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特表2024-532006インテリジェントな試料バンク保存システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-04
(54)【発明の名称】インテリジェントな試料バンク保存システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240828BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20240828BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20240828BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240828BHJP
【FI】
B65G1/04 503
G01N1/00 101Z
G01N35/04 G
B65G1/00 521A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500681
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 CN2022082897
(87)【国際公開番号】W WO2023279781
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】202110774267.6
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519145403
【氏名又は名称】上海原能▲細▼胞生物低温▲設▼▲備▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shanghai Origincell Biological Cryo Equipment Co., Ltd.,
【住所又は居所原語表記】Room 102, 1/F, Building 4, No.1118, Halei Road, No.1227, Zhangheng Road, Shanghai Pilot Free Trade Zone, Shanghai, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】瞿建国
(72)【発明者】
【氏名】曹偉光
【テーマコード(参考)】
2G052
2G058
3F022
【Fターム(参考)】
2G052AA28
2G052CA45
2G052CA48
2G052EB08
2G058BB02
2G058BB06
2G058BB12
2G058CB08
2G058CF01
3F022AA10
3F022BB02
3F022CC05
3F022EE05
3F022EE09
3F022FF00
3F022JJ01
3F022JJ04
3F022JJ20
3F022KK11
3F022KK20
3F022LL31
3F022MM02
3F022MM05
3F022MM11
3F022MM35
(57)【要約】
インテリジェントな試料バンク保存システムは、少なくとも1組の保存モジュール(1)と、少なくとも1組の取出モジュール(2)を含む。保存モジュール(1)は、少なくとも2つの保存タンク(3)を含む。保存タンク(3)の上端面には出し入れ口(4)が開設されている。また、対応する2つの保存タンク(3)の出し入れ口(4)の位置は対応している。取出モジュール(2)は、保存モジュール(1)の上方に設けられており、出し入れ口(4)を通じて保存タンク(3)内の凍結保存用チューブ及び/或いはラックを取り出し又は保存可能である。保存モジュール(1)に設けられている2つの出し入れ口(4)を対面させ、その上方に取出モジュール(2)を1つ設けるだけで、1つの取出モジュール(2)内で2つの保存タンク(3)の動作を実現可能となるため、動作効率が大幅に向上するとともに、使用コストも低下する。また、保存モジュール(1)の間を複数種類の搬送機器で接続可能なため、試料の迅速な搬送、取り次ぎ、移送機能が実現されるとともに、緊急対応作用も実現される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1組の保存モジュール及び少なくとも1組の取出モジュールを含み、
前記保存モジュールは少なくとも2つの保存タンクを含み、前記保存タンクの上端面には出し入れ口が開設されており、対応する前記2つの保存タンクの出し入れ口の位置は対応しており、
