(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-04
(54)【発明の名称】トランスポンダ読取器具とディスペンス缶トランスポンダとを有する、ディスペンス缶のための再充填ステーション
(51)【国際特許分類】
B65B 57/10 20060101AFI20240828BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20240828BHJP
B65B 3/28 20060101ALI20240828BHJP
B67D 7/34 20100101ALI20240828BHJP
B65D 83/42 20060101ALN20240828BHJP
【FI】
B65B57/10 C
B05B9/04
B65B3/28
B67D7/34
B65D83/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565606
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-05
(86)【国際出願番号】 EP2022061905
(87)【国際公開番号】W WO2022253511
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】102021114319.5
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523401803
【氏名又は名称】ウルト インターナショナル エージー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シューバー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ロイター、ハーバート
【テーマコード(参考)】
3E014
3E083
3E118
4F033
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PA10
3E014PB01
3E014PD03
3E014PD21
3E014PE14
3E014PF07
3E014PF10
3E083AA15
3E083AA16
3E083AA17
3E083AA20
3E083AB15
3E083AB20
3E083AC19
3E083AD01
3E083AD15
3E083AD17
3E118AA02
3E118AB14
3E118BA08
3E118BB15
3E118BB16
3E118BB21
3E118CA10
3E118DA02
3E118DA03
3E118EA01
3E118FA08
3E118FA11
4F033RA02
4F033RB06
4F033RC01
4F033RC03
4F033RC15
(57)【要約】
再充填ステーション(100)において、作用物質で再充填されるべきディスペンス缶(104)を受容するための受容装置(102)と、ディスペンス缶(104)に取り付けられたディスペンス缶トランスポンダ(108)のディスペンス缶関連データを、ディスペンス缶(104)が受容装置(102)に取り付けられているときに選択的に読み取るためのトランスポンダ読取器具(106)と、読み取られたディスペンス缶関連データをベースとして、作用物質でのディスペンス缶(104)の再充填を制御するための制御デバイス(110)とを有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再充填ステーションにおいて、
作用物質で再充填されるべきディスペンス缶を受容するための受容装置と、
前記ディスペンス缶に取り付けられたディスペンス缶トランスポンダのディスペンス缶関連データを、前記ディスペンス缶が前記受容装置に取り付けられているときに選択的に読み取るためのトランスポンダ読取器具と、
読み取られたディスペンス缶関連データをベースとして、作用物質での前記ディスペンス缶の再充填を制御するための制御デバイスと、
を有する、再充填ステーション。
【請求項2】
前記トランスポンダ読取器具は、作用物質を提供するための作用物質容器に割り当てられた作用物質容器トランスポンダの作用物質容器関連データを読み取るために構成され、
前記制御デバイスは、読み取られた作用物質容器関連データをベースとして、前記作用物質容器トランスポンダに割り当てられた作用物質容器からの作用物質での前記ディスペンス缶の再充填を制御するために構成される、請求項1に記載の再充填ステーション。
【請求項3】
前記トランスポンダ読取器具は、前記作用物質容器トランスポンダが利用者によって前記再充填ステーションのハウジングに事前決定された領域で取り付けられているときに、または提示されたときに、作用物質容器関連データを選択的に読み取るために構成される、請求項2に記載の再充填ステーション。
【請求項4】
前記制御デバイスは、読み取られたディスペンス缶関連データおよび/または読み取られた作用物質容器関連データが前記ディスペンス缶と作用物質との適合性を示しているときにのみ、および/または作用物質と前記再充填ステーションとの適合性を示しているときにのみ、作用物質での前記ディスペンス缶の再充填を許容するように構成される、請求項1に記載の再充填ステーション。
【請求項5】
ディスペンス缶関連データおよび/または作用物質容器関連データを表示するための表示デバイスを有する、請求項1に記載の再充填ステーション。
【請求項6】
ディスペンス缶関連データは、
前記ディスペンス缶を識別および/または特徴付けするためのデータ、
前記ディスペンス缶の利用者を識別するためのデータ、
前記ディスペンス缶へ再充填するための作用物質を識別および/または特徴付けするためのデータ、
前記ディスペンス缶に再充填されるべき作用物質の量を表すためのデータ、
からなる群のうち少なくとも1つを有する、請求項1に記載の再充填ステーション。
【請求項7】
作用物質容器関連データは、
前記作用物質容器を識別および/または特徴付けするためのデータ、
前記作用物質容器の中の作用物資を識別および/または特徴付けするためのデータ、
前記作用物質容器の中の作用物質の充填量を表すためのデータ、
からなる群のうち少なくとも1つを有する、請求項2に記載の再充填ステーション。
【請求項8】
次の各構成要件、すなわち、
前記トランスポンダ読取器具が最大でも10cm、特に最大でも5cmの可読距離を有すること、
前記トランスポンダ読取器具が、発火性の作用物質の存在のもとでさえ前記再充填ステーションでの静電放電に対して防護をする出力制限および/またはケーシングを有すること、
のうち少なくとも1つを有する、請求項1に記載の再充填ステーション。
【請求項9】
前記受容装置は、作用物質容器から、前記受容装置に受容された前記ディスペンス缶へと作用物質を供給するための作用物質供給デバイスと、および/またはガスリザーバから、前記受容装置に受容された前記ディスペンス缶へと圧縮ガスを供給するための圧縮ガス供給デバイスと、リンクされており、またはリンク可能である、請求項1に記載の再充填ステーション。
【請求項10】
前記制御デバイスは前記ディスペンス缶に再充填された作用物質の量を判定するように構成される、請求項1に記載の再充填ステーション。
【請求項11】
前記制御デバイスは前記ディスペンス缶の再充填プロセスの回数を判定するように構成される、請求項1に記載の再充填ステーション。
【請求項12】
前記制御デバイスは、再充填プロセスの前の前記ディスペンス缶の中の作用物質の残存量を判定し、前記ディスペンス缶の過剰充填を回避するために以後の再充填プロセスを制御するように構成される、請求項1に記載の再充填ステーション。
【請求項13】
前記制御デバイスは、現在使用されている作用物質容器の残存充填量が事前決定された閾値よりも低下していることを前記制御デバイスおよび/または秤が認識したときに、作用物質を含む作用物質容器の追加注文をリリースするように構成される、請求項1に記載の再充填ステーション。
【請求項14】
前記受容装置での前記ディスペンス缶の重量について指標となる情報を再充填プロセスの前および/または再充填プロセスの途中に検出するための秤を有し、
前記制御デバイスは、検出された情報をベースとして、作用物質による前記ディスペンス缶の再充填を制御するように構成される、請求項1に記載の再充填ステーション。
【請求項15】
前記トランスポンダ読取器具はRFID読取器具として、特に125kHzの動作周波数を有するRFID読取器具として、またはNFC読取器具として、構成される、請求項1に記載の再充填ステーション。
【請求項16】
再充填機構において、
請求項1から15のいずれか1項に記載の再充填ステーションと、
受容装置に取付可能な、または取り付けられた、ディスペンス缶が前記受容装置に取り付けられているときにトランスポンダ読取器具によって選択的に読出可能であるディスペンス缶関連データが保存されたディスペンス缶トランスポンダを有するディスペンス缶と、を備えている、再充填機構。
【請求項17】
作用物質を含み、前記ディスペンス缶を再充填するための作用物質を提供するために前記受容装置とリンクされた、またはリンク可能である、作用物質容器を有する、請求項16に記載の再充填機構。
【請求項18】
前記作用物質容器は作用物質容器トランスポンダを付与されており、またはこれと関係付けられており、該作用物質トランスポンダには、前記トランスポンダ読取器具によって読出可能であり、特に前記作用物質容器トランスポンダが前記再充填ステーションのハウジングに事前決定された領域で取り付けられているときに、または提示されたときに、選択的に読出可能である、作用物質容器関連データが保存されている、請求項17に記載の再充填機構。
【請求項19】
前記作用物質容器トランスポンダは作用物質容器から定義されたとおりに分離可能な、任意選択として印刷を有するラベルとして、特に接着ラベルとして、構成されている、請求項18に記載の再充填機構。
【請求項20】
前記ディスペンス缶トランスポンダおよび/または前記作用物質容器トランスポンダはRFIDトランスポンダとして、特に125kHzの動作周波数を有するRFIDトランスポンダとして、またはNFCトランスポンダとして、構成されている、請求項18に記載の再充填機構。
【請求項21】
圧縮ガスを提供するために構成された、前記ディスペンス缶を再充填するための圧縮ガスを提供するために前記受容装置とリンクされている、またはリンク可能である、ガスリザーバを有する、請求項16に記載の再充填機構。
【請求項22】
前記再充填機構を制御するために前記制御デバイスと通信可能にリンクされた、アプリを有するポータブル型のユーザー端末機を有している、請求項16に記載の再充填機構。
【請求項23】
再充填ステーションを作動させる方法において、前記方法は、
再充填ステーションの受容装置に作用物質で充填されるべきディスペンス缶が受容されることと、
前記ディスペンス缶に取り付けられたディスペンス缶トランスポンダのディスペンス缶関連データが、前記ディスペンス缶が前記受容装置に取り付けられているときに前記再充填ステーションのトランスポンダ読取器具によって選択的に読み取られることと、
読み取られたディスペンス缶関連データをベースとして、前記再充填ステーションの制御デバイスによって作用物質での前記ディスペンス缶の再充填が制御されること、
