(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-03
(54)【発明の名称】挿着装置、内視鏡及び使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
A61B1/00 650
A61B1/00 711
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515856
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 CN2022125753
(87)【国際公開番号】W WO2023124412
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111650823.5
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519272972
【氏名又は名称】湖南省華芯医療器械有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】戴 永義
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161GG11
4C161NN01
4C161PP19
(57)【要約】
内視鏡の技術分野に適した挿着装置(1)、内視鏡及び使用方法であって、ベース(10)及び可動部材(20)を含み、ベース(10)は中空構造であり、ベース(10)の内壁には、段差面(11)が設けられており、ベース(10)内には、固定部材(30)が固定的に取り付けられており、固定部材(30)の一端と段差面(11)との間には、弾性部材(40)を収容するための隙間が形成され、押圧部材(50)は、固定部材(30)の内壁に沿って摺動して弾性部材(40)を押動可能であり、可動部材(20)は、一端が信号線(60)に接続され、他端が支持管(70)に接続され、支持管(70)の先端は挿入対象と接続し、支持管(70)は、ベース(10)を通り抜け可能であり、可動部材(20)の少なくとも一部は、押圧部材(50)の内壁に沿って可動してベース(10)内に進入可能である。これにより、挿入対象は、任意の必要な位置でベース(10)内に固定されることができ、挿入対象の迅速かつ無段階の位置決めが実現される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿着装置(1)であって、ベース(10)及び可動部材(20)を含み、
前記ベース(10)は中空構造であり、前記ベース(10)の内壁には、段差面(11)が設けられており、前記ベース(10)内には、固定部材(30)が固定的に取り付けられており、前記固定部材(30)の一端と前記段差面(11)との間には、弾性部材(40)の固定端を収容するための隙間が形成され、押圧部材(50)は、前記固定部材(30)の内壁に沿って摺動して前記弾性部材(40)の自由端を押動可能であり、
前記可動部材(20)は、一端が信号線(60)に接続され、他端が支持管(70)に接続され、前記支持管(70)の先端は、挿入対象への接続に使用可能であり、前記支持管(70)は、前記ベース(10)を通り抜け可能であり、前記可動部材(20)の少なくとも一部は、前記押圧部材(50)の内壁に沿って可動して前記ベース(10)内に進入可能であり、
前記弾性部材(40)は環状であり、前記支持管(70)及び前記可動部材(20)は、前記弾性部材(40)を通り抜け可能であり、前記押圧部材(50)における前記弾性部材(40)から遠い端には、付勢部(52)が設けられている、ことを特徴とする挿着装置(1)。
【請求項2】
前記固定部材(30)の内壁には、位置決め溝(31)が設けられており、前記押圧部材(50)には、位置決め突起(51)が設けられており、前記位置決め溝(31)は、前記位置決め突起(51)を収容するためのものであり、前記位置決め突起(51)は、前記位置決め溝(31)内を摺動可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の挿着装置(1)。
【請求項3】
前記押圧部材(50)と、前記固定部材(30)と、前記弾性部材(40)とは、同軸に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の挿着装置(1)。
【請求項4】
前記押圧部材(50)の軸方向に沿った長さは、前記固定部材(30)の軸方向に沿った長さよりも大きい、ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の挿着装置(1)。
【請求項5】
