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特表2024-532002防火及び断熱組成物、並びにそれを使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-04
(54)【発明の名称】防火及び断熱組成物、並びにそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 5/18 20060101AFI20240828BHJP
   C09K 21/02 20060101ALI20240828BHJP
   C09K 5/14 20060101ALI20240828BHJP
   B32B 9/00 20060101ALI20240828BHJP
   C09D 1/02 20060101ALI20240828BHJP
   C09D 1/04 20060101ALI20240828BHJP
   F16L 59/04 20060101ALI20240828BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20240828BHJP
   H01M 10/653 20140101ALI20240828BHJP
【FI】
C09D5/18
C09K21/02
C09K5/14 E
B32B9/00 A
C09D1/02
C09D1/04
F16L59/04
H01M10/658
H01M10/653
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023574715
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 SG2022050366
(87)【国際公開番号】W WO2022255943
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】PCT/SG2021/050304
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523453743
【氏名又は名称】マットワークズ テクノロジーズ ピーティーイー.リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MATWERKZ TECHNOLOGIES PTE. LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】レオン, ユー ウェイ
【テーマコード(参考)】
3H036
4F100
4H028
4J038
5H031
【Fターム(参考)】
3H036AA09
3H036AB12
3H036AC01
3H036AD09
3H036AE01
4F100AA03A
4F100AA13A
4F100AA14A
4F100AA18A
4F100AA19A
4F100AA20A
4F100AD00B
4F100AG00B
4F100AJ04A
4F100AJ07A
4F100AK01A
4F100AK51A
4F100AK52A
4F100AN00A
4F100CA02A
4F100CA18A
4F100DE01A
4F100DG01B
4F100EH46A
4F100GB32
4F100GB41
4F100JA06A
4F100JA12A
4F100JJ01A
4F100JJ02
4F100JJ02A
4F100JJ07
4F100JJ07A
4H028AA05
4H028BA03
4H028BA04
4J038BA012
4J038HA441
4J038MA06
4J038NA14
4J038NA15
4J038PB07
4J038PB09
4J038PC08
5H031EE03
5H031EE04
5H031HH03
5H031HH06
5H031KK02
(57)【要約】
ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウム、並びにさらなる又は他のフィラー材料又はバインダー材料を含む防火及び断熱組成物であって、組成物が、前記電池セルに適用された場合、電池セルの通常の作動温度において熱伝導性コーティングとして作用し、ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムが、より高温に曝露された場合、非晶質シリカへの水熱結晶化を受け、コーティングが電池セルの断熱障壁として作用する、防火及び断熱組成物。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウム、並びにさらなる又は他のフィラー材料又はバインダー材料を含む防火及び断熱組成物であって、前記組成物が、前記電池セルに適用された場合、前記電池セルの通常の作動温度において熱伝導性コーティングとして作用し、前記ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムが、より高温に曝露された場合、非晶質シリカへの水熱結晶化を受け、前記コーティングが前記電池セルの断熱障壁として作用する、防火及び断熱組成物。
【請求項2】
前記フィラー材料が、細孔形成剤、レオロジー調整剤、断熱性フィラー、及び熱伝導性フィラーのうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項3】
前記細孔形成剤がデンプンである、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項4】
前記細孔形成剤が、前記ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムによって提供される、請求項2又は3に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項5】
前記レオロジー調整剤が、デンプン、フュームドシリカ、及び/又は、セルロース若しくはセルロース誘導体である、請求項2~4のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項6】
前記デンプンが、トウモロコシ、タピオカ、コムギ又はコメに由来する、請求項3又は5に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項7】
前記断熱性フィラーが、フュームドシリカ及び/又はエアロゲルである、請求項2~6のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項8】
前記熱伝導性フィラーが、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、及び酸化マグネシウムのうちの1つ又は複数から選択される、請求項2~7のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項9】
UV硬化剤をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項10】
セルロースをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項11】
界面活性剤をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項12】
石膏をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項13】
前記ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムが、35~60ボーメの範囲である、請求項1~12のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項14】
前記ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムが、粉末の形態である、請求項1に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項15】
a)90~95wt%のケイ酸ナトリウム、
b)1~5wt%のトウモロコシデンプン、
c)1~5wt%のセルロース、及び
d)1~5%の界面活性剤
を含む、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項16】
a)30~50wt%のケイ酸ナトリウム、
b)5~20wt%のケイ酸リチウム、
c)30~50wt%の窒化アルミニウム、
d)1~5wt%のトウモロコシデンプン、
e)1~5wt%のフュームドシリカ、及び
f)1~5wt%の界面活性剤