とを有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再充填ステーション、再充填機構、および、再充填ステーションを作動させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再充填ステーションによって自動的に補充可能であるディスペンス缶が知られている。このような周知の再充填ステーションのひとつは、出願人WurthのREFILLO(登録商標)mat-Stationである。安全で経済的なこのシステムは、空になったディスペンス缶に作用物質と圧縮空気を自動的に補充することに依拠する。このことは、大型容器(たとえばキャニスターやドラム)からの作用物質でディスペンス缶を充填することを可能にする。そのために個々の作用物質のためのディスペンス缶が、相応の再充填ステーションに押圧される。そして、作用物質と圧縮空気でのディスペンス缶の充填が所定の比率で行われる。ディスペンス缶と、これに対応する作用物質との取り違えを排除するために、缶受容部は機械式にコーディングされており、それにより、正しいディスペンス缶だけを正しい缶受容部へ機械的に取り付けることができる。それにより機械的に適合するディスペンス缶だけを、対応する再充填ステーションで使用することができる。このようにして、状況によっては危険のある、作用物質とディスペンス缶の取り違えが機械式に抑止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、誤使用に対していっそう高い信頼性を有する再充填ステーションを提供することにある。
【0004】
この課題は、独立請求項に記載の構成要件を有する対象物によって解決される。その他の実施例は従属請求項に示されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施例では、作用物質で再充填されるべきディスペンス缶を受容するための受容装置と、ディスペンス缶が受容装置に取り付けられているときに、ディスペンス缶に取り付けられたディスペンス缶トランスポンダのディスペンス缶関連データを読み取るためのトランスポンダ読取器具と、読み取られたディスペンス缶関連データをベースとして。作用物質でのディスペンス缶の再充填を制御するための制御デバイスとを有する再充填ステーションが提供される。
【0006】
本発明の別の実施例では、上で説明した構成要件を有する再充填ステーションと、ディスペンス缶が受容装置に取り付けられているときにトランスポンダ読取器具によって読出可能であるディスペンス缶関連データが保存されたディスペンス缶トランスポンダを有する、受容装置に取付可能な、または取り付けられた、ディスペンス缶とを有する再充填機構が提供される。
【0007】
本発明のさらに別の実施例では、再充填ステーションを作動させる方法が提供され、この方法は、作用物質で再充填されるべきディスペンス缶が再充填ステーションの受容装置に受容されることと、ディスペンス缶が受容装置に取り付けられているときに、ディスペンス缶に取り付けられたディスペンス缶トランスポンダのディスペンス缶関連データが再充填ステーションのトランスポンダ読取器具によって読み取られることと、読み取られたディスペンス缶関連データをベースとして、再充填ステーションの制御デバイスによって作用物質でのディスペンス缶の再充填が制御されることとを有する。
【0008】
本件出願の枠内において「再充填ステーション」とは、特に、少なくとも部分的に空になった、再充填ステーションと機械的および流体的にリンク可能なディスペンス缶を、接続されるべき作用物質容器からの作用物質で再充填するために構成された機器であると理解することができる。したがって再充填ステーションは、再充填されるべき作用物質を提供するための容器と、再充填されるべきディスペンス缶との間の流体接続を提供することができ、ならびに任意選択として、再充填されるべき圧縮ガスをディスペンス缶に提供するために構成されていてよい。
【0009】
本件出願の枠内において「受容装置」とは、特に機械的および流体的なアダプタであって、再充填されるべきディスペンス缶を特に形状接合式に受容するために構成され、受容された状態のときに作用物質および/または圧縮ガスをディスペンス缶へ提供することができるものであると理解することができる。機械的なアダプタ機能をさらに超えて、受容装置は、作用物質を含む容器と、作用物質で再充填されるべきディスペンス缶との間の流体接続を提供するための流体的なアダプタとしても機能することができる。
【0010】
本件出願の枠内において「ディスペンス缶」(たとえばスプレー缶として構成される)とは、特に利用者により取扱可能な缶であって、好ましくは液体の作用物質を吐出するため(特にスプレー霧を噴射するため、または作用物質ジェット、泡、もしくはジェルの形態の作用物質を吐出するため)に構成されたものであると理解することができる。このような作用物質はディスペンス缶の内部で圧力のもとにあり、ディスペンス缶の中の加圧ガスまたはプロペラントガス(たとえばプロパン、ブタン、圧縮空気、二酸化炭素、ヘリウム、または窒素)を、ディスペンス缶からの作用物質の吐出のために利用することができる。ノズルによって、1つまたは複数の内容物質(特に作用物質または作用物質・プロペラントガス・混合物)を噴射缶から噴出し、噴霧化し、および/またはその他の形態で吐出することができる。噴射缶の中にある媒体は、特にエアロゾルとして、スプレー缶から噴出することができる。
【0011】
本件出願の枠内において「作用物質」とは、特に、ディスペンス缶から噴出された状態でディスペンス缶の本来の機能を提供する媒体であると理解することができる。そのような作用物質は、液体、ジェル、粘性媒体、および/またはガスを有していてよく、任意選択として固体粒子を有する。たとえばこのような作用物質は、洗浄剤(たとえばブレーキ洗浄剤)、錆取り剤、メンテナンスオイル、シリコーンスプレー、窓ガラス洗浄剤、リークテスタ媒体、溶接スプレーなどであり得る。再充填ステーションで、このような作用物質を容器(たとえばキャニスター)から、再充填されるべきディスペンス缶へと再充填することができる。
【0012】
本件出願の枠内において「制御デバイス」とは、特に、ディスペンス缶への作用物質の再充填のプロセスを制御し、特に定義された方式で許容し、またはエラー発生時に阻止するデバイスであると理解することができる。特にこのような制御デバイスは、意図および/または実行される再充填プロセスに関して提供される情報を評価して、再充填プロセスを場合により実行し、適合化し、制限し、拡張し、または実行不可能にする、少なくとも1つのプロセッサおよび/またはプロセッサの一部を有することができる。特に制御デバイスは、この目的のために再充填ステーションの個々のコンポーネントを制御またはコントロールする。
【0013】
本件出願の枠内において「トランスポンダ」とは、特に、ワイヤレス式の通信、監視、および/または制御のための器具であって、ワイヤレス信号を受信し、これに対して自動的に応答することができるものであると理解することができる。トランスポンダはアクティブまたはパッシブであってよい。アクティブトランスポンダはそれ自体でエネルギーを供給する。アクティブトランスポンダにはたとえばバッテリが内蔵されていてよく、または、アクティブトランスポンダは外部の電力網に接続されていてよい。パッシブトランスポンダは独自のエネルギー源を有さず、通信のために用いるエネルギーをトランスポンダ読取器具の電磁場から調達する。トランスポンダの例は、RFID(Radio Frequency Identification Tag)トランスポンダ、NFC(Near Field Communication)トランスポンダ、WLAN(Wireless Local Area Network)トランスポンダ、ブルートゥース(登録商標)トランスポンダ、ZigBee(登録商標)トランスポンダなどである。1Dコードまたは2Dコードのための光学スキャナも、同じく意図することができる。
【0014】
本件出願の枠内において「ディスペンス缶トランスポンダ」とは、特に、物理的にディスペンス缶と結合され、論理的にディスペンス缶と関係付けられるトランスポンダであると理解することができる。したがってディスペンス缶トランスポンダは、関係付けられたディスペンス缶に構造的および機能的に割り当てられる。したがってディスペンス缶トランスポンダのディスペンス缶関連データは、付属するディスペンス缶への関連付けを有する。
【0015】
本件出願の枠内において「トランスポンダ読取器具」とは、特に、トランスポンダの識別記号をワイヤレス式に読み出すために構成された器具であると理解することができる。トランスポンダと読取器具との間での通信可能な付属のリンクは、トランスポンダ読取器具により生成される(たとえば到達範囲の短い交番磁界や高周波のラジオ波の形態の)電磁放射によって行うことができる。それに伴ってデータを伝送できるだけでなく、トランスポンダがエネルギーの供給を受けることもできる。トランスポンダ読取器具は、読取プロセスを制御するソフトウェアを含み、および場合により、通信可能な1つまたは複数の別のリンクされたシステムへのインターフェースを提供するための別のソフトウェアを含む。
【0016】
本発明の例示としての実施例では、再充填可能なディスペンス缶へ作用物質を再充填するための再充填ステーションにおいて、ディスペンス缶トランスポンダは、ディスペンス缶が作用物質の再充填のために再充填ステーションの受容装置に取り付けられているときに(特にそのときにのみ、又はは選択的に)、ディスペンス缶トランスポンダを再充填ステーションのトランスポンダ読取器具によって読み出すことができるような位置で、ディスペンス缶に取り付けられる。ディスペンス缶が受容装置に取り付けられているとき、作用物質容器の作用物質への流体接続を、ディスペンス缶への作用物質の再充填のために受容装置によって形成し、作用物質をディスペンス缶へ送出することができる。限られた読取到達範囲を有するトランスポンダ読取器具が意図されていてよいのが好ましく、それにより、ディスペンス缶が受容装置に取り付けられているときに初めて、ディスペンス缶トランスポンダを読み出すためのトランスポンダ読取器具の可読距離を下回ることになる。受容装置の相応の流体インターフェースにディスペンス缶の再充填弁が組み付けられたときに初めて-すなわち、ディスペンス缶が再充填ステーションで再充填のための位置に据えられたときに-、再充填ステーションのトランスポンダ読取器具によるディスペンス缶トランスポンダの読出が可能となるように、ディスペンス缶トランスポンダをたとえば底面側に、またはディスペンス缶の底面付近に、取り付けることができるのが好ましい。それにより、再充填されるべきディスペンス缶に付属するのでないトランスポンダの誤読出を、確実に阻止することができる。ディスペンス缶トランスポンダは、たとえば再充填弁の近傍に配置することができ、または、噴射ヘッドもしくは噴射ネックに配置されていてよいのが好ましい。再充填されるべきディスペンス缶のディスペンス缶トランスポンダが読み出されることで、再充填ステーションを制御するための制御デバイスによる再充填の適正な制御のために利用することができるディスペンス缶関連データを、トランスポンダ読取器具によって読み出すことができる。特に、ディスペンス缶関連データをベースとして、それによって特徴付けられるディスペンス缶へ、当該ディスペンス缶に適する許容される作用物質だけを充填できることを保証することができる。動作安全性の観点から状況によっては危険性のある、適さない作用物質でのディスペンス缶の誤充填を、利用者の健康被害(たとえば適さないディスペンス缶でのベンジンなどの発火性の作用物質の爆発による)の回避のために、ならびにディスペンス缶の損傷またはさらに破壊の回避のために、確実に排除することができる。利用者によって受容装置および/またはディスペンス缶が機械的に不正操作されて、適さないディスペンス缶を再充填ステーションで再充填しようとした場合でさえ、再充填プロセスの開始前に、システムとディスペンス缶との適合性がディスペンス缶トランスポンダによってチェックされる。トランスポンダによって読み出されるデータを参照して、再充填ステーションとは不適合である作用物質をディスペンス缶に充填しようとしていることを認識することも可能である(たとえばそれが当該再充填ステーションにとって腐食特性を有しているため)。このように本発明の各実施例は、良好な動作安全性を提供する。ディスペンス缶が再充填されるとき、それに関して正しい作用物質を使用できることや、耐久安全性が与えられること等が保証されるからである。