前記取出モジュールは、前記保存モジュールの上方に設けられており、出し入れ口を通じて保存タンク内の凍結保存用チューブ及び/或いはラックを取り出し又は保存可能であることを特徴とするインテリジェントな試料バンク保存システム。
【請求項2】
前記保存タンクの出し入れ口は前記保存タンクの上端面における一方の側に開設されており、対応する2つの保存タンクの出し入れ口は対向しており、且つ互いに近接していることを特徴とする請求項1に記載のインテリジェントな試料バンク保存システム。
【請求項3】
前記取出モジュールは、X軸取出アーム群、Y軸取出アーム群及び把持装置を含み、前記把持装置は、保存タンク内の凍結保存用チューブに対する吸引或いは把持、及び/又は、ラックに対する把持を行うことが可能であり、
前記X軸取出アーム群は前記把持装置をX軸に沿って運動可能とし、前記Y軸取出アーム群は前記把持装置をY軸に沿って運動可能とすることを特徴とする請求項2に記載のインテリジェントな試料バンク保存システム。
【請求項4】
A群保存モジュール、A群取出モジュール、B群保存モジュール及びB群取出モジュールを含み、
前記A群保存モジュールとB群保存モジュールは横並びに設置され、前記A群取出モジュールは前記A群保存モジュールの上方に設けられて前記A群保存モジュールに作用し、前記B群取出モジュールは前記B群保存モジュールの上方に設けられて前記B群保存モジュールに作用し、
前記A群取出モジュールと前記B群取出モジュールには貫通する搬送経路が直接設けられており、前記搬送経路は移送タンクを搬送可能であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のインテリジェントな試料バンク保存システム。
【請求項5】
前記搬送経路は、A群保存モジュール及びB群保存モジュールの横並び方向に沿って伝動する伝動部材を含むことを特徴とする請求項4に記載のインテリジェントな試料バンク保存システム。
【請求項6】
前記伝動部材には複数のリフトアップ経路が開設されており、
前記取出モジュールはリフトアップ機構を更に含み、前記リフトアップ機構は前記保存モジュールの2つの保存タンクの間に設けられ、前記リフトアップ機構は、前記リフトアップ経路を通過して移送タンクをリフトアップ可能であることを特徴とする請求項5に記載のインテリジェントな試料バンク保存システム。
【請求項7】
前記リフトアップ機構は昇降台及び駆動電動シリンダを含み、前記昇降台は、前記保存モジュールの2つの保存タンクの間に設けられるとともに、一端がリフトアップ経路の下方に設けられ、他端が外部に延伸して垂直に設置され、前記駆動電動シリンダは、垂直に設置されるとともに、昇降台の延伸端に接続され、
前記駆動電動シリンダは、昇降台を垂直方向に上昇及び下降可能とすることを特徴とする請求項6に記載のインテリジェントな試料バンク保存システム。
【請求項8】
前記Y軸取出アーム群は、Y軸接続レール及びY軸移動機構を含み、前記Y軸接続レールは接続レール主軸及び接続レール副軸を含み、
前記接続レール主軸と接続レール副軸は、保存モジュールの両側の上端に平行且つ対称に設けられ、前記Y軸移動機構は、前記接続レール主軸及び接続レール副軸に設けられて、接続レール主軸及び接続レール副軸に沿ってスライド可能であり、前記Y軸移動機構は、X軸取出アーム群に接続されており、X軸取出アーム群をY軸方向に運動可能とし、
前記Y軸は、前記保存タンクが横並びに設置される水平に対し垂直方向であることを特徴とする請求項3、5、6又は7に記載のインテリジェントな試料バンク保存システム。
【請求項9】
前記X軸取出アーム群は、X軸接続レール及びX軸移動機構を含み、
前記X軸接続レールの両端は、Y軸接続レールに垂直に設置されるとともに、Y軸移動機構に接続され、前記X軸移動機構は、X軸接続レールに設けられるとともに、X軸接続レールに沿ってスライド可能であり、前記X軸移動機構は、把持装置に接続されており、把持装置をX軸方向に移動可能とし、
前記X軸は、前記保存タンクが横並びに設置される水平方向であることを特徴とする請求項8に記載のインテリジェントな試料バンク保存システム。
【請求項10】
前記X軸取出アーム群は、X軸スライドレール及びスライド機構を含み、
前記X軸スライドレールは、Y軸接続レールの下方に垂直に設置されるとともに、両端がA群保存モジュールとB群保存モジュールを直列に連結するよう延伸しており、前記X軸スライドレールはY軸移動機構に接続され、前記スライド機構は、X軸スライドレールに設けられるとともに、X軸スライドレールに沿ってスライド可能であり、前記スライド機構は、把持装置に接続されており、把持装置をX軸方向に移動可能とし、