前記ベース(10)内壁には、収容部(12)が更に設けられており、前記収容部(12)がテーパ状をなすとともに、前記収容部(12)が前記段差面(11)に接続され、前記収容部(12)は、前記弾性部材(40)の自由端を収容するためのものである、ことを特徴とする請求項1に記載の挿着装置(1)。
【請求項6】
前記可動部材(20)には、前記挿入対象に電力を供給するための電気接続部(21)が更に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の挿着装置(1)。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の挿着装置(1)の使用方法であって、
前記可動部材(20)及び前記支持管(70)がベース前記(10)に進入するとき、前記押圧部材(50)を押圧して、前記押圧部材(50)が前記弾性部材(40)を押動して変形させ、前記可動部材(20)が前記弾性部材(40)を通り抜けできるまで、前記押圧部材(50)を動かないままにするステップS10と、
前記支持管(70)及び前記可動部材(20)が前記押圧部材(50)、前記弾性部材(40)を順次に通り抜けて前記ベース(10)内に進入するステップS20と、
前記可動部材(20)を前記ベース(10)内で適切な位置になるまで調整して、前記押圧部材(50)への押圧を停止すると、前記弾性部材(40)が反発して前記可動部材(20)を係止するステップS30と、
可動部材(20)及び前記支持管(70)が前記ベース(10)から離れるとき、前記押圧部材(50)を押圧することで、前記押圧部材(50)が前記弾性部材(40)を押動して、前記可動部材(20)が移動可能になるまで変形させると、前記可動部材(20)及び前記支持管(70)を引き出せば済むステップS40とを含む、ことを特徴とする、挿着装置(1)の使用方法。
【請求項8】
内視鏡であって、ハンドル装置(2)と、請求項1~6の何れか一項に記載の挿着装置(1)とを含み、前記挿着装置(1)は、前記ハンドル装置(2)に取り付けられ、前記支持管(70)の先端における挿入対象は、前記ハンドル装置(2)内に進入可能である、ことを特徴とする内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の技術分野に関し、特に、挿着装置、内視鏡及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、人体の自然管腔又は手術により作られた小切開を通して人体内に進入可能なものであり、内視鏡は、通常、硬性や軟性管、照明及び観察構造等の部品からなる。従来技術における内視鏡は、通常、シングルユースのものであり、一度使用されると、丸ごと廃棄されて、部品のリサイクルができず、このような廃棄により、内視鏡のコストが非常に高くなる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、従来技術に存在する上記の技術問題を解決するための挿着装置、内視鏡及び使用方法を提供することを目的とし、主に以下の3つの局面を含む。
本発明の第一局面には、挿着装置であって、ベース及び可動部材を含み、
前記ベースは中空構造であり、前記ベースの内壁には、段差面が設けられており、前記ベース内には、固定部材が固定的に取り付けられており、前記固定部材の一端と前記段差面との間には、弾性部材の固定端を収容するための隙間が形成され、押圧部材は、前記固定部材の内壁に沿って摺動して前記弾性部材の自由端を押動可能であり、
前記可動部材は、一端が信号線に接続され、他端が支持管に接続され、前記支持管の先端は、挿入対象への接続に使用可能であり、前記支持管は、前記ベースを通り抜け可能であり、前記可動部材の少なくとも一部は、前記押圧部材の内壁に沿って可動して前記ベース内に進入可能である、挿着装置が提供されている。
【0004】
さらに、前記固定部材の内壁には、位置決め溝が設けられており、前記押圧部材には、位置決め突起が設けられており、前記位置決め溝は、前記位置決め突起を収容するためのものであり、前記位置決め突起は、前記位置決め溝内を摺動可能である。
【0005】
さらに、前記押圧部材と、前記固定部材と、前記弾性部材とは、同軸に設けられる。
【0006】
さらに、前記押圧部材の軸方向に沿った長さは、前記固定部材の軸方向に沿った長さよりも大きい。
【0007】
さらに、前記弾性部材は環状であり、前記支持管及び前記可動部材は、前記弾性部材40を通り抜け可能である。
【0008】
さらに、前記押圧部材における前記弾性部材から遠い端には、付勢部が設けられている。
【0009】
さらに、前記ベース内壁には、収容部が更に設けられており、前記収容部がテーパ状をなすとともに、前記収容部が前記段差面に接続され、前記収容部は、前記弾性部材の変形を収容するためのものである。