【0017】
以下において再充填ステーション、再充填機構、および本方法の、追加の例示としての実施例について説明する。
【0018】
例示としての実施例では、トランスポンダ読取器具は、作用物質を提供するための作用物質容器に割り当てられた作用物質容器トランスポンダの作用物質容器関連データを読み取るために構成することができ、制御デバイスは、読み取られた作用物質容器関連データをベースとして、作用物質容器トランスポンダに割り当てられた作用物質容器からの作用物質でのディスペンス缶の再充填を制御するために構成されていてよい。相応の方式で作用物質容器が、作用物質容器関連データが保存された作用物質容器トランスポンダを付与されていてよく、またはこれと関係付けられていてよい。上で説明したディスペンス缶トランスポンダに追加して、ディスペンス缶を再充填するための作用物質を提供するための作用物質容器にも、作用物質容器トランスポンダを割り当てることができるのがきわめて好ましい。作用物質容器トランスポンダは、作用物質容器および/またはその中に含まれる作用物質を特徴付けるデータを含むことができ、または保存することができる。たとえば作用物質容器関連データは、どのような作用物質(たとえばブレーキ洗浄剤)が作用物質容器に含まれているか、および/または作用物質容器がどのような特性を有するか(たとえば収容能力、作用物質の残存充填量)を表すことができる。作用物質容器関連データが制御デバイスに供給されると、制御デバイスはディスペンス缶データと照合をすることで、作用物質容器から提供される作用物質がディスペンス缶と適合的であるかどうか、特に、所定の安全性基準を充足するかどうかをチェックすることができる。適合する缶トランスポンダと作用物質容器トランスポンダは、たとえば再充填ステーションがその作用物質について使用許容されていない場合には、再充填につながらない。その場合にはエンドユーザによって、別の作用物質に合わせて再充填ステーションをコーディング変更することはできない。
【0019】
例示としての実施例では、トランスポンダ読取器具は、作用物質容器トランスポンダが利用者により再充填ステーションのハウジングに事前決定された領域で取り付けられているときに、または提示されたときに、作用物質容器関連データを選択的に読み取るために構成されていてよい。相応の方式で作用物質容器は、作用物質容器トランスポンダが再充填ステーションのハウジングに事前決定された領域で取り付けられているときに、または提示されたときに、トランスポンダ読取器具によって選択的に読出可能である作用物質容器関連データが保存された作用物質容器トランスポンダを付与されていてよく、またはこれと関係付けられていてよい。作用物質容器トランスポンダは、作用物質容器トランスポンダが事前定義された、再充填ステーションのハウジングの(特に利用者のために相応に識別表示された)位置に取り付けられているときに、特にそこに貼り付けられたときに、初めて再充填ステーションのトランスポンダ読取器具の可読距離内に入るのが特別に好ましい。その場合、再充填ステーションの周辺領域にある他のトランスポンダの誤読出を回避することができる。利用者は、そのような作用物質容器トランスポンダを付属の作用物質容器から取り外し、たとえば再充填ステーションの相応に識別表示されたハウジング面に取り付けて、トランスポンダ読取器具による読出を可能にする。
【0020】
本発明の例示としての実施例では、各々の作用物質容器トランスポンダを常に1回だけ利用または使用許可できることを保証することができる。このことは高い動作安全性とプロセス安全性を保証する。
【0021】
付言しておくと、トランスポンダ読取器具は、ディスペンス缶トランスポンダと作用物質容器トランスポンダとを読み出すための共通の読取ユニットを有することができ、たとえば共通の読取コイルを含む。その代替としてトランスポンダ読取器具が、たとえば第1の読取コイルを含む、受容装置に配置されたディスペンス缶トランスポンダを読み出すための第1の読取ユニットと、これから分離された、たとえば第2の読取ユニットを含む、再充填ステーションのハウジングに取り付けられた作用物質容器トランスポンダを読み出すための第2の読取ユニットとを有することができることも可能である。
【0022】
例示としての実施例では、制御デバイスは、読み取られたディスペンス缶関連データおよび/または読み取られた作用物質容器関連データが作用物質とディスペンス缶との適合性を表しているときにのみ、作用物質でのディスペンス缶の再充填を許容するように構成されていてよい。たとえばディスペンス缶関連データは、付属のディスペンス缶がどのような作用物質に適しているかを表すことができる。作用物質容器関連データは、提供される作用物質がどのような種類のディスペンス缶に適しているかを表すことができる。ディスペンス缶関連データを作用物質容器関連データと照合することは、エラーロバストな再充填動作を可能にする。
【0023】
例示としての実施例では、制御デバイスは、読み取られたディスペンス缶関連データおよび/または読み取られた作用物質容器関連データが再充填ステーションと作用物質との適合性を表しているときにのみ、作用物質でのディスペンス缶の再充填を許容するように構成されていてよい。たとえば再充填ステーションは、特定の(たとえば腐食性の)作用物質とは不適合であり得る。読み取られたデータが、該当する再充填ステーションについて適さない特性を有する作用物質の存在を示している場合、制御デバイスは、該当する再充填ステーションでの当該作用物質によるディスペンス缶の再充填を阻止して、再充填ステーションを損傷から防護することができる。
【0024】
例示としての実施例では、再充填ステーションは、ディスペンス缶関連データおよび/または作用物質容器関連データを表示するための表示デバイスを有することができる。たとえばそのような表示デバイスは、たとえば液晶表示器などの電子表示デバイスであってよい。たとえば表示デバイスがタッチパッドとして構成されていれば、表示デバイスが利用者にユーザー入力を可能にすることも可能である。表示デバイスは、再充填ステーションのハウジングに取り付けられていてよい。表示デバイスは、充填プロセスについて利用者をガイドし、利用者によるコンフィグレーションを可能にし、および/またはディスペンス缶および/または作用物質容器のトランスポンダから読み出された情報を表示することができる。
【0025】
例示としての実施例では、ディスペンス缶関連データは、ディスペンス缶を識別および/または特徴付けするためのデータ、ディスペンス缶の利用者を識別するためのデータ、ディスペンス缶へ再充填するための作用物質を識別および/または特徴付けするためのデータ、および/またはディスペンス缶へ再充填されるべき作用物質の量を表すためのデータを有していてよい。その代替または補足としてディスペンス缶関連データは、割り当てられたディスペンス缶を、および/またはディスペンス缶に割り当てられた利用者を、特徴付けるためのその他の情報を有していてよい。
【0026】
例示としての実施例では、作用物質容器関連データは、作用物質容器を識別および/または特徴付けするためのデータ、作用物質容器の中の作用物質を識別および/または特徴付けするためのデータ、および/または作用物質容器の中の作用物質の充填量を表すためのデータを有していてよい。その代替または補足として作用物質容器関連データは、割り当てられた作用物質容器を特徴付けるためのその他の情報を有していてよい。
【0027】
例示としての実施例では、トランスポンダ読取器具は最大でも10cm、特に最大でも5cmの可読距離を有していてよい。換言するとトランスポンダ読取器具は、上記の可読距離内にあるトランスポンダだけを、すなわち最大で10cmの、好ましくは最大で5cmの、トランスポンダ読取器具の最大距離内にあるトランスポンダだけを、読み出すことができるようにコンフィグレーションされていてよい。これよりも離れているトランスポンダが誤って意図せず読み出される誤った読取プロセスを、それによって阻止することができる。上述した読取距離は、適切なトランスポンダテクノロジー(特にRFIDテクノロジー、さらには特に低い周波数を有するもの(たとえば125kHz-LF-トランスポンダ))を選択することで、および/またはトランスポンダ読取器具のための励起エネルギーを選択することで、調整することができる。
【0028】
例示としての実施例では、トランスポンダ読取器具は、発火性の作用物質の存在のもとでさえ再充填ステーションでの静電放電から防護をする、すなわちESD(electrostatic discharge)防護を保証する、出力制限および/またはケーシングを有することができる。たとえばディスペンス缶の再充填中にホースを貫流するときの作用物質の摩擦の結果として帯電が起こることがあり、これが特に(たとえばベンジンを有する)発火性の作用物質の使用時に、動作安全性に関わるチャレンジにつながる可能性がある。したがって、火花形成あるいはさらに爆発傾向を排除するために、トランスポンダ読取器具を低エネルギー領域で作動させることができる。再充填ステーションでの的確な接地も、ESD防護をいっそう改善することができる。このことは同時に、それによってトランスポンダ読取器具の可読距離も短く抑えられるという利点につながり、このことは、ひいては誤った読取プロセスの危険性を低減する。
【0029】
例示としての実施例では、受容装置は、作用物質容器から受容装置に受容されたディスペンス缶へ作用物質を供給するための作用物質供給デバイスと、および/またはガスリザーバから受容装置に受容されたディスペンス缶へ圧縮ガスを供給するための圧縮ガス供給デバイスと、リンクされていてよく、またはリンク可能であってよい。たとえば供給デバイスはホースを有していてよい。このようなホース等は、作用物質と圧縮ガスの供給の時間的な順序を制御するために、1つまたは複数の適切な流体弁を介して受容装置と流体的にリンクさせることができる。
【0030】
例示としての実施例では、制御デバイスはディスペンス缶に再充填された作用物質の量を判定するように構成される。そのような情報は、動作データおよび/またはセンサで検出された再充填ステーションのデータから、制御デバイスによって導き出すことができる。
【0031】
例示としての実施例では、制御デバイスはディスペンス缶の再充填プロセスの回数を判定するように構成されていてよい。たとえば、そのためにディスペンス缶の再充填プロセスのたびにカウンタをインクリメンタルに増やしていくことができる。それにより、たとえば制御デバイスに割り当てられる再充填ステーションのデータバンクで、および/またはディスペンス缶トランスポンダで、ディスペンス缶の利用者に割り当てられる作用物質の消費量も記録して保存しておくことができる。このようにしてディスペンス缶をパーソナライズすることができ、すなわち、利用者(たとえば組立工)に割り当てることができる。さらにそれによって、たとえばディスペンス缶の摩耗の観点から動作安全性を保証するために、ディスペンス缶の補充プロセスの最大の回数を制限することが可能である。