前記X軸は、前記保存タンクが横並びに設置される水平方向であることを特徴とする請求項8に記載のインテリジェントな試料バンク保存システム。
【請求項11】
前記スライド機構は、ホイール群、接続回転軸及びスライドレール接続フレームを含み、
前記ホイール群は、X軸スライドレール内に対称に設けられるとともに、X軸スライドレールに沿ってスライド可能であり、前記スライドレール接続フレームは、X軸スライドレールに設けられるとともに、ホイール群に接続され、前記接続回転軸は、スライドレール接続フレームに設けられるとともに、把持装置に接続されることを特徴とする請求項10に記載のインテリジェントな試料バンク保存システム。
【請求項12】
前記把持装置は、凍結保存用チューブ取出機構、ラック把持機構及び接続機構を含み、
前記接続機構は、上端がX軸取出アーム群に接続され、下端がラック把持機構及び凍結保存用チューブ取出機構にそれぞれ接続され、
前記X軸取出アーム群は、保存タンク内の凍結保存用チューブ又はラックを把持可能とし、且つ、前記凍結保存用チューブ又は前記ラックをX軸に沿って運動可能とし、前記Y軸取出アーム群は、保存タンク内の凍結保存用チューブ又はラックを把持可能とし、且つ、前記凍結保存用チューブ又は前記ラックをY軸に沿って運動可能とすることを特徴とする請求項9、10又は11に記載のインテリジェントな試料バンク保存システム。
【請求項13】
更に、モジュール保護ケースを含み、
前記モジュール保護ケースは、前記保存モジュールに設けられるとともに、取出モジュールの外部に設けられ、
前記モジュール保護ケースには主制御インターフェースが更に設けられていることを特徴とする請求項12に記載のインテリジェントな試料バンク保存システム。
【請求項14】
前記保存モジュールはバルブアセンブリを更に含み、前記バルブアセンブリはモジュール保護ケースの側面に設けられることを特徴とする請求項13に記載のインテリジェントな試料バンク保存システム。
【請求項15】
前記バルブアセンブリはコイル管補液機構を含み、前記コイル管補液機構はモジュール保護ケースの側面に設けられることを特徴とする請求項14に記載のインテリジェントな試料バンク保存システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体試料保存の分野に関し、特に、インテリジェントな試料バンク保存システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体試料の保存、特に、凍結保存用チューブの保存及び取り出しにおいては、通常、1つの保存機器に1種類の取出モジュールが対応しており、複数の機器間で試料の迅速且つ効率のよい搬送及び取り次ぎを行うことができない。この場合、使用コストが増大するだけでなく、製品の重量も大幅に増加し、ユーザの使用感が低下する。
【0003】
また、取り出しの過程では、チューブ選択機器又はラックグリッパがラック又は試料チューブを液体窒素タンクから取り出したあとに搬送する。この場合、試料チューブが常温に直接晒されるため、試料が傷みやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、複数の保存機器の間で1種類の取出モジュールを用いて把持を行うことが不可能なため、複数の保存機器の間で試料の迅速且つ効率のよい搬送及び取り次ぎを行うことができないとの課題を解決するインテリジェントな試料バンク保存システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、技術的課題を解決するために以下の技術方案を採用する。
【0006】
インテリジェントな試料バンク保存システムは、少なくとも1組の保存モジュールと、少なくとも1組の取出モジュールを含む。
【0007】
前記保存モジュールは、少なくとも2つの保存タンクを含む。前記保存タンクの上端面には出し入れ口が開設されている。また、対応する前記2つの保存タンクの出し入れ口の位置は対応している。
【0008】
前記取出モジュールは、前記保存モジュールの上方に設けられており、出し入れ口を通じて保存タンク内の凍結保存用チューブ及び/或いはラックを取り出し又は保存可能である。
【0009】
好ましくは、前記保存タンクの出し入れ口は前記保存タンクの上端面における一方の側に開設されている。また、対応する2つの保存タンクの出し入れ口は対向しており、且つ互いに近接している。
【0010】
