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特表2024-532001空調システムのための冷媒圧縮機と冷媒圧縮機を作動する方法
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  • 特表-空調システムのための冷媒圧縮機と冷媒圧縮機を作動する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-04
(54)【発明の名称】空調システムのための冷媒圧縮機と冷媒圧縮機を作動する方法
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/02 20060101AFI20240828BHJP
【FI】
F04C18/02 311W
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573315
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 KR2022016416
(87)【国際公開番号】W WO2023090676
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】102021130131.9
(32)【優先日】2021-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102022118029.8
(32)【優先日】2022-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516011246
【氏名又は名称】ハンオン システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲーム, トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ファルクス,エリック-フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】クロッカー, デニス
(72)【発明者】
【氏名】バムベオゴ, デニス テー. ゲー.
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー, オリバー
【テーマコード(参考)】
3H039
【Fターム(参考)】
3H039AA03
3H039AA04
3H039AA12
3H039BB04
3H039BB16
3H039CC02
3H039CC03
3H039CC15
3H039CC27
(57)【要約】
冷媒圧縮機の安全な機能具現が保障されて、冷媒圧縮機生産時の努力と費用が削減される空調システムのための冷媒圧縮機と冷媒圧縮機作動方法を提供する。
【課題】【解決手段】本発明は冷媒圧縮機(1)の冷媒の質量流動(12)方向から見る時、前記冷媒圧縮機(1)の詰まりを防止するために前記冷媒圧縮機(1)の螺旋形ノズル挿入部(4)の前方領域にフィルターが配置される空調システム用冷媒圧縮機(1)は、
成形部(8)を囲む環形チャンネル(6)が前記冷媒圧縮機(1)の中央ハウジングに配置されて、前記成形部(8)は円形のリング型平面(9)を含み、
摩擦板(10)は前記円形のリング型平面(9)と平行するように配置されて、
フィルターの役割を果たすギャップ(11)が前記円形のリング型平面(9)と前記摩擦板(10)の間に形成され、前記環形チャンネル(6)はサイドチャンバー(14)を通じて前記冷媒圧縮機(1)の冷媒のための流入部(7)に連結されることを特徴とする。【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒圧縮機(1)の冷媒の質量流動(12)方向から見る時、前記冷媒圧縮機(1)の詰まりを防止するために前記冷媒圧縮機(1)の螺旋形ノズル挿入部(4)の前方領域にフィルターが配置される空調システム用冷媒圧縮機(1)は、
成形部(8)を囲む環形チャンネル(6)が前記冷媒圧縮機(1)の中央ハウジングに配置されて、
前記成形部(8)は円形のリング型平面(9)を含み、
摩擦板(10)は前記円形のリング型平面(9)と平行するように配置されて、
フィルターの役割を果たすギャップ(11)が前記円形のリング型平面(9)と前記摩擦板(10)の間に形成されることを特徴とする冷媒圧縮機。
【請求項2】
前記環形チャンネル(6)はサイドチャンバー(14)を通じて前記冷媒圧縮機(1)の冷媒のための流入部(7)に連結されることを特徴とする請求項1に記載の冷媒圧縮機。
【請求項3】
前記螺旋形ノズル挿入部(4)が内部に位置するボア(bore)(3)が前記冷媒圧縮機(1)の前記中央ハウジング(2)内の前記成形部(8)内部に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の冷媒圧縮機。