を含む、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項17】
a)50~65wt%のケイ酸ナトリウム、
b)30~50wt%の窒化ホウ素、
c)1~5wt%のイルガキュア819、
d)1~5wt%のセルロース、及び
e)1~5wt%の界面活性剤
を含む、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項18】
a)50~60wt%のケイ酸ナトリウム、
b)30~59wt%の窒化ホウ素、
c)1~5wt%のフュームドシリカ、
d)1~5wt%のセルロース、及び
e)1~5wt%の界面活性剤
を含む、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項19】
a)40~60wt%のケイ酸ナトリウム(SiO2:Na2O=3.22)、
b)30~50wt%の窒化ホウ素、及び
c)3~15wt%の石膏
を含む、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項20】
前記ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムが、メタケイ酸ナトリウム水和物及び/又はメタケイ酸リチウム水和物の形態である、請求項1に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項21】
前記メタケイ酸ナトリウム水和物及び/又はメタケイ酸リチウム水和物は、メタケイ酸ナトリウム五水和物、メタケイ酸ナトリウム九水和物、メタケイ酸リチウム、又は二ケイ酸リチウムの形態である、請求項20に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項22】
前記メタケイ酸ナトリウム水和物及び/又はメタケイ酸リチウム水和物が、カプセル化形態である、請求項20又は21に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項23】
前記バインダー材料がシリコーンゴムRTVである、請求項20~22のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項24】
前記バインダー材料がシラングラフトポリウレタンである、請求項20~22のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項25】
前記バインダー材料が水性アクリルである、請求項20~22のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項26】
前記バインダー材料がシロキサンである、請求項20~22のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項27】
熱伝導性フィラーをさらに含む、請求項20~26のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項28】
前記熱伝導性フィラーが、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、及び酸化マグネシウムのうちの1つ又は複数から選択される、請求項27に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項29】
a)30~70wt%のシリコーンゴムRTV、
b)20~70%の窒化ホウ素、及び
c)10~30wt%の酸処理メタケイ酸ナトリウム五水和物
を含む、請求項23に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項30】
a)30~70wt%のシリコーンゴムRTV、
b)30~70wt%の窒化ホウ素、
c)10~30wt%の酸処理メタケイ酸リチウム、及び
d)10~30wt%のカプセル化メタケイ酸ナトリウム九水和物
を含む、請求項23に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項31】
a)30~70wt%のシリコーンゴムRTV、
b)30~70wt%の窒化アルミニウム、及び
c)10~30wt%のカプセル化メタケイ酸ナトリウム五水和物
を含む、請求項23に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項32】
a)30~70%のシラングラフトポリウレタン、
b)20~70%の窒化ホウ素、
c)1~5%のシロキサン、
d)1~3%の界面活性剤、及び
e)10~30%のメタケイ酸ナトリウム五水和物
を含む、請求項24に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項33】
a)30~70%水性アクリル、
b)20~70%の窒化ホウ素、
c)1~3%の界面活性剤、及び
d)10~30%のメタケイ酸ナトリウム五水和物
を含む、請求項25に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項34】
a)30~70%のシリコーンゴムRTV、
b)10~50%の窒化ホウ素、
c)20~50%のシロキサン、
d)1~3%の界面活性剤、及び
e)10~30%のメタケイ酸ナトリウム五水和物
を含む、請求項23に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項35】
5~30wt%の強化材料をさらに含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項36】
前記強化材料が、ガラス/セラミックウール、チョップドストランド、繊維、又はウィスカーのうちの1つ又は複数から選択される、請求項35に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項37】
請求項1~36のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物の層が貼り付けられた無機強化層を含む複合シート。
【請求項38】
前記無機層が、ガラス/セラミックマット又は布の形態である、請求項37に記載の複合シート。
【請求項39】
電池セルに防火及び断熱をもたらす方法であって、少なくとも前記電池セルのカソード及び/又はベントを、請求項1~36のいずれか一項に記載の防火及び断熱コーティングでコーティング又は被覆するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[分野]
[0001]本発明は、防火及び断熱組成物、並びにそれを使用する方法に関する。本発明は、電池セルとのその使用を参照して記載されるものの、本発明は、この適用に限定されず、他の適用もまた想定されることが認識される。
【0002】
[背景]
[0002]本発明の背景についての以下の議論は、本発明の理解を促進することのみを目的とする。議論は、言及されるいずれの材料も、本発明の優先日における任意の権限において公開されていたか、公知であったか、又は当業者の一般技術常識の一部であったことを認めるか、又は受け入れるものではないことが認識されるべきである。
【0003】
[0003]電池の熱暴走は、充電の間の電気自動車及びバイクの爆発の主因である。熱暴走は、Liイオンセルが過充電され、閾値温度に達したときに起こり、その後、温度はそれ自体で急速に上昇する。熱暴走障壁が、熱暴走の間の炎の伝播を抑制するために使用されている。
【0004】
[0004]電池モジュール中の温度管理材料は、2つのカテゴリー、すなわち、サーマルインターフェース材料及び熱暴走障壁に本質的に分類される。サーマルインターフェース材料は、20~80℃の間の通常の作動温度の間に電池セルから熱を放散させる役割を果たす。したがって、これらの材料は、本質的に熱伝導性である。しかしながら、より高温、例えば250℃において、これらの材料は、溶融及び/又は分解する傾向があり、熱暴走の事象において、炎伝播に対する十分な防護を提供することができないこととなる。他方、熱暴走障壁は、本質的に断熱性であり、したがって、熱暴走の事象において、電池モジュールの一部分から他の部分に炎が拡がるのを防止することができる。しかしながら、これらの障壁は、通常の電池作動条件下で熱を放散させることができない。したがって、電池寿命は、長期間にわたる高温へのその曝露に起因して劣化する傾向がある。
【0005】
[0005]したがって、電池セルの通常の作動温度においてサーマルインターフェース材料として、及び熱暴走の事象において熱暴走障壁として作用しうる温度管理材料を有することが有利である。