【0010】
さらに、前記可動部材には、前記挿入対象に電力を供給するための電気接続部が更に設けられており、前記電気接続部は、外部の電源に接続可能である。
【0011】
本発明の第二局面には、内視鏡であって、ハンドル装置と、第一局面に記載の挿着装置とを含み、前記挿着装置は、前記ハンドル装置に取り付けられ、前記支持管の先端における挿入対象は、前記ハンドル装置内に進入可能である、内視鏡が提供されている。
【0012】
本発明の第三局面には、第一局面に記載の挿着装置の使用方法であって、
前記可動部材及び前記支持管が前記ベースに進入するとき、前記付勢部によって前記押圧部材を押圧し、前記押圧部材が前記弾性部材を押動して変形させ、前記可動部材が前記弾性部材を通り抜けできるまで、前記押圧部材を動かないままにするステップS10と、
前記支持管及び前記可動部材が前記押圧部材、前記弾性部材を順次に通り抜けて前記ベース内に進入するステップS20と、
前記可動部材を前記ベース内で適切な位置になるまで調整して、前記付勢部への押圧を停止すると、前記弾性部材が反発して前記可動部材を係止するステップS30と、
可動部材及び前記支持管が前記ベースから離れるとき、付勢部を押圧することで前記押圧部材を押圧し、前記押圧部材が前記弾性部材を押動して、前記可動部材が移動可能になるまで変形させると、前記可動部材及び前記支持管を引き出せば済むステップS40とを含む、挿着装置の使用方法が提供されている。
【0013】
本発明は、従来技術に対して、少なくとも以下の技術的効果を有する。
(1)本発明による挿着装置は、ベース内に固定部材と、弾性部材と、押圧部材とを取り付けて三者を協働させることで、挿入対象は、ベースを通り抜けて必要な部品内に進入でき、更に、弾性部材が軸方向に沿って変形できるため、挿入対象は、任意の必要な位置でベース内に固定されることができ、挿入対象の迅速かつ無段階の位置決めが実現される。
(2)本発明に設けられた弾性部材と押圧部材との協働により、挿入対象の任意位置での位置決めが実現され、構造が簡単である。
(3)挿着装置を内視鏡に取り付けて、照明ユニット及び撮像ユニットを挿入の方式で内視鏡内に取り付けることで、内視鏡が使い終わった後、ハンドル装置だけを捨てればよく、照明ユニット及び撮像ユニット付きの挿着装置を引き抜いて、リサイクルして利用することができるため、内視鏡の使用コストが大幅に削減され、且つ構造が簡単で、操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の実施例に係る技術態様をより明確に説明するために、以下、本発明の実施例又は従来技術の記述に使用される必要のある図面を簡単に紹介するが、明らかなことに、以下に記述される図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労働を払わずに、これらの図面から他の図面を得ることもできる。
【
図1】本発明における挿着装置の全体構造模式図である。
【
図2】本発明における可動部材と、支持管と、信号線との接続模式図である。
【
図3】本発明におけるベースと、弾性部材と、固定部材と、押圧部材との分解図である。
【
図4】
図1におけるA-A方向に沿った断面模式図である。
【
図7】本発明におけるベースの軸方向に沿った断面模式図である。
【
図8】本発明における可動部材内の締付部材の模式図である。
【
図9】本発明における可動部材の軸方向に沿った断面模式図である。
【
図10】本発明における固定部材の構造模式図である。
【
図11】本発明における弾性部材の構造模式図である。
【
図12】本発明における押圧部材の構造模式図である。
【
図13】本発明における電気接続部材の構造模式図である。
【
図14】本発明における内視鏡の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明では、異なる実施例や例が多く提供され、本発明の異なる特徴を実施するために用いられる。以下の特定の例で記述される素子及び配列方式は、本発明を簡潔に説明するために用いられ、例示的なものに過ぎず、本発明を制限するためのものではない。
【0016】
本発明の実施例の目的、技術態様及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術態様を明確かつ完全に記述するが、明らかなことに、記述される実施例は、本発明の一部の実施例であり、全部の実施例ではない。通常、本明細書の図面で記述及び図示される本発明の実施例の構成要素は、様々な形で配置及び設計されてもよい。
【0017】