【請求項4】
前記成形部(8)は台形または直四角形の断面を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の冷媒圧縮機。
【請求項5】
前記ギャップ(11)の前記サイズは0.1mmと0.2mmの間の範囲、特に0.04mmと0.16mmの間の範囲にあることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の冷媒圧縮機。
【請求項6】
前記成形部(8)の前記円形のリング型平面(9)の前記内径は6mmと12mmの間の範囲にあり、
前記成形部(8)の前記円形のリング型平面(9)の前記幅は1mmと3mmの間の範囲にあることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の冷媒圧縮機。
【請求項7】
冷媒圧縮機(1)の冷媒の質量流動(12)方向から見る時、前記冷媒圧縮機(1)の螺旋形ノズル挿入部(4)の前方領域で事前に定義された大きさを超過する粒子が濾過される前記冷媒圧縮機(1)を作動する方法は、
成形部(8)を囲む環形チャンネル(6)が前記冷媒圧縮機(1)の中央ハウジング(2)に備えられ、
前記成形部(8)は円形のリング型平面(9)と共に備えられ、
摩擦板(10)が前記円形のリング型平面(9)に平行するように備えられ、
結果的に事前に定義された大きさを超過する粒子を濾過するフィルターが前記円形のリング型平面(9)と前記摩擦板(10)の間のギャップにより形成されることを特徴とする方法。
【請求項8】
冷媒の質量流動(12)は流入部(7)を備えるサイドチャンバー(14)を通じて行われ、前記質量流動(12)は前記流入部(7)を経て前記環形チャンネル(6)内部を通過して前記ギャップ(11)を通じて、ボア(3)に備えられる螺旋形ノズルインサート(4)に向かい、
事前に定義された大きさを超過した粒子は前記ギャップ(11)に濾過され、したがって、前記螺旋形ノズルインサート(4)の前記領域に到達できないことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ギャップ(11)は0.1mmと0.2mmの間の大きさ、特に0.04mmと0.16mmの間の大きさに備えられることを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システムのための冷媒圧縮機と冷媒圧縮機を作動する方法に係り、より具体的には、冷媒圧縮機の詰まりを防止するために、冷媒圧縮機の冷媒の流れ方向から見る時、冷媒圧縮機の螺旋形ノズルインサート前方の区域にフィルターが配置される空調システム用電気冷媒圧縮機に関する。
【0002】
本発明はまた、冷媒圧縮機の冷媒の流れ方向から見る時、冷媒圧縮機の螺旋形ノズルインサート前方領域で事前に定義された大きさを超過する粒子が濾過される冷媒圧縮機を作動する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術を通じて、電気モーターで駆動される、いわゆる空調圧縮機または電気冷媒圧縮機が空調車両に使われることが知られている。これはまた特に電気車またはハイブリッド駆動を備える車両のような電気駆動または最小限部分的電気駆動車両に適用される。
【0004】
特に、上記は詰まりを防止するためにフィルターが使われる車両内の空調システム用電気冷媒圧縮機と関連する。このようなフィルターは特に冷媒圧縮機の冷媒の流れ方向から見る時、冷媒圧縮機の螺旋形ノズルインサートまたは螺旋形ノズルの前方領域で使われる。
【0005】
従来技術から、旋回スクロール後の逆圧が前記電気冷媒圧縮機の適切な作動に必要であるという事実は知られている。このような逆圧は螺旋形ノズルインサートと螺旋形ノズルと結合したコントロールバルブにより質量流動が調節される、冷媒の質量流動により生成される。螺旋形ノズルは冷媒の粒子により螺旋形ノズルインサートまたは螺旋形ノズルが詰まり得る危険による結果で、減少した断面または直径を有する。このような詰まりは冷媒圧縮機の効率を落とし、誤作動を招きかねない。
【0006】
特許文献1は、特にモーター車両空調システムで使用するスクロール圧縮機を開示する。特に開示される内容は、固定スクロールと旋回スクロールを有するオイル再循環ユニットを備えるスクロール圧縮機で、前記2つのスクロール間にガスが低圧空間から吸入、圧縮されて高圧空間内部に伝達される。また、力の均衡を通じてできるだけ摩擦を最小化して固定スクロール内での旋回スクロールの運動を許容するために圧縮のための逆圧として、旋回スクロールに連結されており、旋回スクロールを固定スクロールに向かって加圧する逆圧空間が形成される。