【0006】
[概要]
[0006]本開示の態様によると、
ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウム、並びにさらなる又は他のフィラー材料又はバインダー材料を含む防火及び断熱組成物であって、組成物が、前記電池セルに適用された場合、電池セルの通常の作動温度において熱伝導性コーティングとして作用し、ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムが、より高温に曝露された場合、非晶質シリカへの水熱結晶化を受け、コーティングが電池セルの断熱障壁として作用する、防火及び断熱組成物
が提供される。
【0007】
[0007]一部の実施形態では、フィラー材料は、細孔形成剤、レオロジー調整剤、断熱性フィラー、及び熱伝導性フィラーのうちの1つ又は複数を含む。
【0008】
[0008]一部の実施形態では、細孔形成剤はデンプンである。
【0009】
[0009]一部の実施形態では、細孔形成剤は、ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムによって提供される。
【0010】
[0010]一部の実施形態では、レオロジー調整剤は、デンプン、フュームドシリカ、及び/又は、セルロース若しくはセルロース誘導体である。
【0011】
[0011]一部の実施形態では、デンプンは、トウモロコシ、タピオカ、コムギ又はコメに由来する。
【0012】
[0012]一部の実施形態では、断熱性フィラーは、フュームドシリカ及び/又はエアロゲルである。
【0013】
[0013]一部の実施形態では、熱伝導性フィラーは、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、及び酸化マグネシウムのうちの1つ又は複数から選択される。
【0014】
[0014]一部の実施形態では、防火及び断熱組成物は、UV硬化剤をさらに含む。
【0015】
[0015]一部の実施形態では、防火及び断熱組成物は、セルロースをさらに含む。
【0016】
[0016]一部の実施形態では、防火及び断熱組成物は、界面活性剤をさらに含む。
【0017】
[0017]一部の実施形態では、防火及び断熱組成物は、石膏をさらに含む。
【0018】
[0018]一部の実施形態では、ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムは、35~60ボーメの範囲である。
【0019】
[0019]一部の実施形態では、ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムは、粉末の形態である。
【0020】
[0020]一部の実施形態では、防火及び断熱組成物は、
a)90~95wt%のケイ酸ナトリウム、
b)1~5wt%のトウモロコシデンプン、
c)1~5wt%のセルロース、及び
d)1~5%の界面活性剤
を含む。
【0021】
[0021]一部の実施形態では、防火及び断熱組成物は、
a)30~50wt%のケイ酸ナトリウム、
b)5~20wt%のケイ酸リチウム、
c)30~50wt%の窒化アルミニウム、
d)1~5wt%のトウモロコシデンプン、
e)1~5wt%のフュームドシリカ、及び
f)1~5wt%の界面活性剤
を含む。
【0022】
[0022]一部の実施形態では、防火及び断熱組成物は、
a)50~65wt%のケイ酸ナトリウム、
b)30~50wt%の窒化ホウ素、
c)1~5wt%のイルガキュア(irgacure)819、
d)1~5wt%のセルロース、及び
e)1~5wt%の界面活性剤
を含む。
【0023】
[0023]一部の実施形態では、防火及び断熱組成物は、
a)50~60wt%のケイ酸ナトリウム、
b)30~59wt%の窒化ホウ素、
c)1~5wt%のフュームドシリカ、
d)1~5wt%のセルロース、及び
e)1~5wt%の界面活性剤
を含む。
【0024】
[0024]一部の実施形態では、防火及び断熱組成物は、
a)40~60wt%のケイ酸ナトリウム(SiO2:Na2O=3.22)、
b)30~50wt%の窒化ホウ素、及び
c)3~15wt%の石膏
を含む。
【0025】
[0025]一部の実施形態では、ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムは、メタケイ酸ナトリウム水和物及び/又はメタケイ酸リチウム水和物の形態である。
【0026】
[0026]一部の実施形態では、メタケイ酸ナトリウム水和物及び/又はメタケイ酸リチウム水和物は、メタケイ酸ナトリウム五水和物、メタケイ酸ナトリウム九水和物、メタケイ酸リチウム、又は二ケイ酸リチウムの形態である。
【0027】
[0027]一部の実施形態では、メタケイ酸ナトリウム水和物及び/又はメタケイ酸リチウム水和物は、カプセル化形態である。
【0028】
[0028]一部の実施形態では、バインダー材料はシリコーンゴムRTVである。
【0029】
[0029]一部の実施形態では、バインダー材料はシラングラフトポリウレタンである。
【0030】
[0030]一部の実施形態では、バインダー材料は水性アクリルである。
【0031】
[0031]一部の実施形態では、バインダー材料はシロキサンである。
【0032】
[0032]一部の実施形態では、防火及び断熱組成物は、熱伝導性フィラーをさらに含む。
【0033】
[0033]一部の実施形態では、熱伝導性フィラーは、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、及び酸化マグネシウムのうちの1つ又は複数から選択される。
【0034】
[0034]一部の実施形態では、防火及び断熱組成物は、
a)30~70wt%のシリコーンゴムRTV、
b)20~70%の窒化ホウ素、及び
c)10~30wt%の酸処理メタケイ酸ナトリウム五水和物
を含む。
【0035】
[0035]一部の実施形態では、防火及び断熱組成物は、
a)30~70wt%のシリコーンゴムRTV、
b)30~70wt%の窒化ホウ素、
c)10~30wt%の酸処理メタケイ酸リチウム、及び
d)10~30wt%のカプセル化メタケイ酸ナトリウム九水和物
を含む。
【0036】
[0036]一部の実施形態では、防火及び断熱組成物は、
a)30~70wt%のシリコーンゴムRTV、
b)30~70wt%の窒化アルミニウム、及び
c)10~30wt%のカプセル化メタケイ酸ナトリウム五水和物
を含む。
【0037】
[0037]一部の実施形態では、防火及び断熱組成物は、
a)30~70%のシラングラフトポリウレタン、
b)20~70%の窒化ホウ素、
c)1~5%のシロキサン、
d)1~3%の界面活性剤、及び
e)10~30%のメタケイ酸ナトリウム五水和物
を含む。
【0038】
[0038]一部の実施形態では、防火及び断熱組成物は、
a)30~70%水性アクリル、
b)20~70%の窒化ホウ素、
c)1~3%の界面活性剤、及び
d)10~30%のメタケイ酸ナトリウム五水和物
を含む。
【0039】
[0039]一部の実施形態では、防火及び断熱組成物は、
a)30~70%のシリコーンゴムRTV、
b)10~50%の窒化ホウ素、
c)20~50%のシロキサン、
d)1~3%の界面活性剤、及び
e)10~30%のメタケイ酸ナトリウム五水和物
を含む。
【0040】
[0040]一部の実施形態では、防火及び断熱組成物は、5~30wt%の強化材料をさらに含む。
【0041】
[0041]一部の実施形態では、強化材料は、ガラス/セラミックウール、チョップドストランド、繊維、又はウィスカーのうちの1つ又は複数から選択される。
【0042】
[0042]本発明の別の態様によると、防火及び断熱組成物の層が貼り付けられた無機基材層を含む複合シートが提供される。
【0043】
[0043]一部の実施形態では、無機基材層は、ガラス/セラミックマット又は布の形態である。
【0044】
[0044]本開示のさらなる態様によると、電池セルに防火及び断熱をもたらす方法であって、少なくとも電池セルのカソード及び/又はベントを、上記の防火及び断熱コーティングでコーティング又は被覆するステップを含む、方法が提供される。
【0045】
[0045]他の態様及び特徴は、添付の図面と併せて、特定の実施形態についての以下の記載を検討することで当業者に明らかとなるであろう。
【0046】
[0046]図面は、本発明の実施形態を、例としてのみ示す。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】左の画像はカプセル化メタシリケート粒子を示し、右の画像は、メタシリケートコアを水で抽出した後のゾルゲル形成されたシェルの光学顕微鏡写真を示す、写真画像である。