好ましくは、前記取出モジュールは、X軸取出アーム群、Y軸取出アーム群及び把持装置を含む。前記把持装置は、保存タンク内の凍結保存用チューブに対する吸引或いは把持、及び/又は、ラックに対する把持を行うことが可能である。
【0011】
前記X軸取出アーム群は前記把持装置をX軸に沿って運動可能とし、前記Y軸取出アーム群は前記把持装置をY軸に沿って運動可能とする。
【0012】
好ましくは、A群保存モジュール、A群取出モジュール、B群保存モジュール及びB群取出モジュールを含む。
【0013】
前記A群保存モジュールとB群保存モジュールは横並びに設置される。前記A群取出モジュールは前記A群保存モジュールの上方に設けられてこれに作用し、前記B群取出モジュールは前記B群保存モジュールの上方に設けられてこれに作用する。
【0014】
前記A群取出モジュールと前記B群取出モジュールには貫通する搬送経路が直接設けられている。前記搬送経路は移送タンクを搬送可能である。
【0015】
好ましくは、前記搬送経路は、A群保存モジュール及びB群保存モジュールの横並び方向に沿って伝動する伝動部材を含む。
【0016】
好ましくは、前記伝動部材には複数のリフトアップ経路が開設されている。前記取出モジュールはリフトアップ機構を更に含む。前記リフトアップ機構は、前記保存モジュールの2つの保存タンクの間に設けられる。前記リフトアップ機構は、前記リフトアップ経路を通過して移送タンクをリフトアップ可能である。
【0017】
好ましくは、前記リフトアップ機構は昇降台及び駆動電動シリンダを含む。前記昇降台は、前記保存モジュールの2つの保存タンクの間に設けられるとともに、一端がリフトアップ経路の下方に設けられ、他端が外部に延伸して垂直に設置される。前記駆動電動シリンダは、垂直に設置されるとともに、昇降台の延伸端に接続される。
【0018】
前記駆動電動シリンダは、昇降台を垂直方向に上昇及び下降可能とする。
【0019】
好ましくは、前記Y軸取出アーム群は、Y軸接続レール及びY軸移動機構を含む。前記Y軸接続レールは接続レール主軸及び接続レール副軸を含む。
【0020】
前記接続レール主軸と接続レール副軸は、保存モジュールの両側の上端に平行且つ対称に設けられる。前記Y軸移動機構は、前記接続レール主軸及び接続レール副軸に設けられて、接続レール主軸及び接続レール副軸に沿ってスライド可能である。前記Y軸移動機構は、X軸取出アーム群に接続されており、X軸取出アーム群をY軸方向に運動可能とする。
【0021】
前記Y軸は、前記保存タンクが横並びに設置される水平に対し垂直方向である。
【0022】
好ましくは、前記X軸取出アーム群は、X軸接続レール及びX軸移動機構を含む。前記X軸接続レールの両端は、Y軸接続レールに垂直に設置されるとともに、Y軸移動機構に接続される。前記X軸移動機構は、X軸接続レールに設けられるとともに、X軸接続レールに沿ってスライド可能である。前記X軸移動機構は、把持装置に接続されており、把持装置をX軸方向に移動可能とする。
【0023】
前記X軸は、前記保存タンクが横並びに設置される水平方向である。
【0024】
好ましくは、前記X軸取出アーム群は、X軸スライドレール及びスライド機構を含む。前記X軸スライドレールは、Y軸接続レールの下方に垂直に設置されるとともに、両端がA群保存モジュールとB群保存モジュールを直列に連結するよう延伸している。前記X軸スライドレールはY軸移動機構に接続される。前記スライド機構は、X軸スライドレールに設けられるとともに、X軸スライドレールに沿ってスライド可能である。前記スライド機構は、把持装置に接続されており、把持装置をX軸方向に移動可能とする。
【0025】
前記X軸は、前記保存タンクが横並びに設置される水平方向である。
【0026】
好ましくは、前記スライド機構は、ホイール群、接続回転軸及びスライドレール接続フレームを含む。前記ホイール群は、X軸スライドレール内に対称に設けられるとともに、X軸スライドレールに沿ってスライド可能である。前記スライドレール接続フレームは、X軸スライドレールに設けられるとともに、ホイール群に接続される。前記接続回転軸は、スライドレール接続フレームに設けられるとともに、把持装置に接続される。
【0027】
好ましくは、前記把持装置は、凍結保存用チューブ取出機構、ラック把持機構及び接続機構を含む。前記接続機構は、上端がX軸取出アーム群に接続され、下端がラック把持機構及び凍結保存用チューブ取出機構にそれぞれ接続される。
【0028】
前記X軸取出アーム群は、保存タンク内の凍結保存用チューブ又はラックを把持可能とし、且つ、それらをX軸に沿って運動可能とする。前記Y軸取出アーム群は、保存タンク内の凍結保存用チューブ又はラックを把持可能とし、且つ、それらをY軸に沿って運動可能とする。
