反対側の電極層は好ましくは、基板に対応する形状で形成される。好ましくは反対側の電極層は、異なるセグメントに分離し易い、可撓性で、薄い、伝導性の層によって形成される。エナジー・ハーベスタの使用中、反対側の電極層は、エナジー・ハーベスタの温暖側として機能するように構成される。
【0037】
本発明の方法において、反対側の電極層はセグメントに分離されて、隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの対を電気的に接続し、これに対応して、エナジー・ハーベスタは、例えば、熱受け取り表面などの熱源に面する分割された表面を備える。表面の各セグメントは、すなわち分割された反対側の電極層において、N型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの直列の電気接続を表す。基板層は可撓性であり、各セグメントが、隣接するN型熱電気レッグおよびP型熱電気レッグの対の間の接続を表す、反対側の電極層の分割された表面のために、反対側の電極層もまた可撓性である。よって、分割された反対側の電極層は、分割された表面を持たない従来のエナジー・ハーベスタと比べてエナジー・ハーベスタの可撓性を高める。
【0038】
一実施形態において、基板は、可撓性回路基板(CB)を備える。CBによって基板を形成させることは、エナジー・ハーベスタと他の電子構成要素と電子機器工場で使用される生産設備との間の適合性を促進する。
【0039】
可撓性CBは、ポリアミドなどの可撓性ベース層で形成されてよく、1つまたは複数の電極が可撓性ベース層の上に置かれている。可撓性CB上に置かれた電極は、熱電気レッグのための接合領域として機能してよい。好ましい一実施形態では、基板は、可撓性プリント回路基板(PCB)を備える。
【0040】
一実施形態において、反対側の電極層は、好ましくは、1μm~500μmの範囲内の厚さを有する導電性フォイルを備える。例えば、導電性フォイル、例えば金属フォイルは、10μm~500μm、例えば、50μm~400μm、または100μ~200μmの範囲内の厚さを有してよい。
【0041】
その結果、可撓性で、導電性の切断可能な材料が、反対側の電極層のために提供される。さらに、導電性フォイルは、熱電気レッグの間でたるむ挙動を呈示してもよく、すなわちフォイルが、熱電気レッグ上に配列されたとき、フォイルは、レッグの間でたるみ始める場合がある。たるむ挙動は、反対側の電極層がひずまされたとき、またはさらには反対側の電極層が折れる前に反対側の電極層がエナジー・ハーベスタのより大きな曲げ度合いを可能にするため、エナジー・ハーベスタの可撓性をさらに改善する点において有利であり得る。
【0042】
導電性フォイルは、例えばAg-フォイル、Au-フォイル、Cu-フォイル、Al-フォイルまたはFe-フォイルなどの金属フォイルであってよい。
【0043】
一実施形態において、エナジー・ハーベスタは、本発明の第1の態様による製造の方法によって獲得可能である。
【0044】
本発明は、特許請求の範囲に列挙される特徴の全ての可能性のある組み合わせに関することに留意されたい。本発明の概念の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な開示から、添付の特許請求の範囲から、ならびに図面から明らかであろう。態様の1つに関連して記載される特徴はまた、他の態様に組み込まれてもよく、特徴の利点は、それが組み込まれる全ての態様に適用可能である。
【0045】
以下において、発明は、実施例を用いて、かつ概略的な図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1a図1aは、本発明の一実施形態によるエナジー・ハーベスタの概略斜視図である。
図1b図1bは、頂部層が取り外された状態の、図1aに示されるエナジー・ハーベスタの概略的な拡大斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態による、基板の概略上面図および基板上の接合領域の拡大上面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態によるエナジー・ハーベスタの断面側面図である。