図2a】電池ベントがまた位置している、電池セルのカソード端子において本開示による防火及び断熱コーティングでコーティングされた電池セルを示す写真画像である。
図2b】コーティング電池セルを160℃超の温度に加熱するために使用した試験設定を示す写真画像である。
図2c】10分間の加熱後の電池セルのコーティング部分における膨張泡の形成を示す写真画像である。
図2d】160℃超への90分間の加熱後の電池セルのコーティング側の外見を示す写真画像であり、熱暴走の開始は検出されなかった。
図3】本開示による防火及び断熱コーティングによりコーティングされた鋼基材で実施した火災試験を示す写真画像である。
図4】[図3]に示される試験の間のコーティング及び非コーティング基材間の基材温度を比較するグラフである。
図5a】高温への曝露前の高熱伝導性PDMS化合物の外見を示す写真画像である。
図5b】高温への曝露時の[図5a]のPDMS化合物の発泡を示す写真画像である。
図5c】発泡がまた、どのように[図5a]のPDMS化合物の膨張を引き起こすかを示す写真画像である。
図6】本開示による組成物を有する上部保護シートを含む電池モジュールの拡大図である。
図7】120℃超の温度への曝露後の[図6]の電池モジュールの電池ホルダー及び上部保護シートの写真画像である。
【0048】
[詳細な説明]
[0059]この文書全体を通して、別段に逆のことが示されていない限り、「含む」、「からなる」、「有する」等の用語は、非網羅的であるとして、又は言い換えると、「含むが、限定されない」という意味として解釈されることになる。
【0049】
[0060]さらに、本明細書全体を通して、文脈がそうでないことを必要としない限り、「含む(include)」という語、又は「含む(includes)」若しくは「含むこと(including)」などの変化形は、述べられた整数又は整数の群を含むことを含意するが、任意の他の整数又は整数の群の除外は含意しないと理解されることとなる。
【0050】
[0061]本開示によると、電池セルにコーティング又は配置するように主に配合されて、例えば20~80℃の間の通常の電池動作温度の間に熱の放散を補助する高熱伝導性組成物が提供される。しかしながら、電池セルは、例えば120℃超に過熱されるはずであり、組成物は、水熱結晶化によって引き起こされた発泡により断熱障壁に変わることとなる。この組成物は、リン酸-窒素化合物を放出するどのような膨張性難燃剤も発泡剤も含有しないことがある。組成物は、コーティング、ポッティング材料、ペーストを含むがこれらに限定されない様々な形態で、又は固体シートとして製造することができる。
【0051】
[0062]本開示の一態様によると、防火及び断熱組成物は、コーティングとして使用された場合、その主成分としてケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムを使用してもよく、それ自体は不燃性である。様々なSiO:NaO又はSiO:LiO含有量、例えば、35~60ボーメの種々のグレードのケイ酸ナトリウム/ケイ酸リチウムを使用することができる。ケイ酸ナトリウム/ケイ酸リチウムは、本開示による防火及び断熱組成物においてメタケイ酸ナトリウム/メタケイ酸リチウムの形態で使用することも想定され、その例は続けて記載されるであろう。
【0052】
[0063]ケイ酸ナトリウム/ケイ酸リチウムの粘度及び透明度は、そのグレード、並びにまたフィラー及び界面活性剤の組込みに基づいて調整することができる。ケイ酸ナトリウム及びケイ酸リチウムの混合物によりまた、コーティングに種々のグレードの耐水性をもたらすことができる。使用されるフィラーは、デンプン、フュームドシリカ、セルロース及びセラミックの混合物からなり、その各々は、様々であるが相乗的に、コーティングの熱伝導、断熱及び耐火性能に寄与する。デンプンは、トウモロコシ、タピオカ、コムギ又はコメに由来しうる。デンプンは、コーティングの細孔形成剤及びレオロジー調整剤として使用される。セルロース及びその誘導体もまた、レオロジー調整剤として使用することができる。セルロースにより、シリケートにおいて多孔質だがより緻密な構造が作出されることとなり、これは、裸火への曝露時に断熱壁を形成する。このことは、とりわけ、電池における熱暴走防止の場合に重要であり、これは後に議論されるであろう。ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムはまた、細孔形成剤として作用しうる。さらに、コーティングによる熱反射率は、炎と接触したときのデンプンからの木炭形成を介して実現することができる。フュームドシリカを効果的なレオロジー調整剤(rheological modifier)として使用することにより、シリケートをペースト又はゲルに配合することができる。このコーティングにおいて、フュームドシリカが、デンプンとの相乗効果を有して難燃剤添加剤として作用し、木炭層形成を安定化及び強化することにより、コーティングは、長時間の炎への曝露後に割れないことが見出された。エアロゲルはまた、断熱性フィラーとして使用されうる。窒素及びホスフェートなどのガスに依拠して、大きな開放セルの泡様構造を作出する従来の膨張性コーティングとは異なり、本開示による防火及び断熱コーティングのセル構造は、閉鎖型で、より緻密である。これらの特徴は、コーティングが良好な断熱性能をもたらし、炎に曝露されたときの基材の加熱を延長するために重要である。ある特定の場合、とりわけコーティングが垂直表面にスプレーされる場合に、コーティングの迅速な硬化を達成し、垂れを防止するために、イルガキュア819(BASFの登録商標)などのUV硬化剤が組み込まれる。この場合、コーティングは、スプレー後のUVA曝露時、約1~6分で流動が停止する。
【0053】
[0064]ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムは、それらが既に水溶液中にある場合、バインダー材料として、又は続けて記載されるであろうようなカプセル化形態にある場合、フィラー材料として作用することができる。或いは、ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムは、粉末形態であってもよい。
【0054】
[0065]本開示による防火及び断熱組成物の第1の実施形態例の組成が、[実施例1]と題する下記表に示されている。[実施例1]による組成物は、例えば120℃のトリガー温度(trigger temperature)において熱超過(thermal overrun)断熱層に変わるであろうコーティングを提供することができる。
【0055】
【表1】
【0056】
[0066]本開示による防火及び断熱組成物の第2の実施形態例の組成が、[実施例2]と題する下記表に示されている。[実施例2]による組成物は、例えば120℃のトリガー温度において熱超過断熱材に変わるであろう一方、より良好な耐水性を有する高熱伝導性コーティングを提供することができる。
【0057】
【表2】
【0058】
[0067]本開示による防火及び断熱組成物の第3の実施形態例の組成が、[実施例3]と題する下記表に示されている。[実施例3]による組成物は、例えば120℃のトリガー温度において断熱材に変わるであろうUV硬化性高熱伝導性コーティングを提供することができる。
【0059】
【表3】
【0060】
[0068]本開示による防火及び断熱組成物の第4の実施形態例の組成が、[実施例4]と題する下記表に示されている。[実施例4]による組成物は、例えば120℃のトリガー温度において断熱材に変わるであろう高熱伝導性ペーストを提供することができる。
【0061】
【表4】
【0062】
[0069]本開示による防火及び断熱組成物の第5の実施形態例の組成が、[実施例5]と題する下記表に示されている。[実施例5]による組成物は、例えば120℃のトリガー温度において断熱材に変わるであろう高熱伝導性パテを提供することができる。
【0063】
【表5】
【0064】
[0070][実施例1~5]に記載のすべての成分は、1200rpmに設定した標準的なプロペラミキサーを使用することによって室温で混合することによって、処理することができる。混合時間は20~40分の間で様々であり、得られた溶液は、凝集することなく完全に分散しているべきである。一部の場合には、固体及び液体成分間で相分離が起こることがある。しかしながら、これらは、1200rpmで撹拌することによって容易に分散しうる。
【0065】