【0007】
また、低圧螺旋ノズルが中央ハウジング内の円筒形空洞、好ましくは円筒形ボアに設計された空洞から形成されていることが開示される。螺旋形ノズルインサートは円筒形空洞内に順に配置される。螺旋形ノズルが円筒形空洞の壁と螺旋形ノズルインサートの表面の間に形成されるように螺旋形ノズルインサートは円筒形空洞の壁と連通する。螺旋形ノズルインサートの表面は好ましくはコイルとも呼ばれる螺旋形溝を有し、螺旋形ノズルインサートが円筒形空洞の壁と接触する領域で螺旋形のスロットルチャンネル(throttle channel)を形成する。
【0008】
螺旋形ノズルインサートを備えるスクロール圧縮機は、したがって、従来技術によって知られている。このような冷媒圧縮機において、ノズルを詰まらせる粒子をフィルターリングするために螺旋形ノズルの前方、または螺旋形ノズルインサートの前方に質量流動の領域内のフィルターを配置することがまた知られている。
【0009】
従来技術によれば、螺旋形ノズルインサートまたは螺旋形ノズルを詰まらせる粒子フィルターリングのために圧縮機システムに、例えば125μmの典型的なメッシュサイズを有するフィルターを使用することは知られている。
【0010】
このような追加的なフィルター使用は追加的設置空間、フィルターを配置するための少なくとも1つの該組立段階、したがって、電気冷媒圧縮機の生産にかかる追加費用を発生させる。
【0011】
したがって、空調システムのための向上した冷媒圧縮機と冷媒圧縮機を作動する、向上した方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許出願公開第102019101855号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は冷媒圧縮機の安全な機能具現が保障されて、冷媒圧縮機生産時の努力と費用が削減される空調システムのための冷媒圧縮機と冷媒圧縮機作動方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、冷媒圧縮機の冷媒の質量流動方向から見る時、前記冷媒圧縮機の詰まりを防止するために前記冷媒圧縮機の螺旋形ノズル挿入部の前方領域にフィルターが配置される空調システム用冷媒圧縮機は、
成形部を囲む環形チャンネルが前記冷媒圧縮機の中央ハウジングに配置されて、
前記成形部は円形のリング型平面を含み、
摩擦板は前記円形のリング型平面と平行するように配置されて、
フィルターの役割を果たすギャップが前記円形のリング型平面と前記摩擦板の間に形成されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、冷媒圧縮機の冷媒の質量流動方向から見る時、前記冷媒圧縮機の螺旋形ノズル挿入部の前方領域で事前に定義された大きさを超過する粒子が濾過される前記冷媒圧縮機を作動する方法は、
成形部を囲む環形チャンネルが前記冷媒圧縮機の中央ハウジングに備えられ、
前記成形部は円形のリング型平面と共に備えられ、
摩擦板が前記円形のリング型平面に平行するように備えられ、
結果的に事前に定義された大きさを超過する粒子を濾過するフィルターが前記円形のリング型平面と前記摩擦板の間のギャップにより形成されることを特徴とする。
【0016】
冷媒圧縮機のハウジング内に、または冷媒圧縮機の中央ハウジング内に形成されなければならない、定義された幾何学的模様と定義された寸法を有するギャップまたはギャップフィルターが冷媒の流れ方向から見る時、保護する対象である螺旋形ノズルインサートまたはノズルの前方領域に形成されるように提供される。
【0017】
そのために、ギャップまたはギャップフィルターは中央ハウジングのような冷媒圧縮機のハウジング部とハウジング部上に配置される摩擦板間に形成されるように提供される。摩擦板の配置のおかげで、本発明によるギャップは一方に形成され、冷媒圧縮機のハウジングが他方で密封されて、冷媒圧縮機から冷媒が抜け出ることができなくする。摩擦板はまた交替されることができ、この方式を通じて、必要な場合、冷媒圧縮機が修理されるか、変更された作動条件に合せて調整されることができる。
【0018】
特定の輪郭と定義された寸法によって、ギャップまたはギャップフィルターは一般的に螺旋形ノズルインサートまたは螺旋形ノズルを詰まらせる粒子サイズがフィルターリングできるようにする。結果的に、冷媒の質量流動で螺旋形ノズルインサートまたは螺旋形ノズル前方に配置される従来技術による別途のフィルターはもう不要である。単純さのために、ギャップフィルターを形成するギャップ(gap)という用語だけを下記で使用する。
【0019】