そのため、図面で提供される本発明の実施例についての以下の詳細な記述は、保護を請求する本発明の範囲を制限するためのものではなく、単に本発明の選択された実施例を示すものに過ぎない。本発明における実施例に基づき、当業者によって創造的な労働を払わずに得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0018】
注意すべきこととして、同様の符号と文字は、以下の図面において同様の項目を表しているため、ある項目が1つの図面において定義されると、その後の図面においてそれをさらに定義及び解釈する必要はない。
【0019】
本発明の記述において、説明すべきなのは、「上」、「下」、「内」、「外」等の用語が現れる場合、それによって指し示される方位や位置関係は、図面に示す方位や位置関係に基づくものになるか、又は本発明の製品が使用時に通常置かれる方位や位置関係となる。これらの用語は、本発明の記述の便宜及び記述の簡略化のためのものに過ぎず、言及される装置又は素子が特定の方位を有したり、特定の方位で構造及び操作されたりしなければならないことを指示又は暗示するわけではないため、本発明に対する制限として理解されてはならない。
【0020】
さらに、「第一」、「第二」等の用語は、記述を区別するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものとして理解されてはならない。
【0021】
説明すべきなのは、矛盾しない限り、本発明の実施例における特徴は、互いに組み合わせられてもよい。
【0022】
実施例一
本発明の実施例一には、挿着装置1が提供されており、当該挿着装置1は、ベース10及び可動部材20を含む。
図1~14に示すように、前記ベース10は中空構造であり、前記ベース10の内壁には、段差面11が設けられており、前記ベース10内には、固定部材30が固定的に取り付けられており、前記固定部材30の一端と前記段差面11との間には、弾性部材40の固定端を収容するための隙間が形成され、押圧部材50は、前記固定部材30の内壁に沿って摺動して前記弾性部材40の自由端を押動可能である。
弾性部材40は、閉じた図形であり、閉じた図形は、円形、三角形、正方形、菱形等であってもよいが、ここで限定せず、且つ弾性部材40の固定端とは、隙間内に位置する端を指し、自由端とは、隙間から遠い端を指し、本実施例において、弾性部材40の固定端は外縁41であり、自由端は内縁42である。
【0023】
前記可動部材20は、一端が信号線60に接続され、他端が支持管70に接続され、前記支持管70の先端は、挿入対象への接続に使用可能であり、前記支持管70は、前記ベース10を通り抜け可能であり、前記可動部材20の少なくとも一部は、前記押圧部材50の内壁に沿って可動してベース10内に進入可能である。
【0024】
上記態様において、
図1に示すように、ベース10は、全体として円柱形をなし、ベース10の形状は、更に直方体、立方体、角柱等の他の形状であってもよいが、ここで限定しない。ベース10は中空構造であり、ベース10の内壁には、段差面11が設けられており、段差面11は、押圧部材50に近い端に設けられる。
図3及び
図4に示すように、固定部材30は、ベース10の形状に適合している。且つ固定部材30も中空構造であり、固定部材30がベース10内に固定的に取り付けられ、固定部材30の一端は、段差面11に近いが、段差面11に接触しておらず、両者の間に隙間が形成されており、当該隙間内には、弾性部材40が収容されて取り付けられており、即ち、弾性部材40は、一側が段差面11に当接し、他側が固定部材30に当接し、前記弾性部材40が何の部品にも固定的に接続されていないこととして理解されてもよい。その後、弾性部材40が損傷した場合、その取り外し及び交換が容易となるとともに、弾性部材40が部分的に変形し易くなり、弾性部材40の厚さは、前記隙間の幅以下であり、且つ隙間の幅は、異なるニーズの場合の異なる厚さの弾性部材40に適応するために、弾性部材40の厚さに応じて動的に調整可能である。押圧部材50は、固定部材30内に取り付けられ、外部の挿入対象をベース10内に挿入する必要があるとき、外力によって押圧部材50を押圧して、押圧部材50に軸方向の外力を加えることで、押圧部材50が固定部材30の内壁に沿って摺動する。
図11に示すように、押圧部材50の先端が弾性部材40の内縁42に当接して、内縁42を押動して軸方向に変形させると、貫通孔43の直径が大きくなり、支持管70及び前記可動部材20の一部が順次に押圧部材50及び弾性部材40の貫通孔43を通してベース10内に進入し、ベース10を通して挿入対象を挿入部材内に挿入することが可能となる。
【0025】