図4図4は、本発明の一実施形態によるエナジー・ハーベスタを製造するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、図面に例示される実施形態に限定されない。したがって、添付の特許請求の範囲において言及される特徴の後に参照符号が続いている場合、そのような符号は、特許請求の範囲の理解のし易さを高める目的のためにもっぱら含まれており、特許請求の範囲の範囲を少しも限定するものではないことを理解されたい。
【0048】
本明細書および特許請求の範囲において使用される用語「備える(comprising)」は、「少なくともある程度~から成る」を意味する。用語「備える(comprising)」を含む本明細書および特許請求の範囲における記述を解釈する際、各記述の中でこの用語の前にくる特徴以外の他の特徴も存在する可能性がある。「備える(comprise)」および「備えた(comprised)」などの関連用語も同様のやり方で解釈されるべきである。
【0049】
本発明は次に、添付の図面を参照して以下でより十分に記載され、その中で発明の現在の好ましい実施形態が示される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるように解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、完全さおよび完璧さのために提供されており、発明の範囲を当業者に十分に伝える。
【0050】
本発明の一実施形態によるエナジー・ハーベスタ1の異なる概略斜視図を示す図1aおよび図1bを最初に参照されたい。エナジー・ハーベスタ1は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換するためのものである。エナジー・ハーベスタ1は、基板2と、複数の熱電気レッグ3、4と、反対側の電極層5と、頂部層6とを備える。基板2は、導電性で可撓性のPCBである。基板2は、基板2上に置かれた複数の電極21を備える。複数の電極21は、基板表面23上に置かれる。基板表面23は、平面である。複数の電極21は、熱電気レッグ3、4を基板2に接合するための接合領域として機能する。基板2は、概ねボックス様形状を有するように形成される。エナジー・ハーベスタ1の使用中、基板2は、エナジー・ハーベスタ1の低温側として機能する。基板2は、エナジー・ハーベスタ1を外部構成要素に電気的に接続し、よってエナジー・ハーベスタが外部構成要素に電力を供給することを可能にするための2つの電気端子7をさらに備える。2つの電気端子7は、複数の熱電気レッグ3、4と直列に接続される2つのプロング7として形成される。
【0051】
複数の熱電気レッグ3、4は、複数のN型熱電気レッグ3と、複数のP型熱電気レッグ4とを備える。複数のN型熱電気レッグ3および複数のP型熱電気レッグ4は各々、基板2に接合されるための基板端部と、反対側の電極5に接合されるための反対側端部とを備える。熱電気レッグ3、4は、基板2の頂部に配列され、ハンダ付けまたは焼結によって基板2に接合される。熱電気レッグ3、4のハンダ付けまたは焼結は、基板2の電極21上に伝導性の接合剤を堆積させ、これにより、熱電気レッグ3、4が基板に電気的に接続されることを可能にすることによって実施される。複数の熱電気レッグ3、4は、複数のボックス様の柱として設けられる。複数の熱電気レッグ3、4は、電気的に接続された対で配列され、各対は、N型熱電気レッグ3と、P型熱電気レッグ4とを備える。電気的に接続された対は、基板2の同じ電極21上に置かれることによって電気的に接続される。基板2上に形成された電極21は、少なくとも2つの熱電気レッグ3、4を受け入れるように構成されている。熱電気レッグ3、4は、以下の熱電気材料、MgSb、MgSb、ZnSb、ZnSb、BiTe、PbTeおよびSiGeのうちの1つまたは複数を含んでよい。
【0052】