前述した詰まりを一般的に招く大きさの粒子がフィルターリングされて、他方で冷媒の質量流動に及ぼす影響を避けるのに、または微小な程度でだけ影響を与えるのに、十分に大きさになるようにギャップの寸法が定義される。形成されたギャップは流動する冷媒の冷媒抵抗を微小な程度でだけ増加させて、したがって既存の冷媒圧縮機の基本設計または寸法に対する変更が不要である。設計は摩擦板が配置される冷媒圧縮機のハウジング部領域でだけ調整されなければならない。
【0020】
ギャップは冷媒圧縮機の中央ハウジングの環形成形部と摩擦板を通じて、螺旋形ノズルインサートの注入口の領域からリング形状に形成されるように提供される。環形ギャップは螺旋形ノズルのためのボア(bore)の中心軸を中心に配置されて、環形ギャップは螺旋形ノズルのためのボアの直径と同一であるか、螺旋形ノズルのためのボアの直径より大きい内径を有する。
【0021】
また、螺旋形ノズルのためのボアが配置されるハウジング部または中央ハウジングがボアを囲む環形成形部を有し、前記成形部は台形または直四角形の断面を有するように提供される。円形のリング型の平面である、このような環形成形部領域は円形リング型平面に平行する摩擦板を通じてフィルター効果を有するギャップを形成する。摩擦板は同様に、少なくとも円形リング型平面に対向して平行する領域では平らである。
【0022】
特に、成形部の円形リング型平面と摩擦板の間に形成されるギャップは0.1mmと0.2mmの間の範囲、特に、0.04mmと0.16mmの間の範囲に属する大きさを有するように提供される。
【0023】
また、成形部の円形リング型平面の内径は6mmと12mmの間の範囲に属するように提供される。成形部の円形リング型平面の内径と成形部の円形リング型の平面の外径の差は、また円形リング型平面の幅とも命名され、1mmと3mmの間の範囲に属するように提供される。
【0024】
このようなギャップの寸法化は、一方では螺旋形ノズルインサートまたは螺旋形ノズルを一般的に詰まらせる粒子大きさを濾過することができるようにし、また、ギャップの詰まりによってギャップを通過する冷媒の質量流動が過度に減少することを避けることができるようにする。
【0025】
ギャップの詰まりはギャップの寸法によってギャップにおいてギャップを通過できない粒子の蓄積を意味する。この蓄積は従来技術によって設計されたフィルターが濾過する、フィルターされた粒子と一致する。
【0026】
実際の実験では、円形リング型平面の内径8mm、円形リング型平面の外径11mm、そしてギャップの大きさ0.15mmであるギャップの寸法化は90%以上のギャップの詰まり率だけで冷媒圧縮機の冷媒の質量流動に大きい影響を及ぼす。ギャップを通過する冷媒の質量流動と電気冷媒圧縮機の機能的作動は、したがって、最大約90%までのギャップの詰まりでは影響を受けないか、または微小な影響だけを受ける。
【0027】
ギャップの発明による設計はギャップを形成する成形部周辺を冷媒流動が通過するようにするための環形チャンネルを利用して可能になり、したがってギャップの部分的な詰まりが冷媒の質量流動に影響を及ぼさないように充分のフィルター空間またはフィルター領域を提供する。
【0028】
可能な限り均一な流入冷媒の周辺質量流動が環形パネル内で生成されて、環形チャンネルと成形部の周りの全ての面で均一な流動が生成されるように提供される。そのために、流入する冷媒は流入部を通じて環形チャンネルに部分的に流動連結されるサイドチャンバーに流入する。このサイドチャンバーで、冷媒は転移領域を経て環形チャンネルに流動する。例えば、60度ないし100度範囲内で環形チャンネルの円形分割セクション上に延びる、このような転移領域は流入部を通じて環形チャンネル内部に直接供給される冷媒と比較して、環形チャンネル内部へのより広い領域にわたる冷媒の向上した均一な流入を許容する。
【0029】
冷媒のサイドチャンバーによる環形チャンネルへの間接的流入及び該大きさの転移領域により、小型開口及び/あるいは角で発生する冷媒の質量流動内の乱気流は減少する。
【0030】
フィルター効果を有するギャップの発明による実施例では、設置空間が非常に減少する。また、フィルターのような追加構成要素は不要である。それにより、電気冷媒圧縮機の組立の単純化及び電気冷媒圧縮機の生産費用の削減が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明の実施例の追加細部事項、特徴及び利点は関連図面を参照して、下の例示的な実施例の説明に記載される。図面は次の通りである。
図1】冷媒圧縮機でギャップまたはギャップフィルターが形成される領域の詳細断面図である。
図2】冷媒圧縮機でギャップを形成するための成形部上部から見たギャップまたはギャップフィルターが形成される領域の詳細図である。
図3】ギャップまたはギャップフィルターが入口側に形成される冷媒圧縮機の螺旋形ノズルインサートのためのボアの断面図である。
図4】冷媒圧縮機の螺旋形ノズルインサートのためのボアとギャップまたはギャップフィルターの例示的寸法である。