図2に示すように、可動部材20の一端が信号線60に接続される。これは、可動部材20の一端が信号線に直接接続されることとして理解されてもよいし、可動部材20の一端が、信号線を含む信号管に接続されることとして理解されてもよいが、ここで限定しない。可動部材の他端が支持管70に接続される。支持管70の先端には、挿入対象が接続されており、支持管70は、挿入対象を支持する役割を果たす。挿入対象を所定の位置までスムーズに搬送するか、又は挿入対象を引き抜いて、複数回使用されるようにリサイクルするためのものである。
【0026】
説明すべきなのは、挿入対象は、内視鏡の分野でのカメラやLEDであってもよいし、他の分野での装置のリサイクルを必要とする部品であってもよい。
【0027】
選択的に、前記可動部材20と、信号線60と、支持管70とは、溶接、一体成型、接着、ネジ、係着等の方式で接続されてもよいが、ここで限定しない。
【0028】
選択的に、固定部材30は、ベース10に雌ネジ及び雄ネジの方式で接続されてもよいし、嵌入係着の方式で接続されてもよく、更に、一体成型、接着、溶接等の方式で固定的に接続されてもよいが、ここで限定しない。
【0029】
以上より、本発明による挿着装置1は、ベース10内に固定部材30と、弾性部材40と、押圧部材50とを取り付けて三者を協働させることで、挿入対象は、ベース10を通り抜けて必要な部品内に進入でき、更に、弾性部材40が軸方向に沿って変形できるため、挿入対象は、任意の必要な位置でベース10内に固定されることができ、挿入対象の迅速かつ無段階の位置決めが実現される。
【0030】
さらに、前記固定部材30の内壁には、位置決め溝31が設けられており、前記押圧部材50には、位置決め突起51が設けられており、前記位置決め溝31は、前記位置決め突起51を収容するためのものであり、前記位置決め突起51は、前記位置決め溝31内を摺動可能である。
【0031】
上記態様において、
図5、
図10、
図12に示すように、固定部材30は中空構造であり、前記固定部材30の内壁には、位置決め溝31が設けられており、位置決め溝31は、弾性部材40に近い端に設けられ、押圧部材50の外壁には、位置決め溝31に対応する位置に位置決め突起51が設けられている。また、押圧部材50の先端には、縮小部が設けられており、外力によって押圧部材50が押動されると、位置決め突起51は、位置決め溝31に沿って摺動可能となり、縮小部が弾性部材40の内縁42に当接して、弾性部材40を押動して軸方向に変形させることが可能である。挿入対象が適切な位置に到達したとき、押圧部材50に加わる外力を解除すると、弾性部材40が収縮して可動部材20をロックすることで、可動部材20のベース10内での移動が停止する。
【0032】
一方、固定部材30内に設けられた位置決め溝31によれば、押圧部材50を軸方向に位置決めできるため、押圧部材50に加わる外力が変わらないままにされているとき又は外力が無くなったとき、押圧部材50が弾性部材40の反発力を受けて、固定部材30内から押圧部材50が跳ね出されることで、弾性部材40が可動部材20をロックできなくなることを回避される。
【0033】
図10に示すように、固定部材30の表面には、突起32が更に設けられている。ベース10には、突起32に対応する位置に凹溝が設けられており、突起32と凹溝32とが係着することで、固定部材30がベース10内で軸方向に位置決めされる。このため、押圧部材50の固定部材30内での移動による固定部材30の軸方向の移動が回避される。
【0034】
さらに、前記押圧部材50と、前記固定部材30と、前記弾性部材40とは、同軸に設けられる。
【0035】
上記態様において、
図4及び
図5に示すように、支持管70及び可動部材20の一部がベース10内に進入すると、前記押圧部材50が可動部材20に外嵌され、固定部材30が押圧部材50に外嵌され、弾性部材40が固定部材30及び押圧部材50の前部に位置するとともに可動部材20に外嵌される。押圧部材50と、固定部材30と、弾性部材40とが同軸に設けられることで、可動部材20、支持管70及び挿入対象は、ベース10へのスムーズな進入及び通り抜けが可能となる。
【0036】
さらに、前記押圧部材50の軸方向に沿った長さは、前記固定部材30の軸方向に沿った長さよりも大きい。
【0037】
上記態様において、
図1、
図4、
図5に示すように、押圧部材50の軸方向における長さが固定部材30の軸方向における長さよりも大きく設定されることで、押圧部材50は、固定部材30に対して摺動可能となる十分な長さを有する。また、弾性部材40を押動して必要な変形を軸方向に生じさせるために適切な長さを確保でき、もし押圧部材50の長さが固定部材30の長さ以下である場合、外力が押圧部材50を押動して摺動させ難くなり、弾性部材40の軸方向の変形量は、実際の必要量に達することができなくなる。
【0038】