反対側の電極層5は、複数のN型熱電気レッグ3および複数のP型熱電気レッグ4の反対側端部上に配列される。反対側の電極層5は、熱電気レッグ3、4に対して基板2の反対側に配列される。反対側の電極層5は、ハンダ付けまたは焼結によって複数のN型熱電気レッグ3および複数のP型熱電気レッグ4に接合される。反対側の電極層5は、基板2と一緒に、複数のN型熱電気レッグ3および複数のP型熱電気レッグ4を直列に互いと電気的に接続するように機能する。反対側の電極層5は、導電性フォイルを備える。反対側の電極層5には、好ましくは、100μmの厚さが備わっている。しかしながら他の実施形態では、反対側の電極層は、1μmほどの薄さであってもよい、または500μmほどの厚みがあってもよい。示される実施形態では、反対側の電極層5は、異なるセグメントに分離されており、そのため、それは、電気的に接続された熱電気レッグ3、4の対を直列に互いと電気的に接続する。エナジー・ハーベスタ1の使用中、反対側の電極層5は、エナジー・ハーベスタ1の温暖側として機能する。その結果、温暖側、すなわち反対側の電極層5と、低温側、すなわち基板2との間の温度差は、熱電気レッグ3、4に、ゼーベック効果を介して電流を生み出すようにさせる。生み出された電流は、熱電気レッグ3、4と直列に接続された電気端子7を介して外部構成要素に送達されてよい。
【0053】
反対側の電極層の上に頂部層6が配列される。頂部層6は、反対側の電極層5および熱電気レッグ3、4を覆うように配列される。頂部層6は、図3を参照してより詳細に記載される。
【0054】
本発明の一実施形態による、基板2の概略上面図と、基板2上の接合領域21の拡大上面図とを示す図2を参照されたい。基板2は、複数の電極21によって形成された格子様構造で配列される。複数の電極21は、基板2上の矩形パッチとして形成される。電極21は、4mmの幅および1mmの長さで形成される。電極21は、反対側の電極層5と協働して、電極21を直列に互いと電気的に接続するように基板2上に配列される。複数の電極21は、基板2によって互いから電気的に絶縁されており、その結果、電極21間で基板2内には直接の電気接続は形成されない。各電極21は、熱電気レッグ3、4の対を受け入れように構成され、対応付けられた熱電気レッグ3、4の対を電気的に接続する。基板2は、可撓性PCBであり、この場合、複数の電極21は、可撓性PCB上の複数のハンダパッドによって提供される。
【0055】
本発明の一実施形態によるエナジー・ハーベスタ1の断面側面図を示す図3を参照されたい。基板2は、エナジー・ハーベスタ1の低温側に配列され、よってエナジー・ハーベスタ1の使用中、基板2が任意の熱源から離れるように向くように、エナジー・ハーベスタ1を配列することが好ましい。基板2は好ましくは、複数の電極21が配列される非伝導性のベース層を備える。各電極21は、その上に配列されたN型熱電気レッグ3およびP型熱電気レッグ4を有する。電極21は、対応付けられた電極21に配列されそこに接合された対応付けられた熱電気レッグ3、4を電気的に接続する。接合剤22が、熱電気レッグ3、4を電極21に接合するのに使用される。接合剤22は、ハンダ付けに使用されるハンダ、または焼結に使用される焼結粉末であってよい。
【0056】
電極21に接合された各熱電気レッグ3、4は、基板2から反対側の電極層5に向かって進む複数の層を備える。第1の層は、基板2に最も近い層で始まっており、第1のレッグ電極31、41であり、第2の層は、第1の障壁層32、42であり、第3の層は、熱電気層33、43であり、第4の層は、第2の障壁層34、44であり、最後の第5の層は、反対側の電極層5に最も近い、第2のレッグ電極35、45である。第1のレッグ電極31、41は、熱電気レッグ3、4を基板2の電極21に電気的に接続するように機能する。第1のレッグ電極31、41は、接合剤22を介して電極21に接続される。第1の障壁層32、42は、第1のレッグ電極31、41と熱電気層33、43との間の原子の拡散を阻止する。熱電気層33、34は、熱電気層33、43にわたる温度差の結果として電流を生み出すように構成される。第2の障壁層34、44は、第2のレッグ電極35、45と熱電気層33、43との間の原子の拡散を阻止する。