図5】ギャップ詰まりの機能をするギャップまたはギャップフィルターを通過する冷媒の質量流動を示すグラフでする。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は冷媒圧縮機(1)でギャップ(11)またはギャップフィルターが形成される領域の詳細断面図を図示する。
【0033】
図1は中央ハウジング(2)の一部と共に冷媒圧縮機(1)を図示する。中央ハウジング(2)で、コイルと共に螺旋形ノズルインサート(4)が導入される円筒形ボア(3)が導入されている。中央ハウジング(2)はボア(3)周囲を囲み、流入部(7)(図1では図示しない)に連結される環形チャンネル(6)を含む。
【0034】
中央ハウジング(2)で、環形チャンネル(6)と螺旋形ノズルインサート(4)のためのボア(3)の間に成形部(8)がボア(3)を囲んで形成されるが、成形部は台形または直四角形の断面を有する。中央ハウジング(2)内の成形部(8)のこのような領域は点線で図1に図示される。
【0035】
本発明によるギャップ(11)またはギャップフィルターは冷媒圧縮機(1)を閉鎖する摩擦板(10)及び成形部(8)の円形リング型平面(9)の間に形成される。そのために、中央ハウジング(2)内の台形または直四角成形部(8)は成形部(8)の円形リング型の平面(9)と摩擦板(10)の間に0.04mmと0.16mmの間の範囲の空間が形成されるように設計される。
【0036】
流入部(7)を通じて環形チャンネル(6)に入った冷媒はギャップ(11)を通過してボア(3)を経て螺旋形ノズルインサート(4)に移動する。このような冷媒の質量流動(12)は多数の矢印を利用して図1に図示する。
【0037】
本発明による大きさ及び形態を有するギャップ(11)により、事前に定義された大きさを超過する粒子はギャップ(11)を通過して螺旋形ノズルインサート(4)の領域に進入できないので濾過される。
【0038】
このような粒子は、したがって、ノズルを有する螺旋形ノズルインサート領域を詰まらせないように防止されるが、それは従来技術では別途の粗いメッシュを有するフィルターを利用して可能であった。
【0039】
図2は冷媒圧縮機(1)でギャップ(11)(図1参照)またはギャップフィルターが形成される領域の詳細図を図示する。図2は摩擦板(10)が除去された状態でギャップを形成するために、リング状に出ている成形部(8)の上部から見た図面である。
【0040】
図2はコイル(5)と共に螺旋形ノズルインサート(4)が配置される円筒形ボア(3)を有する中央ハウジングを図示する。
また、ボア(3)周りの円に沿って延びて、冷媒のために少なくとも間接的に流入部(7)に連結される環形チャンネル(6)が図示される。
【0041】
できる限り均一な流入冷媒の周辺質量流動が環形パネル内で生成されて、環形チャンネルと成形部周りの全ての面で均一な流動が生成されるように提供される。そのため、流入冷媒は最初は流入部(7)を通じて、環形チャンネル(6)に部分的に流動連結されるサイドチャンバー(14)内部に流入する。このサイドチャンバー(14)から、冷媒は転移領域(15)を通じて環形チャンネル(6)内部に流動する。例えば、60度ないし100度の範囲内で環形チャンネル(6)の円形分割セクション上に延びる、このような転移領域は流入部(7)を通じて環形チャンネル(6)内部に直接供給される冷媒と比較して、環形チャンネル(6)内部へのより広い領域にわたる冷媒の向上した均一な流入を許容する。転移領域(15)は図2で破線で表示される。
【0042】
冷媒のサイドチャンバー(14)による環形チャンネル(6)への間接的流入及び該大きさの転移領域により、小型開口及び/あるいは角で発生する冷媒の質量流動(12)内の乱気流は減少する。
【0043】
図2に図示の上部から見た図面において、ギャップ(11)を形成するための円形面(9)がまた図示される。この円形面(9)は冷媒圧縮機(1)の中央ハウジング(2)内で、成形部(8)の一部である。
【0044】
流入部(7)から環形チャンネル(6)及び環形ギャップ(11)の数カ所のポイントを経てコイル(5)を有する螺旋形ノズルインサート(4)に向かう冷媒の質量流動(12)が複数の矢印で図示される。
【0045】
図3はギャップ(11)またはギャップフィルターが入口側に形成される冷媒圧縮機(1)の螺旋形ノズルインサート(4)のためのボア(3)の断面図を図示する。
【0046】
入口側とは、冷媒の質量流動(12)がギャップ(11)を通じて環形チャンネル(6)から螺旋形ノズルインサート(4)の入口領域に到達する領域内にギャップが形成されることを意味する。
【0047】
図3はまた、冷媒圧縮機(1)の中央ハウジング(2)に付着される摩擦板(10)を図示する。ギャップ(11)が中央ハウジング(2)の成形部(8)とこの摩擦板(10)の間に形成されことが分かる。