【0032】
例示としての実施例では、制御デバイスは、ディスペンス缶の中の作用物質の残存量を再充填プロセスの前に判定し、ディスペンス缶の過剰充填を回避するために、後続する再充填プロセスを制御するように構成されていてよい。このことは、たとえば受容装置の領域に配置されていてよく、(特にディスペンス缶トランスポンダから読み出されたディスペンス缶関連データによって特徴付けられる)ディスペンス缶での作用物質の残存充填量を補充の前に判定することができる、秤を用いて行うことができる。それにより、ディスペンス缶の過剰充填や損傷を回避することができ、再充填プロセスを確実に制御することができる。
【0033】
例示としての実施例では、制御デバイスは、現在使用されている作用物質容器の残存充填量が事前決定された閾値よりも低下していることを制御デバイスおよび/または秤が認識したときに、作用物質を含む作用物質容器の追加注文をリリースするように構成されていてよい。たとえば作用物質容器に割り当てられた作用物質容器トランスポンダの読み出された作用物質容器関連データをベースとして、作用物質源としての作用物質容器を使用した補充プロセスと補充量の計数との組み合わせで、制御デバイスは、作用物質のどれだけの残存量が作用物質容器に含まれているかを判定することができる。作用物質容器の中の作用物質の残存量が、設定可能な閾値(特に特定の残存容積、特定の残存重量、または特定のパーセンテージの残存充填量)よりも低下すると、再充填ステーションは、たとえば通信ネットワークを介して、新しい作用物質を含む作用物質容器の追加注文をリリースすることができる。それにより、それまで使用していた作用物質容器が空になる前に新しい作用物質容器が適時に届いて、再充填ステーションに取り付けることができることを保証することができる。
【0034】
例示としての実施例では、再充填ステーションは、受容装置にあるディスペンス缶の重量について指標となる重量情報を再充填プロセスの前および/または再充填プロセスの途中に検出するための秤を有することができ、制御デバイスは、検出された重量情報をベースとして、作用物質によるディスペンス缶の再充填を制御するように構成されていてよい。たとえばこのような秤は天秤として構成することができ、ディスペンス缶が再充填の前にどれだけの残存充填量を有しているかを判定することができる。このような情報をベースとして再充填プロセスを正確に制御することができ、過剰充填を回避することができる。
【0035】
例示としての実施例では、トランスポンダ読取器具はRFID読取器具として、特に125kHzの動作周波数を有するRFID読取器具として、またはNFC読取器具として、構成されていてよい。相応の方式で、ディスペンス缶トランスポンダおよび/または作用物質容器トランスポンダもRFIDトランスポンダとして、特に125kHzの動作周波数を有するRFIDトランスポンダとして、またはNFCトランスポンダとして、構成されていてよい。上記の低い動作周波数と組み合わされるRFIDテクノロジーは、十分に低い可読距離の調節、およびこれに伴って遠く離れたRFIDタグの誤った読取プロセスの厳密な回避を可能にする。その代替として、適用されるトランスポンダテクノロジーは近距離無線通信であってもよい。
【0036】
例示としての実施例では、再充填機構は、作用物質を含み、ディスペンス缶を再充填するための作用物質を提供するために受容装置とリンクされた、またはリンク可能である、作用物質容器を有することができる。このような作用物質容器は、たとえば5 lから100 lの範囲内の、特に5 lから80 lの範囲内の作用物質の、収容容積を有する、たとえばキャニスターまたはドラムであってよい。
【0037】
例示としての実施例では、作用物質容器トランスポンダは、作用物質容器から定義されたとおりに分離可能なラベルとして、特に接着ラベルとして、構成されていてよい。このようなラベルは印刷を有するのが好ましい。換言すると、作用物質容器に割り当てられる作用物質容器トランスポンダは接着ラベルに取り付けられていてよく、これを利用者が作用物質容器から剥がして、特に再充填ステーションのハウジングに作用物質容器トランスポンダを提示するか、または取り付けることによって、再充填ステーションのトランスポンダ読取器具の可読距離内に入れることができる。利用者は、作用物質容器トランスポンダを有する接着ラベルを、相応に識別表示されている領域で、再充填ステーションのハウジングの外面に貼り付けることによって、作用物質容器トランスポンダをトランスポンダ読取器具の可読距離に入れることができるのが好ましい。このような非常に直感的な利用者行為によって、読取プロセスが的確かつエラーロバストにリリースされる。製造者から利用者または消費者への作用物質容器のロジスティクスを簡易化するために、マルチラベル(すなわち1Dコード、2Dコード、および/または3Dコードが印刷されたRFIDトランスポンダ)の利用が好ましい。それにより、再充填ステーションでの使用許可プロセスだけでなく、内部的および外部的な商品プロセスも具体化することができる。
【0038】
例示としての実施例では、再充填機構は、圧縮ガスを提供するために構成され、ディスペンス缶を再充填するための圧縮ガスを提供するために受容装置とリンクされた、またはリンク可能である、ガスリザーバを有することができる。このようなガスリザーバはたとえば加圧ガス容器であってよく、または加圧ガス配管への接続部であってよい。圧縮ガスが恒常的に内蔵され、作用物質が吐出されるときにディスペンス缶から漏れ出ることがないBoV(Bag-on-Valve)ディスペンス缶としてディスペンス缶が構成されている場合には、ディスペンス缶へ圧縮ガスを再充填するための圧縮ガスリザーバは不要となり得る。
【0039】
例示としての実施例では、再充填機構は、再充填機構を制御するために制御デバイスと通信可能にリンクされる、アプリを有するポータブル型のユーザー端末機を有することができる。たとえば利用者はその移動無線機から再充填ステーションを制御し、制御デバイスに制御コマンドを送ることもできる。
【0040】
次に、本発明の例示としての実施例について、以下の図面を参照しながらさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションと、作用物質容器と、ディスペンス缶とを有する再充填機構を示す。
【
図2】
図2は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションを作動させる方法を表すフローチャートを示す。
【
図3】
図3は、追加注文装置と通信可能にリンクされた、本発明の例示的な実施例に基づく複数の再充填機構を有するシステムを示す。
【
図4】
図4は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションと、作用物質容器と、ディスペンス缶とを有する再充填機構でのマテリアルフローを示す。
【
図5】
図5は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションの受容装置を示す。
【
図6】
図6は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填機構のディスペンス缶の底面を示す。
【
図7】
図7は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションの裏面を示す。
【
図8】
図8は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填機構でディスペンス缶を再充填するためのメカニズムを示す。
【
図9】
図9は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションと、作用物質容器と、ディスペンス缶とを有する再充填機構での通信接続を示す。
【
図10】
図10は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションと、作用物質容器と、ディスペンス缶とを有する再充填機構での制御ロジックを示す。
【
図11】
図11は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションのトランスポンダ読取器具の各コンポーネントを示す。
【
図12】
図12は、本発明の例示的な実施例に基づくディスペンス缶トランスポンダを示す。
【
図13】
図13は、本発明の例示的な実施例に基づく、剥離・接着ラベルとして構成された作用物質容器トランスポンダを示す。
【
図14】
図14は、本発明の例示的な実施例に基づく、ハウジングに取り付けられたキーのない表示デバイスを有する再充填ステーションを示す。
【
図15】
図15は、本発明の例示的な実施例に基づく、ハウジングに取り付けられたキーのある表示装置を有する再充填ステーションを示す。
【
図16】
図16は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーションの制御デバイスと通信可能にリンクされたポータブル型のユーザー端末機を示す。
【0042】
異なる図面の同一または類似のコンポーネントには、同じ符号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図面を参照して本発明の例示的な実施例を記述する前に、本発明の実施例のいくつかの一般的な側面についてさらに説明しておく。
【0044】
本発明の各実施例では、容器(たとえば20 lキャニスターや60 lドラム)からの作用物質を利用してディスペンス缶を充填又は再充填する、再充填ステーションが提供される。このディスペンス缶は、たとえば下面に充填弁を有するエアロゾル缶であってよい。さらにディスペンス缶の下面に、再充填ステーションの受容装置の相応の形状に対応する機械的なコーディングが構成されていてよい。それに加えてディスペンス缶はその上面に、作用物質又は媒体をディスペンス缶から吐出するための噴射弁を有することができる。
【0045】
充填ステーションは容器との流体接続部を有することができ、そこから作用物質が、再充填されるべきディスペンス缶へと充填される。たとえばこのような流体接続部は、再充填ステーションの容器から作用物質又は媒体をディスペンス缶へ供給するために、ホースによって構成されていてよい。このようなホースはESD減衰型(ESD=electrostatic discharge、静電放電)であるのが好ましい。特に再充填ステーションは、機械的に適合するようにコーディングされたディスペンス缶だけを相応の再充填ステーションにセットできるようにするために、機械的なコーディングを有するディスペンス缶のための受容装置または装着デバイスを有することができる。さらに受容装置には、ディスペンス缶をその充填中に受容装置で保持するために、係止部が設けられていてよい。ディスペンス缶は、ディスペンス缶と受容装置との間の適正な結合が損なわれることなしに、受容装置に対する角度位置に関わりなく、すなわち明らかにコーディングプレートの上で360°自由に、位置決め可能なように、長軸を中心として回転可能に構成されていてよいのが好ましい。任意選択として再充填ステーションは、作用物質と一緒に圧縮空気をディスペンス缶へ充填するために圧縮空気接続部を装備していてよい(圧縮空気は、たとえばどの自動車工場でも利用可能である)。充填プロセスの制御は制御デバイスによって行うことができる。たとえばディスペンス缶の充填にあたって、まず最初に作用物質、その後に圧縮媒体(たとえば圧縮空気)を送出することができる。この両者は、たとえば3方向弁によって空気圧式に制御することができる。この目的のために再充填ステーションは、作用物質を収容して定義された量の作用物質をディスペンス缶へ充填するために、シリンダ(たとえば特殊鋼シリンダまたはプラスチックシリンダ)を有するピストンを装備していてよい。