【0029】
好ましくは、更に、モジュール保護ケースを含む。前記モジュール保護ケースは、前記保存モジュールに設けられるとともに、取出モジュールの外部に設けられる。
【0030】
前記モジュール保護ケースには主制御インターフェースが更に設けられている。
【0031】
好ましくは、前記保存モジュールはバルブアセンブリを更に含む。前記バルブアセンブリはモジュール保護ケースの側面に設けられる。
【0032】
好ましくは、前記バルブアセンブリはコイル管補液機構を含む。前記コイル管補液機構はモジュール保護ケースの側面に設けられる。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0034】
1.保存モジュールに設けられている2つの出し入れ口を対面させ、その上方に取出モジュールを1つ設けるだけで、1つの取出モジュール内で2つの保存タンクの動作を実現可能となるため、動作効率が大幅に向上するとともに、使用コストも低下する。
【0035】
2.2つの保存タンクを組み合わせることで、同一の保存モジュール内で複数のタイプの生体試料又は細胞を隔離して保存することが可能となるため、交差汚染がいっそう効果的に予防される。また、アクシデントの発生時に速やかな切り替え及び保護が可能となるため、生体試料又は細胞の安全が確保される。
【0036】
3.保存モジュールの間を複数種類の搬送機器で接続可能なため、試料の迅速な搬送、取り次ぎ、移送機能が実現される。また、緊急対応作用も実現され、1つの保存タンクの液体窒素量が少なくなった場合には、近隣の保存タンクに移送することでリスクを最大限低下させられるため、動作効率が向上する。
【0037】
4.凍結保存用チューブ取出機構とラック把持機構は、出し入れ口内で凍結保存用チューブやラックの把持を直接行うため、一定の断熱機能が奏される。よって、取り出しや移送の最中に試料が傷む確率が低下する。
【0038】
5.保存モジュールは、長・短期の保存ニーズをそれぞれ満たすことができ、平常使用と長期保存を適切に分割できるため、保存中の相互の影響を改善するのに都合がよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、本発明の全体構造の概略図である。
図2図2は、本発明のモジュール保護ケース内の構造の概略図である。
図3図3は、本発明の取出モジュールの構造の概略図である。
図4図4は、本発明の実施例2の構造の概略図である。
図5図5は、本発明の実施例2におけるモジュール保護ケースを省略した構造の概略図である。
図6図6は、本発明の実施例2におけるスライド機構の構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に、実施例及び図面を組み合わせて、本発明の技術方案につき更に詳述する。
【実施例1】
【0041】
本実施例は、少なくとも1組の保存モジュール1と、少なくとも1組の取出モジュール2を含むインテリジェントな試料バンク保存システムを提供する。
【0042】
保存モジュール1は、少なくとも2つの保存タンク3を含む。保存タンク3の上端面には出し入れ口4が開設されている。また、対応する2つの保存タンク3の出し入れ口4の位置は対応している。
【0043】
取出モジュール2は、保存モジュール1の上方に設けられており、出し入れ口4を通じて保存タンク3内の凍結保存用チューブ及び/或いはラックを取り出し又は保存可能である。
【0044】
凍結保存用チューブについて生体試料の保存及び取り出しを行う際には、一般的に、1つの保存タンク3に1種類の取出モジュール2が対応している。この場合、異なる保存タンク3の間での移送に伴う使用コストが増大するだけでなく、凍結保存用チューブが常温に晒されるため傷みやすい。そこで、本発明では、2つの保存タンク3で構成される保存モジュール1を開示する。保存タンク3は横並びに設置され、且つ、上端面に出し入れ口4が開設されている。2つの出し入れ口4は互いに近接しているため、取出モジュール2は異なる保存タンク3の間で保存及び把持操作を行いやすく、取出モジュール2の動作効率の向上及び使用コストの低下が可能となる。
【0045】
本発明の更なる実施形態において、保存タンク3の出し入れ口4は保存タンク3の上端面における一方の側に開設されている。また、対応する2つの保存タンク3の出し入れ口4は対向しており、且つ互いに近接している。出し入れ口4同士の距離が近いほど、取出モジュール2は異なる保存タンク3の間で操作を行いやすくなる。また、出し入れ口4は、異なる方向における対面設置を実現可能である。本発明において、出し入れ口4は、径方向において対面するよう設置されるとともに、保存タンク3が横並びに設置される方向と平行にされる。こうすることで、取出モジュール2による保存モジュール1での凍結保存用チューブの保存又は取り出しが最大限容易となる。