【0048】
また、図3は環形チャンネル(6)内部に冷媒が流動するために通過する流入部(7)及び環形チャンネル(6)に連結されるサイドチャンバー(14)を示す。流入部(7)の領域で、「BP」は逆圧を意味する。
【0049】
ギャップ(11)またはギャップフィルターを通過してフィルターされた冷媒は螺旋形ノズルインサート(4)のコイル(5)を通過流動して図3の螺旋形ノズルインサート(4)の下段部に図示するノズル形状の端部(13)に向かう。この領域でも同様に、質量流動(12)は、例えば、2つの矢印を利用して図示する。ノズル形状の端部(13)の領域で、「LP」は低圧を意味する。
【0050】
従来技術で一般的なものと同様に、図3の例に図示するように螺旋形ノズルインサート(4)は中央軸の領域で薄いボアを有することができる。
【0051】
図4は螺旋形ノズルインサート(4)のためのボア(3)とギャップ(11)またはギャップフィルター領域での冷媒圧縮機(1)の中央ハウジング(2)の詳細図を例示的寸法を使用して図示する。
【0052】
図4で、冷媒圧縮機(1)の冷媒の質量流動(12)は同様に複数の矢印を利用して図示する。冷媒は流入部(7)とサイドチャンバー(14)を通じて環形チャンネル(6)内部に流動する。図4の例では、この環形チャンネル(6)は11mmの内径、2.3mmのチャンネル幅を有し、チャンネル幅は流入部(7)の領域ではこれより大きい値を有する。リング型環形チャンネル(6)の高さは例えば、1mmに表示する。
【0053】
この環形チャンネル(6)から、冷媒は環形ギャップ(11)を通じてコイルを有する螺旋形ノズルインサート(4)に流動する。図面例示では、成形部(8)と摩擦板(10)の間に形成されるギャップ(11)は0.15mmの幅を有する。図4で、中央ハウジング(2)の台形成形部(8)は、例えば、点線を利用して表示する。
【0054】
図4の例示では、コイル(5)を有する螺旋形ノズルインサート(4)は8mmの直径を有するボア(3)内部に流入しており、図3で既に知られている薄いボアを有する。
【0055】
図5はギャップ詰まりの機能をするギャップ(11)またはギャップフィルターを通過する冷媒の質量流動を示すグラフを図示する。
【0056】
図5のグラフにおいて、パーセント(%)で常時するギャップ詰まり率(Rs)を横座標またはx軸に図示する。ギャップ詰まりはギャップ(11)で粒子が蓄積されることを意味し、ギャップはギャップの寸法によって粒子がギャップ(11)を通過できないように防ぐ。このような粒子蓄積は従来技術によって設計されたフィルターが濾過するフィルターリングされた粒子と一致する。
【0057】
図5のグラフにおいて、kg/h(時間当りのキログラム)に表示するギャップ(11)を通過して流動する冷媒の滞積流量qmまたは質量流動を縦座標またはy軸上に図示する。
【0058】
図5のグラフィックはギャップ詰まりRS機能のある状態で、冷媒の質量流動または滞積流量qmの曲線を図示する。
【0059】
前述したように、ギャップ(11)で事前に定義された大きさを超過する粒子の蓄積は、このようなギャップ詰まりRs効果が90%の比率または値未満に維持される限り、効果がないか、微小な効果だけを有する。
【0060】
図5の例示において約1.91kg/hである冷媒の滞積流量qmは、したがって、0%ないし90%のギャップ詰まりの範囲内に、事実上、一定に維持する。電気冷媒圧縮機(1)の機能的作動と事前に定義された大きさを超過した粒子による詰まりの防止は、したがって、前記範囲内で保障される。
【0061】
90%を超過するギャップ詰まり比率Rs上昇の場合のみ、冷媒の滞積流量qm上の減少が発生するが、これは電気冷媒圧縮機(1)の作動上、否定的影響を及ぼし得る。したがって、約95%のギャップ詰まりRsの場合、冷媒の滞積流量qmは約1.85kg/hの値に減少して、これは冷媒の滞積流量qm上、約3%の減少に該当する。約98%のギャップ詰まりRsの場合、冷媒の滞積流量qmは約1.6kg/hの値に減少して、これは冷媒の滞積流量qm上、約16%の減少に該当する。
【0062】
図面はギャップ(11)が形成した本発明によるギャップフィルターの安全な作動または機能的安全性はギャップ詰まりRsの非常に広い範囲にわたって保障されることを示す。
【符号の説明】
【0063】
1 冷媒圧縮機
2 中央ハウジング
3 ボア
4 螺旋形ノズルインサート
5 コイル
6 環形チャンネル
7 流入部
8 成形部
9 円形リング型面
10 摩擦板
11 ギャップ
12 質量流動
13 ノズル型端部
14 サイドチャンバー
15 転移領域

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】