【0046】
再充填ステーションは、電気的な電位補償部に接続することができるのが好ましい。再充填のときの作用物質の摩擦が、静電気の帯電につながる可能性があるからである。たとえば棚への再充填ステーションの組付けを行うことができ、少なくとも1つの容器(たとえば、たとえば20 lの収容容積を有するキャニスター)が棚に配置されていてよい。(たとえば60 lの収容容積を有する)作用物質ドラムの上への載置部を有するように再充填ステーションを構成し、または、危険物キャビネットの中で支持荷重アダプタとして構成することも可能である。適切な電位補償をアースによって実現することができる。
【0047】
本発明の例示としての実施例では、RFIDトランスポンダまたはその他の適切なディスペンス缶トランスポンダをたとえばディスペンス缶の底面に貼り付けることができ、または、プラスチック層の下で防護してディスペンス缶に取り付けることができる。付属のディスペンス缶を作用物質で再充填しようとして、ディスペンス缶がその底面から充填ステーションの受容装置に取り付けられると、ディスペンス缶トランスポンダが再充填ステーションのトランスポンダ読取器具の可読距離に入り、したがって、トランスポンダ読取器具がディスペンス缶関連データをディスペンス缶トランスポンダから読み出すことができる。制御デバイスがこのディスペンス缶関連データをベースとしたうえで、ディスペンス缶の再充填プロセスを正しく正確に制御することができ、特に、ディスペンス缶関連データによって特徴付けられるディスペンス缶に適した許容される作用物質だけが、ディスペンス缶に充填されるように配慮することができる。ディスペンス缶の再充填のための作用物質を提供することができる作用物質容器も、トランスポンダ読取器具によって読出可能であってよい作用物質容器トランスポンダを装備していてよいのが好ましい。それにより、一方におけるディスペンス缶関連データによって特徴付けられるディスペンス缶と、他方における作用物質容器関連データによって特徴付けられる作用物質容器の作用物質との間で、照合を行うことができる。そのようにして、作用物質とディスペンス缶が、又はは作用物質と再充填ステーションが、互いに適合している場合にのみ、充填プロセスが使用許可されることを保証することができる。
【0048】
このようにディスペンス缶と再充填ステーションでのRFIDテクノロジーによって媒体安全性を保証することができ、すなわち、再充填されるべきディスペンス缶と、その中に再充填されるべき作用物質との間の適合性を保証することができる。特に、到達範囲の短い(たとえば5cmを超えない)RFID読取器具を、再充填ステーションに装備することができるのが好ましい。対応するディスペンス缶(特にエアロゾル缶)にRFIDトランスポンダを装備することができる。適用されるRFIDテクノロジーは、125kHzの低周波領域で作動させることができる。その場合、空間的な到達範囲はたとえば5cmを超えない領域に相当し得る。作用物質容器もこれに対応する方式で、別のRFIDトランスポンダを125kHzの低周波領域で作動させることができる。この別のRFIDトランスポンダの空間的な到達範囲も、たとえば同じく5cmを超えない領域に相当し得る。このことは、どのような作用物質容器が再充填ステーションに接続されているかを識別することを再充填ステーションに可能にする。作用物質容器のRFIDトランスポンダは、(スティック&ゴー・ラベルとも呼ぶことができる)剥離トランスポンダとして構成することができるのが好ましい。このような剥離トランスポンダは、RFIDトランスポンダを有する作用物質容器の上に剥離ラベルを有することができる。剥離可能であるラベルの区域は、チップを含めたRFIDトランスポンダを有する。RFIDトランスポンダとともに剥がされた区域を再充填ステーションに取り付け、または接着して、付属の作用物質容器を(特に作用物質の量および/または種類に関して)識別し、または特徴付けることができる。
【0049】
本発明の例示としての実施例では、再充填ステーションは、どれだけの量の作用物質又は媒体がディスペンス缶又はエアロゾル缶に充填されたかを検出することができる。さらに、ディスペンス缶又は作用物質容器でどれだけの回数の充填プロセスが実行されたかを検出することが可能であってよい。これに加えて、どれだけの残存量の作用物質又は媒体が、充填プロセスの前にディスペンス缶の中にあるかを検出することが可能である。作用物質容器の追加注文を、それが空になる前に適時にリリースすることができる。これに加えて、ディスペンス缶トランスポンダ又は作用物質容器トランスポンダに保存されている読み出されたデータをベースとして、ディスペンス缶と作用物質容器の作用物質との間の照合に基づき、誤用に対する防護が可能である。さらに、接続された作用物質容器の中の作用物質の残存量を検出することが可能である。特に、取り出された量を計算して、作用物質容器の中の作用物質の残存量を決定することが可能である。1つの実施例では、スプレー缶またはエアロゾル缶を利用者に割り当てることができる。これに加えて特定のスプレー缶またはエアロゾル缶について、充填プロセスの回数および/または充填された作用物質量(たとえば全部の充填プロセスを累計した最新の量)を検出および/または算出することができる。
【0050】
本発明の例示としての実施例に基づく再充填ステーションは、利用者がディスペンス缶を再充填することができるサービスステーションまたはロジスティクステーションで適用できるのが好ましい
【0051】
作用物質容器は、作用物質容器を再充填ステーションで識別するために、作用物質容器から分離可能であり再充填ステーションへ取付可能であるRFIDトランスポンダを、作用物質容器から取外し可能に有することができる。したがって再充填ステーションは、どのような作用物質が接続されているか、どれだけ多くの作用物質が作用物質容器の中にあるかを判定することができる。作用物質が再充填ステーションに適さない場合(たとえば作用物質が再充填ステーションで腐食作用をするという理由で)、再充填ステーションはその作用物質を充填しない。ディスペンス缶(特にエアロゾル缶)が媒体または作用物質に適さない場合、再充填ステーションはその媒体または作用物質を、たとえばエアロゾル缶として構成されたディスペンス缶に充填しない。
【0052】
図1は、本発明の例示としての実施例に基づく、再充填ステーション100と、作用物質容器114と、ディスペンス缶104とを有する再充填機構116を示している。再充填機構116は、全面的または部分的に空の、または空になった、ディスペンス缶104に作用物質(たとえばブレーキ洗浄剤)を充填または再充填し、割り当てられた作用物質でディスペンス缶104を簡易な方式で利用者により充填できるようにするための役目を果たす。そして作用物質を使用場所で噴出することができ、または、さらに一般的にはディスペンス缶104から吐出することができる。そしてディスペンス缶104が空になった後に、または再度空になった後に、再充填機構116でディスペンス缶104を再び新しい作用物質で充填することができ、その後も同様である。
【0053】
この目的のために再充填ステーション100は、作用物質で再充填されるべきディスペンス缶104を形状接合式および流体リンク式に受容するために、ディスペンス缶アダプタとして機能する受容装置102を有している。受容装置102は、再充填されるべきディスペンス缶104の対応する機械的なインターフェースに合わせて形状が適合化された、機械的なインターフェースを有するコーディングプレートとして構成されていてよい。このようにして、機械的に適合するディスペンス缶104だけを受容装置102に取り付けることができ、このことは誤操作がほぼ起こらないようにする。
図1には図示していないが、受容装置102に係止デバイスが取り付けられていてよく、この係止デバイスにより、受容装置102に取り付けられたディスペンス缶104を充填中に受容装置102で係止しておくことができる。このようにして、再充填のときディスペンス缶104に及ぼされる圧力または作用する力が、受容装置102からディスペンス缶104が意図せず外れることにつながるのを排除することができる。再充填の終了後、係止デバイスをディスペンス缶104から自動的に解放することができ、または利用者の操作によって、ディスペンス缶104を解放した状態へと移行させることができる。そして利用者は、再充填されたディスペンス缶104を受容装置102から取り外して、使用場所に持っていくことができる。
【0054】
さらに再充填機構116は、たとえばキャニスターやドラムとして再充填されるべき作用物質(たとえばブレーキ洗浄剤)で充填されていてよい作用物質容器114を有することができる。このように、作用物質容器114はディスペンス缶104へ充填されるべき作用物質を含んでおり、ディスペンス缶104を再充填するための作用物質を提供するために受容装置102と流体的にリンクされていてよく、またはリンク可能であってよい。
【0055】
ディスペンス缶104が-下記の説明を参照すべき
図1のものとは異なり-圧縮媒体に恒常的に含まれているBoV(Bag-on-Valve)ディスペンス缶ではない場合、再充填機構116は、圧縮ガスを提供するために構成された、受容装置102と流体的にリンクされている、またはリンク可能である、ガスリザーバ124をさらに有することができる。このようにしてガスリザーバ124により、ディスペンス缶104へ充填するための圧縮ガス(たとえば圧縮空気)を提供することができる。たとえばガスリザーバ124は圧縮ガス配管への接続部であってよく、または、負圧のもとにあるガスが中に含まれる圧縮ガスボンベであってよい。
【0056】
図1に明示しているように、図示した実施例では3方向弁として構成された少なくとも1つの弁111が、作用物質容器114と、任意選択の圧縮ガスリザーバ124と、受容装置102との間の流体接続部を形成することができる。図示するように、受容装置102は、作用物質容器114から、受容装置102で受容されているディスペンス缶104へと作用物質を供給するための作用物質供給デバイス120と流体的にリンクされていてよい。さらに受容装置102は、ガスリザーバ124から、受容装置102で受容されているディスペンス缶104へと圧縮ガスを供給するための任意選択の圧縮ガス供給デバイス122と流体的にリンクされていてよい。たとえば少なくとも1つの弁111を制御デバイス110により制御して、まず最初に作用物質だけが少なくとも部分的に空になったディスペンス缶104に充填されてから、少なくとも1つの弁111が切り換えられて、続いて圧縮ガスだけがガスリザーバ124からディスペンス缶104に充填されるようにすることができる。それにより、事前定義された量の作用物質がディスペンス缶104に充填されることを保証することができる。作用物質容器114と受容装置102の間には、作用物質を作用物質容器114から受容装置102へ、およびそこからディスペンス缶104の中へと送出するために、たとえばポンプなどの送出デバイス113が配置されていてよい。任意選択として、ガスリザーバ124と受容装置102の間にも、たとえばコンプレッサやポンプなどの送出デバイス115が配置されていてよい。
【0057】