第2のレッグ電極35、45は、熱電気レッグ3、4を反対側の電極層5に電気的に接続するように機能する。第2のレッグ電極35、45は、接合剤51を介して反対側の電極層5に接合される。第1のレッグ電極31、41と基板2の電極21との間で使用される接合剤22は、第2のレッグ電極35、45と反対側の電極層5との間で使用されるものと同じタイプの接合剤51であってよい。複数のN型熱電気3のための電極層31、35は、複数のP型熱電気4のための電極層41、45と異なってもよい、または同じであってもよい。複数のN型熱電気3のための障壁層32、34は、複数のP型熱電気4のための障壁層42、44と異なってもよい、または同じであってもよい。
【0057】
反対側の電極層5は、異なる電極21からの熱電気レッグの対を直列に互いと電気的に接続するように機能する。反対側の電極層5は、可撓性の伝導性フォイルを備える。反対側の電極層5は、一方の電極21上のN型熱電気レッグ3から異なる電極21上に配列されたP型熱電気レッグ4まで延びるセグメントとして形成され、よって異なる電極21からの異なる熱電気レッグの対を互いと電気的に接続する。
【0058】
頂部層6が、熱電気レッグ3、4の反対側で反対側の電極層5上に配列される。頂部層6は、絶縁層61を備える。頂部層6は、熱伝導性ベース層62をさらに備える。絶縁層61は、反対側の電極層5を熱伝導性ベース層62から絶縁するように機能する。絶縁層61は、熱伝導性ベース層62上にスプレー式の窒化ホウ素層として設けられる。
【0059】
本発明の一実施形態によるエナジー・ハーベスタ1を製造するための方法100のフロー図を示す図4を参照されたい。
【0060】
方法100は、基板を設ける第1のステップ101を含み、この場合、基板は、導電性で可撓性である。方法100は、複数のN型熱電気レッグおよび複数のP型熱電気レッグを基板の頂部に配列する第2のステップ102を含む。第2のステップ102は、ピック・アンド・プレース・プロセスによって、例えば、表面実装デバイス用に構成されたピック・アンド・プレース機械によって実施されてよい。方法100は、複数のN型熱電気レッグおよび複数のP型熱電気レッグを基板に接合する第3のステップ103を含む。第3のステップ103は、熱電気レッグを基板にハンダ付けまたは焼結することによって実施されてよい。方法100は、基板の反対側で複数のN型熱電気レッグおよび複数のP型熱電気レッグ上に反対側の電極層を配列する第4のステップ104を含む。方法100は、複数のN型熱電気レッグおよび複数のP型熱電気レッグを反対側の電極層に接合する第5のステップ105を含む。第5のステップ105は、熱電気レッグを反対側の電極層にハンダ付けまたは焼結することによって実施されてよい。方法100は、反対側の電極層を分離して、複数のN型熱電気レッグおよび複数のP型熱電気レッグを直列に互いと電気的に接続する第6のステップ106を含む。第6のステップ106は、例えばレーザ切断またはブレード切断によって反対側の電極層を切断することによって実施されてよい。
【0061】
方法100は、複数のN型熱電気レッグおよび複数のP型熱電気レッグの反対側で反対側の電極層の上に絶縁層を配列するステップをさらに含んでもよい。絶縁層は、熱伝導性ベース層の上に設けられてもよい。
【0062】
本発明の特有の実施形態がここでは記載されてきた。しかしながら、当業者にとって明白であるように、いくつかの代替形態も可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 エナジー・ハーベスタ
2 基板
3、4 熱電気レッグ
5 反対側の電極層
6 頂部層
21 電極
23 基板表面
7 電気端子
22 接合剤
32、42 第1の障壁層
33、43 熱電気層
34、44 第2の障壁層
35、45 第2のレッグ電極
31、41 第1のレッグ電極
51 接合剤
61 絶縁層
62 熱伝導性ベース層
100 方法
101 方法の第1のステップ
102 方法の第2のステップ
103 方法の第3のステップ
104 方法の第4のステップ
105 方法の第5のステップ
106 方法の第6のステップ
図1a
図1b
図2
図3
図4
【国際調査報告】