説明すべきなのは、前記押圧部材50の長さは、固定部材30の長さよりも大きいことを満たせばよく、前記押圧部材50の具体的な長さは、実際のニーズに応じて設定可能であるが、ここで限定しない。
【0039】
さらに、前記弾性部材40は環状であり、前記支持管70及び前記可動部材20は、前記弾性部材40を通り抜け可能である。
【0040】
上記態様において、
図11及び
図4に示すように、弾性部材40は、外縁41と、内縁42と、貫通孔43とを含む。外縁41と内縁42とで囲まれた領域は、中空の歯形状によって構成されており、外縁41がベース10内に取り付けられると、外縁41が段差面11と固定部材30の一端とによって形成された隙間内に位置して両者に密着し、内縁42の一側が押圧部材50に当接するようになる。押圧部材50により内縁42が押動されて軸方向に移動すると、外縁41が隙間内で動かないままにされ、内縁42が軸方向に変形して、貫通孔43が大きくなり、貫通孔43の直径が可動部材20の直径よりも大きくなると、支持管70及び可動部材20が貫通孔43を通り抜けてベース10内に進入する。支持管70先端に接続される挿入対象が適切な位置に達した後に、押圧部材50への押動を停止すると、内縁42が軸方向に反発して、貫通孔43の直径が小さくなり、可動部材20がロックされる。
【0041】
さらに、前記押圧部材50における前記弾性部材40から遠い端には、付勢部52が設けられている。
【0042】
上記態様において、
図12に示すように、押圧部材50の一端には、付勢部52が設けられている。前記付勢部52の直径は固定部材30の直径よりも大きい。また、付勢部52と位置決め突起51との間には、凹溝が形成されており、押圧部材30には、凹溝に対応する位置に突起が設けられている。突起と凹溝とが協働することで、押圧部材50の軸方向の位置決めが実現され、押圧部材50により押圧中に過剰に付勢されて、付勢部52が押圧されて固定部材30内に進入してしまうことを回避される。
【0043】
説明すべきなのは、付勢部52を付勢する対象は、人力や器具等であってもよいが、ここで限定しない。
【0044】
さらに、前記ベース10内壁には、収容部12が更に設けられており、前記収容部12がテーパ状をなすとともに、前記収容部12が前記段差面11に接続される。前記収容部12は、前記弾性部材40の変形を収容するためのものである。
【0045】
上記態様において、
図5、
図6、
図7に示すように、段差面の11の下には、収容部12が設けられており、弾性部材40の外縁41は、隙間内に位置し、内縁42は、一側が押圧部材50に当接し、他側と収容部12との間に収容空間が形成されている。押圧部材50による内縁42の押動中に、内縁42は、収容空間内である程度の変形ができる。収容部12によれば、内縁42が合理的な空間内で変形することを保証され、過剰に変形して復元できなくなるか、又は変形が小さすぎて所望の効果が得られないことを回避される。
【0046】
ベース10には、出口13が更に設けられており、前記支持管70は、ベース10に進入した後に出口13を通して、挿入する必要のある部品内に進入する。
【0047】
さらに、前記可動部材20には、前記挿入対象に電力を供給するための電気接続部21が更に設けられており、前記電気接続部21は、外部の電源に接続可能である。
【0048】
上記態様において、
図2、
図9に示すように、可動部材20における支持管70に近い端には、電気接続部21が設けられており、電気接続部21には電極板が設けられており、電極板は、可動部材20内に固定的に取り付けられており、外部の電源との電気的接続を実現して、挿入対象に電力を供給するためのものである。
【0049】
選択的に、可動部材20は円柱形をなし、円柱形の外壁には、平面が設けられており、平面と外壁との間には、段差面が形成されており、前記電極板は、平面に取り付けられる。
図4、
図1に示すように、ベース10にも、対応する平面及び段差面が設けられており、可動部材20がベース10内に進入すると、段差面とベース10の内壁とが当接可能となって、可動部材20を軸方向に位置決めできる。前記平面を設けることによって、可動部材20がベース10において周方向に位置決めされ、支持管70先端における挿入対象が使用中に回動及び移動することを回避される。
【0050】
図2に示すように、可動部材20は、直径の異なる両部分からなってもよく、信号線に近い一方の部分の直径は、他方の部分の直径よりも大きく、両部分間における直径が変わる箇所には、段差面が形成され、ベース10内への可動部材20の進入中に、そこの段差面が押圧部材50に当接することになるため、可動部材20がベース10内に進入し過ぎることに起因して挿入対象の位置が目標位置を超えてしまうことが回避される。
【0051】
本実施例において、
図4、
図6、