[0071]本発明の別の態様によると、防火及び断熱組成物は、その主成分として、メタケイ酸ナトリウム水和物(SMS)又はメタケイ酸リチウム水和物(LMS)の形態のケイ酸ナトリウム/ケイ酸リチウムを使用してもよい。メタケイ酸ナトリウム水和物及び/又はメタケイ酸リチウム水和物は、例えば、メタケイ酸ナトリウム五水和物、メタケイ酸ナトリウム九水和物、メタケイ酸リチウム、又は二ケイ酸リチウムの形態であってもよい。
【0066】
[0072]ケイ酸ナトリウム及びケイ酸リチウムは、高アルカリ性化合物であり、アルミニウム、亜鉛及びポリカーボネートなどのある特定の材料と直接接触した場合、反応又は腐食を引き起こすことがある。そのような腐食及び反応を防止するために、フィラーとしてメタケイ酸ナトリウム水和物(SMS)又はメタケイ酸リチウム水和物(LMS)を、他の中性バインダー、例えばポリジメチルシロキサン(シリコーンゴム)、シラングラフトポリウレタン、水性アクリル及びシロキサンに組み込むことができる。これらのメタシリケートは、バインダーから浸出しない限り、それらの本来の形態で組み込まれてもよい。バインダー中のその濃度が高い(例えば、>20wt%)、ある特定の例では、メタシリケートの浸出が起こりうる。そのような例では、メタシリケート粒子は、表面処理又はカプセル化されて、表面pHを大幅に低減し、粒子が、バインダーから浸出した場合のその周囲環境と反応するのを防止することができる。メタシリケートの表面処理は、粒子を酸に曝露することによって実施することができる。そのような処理の進行時、中和多孔質ケイ酸層によって、架橋シリカゲルの薄層が最終的に形成する。メタシリケート粒子表面をさらに安定化するために、粒子をゾルゲル手法及び関連材料を使用することによってカプセル化することができる。処理は、メタシリケートが不溶性のままであるか、又は非常に限られた溶解性を示す溶媒中で実施することができる。同じ溶媒への、酸及び使用されるゾルゲル前駆体の溶解性は許容されうる。
【0067】
[0073]本開示による1つの可能な方法によると、所定量の酸(例えば、マレイン酸又は塩酸)が、溶媒(例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール)に溶解される。続いて、所定量のメタシリケートが添加され、そのように形成されたスラリーは、溶媒中の酸が消費されるまで撹拌される(最終pH約7)。次のステップでは、ゾルゲル前駆体が添加される。前駆体の選択は、トリメトキシメチルメチルシラン(MTMS)、トリエトキシエチルシラン(ETES)、及びテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を含みうる。三官能性シランとTEOSとのモル比は、1:10~10:1の間で幅広く様々でありうる。混合物は、少なくとも60分間撹拌される。そのようなカプセル化メタシリケートは、過剰量の先に使用された溶媒で洗浄され、真空補助ろ過を使用して分離され、70℃を超えない温度で真空オーブンにおいて乾燥される。
【0068】
[0074][図1]を参照すると、左の画像はカプセル化メタシリケート粒子を示し、一方、右の画像は、メタシリケートコアを水で抽出した後のゾルゲル形成されたシェルの光学顕微鏡写真を示している。
【0069】
[0075]本開示による防火及び断熱組成物の第6の実施形態例の組成が、[実施例6]と題する下記表に示されている。[実施例6]による組成物は、例えば120℃のトリガー温度において断熱材に変わるであろう高熱伝導性シリコーンゴムを提供することができる。
【0070】
【表6】
【0071】
[0076]本開示による防火及び断熱組成物の第7の実施形態例の組成が、[実施例7]と題する下記表に示されている。[実施例7]による組成物は、例えば120℃のトリガー温度において断熱材に変わるであろう高熱伝導性シリコーンゴムを提供することができる。
【0072】
【表7】
【0073】
[0077]本開示による防火及び断熱組成物の第8の実施形態例の組成が、[実施例8]と題する下記表に示されている。[実施例8]による組成物は、例えば120℃のトリガー温度において断熱材に変わるであろう高熱伝導性シリコーンゴムを提供することができる。
【0074】
【表8】
【0075】
[0078]強化材料が、本開示による防火及び断熱組成物内に含まれることも想定される。例えば、5~30wt%の短い無機強化材、例えば、ガラス/セラミックウール、チョップドストランド、繊維又はウィスカーが、例えば組成物に組み込まれて、必要な場合、さらなる構造特性がもたらされる。或いは、本開示による防火及び断熱組成物はまた、例えば、ガラス/セラミックマット又は布の形態の連続無機強化材料上にコーティングされて、50wt%超のそのような強化材料を含有しうる複合シートを得ることができる。
【0076】
[0079]電池における熱暴走は、主に、過熱によって引き起こされ、これは、電池が過充電されるか、又は電気的短絡がある場合のいずれかの場合に起こる。温度が電池のセパレーターの崩壊点に達した場合、カソード及びアノード間の内部短絡が生じ、高可燃性電解質は蒸発し、電池セルの開口を通して吹き出す。これにより、火花が生じた場合、自然発火が開始する。セパレーターが完全に分解し、穴が開くと、電解質により電子のマスフローが可能になるため、アノード及びカソード間でレドックス反応が起こる。この反応は、大部分の熱に寄与するため、熱暴走の主事象を引き起こし、これにより、大規模な膨張、破裂、吹出し、火花、発煙、発火及び爆発が引き起こされる。電池チャンバーから吹き出したガスが、電極によって発生した火花と接触した場合、燃焼によって発火する。ガスが電池ケーシングから吹き出す温度は、使用される溶媒の種類、すなわち、DMC(90℃)、EMC(108℃)、及びDEC(128℃)に依存する。酸素の量が不十分であれば、電池セル内部で燃焼が起こらないであろうことは注目に値する。
【0077】
[0080]出願人は、ハードケース18650電池セルによって、電池セルを160℃超に過熱することによって試験を行った。160℃超に加熱された場合、電池セルの熱暴走が4分以内に起こることが見出された。さらに、電池セルを160℃超に長時間加熱した後、セルからの成分の大量の吹出し、続いて、電極のメルトダウンから火花の噴出、最終的に電池セルの爆発が観察された。
【0078】
[0081]電池セルを、電池ベントバルブが配置されたカソード端子において、[実施例1~5]に提示した組成を有するコーティングのうちの1つでコーティングした場合、セルを160℃超に90分超加熱した場合でさえ、熱暴走は開始しなかったことが見出された。カソード領域におけるコーティング厚さは、[図2a]に示される通り、約0.5~2mmであった。[図2b]は、160℃超に加熱されたコーティング電池を示しており、このとき、コーティングは、[図2c]に示される通り、電池セルの上部で水熱結晶化を介して泡様構造を形成し始めていた。発泡は、コーティングが熱を吸収し、カソードの周りに障壁を形成することができたことを示す。電池を約90分間にわたって加熱した後、電解質の吹出しに起因して褐色の汚れがコーティングカソード境界面で観察された([図2d])一方、火花、火花の開始又は燃焼の証拠はなかった。出願人は、セル内部の成分が加熱されて、それぞれの分解/沸点に達した場合、コーティングは、多孔質障壁を形成して、これらの成分を放出するが、火花の形成を防止することができたことを明らかにする。効果的な火花の防止は、電極間での顕著な自然発生のレドックス反応を防止し、したがって、完全熱暴走の発生を軽減する主因子であると考えられる。
【0079】
[0082]これらのコーティングはまた、電池ケーシング及び熱暴走障壁などの金属又はプラスチック上にコーティングされて、良好な断熱及び耐火をもたらしうる。これらのコーティングが、高熱伝導性(>1W/m.K)を示すが、低電気伝導性(>10オームの抵抗)を示すことは注目に値する。
【0080】
[0083][図3]は、本開示の[実施例1~5]による防火及び断熱コーティングによりコーティングされた鋼基材で実施した火災試験を示す。[図4]は、[実施例1~5]に記載のコーティング組成物を有する[図3]に示される火災試験の間の、コーティング及び非コーティング鋼基材間の基材温度を比較するグラフである。
【0081】
[0084]本来の形態又はカプセル化形態の固体メタシリケートは、[実施例6~8]に列挙される中性バインダー、例えば(これらに限定されないが)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)に組み込まれ、得られた化合物は、未処理のPDMSと比較して、熱伝導性の少なくとも10倍の増加を示す。しかしながら、これらの化合物が500℃超の温度に曝露された場合、発泡が起こり、化合物は、未処理のPDMSと比較して少なくとも30%良好な断熱及び体積の20%の膨張を示す。したがって、これらの化合物は、熱を放散するための電池モジュールのサーマルインターフェース材料として、及び熱暴走の事象における炎の拡がりを防止する熱暴走障壁として使用するのが理想的である。加熱時の化合物の膨張により、存在する割れ目を封止し、炎のさらなる伝播を防止することが可能になる。