【0046】
本発明の更なる実施形態において、取出モジュール2は、X軸取出アーム群5、Y軸取出アーム群6及び把持装置7を含む。把持装置7は、保存タンク3内の凍結保存用チューブに対する吸引或いは把持、及び/又は、ラックに対する把持を行うことが可能である。
【0047】
Y軸取出アーム群6はX軸取出アーム群5に接続されており、X軸取出アーム群5をY軸に沿って運動可能とする。X軸取出アーム群5は把持装置7に接続されており、把持装置7をX軸に沿って運動可能とする。把持装置7は、保存タンク3上でX軸及びY軸に沿う移動を実現可能であり、異なる位置の出し入れ口4の位置内部におけるラック及び/又は凍結保存用チューブの把持を実現する。これにより、動作効率が向上する。
【0048】
2つの保存タンク3の出し入れ口4の位置が近いほど、X軸取出アーム群5及びY軸取出アーム群6はより少ない移動でラック及び/又は凍結保存用チューブの把持を実現できるため、時間の節約となり、効率が向上する。そこで、出し入れ口4を径方向において対面するように保存タンク3の横並び方向に設置すれば、効率が最も高くなる。
【0049】
本発明の更なる実施形態では、A群保存モジュール、A群取出モジュール、B群保存モジュール及びB群取出モジュールを含む。
【0050】
A群保存モジュールとB群保存モジュールは横並びに設置される。A群取出モジュールはA群保存モジュールの上方に設けられてこれに作用し、B群取出モジュールはB群保存モジュールの上方に設けられてこれに作用する。
【0051】
A群取出モジュールとB群取出モジュールには、貫通する搬送経路8が直接設けられている。搬送経路8は移送タンク31を搬送可能である。移送タンク31は、凍結保存用チューブを中継輸送可能とする。移送タンク31内には、凍結保存用チューブの移送過程で断熱に用いられる液体窒素が蓄積されている。
【0052】
B群保存モジュールの数は少なくとも1つであり、且つ順に横並びに設置される。搬送経路8は、A群保存モジュールと全てのB群保存モジュールを直列に連結することで、異なる保存タンク3の間での試料の迅速な搬送、取り次ぎ及び移送を実現する。
【0053】
本発明の更なる実施形態において、搬送経路8は、A群保存モジュール及びB群保存モジュールの横並び方向に沿って伝動する伝動部材9を含む。
【0054】
伝動部材9は、保存モジュール1の横並び水平方向における移送タンク31の輸送を実現する。伝動部材9は、搬送ベルト、搬送プレート又は搬送レールといった方式で移送タンク31の搬送を実現可能である。搬送部材9の実施形態は大変多いため、ここでは詳述しない。
【0055】
本発明の更なる実施形態において、伝動部材9には複数のリフトアップ経路10が開設されており、搬送経路8の側面には移送窓30が開設されている。また、取出モジュール2はリフトアップ機構11を更に含む。リフトアップ機構11は、保存モジュール1の2つの保存タンク3の間に設けられる。リフトアップ機構11は、リフトアップ経路11を通過して移送タンク31をリフトアップ可能である。
【0056】
移送タンク31は、搬送経路8の側面に開設された移送窓30から搬送経路8に搬送され、搬送経路8によりリフトアップ経路10の上端まで搬送される。そして、リフトアップ機構11がリフトアップ経路10を通過して移送タンク31を保存タンク3の上端までリフトアップすると、凍結保存用チューブの保存又は取り出しが行われる。操作が終了すると、リフトアップ機構11は下降して移送タンク31を搬送経路8に戻す。搬送経路8は、搬送部材9によって異なる保存モジュール1の間で移送タンク31内の凍結保存用チューブの迅速な移送及び搬送を実現するため、動作効率が向上する。
【0057】
本発明の更なる実施形態において、リフトアップ機構11は、昇降台12及び駆動電動シリンダ13を含む。昇降台12は、保存モジュール1の2つの保存タンク3の間に設けられるとともに、一端がリフトアップ経路10の下方に設けられ、他端が外部に延伸して垂直に設置される。駆動電動シリンダ13は、垂直に設置されるとともに、昇降台12の延伸端に接続される。駆動電動シリンダ13は、搬送経路8における保存タンク3寄りの側に設けられる。これにより、当該システムのスペース全体を縮小可能となる。駆動電動シリンダ13は、昇降台12を垂直方向に上昇及び下降可能とする。リフトアップ機構11によって、保存タンク3と搬送経路8の間における移送の問題が解決されるため、試料の迅速な搬送効率が大幅に向上する。