図1は、受容装置102にディスペンス缶104が装着される様子を矢印で示している。ディスペンス缶104の底面領域でその再充填弁162の領域に、ディスペンス缶104はたとえばRFIDタグなどのディスペンス缶トランスポンダ108を装備している。上記の底面領域で、ディスペンス缶104が受容装置102に受容される。このような無接触式に通信可能なディスペンス缶トランスポンダ108は、たとえばディスペンス缶104にラベルとして貼り付けることができ、または、缶ハウジング166の表面および/または内部に取り付け、もしくは埋め込むことができる。ディスペンス缶トランスポンダ108のソリッドステートドライブにはディスペンス缶関連データが保存されていて、これは、たとえばディスペンス缶104ならびにその中に充填されるべき作用物質を識別または特徴付けすることができ、および/またはディスペンス缶104の収容容積に関する情報、ディスペンス缶104での所望の圧縮ガス特性に関する情報、ディスペンス缶104の利用者に関する情報などを含むことができる。
【0058】
受容装置102には、ディスペンス缶104に取り付けられたディスペンス缶トランスポンダ108のディスペンス缶関連データを無接触式に読み取るためのトランスポンダ読取器具106が配置されている。トランスポンダ読取器具106は、ディスペンス缶104が受容装置102に取り付けられているときにのみ、ディスペンス缶104がトランスポンダ読取器具106の読取領域内に入るような、受容装置102の領域に配置されている。それにより、トランスポンダ読取器具106のさらに遠くの周辺領域にあるディスペンス缶104の、トランスポンダ読取器具106による誤った読取プロセスが確実に阻止されることが保証されるという利点がある。この目的のために、トランスポンダ読取器具106とディスペンス缶トランスポンダ108が通信をするベースとなるトランスポンダテクノロジーは、たとえば10cm以下、特に5cm以下の到達範囲を有する短到達範囲トランスポンダテクノロジーとして構成されていてよい(たとえば短到達範囲RFIDテクノロジーとして)。それに伴い、ディスペンス缶トランスポンダ108のディスペンス缶関連データをトランスポンダ読取器具106により、ディスペンス缶104が受容装置102に取り付けられているときにのみ選択的に読み出すことができる。読み出されたデータは、トランスポンダ読取器具106から制御デバイス110に供給することができ、または、再充填ステーション100の図示しない電子式の大容量メモリに保存することができる。
【0059】
作用物質容器114も、作用物質容器トランスポンダ112が付与されていてよく(図示せず)、またはこれと関係付けられるのが好ましい。作用物質容器トランスポンダ112のソリッドステートメモリには、作用物質容器トランスポンダ112が-図示するように-再充填ステーション100のハウジング130に取り付けられているときにトランスポンダ読取器具106により選択的に読出可能である作用物質容器関連データが保存される。トランスポンダ読取器具106による作用物質容器トランスポンダ112の読出可能性を可能にするために、または簡易にするために、作用物質容器トランスポンダ112は、作用物質容器114から定義されたとおりに分離可能なラベル132として構成されていてよい。たとえばラベル132は、作用物質容器トランスポンダ112を装備する接着ラベルとして構成されていてよく、これを利用者はたとえばキャニスターとして構成される作用物質容器114から分離し、そのために意図されるハウジング130の(たとえば相応に識別表示がなされた)位置に貼り付けることができる。このような取り付けまたは貼り付けによって、またはその代替として提示によって、作用物質容器トランスポンダ112をトランスポンダ読取器具106の可読距離内に入れることができ、それにより、作用物質容器関連データをトランスポンダ読取器具106によって読み出すことができる。作用物質容器トランスポンダ112も、定義された利用者行為によって初めてトランスポンダ読取器具106の可読距離内へ移行されてから、作用物質容器関連データがトランスポンダ読取器具106によって検出できることによって、誤った作用物質容器関連データの読み出しに対する確実な防護が提供される。たとえば作用物質容器関連データは、作用物質容器114の中の作用物質に関する情報、作用物質容器114の中の充填量または残存充填量に関する情報、当該作用物質に適したディスペンス缶104または再充填ステーション100に関する情報などを含むことができる。
【0060】
制御デバイス110は、トランスポンダ読取器具106からこれに提供されるディスペンス缶関連データと作用物質容器関連データとを評価して、たとえばそれらの適合性をチェックすることができる。特に制御デバイス110は、トランスポンダ読取器具106によって読み出されたデータから、作用物質容器114により提供される作用物質が、受容装置102で受容されているディスペンス缶104に適合するか否かを判定することができる。このようにして動作安全性を高めることができる。たとえば危険な(たとえばベンジンを有し、したがって発火の危険がある)作用物質に適さないディスペンス缶104が使用されるのを排除することができるからである。これに準ずる方式で、許容されない出所を起源とする作用物質が、ディスペンス缶104の再充填のために許容されることも排除することができる。利用者がディスペンス缶104の形状を不正操作して、受容装置102と流体的にリンクされている作用物質容器114の不適合性に関わりなく受容装置102に組み付けようとした場合でさえ、ディスペンス缶トランスポンダ108の読み出しによって、そのことを制御デバイス110により認識することができる。したがって、特定の作用物質に適さないディスペンス缶104の充填を、上述したトランスポンダ・コンフィグレーションによって確実に回避することができる。それにより、再充填機構116を使用するときの高い動作安全性を実現することができる。ディスペンス缶関連データと作用物質容器関連データが一致を示している場合、再充填プロセスが制御デバイス110によってリリースまたは許容され、それ以外の場合には再充填プロセスが阻止されて許容されない。
【0061】
図1は、制御デバイス110を用いて再充填機構116をユーザー側で制御するためのソフトウェアアプリを有するユーザー端末機134が、通信可能にリンクされていることをさらに示している。ユーザー端末機134は、たとえば通信ネットワーク117(たとえば移動無線ネットワークや公共のインターネット)を介して再充填ステーション100の通信インターフェース119とワイヤレス式に通信可能にリンクされていてよい移動無線機であってよい。このようにして利用者は、離れた位置からでも制御コマンドを再充填機構116に伝送することができ、または、再充填機構116の動作時に監視を行うことができる。
【0062】
さらに
図1に示すように再充填ステーション100は、たとえばディスペンス缶関連データ、作用物質容器関連データ、および/または利用者についての情報などの情報を表示するための表示デバイス118を有している。たとえば表示デバイス118は、LCD表示器またはタッチスクリーンとして構成されていてよい。再充填プロセスの前、途中、および/または後に、表示デバイス118によって付属の情報を表示デバイス118で利用者に表示することができる。
【0063】
図1に示す再充填ステーション100は、再充填プロセスの前および/または再充填プロセスの途中に受容装置102でのディスペンス缶104の重量またはこれについて指標となる重量情報を検出するために、たとえば天秤として構成される秤126を有することができるのが好ましい。再充填プロセスの前のディスペンス缶104の重量検出は、場合により存在する作用物質および/または圧縮ガスによるディスペンス缶104の残存充填量を定性的または定量的に判定し、続いて実行されるべき再充填プロセスを相応に適合化または実行することを可能にする場合により存在するディスペンス缶104の残存充填量が再充填前に考慮されることで、ディスペンス缶104の過剰充填を回避することができる。再充填プロセスの途中に、再充填されるべきディスペンス缶104の重量増加を監視して、場合により生じる過剰充填や過小充填を回避することも可能である。したがって、秤126による重量検出の結果の提供を受けることができる制御デバイス110は、検出された重量をベースとして、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を制御するように構成されていてよい。
【0064】
秤126は、ディスペンス缶104と、ディスペンス缶104の中の作用物質の残存充填量と、再充填ステーション100の一部(特に受容装置102の少なくとも1つの部分)との合計重量について指標となる合計重量情報を、再充填プロセスの前および/または再充填プロセスの途中に検出するために構成されていてよいのが好ましい。そして制御デバイス110により、検出された合計重量情報をベースとして、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を制御することができる。すなわち、ディスペンス缶104の重量だけを的確に検出することが不要になり得るという利点がある。前述した合計重量を単に検出することも可能であり、測定技術的には大幅に簡易である。その場合、重量決定プロセス中にディスペンス缶104と受容装置102とを分離することが不要になるからである。ディスペンス缶104が受容装置102に取り付けられる前に、ディスペンス缶104なしでの受容装置102の空重量が検出されることによって、受容装置102へのディスペンス缶104の取付後に秤126によって合計重量が決定されたときに、ディスペンス缶重量から区別される合計重量の残存重量を計算で差し引くことができる。
【0065】
すでに説明したとおり、再充填されるべきディスペンス缶104が受容装置102へ取り付けられた後に、制御デバイス110により、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を許容することができるのは、トランスポンダ108,112によって判定されたデータが、再充填のために受容装置102に取り付けられたディスペンス缶104と、接続された作用物質容器114から提供される作用物質との適合性を示している場合に限られる。
【0066】
その代替または補足として、作用物質でのディスペンス缶104の再充填の許容は、検出デバイス138で検出された作用物質が、事前決定された許容性基準を充足するかどうかに依存して決めることができる。許容性基準として、供給デバイス120で送出されている作用物質が、ディスペンス缶104について許容される作用物質であるか否か、および/または供給デバイス120で検出された作用物質が、ディスペンス缶104について許容されると見なされる作用物質由来を充足するか否かを適用することができる。
【0067】
図1に示すように、作用物質容器114から作用物質を供給するための作用物質供給デバイス120の検出デバイス138によって、ディスペンス缶104の再充填時に、たとえばホースとして構成される供給デバイス120を通る作用物質を特徴付けるため、および/または識別するための役目を果たす測定を実行することができる。このようにして、1つまたは複数の事前決定された許容性基準に反してディスペンス缶104の再充填に使われようとしている作用物質を認識することができる。
【0068】