【0082】
[0085][図5a]は、高温への曝露前の高熱伝導性PDMS化合物の外見を示している。[図5b]は、高温(例えば、200℃)への曝露時に発泡するPDMS化合物を示している。[図5c]は、発泡がまた、どのようにPDMS化合物の、例えば、示される例ではおよそ20%の、膨張を引き起こすかを示している。
【0083】
[0086][図6]は、電池ケーシングカバー11を有する電池ケーシング3を備える電池モジュール1の例を示している。電池ケーシング3内には、複数の電池(例えば、18650電池)が位置決めされており、各電池7は、それぞれ、高熱伝導性化合物から製作された電池ホルダー5内に支持されている。電池7上には、本開示の[実施例6~8]による組成物を有する上部保護シート9が位置決めされている。
【0084】
[0087][図7]は、本開示による防火及び断熱組成物で構成され、120℃超の温度への曝露後の、[図6]の電池モジュール1の電池ホルダー5及び上部保護シート9を示している。[図7]は、特に、高温への曝露後に、電池ホルダー5及び上部保護シート9の組成物内で起こる水熱結晶化を示している。
【0085】
[0088]本開示による防火及び断熱組成物は、以下の特徴及び利点を提供しうる。
i)電池モジュールのサーマルインターフェース材料及び熱暴走障壁の両方として機能しうるハロゲンを含まない、水性コーティング。
ii)通常の動作温度(例えば、20~80℃)で高熱伝導性である、pH中性バインダー(例えば、PDMS)、メタケイ酸ナトリウム/メタケイ酸リチウム粉末、及びセラミックフィラー(例えば、窒化ホウ素)からなり、高温(例えば、120℃超)で発泡し、耐火断熱性障壁に変わるであろう、化合物。
iii)メタケイ酸ナトリウム/メタケイ酸リチウム粒子を包むpH中性シェルをもたらすカプセル化方法。
iv)トリガー温度(メタシリケートが発泡し始める温度)を調整できるようにシェルの厚さを調整するカプセル化方法。
v)ベントが位置するカソード端子において電池セルをコーティングして、熱暴走の開始を防止する方法。
vi)電池モジュール全体を高熱伝導性コーティングによりコーティングして、通常の電池作動温度の間に電池セルから電池ケーシングへの熱放散を可能にする方法。同じコーティングがまた、熱暴走の事象において炎伝播を防止する断熱性障壁に変わる。
【0086】
[0089]防火及び断熱コーティングは、電池における熱暴走を防止するその使用を参照して具体的に記載しているが、コーティング(coasting)はまた、以下の通りの他の適用に使用することができる。
i)動作温度の間に熱を放散し、電池温度が高すぎる場合、熱暴走を防止する、電池へのコーティング。コーティングはまた、電池を外部加熱/炎に対して断熱しうる。
ii)さらなる断熱をもたらす、防火扉パネル及び他の可燃性材料(例えば、木、ポリマーフォーム、ハニカムコア)へのコーティング。
iii)可燃性材料(例えば、ポリウレタンフォーム、木、プラスチック及び布)製の家具又はパネルへの難燃剤コーティングとして。
iv)電気パネル/PCBにおける防火コーティングとして。
v)建材における防火及び断熱コーティングとして。
【0087】
[0090]別段に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は、本明細書における主題が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0088】
[0091]当業者であれば、上記の発明は、記載の実施形態に限定されず、変形及び改変が、本発明の範囲から逸脱することなくなされうることを認識するべきである。
【0089】
[0092]さらに、当業者であれば、上記の変形又は改変のうちの1つ又は複数が、互いに排他的ではなく、さらに組み合わせられて本発明のなおさらなる実施形態を形成しうることを認識するべきである。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル化されたケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウム、並びにさらなる又は他のフィラー材料又はバインダー材料を含み、前記フィラー材料又はバインダー材料が熱伝導性フィラーを含む防火及び断熱組成物であって、前記組成物が電池セルに適用された場合、前記電池セルの通常の作動温度において熱伝導性コーティングとして作用し、前記ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムが、より高温に曝露された場合、非晶質シリカへの水熱結晶化を受け、前記コーティングが前記電池セルの断熱障壁として作用する、防火及び断熱組成物。
【請求項2】
前記フィラー材料が、細孔形成剤、レオロジー調整剤、断熱性フィラー、及び前記熱伝導性フィラーのうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項3】
前記細孔形成剤がデンプンである、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項4】
前記細孔形成剤が、前記ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムによって提供される、請求項2又は3に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項5】
前記レオロジー調整剤が、デンプン、フュームドシリカ、及び/又は、セルロース若しくはセルロース誘導体である、請求項2~4のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項6】
前記デンプンが、トウモロコシ、タピオカ、コムギ又はコメに由来する、請求項3又は5に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項7】
前記断熱性フィラーが、フュームドシリカ及び/又はエアロゲルである、請求項2~6のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項8】
前記熱伝導性フィラーが、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、及び酸化マグネシウムのうちの1つ又は複数から選択される、請求項2~7のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項9】
UV硬化剤をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項10】
セルロースをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項11】
界面活性剤をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項12】
石膏をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項13】
前記ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムが、35~60ボーメの範囲である、請求項1~12のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項14】
前記ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムが、粉末の形態である、請求項1に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項15】
a)90~95wt%のケイ酸ナトリウム、
b)1~5wt%のトウモロコシデンプン、
c)1~5wt%のセルロース、及び
d)1~5%の界面活性剤
を含む、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項16】
a)30~50wt%のケイ酸ナトリウム、
b)5~20wt%のケイ酸リチウム、
c)30~50wt%の窒化アルミニウム、
d)1~5wt%のトウモロコシデンプン、
e)1~5wt%のフュームドシリカ、及び
f)1~5wt%の界面活性剤
を含む、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項17】