図7、
図13に示すように、電気接続部材80が設けられており、電気接続部80は、電気接続溝14内に固定的に取り付けられ、電気接続溝14は「L」字状をなし、電気接続部材80は、第一電気接続端81及び第二電気接続端82を含む。第一電気接続端81は、外部の電源への接続のためのものであり、第二電気接続端82は、電気接続部21の電極板に当接するためのものであり、第二電気接続端82は、電極板に沿って軸方向に摺動可能である。可動部材20の移動可能範囲内で電気接続部21と電気接続部材80との電気的接続が維持されるようにし、挿入対象が通電されている状態にあるることを保証可能である。
【0052】
具体的に、第一電気接続部81は、電気接続溝14内に取り付けられ易くなるように、「L」字状に設けられるのに対して、第二電気接続部82は、「V」字状に設けられ、一端が第一電気接続部81に接続され、中間部分が電気接続部21に当接し、他端が電気接続溝14の内壁に当接し、電気接続溝14の長さは、第二電気接続部82の長さよりも大きい。
【0053】
選択的に、電気接続部材80の数は、1つ、2つ、3つ等であってもよいが、ここで限定しない。本実施例では、3つであることが好ましい。
【0054】
図8及び
図9に示すように、前記可動部材20の内壁には、電気接続部21を支持して電気接続部21を適切な範囲内に制限するための支持部材23が対称に設けられている。可動部材20には、締付部材22が設けられており、支持管70が前記可動部材20内で適切な位置にあるとき、締付部材22によって支持管70を固定締付することで、支持管70は、可動部材20内に固定的に取り付けられる。
【0055】
実施例二
本発明の実施例二には、内視鏡が提供されており、当該内視鏡は、ハンドル装置2と、実施例一に記載の挿着装置1とを含み、前記挿着装置1は、前記ハンドル装置2に取り付けられ、前記支持管70の先端における挿入対象は、ハンドル装置2内に進入可能である。
【0056】
上記態様において、
図14に示すように、本実施例によれば、挿着装置1は、内視鏡内のハンドル装置2に取り付けられており、挿着装置1内のベース10は、取り外し可能な方式でハンドル装置2に取り付けられてもよいし、一体成型の方式でハンドル装置2に取り付けられてもよい。この際、挿入対象は、撮像ユニットや照明ユニット等の個別に挿入可能な他の部品であってもよく、外力を加えて押圧部材50を押圧すると、押動弾性部材40が変形し、貫通孔43の直径が大きくなり、支持管70が順次にベース10を通り抜けてハンドル装置2内に進入し、支持管70のハンドル装置2内での位置を調整する。挿入対象が先端アセンブリ内の適切な位置まで到達したとき、押圧部材50への押圧を停止すると、弾性部材40が可動部材20をロックする。即ち、支持管70及び挿入対象をロックするようになる。先端アセンブリの先端には、封止ガラスが設けられており、使用中に挿入対象を汚染することがなく、内視鏡が使い終わると、押圧部材50を押圧して弾性部材40による可動部材20のロックを停止させ、次回の使用のために支持管70をハンドル装置2から抜き出す。
【0057】
実施例三
本発明の第三局面には、実施例一に記載の挿着装置1の使用方法が提供されており、当該使用方法は、
可動部材20及び前記支持管70がベース10に進入するとき、前記付勢部52によって前記押圧部材50を押圧して、前記押圧部材50が前記弾性部材40を押動して変形させ、前記可動部材20が弾性部材40を通り抜けできるまで、押圧部材50を動かないままにするステップS10と、
前記支持管70及び前記可動部材20が前記押圧部材50、前記弾性部材40を順次に通り抜けて前記ベース10内に進入するステップS20と、
前記可動部材20を前記ベース10内で適切な位置になるまで調整して、付勢部52への押圧を停止すると、前記弾性部材40が反発して前記可動部材20を係止するステップS30と、
可動部材20及び前記支持管70がベース10から離れるとき、付勢部52を押圧することで前記押圧部材50を押圧し、前記押圧部材50が前記弾性部材40を押動して前記可動部材20が移動可能になるまで変形させると、前記可動部材20及び前記支持管70を引き出せば済むステップS40とを含む。
【0058】
上述したのは、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するためのものではなく、本発明の精神及び原則から逸脱ことなくなされたすべての修正、均等な置換や改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0059】