たとえばディスペンス缶104の再充填のために使用許可されている作用物質に工場側で、たとえば蛍光マーカーやDNAマーカーなどの光学的に認識可能なマーカーを付与することができる。このようにして、たとえば特定のディスペンス缶104への再充填のために使用許可されている、および/または必要な品質基準を充足している、作用物質を識別表示することができる。そのような作用物質が供給デバイス120を通して送出されているとき、送出中に検出デバイス138によって、当該作用物質が事前決定された許容性基準を充足するか否かを、好ましくは光学式に検出することができる。たとえば作用物質でのディスペンス缶104の充填の許容性は、予期される蛍光信号を検出デバイス138によって光学的に検出できることに依存して決めることができる。
【0069】
検出デバイス138によって検出される、事前決定された許容性基準について指標となるデータを、制御デバイス110に供給することができる。そして制御デバイス110は、検出デバイス138で検出された作用物質が事前決定された許容性基準を充足するか否かに依存して、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を許容または拒否することができる。たとえばある作用物質をディスペンス缶104の充填のために許容することができるのは、たとえば特定の作用物質を示す、および/または許容される出所(たとえば特定の製造者)への作用物質の帰属性を示す、相応の予期される蛍光マーカーが作用物質に含まれている場合に限られる。このように、事前決定された許容性基準をチェックすることは、作用物質の高い品質と、ディスペンス缶104との組み合わせにおける作用物質の動作安全性とを保証する。
【0070】
図示した実施例では、検出デバイス138は、再充填されるべき作用物質の事前決定された光学的な信号特性を検出するための光学式の検出デバイスとして構成されている。前述した信号特性の存在は、その作用物質が事前決定された許容性基準を充足することを示している。このとき検出デバイス138は、ホース又は供給デバイス120の中の作用物質を、好ましくは供給デバイス120を通る流動中に検出できるという利点がある。ディスペンス缶104を再充填するための作用物質候補の信号特性を検出デバイス138が判定すると、この信号特性を評価のために制御デバイス110へ伝送することができる。そして制御デバイス110は、たとえば判定された実際信号特性と予期される目標信号特性との間の比較をベースとして、信号特性が事前決定された許容性基準の充足を示しているか否かを決定することができる。そしてこのような検査の結果に依存して、制御デバイス110は、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を許容するか否かの措置を講じることができる。
【0071】
作用物質が許容性基準を充足しないことを、検出された信号特性が示している場合、制御デバイス110は、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を阻止するための阻止デバイス140を作動させることができる。たとえば阻止デバイス140は、柔軟なホースとして構成される供給デバイス120を押し潰して、作用物質が供給配管120を通過できなくなるようにすることができる。その代替として阻止デバイス140は、流体配管として構成される供給デバイス120の中に硬化可能な接着剤を入れることができ、この接着剤が供給配管120を化学的に閉止して、供給配管120を通る作用物質の導通を不可能にする。
【0072】
ディスペンス缶104はその内部に作用物質と圧縮ガスとの混合物を有することができ、操作ノズル121が操作されると、作用物質・圧縮ガス・混合物がたとえばエアロゾルとして、ディスペンス缶104から吐出又は噴出される。このケースではディスペンス缶104の再充填のために、新しい作用物質だけでなく新しい圧縮ガスも必要である。
【0073】
その代替としてディスペンス缶104は、
図1に示すように、特別にコンフィグレーションされたバッグオンバルブ・ディスペンス缶として構成されていてよい。
図1に示す再充填可能なディスペンス缶104は作用物質を放出するための役目を果たすものであり、その内部に、作用物質を収容するための変形可能なバッグ160を有している。バッグ160は、たとえばプラスチックや金属フォイルで製造することができる。バッグ160はその下面で、再充填バルブ162と流体密に結合されている。再充填バルブ162は受容装置102へ液密に装着することができ、それによって再充填ステーション100と流体的にリンクして、作用物質容器114からの作用物質でバッグ160を充填または再充填することができる。これに加えてバッグ160はその上面で、バッグ160から作用物質を利用者が定義したとおりに噴射するための放出弁164と結合されている。操作ノズル121は放出弁164に装着することができ、操作ノズル121の操作によって放出弁164を開き、それによって作用物質をバッグ160からスプレーの形態で吐出する。
【0074】
さらに
図1のディスペンス缶104は、バッグ160を収容する硬質な缶ハウジング166を有していて、これに対して再充填弁162と放出弁164とが下面又は上面に露出している。換言すると、放出弁164は頭部側で、および再充填弁162は底面側で、硬質な缶ハウジング166から突出する。缶ハウジング166は、たとえば硬質な金属ハウジングであってよい。圧縮ガスは、バッグ160と缶ハウジング166との間の中間容積部168で流体密に包囲されていてよく、ディスペンス缶104から漏れ出ないように防護されていてよい。このように圧縮ガスにとって、再充填弁162および/または放出弁164を通って漏れ出ることは不可能である。すなわち作用物質が放出弁164を通って噴射されるとき、作用物質は圧縮ガスとは混合されない。圧縮ガスは中間容積部168の中に、すなわちディスペンス缶104の中に、とどまるからである。それにより
図1に示すディスペンス缶104では、圧縮ガスの再充填も不要である。中間容積部168への圧縮ガスの充填は、たとえば弁162,164のうちの一方を通して、および/または缶ハウジング166のその他の弁を通して(図示せず)、工場側で行うことができる。
【0075】
図2は、本発明の例示としての実施例に基づく再充填ステーション100を作動させる方法を表すフローチャート200を示している。
【0076】
再充填ステーション100を作動させる方法は、再充填ステーション100が本方法の実施の準備を完了していることを示すブロック202で開始される。このことは、表示デバイス118で表示することができる。
【0077】
ブロック204で、再充填されるべきディスペンス缶104の、秤126によって検出された重量が、事前決定された範囲内で安定しているかどうかがチェックされる。
【0078】
それが該当する場合、ブロック206で、トランスポンダ読取器具106によってディスペンス缶トランスポンダ108が読み出される。さらにトランスポンダ読取器具106により、作用物質容器トランスポンダ112を読み出すことができる。
【0079】
ブロック208で、ディスペンス缶104へ充填されるべき作用物質又は媒体が許容されるかどうか判定される。それが該当しない場合、本方法は、それが誤ったディスペンス缶104であると推定する。ブロック210を参照。このことは、表示デバイス118で表示することができる。
【0080】
それに対して上記が該当する場合、ブロック212で、再充填されるべきディスペンス缶104の中の作用物質の残存量が決定される。次いでポンプ113をオンに切り換えて、ディスペンス缶104の補充のために作用物質を送出することができる(ブロック214)。
【0081】
充填物質によるディスペンス缶104の補充の後、ディスペンス缶104に再充填された作用物質の量が適合しているかどうかを(たとえば秤126によって)判定することができる。ブロック216を参照。それが該当しない場合、本方法はブロック214およびブロック216の手順を繰り返す。
【0082】
それに対して上記が該当する場合、本方法はブロック218で作用物質による充填量を決定し、全体充填量を合算する。ブロック220で、このことを表示デバイス118で利用者に表示することができる。
【0083】
そして任意選択のブロック222で、ポンプ115又はコンプレッサをオンに切り換えて、圧縮ガスをディスペンス缶104に充填することができる。
【0084】
ブロック224で、再充填されたディスペンス缶104の中の圧力が適合しているかどうかチェックされる。それが該当しない場合、ブロック222およびブロック224の手順がチェックされる。
【0085】
逆に上記が該当する場合には作動方法が終了する。ブロック226を参照。表示デバイス118で相応の情報を表示することができる。音響信号(たとえばブザーによって生成される)が、作動方法の終了を表示することができる。
【0086】
上述した充填の進行手順に追加して、充填前に圧力パルスを用いて、ディスペンス缶104が受容装置102の上で正しく装着されているかどうかを検知することが可能である。さらに充填の後に、通信可能にリンクされたノードへのデータ伝送が可能である。作用物質容器114(たとえばドラムやキャニスター)が空であるかどうかを検知することも可能である。このことは、たとえばディスペンス缶104の充填時に、そのような作用物質容器114の重量推移を監視することによって可能である。
【0087】
図3は、追加注文デバイス123と通信可能にリンクされた、本発明の例示としての実施例に基づく複数の再充填機構116を有するシステムを示している。
【0088】
図3のシステムでは、上で説明した構成要件を有する複数の再充填機構116が、ノード121(たとえばゲートウェイ)と通信可能にリンクされている。ノード121は、通信ネットワーク117を介して追加注文デバイス123とリンクされている。(たとえば作用物質を含む作用物質容器114の残存充填量が事前決定された閾値を下回っていることからして)作用物質容器114がまもなく空になるであろうことを再充填機構116の制御デバイス110および/または秤126が認識すると、その情報をノード121および通信ネットワーク117を介して追加注文デバイス123に伝送することができ、それにより、作用物質を含む新しい作用物質容器114の追加注文がリリースされる。
【0089】
図3では、作用物質に関わる消費データをたとえばカンバンシステムに伝送することができる。伝送されるデータは、それぞれの再充填機構116の識別子、ディスペンス缶104の識別子、日付と時間、ならびに作用物質、および消費および/または追加注文された作用物質の量を含むことができる。図示するように、ノード121は複数の再充填機構116に共通するゲートウェイとして機能することができる。ソフトウェアおよび特にファームウェアを、再充填機構116、ノード121、および/または追加注文デバイス123にインストールすることができる。
【0090】
図4は、本発明の例示としての実施例に基づく、再充填ステーション100と、作用物質容器114と、ディスペンス缶104とを有する再充填機構116におけるマテリアルフローを示している。
【0091】
作用物質は、作用物質容器114から再充填ステーション100の供給デバイス120を経て、そこから、カバー135を上に開いた後に受容装置102に組み付けられるディスペンス缶104へと移送することができる。圧縮ガスは、圧縮ガスリザーバから再充填ステーション100の供給デバイス122を経て、そこから、受容装置102に組み付けられたディスペンス缶104へと移送することができる。ディスペンス缶104がBoVディスペンス缶である場合、圧縮ガスの再充填は不要である。
【0092】
図5は、本発明の例示としての実施例に基づく再充填ステーション100の受容装置102を示している。