a)50~65wt%のケイ酸ナトリウム、
b)30~50wt%の窒化ホウ素、
c)1~5wt%のイルガキュア819、
d)1~5wt%のセルロース、及び
e)1~5wt%の界面活性剤
を含む、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項18】
a)50~60wt%のケイ酸ナトリウム、
b)30~59wt%の窒化ホウ素、
c)1~5wt%のフュームドシリカ、
d)1~5wt%のセルロース、及び
e)1~5wt%の界面活性剤
を含む、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項19】
a)40~60wt%のケイ酸ナトリウム(SiO2:Na2O=3.22)、
b)30~50wt%の窒化ホウ素、及び
c)3~15wt%の石膏
を含む、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項20】
前記ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムが、メタケイ酸ナトリウム水和物及び/又はメタケイ酸リチウム水和物の形態である、請求項1に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項21】
前記メタケイ酸ナトリウム水和物及び/又はメタケイ酸リチウム水和物は、メタケイ酸ナトリウム五水和物、メタケイ酸ナトリウム九水和物、メタケイ酸リチウム、又は二ケイ酸リチウムの形態である、請求項20に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項22】
前記バインダー材料がシリコーンゴムRTVである、請求項20又は21に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項23】
前記バインダー材料がシラングラフトポリウレタンである、請求項20又は21に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項24】
前記バインダー材料が水性アクリルである、請求項20又は21に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項25】
前記バインダー材料がシロキサンである、請求項20又は21に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項26】
熱伝導性フィラーをさらに含む、請求項20~25のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項27】
前記熱伝導性フィラーが、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、及び酸化マグネシウムのうちの1つ又は複数から選択される、請求項26に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項28】
a)30~70wt%のシリコーンゴムRTV、
b)20~70%の窒化ホウ素、及び
c)10~30wt%の酸処理メタケイ酸ナトリウム五水和物
を含む、請求項22に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項29】
a)30~70wt%のシリコーンゴムRTV、
b)30~70wt%の窒化ホウ素、
c)10~30wt%の酸処理メタケイ酸リチウム、及び
d)10~30wt%のカプセル化メタケイ酸ナトリウム九水和物
を含み、
前記組成物の成分の合計が100wt%となるように組み合わされる、請求項22に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項30】
a)30~70wt%のシリコーンゴムRTV、
b)30~70wt%の窒化アルミニウム、及び
c)10~30wt%のカプセル化メタケイ酸ナトリウム五水和物
を含み、
前記組成物の成分の合計が100wt%となるように組み合わされる、請求項22に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項31】
a)30~70%のシラングラフトポリウレタン、
b)20~70%の窒化ホウ素、
c)1~5%のシロキサン、
d)1~3%の界面活性剤、及び
e)10~30%のメタケイ酸ナトリウム五水和物
を含み、
前記組成物の成分の合計が100wt%となるように組み合わされる、請求項23に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項32】
a)30~70%水性アクリル、
b)20~70%の窒化ホウ素、
c)1~3%の界面活性剤、及び
d)10~30%のメタケイ酸ナトリウム五水和物
を含み、
前記組成物の成分の合計が100wt%となるように組み合わされる、請求項24に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項33】
a)30~70%のシリコーンゴムRTV、
b)10~50%の窒化ホウ素、
c)20~50%のシロキサン、
d)1~3%の界面活性剤、及び
e)10~30%のメタケイ酸ナトリウム五水和物
を含み、
前記組成物の成分の合計が100wt%となるように組み合わされる、請求項22に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項34】
5~30wt%の強化材料をさらに含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項35】
前記強化材料が、ガラス/セラミックウール、チョップドストランド、繊維、又はウィスカーのうちの1つ又は複数から選択される、請求項35に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項36】
請求項1~35のいずれか一項に記載の防火及び断熱組成物の層が貼り付けられた無機強化層を含む複合シート。
【請求項37】
前記無機層が、ガラス/セラミックマット又は布の形態である、請求項36に記載の複合シート。
【請求項38】
電池セルに防火及び断熱をもたらす方法であって、少なくとも前記電池セルのカソード及び/又はベントを、請求項1~35のいずれか一項に記載の防火及び断熱コーティングでコーティング又は被覆するステップを含む、方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル化されたケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウム、並びにさらなる又は他のフィラー材料又はバインダー材料を含み、前記フィラー材料又はバインダー材料が熱伝導性フィラーを含む防火及び断熱組成物であって、前記組成物が、電池セルに適用された場合、前記電池セルの通常の作動温度において熱伝導性コーティングとして作用し、前記ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムが、より高温に曝露された場合、非晶質シリカへの水熱結晶化を受け、前記コーティングが前記電池セルの断熱障壁として作用する、防火及び断熱組成物。
【請求項2】
前記フィラー材料が、細孔形成剤、レオロジー調整剤、断熱性フィラー、及び前記熱伝導性フィラーのうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項3】
前記細孔形成剤がデンプンである、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項4】
前記細孔形成剤が、前記ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムによって提供される、請求項2又は3に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項5】
前記レオロジー調整剤が、デンプン、フュームドシリカ、及び/又は、セルロース若しくはセルロース誘導体である、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項6】
前記デンプンが、トウモロコシ、タピオカ、コムギ又はコメに由来する、請求項3又は5に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項7】
前記断熱性フィラーが、フュームドシリカ及び/又はエアロゲルである、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項8】