1-挿着装置、10-ベース、11-段差面、12-収容部、13-出口、14電気接続溝、20-可動部材、21-電気接続部、22-締付部材、23-支持部材、30-固定部材、31-位置決め溝、32-突起、40-弾性部材、41-外縁、42-内縁、43-貫通孔、50-押圧部材、51-位置決め突起、52-付勢部、60-信号線、70-支持管、80-電気接続部材、81-第一電気接続端、82-第二電気接続端、2-ハンドル装置。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿着装置(1)であって、ベース(10)及び可動部材(20)を含み、
前記ベース(10)は中空構造であり、前記ベース(10)の内壁には、段差面(11)が設けられており、前記ベース(10)内には、固定部材(30)が固定的に取り付けられており、前記固定部材(30)の一端と前記段差面(11)との間には、弾性部材(40)の固定端を収容するための隙間が形成され、押圧部材(50)は、前記固定部材(30)の内壁に沿って摺動して前記弾性部材(40)の自由端を押動可能であり、
前記可動部材(20)は、一端が信号線(60)に接続され、他端が支持管(70)に接続され、前記支持管(70)の先端は、挿入対象への接続に使用可能であり、前記支持管(70)は、前記ベース(10)を通り抜け可能であり、前記可動部材(20)の少なくとも一部は、前記押圧部材(50)の内壁に沿って可動して前記ベース(10)内に進入可能であり、
前記弾性部材(40)は環状であり、前記支持管(70)及び前記可動部材(20)は、前記弾性部材(40)を通り抜け可能であり、前記押圧部材(50)における前記弾性部材(40)から遠い端には、付勢部(52)が設けられている、ことを特徴とする挿着装置(1)。
【請求項2】
前記固定部材(30)の内壁には、位置決め溝(31)が設けられており、前記押圧部材(50)には、位置決め突起(51)が設けられており、前記位置決め溝(31)は、前記位置決め突起(51)を収容するためのものであり、前記位置決め突起(51)は、前記位置決め溝(31)内を摺動可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の挿着装置(1)。
【請求項3】
前記押圧部材(50)と、前記固定部材(30)と、前記弾性部材(40)とは、同軸に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の挿着装置(1)。
【請求項4】
前記押圧部材(50)の軸方向に沿った長さは、前記固定部材(30)の軸方向に沿った長さよりも大きい、ことを特徴とする請求項
1に記載の挿着装置(1)。
【請求項5】
前記ベース(10)内壁には、収容部(12)が更に設けられており、前記収容部(12)がテーパ状をなすとともに、前記収容部(12)が前記段差面(11)に接続され、前記収容部(12)は、前記弾性部材(40)の自由端を収容するためのものである、ことを特徴とする請求項1に記載の挿着装置(1)。
【請求項6】
前記可動部材(20)には、前記挿入対象に電力を供給するための電気接続部(21)が更に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の挿着装置(1)。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の挿着装置(1)の使用方法であって、
前記可動部材(20)及び前記支持管(70)がベース前記(10)に進入するとき、前記押圧部材(50)を押圧して、前記押圧部材(50)が前記弾性部材(40)を押動して変形させ、前記可動部材(20)が前記弾性部材(40)を通り抜けできるまで、前記押圧部材(50)を動かないままにするステップS10と、
前記支持管(70)及び前記可動部材(20)が前記押圧部材(50)、前記弾性部材(40)を順次に通り抜けて前記ベース(10)内に進入するステップS20と、
前記可動部材(20)を前記ベース(10)内で適切な位置になるまで調整して、前記押圧部材(50)への押圧を停止すると、前記弾性部材(40)が反発して前記可動部材(20)を係止するステップS30と、
可動部材(20)及び前記支持管(70)が前記ベース(10)から離れるとき、前記押圧部材(50)を押圧することで、前記押圧部材(50)が前記弾性部材(40)を押動して、前記可動部材(20)が移動可能になるまで変形させると、前記可動部材(20)及び前記支持管(70)を引き出せば済むステップS40とを含む、ことを特徴とする、挿着装置(1)の使用方法。
【請求項8】
内視鏡であって、ハンドル装置(2)と、請求項1~6の何れか一項に記載の挿着装置(1)とを含み、前記挿着装置(1)は、前記ハンドル装置(2)に取り付けられ、前記支持管(70)の先端における挿入対象は、前記ハンドル装置(2)内に進入可能である、ことを特徴とする内視鏡。
【国際調査報告】