【0058】
本発明の更なる実施形態において、Y軸取出アーム群6は、Y軸接続レール14及びY軸移動機構15を含む。Y軸接続レール14は、接続レール主軸32及び接続レール副軸33を含む。接続レール主軸32と接続レール副軸33は、保存モジュール1の両側の上端に平行且つ対称に設けられる。Y軸移動機構15は、接続レール主軸32及び接続レール副軸33に設けられて、接続レール主軸32及び接続レール副軸33に沿ってスライド可能である。Y軸移動機構15は、X軸取出アーム群5に接続されており、X軸取出アーム群5をY軸方向に運動可能とする。Y軸は、保存タンク3が横並びに設置される水平に対し垂直方向である。
【0059】
Y軸取出アーム群6は、保存タンク3内と移送タンク31の間における凍結保存用チューブの移送を実現する。把持装置7は、Y軸取出アーム群6に伴われて、保存タンク3が横並びに設置される水平に対し垂直な方向の平行移動を実現するため、把持操作を行いやすい。
【0060】
Y軸移動機構15には、X軸取出アーム群5に固定的に接続される結束バンドが設けられている。且つ、Y軸移動機構15にはスライド部材が設けられており、接続レール主軸32及び接続レール副軸33上でスライドするのと同時に、X軸取出アーム群5にY軸に沿う平行移動を実現させる。Y軸移動機構15は、スライダ、滑車等の方式で実施してもよい。
【0061】
本発明の更なる実施形態において、X軸取出アーム群5は、X軸接続レール16及びX軸移動機構17を含む。X軸接続レール16の両端は、接続レール主軸32及び接続レール副軸33に垂直に設置されるとともに、Y軸移動機構15に接続される。X軸移動機構17は、X軸接続レール16に設けられるとともに、X軸接続レール16に沿ってスライド可能である。X軸移動機構17は、把持装置7に接続されており、把持装置7をX軸方向に移動可能とする。X軸は、保存タンク3が横並びに設置される水平方向である。
【0062】
X軸接続レール16の両端は、接続レール主軸32及び接続レール副軸33に設けられて、1つの保存モジュール1内での平行移動を実現するとともに、保存タンク3が横並びに設置される水平方向における把持装置7の平行移動を実現する。即ち、2つの保存タンク3同士の出し入れ口4の間における運動を実現し、把持及び保存操作を行わせる。
【0063】
本発明の更なる実施形態において、把持装置7は、凍結保存用チューブ取出機構23、ラック把持機構24及び接続機構25を含む。接続機構25は、上端がX軸取出アーム群5に接続され、下端がラック把持機構24及び凍結保存用チューブ取出機構23にそれぞれ接続される。
【0064】
X軸取出アーム群5は、保存タンク3内の凍結保存用チューブ又はラックを把持可能とし、且つ、それらをX軸に沿って運動可能とする。これにより、凍結保存用チューブ及び/又はラックを把持して、異なる保存タンク3の間での試料の移送を実現する。Y軸取出アーム群6は、保存タンク3内の凍結保存用チューブ又はラックを把持可能とし、且つ、それらをY軸に沿って運動可能とする。これにより、試料を保存タンク3と移送タンク31の間で移送して、異なる保存モジュール1の間での試料の移送を実現する。以上により、動作効率が大幅に向上する。
【0065】
本発明の更なる実施形態では、更に、モジュール保護ケース26を含む。モジュール保護ケース26は、保存モジュール1に設けられて、取出モジュール2を内部に覆う。また、Y軸接続レール14の両端はモジュール保護ケース26の内壁に固定的に設けられ、リフトアップ機構11はモジュール保護ケース26の下端に固定的に設けられる。モジュール保護ケース26は、上昇モジュール2を固定する役割を果たすとともに、把持装置7が取り出した凍結保存用チューブが急速に放熱しないよう保護することで断熱の役割も果たす。
【0066】
モジュール保護ケース26には、更に、主制御インターフェース27が設けられている。主制御インターフェース27は、搬送経路8における保存タンク3とは反対の側に設けられる。主制御インターフェース27は、搬送部材9による移送タンク31の搬送の開始/停止を制御可能とする。
【0067】
本発明の更なる実施形態において、保存モジュール1は、更に、バルブアセンブリ28を含む。バルブアセンブリ28は、モジュール保護ケース26の側面に設けられる。バルブアセンブリ28は、保存タンク3内に液体窒素を注入して、タンク内の温度を維持可能とする。
【0068】