【0093】
図6は、本発明の例示としての実施例に基づく再充填機構116の、
図5の受容装置102に組み付けられるべきディスペンス缶104の底面を示している。
【0094】
受容装置102には、ディスペンス缶104の底面領域133を受容するためのコーディングプレート129が形成されている。コーディングプレート129は、ディスペンス缶104の底面領域133(
図6参照)に対して機械的に相補的に構成されている。コーディングプレート129は、
図4に示すフラップまたはカバー135を上方に向かって開くことによって露出させることができる。コーディングプレート129の中央領域に流体接続部137が示されていて、これをディスペンス缶104の再充填弁162と流体的にリンクさせることができ、それは、この流体接続部137によって作用物質および/または圧縮ガスを、再充填弁162を通してディスペンス缶104に再充填するためである。
【0095】
コーディングプレート129にディスペンス缶104が組み付けられた後、ディスペンス缶104をコーディングプレート129でロックするためのロックデバイスを操作して、再充填プロセス中に受容装置102からディスペンス缶104が意図せず外れるのを防止することができる。再充填プロセスの終了後、ディスペンス缶104を受容装置102からロック解除して取り出すことができる。
【0096】
図7は、本発明の例示としての実施例に基づく再充填ステーション100の裏面を示している。特に
図7には、供給デバイス120,122の各区域が示されている。
【0097】
図8は、本発明の例示としての実施例に基づく再充填機構116でディスペンス缶104を再充填するためのメカニズムを示している。上記のメカニズムは事前決定されたサイズのピストンとシリンダを含んでおり、それにより適切な圧力によって、調量されるべき充填量を定義可能である。
【0098】
図9は、本発明の例示としての実施例に基づく、再充填ステーション100と、作用物質容器114と、ディスペンス缶104とを有する再充填機構116における通信接続を示している。
【0099】
すなわち
図9に示す再充填機構116は、再充填ステーション100と、受容装置102に取り付けられた、ディスペンス缶関連データが保存されたディスペンス缶トランスポンダ108を有するディスペンス缶104とを有していて、このディスペンス缶関連データをトランスポンダ読取器具106によって、ディスペンス缶104が受容装置102に取り付けられているときにのみ選択的に読出可能である。さらに再充填機構116は、作用物質を含み、ディスペンス缶104を再充填するための作用物質を提供するために受容装置102と流体的にリンクされた、またはリンク可能である、作用物質容器114を有している。図示するように作用物質容器114は、作用物質容器関連データが保存された作用物質容器トランスポンダ112を付与されてこれと関係付けられている。この作用物質容器関連データはトランスポンダ読取器具106によって、作用物質容器トランスポンダ112が利用者により再充填ステーション100のハウジング130に取り付けられているときにのみ選択的に読出可能である。作用物質容器トランスポンダ112は、作用物質容器114から定義されたとおりに分離可能な接着ラベルとして構成されるのが好ましい。ディスペンス缶トランスポンダ108と作用物質容器トランスポンダ112は、125kHzの動作周波数を有するRFIDトランスポンダとして構成されている。それに応じてトランスポンダ読取器具106は、125kHzの動作周波数と5cmの可読距離とを有するRFID読取器具として構成されている。
【0100】
図9には図示していないが、再充填機構116は、ディスペンス缶104の再充填をするための圧縮ガスを提供するために、圧縮空気を提供するために構成された、受容容器102と流体的にリンクさせることができるガスリザーバ124を、必要に応じて追加的に有することができる(
図1または
図4を参照)。
【0101】
トランスポンダ読取器具106は、ディスペンス缶104が受容装置102に取り付けられているときに、ディスペンス缶104に取り付けられたディスペンス缶トランスポンダ108のディスペンス缶関連データを読み取るための役目を果たす。さらにトランスポンダ読取器具106は、利用者により再充填ステーション100のハウジング130に取り付けられた作用物質容器トランスポンダ112の作用物質容器関連データを読み取るために機能する。前述したディスペンス缶関連データは、たとえばディスペンス缶104を識別するためのデータ、ディスペンス缶104の利用者を識別するためのデータ、作ディスペンス缶104に再充填するための作用物質を識別するためのデータ、および/または作用物質の再充填されるべき量を表すためのデータを有することができる。それに対して作用物質容器関連データは、作用物質容器114を識別するためのデータ、作用物質容器114の中の作用物質を識別するためのデータ、および/または作用物質容器114の中の作用物質の充填量を表すためのデータを有することができる。
【0102】
制御デバイス110は、読み取られたディスペンス缶関連データをベースとして、および/または読み取られた作用物質容器関連データをベースとして、作用物質でのディスペンス缶104を再充填を制御するために構成される。特に制御デバイス110は、読み取られたディスペンス缶関連データと読み取られた作用物質容器関連データが、作用物質とディスペンス缶104との適合性を示しているときにのみ、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を許容するように構成される。そのような適合性が欠如するのは、特に、たとえば動作安全性の理由からディスペンス缶104が当該作用物質の収容について許容されない場合である。作用物質と再充填ステーション100との間の適合性も、所望の再充填手順を実行するための条件となる場合があり、たとえば、作用物質が再充填ステーションに対して腐食性であると見なされる場合には欠如する。
【0103】
トランスポンダ読取器具106は最大でも5cmの可読距離を有するのが好ましく、それにより、遠く離れたトランスポンダの誤った読出が阻止される。これと同じ理由から、および動作安全性の理由から、トランスポンダ読取器具106は、発火性の作用物質(たとえばベンジン)の存在のもとでさえ、再充填ステーション100での静電放電に対して防護をする、又ははESD防護を提供する、出力制限および/またはケーシングを有する。
【0104】
図9には図示していないが、受容装置102は、作用物質容器114から、受容装置102に受容されたディスペンス缶104へと作用物質を供給するための作用物質供給デバイス120とリンクされている。さらに受容装置102は、必要に応じて、ガスリザーバ124から、受容装置102に受容されたディスペンス缶104へと圧縮ガスを供給するための圧縮ガス供給デバイス122とリンクされていてよい。
【0105】
たとえば制御デバイス110は、トランスポンダ108,112から読み出されたデータをベースとして、ディスペンス缶104へ再充填された作用物質の量、ディスペンス缶104の再充填プロセスの回数、および/または再充填プロセスの前のディスペンス缶104の作用物質の残存量を判定して、ディスペンス缶104の過剰充填を回避するために後続の再充填プロセスを制御することができる。制御デバイス110は、たとえば20 lの初期充填を有する現在使用されている作用物質容器114の残存充填量が、事前決定されたたとえば5 lの閾値よりも低下していることを制御デバイス110および/または秤126が認識したときに、作用物質を含む作用物質容器114の追加注文をリリースするように構成されていてよいのが好ましい。
【0106】
図10は、本発明の例示としての実施例に基づく、再充填ステーション100と、作用物質容器114と、ディスペンス缶104とを有する再充填機構116における制御ロジックを示している。
【0107】
再充填プロセスの前および/または再充填プロセスの途中の受容装置102におけるディスペンス缶104の重量(またはこれについて指標となる情報)を検出するための秤126を再充填機構116が有している場合、制御デバイス110は、検出された重量又は検出された重量情報をベースとして、作用物質でのディスペンス缶104の再充填を制御するように構成されていてもよい。
【0108】
図10では、ディスペンス缶トランスポンダ108は放出弁164に配置されており、すなわち、受容装置102に向かい合うように配置されている。
【0109】
さらに
図10では、ディスペンス缶104は、圧縮ガスがディスペンス缶104の内部に恒常的にとどまり、作用物質が吐出されたときにディスペンス缶104から外に出ることがないBoVディスペンス缶として構成されている。
【0110】
これに加えて
図10では、圧力センサが符号157で示されている。
【0111】
図11は、本発明の例示としての実施例に基づく再充填ステーション100のトランスポンダ読取器具106の各コンポーネントを示している。
図11では、RFIDアンテナ141が充填弁に配置されており、電気ケーブル155によって接続可能である。付属の制御エレクトロニクスが、プリント配線板143にインプリメントされている。
【0112】
図12は、本発明の例示としての実施例に基づく、リングトランスポンダとして構成されたディスペンス缶トランスポンダ108を示している。
図12に示すディスペンス缶トランスポンダ108はディスペンス缶104の底面の領域に、好ましくは再充填弁162の周囲に、取り付けることができる。符号145は付属のチップを示す。
【0113】
図13は、本発明の例示としての実施例に基づく、剥離・接着ラベルとして構成された作用物質容器トランスポンダ112を示す。換言すると、
図13の作用物質容器トランスポンダ112は作用物質識別表示のための接着ラベルであり、たとえば引き離し可能または剥離可能なタグとして構成される。
【0114】
図14は、本発明の例示的な実施例に基づく、ハウジング130に取り付けられたキーのない表示デバイス118を有する再充填ステーション100を示す。
【0115】
図15は、本発明の例示的な実施例に基づく、ハウジング130に組み付けられたキーのある表示デバイス118を有する再充填ステーション100を示す。電子式の表示デバイス118は利用者のためにデータを表示する役目を果たし、再充填ステーション100の動作を、利用者が定義したとおりに制御することを利用者に追加的に可能にする。
【0116】
図16は、本発明の例示的な実施例に基づく、再充填ステーション100と通信可能にリンクされたポータブル型のユーザー端末機134を示す。図示しているポータブル型のユーザー端末機134は、たとえばスマートフォンであってよい。再充填機構116を制御するために、その制御デバイス110とたとえば移動無線ネットワークを介して通信可能にリンクされていてよいアプリが、ユーザー端末機にインストールされていてよい。このようにして利用者は、ユーザー端末機134を用いて再充填ステーション100と、および特にその制御デバイス110と、通信することができる。
【0117】
補足として指摘しておくと、「有する」は他の部材や工程を排除するものではなく、不定冠詞の「eine」や「ein」は複数を排除するものではない。さらに指摘しておくと、上記の各実施例のうちの1つを援用して説明した構成要件または工程は、上記で説明した他の実施例の他の構成要件または工程との組み合わせでも適用することができる。特許請求の範囲における符号は、限定と見なされるべきものではない。
【国際調査報告】