前記熱伝導性フィラーが、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、及び酸化マグネシウムのうちの1つ又は複数から選択される、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項9】
UV硬化剤をさらに含む、請求項1に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項10】
セルロースをさらに含む、請求項1に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項11】
界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項12】
石膏をさらに含む、請求項1に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項13】
前記ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムが、35~60ボーメの範囲である、請求項1に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項14】
前記ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムが、粉末の形態である、請求項1に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項15】
a)90~95wt%のケイ酸ナトリウム、
b)1~5wt%のトウモロコシデンプン、
c)1~5wt%のセルロース、及び
d)1~5%の界面活性剤
を含む、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項16】
a)30~50wt%のケイ酸ナトリウム、
b)5~20wt%のケイ酸リチウム、
c)30~50wt%の窒化アルミニウム、
d)1~5wt%のトウモロコシデンプン、
e)1~5wt%のフュームドシリカ、及び
f)1~5wt%の界面活性剤
を含む、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項17】
a)50~65wt%のケイ酸ナトリウム、
b)30~50wt%の窒化ホウ素、
c)1~5wt%のイルガキュア819、
d)1~5wt%のセルロース、及び
e)1~5wt%の界面活性剤
を含む、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項18】
a)50~60wt%のケイ酸ナトリウム、
b)30~59wt%の窒化ホウ素、
c)1~5wt%のフュームドシリカ、
d)1~5wt%のセルロース、及び
e)1~5wt%の界面活性剤
を含む、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項19】
a)40~60wt%のケイ酸ナトリウム(SiO2:Na2O=3.22)、
b)30~50wt%の窒化ホウ素、及び
c)3~15wt%の石膏
を含む、請求項2に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項20】
前記ケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸リチウムが、メタケイ酸ナトリウム水和物及び/又はメタケイ酸リチウム水和物の形態である、請求項1に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項21】
前記メタケイ酸ナトリウム水和物及び/又はメタケイ酸リチウム水和物は、メタケイ酸ナトリウム五水和物、メタケイ酸ナトリウム九水和物、メタケイ酸リチウム、又は二ケイ酸リチウムの形態である、請求項20に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項22】
前記バインダー材料がシリコーンゴムRTVである、請求項20又は21に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項23】
前記バインダー材料がシラングラフトポリウレタンである、請求項20又は21に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項24】
前記バインダー材料が水性アクリルである、請求項20又は21に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項25】
前記バインダー材料がシロキサンである、請求項20又は21に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項26】
熱伝導性フィラーをさらに含む、請求項20に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項27】
前記熱伝導性フィラーが、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、及び酸化マグネシウムのうちの1つ又は複数から選択される、請求項26に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項28】
a)30~70wt%のシリコーンゴムRTV、
b)20~70%の窒化ホウ素、及び
c)10~30wt%の酸処理メタケイ酸ナトリウム五水和物
を含む、請求項22に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項29】
a)30~70wt%のシリコーンゴムRTV、
b)30~70wt%の窒化ホウ素、
c)10~30wt%の酸処理メタケイ酸リチウム、及び
d)10~30wt%のカプセル化メタケイ酸ナトリウム九水和物
を含み、
前記組成物の成分の合計が100wt%となるように組み合わされる、請求項22に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項30】
a)30~70wt%のシリコーンゴムRTV、
b)30~70wt%の窒化アルミニウム、及び
c)10~30wt%のカプセル化メタケイ酸ナトリウム五水和物
を含み、
前記組成物の成分の合計が100wt%となるように組み合わされる、請求項22に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項31】
a)30~70%のシラングラフトポリウレタン、
b)20~70%の窒化ホウ素、
c)1~5%のシロキサン、
d)1~3%の界面活性剤、及び
e)10~30%のメタケイ酸ナトリウム五水和物
を含み、
前記組成物の成分の合計が100wt%となるように組み合わされる、請求項23に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項32】
a)30~70%水性アクリル、
b)20~70%の窒化ホウ素、
c)1~3%の界面活性剤、及び
d)10~30%のメタケイ酸ナトリウム五水和物
を含み、
前記組成物の成分の合計が100wt%となるように組み合わされる、請求項24に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項33】
a)30~70%のシリコーンゴムRTV、
b)10~50%の窒化ホウ素、
c)20~50%のシロキサン、
d)1~3%の界面活性剤、及び
e)10~30%のメタケイ酸ナトリウム五水和物
を含み、
前記組成物の成分の合計が100wt%となるように組み合わされる、請求項22に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項34】
5~30wt%の強化材料をさらに含む、請求項1に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項35】
前記強化材料が、ガラス/セラミックウール、チョップドストランド、繊維、又はウィスカーのうちの1つ又は複数から選択される、請求項34に記載の防火及び断熱組成物。
【請求項36】
請求項1に記載の防火及び断熱組成物の層が貼り付けられた無機強化層を含む複合シート。
【請求項37】
前記無機層が、ガラス/セラミックマット又は布の形態である、請求項36に記載の複合シート。
【請求項38】
電池セルに防火及び断熱をもたらす方法であって、少なくとも前記電池セルのカソード及び/又はベントを、請求項1に記載の防火及び断熱コーティングでコーティング又は被覆するステップを含む、方法。
【国際調査報告】