本発明の更なる実施形態において、バルブアセンブリ28はコイル管補液機構29を含む。コイル管補液機構29は、モジュール保護ケース26の側面に設けられる。コイル管補液機構29を加熱して、飛散した液体窒素を保存タンク3内に注入すれば、液体窒素が一か所に直接注入されて温度が不均一になるということがなくなる。また、保存タンク3内の温度が低すぎる場合には、コイル管補液機構29の外部のヒータ線を起動することで、適切な保存温度を実現可能である。
【実施例2】
【0069】
本実施例は、以下の点において異なるインテリジェントな試料バンク保存システムを提供する。
【0070】
X軸取出アーム群5は、X軸スライドレール18及びスライド機構19を含む。X軸スライドレール18は、接続レール主軸32及び接続レール副軸33の下端に垂直に設置されるとともに、両端がA群保存モジュール30とB群保存モジュール32を直列に連結するよう延伸している。X軸スライドレール18はY軸移動機構15に接続される。スライド機構19は、X軸スライドレール18に設けられるとともに、X軸スライドレール18に沿ってスライド可能である。スライド機構19は、把持装置7に接続されており、把持装置7をX軸方向に移動可能とする。X軸は、保存タンク3が横並びに設置される水平方向である。
【0071】
実施例1では、X軸接続レール14がY軸接続レール14内で平行移動するよう運動するのに対し、X軸スライドレール18の両端は、横並びに設置されるA方向の保存モジュールとB方向の保存モジュール全てを直列に連結可能とするよう延伸している。これにより、異なる保存モジュール1の間で複数種類の搬送機器による試料の搬送が実現されるため、搬送効率が大幅に向上する。
【0072】
本発明の更なる実施形態において、スライド機構19は、ホイール群20、接続回転軸21及びスライドレール接続フレーム22を含む。ホイール群20は、X軸スライドレール18内に対称に設けられるとともに、X軸スライドレール18に沿ってスライド可能である。スライドレール接続フレーム22は、X軸スライドレール18に設けられるとともに、ホイール群20に接続される。接続回転軸21は、スライドレール接続フレーム22に設けられるとともに、把持装置7に接続される。
【0073】
スライドレール接続フレーム22は、ホイール群20によりX軸スライドレール18上でスライドする。接続回転軸21の下端は、把持装置7に接続されて、把持装置7をX軸スライドレール18に沿って運動させる。これにより、異なる保存モジュール1の間での把持装置7による把持及び保存が実現される。
【0074】
本発明の更なる実施形態では、モジュール保護ケース26に上搬送経路34が設けられている。上搬送経路34は、保存タンク3の上端に設けられて、取出モジュール2を内部に収容する。上搬送経路34は搬送経路8と同一方向に設けられる。X軸スライドレール18は上搬送経路8を貫通しており、異なる保存モジュール1の間で把持装置7に試料を運搬させることで、動作効率を大幅に向上させる。
【0075】
以上の実施例の順序は記載の便宜上のものにすぎず、実施例の優劣を表すものではない。
【0076】
最後に、説明すべき点として、以上の実施例は本発明の技術方案を説明するためのものにすぎず、制限するものではない。なお、上記の実施例を参照して本発明につき詳細に説明したが、当業者は、上記の各実施例で記載した技術方案の修正や、一部の技術的特徴についての等価の置き換えを行ってもよく、これらの修正或いは置き換えが、対応する技術方案の本質を本発明の各実施例の技術方案における精神及び範囲から逸脱させることはないものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0077】
1 保存モジュール
2 取出モジュール
3 保存タンク
4 出し入れ口
5 X軸取出アーム群
6 Y軸取出アーム群
7 把持装置
8 搬送経路
9 伝動部材
10 リフトアップ経路
11 リフトアップ機構
12 昇降台
13 駆動電動シリンダ
14 Y軸接続レール
15 Y軸移動機構
16 X軸接続レール
17 X軸移動機構
18 X軸スライドレール
19 スライド機構
20 ホイール群
21 接続回転軸
22 スライドレール接続フレーム
23 凍結保存用チューブ取出機構
24 ラック把持機構
25 接続機構
26 モジュール保護ケース
27 主制御インターフェース
28 バルブアセンブリ
29 コイル管補液機構
30 移送窓
31 移送タンク
32 接続レール主軸
33 接続レール副軸
34 上搬送経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】